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1. WO2008123371 - 運動案内装置及びその製造方法

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明 細 書

発明の名称 運動案内装置及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

発明の効果

0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

図面の簡単な説明

0044   0045  

発明を実施するための最良の形態

0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25  

明 細 書

運動案内装置及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、テーブルなどの案内対象が直線又は曲線運動するのを案内するリニアガイド、スプラインなどの運動案内装置及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 テーブルなどの案内対象の直線運動や曲線運動を案内するための機械要素として、案内部分にボール、ローラなどの転動体を介在させた運動案内装置が知られている。軽快な動きが得られるので、ロボット、工作機械、半導体・液晶製造装置、医療機器などのさまざまな分野で利用されている。
[0003]
 運動案内装置の一種のリニアガイドは、ベースに取り付けられる軌道レールと、軌道レールに相対運動可能に組み付けられる移動ブロックとを有する。軌道レールには、長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される。移動ブロックには、転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、転動体を循環させる転動体循環経路が設けられる。軌道レールの転動体転走部と移動ブロックの負荷転動体転走溝との間には、転動体が介在される。軌道レールに対して移動ブロックが相対的に直線運動すると、軌道レールと移動ブロックとの間に介在された転動体が転がり運動する。
[0004]
 近年、機械要素である運動案内装置にも軽量化が望まれつつある。特に、高荷重がかからない民生用や、多間接ロボットに組み込まれる場合や、XYテーブルに組み込まれる場合などに、軽量化が望まれている。
[0005]
 運動案内装置の移動ブロックの軽量化を図った技術として、特許文献1には、図23に示すように、転動体転走部21aが形成される中子21を金型にインサートし、中子21の周囲に樹脂又はアルミニウムからなる成形体22を一体に成形した移動ブロックが開示されている。
[0006]
 特許文献2には、図24に示すように、転動体転走部31aが形成される中空ブロック31内に樹脂又はアルミニウムの充填材32を充填した移動ブロックが開示されている。
[0007]
 特許文献3には、図25に示すように、転動体転走部41aが形成される転走プレート41と、移動ブロックを相手部品に取り付けるための取付けプレート42をステンレス製とし、これらのプレート41,42に樹脂の成形体43を一体に成形した移動ブロックが開示されている。
特許文献1 : 特許第3550208号公報
特許文献2 : 特開平8-326747号公報
特許文献3 : 特公平7-18448号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0008]
 ところで、一つの移動ブロックをその内部の機能に着目すると、以下の三つの部分に区分けすることができる。一つは、転動体が転がり運動する転動体転走部である。強度が必要になるので、熱処理できる鋼材から製造される。二つ目は、相手部品に取り付けられる取付け面である。相手部品の荷重を受けるので、ある程度の強度は必要になるが、転動体が転がり運動するわけではないので、熱処理をする必要はない。三つ目は、転動体を循環させる転動体戻し通路である。転動体が通過するだけであるので、前二者ほど強度が必要なく、形状だけ作れればよい。
[0009]
 上記三つの部分に着目すると、従来の軽量化を図った移動ブロックには以下の問題点がある。特許文献1に記載の移動ブロックにあっては、取付け面及び転動体戻し通路の両方が樹脂製又はアルミニウム製である。しかし、樹脂製にしたときには、取付け面の強度が不足するし、取付け面及び転動体戻し通路をアルミニウム製にしたときには、ある程度の軽量化は図れるものの、量産性が低くなる。また特許文献2及び3に記載の移動ブロックにあっては、取付け面が転動体転走部と同じ鋼材であるので、十分な軽量化が図れない。
[0010]
 つまり、いずれの移動ブロックにあっても、三つの部分を二つの材料から製造している。それゆえ、三つの部分のうちの二つの部分が同じ材料になる。軽量化を図ろうとした場合には強度が十分であるとはいえなくなるし、強度を保とうとしたら軽量化が不十分になる。
[0011]
 そこで本発明は、強度と軽量化を両立させ、さらには量産性も優れた運動案内装置及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012]
 以下、本発明について説明する。
 上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部を有すると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻し通路を含む転動体循環経路を有する移動ブロックと、前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、前記移動ブロックは、前記負荷転動体転走部を有する鋼製の転動部分と、前記転動体戻し通路を有する樹脂製の戻し部分と、前記転動部分に結合されると共に、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための取付け面を有し、前記転動部分よりも比重が小さく、前記戻し部分よりも剛性のある材質でできた取付け部分と、を含む運動案内装置である。
[0013]
 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運動案内装置において、前記取付け部分は、複数のボルト又は接着剤によって前記転動部分に結合されることを特徴とする。
[0014]
 請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動案内装置において、前記戻し部分は、前記転動部分及び前記取付け部分に一体に樹脂成形されることを特徴とする。
[0015]
 請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の運動案内装置において、前記取付け部分は、複数のボルトによって前記転動部分に結合され、前記移動ブロックの平面図において、前記取付け部分の前記取付け面には、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための複数の取付けねじが、前記移動ブロックの進行方向の中心線から左右対称に配列され、前記転動部分と前記取付け部分とを結合する前記複数のボルトは、前記複数の取付けねじに近づくように、前記移動ブロックの進行方向の中心線から左右対称に配列されることを特徴とする。
[0016]
 請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動案内装置において、前記転動部分は、前記軌道部材の上面に対向する中央部と、前記軌道部材の側面に対向して前記中央部の幅方向の両側から垂れ下がる一対の脚部と、を有し、前記脚部の基部は、前記脚部の先端部よりも肉が厚いことを特徴とする。
[0017]
 請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動案内装置において、前記取付け部分には、前記移動ブロックの進行方向に伸びる貫通孔が開けられ、前記貫通孔内に前記戻し部分の少なくとも一部が設けられることを特徴とする。
[0018]
 請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動案内装置において、前記取付け部分は、アルミニウム製、アルミニウム合金製、セラミックス製又はFRP製であることを特徴とする。
[0019]
 請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の運動案内装置において、前記取付け部分は、複数のボルトによって前記転動部分に結合され、前記運動案内装置はさらに、互いに接触する前記取付け部分と前記転動部分の接合面を水平面内に配置した状態で、前記軌道部材の長手方向からみて、前記取付け部分が前記転動部分に対して左右方向にずれるのを防止する位置ずれ防止手段を含むことを特徴とする。
[0020]
 請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の運動案内装置において、前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分及び前記転動部分の接合面の少なくも一方に設けられる接着溝と、この接着溝に充填される接着剤と、を有することを特徴とする。
[0021]
 請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の運動案内装置において、前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分及び前記転動部分のそれぞれの接合面に位置を合わせて設けられる孔と、これらの孔に嵌められるピンと、を有することを特徴とする。
[0022]
 請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の運動案内装置において、前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分の接合面から垂直方向に張り出し、前記転動部分の側面に当接する突き当て部を有することを特徴とする。
[0023]
 請求項12に記載の発明は、請求項3に記載の運動案内装置において、前記戻し部分に接合される前記取付け部分の樹脂接合面には、成型後の樹脂の収縮によって前記樹脂接合面と前記戻し部分との間にすきまが空くのを防止できるように、成型時に樹脂が流れ込む溝が設けられることを特徴とする。
[0024]
 請求項13に記載の発明は、転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部を有すると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻し通路を含む転動体循環経路を有する移動ブロックと、前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置の製造方法において、前記負荷転動体転走部を有する鋼製の転動部分に、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための取付け面を有して、前記転動部分よりも比重が小さく、前記転動体戻し通路を有する樹脂製の転動体戻し部分よりも剛性のある材質でできた取付け部分を結合する第一の結合工程と、前記転動体戻し通路を有する樹脂製の戻し部分を、前記転動部分及び前記取付け部分に結合する第二の結合工程と、を備える運動案内装置の製造方法である。
[0025]
 請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の運動案内装置の製造方法の前記第一の結合工程において、複数のボルト又は接着剤を用いて、前記転動部分に前記取付け部分を結合することを特徴とする。
[0026]
 請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の運動案内装置の製造方法の前記第二の結合工程において、前記転動部分及び前記取付け部分を中子として金型にインサートし、金型に樹脂を射出成形することで、樹脂製の前記戻し部分を前記転動部分及び前記取付け部分に一体に樹脂成形することを特徴とする。
[0027]
 請求項16に記載の発明は、請求項13又は14に記載の運動案内装置の製造方法において、前記運動案内装置の製造方法はさらに、前記取付け部分を前記転動部分に結合する前記第一の結合工程の後、前記転動部分の前記負荷転動体転走部を研削加工する転走部仕上げ工程を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0028]
 請求項1に記載の発明によれば、移動ブロックの転動体転走部を有する転動部分に熱処理が可能な鋼材を使用し、相手部品に取り付けるための取付け面を有する取付け部分(熱処理の必要ない部分)に鋼よりも比重の小さい材料を使用し、形状だけを形作ればよい戻し部分に樹脂を使用している。強度・比重の異なる三つの材料を移動ブロックの適切な場所に配置するので、強度と軽量化を両立させた移動ブロックが得られる。
[0029]
 請求項2に記載の発明によれば、鋼製の転動部分を金型にインサートし、金属製の取付け部分をダイカストするダイカスト法を用いなくても、転動部分と取付け部分とを結合することができる。ダイカスト法を用いると、転動部分の負荷転動体転走部の熱処理が困難になる。なぜならば、転動部分の負荷転動体転走部を熱処理した後、取付け部分をダイカストすると、ダイカストによって熱処理された転動部分の負荷転動体転走部がなまる。逆に、取付け部分をダイカストした後、転動部分の負荷転動体転走溝を熱処理すると、ダイカストされた取付け部分が熱処理によって溶融する。
[0030]
 請求項3に記載の発明によれば、戻し部分を転動部分及び取付け部分に一体に結合することができる。なお、樹脂成形においてはダイカストほど成形温度が高くならないので、転動部分及び取付け部分をインサートしても、熱処理された転動部分の負荷転動体転走部がなまることはない。
[0031]
 請求項4に記載の発明によれば、転動部分と取付け部分とを結合するボルトの位置と、相手部品を取付け部分に取り付けるための取付けねじの位置が近いので、移動ブロックを軌道部材から上方向に引っ張ろうとする逆ラジアル荷重がかかったとき、取付け部分が変形するのを防止することができる。
[0032]
 請求項5に記載の発明によれば、移動ブロックを軌道部材に押し付けるラジアル荷重や、軌道部材から移動ブロックを引っ張ろうとする逆ラジアル荷重がかかったとしても、転動部分の脚部が変形するのを防止することができる。
[0033]
 請求項6に記載の発明によれば、より比重の大きい取付け部分に貫通孔を開け、貫通孔内に戻し部分の少なくとも一部を設けているので、移動ブロックをより軽量化することができる。
[0034]
 請求項7に記載の発明によれば、鋼材と樹脂の中間の比重・強度を持つ金属が得られる。
[0035]
 請求項8に記載の発明によれば、移動ブロックにかかる水平方向の荷重を受けても取付け部分と転動部分がずれるのを防止することができる。運動案内装置の移動ブロックには、ラジアル方向(垂直上方向)及び逆ラジアル方向(垂直下方向)の荷重だけでなく、水平方向の荷重もかかる。ボルトの座面の摩擦力だけで移動ブロックにかかる水平方向の荷重を受ける場合に比べ、製品の安全性を向上させることができる。
[0036]
 請求項9に記載の発明によれば、取付け部分と転動部分とをせん断強度が高い接着剤で接着することで、これらがずれるのを防止することができる。接着剤自体の強度や接着面積を適宜設定することで、強度(ずれに対する抵抗力)を確保することができる。
[0037]
 請求項10に記載の発明によれば、取付け部分と転動部分との間にピンを介在させることで、ピンのせん断力を利用してこれらがずれるのを防止することができる。孔の径やピンの径を適宜設定することで、強度(ずれに対する抵抗力)を確保することができる。
[0038]
 請求項11に記載の発明によれば、取付け部分に転動部分に当接する突き当て部を設けるので、これらがずれるのを防止することができる。突き当て部の寸法を適宜設定することで、突き当て部のせん断強度及び曲げ強度を確保することができる。また、接着剤やピンで結合する場合に比べて、加工工数を少なくすることができるので、製造が容易になる。
[0039]
 請求項12に記載の発明によれば、成型後の樹脂の収縮によって、取付け部分と戻し部分との間にすきまが空くのを防止でき、転動体戻し通路の位置がずれるのを防止することができる。
[0040]
 請求項13に記載の発明によれば、強度・比重の異なる三つの材料を移動ブロックの適切な場所に配置するので、強度と軽量化を両立させた移動ブロックが得られる。
[0041]
 請求項14に記載の発明によれば、熱処理が困難になるダイカスト法を用いなくても、転動部分と取付け部分とを結合することができる。
[0042]
 請求項15に記載の発明によれば、戻し部分を転動部分及び取付け部分に一体に結合することができる。なお、樹脂成形においてはダイカストほど成形温度が高くならないので、転動部分及び取付け部分をインサートしても、熱処理された転動部分の負荷転動体転走部がなまることはない。
[0043]
 請求項16に記載の発明によれば、相手部品に取り付けられる取付け部分を基準にして、負荷転動体転走部を正確な位置に形成することができる。

図面の簡単な説明

[0044]
[図1] 本発明の第一の実施形態における運動案内装置の斜視図(一部断面図を含む)
[図2] 軌道レールの斜視図
[図3] 移動ブロックの側面図(一部断面図を含む)
[図4] 移動ブロックの斜視図(図中(A)は第一の実施形態の移動ブロックを示し、図中(B)は第二の実施形態の移動ブロックを示す)
[図5] 転動部分を取付け部分に結合した状態を示す側面図
[図6] 本発明の第二の実施形態における運動案内装置の斜視図(一部断面図を含む)
[図7] 運動案内装置の正面図(エンドプレートを取り外した状態)
[図8] 転動部分の斜視図
[図9] 取付け部分の斜視図
[図10] 戻し部分の分割ピースの斜視図
[図11] 戻し部分の分割ピースの斜視図
[図12] 転動部分と取付け部分をボルトで結合した状態を示す側面図
[図13] 戻し部分を転動部分及び取付け部分に組み込んだ状態を示す斜視図
[図14] 本発明の第三の実施形態の運動案内装置を示す斜視図(一部断面図を示す)
[図15] 本発明の第四の実施形態の運動案内装置を示す斜視図(一部断面図を示す)
[図16] 第四の実施形態の運動案内装置の正面図(エンドプレートを取り外した状態)
[図17] 取付け部分と転動部分を示す図
[図18] 位置ずれ防止手段の他の例を示す図(取付け部分と転動部分を反転させた状態)
[図19] 位置ずれ防止手段のさらに他の例を示す図(取付け部分と転動部分を反転させた状態)
[図20] 取付け部分及び転動部分の詳細図
[図21] 取付け部分及び転動部分に戻し部分を樹脂成型した状態を示す図
[図22] 溝の他の例を示す図(取付け部分及び転動部分に戻し部分を樹脂成型した状態を示す図)
[図23] 従来の運動案内装置を示す断面図
[図24] 従来の運動案内装置を示す断面図
[図25] 従来の運動案内装置を示す断面図

符号の説明

[0045]
1…軌道レール(軌道部材)
1a…ボール転走溝(転動体転走部)
2…移動ブロック
3…ボール(転動体)
8…転動部分
8a…中央部
8b…脚部
8c…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部)
8e…ねじ部
8f…接合面
8g…孔(位置ずれ防止手段)
9…取付け部分
9a…取付け面
9b…座ぐり孔
9d…貫通孔
9i…接着溝(位置ずれ防止手段)
9h…接合面
9j…孔(位置ずれ防止手段)
10…戻し部分
10a…ボール戻し通路(転動体戻し通路)
12…ボルト
16…突き当て部(位置ずれ防止手段)
17…接着剤(位置ずれ防止手段)
18…ピン(位置ずれ防止手段)
19…取付け部分の樹脂接合面
20…樹脂が流れ込む溝

発明を実施するための最良の形態

[0046]
 図1は、本発明の第一の実施形態における運動案内装置の斜視図を示す。この運動案内装置は、軌道部材である軌道レール1と、軌道レール1に沿ってスライドする移動ブロック2と、を備える。軌道レール1がベースに取り付けられ、移動ブロック2が案内対象である相手部品に取り付けられる。軌道レール1と移動ブロック2との間には、転動体であるボール3が転がり運動可能に介在される。
[0047]
 図2は、中空の軌道レール1を示す。軌道レール1は異形断面であり、細長く直線状に伸びる。軌道レール1の上面の左右両端部には、転動体転走部として、長手方向に伸びる例えば二条のボール転走溝1aが加工される。軌道レール1の左右両側面の上端部にも、転動体転走部として、長手方向に伸びる例えば二条のボール転走溝1aが加工される。すなわち、この実施形態では合計四条のボール転走溝1aがある。ボール転走溝1aの断面形状は単一の円弧からなるサーキュラーアーチ溝形状であるか、又は二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状である。ボール転走溝1aの条数、ボール転走溝1aとボール3との接触角などは、運動案内装置の負荷荷重に応じてさまざまに設定される。ボール3が転がり運動するので、ボール転走溝1aは表面粗さが小さくかつ強度が強くなるように加工される。中空の軌道レール1の上部プレート1c及び下部プレート1dには、軌道レール1をベースに固定するための取付け孔1eが開けられる。上部プレート1cに開けられる孔の径は、軌道レール1をベースに取り付けるためのボルトの頭部の径よりもわずかに大きい。下部プレート1dに開けられる孔の径は、ボルトの頭部の径よりも小さく、ボルトのねじ部の径よりも大きい。
[0048]
 軌道レール1の製造方法について説明する。まず、熱間押出しされた丸い又は角のあるパイプを用意する。パイプの材質は、炭素鋼、クロム鋼、又はステンレス鋼などの鋼である。そして、パイプの肉厚を調整したり、表面の欠陥を除去したりするために、パイプをダイスに通す引き抜きを加工する。次に、パイプを異形ダイスに通す異形引き抜きをする
。異形引き抜きによって、丸又は多角形のパイプの断面形状が軌道レール1の断面形状に塑性変形する。この異形引き抜きと同時に軌道レール1のボール転走溝1aが加工される。次に、ボール転走溝1aの焼き入れをする。焼き入れ後、軌道レール1の曲がりを矯正し、軌道レール1の上部プレート1c及び下部プレート1dに取付け孔を開ける。最後にボール転走溝1aを研削加工する。
[0049]
 図1に示されるように、軌道レール1には移動ブロック2が組み付けられる。移動ブロック2は、その全体が鞍形状に形成され、移動ブロック本体6と、移動ブロック本体6の移動方向の両端部それぞれに設けられる樹脂製のエンドプレート13と、から構成される。図1には、手前側のエンドプレート13を取り外した状態が示されている。
[0050]
 図3は、軌道レール1の軸方向からみた移動ブロック本体6の側面図を示す(一部断面を含む)。移動ブロック本体6は三つの部分から、すなわち、負荷転動体転走部である負荷ボール転走溝が加工される鋼製の転動部分8と、移動ブロック2を相手部品に取り付けるための取付け面を有するアルミニウム製の取付け部分9と、転動体戻し通路であるボール戻し通路10aが加工される樹脂製の戻し部分10と、から構成される。
[0051]
 転動部分8は、炭素鋼、クロム鋼、又はステンレス鋼などの鋼製である。転動部分8は、軌道レール1の上面に対向する中央部8aと、軌道レール1の側面に対応して中央部8aの幅方向の両側から垂れ下がる一対の脚部8bと、を有する。脚部8bの基部は先端部よりも肉厚に形成される。C形形状の転動部分8の内側には、負荷転動体転走部として、軌道レール1のボール転走溝1aに対向する合計四条の負荷ボール転走溝8cが形成される。転動部分8の中央部に二条の負荷ボール転走溝8cが形成され、一対の脚部それぞれに一条の負荷ボール転走溝8cが形成される。ボール3が転がり運動するので、負荷ボール転走溝8cは表面粗さが小さくかつ強度が大きくなるように加工される。転動部分8の中央部8aには、取付け部分9を転動部分8に取り付けるためのボルト12(図1参照)が螺合するねじ部が加工される。取付け部分9には、ボルト12が挿入される座ぐり孔9bが加工される。また、転動部分8の脚部の両端面には、エンドプレート13を転動部分8に取り付けるためのねじ部8dが加工される。
[0052]
 取付け部分9は、アルミニウム製である。取付け部分9の形状は、一枚の板のような非常に簡素化した形状である。取付け部分9の上面は、移動ブロック2を相手部品に取り付けるための取付け面9aになる。取付け部分9の上面には、移動ブロック2を相手部品に取り付けるためのボルトが螺合する複数の取付けねじ9cが加工される。取付けねじ9cは移動ブロック2を上下方向に貫通する。また取付け部分9には、座ぐり孔9b(図1参照)が加工される。座ぐり孔9bには、転動部分8を取付け部分9に結合するためのボルト12が挿入される。また取付け部分9には、移動ブロック2の進行方向に伸びる貫通孔9dが開けられる。この貫通孔9d内に樹脂製の戻し部分10の一部が設けられる。
[0053]
 図4(A)に示すように、取付け部分9の取付け面には、四つの取付けねじ9cが移動ブロック2の中心線から左右対称に配列される。四つの取付けねじ9cは、移動ブロック2の中心線からずれた位置に配列される。また、ボルト12が挿入される四つの座ぐり孔9bも、移動ブロック2の中心線から左右対称に配列される。座ぐり孔9bの位置は、図4(B)に示すように、移動ブロック2の進行方向の中心線上ではなく、図4(A)に示すように、取付けねじ9cの位置に近くに配置される(この実施形態では、移動ブロック2の中心線から左右方向の同じ距離に、取付けねじ9c及び座ぐり孔9bがある)。
[0054]
 図4(B)に示すように、座ぐり孔9bの位置を移動ブロック2の中心線上に配置すると、図中矢印で示す逆ラジアル荷重を負荷する際、取付け部分9が引っ張られるので、取付け部分9の幅方向の端部が変形する。取付け部分9が引っ張られる箇所である取付けねじ9cの位置と、ボルトが挿入される座ぐり孔9bの位置とを近づけることで、取付け部分9の変形を小さくすることができる。
[0055]
 戻し部分10は、トレカなどの樹脂製である。戻し部分10は、転動部分8や取付け部分9ほど、強度も精度も要求されず、形状を作ることができればよい。図3に示されるように、戻し部分10には、負荷ボール転走溝8cと平行に直線状に伸びる転動体戻し通路であるボール戻し通路10aが形成される。戻し部分10には、負荷ボール転走溝8cと等しい数の四条のボール戻し通路10aが形成される。四条のボール戻し通路10aのうち、上側の二条のボール戻し通路10aが、取付け部分9の貫通孔の内部に形成され、下側の二条が戻し部分10単独の内部に形成される。ボール戻し通路10aの直径はボール3の直径よりも大きいので、ボール戻し通路10aではボール3が荷重を受けることがない。後続のボール3に押されながらボール3はボール戻し通路10aを移動する。平行に伸びる負荷ボール転走溝8cとボール戻し通路10aとは、U字状の方向転換路で接続される。方向転換路の内周側10bも戻し部分10に形成される。方向転換路の外周側はエンドプレート13に形成される。
[0056]
 図1に示されるように、負荷ボール転走溝8c、ボール戻し通路10a、U字状の方向転換路で構成されるサーキット状のボール循環経路に、複数のボール3が配列される。複数のボール3は帯状のリテーナ7によって一連に保持される。リテーナ7は、隣り合うボール3同士の接触を防止するための複数のスペーサ7aと、複数のスペーサ7aを連結する帯状の連結部7bと、から構成される。戻し部分10には、リテーナ7の連結部7bを案内するための案内溝10c(図3参照)が形成される。
[0057]
 移動ブロック2を軌道レール1に対して相対的に移動させると、これらの間に介在される複数のボール3が転がり運動する。移動ブロック2の負荷ボール転走溝8cの一端まで転がったボール3は、エンドプレート13の掬上げ部でU字状の方向転換路内に掬い上げられる。方向転換路で進行方向が反転したボール3は、ボール戻し通路10aに入る。ボール戻し通路10aを通過したボール3は、反対側の方向転換路を経由した後、再び軌道レール1と移動ブロック2との間に入る。
[0058]
 移動ブロック本体6は、以下の工程を経て製造する。まず、引き抜き加工又は切削加工によって、転動部分8の形状を作る。転動部分8の形状を作るのと同時に、転動部分8に負荷ボール転走溝8cが加工される。次に、転動部分8の中央部8a及び脚部8bにねじ部8dを加工する。そして、転動部分8を焼き入れする。熱処理をすると、転動部分8がひずむので、歪を研削加工で除去する。
[0059]
 取付け部分9は、アルミニウムの押出し成形によって形状が作られる。押出し成形だけだと形状の精度が落ちるので、押出し成形した後に、外形を切削加工する。取付け面9aは、相手部品に取り付けられる面であるし、負荷ボール転走溝8cの基準面になったりするので、精度よく切削加工される。強度を上げるために、取付け部分9の表面をアルマイト処理してもよい。
[0060]
 転動部分8の歪を除去した後、図5に示されるように、転動部分8をボルト12によって取付け部分9に結合する。転動部分8と取付け部分9をボルト12で結合することで、転動部分8と取付け部分9との結合にダイカスト法を用いなくてすむ。ダイカスト法を用いると、転動部分8の負荷ボール転走溝8cの熱処理が困難になる。なぜならば、転動部分8の負荷ボール転走溝8cを熱処理した後、取付け部分9をダイカストすると、200℃になる溶融金属の温度によって、熱処理された転動部分8の負荷ボール転走溝8cがなまる。逆に、取付け部分9をダイカストした後、転動部分8の負荷ボール転走溝8cを熱処理すると、1100℃~1200℃になる熱処理温度によってダイカストされた取付け部分9が溶融するからである。
[0061]
 転動部分8を取付け部分9に結合した後、再度転動部分8の負荷ボール転走溝8cを研削加工する。取付け部分9の取付け面を基準にして、転動部分8の負荷ボール転走溝8cを加工することができる。
[0062]
 転動部分8を取付け部分9に結合した後、これらを金型にインサートする。その後、金型に樹脂を射出成形して、戻し部分10を転動部分8及び取付け部分9に一体に結合する。戻し部分10は複雑な形状となるが、樹脂を金型に流し込むことで容易に製造することができる。樹脂成形の成形温度は100℃以下であるので、熱処理された転動部分8の負荷ボール転走溝8cがなまることはない。
[0063]
 鋼は剛性があり焼入れできるというメリットがあるが、比重が重いというデメリットがある。樹脂は軽くて成形し易いというメリットがある反面、剛性が弱くて変形し易いというデメリットがある。アルミニウムは剛性、比重の面で鋼と樹脂の中間の性質をもつ。本実施形態の移動ブロック2においては、これら三つの材料を適材適所に用いるので、負荷を受けつつ精度よく動くという運動案内装置の特徴を残しつつ、軽量化も図ることが可能になる。例えば鋼製の移動ブロックに比べて、剛性をそれほど落とさずに40%程度質量を低減することが可能になる。
[0064]
 図6及び図7は、本発明の第二の実施形態の運動案内装置を示す。図6は運動案内装置の斜視図を示し、図7は運動案内装置の正面図(エンドプレート13を取り外した状態)を示す。軌道レール1、リテーナ7に保持された複数のボール3、移動ブロック本体6の両端面それぞれに設けられるエンドプレート13の構成は、上記第一の実施形態の運動案内装置と同一であるので同一の符号を附してその説明を省略する。
[0065]
 移動ブロック本体6は、負荷ボール転走溝8cが加工される転動部分8と、取付け面9aを有する取付け部分9と、ボール戻し通路10aが形成される戻し部分10と、から構成される。
[0066]
 図8は転動部分の斜視図を示す。転動部分8は、鋼製で断面コ字形状に形成される。この実施形態の転動部分8は、第一の実施形態の転動部分8よりも薄肉に形成される。転動部分8の内側には、四条の負荷ボール転走溝8cが加工される。転動部分8の中央部8aの中心線上には複数のねじ部8eが加工される。このねじ部8eに、取付け部分9を転動部分8に取り付けるためのボルトが螺合する。転動部分8の製造工程は上記実施形態の転動部分8と同一である。
[0067]
 図9は取付け部分9の斜視図を示す。取付け部分9はアルミニウム製である。上記実施形態の取付け部分9と異なり、取付け部分9は板状の中央部9fと、中央部9fの幅方向の両端部から下方向に垂れ下がる一対の脚部9eと、から構成される。取付け部分9の下部には、転動部分8が挿入される溝9gが形成される。取付け部分9の上面には、移動ブロック2を相手部品に取り付けるための取付けねじ9cが加工され、取付け部分9を転動部分8に取り付けるための座ぐり孔9bが加工される。座ぐり孔9bは取付け部分9の中心線上に並べて配置される。取付け部分9の製造工程は上記実施形態の取付け部分9と同一である。
[0068]
 図10及び図11は、樹脂製の戻し部分10を示す。この実施形態の戻し部分10は、移動ブロック2の進行方向に二分割された分割ピース14からなる。各分割ピース14には、ボール戻し通路10a、及び方向転換路の内周側10bが形成される。各分割ピース14には、相手側の分割ピース14と位置決めするための、凹凸形状の位置決め部14a,14bが形成される。
[0069]
 図12は、転動部分8と取付け部分9をボルト12で結合した状態を示す。この後、図13に示されるように、分割ピース14を転動部分8及び取付け部分9に挿入し、ねじで分割ピース14をこれらに固定する。次に、残りの分割ピース14を反対側から挿入し、相手側の分割ピースと位置決めした後、ねじで残りの分割ピース14を転動部分8及び取付け部分9に固定する。この実施形態のように、樹脂製の戻し部分10は、インサート成形でなく、転動部分8及び取付け部分9に組み込まれてもよい。
[0070]
 図14は、本発明の第三の実施形態の運動案内装置を示す。この実施形態では、取付け部分9の座ぐり孔9bの位置、及び転動部分8のねじ部8eの位置が上記第一の実施形態と相違する。その他の構成は、第一の実施形態の運動案内装置と同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。この実施形態では、四つの取付け部分9の座ぐり孔9bのうち、二箇所の座ぐり孔9bが移動ブロック2の中心線上に配置される。残りの二つの座ぐり孔9bが移動ブロック2の中心線から一定の間隔を開けて配置されている。転動部分8のねじ部8eの位置は、取付け部分9の座ぐり孔9bの位置に対応する。この実施形態のように、取付け部分9の座ぐり孔9bの位置、及び転動部分8のねじ部8eの位置は様々に変更することが可能である。
[0071]
 図15及び図16は、本発明の第四の実施形態の運動案内装置を示す。図15は、運動案内装置の斜視図を示し、図16は、正面図を示す。いずれの図においても、エンドプレート13が取り外された状態が示されている。この実施形態では、取付け部分9には、軌道レール1の長手方向からみて、取付け部分9が転動部分8に対して、左右方向にずれるのを防止する位置ずれ防止手段である突き当て部16が設けられる。
[0072]
 図1に示される第一の実施形態の運動案内装置においては、取付け部分9は加工性を向上させるためにプレート状に形成される。プレート状の取付け部分9の下面には、ボルト結合された転動部分8が設けられる。移動ブロック2には、ラジアル方向(垂直上方向)及び逆ラジアル方向(垂直下方向)の荷重だけでなく、水平方向の荷重もかかる。水平方向の荷重が大きい場合、ボルト12の座面の摩擦力だけで水平方向の荷重を受けるのが困難な場合もある。このため、この実施形態では、取付け部分9と転動部分8を水平方向に拘束する突き当て部16を設けている。
[0073]
 図16に示されるように、軌道レール1の長手方向からみた取付け部分9の左右方向の端部には、取付け部分9と転動部分8との接合面9hから垂直方向に張り出す突き当て部16が設けられる。転動部分8は、軌道レール1の上面に対向する中央部8aと、中央部8aの左右方向の端部から垂れ下がる一対の脚部8bとを有する(図15参照)。転動部分8の中央部8aの上面が取付け部分9との接合面8fになる。突き当て部16は、転動部分8の側面に当接する。突き当て部16は、取付け部分9と転動部分8の接合面8f,9hを水平面内に配置した状態で、軌道レール1の長手方向からみて、取付け部分9が転動部分8に対して左右方向にずれるのを防止する。
[0074]
 図17は、軌道レール1の長手方向からみた取付け部分9と転動部分8を示す。突き当て部16を設けることで、取付け部分9に対して転動部分8が左右方向にずれるのを防止することができる。ずれに対する抵抗力は、突き当て部16自体のせん断、曲げ強度によって決定される。突き当て部16の寸法を適宜設定することで、ずれに対する抵抗力を確保することができる。
[0075]
 転動部分8を取付け部分9に嵌めるために、一対の突き当て部16の内法を転動部分8の外法よりも僅かに大きくすると、突き当て部16と転動部分8との間には僅かなすきまが空く。通常の運動案内装置では、軌道レール1が二本平行に並べて使用される(所謂二軸で使用される)ことが多く、移動ブロック2にも左右方向のいずれか一方向の荷重しかかからない場合が多い。このため、現実的には、転動部分8を一方の突き当て部16にのみ突き当て、残りの突き当て部16との間にはすきまが空いてもよい。ただし、運動案内装置を一軸で使用する場合など、移動ブロック2に左右方向の荷重がかかるときは、転動部分8を一対の突き当て部間に圧入するか、すきまを接着剤で充填するのが望ましい。
[0076]
 図18は、位置ずれ防止手段の他の例を示す。この図18には、取付け部分9と転動部分8を反転させ、かつ転動部分8を断面にした状態が示されている。取付け部分9の接合面9hには、所定の面積を有する接着溝9iが加工される。接着溝9iには、取付け部分9と転動部分8を接着する接着剤17が充填される。接着剤17は、せん断強度が高い。接着剤17自体の強度や接着面積を適宜設定することで、ずれに対する抵抗力を確保することができる。
[0077]
 図19は、位置ずれ防止手段のさらに他の例を示す。取付け部分9及び転動部分8のそれぞれの接合面8f,9hには、位置を合わせて孔8g,9jが開けられる。これらの孔8g,9jには、共通のピン18が嵌められる。取付け部分9と転動部分8との間に共通のピン18を介在させることで、これらがずれるのを防止することができる。孔8g,9jの径やピン18の径を適宜設定することで、ずれに対する抵抗力を確保することができる。抵抗力は、ピン18のせん断力や、剛性の低い取付け部分9の孔9jの許容面圧によって決定される。
[0078]
 図20は、取付け部分9及び転動部分8の詳細図を示す。取付け部分9の突き当て部16の下面である樹脂接合面19には、成型時に樹脂が流れ込む溝20が加工される。取付け部分9と転動部分8とをボルト結合した後、これらには樹脂製の戻し部分10が一体にインサート成型される。樹脂は成型後に収縮する。樹脂の収縮は、物理現象であり、樹脂のひけと呼ばれる。戻し部分10には、転動体戻し通路であるボール戻し通路10aが形成される。樹脂が収縮すると、成型後のボール戻し通路10aの位置がずれてくる。移動ブロック2の端面に取り付けられるエンドプレート13には、ボール戻し通路10aに繋がる方向転換路が形成されているので、ボール戻し通路10aの位置がずれると、ボール3の循環に影響が出たり、エンドプレート13との嵌め合いが上手くいかなかったりする。実際に取付け部分9の樹脂接合面19をフラットにし、樹脂成型したところ、樹脂接合面19と戻し部分10との間にすきまが発生し、ボール戻し通路10aも下方向に変位した。全体的に、転動部分8の脚部の外側面に沿って斜め下方向に変位しているようであった。これは、樹脂の割合が多い方(樹脂の重心)に向かって、成型後に樹脂が収縮するのが原因だと思われる。
[0079]
 そこで、この実施形態では、取付け部分9の樹脂接合面19に、成型時に樹脂が流れ込む溝20を設け、溝20との引っ掛かりによって樹脂が下方向に引っ張られるのを抑える。図21に示されるように、実際に溝20を加工し、戻し部分10を樹脂成型したところ、樹脂の収縮によって取付け部分9と戻し部分10との間にすきまが空くのを防止でき、またボール戻し通路10aの位置がずれるのを防止することができた。
[0080]
 図22は、取付け部分9の樹脂接合面に設けられる溝20の他の例を示す。この例の溝20は、蟻溝形状に形成される。溝20には、成型後に樹脂が下方向に引っ張られたときに、樹脂を拘束しようとする引っ掛かりが設けられればよい。
[0081]
 なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施形態においては、取付け部分を転動部分にボルト結合によって一体に結合しているが、転動部分を中子としたダイカストによって取付け部分を転動部分に一体に結合することもできる。ただし、転動体転走部の熱処理の問題や、取付け面の精度の問題や、巣ができ易いという問題に留意する必要がある。
[0082]
 また、取付け部分の材料をアルミニウムの替わりに、アルミニウム合金又はセラミックスにすることもできる。
[0083]
 さらに、転動部分と取付け部分とをボルトで結合する替わりに、接着剤で結合してもよい。
[0084]
 さらに、移動ブロック本体、軌道レールの転動体転走部の配置・構造は種々変更可能であり、転動体として、ボールの替わりにローラを用いることも可能である。
[0085]
 さらに上記実施形態では、運動案内装置として、案内対象の直線運動を案内するリニアガイドを使用した例について説明したが、本発明は曲線運動を案内する曲線運動案内装置に適用することができるほか、ボールスプライン、ローラスプラインにも適用できる。
[0086]
 本明細書は、2007年3月29日出願の特願2007-089736、および2007年9月14日出願の特願2007-240124に基づく。この内容はすべてここに含めておく。

請求の範囲

[1]
 転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部を有すると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻し通路を含む転動体循環経路を有する移動ブロックと、前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、
 前記移動ブロックは、
 前記負荷転動体転走部を有する鋼製の転動部分と、
 前記転動体戻し通路を有する樹脂製の戻し部分と、
 前記転動部分に結合されると共に、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための取付け面を有し、前記転動部分よりも比重が小さく、前記戻し部分よりも剛性のある材質でできた取付け部分と、
 を含む運動案内装置。
[2]
 前記取付け部分は、複数のボルト又は接着剤によって前記転動部分に結合されることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
[3]
 前記戻し部分は、前記転動部分及び前記取付け部分に一体に樹脂成形されることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
[4]
 前記取付け部分は、複数のボルトによって前記転動部分に結合され、
 前記移動ブロックの平面図において、
 前記取付け部分の前記取付け面には、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための複数の取付けねじが、前記移動ブロックの進行方向の中心線から左右対称に配列され、
 前記転動部分と前記取付け部分とを結合する前記複数のボルトは、前記複数の取付けねじに近づくように、前記移動ブロックの進行方向の中心線から左右対称に配列されることを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
[5]
 前記転動部分は、前記軌道部材の上面に対向する中央部と、前記軌道部材の側面に対向して前記中央部の幅方向の両側から垂れ下がる一対の脚部と、を有し、
 前記脚部の基部は、前記脚部の先端部よりも肉が厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
[6]
 前記取付け部分には、前記移動ブロックの進行方向に伸びる貫通孔が開けられ、
 前記貫通孔内に前記戻し部分の少なくとも一部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
[7]
 前記取付け部分は、アルミニウム製、アルミニウム合金製、セラミックス製、又はFRP製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
[8]
 前記取付け部分は、複数のボルトによって前記転動部分に結合され、
 前記運動案内装置はさらに、
 互いに接触する前記取付け部分と前記転動部分の接合面を水平面内に配置した状態で、前記軌道部材の長手方向からみて、前記取付け部分が前記転動部分に対して左右方向にずれるのを防止する位置ずれ防止手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
[9]
 前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分及び前記転動部分の接合面の少なくも一方に設けられる接着溝と、この接着溝に充填される接着剤と、を有することを特徴とする請求項8に記載の運動案内装置。
[10]
 前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分及び前記転動部分のそれぞれの接合面に位置を合わせて設けられる孔と、これらの孔に嵌められるピンと、を有することを特徴とする請求項8に記載の運動案内装置。
[11]
 前記位置ずれ防止手段は、前記取付け部分の接合面から垂直方向に張り出し、前記転動部分の側面に当接する突き当て部を有することを特徴とする請求項8に記載の運動案内装置。
[12]
 前記戻し部分に接合される前記取付け部分の樹脂接合面には、成型後の樹脂の収縮によって前記樹脂接合面と前記戻し部分との間にすきまが空くのを防止できるように、成型時に樹脂が流れ込む溝が設けられることを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
[13]
 転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部を有すると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻し通路を含む転動体循環経路を有する移動ブロックと、前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置の製造方法において、
 前記負荷転動体転走部を有する鋼製の転動部分に、前記移動ブロックを相手部品に取り付けるための取付け面を有して、前記転動部分よりも比重が小さく、前記転動体戻し通路を有する樹脂製の戻し部分よりも剛性のある材質でできた取付け部分を結合する第一の結合工程と、
 前記転動体戻し通路を有する樹脂製の戻し部分を、前記転動部分及び前記取付け部分に結合する第二の結合工程と、
 を備える運動案内装置の製造方法。
[14]
 前記第一の結合工程において、
 複数のボルト又は接着剤を用いて、前記転動部分に前記取付け部分を結合することを特徴とする請求項13に記載の運動案内装置の製造方法。
[15]
 前記第二の結合工程において、
 前記転動部分及び前記取付け部分を中子として金型にインサートし、金型に樹脂を射出成形することで、樹脂製の前記戻し部分を前記転動部分及び前記取付け部分に一体に樹脂成形することを特徴とする請求項13又は14に記載の運度案内装置の製造方法。
[16]
 前記運動案内装置の製造方法はさらに、
 前記取付け部分を前記転動部分に結合する前記第一の結合工程の後、
 前記転動部分の前記負荷転動体転走部を研削加工する転走部仕上げ工程を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の運動案内装置の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]