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1. (WO2008123515) 無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよびそれらを用いた無線通信システム
Document

明 細 書

発明の名称 無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよびそれらを用いた無線通信システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

発明の開示

0003  

図面の簡単な説明

0004  

発明を実施するための最良の形態

0005  

実施例

0006  (R26)  

産業上の利用可能性

0007  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7A   7B   7C   7D   7E   7F   7G   7H   7I   7J   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27A   27B   28A   28B   29   30   31   32   33  

明 細 書

無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよびそれらを用いた無線通信システム

技術分野

[0001]
 本発明は、無線ICタグやアンテナを使用する際に用いることで、通信距離を改善する無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよび無線通信システムに関する。

背景技術

[0002]
 情報通信の分野のみならず、物流管理、製造現場などの分野でも無線通信技術が応用されている。無線通信用のICタグ(以下では単に「ICタグ」または「タグ」という。)は、RFID(Radio Frequency Identification)技術の一翼を担う製品として広く知られる。物流管理や、安価な情報記憶媒体として使用用途は多岐にわたることから、ICタグは、様々な使用環境に置かれることになる。
 ICタグは、識別番号などのデータを記憶するチップと、電波を送受信するためのアンテナとからなる無線通信機器であり、小型、薄型、軽量で実現できることが大きな利点となっている。
 このような利点を十分に生かすためには、ICタグの貼り付け位置に制限がなく、どこにどのように貼り付けても、通信可能に構成されていることが好ましいとされる。
 図30は、従来の技術のICタグ1を簡略化して示す断面図である。RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、固体の自動認識に用いられるシステムであり、基本的にリーダとトランスポンダとを備えている。このRFIDシステムのトランスポンダとして、ICタグ1が用いられる。
 図30の通信方式は、タグおよびリーダのコイルアンテナ間の磁束による結合(カップリング)にて、エネルギや信号を伝達する電磁誘導方式によるものである。電磁誘導方式のパッシブタイプのICタグでは通信距離は最大でも1m程度であり、近距離通信に利用されている。この方式で用いられる周波数は、LF(長波)帯やHF(短波)帯などである。ICタグ1は、磁力線を検出する磁界型のアンテナであるコイルアンテナ2と、そのコイルアンテナ2を用いて無線通信する集積回路(ICチップ)3とを有している。ICタグ1は、リーダ5からの要求信号を受信すると、ICチップ3内に記憶されている情報を送信するように、換言すれば、リーダによってICタグ1に保持されている情報を読取ることができるように、構成される。ICタグ1は、たとえば商品に貼着して設けられ、商品の盗難防止および在庫状況の把握など、商品管理に利用されている。
 このICタグ1は、金属製の商品に貼着して用いるなど、ICタグ1の近傍に通信妨害部材4(この例では導電性材料から成る物体)が存在する場合、ICタグ1によって送受信される電磁波の信号が形成する磁界の磁力線は通信妨害部材4に近づくことにより、電界の場合の挙動と異なり、通信妨害部材4に入ることなく、通信妨害部材4の表面近傍を平行に通過することになる。この結果、通信妨害部材4表面に渦電流が発生してしまい、電磁波エネルギが熱エネルギに変換されて吸収されてしまう(抵抗損によるロス)。このようにエネルギが吸収されてしまうと、電磁波の信号が減衰することになり、ICタグ1は、無線通信できなくなってしまう。また誘導される渦電流が、タグの通信用磁界と逆向きの磁界(反磁界)を発生させることにより、磁界がキャンセルさせられてしまう現象も生じる。この現象によっても、ICタグ1は無線通信ができなくなる。さらに、通信妨害部材4の影響により、ICタグ1の共振周波数がシフトしてしまう現象などもある。したがって電磁誘導方式のICタグ1は、通信妨害部材4の近傍では、用いることができない。
 通信妨害部材は、以上のように、アンテナの近傍に存在することで、自由空間での環境に対して設計されたアンテナ共振周波数を変動させたり、またはアンテナ間の電磁波のやり取りを低減してしまうような働きをする材料の総称である。本発明では、主に通信妨害部材が金属である場合に対する対策を実施している。
 図31は、他の従来の技術であるICタグ1Aを簡略化して示す断面図である。図31に示すICタグ1Aは、図30のICタグ1と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。図31のICタグ1Aは、図30のICタグ1の課題を解決するために、貼着される物品となる部材4と、アンテナ2との間に配置されるように設けられる磁気吸収板7を備えるように構成される。複素比透磁率を有するシートである磁気吸収板7は、センダスト、フェライトおよびカーボニル鉄などの高透磁率材料、したがって複素比透磁率が高い材料から成る。
 複素比透磁率は、実数部と虚数部とを有しており、実数部が高くなると複素比透磁率が高くなる。換言すれば複素比透磁率が高い材料は、複素比透磁率における実数部が高い。磁界中に複素比透磁率における実数部の高い材料が存在すると、磁力線がその部材内を集中して通るようになる。電磁誘導方式の通信に於ける磁力線を検出する磁界型のアンテナ2を用いるICタグ1Aでは、磁気吸収板7を設けることによって、通信妨害体4への磁界の漏れを防ぎ、通信妨害体4の近傍で用いても、磁界のエネルギの減衰を抑えて、無線通信することができる。このようなICタグ1Aは、たとえば特開2000-113142号に示されている。ここでは無線通信が変調磁界により行われていて、本発明でいう電磁誘導方式の通信である。
 この通信改善方法は、第1のアンテナ2と通信妨害部材4の間に磁性を有する磁気吸収体7を設置することで、通信に用いる磁力線を磁気吸収体7内に取り込み、通過させるものである。磁気吸収体7の透磁率が重要な働きをする。しかし、この改善策が有効であるのは、磁気結合による通信を行う電磁誘導方式の通信の場合であり、電波方式の通信の場合には効果は見られない。これは、磁界(磁束ループ)は近傍界であっても磁性材料で進行方向を制御できるが、電波方式の通信で用いる高周波数の電波は、直進性が強く、アンテナ体などを介さない限り進行方向の変更は容易ではないためである。
 ICタグは、利用する電波の周波数により通信メカニズムが異なる。より高周波数の電波を用いる場合、タグのアンテナとリーダのアンテナとで電磁波をやり取りし、エネルギ・信号を伝達する電波方式となる。例えばUHF(極超短波)帯、SHF(センチメートル波)帯、EHF(ミリ波)帯の電波を利用する場合、タグはいわゆるダイポールアンテナ等の電界型アンテナを用いた電波方式の通信による送受信を行っている。電磁誘導方式の磁束の結合による通信ではなく、電波方式では電磁波を空中に放射することで長距離通信を実現している。本発明の無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよびそれらを用いた無線通信システムは、この電波方式での無線通信に適用される。電磁誘導方式と電波方式の違いは、電磁波の波長とアンテナ間の距離の関係にある。波長に対して距離が短ければ、空間放射される前に電界/磁界の変化が他方のアンテナに伝わる電磁誘導方式が採用され、波長に対して距離が長ければ、空中を伝搬する電磁波として伝達される電波方式が用いられるのである。そしてアンテナも電磁誘導方式はコイルアンテナなどの磁界型アンテナであり、電波方式はダイポールアンテナ、パッチアンテナなどの電界型アンテナとなるため、通信システムそのものが異なるといえる。
 電波方式で通信するICタグの近傍に、金属などの導電性材料(通信妨害部材)が存在する場合も、電磁誘導方式と異なるメカニズムで通信ができなくなる。ICタグが受信することでアンテナに共振電流が流れると、近傍にある金属面側にはこれと逆向きの電流が誘導され、その誘導電流によって伝達信号のインピーダンスが大きく低下する。これによって自由空間での通信に対して設計されたICチップの入力インピーダンスとの整合がとれなくなり、通信可能距離が短くなってしまう。
 一般にダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナなどの電界型アンテナは、特定周波数の電波を受信することで、アンテナに共振電流が発生し、これがICチップを流れる際に、チップの入力インピーダンスと整合が取れるように設計されている。
 図32は、タグ本体22(ICタグ)を通信妨害部材である導電性部材の近傍に配置した状態で、タグ本体22(ICタグ)の近傍に形成される瞬間的な電界(電流の向き)を示す断面図である。
 アンテナ素子211の近傍に通信妨害部材212が存在する場合、アンテナ素子211の他端部211bから一端部211aに向かう共振電流I11が生じるとともに、通信妨害部材212に、一方部分212aから他方部分212bに向かう電流I12が生じることにより、アンテナ素子211と通信妨害部材212に逆向きの電流が生じる。つまり、通信妨害部材212に反対の動作をする同じ大きさのアンテナができてしまう。
 IC217に印加される、あるいはエネルギが伝わり起動したIC217から印加されるのは交番電圧であるため、図に示す向きの電流が生じる状態と、反対向きの電流が生じる状態とが交互に発生する。周波数が高くなると、アンテナ素子211の一端部211aと通信妨害部材212の一方部分212aとの間、およびアンテナ素子211の他端部211bと通信妨害部材212の他方部分212bとの間に、あたかも電流I0が生じているのと等価の状態となり、アンテナ素子211の一端部211aと通信妨害部材212の一方部分212aとの間、およびアンテナ素子211の他端部211bと通信妨害部材212の他方部分212bとの間が、いわば高周波的に短絡した状態となる。このような高周波的な短絡が生じると、アンテナ素子211と通信妨害部材212とによって閉回路が形成され、通信妨害部材212が近傍に存在しない場合に比べて電流値が増加する。つまり、アンテナ素子211の近傍に通信妨害部材212がない場合に比べて、インピーダンスが大きく低下することになる。この結果、チップの入力インピーダンスと整合がとれなくなり、情報信号の伝達ができなくなってしまう。これにより通信可能距離が短くなる。
 また、金属に限らず、紙、ガラス、樹脂、液体、磁性体や他アンテナなども近傍にある場合にICタグの通信特性を劣化させる材質となりうる。
 これらの材質の場合は、これらの材質がもつ誘電率や透磁率によってアンテナの共振周波数が変化し、通信相手の使用する電波の周波数とアンテナの共振周波数とが異なってしまい、通信可能距離が短くなってしまう。
 図33は、さらに他の従来の技術であるICタグ1Bを簡略化して示す断面図である。図33に示すICタグ1Bは、図30のICタグ1と類似しており、対応する部分に同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。図33のICタグ1Bは、基材8にダイポールアンテナである第1のアンテナ2とIC3とが設けられ、第1のアンテナ2の通信方向側に、第1のスペーサ9を介して第2のアンテナ1Cが設けられている。さらにICタグ1Bは、基材8の第1のアンテナ2とは反対側に第2のスペーサ11が設けられ、第1のアンテナ2と、通信妨害部材4との間に、基材8および第2のスペーサ11が介在される状態で、通信妨害部材4の近傍で用いられる。このICタグ1Bは、ICが接続される第1のアンテナ2に対して、通信方向側に補助アンテナとなる第2のアンテナ1Cを設けることによって、第1のアンテナ2の電波強度が通信妨害部材4によって弱まることを防ぐ構成である。このICタグ1Bは、たとえば特開2005-210676号に示されている。
 図33のICタグ1Bは、第2のアンテナ1C、第1および第2のスペーサ9,11で、第1のアンテナ2を挟み、一体化した構造であり特殊設計されたタグである。この形状では、市販の無線ICタグを貼り合わせるだけで通信性能改善を実現できるという汎用性は有しない。また対策後も通信妨害部材4の近傍に第1のアンテナ2とIC3が位置することになり、通信妨害部材4の種類による影響を受け、例えば誘電率の違いにより共振周波数がシフトしてしまう。

発明の開示

[0003]
 本発明の目的は、無線通信用のICタグの通信可能距離を改善することが可能な無線通信改善シート体、無線ICタグ、アンテナおよび無線通信システムを提供することである。
 また本発明の他の目的は、無線ICタグを貼り合わせるだけで無線通信特性を改善できるという汎用性を有するシート体の提供である。
 本発明は、通信妨害部材の近傍で、電波方式で通信するアンテナを用いて無線通信するにあたって、無線ICタグと通信妨害部材の間に用いられ、無線ICタグを結線しないで配置することで無線ICタグの無線通信特性を改善する無線通信改善シート体であって、
 無線ICタグを結線しないで配置する配置面を有する第1のスペーサと、
 第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられる第1の導体層を有する補助アンテナと、
 補助アンテナに、第1の導体層を挟んで、第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサとが積層され、
 前記補助アンテナの第1の導体層には、不連続領域が設けられることを特徴とする無線通信改善シート体である。
 また本発明は、前記補助アンテナの第1の導体層は、単数または複数の導体素子を備え、導体素子は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層、または導体素子の少なくともいずれか1つが前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振することを特徴とする。
 また本発明は、前記補助アンテナの第1の導体層は、平面方向または積層方向に分割された複数の導体部分を備え、導体部分は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層、または導体部分のいずれか1つが、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振することを特徴とする。
 また本発明は、前記補助アンテナの前記第2のスペーサとは反対側に第2の導体層をさらに設けたことを特徴とする。
 また本発明は、前記補助アンテナの前記第2のスペーサとは反対側に第2の導体層をさらに設け、該第2の導体層が補助アンテナの備える第1の導体層よりも大きいことを特徴とする。
 また本発明は、前記不連続領域の少なくとも1つは、前記無線ICタグが配置されたときに、少なくとも前記無線ICタグが備えるICチップまたはリアクタンス装荷部に対向するように設けられることを特徴とする。
 また本発明は、前記不連続領域の少なくとも1つは、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振するように設けられることを特徴とする。
 また本発明は、前記第1の導体層または前記不連続領域は、少なくとも一部の外郭形状が曲線状であることを特徴とする。
 また本発明は、外表面の1部または全部を誘電材料で被覆したことを特徴とする。
 また本発明は、前記第1のスペーサ、前記第2のスペーサおよび被覆誘電材料の少なくともいずれか1つは、非導電性であり、且つ電磁波を集めて通す低損失材層から成ることを特徴とする。
 また本発明は、前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサの少なくともいずれか1つは、発泡体からなることを特徴とする。
 また本発明は、少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有する、または固結手段を用いることで被着体に取り付け可能であることを特徴とする。
 また本発明は、上記の無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグを結線しないで配置した、または無線通信改善シート体もしくは前記補助アンテナにICチップを組み込んだことを特徴とする無線ICタグである。
 また本発明は、上記の無線通信改善シート体を用いたことを特徴とする電波方式のアンテナである。
 また本発明は、少なくとも上記の無線ICタグまたは上記のアンテナを用いることを特徴とする無線通信システムである。

図面の簡単な説明

[0004]
 本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
[図1] 本発明の実施の一形態のシート体20を備えるタグ21を模式的に示す断面図である。
[図2] タグ21を示す斜視図である。
[図3] タグ21を示す断面図である。
[図4] 自由空間に設けられるアンテナ素子23またはタグ本体22(ICタグ)を模式的に示す正面図である。
[図5] 通信妨害部材が近傍にある状態の部分的な現象を説明する正面図である。
[図6] 通信妨害部材となる物品25の近傍に設けられるアンテナ素子23またはタグ本体22のマクロ的な電波の到達および反射を模式的に示す正面図である。
[図7A] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7B] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7C] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7D] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7E] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7F] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7G] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7H] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7I] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図7J] 共振層27の形状の例を示す平面図である。
[図8] 本発明の実施形態であるシート体20の平面図である。
[図9] シート体1の拡大断面図である。
[図10] 不連続領域40が形成されていない共振層27が設けられる、比較例となるタグ21を示す斜視図である。
[図11] 図8Bに示すH字状スロットの不連続領域40が形成される共振層27が設けられるタグ21を示す斜視図である。
[図12] 実施形態Bのシート体20の平面図である。
[図13] 図8Cに示す、スリット状の不連続領域40が形成される共振層27が設けられるタグ21を示す斜視図である。
[図14] 通信距離の推定方法を説明するためのグラフである。
[図15] タグ21の性能評価に用いた共振層27を示す平面図である。
[図16] タグ21の利得を説明するための図である。
[図17] 本発明のタグ21に採用することができるタグ本体22を示す平面図である。
[図18] タグ21の性能評価に用いたさらに他の共振層27を示す平面図である。
[図19] 図17に示すタグ本体22を用い、図8に示すシート体20を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。
[図20] 図17に示すタグ本体22を用い、図18に示す共振層27を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。
[図21] 図17に示すタグ本体22を用い、図15に示す共振層27を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。
[図22] 本発明の実施の他の形態の共振層27を示す平面図である。
[図23] 通信距離の測定方法を示す概略図である。
[図24] 実施例の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。
[図25] 実施例の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。
[図26] 本発明の他の実施形態であるシート体101の拡大断面図である。
[図27A] 補助アンテナの他の例を示す平面図である。
[図27B] 補助アンテナの他の例を示す平面図である。
[図28A] 本発明のさらに他の実施形態である無線通信用ICタグ130を示す平面図である。
[図28B] 本発明のさらに他の実施形態である無線通信用ICタグ130を示す平面図である。
[図29] 本発明のさらに他の実施形態である無線通信用システム40を示す平面図である。
[図30] 従来の技術のICタグ1を簡略化して示す断面図である。
[図31] 他の従来の技術であるICタグ1Aを簡略化して示す断面図である。
[図32] タグ本体22(ICタグ)を導電性部材の近傍に配置した状態で、タグ本体22の近傍に形成される電界を示す断面図である。
[図33] さらに他の従来の技術であるICタグ1Bを簡略化して示す断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0005]
 本発明は、無線ICタグを結線しないで配置することで無線ICタグの無線通信特性を改善する無線通信改善シート体(以下では単に「シート体」という。)である。
 本発明のシート体は、無線ICタグを結線しないで配置する配置面を有する第1のスペーサと、第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられる第1の導体層を有する補助アンテナと、前記補助アンテナを挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサとが積層され、前記補助アンテナの第1の導体層には不連続領域が設けられる。不連続領域はスロット、スリット、溝、孔などで構成される。
 本発明の発明者らは、以下のような経緯を経て、このような構成のシート体を発明するに到った。
 従来技術において提案されているように、無線ICタグに用いられるダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナなどを用いた電波方式による無線通信装置の場合、自由空間での使用が想定されているので、アンテナ近傍に通信を妨害するような部材(金属などの導電性部材、紙、ガラス、液体などの誘電性部材、磁性部材、アンテナ、電子機器、電子基板など)が存在すると、その影響を受けて無線通信が困難となり、通信可能距離が短くなる。
 これに対して、例えばパッチアンテナにより構成された無線ICタグを用いた場合、構成として通信周波数で共振する共振板と、接地電位の導体板(グランド板)を備えており、このグランド板の存在によって通信妨害部材からの影響を小さくすることができ、通信可能距離は十分に保持される。
 しかし、このタイプのタグは、パッチアンテナにICチップを接合したものであり、インピーダンス調整ができれば当然、通信距離も確保できる公知の技術である。パッチアンテナが接合されたタグは、グランド板を有することから自由空間であっても通信妨害部材の近傍であっても使用することができるが、汎用のダイポールアンテナ構成の無線タグに比べて高価であるため、リーダ側アンテナは別にして一般的なタグ用途に用いられることはなかった。
 本発明の発明者らは、汎用のタグに対して、結線することなく重ねて配置するだけで通信妨害部材の近傍での通信改善可能となる、比較的安価なシート体および補助アンテナを開発した。これにより、広く普及されているタイプの汎用の無線ICタグを、今まで使用することができなかった通信妨害部材に対しても用いることが可能となり、用途を著しく拡充することが可能となる。
 まず、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナを持つ電波方式の無線ICタグを、パッチアンテナ構成の補助アンテナと組み合わせることによって無線ICタグの通信改善を行うことが考えられる。
 そこで、まず前述の構成のうち、第1のスペーサと、パッチアンテナ構成の補助アンテナとを積層したシート体を作製し、そこに結線することなく配置しただけの無線ICタグの通信可能距離を測定したところ、改善は見られず、通信距離は短くなることがわかった。これは、無線ICタグのダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナなどと補助アンテナとの間に電磁的な結合が発生せず、補助アンテナとして十分に機能していないからであると考えた。詳細には、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナおよびループアンテナなどと補助アンテナとの電磁的な結合は、パッチアンテナの共振板の外周囲を回り込むようにして結合するしかないため、実際にはほとんど結合することができず、補助アンテナとしての機能が発現しなかった。さらに、ICチップおよびリアクタンス装荷部(タグアンテナのループ部)が補助アンテナの影響を受けるため通信可能距離が短くなっていた。つまり、補助アンテナの有する第1の導体層(共振板)がICチップおよびリアクタンス装荷部の近傍に位置するため、その導体層表面に誘導電流が発生することによるインピーダンスの低下のためであった(比較例1参照)。このようにリアクタンス装荷部に対する近傍通信妨害部材の影響を指摘されたことはなかった。
 これらの知見をもとに、さらなる改良を重ね、補助アンテナの第1の導体層に、不連続領域を設けることで、無線ICタグの通信改善が可能であることがわかった。
 無線ICタグと補助アンテナとは、不連続領域を通じて強く結合し、これによって補助アンテナによる無線通信改善が可能となり、その結果としてICタグの通信可能距離の改善につながった。
 さらに、補助アンテナの第1の導体層のICチップおよびループ部(リアクタンス装荷部)に対向する位置に不連続領域を設けることで、第1の導体層による影響を小さくして、通信可能距離の改善を実現した。つまり補助アンテナに不連続領域を設けることで、第1の導体層の誘導電流の経路となるエリアの電気抵抗値を著しく向上することができ、インピーダンスの低下につながる導体層表面の誘導電流の発生を抑制することが可能となった。
 このとき補助アンテナに不連続領域を設けると、アンテナ(ICタグ)の共振動作に応じて不連続領域を横断するように、アンテナ(ICタグ)の長軸方向に平行に電界が発生し、さらにそこから第2の導体層もしくは通信妨害部材との間にも電界が発生する。これらを介することでアンテナ(ICタグ)およびチップと補助アンテナ間の電磁的結合が活性化することになる。
 本発明の補助アンテナは、以下の点でパッチアンテナとは異なる。共振層に不連続領域があるという構造上の違いだけでなく、不連続領域を電磁エネルギの出入り口とすることで、電界型アンテナであるパッチアンテナでは本来電界が0となるようなパッチ中央付近に、電磁エネルギの出入り口や伝搬経路もその内部に重畳化させることになり、従来のアンテナ動作に加え近傍での電磁エネルギの受け渡しという動作メカニズムを担っているのである。
 具体的には、パッチアンテナは共振層と反射層の2枚の導体板で構成され、電波の放射および入射部を受け持つ両端部分(エッジ部分、パッチアンテナでは2方向のみの場合や4方向全ての場合がある。)の2枚の導体間の電界が強く、最大となり、ここから放射された電界がパッチアンテナ上部で合成して、そのまま電界が空間に放射される。受信は、この逆の動作で行われる。
 以上のような電界型アンテナであるパッチアンテナは、両端部分で電界が最大になるが、中央付近では電界が最小(ほとんど0となる。)となっている。電磁界の挙動としては、電界が最大の箇所では磁界が最小になり、電界が最小の箇所では磁界が最大となる。この関係があるが、パッチアンテナの磁界の強い領域を他の目的に利用することはなかった。
 本発明では、この磁界成分を利用して、近傍界での無線ICタグとの電磁結合に利用している。さらに不連続領域をスロットアンテナなどで形成すれば、その磁界型アンテナ効果を電磁結合に複合化することができ、補助アンテナと無線ICタグが、結線しなくても、強く且つ安定して結びつくことを見出している。そしてこの電磁結合効果とインピーダンス調整効果が同時に得られたことも本件発明の不連続領域の特徴である。
 本発明の補助アンテナは、無線ICタグと組み合わせたときに、全体として無線通信周波数に共振する構成であり、補助アンテナの共振層は、無線通信周波数の電波の波長をλとすると、λ/2を中心として、少なくとも一辺がλ/8~3λ/4の範囲に入る共振寸法を有している。
 この補助アンテナは、例えばλ/2共振のパッチアンテナを水平方向に複数枚(2枚または4枚)並べて、その接近させたパッチアンテナ間の隙間にて、両パッチアンテナの端部分(つまり電界が強い領域)から互いに放射した電界を合成したものを利用する構成とは異なる。このようにパッチアンテナを水平方向に複数枚並べることで、電界が合成されて放射電波の指向性が増す効果はある。ただし、λ/2共振のパッチアンテナを水平方向に複数枚並べるため、どうしてもサイズが大きくなる欠点を有する。なお、放射動作と逆の動作で受信を行うのは前述の通りである。
 本発明は、パッチアンテナ構成一枚(共振層一枚)の中で不連続領域を設けて、補助アンテナとして動作させている点が異なる。つまり、前述の磁界を利用した不連続領域を介する電磁エネルギの結合効果を見出したことと、一枚のパッチアンテナ構成で補助アンテナ効果を見出したことによる共振層の小型化の達成、および無線通信改善を実現しているのである。
 本発明の特徴は、無線ICタグを結線することなく配置するだけで無線ICタグの通信改善ができる点である。市販の無線ICタグはそれぞれに用いるICチップにより、チップ入力インピーダンスの値が異なっている。この入力インピーダンスは静置の場合と動作時の場合でも異なるし、また動作条件でも受信するエネルギ量に依存して変化する。通常、タグの場合はICチップとアンテナ素子を電気的結線し、アンテナ性能からインピーダンス調整を確認した上で製品化されている。この結線の不安定性がタグ製品の不安定性に直結する重要な工程である。
 以上のように不安定で、変動しやすいインピーダンスを持つ無線ICタグに、結線することなく、不連続領域に対向するようにICチップやリアクタンス装荷部をその位置を制御しながら配置するだけで、インピーダンス整合および整合改善を実現できるところが本発明の無線通信改善シート体の特徴である。構成や配置位置の検討により、無線ICタグに結線せずとも入力インピーダンス調整機能が実現することがわかり、本発明に至った。この簡易な入力インピーダンス調整方法により、無線通信改善効果を得ることができる。
 また補助アンテナは二つの導体層を有する場合があり、第2の導体層が無線ICタグの被着物品の種類の影響を抑える効果を持つため、無線ICタグの近傍に金属、紙、ガラス、樹脂、液体等や電子機器、アンテナ、電子基板等の電子ノイズ源が存在しても、本発明の無線通信改善シート体を用いることで、良好で安定した無線通信特性を得ることが可能となった。
 以下図面を参考にして本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
 図1は、本発明の実施の一形態のシート体20を備えるタグ21を模式的に示す断面図である。図2は、タグ21を示す斜視図である。図3は、タグ21を示す断面図である。
 タグ21は、RFIDシステムのトランスポンダであり、リーダと無線通信する構成であり、たとえば物品に装着されて、物品の管理に利用されるが、これ以外の用途で利用されてもよい。通信装置であるタグ21は、通信構成体であるタグ本体22とシート体20または補助アンテナ35とが積層されて構成される。このタグ21は、タグ本体22のアンテナ素子23とシート体20または補助アンテナ35とを備えるアンテナ装置を含む構成である。タグ本体22は、基材30と、アンテナ素子23およびIC31から構成される汎用ICタグ製品である。アンテナ素子23とIC31が、タグ本体22の必須の構成要素である。タグ本体22が被覆されたり、タグ本体22と、シート体20または補助アンテナ35の間に基材、被覆材、粘着材などの誘電体等を挟む構成であってもよい。シート体20は、通信妨害部材25の近傍で、タグ本体22等にて好適に無線通信するためのシート体であって、補助アンテナ35を含む構成であり、アンテナ素子23またはタグ本体22と通信妨害部材25との間に設けられる。図1の補助アンテナ35には第2の導体層28を設けている。以下、アンテナ素子23、タグ本体22またはタグ21による無線通信に利用される電磁波の周波数を通信周波数という。
 本発明でいう通信妨害部材は、アンテナ素子23またはタグ本体22の近傍に存在することで、自由空間の場合よりもアンテナ素子23またはタグ本体22の通信特性を劣化させ得る物体である。通信妨害部材には、たとえば、金属等の導電性材料、帯電防止材、ガラス、紙、液体等の誘電体材料、磁性体材料、電子機器、アンテナ、タグ、ICカード、電子基板等の電子ノイズ源などから成る部分を有する物体が該当する。
 アンテナ素子23またはタグ本体22の近傍に金属等の導電性材料が存在するとアンテナ素子23またはタグ本体22のインピーダンスが著しく低下し無線通信が難しくなる。また段ボール、樹脂、ガラス、液体等の誘電体材料はその有する誘電率により、アンテナ素子23またはタグ本体22の共振周波数を変化させ無線通信を妨害する。さらに磁性材料も透磁率により、やはりアンテナ素子23またはタグ本体22の共振周波数を変化させるために無線通信を妨害することになる。電子ノイズ源は、ノイズの影響でアンテナ感度のSN比を低下させることになる。これらのアンテナ素子23またはタグ本体22による無線通信を妨害する物体は、すべて通信妨害部材となる。
 図1には、タグ21が装着される物品25が通信妨害部材である場合を示す。このタグ21は、アンテナ素子23またはタグ本体22と、通信妨害部材である物品25との間に、シート体20または補助アンテナ35が介在されるように、物品25に装着して用いられる。したがってシート体20または補助アンテナ35は、タグ本体22と物品25との間に設けられる。アンテナ素子23またはタグ本体22と、シート体20または補助アンテナ35とは、電気的に絶縁されている。間隔を制御するために、図2に示すように、アンテナ素子23またはタグ本体22と、補助アンテナ35の間に非導電性である第1のスペーサ層32を設けている。シート体20または補助アンテナ35は、アンナテ素子23またはタグ本体22に対して、通信方向Aとは反対側に設けられる。
 シート体20または補助アンテナ35は、導電性材料からそれぞれ成る2つの導体層27,28を備えている。各導体層27,28は、アンテナ素子23またはタグ本体22から電気的に絶縁されているとともに、互いに電気的に絶縁されている。2つの導体層のうち少なくともいずれか一方の導体層、本実施の形態では、アンテナ素子23またはタグ本体22寄りに配置される第1の導体層27が、アンテナ素子23またはタグ本体22による無線通信に用いられる電磁波に対して共振する構成を有する共振層である。そして、共振層として働く第1の導体層27には、不連続領域40が設けられている。図1の不連続領域40は溝状(スロット状)であり、これを実施形態Aとする。この不連続領域40の機能については、後述する。以下、アンテナ素子23またはタグ本体22寄りに配置される第1の導体層27を、共振層27といい、もう1つの第2の導体層28は、反射層として働くので、反射層28という。この反射層28と通信妨害部材25の間は、必ずしも電気的に絶縁されている必要はない。
 共振層27と共に第1のスペーサ層32または第2のスペーサ層33にも不連続領域が設けられることがある。スペーサ層は空間でも良く、電磁波の損失を抑えた材料で構成しているため、このような不連続領域を設けることを含め、電磁エネルギのロスを低く保つことができるのであれば、どのような加工が施されていてもよい。
 反射層28は、共振層27と同一もしくは小さい形状および寸法に形成されてもよいが、本実施の形態では、共振層27と同一、または共振層27よりも大きく形成される。共振層27を反射層28の表面に投影すると、共振層27の領域が反射層28の表面内に収まる構成である。反射層28を共振層27より大きくすることで、物品25の種類の影響をより受けなくなり、且つ通信方向Aへの電波の指向性を高めて、通信距離を伸ばすことが可能となる。また反射層28にも不連続領域を設けてもよい。
 シート体20または補助アンテナ35を積層方向から見たときの平面形状は、配置する無線ICタグの形状にもよるが、多くは矩形状である。また、シート体20または補助アンテナ35の総厚みは、約0.1~20mmである。
 タグ21のタグ本体22は、基材30の厚み方向一方もしくは両方の表面に、アンテナ素子23が形成されるとともに、情報格納部であるIC31が搭載されて構成される。図示していない基材30は、たとえば合成樹脂である誘電体から成っており、電気絶縁性を有している。基材30の材料としては、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂などの樹脂や紙などの一切の絶縁材料を用いることができる。アンテナ素子23は、基材30の表面に形成される導体パターンによって実現される。アンテナ素子23は、導電性材料、たとえば金属から成る。アンテナ素子23の材料としては、たとえば金、白金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、タングステン、鉄、その他金属または合金材料、金属酸化物、カーボン等の炭素系材料などの電気伝導性の高い材料を用いることができる。アンテナ素子23は、基材30に、たとえば配線、蒸着、エッチング処理またはスクリーン印刷等の塗工法によって形成される。IC31は、アンテナ素子23に電気的に接続され、アンテナ素子23を介して通信する。
 シート体20または補助アンテナ35は、このようなタグ本体22の基材30に積層される。アンテナ素子23およびIC31の基材30に対する向きに制限はない。シート体20または補助アンテナ35は、共振層27と反射層28との間に第2のスペーサ層33を介在させて積層される積層体である。このシート体20は、タグ本体22側から、第1のスペーサ層32、共振層27、第2のスペーサ層33、反射層28の順に積層される。第1のスペーサ層32、第2のスペーサ層33は、非導電性を有している。タグ本体22と共振層27との間には、第1のスペーサ層32としての機能も発揮する基材30が介在され、共振層27と反射層28との間には、第2のスペーサ層33が介在される。アンテナ素子23またはタグ本体22と共振層27の間には、通常、非導電性の第1のスペーサ層32を設ける。第1のスペーサ層32または第2のスペーサ層33は非導電性でさえあれば、接着層や粘着層を兼ねることもできる。また第1のスペーサ層32、および第2のスペーサ層33は、単層でも複層でもよく、異なる材料で構成されていてもよい。また必ずしも損失成分の低い材料で構成されていなくてもよい。したがって共振層27および反射層28は、アンテナ素子23またはタグ本体22に対して電気的に絶縁されるとともに、互いに電気的に絶縁されている。
 このシート体20または補助アンテナ35は、第2のスペーサ層33の厚み方向一方の表面に共振層27が形成され、第2のスペーサ層33の厚み方向他方の表面に反射層28が形成される。シート体20は、補助アンテナ35に第1のスペーサ層32が一体化している構成である。共振層27および反射層28は、導電性材料から成る層であり、たとえばアンテナ素子23と同様の材料を用いて、同様の方法で形成することができる。アンテナ素子23、共振層27、反射層28は、同一の材料から成ってもよいし、異なる材料から成ってもよい。またアンテナ素子23、共振層27、反射層28は、同一の方法で形成されてもよいし、異なる方法で形成されてもよい。
 第1のスペーサ層32または第2のスペーサ層33や被覆材料の誘電体材料は、少なくとも非導電性を有する構成であればよく、その材料は限定されない。たとえばゴムフェライトのように磁性を有するものでもいいし、磁性体(金属酸化物、セラミックス、グラニュラ薄膜、フェライトメッキなど)をそのまま層状に形成してスペーサ層として使うことも可能である。また第1のスペーサ層32または第2のスペーサ層33は誘電材料であってもよい。たとえば、本実施例の形態のように発泡樹脂であってもよいし、他の発泡体でもよい。熱、圧力、紫外線、硬化剤などの要因により加工時にシート状になるものであれば、任意の材料を選択することができる。これら以外に帆布、布、織布、不織布、セラミックス、紙、粘土、セメント、土系材料等の有機物質、無機物質の一切の材料を使用することができる。粘着材や接着剤であってもよい。
 以上のように、第1のスペーサ層32または第2のスペーサ層33や被覆材料の誘電体材料などICタグ21、シート体20、または補助アンテナ35を構成する材料は、金属などの導電性材料で構成する部分を除き、低損失性のエネルギロスの少ない材料が選ばれる。部分的にエネルギロスが多い材料を使わざるを得ない場合は、その使用量はなるべく低く抑え、全体としてエネルギロスを低く保つようにする。
 つまり波長短縮効果による小型化や電界を引き寄せるために誘電率を持つことは好ましいが、より重要なことは損失の低い材料を選ぶことである。具体的には通信周波数域に於ける比誘電率の実数部ε’および/または比透磁率の実数部μ’は、真空時の比誘電率1および/または比透磁率1よりも少しでも高い値を有し、同周波数域の比誘電率の虚数部ε”および/または比透磁率の虚数部μ”ができるだけ低いことである。そのような材料を本発明では、電磁波を集めて通過させる材料としている。通信周波数帯域で誘電正接tanδ(ε"/ε')または磁性正接tanδ(μ"/μ')が低いため、電磁エネルギの損失が低くなる。
 具体的な材料としては、例えば空間でもよいが、一般には下記に例示するような有機材料を用いる。有機材料としては、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、各種プラスチック、木材、紙材、などの有機材料等やそれらの多孔質体が挙げられる。前記ゴムとしては、天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDMゴム)、エチレン-酢酸ビニル系ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリル系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、液状ゴムなどの合成ゴム単独、それらの誘導体、もしくはこれらを各種変性処理にて改質したものなどが挙げられる。これらのゴムは、単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。
 熱可塑性エラストマーとしては、たとえば塩素化ポリエチレンのような塩素系、エチレン系共重合体、アクリル系、エチレンアクリル共重合体系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、スチレン系、アミド系、オレフィン系などの各種熱可塑性エラストマーおよびそれらの誘導体が挙げられる。好適には、水素添加SBS(SEBS)やポリエステルエラストマー等を挙げることができる。
 さらに、各種プラスチックとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、PPE樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ウレタン系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などのすべての種類の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂およびこれらの誘導体が挙げられる。
 以上の材料をそのままか、複合化、変性化、組み合わせて用いることができる。発泡することが好ましい。典型的な低密度の誘電体材料は、発泡スチロール樹脂などの発泡樹脂である。
 第1のスペーサ層32および第2のスペーサ層33を構成する誘電体材料は、たとえば密度が1.0g/cm 3未満であることが好ましい。
 このような低密度の誘電体材料としては、多孔質有機材料、多孔質無機材料から選ばれる1または複数の材料を使用する。発泡しない材料を用いてもよいし、発泡しない材料と発泡材料を組み合わせてもよい。以上の他、ダンボールなどの紙材、木材、ガラス、石膏、土系材料、布、織布、不織布、複合材料なども使用可能である。
 発泡方法として手段は問わないが、発泡剤添加、または熱膨張性微粒子添加等に分類される。発泡剤は有機系発泡剤と無機系発泡剤がある。ガラスビーズ等の発泡物の添加や、水分やガスによる発泡化、また超臨界二酸化炭素や同窒素などの超臨界流体を利用することもできる。
 有機系発泡剤としては、例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ヒドラジドジカルボンアミド(HDCA)等が添加されるが、それに限られたものではない。
 無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウムなどが添加されるがそれに限られたものではなく、材料に応じて適宜選択して添加してもよい。
 また熱膨張性微粒子としては、マイクロカプセル化した熱膨張性微粒子小球などが添加される。
 発泡倍率も特に限定されるものではないが、吸収体の厚み変化が少なく、強度が保持され、かつ軽量化ができるような形態にする必要がある。これらから好ましくは、発泡倍率は1~50倍程度が好ましい。
 発泡構造については特に限定されるものではないが、圧縮方向に強い構成、例えば厚み方向に扁平発泡された発泡形態が好ましい。
 木材として、合板、ラワン材、パーチクルボード、MDF等の木質材料でありその材料に本質的な制限を受けるものではなく、複数の材料を組み合わせて用いることもできる。
 多孔質無機材料として、各種セラミック材料、石膏ボード、コンクリート、発泡ガラス、軽石、アスファルト、土材などが挙げられるが、それに限られるものではない。
 第1のスペーサ層32および第2のスペーサ層33や被覆材料の誘電体材料は、受信した電波エネルギをできる限り損失無く送信エネルギに変える必要があるため、できる限り材料によるエネルギ損失が少ない材料を選定する必要がある。そのためには無線ICタグが無線通信に利用する電磁波の周波数において誘電正接tanδ(ε"/ε')が0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以下である。発泡体は、このエネルギロスの低さと、柔軟性、軽量性、低価格化の効果を有しているため、本発明の材料として好適である。
 スペーサ材としては低密度と低誘電正接tanδ(ε"/ε')を兼ねているのがいいが、より重要なのは通信周波数帯域(UHF帯等)での低い誘電正接tanδを示すことである。
 さらに複素比誘電率の実部ε'が高ければ、それによる波長短縮効果により、シート寸法の薄型化、小型化が可能となり得るため、ε'1~10であることが好ましい。但し、様々なパラメーターによりシートは構成されるため上記数値に限ったものではない。
 第1のスペーサ層32および第2のスペーサ層33や被覆材料の誘電体材料は、それぞれ異なる誘電体材料で構成されてもよく、同じ誘電体材料で構成されていてもよい。
 図4は、自由空間に設けられるアンテナ素子23またはタグ本体22(ICタグ)を模式的に示す正面図である。図4に例示するダイポールアンテナなどの電波方式のものを含め、アンテナ素子23またはタグ本体22は、自由空間に設けられる状態を想定して設計されている。ここでは交流によるためダイポールアンテナ間に発生する電界の向きは交互に変動することになる。図4は、ある時刻における電界の向きを示している。チップ31の入力インピーダンスも自由空間に設置される条件でアンテナ素子23と整合されている。したがってアンテナ素子23またはタグ本体22は、自由空間に設けられる状態では、矢符Bで示すように、アンテナ素子23またはタグ本体22の周囲(360°に対して)に、電磁界を広げることができ、通信効率が高くかつ通信距離を大きくすることができる。
 図32に示したように、電波方式で通信するダイポールアンテナなどを有するタグ本体22の近傍に金属などの導電性材料が存在する場合も、電磁誘導方式と異なるメカニズムで通信ができなくなるのは前述の通りである。タグ本体22が受信することでアンテナ素子211に電流I11が流れると近傍にある金属面側にはこれと逆向きの電流I12が誘導され、誘導電流によるループ状の電流経路の発生によってインピーダンスが大きく低下する。これによって自由空間での通信に対して設計されたICチップ217の入力インピーダンスとの整合がとれなくなり、エネルギおよび信号の伝達が進まず、通信可能距離が短くなってしまう。
 図5は、図32に示したような通信妨害部材が近傍にある状態の部分的な現象を説明する正面図である。電波方式のアンテナ素子23またはタグ本体22が、通信妨害部材である物品25の近傍に設けられる状態では、矢符Cで示すように、電磁界がアンテナ素子23またはタグ本体22と通信妨害部材である物品25との間に集中して形成されてしまう。このような状態では、IC31からアンテナ素子23に伝達されたとしても、電磁界がアンテナ素子23またはタグ本体22と通信妨害部材である物品25との間に集中することによって、アンテナ素子23に供給した電力を空間に放射することができず、IC31に戻る現象が生じ、アンテナ素子23とIC31との整合が悪化する。このように整合が悪化すると、通信できなくなってしまう。このように共振器として動作しても、電磁波を貯めるだけで放射することができなければ、無線通信改善用途として使うことはできない。
 図6は、通信妨害部材となる物品25の近傍に設けられるアンテナ素子23またはタグ本体22のマクロ的な電波の到達および反射を模式的に示す正面図である。遠方から飛来してくる電磁波は、アンテナ素子23またはタグ本体22の近傍にある通信妨害部材となる物品25で反射する場合、電界が逆位相となって反射する。したがってアンテナ素子23またはタグ本体22が、通信妨害部材となる物品25の近傍に設けられる状態では、矢符Dで示すリーダから到来する直接波と、矢符Eで示す通信妨害部材となる物品25で反射する反射波との干渉によって、アンテナ素子23またはタグ本体22の近傍位置の合成電界強度が0に近い値になってしまう。このように干渉によってエネルギが消費されることになり、通信できなくなってしまう。
 本件発明のシート体および補助アンテナによる無線ICタグの通信改善メカニズムは、以下の3つの理由による。1つめは、シート体および補助アンテナを共存させたことによる通信妨害部材近傍での無線ICタグの共振の改善、2つめは、シート体および補助アンテナおよび不連続領域の構成、形状の工夫および配置位置検討によるインピーダンス整合の改善、3つめは、前述の通り、構成する材料を、電波を集めて通過させるエネルギロスの少ない低損失材料としたことによるエネルギ低損失構成の実現である。これらについて以下の記述により説明する。
 本発明では、図1~図3に示すように、アンテナ素子23またはタグ本体22と通信妨害部材25との間に、共振層27を有するシート体20が設けられる。共振層27は、反射層28と協同して、補助アンテナであるマイクロストリップアンテナ35を構成する。マイクロストリップアンテナは、パッチアンテナとも呼ばれるアンテナであり、したがってシート体20は、パッチアンテナ構成を有する補助アンテナである。電波の受信および放射は、パッチアンテナ状の動作を行っている。パッチアンテナは共振周波数に於ける波長によりサイズが決まるアンテナであるため、通常は極超短波(UHF帯)あるいはそれ以上の周波数で用いられるアンテナである。具体的には、導体の長さが1/2波長のときに定在波が乗り、共振状態となるアンテナである。パッチアンテナは、グランド板となる導体層を含む構成であり、グランド板を通信妨害部材側に配置して用いることによって、通信妨害部材の影響を抑えて用いることができるアンテナである。シート体20または補助アンテナ35においては、パッチアンテナを構成する2つの導体層である共振層27、反射層28のうち、反射層28がグランド板として機能するので、反射層28を物品25側に配置して用いることによって、補助アンテナ自体が物品25の影響を受けることがなく、安定したアンテナとして動作する。以上より、無線ICタグに、シート体または補助アンテナを複合化した効果により、通信妨害部材25の近傍においても安定したアンテナの共振状態を確保している。この補助アンテナ35を金属等の導電性物質である物品に積層する場合は、その物品が反射層28の機能を代用するため、反射層28は必ずしも必要でなく、反射層28を設けずとも同様の効果が得られることになる。
 さらに、上記状態のシート体20または補助アンテナ35の共振層27にスリットまたはスロット等の不連続領域40を設けることにより、パッチアンテナ内部の電界は低いものの、磁界が強い領域を利用して、その部分を介して強く電磁結合することができ、アンテナ素子23またはタグ本体22の無線通信が改善する。しかもこのような不連続領域40を有するシート体20または補助アンテナ35を、アンテナ素子23またはタグ本体22と、物品25との間に介在させることによって、アンテナ素子23またはタグ本体22に対する物品25の影響を緩和することができる。結果として、物品25の近傍に於いて、アンテナ素子23またはタグ本体22と、シート体20または補助アンテナ35の間の電磁結合が増し、共振の実現、および結線することなく配置位置を変更するだけの簡易なインピーダンス整合を実現できる。
 シート体20または補助アンテナ35の共振層27は、通信周波数の電磁波に対して共振する構成であり、したがってシート体20の補助アンテナ35は、通信周波数の電磁波に対して共振する。この補助アンテナ35を設けることによって、補助アンテナ35で受信した電磁波のエネルギが、アンテナ素子23またはタグ本体22に給電される。このようにアンテナ素子23またはタグ本体22は、補助アンテナ35からもエネルギを得ることになる。アンテナ素子23またはタグ本体22を補助アンテナ35に結線することなく配置するだけで、補助アンテナ35からの放射も利用してエネルギ放出することが可能となり、IC31からの信号を、大きな放射電力で空間に放出できることになる。パッチアンテナ構成の補助アンテナ35は、共振動作時に2つの導体層のうち、特に共振層27の中間部分付近の領域の電界が0となるアンテナである。電界が0であることから、電気的に短絡しているのと同じ状態となる。そのためこの部分にビアを設けるなどで電気的短絡をさせても動作に影響はない。
 ここでシート体20は、補助アンテナ35の導体層27,28、中でも第1の導体層である共振層27を、いわゆる反射器(Reflector)として利用しているのではない。反射器からの反射効果を得るためには、反射器がアンテナ素子23またはタグ本体22から電気長で1/4λ(λ=通信周波数の電磁波の波長)離す必要があるが、シート体20では、そのような距離を開けていない。アンテナ素子23またはタグ本体22と共振層27との間隔は、通信周波数の電磁波の波長λの4分の1未満とし、タグ21の厚み寸法を小さくしている。補助アンテナ35は、反射効果ではなく、アンテナ素子23またはタグ本体22との電磁的結合により大きい電流をアンテナ素子23またはタグ本体22に流すことによって、通信効率を高くし、通信距離を大きくしている。
 さらにシート体20の補助アンテナ35は、その形状および寸法を変更することによって、補助アンテナ35の共振周波数を容易に変更することができる。したがってタグ本体22の構成に合せて、通信周波数に合致する共振周波数を有する補助アンテナ35とすることができ、様々な電界型のアンテナ素子23を備えるタグ本体22に適用してタグ21を構成することが可能となる。さらにこのような無線通信用アンテナであれば、無線ICタグに限定されることはなく、本発明の作用を用いて同様に無線通信を改善できる。
 図7A~図7Jは、共振層27の形状の例を示す平面図である。共振層27の1つの辺に平行な方向(たとえば図7の左右方向)を第1方向xとし、第1方向xに対して垂直な他の辺に平行な方向(たとえば図7の上下方向)を第2方向yとする。共振層27は、図7A~図7Jのように長方形状の一部を欠落させ不連続領域40が形成される構成である。共振層27または不連続領域40は、長方形状、方形状、多角形状、楕円状、円状、不定形状等の任意の外郭形状を取りうる。形状だけでなく、個数にも制限はない。
 不連続領域40は、図7Aに示すように、第1および第2方向x,yの中央部に、第2方向yに延びる細長い長方形に形成されてもよいし、図7Bに示すように、第1および第2方向x,yの中央部に、第1方向xに延びる長方形部分が連結されるH字状に形成されてもよいし、図7Cに示すように、第1方向xの中央部分に共振層27の端部から切欠けが形成された形状でもよい。また図7Dに示すように、第1および第2方向x,yの中央部に、長辺が第2方向yと平行な長方形に形成されてもよいし、図7Eに示すように、第1および第2方向x,yの中央部に、第1方向xに延びる長さの短い長方形部分が連結されるH字状に形成でもよい。図7Fに示すように、第1および第2方向x,yの中央部から第2方向y一方に偏った位置に、長さの異なる平行な長方形部分が連結される「工」字状に形成されてもよい。また不連続領域40は、図7Gに示すように、図7Fの構成に加えて、第2方向yの両端部に長方形状の切欠きを有する構成に形成されてもよいし、図7Hに示すように、図7Aの構成に加えて、第1方向x両側に、少し短い細長い長方形を平行に有し、「小」字状に形成されてもよい。図7Iおよび図7Jは、図7Aおよび図7Bの不連続領域40部分をさらに変形した例である。不連続領域40の中央付近の幅を他の部分より広くし、ICチップ31またはタグ本体22への影響をさらに小さくしている。以上に制限されることなく任意の形状を有することができる。
 共振層27は、図7A、図7B、図7D~F、図7I、Jのように、1つの不連続領域40だけが形成される構成でもよいし、図7G、図7Hのように、複数の不連続領域40が形成される構成でもよい。また共振層27は、図7A、図7B、図7D、図7E、図7H、図7I、図7Jのように、共振層27の中心を通る中心軸線L27に関して対称に不連続領域40が形成される構成でもよいし、図7C、図7F、図7Gのように、共振層27の中心を通る中心軸線L27に関して非対称に不連続領域40が形成される構成でもよい。また共振層27は、図7A、図7B、図7D、図7E、図7F、図7G、図7I、図7Jのように、全周が共振層27に囲まれる孔の不連続領域40だけが形成される構成であってもよいし、図7Gのように、孔の不連続領域40と、部分的に開放されて共振層27の外部に連なる切欠きの不連続領域40とが形成される構成であってもよいし、図7Cのように、切欠きの不連続領域40だけが形成される構成であってもよい。不連続領域40は、存在するのであればその形状および構成は特に限定されるものではない。複数あっても、組み合わせたものでもよい。また完全に共振層27を分割するような切欠きでもよい。また多角形状だけでなく、線状、棒状、円状、円弧状、曲線状、不定形状等の任意の形状でよい。これらが上下方向に分布することもある。
 また共振単位を素子(導体素子)として、これを単数あるいは複数個並べて配置する共振層27とすることもできる。この場合、導体素子間は絶縁され、その間隔により形成されるコンデンサーが共振周波数に影響を与えることになる。この間隔の絶縁部分も本発明の不連続領域40である。
 共振層27や不連続領域40あるいは導体素子の外郭形状の少なくとも一部を曲線状とした場合、電波の入射方向に見た偏波方向に対する共振層27や不連続領域40あるいは導体素子等のアンテナ部分の角度位置関係に拘わらずアンテナ特性が安定する。つまり、円偏波の電波を受ける場合に、アンテナ部分の電波偏波面に対する受信特性の角度依存性が少ない安定した共振を実現することができる。
 共振層27が、図7A~図7Jに示すように、不連続領域40が形成される構成である場合、不連続領域40をアンテナとして機能させることができる。これによって前述の補助アンテナ35に加えて、不連続領域40をアンテナとして備える構成とすることができる。この不連続領域40を、通信周波数の電磁波に共振するように形成すれば、この不連続領域40で受信した電磁波のエネルギをアンテナ素子23またはタグ本体22に与えることが可能になる。さらに不連続領域40の共振により、その周囲に沿って共振層27の裏表とも共振電流が流れ、より強い電磁結合の実現(インピーダンス整合の実現)がしたり、あるいは無線ICタグ21の放射効率を改善できる。このとき、共振層27は、不連続領域40だけで共振する構成であってもよい。
 不連続領域40がアンテナとして機能した場合は、その不連続領域周囲の形状および寸法によって、周波数特性が異なる。不連続領域40は、得るべき周波数特性に合せて形状および寸法が決定される。たとえばスロットアンテナは、そのスロットの周囲長が電磁波の波長と等しくなるときに共振が生じる。一般に超短波帯(30MHz~300MHz)以上の周波数で用いられるアンテナである。このように不連続領域40からの放射も補助アンテナ35の放射の一部となる。細長い長方形など、細長い線状に延びる不連続領域40を形成した場合、不連続領域40がタグ本体22と直交するような位置関係となることから、タグ本体22の長手方向を結ぶように発生する電界(電気力線)により導かれて、スロット状不連続領域40を渡るように発生する電界が強くなり、スロット周囲に生ずる電流が大きくなる。さらにその線幅を大きくし、長手方向寸法と幅寸法の差が小さい不連続領域40を形成すれば、スロット状不連続領域40に発生する電界が小さくなり、スロット周囲に生ずる電流も小さくなる。さらに長さ寸法の異なる長方形を組合せるなど、非対称の形状の不連続領域40を形成すれば、複雑な電界や電流を生じることができ、受信強度の大きい周波数範囲が大きく、または共振周波数を複数有することができ、広帯域の受信が可能な周波数特性が得られる。またこのような広帯域化を図る場合、不連続領域40を共振層27の中心からずれた位置に形成すること等によってアンテナ構造に非対称性を導入でき、共振可能部位を複数導入することが可能となり、より広帯域化を図ることができる。
 なお、不連続領域40は必ずしも共振する必要はない。たとえ共振しなくとも、補助アンテナ35の第1の導体層27に発生する誘導電流の電流経路の高抵抗化を図ることができ、アンテナ素子23またはタグ本体22のインピーダンス低下を抑制することができる。
 不連続領域40の形状を変更し、複数を組合せるなどして、補助アンテナ35とアンテナ素子23またはタグ本体22との電磁結合を強めたり、広帯域化したり、共振を増したり、また共振効果により補助アンテナ効果を支援するような設計が可能となる。
 図8は、本発明の実施形態であるシート体20の平面図であり、図9は、シート体1の拡大断面図である。図8に示す形状のシート体20を用いた場合が実施形態Aである。
 不連続領域40は、図9の断面図に示すように、第1のスペーサ32と補助アンテナ35とを積層方向に貫通し、その結果第2のスペーサ33が溝の底を形成する構成となっている。従って不連続領域40の深さDは、第1のスペーサ32の厚みと補助アンテナ35の厚みとの和と同じとなり、たとえば0.1~20mmである。
 不連続領域40の長さLは、シート体20の短辺方向長さL0に対して1~1,000%となる長さに形成され、全長は、折れ曲がり部分があれば、それも含んで、たとえば1~500mmである。
 不連続領域40の幅Wは、ICチップやその接合部分およびリアクタンス装荷部の大きさなどによるが、たとえば0.1~50mmである。このような不連続領域40を設けることで、結線することなく配置された無線ICタグのダイポールアンテナと、補助アンテナ35とは、この不連続領域40を介して電磁的に結合し、補助アンテナ35が共振アンテナとして機能する。さらに、無線ICタグの直下に不連続領域40が設けられるので、ICチップに対する補助アンテナ35の導電体である共振層が、通信妨害部材(近傍金属)として振舞うことの影響を小さくすることができる。
 不連続領域40は、一般的な形成方法で形成することができる。第1のスペーサ32においては、打ち抜き、切削などの機械的加工を用いたり、エッチングなどの化学的加工を用いて誘電体材料からなる板状部材から不連続領域40となる所定の部分を除去すればよい。また、使用する誘電体材料によっては、成型時に予め不連続領域40が設けられた形状に成型することも可能である。
 補助アンテナ35においても、第1のスペーサ32と同様に機械的、化学的加工を用いて不連続領域40となる所定の部分を除去すればよい。また、予めスリット、スロット等が設けられた形状となるように、スペーサに直接印刷、蒸着、塗工することも可能である。
 上記のような方法を用いて、第1のスペーサ32と補助アンテナ35のそれぞれに不連続領域40を形成してもよく、第1のスペーサ32に予め補助アンテナ35を積層しておき、両者に同時の不連続領域40を形成してもよい。
 本発明の不連続領域40は、補助アンテナ35において必須であるが、反射層28においてはなくてもよい。同様に第1スペーサ32および第2スペーサ33においても、不連続領域40があることもないこともある。最も近い導体層に不連続領域40を設けることが本発明の要件である。
 図10は、不連続領域40が形成されていない共振層27が設けられる、比較例となるタグ21を示す斜視図である。図10には、基材30を省略して示す。不連続領域40のない共振層27を用いる場合、アンテナ素子23およびIC31は、IC31が共振層27の中心位置に重なり、アンテナ素子23が共振層27の一辺と平行または略平行に延びるように設けられる。
 図11は、図8Bに示すH字状スロットの不連続領域40が形成される共振層27が設けられるタグ21を示す斜視図である。これが実施形態Bとなる。図11には、基材30を省略して示す。共振層27の中央部に第1方向xを上下にして見たとき「H」となる不連続領域40が形成される共振層27を用いる場合、アンテナ素子23およびIC31は、IC31が共振層27の概中心位置に重なり、アンテナ素子23またはタグ本体22が第1方向xに延びるように設けられる。この状態で、IC31またはリアクタンス装荷部の位置は、不連続領域40に重なっている。
 図12は、実施形態Bのシート体20の平面図である。
 不連続領域40として、補助アンテナ35の長辺方向中央部に、短辺方向に平行な直線状の孔S1と、短辺方向に所定の間隔を空けて、長辺方向に平行な2本の直線状孔S2とが設けられ、孔S1と孔S2とは、中央部分で交差するとともに、直線状の孔S1は、孔S2より外側に突出しないように設けられる。
 孔S1および孔S2の断面は、実施形態Aにおいて図9に示した断面図と同様で、第1のスペーサ32と補助アンテナ35とを積層方向に貫通し、その結果第2のスペーサ33が溝の底を形成する構成となっている。また、孔S1と孔S2の深さおよび幅は同じである。
 孔S2の深さDは、第1のスペーサ32の厚みと補助アンテナ35の厚みとの和と同じとなり、たとえば0.1~20mmである。孔S1および孔S2の幅Wは、ICチップやその接合部分およびリアクタンス装荷部の大きさなどによるが、たとえば1~30mmである。
 孔S1の長さL101は、たとえば5~100mmであり、孔S2の長さL102は、たとえば30~500mmである。
 このような孔S1および孔S2を設けることで、実装された無線ICタグのダイポールアンテナと、補助アンテナ35とは、この孔S1および孔S2を介して電磁的に結合し、補助アンテナ35が共振アンテナとして機能する。さらに、無線ICタグの直下に孔S1が設けられ、ダイポールアンテナのリアクタンス装荷部の近くに孔S2が設けられるので、ICチップおよびリアクタンス装荷部に対する補助アンテナ35の近傍導電体(通信妨害部材となる)としての影響を小さくすることができる。
 図13は、図8Cに示す、スリット状の不連続領域40が形成される共振層27が設けられるタグ21を示す斜視図である。これが実施形態Cとなる。図13には、基材30を省略して示す。共振層27の中央部に共振層27の端部から第2方向yに延びる長方形の不連続領域40が形成される共振層27を用いる場合、アンテナ素子23およびIC31は、IC31が共振層27の概中心位置に重なり、アンテナ素子23またはタグ本体22が第1方向xに延びるように設けられる。この状態で、IC31またはリアクタンス装荷部の位置は、不連続領域40に重なっている。
 図11~図13に示すように、不連続領域40が形成される共振層27を用いる場合、不連続領域40と、IC31またはリアクタンス装荷部とが重なるように設けることが好ましい。このように不連続領域40と、IC31またはリアクタンス装荷部とを重なるように配置すれば、共振層27によるアンテナ素子23またはタグ本体22のインピーダンスへの影響を小さく抑えることができる。また配置する位置によりインピーダンス整合を最適化することができる。これによってIC31からアンテナ素子23またはタグ本体22への電力供給を容易にし、通信効率を高くすることができる。
 図14は、通信距離の推定方法を説明するためのグラフである。図14において、横軸はリーダからの距離を示し、縦軸は受信電力および電力密度を示す。タグ21によって通信可能な最大距離(以下「通信距離」という)は、タグ21が設けられる位置と、タグ21をリーダから遠ざけるように相対的に変位させたとき、通信可の状態から通信不可の状態に変わる位置との間の距離である。タグ21には、タグ21が動作するために必要な電力(以下「動作電力」という)Wdが決まっている。タグ21が受信する電力(以下「受信電力」という)Wrが、動作電力Wd以上(Wr≧Wd)場合、タグ21は通信可であり、受信電力Wrが、動作電力Wdより小さい(Wr<Wd)場合、タグ21は、通信不可である。通信距離は、受信電力Wrが動作電力Wdと等しくなる場合のリーダからタグ21までの距離である。
 タグ21の受信電力は、タグ21の動作利得に比例するとともに、リーダからの電磁波の電力密度に比例する。タグに到達する電力密度は、リーダからの距離の2乗に反比例する。したがってタグ21の動作利得と、タグ本体22が自由空間にある場合の動作利得との比が分かれば、タグ21の通信距離と、タグ本体22が自由空間にある場合の通信距離との比が推定できる。図14に示すように、通信距離の比=√動作利得の比R(図14に表示)となる。このようにしてタグ21の通信距離を推定することができる。
 図15は、タグ21の性能評価に用いた共振層27を示す平面図である。図15に示す比較例の共振層27は、長方形状であり、不連続領域40は形成されていない。共振層27の一辺に平行な第1方向xの寸法を第1寸法(辺長)W1とし、第1方向xに対して垂直であり、共振層27の他の辺に平行な第2方向yの寸法を第2寸法(幅)W2とする。
 図16は、タグ21の利得を説明するための図である。タグ21では、アンテナ素子23またはタグ本体22において、電気信号と電磁波信号とを互いに変換する構成であり、電気信号が有する電気電力と電磁波信号の有する電磁波電力との間の変換効率が高いほど、性能が高い。タグ21における送信性能と受信性能とは一致しており、送信性能が高ければ、受信性能も高い。ここではアンテナ素子23によって送信する場合を例に挙げて、アンテナ素子23またはタグ本体22の利得について説明する。
 給電手段であるIC31からアンテナ素子23に電力が供給され、アンテナ素子23から電磁波として電力が放射される。ここでIC31からアンテナ素子23に供給される電力が、供給電力P0であり、供給電力P0のうち、一部だけがアンテナ素子23に入力される。アンテナ素子23に実際に入力される電力が、アンテナ電力Pinとなり、供給電力P0うちどの程度入力されるかが反射特性値S11で表される。アンテナ電力Pinうち、電磁波として放射される電力が放射電力Pradであり、この放射電力Pradは、アンテナ素子23またはその近傍の物体による損失を除く電力である。さらに放射電力Pradのうち、放射の目的方向となる通信方向A以外へ放射される電力を除き、通信方向Aへ電磁波として放射される電力が、指向放射電力Ptである。
 利得には、動作利得Gw、絶対利得Ga、指向性利得Gdがある。動作利得Gwは、給電電力P0に対してどの程度の指向放射電力Ptが得られるかを表す。絶対利得Gaは、アンテナ電力Pinに対してどの程度の指向放射電力Ptが得られるかを表す。指向性利得Gdは、放射電力Pradに対してどの程度の指向放射電力Ptが得られるかを表す。このように利得は、電力変換効率を示す指標である。
 反射特性値S11は、給電整合の評価値であり、共振周波数を評価することができ、式(1)で表され、小さい程好ましい。給電部でのエネルギ伝達効率(Pin/P0)は、式(2)で表される。またアンテナ素子23のインピーダンスをZ11とし、IC31のインピーダンスをZportとし、IC31のインピーダンスに共役な複素数をZ *portとすると、式(3)の関係が成り立つ。さらに放射効率ηは、式(4)で表される。
  S11(dB)=10×log((P0-Pin)/P0) …(1)
  Pin/P0=1-10 (S11/10)             …(2)
  |S11|(絶対値)=|(Z11-Z *port)/(Z11+Zport)|…(3)
  η=Prad/Pin=10 ((Ga-Gd)/10)       …(4)
 この利得が大きいほど大きな通信距離が得られ、好ましい構成が実現される。したがって電力変換効率を大きくし、利得を大きくすることができれば、好ましい構成が得られる。シート体20または補助アンテナ35を用いずに、アンテナ素子23またはタグ本体22を、通信妨害体となる物品25の近傍で用いると、物品25における損失が大きくなり、アンテナ電力Pinから放射電力Pradへの変換効率が悪くなる。またアンテナ素子23またはタグ本体22の近傍に通信妨害体となる物体が存在すると、アンテナ素子23またはタグ本体22のインピーダンスZ11が変化し、IC31のインピーダンスZportとの差が大きくなって、反射特性値S11が大きくなり、給電整合が悪くなる。
 シート体20または補助アンテナ35を用いることによって、物品25による悪影響を防ぎ、アンテナ電力Pinから放射電力Pradへの変換効率の悪化を防ぐとともに、物品25によるアンテナ素子23またはタグ本体22のインピーダンスZ11の変化を防ぎ、反射特性値S11を小さくし、給電整合を良好にすることができる。このようにシート体20または補助アンテナ35を用いることによって、物品25による悪影響を防止し、高い利得が得られる通信環境を実現することができる。
 図17は、本発明のタグ21に採用することができるタグ本体22を示す平面図である。タグ本体22として、直線状に延びるダイポールアンテナでも、図17の様な折れ曲がりタイプのダイポールアンテナから成るタグ本体22を用いてもよい。このタグ本体22もまた、ダイポールアンテナであるが、IC31に接続される基端部23aと遊端部23bとの間の中間部23cがS字状に蛇行する構成であり、遊端部23bが中間部23cよりも幅広に形成されて面状であり、さらにIC31の両側部分が、ループ部23dによって、IC31をバイパスして電気的に接続される構成である。図17に示すアンテナ素子23では、リアクタンス装荷部として、ループ部23dが形成されている。このループ部を部分的に有する構造は、多くの電波方式のICタグに見られる構造である。図17のタグ本体22は、長手方向が94mm、幅方向が16mm、ループ部分の長径が12mmである。
 図18は、タグ21の性能評価に用いたさらに他の共振層27を示す平面図である。図18に示す共振層27は、長方形状であり、H字状の不連続領域40が形成されている。第1寸法W1は95mmであり、第2寸法W2は43mmである。不連続領域40は、第1方向xに延びかつ互いに平行な2つの細長い長方形部分40a,40bと、これらを接続する接続部40cとを有するH字状である。第2方向y一方側の一方の長方形部分40aは、幅(第2方向yの寸法)D1が2mmであり、長手方向寸法(第1方向xの寸法)L5が75mmであり、共振層27の第2方向y一方の端から距離L6=8mm内方の位置に、共振層27の第1方向x両端から距離L7=10mmずつ内方の位置間にわって延びている。第2方向y他方側の他方の長方形部分40bは、幅(第2方向yの寸法)D2が2mmであり、長手方向寸法(第1方向xの寸法)L8が75mmであり、共振層27の第2方向y他方の端から距離L9=15mm内方の位置に、共振層27の第1方向x両端から距離L10=10mmずつ内方の位置間にわって延びている。これら2つの長方形部分40a,40bは、第2方向yに間隔D3=16mmをあけている。接続部40cは、共振層27の第1方向xの中央位置で第2方向yに延びている。幅(第1方向xの寸法)D5は、2mmである。
 図19は、図17に示すタグ本体22を用い、図8に示すシート体20を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。図20は、図17に示すタグ本体22を用い、図18に示す共振層27を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。図21は、図17に示すタグ本体22を用い、実施例7および実施例8の共振層27を備えるタグ21の評価結果として反射特性値S11を示すグラフである。図19~図21に結果を示すタグ21において、第1のスペーサ層32は、厚み寸法を1mmとし、第2のスペーサ層33は、厚み寸法を2mmとした。第1のスペーサ層32およびスペーサ層33は、樹脂発泡体を想定し、比誘電率の実部は第1のスペーサ層32が1.1、第2のスペーサ層33が1.2とし、誘電率損失項tanδ(=ε"/ε')は共に0.01とした。なお磁性は有しない。また比誘電率は、UHF帯に於いては、周波数に依存せずに比較的安定した値を取っているため、UHF帯全域にこの数値を適用してよい。材料定数は、同軸管法により、ネットワークアナライザー(アジレントテクノロジー社製、商品名HP8720ES)を用いて測定している。
 図19に結果を示すタグ21に用いた共振層27は、第1寸法W1が110mmであり、第2寸法W2が46mmであり、不連続領域40の幅L1が1mmであり、長さ寸法L2が42mmであり、距離L3が2mmである。図20に結果を示すタグ21に用いた共振層27は、図18に示す寸法を有する。図21に結果を示すタグ21に用いた共振層27は、第1寸法W1が107mmであり、第2寸法W2が67mmである。
 図19および図20には、自由空間の場合と、タグ21の場合とを比較して示す。図19に結果を示すタグ21では、タグ本体22が第1方向xに延び、IC31が不連続領域40と重なり、ループ部23cが不連続領域40を横切るように設けられる。図20に結果を示すタグ21では、タグ本体22が第1方向xに延び、IC31が不連続領域40の接続部40cと重なり、ループ部23cが他方の長方形部分40bと重なるように設けられる。図21に結果を示すタグ21では、タグ本体22が第1方向xに延びるように設けられる。
 図19~図21において、横軸は周波数を示し、縦軸は給電整合S11を示す。また図19~図21には、自由空間の結果を一点鎖線で示し、不連続領域のないパッチ構造の共振層の結果を線と丸印の組合せにて示し、タグ21の結果を実線で示す。図21に示すように、ループ部23dを有するタグ本体22を用いる場合、不連続領域40のない共振層27では、十分な効果が得られないが、表2および表3ならびに図19および図20に示すように、不連続領域40が形成される共振層27を用いることによって、給電整合を向上させることができる。不連続領域40が細長いスリットである場合、周波数帯域が小さくなるが、通信周波数(953MHz)における極めて良好な給電整合が得られる。通信距離を前述のような推定方法で推定すると、表3の実施例4に示す様に自由空間の場合の約76%の通信距離が得られる結果を得た。また不連続領域40がH字状スロットである場合、不連続領域40が長方形スロットである場合と比べて、多少給電整合が劣るが、通信距離を前述のような推定方法で推定すると、自由空間の場合の60%弱の通信距離が得られる結果を得た。このようにループ部23dなど、リアクタンス装荷部を有するタグ本体22を用いる場合には、不連続領域40が形成される共振層27を用いることによって、通信距離の大きい、タグ21を実現することができる。
 図22は、本発明の実施の他の形態の共振層27を示す平面図である。共振層27は、たとえば図22に示すように、互いに電気的に絶縁される複数の導体素子70を有する構成であってもよい。このような構成では、各導体素子70によってパッチアンテナやフラクタルアンテナ等がそれぞれ形成され、同様の効果を達成することができる。また共振層27は、図22に示すように少なくとも1つの角部、図22の例では全角部が曲線状である略多角形状の外郭形状を有する構成であってもよい。このような角部が丸み付けされる構成では、飛来する電波の偏波方向に依存せず安定した受信ができるという偏波特性の優れたタグ21を実現することができる。導体素子70の間や、あるいは導体素子70に設けられた不連続領域40の絶縁部分にIC31やリアクタンス装荷部を配置することで同様の効果を得ることができる。

実施例

[0006]
[規則26に基づく差替え 23.04.2008]
 前述の補助アンテナの各実施形態に応じたシート体を作製し、無線ICタグを貼り付けて、通信距離を測定した。
 実施例1~3および比較例1~3の寸法、材料などを表1に示す。表1において、寸法aはシート体の長辺の長さを示し、寸法bはシート体の短辺の長さを示す。不連続領域の幅は、実施例1,2(実施形態A)についてはI型のスロットの幅を示す。実施例3(実施形態B)についてはH型のスロットの幅を示すが、ここではスロットS1とスロットS2の幅は同じである。またH型スロットのスロット長さは長手方向がL1、幅方向がL2である。スロットS1とスロットS2の幅は同じである。全てのスロットの長さや幅は異なっていてもいいが、ここでは長いスロット同士の長さは等しく、全てのスロットの幅は等しくしている。
 補助アンテナは導体層から成る共振層と第2スペーサにて構成されていて、下層に導電層(反射層)を有す場合と有さない場合がある。実施例に用いた第1スペーサ及び第2スペーサは発泡樹脂であり、950MHz帯に於ける比誘電率の実部ε'が1~2、および誘電正接tanδが0.5以下である。
[表1]


 比較例1は、不連続領域が形成されていないこと以外は、実施例1と同じである。比較例2および比較例3は、発泡スチロール単層によるスペーサであり、補助アンテナなどは備えていない。
 図23は、通信距離の測定方法を示す概略図である。
 SUS板(210mm×300mm×0.5mm厚)上に、シート体に貼り付けた状態の無線ICタグを設置し、所定の高さに設置したリーダアンテナによって、通信可能な距離から徐々にSUS板ごと距離を離し、読み取りができる最大距離を通信距離とした。
 無線ICタグには、オムロン株式会社製のWave Tagを用い、リーダアンテナには、オムロン株式会社製V750-HS01CA(円偏波パッチアンテナ)を用い、リーダには、オムロン株式会社製V750-BA50C04-JP(送信最高出力28.5dBm、使用チャネル:1CH)を用いた。無線ICタグをシート体に配置する際は、無線ICタグのICチップやリアクタンス装荷部の一部が不連続領域部分と対向する位置にくるようにしている。
 測定した通信距離に基づいて、通信比率を算出して評価した。通信比率は、測定した通信距離/自由空間でのタグ読み取り通信距離(4.5m)×100(%)で算出した。結果を表1に示す。リーダの出力は、高出力(28.5dBm)としている。
 比較例1~3は、いずれも通信距離が短く、通信比率は4~13%であった。
 実施例1~3はいずれも比較例の通信比率を大きく上回っており、通信改善効果が見られた。
 実施例3の無線通信改善シート体と無線ICタグを貼り付けた状態で、φ140mmの金属製缶に曲面に沿って取り付けた。その状態にても通信距離は3.5mであり、通信比率は79%と高い値を示した。反射層を設けない構成のためシート体の柔軟性が向上した結果、金属製物品の曲面形状にも対応可能となり、円筒状の金属製品もRFID無線通信管理可能であるといえた。
 表2および表3は、無線ICタグに対して本発明の無線通信改善シート体20を用いた場合の形状効果をシミュレーションした結果を示している。表2が形状および材料条件を示し、表3が給電整合S11(Sパラメータ)と953MHzでの通信特性、それらから決定した通信改善率を示している。表2および表3では、不連続領域がない場合(パッチアンテナ状構成)および自由空間での無線ICタグ120を用いたときとの相対的な比較を示している。
[表2]


[表3]


 まず計算に用いた無線ICタグは略長手方向(長さ94mm、幅16mm)で、ICチップのインピーダンスは950MHz帯において自由空間にて整合するインピーダンス値としたUHF帯対応である。ここで、発泡樹脂Aは、950MHz帯の比誘電率実部ε’が1.1、誘電正接tanδが0.01であり、発泡樹脂Bは、同周波数帯の比誘電率実部ε’が1.2、誘電正接tanδが0.01であり、発泡樹脂Cは、同周波数帯の比誘電率実部ε’が1.3、誘電正接tanδが0.01であり、PETは、同周波数帯の比誘電率実部ε’が3、誘電正接tanδが0.01である。
 表3には、それぞれの条件における給電整合S11のピーク周波数(GHz)、953MHzでの電磁波の反射特性を示す給電整合S11(dB)、同周波数にて無指向・無損失であると定義される基準アンテナに対する利得を表す絶対利得Ga(dB)、式(1)にて表される整合損と絶対利得Gaを共に考慮して得られる動作利得Gw、式(2)にて表される自由空間の通信距離に対して無線ICタグ120の通信距離がどのように変わるかを示す通信改善率を示している。また給電整合S11の結果は図21,図24、図25に示している。図21には、実施例7および実施例8の結果を自由空間の場合と比較している。図24は、実施例4(実施形態Aの補助アンテナ)の結果を不連続領域なしのパッチ構造および自由空間の場合と比較している。さらに図25は、実施例5(実施形態Bの補助アンテナ)の結果を不連続領域なしのパッチ構造および自由空間の場合と比較している。なお、絶対利得Gaは、同じ電力を供給した際にアンテナから放射される電力密度がどの程度違うかを示す尺度を示す。
[数1]


[数2]


 通信改善率を高めるためには、インピーダンス整合を実現することで給電整合S11をなるべく小さくし、絶対利得Gaを大きくする必要がある。薄型および小型のシート体20でありながら、このシート体20を貼り付けるだけで、無線ICタグとのインピーダンス整合をとり、且つアンテナ放射特性(絶対利得Ga)を大きくすることが達成できている。給電整合S11からみられる帯域はまだ狭いものの自由空間に匹敵する通信改善率が見られる。また図21、図24、図25に示す結果からわかるように、共振層に設ける不連続領域の通信改善効果が大きいことも確認できた。さらなる材料や構成の検討により、通信認可帯域をカバーし、且つ高い通信改善率を有するシート体101を提供することが可能になるといえる。
 実施例13~18、比較例7~12の寸法、材料などを表4に示す。表4に記載の不連続領域40の形状は、H字状スロットであり、実施形態Bと記載している。不連続領域40の長さと幅は、H字状スロットの長さと幅を表している。
[表4]


 無線ICタグ、リーダアンテナおよびリーダは、実施例1と同じである。このとき、無線ICタグのICチップやリアクタンス装荷部と対向する位置に来るようにした。さらにその態様のまま、無線ICタグの位置をシート体に対して、相対的に位置変動させて、その配置位置の影響を確認した。表4中のタグ設置位置は、シート体の上に無線ICタグを、それらの長軸方向を平行に配置した場合のシート体の一辺を上端として、その位置から無線ICタグのアンテナ素子部分の下端部までの距離(mm)を示している。この時、無線ICタグのICチップは、シート体や補助アンテナの不連続領域に位置するように配置している。
 H字状スロットの不連続領域を有する実施形態Bでは、薄型化しても通信距離が伸びる傾向があった。これはスロット部分がICタグとの電磁エネルギの受け渡しだけではなく、電波の送受信にまで寄与している可能性があるためとみている。このように不連続領域は、ICチップとシート体(補助アンテナ)の電磁結合を強くする結合領域となるだけでなく、それ自身が電波を受けたり、放射したりするアンテナ機能を持つことが可能であった。またこのスロット部分の形状調整により、共振層の小型化が可能であった。
 またICタグを配置したシート体20を被覆材料で被覆処理を行ったところ、被覆材料の誘電率がアンテナ共振周波数に影響を与えることがあり、被覆材料の種類や厚さ等の構成が無線通信距離を調整する効果を有することが判明した。
 通信距離や通信比率より、明らかにICタグを配置する位置により通信改善結果が影響を受けることがわかったが、シート体の総厚に応じて、最適配置位置は変わっており、明確な傾向は把握できなかった。ただし、タグ配置位置を制御することで、インピーダンス整合も適正化でき、通信改善に繋がることは見出している。このように結線しなくても配置するだけで、無線ICタグが十分に信号伝達でき、通信妨害部材が近傍に存在しても通信改善できることを確認した。
 実施例17は、他の例と異なり、UPM社製Rafsec UHF Webタグ(サイズ:30mm×50mm)を用いた例である。シート体のサイズも70mm×40mmに収まり、カードサイズとして使用できるサイズである。このタグは自由空間で2.6mの通信距離であった。
 シート体を直接用いた場合とEVA樹脂で被覆したシート体を用いた場合での通信距離と通信比率を示している。結果、被覆材が通信距離に影響を与えることがわかった。そこで、同じ無線ICタグおよびシート体20を用いて、シート体20の被覆材のみをポリエステルエラストマー(0.4mm厚)に変更したところ、通信距離は1.2mまで低下した。EVA樹脂の材料定数が、953MHzで複素比誘電率の実数部(ε’)が2.4、同虚数部(ε”)が0.02で、誘電正接tanδ(=ε”/ε’)が0.01と低かったのに対し、ポリエステルエラストマーは、953MHzで複素比誘電率の実数部(ε’)が3.1、同虚数部(ε”)が0.22で、誘電正接tanδが0.07であった。誘電率の実数部も少し高いが、同虚数部が高くなっていて、これによるエネルギ損失効果の増大が通信距離の低下に繋がったと考えている。通信周波数での誘電正接tanδが0.05以下の材料を選定することが好ましい。これは被覆材だけでなく、スペーサ層の材料にも適用される。
 実施例19~27、比較例13~15の寸法、材料などを表5に示す。表5に記載の不連続領域の形状は、I字状スリットであり、実施形態Cと記載している。不連続領域の長さと幅は、I字状スリットの長さと幅を表している。
[表5]


 無線ICタグ、リーダアンテナおよびリーダは、実施例1と同じである。この時、無線ICタグのICチップやリアクタンス装荷部と対向する位置に来るようにした。さらにその態様のまま、無線ICタグの位置をシート体に対して、相対的に位置変動させて、その配置位置の影響を確認した。この位置変動により通信距離が異なる場合があり、インピーダンス整合を調整できることが判明した。
 実施例28~31、比較例16、17の寸法、材料などを表6に示す。表6に記載の不連続領域40の形状は、I型スロットであり、実施形態Aと記載している。不連続領域40の長さと幅は、I型スロットの長さと幅を表している。
[表6]


 
 無線ICタグ、リーダアンテナおよびリーダは、実施例1と同じである。この時、無線ICタグのICチップやリアクタンス装荷部と対向する位置に来るようにした。タグの配置位置は前述の例の通りである。
 結果は、被覆材を用いても、また用いなくても、無線ICタグをシート体と結線することなく配置するだけで、無線ICタグが十分に信号伝達でき、通信妨害部材が近傍に存在しても通信改善できることを確認した。
 実施例32~34の寸法、材料などを表7に示す。表7に記載の不連続領域の形状は、図22に示すようなパターン形状であり、実施形態Kと記載している。不連続領域の幅は、パターン素子の間隔を表している。また不連続領域の長さは、本実施例ではシート体の幅が対応する。
[表7]


 パターン素子の間隔などの不連続領域を有する実施形態Kでは、小型化したアンテナであるパターン素子70がそれぞれにICタグとの電磁エネルギの受け渡しを行い、通信妨害部材近傍での通信改善を実現していた。また小型・複数のパターン素子70を円形にしたり、コーナー部分にRを付与したりすることで、電波の偏波依存性が低減し、例えばICタグおよびシート体が曲げられても、どのような偏波の電波に対しても通信する能力を向上することができた。
 この実施形態では磁性体層を使用している。磁性体層はPVCにカルボニル鉄粒子を50vol.%混練することで作成し、950MHzに於ける材料定数は、複素比誘電率の実数部(ε’)が19.0、同虚数部(ε”)が0.9、複素比透磁率の実数部(μ’)が5.3、同虚数部(μ”)が1.4であった。透磁率正接tanδが0.27であるが、誘電正接tanδは0.05と低く抑えている。パターン素子と磁性体層の組合せにより、通信改善効果を得ることができた。
 本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
 前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず構成を変更することができる。たとえばシート体20または補助アンテナ35が反射層28を備えない構成としてもよい。この場合、スペーサ層33において物品25に装着される。このような構成でも、共振層27と、物品25の表面とによって補助アンテナが構成され、同様の効果が得られる。また通信周波数を953MHzとして設計した場合を示したが、これに限定されることはなく、どのような周波数にも調整することができる。また通信周波数に共振周波数を完全一致させる必要もなく、例えば、UHF帯周波数のUS帯域(911~926MHz)に周波数調節した場合にEU帯域(868~870MHz)やJP帯域(952~956MHz)でも通信できる可能性がある。なお、今回使用したリーダとしては、日本の電波法を遵守した高出力型リーダを用いている。その基準は、空中線電力が1W以下、空中線利得が6dBi以下である。このリーダの出力を増せば、通信距離は増していくことになるが、リーダの出力は、各国により基準が異なる。例えば本明細書においては、日本国内基準のリーダを用いたがために比較例となる構成であっても、大きな出力のリーダを使用可能な場合には、通信距離が増して通信可能な実施例となる場合がある。
 本発明は、無線通信改善シート体および補助アンテナの通信改善メカニズムを規定しており、この趣旨により、リーダ出力を日本国内基準よりも増した場合に於ける、より薄型で高性能な無線通信改善シート体は、本明細書では比較例として記載されていても、当然に本発明に含有することになる。
 図26は、本発明の他の実施形態であるシート体101の拡大断面図である。上記の実施形態では、第1のスペーサおよび補助アンテナに、第2のスペーサを底とする不連続領域40が設けられる構成について説明したが、第1のスペーサ102には、孔を設けず、補助アンテナ103のみに孔を設けるような構成であってもよい。
 本実施形態の製造方法としては、孔が設けられた補助アンテナ103に、孔が設けられていない第1のスペーサ102を貼り付けてもよいし、一旦、第1のスペーサ102および補助アンテナ103に孔を設けたのち、第1のスペーサ102の孔を埋めるようにしてもよい。
 上記の実施形態では、補助アンテナ103において、溝状の孔を設けた実施形態について説明したが、切り欠きを設けたものであってもよい。図27は、補助アンテナの他の例を示す平面図である。図27Aは、直線状の切り欠きSが形成された補助アンテナ103aを示す。図27Bは、短辺方向に平行な直線状の切り欠きと、長辺方向に平行な溝状の孔とが中央部分で交差するとともに、直線状の切り欠きが、孔より外側に突出しないように設けられた補助アンテナ103bを示す。
 図28は、本発明のさらに他の実施形態である無線通信用ICタグ130を示す平面図である。本実施形態の無線通信用ICタグ130では、シート体101の、配置面に無線ICタグ120を実装した構成を特徴としている。図28Aは、I字状スロットを有するシート体101の配置面に、無線ICタグ120を実装した構成であり、図28Bは、H字状スロットを有するシート体101の配置面に、無線IC120タグを実装した実施形態を示している。
 またシート体20は、少なくとも一方の表面部が、粘着性または接着性を有する構成であってもよい。この粘着性または接着性を利用して、シート体20または補助アンテナ35をタグ本体22に貼着してもよい。またその粘着性または接着性を利用してタグ21を物品25に装着してもよい。固結方法はこれらに限定されることはなく、一切の方法を用いることができる。ネジ締め等の固定治具を用いる方法や磁石を使用する方法、はめ込む方法やテープ状のもので押さえつける方法や面ファスナーを用いる方法などの取付方法が可能である。タグ21をハードカバーなどで挟み込む構成にした場合は、タグ本体22、シート体20または補助アンテナ35などは個別の粘着や接着が不要な場合もある。
 またシート体20または補助アンテナ35は、たとえば難燃剤または難燃助剤が、スペーサ層32,33などに添加されて、難燃性、準不燃性または不燃性が付与される構成であってもよい。またシート体20または補助アンテナ35の少なくとも外周の一部に難燃性または不燃性を有する材料で被覆することも可能である。たとえば携帯電話などのエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。
 無線通信用ICタグ21は、外表面の1部または全部を誘電材料で被覆することが好ましい。被覆するための誘電材料としては、たとえばハードカバーする場合と柔軟性を付与するソフトカバー場合が考えられる。ハードカバーとしては前述の各種プラスチック及び無機材料、木材等が考えられる。樹脂に無機材料等を配合したものでよい。ソフトカバーとしては、前述の熱可塑性エラストマー及び各種合成ゴムを使用する事ができる。剛性を付与できる材料を用いるのがハードカバーとなり、柔軟性を付与できる材料を用いるのがソフトカバーとなる。材料としては、誘電体材料として例示した材料やその他無機材料、紙系、木材系、土系、ガラス系、セラミックス系材料を使用することができる。これらの材料に充填材を配合したり、架橋を施したりすることは任意である。また粘着性や接着性も有していてもよい。発泡材料を用いることもできる。
 またシート体20または補助アンテナ35は、耐熱性を有していてもよい。具体的には、ゴムあるいは樹脂材料に架橋剤を添加した場合のシート体10の耐熱温度は、150℃であり、シート体20または補助アンテナ35は、少なくとも150℃を超える温度になるまでは、特性に変化を生じない。耐熱性に関しては、タグ54、シート体20、アンテナ素子23およびICチップ31の少なくとも一部をセラミックスまたは耐熱性樹脂(たとえばポリフェニレンサルファイド樹脂にSiO 2フィラーを添加したもの等)で被覆することで150℃以上にも耐性を持たせることが可能になる。セラミックス被覆の場合、完全焼結でも部分焼結でも未焼結でもよい。
 本発明のさらに他の実施形態として、無線通信システムが挙げられる。無線通信システムとしては、図29に示すように例えば複数の金属製容器131にそれぞれ無線ICタグ130を貼り付け、これらを一括してリーダ142を設置したアンテナゲート部141を通過させて、情報の読み取りや書き込みを行うようなRFID無線通信システム140を挙げることができる。また多数の金属製物品に無線ICタグ130を貼り付け、それらを順次(一定間隔を開けながら)コンベア上を流し、それらを任意の場所に設置されたアンテナゲート部にて、物流管理(入出庫管理)やトレーサビリティ管理などを行うRFID無線通信システムも構成できる。
 本発明のシート体20または補助アンテナ35を用いてICタグを実現できるが、それ以外の無線通信装置にもこの通信改善手段や通信改善方法を応用できる。無線通信装置の例としては、アンテナ、とくに金属板等の通信妨害部材の近傍で電波方式の無線通信する場合のアンテナ、またリーダ、リーダ/ライタなどがある。

産業上の利用可能性

[0007]
 本発明によれば、アンテナまたはタグ本体と通信妨害部材との間にシート体または補助アンテナが介在されるので、アンテナまたはタグ本体への通信妨害部材の影響を排除して小さく抑えることができる。しかも通信妨害体の構成が変化しても、その影響がアンテナまたはタグ本体に現れることがない。さらに補助アンテナの共振層が、独立したアンテナとして働き、通信に用いられる電磁波が到来すると、共振現象を発現する。さらに共振層にはスリットまたはスロット等から成る不連続領域が設けているため、この補助アンテナの近傍に、アンテナまたはタグ本体が設置された場合、略λ/2で共振するパッチアンテナの磁界の強い領域を利用して、補助アンテナとアンテナまたはタグ本体とが電磁的な結合を起こし、補助アンテナとアンテナまたはタグ本体間の電磁エネルギの移動が活性化する。また結線することなくアンテナまたはタグ本体の配置位置を適正化するだけで、インピーダンス整合が可能となる。これによって単に通信妨害体の影響を排除するだけでなく、補助アンテナを設けない場合と比べて、アンテナまたはタグ本体の受信(送信)電力を増加させることができる。したがって通信妨害体の近傍であっても好適に無線通信することができ、また十分な通信距離を確保することができる。このように導体層を備えるシート体(補助アンテナ)にアンテナ機能および結線不要のインピーダンス整合調整機能を持たすことによって、通信妨害部材の影響を排除して、大きな通信改善効果を得ることができる。本発明のシート体は、補助アンテナに積層されてスペーサが設けられており、共振層が通信妨害体に対して電気的に絶縁され、シート体自体が通信妨害体の影響を受けることがなく、さらにアンテナで通信に用いる電磁エネルギを補完する構造となっている。
 本発明によれば、無線ICタグを結線しないで配置することで無線ICタグの無線通信特性を改善する無線通信改善シート体である。
 本発明の無線通信改善シート体は、市販の無線ICタグを重ね合わせるだけで、被着物品の種類に依存しないで通信改善が達成できる補助アンテナである。補助アンテナと無線ICタグのICチップ間の電波信号のやりとりに導線配線、結線、ハンダ等の工程を用いずに、空間での電磁界分布を介するだけであるが、その条件下でインピーダンス整合や共振周波数調整を実現できる無線通信改善シート体である。
 第1のスペーサは、無線ICタグを結線しないで配置する配置面を有し、第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に補助アンテナが設けられる。第2のスペーサは、第1の導体層を挟んで第1のスペーサとは反対側に設けられる。
 前記補助アンテナの第1の導体層には、不連続領域が設けられることを特徴としている。
 これにより、無線ICタグのダイポールアンテナと、補助アンテナとが、不連続領域を介して電磁的に結合し、補助アンテナによる通信改善効果が発揮される。
 また本発明によれば、前記補助アンテナの第1の導体層は、単数または複数の導体素子を備え、導体素子は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層もしくは導体素子の少なくともいずれか1つが前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振することを特徴とする。
 無線通信に用いられる電磁波に対して共振することにより、補助アンテナによる無線通信が可能となり、通信改善効果が発揮される。
 また本発明によれば、前記補助アンテナの第1の導体層は、平面方向または積層方向に分割された複数の導体部分を備え、導体部分は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層、または導体部分のいずれか1つが、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振する。
 無線通信に用いられる電磁波に対して共振する共振層に任意の不連続領域を設けたり、共振層以外に導体層を有したり、複数の導体層が並ぶことにより、インピーダンス調整機能を付加できたり、無線通信帯域を広げることが可能になり、通信改善効果が発揮される。
 また本発明によれば、前記補助アンテナの第2のスペーサとは反対側に第2の導体層がさらに設けられる。これにより、無線通信改善シート体の設置位置(材料の種類も含む)の影響を小さくすることができる。
 また本発明によれば、前記補助アンテナの第2のスペーサとは反対側に第2の導体層が設けられ、その第2の導体層を、補助アンテナが備える導体層よりも大きくする。これにより、無線通信改善シート体の設置位置(材料の種類も含む)の影響をより確実に小さくすることができ、無線電波の指向性を制御できる。
 また本発明によれば、前記不連続領域の少なくとも1つは、前記無線ICタグが配置されたときに、少なくとも前記無線ICタグが備えるICチップまたはリアクタンス装荷部に対向するように設けられる。
 これにより、補助アンテナが導体材料として与える影響を小さくし、且つインピーダンス調整機能が増し、通信改善効果をさらに向上させることができる。
 また本発明によれば、前記不連続領域は、前記補助アンテナが、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振するように設けられる。
 これにより、補助アンテナによる通信改善効果をさらに向上させることができる。
 また本発明によれば、前記第1の導体層または前記不連続領域は、少なくとも一部の外郭形状が曲線状である。
 これにより、電波の入射方向に見た偏波方向に対する導体層や不連続領域等のアンテナ部分の角度位置関係に拘わらずアンテナ特性が安定する。
 また本発明によれば、外表面の1部または全部を誘電材料で被覆する。
 これにより、外部からの不要電磁波の影響や、周辺環境(水分、温度、圧力等)からの影響を小さくし、通信改善効果をさらに向上させることができる。
 また本発明によれば、前記第1のスペーサ、前記第2のスペーサ、および被覆誘電材料の少なくともいずれか1つは、非導電性であり、且つ電磁波を集めて通す低損失材層から成る。
 低損失性材料を用いることで、シート体、補助アンテナ、無線ICタグでのエネルギロスが少なくなり、通信改善効果をさらに向上させることができる。
 また本発明によれば、前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサの少なくともいずれか1つは、発泡体からなる。
 発泡体を用いることで、軽量化、薄型化したエネルギロスの少ない無線通信改善シート体を提供することができる。
 また本発明によれば、前記配置面および前記配置面と反対側の面の少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有する、または固結手段を用いることで被着体に取り付け可能である。
 これにより、無線ICタグの取り付けや、対象製品への貼り付け、固定を容易に行うことができる。
 また本発明によれば、上記の無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグを配置し、または無線通信改善シート体もしくは補助アンテナにICチップを組み込んだ無線通信用ICタグである。
 無線ICタグに無線通信改善シート体が一体化されているので、設置場所、貼り付け場所によらず、無線通信を行うことができる。
 また本発明によれば、上記の無線通信改善シート体を用いることで、通信妨害部材の近傍で無線通信が改善された電波方式アンテナを実現することができる。
 また本発明によれば、少なくとも上記の無線ICタグまたは上記のアンテナを用いることで、読み取り間違いや、読み取り不良が発生しない無線通信システムを実現することができる。

請求の範囲

[1]
 通信妨害部材の近傍で、電波方式で通信するアンテナを用いて無線通信するにあたって、無線ICタグと通信妨害部材の間に用いられ、無線ICタグを結線しないで配置することで無線ICタグの無線通信特性を改善する無線通信改善シート体であって、
 無線ICタグを結線しないで配置する配置面を有する第1のスペーサと、
 第1のスペーサの前記配置面とは反対側の面に設けられる第1の導体層を有する補助アンテナと、
 補助アンテナに、第1の導体層を挟んで、第1のスペーサとは反対側に設けられる第2のスペーサとが積層され、
 前記補助アンテナの第1の導体層には、不連続領域が設けられることを特徴とする無線通信改善シート体。
[2]
 前記補助アンテナの第1の導体層は、単数または複数の導体素子を備え、導体素子は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層、または導体素子の少なくともいずれか1つが前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振することを特徴とする請求項1記載の無線通信改善シート体。
[3]
 前記補助アンテナの第1の導体層は、平面方向または積層方向に分割された複数の導体部分を備え、導体部分は互いに絶縁関係にあり、第1の導体層、または導体部分のいずれか1つが、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振することを特徴とする請求項1記載の無線通信改善シート体。
[4]
 前記補助アンテナの前記第2のスペーサとは反対側に第2の導体層をさらに設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[5]
 前記補助アンテナの前記第2のスペーサとは反対側に第2の導体層をさらに設け、該第2の導体層が補助アンテナの備える第1の導体層よりも大きいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[6]
 前記不連続領域の少なくとも1つは、前記無線ICタグが配置されたときに、少なくとも前記無線ICタグが備えるICチップまたはリアクタンス装荷部に対向するように設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[7]
 前記不連続領域の少なくとも1つは、前記無線通信に用いられる電磁波に対して共振するように設けられることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[8]
 前記第1の導体層または前記不連続領域は、少なくとも一部の外郭形状が曲線状であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[9]
 外表面の一部または全部を誘電材料で被覆したことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[10]
 前記第1のスペーサ、前記第2のスペーサおよび被覆誘電材料の少なくともいずれか1つは、非導電性であり、且つ電磁波を集めて通す低損失材層から成ることを特徴とする請求項9に記載の無線通信改善シート体。
[11]
 前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサの少なくともいずれか1つは、発泡体からなることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[12]
 少なくともいずれか1つの面は、粘着性または接着性を有する、または固結手段を用いることで被着体に取り付け可能であることを特徴とする1~11のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体。
[13]
 請求項1~12のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体の配置面に無線ICタグを結線しないで配置した、または無線通信改善シート体にICチップを組み込んだことを特徴とする無線ICタグ。
[14]
 請求項1~12のいずれか1つに記載の無線通信改善シート体を用いたことを特徴とする電波方式のアンテナ。
[15]
 少なくとも請求項13に記載の無線ICタグまたは請求項14記載のアンテナを用いることを特徴とする無線通信システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 7C]

[ 図 7D]

[ 図 7E]

[ 図 7F]

[ 図 7G]

[ 図 7H]

[ 図 7I]

[ 図 7J]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27A]

[ 図 27B]

[ 図 28A]

[ 図 28B]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]