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1. WO2009054398 - 動力伝達部品及びその製造方法

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明 細 書

発明の名称 動力伝達部品及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0003   0004  

課題を解決するための手段

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030  

発明の効果

0031  

図面の簡単な説明

0032   0033  

発明を実施するための最良の形態

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

産業上の利用可能性

0077  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

動力伝達部品及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、回転動力を伝達するための動力伝達経路中に配置される部品及びその製造方法に係り、例えば、四輪駆動車両の前後輪トルク不等配分用センターディファレンシャル装置等のディファレンシャル装置を含む各種の動力伝達装置のための部品に適用できるものである。

背景技術

[0002]
 下記の特許文献1には、回転動力を伝達するための動力伝達経路中に配置される部品であって、四輪駆動車両の前後輪トルク不等配分用センターディファレンシャル装置のための動力伝達部品が示されている。この動力伝達部品は、遊星歯車機構のためのキャリアとなっている第1部材と、この第1部材と共通の回転中心部を中心に回転するベース部材とを含んで構成されており、第1部材に、回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した複数個のアーム部が形成され、第1部材の軸方向延出部となっているこれらのアーム部の先部が第2部材に複数個形成されている孔に軸方向へ挿入され、それぞれの孔にそれぞれのアーム部の先部が溶接されることにより、第1部材と第2部材とが結合一体化されている。
特許文献1 : 特開2004-332834(0043段落、図1)

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0003]
 上述の動力伝達部品は、回転動力の伝達のために大きなねじりトルクを受けることになる。このため、第1部材と第2部材の結合強度を大きくすることが求められ、そのためには、第1部材の軸方向延出部となっているアーム部の先部と、この先部が挿入される第2部材の孔との溶接による結合強度を大きくすることが求められる。
[0004]
 本発明の目的は、第1部材と第2部材との溶接による結合強度を大きくできるようになる動力伝達部品及びその製造方法を提供するところにある。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明に係る動力伝達部品は、回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品であって、共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品において、前記孔と前記先部とのうちの一方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側との部分において、2個の傾斜面が前記挿入側へ先細りの形状をなして形成され、これらの傾斜面の部分で前記先部が前記孔に抵抗溶接によって溶接されていることを特徴とするものである。
[0006]
 この動力伝達部品では、第1部材に形成されている軸方向延出部の先部が、2個の傾斜面の部分において、第2部材の孔に抵抗溶接による溶接によって結合されている。2個の傾斜面は、前記先部が前記孔へ挿入される側へ先細りの形状をなしているため、これらの傾斜面は軸方向に対する傾斜角度を有している。このため、軸方向に対する傾斜角度を有していない面の部分で先部と孔とを溶接によって結合する場合よりも、抵抗溶接のための通電によって形成される溶け込み固化部の体積を大きくできることになり、これにより、第1部材と第2部材との溶接による結合強度を大きくできることになる。
[0007]
 そして、このように溶け込み固化部の体積を大きくすることは、第1部材の軸方向延出部の先部と第2部材の孔とのうちの一方に、上述した2個の傾斜面を形成することによって行われ、溶接される部分を大きくすることによって溶け込み固化部の体積を大きくするのではないため、第1部材と第2部材の小径化、言い換えると、動力伝達部品の小型化を図ることができる。
[0008]
 本発明に係る動力伝達部品の製造方法は、回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品を製造する方法であって、共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品の製造方法において、前記孔と前記先部とのうちの一方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側との部分において、2個の傾斜面を前記挿入側へ先細りの形状をなして形成する工程と、前記先部を前記2個の傾斜面で案内して前記孔に挿入しながら、前記2個の傾斜面の部分で前記先部を前記孔に抵抗溶接によって溶接する工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
[0009]
 この製造方法では、第1部材の軸方向延出部の先部と第2部材の孔とのうちの一方に前記2個の傾斜面を形成する作業が行われた後に、第1部材の軸方向延出部の先部を前記2個の傾斜面で案内して第2部材の孔に挿入しながら、2個の傾斜面の部分で前記先部を前記孔に抵抗溶接によって溶接する作業が行われる。2個の傾斜面は、前記先部が前記孔に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、前記先部を前記2個の傾斜面で案内して前記孔に挿入する作業を、すなわち、加圧荷重をもって前記先部を前記孔に圧入する作業を、加圧能力がそれほど大きくない小型のプレス機械によって行えることになる。
[0010]
 また、2個の傾斜面は、前記先部が前記孔に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、前記先部を前記孔に挿入する際に、これらの傾斜面によって前記孔に対する前記先部の位置出しを自ずと行えることになり、このため、前記先部を前記孔に確実に挿入することができる。
[0011]
 上述した2個の傾斜面は、第2部材の孔に形成してもよく、第1部材の軸方向延出部の先部に形成してもよい。2個の傾斜面が第2部材の孔に形成される場合には、これらの傾斜面が形成される部分は、この孔における第1部材と第2部材の共通の回転中心部に関する外径側と内径側との部分になる。2個の傾斜面が第1部材の軸方向延出部の先部に形成される場合には、これらの傾斜面が形成される部分は、この先部における第1部材と第2部材の共通の回転中心部に関する外径側と内径側との部分になる。
[0012]
 2個の傾斜面を第2部材の孔に形成する場合には、2個の傾斜面における前記孔への前記先部の進入方向の終端部に、前記先部の挿入深さを設定するためのストップ部を形成し、このストップ部を、前記回転中心部を中心とする半径方向への幅寸法を有するものであって、前記孔への前記先部の挿入方向と直角をなす平坦面とすることができる。
[0013]
 これによると、前記先部の先端面がストップ部に当接することにより、それ以上に前記先部が前記孔に挿入されることを止めることができるため、前記孔への前記先部の挿入深さをストップ部によって正確に設定することができる。
[0014]
 また、本発明に係る動力伝達部品は、回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品であって、共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品において、前記孔と前記先部とのうちの一方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの一方の部分において、第1傾斜面が形成されているとともに、前記孔と前記先部とのうちの他方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの他方の部分において、第2傾斜面が形成され、前記挿入側へ先細りの形状をなしている前記第1及び第2傾斜面の部分で前記先部が前記孔に抵抗溶接によって溶接されていることを特徴とするものである。
[0015]
 この動力伝達部品においても、第1部材に形成されている軸方向延出部の先部と、第2部材の孔とが、2個の傾斜面の部分で抵抗溶接による溶接によって結合されている。これらの傾斜面は軸方向に対する傾斜角度を有しているため、軸方向に対する傾斜角度を有していない面の部分で先部と孔とを溶接によって結合する場合よりも、抵抗溶接のための通電によって形成される溶け込み固化部の体積を大きくできることになり、これにより、第1部材と第2部材との溶接による結合強度を大きくできることになる。
[0016]
 そして、このように溶け込み固化部の体積を大きくすることは、第1部材の軸方向延出部の先部と第2部材の孔とのうちの一方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの一方の部分において、第1傾斜面を形成し、第1部材の軸方向延出部の先部と第2部材の孔とのうちの他方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの他方の部分において、第2傾斜面を形成することによって行われることになり、溶接される部分を大きくすることによって溶け込み固化部の体積を大きくするのではないため、第1部材と第2部材の小径化、言い換えると、動力伝達部品の小型化を図ることができる。
[0017]
 また、本発明に係る動力伝達部品の製造方法は、回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品を製造する方法であって、共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品の製造方法において、前記孔と前記先部とのうちの一方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの一方の部分において、第1傾斜面を形成するとともに、前記孔と前記先部とのうちの他方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの他方の部分において、第2傾斜面を形成する工程と、前記先部を、前記挿入側へ先細りの形状をなしている前記第1及び第2傾斜面で案内して前記孔に挿入しながら、これらの第1及び第2傾斜面の部分で前記先部を前記孔に抵抗溶接によって溶接する工程と、含んでいることを特徴とするものである。
[0018]
 この製造方法でも、第1傾斜面と第2傾斜面は、第1部材の軸方向延出部の先部が第2部材の孔に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、前記先部を前記第1及び第2傾斜面で案内して前記孔に挿入する作業を、すなわち、加圧荷重をもって先部を孔に圧入する作業を、加圧能力がそれほど大きくない小型のプレス機械によって行えることになる。
[0019]
 また、第1傾斜面と第2傾斜面は、前記先部が前記孔に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、前記先部を前記孔に挿入する際に、これらの傾斜面によって前記孔に対する前記先部の位置出しを自ずと行えることになり、このため、前記先部を前記孔に確実に挿入することができる。
[0020]
 以上述べた第1傾斜面と第2傾斜面は、第1部材の軸方向延出部の先部における外径側と内径側との部分及び第2部材の孔における外径側と内径側との部分のうち、どの部分に形成してもよい。そして、第2部材における第1部材と対面する側の面が、第1部材の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっている場合には、第1傾斜面を、第1部材の軸方向延出部の先部における外径側の部分に形成し、第2傾斜面を、第2部材の孔における内径側の部分に形成することが好ましい。
[0021]
 これによると、第1部材の軸方向延出部の先部における内径側の部分に傾斜面を形成する必要がなくなり、この傾斜面に代わる傾斜面は、第2部材の孔における内径側の部分に形成された傾斜面となる。
[0022]
 第1部材の軸方向延出部の先部における内径側の部分に傾斜面を形成するとした場合には、第1部材の軸方向延出部の先部よりも内径側の空間は小さい空間であるため、先部にける内径側の部分に傾斜面を形成することは困難となり又は多くの手間と長い時間が必要となる。
[0023]
 しかし、上述したように、第2部材における第1部材と対面する側の面が、第1部材の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっている場合において、第1部材の軸方向延出部の先部における内径側の部分に傾斜面を形成せず、この傾斜面に代わる傾斜面を第2部材の孔における内径側の部分に形成するとした場合には、第2部材における第1部材と対面する側の面は上述の平坦面となっているため、第2部材の孔における内径側の部分に傾斜面を形成する作業を容易に行えることになる。そして、第1部材の軸方向延出部の先部よりも外径側の空間は、外径側に向かって大きく開いた空間になっているため、第1部材の軸方向延出部の先部における外径側の部分に傾斜面を形成する作業を容易に行える。
[0024]
 したがって、2個の傾斜面を形成する作業を、少ない手間と短い時間によって簡単に行うことができることになる。
[0025]
 以上説明した本発明において、第1部材における軸方向に延出している前記軸方向延出部の個数は、1個でもよく、複数個でもよい。前記軸方向延出部の個数が1個となっている場合には、この軸方向延出部は筒状となる。また、軸方向延出部の個数及び孔の個数がそれぞれ複数個である場合には、これらの軸方向延出部及び孔は、第1部材と第2部材の共通の回転中心部を中心に円周方向に等間隔又は不等間隔で設けられる。
[0026]
 また、本発明において、第2部材に形成される前記孔は、貫通孔でもよく、不貫通孔でもよい。
[0027]
 また、本発明に係る動力伝達部品は、車両、船舶、航空機等の任意な運搬手段や、作業機械、さらには工作機械等における動力伝達経路を構成するための部品として適用できる。
[0028]
 本発明に係る動力伝達部品を、車両の走行動力を伝達するための動力伝達経路中に配置される部品とする場合には、第1部材を、一例として、車両の走行動力を伝達する動力伝達経路中に配置される遊星歯車機構のためのキャリアとすることができる。
[0029]
 この場合において、遊星歯車機構は、四輪駆動車両のセンターディファレンシャル装置を構成するものでもよく、四輪駆動車両の前輪ディファレンシャル装置を構成するものでもよく、四輪駆動車両の後輪ディファレンシャル装置を構成するものでもよい。また、遊星歯車機構は、前輪駆動車両の前輪ディファレンシャル装置を構成するものでもよく、後輪駆動車両の後輪ディファレンシャル装置を構成するものでもよい。さらに、遊星歯車機構は、オートマチックトランスミッションのための遊星歯車機構でもよい。
[0030]
 また、第1部材の軸方向延出部の先部と第2部材の孔とを溶接結合させる抵抗溶接は、通電時間が短いコンデンサー溶接でもよく、このコンデンサーよりも通電時間が長いインバーター溶接などでもよい。

発明の効果

[0031]
 本発明によると、動力伝達部品を構成する第1部材と第2部材との溶接による結合強度を大きくできるという効果を得られる。

図面の簡単な説明

[0032]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る動力伝達部品が配置された動力伝達経路であって、四輪駆動車両の前後輪にトルクを不等配分するためのセンターディファレンシャル装置が配置されている動力伝達経路を示すスケルトン図である。
[図2] 図2は、図1に示されている本実施形態に係る動力伝達部品の側断面図である。
[図3] 図3は、動力伝達部品を構成する部材のうち、第1部材となっているキャリアの斜視図である。
[図4] 図4は、キャリアの正面図である。
[図5] 図5は、動力伝達部品を構成する部材のうち、第2部材となっているベース部材の正面図である。
[図6] 図6は、プレス装置により、キャリアの軸方向延出部となっているアーム部の先部をベース部材の孔に挿入しながら、先部を孔に抵抗溶接で結合するための作業を示す断面図である。
[図7] 図7の(A)は、図6の抵抗溶接作業の開始前を示す要部拡大図であり、図7の(B)は、図6の抵抗溶接作業の終了後を示す要部拡大図である。
[図8] 図8は、ベース部材の孔にストップ部を設けた実施形態を示す図6と同様の図である。
[図9] 図9の(A)(B)は、図8の実施形態における図7の(A)(B)と同様の図である。
[図10] 図10は、2個の傾斜面をキャリアのアーム部の先部に設けた実施形態を示す図6と同様の図である。
[図11] 図11の(A)(B)は、図10の実施形態における図7の(A)(B)と同様の図である。
[図12] 図12は、2個の傾斜面をキャリアのアーム部の先部とベース部材の孔とに分けて設けた実施形態を示す図6と同様の図である。
[図13] 図13の(A)(B)は、図12の実施形態における図7の(A)(B)と同様の図である。

符号の説明

[0033]
 30 動力伝達部品
 31 第1部材であるキャリア
 31B 軸方向延出部であるアーム部
 31C 先部
 31D 先端面
 32 第2部材であるベース部材
 32A ベース部材におけるキャリアと対面する側の面
 45 孔
 51,52 傾斜面
 53 溶け込み固化部
 54 ストップ部
 61,62 傾斜面
 71 第1傾斜面
 72 第2傾斜面
 A 回転中心部

発明を実施するための最良の形態

[0034]
 以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る動力伝達部品は、車両が走行するための回転動力を伝達する動力伝達経路中に配置される遊星歯車機構のための部品であって、四輪駆動車両の前後輪にトルクを不等配分するためのセンターディファレンシャル装置を構成する部品である。初めに、この不等トルク配分用センターディファレンシャル装置について説明する。
[0035]
 図1は、不等トルク配分用センターディファレンシャル装置が用いられている動力伝達経路を示す。エンジン1で生じた動力は、トルクコンバーター2を経て変速機構3の変速出力軸4から出力され、この変速出力軸4からの動力は、不等トルク配分用センターディファレンシャル装置5を介して前輪側出力軸6と後輪側出力軸7とに出力される。センターディファレンシャル装置5は、複合遊星歯車機構8と差動制限用摩擦クラッチ9との組み合わせからなる。
[0036]
 複合遊星歯車機構8は、前輪側出力軸6の歯車10と噛合する歯車11がキャリア本体部31Aに取り付けられたキャリア31と、このキャリア31の軸方向への長さを有するアーム部31Bの先部が結合され、かつ上記クラッチ9のドラム部材9Aと結合一体化されているベース部材32と、キャリア本体部31Aとベース部材32とに架け渡されたピニオン軸12と、このピニオン軸12に回転自在に嵌合され、それぞれの歯がはす歯となっている第1ピニオン部13A及び第2ピニオン部13Bを有するピニオン13とで構成されている。第1ピニオン部13Aは変速出力軸4の太陽歯車14と噛合し、第2ピニオン部13Bは後輪側出力軸7の太陽歯車15と噛合している。
[0037]
 変速出力軸4からの回転動力が複合遊星歯車機構8に入力すると、この回転動力は、変速出力軸4を中心とするキャリア31の回転と、ピニオン13の公転や自転とにより、前輪側出力軸6と後輪側出力軸7とに伝達される。また、前輪と後輪にスリップ等による大きな回転数差が生じたときなどの場合には、これを検出したセンサからの信号が入力する制御装置で制御される油圧装置により、クラッチ9の図示しないピストンが軸方向に移動し、これによるクラッチ9の摩擦力により、前後輪の大きな回転数差の発生が防止等される。
[0038]
 また、変速出力軸4から複合遊星歯車機構8を経てなされる前輪と後輪へのトルクの配分は、第1ピニオン部13Aと第2ピニオン部13Bと太陽歯車14と太陽歯車15とについての歯数の関係から、等配分されず、例えば、前輪が45%、後輪が55%に不等配分される。
[0039]
 このように変速出力軸4から伝達されるトルクが複合遊星歯車機構8で前後輪へ不等配分されるとき、前輪側へのトルク出力位置と後輪側へのトルク出力位置とが軸方向にずれているため、複合遊星歯車機構8を形成する部品となっていて、キャリア31とベース部材32を含んで構成されている動力伝達部品30は、不等トルクの差に応じたねじりトルクを受けることになる。
[0040]
 また、例えば、車両停止時に、ブレーキペダルの踏み込みで前後輪がロックされた状態にて、アクセルペダルの急激な踏み込みでトルクコンバーター2による増幅トルク(ストールトルク)が生じたときにも、動力伝達部品30は、この増幅トルクに基づくねじりトルクが作用することになる。
[0041]
 図2は、キャリア31とベース部材32を含んで構成されている動力伝達部品30の側断面図であり、これらのキャリア31とベース部材32は、共通の回転中心部Aを中心に回転する。図3は、動力伝達部品30を構成する部材のうち、第1部材となっているキャリア31の斜視図であり、図4は、このキャリア31の正面図であり、図5は、動力伝達部品30を構成する部材のうち、第2部材となっているベース部材32の正面図である。この図5では、ベース部材32の外周部に溶接で結合される前述の差動制限用摩擦クラッチ9用のドラム部材9Aは省略されている。また、本実施形態におけるキャリア31とベース部材32は、金属板によるプレス成形品となっている。
[0042]
 図3及び図4に示されているように、キャリア31のキャリア本体部31Aの中心部には、変速出力軸4が挿通される孔40が形成されているとともに、キャリア本体部31Aの外周面41からは前述したアーム部31Bが軸方向へ延出している。このアーム部31Bが本実施形態における軸方向延出部になっており、アーム部31Bは、本実施形態では、キャリア31の回転中心部Aを中心に円周方向に等間隔で4個設けられている。また、キャリア本体部31Aには、ピニオン軸12が挿入される孔42がそれぞれのアーム部31Bの間において形成されており、キャリア本体部31Aにおけるこれらの孔42が設けられている部分は、図1及び図2で示されているピニオン13の第1ピニオン部13Aの端面と対面するピニオン座面43となっている。
[0043]
 図4で分かるように、本実施形態のピニオン座面43の外周面43Aは、キャリア31の回転中心部Aを中心とする円弧面となっておらず、この円弧面よりも外径側へ張り出して湾曲した張り出し湾曲面となっている。このため、ピニオン座面43の面積は拡大されており、この面積が拡大されたピニオン座面43により、ピニオン13の第1ピニオン部13Aを予想外の外力等から有効に保護できるようになっているとともに、ピニオン座面43に、ピニオン13の軸方向荷重を受けるための大面積のスラスト部材を配置できるようになっている。
[0044]
 また、それぞれのアーム部31Bにおける回転中心部Aと直交する断面の形状は、内径側が窪んだ湾曲形状になっており、この湾曲形状は、キャリア本体部31Aから延びているアーム部31Bの全長又は略全長に渡って連続しているが、この湾曲形状はキャリア31の回転中心部Aを中心とする湾曲形状になっておらず、回転中心部Aとアーム部31Bとの間に位置する点を中心とする湾曲形状になっている。このため、アーム部31Bの曲率半径は、回転中心部Aを中心とする曲率半径よりも小さくなっており、これにより、前述したねじりトルクに対するアーム部31Bの強度が向上し、このねじりトルクに対してキャリア31自身や動力伝達部品30が充分の強度を備えるようになっている。
[0045]
 図5に示されているように、板状となっているベース部材32の中心部には、後輪側出力軸7が挿通される孔44が形成されているとともに、ベース部材32におけるこの孔44よりも外径側の部分には、円周方向に長い長孔状となっている孔45が形成され、ベース部材32を貫通した貫通孔となっていて内径側が窪んだ湾曲形状になっているこの孔45は、本実施形態では、キャリア31と共通となっている回転中心部Aを中心に円周方向に等間隔で4個設けられている。そして、回転中心部Aから孔45までの距離は、図4で示されているキャリア31の回転中心部Aからアーム部31Bまでの距離と同じであり、また、図5から分かるように、孔45は、図4で示したアーム部31Bと同じ曲率半径の湾曲形状となっており、孔45の円周方向長さは、アーム部31Bの円周方向長さよりも少し短くなっている。また、孔45についての回転中心部Aを中心とする半径方向の幅寸法は、アーム部31Bについての回転中心部Aを中心とする半径方向の厚さ寸法よりも少し小さくなっている。
[0046]
 しかし、後述する傾斜面51,52の分を含めた場合における孔45についての回転中心部Aを中心とする半径方向の幅寸法は、アーム部31Bについての回転中心部Aを中心とする半径方向の厚さ寸法よりも少し大きくなっている。また、傾斜面51,52の分を含めた場合における孔45の円周方向長さは、アーム部31Bの円周方向長さよりも少し長くなっている。
[0047]
 さらに、図5に示されているように、それぞれの孔45の間には、図1及び図2で示したピニオン軸12が挿入される孔46が形成されている。
[0048]
 図2に示されているとおり、キャリア31のそれぞれのアーム部31Bの先部31Cは、ベース部材32のそれぞれの孔45に軸方向へ挿入され、そして、先部31Cが孔45に溶接されることにより、キャリア31とベース部材32は結合一体化され、これにより、これらのキャリア31とベース部材32が、共通の回転中心部Aを中心に回転するようになっている。
[0049]
 このように先部31Cが孔45に軸方向へ挿入されてこの先部31Cが孔45に溶接される前において、回転中心部Aに関する孔45の外径側の部分を傾斜面51とし、回転中心部Aに関する孔45の内径側の部分を傾斜面52とする加工が行われている。これらの傾斜面51,52は、ベース部材32を貫通して形成されている孔45の深さのうち、先部31Cが挿入し始める側の略半分程度に形成されているとともに、軸方向に対する傾き角度を有するこれらの傾斜面51,52の傾斜方向は、これらの傾斜面51,52が孔45への先部31Cの挿入側へ先細りの形状をなす方向となっている。
[0050]
 これを言い換えると、先部31Cが孔45に軸方向へ挿入されてこの先部31Cが孔45に溶接される前において、回転中心部Aに関する孔45の一部の外径側と内径側との部分を、孔45への先部31Cの挿入側へ先細り状となったテーパー面にするための加工が行われ、この加工により、孔45の一部の外径側と内径側との部分が傾斜面51,52となっている。
[0051]
 なお、図5で示されているように、本実施形態における傾斜面51と傾斜面52は孔45の長さ方向の両端部で接続されたものとなっている。しかし、これらの傾斜面51,52は、孔45の長さ方向の両端部又は一方の端部で接続されていなくてもよい。
[0052]
 図6は、プレス装置により、先部31Cを孔45に軸方向へ挿入しながら、先部31Cを孔45に抵抗溶接で結合するための作業を示している。
[0053]
 図6において、プレス装置の下型101の上面に電気絶縁部材103を介して下側電極部材105が取り付けられ、この下側電極部材105の上にベース部材32が載せられる。このときのベース部材32の孔45には、既に上述した傾斜面51,52が形成されている。ベース部材32の上にはキャリア31が載置セットされ、この載置セットは、キャリア31のそれぞれのアーム部31Bの先部31Cの位置をベース部材32のそれぞれの孔45の位置と一致させて行われる。また、上記プレス装置の上下動自在となっている上型102の下面には、電気絶縁部材104を介して上側電極部材106が取り付けられている。下側電極部材105と上側電極部材106には抵抗溶接用電気回路107の接続端子107A,107Bが接続され、この電気回路107には、電源装置108と開閉スイッチ109が配置されている。
[0054]
 本実施形態に係る抵抗溶接は通電時間が短いコンデンサー溶接であり、このため、電源装置108は、コンデンサーが含まれて構成されたものとなっている。
[0055]
 なお、図6で示されているコンデンサー溶接作業時には、ベース部材32に前述した差動制限用摩擦クラッチ9用のドラム部材9Aは結合されていないが、ベース部材32にこのドラム部材9Aを結合した後に、コンデンサー溶接作業を行うようにしてもよい。
[0056]
 図7の(A)は、図6のコンデンサー溶接作業の開始前を示し、図7の(B)は、図6のコンデンサー溶接作業の終了後を示している。図7の(A)のように、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cの位置をベース部材32の孔45の位置と一致させた後に、図6のプレス装置の上型102を下降させ、この下降と同時に又はこの下降よりも少し前に電気回路107のスイッチ109を閉成する。これにより、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cとベース部材32の孔45との間で所定の短時間だけ通電が行われるとともに、上型102からの加圧荷重によって先部31Cは孔45に傾斜面51,52で案内されながら挿入され、言い換えると、先部31Cは孔45に傾斜面51,52で案内されながら圧入され、上記通電による抵抗熱により、先部31Cの部分と傾斜面51,52の部分は溶解する。
[0057]
 これにより、キャリア31とベース部材32を形成している金属材料のうち、先部31Cの部分を形成している金属材料と、傾斜面51,52の部分を形成している金属材料との溶け込みが生じ、この溶け込みが生じた部分は、溶解した金属材料の自然冷却により、図7の(B)で示されている溶け込み固化部53となる。上型102を上昇させることにより、この溶け込み固化部53による溶接によって互いに結合されたキャリア31とベース部材32をプレス装置から取り出すことができる。
[0058]
 以上説明した本実施形態によると、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cが挿入されるベース部材32の孔45には、2個の傾斜面51,52が形成され、これらの傾斜面51,52は、孔45におけるキャリア31とベース部材32の共通の回転中心部Aに関する外径側と内径側との部分に設けられているとともに、2個の傾斜面51,52は、先部31Cが孔45へ挿入される方向に対して傾斜しているため、軸方向に対する傾斜角度を有していない面の部分において先部31Cと孔45とを溶接によって結合する場合よりも、言い換えると、孔45に傾斜面51,52を設けないで先部31Cを孔45に圧入してこれらの先部31Cと孔45を溶接によって結合する場合よりも、コンデンサー溶接のための通電によって形成される溶け込み固化部53の体積を大きくできることになる。このため、図1及び図2で示した動力伝達部品30の第1部材になっているキャリア31と、第2部材になっているベース部材32との溶接による結合強度を、前述したねじりトルクに対して充分に対抗できる大きな強度にすることができる。
[0059]
 また、孔45に溶接される先部31Cは、キャリア31のそれぞれのアーム部31Bごとに設けられ、このアーム部31Bは、キャリア31とベース部材32の共通の回転中心部Aを中心とする円周方向に複数個、本実施形態では4個設けられ、それぞれのアーム部31Bの先部31Cにおける外径側と内径側との部分において、上述した溶け込み固化部53が生ずるため、これによってもキャリア31とベース部材32との大きな結合強度を確保することができる。
[0060]
 また、この実施形態によると、溶け込み固化部53の体積を大きくすることは、キャリア31とベース部材32の溶接される部分を大きくすることによって行われるのではないため、キャリア31とベース部材32の小径化、言い換えると、前述した動力伝達部品30の小型化を図ることができる。
[0061]
 さらに、この実施形態によると、2個の傾斜面51,52は、先部31Cが孔45に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、先部31Cを孔45に挿入する作業を、すなわち、プレス装置の加圧荷重によって先部31Cを孔45に圧入する作業を、加圧能力がそれほど大きくない小型のプレス機械によって行える。
[0062]
 また、この実施形態によると、2個の傾斜面51,52は、先部31Cが孔45に挿入される側へ先細りとなった形状で形成されているため、先部31Cを孔45に挿入する際に、これらの傾斜面51,52によって孔45に対する先部31Cの位置出しを自ずと行えることになり、このため、先部31Cを孔45に確実に挿入することができる。
[0063]
 図8及び図9は、ベース部材32の孔45に、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cの挿入深さを設定するためのストップ部54を設けた実施形態を示している。すなわち、2個の傾斜面51,52における孔45への先部31Cの進入方向の終端部には、先部31Cの孔45への一定量以上の挿入を止めるためのストップ部54が形成されている。このストップ部は、回転中心部Aを中心とする半径方向への幅寸法を有するものであって、孔45への先部31Cの挿入方向と直角をなす平坦面となっている。
[0064]
 この実施形態によると、上型102を下降させると、先部31Cは孔45に2個の傾斜面51,52で案内されながら挿入されるとともに、この挿入は、先部31Cの先端面31Dがストップ部54に当接することにより、自ずと停止する。
[0065]
 このため、この実施形態によると、図6及び図7の実施形態による効果と同じ効果を得られるとともに、先部31Cの先端面31Dがストップ部54に当接することにより、それ以上に先部31Cが孔45に挿入されることを止めることができるため、孔45への先部31Cの挿入深さをストップ部54によって正確に設定することができる。
[0066]
 図10及び図11は、軸方向に対する傾き角度を有する2個の傾斜面61,62をキャリア31のアーム部31Bの先部31Cに設けた実施形態を示している。すなわち、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cにおける前記回転中心部Aに関する外径側と内径側との部分には、傾斜面61,62が形成され、これらの傾斜面61,62は、孔45への先部31Cの挿入側へ先細りの形状をなすものとなっている。
[0067]
 この実施形態では、上型102が下降すると、先部31Cは、この先部31Cに形成されている2個の傾斜面61,62で案内されながら、孔45に挿入されることになる。この実施形態によっても、図6及び図7の実施形態による効果と同じ効果を得られる。
[0068]
 図12及び図13は、軸方向に対する傾き角度を有する2個の傾斜面71,72を、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cと、ベース部材32の孔45とに分けて設けた実施形態を示している。
[0069]
 すなわち、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cには第1傾斜面71が設けられ、この第1傾斜面71は、先部31Cにおける前記回転中心部Aに関する外径側の部分に形成され、ベース部材32の孔45には第2傾斜面72が設けられ、この第2傾斜面72は、孔45における前記回転中心部Aに関する内径側の部分に形成されている。
[0070]
 この実施形態は、図12及び図13に示されているように、ベース部材32におけるキャリア31と対面する側の面32Aが、キャリア31の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっている場合において、後述するように、特に有効に適用することができる。
[0071]
 この実施形態でも、上型102が下降すると、2個の傾斜面71,72は、孔45への先部31Cの挿入側へ先細りの形状をなすものとなっているため、先部31Cは、これらの傾斜面71,72で案内されながら、孔45に挿入されることになる。そして、この実施形態によっても、図6及び図7の実施形態による効果と同じ効果を得られる。
[0072]
 また、特にこの実施形態によると、2個の傾斜面71,72を形成する作業を容易に行えるようになる。
[0073]
 すなわち、2個の傾斜面をキャリア31のアーム部31Bの先部31Cに設けるようにした場合には、先部31Cにおける内径側の部分にも傾斜面を形成しなければならず、先部31Cよりも内径側の空間は小さい空間になっているため、先部31Cにおける内径側の部分に傾斜面を形成することは困難となり又は多くの手間と長い時間が必要となる。
[0074]
 しかし、上述したように、ベース部材32におけるキャリア31と対面する側の面32Aが、キャリア31の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっている場合において、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cにおける内径側の部分に傾斜面を形成せず、この傾斜面に代わる傾斜面を、ベース部材32の孔45における内径側の部分に第2傾斜面72として形成することにより、ベース部材32におけるキャリア31と対面する側の面32Aは上述の平坦面となっているため、ベース部材32の孔45における内径側の部分に第2傾斜面72を形成する作業を、例えば、立て型フライス盤等の加工機械を用いることにより、容易に行えることになる。そして、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cよりも外径側の空間は、外側に向かって大きく開いた空間になっているため、キャリア31のアーム部31Bの先部31Cにおける外径側の部分に第1傾斜面71を形成する作業を、例えば、外周面研削を行うための研削盤等の加工機械を用いることにより、容易に行える。
[0075]
 したがって、この実施形態によると、2個の傾斜面71,72を形成する作業を容易に行えることになる。
[0076]
 なお、2個の傾斜面51,52をベース部材32の孔45に設けるようにした図6及び図7の実施形態では、これらの傾斜面51,52を、例えば、立て型フライス盤等の加工機械を用いることにより、孔45に同時に加工することも可能となる。

産業上の利用可能性

[0077]
 本発明は、回転動力を伝達するための動力伝達経路中に配置される部品に利用することができ、例えば、四輪駆動車両の前後輪トルク不等配分用センターディファレンシャル装置等のディファレンシャル装置を含む各種の動力伝達装置のための部品に利用することができる。

請求の範囲

[1]
 回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品であって、
 共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品において、
 前記孔と前記先部とのうちの一方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側との部分において、2個の傾斜面が前記挿入側へ先細りの形状をなして形成され、これらの傾斜面の部分で前記先部が前記孔に抵抗溶接によって溶接されていることを特徴とする動力伝達部品。
[2]
 請求項1に記載の動力伝達部品において、前記2個の傾斜面が形成されている部分は、前記孔における前記外径側と前記内径側との部分であることを特徴とする動力伝達部品。
[3]
 請求項2に記載の動力伝達部品において、前記2個の傾斜面における前記孔への前記先部の進入方向の終端部には、前記先部の挿入深さを設定するためのストップ部が形成され、このストップ部は、前記回転中心部を中心とする半径方向への幅寸法を有するものであって、前記孔への前記先部の挿入方向と直角をなす平坦面となっていることを特徴とする動力伝達部品。
[4]
 請求項1に記載の動力伝達部品において、前記2個の傾斜面が形成されている部分は、前記先部における前記外径側と前記内径側との部分であることを特徴とする動力伝達部品。
[5]
 回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品であって、
 共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品において、
 前記孔と前記先部とのうちの一方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの一方の部分において、第1傾斜面が形成されているとともに、前記孔と前記先部とのうちの他方には、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの他方の部分において、第2傾斜面が形成され、前記挿入側へ先細りの形状をなしている前記第1及び第2傾斜面の部分で前記先部が前記孔に抵抗溶接によって溶接されていることを特徴とする動力伝達部品。
[6]
 請求項5に記載の動力伝達部品において、前記第2部材における前記第1部材と対面する側の面は、前記第1部材の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっており、前記第1傾斜面は、前記先部における外径側の部分に形成され、前記第2傾斜面は、前記孔における内径側の部分に形成されていることを特徴とする動力伝達部品。
[7]
 請求項1~6のいずれかに記載の動力伝達部品において、前記軸方向延出部は、前記回転中心部を中心に円周方向に複数個設けられ、前記孔は、これらの軸方向延出部と同じ個数が前記回転中心部を中心に円周方向に設けられていることを特徴とする動力伝達部品。
[8]
 請求項1~7のいずれかに記載の動力伝達部品において、前記第1部材は、車両の走行動力を伝達する動力伝達経路中に配置される遊星歯車機構のためのキャリアであることを特徴とする動力伝達部品。
[9]
 請求項8に記載の動力伝達部品において、前記遊星歯車機構は、前記車両におけるディファレンシャル装置を構成するものであることを特徴とする動力伝達部品。
[10]
 回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品を製造する方法であって、
 共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品の製造方法において、
 前記孔と前記先部とのうちの一方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側との部分において、2個の傾斜面を前記挿入側へ先細りの形状をなして形成する工程と、
 前記先部を前記2個の傾斜面で案内して前記孔に挿入しながら、前記2個の傾斜面の部分で前記先部を前記孔に抵抗溶接によって溶接する工程と、
 を含んでいることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[11]
 請求項10に記載の動力伝達部品の製造方法において、前記2個の傾斜面が形成されている部分は、前記孔における前記外径側と前記内径側との部分であることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[12]
 請求項11に記載の動力伝達部品の製造方法において、前記2個の傾斜面における前記孔への前記先部の進入方向の終端部には、前記先部の挿入深さを設定するためのストップ部が形成され、このストップ部は、前記回転中心部を中心とする半径方向への幅寸法を有するものであって、前記孔への前記先部の挿入方向と直角をなす平坦面となっており、前記先部を前記孔に挿入することは、前記先部の先端面が前記ストップ部に当接するまで行われることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[13]
 請求項10に記載の動力伝達部品の製造方法において、前記2個の傾斜面が形成されている部分は、前記先部における前記外径側と前記内径側との部分であることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[14]
 回転動力が伝達される動力伝達経路中に配置される部品を製造する方法であって、
 共通の回転中心部を中心に回転する第1部材と第2部材を含んで構成され、前記第1部材に、前記回転中心部から半径方向に離れた位置において、軸方向へ延出した少なくとも1個の軸方向延出部が形成されているとともに、この軸方向延出部の先部が前記第2部材に少なくとも1個形成されている孔に前記軸方向へ挿入され、この孔に前記先部が溶接されている動力伝達部品の製造方法において、
 前記孔と前記先部とのうちの一方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの一方の部分において、第1傾斜面を形成するとともに、前記孔と前記先部とのうちの他方に、前記回転中心部に関する外径側と内径側とのうちの他方の部分において、第2傾斜面を形成する工程と、
 前記先部を、前記挿入側へ先細りの形状をなしている前記第1及び第2傾斜面で案内して前記孔に挿入しながら、これらの第1及び第2傾斜面の部分で前記先部を前記孔に抵抗溶接によって溶接する工程と、
 含んでいることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[15]
 請求項14に記載の動力伝達部品の製造方法において、前記第2部材における前記第1部材と対面する側の面は、前記第1部材の側へ突出するものが形成されていない平坦面となっており、前記第1傾斜面は、前記先部における外径側の部分に形成され、前記第2傾斜面は、前記孔における内径側の部分に形成されていることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[16]
 請求項10~15のいずれかに記載の動力伝達部品の製造方法において、前記軸方向延出部は、前記回転中心部を中心に円周方向に複数個設けられ、前記孔は、これらの軸方向延出部と同じ個数が前記回転中心部を中心に円周方向に設けられていることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[17]
 請求項10~16のいずれかに記載の動力伝達部品の製造方法において、前記第1部材は、車両の走行動力を伝達する動力伝達経路中に配置される遊星歯車機構のためのキャリアであることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。
[18]
 請求項17に記載の動力伝達部品の製造方法において、前記遊星歯車機構は、前記車両におけるディファレンシャル装置を構成するものであることを特徴とする動力伝達部品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]