処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

1. WO2008126600 - 高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品

Document

明 細 書

発明の名称 高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019   0020  

発明を実施するための最良の形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

産業上の利用可能性

0050  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3  

明 細 書

高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品

技術分野

[0001]
 本発明は、高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品に関し、更に詳しくは、カルシウムガーネット系の高周波用磁性体材料、及びマイクロ波、ミリ波等の高周波領域において好適に用いられるアイソレータ、サーキュレータ等の高周波用回路部品に関するものである。

背景技術

[0002]
 近年、電子部品の小型化、低背化が進んでいる。例えば携帯電話等の通信機器の分野では高周波化及び高機能化が急速に進んでいる。これらに用いられるマイクロ波やミリ波の高周波用磁性体材料の特性としては、任意の飽和磁化4πM の値を有し、キュリー温度T が高く、強磁性共鳴吸収半値幅ΔHが小さく、誘電損失tanδが小さいことが要求されている。このような高周波磁性体材料としては、例えばイットリウム-鉄-ガーネット型フェライト(以下、「YIG」と称す。)が知られている。YIGは、そのままでは飽和磁化4πM の値が160~180mTと高いため、YIGを例えばアイソレータ等の高周波用回路部品として用いる場合には強力で大きな磁石を用いなければ十分に動作せず、高周波用回路部品を小型化することができない。そこで、飽和磁化4πM を任意の大きさに調整する方法として、Yサイトに磁化した磁性元素を導入する方法やYIGの一部を磁化していない非磁性元素で置換する方法が知られている。
[0003]
 前者の磁性元素を導入する方法としては、例えばYサイトの一部をGdで置換する方法が特許文献1、2において提案されている。これらの技術では飽和磁化4πM を適当な値に調整すると共に、誘電損失tanδや強磁性共鳴吸収半値幅ΔHを低減することができる。しかしながら、Gdは、低温での温度特性が正であるため、高温側との温度特性との差が大きく、アイソレータとした場合に温度補償が難しくなる。また、高温での飽和磁化温度係数α 4πMSが急増するため、全温度領域での飽和磁化温度係数α 4πMSは小さいが、素子にした場合には低温側、高温側で中心周波数がずれやすくなる。
[0004]
 また、YIGの一部を非磁性元素で置換する方法としては、例えばYIGのYサイトのYの一部をCaで置換すると共にFeの一部をVで置換してCa-V系のYIG(以下、「CVG」と称す。)やYIGとCVGの固溶体を得る方法がある。以下では、YIGとCVGの固溶体をCVGに含めて説明する。このCVGは、3価のYを2価のCaで置換するため、3価のFeを5価のVで置換してCVGの電荷バランスをとるようにしているが、電荷バランスをとることが難しいため、ガーネット相以外の異相を生成しやすく、強磁性共鳴吸収半値幅ΔHが小さく、高抵抗な磁性体材料が得られる組成範囲が狭い。そこで、本出願人は、特許文献3において、6配位のaサイトのFeの一部を非磁性元素であるSn、Zr等の4価元素の少なくとも一種以上で置換して強磁性共鳴吸収半値幅ΔHを小さくすると共に高抵抗を得ることができる高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品を提案している。
[0005]
特許文献1 : 特開平08-048523
特許文献2 : 特開2005-097042
特許文献3 : 特開2005-183409

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献1、2の技術では、高周波用回路部品の小型化に合わせて飽和磁化4πM を下げることができても、Gdの置換量が多くなるとアイソレータ等の高周波用回路部品の温度補償ができなくなる。一方、特許文献3の技術では、飽和磁化4πM を下げるためにCaの置換率を大きくすると、強磁性共鳴吸収半値幅ΔHが劣化し、アイソレータ等の高周波用回路部品の特性が劣化することになる。また、この際強磁性共鳴吸収半値幅ΔHの劣化を防ぐために磁気異方性を低減する成分を置換すると、ΔHは向上するが、置換量が増加するに従って温度特性が悪くなり、温度変化による中心周波数のずれが生じやすくなる。
[0007]
 本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、飽和磁化が65mT以下で高周波用回路部品を小型化することができ、更に、強磁性共鳴半値幅が小さく、飽和磁化温度係数の絶対値が小さい温度特性に優れた高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の請求項1に記載の高周波用磁性体材料は、一般式Y z-xCa Fe 8-z-y-v12で表されるガーネット型フェライトを主成分とする高周波用磁性体材料であって、上記x、y、z及びvは、1.80≦x≦2.50、0.26≦y≦0.45、3.00<z≦3.09、0.77≦v<1.00の関係を満足し、且つ、Mは、Sn、Zr及びSiから選択される少なくとも一種の4価の元素であることを特徴とするものである。
[0009]
 また、本発明の高周波用磁性体材料は、上記Mは、Snであることが好ましい。
[0010]
 また、本発明の高周波用回路部品は、本発明の高周波用磁性体材料によって形成された磁性体と、この磁性体に互いに絶縁されて交叉状に配置されて介在する複数の中心導体と、上記磁性体に直流磁界を印加する磁界発生部と、を備えたことを特徴とするものである。
[0011]
 而して、本発明の高周波用磁性体材料は、本発明の高周波用回路部品に好適に用いられる。本発明の高周波用磁性体材料は、一般式Y z-xCa Fe 8-z-y-v12で表されるCa置換ガーネット型フェライトを主成分とするものである。この一般式において、MはSn、Zr及びSiから選択される少なくとも一種の4価の元素であり、いずれも4価の陽イオンとして作用する。3価のYの一部を2価のCaで置換しているため、3価のFe一部を4価のM及び5価Vによって置換し、電荷バランスをとって電気的中性を維持している。
[0012]
上記ガーネット型フェライトの一般式におけるx、y、z及びvは、それぞれ1.80≦x≦2.50、0.26≦y≦0.45、3.00<z≦3.09、0.77≦v<1.00の関係を満足する。
[0013]
 本発明では、Caの置換量xが1.80≦x≦2.50を満足することにより、Vの置換量と相俟って飽和磁化4πM を低くすることができ、延いては高周波用回路部品を小型化することができる。xが1.80未満になると、4πM が高くなって高周波用回路部品を小型化できなくなる。xが2.50を超えると強磁性共鳴吸収半値幅ΔHが劣化し、飽和磁化温度係数α 4πMSの絶対値が大きくなるため、この磁性体材料を高周波用回路部品として用いると温度変化による中心周波数のずれが生じる。
[0014]
 本発明では、MとしてSn、Zr及びSiから選択される少なくとも一種の4価元素が用いられ、Mの置換量yが0.26≦y≦0.45を満足する。Sn、Zr及びSiは、いずれもΔHを小さくする効果がある。MとしてSn、Zr、Siのいずれか一種が含まれている場合にはその元素の置換量が上記関係を満足すれば良く、Sn、Zr及びSiの二種以上が含まれている場合にはいずれか二種以上の置換量の和が上記関係を満足すれば良い。Mの置換量yが0.26未満になると、ΔHが劣化して挿入損失が劣化する。yが0.45を超えるとα 4πMSの絶対値が大きくなり、温度変化による中心周波数がずれる。
[0015]
 本発明では、Yのガーネット結晶の化学量論組成はz=3.00であるが、zが3.00より僅かに大きい3.00<z≦3.09を満足することにより、ΔHを小さくして挿入損失を低減することができる。zが3.09を超えるとガーネット結晶に異相を生じ、ΔHが大きくなって挿入損失も大きくなる。
[0016]
 本発明では、Vの置換量vが0.77≦v<1.00を満足することにより、Caの置換量と相俟って4πM を低くすることができ、延いては高周波用回路部品を小型化することができる。vが0.77未満になると4πM が高くなって高周波用回路部品を小型化できなくなる。vが1.00以上になるとΔHが劣化して挿入損失が劣化し、α 4πMSの絶対値の増加により温度変化による中心周波数がずれる。
[0017]
 また、本発明の高周波用回路部品を構成する磁性体は、上述した本発明の高周波用磁性体材料によって形成されている。また、本発明の高周波用回路部品を構成する中心導体は従来公知の導電性材料によって形成され、磁界発生部は磁石等によって構成されている。本発明の高周波用回路部品としては、例えばアイソレータ、サーキュレータ及びジャイレータ等の非可逆回路素子、移相器等を挙げるこができる。

発明の効果

[0018]
 本発明によれば、飽和磁化が65mT以下で高周波用回路部品を小型化することができ、更に、強磁性共鳴半値幅が小さく、飽和磁化温度係数の絶対値が小さい温度特性に優れた高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明の高周波用回路部品の一実施例である非可逆回路素子の要部を示す分解斜視図である。
[図2] 本発明の高周波用回路部品の他の実施例である非可逆回路素子の要部を示す斜視図である。
[図3] 図2に示す非可逆回路素子を用いるフェライト組立体を分解して示す斜視図である。

符号の説明

[0020]
 2A、2B、11  磁性体素子(磁性体)
 3A、3B、3C、12、13  中心導体
 4A、4B  絶縁膜

発明を実施するための最良の形態

[0021]
(1)評価用試料の作製
 まず、出発原料として、純度99%以上の酸化イットリウム(Y )、炭酸カルシウム(CaCO )、酸化鉄(Fe )、酸化錫(SnO )及び酸化バナジウム(V )を用意し、これらを表1に示す組成比率になるように秤量し、表1に示す一般式Y z-xCa Fe 8-z-y-vSn 12になるように調合した。次いで、Zrが主成分であるPSZ玉石を用い、調合した原料粉末をボールミル法で湿式混合した。
[0022]
 ボールミル法による湿式混合後の混合粉末を900~1150℃で仮焼した後、この仮焼物を十分に粉砕して仮焼粉として調製した。この仮焼粉にウレタン系やアクリル系のバインダを加えて十分に混合し、乾燥、造粒して造粒粉とした。この造粒粉をプレス成形によって厚さ1mm程度の円板試料として成形し、200~500℃で脱脂した。この円板試料を1200~1400℃で焼成した後、評価用試料とした。また、別に、所定の大きさにした円板状の焼結体をアイソレータモデルに組み込んで、アイソレータとして完成させ、評価用試料とした。尚、焼成に際して、焼結体の焼結密度及びΔHは、焼成温度に影響されるため、最高密度が得られる焼成条件に最適化した。
[0023]
(2)評価用試料の評価方法
 円板の評価用試料を用いて、JIS-C2565に準じてΔHを測定した。また、振動型磁力計を用いて4πMsを測定した。次に、アイソレータの評価用試料にネットワークアナライザーを接続し、入力電力と出力電力の比を測定して、挿入損失を算出した。これらの測定結果は表1に示した。
[0024]
 表1において、試料No.1~5は磁性体材料のCaとVの置換量x、vの影響を観る試料であり、試料No.5~9はYサイトのYとCaの合計量zの影響を観る試料であり、試料No.10~25はYサイトのYとCaの合計量zを一定とした時のCaと4価元素MとVそれぞれの置換量x、y、vの影響を観る試料であり、試料No.26~28は4価元素Mに代えてFeの一部を3価元素のInで置換した場合の影響を観る試料である。また、試料No.29~32は4価元素MとしてZr、Siを評価した試料である。尚、表1において、*を付した試料は本発明の範囲外の比較用試料である。
[0025]
[表1]


[0026]
 表1に示すように、Snの置換量yが本発明の範囲(0.26≦y≦0.45)内の0.26に固定され、Caの置換量x及びVの置換量vが本発明の範囲(1.80≦x≦2.50、0.77≦v<1.00)内で大きくなる試料No.4、5の場合には、x、vが大きくなるに連れて4πM が65mT、60mTと低くなり、アイソレータを小型化することができる。
[0027]
 これに対して、x、vのいずれも本発明の範囲に満たない範囲でもx、vが大きくなるに連れて4πM が低くなるが、その値は100~70mTと高く、アイソレータを小型化するには適当でない。
[0028]
 表1に示すように、x、y及びvが本発明の範囲内で固定され、zが本発明の範囲(3.00<z≦3.09)内で大きくなる試料No.5、7、8の場合には、4πM が60mTと低い値を示して殆ど変わらず、飽和磁化温度係数α 4πMSの絶対値が小さくなり、ΔH、挿入損失のいずれも小さかった。
[0029]
 これに対して、x、y、vが試料No. 5、7、8と同一で本発明の範囲内にあって4πM が60mTと低くても、zが3.00以下の大きさであったり、3.09を超えた大きさになると、ΔH及び挿入損失のいずれも大きくなった。
[0030]
 表1に示すように、x、y及びvが本発明の範囲内で大きくなる試料No.10~14及び試料No.24、25の場合には、x、vが大きくなるに連れて4πM が低くなり、ΔH及び挿入損失のいずれも小さくそれほど変化しなかった。また、これらの試料は、いずれもα 4πMSの絶対値が小さく、温度変化による中心周波数のずれもなかった。この結果から、4πM を低くするためにx、vを大きくしても、x、vに伴って4価のSnの置換量yを大きくすればΔH及び挿入損失の劣化を防止できることが判った。
[0031]
 これに対して、yがx、vに連れて大きくなっても、これらがいずれも本発明の範囲に満たない範囲で大きくなる試料No.15、17、19、21の場合には、x、vが大きくなる連れて4πM が低下するがΔH及び挿入損失はいずれもx、vが大きくなるに連れて劣化した。また、yがx、vに伴って大きくなっても、yが本発明の範囲を超える範囲で大きくなる試料No.16、18、20、22の場合には、4πM が小さく、ΔH及び挿入損失のいずれも小さくなっても、α 4πMSの絶対値が4500より大きくなり、温度変化による中心周波数のずれが生じ、アイソレータ特性が劣化した。
[0032]
 従って、4πM が65mT以下と低く、α 4πMSの絶対値が4500以下であれば、アイソレータの小型化を確実に実現することができる。また、4πM が低くなるとアイソレータ特性が劣化すると言われているが、回路を最適化し、基板容量等によって何等問題なくアイソレータの特性を維持できることをシミュレーションにより確認している。
[0033]
 試料No.26~28ではSnに代えてInでFeの一部を置換した場合には、x、vが大きくなるに連れて4πM が低くなるが、ΔH、挿入損失のいずれも劣化した。また、Inの置換量がSnの発明の範囲を超えるとα 4πMSの絶対値が4500を超え、温度変化による中心周波数のずれが生じた。InはSnと同様にΔHを小さくする効果があるとされているが、3価元素であるInではΔHを小さくする効果が小さく、同等の効果を得るためにはInの置換量を大幅に増やさざるを得ない。そうするとα 4πMSの絶対値が大きくなり、アイソレータに使用するには適当でない。試料No.29~32では、4価元素Mとして、Zr、Siを評価したが、4価元素であれば、Snに代えてZr、Siを使用しても、Snの場合と同様の作用効果を期することができる。
[0034]
 本実施形態では、上述の通り、上記高周波用磁性体材料を用いて非可逆回路素子(アイソレータ)の評価用試料を作製した。そこで、以下でアイソレータの構造について図1を参照しながら説明する。
[0035]
 本実施形態の非可逆回路素子は、例えば図1に示す回路素子本体1と、この回路素子本体1に軸方向に直流磁界Hを印加する図示しない磁気発生部(例えば、永久磁石)と、を備え、3ポートタイプのアイソレータとして構成されている。回路素子本体1は、図1に示すように、本実施形態の高周波用磁性体材料によって形成され且つ軸心を一致させて配置された上下の磁性体素子2A、2Bと、これらの磁性体素子2A、2B間に互いに交叉するように配置された3本の中心導体3A、3B、3Cと、各中心導体3A、3B、3C間を互いに電気的に絶縁する絶縁膜4A、4Bと、を有している。
[0036]
 磁性体素子2A、2Bは、本発明の高周波用磁性体材料によって円板状に形成され、回路素子本体1内の電界分布を制御する働きを有し、磁性体素子2A、2Bの直径及び厚さはそれぞれ使用する周波数や入力インピーダンスに応じて設定される。中心導体3A、3B、3Cは、それぞれ金属箔(例えば、銅箔)によって帯状に形成され、図1に示すように互いに所定の角度(例えば、等角度)で交叉して磁性体素子2Aの側面まで延設され、後述するアイソレータやサーキュレータの機能を発揮する。また、絶縁膜4A、4Bは、図1に示すように、それぞれ磁性体素子2A、2Bより小径の円形状に形成され、磁性体素子2A、2Bを軸心が一致するように配置され、中心導体3A、3B、3C間の短絡を防止している。
[0037]
 本実施形態の非可逆回路素子においては、直流磁界Hの大きさを調整することにより、中心導体に印加された高周波電力の電界分布を、回路素子本体1を介して移動させることができる。例えば、中心導体3Aにおける磁性体素子2Aの側面に延設された部分を端子5Aとして、この端子5Aに印加された高周波電力を中心導体3Bの端子5Bに出力することができ、サーキュレータとしての機能を発揮することができる。また、このような非可逆回路素子は、例えば、中心導体3Cの端子5Cに無反射終端を接続すれば、中心導体3Bの端子5Bに印加される高周波電力を端子5Cから出力して無反射終端において全てを吸収し、アイソレータとして機能する。
[0038]
 本実施形態によれば、磁性体素子2A、2Bが本実施形態の高周波用磁性体材料によって形成され、ΔHを小さく維持しながら4πMsを任意に設定することができるため、高周波化や低損失化を実現することができる。尚、磁性体素子2A、2Bの一部にそれぞれの絶縁部を形成する一体型のアイソレータであっても同様の作用効果を期することができる。
[0039]
 以上説明したように本実施形態によれば、一般式Y z-xCa Fe 8-z-y-v12で表されるガーネット型フェライトを主成分とする高周波用磁性体材料であって、x、y、z及びvは、1.80≦x≦2.50、0.26≦y≦0.45、3.00<z≦3.09、0.77≦v<1.00の関係を満足し、且つ、MがSnであるため、4πM が65mT以下の大きさで、ΔHが小さく、α 4πMSの絶対値が小さ高周波用磁性体材料及び非可逆回路素子を得ることができる。また、4πM が65mT以下と低いため、非可逆回路素子に用いられる磁石を小さくすることができ、非可逆回路素子の小型化を促進することができる。
[0040]
 図1では3ポートタイプの非可逆回路素子について説明したが、本発明の高周波用回路部品は図2、図3に示すように2ポートタイプの非可逆回路素子として構成することにより更に小型化することができる。
[0041]
 2ポートタイプの非可逆回路素子は、例えば図2、図3に示すように、回路素子本体10と、この回路素子本体10の両主面側に配置され且つ回路素子本体10に両主面と直交する軸方向に直流磁界Hを印加する一対の永久磁石20と、を備え、回路素子本体10と永久磁石20がそれぞれ接着剤30を介して一体化した組立体として構成されている。回路素子本体10は、図2に示すように、本実施形態の高周波用磁性体材料によって直方体に形成された磁性体素子11と、磁性体素子11に互いに交叉するように巻回された第1、第2の中心導体12、13と、第1、第2の中心導体12、13の交叉部分に介在して電気的に絶縁する絶縁膜(図示せず)と、を有している。
[0042]
 磁性体素子11は、図2に示すように、第1、第2の主面11A、11B、上面11C、下面11D及び両側面11E、11Fからなる直方体として形成されている。
[0043]
 第1の中心導体12は、図2に示すように、磁性体素子11の第1の主面11Aの下辺中心からやや右よりの部分から垂直に立ち上がり、第1の主面11Aの高さ方向に中ほどから2本に分岐して互いに平行を維持しながら下辺に対して比較的小さな角度で傾斜して第1の主面11Aの左上に向かって形成されている。第1の中心導体12は、第1の主面11Aの左側面11Eの近くで2本の分岐部分が一本に合流して再び垂直に立ち上がり、上面11Cに形成された中継用導体12Aを介して第2の主面11Bに回り込んで形成されている。第1の中心導体12は、第2の主面11Bでは第1の主面11Aに形成された部分を第2の主面11Bに垂直に投影した形状で第2の主面11Bに沿って下降傾斜して形成され、右側面11Fの近くまで延設された後、垂直に下降し、下面11Dに形成された接続用導体12Bを介して第1の主面11Aの下端部に巻き上げられている。これにより第1の中心導体12は、磁性体素子11の第1の主面11A、上面11C、第2の主面11B及び下面11Dに沿って1ターン分巻回されている。そして、第1の中心導体12の始端は、接続用導体12Bより左方の接続用電極12Cに電気的に接続されている。
[0044]
 第2の中心導体13は、図2に示すように、第1の主面11Aの下辺で第1の中心導体12の始端が接続された接続用電極12Cより左側の位置から垂直に立ち上がった後、下辺と大きな角度をもって傾斜して第1の主面11Aの上辺近傍に達し、ここから垂直に立ち上がって上辺と交叉して0.5ターン目13Aを形成した後、上面11Cに形成された中継用導体13Bを介して第2の主面11Bに回り込んでいる。第2の中心導体13は、中継用導体13Bから第2の主面11Bに沿って垂直下方に形成され第1の中心導体12と交叉した状態で1.0ターン目13Cを形成している。1.0ターン目13Cは下面11Dに形成された中継用導体13Dを介して第1の主面11Aに回り込み、第1の主面11Aで第1の中心導体12と交叉して1.5ターン目13Eを形成した後、上面11Cに形成された中継用導体13Fを介して第2の主面11Bに回り込んでいる。以下同様にして、2.0ターン目13G、中継用導体13H、2.5ターン目13I、中継用導体13J、3.0ターン目13K、中継用導体13L、3.5ターン目13M、中継用導体13N、4.0ターン目13Oが螺旋状に巻回して形成されている。また、第2の中心導体13の両端は、それぞれ磁性体素子11の下面11Dに形成された接続用電極12C、13Pに接続されている。尚、接続用電極12Cは、第1の中心導体12及び第2の中心導体13のそれぞれの端部の接続用電極として共用されている。
[0045]
 そして、第1の中心導体12と第2の中心導体13の間にはガラス等の誘電体厚膜またはポリイミド等の樹脂膜からなる絶縁膜が介在し、第1、第2の中心導体11、12が互いに電気的に絶縁された状態で交叉している。第1、第2の中心導体12、13及びこれらの絶縁膜は、いずれも磁性体素子11の表面に印刷、転写、フォトリソグラフィー等の手法によって形成することができる。
[0046]
 2ポートタイプの非可逆回路素子は、図3に示すように、上述した回路素子本体10と、この回路素子本体10の磁性体素子11の第1、第2の主面11A、11Bに接着剤30、30を介して接合された一対の永久磁石20、20と、を備え、永久磁石20、20によって回路素子本体10の両主面に対して垂直方向の磁界が印加される構造になっている。
[0047]
 上記2ポートタイプの非可逆回路素子本体10を回路基板(図示せず)に実装する場合には、第1の中心導体12は、一端が入力ポート(図示せず)に接続され、他端が出力ポート(図示せず)に接続され、また、第2の中心導体13は、一端が出力ポートに接続され、他端がグランドポートに接続される。
[0048]
 このように、2ポートタイプの非可逆回路素子10は、3ポートタイプのものと比較して、中心導体を第1、第2の中心導体12、13の2本で済ますことができ、しかも回路素子本体10と一対の永久磁石20が接着剤30によって一体化されており、更に磁性体を縦に立てて配置することができるため、部品を小型化することができる。また、回路素子本体10と永久磁石20が接着剤30で一体化しているため、機械的に安定した構造になり、振動や衝撃によって変形したり、破損したりすることがなく、堅牢な非可逆回路素子を得ることができる。
[0049]
 尚、上記実施形態では3ポートタイプの非可逆回路素子(図1参照)及び2ポートタイプの非可逆回路素子(図2、図3参照)について説明したが、本発明の高周波用回路部品は、上記実施形態の非可逆回路素子に制限されるものではなく、移相器等の高周波回路部品にも適用することができる。

産業上の利用可能性

[0050]
 本発明は、マイクロ波、ミリ波等の高周波領域に用いられる高周波用磁性体材料及び高周波用回路部品に好適に利用することができる。

請求の範囲

[1]
 一般式Y z-xCa Fe 8-z-y-v12で表されるガーネット型フェライトを主成分とする高周波用磁性体材料であって、上記x、y、z及びvは、1.80≦x≦2.50、0.26≦y≦0.45、3.00<z≦3.09、0.77≦v<1.00の関係を満足し、且つ、Mは、Sn、Zr及びSiから選択される少なくとも一種の4価の元素であることを特徴とする高周波用磁性体材料。
[2]
 上記Mは、Snであることを特徴とする請求項1に記載の高周波用磁性体材料。
[3]
 請求項1または請求項2に記載の高周波用磁性体材料によって形成された磁性体と、この磁性体に互いに絶縁されて交叉状に配置されて介在する複数の中心導体と、上記磁性体に直流磁界を印加する磁界発生部と、を備えたことを特徴とする高周波用回路部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]