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1. (WO2008129954) ラッシュアジャスタ
Document

明 細 書

発明の名称 ラッシュアジャスタ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015   0016  

発明の効果

0017   0018   0019   0020  

図面の簡単な説明

0021   0022  

発明を実施するための最良の形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

ラッシュアジャスタ

技術分野

[0001]
 この発明は、エンジンの動弁装置に組み込まれるラッシュアジャスタに関する。

背景技術

[0002]
 エンジンの吸気ポートまたは排気ポートに設けたバルブを動作させる動弁装置として、バルブに接続したバルブステムを、カムの回転に応じて揺動するアームで押し動かすようにした動弁装置が多く用いられる。
[0003]
 このような動弁装置において、エンジン作動中の温度上昇によって動弁装置が熱膨張すると、動弁装置の構成部材間に生じる熱膨張差によって、動弁装置の構成部材間(たとえば、アームとバルブステムの間)の隙間が変化し、その隙間の変化によって、異音や、バルブの開閉タイミングのずれが生じることがある。また、動弁装置の摺動部の摩耗によっても、動弁装置の構成部材間(たとえば、バルブとバルブシートの間)の隙間が変化し、その隙間の変化によって、異音等が生じることがある。
[0004]
 そこで、動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収するため、アームの揺動支点をラッシュアジャスタで支持し、そのラッシュアジャスタで、アームの揺動支点の位置を自動調整することが多い。
[0005]
 このようなラッシュアジャスタとして、上端が開放した筒状のハウジングと、そのハウジングの内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するスクリュロッドと、そのスクリュロッドを前記ハウジングから突出する方向(以下、「突出方向」という)に付勢するスプリングとを有し、スクリュロッドのハウジングからの突出端でアームの揺動支点を支持するようにしたものが知られている。
[0006]
 このラッシュアジャスタのスクリュロッド外周の雄ねじと、ハウジング内周の雌ねじは、スクリュロッドをハウジング内に押し込む方向(以下、「押し込み方向」という)の力が作用したときに圧力を受ける圧力側フランクのフランク角が、遊び側フランクのフランク角よりも大きく形成されている。
[0007]
 また、このラッシュアジャスタは、カムの回転によりスクリュロッドに押し込み方向の力が作用したときは、スクリュロッド外周の雄ねじの圧力側フランクが、ハウジング内周の雌ねじの圧力側フランクで受け止められ、スクリュロッドの軸方向位置が固定される。また、動弁装置の熱膨張などによって、アームとバルブステムの相対位置が変化したときは、その位置変化に応じて、スクリュロッドがハウジング内を回転しながら軸方向に移動し、動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収する。
[0008]
 ところで、ハウジング内周の圧力側フランクで、スクリュロッド外周の圧力側フランクを受け止める瞬間、圧力側フランク間に存在するエンジン油が、スクイズ効果によって油膜を形成することがある。特に、低温時は、エンジン油の粘度が大きいので、圧力側フランク間に油膜が形成されやすい。
[0009]
 このように、圧力側フランク間に油膜が形成されると、その油膜によって圧力側フランク間の摩擦が極めて小さくなるので、カムの回転によりスクリュロッドに押し込み方向の力が作用したときに、スクリュロッドが回転して押し込み方向に移動するおそれがある。スクリュロッドが押し込み方向に移動すると、アームの揺動支点がずれるので、バルブがバルブシートに衝撃的に着座し、異音が発生する。
[0010]
 そこで、圧力側フランク間の油膜を排除するため、スクリュロッド外周の雄ねじの圧力側フランクに、ねじ山と平行な油膜排除溝を加工したラッシュアジャスタ(特許文献1)や、ハウジング内周の雌ねじに、ねじ山を分断する軸方向の溝をブローチ加工し、その溝で圧力側フランク間の油膜を排除するようにしたラッシュアジャスタ(特許文献2)が知られている。これらのラッシュアジャスタは、圧力側フランク間のエンジン油を油膜排除溝内に逃がすことにより、圧力側フランク間に油膜が形成されるのを防止する。
特許文献1 : 特表平3-501758号公報
特許文献2 : 特開2000-130114号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0011]
 しかし、前者のラッシュアジャスタは、油膜排除溝がねじ山と平行に形成されているので、油膜排除溝の長さが長く、油膜排除溝内のエンジン油が流動しにくい。そのため、圧力側フランク間のエンジン油が油膜排除溝に流入しにくく、圧力側フランク間の油膜を排除する効果が低かった。また、スクリュロッド外周に雄ねじを形成した後に、その雄ねじの圧力側フランクに油膜排除溝を旋削加工するのはコスト高である。
[0012]
 また、後者のラッシュアジャスタは、雌ねじをタップで加工し、油膜排除溝をブローチで加工するので、加工工程が多く、製造コストが高い。また、雌ねじの軸方向長さが長い場合、油膜排除溝の加工が難しかった。
[0013]
 この発明が解決しようとする課題は、圧力側フランク間の油膜を排除する効果が高く、製造コストが低いラッシュアジャスタを提供することである。

課題を解決するための手段

[0014]
 上記課題を解決するため、前記雌ねじに対してねじ山の方向が交差するタップで、前記雌ねじの圧力側フランクに油膜排除溝を形成した。
[0015]
 前記タップのねじ山の方向は、タップのリード角を前記雌ねじのリード角と異ならせることによって、前記雌ねじのねじ山の方向と交差させることができ、また、前記タップの巻き方向を前記雌ねじの巻き方向と反対方向にすることによっても、前記雌ねじのねじ山の方向と交差させることができる。
[0016]
 このラッシュアジャスタは、次の構成を加えると好ましい。
1)前記タップの外径を前記雌ねじの有効径よりも大きくするとともに、前記タップの谷の径を前記雌ねじの有効径よりも小さくする。
2)前記タップのピッチを、前記雌ねじのピッチよりも小さくする。

発明の効果

[0017]
 この発明のラッシュアジャスタは、前記雌ねじに対してねじ山の方向が交差するタップで油膜排除溝を形成したので、油膜排除溝の一端が雌ねじの山の頂に開放し、油膜排除溝内のエンジン油が移動しやすい。そのため、圧力側フランク間のエンジン油が油膜排除溝に流入しやすく、圧力側フランク間の油膜を排除する効果が高い。また、雌ねじと油膜排除溝をいずれもタップで加工することができるので、加工工程が少なく、製造コストが低い。
[0018]
 また、前記タップの巻き方向を前記雌ねじの巻き方向と反対方向にすることによって、前記タップのねじ山の方向を前記雌ねじとねじ山の方向と交差させたものは、その交差角度が大きいので、油膜排除溝と雌ねじの山の頂との交差位置にバリが発生しにくい。
[0019]
 また、前記タップの外径を前記雌ねじの有効径よりも大きくするとともに、前記タップの谷の径を前記雌ねじの有効径よりも小さくしたものは、雌ねじのねじ山を残しつつ、油膜排除溝を確実に形成することができる。
[0020]
 また、前記タップのピッチを、前記雌ねじのピッチよりも小さくしたものは、隣り合う油膜排除溝の間隔が小さいので、圧力側フランク間の油膜を排除する効果が高い。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] この発明の実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図
[図2] 図1に示すラッシュアジャスタの正面断面図
[図3] 図2に示すハウジングからスクリュロッドを抜いた状態を示す拡大断面図
[図4] 図3に示すハウジング内周の雌ねじの拡大断面図

符号の説明

[0022]
1   ラッシュアジャスタ
6   アーム
14  ハウジング
15  スクリュロッド
17  スプリング
18  突出端
20  雄ねじ
21  雌ねじ
22  圧力側フランク
23  遊び側フランク
24  油膜排除溝

発明を実施するための最良の形態

[0023]
 図1に、この発明の実施形態のラッシュアジャスタ1を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、エンジンのシリンダヘッド2の吸気ポート3に設けられたバルブ4と、そのバルブ4に接続されたバルブステム5と、ラッシュアジャスタ1で揺動可能に支持されたアーム6とを有する。
[0024]
 バルブステム5は、バルブ4から上方に延び、シリンダヘッド2を摺動可能に貫通している。バルブステム5の上部外周には、環状のスプリングリテーナ7が固定され、スプリングリテーナ7の下面とシリンダヘッド2の上面の間にバルブスプリング8が組み込まれている。バルブスプリング8は、スプリングリテーナ7を介してバルブステム5を上方に付勢し、その付勢力によってバルブ4をバルブシート9に着座させている。
[0025]
 アーム6は、一方の端部がラッシュアジャスタ1で支持され、他方の端部がバルブステム5の上端に接触している。また、アーム6の中央部にはローラ10が取り付けられ、ローラ10は、アーム6の上方に設けられたカム11に接触している。カム11は、カムシャフト12の外周に固定されており、カムシャフト12が回転すると、ベースサークル11aに対して隆起したカム山部11bが、ローラ10を介してアーム6を押し下げる。
[0026]
 ラッシュアジャスタ1は、シリンダヘッド2の上面に形成された収容穴13に収容されている。ラッシュアジャスタ1は、図2に示すように、上端が開放した筒状のハウジング14と、ハウジング14に挿入されたスクリュロッド15と、ハウジング14の下端を閉塞する底部材16と、スプリング17とを有する。
[0027]
 スプリング17は、底部材16とスクリュロッド15の間に組み込まれており、スクリュロッド15をハウジング14から突出する方向に付勢している。スクリュロッド15は、ハウジング14からの突出端18が半球状に形成されている。突出端18は、アーム6の下面に形成された凹部19に嵌合しており、その凹部19を支点としてアーム6を揺動可能に支持している。
[0028]
 スクリュロッド15の下部外周には雄ねじ20が形成され、雄ねじ20は、ハウジング14の内周に形成された雌ねじ21にねじ係合している。雄ねじ20と雌ねじ21は、軸線に沿った断面形状が非対称形状の鋸歯状に形成されており、スクリュロッド15をハウジング14内に押し込む方向の力が作用したときに圧力を受ける圧力側フランク22のフランク角が、遊び側フランク23のフランク角よりも大きくなっている。
[0029]
 雌ねじ21の圧力側フランク22には、雌ねじ21の巻き方向(図では右巻き)に対して反対の巻き方向(図では左巻き)のタップで、油膜排除溝24が形成されている。油膜排除溝24は、図3に示すように、雌ねじ21のねじ山の方向と交差する方向に延びており、雌ねじ21のねじ山の方向に一定の間隔をおいて複数形成されている。また、各油膜排除溝24は、一端が雌ねじ21の山の頂21Aに開放している。
[0030]
 油膜排除溝24は、外径が雌ねじ21の有効径(ねじ溝の幅W1がねじ山の幅W2に等しくなる仮想円筒25の径)よりも大きく、かつ、谷の径が雌ねじ21の有効径よりも小さいタップで形成されている。そのため、図4に示すように、油膜排除溝24が、雌ねじ21のねじ山を残しつつ、仮想円筒25よりも外径側まで確実に形成されている。また、タップのピッチ(隣り合う油膜排除溝24,24の軸方向の間隔)は、雌ねじ21のピッチよりも小さい。
[0031]
 この動弁装置は、カムシャフト12が回転して、カム11のカム山部11bがアーム6を押し下げると、バルブ4がバルブシート9から離れて、吸気ポート3を開く。このとき、スクリュロッド15に押し込み方向の力が作用するが、雄ねじ20の圧力側フランク22が雌ねじ21の圧力側フランク22で受け止められるので、スクリュロッド15は軸方向位置が固定される。
[0032]
 さらに、カムシャフト12が回転して、カム山部11bがローラ10の位置を過ぎると、バルブスプリング8の付勢力によってバルブステム5が上昇し、バルブ4がバルブシート9に着座して、吸気ポート3を閉じる。
[0033]
 また、エンジン作動中に、シリンダヘッド2、バルブステム5、アーム6など、動弁装置の構成部材間に熱膨張差が生じ、カム11とアーム6の間の距離が大きくなったときは、スクリュロッド15が、スプリング17の付勢力によって回転しながら突出方向に移動するので、カム11のベースサークル11aとローラ10の間に隙間が生じず、バルブ4がバルブシート9に衝撃的に着座する事態が防止される。また、バルブ4とバルブシート9の接触面が摩耗したときは、スクリュロッド15が、バルブスプリング8の付勢力によって回転しながら押し込み方向に移動し、バルブステム5が上昇するので、バルブ4とバルブシート9の接触面間に隙間が生じない。
[0034]
 このラッシュアジャスタ1は、ハウジング14の雌ねじ21の圧力側フランク22で、スクリュロッド15の雄ねじ20の圧力側フランク22を受け止める瞬間、圧力側フランク22,22間に存在するエンジン油が油膜排除溝24内に逃げるので、圧力側フランク22,22間に、スクイズ効果による油膜が形成されにくい。そのため、スクリュロッド15に作用する軸方向の力を、ハウジング14の雌ねじ21で速やかに受け止めることができ、エンジン油の粘度が大きい低温時においても、スクリュロッド15が押し込み方向に移動するのを防止することができる。
[0035]
 また、このラッシュアジャスタ1は、油膜排除溝24の一端が雌ねじ21の山の頂21Aに開放しているので、油膜排除溝24内のエンジン油が流動しやすい。そのため、ハウジング14の雌ねじ21の圧力側フランク22で、スクリュロッド15の雄ねじ20の圧力側フランク22を受け止める瞬間、圧力側フランク22,22間のエンジン油が油膜排除溝24に流入しやすく、圧力側フランク22,22間の油膜を排除する効果が高い。
[0036]
 また、このラッシュアジャスタ1は、雌ねじ21と油膜排除溝24がいずれもタップで加工されているので、ハウジング14に対する雌ねじ21と油膜排除溝24の加工を、1回のチャッキングで行なうことができる。そのため、加工工程が少なく、製造コストが低い。また、油膜排除溝24をタップで加工するので、雌ねじ21の軸方向長さが長い場合にも、油膜排除溝24の加工が容易である。
[0037]
 また、このラッシュアジャスタ1は、雌ねじ21の巻き方向に対して巻き方向が反対のタップで油膜排除溝24を形成しているので、雌ねじ21と油膜排除溝24の交差角度が大きく、油膜排除溝24と雌ねじ21の山の頂21Aとの交差位置にバリが発生しにくい。
[0038]
 また、このラッシュアジャスタ1は、タップのピッチ(隣り合う油膜排除溝24,24の軸方向の間隔)が、雌ねじ21のピッチよりも小さいので、隣り合う油膜排除溝24,24の間隔が小さく、圧力側フランク22,22間の油膜を排除する効果が高い。
[0039]
 上記実施形態では、タップの巻き方向を雌ねじ21の巻き方向と反対方向にすることによって、タップのねじ山の方向を、雌ねじ21のねじ山の方向と交差させているが、タップの巻き方向を雌ねじ21の巻き方向と同じ方向とし、タップのリード角を雌ねじ21のリード角と異ならせることによって、タップのねじ山の方向を、雌ねじ21のねじ山の方向と交差させるようにしてもよい。

請求の範囲

[1]
 上端が開放した筒状のハウジング(14)と、そのハウジング(14)の内周に形成された雌ねじ(21)にねじ係合する雄ねじ(20)を外周に有するスクリュロッド(15)と、そのスクリュロッド(15)を前記ハウジング(14)から突出する方向に付勢するスプリング(17)とを有し、前記雌ねじ(21)と前記雄ねじ(20)は、前記スクリュロッド(15)をハウジング(14)内に押し込む方向の力が作用したときに圧力を受ける圧力側フランク(22)のフランク角が、遊び側フランク(23)のフランク角よりも大きくなるように形成され、前記スクリュロッド(15)の前記ハウジング(14)からの突出端(18)で動弁装置のアーム(6)の揺動支点を支持するようにしたラッシュアジャスタ(1)において、前記雌ねじ(21)に対してねじ山の方向が交差するタップで、前記雌ねじ(21)の圧力側フランク(22)に油膜排除溝(24)を形成したことを特徴とするラッシュアジャスタ。
[2]
 前記タップのリード角を前記雌ねじ(21)のリード角と異ならせることによって、前記タップのねじ山の方向を前記雌ねじ(21)のねじ山の方向と交差させた請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
[3]
 前記タップの巻き方向を前記雌ねじ(21)の巻き方向と反対方向にすることによって、前記タップのねじ山の方向を前記雌ねじ(21)のねじ山の方向と交差させた請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
[4]
 前記タップの外径を前記雌ねじ(21)の有効径よりも大きくするとともに、前記タップの谷の径を前記雌ねじ(21)の有効径よりも小さくした請求項1から3のいずれかに記載のラッシュアジャスタ。
[5]
 前記タップのピッチを、前記雌ねじ(21)のピッチよりも小さくした請求項1から4のいずれかに記載のラッシュアジャスタ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]