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1. WO2008126613 - アクチュエータ体および絞り機構

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明 細 書

発明の名称 アクチュエータ体および絞り機構

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

図面の簡単な説明

0013   0014  

発明を実施するための最良の形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2  

明 細 書

アクチュエータ体および絞り機構

技術分野

[0001]
 本発明は、高分子アクチュエータ素子を作用させることで弾性体を変形させることができるアクチュエータ体に関する。このアクチュエータ体は、例えば、小型、軽量のカメラに用いられる絞り機構に有用である。

背景技術

[0002]
 カメラに用いられる絞り機構は、機械的構成であり、その小型化には限界がある。例えば、従来の小型の絞り機構として、直径10mm、厚み1mm以下のものは作製困難であり、近年のカメラ付携帯電話等のカメラ付小型情報端末の更なる小型化、軽量化に対応できる超小型であってシンプル構造の絞り機構が強く要望されている。
[0003]
 絞り機構の駆動源として、ピエゾ素子やボイスコイルを用いることが考えられる。しかし、ピエゾ素子は、体積変化量に限界があり、高印加電圧を必要とする。また、ボイスコイルは、構造が複雑で、部品点数が多く、重いことから、小型サイズ化に限界がある。
[0004]
本発明者等は、高分子アクチュエータの有用性、応用について広く研究、検討している。この高分子アクチュエータとして、イオン交換樹脂層と、このイオン交換樹脂層の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極層とを備えたイオン伝導アクチュエータが知られている(特許文献1)。この高分子アクチュエータは、金属電極層の間に電位差をかけて、イオン交換樹脂層に湾曲及び変形を生じさせることで、アクチュエータとして機能させるものである。
[0005]
 また、導電性高分子を用いた高分子アクチュエータが知られている。このアクチュエータは、軽量であることから組み込まれる装置全体の重量を軽減することが可能であり、マイクロマシン等の小型の駆動装置のみならず、大型の駆動装置として用いられることが期待されている。なかでも特に、人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ等の用途として応用が期待されている。たとえばポリピロールを用いた高分子アクチュエータは、電解伸縮によって、1酸化還元サイクル当たり最大で15.1%の伸縮率を示し、最大で22MPaの力を発生することができる(例えば、非特許文献1参照)。
[0006]
特許文献1 : 特開2006-172635号公報
非特許文献1 : 原進、外4名、「高伸縮かつ強力なポリピロールリニアアクチュエータ(Highly Stretchable and Powerful Polypyrrole Linear Actuators)」、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters)、日本、日本化学会発行、2003年、第32巻、第7号、p576-577。

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明は、上記の実情、問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型で構造が簡単なアクチュエータ体および絞り機構を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題を解決するため本発明に係るアクチュエータ体は、
 電気的駆動源によって屈曲変形する高分子アクチュエータと、
 前記高分子アクチュエータの屈曲力を伝達する中間体と、
 前記中間体を介して前記屈曲力が作用する弾性体と、を備え、
 前記高分子アクチュエータの屈曲力を前記中間体を介して前記弾性体に作用させた場合に、前記弾性体内部に形成された孔部の寸法が変動することを特徴とする。
[0009]
 この構成によれば、アクチュエータ体は、電気的駆動源によって屈曲変形する高分子アクチュエータと、高分子アクチュエータの屈曲力を伝達する中間体と、中間体を介して前記屈曲力が作用する弾性体とを備えている。そして、電圧印加等の電気的駆動によって、高分子アクチュエータを屈曲変形させ、この時の屈曲力を中間体を介して弾性体に作用させる。この作用によって、弾性体内部に形成された孔部の寸法が変動する。孔部の寸法変動は、屈曲力の作用点によって異なり、例えば、孔部が円形の場合、その半径方向に寸法が縮小するように変動する。
[0010]
 また、本発明の実施形態として、高分子アクチュエータは、屈曲変形する(曲げ挙動)する高分子アクチュエータであって、例えば、イオン伝導アクチュエータまたは導電性高分子アクチュエータが挙げられる。イオン伝導アクチュエータとしては、イオン交換樹脂層と、このイオン交換樹脂層の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極層とを備えたものが例示される。また、導電性高分子アクチュエータとしては、バイモルフタイプのアクチュエータが例示される。このバイモルフタイプの構成は、例えば、駆動電解液を含む多孔質基材の両面に金属電極層を形成し、これを介してそれぞれに導電性高分子層が構成されているものである。
[0011]
 また、他の本発明に係る絞り機構は、上記のアクチュエータ体を用いた構成である。上記記載のアクチュエータ体において、弾性体の孔部の断面形状を円状とし、高分子アクチュエータの屈曲力が作用した場合に、この孔部の直径が小さくなり、絞り機構のように変形する。また、アクチュエータ体を絞り機構に用いる場合、中間体にも孔部を形成する必要がある。また、弾性体孔部の絞り様変動が、ばらつくことなく精度よく実現されるためには、高分子アクチュエータの屈曲変形を高精度に制御することが要求される。この絞り機構は、様々な用途に有用であり、例えば、指用の血圧計、人工肛門、バルブ、ポンプ、ブレーキ、クラッチ等に有用である。
[0012]
 また、他の本発明に係る撮像装置は、上記の絞り機構を用いて構成される。撮像装置として、カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話、CCDカメラ、CMOSカメラ等が例示される。特にカメラ付携帯電話等のカメラ付小型情報端末の場合、従来の機械式の絞り機構を搭載することができないが、本発明に係る絞り機構は、超小型化(例えば、外径10mm、厚み0.8~2.4mm)が可能であり、有用である。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明のアクチュエータ体を説明するための図
[図2] 本発明のアクチュエータ体を説明するための図

符号の説明

[0014]
1  アクチュエータ体
11  イオン伝導アクチュエータ
12  ワッシャー(中間体)
13  弾性体
14  基板
15  基板

発明を実施するための最良の形態

[0015]
 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(高分子アクチュエータの構成)
 高分子アクチュエータの形状は、特に制限されないが、弾性体形状がリングの場合、例えば、菊座形状、リング状、短冊状が例示できる。リング状弾性体に対し、菊座形状の一枚一枚の花弁が片持ち梁の湾曲挙動として作用する(例えば、図2参照)。かかる形状の作製は、高分子アクチュエータをシート状に作製し、レーザー等のカッティング手段で成形することで実現でき、あるいは、高分子アクチュエータを所望の形状に作製するようにもできる。以下に高分子アクチュエータについて詳述する。
[0016]
(イオン伝導アクチュエータ)
 イオン伝導アクチュエータは、イオン交換樹脂層の表面に金属電極層が形成された構造を有しており、更に詳しく言うと、対向する金属電極層の間に、イオン交換樹脂と、塩を含有する分極性有機溶媒またはイオン性液体である液状有機化合物とが含まれるものである。原理的には、イオン交換樹脂に金属電極を通じて、当該イオン交換樹脂に電位差が与えられると、イオン交換樹脂に含まれている液状有機化合物中のイオン性物質が、いずれかの電極方向に移動することにより、変形が生じる現象を利用するものである。
[0017]
 (イオン交換樹脂)
 本発明に用いる高分子アクチュエータ素子のイオン交換樹脂は、特に限定されるものではなく、公知のイオン交換樹脂を用いることができる。現に効果が確認されたのは、アクチュエータのイオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂のものである。ただし、イオン交換樹脂が陽イオン型でも陰イオン型でも電位差の与え方を変更することで同様の効果が期待できる。陽イオン交換樹脂を用いる場合には、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。このような樹脂としては、例えばパーフルオロスルホン酸樹脂(商品名「Nafion」、DuPont社製)、パーフルオロカルボン酸樹脂(商品名「フレミオン」、旭硝子社製)、ACIPLEX(旭化成工業社製)、NEOSEPTA(トクヤマ社製)を用いることができる。
[0018]
 本発明に用いる高分子アクチュエータの屈曲・変位量を大きくするために、前記イオン交換樹脂は柔軟性を有していることが好ましい。イオン交換樹脂に柔軟性を付与するため、液状有機化合物によってイオン交換樹脂を膨潤させる。前記イオン交換樹脂は、膨潤した状態となることで、ゲル電解質となることができる。前記膨潤の度合いは、特に限定されるものではないが、前記高分子アクチュエータの膨潤度、つまり、前記高分子電解質が乾燥した状態での厚さに対して高分子アクチュエータの膨潤した状態での厚さの増加率が、3~200%であることが好ましく、5~60%であることがより好ましい。前記膨潤度が3%未満である場合には、変位屈曲性能が劣り、前記膨潤度が200%よりも大きい場合にも、変位屈曲性能が劣り、さらに大きく引張り強度が低下することとなってしまう。なお、前記有機化合物は、イオン交換樹脂中に含まれるが、金属電極が多孔性である場合には、前記溶媒の一部が、塩とともに前記金属電極に含まれても良い。
[0019]
 (液状有機化合物)
 本発明に用いられる液状有機化合物には、塩を含有する分極性有機溶媒か、イオン性液体を用いる。イオン性液体は単独で用いることができるが、分極性有機溶媒の場合には、電荷のキャリアとなるイオンを含む塩が必要とされる。ただし塩として前記イオン性液体を用いてもよい。これらの液状有機化合物であれば、イオン交換樹脂に電位差が与えられた場合、容易に当該イオン交換樹脂内での移動が生じるからである。液状有機化合物は、常温常圧において液状の有機化合物であり、特に、180℃以上の沸点または分解温度を有するものが好ましい。この場合、溶媒の気化が起こりにくくなる。
[0020]
 (分極性有機溶媒)
 前記分極性有機溶媒は、180℃以上の沸点または分解温度を有する有機化合物であることが好ましいが、特に245℃以上の沸点を有する分極性有機溶媒であることがより好ましい。好ましい分極性有機溶媒の具体例として、ジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン又はこれらの混合物を挙げることができる。中でもジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン又はこれらの混合物であることが特に好ましい。
[0021]
 前記分極性有機溶媒に含まれる塩は、当該分極性有機溶媒に溶解しうる塩であれば特に制限されるものではないが、特に前記イオン交換樹脂がカチオンと対イオンを形成する場合には、1~3価のカチオンの塩を用いることができ、Na 、K 、Li 等の1価のカチオンを用いることが大きな屈曲若しくは変位をすることができるために好ましく、イオン半径の大きなアルキルアンモニウムイオンを用いることがより大きな屈曲若しくは変位をすることができるために更に好ましい。前記アルキルアンモニウムイオンとしては、CH 、C 、(CH 、(C 、(CH H、(C H、(CH 、(C 、(C 、(C 、H (CH 、H C=CHCH HCH 、H (CH (CH 、HC≡CCH 、CH CH(OH)CH 、H (CH OH、H CH(CH OH) 、(HOCH C(CH 、C OCH CH や脂肪族炭化水素を置換基として備えるアンモニウムイオン、または官能基として炭化水素の他に脂環式の環状炭化水素をも有するアンモニウムイオンを用いることができる。このとき、前記の塩の濃度としては、イオン交換樹脂の官能基と等量以上の濃度として含まれていればよく、十分な屈曲乃至変位を得るために0.01~10mol/lであることが好ましく、0.1~1.0mol/lであることがより好ましい。
[0022]
 (イオン性液体)
 前記イオン性液体の好ましい具体例としては、テトラアルキルアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、及びピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、
PF 、BF 、AlCl 、ClO 、及び下式(1)で表されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組み合わせからなる塩を挙げることができる。下式(1)中、n及びmは任意の整数である。
(C (2n+1)SO )(C (2m+1)SO )N  (1)
 前記テトラアルキルアンモニウムカチオンとしては、特に限定されるものではないが、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウムを用いることができる。
[0023]
 前記イミダゾリウムカチオンは、ジアルキルイミダゾリウムイオン及び/またはトリアルキルイミダゾリウムイオンを用いることができる。例えば、前記イミダゾリウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオンを例示することができる。
[0024]
 前記アルキルピリジニウムカチオンは、特に限定されるものではないが、N-ブチルピリジニウムイオン、N-メチルピリジニウムイオン、N-エチルピリジニウムイオン、N-プロピルピリジニウムイオン、1-エチル-2-メチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチル-2,4-ジメチルピリジニウムを例示することができる。
[0025]
 前記ピラゾリウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1,2-ジメチルピラゾリウムイオン、1-エチル-2-メチルピラゾリウムイオン、1-プロピル-2-メチルピラゾリウムイオン、1-ブチル-2-メチルピラゾリウムイオンを例示することができる。
[0026]
 前記ピロリウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1,1-ジメチルピロリウムイオン、1-エチル-1-メチルピロリウムイオン、1-メチル-1-プロピルピロリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリウムイオンを例示することができる。
[0027]
 前記ピロリニウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1,2-ジメチルピロリニウムイオン、1-エチル-2-メチルピロリニウムイオン、1-プロピル-2-メチルピロリニウムイオン、1-ブチル-2-メチルピロリニウムイオンを例示することができる。
[0028]
 前記ピロリジニウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1,1-ジメチルピロリジニウムイオン、1-エチル-1-メチルピロリジニウムイオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンを例示することができる。
[0029]
 前記ピペリジニウムカチオンは、特に限定されるものではないが、1,1-ジメチルピぺリジニウムイオン、1-エチル-1-メチルピぺリジニウムイオン、1-メチル-1-プロピルピぺリジニウムイオン、1-ブチル-1-メチルピぺリジニウムイオンを例示することができる。
[0030]
 前記イオン性液体は、上記アニオンと上記カチオンとの組み合わせが特に限定されるものではないが、例えば、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミド(EMITFSI)、1-メチル-3-イミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF )、1-メチル-3-イミダゾリウムヘキサフルオロリン酸(EMIPF )、トリメチルプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホイミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミドを用いることができる。
[0031]
 (金属電極)
 本発明においてイオン交換樹脂の表面には、当該イオン交換樹脂に電位差を与えることができるように、対向する位置に一組以上の金属電極が設けられている。金属電極に用いられる金属は、水銀のような液体金属を除き、導電性のよい個体金属であれば制限なく用いることができ、また合金であってもよい。用いるイオン交換樹脂や液状有機化合物など種類によって、それぞれ適当な金属を選ぶことができる。
[0032]
 金属電極が対向するとは、一組の金属電極が平行を保って存在する状態を理想とするものである。ただし、両電極は完全に平行である必要はなく、当該両金属電極に電圧を与えることでアクチュエータ素子が変位できる限りにおいて、平行から多少ずれていてもよい。ただし、平行からずれるに従って、クーロン量あたりの屈曲や変形の効率に変化が生じる。
[0033]
 一組の金属電極が平行を保って存在する状態にするには、イオン交換樹脂の形状を平行な平面側壁を有する板形状またはシート形状として、この平行に対向する前記平面側壁表面に、対となる金属電極をメッキ法、中でも無電解メッキ法で設けることが好ましい。イオン交換樹脂の表面に無電解メッキ法で金属電極になりうる金属膜を形成した場合、イオン交換樹脂と金属電極の接触面積が大きくなり、このためアクチュエータとしての屈曲や変位の量も大きくできるからである。
[0034]
 (被覆樹脂)
 本発明に用いる高分子アクチュエータは、被覆をせずに長時間駆動することができるが、更に、可撓性を有する樹脂で被覆されてもよい。前記樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン樹脂及び/又はシリコン樹脂を用いることができる。前記ポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではないが、柔軟な熱可塑性ポリウレタンを用いることが、柔軟度が大きく密着性が良好であるために特に好ましい。柔軟な熱可塑性ポリウレタンとしては、商品名「アサフレックス 825」(柔軟度200%、旭化成社製)、商品名「ペレセン 2363-80A」(柔軟度550%)、「ペレセン 2363-80AE」(柔軟度650%)、「ペレセン 2363-90A」(柔軟度500%)、「ペレセン 2363-90AE」(柔軟度550%)、(以上、ダウ・ケミカル社製)を用いることができる。また、前記シリコン樹脂は、特に限定されるものではないが、柔軟度が50%以上である樹脂が、柔軟度が大きいので密着性が良好であるために、特に好ましい。前記シリコン樹脂としては、例えば、「シラシール3FW」、「シラシールDC738RTV」、「DC3145」、及び「DC3140」(以上、ダウコーニング社製)を用いることができる。なお、本願において、柔軟度とは、ASTM D412に準拠する引張破断伸び(Ultimate Elongation%)をいうものである。
[0035]
(導電性高分子アクチュエータ)
 導電性高分子アクチュエータとしては、屈曲挙動を示すバイモルフタイプの構造が例示できる。バイモルフタイプは、導電性高分子膜/基材/導電性高分子膜の3層構造、導電性高分子膜/金属電極/基材/金属電極/導電性高分子膜の3層の5層構造が例示される。以下に、各々の構成について詳述する。
[0036]
(導電性高分子材料)
 本発明の導電性高分子は、その膜形成体が印加電圧によって伸縮可能であれば、特に制限されず、例えば、分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含むものが好ましい。
[0037]
 また、上記導電性高分子は、ドーパントとしてのアニオンを、該導電性高分子へのドーピングおよび脱ドーピングすることができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ドーパントは、必要とされる電解伸縮量や用途等に応じて、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF 、PF 、過塩素酸イオンやパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。
[0038]
 特に、上記導電性高分子として、上記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
  (C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )N   (1)
 〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕、
または、上記導電性高分子として、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
  (C (2l+1)SO )(C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )C   (2)
 〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕、
が、より速い駆動速度を得ることができるために好ましい。
[0039]
(基材)
 本発明の基材は、その面方向での伸縮が可能な素材であれば特に制限されず、例えば、不織布、紙、布、綿、メンブレン素材、織物素材、編み物素材等が例示される。また、基材は、絶縁性を有し、電解液を含浸、又は液移動可能に保持できることが好ましい。また、基材の厚み、硬度は、直動変位機能を発揮するように設計されていれば、特に制限されない。
[0040]
 また、基材としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロースアセテートなどの多孔質基材(多孔質支持体)が好ましい。なかでも、上記多孔質基材(多孔質支持体)としては、化学的安定性や柔らかさやアクチュエータ素子の繰り返しの駆動における耐久性の観点から、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(多孔質PTFE)などをもちいることが特に好ましい。また空中で駆動させる場合は、電解液を保持している層(多孔質基材層(多孔質支持体層))のイオン導電率が高いことがより好ましく、また、空孔率は可能な限り高い方が好ましい。
[0041]
(駆動電解液)
 本発明に用いられる駆動電解液は、上記高分子アクチュエータ素子が電圧印可により駆動するための電解質を含み、上記電解質を溶解するための溶媒として用いられる。本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として有機溶媒、水、有機溶媒と水の混合溶液を用いることができる。水本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液を用いることができる。また、上記導電性高分子が酸に接触処理したものを用いる場合では、上記電解質を溶解する溶媒として、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液を用いることができる。駆動電解液としてこれらの混合溶液を含むことにより、上記高分子アクチュエータ素子は、一定の電圧を与えた状態における時間に対する伸縮量(駆動速度)を測定した場合に、上記駆動電解液中で大きな駆動速度を示すことができる。
[0042]
 また、本発明においては、上記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物であることが好ましい。
[0043]
 上記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、電気化学の反応場として用いることができる溶媒であることが好ましい。上記極性有機化合物としては、たとえば、γ-ブチロラクトン、α―メチル-γ-ブチロラクトン(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、およびアセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)をあげることができる。上記極性有機化合物は速い伸縮速度と大きな最大伸縮率を得ることができるために好ましい。なかでも、たとえば、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、又はエチレンカーボネイトなどが好ましく、バランスの良い駆動性能と共に、より長期の耐久性を得ることができる。
[0044]
 また、上記混合溶媒に水を含む場合、水と有機溶媒との混合比は、特に限定されるものではない。上記駆動電解液の溶媒として水を含む混合溶媒を用いた場合には、有機溶媒のみを用いた場合に比べて通常2倍以上の駆動速度の向上をすることができる。また、上記有機溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
[0045]
 上記駆動電解液は、導電性高分子や有機溶媒の種類により、上記混合比を特定することが難しい。有機溶媒の導電性高分子を膨潤させる能力等により、駆動速度を向上させるための有機溶媒の最小値は、上記有機溶媒の種類に依存することになる。たとえば、プロピレンカーボネートについては、特級試薬では水の含有量が0.005%であることから、水と有機溶媒との混合比を0.1:99.9とすることもできる。上記混合溶媒における水と有機溶媒との好適な混合比の範囲は、容量比で、水含有比下限が0.5、1.0、5.0、10または20から選ばれる値から、水含有比下限上限が99.5、99.0、95.0、90.0、または80.0から選ばれる範囲を、有機溶媒の種に応じて、選ぶことができる。なお、上記混合比は、ガスクロマトグラフィー法を用いた測定方法、特に水分含有率が少ない場合にはカールフィッシャー法を用いた測定方法を用いることにより、駆動電解液を分析することにより求めることができる。
[0046]
 たとえば、上記有機溶媒がプロピレンカーボネートである場合には、水とプロピレンカーボネートとの混合比が容量比で25:75~75:25であることが、導電性高分子への電圧印可による駆動速度がより速くなるため好ましい。上記混合溶媒は、上記有機溶媒が複数種用いられていてもよく、この場合には、上記混合比は、水の重量と全有機溶媒の合計重量との比で計算される。
[0047]
 上記水は、特に限定されるものではないが、純水、蒸留水もしくはイオン交換水であることが、金属イオンや塩化物イオン等による電解伸縮への阻害因子が含まれ難いために好ましい。
[0048]
 また、上記の駆動電解液には、電解質としてアニオンが含まれる。上記アニオンは、ドーパントイオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF 、PF やパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。また、上記アニオンは、たとえば、Na 、K 、Li 等とカチオンと対イオンを形成した電解質塩を用いてもよい。
[0049]
 上記電解質塩としては、たとえば、上記アニオンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドのリチウム塩、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドのテトラブチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
[0050]
 上記電解質として電解質塩が加えられる場合、上記駆動電解液100重量部に対して、上記電解質塩が1~90重量部含まれることが好ましく、5~75重量部含まれることがより好ましく、10~50重量部含まれることが特に好ましい。
[0051]
 また、上記駆動電解液には酸を含む混合溶液を用いることもできる。この酸としては、特に限定されるものではないが、一価の強酸であることが好ましい。
[0052]
 上記酸としては、たとえば、(CF SO NH、(C SO NH、(CF SO )(C SO )NHなどのパーフルオロアルキルスルホニルイミド、(CF SO CH、(C SO CH、(CF SO )(C SO CHなどのパーフルオロアルキルスルホニルメチド、硝酸などの無機酸などが好ましいものとしてあげられる。
[0053]
 上記酸は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、上記駆動電解液のpHが0~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましい。上記pHが4以上であると十分な添加効果が得られにくく、一方、上記pHが0以下では溶媒が分解してしまうおそれがある。なお、上記導電性高分子が酸に接触処理したものを用いる場合では、特に酸を駆動電解液に含まなくてもよい。
[0054]
 さらに、上記駆動電解液には、アニオンが含まれる。上記アニオンは、ドーパントイオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF 、PF やパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。これらのアニオンを用いた場合であっても、上記混合溶媒を用いることにより、導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動速度を向上することができる。
[0055]
 特に、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(3)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(3)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含むことがより好ましい。
  (C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )N   (3)
 〔上記式(3)において、mおよびnは任意の整数。〕
[0056]
 さらに、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(4)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(4)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含むことがより好ましい。
  (C (2l+1)SO )(C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )C   (4)
 〔上記式(4)において、l、mおよびnは任意の整数。〕   
[0057]
 これらのドーパントイオンを含むことにより、上記導電性高分子のバルク中に上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが取り込まれ、または放出されて、導電性高分子が大きな伸縮運動をすることができるので、上記高分子アクチュエータ素子は、従来の導電性高分子の電解伸縮方法に比べて、速い駆動速度を示すことができる。
[0058]
 また、本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液を用いることができる。上記非イオン性有機化合物は、イオン性官能基やイオン性部位を分子構造中に有していないものであれば特に限定されず適宜用いることができる。上記有機化合物としては、電荷のキャリアとなるイオンを含む塩の溶媒となることができる有機化合物、または電荷のキャリアとなることができる有機化合物であればよい。上記非イオン性有機化合物は、180℃以上の沸点または分解温度を有し、常温常圧下で液状であることが好ましく、さらに溶媒としての機能も有することが好ましい。また、245℃以上の沸点を有する有機溶媒であることがより好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
[0059]
 上記非イオン性有機化合物としては、たとえば、ジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、エチレンカーボネイト、ポリエーテル化合物などをあげることができる。なかでも、たとえば、ジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、又はポリエーテル化合物などが好ましく、さらには、ポリエーテル化合物を用いることが、バランスの良い駆動性能と共に、より長期の耐久性を得ることができるため、特に好ましい。
[0060]
 上記非イオン性有機化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、配合量としては、電解液100重量部に対して、0.01~100重量部であることが好ましく、0.05~50重量部であることがより好ましく、0.1~30重量部であることがさらに好ましい。0.01重量部未満であると十分な経時的耐久性が得られない場合があり、100重量部を超えると駆動周波数が低下する場合がある。
[0061]
 また、駆動電解液には、電解質としてアニオンが含まれる。上記アニオンは、ドーパントイオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF 、PF やパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。また、上記アニオンは、たとえば、Na 、K 、Li 等とカチオンと対イオンを形成した電解質塩を用いてもよい。
[0062]
 上記電解質塩としては、たとえば、上記アニオンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドのリチウム塩、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドのテトラブチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
[0063]
 上記電解質として電解質塩が加えられる場合、上記駆動電解液100重量部に対して、上記電解質塩が1~90重量部含まれることが好ましく、5~75重量部含まれることがより好ましく、10~50重量部含まれることが特に好ましい。
[0064]
 また、本発明においては、上記駆動電解液中にさらにイオン性液体を含むことができる。イオン性液体は、特に限定されないで用いることができる。なかでも、上記イオン性液体が、テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオンなどのイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、PF 、BF 、AlCl 、ClO 、および下記式(5)で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含むことが好ましい。これらのイオン性液体は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
[0065]
 (C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )N   (5)
 [上記式(5)において、mおよびnは任意の整数である。]。
[0066]
 さらには、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(6)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(6)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含むことがより好ましい。
[0067]
  (C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )N   (6)
 〔上記式(6)において、mおよびnは任意の整数。〕。
[0068]
 また、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(7)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(7)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含むことがより好ましい。
[0069]
  (C (2l+1)SO )(C (2m+1)SO )(C (2n+1)SO )C   (7)
 〔上記式(7)において、l、mおよびnは任意の整数。〕。
[0070]
 これらのドーパントイオンを含むことにより、上記導電性高分子のバルク中に上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが取り込まれ、または放出されて、導電性高分子が大きな伸縮運動をすることができるので、上記アクチュエータ素子は、従来の導電性高分子の電解伸縮方法に比べて、速い駆動速度を示すことができる。
[0071]
 なお、本発明のアクチュエータ素子においては、特定の形状を有し、かつ導電性高分子を含んでなる導電性高分子有形物に含まれるアニオンと同じアニオンが、上記駆動電解液中に含まれることが好ましい。上記アクチュエータ素子に用いられた導電性高分子のバルク中に含まれ、ドーパントとして機能し得るアニオンと同じアニオンが上記作動電解液中に含まれることにより、導電性高分子バルク中への出入りが容易となりやすく、所望の伸縮量の電解伸縮を容易に得ることができる。また、上記駆動電解液中に含まれるアニオンがパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンである場合には、上記駆動電解液中で電解伸縮をさせる導電性高分子有形物の製造用電解液中に含まれるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンとイオン半径が同程度であることが、電解伸縮を容易に行うことができるので好ましい。
[0072]
(導電性高分子アクチュエータの製造方法)
 導電性高分子アクチュエータは、電解重合により作用電極上に得られた導電性高分子膜をそのまま用いることができる。また、基材に直接電解重合することで、導電性高分子層(膜)を形成することもできる。また、基材の両面に同時に、導電性高分子層(膜)を電解重合により形成できる。また、基材の片面では密度の高い導電性高分子層(膜)を、その他方の面では密度の低い導電性高分子層(膜)を同時に或いは別々に形成することもできる。かかる場合、導電性高分子層(膜)が導電性高分子アクチュエータに相当し、密度の低い導電性高分子層(膜)は、従動対極に相当する。
[0073]
 また、電解重合により直接に基材に導電性高分子層(膜)を形成するのではなく、金属電極層を介して行なうことがより好ましい。金属電極層としては、金、白金、ニッケルなどを用いることができるが、なかでも金、白金などが好ましい。金属電極層は、公知の方法によって基材に形成することができ、例えば、スパッタリングによって基材に電極層を形成することができる。電極層の厚みは、特に制限されない。
[0074]
 また、上記電解重合に用いる電解液(導電性高分子製造用電解液)が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む有機化合物および/またはハロゲン化炭化水素を溶媒として含むことが好ましい。上記の電解液中に上記溶媒を含み、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンなどを含むことにより、得られた導電性高分子は、1酸化還元サイクル当たりにおいてより大きな電解伸縮を示すものとなる。
[0075]
 上記有機化合物としては、たとえば、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸-t-ブチル、1,2-ジアセトキシエタン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネイト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、ブタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、およびアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)をあげることができる。なお、ヒドロキシル基を含む有機化合物は、特に限定されるものではないが、多価アルコールおよび炭素数4以上の1価アルコールであることが、伸縮率が良いためにより好ましい。なお、上記有機化合物は、上記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち、2つ以上の結合または官能基を任意の組み合わせで含む有機化合物であってもよい。
[0076]
 また、上記導電性高分子製造用電解液に溶媒として含まれるハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の水素が少なくとも1つ以上ハロゲン原子に置換されたもので、電解重合条件で液体として安定に存在することができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ハロゲン化炭化水素としては、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタンをあげることができる。上記ハロゲン化炭化水素は、1種類のみを上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできるが、2種以上併用することもできる。また、上記ハロゲン化炭化水素は、上記の有機化合物との混合液として用いてもよく、上記有機溶媒との混合溶媒を上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできる。
[0077]
 上記電解重合法により得られた導電性高分子のバルク中には、上記電解重合法に用いられた上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが存在することとなる。上記導電性高分子が上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含む上記導電性高分子は、上述のように1酸化還元サイクル当りの伸縮量が大きく、駆動速度(%/s)の値も大きく、しかも、容易に得ることができるので好ましい。たとえば、上記の導電性高分子の有形物を膜状体は、従来の導電性高分子の電解伸縮がその最大の伸縮率が面方向で1酸化還元サイクル当たり10~15%程度までしか得られていなかったのに対して、ドーパントとして上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを導電性高分子のバルク中に含むことにより、長さ方向において、1酸化還元サイクル当たり16%以上、特に20%以上の優れた最大の伸縮率を示すことが可能となる。上記膜状体は、人工筋肉に代表される大きな伸縮率が要求される用途に好適に用いることができる。なお、上記の導電性高分子の有形物は、ドーパントの他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
[0078]
 上記電解重合法における上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンの電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、十分な電解液のイオン導電性を確保するために、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩として、電解液中に1~40重量%含まれるのが好ましく、2.8~20重量%含まれるのがより好ましい。また、電解重合法により得られる導電性高分子膜の膜質を向上させるために、トリフルオロメタンスルホン酸塩を電解液中に1~80%加えた複合電解質を用いることもできる。また、これらのイオンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
[0079]
 また、上記電解重合法にて用いられる電解液(導電性高分子製造用電解液)には、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩を含む以外に、導電性高分子の単量体を含んでいてもよく、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミドなどの公知のその他の添加剤を含むこともできる。
[0080]
 上記電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能であり、定電位法、定電流法および電気掃引法のいずれをも適宜用いることができる。たとえば、上記電解重合法は、電流密度0.01~20mA cm -2、反応温度-70~80℃で行うことができ、良好な膜質の導電性高分子を得るために、電流密度0.1~2mA cm -2、反応温度-40~40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が-30~30℃の条件であることがより好ましい。
[0081]
 なお、上記電解重合法に用いられる作用電極は、電解重合に用いることができれば特に限定されるものではなく、ITOガラス電極、炭素電極や金属電極などを適宜用いることができる。上記金属電極は、金属を主とする電極であれば特に限定されるものではないが、Pt、Ti、Ni、Au、Ta、Mo、CrおよびWからなる群より選ばれた金属元素についての金属単体の電極または合金の電極を好適に用いることができる。なかでも、得られた導電性高分子の伸縮率および発生力が大きく、かつ電極を容易に入手できることから、金属電極に含まれる金属種がPt、Tiであることが特に好ましい。なお、上記合金としては、たとえば、商品名「INCOLOY alloy 825」、「INCONEL alloy 600」、「INCONEL alloy X-750」(以上、大同スペシャルメタル社製)を用いることができる。また、対極については公知の電極、たとえばPt、Niを好適に用いることができる。
[0082]
 上記電解重合法に用いられる電解液に含まれる導電性高分子の単量体としては、電解重合による酸化により高分子化して導電性を示す化合物であれば特に限定されるものではなく、たとえばピロール、チオフェン、イソチアナフテン等の複素五員環式化合物、ならびにそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体があげられる。なかでも、ピロール、チオフェン等の複素五員環式化合物、ならびにその誘導体が好ましく、特にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるために好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
[0083]
 上記アクチュエータ素子において、上記導電性高分層(膜)の厚みは、デバイスの仕様により適宜設計するものであり、例えば0.01~数百μmの範囲が例示できる。
[0084]
(中間体)
 中間体は、高分子アクチュエータの屈曲変化による屈曲力を弾性体に伝達するものである。アクチュエータ体の用途に応じて、そのサイズ、材質は決定される。伝達機能の観点からは、中間体は、高分子アクチュエータの屈曲力によって変形しない剛性のある材質が好ましく、例えば、ステンレス等の金属、硬質の樹脂等が例示される。また、弾性体がリング状の場合、中間体もリング状に形成し、その外径は、弾性体の外径と同じまたはやや小さいのが好ましく、中間体のリング内径は、弾性体の孔部の径と同じまたはやや大きいのが好ましい。厚みは、材質にもよるが変形しない程度の厚みが必要である。また、高分子アクチュエータや弾性体に対して悪影響を及ぼさない材質が選定される。
[0085]
(弾性体)
 弾性体は、復元性があり、高分子アクチュエータの屈曲力で変形する程度の硬度が必要である。さらに、熱や薬品等に対して安定のものがより好ましい。弾性体の材料としては、例えば、シリコーン、フッ素系エラストマー、各種エラストマー、ゴム、ウレタン等が例示できる。また、弾性体の硬度は、その材料に応じて、ショア硬さ、針入度(JIS K2207)による測定が可能である。弾性体の形状をリング状、C字状またはU字状にすることで絞り挙動を実現することができる。特に、カメラの絞り機構に用いる場合には、リング状が選択される。また、弾性体の厚みは、絞りサイズに応じて設定できる。
[0086]
(電気的駆動源)
 高分子アクチュエータは、電気的駆動源からの電圧印加によって屈曲変化する。電圧印加方法は、特に制限されず、アクチュエータ体の用途に応じて設定される。また、印加電圧の制御方法は、例えば、正負極の切り替え、電圧値制御、パルス制御、連続印加、断続的印加制御、周波数制御、PID制御等が例示される。また、本発明において、印加する時間(期間)に比例して、伸縮が生じている。よって、印加時間を制御することで、絞り量を簡単に制御できる。
[0087]
 また、印加電圧は、高分子アクチュエータの素材により異なり、イオン伝導アクチュエータの場合、例えば、-5V~+5Vの範囲で駆動できる。また、導電性高分子アクチュエータの場合、分解しない範囲での印加が可能である。デバイスのサイズ・性能、電導性高分子アクチュエータの材料、厚み、サイズ等の設計に依存するが、電導性高分子としてポリピロールを用いた場合、その印加電圧は、例えば、ポリピロールが分解しない電圧値以下が望ましく、0.75Vから2Vの範囲が例示される。
[0088]
(電極部材)
 電極部材は、高分子アクチュエータに電圧を印加するために用いられる。その形状及びサイズが特に制限されず、用途に応じて、例えば、円形、方形、多角形、異形、プレート状等を適宜設計できる。また、電極部材は、ソリッド素材、フレキシブル素材で構成でき、アクチュエータ体としての用途に応じた素材を選択できる。また、電極部材は、その機能を発揮するものであれば特に制限されないが、例えば、金属、貴金属が例示される。電極部材は、後述する一対の規制部材の表面に形成され、この一対の規制部材によって、上記の弾性体/中間体/高分子アクチュエータがサンドされていることが好ましい。
[0089]
(規制部材)
 規制部材は、一対の部材を有し、弾性体/中間体/高分子アクチュエータの順にサンドして固定部材によってそれらを一体に形成するように構成されている。一対の規制部材の内、第1の規制部材は、弾性体及び中間体を収納する収納部が形成され、中間体に対し高分子アクチュエータの屈曲力が作用した場合に、中間体を介して力が弾性体に伝達され、これによって、弾性体が変形する。このとき、第1の規制部材の収納部内壁によって弾性体の半径方向への広がりが規制されるが、弾性体の孔部の収縮変形は規制されない。一対の規制部材の材料は、特に制限されないが、硬質の樹脂、金属等が好ましい。一対の規制部材のサイズ、形状は、特に制限されず、アクチュエータ体の用途に応じて適宜設計できる。固定部材は、ボルト・ナット等の機械的固定部材が例示でき、固定部材の代わりに接着剤、溶着、溶接等の固定手段を用いることもできる。また、一対の規制部材を嵌め込み構造、ネジ止め構造に構成することもできる。
[0090]
 (用途)
 本発明のアクチュエータ体は、絞り機構、指用の血圧計、人工肛門、バルブ、ポンプ、マッサージ器、ブレーキ、クラッチ等のアクチュエータとして利用可能である。
[0091]
 本発明のアクチュエータ体は、より具体的には、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降器械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気かみそり、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置および航空機用付属装備展張装置、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキおよびロック装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。
[0092]
 また、アクチュエータ体は、上記の装置、機器、器械等以外においても、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、および押圧装置の押圧部において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。
[0093]
 また、アクチュエータ体は、関節装置における駆動部として、関節中間部材等の直接駆動可能な関節部または関節に回転運動を与える駆動部に好適に用いることができる。
[0094]
 アクチュエータ体は、たとえば、エンジン等の振動発生部からフレーム等の振動受部へ伝達される振動を減衰させる防振装置の駆動部、内燃機関の吸排気弁のための動弁装置の駆動部、エンジンの燃料制御装置の駆動部、ならびにディーゼルエンジン等のエンジンの燃料供給装置の駆動部に好適に用いることができる。
[0095]
 アクチュエータ体は、たとえば、ホース金具をホース本体にカシメ固定する等の固定具の押圧部に好適に用いることができる。
[0096]
 上記アクチュエータ体は、たとえば、自動車のサスペンションの巻ばね等の駆動部、車両のフューエルフィラーリッドを解錠するフューエルフィラーリッドオープナーの駆動部、ブルドーザーブレードの伸張および引っ込みの駆動の駆動部、自動車用変速機の変速比を自動的に切り替えるためやクラッチを自動的に断接させるための駆動装置の駆動部に好適に用いることができる。
[0097]
 上記アクチュエータ体は、たとえば、食品加工装置の食材吐出用ノズル装置等の吐出量調整機構の駆動部に好適に用いることができる。
[0098]
 上記アクチュエータ体は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられる弁の駆動部に用いることができ、たとえば、蒸発ヘリウムガスの再液化装置の弁の駆動部、ベローズ式の感圧制御弁の駆動部、綜絖枠を駆動する開口装置の駆動部、真空ゲート弁の駆動部、液圧システム用のソレノイド動作型制御バルブの駆動部、ピボットレバーを用いる運動伝達装置を組み込んだバルブの駆動部、ロケットの可動ノズルのバルブの駆動部、サックバックバルブの駆動部、ならびに、調圧弁部の駆動部に好適に用いることができる。
[0099]
 上記アクチュエータ体は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるブレーキの押圧部として用いることができ、たとえば、非常用、保安用、停留用等のブレーキやエレベータのブレーキに用いて好適な制動装置の押圧部、ならびに、ブレーキ構造もしくはブレーキシステムの押圧部に好適に用いることができる。
[0100]
 上記アクチュエータ体は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるロック装置の押圧部として用いることができ、たとえば、機械的ロック装置の押圧部、車両用ステアリングロック装置の押圧部、ならびに、負荷制限機構および結合解除機構を合わせ持つ動力伝達装置の押圧部に好適に用いることができる。
<実施例>
[0101]
 以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されず、本発明の技術的思想を同じくする全ての形態、態様、製品、部品に及ぶことは言うまでもない。
[0102]
 [実施例1]
 イオン伝導アクチュエータをシート形状に作製し、レーザー加工によって、菊座形状にカットした。図1に示す、菊座形状のイオン伝導アクチュエータ11は、外径寸法が、縦、横各9.5mm、厚みが0.2mmである。4隅には、ガイドピンが挿入されるピン穴を形成し、中央部には、貫通の開口部を形成し、8枚の花弁がその開口中心に対向するように形成した。
[0103]
 ワッシャー12(中間体に相当する)は、その外径が弾性体13の外径と同じであり、ワッシャー12の内径は、1.05mmとし、弾性体13の内径(1mm)よりもやや大きく設定した。
[0104]
 弾性体13は、シリコーン(フッ素含有)(信越化学社製のSIFEL-8270)を材料として、リング状に形成した。その厚みは0.8mmである。弾性体13は、基板14(規制部材に相当する)に設けた円形の開口部(その中心部分に貫通部を有している)にシリコーンを流しこみ、硬化させて形成した。この際、開口部の中心貫通部分は、ピン(直径1mm)を垂直に設けたプレートでシールしてから、シリコーンを流し込み、次いで、ワッシャー12をピンに挿入して、流し込んだシリコーン上面に静置させた。このとき、基板14の開口部内にシリコーンおよびワッシャー12が収納され、ワッシャー12の一部は、開口部からはみだしている。そして、シリコーンが硬化するまで静置し、硬化後に上記プレートを基板14から取り除いた。上記ピンが開口部中心位置で垂直に設けられているため、シリコーンの硬化後にプレートを取り除くと弾性体13の中心部に直径1mmの孔部が形成されることになる。
[0105]
 基板14,15は、その片面で菊座形状のイオン伝導アクチュエータ11を接する部分には、電極膜(銅はく部に金メッキを施してある)が形成されている。基板14,15としては、ガラエポプリント基板を用いた。
[0106]
 上記のように作製された弾性体13上にワッシャー12が載置されている。このワッシャー12上に、菊座形状のイオン伝導アクチュエータ11を載置し、次いで、基板15を載置し、それらを一体にするようにガイドピンで組み立て、アクチュエータ体1を作製した。ワッシャー12に対し、菊座形状の一枚一枚の花弁が片持ち梁に当接するように構成される。この片持ち梁が湾曲挙動(イオン伝導アクチュエータ11の屈曲挙動)することによって、ワッシャー12が下方の弾性体13を押し付け、弾性体13の孔部の収縮変形を実現している。図2に示すように、アクチュエータ体1は、その外径寸法が縦横9.5mm、厚み2.4mmであった。重量は、約0.8g・fであった。
[0107]
 基板14,15の一部に形成された耳部に電圧印加を行なった。直流電圧-3V~+3Vを印加させ、フッ素系エラストマー体13の中心部の孔部直径が、1mmから0.5mmに変化したことを確認した。この時の変化開始から変化終了までの時間は、約4秒であった。
[0108]
 以上の結果から、アクチュエータ体1を小型に形成でき、また、絞り機構としても有効に機能することが確認できた。また、この結果から、アクチュエータ体1のサイズをより小さくするように構成できることが分かり、例えば、縦横6.5mm、厚み0.8にすることが可能である。また、アクチュエータ体1を絞り機構として用いた場合、他の絞り機構に比較し、小型、軽量、部品点数も少なく、低電力駆動である点で好ましいものであることが確認できた。

請求の範囲

[1]
 電気的駆動源によって屈曲変形する高分子アクチュエータと、
 前記高分子アクチュエータの屈曲力を伝達する中間体と、
 前記中間体を介して前記屈曲力が作用する弾性体と、を備え、
 前記高分子アクチュエータの屈曲力を前記中間体を介して前記弾性体に作用させた場合に、前記弾性体内部に形成された孔部の寸法が変動することを特徴とするアクチュエータ体。
[2]
 前記高分子アクチュエータが、イオン伝導アクチュエータである請求項1に記載のアクチュエータ体。
[3]
 請求項1または2に記載のアクチュエータ体を用いた絞り機構。
[4]
 請求項3に記載の絞り機構を用いた撮像装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]