処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2009050922 - ハイブリッド駆動装置

Document

明 細 書

発明の名称 ハイブリッド駆動装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための最良の形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

産業上の利用可能性

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

ハイブリッド駆動装置

技術分野

[0001]
 本発明は、駆動源としてエンジン(ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン等の内燃機関)と回転電機(電力の供給を受けて駆動力(回転駆動力)を発生するモータとして働くもの、駆動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータとして働くもの、あるいは、動作状態により択一的にモータ若しくはジェネレータとして働くものを含む)とを備え、エンジンと回転電機とのいずれか一方もしくは両方から駆動力を得、変速機で変速して駆動輪に伝動して走向する構成のハイブリッド駆動装置に関する。

背景技術

[0002]
 このようなハイブリッド駆動装置として、出願人らは、特許文献1に記載のハイブリッド駆動装置を紹介している。この文献に開示の技術は、エンジン及びモータを連結して動力源としたものでありながら、従来装置に比して軸方向寸法をより短縮させ、かつ径方向寸法を増大させない構成を備えたハイブリッド車用駆動装置を提供することを目的とする。
[0003]
 特許文献1に記載のハイブリッド車用駆動装置は、エンジン出力軸の軸線を中心とする環状のモータと、これらエンジン及びモータによる駆動力を伝動後流側に伝える発進装置と、該発進装置を介して前記エンジン及びモータの駆動力が伝達される変速機と、を備える。この駆動装置において、前記発進装置は、前記軸線を中心とした環状からなりかつ軸方向で互いに所定距離離間するように配置された発進クラッチ及びダンパ装置を備え、前記発進クラッチは、少なくともその一部が前記モータと軸方向でオーバラップするように配置され、かつ前記ダンパ装置より内径側に位置されてなる。
[0004]
 この文献の技術では、当該明細書、図5、図6に見られるように、クラッチハブの外径部位に回転電機のロータが固定され、回転電機の回転が直接中間軸に伝動される構造が採用されている。そして、クラッチが係合された状態にあっては、エンジン出力もクラッチを介して、このクラッチを成すクラッチハブに伝動され、中間軸に伝達される。
[0005]
特許文献1 : 特開2004-001708号公報

発明の開示

[0006]
 2種の駆動源(エンジン及び単一の回転電機のみ)と変速機とを備えたハイブリッド駆動装置は、元来、その搭載に必要となる占有空間をできるだけ小さくできるように開発された装置である。しかしながら、これまで示してきた従来技術のように、駆動源(特に回転電機)の出力をそのまま変速機に入力して変速して駆動輪に伝達する構成を採用すると、走行に必要となる駆動トルクによっては、回転電機自体が大型化しやすく、装置を小型化したいという目的に反する場合もある。
[0007]
 さらに、エンジンと回転電機との両方からの回転を変速機で減速する構成を採用する場合、変速機を大きなものとせざるを得ず、この点からも改良の余地がある。
[0008]
 回転電機で発生するトルクを大きくしようとすると、主には、回転電機のステータ及びロータの軸方向長さを長くするか、回転電機の径を大きくして、発生できるトルクを大きくする必要がある。しかしながら、例えばFFタイプに好適に採用されるような本願に係るハイブリッド駆動装置にあっては、その占有できる空間が限られており、回転電機の径を格段に大きくする等の策は採用し難い。さらに、回転電機の軸方向長さを長くする場合は、ハイブリッド駆動装置の軸方向長さ(図1に於ける左右方向長さ)が長くなりすぎ好ましくない。
[0009]
 本願の目的は、駆動源としてエンジンと回転電機との両方を備え、これらの一方若しくは両方から回転駆動を得て、変速機で変速して駆動輪に伝動する構成のハイブリッド駆動装置において、回転電機として比較的小型のものを採用する場合にも十分な走行駆動力を得ることが可能であるとともに、ハイブリッド駆動装置全体をできるだけ小型にすることができるハイブリッド駆動装置を得ることにある。
[0010]
 上記目的を達成するための、エンジンに接続された入力軸と、回転電機と、入力軸と同心に設けられる中間軸の回転を変速して車軸に伝動する変速出力機構とを備えるとともに、前記入力軸と前記中間軸との間の駆動伝動を断続するクラッチを備えたハイブリッド駆動装置の特徴構成は、
 前記回転電機の出力軸と前記入力軸とが軸心位置を異ならせて配設されるとともに、前記回転電機の出力軸に設けられる第2ギヤに噛合して、回転を減速して前記中間軸に伝動する第1ギヤを前記入力軸と同心に備え、前記クラッチの少なくとも一部は、前記第1ギヤのギヤ部に軸方向に重なって内径側位置に配設されることにある。
[0011]
 ここで、「接続」とは、接続の対象となっている部材間で相互に駆動力の伝達が可能となっている状態をいい、両部材が直接連結されている状態の他、他の部材を介して間接的に連結されている状態も含む。
 このハイブリッド駆動装置では、回転電機と変速機との間では第2ギヤ、第1ギヤを介して駆動伝動が行われる。一方、エンジン駆動が伝動される入力軸から変速機へはクラッチを介して、その係脱状態に従って、駆動伝動が行われる。この構成は、従来の構成と変わることはない。
 さて、このハイブリッド駆動装置における、回転電機の出力軸から中間軸への駆動伝動は、減速を伴ったものであり、トルク増大をもたらす。従って、回転電機の出力が回転速度が低減されることなくそのまま伝動される構造と比較して、回転電機自体として小型のものを採用できる。そして、入力軸と、第2ギヤが備えられる回転電機の出力軸との軸心位置を異ならせるとともに、第1ギヤに関しては、入力軸及び中間軸と同心とするため、回転電機を入力軸回りの適切な位相位置(例えば、ディファレンシャルギヤの位置を考慮した、これとは干渉しない適切な位相位置)に配設することが可能となる。即ち、ハイブリッド駆動装置を採用する車両において許容される装置占有空間の形状に合わせて、装置を構築できる。
 さらに、第1ギヤを採用し回転電機の駆動力を減速する形態としたために、第1ギヤに大きな径方向荷重がかかる。そこで、その軸受けでの支持に関して工夫を要するが、クラッチを内径側に位置させ、それを第1ギヤと軸方向に重なるように一体化することにより、後述するように軸方向寸法への影響を抑えながら、良好に第1ギヤの支持を行うことができる。
[0012]
 さて、上記特徴構成を備えた構造において、前記第1ギヤの少なくとも一部が、前記クラッチを構成することが好ましい。
 この構成にあっては、第1ギヤとクラッチとで共用の部材を有することとなるが、両者間で共用される部材を備えることで、別部材として別々の部材を採用する場合より、コンパクトな構造で、コストダウンした構成とできる。即ち、本願に係るハイブリッド駆動装置の目的を良好に達成できる。
[0013]
 さて、上記のような構成を達成するに、前記第1ギヤが、
 内径側部位が入力軸に回転可能に支持され、径方向に伸びる入力軸側径方向延出部と、
 内径側部位が中間軸に連結され、径方向に伸びる中間軸側径方向延出部とを備えて構成され、
 前記入力軸側径方向延出部と前記中間軸側径方向延出部との外径側を軸方向に接続する接続部を備え、前記第2ギヤと噛合するギヤ部が、前記接続部の外径部位に形成されていることが好ましい。
 この構成にあっては、同心に配設される入力軸及び中間軸側から第1ギヤを支持するのに、第1ギヤを構成する入力軸側径方向延出部と中間軸側径方向延出部との2部位を利用することとなるが、本来減速を実現するのにピッチ径が大きくなるこのギヤの内径側部位に、両延出部間に空間を形成し、その空間を利用できる。
[0014]
 そして、前記入力軸側径方向延出部、前記中間軸側径方向延出部及び前記接続部に囲まれた内部空間に、前記入力軸に連結されるクラッチドラムが進入されるとともに、前記中間軸側径方向延出部がクラッチハブとして構成され、前記クラッチドラム及び前記クラッチハブ間に摩擦板及びピストンを配設して、前記クラッチが構成されている構成を採用することが好ましい。この構成では、本願のハイブリッド駆動装置において、必須となっているクラッチを適切に当該空間内に収納・配置できる。また、第1ギヤの確実な支持状態も容易に実現できる。
[0015]
 さて、本願独特の第1ギヤの支持に関して、
 前記入力軸が貫通し、ケース内空間を軸方向に区画する隔壁を備えるとともに、前記隔壁とは別の固定部材を、前記隔壁より前記入力軸の出力端側に備え、
 前記第1ギヤが、一方側は前記隔壁に固定された第1回転軸受けで、他方側は前記固定部材に固定された第2回転軸受けで支持されることが好ましい。
 この構成では、第1ギヤを支持するのに、隔壁と、この隔壁とは軸方向で異なる位置(出力端側)に設けられる固定部材にそれぞれ固定される、一対の回転軸受け(第1回転軸受け及び第2回転軸受け)を設け、これら一対の回転軸受けで、当該第1ギヤを支持する。従って、軸方向の両側からの支持を確実且つ容易に実現できる。
[0016]
 さて、このように、一対の回転軸受け(第1回転軸受け及び第2回転軸受け)を採用する構成において、第1回転軸受けに関しては、以下の構成を採用するのが好ましい。
 即ち、エンジンの回転振動を吸収して動力を入力軸に伝えるダンパを備え、
 第1回転軸受けは隔壁の入力軸入力端側に向けて凹状に形成される凹部に配置され、
 この凹部を、前記ダンパの一部と軸方向で重なる内径側位置に配設する。
 このようにすると、第1回転軸受けを隔壁の凹部に配設し、隔壁の凹部を、ダンパの内周側でダンパ部材と軸方向で重なるように配置したため、それぞれが軸方向のスペースを共有し、更なる軸方向の短縮が可能となる。
[0017]
 一方、第2回転軸受けに関しては、以下の構成を採用するのが好ましい。
 即ち、第2回転軸受けは、クラッチの摩擦板に対して軸方向で重なる内径側位置に配設する。
 このようにすると、比較的軸方向の占有長さが長くなりやすい、クラッチ摩擦板の配設位置に対して、第2回転軸受けを内径側に、軸方向に重なるように配置し、軸方向スペースを2つの部材が共有するため、更なる軸方向の短縮化が可能となる。
[0018]
 そして、これまで説明してきた隔壁に関しては、この隔壁をエンジン取付け面側からケース内に進入可能に構成し、ケースに軸方向で固定されるものとすることで、隔壁のケースに対する組み付けを容易且つ迅速に行うことができる。
[0019]
 また、これまで説明してきた前記入力軸とは別軸で、当該入力軸に平行な前記車軸を有する構成とすることでハイブリッド駆動装置の軸方向での短縮化に寄与できる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] は、本願に係るハイブリッド駆動装置の構成を示す断面図であり、
[図2] は、本願に係るハイブリッド駆動装置の要部構成を示す断面図であり、
[図3] は、本願に係るハイブリッド駆動装置の主要機器の配置を示す側面図であり、
[図4] は、本願に係るハイブリッド駆動装置の駆動伝動系の概略を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0021]
 以下、本願に係るハイブリッド駆動装置HVに関して、その実施の形態を、図面に基づいて説明する。
 図1、図2は、ハイブリッド駆動装置HVの構成を示す断面図であり、図3は、軸方向視での主要機器の配置構成を示した図であり、図4は、このハイブリッド駆動装置HVが採用している駆動伝動系の模式図である。
[0022]
 このハイブリッド駆動装置HVを備えた車両は、駆動源として、エンジンEG及び回転電機MGを備えるとともに、これらから得られる回転駆動を変速機SCで変速し、変速出力を、カウンタギヤCG、ディファレンシャルギヤDGを介して駆動輪Wに伝達して走行する。
[0023]
 図4に模式的に示すように、回転電機MGは減速機構RSを介して変速機SCに駆動連結されており、エンジンEGは、ダンパD、クラッチCを介して変速機SCに駆動連結されている。従って、この駆動伝動系にあっては、クラッチCの非係合状態で、回転電気MGがモータとして働いてモータ走行可能に構成されるとともに、制動時には回転電機MGがジェネレータとして働いて、回転電機MGに電気的に接続されているバッテリーBの充電を行うことができる。一方、クラッチCの係合状態にあっては、モータMG及びエンジンEGからの駆動力が変速機SCに伝達され、両方の駆動源から駆動力を得て走行することができる。
[0024]
 図1は、本願に係るハイブリッド駆動装置HVの詳細を示したものであり、エンジンEG,回転電機MG、駆動装置入力軸I1、クラッチC,変速機SC、カウンタギヤCGが設けられているカウンタ軸A1、ディファレンシャルギヤDGの配置及び接続関係を示したものである。図2は、回転電機MG及び駆動装置入力軸I1周辺の詳細構造を示す図である。
[0025]
 ハイブリッド駆動装置HVは、エンジンEGにダンパDを介して駆動連結された駆動装置入力軸I1と、当該駆動装置入力軸I1とは軸心を異ならせて設けられる回転電機MGと、駆動装置入力軸I1と同心に設けられる変速機SCと、前記回転電機MG及び駆動装置入力軸I1との夫々とは異なった軸心位置に設けられるカウンタ軸A1を備えて構成されている。
[0026]
 このハイブリッド駆動装置HVのケースは、装置後側(図1に示す右側であるエンジン側)に配設され、回転電機MGの第2ギヤG2、本願独特の第1ギヤG1、それとともに構成されるクラッチC及びダンパDを収納するためのクラッチ・ダンパケースH1と、装置前側(図1における左側)に配設され、変速機SC及び回転電機MGのほぼ全体を収納するための変速機・回転電機ケースH2と、を備えて構成されている。本例では、図示するように、変速機・回転電機ケースH2のエンジン側にクラッチ・ダンパケースH1がボルト連結される。
[0027]
 前記クラッチ・ダンパケースH1及び変速機・回転電機ケースH2の両者が連結された状態で、ケース内に形成される空間は、エンジン側からダンパDが収納される第1空間、後に詳述する第1ギヤG1及び回転電機MGの第2ギヤG2が収納される第2空間、及び変速機SCが配設される第3空間に分割され、これら空間を分割するための隔壁SW及び固定部材Fが設けられている。
[0028]
 前記隔壁SWは、図1、図2からも判明するように、クラッチ・ダンパケースH1のエンジン側開口から挿入可能な構成が採用されており、この隔壁SWは、クラッチ・ダンパケースH1の内周面に設けられた段差部eにエンジン開口側からボルト固定されるように構成されている。この隔壁SWには、駆動装置入力軸I1が貫通しており、この隔壁SWにより、駆動装置入力軸I1は、その入力端側(エンジン側)と出力端側(変速機側)とを隔離される。
[0029]
 前記固定部材Fは、図1、図2からも判明するように、一対の部材f1,f2が相互にボルト連結されて構成されており、この固定部材Fによりポンプボディが形成されているとともに、その一端側において、回転電機MGの出力軸O2を回転可能に支持するように構成されている。
 そして、これら一対の部材であるポンプボディ形成部材f1,f2の一方(駆動装置入力軸側のポンプボディ形成部材f1)が、クラッチ・ダンパケースH1の変速機側開口に嵌込される構成が採用されている。この固定部材Fは、図示は省略するが、一対の部材であるポンプボディ形成部材f1,f2の他方(変速機側のポンプボディ形成部材f2)が、変速機・回転電機ケースH2にボルト連結されることで、ケースHに固定される構造が採用されている。ポンプ室内には、後述する第1ギヤG1と一体に回転するポンプギヤpgが配設される。従って、本願のハイブリッド駆動装置HVでは、この回転電機MGの回転により所定の油圧を得ることができる。
[0030]
 さて、図2からも判明するように、ポンプボディ形成部材の他方(変速機側のポンプボディ形成部材f2)は、その外径側部位(回転電機配設側部位)が、ケース内面近傍まで延出されており、この外径側部位において、回転電機MGの出力軸O2の片側(エンジン側)を回転可能に支持するように構成されている。また、この部位には、前記回転電機MGの出力軸O2にスプライン連結される第2ギヤG2の一端をも回転可能に支持するものとされている。従って、回転電機MGの出力軸O2は、前方端を変速機・回転電機ケースH2で、後方端(エンジン側端)を当該ポンプボディ形成部材f2で回転可能に支持される。一方、第2ギヤG2は、その前方側を当該ポンプボディ形成部材f2で、後方側をクラッチ・ダンパケースH1で回転可能に支持される。
[0031]
 以上が、本願に係るハイブリッド駆動装置HVの概略である。以下、駆動装置入力軸I1側から詳細に説明する。
[0032]
 ダンパ
 当該ダンパDは、エンジン出力軸O1であるクランク軸に連結されるドライブプレートd1と、このドライブプレートd1の外径端近傍位置に連結される第1ドリブンプレートd2と、駆動装置入力軸I1にボス部d3を介して連結される第2ドリブンプレートd4とを備えて構成されている。前記第1ドリブンプレートd2は、内径側部位に、断面形状が下向きU字状となる二股部d6を備えており、前記第2ドリブンプレートd4が、その二股部d6に嵌込する構成とされている。そして、当該二股部d6と第2ドリブンプレートd4の間に、複数のダンパスプリングd5が周方向で均等に分散介装されており、エンジン出力軸O1から伝達される回転振動を、当該ダンパスプリングd5で吸収しながら、駆動装置入力軸I1に駆動力を伝達できるように構成されている。
[0033]
 ここで、図2からも判明するように、このダンパDのボス部d3は、その断面形状がコの字型を成し、少なくとも第1ドリブンプレートd2の二股部d6の内径側部位に、隔壁SWの凹部w1が進入する構成が採用されている。
[0034]
 駆動装置入力軸
 駆動装置入力軸I1が本願に係るハイブリッド駆動装置HVの入力部材であり、先にも示したように、この駆動装置入力軸I1にエンジンEGにより発生される回転駆動がその回転振動を吸収した状態で伝達される。本願において中間軸となる変速機入力軸I2との関係について説明すると、駆動装置入力軸I1と変速機入力軸I2とは同心(この軸心を第1軸心Z1と呼ぶ)とされている。また、図2に示すように、駆動装置入力軸I1の変速機側端は、変速機入力軸I2内に進入されていると共に、両者間で相対回転可能に構成されている。
[0035]
 駆動装置入力軸I1の出力端近傍には、クラッチドラム接続部i1が設けられており、外径側先端部位に複数の摩擦相手板p1を備えたクラッチドラムc1が、当該駆動装置入力軸I1に連結されて、当該入力軸I1と一体に回転するように構成されている。
 さらに、駆動装置入力軸I1の変速機側端部位には、油孔i2が設けられており、この油孔i2を介して、第1ギヤG1の内部、クラッチドラムc1に設けられた孔を介して、ピストンc3の裏面側に作動油を供給可能かつ、その部位から排出可能に構成されている。
[0036]
 回転電機
 回転電機MGは、ロータm1と、コイルm2を有するステータm3とから構成されている。ロータm1は、永久磁石が埋め込まれた多数の積層板m4と、これらの積層板m4を軸方向に並べた状態で固定・支持し、出力軸O2に固定されるロータ支持部材m5とにより構成されている。
[0037]
 当該回転電機MGは、先に説明した第1軸心Z1とは異なる第2軸心Z2周りにロータm1およびステータm3を備えて構成とされており、ロータm1は、変速機・回転電機ケースH2及び前述の固定部材Fとによりベアリングbを介して、第2軸心Z2周りに回転可能に支持されている。さらに、この回転電機MGの出力軸O2は、第1ギヤ側(エンジン側)に延出されており、その先端に第2ギヤG2が備えられている。
[0038]
 また、積層板m4に僅かの間隔を存して対向するように多数のステータ鉄心m6が変速機・回転電機ケースH2に固定されており、これらのステータ鉄心m6にはコイルm2が巻回されてステータm3が構成されている。
[0039]
 図1、図2からも判明するように、本願にあっては、ロータm1を構成する多数の積層板m4及びステータ鉄心m6は、共に、その断面形状において第2軸心Z2方向の幅が長く、径方向の厚みが短く取られている。軸方向の幅をある程度備えることで、回転電機出力を所定の値としている。但し、本願にあっては、先にも説明したように、回転電機MGの出力軸O2と変速機SCの入力軸I2との間に、減速機構RSを備えるため、このような減速機構RSを備えない場合と比較すると、回転電機MGの占有空間は格段に小さいものとなる。
[0040]
 前記固定部材Fにはレゾルバ・ステータr1が、回転電機MGの出力軸O2にはレゾルバ・ロータr2が設けられており、両者r1、r2により、レゾルバRが構成されて、回転電機MGの回転位置を検出可能に構成されている。
[0041]
 回転電機及び駆動装置入力軸から変速機入力軸への駆動伝達
 本願に係るハイブリッド駆動装置HVにあっては、回転電機MGの出力軸O2と変速機入力軸I2との間には、回転電機MGの回転を減速して変速機入力軸I2に伝達する減速機構RSが備えられている。一方、駆動装置入力軸I1と変速機入力軸I2との間には、両者間で駆動伝動を断続可能とするクラッチCが備えられている。そして、減速機構RSとクラッチCとを構成するのに、本願独特の第1ギヤG1が共用されている。
[0042]
 減速機構及び第2ギヤ
 本例では、回転電機MGの出力軸O2に備えられる第2ギヤG2と、この第2ギヤG2に噛合するギヤ部gを備えた第1ギヤG1とを設けて減速機構が構成されている。
 図2に示すように、第2ギヤG2は、第2軸心周りに回転する構成とされるとともに、そのピッチ径が小さく選択されている。一方、第1ギヤG1は、内径側部位が駆動装置入力軸I1に回転可能に支持され、径方向に伸びる入力軸側径方向延出部g1と、内径側部位が変速機入力軸I2に連結され、径方向に伸びる中間軸側径方向延出部g2とを備えて構成される。また、第一ギヤG1は、入力軸側径方向延出部g1と中間軸側径方向延出部g2との外径側を軸方向に接続する接続部g3を備えている。そして、前記第2ギヤG2と噛合するギヤ部gが、当該接続部g3の外径部位に形成されている。従って、このギヤ部gのピッチ径は大きいものとなり、第2ギヤG2とギヤ部gとのピッチ径の関係から、充分な減速が可能となっている。
 第1ギヤG1は、駆動装置入力軸I1に対しては相対回転可能とされており、変速機入力軸I2に対してスプライン連結されており、一体回転する構成が採用されている。従って、先に説明した減速機構RSにより減速された回転電機MGの回転が、変速機入力軸I2に伝達される。
[0043]
 第1ギヤG1の支持は、駆動装置入力軸I1のエンジン側に関しては、隔壁SWに固定された第1回転軸受けB1により支持されており、駆動装置入力軸I1の変速機側に関しては、固定部材Fに固定された第2回転軸受けB2で支持される構成が採用されている。
[0044]
 クラッチ
 図2からも判明するように、第1ギヤG1に関して、先に説明した入力軸側径方向延出部g1、中間軸側径方向延出部g2及び接続部g3に囲まれた内部空間に、駆動装置入力軸I1に連結されたクラッチドラムc1が進入されるとともに、第1ギヤG1の中間軸側径方向延出部g2がクラッチハブc2として構成されている。そして、クラッチドラムc1とクラッチハブc1との間にピストンc3が配設されるとともに、クラッチドラムc1に摩擦相手板p1を、クラッチハブc2に摩擦板p2をスプライン嵌合して夫々設け、油圧によりピストンc3を軸方向に移動させて、クラッチCの係合及び係合解除を実現できるように構成している。この例にあっては、係合状態を実現するには、矢印で示すように、ピストンc3の裏面側(エンジン側)に、変速機入力軸I2,駆動装置入力軸I1内に穿たれた油路i2を介して係合用の作動油が供給され、ピストンc3の表面側(変速機側)に残っている油が駆動装置入力軸I1及び変速機入力軸I2の外径部位i3を介して放出される。一方、クラッチCの係合解除は、油が上記とは逆方向に移動されて実現される。
[0045]
 以上説明したように、このハイブリッド駆動装置HVにあっては、駆動装置入力軸I1及び変速機入力軸I2の軸心(第1軸心Z1)と回転電機MGの軸心(第2軸心Z2)とが別とされ、さらに、回転電機MGの回転が減速されて変速機入力軸I2に伝達される構成が採用され、この減速を実現する第1ギヤG1の一部及びその内部を利用してクラッチCが形成されている。
[0046]
 第1回転軸受け及び第2回転軸受けの配置
 先にも示したように、第1ギヤG1は、第1回転軸受けB1及び第2回転軸受けB2により軸方向の両側で支持されているが、これら回転軸受けB1,B2の配設にあっても、ハイブリッド駆動装置HVの前後長(図1に示す左右長)を短くするための工夫が成されている。
[0047]
 図2に示すように、ハイブリッド駆動装置HVは、エンジンEGと駆動装置入力軸I1との間にダンパDを備える。ダンパDのボス部d3は、径方向で比較的長く形成されるとともに、その内径側部位がエンジン側(入力軸入力端側)に向けて凹のコの字状に形成される。さらに、先に説明した隔壁SWの内径側部位には、エンジン側(入力軸入力端側)に向けて凹状に形成される凹部w1が形成されており、当該凹部w1に第1回転軸受けB1が固定されている。そして、当該凹部w1は、ダンパDの一部(二股部d6)と軸方向で重なる位置とされ、当該二股部d6の一部に対しても、その内径側位置に配設されている。従って、この第1回転軸受けB1で隔壁SWにより第1ギヤG1を支持しながら、軸方向の短縮化が図られている。
[0048]
 さらに、前記第1ギヤG1は、その一部部位(中間軸側径方向延出部g2)がクラッチハブc2として働く構成が採用されている。中間軸側径方向延出部g2は、その内径側部位がエンジン側の位置とされ、その外径側部位で変速機側に摩擦板p2及び摩擦相手板p1を配設することで、実質的なクラッチCの係合機能部(摩擦板p2及び摩擦相手板p1)が中間軸側径方向延出部g2の内径側部位より変速機側に位置されている。即ち、第2回転軸受けB2は、クラッチCの摩擦板の軸方向位置に対して軸方向で重なる位置に配設されるとともに、摩擦板p2及び摩擦相手板p1の配設位置より内径側の位置に配設されている。このように、クラッチCの係合機能部の内径側に第2回転軸受けB2を配設することで、固定部材Fにより第1ギヤG1を支持しながら、軸方向の短縮化が図られている。
[0049]
 変速機
 変速機SCとしては、公知の有段変速機、無段変速機を採用することができる。本例では、変速機入力部材(これまで説明してきた変速機入力軸I2)から入力される入力回転を6段に変速して変速機出力部材から出力する変速機の例を示している。この例では、変速機出力部材は、変速機SCの軸方向(図1の左右方向)の中間部位に設けられる変速機出力ギヤOGを採用している。この変速機出力ギヤOGはカウンタ軸A1上のカウンタギヤCGと噛合されている。そして、カウンタ軸A1に設けられたピニオンPはディファレンシャルギヤDGのディファレンシャルリングギヤRGと噛合している。この構成を採用することにより、ディファレンシャルギヤDGから車軸DSを介して駆動輪Wに駆動が伝達される。本願にあっては、変速機SCからディファレンシャルギヤDGまでを変速出力機構と呼んでいる。
[0050]
 図3に、回転電機MGの出力軸O2、エンジンEGと同心に設けられる駆動装置入力軸I1、カウンタ軸A1及ディファレンシャルギヤDGの位置関係を示した。図1において、左側から見た図である。この図にあっては、これまで説明してきた第1軸心Z1、第2軸心Z2とともに、カウンタ軸A1の軸心を第3軸心Z3、ディファレンシャルリングギヤRGの軸心を第4軸心Z4として示している。図からも判明するように、本願に係るハイブリッド駆動装置HVは、図1,2に示す駆動装置前後方向の他、その上下方向幅もコンパクトに構成されている。
[0051]
〔別実施の形態〕
(1)上記の実施の形態にあっては、変速機が有断変速機SCである例を示したが、本願構成を変速機として、変速比が連続的に変更される無段変速機を使用する場合にも適用できる。
[0052]
(2)先に説明した実施の形態は、本願に係るハイブリッド駆動装置をFF車に採用する例を示したが、FR車に採用することもできる。
[0053]
(3)上記の実施の形態にあっては、エンジンと変速機入力軸との間の駆動伝動を断続するクラッチのクラッチハブを、変速機入力軸への入力部材として共通に使用したが、エンジンからクラッチを介した変速機入力軸へのエンジン側の入力系統と、回転電機から減速機構を介した変速機入力軸への入力系統を、変速機入力軸まで別系統としておいてもよい。

産業上の利用可能性

[0054]
 駆動源としてのエンジンと回転電機との備え、これらの一方若しくは両方から駆動力を得て、変速機で変速して駆動輪に伝達するハイブリッド駆動装置において、回転電機として比較的小型のものを採用する場合にも十分な駆動力を得ることが可能であるとともに、ハイブリッド駆動装置をできるだけ小型なものとすることができた。

請求の範囲

[1]
 エンジンに接続された入力軸と、回転電機と、入力軸と同心に設けられる中間軸の回転を変速して車軸に伝動する変速出力機構とを備えるとともに、前記入力軸と前記中間軸との間の駆動伝動を断続するクラッチを備えたハイブリッド駆動装置であって、
 前記回転電機の出力軸と前記入力軸とが軸心位置を異ならせて配設されるとともに、前記回転電機の出力軸に設けられる第2ギヤに噛合して、回転を減速して前記中間軸に伝動する第1ギヤを前記入力軸と同心に備え、前記クラッチの少なくとも一部は、前記第1ギヤのギヤ部に軸方向に重なって内径側位置に配設されるハイブリッド駆動装置。
[2]
 前記第1ギヤの少なくとも一部が、前記クラッチを構成する請求項1記載のハイブリッド駆動装置。
[3]
 前記第1ギヤが、
 内径側部位が前記入力軸に回転可能に支持され、径方向に伸びる入力軸側径方向延出部と、
 内径側部位が前記中間軸に連結され、径方向に伸びる中間軸側径方向延出部とを備えて構成され、
 前記入力軸側径方向延出部と前記中間軸側径方向延出部との外径側を軸方向に接続する接続部を備え、前記第2ギヤと噛合するギヤ部が、前記接続部の外径部位に形成されている請求項1又は2記載のハイブリッド駆動装置。
[4]
 前記入力軸側径方向延出部、前記中間軸側径方向延出部及び前記接続部に囲まれた内部空間に、
 前記入力軸に連結されるクラッチドラムが進入されるとともに、前記中間軸側径方向延出部がクラッチハブとして構成され、前記クラッチドラム及び前記クラッチハブ間に摩擦板及びピストンを配設して、前記クラッチが構成されている請求項3記載のハイブリッド駆動装置。
[5]
 前記入力軸が貫通し、ケース内空間を軸方向に区画する隔壁を備えるとともに、前記隔壁とは別の固定部材を、前記隔壁より前記入力軸の出力端側に備え、
 前記第1ギヤが、一方側は前記隔壁に固定された第1回転軸受けで、他方側は前記固定部材に固定された第2回転軸受けで支持される請求項1~4のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。
[6]
 エンジンの回転振動を吸収して動力を前記入力軸に伝えるダンパを備え、
 前記第1回転軸受けは前記隔壁の入力軸入力端側に向けて凹状に形成される凹部に配置され、
 前記凹部は、前記ダンパの一部と軸方向で重なる内径側位置に配設される請求項5記載のハイブリッド駆動装置。
[7]
 前記第2回転軸受けは、前記クラッチの摩擦板に対して軸方向で重なる内径側位置に配設される請求項5又は6記載のハイブリッド駆動装置。
[8]
 前記隔壁はエンジン取付け面側からケース内に進入可能に構成され、ケースに軸方向で固定される請求項5~7のいずれか一項記載のハイブリッド駆動装置。
[9]
 前記入力軸とは別軸で、当該入力軸に平行な前記車軸を有する請求項1~8の何れか一項記載のハイブリッド駆動装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]