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1. WO2009041148 - 大型産業機械の電動モータ冷却構造と冷却方法

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明 細 書

発明の名称 大型産業機械の電動モータ冷却構造と冷却方法 0001   0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

図面の簡単な説明

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1A   1B   2   3   4   5   6A   6B   6C  

明 細 書

大型産業機械の電動モータ冷却構造と冷却方法

発明の背景

[0001]
発明の技術分野
 本発明は、プレス機械のような大型産業機械の電動モータ冷却構造と冷却方法に関する。
[0002]
関連技術の説明
 プレス機械等の産業機械用駆動源として電動モータが広く用いられており、その冷却手段として、ファンを用いた強制空冷が一般的に採用されている。
 しかし、生産性向上のため駆動速度や駆動トルクが増大し、かつ制御性向上のため可変速制御等を採用するため、駆動に要する出力が大きい大型産業機械の場合、電動モータが大出力化し、そのため電動モータからの発熱が増大し、ファンを用いた強制空冷では電動モータが大型化し、設置が困難となる場合がある。
 そこで、水などの液体冷媒を用いて冷却する液冷式の電動モータが大型産業機械用の電動モータとして注目されている。かかる液冷式電動モータは、例えば特許文献1~3に開示されている。
[0003]
 特許文献1は、掘削機の安定性を害することなく掘削能力の向上を図り得る掘削機用電動モータ冷却装置を提供することを目的としている。図1A及び図1Bに示すように、オイルクーラを有する油圧供給源52を備えた掘削機本体51に立設されたリーダ53に沿って駆動機構50を昇降させると共に、駆動機構50により掘削具54を回転駆動して杭孔を掘削する掘削機において、油圧供給源52は、掘削機本体51に搭載された内燃機関58により駆動される油圧ポンプ59を備えると共に、油圧供給源52は、掘削機本体51に搭載された油圧モータを用いた駆動源に作動油を供給し、かつ、駆動機構50は液冷式電動モータ56を備えると共に、油圧供給源52から液冷式電動モータ56に作動油を供給して冷却するものである。
[0004]
 特許文献2は、固定子表面の温度上昇を効率的に冷却するモータの冷却装置を提供することを目的としている。図2に示すように、特許文献2のモータの冷却装置は、固定子コイル69を収納する複数のスロットを内周部に設けた固定子鉄心68と、固定子鉄心68の内周面に空隙を介して対向するように設けた回転子61と、固定子鉄心の外側に設けたフレーム62と、固定子鉄心とフレームの間に冷媒を通すフレーム冷却ジャケット63を備える。フレーム冷却ジャケット63は、一方端に、外部の冷媒供給装置からの冷媒を受け取る冷媒供給口64を設け、他方端に、冷媒を冷媒供給装置に排出する冷媒排出口65を設けてあり、固定子鉄心68の両端のうち少なくとも一方の端部、または固定子鉄心を軸方向に複数個に分割した分割部に、リング状またはC字状の固定子冷却ジャケット60を設けてある。固定子冷却ジャケット60を、固定子鉄心68の歯先の位置まで延ばしてあり、フレーム冷却ジャケット63の途中に固定子冷却ジャケット60の冷媒供給孔、冷媒排出孔を円周方向に向かって略180°の位置に対向するように配置させると共にフレーム冷却ジャケット63と固定子冷却ジャケット60を連通させてあり、固定子コイルのコイルエンドと固定子冷却ジャケットとフレームとで囲まれた空間に熱伝導性樹脂66を充填したものである。
[0005]
 特許文献3の電動機用冷却装置は、図3に示すように、冷却ジャケット78と個別の構成部材72の表面との間に形成された冷却ダクト74を備える。個別の構成部材72の表面は、冷却ダクト74の壁部の少なくとも一部を画定し得る。冷却ダクト74は、冷却液体を個別の構成部材72の表面の少なくとも一部に沿って方向付け、電動機から熱を引き出すように構成される。入口ポート70は、冷却ダクト74と流体を連通し得る。この入口ポート70は、冷却液体を受け取って冷却液体を冷却ダクト74に導入するように構成されたものである。
[0006]
特許文献1 : 特許第3319700号公報
特許文献2 : 特許第3538947号公報
特許文献3 : 特開2005-204496号公報
[0007]
 上述した従来の液冷式電動モータを用いる場合、水などの液体冷媒を電動モータまで循環させるための配管設備が必要となる。
 しかし、例えばプレス機械のような大型産業機械では、電動モータを機械の上部に設置する必要がある場合が多く、機械自体の強度及び精度を保つため、厚板を使用したり補強材が多い機械構造を有しており、機械構造の強度を低下させずに板を貫通して配管を設けたり、補強材を避けて配管を設置することが難しく、製造や保守が困難になる問題点があった。

発明の要約

[0008]
 本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、大型の電動モータを機械の上部に設置する必要がある大型産業機械であっても、機械自体の構造強度を低下させずに配管設備を容易に準備できる大型産業機械の電動モータ冷却構造と冷却方法を提供することにある。
[0009]
 本発明によれば、大型産業機械の駆動機構を駆動する電動モータを冷却するための電動モータ冷却構造であって、前記電動モータである液冷式電動モータと、送り側油配管及び戻り側油流路を有し、前記送り側油配管を介して前記駆動機構に加圧された潤滑油を供給し前記戻り側油流路を介して前記駆動機構からの潤滑油を回収する潤滑油循環装置と、潤滑油を前記送り側油配管から前記液冷式電動モータに供給する冷却油供給配管と、を備えることを特徴とする大型産業機械の電動モータ冷却構造が提供される。
[0010]
 また、本発明の好ましい実施形態によれば、さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を前記戻り側油流路に戻す冷却油回収配管を備え、前記送り側油配管は、途中で分岐して、該送り側油配管を流れる潤滑油のうち、一部が前記冷却油供給配管に供給され、残りの少なくとも一部が前記駆動機構に供給される。
[0011]
 また、本発明の好ましい実施形態によれば、さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を前記駆動機構に供給する冷却油回収配管を備え、前記冷却油供給配管は、前記送り側油配管と連通しており、前記送り側油配管を流れる潤滑油の全部を液冷式電動モータに供給する。
[0012]
 また、本発明の好ましい実施形態によれば、さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を回収するための冷却油回収配管を備え、前記液冷式電動モータは、潤滑油で内部を直接又は間接的に冷却する油冷式電動モータであり、前記冷却油供給配管に設けられ潤滑油の流量を調節する流量調節弁と、前記冷却油回収配管又は前記油冷式電動モータに設けられ潤滑油又は油冷式電動モータ内の温度を検出する温度検出器と、前記流量調節弁を制御し、前記温度検出器で検出された温度を所定の温度範囲内に調節する温度制御器と、を備える。
[0013]
 また、本発明の好ましい実施形態によれば、さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を回収するための冷却油回収配管を備え、前記液冷式電動モータは、冷却水を潤滑油で間接的に冷却する熱交換器を有し冷却水で内部を間接的に冷却する水冷式電動モータであり、前記冷却油供給配管は、前記熱交換器と連通して送り側油配管から潤滑油を供給し、前記冷却油回収配管は、前記熱交換器と連通して潤滑油を回収する。
[0014]
 また本発明によれば、大型産業機械の駆動機構を駆動する電動モータを冷却するための電動モータ冷却方法であって、前記電動モータとして液冷式電動モータを使用し、送り側油配管を介して前記駆動機構に加圧された潤滑油を供給し、戻り側油流路を介して前記駆動機構からの潤滑油を回収し、前記送り側油配管を流れる潤滑油の一部又は全部を液冷式電動モータに供給し、液冷式電動モータを冷却する、ことを特徴とする大型産業機械の電動モータ冷却方法が提供される。
[0015]
 上記本発明の構造と方法によれば、電動モータで駆動される駆動機構と、該駆動機構に潤滑油を循環させて供給する潤滑油循環装置とを備えた大型産業機械を対象とするので、液冷式電動モータを前記電動モータとして使用し、潤滑油循環装置の送り側油配管から液冷式電動モータに潤滑油を循環させて供給することにより、駆動機構の潤滑のための送り側油配管を利用して、潤滑油循環装置で循環させる潤滑油の一部又は全部を電動モータ冷却用の冷媒として使用することができる。
[0016]
 従って、新たな配管設備を追加せずに液冷式電動モータを採用でき、機械構造が複雑化したり製作困難になったり保守が困難になることを避けることができる。特にプレス機械のアプライトのように、断面積が小さく機械自体の構造強度を低下させずに配管設備を追加する余裕の乏しい構造を有する機械の場合に有効である。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1A] 特許文献1の模式図である。
[図1B] 特許文献1の別の模式図である。
[図2] 特許文献2の模式図である。
[図3] 特許文献3の模式図である。
[図4] 本発明の第1実施形態の冷却構造を備えた大型産業機械の全体構成図である。
[図5] 本発明の第2実施形態の冷却構造を備えた大型産業機械の全体構成図である。
[図6A] 液冷式電動モータ30の第1実施形態を示す図である。
[図6B] 液冷式電動モータ30の第2実施形態を示す図である。
[図6C] 液冷式電動モータ30の第3実施形態を示す図である。

好ましい実施例の説明

[0018]
 以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
[0019]
 図4は、本発明の第1実施形態の冷却構造を備えた大型産業機械の全体構成図である。この図において、大型産業機械はプレス機械であるが、本発明はこれに限定されず、その他の大型産業機械であってもよい。
[0020]
 図4において、10は大型産業機械であるプレス機械、12は駆動機構、13はスライド、14はクラウン、15はベッド、16はアプライト、30は液冷式電動モータである。
[0021]
 プレス機械10において、液冷式電動モータ30は駆動機構12を介してスライド13を上下に駆動する。液冷式電動モータ30は、潤滑油で直接又は間接的に冷却される電動モータである。
 駆動機構12は液冷式電動モータ30の回転運動をスライド13の上下運動に変換するもので、クランク、クランクレス、リンク、ナックル、などの方式がある。
[0022]
 液冷式電動モータ30はプレス機械10の上部構造物であるクラウン14に設置され、クラウン14とプレス機械10の下部構造物であるベッド15との間は、柱状の構造物であるアプライト16により保持されている。
 アプライト16の本数は、プレス機械10の大きさやプレス成形能力に応じてさまざまであるが、4本であることが多い。クラウン14、ベッド15、アプライト16は、プレス成形時に発生する大荷重を支えるため、厚板や補強材で構成されている。
[0023]
 本発明の電動モータ冷却構造は、上記の液冷式電動モータ30と、潤滑油循環装置20を備える。
 潤滑油循環装置20は、潤滑油タンク21、潤滑油ポンプ22、送り側油配管23、及び戻り側油流路24を備え、送り側油配管23を介して駆動機構12に加圧された潤滑油を供給し、戻り側油流路24を介して駆動機構12からの潤滑油を回収する。
[0024]
 潤滑油タンク21は、駆動機構12に供給する潤滑油を内部に保有する容器である。潤滑油ポンプ22は、潤滑油タンク21から潤滑油を導入し所定の圧力(例えば0.2~1.0MPa)まで加圧する。送り側油配管23は、加圧された潤滑油を駆動機構12に供給する。戻り側油流路24は、駆動機構12から排出された潤滑油を自重により潤滑油タンク21に回収するようになっている。
[0025]
 プレス機械10の駆動機構12を含む各所(例えば、軸受け、歯車の歯先、平面状摺動部等)を潤滑するため、油タンク21内の潤滑油を潤滑油ポンプ22で加圧して送り出し、送り側油配管23を通して潤滑油を駆動機構12を含むプレス機械1の各所に供給する。なお、図1には駆動機構12へ潤滑油を送る送り側油配管23のみを示しているが、潤滑が必要なその他の部位に潤滑油を送るための一つ又は複数の別の油配管があってもよい。
[0026]
 潤滑油ポンプ22は、この例では電動モータ22aで駆動される。この電動モータ22aは、ファンを用いた強制空冷式の電動モータであるのが好ましいが、潤滑油で冷却する液冷式電動モータであってもよい。
 戻り側油流路24の一部は、クラウン14、ベッド15、及びアプライト16の内側に形成された空洞であってもよく、或いは送り側油配管23と同様の配管であってもよい。
[0027]
 図4において、潤滑油循環装置20はさらに、潤滑油クーラ26を備える。潤滑油クーラ26は、空冷又は水冷の熱交換器であり、循環ポンプ26aで油タンク21から潤滑油を抜き出して潤滑油クーラ26に供給し、ここでファンによる強制空冷、または冷却水による水冷により潤滑油を冷却し、冷却された潤滑油を油タンク21に戻すことにより、油タンク21内の潤滑油の温度を適正な温度範囲に保持するようになっている。
[0028]
 なお、潤滑油クーラ26は必須ではなく、潤滑油タンク21、送り側油配管23、及び戻り側油流路24における放熱で油タンク21内の潤滑油の温度を適正な温度範囲に保ってもよい。
[0029]
 図4において、本発明の冷却構造はさらに、冷却油供給配管32と冷却油回収配管34を有する。
 図4の構成において、送り側油配管23は、途中で分岐して、送り側油配管23を流れる潤滑油のうち、一部が冷却油供給配管32に供給され、残りの少なくとも一部が駆動機構12に供給される。
 この例では、送り側油配管23は、駆動機構12に供給する潤滑油の一部を分岐する分岐管23aを有する。また、冷却油供給配管32は、分岐管23aと液冷式電動モータ30とを連通しており、潤滑油を送り側油配管23から液冷式電動モータ30に供給する。なお必要に応じて、冷却油供給配管32に絞り、オリフィス等を設けて流量を調節するのがよい。
[0030]
 冷却油回収配管34は、液冷式電動モータ30からの潤滑油を回収するための配管である。図4の構成例において、冷却油回収配管34は、戻り側油流路24と液冷式電動モータ30とを連通し、液冷式電動モータ30からの潤滑油を戻り側油流路24に戻す。
 駆動機構12を含む各所に供給されたその他の潤滑油は、戻り側油流路24を通って油タンク21へ回収される。
 この構成により、油タンク21内で適正な温度範囲に保たれた潤滑油を液冷式電動モータ30に供給することができ、液冷式電動モータ30を効果的に冷却することができる。
[0031]
 図5は、本発明の第2実施形態の冷却構造を備えた大型産業機械の全体構成図である。
 本発明は上記第1実施形態に限定されず、冷却油供給配管32は、送り側油配管23と連通しており、送り側油配管23を流れる潤滑油の全部を液冷式電動モータ30に供給する構成であってもよい。
 図5の例では、送り側油配管23が、駆動機構12に供給する潤滑油の全部を分岐する分岐管23bを有し、冷却油供給配管32が、この分岐管23bと液冷式電動モータ30とを連通して駆動機構12に供給する潤滑油の全部を液冷式電動モータ30に供給するように構成されている。
[0032]
 冷却油回収配管34は、液冷式電動モータ30からの潤滑油を回収するための配管であり、本実施形態の場合、駆動機構12と液冷式電動モータ30とを連通し液冷式電動モータ30からの潤滑油を駆動機構12に供給する。このため、駆動機構12は、液冷式電動モータ30を冷却した後の潤滑油で潤滑される。
 この構成により、液冷式電動モータ30に供給する潤滑油の流量が少ない場合でも、液冷式電動モータ30を効果的に冷却することができる。
 なおその他の構成は第1実施形態と同様である。
[0033]
 上述した構成において、液冷式電動モータ30は電力を供給されて回転するため発熱する。送り側油配管23を通って液冷式電動モータ30へ供給された潤滑油は、液冷式電動モータ30を冷却し、戻り側油流路24を通って潤滑油タンク21へ戻る。
[0034]
 液冷式電動モータ30を冷却するために潤滑油は加熱されるが、戻り側油流路24を流れ、潤滑油タンク21に滞留している間に、潤滑油は自然放熱により冷却される。自然放熱により冷却された潤滑油は、ふたたび潤滑油ポンプ22によって送り側油配管23を経由して液冷式電動モータ30へ送り出され液冷式電動モータ30を冷却する。以上を繰り返すことにより、液冷式電動モータ30の冷却が継続的に行われる。
[0035]
 図6Aは、液冷式電動モータ30の第1実施形態を示す図である。図6Bは、液冷式電動モータ30の第2実施形態を示す図である。図6Cは、液冷式電動モータ30の第3実施形態を示す図である。
[0036]
 図6Aにおいて、液冷式電動モータ30は、潤滑油で内部を直接冷却又は間接冷却により冷却する油冷式電動モータである。ここで、「直接冷却」とは、潤滑油で電動モータの構成部品(固定子、回転子、コイル等)を直接的に冷却する方式であり、「間接冷却」とはこれらをジャッケット等を介して間接的に冷却する方式である。絶縁性の潤滑油を用いることにより、直接冷却が可能である。
[0037]
 図6Aの例では、流量調節弁35a、温度検出器35b、および温度制御器35cを備える。
 流量調節弁35aは、冷却油供給配管32に設けられ潤滑油の流量を調節する。温度検出器35bは、冷却油回収配管34に設けられ潤滑油の温度を検出する。温度制御器35cは、流量調節弁35aを制御し、温度検出器35bによる検出温度を所定の温度範囲内に調節する。
 この構成により、液冷式電動モータ30を適正な温度範囲に制御することができる。
[0038]
 図6Bにおいて、液冷式電動モータ30は、潤滑油で内部を直接又は間接的に冷却する油冷式電動モータである。また、この例では、流量調節弁36a、温度検出器36b、および温度制御器36cを備える。
[0039]
 流量調節弁36aは、冷却油供給配管32に設けられ潤滑油の流量を調節する。温度検出器36bは、油冷式電動モータ30に設けられ油冷式電動モータ内の温度(例えばハウジング又は固定子の温度)を検出する。温度制御器36cは、流量調節弁36aを制御し、温度検出器36bによる検出温度を所定の温度範囲内に調節する。
 この構成により、液冷式電動モータ30のハウジング又は固定子の温度を適正な温度範囲に制御することができる。
[0040]
 温度制御器35c、36cとしては電子回路やプログラマブル制御器を使用することが可能であり、流量調節弁35a、36aとしてソレノイドやモータで弁を開閉するもの、温度検出器35b、36bとしては抵抗測温体やサーミスタを使用できる。また、温度検出器35b、36bとして密閉した液体の蒸気圧が温度によって変化することを利用し、蒸発した液体を配管によってベローズへ導き、ベローズの変形によって流量調節弁を開閉する機械的な方法もある。
[0041]
 また、液冷式電動モータ30の発熱が著しいのは、モータが回転しトルクを発生するときであるから、温度検出器35b,36bを省略し、モータの回転を検出して、もしくはモータの制御装置が回転を指令していることを検出して流量調節弁35a,36aを開くように温度制御器35c,36cを構成してもよい。
[0042]
 図6Cにおいて、液冷式電動モータ30は、冷却水を潤滑油で間接的に冷却する熱交換器37を有し、冷却水で内部を間接的に冷却する水冷式電動モータである。また、この例では冷却油供給配管32は、熱交換器37と連通して送り側油配管23から潤滑油を供給し、冷却油回収配管34は、熱交換器37と連通して潤滑油を回収する。
[0043]
 熱交換器37は、液-液の熱交換器であり、冷却水循環配管38を通して循環ポンプ38aで冷却水を熱交換器37内に循環して供給し、ここで潤滑油により冷却水を冷却し、冷却された冷却水を液冷式電動モータ30に戻すことにより、液冷式電動モータ30の温度を適正な温度範囲に保持するようになっている。
[0044]
 上述した装置を用い、本発明の大型産業機械の電動モータ冷却方法では、液冷式電動モータ30を、駆動機構12を駆動する電動モータとして使用し、送り側油配管23を介して駆動機構12に加圧された潤滑油を供給し、戻り側油流路24を介して駆動機構12からの潤滑油を回収し、送り側油配管23を流れる潤滑油の一部又は全部を液冷式電動モータ30に供給し、液冷式電動モータ30を冷却する。
[0045]
 上述した本発明の構造と方法によれば、電動モータ30で駆動される駆動機構12と、駆動機構12に潤滑油を循環させて供給する潤滑油循環装置20とを備えた大型産業機械10を対象とするので、液冷式電動モータ30を電動モータとして使用し、潤滑油循環装置20の送り側油配管23から液冷式電動モータ30に潤滑油を循環させて供給することにより、駆動機構12の潤滑のための送り側油配管23を利用して、潤滑油循環装置20で循環させる潤滑油の一部又は全部を電動モータ冷却用の冷媒として使用することができる。
[0046]
 従って、新たな配管設備を追加せずに液冷式電動モータ30を採用でき、機械構造が複雑化したり製作困難になったり保守が困難になることを避けることができる。特にプレス機械のアプライト16のように、断面積が小さく機械自体の構造強度を低下させずに配管設備を追加する余裕の乏しい構造を有する機械の場合に有効である。
[0047]
 なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。例えば、本発明はプレス機械に限定されず、その他の大型産業機械にも同様に適用することができる。

請求の範囲

[1]
 大型産業機械の駆動機構を駆動する電動モータを冷却するための電動モータ冷却構造であって、
 前記電動モータである液冷式電動モータと、
 送り側油配管及び戻り側油流路を有し、前記送り側油配管を介して前記駆動機構に加圧された潤滑油を供給し前記戻り側油流路を介して前記駆動機構からの潤滑油を回収する潤滑油循環装置と、
 潤滑油を前記送り側油配管から前記液冷式電動モータに供給する冷却油供給配管と、を備えることを特徴とする大型産業機械の電動モータ冷却構造。
[2]
 さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を前記戻り側油流路に戻す冷却油回収配管を備え、
 前記送り側油配管は、途中で分岐して、該送り側油配管を流れる潤滑油のうち、一部が前記冷却油供給配管に供給され、残りの少なくとも一部が前記駆動機構に供給される、ことを特徴とする請求項1に記載の大型産業機械の電動モータ冷却構造。
[3]
 さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を前記駆動機構に供給する冷却油回収配管を備え、
 前記冷却油供給配管は、前記送り側油配管と連通しており、前記送り側油配管を流れる潤滑油の全部を液冷式電動モータに供給する、ことを特徴とする請求項1に記載の大型産業機械の電動モータ冷却構造。
[4]
 さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を回収するための冷却油回収配管を備え、
 前記液冷式電動モータは、潤滑油で内部を直接又は間接的に冷却する油冷式電動モータであり、
 前記冷却油供給配管に設けられ潤滑油の流量を調節する流量調節弁と、
 前記冷却油回収配管又は前記油冷式電動モータに設けられ潤滑油又は油冷式電動モータ内の温度を検出する温度検出器と、
 前記流量調節弁を制御し、前記温度検出器で検出された温度を所定の温度範囲内に調節する温度制御器と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の大型産業機械の電動モータ冷却構造。
[5]
 さらに、前記液冷式電動モータからの潤滑油を回収するための冷却油回収配管を備え、
 前記液冷式電動モータは、冷却水を潤滑油で間接的に冷却する熱交換器を有し冷却水で内部を間接的に冷却する水冷式電動モータであり、
 前記冷却油供給配管は、前記熱交換器と連通して送り側油配管から潤滑油を供給し、
 前記冷却油回収配管は、前記熱交換器と連通して潤滑油を回収する、ことを特徴とする請求項1に記載の大型産業機械の電動モータ冷却構造。
[6]
 大型産業機械の駆動機構を駆動する電動モータを冷却するための電動モータ冷却方法であって、
 前記電動モータとして液冷式電動モータを使用し、
 送り側油配管を介して前記駆動機構に加圧された潤滑油を供給し、
 戻り側油流路を介して前記駆動機構からの潤滑油を回収し、
 前記送り側油配管を流れる潤滑油の一部又は全部を液冷式電動モータに供給し、液冷式電動モータを冷却する、ことを特徴とする大型産業機械の電動モータ冷却方法。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]