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1. WO2009050795 - 自然エネルギー利用空調設備及びそれを用いた建物

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明 細 書

発明の名称 自然エネルギー利用空調設備及びそれを用いた建物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028  

図面の簡単な説明

0029   0030  

発明を実施するための最良の形態

0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055  

産業上の利用可能性

0056  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

自然エネルギー利用空調設備及びそれを用いた建物

技術分野

[0001]
 本発明は、住宅、事務所、工場、学校、集会所、公共施設、鶏畜舎、農業ハウスなどのすべての建物に対して、主として自然エネルギーを利用して室内空気温度の調節を行うことができる空調設備およびそれを用いた建物に関する。

背景技術

[0002]
 従来、年間を通じてほぼ一定の温度に保たれる地熱などを利用して建物内の温度調節を行うための空調システムが提案されている。
[0003]
 以下に、従来技術に係る「建物の自然力利用空調システム」について説明する。
 特許文献1に記載される「建物の自然力利用空調システム」は、地熱を蓄熱し戸外から又は建物内からの空気に対して蓄熱した地熱を伝導するためのくり石層と、地盤面より重力方向に向けて約2m以上延びるように地中に埋設された地中パイプとを有し、くり石層からの空気に対して、地中からの地熱を伝導するための地中パイプと、地中パイプ内に備えられ、地中パイプ内を移動する空気を調湿するための空気調湿手段と、地中パイプ内に備えられ、地中パイプ内を移動する空気を清浄化するための空気清浄化手段と、前記地中パイプ内で温度調節、調湿、及び清浄化された空気を、建物の室内に供給するための調節空気供給部とを備えたものである。
 このような特許文献1に開示される発明によれば、システムが簡素でコストが安価であり、温度調節のみならず調湿及び清浄化、空気への香りの付与をも行うことができる建物の自然力利用空調システムを提供することができるという効果を有する。
[0004]
特許文献1 : 特開2000-97586号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1に開示される「建物の自然力利用空調システム」においては、蓄熱(蓄冷)を目的として建物の床下に敷設される蓄熱材の栗石は、その大きさや床下における配置に関して特別に配慮されたものではなく、蓄熱効果が十分に発揮されていない可能性が高かった。
 また、床下の隅々にまで冷風を行きわたらせるためには、床下に複雑な配管構造を形成する必要があり、施工にコストがかかるという課題もあった。
[0006]
 本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却された外気を用いて室内を冷房しながら効率よく蓄熱材に蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を冷房することができ、しかも施工に係るコストが廉価な自然エネルギー利用空調設備及びそれを用いた建物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するため、請求の範囲1項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却された外気により蓄熱材(6)を冷却して蓄冷し、蓄熱材(6)の冷却能により室内(11)を冷却する自然エネルギー利用空調設備(2)であって、この自然エネルギー利用空調設備(2)は、床下に形成される蓄熱室(27)と、この蓄熱室(27)に隣接して設けられる吸気収容部(4)と、この吸気収容部(4)に接続され外気を吸気する吸気パイプ(5)と、この吸気パイプ(5)から吸引される外気を自然エネルギーを利用して冷却する外気冷却機構と、この外気冷却機構により冷却された外気を蓄熱室(27)に導出する外気供給パイプ(7)と、外気冷却機構において冷却された外気を外気供給パイプ(7)に送給する送風設備(8)と、蓄熱室(27)内に収容され蓄冷又は放冷する蓄熱材(6)とを有し、外気供給パイプ(7)は、その胴部に多数の孔(10)を備え、蓄熱材(6)は、粒塊状に形成され、蓄熱室(27)の底面から床面に向うにつれその平均粒径が小さく構成され、送風設備(8)を駆動して、吸気パイプ(5)から外気を取り込んで外気冷却機構により外気を冷却し、冷却された外気を外気供給パイプ(7)を介して蓄熱室(27)に供給し、外気を蓄熱材(6)に接触させて蓄熱材(6)を冷却することで蓄熱材(6)に冷却能を付与することを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備において、蓄熱室は蓄熱材を収容すると同時に、屋外の熱が蓄熱材に伝わるのを妨げるという作用を有する。また、吸気パイプは外気を吸気して吸気収容部に導出するという作用を有する。さらに、吸気収容部は、吸気パイプから導出された外気を一時的に収容するという作用を有する。
 また、外気冷却機構は、水の気化熱や地熱等の自然エネルギーにより外気の温度を低下させるという作用を有する。そして、外気供給パイプは、外気冷却機構により冷却された外気を蓄熱室に導出するという作用を有する。さらに、送風設備は、空気の流れを発生させて外気冷却機構において冷却された外気を外気供給パイプに送給するという作用を有する。また、蓄熱材は冷却された外気と熱交換することで蓄冷し、必要に応じて空調用の外気に放冷するという作用を有する。
 さらに、外気供給パイプはその胴部に多数の孔を備えることで、胴部全体から冷却された外気を蓄熱室に導出するという作用を有する。
 また、蓄熱材を粒塊状に形成することで蓄熱材の表面積を増大させるという作用を有する。加えて、蓄熱室の底面側に配置される蓄熱材の平均粒径を大きく設定することで、蓄熱室の底面近傍における空気の流動性を高め、外気供給パイプから供給される外気を蓄熱室の隅々に行き渡らせるという作用を有する。さらに、蓄熱室の床面側(上面側)に配置される蓄熱材の平均粒径を小さく設定することで、蓄熱材の蓄冷効率を高めるという作用を有する。
 この結果、外気供給パイプから離れた位置に配置される蓄熱材にも効率よく蓄冷されるため、蓄熱材6の冷却能を高めるという作用を有する。
 よって、請求の範囲1項に記載の発明は、取り込んだ暑い外気を自然エネルギーにより冷却し、冷却された外気を利用して蓄熱材に蓄冷し、必要に応じて蓄熱材の冷却能により空調用の外気を冷却して昼夜を問わず室内温度を快適に保つという作用を有する。
[0008]
 請求の範囲2項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、外気冷却機構は、吸気パイプ(5)、外気供給パイプ(7)、蓄熱室(27)から選択される少なくとも1にミスト状の水(25)を散布するための噴霧装置(9)を備え、ミスト状の水(25)が蒸発する際の気化熱により外気を冷却することを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項に記載の発明と同様の作用に加え、噴霧装置は、吸気パイプ、外気供給パイプ、蓄熱室から選択される少なくとも1においてミスト状の水を散布するという作用を有する。この結果、ミスト状の水が蒸発する際の気化熱により、吸気パイプ、外気供給パイプ、蓄熱室から選択される少なくとも1の内部を移動する外気を冷却するという作用を有する。
[0009]
 請求の範囲3項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、外気冷却機構は、吸気収容部(4)の床下に埋設される地中熱熱交換パイプ(13)を備え、吸気収容部(4)に送給された外気を地中熱熱交換パイプ(13)に取り込み、地中において熱交換させて外気を冷却することを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項に記載の発明と同様の作用に加え、地中温度が外気温よりも低い場合、地中熱熱交換パイプは、その内部に外気を収容した際に、外気の熱を地中に逃がして、すなわち、外気と地中の間で熱交換させて、外気温を低下させるという作用を有する。
[0010]
 請求の範囲4項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、外気冷却機構は、吸気パイプ(5)、外気供給パイプ(7)、蓄熱室(27)から選択される少なくとも1にミスト状の水(25)を散布するための噴霧装置(9)を備え、ミスト状の水(25)が蒸発する際の気化熱により外気を冷却する第1の外気冷却機構と、
 吸気収容部(4)の床下に埋設される地中熱熱交換パイプ(13)を備え、吸気収容部(4)に送給された外気を地中熱熱交換パイプ(13)に取り込み、地中において熱交換させて外気を冷却する第2の外気冷却機構とを備えることを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項に記載の発明と同様の作用に加え、第1の外気冷却機構において、噴霧装置は、吸気パイプ、外気供給パイプ、蓄熱室から選択される少なくとも1においてミスト状の水を散布するという作用を有する。この結果、ミスト状の水が蒸発する際の気化熱により、吸気パイプ、外気供給パイプ、蓄熱室から選択される少なくとも1の内部を移動する外気を冷却するという作用を有する。
 また、第2の外気冷却機構において地中熱熱交換パイプは、その内部に外気を収容した際に、外気の熱を地中に逃がして、すなわち、外気と地中の間で熱交換させて、外気の温度を低下させるという作用を有する。
 よって、請求の範囲4項に記載の発明は、第1の外気冷却機構及び第2の外気冷却機構の両方で外気を冷却するという作用を有する。
[0011]
 請求の範囲5項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲2項又は請求の範囲4項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、吸気パイプ(5)の外気取込口(5a)は、地表面(19)に向って屈曲又は湾曲し、吸気パイプ(5)は、その外気取込口(5a)近傍に噴霧装置(9)を備えることを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲2項又は請求の範囲4項に記載の自然エネルギー利用空調設備と同様の作用を有するものであり、噴霧装置は水ミストを噴射するという作用を有する。また、吸気パイプの外気取込口を地表面に向って屈曲又は湾曲させると同時に、この吸気パイプの外気取込口近傍に噴霧装置を備えることで、気化せずに水滴となった水ミストを外気取込口から屋外に排出するという作用を有する。
[0012]
 請求の範囲6項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲3項又は請求の範囲4項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、地中熱熱交換パイプ(13)は、外筒(14a)と、外筒(14a)の中空部に内挿される内筒(14b)と、外筒(14a)の中空部又は内筒(14b)の中空部に挿設される水抜きパイプ(37)と、外筒(14a)の中空部又は内筒(14b)の中空部に挿設される水位センサー(35)と、外筒(14a)の中空部に挿設される給水パイプ(38)を備え、内筒(14b)の下端近傍は少なくとも1の通気孔(39)を具備することを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲3項又は請求の範囲4項に記載の発明と同様の作用に加え、地中熱熱交換パイプにおいて、外筒の内側面と内筒の外側面との間に形成される隙間は、給気収容部に導入された外気を地中に向って移動させるという作用を有する。また、このとき、外気の熱を外筒を介して地中に逃がすことで外気温を低下させるという作用を有する。そして、内筒の下端近傍に形成される少なくとも1の通気孔は、内筒の下端近傍に到達した外気を、内筒の中空部側に導出するという作用を有する。
 さらに、内筒の中空部は、内筒の下端側から上端側に向って冷却された外気を移動させるという作用を有する。
 また、水抜きパイプは、外筒の底に溜まった水を熱交換パイプの外に排出するという作用を有する。さらに、水位センサーは外筒の底に溜まった水の水位の高低を検知して検出データを送信するという作用を有する。
 給水パイプは、外筒の内側面と内筒の外側面との間に形成される隙間に水を供給するという作用を有する。
 よって、請求の範囲5項記載の発明においては、地中熱熱交換パイプを外筒と内筒により形成し二重円筒状とすることで、給気収容部から地中に向う通路と、地中から給気収容部に向う通路を分離した状態で形成し、外気の熱を外筒を介して地中に逃がすことで外気を冷却するという作用を有する。
 また、給水パイプから供給される水は、外筒の内側面や内筒の外側面を洗浄しながら外筒の底に到達して貯留され、給気収容部から供給される外気に適度な湿気を与えるという作用を有する。そして、水位センサーにより検知された水位は、水抜き作業又は給水作業の要否の判断を可能にするという作用を有する。
 さらに、外筒の底に溜まる水に給気収容部から送給される外気を当てて水を揺動させることで水が腐敗するのを妨げるという作用を有する。
[0013]
 請求の範囲7項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項乃至請求の範囲6項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、外気供給パイプ(7)はメッシュ体により構成されることを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項乃至請求の範囲6項に記載のそれぞれの発明と同様の作用に加え、外気供給パイプをメッシュ体により構成することで、外気供給パイプから蓄熱室への外気の導出をスムースにするという作用を有する。
[0014]
 請求の範囲8項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項乃至請求の範囲7項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、吸気パイプ(5)は、その外気取込口(5a)に銅製のフィルター(24)を備えることを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項乃至請求の範囲7項に記載のそれぞれの発明と同様の作用に加え、吸気パイプの外気取り込み口に設けられる銅製のフィルターは、銅イオンの殺菌作用によりこのフィルターを通過する外気を殺菌するという作用を有する。
[0015]
 請求の範囲9項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項乃至請求の範囲8項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、外気供給パイプ(7)は、その底部に排水ピット(32)を備え、この排水ピット(32)に収容される水(33)をポンプにより屋外に排出することを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項乃至請求の範囲8項に記載のそれぞれの発明と同様の作用に加え、外気供給パイプの底部に設けられる排水ピットは、外気供給パイプの内部において結露等により生じた水を収容するという作用を有する。
 また、ポンプは、排水ピットに収容された水滴を外部に排出するという作用を有する。
 この結果、外気供給パイプ内に凝結した水が滞留するのを妨げるという作用を有する。
[0016]
 請求の範囲10項記載の発明である自然エネルギー利用空調設備(2)は、請求の範囲1項乃至請求の範囲9項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)であって、吸気収容部(4)は、複数の吸気パイプ(5)を備え、吸気パイプ(5)のそれぞれは、温度センサーと、吸気パイプ(5)を開閉させる開閉機構とを具備し、温度センサー及び開閉機構は制御部に接続され、温度センサーによる外気温の測定値に基づいて吸気パイプ(5)の開閉が制御されることを特徴とするものである。
 上記構成の自然エネルギー利用空調設備は、請求の範囲1項乃至請求の範囲9項に記載のそれぞれの発明と同様の作用に加え、温度センサーは各給気パイプ内の外気温を検知してその測定値を制御部に伝達するという作用を有する。また、制御部は、それぞれの吸気パイプ内の外気温の測定値を比較し、外気温が最も低い吸気パイプの開閉機構に対して「開口」の信号を送信すると同時に、それ以外の吸気パイプの開閉機構に対しては「閉口」の信号を送信するという作用を有する。
 そして、開閉機構は、制御部から「開口」の信号が送られる間、吸気パイプを開口して外気を吸引するという作用を有する。
 よって、請求の範囲10項記載の発明においては、外気温が低い位置に配置される吸気パイプのみから外気を吸気するという作用を有する。
[0017]
 請求の範囲11項記載の発明である建物(1)は、請求の範囲1項乃至請求の範囲10項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)を備えたことを特徴とするものである。
 上記構成の建物は、請求の範囲1項乃至請求の範囲10項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備を備えるものであり、請求の範囲1項乃至請求の範囲10項に記載のそれぞれの発明と同様の作用を有する。

発明の効果

[0018]
 本発明の請求の範囲1項記載の発明によれば、自然エネルギーである、例えば、外気温と地中温の温度差や、あるいは、水の気化熱等を利用して外気を冷却し、この冷却した外気で蓄熱材を冷却することで蓄熱材に冷却能を付与することができるという効果を有する。
 そして、自然エネルギーで冷却された外気と、蓄熱材の冷却能の両者を用いることで、昼夜を問わず快適な温度を有する空気を室内に連続的に送給することができるという効果を有する。
 しかも、外気の冷却を自然エネルギーを利用して行うことで、電力のみを用いて外気を冷却する場合に比べて消費電力を大幅に削減することができるという効果を有する。
 さらに、蓄熱室においてその底面側に配置される蓄熱材の平均粒径を大きくすることでこの部分における空気の流動性を高めることができるという効果を有する。この結果、蓄熱室の底面に複雑な配管構造を形成しなくとも蓄熱室の隅々にまで冷却された外気を行き渡らせることができるという効果を有する。よって、請求の範囲1項に記載の発明を設置する際の施工費を安価にすることができるという効果を有する。
 また、蓄熱室においては底面から建物の床面に向かうにつれ蓄熱材の平均粒径を小さくすることで、蓄熱材の表面積を大きくすることができ、蓄熱材への蓄冷を促進することができるという効果を有する。
 従って、蓄熱室において外気供給パイプから離れた位置に配置される蓄熱材にも効率よく蓄冷させることができるので、請求の範囲1項記載の自然エネルギー利用空調設備2における蓄熱効率を向上させることができるという効果を有する。
 このことはすなわち、蓄熱材の冷却能が高められることを意味しており、室内をより少ない電力で快適に冷房することができるという効果を有する。
 つまり、請求の範囲1項に記載の発明によれば、冷房効率の高い空調設備を安価に提供することができるという効果を有する。
[0019]
 本発明の請求の範囲2項記載の発明は、請求の範囲1項に記載の発明において、特に外気の冷却を地熱により行うものであり、請求の範囲1項に記載の発明と同様の効果を有する。
 特に、外気温よりも地中温が大幅に低い地域においては、地熱により外気温を大幅に低下させることができると同時に、蓄熱材に効率よく蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
[0020]
 本発明の請求の範囲3項記載の発明は、請求の範囲1項に記載の発明において、特に外気の冷却を水の気化熱により行うものであり、請求の範囲1項に記載の発明と同様の効果を有する。
 特に、高温乾燥地域において外気温が高く湿度が低い地域においては、水の気化熱を利用して外気温を大幅に低下させることができると同時に、蓄熱材に効率よく蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
 また、外気の冷却を水の気化熱により行う場合、外気に適度な湿度を与えることができるので、ウィルスによる感染症を予防することができるという効果を有する。
 この結果、地球環境と人体の両方に優しい空調設備を提供することができるという効果を有する。
[0021]
 本発明の請求の範囲4項記載の発明は、請求の範囲1項に記載の発明において、外気の冷却を、地熱と水の気化熱の両者により行うものであり、請求の範囲1項に記載の発明と同様の効果を有する。
 特に、外気温よりも地中温が大幅に低い季節には、地熱により外気温を大幅に低下させることができると同時に、蓄熱材に効率よく蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
 また、外気温が高く湿度が低い季節には、水の気化熱を利用して外気温を大幅に低下させることができると同時に、蓄熱材に効率よく蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
 さらに、外気の冷却を水の気化熱により行う場合、外気に適度な湿度を与えることができるので、ウィルスによる感染症を予防することができるという効果を有する。
 そして、地熱と水の気化熱の両方を利用して外気を冷却することで、周年を通じて少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
[0022]
 本発明の請求の範囲5項記載の発明は、請求の範囲2項又は請求の範囲4項に記載の発明と同様の効果に加え、吸気パイプの外気取込口を、地表面に向って屈曲又は湾曲させることで、ミスト状に散布した水が水滴となって吸気収容部に流入するのを抑制することができるという効果を有する。
 この結果、請求の範囲5項記載の自然エネルギー利用空調設備のメンテナンス作業を軽減することができるという効果を有する。
 また、吸気パイプの外気取込口近傍に噴霧装置を設け、吸気収容部に外気を吸引する前に外気に水ミストを散布することで、外気中の塵や埃を除去しながら外気の冷却を行うことができるという効果を有する。
[0023]
 本発明の請求の範囲6項記載の発明は、請求の範囲3項又は請求の範囲4項に記載の発明と同様の効果に加え、水抜きパイプと水位センサーを備えることで、地中熱交換パイプ内に滞留する水を必要に応じて外部に排出することができるという効果を有する。
 この結果、地中熱交換パイプ内を流動する外気とともに地中熱交換パイプ内に溜まった水が送風設備へと流入する恐れがなくなり、設備の破損や故障を防止することができるという効果を有する。
 また、給水パイプを備えることで、必要に応じて地中熱交換パイプ内を洗浄することができるので、外筒の内側面に埃や塵が付着することで、地中熱熱交換パイプの熱交換効率の低下を防止することができるという効果を有する。
 また、地中熱交換パイプ内に一定量の水を常時貯留しておくことで、地熱により外気を冷却する際に適度な湿度を与えることができるという効果を有する。
 加えて、地中熱交換パイプ内に貯留した水に外気を吹き付けて揺動させておくことで水の腐敗を防止することができるという効果を有する。この結果、地熱により冷却される外気を清浄な状態に保つことができるという効果を有する。
 さらに、外気に適度な湿度を与えることで、ウィルス等による感染症を予防することができるという効果を有する。この結果、地球環境と人体の両方に優しい空調設備を提供することができるという効果を有する。
[0024]
 本発明の請求項7記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲6項のそれぞれに記載される発明と同様の効果に加え、外気供給パイプ全体から外気を蓄熱室にスムースに導出することができるという効果を有する。
 この結果、蓄熱室の隅々にまで冷却された外気を容易に行き渡らせることができ、蓄熱材への蓄冷効率を向上させることができるという効果を有する。
 よって、蓄熱材による外気の冷却効果を高めることができるという効果を有する。
[0025]
 本発明の請求の範囲8項記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲7項のそれぞれに記載される発明と同様の効果に加え、吸気パイプの外気取り込み口に銅製のフィルターを備えることで、吸気パイプから吸引される外気を銅イオンにより殺菌することができるという効果を有する。
 この結果、吸気収容部に吸引される外気を浄化することができるという効果を有する。また、この外気が室内に供給された際に、感染症等が発生するのを防止することができるという効果を有する。
[0026]
 本発明の請求の範囲9項記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲8項のそれぞれに記載される発明と同様の効果に加え、外気供給パイプの内部において結露等により生じた水が滞留するのを防止することができるという効果を有する。
 また、外気供給パイプ内の水抜き作業等のメンテナンス作業の負荷を軽減することができるという効果を有する。
[0027]
 本発明の請求の範囲10項記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲9項のそれぞれに記載される発明と同様の効果に加え、より低い温度を有する外気を選択的に吸気収容部に吸引することができるという効果を有する。
 この結果、外気冷却機構による外気の冷却効率を高めることができる。
 つまり、外気冷却機構により外気温を一層低下させることができるという効果を有する。
 よって、蓄熱材の冷却能が向上し、より少ない電力で室内を快適に冷房することができるという効果を有する。
[0028]
 本発明の請求の範囲11項記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲10項のそれぞれに記載される自然エネルギー利用空調設備を用いた建物であり、請求の範囲1項乃至請求の範囲10項のそれぞれに記載の発明と同様の効果を有する。
 この結果、昼夜を問わず少ない電力で室内を快適に保つことができるという効果を有する。
 よって、地球環境と人に優しい建物を提供することができるという効果を有する。

図面の簡単な説明

[0029]
[図1] 本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備の平面図である。
[図2] 本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備およびそれを備えた建物の断面図である。
[図3] 図1中のA-A線矢視断面図である。
[図4] 本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備の部分断面図である。
[図5] 本発明に係る吸気パイプの変形例を示す部分断面図である。
[図6] 本発明に係る地中熱熱交換パイプの変形例を示す断面図である。
[図7] インドのニューデリーの5月下旬頃の気温と湿度の経時変化を示すグラフである。
[図8] 本実施の形態に係る空調設備の稼働状態を示す図である。
[図9] (a)はインドのニューデリーの年間気温等を各月ごとに示した表であり、(b)は各月ごとの本実施の形態に係る空調設備の稼働状況を示す図である。

符号の説明

[0030]
1…建物
2…自然エネルギー利用空調設備
3…基礎
4…吸気収容部
5…吸気パイプ
5a…吸気口
5b…排気口
6…蓄熱材
7…外気供給パイプ
8…送風設備
9…噴霧装置
10…孔
11…室内
12…制御部
13…地中熱熱交換パイプ
14a…外筒
14b…内筒
15…連結パイプ
16…吸気口
17…排気口
18…屋外
19…地表面
20…床面
21…送風口
22…外壁
23…屋根
24…フィルター
25…水ミスト
26…地中
27…蓄熱室
27a…底面
28…仕切壁
29…吸気パイプ
29a…吸気口
29b…排気口
30…給気集合部
31…弁
32…排水ピット
33…水
34…水
35…水位センサー
36…導電コード
37…水抜きパイプ
38…給水パイプ
39…通気孔
40…水抜きパイプ
41…地中熱熱交換パイプ

発明を実施するための最良の形態

[0031]
 以下に、本発明の最良の実施の形態に係る空調設備及びそれを用いた建物について図1乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
[0032]
 本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備は、地熱や水の気化熱等の自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却した外気により蓄熱材に蓄冷しながら室内を冷房することで、昼夜を問わず少ない消費電力で室内を快適な環境に保つことのできる空調設備である。
 また、本実施の形態に係る建物は、上述のような本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備を住宅、事務所、工場、学校、集会所、公共施設、鶏畜舎、農業ハウス、店舗施設などのすべての建物に設置したものである。
 図1は本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備の平面図であり、図2はそれを備えた建物の断面図である。
 図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2は、地表面19上に例えば、コンクリート製の基礎3の内部に蓄熱材6を収容する蓄熱室27が形成され、この蓄熱室27の一部が仕切壁28により仕切られて吸気収容部4となっている。
 また、吸気収容部4を構成する基礎3の壁面には、貫通孔が形成されており、この貫通孔に屋外18から外気を吸引するための吸気パイプ5が接続されている。
 なお、吸気パイプ5の吸気口5aに銅製のフィルター24を設けておいてもよい。この場合、銅イオンの殺菌効果により、吸気収容部4に吸引される外気を殺菌して浄化することができるという効果を有する。
 そして、吸気収容部4には送風設備8が設けられており、自然エネルギーを利用した外気冷却機構である、例えば地中熱熱交換パイプ13において冷却された外気を回収して蓄熱室27内に配設される外気供給パイプ7に送給している。
 また、吸気パイプ5の排気口5bから吸気収容部4に導出された外気の一部は、吸気収容部4から直接地中熱熱交換パイプ13内に流入して地中熱により冷却された後、送風設備8の作動により生じる空気の流れによって弁31を介して給気集合部30に集められ、給気集合部30に設けられる吸気口16から吸引される外気とともに、吸気収容部4と蓄熱室27の間に介設される排気口17に送給され、この後、排気口17に接続される外気供給パイプ7から蓄熱室27内に導出される。
 なお、外気供給パイプ7の胴部には多数の孔10が形成されており、外気供給パイプ7全体から蓄熱室27内に冷却された外気が供給される仕組みになっている。
 そして、外気供給パイプ7の孔10から供給される外気を、蓄熱室27内に収容される蓄熱材6に接触させて、蓄熱材6と外気との間で熱交換を行い蓄熱材6に蓄冷することで蓄熱材6に冷却能を付与している。
 また、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の蓄熱室27及び吸気収容部4上には床面20が形成され、この床面20上に外壁22を形成して屋根23を設けたものが本実施の形態に係る建物1である。
 よって、蓄熱室27内において熱交換された外気は床面20に形成される送風口21から室内11へと送給され、室内11を快適な温度に冷房する。
 このように、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2及びそれを用いた建物1によれば、自然エネルギーを利用した外気冷却機構により冷却された外気により、蓄熱材6に蓄冷しながら室内11を冷房することで、昼夜を問わず室内11を快適な温度に保つことができるという効果を有する。
[0033]
 なお、図1、図2においては、特に、吸気パイプ5から吸引される外気を自然エネルギーの一種である地熱により冷却する場合を例に挙げて説明しているが、必ずしも地熱を用いて外気を冷却する必要はなく、例えば、水の気化熱を利用して外気を冷却してもよいし、あるいは、昼夜の温度差が大きい場合には、温度が十分に低下した外気をそのまま利用して蓄熱材6に蓄冷しても良い。
 本実施の形態においては、地熱や水の気化熱、あるいは昼夜の温度差等のように自然現象を利用して外気温を低下させる機構を総称して外気冷却機構と呼ぶ。
 また、本願明細書において「蓄熱材6が冷却能を有する」とは、蓄熱材6の温度がその周囲に存在する外気の温度よりも低い場合に、熱交換により蓄熱材6が外気の熱を奪って外気温を低下させることができること、すなわち、蓄熱材6が外気に対して冷却効果を有することを意味している。
 例えば、蓄熱材6の比熱をC[J/kg・K]とし、外気温をTo[K]、蓄熱材6の外気温より低い温度をTa[K]とすると、C(Ta-To)は負値となるが、この値の絶対値が、蓄熱材6が単位重量当り外気を冷却できる熱量を表し、蓄熱材の単位重量当りの冷却能の定量的な表現となる。また、蓄熱材6の全体重量がM[kg]であるとすると、CM(Ta-To)の絶対値が、蓄熱材6全体としての冷却能の定量的な表現となる。
[0034]
 次に、本実施の形態に係る蓄熱室27内に配置される蓄熱材6について図3を参照しながら詳細に説明する。
 図3は図1中のA-A線矢視断面図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、外気供給パイプ7の胴部には多数の孔10が形成されているが、図3では孔10の記載を省略している。
 図3に示すように、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の蓄熱室27には、底面27aに外気供給パイプ7が配置され、外気供給パイプ7の周囲に粒塊状の蓄熱材6が隙間を形成しながら収容されている。
 また、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、蓄熱室27の底面27a側に配置される蓄熱材6の平均粒径を大きく、床面20に向うにつれて平均粒径が小さくなるよう構成している。
 このように、蓄熱室27の底面27a側に平均粒径の大きい蓄熱材6aを配置することで、蓄熱材6,6の間に形成される空隙を広くすることができる。そして、この隙間は外気供給パイプ7から導出される外気の通気路として作用するので、外気を蓄熱室27の隅々にまで行き渡らせることができるという効果を有する。
 この結果、蓄熱室27の隅々時まで外気を行き渡らせるために底面27a上に網目状の配管構造を形成する必要がなく、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2及びこれを用いた建物1の施工を容易にすると同時に、その費用をも大幅に削減することができるという効果を有する。
[0035]
 さらに、蓄熱室27の底面27aから床面20に向って、蓄熱材6の平均粒径を小さくすることで(蓄熱材6a~6cを参照。)、床面20に向うにつれ蓄熱材6の表面積を増大させることができるという効果を有する。
 この結果、床面20に向うにつれ外気供給パイプ7から導出される冷却された外気と蓄熱材6との接触面積が大きくなり、蓄熱材6と外気との間の熱交換作用を促進することができるという効果を有する。
 従って、蓄熱室27内における蓄熱材6の蓄冷効率を向上することができ、蓄熱材6の冷却能を高めることができるという効果を有する。
 より具体的には、蓄熱室27内に平均粒径が最も大きい6aのみを収容した場合に比べて、蓄熱材6の蓄熱効率を約1.4倍にすることができるという効果を有する。
 そして、外気供給パイプ7において熱交換された外気は床面20に形成される送風口21から室内11に送給されて室内11を冷房するのである。
[0036]
 なお、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、蓄熱材6aの平均粒径を1とした場合に、蓄熱材6b,6cの平均粒径をそれぞれ、0.67~0.80、0.50~0.60にすると良い。
 なお、蓄熱材6の平均粒径は、図3に示す蓄熱材6a~6cのように、必ずしも3段階である必要はなく、蓄熱材6aの平均粒径から蓄熱材6cの平均粒径に近づくように段階的に蓄熱材6の平均粒径を小さくしていってもよい。
 この場合も、蓄熱材6の蓄熱効率を向上させて、蓄熱材6の冷却能を高めることができるという効果を有する。
 より具体的には、延べ床面積が1000m 程度までの比較的狭い建物1に本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を設ける場合、蓄熱材6aの平均粒径は80~100mm程度であればよい。
 また、延べ床面積が1000m を超える大規模な建物1に本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を設ける場合、蓄熱材6aの平均粒径は150~200mm程度であればよい。
[0037]
 また、蓄熱材6の材質としては、砕石以外にも、空気の調湿や浄化機能を有するフライアッシュの加工品、ゼオライト等を用いることが可能である。
 なお、蓄熱材6として、砕石と、空気の調湿や浄化機能を有するフライアッシュの加工品やゼオライト、あるいは、この両者を混合したものを用いてもよい。
 特に、蓄熱材6として調湿機能を備える素材を使用した場合には、外気中の湿度が高い場合に、外気から過剰な湿気を除去することができるという効果を有する。
 また、特に蓄熱材6として空気浄化機能を有する素材を用いた場合には、フィルター24により除去することのできない有害物質等を外気中から除去することができるという効果を有する。
[0038]
 さらに、特に図示しないが本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、外気供給パイプ7を網目状のメッシュ体により構成してもよい。
 この場合、外気供給パイプ7の胴部に多数の孔10を形成した場合に比べて、外気供給パイプ7から蓄熱室27内への外気の流動性を向上させることができるという効果を有する。
 また、図3に示すように、外気供給パイプ7の底部に排水ピット32を設けておき、外気供給パイプ7内において結露等により生じた水33を排水ピット32に一時的に収容しておき図示しないポンプにより排出してもよい。
 この場合、外気供給パイプ7内において余剰な水33が滞留するのを防止することができ、外気供給パイプ7を衛生的な状態に維持することができるという効果を有する。
 さらに、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を、公共施設等の大型の建物に施工する場合には、外気供給パイプ7を人が侵入できる程度の大きさにし、さらに、このような外気供給パイプ7と床面20とを図示しない点検用孔で連結しておいてもよい。
 この場合、点検用孔から外気供給パイプ7の内に人が進入して点検や修理等を行うことができるので、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2のメンテナンスを一層容易にすることができるという効果を有する。
[0039]
 このような、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2によれば、自然エネルギーを利用した外気冷却機構により冷却された外気を用いて、蓄熱材6に効率よく蓄冷することができるという効果を有する。
 この結果、自然エネルギーを利用した外気冷却機構による十分な外気の冷却効果が期待できない時間帯に、蓄熱材6の冷却能を利用して、室内11に供給するための外気を冷却することができるという効果を有する。
 この結果、少ない電力により昼夜を問わず室内温度を快適に保つことができるという効果を有する。
 よって、空調に係る電力消費量を大幅に削減することができると同時に、電気代を節約することができるという効果を有する。
 しかも、蓄熱室27における外気供給パイプ7の配管構造を簡素にすることができるので、その施工が容易でかつコストも安価にすることができ、人と地球環境の両方に優しい空調設備を提供することができるという効果を有する。
[0040]
 次に図2及び図4を参照しながら本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備の外気冷却機構について詳細に説明する。
 図4は本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備の部分断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
 図2及び図4に示すように、本発明の実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2は、外気冷却機構として、噴霧装置9と地中熱熱交換パイプ13の2種類を備えている。
 より具体的には、吸気パイプ5の内部には第1の外気冷却機構として噴霧装置9が設けられており、吸気口5aから吸引された外気が吸気パイプ5の内部を通過する際に、噴霧装置9により水ミスト25が噴霧される仕組みになっている。
 この場合、水ミスト25が気化する際に外気から気化熱が奪われて外気温をその露点温度程度にまで低下させることができるという効果を有する。この結果、外気を冷却することができるという効果を有する。
 また、噴霧装置9により外気にミスト25を噴霧することで、外気中の塵や埃を除去しながら、外気に適度な湿度を与えることができるという効果も有する。
 なお、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、第1の外気冷却機構として吸気パイプ5の内部に噴霧装置9を備える場合を例に挙げて説明しているが、噴霧装置9の設置場所は必ずしも吸気パイプ5である必要はなく、例えば、外気供給パイプ7の内部や、蓄熱室27の内部に設けても良い。
 つまり、吸気パイプ5、外気供給パイプ7、蓄熱室27から選択される少なくとも1に噴霧装置9を設けておくことで、十分な外気の冷却効果を発揮させることができる。
 例えば、吸気パイプ5、外気供給パイプ7、蓄熱室27のすべてに噴霧装置9を設けても良い。この場合、吸気パイプ5、外気供給パイプ7、蓄熱室27に設けられるそれぞれの噴霧装置9から供給される水ミスト25の量の比を、例えば、5:3:2のように設定しておき、外気が吸気パイプ5から蓄熱室27に移動するにつれて段階的に外気が冷却されるよう構成してもよい。
 なお、外気を水の気化熱を利用して冷却する外気冷却機構は、粒塊状の栗石を単に床下に収容した従来公知の蓄熱設備に設けても良い。
 この場合、粒塊状の栗石の冷却効果が高まることで、従来公知の蓄熱設備の蓄冷効率を向上させることができるという効果を有する。
[0041]
 ここで、図5を参照しながら吸気パイプ5の変形例について詳細に説明する。図5は本発明に係る吸気パイプの変形例を示す部分断面図である。
 図5に示すように、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の給気パイプ29は、その外気取り込み口である吸気口29aを地表面19に向って屈曲又は湾曲させ、さらに、噴霧装置9を吸気口29aの近傍に設けてもよい。
 この場合、外気の吸引時に気化しなかった水ミスト25が給気パイプ29から吸気収容部4へ流入するおそれを低減することができるという効果を有する。
 また、給気パイプ29の内において気化することなく水滴となった水は、給気パイプ29の内側面を伝って屋外18に排出されるので、吸気収容部4内に別途排水設備を設ける必要がない。
 従って、図5に示すような給気パイプ29を用いることによれば、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の機能性を向上させることができるという効果を有する。
[0042]
 再び図4の説明に戻るが、外気温の露点温度に程度にまで冷却された外気は排気口5bから吸気収容部4内に導出され、その一部は吸気収容部4の床面に埋設される地中熱熱交換パイプ13に送給されて地熱により地中温程度にまで冷却される。
 より具体的には、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の第2の外気冷却機構である地中熱熱交換パイプ13は、図2及び図4に示すように、外筒14aの中空部に内筒14bが内挿された二重円筒体であり、内筒14bの上端は連結パイプ15により連結され、弁31を介して給気集合部30に接続されている。
 本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、吸気収容部4内において送風設備8を作動させると給気集合部30から排気口17に向う空気の流れが生じるのであるが、給気集合部30には弁31を介して連結パイプ15が接続されているので、連結パイプ15の内部には内筒14bの中空部の外気を吸引するような空気の流れが発生する。
 この空気の流れによって、吸気収容部4に収容される外気の一部が外筒14aと内筒14bの隙間から地中26に向って進入し、外筒14aの上端からその底に向う過程において熱交換により外気の熱が地中26に奪われることで外気が地中温近くまで冷却されるのである。
 そして、外筒14aの底に到達した外気は内筒14bの下端から内筒14bの中空部に流入して内筒14bの上端に向って上昇し、連結パイプ15から弁31を介して給気集合部30に供給されるのである。
 また、内筒14bの下端近傍には通気孔39が形成されており、外筒14aの底に水が滞留した場合でも、外筒14aと内筒14bの隙間から内筒14bの中空部に外気が確実に進入することができるよう構成されている。
[0043]
 このような地中熱熱交換パイプ13によれば、吸気パイプ5においてその外気温の露点温度程度にまで冷却された外気を、さらに地中温程度にまで冷却することができるという効果を有する。
 この結果、十分に冷却された外気を蓄熱室27に送給して蓄熱材6に蓄礼することで、蓄熱材6に高い冷却能を付与することができるという効果を有する。
 従って、第1の外気冷却機構による十分な外気の冷却効果が期待できない時間帯に、冷却能を有する蓄熱材6により外気を冷却して室内11に供給することで、室内11の温度を快適に保つことができるという効果を有する。
 よって、室内の空調にかかる消費電力量を削減することができると同時に、電気代を節約することができるという効果を有する。
[0044]
 ここで地中熱熱交換パイプ13の変形例について図6を参照しながら詳細に説明する。
 図6は本発明に係る地中熱熱交換パイプの変形例を示す断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
 図6に示すように、変形例に係る地中熱熱交換パイプ41は、図4に記載の地中熱熱交換パイプ13と同じ構成に加え、内筒14bの中空部に水抜きパイプ37及び水位センサー35を、また、外筒14aと内筒14bの隙間に給水パイプ38を備えるものである。
 さらに、図6には示さないが、水抜きパイプ37に例えば排水ポンプを設けておき、水位センサー35とこの排水ポンプとを導電コードで制御部12に接続し、水位センサー35により外筒14a内の水位の上昇が検知された場合に排水ポンプを駆動して外筒14a内の水34が排出されるよう構成してもよい。
[0045]
 このような変形例に係る地中熱熱交換パイプ41によれば、外筒14aと内筒14bの間に給水パイプ38により水を供給することで、熱交換が行われる外筒14aの内側面を洗浄することができるという効果を有する。
 この結果、外筒14aの内側面に外気中に含まれる塵や埃が付着して地中26と外気との間の熱交換効率が低下するのを防止することができるという効果を有する。
 さらに、水位センサー35により、外筒14aの底に一定以上の水34が溜まったことが検知された場合に、水抜きパイプ37により地中熱熱交換パイプ41の外に水34を排出することができるので、外筒14a内における水位を適切に保つことができ、水34により地中熱熱交換パイプ41内における外気の移動が妨げられるのを防止することができるという効果を有する。
 他方、外筒14aの底に一定量の水34を貯留しておくことで、地中熱熱交換パイプ41内を移動する外気に適度な湿気を与えることができるという効果を有する。
 この場合、変形例に係る地中熱熱交換パイプ41を備えた自然エネルギー利用空調設備2により、室内11に適度な湿度を有する外気を供給することができるので、室内11の乾燥を防止することができ、人体にとって快適な環境を維持することができるという効果を有する。
 また、外筒14aの底に貯留された水34は、地中熱熱交換パイプ41内を移動する外気が吹き付けられて常に揺動するので、水34が腐敗するのを防止することができるという効果を有する。
 この結果、冷却された外気が不衛生になるのを防止することができるという効果を有する。
 なお、水抜きパイプ37及び水位センサー35は、外筒14aと内筒14bの隙間に配置されてもよい。
 また、上記変形例に係る地中熱熱交換パイプ41を用いた外気冷却機構は、粒塊状の栗石を単に床下に収容した従来公知の蓄熱設備に設けても良い。
 この場合、粒塊状の栗石の冷却効果が高まることで、従来公知の蓄熱設備の蓄冷効率を向上させることができるという効果を有する。
[0046]
 なお、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2においては、たとえば、屋外18、吸気パイプ5、吸気収容部4、地中熱熱交換パイプ13、蓄熱室27、室内11のそれぞれに図示しない温度及び湿度検知センサーを設けておき、それぞれの温度及び湿度検知センサーを図1及び図4に示す制御部12に接続し、さらに、噴霧装置9と、弁31についても制御部12に接続しておき、それぞれの温度及び湿度検知センサーによる検出値に基づいて、噴霧装置9の作動と停止並びに、弁31の開閉を制御してもよい。
 より具体的には、例えば、外気温が高く湿度の低い日中は、第1の外気冷却機構(噴霧装置9)及び第2の冷却機構(地中熱熱交換パイプ13)を作動して、水の気化熱と地熱により外気を十分に冷却し、さらに、この冷却された外気を用いて蓄熱材6に蓄冷しながら室内11を冷房し、外気温が比較的低く湿度が高い夜間は、第1の冷却機構(噴霧装置9)の作動を停止して、第2の冷却機構(地中熱熱交換パイプ13)により外気を除熱してから蓄熱材6により外気を冷却して室内11を冷房してもよい。
 また、例えば、地中温が高く第2の冷却機構による外気の十分な冷却効果が期待できない場合には、第1の冷却機構のみにより外気を冷却して、蓄熱材6に蓄冷してもよい。この場合、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2に必ずしも地中熱熱交換パイプ13を設けなくともよい。
 逆に、外気中の湿度が高く第1の冷却機構による外気の十分な冷却効果が期待できない場合には、第1の冷却機構のみにより外気を冷却して、蓄熱材6に蓄冷してもよい。この場合、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2に必ずしも噴霧装置9を設けなくともよい。
 また、昼夜の温度差が特に大きく、夜間に温度が低下した外気を用いることで蓄熱材6に十分蓄冷することができる場合には、第1、第2の外気冷却機構の作動を停止して、吸気パイプ5から吸引される外気を直接蓄熱室27に送給してもよい。
 いずれの場合も、日中の冷房にかかる消費電力を削減することができるという効果を有する。
[0047]
 さらに、本実施の形態に係る第1、第2の冷却機構により十分な外気の冷却効果が期待できない場合には、既存の空調設備と、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2とを併用して室内11を冷房してもよい。
 あるいは、電力料金の安い夜間電力を利用して夜間に蓄熱材6に蓄冷しておき、日中、蓄熱材6の冷却能により外気を冷却して室内11を冷房しても良い。
 この場合も、室内11の空調にかかる電力消費量を節減することができるという効果を有する。
 また、第1の冷却機構により外気を冷却した際の外気温よりも地中26の地中温が高い場合には、地中熱熱交換パイプ13を蓄熱設備として用い、地中26に蓄冷することも可能である。
 この場合、地中熱熱交換パイプ13及び蓄熱材6に冷却能を付与することができるので、やはり少ない電力消費量により室内11を冷房することができるという効果を有する。
[0048]
 なお、特に図示しないが、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の吸気収容部4に複数の吸気パイプ5,5,…,5を接続し、それぞれの吸気パイプ5の吸吸気口5aを建物1の別々の側面に配置し、それぞれの吸気パイプ5,5,…,5の吸吸気口5a近傍に温度センサーを設け、また、吸気パイプ5,5,…,5のそれぞれに吸気パイプを開閉させる開閉機構を設けておき、さらに、それぞれの温度センサー及び開閉機構を制御部に接続し、温度センサーの検出値に基づいて、吸気パイプ5,5,…,5の開閉を制御してもよい。例えば、複数の吸気パイプ5の中から、温度の低い外気を供給し得る吸気パイプ5を順次選択しつつ、開閉機構の開度を調節しながら、必要な吸気量を得るようにして、可能な限り低エンタルピーの外気を供給できるように制御する。あるいは、供給される温度を設定可能としておき、制御部でエンタルピーの演算を行い、その演算結果に応じて設定された温度に近づくようにそれぞれの吸気パイプ5の開度を調整するように制御するようにしてもよい。
 この場合、建物1において日陰で外気温が低くなっている吸気パイプ5から選択的に吸気収容部4に外気を吸引することができるという効果を有する。
 この結果、建物1において日向に配置される吸気口5aから外気を吸気した場合に比べて、第1,第2の外気冷却機構による外気温の冷却効果を高めることができる。
 従って、室内11を一層効率よく冷房することができるので、空調にかかる電力消費量を一層削減することができるという効果を有する。
[0049]
 最後に、図7乃至図9を参照しながら本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の効果についてさらに詳細に説明する。
 図7は高温乾燥地域の気温と湿度の経時変化を示すグラフである。
 図7に示すように、例えば砂漠の近くに位置する高温乾燥地域では、日中の気温が40度近くまで上昇するものの、外気の湿度は相対湿度で15%と低く乾燥状態となる。逆に、夜間になると、外気温は20℃近くまで低下するものの、湿度は80%程度まで上昇する。
 従って、このような気温及び湿度条件を有する高温乾燥地域においては、日中、外気温の上昇に伴って湿度が十分に低下した際に、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の噴霧装置9により吸気パイプ5の内部に水ミスト25を発生させながら外気を給気することで、水が蒸発する際の気化熱を利用して外気を20℃近くまで冷却すると同時に、乾燥した外気の湿度を70%程度にまで上昇させることができる。
 さらに、水の気化熱を利用して冷却された外気を蓄熱室27に送給することで、蓄熱材6に蓄冷させることができるという効果を有する。さらに、蓄熱材6に冷気を移した後の外気温は、人体にとって快適な温度(24℃程度)になっており室内11を適度に冷房することができるという効果を有する。
 なお、一般に高温乾燥地域においては、地中温度が高いので、地中熱熱交換パイプ13による外気の冷却効果は期待できないものの、地中熱熱交換パイプ13を備えることで、地中26にも蓄冷させることができる。
 あるいは、万一、地中26の温度が、水の気化熱を利用して冷却された外気の温度よりも低い場合には、地中熱熱交換パイプ13に外気を送給することで、外気をさらに冷却することができる。
 また、夜間は、外気温の低下に伴って外気中の湿度が上昇する。このため、吸気パイプ5における水ミスト25の散布を停止して温度が低下した外気を吸気し、この外気を蓄熱室27に直接送給して蓄熱材6により冷却してから床面20の送風口21から送給して室内11を冷房すればよい。
 なお、地中26にも蓄冷されている場合には、地中熱熱交換パイプ13に夜間の外気を送給して冷却することもできる。あるいは、地中26の温度が、夜間の外気温よりも低い場合には、地中熱熱交換パイプ13に外気を送給することで、外気を地熱により冷却することも可能である。
 また、日中、水の気化熱による十分な外気の冷却効果が期待できない場合には、従来公知のエアコン等の空調設備と、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2とを併用して室内11を冷房しても良い。
 なお、夜間は相対湿度が高くなるので、必要に応じて、蓄熱材6や地中熱熱交換パイプ13において冷却された外気を除湿してから室内11に供給してもよい。
[0050]
 図8は高温乾燥地域においてエアコン等の空調設備を稼働させた場合の電力使用量の経時変化を示すグラフである。
 図8に示すように、日中の気温が高くかつ相対湿度が低い高温乾燥地域において本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を稼働させた場合、昼間の電力使用量を低減する(図8中の紙面左側斜線部分を参照。)ことができるという効果を有する。
 また、日中、水の気化熱や地中熱等の自然エネルギーを利用しても外気の十分な冷却効果が得られず、蓄熱材6や地中26への蓄冷が不十分な場合には、電力使用料の安い夜間の電力を利用してエアコン等により外気を冷却して、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の蓄熱材6や地中26に蓄冷することも可能である(図8中の紙面右側斜線部分を参照。)。
 そして、夜間に冷却能を有する蓄熱材6や地中熱熱交換パイプ13により外気を冷却して、気温の高い日中、室内11を冷房することができるという効果も有する。
 この場合、室内11にエアコン等の電力により外気を冷却する空調設備を別途設けておき、この空調設備から室内11に送給される冷風を外気供給パイプ7に供給するための配管と、この冷風の配管内の移動を制御するための弁を設けておけばよい。
 この場合も図8に示すように、日中の電力使用量を低減することができるという効果を有する。
[0051]
 ここで、図9を参照しながらインドのニューデリーで本実施の形態に係る空調設備を稼働した場合の例について説明する。
 図9(a)はインドのニューデリーの年間気温等を各月ごとに示した表であり、(b)は各月ごとの本実施の形態に係る空調設備の稼働状況を示した図である。
 インドのニューデリーでは雨季の最高気温は45℃を越え、乾季でも最高気温は30℃近くになる。
 このような地域においては、乾季である1月から5月及び9月から12月の間は本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の稼働のみで室内11を十分に冷房することが可能である。つまり、インドのニューデリーでは、乾季の終わりである5月下旬の最高気温が46℃であるのに対して、外気の相対湿度は概ね15%程度であり、吸気パイプ5から外気を吸気する際に噴霧装置9により外気に水ミスト25を散布することで外気を約22℃まで冷却することができる。
 この結果、インドのニューデリーにおいては、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を用いることにより、室内11の冷房にかかる電力の消費を大幅に削減することができるという効果を有する。
 その一方で、雨季である5月下旬から8月の3ヶ月間は、外気中の相対湿度が高く本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を用いても十分な外気の冷却効果が期待できない。
 このため、噴霧装置9を作動させることなく吸気パイプ5から外気を吸気して地熱や、夜間に予め蓄冷した蓄熱材6により外気を冷却しながら、従来公知のエアコン等の空調設備を併用して室内11を冷房する必要がある。
 この場合も、例えば、夜間電力を利用して自然エネルギー利用空調設備2の蓄熱材6や地中26に蓄冷しておくことで、地中熱熱交換パイプ13や蓄熱材6の冷却能を利用して外気を冷却して少ない電力で室内を冷房することができる。
 よって、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を用いることによれば、高温乾燥地域において室内を快適な温度と湿度に保つために必要な電力を少なくとも25%節減することができるという効果を有する。
[0052]
 このように、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2は、特に日中の最高気温が35℃以上で、かつ、この時の相対湿度が25%以下であるような気候条件を有する地域において、水の気化熱や地中熱といった自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却された外気で地中26や蓄熱材6に蓄冷させながら室内11を冷房することができるという効果を有する。
 この結果、水の気化熱による十分な外気の冷却効果が得られない時間帯に、蓄熱材6や地中熱熱交換パイプ13の冷却能を利用して室内11を冷房することができるという効果を有する。
 従って、室内11の冷房に係る電力消費量を低減させることができるという優れた効果を有する。
[0053]
 最後に、夏季に高温となる世界の主要な都市における本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2の使用例について説明する。
(使用例1)
 アメリカのラスベガスにおいては、7月の最高気温が約45℃、相対湿度は17%程度であるため、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2を利用することで、外気を露点温度である19.5℃まで冷却することができる。
 従って、冷却された外気を用いて室内11を冷房しながら、冷却能を有する蓄熱材6で夜間の外気を冷却することで快適な冷気を室内11に供給することが可能である。
 すなわち、昼夜を通して室内11を快適な温度に維持することが可能である。
 また、ラスベガスでは、夜間も相対湿度が低ので、日中、蓄熱材6に蓄熱する際に蓄熱室27に溜まった湿気を夜間の低湿な外気と混和して室内11に供給することで、夜間における室内11を快適な湿度(相対湿度60%)に維持することができるという効果を有する。
 なお、室内11に供給する外気の湿度調整は、自然エネルギー利用空調設備2に係る吸気パイプ5の吸気口5aや床面20の送風口21に湿度センサーを設けておき、これらの湿度センサーの検出値に基づいて吸気パイプ5から吸入する外気量をコンピューター等により自動制御してもよい。
[0054]
(使用例2)
 アメリカのニューヨークでは、夏季、日中の最高気温は約32℃で相対湿度は53%であり、水の気化熱を利用した外気の十分な冷却効果は期待できない。
 その反面、地下4~5mの地点における地中温が12~13℃であるので、夜間に冷気を吸気パイプ5から噴霧装置9を停止した状態で給気し、地中熱熱交換パイプ13へと送給して地熱により外気を十分に冷却し、冷却された外気を用いて蓄熱材6に蓄冷しておくことで、気温が上昇する日中に冷却能を有する蓄熱材6で外気を冷却して室内11を冷房することができる。
 このように、気温の高い時期に相対湿度が高い地域であって、特に地中熱が低い場合には、噴霧装置9を必ずしも設ける必要はない。
 この場合、地熱による外気の高い冷却効果と蓄熱材6による高い蓄熱効果により室内11を快適な温度に維持することができるという効果を有する。
[0055]
(使用例3)
 ブルガリアのサンダンスキにおいては、夏季の最高気温は約44℃で相対湿度は35%程度であり、水の気化熱を利用した外気の十分な冷却効果は期待できない。
 その反面、地下4~5mの地点における地温が13~14℃であるので、上述のアメリカのニューヨークの場合と同様に、本実施の形態に係る自然エネルギー利用空調設備2に、噴霧装置9を設ける必要はなく、地熱による外気の高い冷却効果と蓄熱材6による高い蓄熱効果により夏季に電力を大量に消費することなく室内11を快適な温度に維持することができるという効果を有する。

産業上の利用可能性

[0056]
 以上説明したように、本発明は自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却された外気を用いて室内を冷房しながら効率よく蓄熱材に蓄冷することで、昼夜を問わず少ない電力で室内を冷房することができ、しかも施工に係るコストが廉価な空調設備およびそれを用いた建物に関するものであり、特に高温地域や高温乾燥地域における空調設備に関する分野において利用可能である。

請求の範囲

[1]
 自然エネルギーを利用して外気を冷却し、冷却された前記外気により蓄熱材(6)を冷却して蓄冷し、前記蓄熱材(6)の冷却能により室内(11)を冷却する自然エネルギー利用空調設備(2)であって、
 前記自然エネルギー利用空調設備(2)は、床下に形成される蓄熱室(27)と、前記蓄熱室(27)に隣接して設けられる吸気収容部(4)と、前記吸気収容部(4)に接続され外気を吸気する吸気パイプ(5)と、前記吸気パイプ(5)から吸引される外気を自然エネルギーを利用して冷却する外気冷却機構と、この外気冷却機構により冷却された外気を前記蓄熱室(27)に導出する外気供給パイプ(7)と、前記外気冷却機構において冷却された前記外気を前記外気供給パイプ(7)に送給する送風設備(8)と、前記蓄熱室(27)内に収容され蓄冷又は放冷する蓄熱材(6)とを有し、
 前記外気供給パイプ(7)は、その胴部に多数の孔(10)を備え、
 前記蓄熱材(6)は、粒塊状に形成され、前記蓄熱室(27)の底面から床面に向うにつれその平均粒径が小さく構成され、
 前記送風設備(8)を駆動して、前記吸気パイプ(5)から前記外気を取り込んで前記外気冷却機構により前記外気を冷却し、冷却された前記外気を前記外気供給パイプ(7)を介して前記蓄熱室(27)に供給し、前記外気を前記蓄熱材(6)に接触させて前記蓄熱材(6)を冷却することで前記蓄熱材(6)に冷却能を付与することを特徴とする自然エネルギー利用空調設備(2)。
[2]
 前記外気冷却機構は、前記吸気パイプ(5)、前記外気供給パイプ(7)、前記蓄熱室(27)から選択される少なくとも1にミスト状の水(25)を散布するための噴霧装置(9)を備え、ミスト状の前記水(25)が蒸発する際の気化熱により前記外気を冷却することを特徴とする請求の範囲1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[3]
 前記外気冷却機構は、前記吸気収容部(4)の床下に埋設される地中熱熱交換パイプ(13)を備え、前記吸気収容部(4)に送給された前記外気を前記地中熱熱交換パイプ(13)に取り込み、地中において熱交換させて前記外気を冷却することを特徴とする請求の範囲1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[4]
 前記外気冷却機構は、前記吸気パイプ(5)、前記外気供給パイプ(7)、前記蓄熱室(27)から選択される少なくとも1にミスト状の水(25)を散布するための噴霧装置(9)を備え、ミスト状の前記水(25)が蒸発する際の気化熱により前記外気を冷却する第1の外気冷却機構と、
 前記吸気収容部(4)の床下に埋設される地中熱熱交換パイプ(13)を備え、前記吸気収容部(4)に送給された前記外気を前記地中熱熱交換パイプ(13)に取り込み、地中において熱交換させて前記外気を冷却する第2の外気冷却機構とを備えることを特徴とする請求の範囲1項記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[5]
 前記吸気パイプ(5)の外気取込口(5a)は、地表面(19)に向って屈曲又は湾曲し、
 前記吸気パイプ(5)は、その外気取込口(5a)近傍に前記噴霧装置(9)を備えることを特徴とする請求の範囲2項又は請求の範囲4項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[6]
 前記地中熱熱交換パイプ(13)は、外筒(14a)と、前記外筒(14a)の中空部に内挿される内筒(14b)と、前記外筒(14a)の中空部又は前記内筒(14b)の中空部に挿設される水抜きパイプ(37)と、前記外筒(14a)の中空部又は前記内筒(14b)の中空部に挿設される水位センサー(35)と、前記外筒(14a)の中空部に挿設される給水パイプ(38)を備え、
 前記内筒(14b)の下端近傍は少なくとも1の通気孔(39)を具備することを特徴とする請求の範囲3項又は請求の範囲4項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[7]
 前記外気供給パイプ(7)はメッシュ体により構成されることを特徴とする請求の範囲1項乃至請求の範囲6項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[8]
 前記吸気パイプ(5)は、その外気取込口(5a)に銅製のフィルター(24)を備えることを特徴とする請求の範囲1項乃至請求の範囲7項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[9]
 前記外気供給パイプ(7)は、その底部に排水ピット(32)を備え、
 この排水ピット(32)に収容される水(33)をポンプにより屋外に排出することを特徴とする請求の範囲1項乃至請求の範囲8項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[10]
 前記吸気収容部(4)は、複数の吸気パイプ(5)を備え、
 前記吸気パイプ(5)のそれぞれは、温度センサーと、前記吸気パイプ(5)を開閉させる開閉機構とを具備し、
 前記温度センサー及び前記開閉機構は制御部に接続され、前記温度センサーによる外気温の測定値に基づいて前記吸気パイプ(5)の開閉が制御されることを特徴とする請求の範囲1項乃至請求の範囲9項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)。
[11]
 請求の範囲1項乃至請求の範囲10項のいずれか1項に記載の自然エネルギー利用空調設備(2)を備えたことを特徴とする建物(1)。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]