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1. WO2008123240 - 熱可塑性組成物及びその成形体

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明 細 書

発明の名称 熱可塑性組成物及びその成形体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

発明を実施するための最良の形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

実施例

0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  (R26)   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  (R26)  

産業上の利用可能性

0078  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

熱可塑性組成物及びその成形体

技術分野

[0001]
 本発明は、引張伸び特性、耐衝撃性、引張弾性率特性、及び耐熱老化性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂と、オレフィン系樹脂及び特定構造の部分水添ブロック共重合体とを含む、食品用容器等に好適な熱可塑性樹脂組成物に関する。

背景技術

[0002]
 スチレン系樹脂は、加工性が良好で、かつ優れた機械的特性を有していることから、射出成形材料やシート成形材料として広く使用されている。
 しかし、スチレン系樹脂は、耐油性が劣り、マーガリンやゴマ油等の油類に接触すると、物性が急激に低下する性質があるため使用範囲が限られていた。そこで、スチレン系樹脂にオレフィン系樹脂を混合して耐油性を改良する試みがなされた。
 しかしながら、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂とは相容性が乏しいため、剥離しやすい脆い組成物となってしまうという問題があった。
[0003]
 一方、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、機械的特性、電気特性等に優れており、事務機器ハウジング、各種工業部品等に広く使用されている。
 しかし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐油性及び耐衝撃性が劣るものである。そこで、ポリフェニレンエーテル系樹脂にオレフィン系樹脂を混合し、耐油性及び耐衝撃性の改良を図る試みがなされた。
 しかしながら、ポリフェニレンエーテル系樹脂とオレフィン樹脂とは、やはり相容性が乏しいため、剥離しやすい脆い組成物になってしまうという問題があった。
[0004]
 上述した問題に鑑みて、ブロック共重合体を添加した各種組成物が提案された。
 例えば、下記特許文献1においては、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAを少なくとも1個と共役ジエン系重合体ブロックBを少なくとも1個有するブロック共重合体を水素添加することによって、該ブロック共重合体の二重結合の少なくとも70%を飽和して得られた水素添加ブロック共重合体を添加したポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂からなる組成物が提案されている。
 具体的には、結合スチレン含有量が50重量%で、水素添加前のビニル結合量が13mol%のA-B型ブロック共重合体であり、二重結合の92mol%に対して水素添加を行った水素添加ブロック共重合体が開示されている。
[0005]
 また、下記特許文献2においても同様に、水素添加ブロック共重合体を含有するポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂からなる組成物が提案されている。
 具体的には、結合スチレン含有量が35重量%であり、水素添加前のイソプレン中のビニル含有量が8mol%であるA-B型ブロック共重合体の、二重結合の93mol%に対して水素添加を行った水素添加ブロック共重合体等が開示されている。
[0006]
 しかしながら、特許文献1及び2に開示されている組成物を構成する水素添加ブロック共重合体は、水素添加率の高いものであるため生産性に劣るという欠点を有している。
 また、下記特許文献1及び2に開示されている組成物は、いずれもポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との相容性を高めるための改良がなされてはいるが、引張伸び特性等の機械的強度の観点からは、未だ十分な特性が得られていない。
[0007]
 また、下記特許文献3には、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと、ビニル結合量が65~75%の高ビニル量の共役ジエン系重合体ブロックBとを有するブロック共重合体を得、これの共役ジエン中の65~80mol%に水素添加して水素添加ブロック共重合体を作製し、さらにこの水素添加ブロック共重合体を、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテルからなる組成物に添加して樹脂組成物を作製するという技術が提案されている。
 具体的には、ビニル芳香族化合物の含有量が60重量%、水素添加前のビニル含有量が74重量%のA-B型ブロック共重合体の、二重結合の68%に水素添加した水素添加ブロック共重合体が開示されている。
 しかし、この水素添加ブロック共重合体は、高ビニル結合量の共役ジエン系重合体を含有しているため、高温環境下では、実用上十分な耐熱老化性が得られないという問題を有している。 
[0008]
 さらに、下記特許文献4においては、ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の35mol%~70mol%が水素添加された水素添加ブロック共重合体を得、これを添加したスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂よりなる組成物が開示されている。
 この組成物は、耐熱性及び耐熱老化性が優れているが、引張伸び特性および耐衝撃性等の特性については、実用上十分な特性が得られていない。

特許文献1 : 特開昭56-38338号公報
特許文献2 : 特開平1-174550号公報
特許文献3 : 特開平9-12800号公報
特許文献4 : 国際公開03/000788号パンフレット

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0009]
 上述したように、従来提案されている樹脂組成物は、いずれも物性上の解決すべき課題を有している。
 そこで、スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂とオレフィン系樹脂とからなる樹脂に添加する特定構造の部分水素添加ブロック共重合体についての検討を行い、引張伸び特性、耐衝撃性、及び引張弾性率の各物理的強度に優れ、耐熱老化性も良好な熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とした。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂とオレフィン系樹脂とを混合した樹脂に関して、引張伸び特性、耐衝撃性、及び引張弾性率の各物理的強度、さらには耐熱老化性に優れ、かつ実用上良好な生産性も確保可能な組成物に関する研究を行った。
 その結果、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックYとを有するブロック共重合体を含有させることとし、このブロック共重合体中のビニル芳香族化合物含有量、共役ジエン化合物中の水素添加前におけるビニル結合量、さらにはこのブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の水素添加率を特定し、上記各種特性の向上を図った。
[0011]
 第1の発明においては、下記に示す部分水素添加ブロック共重合体である熱可塑性樹脂組成物を提供する。
 (A)スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂95~5重量部と、(B)オレフィン系樹脂5~95重量部と、前記成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、(C)部分水素添加ブロック共重合体1~28重量部と、を含有する。

 前記成分(C)は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックYとを有しているものとする。
 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量は、10重量%以上80重量%以下である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物中の、水素添加前におけるビニル結合量は、3重量%以上50重量%未満である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されているものとする。 
[0012]
 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量は、10重量%以上50重量%未満であることが好ましい。 
[0013]
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物中の、水素添加前におけるビニル結合量は、5重量%以上35重量%未満であることが好ましい。 
[0014]
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の5mol%以上35mol%未満が水素添加されていることが好ましい。 
[0015]
 前記成分(C)中の、ビニル結合量の85mol%以上が水素添加されていることが好ましい。 
[0016]
 前記成分(A)としては、スチレン系樹脂を適用できる。 
[0017]
 前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックXは、重量平均分子量が5000~50000の範囲にあるものを適用できる。 
[0018]
 前記成分(C)の部分水素添加ブロック共重合体は、重量平均分子量が4万以上20万以下の範囲にあるものを適用できる。 
[0019]
 前記成分(A)と前記成分(B)との境界面に存在する成分(C)の割合は、成分(C)の全配合量の85%よりも多いものとすることが好ましい。 
[0020]
 前記成分(C)を構成するブロックYに基づくtanδピーク温度は、-60℃以下であることが好ましい。 
[0021]
 第2の発明としては、上記熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得られる成形体を提供する。
 この成形体は、食品容器用として好適である。

発明の効果

[0022]
 本発明によれば、引張伸び特性、耐衝撃性、及び引張弾性率の各物理的強度に優れ、耐熱老化性も良好で、優れた加工性を有する熱可塑性樹脂組成物およびその成形体が得られる。

発明を実施するための最良の形態

[0023]
 以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[0024]
 本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物は、下記に示す部分水素添加ブロック共重合体により構成されるものである。 (A)スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂95~5重量部と、(B)オレフィン系樹脂5~95重量部と、前記成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、(C)部分水素添加ブロック共重合体1~28重量部とを含有したものである。

 前記成分(C)は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックYとを有しているものである。
 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量は、10重量%以上80重量%以下である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物の、水素添加前におけるビニル結合量は、3重量%以上50重量%未満である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されている。 
[0025]
 本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物の、各成分の配合割合について説明する。
 スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)との配合比については、(A):(B)が95:5~5:95の重量比であるものとする。
 剛性を高める場合は、A成分の配合比を多くし、耐熱性と耐油性を重視する場合は、B成分の配合比を多くすることが好ましい。剛性、耐熱性、及び耐油性のバランスを考慮すると、A成分とB成分の配合比は80:20~40:60の重量比が好ましく、80:20~55:45の重量比がより好ましく、80:20~60:40の重量比が最も好ましい。
 部分水素添加ブロック共重合体(C)の添加量は、スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)の合計100重量部に対して、1~28重量部が好ましく、2~15重量部がより好ましく、3~12重量部がさらにより好ましい。1重量部以上とすると、耐衝撃性や引張伸び、あるいは柔軟性の点で良好となり、28重量以下で、弾性率が向上し、経済的観点においても良好である。
[0026]
 上記成分(A)について説明する。
 スチレン系樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルキシレン等の単独重合体または共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。
 また、上記スチレン系樹脂に、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム等のゴムを混合又はグラフト重合した耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を使用することもできる。特にゴム変性した耐衝撃性ポリスチレンが好ましい。
 また、成分(A)に使用されるスチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR:200℃、5Kg荷重)が、0.5~20g/10分であることが好ましく、さらには1~10g/10分であることが好ましい。 
[0027]
 ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、単に「PPE」という。)としては、下記(1)式に示すポリフェニレンエーテルを適用できる。
[0028]
[化1]


[0029]
 なお、上記式(1)は結合単位であり、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~7までの第1級又は第2級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものである。
 式(1)により示されるポリフェニレンエーテルは、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃)が、0.15~0.70の範囲、より好ましくは0.20~0.60の範囲であるホモ重合体及び/又は共重合体であるものとする。
[0030]
 上記ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)の具体例を下記に示す。
 例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等が挙げられる。更には、2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6-トリメチルフェノールや2-メチル-6-ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も適用できる。これらのPPEの中では、特に、ポリ(2,6-ジメチル-1,4フェニレンエーテル)が好ましい。
 上記PPEは、公知の方法により合成できる。
 例えば、米国特許第3306874号の明細書中には、Hayによる第一塩化銅とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば、2,6-キシレノール酸化重合することにより製造する例が開示されている。また、特開昭63-152628号公報においても、製造方法が開示されている。
 また、上記各種PPEの他に、PPEとα,β-不飽和カルボン酸若しくはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、又は非存在下で溶融状態、溶液状態若しくはスラリー状態で80~350℃の温度下で反応させることによって得られる変性PPEも用いることができる。更には、上記PPEと変性PPEとの混合物も同様に用いることができる。
[0031]
 上記成分(A)は、経済性、最終的に目的とする熱可塑性樹脂組成物における相容性や成形性の観点から、スチレン系樹脂が好ましく、特に、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンが好ましい。
[0032]
 次に、上記成分(B)について説明する。
 成分(B)のオレフィン系樹脂としては、α-オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、4-メチル-1-ペンテン等を重合して得られる樹脂であれば特に限定されるものではない。
 オレフィン系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよく、α-オレフィンの2種又は3種以上を組み合わせた共重合体ゴムや、α-オレフィンと他のモノマーとの共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。
 上記共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン-ブテン共重合体ゴム(EBR)、エチレン-オクテン共重合体ゴム(EOR)エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。
 成分(B)に使用されるオレフィン樹脂としては、特に、ホモ又はブロックのポリプロピレンが好ましく、特にシンジオタクティックポリプロピレンホモポリマー、DSC(示差走査熱量計)による結晶融解ピーク温度が155℃以上のプロピレン-エチレンブロックブロック樹脂が好ましい。これらを用いると、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を高める効果が得られる。
[0033]
 成分(B)のオレフィン樹脂は、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16Kg荷重)が0.5~100g/10分であることが好ましく、1~60g/10分がより好ましく、1~20g/10分がさらに好ましい。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると、最終的に目的とする熱可塑性樹脂組成物の成形性が十分に得られなくなり、また60g/10分を超えると耐衝撃性が低下するという問題を生じるからである。
[0034]
 次に、成分(C)について説明する。
 成分(C)は、上述したように、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックYとを有しているものである。

 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量は、10重量%以上80重量%以下である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物の水素添加前におけるビニル結合量は、3重量%以上50重量%未満である。
 前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されている。 なお、「主体とする」とは、共重合体中に該当単量体単位を60質量%以上含有していることを意味するものとし、80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することがさらに好ましい。
[0035]
 前記重合体ブロックXを構成するビニル芳香族化合物としては、下記のものが適用できる。
 例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-ターシャリブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン、1,1-ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。特にスチレンがコスト的に有利であり好適である。
 前記重合体ブロックYを構成する共役ジエン化合物としては、下記のものが適用できる。
 例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。特に、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましく、耐衝撃性の観点からブタジエンがより好ましい。
[0036]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の構造については、特に限定されるものではない。
 例えば、(X-Y)m-X 、(X-Y)m-Kが挙げられる。
 上記「X」は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックである。
 上記「Y」は、共役ジエン化合物を主体とする部分水添重合体ブロックである。
 共重合体中に重合体ブロックX、Yが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよく異なっていてもよい。
 上記「m」は1以上6以下の整数である。
 上記「K」は、カップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
 各重合体ブロックの境界、及び最端部は、必ずしも明確に区別されるものではなく、形態としてテーパー状あるいは階段状となっていてもよい。
[0037]
 重合体ブロックX、Y中におけるビニル芳香族化合物の分布に関しては、上述したビニル芳香族化合物含有量の範囲内となれば限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
 また、ビニル芳香族化合物含有量が異なっているセグメントが複数個共存していてもよい。
 また、重合体ブロックY中に結晶部が存在していても良い。
 上記構造の中でも、耐衝撃性の点で、Xが2個以上の構造が好ましく、X-Y-X構造が特に好ましい。
[0038]
 共役ジエン化合物において、水素添加されていない二重結合の分布状態は、特に限定されるものではない。
[0039]
 共役ジエン化合物に対する水素添加を行う方法について説明する。
 例えば、所定の水添触媒の存在化下で水素を供給し、不飽和部に水素添加を行う方法が挙げられる。
 水添触媒は、特に限定されるものではない。例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はまたはアセチルアセトン塩など等の遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が適用できる。
 具体的には、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用できる。
[0040]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体は、極性基含有原子団を有していてもよい。
 極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等が挙げられる。
[0041]
 部分水素添加ブロック共重合体における極性基含有原子団の位置は、特に限定されるものではなく、分子鎖中、分子末端であってもよく、また、グラフトされていてもよい。
[0042]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、下記に示す方法が適用できる。
 例えば、所定の官能基を有する重合開始剤や、官能基を有する不飽和単量体を用いて重合した後に水素添加する方法(一次変性)が挙げられる。
 また例えば、特公平4-39495号公報(米国特許第5,115,035号公報)のように、有機アルカリ金属化合物を重合触媒にして得た重合体のリビング末端に変性剤(官能基を有する原子団を形成させる、または含有する化合物)を付加反応させた後に、水素添加する方法も適用できる。
 また、ブロック共重合体に有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、さらに変性剤を反応させた後、水素添加する方法も適用できる。
 また、共重合体の水素添加した後にメタレーション反応させてから、変性剤を反応させる方法も適用できる。
[0043]
 上記変性剤の種類により、これを反応させた段階で、その水酸基やアミノ基等が有機金属塩となっていることもある。その場合には、水やアルコール等活性水素を有する化合物により処理し、水酸基やアミノ基等に戻すことができる。
 また、変性剤の官能基には所定の保護基を結合させておいてもよく、水素添化中や終了後に保護基を外すようにしてもよい。 
[0044]
 また、非変性の部分水素添加ブロック共重合体あるいは上記のように作製した一次変性部分水素添加ブロック共重合と、所定の官能基を有する化合物とを反応させる方法(二次変性)も適用できる。
[0045]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物含有量は、10~80重量%であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上50重量%未満であるものとし、20重量%以上50重量%未満がさらに好ましく、35重量%以上50重量%未満が最も好ましい。
 ビニル芳香族化合物含有量が10重量%以上であると、スチレン系樹脂及び/又はPPE(A成分)との親和性が向上してA成分の相とB成分の相の境界面に存在するブロック共重合体量が十分となり、相容化効果が向上する。一方、80重量%以下で柔軟性が得られ、かつA成分との親和性が過剰とはならず、ブロック共重合体がA成分の相中に取り込まれ難く、十分な相容化効果が得られる。
 また、10重量%以上50重量%未満とすることにより、良好な相容化効果が得られることが確認された。
[0046]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の、共役ジエン化合物の、水素添加前におけるビニル結合量は、3重量%以上50重量%未満であり、3重量%以上45重量%以下がより好ましく、5重量%以上35重量%以下がさらに好ましく、10重量%以上30重量%以下が最も好ましい。
 なお、ビニル結合量とは、水素添加前の共役ジエンの1,2-結合、3,4-結合及び1,4-結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2-結合及び3,4-結合で組み込まれているものの割合を意味する。
 上記ビニル結合量が3重量%以上であると、最終的に目的とする樹脂組成物において、十分な柔軟性が得られる。また、50重量%未満であると、耐熱性、剛性の観点において実用上十分な特性が得られる。しかも、成分(B)との親和性が過剰とはならず、ブロック共重合体がB成分の相中に取り込まれ難く、A成分の相とB成分の相の境界面に存在するブロック共重合体量が十分に確保でき、実用上十分な耐衝撃性が得られる。 
[0047]
 上記成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されているものとする。
 なお、上記水素添加率は、5mol%以上35mol%未満が好ましく、10mol%以上35mol%未満がより好ましく、15mol%以上35mol%未満が最も好ましい。
 成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の水素添加率を1mol%以上とすると、良好な耐熱老化性や耐衝撃性が確保できる。また、40mol%未満とすると、良好な加工性、引張伸び、耐衝撃性、共重合体の製造性が得られる。
[0048]
 なお、成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体中のビニル結合量の水素添加率については、85mol%以上にすることが好ましく、さらには87mol%以上にすることがより好ましい。
 ここで、ビニル結合量の水素添加率とは、ビニル結合量を100とした場合の水素添加率である。

 成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体中のビニル結合量の水素添加率を、85mol%以上にすることにより、最終的に目的とする熱可塑性樹脂組成物において、優れた耐熱性及び耐熱老化性が得られるようになることが確かめられた。 
[0049]
 成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体の共役ジエンに基づく二重結合のうち、水素添加された割合をH(mol%)とし、共役ジエン中のビニル含有量の割合をV(mol)としたとき、0.9<(H/V)、かつ(H/V)<1.6の条件を満たすようにすることが好ましい。

 (H/V)が0.9を超えると、良好な耐熱老化性及び耐衝撃性が得られる。
 また、1.6未満であると、耐衝撃性や加工性が良好となる。 
[0050]
 成分(C)である部分水添添加ブロック共重合体(C)の重量平均分子量は、4万以上20万以下であることが好ましく、5万以上15万以下がより好ましく、6万以上9万以下がさらに好ましい。
 重量平均分子量が4万以上であると、耐衝撃性が良好となり、20万以下で加工性が良好となる。
[0051]
 なお、「重量平均分子量」は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求められる。
[0052]
 成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体を構成する、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックXの重量平均分子量は、5000~50000が好ましい。
 一方、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックYの重量平均分子量は、5000~70000が好ましい。
 重合体ブロックXの分子量が5000以上であると、成分(A)との親和性が高くなる。
 また、重合体ブロックYの分子量が5000以上であると、成分(B)との親和性が向上し、良好な相容化効果が得られる。
 また、重合体ブロックXの分子量が50000以下で、重合体ブロックYの分子量が70000以下であるとすると、加工性が良好なものとなり、また、成分(A)と成分(B)からなる樹脂組成物中での分散性が向上し、良好な相容性が得られる。
[0053]
 成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16Kg荷重)は、0.1g~100g/10分が好ましく、0.3g~50g/10分がより好ましく、0.5g~20g/10分がさらに好ましく、1g~10g/10分が最も好ましい。

 メルトフローレートが0.1g/10分以上であると、加工性や相容化効果が向上する。
 一方、100g/10分以下とすると、A成分とB成分の界面の補強効果が得られ、樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。 
[0054]
 成分(C)の、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックYに基づくtanδピーク温度は、-60℃以下であることが好ましい。更には-64℃以下が好ましく、-66℃以下がより好ましい。

 -60℃以下で、最終的に目的とする樹脂組成物に、良好な耐衝撃性が得られるようになる。
 なお、tanδピークは、試料を幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、-100℃から50℃まで、昇温速度3℃/分で求めた値である。
 tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)を用いて、自動測定を行うことにより求められる。 
[0055]
 成分(C)は、成分(A)と成分(B)との境界面に多く存在していることが好ましく、成分(C)の全配合量に対する割合として、85%よりも多いことが好ましい。これにより、目的とする熱可塑性樹脂組成物において、良好な耐衝撃性や引張伸び特性が得られるようになる。
 なお、境界面に存在する成分(C)の割合は、下記の方法により求められる。
 すなわち、熱可塑性樹脂組成物の射出成型体から成型時の樹脂の流れ方向に平行な面の超薄切片をウルトラミクロトームで切り出し、四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡で10000倍の画像写真を撮る。続いて、この写真の画像解析を行い、成分(A)相と成分(B)相に存在する成分(C)の画像写真中の面積率(CA)を測定しておき、熱可塑性樹脂組成物の成分(C)の配合比率(CB)とすると、境界面における存在率は、((CB)-(CA))/(CB)×100%として求められる。
[0056]
 次に、成分(C)である部分水素添加ブロック共重合体(C)の製造方法について説明する。
 特に限定されるものではなく、公知の方法を適用できる。

 例えば、特公昭36-19286号公報に記載されている有機リチウム触媒を用いたリビングアニオン重合の技術を用いて、不活性溶媒中でビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物を重合することにより、ブロック共重合体を製造できる。
 具体的には、有機リチウム触媒として、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム等のモノリチウム化合物を用い、X、Y、Xの順に逐次的に重合し、ブロック重合体を形成する方法や、X-Yの順にX-Y型リビングブロック共重合体を形成した後に2官能カップリング剤によってX-Y-X構造のトリブロック共重合体を形成する方法や、ジリチウム化合物を用いてX、Yの順に重合し、X-Y-X構造のトリブロック共重合体を形成する方法等が挙げられる。 ブロック共重合体を得る際のビニル芳香族化合物含有量は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物のフィードモノマー組成によって調節できる。
 また、共役ジエン化合物のビニル結合量は、ビニル量調整剤の使用によって調整できる。ビニル量調整剤としては、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
[0057]
 上記方法により作製されたブロック共重合体に対して、公知の方法により水素添加反応(水添反応)を行うことにより、目的とする部分水素添加ブロック共重合体が得られる。
 具体的には、所定の不活性溶媒中で水添触媒の存在下、目標量の水素を添加して部分水素添加ブロック共重合体の溶液を得る。
[0058]
 上述のようにして得られた部分水素添加ブロック共重合体の溶液から、公知の方法により脱溶剤処理を施すことにより、目的とする部分水素添加ブロック共重合体が得られる。なお、必要に応じて金属類を脱灰する処理を施してもよい。またさらに必要に応じて、反応停止剤、酸化防止剤、中和剤、界面活性剤等を適宜用いてもよい。
[0059]
 本実施の形態の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて任意の添加剤を配合してもよい。
 添加剤は、一般的に樹脂中に配合するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、有機繊維、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系やリン系の酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
 また、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物中の10重量%以下の、少量であれば、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなる水素添加共重合体であって、共役ジエン化合物に基づく二重結合の75mol%以上が水素添加された共重合体を添加しても良い。
[0060]
 本実施の形態の熱可塑性樹脂組成物の製造工程においては、従来公知の手段が利用できる。
 例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
 好ましくは、スチレン系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、オレフィン系樹脂(B)及び部分水素添加ブロック共重合体(C)が十分に溶解、混和され、部分水素添加ブロック共重合体(C)が(A)相と(B)相の界面に移動する条件である180℃以上、好ましくは200℃以上で、シェアレートが100/secとなる条件で混練される手段を選択する。特に2軸スクリュー押出機を用いる方法が好適である。
 また、上記方法により一旦樹脂を混練してマスターペレットを製造し、それを用いて成形、必要により発泡成形することは、好ましい成形方法の一形態である。
[0061]

 本実施の形態の熱可塑性樹脂組成物を用いて加工を行うことにより、所望の形状の樹脂成形体が作製できる。
 加工においては、従来公知の成形法を適用できる。例えば、押出成形、射出成形、中空成形、回転成形、化学発泡、物理発泡等によって、シート、発泡体、フィルム、各種形状の射出成形品,中空成形品、圧空成形品、真空成形品、真空圧空成形品、熱成形品、回転成形品等極めて多種多様にわたる実用上有用な製品に容易に成形加工することができる。
 特に、本実施の形態における熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は、物理的強度特性、耐熱老化性に優れ、また安全性にも優れていることから、食品容器用として好適である。

実施例

[0062]
 以下、実施例および比較例により、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[0063]
(1)使用する成分とその製造
(A)成分:スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂
 (A-1):スチレン系樹脂
  市販耐衝撃性ポリスチレン樹脂:475D(A&Mスチレン社製、商品名)
 (A-2):ポリフェニレンエーテル系樹脂
 2,6-キシレノール重合体:ポリスチレン換算数平均分子量が21000
(B)成分:オレフィン系樹脂
  市販ホモポリプロピレン樹脂:PL500A(モンテルエスディーケイサンライズ社製、商品名) 
[0064]
(C)成分:ブロック共重合体
(ポリマー1、2、3)
 攪拌機及びジャケット付きの内容量100(l)のオートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、予め精製したスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。
 次に、n-ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、予め精製したブタジエン60重量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間、さらにスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。
 得られたブロック共重合体溶液の一部をサンプリングし、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100重量部に対して0.3重量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られた共重合体を「ポリマー1」とする。)。
 ポリマー1は、スチレン含量が40重量%、ポリブタジエン部の1、2ビニル結合量が14重量%、重量平均分子量が67000であった。
 なお、スチレン含有量、ビニル結合量は、下記(2-1)に記載のNMRを用いて測定した。数平均分子量は、下記(2-3)記載のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
 次に、残りのブロック共重合体溶液を用いて、ジ-p-トリスビス(1-シクロペンタジェニル)チタニウムとn-ブチルリチウムを水添触媒として、温度70℃で水素添加を行い、一部の重合体溶液をサンプリングして「ポリマー2」を得た。ポリマー2は、水素添加率が21%であったが、水素添加開始からの所要時間は20分であった。尚、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。また、水素添加率は、供給する水素ガス量を流量計で測定し、目標水添率を達成した時点でガスの供給を止めることでコントロールした。
 残りの重合体溶液は、再度水素添加を行い「ポリマー3」の共重合体を得た。ポリマー3は、水素添加率33%であったが、水素添加開始からの所要時間は28分であった。
 各共重合体溶液は、ポリマー1と同様に安定剤添加後に溶媒を加熱除去し、種々ポリマー(2、3)を作製した。各サンプルのポリマー構造を表1に示した。 
[0065]
(ポリマー4、5、6)
 スチレンの投入量、n-ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を変えた以外は、上記ポリマー1と同様にして、ブロック共重合体を得た。得られたポリマーは、スチレン含有量が47重量%、ポリブタジエン部の1,2ビニル結合量が23重量%、数平均分子量が74000であった(「ポリマー4」とする。)。
 残りのブロック共重合体溶液は、再度水素添加を行い、「ポリマー5」、「ポリマー6」の共重合体溶液を得た。
 ポリマー5は、水素添加率27%であり、水素添加開始からの所要時間は25分であった。
 また、ポリマー6は、水素添加率34%であり、水素添加開始からの所要時間は30分であった。
 各共重合体溶液は、ポリマー1と同様に安定剤添加後に溶媒を加熱除去し、種々のポリマー(5、6)を作製した。各サンプルのポリマー構造を表1に示した。 
[0066]
(ポリマー7、8)
 攪拌機及びジャケット付きの内容量100(l)のオートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、予め精製したスチレン23.5重量部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。
 次に、n-ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、予め精製したイソプレン53重量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間、さらにスチレン23.5重量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。
 得られたブロック共重合体溶液の一部をサンプリングし、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100重量部に対して0.3重量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られた共重合体を「ポリマー7」とする)。ポリマー7は、スチレン含量が47重量%、ポリイソプレン部のビニル結合総量が20重量%、重量平均分子量が72000であった。
 次に、残りのブロック共重合体溶液を用いて、ジ-p-トリスビス(1-シクロペンタジェニル)チタニウムとジブチルマグネシウムを水添触媒として、温度70℃で水素添加を行い、「ポリマー8」を得た。ポリマー8は、水素添加率が34%であった。
 共重合体溶液は、ポリマー1と同様に安定剤添加後に溶媒を加熱除去し、ポリマー8を作製した。各サンプルのポリマー構造を表1に示した。 
[0067]
(ポリマー9)
 スチレンの投入量、n-ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を変えた以外は、上記ポリマー1と同様にしてブロック共重合体を得た。得られたポリマーは、スチレン含量が43重量%、ポリブタジエン部の1,2ビニル結合量が73重量%、数平均分子量が71000であった。
 さらにブロック共重合体溶液を用いて、上記ポリマー2と同様に水素添加を行い、水素添加率63%の「ポリマー9」を作成した。ポリマー構造を表1に示した。 
[0068]
(ポリマー10~15)
 スチレン投入量、n-ブチルリチウム量、テトラメチルエチレンジアミン量、ブタジエン量を変えた以外は、上記ポリマー1~6、9と同様の方法で、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン構造のブロック共重合体を得た。
 必要に応じて、同様な方法水素添加を行った。ポリマー構造を表1に示す。 
[0069]
(2)ブロック共重合体の組成および構造の評価
 (2-1)スチレン含有量、共役ジエンのビニル結合量、共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率
 ポリマー中のスチレン単位、ブタジエンの1,4-結合単位および1,2-結合単位、エチレン単位あるいはブチレン単位量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により下記の条件で測定した。
 測定機器:JNM-LA400(JEOL製)
 溶媒:重水素化クロロホルム
 測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
 サンプル濃度:50mg/ml
 観測周波数:400MHz
 化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
 パルスディレイ:2.904秒
 スキャン回数:64回
 パルス幅:45°
 測定温度:26℃
 (2-2)スチレンブロックビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックの含有量
 I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載されている四酸化オスミウム酸法により測定した。
 測定サンプル:ポリマーを水素添加する前の抜き取り品
 ポリマー分解用溶液:オスミウム酸0.1gを第3級ブタノ-ル125mlに溶解した溶液
 (2-3)重量平均重量平均分子量及びおよび分子量分布
 共重合体(A)の重量平均重量、数平均分子量及びおよび分子量分布(重量平均重量/数平均分子量)は、下記の条件でゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置:LC-10(島津製作所製)
カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)、2本
溶媒:テトラヒドロフラン
検量線用サンプル:市販(東ソー株式会社製)の標準ポリスチレン、10点測定
 分子量分布は、得られた重量平均重量平均分子量と数平均分子量の比を取って求めた。 
[0070]
[規則26に基づく差替え 01.05.2008]
[表1]


[0071]

(3)樹脂組成物の調製
 下記実施例1~8、および10においては、各成分(A)、(B)、(C)を、下記表2に示す割合で配合した。そして、30mmの2軸押出機を用いて200℃の温度で溶融混練を行い、ペレット化した。
 なお、実施例及び比較例に示した物性の測定規格、試験法は、以下の通りである。得られたペレットを200℃40mmシート押出機で0.4mm厚シートを成形し、下記1~4の各種特性についての測定を行った。
 実施例9では、各成分(A)、(B)、(C)を、下記表2に示す割合で配合し、30mmの2軸押出機を用いて270℃の温度で溶融混練を行い、ペレット化した。
 尚、実施例に示した物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
 得られたペレットを270℃40mmシート押出機で0.4mm厚シートを成形し、下記(4-1)~(4-4)の各種特性を評価した。 
[0072]
(4)樹脂組成物の評価
 (4-1)引張伸び特性:ASTM D638に準拠して、シート成形試験片の引張破断点伸度を測定した。尚、引張速度は、10mm/分で行った。
 (4-2)剛性:ASTM D638に準拠して、シート成形試験片の引張試験を行い、引張弾性率を測定した。尚、引張速度は、10mm/分で行った。
 (4-3)ダート衝撃強度:ASTM D1709に準拠して、落錘半径1/2インチで落下高さ80cm~120cmの所で最適条件を求め、温度23℃の条件でシート成形試験片のダート衝撃試験を行い、ダート衝撃強度を測定した。
 (4-4)耐熱老化性:樹脂組成物をシート押出成形する際、成形機内に245℃の温度下で10分間滞留させ、その後シート成形し、その表面状態を目視判定した。シート成形品の出方及び表面の粗さにより、下記の3段階で評価した。
○(無し)<△(少し有り)<×(有り) 
[0073]
 実施例1~10、比較例1~9の樹脂組成物の特性評価結果を表2に示した。
〔実施例1~10〕
 スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂(成分(A))95~5重量部と、オレフィン系樹脂(成分(B))5~95重量部と、これら(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、部分水素添加ブロック共重合体(成分(C))1~28重量部とを混合した熱可塑性樹脂組成物において、成分(C)が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックYとを有しているものとし、前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量は、10重量%以上80重量%以下であるものとし、前記成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物中の、水素添加前におけるビニル結合量が3重量%以上50重量%未満であるものとし、成分(C)を構成するブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されているものしたことにより、引張伸び特性、ダート衝撃強度特性、及び引張弾性率の、各物理的特性に優れ、かつ耐熱老化性についても良好な特性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られた。 
[0074]
〔比較例1〕
 耐衝撃性ポリスチレン(A)63重量部と、ポリプロピレン(B)37重量部よりなる樹脂組成物で、部分水素添加ブロック共重合体(C)を配合していない樹脂組成物の例である。
 相容性が悪く、引張伸び特性、ダート衝撃強度特性が著しく劣り、耐熱老化性についても実用上良好が評価が得られなかった。 
[0075]
〔比較例2~7〕
 耐衝撃性ポリスチレン(A)63重量部、ポリプロピレン(B)37重量部に、スチレン系ブロック共重合体(C)を配合した樹脂組成物の例である。
 しかしながら、成分(C)のブロック共重合体を構成するポリマー1、4、7、9、11、12は、本発明で特定した構造を有していないため、いずれにおいても、引張伸び特性、ダート衝撃強度特性、引張弾性率の各特性の実用上良好なバランスを有しておらず、さらには、耐熱老化性も著しく悪いものとなった。 
[0076]
〔比較例8、9〕
 この例においては、部分水素添加ブロック共重合体(C)を構成する共役ジエン化合物の二重結合に対する水素添加率が高すぎるため、樹脂組成物は、機械的な特性、すなわち引張伸び、ダート衝撃強度、引張弾性率の各物理的強度特性について、実用上満足な評価が得られなかった。 
[0077]
[規則26に基づく差替え 01.05.2008]
[表2]


産業上の利用可能性

[0078]
 本発明によれば、スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂とオレフィン系樹脂に、特定の部分水素添加ブロック共重合体を添加したことにより、引張伸び特性、ダート衝撃強度特性、及び引張弾性率の、各物理的特性に優れ、かつ耐熱老化性についても良好で、加工性にも優れた熱可塑性樹脂組成物、及びその成形体が得られた。


請求の範囲

[1]

 (A)スチレン系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂95~5重量部と、
 (B)オレフィン系樹脂5~95重量部と、
 前記成分(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、
 (C)部分水素添加ブロック共重合体1~28重量部と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
 前記成分(C)は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックXと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックYとを有し、
 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量が10重量%以上80重量%以下であり、
 前記成分(C)中の、共役ジエン化合物の、水素添加前におけるビニル結合量が、3重量%以上50重量%未満であり、
 前記成分(C)中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の1mol%以上40mol%未満が水素添加されている部分水素添加ブロック共重合体である熱可塑性樹脂組成物。
[2]
 前記成分(C)中のビニル芳香族化合物含有量が10重量%以上50重量%未満である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]
 前記成分(C)中の、共役ジエン化合物の、水素添加前におけるビニル結合量が、5重量%以上35重量%未満である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]
 前記成分(C)中の、共役ジエン化合物に基づく二重結合の5mol%以上35mol%未満が水素添加されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]
 前記成分(C)中の、ビニル結合量の85mol%以上が水素添加されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]
 前記成分(A)が、スチレン系樹脂である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]
 前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックXの重量平均分子量が、5000~50000である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]
 前記成分(C)の部分水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量が、4万以上20万以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]
 前記成分(A)と前記成分(B)との境界面に存在する成分(C)の割合が、
 当該成分(C)の全配合量の85%よりも多い請求項1乃至8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]
 前記成分(C)を構成するブロックYに基づくtanδピーク温度が、-60℃以下である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11]
 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
[12]
 食品容器用である、請求項11に記載の成形体。