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1. WO2009054359 - 火災警報システム

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明 細 書

発明の名称 火災警報システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の開示

0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための最良の形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

火災警報システム

技術分野

[0001]
 本発明は、音波を利用して監視空間の煙濃度を測定し、この煙濃度に基づいて火災の有無を判断する火災警報システムに関するものである。

背景技術

[0002]
 日本国特許公開公報2005-258747は、音波を利用した火災警報システムを開示している。このシステムでは、音源から送り出される音波が監視空間を経て受信された時の音圧の変動や、音波が受信されるまでの時間の変動に基づいて、監視空間内に存在する煙濃度や、監視空間内の温度を推定して火災の発生を決定している。
[0003]
 しかしながら、受信された音波の音圧に基づいて煙濃度を推定する方式では、音波を受信する受信センサの経時変化や温湿度依存性に伴う特性変化によって受信される音圧が大きく変動することがあり、この音圧の変動が、監視空間に存在する煙による音圧の減衰と区別できなくなり、結果的に煙の存在による音圧の減衰を精度良く検出することができないという問題がある。

発明の開示

[0004]
 本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、音源や音波を受信する素子の特性変化が生じたとしても監視空間内の煙濃度を精度良く検出して信頼性の高い火災警報を与えることができる音波を利用した火災警報システムを提供することである。
[0005]
 本発明に係る火災警報システムは、音波を送波する音波発生手段と、上記音波発生手段との間に監視空間を介して配置されて上記音波発生手段から上記監視空間を介して送波される上記音波を検出する音波検出手段と、上記音波発生手段と上記音波検出手段を制御するコントローラと、上記音波検出手段からの検出出力を処理する処理回路を備える。上記の処理回路は、上記音波検出手段の出力に基づいて音波の音圧を検出する音圧検出手段と、上記監視空間に存在する煙の濃度を推定する煙濃度推定手段と、上記煙濃度推定手段で推定された煙濃度が所定の閾値を超えたときに火災警報を出力する火災警報手段とを備える。上記の音波発生手段と音波検出手段は、上記監視空間内において上記音波発生手段からの音波を上記音波検出手段へ伝播する互いに長さが異なる第1の伝播路と第2の伝播路が形成されるように配置される。上記処理回路は、上記第1の伝播路を伝播する音波の音圧である第1の検出音圧と、上記第2の伝播路を伝播する音波の音圧である第2の検出音圧との比である音圧比とを算出する音圧比算出手段を備える。上記の煙濃度推定手段は、上記音圧比算出手段で算出した音圧比と所定の標準音圧比と間の変化率を求め、上記変化率と煙濃度との関係を表す予め設定された関係式に基づいて、上記の変化率から煙濃度を決定するように構成される。
[0006]
 上記の音波発生手段を構成する音波発生素子や上記の音波検出手段を構成する受波素子の経時変化に起因して音波発生素子から送波される音波の音圧が変化したり、受波素子の感度が変化したりすることがあっても、これらの変化は第1と第2の音波に一律に影響するため、音圧比算出手段で算出される音圧比には影響することがない。従って、音圧比算出手段にて算出された音圧比と所定の標準音圧比との間の変化率を求め、この変化率と煙濃度との関係を示す予め設定された関係式に基づいて煙濃度推定手段により煙濃度を推定できる。この結果、音波発生素子や受波素子に生じる特性変化の影響によって非火災報(誤報)や失報(信号が小さく警報が発せられない)ことが防止でき、信頼性の高い火災警報システムが実現できる。
[0007]
 また、本発明の火災警報システムにおいては、監視空間内に存在する浮遊粒子の種類を判別して、種類に応じた濃度を精度よく判定する機能を付加されることが好ましい。この場合、上記音波発生手段は、第1と第2の互いに異なる周波数成分を含む単一の音波を送波するように構成され、上記処理回路は、周波数成分を分離する周波数成分分離手段を備えるように構成される。上記音圧検出手段は、上記の異なる周波数成分について音圧を個別に検出するように構成される。上記処理回路は、更に上記音圧比算出手段からの出力される音圧比に基づいて浮遊粒子の種類を推定する粒子種別推定手段を備える。この粒子種別推定手段は、上記第1の周波数成分の音波に関して求めた上記変化率である第1の変化率と、上記第2の周波数成分の音波に関して求めた上記変化率である第2の変化率との比である相対変化率を算出するように構成される。一方、上記の処理回路は、上記の相対変化率に、浮遊粒子の種類を対応させて記憶する相対変化率テーブル、及び煙の種類毎に煙濃度と上記第1の変化率とを関連づけた濃度テーブルを保持するメモリを備える。上記粒子種別推定手段は、上記の相対変化率テーブルを参照して、上記の相対変化率から浮遊粒子の種類を推定するように構成される。上記煙濃度推定手段は、上記濃度テーブルを参照して推定された浮遊粒子の種類が煙の場合に上記第1の変化率から、上記煙濃度を推定するように構成される。
[0008]
 この構成によれば、複数の周波数成分を含む単一種の音波を利用して、浮遊粒子の種類判別と、浮遊粒子が煙りである場合の煙濃度を精度良く推定することができるため、音波発生手段から複数種の音波を送波させる場合に比べて、音波発生手段やこれを制御する回路に掛かるコストを低く抑えることができる。更には、音波発生手段から1回に送波された音波から複数の周波数成分の強度(音圧)を抽出することで、個々の音波の送波時に生じる送波音圧のばらつきに影響されることが無く、浮遊粒子の種別や濃度の推定確度を向上させることができる。
[0009]
 好ましくは、上記音波発生手段は、単パルスの音波を発生するように構成される。単パルスの音波は、周波数成分間の強度差が少なく、且つ比較的広範囲の周波数に亘ってパワーが分布した形のパワースペクトルを持つため、周波数成分抽出手段においては、強度差が少なく、且つ比較的広範囲の周波数成分の強度を抽出することでき、浮遊粒子の推定を正確に行うことができる。
[0010]
 また、上記周波数成分分離手段は、上記第1と第2の周波数成分の音波をそれぞれ通過させる周波数フィルタを備えるように構成され、上記音圧比算出手段は、上記周波数フィルタを通過する上記第1と第2の周波数成分の音波についての上記音圧比を算出するように構成されることが好ましい。この場合は、例えば、受波素子の出力の時系列データについて高速フーリエ変換を行い、その結果から各周波数成分の強度を抽出する構成に比べて、信号処理の負荷を低減することができる。
[0011]
 本発明の火災警報システムにおいては、上記の音波発生手段が単一の音波発生素子で構成され、上記の音波検出手段が単一の受波素子で構成されることが好ましい。これに関連して、第1の反射板と第2の反射板を使用して、上記第1の伝播路と上記第2の伝播路は、上記音波発生素子側に位置する第1の反射板と上記受波素子側に位置する第2の反射板との間に形成することが好ましい。この場合、上記第1の伝播路が上記音波発生素子と上記受波素子との間の最短の直線路として規定され、上記第2の伝播路は、上記発生素子からの音波が第2の反射板と第1の反射板とで反射して上記受波素子に至る反射経路として規定される。
[0012]
 この構成によれば、単一の音波発生素子と単一の受波素子を使用しながらも、音波が第1の反射板と第2の反射板とで反射されることで、反射の回数に応じて経路長の異なる伝播経路を通って受波素子に音波を伝播させることが可能として、上記の音圧比を求めることができる。しかも、音波発生手段から同時に送波された音波について音圧比を算出することが可能となるため、算出される音圧比は音波発生手段の駆動タイミングによって生じる音圧のばらつきの影響を受けることがなく、精度のよい火災判定が達成できる。また、反射板を用いることにより、最小の寸法内で異なる経路長が実現でき、火災感知器の小型化を図ることができる。
[0013]
 更に、本発明の火災警報システムには、監視空間内での空気の温度、湿度、気圧の等の環境変化に起因する音圧比の変動を補償する機能が備えられることが好ましい。このため、上記処理回路は、空気温度と湿度と気圧の少なくとも一つのパラメータを計測するパラメータ計測手段と、計測されたパラメータに基づいて環境変化による音圧比変化を補正する環境変化補正手段とを備え、これらの一つ以上のパラメータで表される音圧比の補正関係式に基づき音圧比を補正することで、環境変化の影響をキャンセルして、濃度の検出精度を更に高めることができる。
[0014]
 これに関連して、環境変化補正手段としては、上記パラメータの一つである温度や湿度を示すことになる音速に基づいて、環境変化による音圧比を補正するように構成することができる。この場合、上記処理回路は、上記第1伝搬路の経路長を、上記第1の検出音圧の検出タイミングと上記音波発生手段の駆動タイミングとの時間差で除したものを音速として求めるように構成される。この方式では、音速を計測するために新たに素子を追加することなく音速が求められ、この音速に基づいて、例えば気圧を一定とした場合、温度計測手段で得られた温度を音速によって湿度を算出することが可能になり、環境変化の影響度合いが比較的大きな温度と湿度をパラメータとした補正が可能になる。
[0015]
 また、本発明の火災警報システムには、第1反射板や第2の反射板における反射性能の経時変化に起因する音圧比の変動を補償する機能が追加されることが好ましい。このため、第1の反射板と第2の反射板との間に形成される第1の伝播路、第1の伝播路よりも多くの回数で反射して上記受波素子に至る第2の伝播路、及び第2の伝播路よりも多くの回数で反射して上記受波素子に至る第3の伝播路での音圧を求めるように構成される。上記処理回路は、反射板の反射性能についての初期値からの相対変化率を求める反射率変化計算手段とこの相対変化率に基づいて音圧比を補正する反射率補正手段を有する。この反射率変化計算手段は、上記第1の伝播路を伝播する音波の音圧である第1の検出音圧と、上記第2の伝播路を経て受波された第2の検出音圧と、上記第3の伝播路を経て受波された音波の第3の検出音圧とから求めた反射回数の異なる検出音圧の比に基づいて、上記の相対変化率を求めるように構成される。
[0016]
 この構成によれば、伝播経路長の異なる第1と第2と第3の音波の音圧を計測し、第1の検出音圧と第2の検出音圧の比と、第1の検出音圧と第3の検出音圧の比では、反射板での反射回数が異なり、反射板での反射率が変化した場合に影響度合いが異なるため、初期の値(音圧比に含まれる値)に対する相対変化を計算可能となり、この反射変化に基づいて第1の検出音圧と第2の検出音圧の比を補正して、煙濃度を高精度に推定することが可能になる。
[0017]
 本発明では、監視空間内に存在する浮遊粒子の種類を判別して、種類に応じた濃度を精度よく判定する機能を実現するための他の方式を開示する。この方式では、音波発生手段として、第1と第2の互いに異なる周波数の音波を送波するように構成され、上記処理回路は、上記音圧比算出手段からの出力される音圧比に基づいて浮遊粒子の種類を推定する粒子種別推定手段を備える。上記粒子種別推定手段は、上記第1の周波数の音波に関して求めた上記変化率である第1の変化率と、上記第2の周波数の音波に関して求めた上記変化率である第2の変化率との比である相対変化率を算出するように構成される。この方式においても、上記処理回路は、上記の相対変化率に、浮遊粒子の種類を対応させて記憶する相対変化率テーブル、及び煙の種類毎に煙濃度と上記第1の変化率とを関連づけた濃度テーブルを保持するメモリを備えるように構成されて、上記粒子種別推定手段は、上記の相対変化率テーブルを参照して、上記の相対変化率から浮遊粒子の種類を推定し、上記煙濃度推定手段は、上記濃度テーブルを参照して推定された浮遊粒子の種類が煙の場合に上記第1の変化率から、上記煙濃度を推定するように構成される。
[0018]
 また、上記の方式における音波発生手段は、単一の音源として構成されることが好ましく、コントローラは上記音源から第1と第2の互いに異なる周波数を順次送波させるように上記音源を駆動するように構成される。この場合、上記音圧比算出手段は、上記コントローラに同期して、上記音圧検出手段から第1の周波数の音波と第2の周波数の音波についてそれぞれの音圧比を求めるように構成される。このように単一の音源を使用するため、音波の出力部の構成が簡単となり、小型化が達成できる。
更に、本発明の火災警報システムにおいては、上記第1及び第2の反射板は、それぞれ対向する上記音波発生素子及び上記受波素子に対して凹面となった反射面を有し、上記反射板は、上記音波発生素子もしくは上記受波素子に集音させるように構成され、上記音波発生素子と上記受波素子とはそれぞれ上記第1及び第2の反射板の反射面の一部に露出する位置に配置されることが好ましい。この構成によれば、反射面での反射を繰り返しても音波が拡散しにくく、したがって、音波発生手段と受波素子との間における音波の拡散による音圧の低下を抑制することができる。その結果、監視空間中に煙粒子がない状態において受波素子で受波される音波の音圧を高く維持でき、煙濃度の変化量に対する受波素子の出力の変化量が比較的大きくなり、SN比が向上するという利点がある。
[0019]
 また、本発明の好ましい形態においては、上記第1と第2の反射板は一対の拡散防止板の間に配置されて、第1と第2の反射板の高さ方向の両端において、上記監視空間が上記拡散防止板にて閉塞され、上記音波発生素子が上記第1の反射板の長さ方向の中間部に配置され、上記音波発生素子の音波発生面が上記第1の反射板上の配置箇所において、記第1の反射板の高さ方向に全体に及ぶように構成される。この拡散防止板により、第1反射面と第2の反射面との間で伝播する音波が、これらの反射板間に形成される伝播路以外に漏れて音圧が低下することが防止でき、高いSN比が維持できて、正確な煙濃度の判定のための音圧比を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 本発明の第1の実施形態に係る火災警報システムを示す概略図。
[図2] 同上のシステムに使用する検知ユニットを示す斜視図。
[図3] (A)(B)(C)は本発明の基本原理を示す概略図。
[図4] 同上のシステムにおける粒子種別の推定方法を説明するグラフ図。
[図5] 同上のシステムにおける粒子種別毎の濃度の推定方法を説明するグラフ図。
[図6] 同上のシステムでの動作を説明するフローチャート。
[図7] 同上の検知ユニットにおける異なる長さの伝播路を説明する概略図。
[図8] 同上の異なる長さの伝播路を経て受波される超音波を示す概略図。
[図9] 同上のシステムに使用する音波発生手段を実現する音波発生素子の一例を示す断面図。
[図10] 同上の音波発生素子から複数の周波数の超音波を発生させる手法の一例を示す説明図。
[図11] 同上のシステムに使用する音波検出手段を実現する受波素子の一例を示す斜視図。
[図12] 同上の受波素子の断面図。
[図13] 同上のシステムに使用される他の受波素子の断面図。
[図14] 同上のシステム使用される他の検知ユニットを示す概略図。
[図15] 本発明の第2の実施形態に係る火災警報システムを示す概略図。
[図16] (A)(B)は、音波発生素子から出力される単一パルスを使用した場合の動作を説明する概略図。
[図17] (A)(B)は、受波素子で検知する同上の単一パルスの周波数分離を説明する概略図。
[図18] 同上の周波数分離を行う周波数成分分離手段の概略図。
[図19] 同上の実施形態において使用する音速計測手段による音速の測定を説明する波形図。

発明を実施するための最良の形態

[0021]
 本発明に係る火災警報システムは、超音波を利用して監視空間内に存在する浮遊粒子としての煙の濃度を測定し、煙濃度が所定の閾値を超えたときに火災警報を出力するものであり、異なる長さの伝播経路を進む音波の音圧間の音圧比に基づいて煙濃度を推定するように構成される。以下に述べる実施形態では、建物の室内の天井に取り付けられる火災感知器単体が本発明の火災警報システムを実現する場合について説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、火災感知器及びこれに無線或いは有線で通信するマスターステーションとで火災警報システムを構成する場合をも含む。
[0022]
 (第1の実施形態)
 本発明の第1の実施形態に係る火災警報システムは、図1に示すように、超音波を出力する音波発生手段20と、音波検出手段30と、音波発生手段20及び音波検出手段30を制御するコントローラ40と、音波検出手段30からの出力を処理して煙濃度の測定と火災警報の出力を行う処理回路100とで構成され、これらの手段や回路は、建物の室内に設置される火災感知器に装備される。音波発生手段及び音波検出手段は、それぞれ単一の音波発生素子20と単一の受波素子30で構成され、両素子が第1の反射板50と第2の反射板60と組み合わされて検知ユニット10を構成する。第1の反射板50と第2の反射板60とは所定の距離を隔てて配置されてその間に監視空間を作り出している。第1の反射板50の長さ方向の中央には音波発生素子20が配置され、第2の反射板60の長さ方向の中央には受波素子30が配置され、これにより、音波発生素子20と受波素子30との間に、異なる長さの音波の伝播経路が与えられる。即ち、音波発生素子20からの音波が直接に受波素子30に進む第1の伝播路L1と、音波発生素子20からの音波が第2の反射板60と第1の反射板50とで反射した後に受波素子30に進む第2の伝播路L2が得られる。コントローラ40は音波発生素子20からの音波の出力タイミングに同期させて受波素子30を駆動させることで、第1の伝播路L1を進む音波、第2の伝播路L2を進む音波を検出する。
[0023]
 コントローラ40は、間欠的に超音波を出力させるように音波発生素子20を制御する回路と、第1と第2の伝播路を経て受波素子30に音波が到達するタイミングに合わせて検出出力を処理回路100に送り出すように制御する回路を備える。
[0024]
 図2に示すように、検知ユニット10は一対の拡散防止板12を備えており、この拡散防止板の間に第1の反射板50と第2の反射板60が配置されて、これらの部材で囲まれた空間を監視空間として規定している。第1の反射板50と第2の反射板60は、共に均一な高さを有し、互いに対向する反射面が凹曲面となり、反射する音波を音波発生素子20や受波素子30側に向けて反射する。音波発生素子20は、その高さが第1の反射板50の高さ全体に及ぶように、第1の反射板50の中央に配置され、検知ユニット10の高さ方向に沿って拡散しようとする音波は拡散防止板12によって遮断される。検知ユニット10は、各反射板の長さ方向の両端において開放しており、この開口から外部の雰囲気が監視空間内に導入される。
[0025]
 処理回路100は、受波素子30からの検出出力に基づいて、監視空間内での煙濃度を推定して、火災発生の判定を行うように設計されている。処理回路100の具体的な構成を説明する前に、図3(A)~3(C)を参照して、異なる経路長の伝播路を経て受波素子で検出される異なる音圧間の比である音圧比に基づいて、煙濃度を推定するとする本発明の基本原理を説明する。
[0026]
 火災感知器が使用される雰囲気環境(例えば、温度、湿度、大気圧)が通常の状態であり、音波発生素子や受波素子に経時変化が生じていない初期状態で、監視空間に浮遊粒子(煙粒子を含む)の侵入がない場合、図3(A)に示すように、異なる経路長L 1、L 2を持つ伝播経路を経て受波素子30に至る音波は、異なる音圧P 10、P 20を示す。音圧は伝播経路の経路長に比例して減衰するため、経路長L 2の伝播路を進む超音波の音圧P 20は、経路長L 1(<L 2)の伝播路を進む超音波の音圧P 10に比べて低くなり、初期音圧比R 0は(R 0=P 20/P 10)となる。
[0027]
 また、音波発生素子20や受波素子30の経時変化に起因して特性変化が生じた場合であって、監視空間に浮遊粒子(煙粒子を含む)の存在がない場合は、図3(B)に示すように、経路長L1の伝播路を進む超音波の音圧P 11と、経路長L2の伝播路を進む超音波の音圧P 21は、それぞれ、図3(A)に示す状態での音圧(P 10、P 20)より低下するものの、その音圧比R1(P 21/P 11)は初期音圧値R 0と等しくなる。すなわち、音波発生素子20や受波素子30での経時変化に起因した特性変化は、音圧比R 1に影響することはない。
[0028]
 一方、音波発生素子20と受波素子30との間の監視空間に煙粒子(あるいはその他の浮遊粒子)が侵入すると、図3(C)に示すように、経路長L 1の伝播路を進む超音波の音圧P 1Sと、経路長L 2の伝播路を進む超音波の音圧P 2Sとは、それぞれ図3(A)や(B)で示す値から低下するだけでなく、音圧比(R S=P 2S/P 1S)もまた、変化することになる。すなわち、監視空間に煙粒子が入り込むと、受波素子30で検出する音圧の減衰量は監視空間中を超音波が伝播した距離と監視空間の煙濃度との両方に依存するから、音圧比R Sは、経路長L 1と経路長L 2との差(L 2-L 1)、および監視空間の煙濃度に応じた分だけ初期値R 0から変化し、この音圧比の変化量が監視空間内の煙濃度を表すことになる。
[0029]
 具体的に説明すると、監視空間の減光方式による煙濃度をC〔%/m〕、煙濃度1〔%/m〕に対する1〔m〕当たりの超音波の減衰率をαとした場合、経路長L1を進む超音波の音圧P 1SはP 1S≒P 10(1-α・CL 1)で表され、経路長L2を進む超音波音圧P 2SはP 2S≒P 20(1-α・CL 2)で表され、音圧比R S(=P 2S/P 1S)の初期音圧比R 0からの変化量(R 0-R S)は次式で表される。
[0030]
 R 0-R S=R 0・α・C(L 2-L 1)/(1-α・L 1)。
[0031]
 ここにおいてα・L 1が1よりも十分に小さければ、R 0-R S=R 0・α・C(L 2-L 1)となり、音圧比R Sの初期値R 0からの変化量(R 0-R S)は、経路長の差(L 2-L 1)および監視空間の煙濃度Cに比例する形で表されることとなる。したがって、α、L 1、L 2が既知であれば、音圧比R Sの初期値R 0からの変化量(R 0-R S)に基づいて監視空間の煙濃度C〔%/m〕を推定することができる。或いは、音圧比R Sにおける初期音圧比R 0からの変化量を初期音圧比R 0で除した変動値(R 0-R S)/R 0に基づいて煙濃度を推定することができる。即ち、本発明においては、このような変化量(R 0-R S)や変動値(R 0-R S)/R 0を変化率として利用して、この変化率に基づいて、煙濃度を推定するものであり、初期音圧比Roは、システムに固有の値であり、処理回路100内のメモリ200に保持される。
[0032]
 以下、処理回路100について詳細に説明する。図1に示すように、処理回路100は、受波素子30からの検出出力に基づいて音圧を算出する音圧検出手段110と、第1の伝播路(経路長L 1)を進む音波の第1の音圧と、第2の伝播路(経路長L 2)を進む音波の第2の音圧との比を算出する音圧比算出手段120と、周囲環境の空気の変化や第1及び第2の反射板50、60の反射性能の変化に伴って生じる音圧比を補正する音圧比補正手段130と、求められた音圧比Rsと初期音圧比R 0との変動を算出する音圧比変化率算出手段160と、音圧比変化率に基づいて浮遊粒子の種別を推定する粒子推定手段170と、推定された粒子の濃度を推定する煙濃度推定手段180と、推定された煙濃度が所定の閾値を超えた場合に火災発生を判断して火災警報信号を発生する火災警報手段190とを備える。この火災警報信号はコントローラ40に送られ、コントローラ40はこの火災警報信を受けると、音波発生素子20から可聴域周波数の警報音を発生させるような駆動信号を作り出す。従って、別途にスピーカを設けることなく、警告音を発生させることができる。また、この火災警報信号は、外部の警報システムに送り出され、火災発生の現場以外での警告がなされる。
[0033]
 音圧比補正手段130については後述するとして、補正された音圧比に基づいて火災判定を行うための処理について以下に説明する。音圧比変動算出手段160は、メモリ200に記憶されている初期音圧比R 0と、現在の音圧比Rsとから変化率(V=(R 0-R S)/R 0)を求め、この変化率を粒子種別推定手段170に出力する。例えば、第1の反射板50と第2の反射板60が半径150mmの凹状に形成され、音波発生素子20と受波素子30の間隔が150mmの場合、初期音圧比R 0は、使用する超音波の周波数により異なり、表1に示されるような値と設定されている。
[0034]
[表1]


[0035]
 また、メモリ200には、数種類の浮遊粒子(例えば、湯気、黒煙、白煙)のそれぞれについて、各浮遊粒子の濃度が1%/mの環境下において、標準周波数(例えば、82kHz)の超音波を使用して求めた標準変化率V 82と、所定の周波数、例えば、20kHzや54kHzの超音波を使用して求めた変化率V 20との比である相対変化率(VR)を示すデータが記憶されている。このようなデータは、下表2に示すように、幾つかの使用周波数について予め求められており、図4に示すようなグラフで表すことができる。
[0036]
[表2]


[0037]
 粒子種別推定手段170が浮遊粒子の種別を推定するに際しては、標準周波数およびこれと異なる特定周波数(例えば、20kHz)の超音波を使用した場合についてそれぞれ変化率V 82とV 20とを求めることが必要であり、このために、音波発生素子20は、コントローラによって、互いに異なる周波数の音波を順次発生するように構成されている。
[0038]
 粒子種別推定手段170は、標準周波数について測定した実際の変化率と、これと異なる特定周波数で求めた変化率の比である相対変化率(VR=V 20/V 82)を算出し、相対変化率テーブルを参照し、特定周波数において(ここでは20kHz)、実際に求めた相対変化率VRが最も近い値を示す浮遊粒子を、測定対象の種別として推定する。
[0039]
 更に、メモリ200には、下表3に示すように、浮遊粒子の種別毎に、各周波数(例えば82kHz、20kHz)での単位変化率(濃度1%/m当たりの変化率)を示す濃度参照テーブルが保持されており、煙濃度推定手段180は、推定された粒子の種別に対応する単位変化率を参照して、煙濃度を推定する。
[0040]
[表3]


[0041]
 濃度参照テーブルに記憶されているデータは、図5のグラフで表わされ、煙濃度推定手段180は、推定された種別の粒子に関して、実際に測定された標準周波数での変化率と、濃度参照テーブルから得られる標準周波数(ここでは82kHz)での単位変化率(1%/m濃度での変化率)との比を求め、この比を煙の濃度として推定する。
[0042]
 火災警報手段は、煙の種別が黒煙や白煙であり、且つその濃度が閾値(例えば、10%/m)を超える時に、火災の発生が有ると判断して、火災警報を出力する。上述の動作は図6のフローチャートに示される。上述した、標準周波数や特定周波数としては、任意の周波数を使用することができ、濃度を推定する場合に依拠する周波数は標準周波数に限定されず、特定の周波数での変化率を使用することができる。更には、2つ以上の周波数で求める濃度の平均値に基づいて濃度を推定するようにすることも可能である。
[0043]
 また、本実施形態においては、上述した構成の粒子種別推定手段170を使用しているが、本発明の火災警報システムは必ずしもこのような構成の手段を必須とするものではなく、音圧比変化率算出手段160からの出力から煙濃度を推定することも可能である。即ち、図5で示されるように、火災を特定する白煙や黒煙は近似した単位変化率を示し、火災とは無縁の湯気の単位変化率は黒煙や白煙に比べてかなり高い値を示すものであるため、火災警報を出力する程まで湯気が多量に発生する場所(例えば、浴室や台所)に火災警報システムを使用しない場合は、粒子種別推定手段を省略することが可能である。この場合は、火災を特定する白煙や黒煙については、単位変化率の平均値や代表値を選択することで、火災を特定する白煙や黒煙の濃度を推定できる。
[0044]
 音圧比補正手段130は、周囲環境の空気の変化に伴う超音波の吸収減衰の変化を考慮して音圧比を補正する環境変化補正ユニット140と、第1及び第2の反射板50、60の反射性能の変化に伴って生じる音圧比を補正する反射率補正ユニット150とを備える。
[0045]
 環境変化補正ユニット140は、温度計測手段142と湿度計測手段144及び気圧計測手段146と共に使用され、これらの手段で計測する温度、湿度、気圧を雰囲気パラメータとして読み取り、これらのパラメータの少なくも一つを利用して、音圧比を補正する。一方、反射率補正ユニット150は、反射率変化計算手段152で求めた反射率に基づいて音圧比を補正する。音圧比補正手段130は、本発明において必ずしも必須ではないが、より精度の高い火災検知を達成するために有用であり、環境変化補正ユニット140と反射率補正ユニット150の少なくとも一方を使用することが望ましい。
[0046]
 (環境変化補正ユニット140の説明)
 先ず、環境変化補正ユニット140による音圧比の補正について説明する。音波発生素子20から送波された音波は、煙がない状態であっても、監視空間の雰囲気環境(温度、湿度、気圧)が変化すると、空気での吸収減衰や、空気中での音波拡散状態の変化が生じるため、音波発生素子20から第1の伝播路を介して直接受波素子30に進む第1の音波の音圧である第1の音圧と、反射板50、60にて反射して受波素子に進む第2の音波の音圧である第2の音圧は、伝播路の経路長が異なるために、それぞれ異なった変化を示す。空気での吸収減衰による音圧変化率Bは、伝播路の経路長をx、標準状態の空気の吸収減衰係数をα 0、空気の状態変化後の吸収減衰係数をα 1とすると、下記の式1で表される。

式1

[0047]


[0048]
ここで、第1の音波の伝播経路の経路長をL、反射板での反射によって得られる第2の音波の伝播経路の経路長を3Lとすると、上記の吸収減衰による第1の音波と第2の音波の音圧比変化率BRは、下記の式2で表される。

式2

[0049]


[0050]
このように、音圧比は空気での吸収減衰変化によって、上記の音圧比変化率(BR)分だけ変化することになる。ここで、この吸収減衰係数は、媒質である空気の温度、湿度、気圧と音波の周波数でとの関数で表されることが知られている。音波の周波数はコントローラによって決定されているため、吸収減衰変化は、監視空間の空気の温度と湿度と気圧とで求めることができる。
[0051]
 ここで、監視空間の音速Vは、監視空間の空気の温度をT、水蒸気圧をE、気圧をPとすると下記の式3で表される。

式3

[0052]


[0053]
従って、空気の湿度Hは、音速、温度、気圧の関数から求められる水蒸気圧Eから換算することも可能となる。
[0054]
 更に、音圧及び音圧比は、音波の波長と音波の広がり状態を示す指向性に影響を受けるものであり、指向性は波長の変化によって変動する。音波の波長λは、下記の式4で示されるように、周波数fと音速Vとで決定される。

式4

[0055]


[0056]
このように、音波の波長は空気の温度、湿度、気圧、周波数に依存することが分かり、空気の温度、湿度、気圧が標準値から変化すれば、音波の波長も変化する。その結果、音波の波長と音波の広がり状態を示す指向性係数Dが変化して、音圧及び音圧比に変動が生じる。
[0057]
 指向性係数Dは、音波の送波方向に対する角度をθ、音波発生素子20の音波発生領域が正方形で辺長さの1/2をaとすると、正弦波状の単パルス音波の場合、指向性係数Dは下記の式5で表される。

式5

[0058]


[0059]
このことから、音波の波長変化、すなわち空気の音速変化、すなわち空気の温度、湿度、気圧が標準値から変化すれば指向性係数Dが変化し、反射板で反射せずに直接受波素子30で受波される第1の音波の音圧や、凹形状で集音効果のある反射板50、60で反射されて異なる伝播経路長で受波される第2の音波の音圧も変化する。
[0060]
 上述した空気の吸収減衰変化や、指向性の変化は、反射板で反射せずに直接受波素子で受波される第1の音波の音圧と、反射板で反射し異なる伝播路長を伝播して受波素子で受波される第2の音波の音圧とに、異なる影響を与え、これらの音圧に基づいて得られる音圧比が変化するため、これらの変化の要因となる空気の温度や湿度や気圧をパラメータとして、音圧比を補正することができる。この補正は、上述の関係式に基づいて個別に補正することも可能であるが、例えば気圧の変化がない状態の場合では、標準値に対する温度の変化をΔT、湿度の変化をΔHとして、第1の音波の音圧と第2の音波の音圧の音圧比の補正量ΔPRの関係式である下記の式6を用い、この補正量ΔPRを音圧比算出手段120から出力される音圧比に加えることで、雰囲気環境の変化による影響を補正する。

式6

[0061]


[0062]
 尚、環境変化に基づく補正については、上の式に限定されるものではなく、適宜の式を使用することができる。
[0063]
 また、音波発生素子20より音波を送波するタイミングから、受波素子30で音波を受波するタイミングの時間差を求め、そのときの音波の伝播経路長をこの時間差で除することで音速を算出するための音速計測手段を採用すれば、上の式3に基づいて水蒸気圧Eが算出でき、水蒸気圧Eから湿度を算出可能である。従って、監視空間の温度計測手段142としてサーミスタや、熱電対、温度ICなどを備え、それに加えて音速計測を行う音速計測手段を加えれば、湿度計測手段として個別の湿度検出素子を設けることなく、空気の湿度を算出でき、雰囲気環境の温度や湿度や気圧に基づいて音圧比の補正が可能である。
[0064]
 <反射変化補正ユニット150の説明>
 第1や第2の反射板50、60での音波の反射率は、反射板材料の体積弾性率の変化や反射板表面への付着物などによって変化する。即ち、監視空間には煙が導入されるため、反射板50、60は設置場所の雰囲気に晒され、反射板の体積弾性率が変化したり、反射面の表面にたとえば塵埃、油分等の汚れが付着したりする場合がある。このような場合に、反射面における超音波の反射率が変化し、当該反射率の変化に起因して、音圧比算出手段120で算出される音圧比R Sが初期値R S0から変動することがある。この反射率変化による音圧比の変動は、環境変化補正とは独立したものであるため、反射率補正ユニット150においては、反射面での反射率の変化r’/rによる音圧比R Sの変動分が取り除かれるように、反射率変化補正手段50での音圧比R Sの補正値を決定して、この補正値に基づいて音圧比Rsを補正する。
[0065]
 このため、本実施形態に係る火災警報システムの処理回路100には、反射板での超音波の反射率に関する値を求める反射率変化計算手段152と反射率補正ユニット150が備えられ、反射率補正ユニット150は反射率変化計算手段152で求めた反射率の変化に基づいて、音圧比を補正する。
[0066]
 反射率変化計算手段152は、監視空間において、反射板で反射しながら異なる長さの伝播路を進んで受波素子30で受波される音圧の音圧比に基づいて、反射率の変化を求める。即ち、図7に示すように、音波発生素子20から直接受波素子30に音波が進む第1の伝播路(長さL)と、第2の反射板60で反射した後に第1の反射板50側で反射して受波素子30に進む第2の伝播路(長さ3L)に加えて、第2の反射板60で反射した後に第1の反射板50側で反射し、更に第2の反射板60で反射した後に第1の反射板50側で反射して受波素子30に音波が進む第3の伝播路(長さ5L)を設定して、それぞれの音圧P 10、P 20、P 30を求める。これらの音波は、図8に示すように、音波の発生時(t=0)から、経路長を音速で除した時間遅れで、受波素子30で受波される。
[0067]
 反射板の反射面の超音波の反射率の初期値をrとし、現在の反射率をr’とすれば、反射率r’の初期値rに対する相対的な変化率はr’/rで表される。反射面で1回以上反射されてから受波素子3に到達する超音波の音圧は前記変化率r’/rに応じて変化することとなり、当該音圧の変化はr’/rの反射回数乗にて表される(反射回数がn回であれば、(r’/r) nで表される)。すなわち、第2の伝播路を介して受波素子に到達する第2の音波の音圧P 20’はP 20’=P 20(r’/r) 2で表される。従って、第1の伝播路(反射回数がゼロ)を進む音波と、第2の伝播路を進む音波との音圧比R 20’は、下記の式7で表される。

式7

[0068]


[0069]
つまり、反射面での超音波の反射率が変化すれば、煙濃度にかかわらず第1と第2の伝播路を進む音波の音圧比R Sは変化する。
[0070]
 同様に、第3の伝播路(反射回数が4回の)を進む音波の音圧P 30’は、その初期値をP 30としてP 30’=P 30(r’/r) 4で表される。従って、第1の伝播路(反射回数がゼロ)を進む音波と、第3の伝播路を進む音波との音圧比R 30’は、下記の式8で表される。

式8

[0071]


[0072]
 ところで、各経路を経て進む音圧(P S)は、監視空間の減光方式による煙濃度をC〔%/m〕、煙濃度1〔%/m〕に対する1〔m〕当たりの超音波の減衰率をα、超音波の伝播経路の経路長をL〔m〕とすると、P S=P 0(1-α・C・L)で表される。ここでP 0は音波発生源から出力される音波の音圧であり、予め設定された既知の値である。また、減衰率αについては、予め、標準化された煙濃度検出方式において濃度Cに関連づけられた値である。第1及び第2の伝播路の経路長は、反射回数(n)を用いて(n+1)・Lで表される。すなわち、反射回数が2回である第2の伝播路の長さは3L、反射回数が4回である第3の伝播路の経路長は5Lで表されることとなる。従って、反射率変化計算手段152では、上の式7、8に、P 10=P 0(1-α・C・L)、P 20=P 0(1-α・C・3L)、P 30=P 0(1-α・C・5L)を代入することで、反射率変化(r’/r)を求める。反射率補正ユニット150は、求められた反射率変化に基づいて、音圧比(R 10’、R 20’)を補正して、反射率変化(r’/r)による音圧比の変動分が取り除かれた音圧比(R 10、R 20)を算出し、この補正された音圧比を音圧比変化率算出手段160に出力する。
[0073]
 したがって、反射面の経年劣化や汚れ等による反射率の変化をキャンセルして、上述したような粒子種別の推定、煙濃度の推定、及びこれに伴う火災判定をより正確に行うことができる。
[0074]
 本システムにおいては、図9に示すような構成の音波発生素子20を音波発生手段として使用している。この音波発生素子20は、単結晶のp形のシリコンのベース基板21と、この上面の一部に形成した多孔質シリコン層である熱絶縁層22と、熱絶縁層22の表面側に形成した金属薄膜である発熱体層23と、ベース基板21の上面側で発熱体層23と電気的に接続された一対のパッド24とで形成される。ベース基板21の平面形状は矩形状であって、熱絶縁層22、発熱体層23それぞれの平面形状も矩形状に形成してある。また、ベース基板21の上面側において熱絶縁層22が形成されていない部分の表面にはシリコン酸化膜からなる絶縁膜(図示せず)が形成されている。
[0075]
 上記コントローラ40は、発熱体層23両端のパッド24,24に電圧を印加することにより、発熱体層23に急激な温度変化を生じさせる。これにより、熱体層23に接触している空気(媒質)に急激な温度変化(熱衝撃)が生じる。発熱体層23に接触している空気は、発熱体層23の温度上昇時には膨張し、温度下降時には収縮するため、発熱体層23への通電を適宜に制御することによって空気中を伝播する超音波を発生させている。このように、発熱体層23への通電に伴う発熱体層23の急激な温度変化を媒質の膨張収縮に変換することにより媒質を伝播する超音波を発生するので、圧電素子のように機械的振動により超音波を発生する場合に比べて、残響の少ない超音波を送波させることができる。
[0076]
 上述の音波発生素子20は、ベース基板21としてp形のシリコン基板を用いており、熱絶縁層22を多孔度が略60~略70%の多孔質シリコン層により構成しており、多孔質シリコン層は、シリコン基板の一部をフッ化水素水溶液とエタノールとの混合液からなる電解液中で陽極酸化処理することにより形成される。陽極酸化処理により形成された多孔質シリコン層は、結晶粒径がナノメータオーダの微結晶シリコンからなるナノ結晶シリコンを多数含むことになる。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなるので、熱絶縁層22の熱伝導率および熱容量をベース基板21の熱伝導率および熱容量に比べて小さくし、熱絶縁層22の熱伝導率と熱容量との積をベース基板21の熱伝導率と熱容量との積に比べて十分に小さくすることができる。この結果、発熱体層23の温度変化を空気に効率よく伝達して、発熱体層23と空気との間で効率的な熱交換が起こすことができる。同時に、ベース基板21が熱絶縁層22からの熱を効率よく受け取って熱絶縁層22の熱を逃がすことができて発熱体層23からの熱が熱絶縁層12に蓄積されるのを防止することができる。
[0077]
 尚、熱伝導率が148W/(m・K)、熱容量が1.63×10 6J/(m 3・K)の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1W/(m・K)、熱容量が0.7×10 6J/(m 3・K)であることが知られている。本実施形態では、熱絶縁層22を多孔度が略70%の多孔質シリコン層により構成してあり、熱絶縁層12の熱伝導率が0.12W/(m・K)、熱容量が0.5×10 6J/(m 3・K)となっている。
[0078]
 発熱体層23は、高融点金属の一種であるタングステンにより形成してあるが、発熱体層23の材料はタングステンに限らず、たとえば、タンタル、モリブデン、イリジウム、アルミニウムなどを採用してもよい。ベース基板21の厚さは300~700μm、熱絶縁層22の厚さは1~10μm、発熱体層23の厚さを20~100nm、パッド24の厚さは0.5μmとされる。これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。また、ベース基板21の材料としてSiを採用しているが、Siに限らず、たとえば、Ge、SiC、GaP、GaAs、InPなどの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体材料でもよく、いずれの場合にも、ベース基板21の一部を多孔質化することで形成した多孔質層を熱絶縁層22とすることができる。
[0079]
 上記の音波発生素子20では、発熱体層23への通電に伴う発熱体層23の温度変化に伴って超音波を発生するものであり、コントローラ40からの駆動入力波形を、周波数がf1の正弦波波形とすると、発熱体層23で生じる温度振動の周波数がf1の2倍の周波数f2となり、駆動入力波形f1の略2倍の周波数の超音波を発生させることができる。このように、上記構成の音波発生素子20は平坦な周波数特性を有しており、発生させる超音波の周波数を広範囲に亘って変化させることができる。
[0080]
 上記の音波発生素子20から複数の異なる周波数の超音波を出力させるためには、各周波数について、図10Aに示すように、所定の周波数f0の連続波(例えば、3周期)のバースト波を出力させるようにコントローラ40が動作する。この場合は、図10Bに示すように、周期数に応じた周波数f0にピークを持ち、その他の周波数帯域においては強度が低くなり、各周波数を明確に区別することができる。尚、熱絶縁層22が多孔質層により構成されているので、熱絶縁層22が非多孔質層(たとえば、SiO 2膜など)である場合に比べて、熱絶縁層22の断熱性が向上して超音波発生効率が高くなり、低消費電力化を図れる。
[0081]
 音波検出手段である受波素子30としては、図11及び図12に示すように、静電容量型のマイクロホンが使用される。この素子は窓孔32を備えたシリコン基板である矩形状のフレーム31と、フレーム31の一表面側においてフレーム31の対向する2つの辺に跨る形で配置されるカンチレバー型の振動膜33とを備えている。フレーム31の一表面側には熱酸化膜35と熱酸化膜35を覆うシリコン酸化膜36とシリコン酸化膜36を覆うシリコン窒化膜37とが形成されており、振動膜33の固定端がシリコン窒化膜37を介してフレーム31に支持され、自由端がシリコン窒化膜37に対向している。振動膜33の自由端に対応するシリコン窒化膜37には金属薄膜(たとえば、クロム膜など)からなる固定電極38が形成され、振動膜33の自由端におけるシリコン窒化膜37との対向面とは反対側の面に金属薄膜(たとえば、クロム膜など)からなる可動電極34が形成されている。なお、フレーム31の下面にはシリコン窒化膜39が形成されている。また、振動膜33は、上記各シリコン窒化膜37,39とは別工程で形成されるシリコン窒化膜により構成されている。
[0082]
 上記構成の静電容量型のマイクロホンからなる受波素子30では、固定電極38と可動電極34とを電極とするコンデンサが形成されるから、振動膜33が疎密波の圧力を受けることにより固定電極38と可動電極34との間の距離が変化して両者の間の静電容量が変化する。固定電極38および可動電極34間に直流バイアス電圧を印加しておけば、両電極の間には超音波の音圧に応じて微小な電圧変化が生じるものであり、この電圧変化を取り出すことで、超音波の音圧を電気信号に変換するものである。このため、固定電極38と可動電極34はそれぞれ、抵抗を介して電圧源に接続されており、上記の音圧検出手段110は、この抵抗の両端電圧を検知することで音圧を電気信号として読み取る。
[0083]
 図13は、本発明のシステムに使用できる他の構成の受波素子30Aを示し、この受波素子は上記の気圧計測手段146を兼用するように構成される。この素子は、シリコン基板31Aの一面に、絶縁膜35A、金属薄膜の固定電極38A、及び絶縁層36Aを積層して構成され、絶縁層36A内に、気圧が一定に維持されている基準圧室32Aが形成されて、基準圧室32Aと監視空間との間に位置する絶縁層36Aの一部が振動膜33Aとして規定される。可動電極34Aがこの振動膜33Aの上面に形成される。超音波を受けると、振動膜33Aが振動して、可動電極34Aと固定電極38Aとの距離が変化して、両者の間の静電容量が変化する。
[0084]
 この受波素子30Aにおいては、固定電極35Aおよび可動電極34Aに設けたパッド35B、34B間に直流バイアス電圧が印加され、両パッド間に超音波の音圧に応じて生じる微小な電圧変化が音圧を示す出力として取り出されるが、この電圧変化に含まれる直流成分は、基準圧室32Aと監視空間との気圧の差に相当する。このため、この直流成分が監視空間の気圧を示す出力として使用できる。この構成によれば、固定電極35Aと可動電極34Bとの間の静電容量の変化を用いて監視空間の気圧を計測することができ、気圧を計測するための圧力センサ等を新たに設ける必要がなく、火災警報システムの部品点数の削減を図ることができる。
[0085]
 コントローラ40は、音波発生素子20からの超音波の送信動作及び受波素子30での超音波の受波動作を制御する。送信動作の制御は、音波発生素子20に駆動入力波形を与えて音波発生素子を駆動する駆動回路と、この駆動回路を制御するマイクロコンピュータによって実現され、音波発生素子から所定の周波数の音波が間欠的に送波される。受波動作の制御は、受波素子30が機能するようなバイアスを印加する駆動回路と、かつ受波素子が送波された音波が空気中を伝播し受波素子に伝わるタイミングに合せて音波信号を処理回路に信号を送るように制御するマイクロコンピュータとで実現され、音波信号が間欠的に信号処理回路100に送られる。異なる伝播路長をそれぞれ進む超音波を受波するためには、伝播路の長さに対応する受波タイミングの前後の所定期間を受波期間と設定している。
[0086]
 尚、第1と第2の反射板を含む検知ユニット10としては、図7に示すように、一様な曲率を有する反射板50、60を備える構成の他に、図14に示すように、反射板50、60がその長さ方向に沿って放物面状に湾曲したものを使用することができる。この場合は、反射板にて反射して受波素子30に進む経路の長さは、音波発生素子から受波素子30へ音波が直接進む経路Lの長さの整数倍となるように設定される。
[0087]
 (第2の実施形態)
 図15は、本発明の第2の実施形態に係る火災警報システムを示し、このシステムは、複数の周波数成分を含む超音波を発生する音波発生手段20を使用したこと、複数の周波数成分を抽出するための周波数成分分離手段220を処理回路100に設けた点で、上記の第1の実施形態と異なり、他の構成及び作用は、基本的に第1の実施形態と同一である。また、本実施形態では、音速計測手段145を使用して、監視空間の湿度を求めるように構成されている。
[0088]
 本実施形態では、音波発生手段である音波発生素子20から、複数の周波数成分を含んだ超音波を送波させるために、コントローラ40は正弦波波形の半周期の孤立波を駆動入力波形として、音波発生素子20に与えて、図16Aに示すような略1周期の単パルス状の超音波が音波発生素子20から出力される。この単パルス状の超音波のパワースペクトルは、図16Bに示すようにパルス幅に応じた周波数f0を中心周波数として広範囲の周波数に亘って強度(エネルギ)が分布した形となり、複数の周波数成分を含んだ超音波が音波発生素子20から出力されることとなる。このため、周波数成分分離手段220は、図16BのB1~B3で示す各周波数帯域について周波数成分の強度を抽出するように構成される。
[0089]
 一方、受波素子30においては、共振特性のQ値が圧電素子に比べて十分に小さい静電容量型のマイクロホンを用いているため、音波発生素子20からの超音波に含まれる複数の周波数成分について感度に大きなばらつきはない。ただし、受波素子30の共振周波数fcよりも高い周波数帯域では感度が低下するので、周波数成分分離手段220で周波数成分の強度が抽出される周波数帯域B1~B3よりも高い周波数を共振周波数とする受波素子3を用いることが望ましい。
[0090]
 次に、周波数成分分離手段220の構成について説明する。音波発生素子20から、図17Aに示すような、周期が3.33μs(300kHz)の単パルス状の超音波が送波される場合を例にとり、受波素子30で受波される超音波のパワースペクトルが図16Bに示すように300kHzにピークを持つ形になったものと仮定する。この場合、図17Bにおける周波数帯域B1~B3の各周波数成分の強度を抽出するため、周波数成分分離手段220は、図18に示すように、150~250kHz(周波数帯域B1)の信号を通過させる第1のフィルタ221と、250~350kHz(周波数帯域B2)の信号を通過させる第2のフィルタ222と、350~450kHz(周波数帯域B3)の信号を通過させる第3のフィルタ223を備え、第1~第3の各フィルタの出力を各周波数成分の強度として取り出して、音圧検出手段110に出力する。周波数成分分離手段220は、受波素子30の出力を増幅するアンプ224と、アンプで増幅された受波素子30の出力を各フィルタに分配する分配手段226とを備える。このように、周波数成分分離手段220においては、音波発生素子20から1回に送波された超音波から複数の周波数成分の強度を抽出することができる。
[0091]
 尚、音波発生素子20から複数の周波数成分を含んだ超音波が送波させるには、上述したような単パルス状の超音波に限らず、波数の少ないバースト波状の超音波、あるいは周波数の異なる複数の超音波を重畳させて成る超音波を発生するようにコントローラ40で音波発生素子を制御することが可能である。
[0092]
 本実施形態では、コントローラ40から音波発生素子20へ、正弦波波形の半周期の孤立波を駆動入力波形して、残響の少ない略1周期の単パルス状の超音波を発生させている。このような単パルス状の超音波を用いることにより、反射による干渉を抑制することができる。
[0093]
 本実施形態では、音速計測手段145を使用し、ここで求めた音速から雰囲気中の湿度を推測し、環境変化補正ユニット140は、温度計測手段142と、音速計測手段145から求める湿度に基づいて、雰囲気環境の変化による音圧比の補正を行うように構成されている。音速計測手段145は、図19に示すように、第1の伝播路を進む音波SW1と、第2の伝播路を進む音波SW2の受波タイミングの時間差Δt0を求め、第1の伝播路と第2の伝播路の経路長差(L 2-L 1)を、この時間差Δt0で除することにより音速Vを求めるように構成され、第1の実施形態において説明した式3から、湿度を求めることができる。或いは、第1の伝播路の経路長(L 1)や第2の伝播路の経路長(L 2)を、音波の発生時と受波タイミングとの時間差で除することで、音波を求めることができる。
[0094]
 本発明は、上の各実施形態にのみ限定されるものでは無く、各実施形態で開示する個々の特徴を適宜組み合わせた内容をも包含するものである。

請求の範囲

[1]
音波を送波する音波発生手段と、
上記音波発生手段との間に監視空間を介して配置されて上記音波発生手段から上記監視空間を介して送波される上記音波を検出する音波検出手段と、
上記音波発生手段と上記音波検出手段を制御するコントローラと、
上記音波検出手段での検出出力を処理する処理回路とを備え、
上記処理回路が、
上記音波検出手段の検出出力から音圧を検出する音圧検出手段と、
上記監視空間に存在する煙の濃度を推定する煙濃度推定手段と、
上記煙濃度推定手段で推定された煙濃度が所定の閾値を超えたときに火災警報を出力す る火災警報手段と
を有する火災警報システムであって、
上記監視空間内に、上記音波発生手段からの上記音波を上記音波検出手段へ伝搬する互いに長さが異なる第1の伝搬路と第2の伝搬路が形成されるように、上記音波発生手段と上記音波検出手段が配置され、
上記処理回路は、上記第1の伝搬路を伝搬する音波の音圧である第1の検出音圧と上記第2の伝搬路を伝搬する音波の音圧である第2の検出音圧と比である音圧比とを算出する音圧比算出手段を備え、
上記の煙濃度推定手段は、上記音圧比算出手段で算出した音圧比と所定の標準音圧比と間の変化率を求め、
上記変化率と煙濃度との関係を表す予め設定された関係式に基づいて、上記の変化率から煙濃度を決定するように構成されたことを特徴とする火災警報システム。
[2]
上記音波発生手段は、第1と第2の互いに異なる周波数成分を含む単一の音波を送波するように構成され、
上記処理回路は、周波数成分を分離する周波数成分分離手段を備え、
上記音圧検出手段は、上記の異なる周波数成分について音圧を個別に検出するように構成され、
上記処理回路は、上記音圧比算出手段からの出力される音圧比に基づいて浮遊粒子の種類を推定する粒子種別推定手段を備え、
上記粒子種別推定手段は、上記第1の周波数成分の音波に関して求めた上記変化率である第1の変化率と、上記第2の周波数成分の音波に関して求めた上記変化率である第2の変化率との比である相対変化率を算出するように構成され、
上記処理回路は、上記の相対変化率に、浮遊粒子の種類を対応させて記憶する相対変化率テーブル、煙の種類毎に煙濃度と上記第1の変化率とを関連づけた濃度テーブルを保持するメモリを備え、
上記粒子種別推定手段は、上記の相対変化率テーブルを参照して、上記の相対変化率から浮遊粒子の種類を推定するように構成され、
上記煙濃度推定手段は、上記濃度テーブルを参照して推定された浮遊粒子の種類が煙の場合に上記第1の変化率から、上記煙濃度を推定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の火災警報システム。
[3]
上記音波発生手段は、単パルスの音波を発生するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の火災警報システム。
[4]
上記周波数成分分離手段は、上記第1と第2の周波数成分の音波をそれぞれ通過させる周波数フィルタを備え、上記音圧比算出手段は、上記周波数フィルタを通過する上記第1と第2の周波数成分の音波についての上記音圧比を算出するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の火災警報システム。
[5]
上記音波発生手段は単一の音波発生素子で構成され、上記音波検出手段は単一の受波素子で構成され、上記第1の伝搬路と上記第2の伝搬路は、上記音波発生素子側に位置する第1の反射板と上記受波素子側に位置する第2の反射板との間に形成され、上記第1の伝搬路が上記音波発生素子と上記受波素子との間の最短の直線路として規定され、上記第2の伝搬路は、上記発生素子からの音波が第2の反射板と第1の反射板とで反射して上記受波素子に至る反射経路として規定されたことを特徴とする請求項1に記載の火災警報システム。
[6]
上記処理回路は、空気温度と湿度と気圧の少なくとも一つのパラメータを計測するパラメータ計測手段と、計測されたパラメータに基づいて環境変化による音圧比変化を補正する環境変化補正手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の火災警報システム。
[7]
上記処理回路は、上記第1伝搬路の経路長を、上記第1の検出音圧の検出タイミングと上記音波発生手段の駆動タイミングとの時間差で除して上記監視空間の音速を計測する音速計測手段を備え、
上記環境変化補正手段は、計測された音速に基づいて上記の環境変化による音圧比を補正するように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の火災警報システム。
[8]
上記第1の反射板と第2の反射板との間の伝播路で、第1の伝播路よりも多くの回数で反射して上記受波素子に至る第2の伝搬路と、第2の伝播路よりも多くの回数で反射して上記受波素子に至る第3の伝搬路が形成され、
上記処理回路は、上記第1の伝搬路を伝搬する音波の音圧である第1の検出音圧と、上記第2の伝搬路を経て受波された第2の検出音圧と、上記第3の伝搬路を経て受波された音波の第3の検出音圧とから求めた反射回数の異なる検出音圧の比に基づいて、上記反射板の反射性能についての初期値からの相対変化率を求める反射変化計算手段と、上記の反射変化計算手段で求めた相対変化率に基づいて音圧比を補正する反射変化補正手段とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の火災警報システム。
[9]
上記音波発生手段は、第1と第2の互いに異なる周波数の音波を送波するように構成され、
上記処理回路は、上記音圧比算出手段からの出力される音圧比に基づいて浮遊粒子の種類を推定する粒子種別推定手段を備え、
上記粒子種別推定手段は、上記第1の周波数の音波に関して求めた上記変化率である第1の変化率と、上記第2の周波数の音波に関して求めた上記変化率である第2の変化率との比である相対変化率を算出するように構成され、
上記処理回路は、上記の相対変化率に、浮遊粒子の種類を対応させて記憶する相対変化率テーブル、及び煙の種類毎に煙濃度と上記第1の変化率とを関連づけた濃度テーブルを保持するメモリを備え、
上記粒子種別推定手段は、上記の相対変化率テーブルを参照して、上記の相対変化率から浮遊粒子の種類を推定するように構成され、上記煙濃度推定手段は、上記濃度テーブルを参照して推定された浮遊粒子の種類が煙の場合に上記第1の変化率から、上記煙濃度を推定するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の火災警報システム。
[10]
上記音源は単一の音源であって、上記コントローラは、上記音源から第1と第2の互いに異なる周波数を順次送波させるように上記音源を駆動するように構成され、上記音圧比算出手段は、上記コントローラに同期して、上記音圧検出手段から第1の周波数の音波と第2の周波数の音波についてそれぞれの音圧比を求めるように構成されたことを特徴とする請求項9に記載の火災警報システム。
[11]
上記第1及び第2の反射板は、それぞれ対向する上記音波発生素子及び上記受波素子に対して凹面となった反射面を有し、上記反射板は、上記音波発生素子もしくは上記受波素子に集音させるように構成され、上記音波発生素子と上記受波素子とはそれぞれ上記第1及び第2の反射板の反射面の一部に露出する位置に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の火災警報システム。
[12]
上記第1と第2の反射板は一対の拡散防止板の間に配置されて、第1と第2の反射板の高さ方向の両端において、上記監視空間が上記拡散防止板にて閉塞され、上記音波発生素子が上記第1の反射板の長さ方向の中間部に配置され、上記音波発生素子の音波発生面が上記第1の反射板上の配置箇所において、記第1の反射板の高さ方向に全体に及ぶように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の火災警報システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]