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1. (WO2008126143) 金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置
Document

明 細 書

発明の名称 金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

0006   0007   0008   0009   0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための最良の形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置

技術分野

[0001]
 本発明は、金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置に関する。

背景技術

[0002]
 同種または異種の金属同士を接合させる場合、溶接など温度を上げることで金属表面を溶かし接合させる技術がある。
 一方で、高速で振動する負荷を金属間の接合部分に与えることで、金属間結合を引き起こさせて同種または異種の金属同士を接合させる技術(超音波接合技術)もある。本発明は後者に属する。
[0003]
 通常知られている金属の物性値は、数m/secの速度で金属を引っ張る等して測定されたものである。したがって、超音波接合技術の1つである超音波カシメの場合などのように、ボールを数十kHzでつついて接合させる部位に衝突させて異種の金属同士を接合させる場合の物性値(このような物性のことを「高速歪み速度依存性物性」という)は測定データとして入手できない。このため、接合強度(「緩みトルク」、「カシメトルク」ともいう)や、接合される金属の変形量(反り量)をシミュレーションすることができないという問題がある。
[0004]
 超音波カシメを使用する利点として、通常のボールカシメに比べて、金属同士の接合強度が大きい点や、金属の変形量(反り量)が小さくなる点が挙げられる。しかし、例えば現状のシミュレーションでは、通常のボールカシメの方が超音波カシメより大きな接合強度が得られてしまい、実測されている現象がシミュレーションでは再現できないという問題がある。なお、「通常のボールカシメ」とは、金属同士の接合部分に、1回だけボールを衝突させてカシメる(変形させる)技術である。
[0005]
 なお、超音波接合に関する技術とは異なるが特許文献1では、はんだ接合部の信頼性(強度)を評価する技術が示されている。
特許文献1 : WO2006/100741 「電子パッケージ評価装置、電子パッケージ最適化装置及び電子パッケージ評価プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」

発明の開示

[0006]
 本発明は、金属同士を超音波接合する場合において、接合強度を高精度にシミュレーションすることが可能な金属間の超音波接合のシミュレーション方法、シミュレーション・プログラム、および、シミュレーション装置を提供することを目的とする。
[0007]
 本発明の第1態様の超音波接合のシミュレーション方法は、第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法である。この方法は、前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得ステップと、を備える。
[0008]
 ここで、高速な振動が負荷として金属間の接合部分に加えられ、一方の金属(第1の金属)のある範囲が他方の金属(第2の金属)内に入り込んだような場合に、その一方の金属のある範囲に含まれる節点の数に応じて、第1および第2の金属間の摩擦係数が取得される。よって、その摩擦係数に比例する緩みトルクなどの接合強度を高精度にシミュレーションすることができる。
[0009]
 本発明の第2態様の超音波接合のシミュレーション方法は、第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法である。この方法は、前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出ステップ、を備える。
[0010]
 ここで、高速な振動が負荷として金属間の接合部分に加えられ、一方の金属(第1の金属)が局所的に他方の金属(第2の金属)内に入り込んだような場合に、その一方の金属の局所的な範囲に含まれる応力の値が大きい節点についてだけ平均をとって接触圧力平均値を算出している。よって、その接触圧力平均値に比例する緩みトルクなどの接合強度を高精度にシミュレーションすることができる。
[0011]
 本発明によれば、金属同士を超音波接合する場合において、接合強度を高精度にシミュレーションすることが可能となる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] シミュレーション対象となる、2つの金属、それらの接合部分に周期的に衝突させられるボール、そのボールを周期的につつくホーンを示した図である。
[図2] アームとベースプレートとの接合部分をより詳細に示した断面図(その1)である。
[図3] アームとベースプレートとの接合部分をより詳細に示した断面図(その2)である。
[図4] 本発明の一実施形態に係る金属間の超音波接合シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
[図5] 応力-歪み曲線を示した図である。
[図6] 金属上に設定された要素の一例を示す斜視図である。
[図7] 接合領域の一例を示す断面図である。
[図8] 他方の要素内に入り込んだ節点の一例を示す図である。
[図9] 図4の仮想摩擦係数データのデータ構造を示す図である。
[図10] ベースプレートの各要素の各点に生じる応力の算出処理のフローチャートである。
[図11] シミュレーション結果の一例を示す図である。
[図12] 記憶媒体例を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0013]
 以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
 なお、以下では超音波を用いて金属をカシメる(変形する)技術について説明するが、本発明は、超音波を使用して同種または異種の金属を接合させる、それ以外の技術(ワイヤーボンディング等)にも適用可能である。
[0014]
 図1は、シミュレーション対象となる、2つの金属、それらの接合部分に周期的に衝突させられるボール、そのボールを周期的につつくホーンを示した図である。
 図1に示す例では、アーム(アルミニウム)と、ベースプレート(ステンレス)とを超音波接合技術を使用して接合する。
[0015]
 ホーン1はボール2を予め定められた周波数(通常数十kHz)でつつく。アームのボス部(穴部)の内径はボール径より大きく、アーム3がボール2と接触することはない。
 図2および図3は、アームとベースプレートとの接合部分をより詳細に示した断面図である。
[0016]
 図2に示すように、ベースプレート4の突起部がホーン1でつつかれたボール2と衝突を繰り返すことで、図3に示すように、ベースプレート4の突起部のある範囲がアーム3に入り込み、2つの金属、すなわち、ベースプレート4とアーム3とが接合される。このときに、金属間化合物(この例では、アルミニウムとステンレスの合金)が生成される。そして、超音波カシメによる金属同士の接合が、通常のボールカシメによる金属同士の接合より大きな接合強度を持つ原因の1つは、カシメるプロセスにおいて、この金属間化合物が生成される点にあるといわれる。
[0017]
 図4は、本発明の一実施形態に係る金属間の超音波接合シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
 図4に示すように、超音波接合シミュレーション装置10は、入力データ11を入力してシミュレーションを実行するシミュレーション実行部21を備える。
[0018]
 入力データ11は、物性データ12、仮想摩擦係数データ13、条件データ14、形状データ(モデルデータ)15、接合領域データ16、判定データ17によって構成される。
[0019]
 なお、本実施形態では、ベースプレート(ステンレス)4が専らボール2によって周期的につつかれるため、ベースプレート4の変位が問題となる。このため、物性データ12には、ベースプレート4すなわちステンレスにおける応力と歪みの関係(応力-歪み曲線)が保持される。
[0020]
 図5は、応力-歪み曲線を示した図である。
 図5の曲線は、金属等の剛体をある速度で引っ張ったときの、応力と歪みの関係を示したものである。図中において、降伏点は臨界的な点であり、例えば、歪みがその降伏点の値以下であれば、その剛体は元の形状に戻ることができる。通常、降伏点までの曲線は一定の勾配を持った直線である。この直線の勾配はヤング率として知られている。降伏点以降の曲線部分はS-S曲線と呼ばれる。
[0021]
 降伏点以降の実測を行うことが可能なのは、10m/sec程度の引っ張り速度までであるといわれている。したがって、それ以上の引っ張り速度に対する物性値をシミュレーションで使用したい場合は、何らかの方法で値を見積もる必要がある。
[0022]
 高速の引っ張り速度の領域において、歪み速度εから動的降伏強度σ と静的降伏強度σ の比(σ /σ )を求める際には、次のクーパー・シモンズ(Cowper-Symonds)の構成式を使用する。
σ /σ )=1+(ε/D) 1/P
 ここで、D、Pは金属の種別によって既知の定数である。
[0023]
 なお、実際には、ボール2に数十kHzでベースプレート4をつつかせた場合の現象をシミュレーションしているので、上述の引っ張り速度がいくつであるという議論とは関係ないはずである。しかし、この分野の専門家によって、次のようなことが指摘されており、本シミュレーションも、その指摘内容に基づいて実行される。
・通常のボールカシメの応力-歪み曲線は、引っ張り速度0.5m/secの場合の応力-歪み曲線に近い。
・10kHzまたは20kHzの周波数をボールに与えて、金属をつつかせた場合の応力-歪み曲線は、引っ張り速度5m/secの場合の応力-歪み曲線に近い。
・40kHzの周波数をボールに与えて、金属をつつかせた場合の応力-歪み曲線は、引っ張り速度20m/secの場合の応力-歪み曲線に近い。
[0024]
 したがって、(再び図4の説明に戻ると)条件データ14中で指定する超音波の周波数をいくらにするかによって、対応する引っ張り速度の応力-歪み曲線が物性データ12に設定されることになる。
[0025]
 条件データ14は、超音波印加条件、および、摩擦係数を指定している。
 超音波印加条件とは、ホーン1をどの程度の速度で振動させてボールをつつかせるかを指定するものである。周波数、振幅、(ホーンの)送り速度の項目を指定することにより、超音波印加条件を指定することができる。
[0026]
 本実施形態の場合、ボール2とアーム3が直接接触することがないため、摩擦係数には、ボール2とベースプレート4の摩擦係数、アーム3とベースプレート4の摩擦係数を指定することになる。なお、ボール2とベースプレート4の摩擦係数はシミュレーションを通して固定値である。しかし、アーム3とベースプレート4とは時間の経過にしたがい接合されていくので、ボール2とベースプレート4の摩擦係数は変化する。ここでは、アーム3とベースプレート4の摩擦係数の初期値(例えば0.1)を与えている。
[0027]
 形状データ(モデルデータ)15は、シミュレーション対象となる2種の金属の形状を示すデータである。このデータは、各金属上に設定された要素、要素上の各点(節点、要素中心)を含んでいる。
[0028]
 図6は、金属上に設定された要素の一例を示す斜視図である。
 図6に示される要素は、立方体であり、要素中心と、立方体の各頂点に位置する節点と、立方体の各辺の中点に位置する節点とを有している。
[0029]
 図4の接合領域データ16は、アームの要素と接触しそうなベースプレートの要素(アームの要素と接合されそうなベースプレートの要素)を定義したデータである。例えば、図7では、斜線部に含まれる要素の面がそのような領域として定義される。すなわち、図6に示す要素のうちで、アームの要素と向き合うような位置にくる面が接合領域として定義される。
[0030]
 判定データ17には、接合強度(緩みトルク、カシメトルク)や、変形量(反り量)の閾値が指定される。例えば、接合強度が接合強度の閾値より小さい場合や、変形量が変形量の閾値より大きい場合は、条件や形状が不適切であったとして、条件や形状を変更してシミュレーションをやり直すことになる。
[0031]
 なお、図6に示すように、当初は立方体の形状をしていた、アーム側や、ベースプレート側の要素も、計算が進むにつれて応力の作用により変形し、例えば、アームの要素と向き合うようなベースプレートの面において、図8に示すように、ある時刻に、そのベースプレートの面の節点がアームの要素内に入り込むことがある。
[0032]
 このような点は、他方の要素内に入り込んだ節点として、本実施形態ではカウントされる。例えば、図8では、点Pが他方の要素内に入り込んだ節点としてカウントされる。
 図4の仮想摩擦係数データ13は、図9に示すように、他方の要素内に入り込んだ節点の数と、アーム3とベースプレート4の(高速歪み速度領域における)摩擦係数とを対応付けたデータである。
[0033]
 ここで、「高速歪み速度領域」とは、高速な周波数(数十kHz)で振動するボールが負荷として金属同士の接合部分に作用した場合を意味する。
 図9では、他方の要素内に入り込んだ節点数の範囲に対して、アーム3とベースプレート4の(高速歪み速度領域における)摩擦係数が示されている。他方の要素内に入り込んだ節点数が増せば、この摩擦係数の値も大きくなる。
[0034]
 図4のシミュレーション実行部21は、例えば有限要素法による計算プログラムによって実現される。そして、応力算出部22、変位算出部23、接合節点数算出部24、仮想摩擦係数取得部25、接触圧力平均値算出部26、を必要な回数だけ実行させる実行基盤である。
[0035]
 応力算出部22は、アーム3およびベースプレート4の各要素における各点の応力を各時刻で算出する。変位算出部23は、応力と歪みとの関係を記憶する物性データ12を基に、応力算出部22によって算出された応力値に対応する、アーム3およびベースプレート4の要素の変位を算出する。接合節点数算出部24は、算出された変位に基づいて、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点の数を算出する。
[0036]
 仮想摩擦係数取得部25は、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点が存在する場合に、仮想摩擦係数データ13を基に、そのアーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点の数に対応する、高速歪み速度領域におけるアーム3とベースプレート4の摩擦係数を取得する。
[0037]
 接触圧力平均値算出部26は、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点が存在する場合に、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点が含まれるベースプレート4の要素の面において、その面内のアーム3の要素に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内のアーム3の要素に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する。
[0038]
 図10は、ベースプレート4の各要素の各点に生じる応力の算出処理のフローチャートである。算出された応力を基に、接合強度(緩みトルク)や、ベースプレート4の変形量(反り量)も算出される。この処理は、図4の超音波接合シミュレーション装置10によって実行される。
[0039]
 図10において、ステップS1で、応力算出部22によって、現在時刻におけるアーム3およびベースプレート4の各要素における各点の応力(ベクトル量)が算出される。
 そして、ステップS2で、算出された応力(ベクトル量)を基に、要素の各点の変位(ベクトル量)が、変位算出部23によって算出される。また、変形量算出部27によって、算出された変位(ベクトル量)に基づいてベースプレートの反り量(スカラー量)が算出される。
[0040]
 ステップS3では、接合節点数算出部24によって、算出された変位(ベクトル量)に基づいて、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点の数が算出されるとともに、その節点数が「0」より大きいかどうかが判定される。
[0041]
 ステップS3でアーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点数が「0」より大きいと判定された場合、ステップS4で、仮想摩擦係数取得部25によって、仮想摩擦係数データ13を基に、そのアーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点数に対応する、高速歪み速度領域におけるアーム3とベースプレート4の摩擦係数が取得される。
[0042]
 そして、ステップS5で、接触圧力平均値算出部26によって、アーム3の要素に入り込んだベースプレート4の要素の節点が含まれるベースプレート4の要素の面において、その面内のアーム3の要素に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内のアーム3の要素に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値が算出される。なお、ステップS4およびS5はいずれが先に実行されてもよい。
[0043]
 ステップS6では、シミュレーション実行部21によって、計算終了であるかどうかが判定される。
 ステップS6で計算終了ではないと判定された場合、ステップS1に戻り、現在時刻の応力値(ベクトル量)、等を用いて、次の時刻の応力(ベクトル量)等が計算される。
[0044]
 ステップS6で計算終了であると判定された場合、ステップS7において、緩みトルク算出部28によって、アーム3とベースプレート4の接合強度を示す緩みトルクが算出される。
[0045]
 なお、このステップS7の後に、算出されたベースプレートの反り量、緩みトルク、を判定データ17に保持される、それぞれの閾値と比較して比較結果を出力する処理を追加することもできる。
[0046]
 続いて、図10のステップS7で実行される緩みトルクの算出処理についてより詳細に説明する。
 下記(1)式より、接触力を求める。
接触力 = 接触面積×2×(接触力合計÷接触面数) ・・・(1)
 そして、下記(2)式より、緩みトルクを求める。
緩みトルク = 接触力×仮想摩擦係数×カシメ半径  ・・・(2)
 ここで、接触面数は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素の面数、接触面積は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素の面のどれだけの割合が実際にアーム3に接触しているかを示す量、接触力合計は、アーム3に接触しているベースプレート4の要素のすべての面の接触力の合計、カシメ半径はボス部の半径である。
[0047]
 例えば、次のデータに対しては、接触力、緩みトルクはそれぞれ次のように計算される。
接触面積:0.831
接触面数:204
接触力合計:12393
仮想摩擦係数:0.1
カシメ半径:1.14
接触力 = 100.97(N)
緩みトルク = 11.51(N・mm)
 図11は、シミュレーション結果の一例を示す図である。
[0048]
 図11では、仮想摩擦係数の値を「0.1」、「0.2」、「0.3」としたときの緩みトルク、Bp(ベースプレート)反り量等が求められている。
 なお、接触圧力平均は、接触力合計を接触面数で割ったもの(接触力合計÷接触面数)である。
[0049]
 図11に示すように、仮想摩擦係数の値を上げても、上記(1)式で計算結果として算出される接触力は略一定である。しかし、緩みトルクは、上記(2)式に示されるように、仮想摩擦係数に比例しているため、仮想摩擦係数の値を上げると、緩みトルクの値も大きくなる。仮想摩擦係数が増すため、ベースプレートが動きにくくなるので、Bp反り量は若干小さくなる。なお、(1)式と(2)式を併せて参照すると、緩みトルクは、接触圧力平均に比例するということもできる。
[0050]
 なお、以上では、図1に示すようなアームとベースプレートを例にとって説明を行った。アームとベースプレートの場合、図2に示すように、アームにベースプレートがなだらかにくっついて、なだらかな突起部を形成している。このような場合、節点が他方の要素内に局所的に入り込むことはなく、上述した本実施形態の接触圧力平均値の算出方法と、従来の接触圧力平均値の算出方法では、算出結果に大きな差異を生まない。
[0051]
 しかし、金属間の接合部分において、出っ張る度合いが大きな突起部が当初から形成されている場合がある。このような場合、節点が他方の要素内に局所的に入り込み、上述した本実施形態の接触圧力平均値の算出方法が、従来の接触圧力平均値の算出方法より算出結果を大きくできる。
[0052]
 すなわち、本実施形態の接触圧力平均値の算出方法によれば、他方の要素内に局所的に入り込んだ節点についてのみ応力の平均をとるので、応力値が大きい節点についてのみ平均をとっていることになり、接触圧力平均の値を大きくすることができる。
[0053]
 したがって、金属間の接合部分において、出っ張る度合いが大きな突起部が形成されている場合にも、超音波接合により一方の金属が他方の金属内に局所的に入り込むことで接合強度が大きくなることをシミュレーションできる。
[0054]
 図12は、記憶媒体例を示す図である。
 本発明における金属間の超音波接合のシミュレーション処理は、情報処理装置41によって実現することが可能である。本発明の処理のためのプログラムやデータは、情報処理装置41の記憶装置45から情報処理装置41のメモリにロードして実行することも、可搬型記憶媒体43から情報処理装置41のメモリにロードして実行することも、外部記憶装置42からネットワーク46を介して情報処理装置41のメモリにロードして実行することも可能である。

請求の範囲

[1]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法において、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得ステップと、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション方法。
[2]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション方法において、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出ステップ、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション方法。
[3]
 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する物性データ記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出ステップ、をさらに備え、
 前記接合節点数算出ステップにおいて、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項1または2記載の超音波接合シミュレーション方法。
[4]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションをコンピュータに実行させる超音波接合シミュレーション・プログラムにおいて、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する前記コンピュータの第1記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする超音波接合シミュレーション・プログラム。
[5]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションをコンピュータに実行させる超音波接合シミュレーション・プログラムにおいて、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出ステップと、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出ステップと、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出ステップ、をさらに備えることを前記コンピュータに実行させることを特徴とする超音波接合シミュレーション・プログラム。
[6]
 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する前記コンピュータの第2記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出ステップ、をさらに備え、
 前記接合節点数算出ステップにおいて、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項4または5記載の超音波接合シミュレーション・プログラム。
[7]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション装置において、
 金属に与える超音波の印加条件、および、前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数の初期値を記憶する解析条件データ記憶部と、
 前記第1および前記第2の金属の形状を示すモデルデータ、および、そのモデル上に定義された要素に関するデータを記憶するモデルデータ記憶部と、
 定義された要素のうちで、他方の金属と接触しそうな面を定義する情報を記憶する接触領域定義情報記憶部と、
 高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、前記接触しそうな面に含まれる節点のうちで、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部と、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出部と、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出部と、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が存在する場合に、前記仮想摩擦係数記憶部を基に、その他方の金属に入り込んだ節点の数に対応する、高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を取得する仮想摩擦係数取得部と、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション装置。
[8]
 第1の金属と、第2の金属とを超音波接合するシミュレーションを実行する超音波接合シミュレーション装置において、
 金属に与える超音波の印加条件、および、前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数の初期値を記憶する解析条件データ記憶部と、
 前記第1および前記第2の金属の形状を示すモデルデータ、および、そのモデル上に定義された要素に関するデータを記憶するモデルデータ記憶部と、
 定義された要素のうちで、他方の金属と接触しそうな面を定義する情報を記憶する接触領域定義情報記憶部と、
 高速歪み速度領域における前記第1および前記第2の金属間の摩擦係数を、前記接触しそうな面に含まれる節点のうちで、他方の金属に入り込んだ節点数と対応付けて記憶する仮想摩擦係数記憶部と、
 前記第1および前記第2の金属の要素における各点の応力を各時刻で算出する応力算出部と、
 応力に基づく変位により、他方の金属に入り込んだ節点数を算出する接合節点数算出部と、
 前記他方の金属に入り込んだ節点が含まれる要素の面において、その面内の他方の金属に入り込んだ各節点の応力の絶対値の和を、その面内の他方の金属に入り込んだ節点数で割ることで接触圧力平均値を算出する接触圧力平均値算出部、を備えることを特徴とする超音波接合シミュレーション装置。
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 前記第1および前記第2の金属における、応力と歪みとの関係を記憶する物性データ記憶部と、
 前記物性データ記憶部を基に、前記応力算出部によって算出された応力値に対応する、前記第1および前記第2の金属の要素の変位を算出する変位算出部と、をさらに備え、
 前記接合節点数算出部は、算出された変位に基づいて、他方の金属に入り込んだ節点数を算出することを特徴とする請求項7または8記載の超音波接合シミュレーション装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]