国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2008123099) 膜分離を用いた目的物質の分離方法と装置
Document

明 細 書

発明の名称 膜分離を用いた目的物質の分離方法と装置

技術分野

0001   0002  

背景技術

0003   0004   0005   0006   0007   0008  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

図面の簡単な説明

0032   0033  

発明を実施するための最良の形態

0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122  

実施例 1

0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155  

産業上の利用可能性

0156   0157  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9A   9B   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

膜分離を用いた目的物質の分離方法と装置

技術分野

[0001]
 本発明は、膜を用いて液体を透過液と残液(非透過液)とに分離する膜分離方法とその装置に関する。具体的には、発酵工業、製薬工業、精糖工業、アミノ酸工業、食品工業、染料工業、顔料工業、化学工業、金属精錬工業、廃棄物処理業などにおいて、広く行なわれている被処理液中に含まれている目的物質である有価物や不純物の塩などを、膜分離技術を用いて分離・回収する方法と装置に関する。より詳しくは、液体、固体である原料を液状で取り扱い、液状化された原液中の目的物質を分離、除去、精製する際に、目的物質を含有している種々の原液から、洗浄液あるいは抽出液などとの接触工程と、膜分離工程を組み合わせて効率的に目的物質を分離・回収する方法および装置である。
 さらには、本発明は、分離膜による透過傾向が近接する物質同士の分離について、選択した分離膜を用いて分離するために望ましい透過傾向を、分離のプロセスや膜分離装置の管理や制御方法によって実現し、使用する分離膜の分離性能を効果的に使用する、目的物質の分離方法および装置である。
 なお、本願は、2007年3月22日に日本に出願された特願2007-75655号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[0002]
 前述の本発明の膜を用いた目的物質の分離方法の適用対象としては、例えば、ポリグリセリンの精製などがある。ポリグリセリンは石油化学由来のもの、油脂由来のものが常用されている。これらのポリグリセリンは、ジグリセリン、トリグリセリンのような低重合度のものの混合物や、より重合度の高いもの、さらには環状ポリグリセリンや副生物などが含まれている混合物など多くの種類のものがあり、その用途によってはそれらの混合物の中から特定成分の割合を高めるあるいは低下する、更には分離させる試みがなされている。このために用いられているポリグリセリンの分画精製方法としては、分子蒸留精製法、水蒸気キャリアを使用する減圧蒸留法、疑似移動床クロマトグラフィー法などが知られている(例えば特許文献7)。

背景技術

[0003]
 従来、膜を用いたダイアフィルトレーション(ダイア洗浄ともいう)は、化学染料生成後の脱塩や糖類の精製などで用いられており、以下に記述するような先行文献が存在している。
 例えば特許文献1には、「本発明の一つの態様において、ナノ濾過の段階は、ダイアフィルトレーションも含んでなり、それによって水は供給流に加えられる。好ましくは、水は浸透液の量に相当して加えられる」とナノ濾過を用いたダイアフィルトレーションの記載があり、オリゴシロップの製造方法において、二糖類、三糖類およびそれより大きな糖を得、ナノ濾過の段階から生じる透過液を再循環する技術が開示されている(特許文献1、段落[0036])。
 また、従来から、ダイアフィルトレーションを膜の目的物質に対する選択性と膜装置の操作を用いて効果的に実施する試みは行なわれている。例えば特許文献1には、例2および表7において、「濾過性能に対するこれらのパラメーターを変化させる効果を例示するために行なわれた」テストの結果が例示されている(特許文献1、段落[0059]~[0064])。
[0004]
 この他、膜装置の循環液の組成と透過液の組成との関係は、阻止率の検討などとして発表されている(例えば、非特許文献3、非特許文献4)。
[0005]
 特許文献1の例3および表8においては、「 浸透液(透過液)において得られた結果は、膜分離装置の運転条件の変化の効果を明瞭に例示している。異なる膜通過の流量が得られ、二つの化合物についての膜の異なる選択性がもたらされた。この全てが、分離工程を変化および調節することの可能性を例示している」と記載されているが、選択性すなわち目的物質の透過傾向を制御する方法は示されていない(特許文献1[0064])。
[0006]
 また、従来、膜を用いたダイアフィルトレーションの終点を知るために、測定値を用いて指標とすることは行なわれている。例えば特許文献2の“タンパク質単離方法における炭水化物の酵素的分解”では、その実施例2の中で、「タンパク質抽出液から炭水化物および塩を洗い出すために、遠心上清をウルトラフィルトレーションにかける。この上清を最大5.5%DSまで濃縮し、次に脱イオン水を加えて、通過液(permeate)%DS/残存液(retentate)%DS=0.09になるまで、ダイアフィルトレーションする。」と記載され、膜による目的物質の透過傾向の制御には用いていないが、ダイアフィルトレーションの終点を測定値である%DSの比率で規定する方法を開示している(特許文献2)。
[0007]
 また、従来、分析値を用いて広範なバイオプロセスを制御しようとする試みは行なわれている。例えば、特許文献3では、「赤外分光法に応じたリアルタイムのインサイチュバイオマニュファクチャリングプロセスのモニタリングおよび制御に関するこの特許文献では、バイオマニュファクチャリングにおける精製段階での赤外分光によるプロセスモニタリングおよび制御」が開示され、限外濾過膜によるダイアフィルトレーションへの適応が記載されている(例えば、特許文献3[0064][0117])。
[0008]
 さらにまた、従来からダイアフィルトレーションのプロセス的な概念は、種々検討されている。例えば、出願人などが、時間差的多段向流による方法や“原料液の供給を停止した後、さらに系内の目的物質を多段向流洗浄・分離操作により回収”する方法を開示している(特許文献5、特許文献6)。また、非特許文献1は、産業上のダイアフィルトレーション(Diafiltration)のプロセス概念を広範に示し、ダイアフィルトレーションを(1)Batch Diafiltration;バッチダイアフィルトレーション、(2)Continuous Diafiltration;連続(多段)ダイアフィルトレーション、(3)Counter-Current Diafiltration:(連続多段)向流ダイアフィルトレーションに区分し、各タイプ別のダイアフィルトレーションについて記載している(例えば、特許文献5、特許文献6、非特許文献1)。
 拡散モデルや溶質透過係数については非特許文献2に解説されている(非特許文献2)。
特許文献1 : 特表2001-525177号公報
特許文献2 : 特表2001-500734号公報
特許文献3 : 特表2003-504638号公報
特許文献4 : 特開平5-117196号公報
特許文献5 : 特開平10-211423号公報
特許文献6 : 特開2004-17035号公報
特許文献7 : 特許第3717193号公報
非特許文献1 : Concept of industrial-scale diafiltration systems、Desalination 144(2002) 179-184 Frank Lipnizki他
非特許文献2 : 食品膜技術 : 膜技術利用の手引き / 大矢晴彦, 渡辺敦夫監修、東京 : 光琳,1999.9刊 25、32ページ
非特許文献3 : Analysis of Solutes Rejection in Ultrafiltration、 Journal of Chemical Engineering of Japan Vol.14、No.1 (1981)32~37Shin-ichi Nakao他
非特許文献4 : Purification of oligosaccharides by nanofiltration、Journal of Membrane Science Vol.209 Issue1(2002) 321~335ページ Athanasios K.Goulas他

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0009]
 しかしながら、市販の種々のナノ膜、限外濾過膜には、多くの場合分画分子量などの物質を阻止する性能を表す指標が示されているが、実際の分子の阻止率などの透過傾向は、膜の種類のほか、その膜の使用経歴、運転条件、適応される供給液や循環液の諸性質や組成に影響される。そして、目的とする物質に関して1種の目的分子を100%阻止し、別の目的分子をまったく阻止しない分離性能の膜を獲得することは困難にしても、運転条件を的確に選定することで、選択した膜が発揮する目的物質毎の透過傾向の違いを利用した分離手法の開発が求められている。
[0010]
 本発明では、このような事情に鑑みてなされたものであり、膜を用いたダイアフィルトレーションの際に、透過液や循環液/内部循環液の濃度や物性値など膜装置の分離状態を表す測定値や分析値を用いて目的物質の透過傾向を管理・調整することによって、上述の従来技術にはなかった目的物質の精密な分離の実施方法とそのための装置を提供する。

課題を解決するための手段

[0011]
 上述した課題を解決するために、本発明は、複数の目的物質が含まれる原液を膜分離装置に供給し、前記膜分離装置から得る透過液中に目的物質を抜き出し、残る他の目的物質を残液に分離するダイアフィルトレーションにおいて、分離操作の分離状態指標および/または進行経過指標を用い、透過液流量、膜分離装置の運転圧力、運転温度、循環液濃度、循環液量から選択した少なくとも1項目の操作項目を設定域に調整あるいは制御することで目的物質の透過傾向を制御する、膜を用いた目的物質の分離方法である。
[0012]
 また、上述の目的物質の分離方法において、分離状態指標あるいは操作項目として膜分離装置の透過液流量を用いても良い。
[0013]
 また、上述の目的物質の分離方法において、原液の供給に対応する一連のダイアフィルトレーションの過程を複数あるいは実質的に連続した段階を設け、それぞれの段階の進行経過指標に対して適宜選定した分離状態指標および/あるいは操作項目の設定域を設けて目的物質の透過傾向を制御しても良い。
 “複数あるいは実質的に連続した段階“について、それらの操作項目や分離状態指標の設定域の変更は、段階的であっても連続的であってもよいし、各段階の中で設定域を変更することも可能である。対応する設定値はあらかじめ表などで設定していても、各操作項目、分離状態指標、進行経過指標やそれらの基礎となる測定値や分析値あるいは別に適宜入力したデータを用いて計算などにより求めても良く、また実質的に連続的に変化させても良い。
 各段階の開始および/あるいは終点の判断に用いる、分離状態指標や進行経過指標の値について、あらかじめ数値を定めておいてもよく、表や計算式などにより選定してもよく、実質的に連続的に変化させても良い。
[0014]
 また、上述の目的物質の分離方法において、分離状態指標および/あるいは進行経過指標を用い、各段階の開始および/あるいは終点を判断しても良い。
[0015]
 また、上述の目的物質の分離方法において、分離膜で扱う循環液や残液の濃度を実質的にあらわす測定値を指標として、膜分離装置に供給する液量や膜分離装置から系外に抜き出す液量、あるいは透過液あるいは循環液の循環液や残液への返送量を、循環液や残液の濃度を指標として制御しても良い。
 ここで指標とする“濃度を実質的にあらわす測定値“には、膜装置内の液濃度が適正に制御できる指標あるいはその元データにできるものであれば、任意の測定値や分析値を用いることができる。
 多段の膜分離装置を用いる場合は、各膜分離装置の循環液や残液の濃度を指標とし、その膜分離装置への供給液あるいは、その膜分離装置からの抜き出し液、あるいは返送液を実質的に制御し、別の膜分離装置の供給液、抜き出し液、返送液の制御することで、その濃度を制御しても良い。
 また、透過液あるいは循環液の循環液や残液への返送量とは、その膜分離装置あるいはその循環系から抜き出した液を、あるいはそれらの液に処理を加えた液、返送する量である。
[0016]
 また、上述の目的物質の分離方法において、進行経過指標が、経過時間、累積透過液量、累積供給洗浄液量、循環液量、循環槽内液量、残液、透過液、原液の濃度の分離の結果を示す指標や、糖度、粘度、電気伝導度、測定値、pHあるいは分析値から選んだ少なくともひとつの項目あるいはそれらを基礎にした計算値であっても良い。
[0017]
 また、上述の目的物質の分離方法において、分離膜としてナノ膜または限外濾過膜を用いても良い。
 また、上述の目的物質の分離方法において、分離膜として管状膜を用いても良い。
 また、上述の目的物質の分離方法において、透過液流量を操作項目とし、透過液の糖度あるいは循環液の糖度に対する透過液の糖度の比率である糖度比を分離状態指標として用いても良い。
 また、上述の目的物質の分離方法において、“先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“および/または“先行バッチの再処理液”および/または“先行バッチの透過液”を各液が発生したバッチの後で、原液、洗浄液あるいは“リサイクル液“として使用しても良い。
[0018]
 また、上述した膜を用いた目的物質の分離方法において、さらに、積算可能な量的指標、あるいは分離結果を示す測定値あるいは分析値、あるいはそれらを基礎にした計算値である進行経過指標を用い、分離段階の移行あるいは終了判断を目的として分離操作の進行度合を量的に把握するようにすることも可能である。
[0019]
 また、上述した膜を用いた目的物質の分離方法において、さらに、透過液あるいは循環液中の目的物質の濃縮を目的として、逆浸透膜、ナノ膜およびUF膜(限外濾過膜)の一種あるいは複数を用いるようにすることも可能である。
 なお、ここでの濃縮は目的物質のいずれかの濃縮であればよく、全ての目的物質の濃縮を必ずしも意図していない。
[0020]
 また、上述した膜を用いた目的物質の分離方法において、原液がポリグリセリンを含む混合液とすることも可能である。
[0021]
 また、上述した膜を用いた目的物質の分離方法において、原液が複数の種類のポリグリセリンを含む混合液であり、前記混合液からグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンのうち、少なくとも一つを除去するようにすることも可能である。
 また、原液の供給機構は、原液を循環槽受入れるための機構であっても良い。
[0022]
 さらに、本発明に係る膜を用いた目的物質の分離方法を、圧力駆動を用いる分離膜あるいは膜分離装置、または膜分離あるいは膜分離装置と該分離膜あるいは膜分離装置を用いて処理する物質や成分もしくはそれらに用いる溶媒の評価において、混合物中の各物質や各成分のパッセージあるいは阻止率などの透過傾向を表す指標と任意に選定した物質あるいは成分のパッセージあるいは阻止率などの透過傾向を表す指標の関係を用いる分離膜の評価方法として適用することも可能である。

発明の効果

[0023]
 本発明によれば、目的物質の透過傾向を制御したダイアフィルトレーションが可能になり、膜分離での透過傾向が近接している物質の精密な分離が可能になる。
 また、本発明によれば、低温での操作が可能な膜分離による透過傾向が近接している物質同士の精密分離が可能になることで、熱分解や熱変質しにくい分離が可能になり、膜分離に際して添加物や廃棄物がない簡潔な分離プロセスが可能になる。
[0024]
 本発明によれば、透過液流量あるいは透過流束を操作項目として制御することにより、目的物質の透過液および残液への望ましい分離状態を迅速に実現することが可能になる。
[0025]
 本発明によれば、原液の供給に対応する一連のダイアフィルトレーションの過程を複数あるいは実質的に連続した段階に分けて適応することによって、取扱液の状態や分離の進行度合に合わせた適切な膜の透過傾向の制御・調整が可能になることで、透過傾向が近接している物質を相互に分離する“精密な分離”が可能になる。
[0026]
 本発明によれば、膜分離装置への供給する液量や透過液や濃縮液や残液の返送量について、分離膜で扱う循環液や残液の濃度を制御したダイアフィルトレーションを実施することで、安定した透過液や循環液濃度の測定値や分析値が得られ、安定した濃度の循環液による効率的なダイアフィルトレーションが可能になる。
[0027]
 また、本発明によれば、分離操作に供する原料中の物質組成のばらつきや分離膜の状態の変化に対応し、分離条件の再現性が許容範囲で変動する場合にも、分離した後の残液や透過液の組成を安定させることができる。その結果、上記のような操作項目、分離状態指標、進行経過指標、あるいはそれらを組み合わせて分離作業を実施する際に、ダイアフィルトレーションにおける透過液や残液の均一性の確保が可能になる。
[0028]
 また、本発明によれば、ナノ膜や限外ろ過膜による精密な分離が可能になる。
[0029]
 また、先行するサイクルで、透過液あるいは残液として回収しなかった目的物質をその後のサイクルで透過液あるいは残液として回収することで、各物質の回収率をあげ、不要な廃棄物の発生を防ぐ事が可能になる。
 また、処理原料が食塩などの塩類を含む場合、食塩を低分子のグリセリンやポリグリセリンとともに除去し、残液中に食塩などの塩類が低減されたポリグリセリンとして回収することが可能になる。選定する膜としては、目的にそってナノ膜や限外濾過膜を適宜利用することができる。
[0030]
 本発明によれば、原液がポリグリセリンの場合において、ポリグリセリンをナノフィルトレーション膜あるいは限外ろ過膜あるいは逆浸透膜を用いた小分子量物質の透過による精製が可能になる。
[0031]
 また、本発明によれば、原液が複数の種類のポリグリセリンを含む混合液からジグリセリンを除去することができる。具体的には、ポリグリセリンを含む混合液から、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンを除去する精製の実施が可能になる。
 また、ポリグリセリンを含む混合液から疎水性の高い物質の濃度が低減できる。、精製後の製品は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの原料になる。

図面の簡単な説明

[0032]
[図1] バッチ式のダイアフィルトレーションを行なうためのフローシートの一例を示す図面である。
[図2] ナノフィルトレーション膜でのトリグリセリンのパッセージとジグリセリン、テトラグリセリンのパッセージの関係を例示した図である。
[図3] 連続式のダイアフィルトレーションを行なうためのフローシートの一例を示す図面である。
[図4] 連続多段によるダイアフィルトレーションの装置構成の説明図である。
[図5] 他の実施形態(第1の実施形態)における分離システムの構成を示す図面である。
[図6] 分離システムにて運転順序を説明するためのフローチャートである。
[図7] 図5の分離システムにおける、段階を進行させる制御について説明するためのフローチャートである。
[図8] 図5の分離システムにおける、循環液濃度の制御について説明するためのフローチャートである。
[図9A] 図5の分離システムにおける運転圧力の変化について説明するための図面である。
[図9B] 図5の分離システムにおける透過液糖度の変化について説明するための図面である。
[図10] 第2の実施形態における分離システムの構成を示す図面である。
[図11] この実施形態における分離システムにて運転順序を説明するためのフローチャートである。
[図12] 図10の分離システムにおける、段階を進行させる制御について説明するためのフローチャートである。
[図13] 図10の分離システムにおける、循環液濃度の制御について説明するためのフローチャートである。
[図14] 図10の分離システムにおける透過液糖度の変化について説明するための図面である。
[図15] 第3の実施形態における分離システムの構成を示す図面である。
[図16] 第3の実施形態における分離システムについて運転順序を説明するためのフローチャートである。
[図17] 図15の分離システムにおける、段階を進行させる制御について説明するためのフローチャートである。
[図18] 図10の分離システムにおける、透過液流量を操作項目として連続運転を開始してから停止するまでの動作について説明するためのフローチャートである。

符号の説明

[0033]
1…循環液槽、2…秤、3…昇圧ポンプ入口配管、4…昇圧ポンプ、5…熱交換器、6A…膜モジュールA、6B…膜モジュールB、6C…膜モジュールC、7  …圧力計、8…pH計、9…圧力調節弁、10…循環液出口配管/ホース、11 …温水膜洗浄液循環用容器、12…循環液抜き出し用容器、13…洗浄液貯槽、14…洗浄液ポンプ、15…透過液容器、16…透過液用配管/ホース、17…透過液ドレンホース、18…制御盤、19…チラー水ユニット、20…膜分離装置、21…原液の供給機構、22…循環液の抜き出し機構、23…洗浄液の供給機構、24…透過液の抜き出し機構、25…透過液の流量測定機構、26…循環液の濃度測定機構、27…洗浄液供給量の制御による循環液濃度維持機構、28…透過液の濃度測定機構、29…循環液の温度維持機構、30…透過液の循環液への返送量調節機構、31…先行バッチ貯槽、32…内部循環ポンプ、33…洗浄液調節弁、51…原液、52…洗浄液、53…透過液、54…残液、55…返送透過液、100…透過液流量計、101…圧力計、130…流量調節弁、135…流量調節弁、140…流量調節弁、145…ポンプ、150…流量調節弁

発明を実施するための最良の形態

[0034]
 市販の種々のナノ膜、限外濾過膜には、分画分子量などの物質を阻止する性能を表す指標が大まかな指標として示されているが、実際の分子の阻止率などの透過傾向は、前述のように種々の要因により影響される。本発明は、膜分離装置の目的物質に対する透過傾向を適切に制御することで望ましい分離を遂行する方法とその装置である。
[0035]
 ナノ膜、限外濾過膜は、分離膜への供給液あるいは循環液に圧力をかけ、透過液側に物質を抜き出す“圧力駆動による膜プロセス”の原理を利用している。こうした循環液圧力の高低により透過液流量が変化し、圧力を高くすると透過液流量が増え、その際に各物質の阻止率が上がり、逆に圧力を低くすると通常は透過液流量が減り、阻止率が下がる傾向があることは以前から知られており、種々の理論的な検討が進められてきた。
[0036]
 本願発明者らは、ポリグリセリンのパッセージと透過流束の関係について、AFC30とジグリセリン(G2)、トリグリセリン(G3)、テトラグリセリン(G4)、ペンタグリセリン(G5)以上の混合液を用いて、温度32~42℃での種々の条件で分離試験を実施した。その結果を表1、表2、表3に示す。
[0037]
 表1記載の試験条件について記載する。
試験装置:PCI Membranes社製膜分離装置BRO/BUFに、同社製PCI Membranes社製AFC30、1.2mのB1膜モジュール3本を装着したものを使用した。
[0038]
分析方法:ポリグリセリンの分析方法は以下の通りである。試料を濃縮装置で水分を除いて濃縮サンプルとし、別途、テトラデカンに対しピリジンを加えた内部標準液を用意しておき、濃縮サンプルに対し、内部標準液、ヘキサメチルジシラザン、クロロメチルシラン、クロロトリメチルシランなどを加えて加熱し、TMS(トリメチルシリル)化した後、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
[0039]
 また、試験装置を運転しダイアフィルトレーションを実施する際に、AFC30のB1膜モジュールのドレン配管中のサンプリング口から透過液を取り出し、その際の透過液流量を記録するとともに、その時点の循環液および透過液のサンプルの分析を行なった。
 表1記載の循環液濃度と、表2記載の透過液濃度から、パッセージ(その成分の透過液中濃度/その成分循環液濃度)を計算した。これらの値はG2については、0.28~0.77まで、G3については0.07~0.33、G4については0.02~0.07まで幅広く分布している。これらの値と透過流束の関係を検討した。表2記載の透過液番号A1,A2,A3などのアルファベットは各循環液番号に対応し、数字は使用した3本のモジュール上流側から1,2,3の順に付した。
 非特許文献2の30ページは、溶解拡散モデルによる分離膜内の輸送方程式について
Rint=Jv/(Jv+Bav) (1-22式)を示している。
Rint:阻止率(-)
Jv:透過流束(文献では m/sec)
Bav:溶質透過係数(文献では m/sec)
この1-22式を変形し、以下の関係を想定し、
Rint=Jv/(Jv+Bav)   
1-Cp/Cm=Jv/(Jv+Bav)   
 ここで膜表面の濃度であるCmは直接測れないことから、濃度Cmを直接測定できる取扱液の循環液濃度Cbに置き換えて考えたアナロジーで Cp/mをCp/Cb=パッセージとする以下のアナロジー式を試算用に想起した。
∴ Cp/Cb=Passage=1-Jv/(Jv+B) 
∴ Passage=Bav /(Jv+Bav)
∴ 1/Passage=1+Jv/Bav
簡略化して 1/Passage=1+J×(1/B)
 ここでJは Fluxで (kg/m /時) (1/B)は試算係数とする。
ポリグリセリンの分離実験からで得られたパッセージとフラックスの値から溶質透過係数に相当する試算係数(1/B)=(1/Passage-1)/Jを試算して表3に示す。
[0040]
 表2から判るように、透過流束は3本の膜モジュールに装填したAFC30毎に大きく異なる値を示し、かつ対応したパッセージの値も異なるが、逆算した試算係数(1/B)(表3)がそれぞれの循環液に対応して近接した値を示し、特にトリグリセリンについては、5種類の循環液に対して、試算係数(1/B)がかなり近い値を示した。ここに本願発明者は操作圧力を用いた透過液流量あるいは透過流束を管理する手法を用いて、1成分あるいは他成分についてパッセージを維持あるいは変化させる運転方法の可能性を見出した。
[0041]
 表2においてA,B,C,D,Eと記載したデータは、その順に沿って循環液中のトリグリセリン濃度に対するジグリセリン濃度比が、1.0~0.33までの循環液での値である。表3に示した試算係数について、濃度が高いトリグリセリンについて、A,B,C,D,Eの間で、近接する傾向がみられ、一方でこの濃度比の減少にともなってジグリセリンほかの透過傾向は高くなる傾向もみられ、組成変化の影響を示唆している。本願発明者はこれらの知見を基にして、ダイアフィルトレーションの進行度合に合わせた、透過液流量、膜分離装置の運転圧力、運転温度、循環液濃度、循環液量の操作項目とした分離性能の制御方法を想起するに至った。
1/Passage=1+Jv/Bav 式1)
 ここで上述の式が、2成分について同時に成り立つと仮定して、Jvを消去し、2成分のパッセージ(Passage)の関係を想定する式について以下に考察した。パッセージはPSGで、A成分についてはPSGA、B成分についてはPSGBと表記する。
BavA(1/PSGA-1)=BavB(1/PSGB-1)
∴ (1/PSGA-1)=(1/PSGB-1)/(BavA/BavB)
∴ (1-PSGA)/PSGA=(1-PSGB)/PSGB/(BavA/BavB)
 図2は、表2に示したトリグリセリン(G3)のパッセージを横軸に、その循環液と透過液におけるジグリセリン(G2)、トリグリセリン(G3)、テトラグリセリン(G4)のパッセージを縦軸にプロットしている。原点から(1,1)にかけて引いた2本の曲線は、次の式における係数各αを用いて各ポリグリセリンについて試算して引いた仮想の曲線で、これらの係数は表2のパッセージの値から計算したBavGi/BavG3のG2とG4での算術平均から求めた。
(1-PsgGi)/PsgGi=(1-PsgG3)/PsgG3/αGi-G3 式2)
αG2-G3=5.53   上記の式で i=2の場合
αG4-G3=0.20   上記の式で i=4の場合
[0042]
 図2のG2とG3、G4とG3の関係が、前述の仮想曲線によくあてはまることから、本願発明者は、特許文献1の表7の単糖類、二糖類、三糖類以上の混合系でのデータ、非特許文献3のビタミンB 12、ラフィノース、蔗糖、グルコース、グリセリンの単一成分の水溶液でのデータ、非特許文献4のオリゴ糖の水溶液でのデータでの良好な2)式と同様の対応が可能なことを確認した。
 非特許文献4のFIG.4のデータの、分離膜DS-5-DLでのオリゴ糖の水溶液の温度25℃、35℃、45℃、60℃におけるデータについて、透過流束と、蔗糖と果糖(フラクトース)の各パッセージの関係、蔗糖とラフィノースの関係で本明細書の式2)への十分な適応が認められる。また、全データをまとめたグラフからも図2に記載した形式と同様の縦軸(果糖あるいはラフィノース)と横軸(蔗糖のパッセージ)をパッセージの対数にしたグラフから各成分のパッセージ相互の関係が簡潔な曲線あるいは直線で有意に表せることを確認した。
[0043]
[表1]


[0044]
[表2]


[0045]
[表3]


[0046]
 本願発明者は、膜分離によるダイアフィルトレーションで透過傾向が近接している目的物質の分離を適切に実行するためには、それらの物質の透過傾向を適切な範囲に維持することが重要と考えた。そして、透過を促進させたい物質の透過促進と透過を抑制させたくない物質の透過抑制に適する運転状態を実現するために、膜分離装置での操作項目としての運転圧力、運転温度、運転濃度、水素イオン濃度(pH)の、透過傾向への影響の利用方法の課題に取り組んだ。
[0047]
 表2は温度、圧力、pHが異なる条件での透過傾向をパッセージとして表している。A,B,C,D全ての循環液の条件での透過液のパッセージについて、各モジュールからの透過液で異なるパッセージ値を示していることは、流量あるいは透過流束の影響と考えられた。
 表3に表した同条件の循環液での各モジュールから得た透過液のパッセージ値とその時のフラックスの値から1/B=(1/Passage-1)/Jを試算したところ、各循環液各モジュールでのG3についてほぼ一致しており、G2,G4についても、G3との比較のレベルでは十分に近接していた。そこで、膜分離装置の循環液温度、含有有機物などの循環液濃度、循環液量などの透過液流量や分離傾向に影響を与える項目を管理したうえで、循環液の圧力の調節による透過液流量の調整によって膜分離の分離透過傾向を制御する可能性を着想した。また、この分離傾向を、維持する意味でも、積極的に変化させる意味でも利用できる可能性を認識した。ここで、
Passage:透過液中着目物質濃度/循環液中着目物質濃度(-)
J:透過流束(kg/m /時)
B:計算値(kg/m /時)
[0048]
 図2では、表2のG3のパッセージを横軸とし、G2.G3.G3のパッセージを縦軸に表した。表2および表3に示した透過流束、温度などが異なる条件でのパッセージは、単一成分の透過傾向はそれぞれのデータで異っているものの、基準になる成分(図2ではG3)と他の成分(図2ではG2,G4)間のパッセージについての相関関係を示唆している。また、この関係は、膜の種類に依存すると想定した。これらのことから膜分離の分離傾向を、透過性がある物質群全体の透過傾向と捉えて制御することを発想し、特に透過液流量による物質群全体の透過傾向の制御を着想した。
[0049]
 本発明では、膜分離装置での取り扱い液、すなわち循環液や内部循環液の含有物質濃度管理と透過液の同様な濃度測定による管理に着目した。すなわち、膜分離装置への供給液や内部循環液の含有物質濃度、特に糖度、密度などによる循環液濃度の測定値と、透過液の屈折率計、糖度、電気伝導度計などの測定器や分析装置よる測定値を用いた管理を並行して実施することで、膜分離による精製プロセスの性能や操作性を向上することを着想した。
[0050]
 以上の知見を基に本発明を完成したものであり、本発明では、ダイアフィルトレーションでの分離状態や進行経過を示す指標を用いて、処理の完了までの進行や運転を管理する操作項目を設定して、望ましい分離を実現することを可能とした。
[0051]
 次に、本明細書において使用する用語について以下に説明する。
[0052]
<ダイアフィルトレーション>
 この明細書では、膜分離に用いるダイアフィルトレーションを「膜分離の操作の対象として供給する懸濁液や液状の原液や処理中の液に洗浄液を加えて、膜分離装置から透過液を取り出し、残液を得ることで、目的物質を透過液と非透過液(残液や内部循環液)に分離する操作」と定義し、透過液に取り出したい物質と残液に残したい物質の双方を目的物質として記述する。この洗浄液としては、新鮮な洗浄液を用いても、プロセスの中で、あるいは別に用意した透過液などの目的物質を含んだ液を洗浄液として用いても、またあるいは希薄な原液を対象として別の洗浄液を加えることなく透過液を取出してもダイアフィルトレーションの定義の範疇に含まれる。
[0053]
<原液>
 本発明で用いる“原液”は、液体、固体である原料を液状で取り扱い、水などの溶媒と目的物質を含有している種々の液が対象となる。原液中の溶媒は、水、アルコールなどの水溶性有機溶媒と水あるいは有機溶媒の混合物である。目的物質は液体状態で取り扱えることが望ましいが、固体として含まれていても、分散液相であっても分散液相中に含まれていてもよい。また、目的物質は有機物、無機物、塩類、反応原料、製品、副産物、有価物、有害物などさまざまな分離目的の対象物質を含んでいる。
 多くの場合、原液は膜分離装置で取り扱える範囲上限に近い含有物の濃度が望ましいが、希薄な状態で原液が供給される場合は、洗浄液を加えなくても透過液に目的物質を抜き出すダイアフィルトレーションが実施でき、膜分離装置で濃縮の後に引き続いてダイアフィルトレーションをすることも可能である。事前に実施したバッチで発生した移送時の残液の希釈液や関連する工程で得た透過液を原液として取り扱う場合は、あらかじめ濃縮するか、ダイアフィルトレーションに並行して別の膜装置などを利用して濃縮することが望ましい。逆に洗浄液や循環液で、固形物や原液の濃度を予め希釈することも可能である。
 原液は膜処理の途中“循環液”あるいは“内部循環液”として処理装置内であつかわれ、その処理が進んだ時点あるいは段階で、“残液”として処理装置内に残り系外に抜き出される。
[0054]
<溶媒>
 本発明で用いる“溶媒”は、原液を取り扱うために用いる液体で、それ自体が水、温水、冷水、エタノールなどの水溶性溶媒の水溶液、有機溶媒、あるいはそれらの混合物を含む。
[0055]
<膜洗浄液>
 洗剤や溶媒を用いた膜洗浄を目的として、膜洗浄の際に用いる洗浄液を膜洗浄液として記載した。
<新鮮な洗浄液>
 本発明で用いる“新鮮な洗浄液”は、水、温水、冷水、エタノール水などの水溶性溶媒、ヘキサンなどの有機溶媒など、目的とする分離に適する系外から供給する洗浄液である。単一あるいは複数の純粋な溶媒あるいはそれらの混合物である必要はなく、洗浄操作に適していればよい。
[0056]
<洗浄液>
 本発明で用いる“洗浄液”は、ダイアフィルトレーション操作において、原液や循環液あるいは内部循環液に加える液全般を指す。すなわち、運転前に装置内に充填する液も洗浄液の範疇に包含され、ダイアフィルトレーションで洗浄用に供給する液も洗浄液である。新鮮な洗浄液は系外から供給し、これも洗浄液に含まれる。洗浄液は抽出用の溶媒(抽剤)としても用いることができる、すなわち、原料中の、特に分散相に含まれる物質の抽出を目的として洗浄液を抽出液として加え、原液中の目的物質を膜によって阻止される物質を除いた形態での透過液として、原液から抽出液を得る場合に用いる。
[0057]
<分離膜>
 本発明で用いる“分離膜“は”膜“とも表し、逆浸透膜(RO膜)、ナノ膜(ナノフィルトレーション膜、NF膜)、限外濾過膜(UF膜)の圧力駆動を用いる膜を指し、これらの膜は管状、スパイラル、中空糸、平膜などの膜モジュールあるいは膜分離装置に組み込まれて使われ、膜分離装置に供給された処理対象液を透過液と非透過液(残液あるいは濃縮液)に分ける機能を有する。膜モジュールとしては膜表面の濃度分布が均質にしやすい管状膜が望ましいが、スパイラル膜、中空糸膜、平膜など圧力駆動を用いる形式の膜を利用することができる。膜の材質は、有機系、無機系、それらの複合系の膜が利用できる。
[0058]
<膜分離装置>
 本発明で用いる“膜分離装置”の基本構成は、適宜選定した分離膜およびその膜モジュールや膜モジュールの集合体で、場合によっては内部循環ポンプ、熱交換器およびそれらを接続する配管を含む。処理対象液、原液、洗浄液、ダイア水などは、膜分離装置に昇圧ポンプで昇圧して供給あるいはあらかじめ加圧した液を流量調節弁や圧力調弁を通じて、膜分離装置に受け入れる。膜分離装置の運転圧力は、膜モジュールから排出する残液の抜き出し配管中の制御弁や昇圧ポンプの返送配管中の調節弁などの適宜選択された圧力調節機構によりその運転圧力を制御する。また、膜モジュールからの透過液の抜き出し手段を備えている。
[0059]
<NF膜>
 IUPAC(国際純正・応用化学連合)は、ナノ濾過を「2nmより小さい程度の粒子や高分子が阻止される圧力駆動の膜分離プロセス。」としており、本発明ではこの定義に従い、ナノ濾過を行なう膜をナノ膜(ナノフィルトレーション膜、NF膜)と記載する。ナノ膜には、水系で使用するナノ膜と、もっぱら有機溶媒系で使用する疎水性のナノ膜が含まれる。
 水系で使用するNF膜の例としては、PCI Membranes社 AFC80,AFC30、AFC40、Osmonics社Desal 5DL、Desal 51HL、日東電工社NTR7450、FILMTEC社 NF-2540などが例示できる。主として有機溶媒系で用いる膜の例としては、Davison Membranes社のSTARMEM120、STARMEM240、などが例示できる(STARMEMは登録商標)。
[0060]
<UF膜>
 同様にIUPACは、限外濾過を「0.1μm~2nmの範囲の粒子や高分子が阻止される圧力駆動の膜分離プロセス。」としており、本発明ではこの定義に従い、限外濾過を行なう膜を限外濾過膜(UF膜)と記載する。
 UF膜の例としてはPCI Membranes社製 CA202、EM006、ES006、ESP04、ES404、PU608、ES209、PU120、FPT03、FPA03、FP100、FPI20、FPA20、FP200、L6000などが例示できる。
[0061]
<RO膜>
 同様にIUPACは、逆浸透を「膜片側の加圧により浸透圧差と逆方向の溶媒の選択的移動が引き起こされる液相の圧力駆動分離プロセス。」としており、本発明ではこれらの定義に従い、逆浸透を行なう膜を逆浸透膜(RO膜)と記載する。UF膜の例としてはPCI Membranes社製 AFC99などが例示できる。
[0062]
<バッチ法と連続法>
 本発明で用いる“バッチ法”によるダイアフィルトレーションの一つの形態は、循環液を貯蔵する容器の循環液槽と膜分離装置間をポンプで、循環液槽、昇圧ポンプ、膜分離装置、場合によっては膜分離装置内の循環ポンプ、循環液槽と配管などで構成される循環系に循環液を貯留させ、その循環系のいずれかの装置あるいは配管などから洗浄液を加え、透過液を膜モジュールから抜き出し、残液を得る運転方法である。また、複数の膜分離装置を用いて循環液槽とそれらを連結して循環液槽との間に循環系を形成して分離を進めることもバッチ法として用いることができる。
 一方“連続法”によるダイアフィルトレーションは、用意した処理用原液を膜分離装置に連続的に供給し、洗浄液を加えながら、残液と透過液を装置から抜き出す運転方法である。
 さらにバッチ法と連続法は併用することができ、全体での処理はバッチ法で、その間原液の受け入れや洗浄液の供給を連続的に行い、そこで得た残液に対して、バッチ法による処理を施し、さらに製品を連続法で取り出すなど連続法とバッチ法を組み合わせた処理が可能である。
[0063]
<連続ダイアフィルトレーション 連続多段ダイアフィルトレーション、連続多段向流ダイアフィルトレーション>
 本発明における最も簡潔な連続処理方法は、原液と洗浄液を昇圧して膜分離装置に供給し、透過液を得ながら透過しなかった残液を膜分離装置から系外に得るものである。循環液槽,昇圧ポンプ、膜分離装置、循環液槽間の循環は、循環液槽を用いても用いなくても可能である。膜分離装置内の内部循環についても用いても用いなくて実施できる。
 また、複数の膜分離装置を直列に連結して多段システムとし、新鮮な洗浄液の供給を多段に供給する方法を連続多段ダイアフィルトレーション法としても実施できる。
 複数の膜分離装置を直列に連結して多段向流システムとし、洗浄液を最終の膜分離装置に主として供給し、その他の膜分離装置に洗浄液として後段の透過液を昇圧して用いる連続多段向流ダイアフィルトレーション法としても実施できる。
 原液を連続的に循環液槽に受け入れ、循環液槽内の糖度などの内容物濃度を調整しながら、複数の膜分離装置を用いて処理を実施し、それらの装置による処理を終了した液を、一旦中間槽に貯蔵し、原液の供給を終えて原液の処理を完了し、中間槽中の液を前述の複数の膜分離装置で引き続いて処理を実施し、処理済の残液を連続的に系外に排出するなど、連続処理とバッチ処理を混合して用いる処理も実施できる。
 一般に膜分離によるプロセス液の処理においては、膜の洗浄が重視される。、本発明によるバッチ処理の場合も、プロセス液の処理が終了したあと洗浄処理を実施する事ができる。また、本発明による連続処理においても、一般的に膜の洗浄は必要で、膜の運転状態に対応して、洗浄を実施することができ、またあらかじめ定めた時間の運転後に洗浄を実施することもできる。そして、その間の膜分離装置の運転条件に操作項目、分離状態指標、進行経過指標を用いることで、膜分離装置の状態変化に対応した運転を実施する事が可能になる。
[0064]
<内部循環、循環液槽、循環液、残液>
 本発明では、膜モジュール内の膜面での流量を確保するための膜モジュールの出口から膜モジュール入口への循環ポンプによる循環を“内部循環”とよび、その液を内部循環液と称する。また、本発明で循環液槽を用いる場合、循環液槽から、昇圧ポンプ、膜分離装置、循環液槽の間を循環する流れおよびその間の装置を“循環系”と称し、その間を循環している液を“循環液”と称する。前記の内部循環液と循環液を総称して循環液とも称する場合がある。
 また、前述の循環液について、ある時点までの処理を終えた場合に、“残液“と称する。
[0065]
<操作項目>
 本発明において、操作項目は、膜による目的物質の分離に直接的に影響を与える項目であり、膜分離装置での操作項目としてその項目を設定し、分離状態指標を設定域にするかあるいは進行経過指標に基づいて操作項目に設定域を直接設けて、その操作項目を維持、変更、調整あるいは制御する。
 具体的な操作項目には、膜分離装置の膜モジュールからの透過液流量、あるいは膜分離装置からの循環液の膜モジュール出口あるいは圧力に代表される膜分離装置の運転圧力、循環液(あるいは残液)の運転温度、水素イオン濃度(pH)、洗浄液の供給による制御の基準となる循環液濃度、循環液量が選択できる。分離状態指標や進行経過指標によって膜分離状態、運転状態あるいは膜分離操作の進行経過にあわせて操作項目の設定域を定める事ができる。
 使い方の例としては、操作項目として透過液流量の設定域を設け、他に運転温度、循環液濃度が一定になるように運転制御しながら、分離状況指標である透過液流量を運転圧力の調整によってその設定域内に確保することで、透過傾向を制御する方法がある。同様に操作項目として透過液流量の設定域を設け、他に運転温度、運転圧力が一定になるように運転制御しながら、ダイアフィルトレーション水供給量制御を伴う循環液濃度制御の濃度設定値の調整によって、設定した透過液流量を達成する方法がある。循環液温度は冷却水の供給量で、循環液濃度はダイアフィルトレーション液の供給量で、運転圧力は循環液あるいは排出系に設けた制御弁で調整できる。
 なお、透過液流量は、同じ種類の膜を用いた膜分離装置中の膜から単位時間当たりに得られる透過液流量を通常用いるが、その膜分離装置中全ての膜からの流量でも、一部の膜からの値でもよく、その表現は透過流束(kg/m2/時)でも透過液流量であってもよい。ここで設定域は必ずしも上限下限の双方を規定する必要はなく、目標値として設けても良い。
[0066]
<“分離状態指標”>
 本発明において、分離状態指標は、運転中の膜分離装置の分離状態を量的に把握するための指標であり、それが運転項目設定域の維持、変更、調整または制御の指標となる。具体的な分離状態指標には、循環液および/または透過液あるいは容器に蓄積した透過液の屈折率、糖度、密度、光透過度、電気伝導度、赤外線分光などのセンサーあるいは分析装置による測定値や分析値、あるいは上述の測定値や分析値の経過指標による微分値、すなわち経過時間、透過液量、洗浄液量などによる微分値や変化率、平均値、積分値などの数値処理をした値、あるいは循環液の同様な値、透過液と循環液の同様な値の比率、それらの値と先行時点で得た値との比率などの関係指標を用いることができる。
 分離状態指標の使い方としては、膜分離装置の運転において、操作項目を選び、分離状態指標に設定域を設け、その設定域に測定あるいは測定に基づく計算で得た対応する分離状態指標がその設定域になることを目標として、操作項目の調整や制御に用いる。
<透過液流量の操作項目としての設定域と分離状態指標としての設定>
 透過液流量や透過流束は操作項目としても分離状態指標としても設定域を設けることができる。まず透過液流量を操作項目として設定域を設けた場合は、その測定値は分離状態指標にも操作項目にもなり、いわば分離状態指標としての透過液流量を見ながら、その値を運転圧力等の調節を通じて設定域に入るように運転する。また、分離状態指標として得た測定値や分析値を透過液流量以外の操作項目の制御に使いながらダイアフィルトレーションを制御する場合、例えば循環液濃度などを操作項目として調節し、透過液量を設定域に制御する方法がある。すなわち透過液流量や透過流束を、操作項目、分離状態指標の片方あるいは双方として利用する事が可能である。
[0067]
<進行経過指標>
 本発明における、進行経過指標は、膜による分離操作の進行度合いの量的把握あるいは運転の段階から段階への移行や終了の判断のための指標である。この指標は、時間、液量、などの集計できる量的指標のみならず、残液、透過液、原液の濃度や濃度比などの分離の結果を示す指標や、粘度、電気伝導度、pHなどの物性、洗浄液などの供給液量でも良く、場合によって分離操作の経過によって変化する処理対象液量、その測定値や分析値あるいはそれらを用いた計算値、あるいは透過液の測定値や分析値あるいはそれらを用いた計算値を用いることが出来る。進行経過指標の値に対応した分離状態指標の設定値を設定することが出来、進行経過指標の値に対応した操作項目設定値を直接設定することも可能で、それぞれ操作項目を維持、変更、調整あるいは制御することが出来る。連続処理においては、操作する膜分離装置の運転状態を進行経過指標を用いて把握し、それぞれの膜分離装置の操作項目を設定する。
[0068]
<パッセージと阻止率>
 膜分離装置でのナノ膜やUF膜による目的物質の分離性能は、各物質の見かけの阻止率Rapp(以下阻止率と記載する)や、透過液の目的物質の1成分濃度Cpの供給液の同成分濃度(Cb)に対する比率として計算されるパッセージで表せる。
Cp:透過液の目的物質の1成分濃度(g/kg)、
Cb:モジュールへの供給液の同成分濃度(g/kg)
[数1]


また、供給液の濃度に代えて、循環液の濃度を用いて評価することも可能である。
[0069]
<透過傾向の制御>
 ひとつの成分についてのパッセージは、すでに表1、表2、表3および図2を用いて説明した透過液流量や透過流束の変更により変化させることができ、透過液流量が増えればパッセージが小さくなる傾向やその逆が利用できる。そして操作項目としての透過液流量や透過流束は、図2に例示したように、選択した分離膜あるいは膜分離装置における各成分同士の透過傾向に関係があり、膜装置の運転圧力や運転温度の上下によってパッセージを変化させることができ、種々の運転操作による透過液流量は種々の操作によって変化し、同時に透過傾向も変化する。その変化は透過傾向が近接している物質同士でも一緒に変化することが可能であり、こうした作用を利用して分離傾向は制御できる。
 バッチ式での具体的な透過傾向の制御は、多くの場合、望ましい透過液流量設定域を実現する操作圧力の調節によって実現できる。分離傾向は、膜の状態、循環液の温度、循環液濃度、pH、循環液量の影響を受ける。使用すべき透過液流量は常時同一でなくてもよく、透過液流量の変化は透過傾向に強く影響し、透過液流量の変更によって迅速な制御が達成できる。望ましくは透過液の組成を反映した分離状態指標による分離状態の把握と、透過液流量や運転圧力などの操作項目やその設定域の設定、維持、変更、調整、制御することによって制御することができる。また、場合によって分離状態指標を用いなくても、透過液量や経過時間などの進行経過指標を用いて操作項目の設定域の設定、維持、変更、調整、制御によって適切な膜分離が実施できる。
 また、循環液の温度は、運転の過程では変動する要因、例えばポンプからの入熱、投入液の温度などにより異なる条件が刻々形成される一方、制御する項目は、熱交換器による冷却や加熱によって透過液の流量や組成が調節できる。温度の制御と圧力や濃度等他の運転項目の制御によって透過傾向の調整や制御が可能である。
 また、循環液の組成やpHは透過液流量や分離傾向に影響し、糖度や電気伝導度などによって測定される循環液中の内容物濃度は、直接透過液流量に影響を与える。また、濃度の制御は供給する洗浄液量や循環液量の設定量の変更、あるいは透過液の循環液への返送量の調節による濃度調整によって制御でき、pHについては、酸性物質やアルカリ性物質の投入や、それらによるpH調整によって制御することも可能である。
 こうした透過傾向の変動要因を組み合わせて、望ましくは透過流束の運転圧力による制御を組み合わせることで、透過傾向の制御が可能になる。このことは連続法においても、連続法とバッチ法の組み合わせにおいても同様に実施できる。
[0070]
<組成に関する測定値、循環液濃度、含有物質濃度>
 本発明では原液、運転開始時の循環液、膜分離装置の循環液、透過液などについて屈折率計、糖度計、密度計、光透過度測定装置、電気伝導度計などのセンサーから得る組成や濃度に関する測定値を、循環液や透過液の状態を示す指標として用いることができる。特に循環液の濃縮や洗浄液供給量などでの循環液の管理においては、循環液の組成や濃度に関する測定値膜分離装置の運転に適した管理が重要である。循環液の組成や濃度は、膜の透過傾向に直接影響するほか、濃度が高すぎる場合は急激なファウリングの進行や運転可能時間の短縮が起こりやすくなり、濃度が薄い場合はダイアフィルトレーションの効果が低下する。そこで糖度、密度、屈折率、電気伝導度などの測定値を循環液の管理に用いる。複数の成分を含む液でのそれらの測定値は、物質や物質群の合計濃度のほかにも組成比、温度などの複雑に影響を受けるが、必ずしも測定値が実際の物質や物質群の濃度と対応していることは不可欠ではなく、こうした測定値やそれらを基礎にした値を用いて、適切な循環液量管理や濃度管理を実現するための指標として用いることが重要である。測定に際して、必要に応じて温度補正やサンプルの温度管理などを行うことが望ましい。循環液の濃度について膜分離に適する濃度範囲に関係する濃度の意味で用いる場合、特に“合計物質濃度”を用いて説明した。
[0071]
<糖度、糖度比等>
 本発明で用いる“糖度比”は〔透過液の糖度〕÷〔循環液の糖度〕を指し、その分離状態指標としても進行経過指標としても用いることができる。すなわち同じ循環液に対して、透過傾向が大きい運転では、糖度比は大きくなり、透過傾向が小さい運転では糖度比が小さくなり、この指標の設定域を設けて操作項目を調整、制御することができる。またこの糖度比は、膜精製の進行経過指標として運転段階の変更や運転段階の終了の検知に使用する事も可能である。
 また、この糖度比や透過液の糖度は透過傾向の変化を表す。圧力を推進力とする膜分離において、各成分のパッセージ間には図2のような関係があり、基準となる物質のパッセージの上昇や下降と他のパッセージの上昇や下降とリンクして発生することが一般的と考えられる。同じ循環液濃度に対する透過液の糖度や糖度比は、パッセージすなわち膜分離での各物質の分離傾向変化の変化による各物質濃度の変化として表れ、同じ濃度の出発時の循環液からの運転後の循環液の透過液の濃度は、それまでの操作によって到達した濃度とそこまでの分離性能の双方を反映しており、その双方を総合した指標として把握できる。
 糖度は屈折率の測定原理と同じ方法で測定され、糖以外にもグリセリン類やグリコール類にも適応できる。糖度以外にも電気伝導度や、TOC(全有機炭素)、液の密度を基準についても、糖度と同様の指標としての使い方が可能で、それぞれ分離状態指標として重要である。
[0072]
<精密な分離>
 本発明において“精密な分離”とは、『透過傾向が近接している物質を相互に分離すること』である。さらに詳しくは『透過でき“透過させたい目的物質”を透過させ、透過しにくく“透過させたくない目的物質”を透過させない、膜を用いた分離において、“透過させたい目的物質”の最終透過液透過液への高い回収率、高濃度での分離や最終残液への混入の低減、および“透過させたくない目的物質”の最終残液への高回収率、高濃度での分離や最終透過液への混入の低減』を意味している。
[0073]
<流動の状態を制御するための指標>
 膜モジュールの入口と出口の圧力差などの密度や粘度の変化を総合した指標は、循環液濃度の制御として利用できる。すなわち圧力損失がある値あるいはそれ以下になるように洗浄液を添加するなどの方法を用いることで、循環液濃度を制御することは可能である。例えば圧力損失を一定にするなどの方法で濃度を膜分離に支障がない範囲で運転することは可能である。
[本発明における膜分離装置の運転方法]
[0074]
 本発明における具体的な運転方法を以下に例示して説明する。
[0075]
<図1 バッチ運転の例>
 以下に図1を使ってバッチ運転の例を説明する。
 図1は、本発明による1基の膜分離装置によるバッチ式のダイアフィルトレーションを行なう装置全体を示したフローシートである。この装置では内部循環は用いていない。循環液槽1は、金属や合成樹脂などで製造された任意の形状の容器で、底部から槽内の液が全量抜き出せるように適宜工夫し、内部の液量が把握できるように、重量、液位などが常時監視でき、適切な洗浄が実施できることが望ましい。そして、循環液槽1には、pH計8、温度計、循環液の濃度測定機能26、循環液の温度維持機構29、透過液の循環液へ
返送量調節機構30、原液供給機構21、循環液の抜き出し機構22、洗浄液の供給機構23などを付属することができるが、これらを循環液出口配管/ホース10あるいは昇圧ポンプ入口配管3に接続あるいは付属させてもよい。
[0076]
 循環液槽1には、受け入れた各液をあらかじめ混合して槽内に導入する受入れ液混合機能、槽内での不要な濃度分布の発生防止、固形分の沈降防止あるいは壁面への付着物の防止を目的として、攪拌機構、バッフル、振動機構、シャワリング機構、外部循環ポンプ、糖度計や密度計などの循環液濃度管理のための測定機構などを設けることができる。循環液槽1の内部には、槽内に長く滞留した液と、槽内に供給したばかり液の間の濃度差を有効に利用するために、槽内を分割する機能、例えば、分割した槽を連結して順次槽内の液を槽内部で移動させる機能、順次液を受け入れる槽と液を抜き出す槽を相互に切り替えて複数の槽を全体として循環液槽1として用いる機能などを適用することができる。
[0077]
 また、循環液槽1には、ガスシール機能などガス相に関わる槽内ガスや臭気のもれ対策を必要に応じて施すことができる。循環液槽用の秤2は、循環液槽内の液量を重量として計量するために使用する。循環液は循環液槽以外に、膜分離装置内や配管などにも存在するが、合計重量など循環液の全体量自体を常時把握することができなくても、運転管理の点から、循環液槽内の液量が管理できればよい。
[0078]
 昇圧ポンプ入口配管3は、循環液槽および昇圧ポンプ4に接続し、温水膜洗浄液循環用容器11、洗浄液ポンプ14、循環液抜き出し用容器12、ポンプ保護のためのストレーナーやフィルターを接続することができる。
 また、循環液槽1には、前述のように槽内での不要な濃度分布の発生を防止するための攪拌機能、固形分の沈降防止機能、振動機能、シャワリング機能、付着物防止機能を付加することができ、膜を使った分離の効果を向上させるために、循環液槽1を複数の槽に分割し、それらを連結して使用することや、複数の分割部分を交互に使用することにより、循環液内の濃度変化を段階的に進めることができる。
[0079]
 膜分離装置は、昇圧ポンプ4、圧力計7、熱交換器5、膜モジュールA 6A、 膜モジュールB 6B、膜モジュールC 6C、 圧力調節弁9、および接続配管などから構成される。圧力調節弁9出口の循環液は、循環液出口配管/ホース10により、循環液槽1に投入できる。膜モジュールA 6AにはRO膜であるAFC80を挿入し、膜モジュールB 6B、膜モジュールC 6CにはAFC30を挿入して用いることができる。ここではAFC30は目的とする原料の分離・精製に用いた。AFC80は濃度調整のために用い、循環液濃度の調整時や膜洗浄時を例外として、通常運転時の全ての透過液は循環液槽1に返送する。
[0080]
 膜モジュールの運転圧力は、圧力計7の指示で把握する。圧力計の設置場所は、昇圧ポンプのすぐ下流から圧力調節弁までのプロセス的位置で可能であるが、膜モジュールの前あるいは後の圧力ができる限り反映した測定位置が望ましく、並列に多くの膜モジュールを並べる場合に代表的な膜モジュールがわかる位置を選定することもでき、膜モジュール群全体の圧力がわかる位置を選定することもできる。膜モジュールの下流側に圧力計をつける場合も同様で、圧力計のほかに膜モジュールの上流と下流の差圧計を設ける場合も同様である。
[0081]
 膜モジュールの圧力の制御は、圧力調節弁で設定するが、それ以外の方法、例えば、昇圧ポンプ出口から循環液槽への戻りラインによる圧力調節機構による方法でもよいし、インバーターで昇圧ポンプの回転数を制御する方法などを採用してもよい。
[0082]
 熱交換器5の設置位置は、昇圧ポンプ4出口部以外にも、圧力調節弁下流につけてもよいし、循環液槽に付属させてもよく、加熱および冷却機能を備えることが望ましいが、冷却機能のみや加熱機能のみでも必要な範囲に循環液温度が制御できればよい。熱交換器は、膜洗浄時、滅菌、保存処理などの目的でも使用できる。
[0083]
 洗浄液貯槽13は、洗浄液ポンプ14の給液側にホースおよび配管で接続し、循環液槽1および/または循環液配管/ホース10、昇圧ポンプ入口配管3にも直接洗浄液が供給できるように接続している。洗浄液ポンプによる洗浄液の供給は調節弁を用いて所定の循環液濃度を維持・制御したり、所定の流量で循環液槽に供給するなどの方法で供給を管理する。洗浄液貯槽の液あるいは別に用意した液を使って、洗剤や溶媒を用いた洗浄方法が膜分離装置20および循環液槽1、その他配管などのシステムに適応できる。この洗浄液により、必要時に膜洗浄を実施する。膜洗浄液はあらかじめ加熱、冷却、濃縮、膜分離などによる精製・分離、pH調整、薬剤添加などの前処理を行ったものを使うことができる。
[0084]
 膜モジュールA,膜モジュールB、膜モジュールCの透過液は、金属製、プラスチック製などの適宜選択した材質・形状をした透過液容器に貯蔵され、透過液量の測定、透過液サンプルの取得などに適宜使用できる。直接系外に透過液を排出するなど、処理方法は適宜選択することができる。
 必要に応じて膜モジュールBや膜モジュールCの上部ノズルから各透過液は、各プラスチック容器などにそれぞれ透過液用配管/ホース16で投入できる。
[0085]
 透過液の流量は、専用の流量計で常時測定できることが望ましいが、透過液槽の重量の変化速度、液位の変化速度などにより、測定値と経過時間などから計算することもできる。
[0086]
 NF膜やRO膜透過液のパッセージと過液流量や透過流束と次式に例示されるような相互の関係があると考えられ、透過流束Jが大きい方が、パッセージは小さい値を示すと考えられる。
1/Passage=1+J×(1/B)
Jv:透過流束(文献では m/sec)
Bav:溶質透過係数(文献では m/sec)
 直列に2段の膜モジュールを使用する場合に、それぞれのモジュールからの別々に透過液を異なる透過液容器15にそれぞれ得ることが可能である。透過液の流量測定機能25によって、膜分離に大きく影響する流量測定値を得ながらそれらの透過液を取得することが望ましい。
 膜洗浄時や前準備時に、循環液槽や温水膜洗浄液循環用容器11や循環液抜き出し用容器12に、透過液を投入することが可能である。これらの透過液用配管/ホース16、ドレンホース17、透過液容器15、透過液の流量測定機能25、透過液の濃度測定機能28、および透過液を系外に抜き出す機能や透過液の全部または一部を、循環槽に返送する透過液の抜き出し機能24としてまとめて表記する。
[0087]
 膜分離装置の通常運転時における循環系は、循環液槽1、昇圧ポンプ入口配管3、昇圧ポンプ4、熱交換器5、膜モジュールB 6B 膜モジュールC 6C、 圧力調節弁9で、膜洗浄液循環時は、循環液槽を温水循環用容器11に変更することが可能である。
[0088]
 膜分離装置の運転・停止・安全保護対策が制御盤18などの制御機構で維持できることが望ましく、運転全体を自動制御、切替時は手動などの半自動制御、あるいは手動制御での運転を実施するなど適宜運転の形態や制御方法が選択できる。
[0089]
 循環液量や循環槽内部液量の管理方法は、循環液の濃度を適切に保つ方法によることが望ましく、循環液の濃度測定機能26や洗浄液供給量の制御による循環液濃度維持機構27により、循環液の濃度を制御する方法や、循環槽の循環液槽重量調節機構を使い、適宜循環液濃度を測定しながら、循環液槽重量の設定重量を設定・変更する方法が可能である。
[0090]
 循環液槽重量の設定・変更を制御する方法については、取得した透過液重量に対応した洗浄液重量を供給する方法を用いることができる。例えば、以下の関係式に示した循環液槽重量の設定値を、その段階で取得した透過液量と、入力した定数から刻々変化する循環液槽量の設定値を計算し、循環液槽重量がその設定値になるように、洗浄液を加える方法を用いることが出来る。
〔循環液重量設定値〕=〔段階開始時循環液量設定値〕-〔増減率〕×〔取得した透過液量〕
 ここで増減率は循環液の各成分の濃度、各成分のパッセージ、それまでの運転の経緯などでダイアフィルトレーションの段階に応じて設定する率である。
[0091]
 また、同様の方法として、使用予定の洗浄液量:WWS、開始時の循環液槽内の重量:WLS,終了時の循環液槽内重量:WLE、刻々の透過液量:WPから、刻々の循環液量WLを設定する方法で、循環液量や循環液濃度を実質的に制御する方法が可能である。計算式の例は以下である。
循環液WL=WS+(WE-WS)×WP/(WS-WE+WWS)
 上の式に対応した設定値を用いることで、あらかじめ用意した洗浄液量の全量を使い切り、開始時の循環液重量からその洗浄捜査後の循環液量に平均的に変化させる操作が実施できる。
[0092]
 圧力調節弁9の下流での循環液の温度の測定値を設定値に調節すべく、チラー水ユニット19からのチラー水の供給を制御する循環液温度調節機構29、透過液の合計重量表示機構および透過液重量の時間変化とその間の時間から計算した表示する透過液流量表示機能、圧力調節弁9下流の糖度を表示する循環液糖度表示機能を持つ操作盤などの制御・監視・記録機能があることが望ましい。
[0093]
 循環液や透過液の測定や分析には、市販の種々の測定装置、分析装置が使用でき、常時測定を継続できるタイプのものが望ましいが、ハンディータイプの機器のように適宜サンプルを取り出して、測定や分析するタイプのものでもよい。
[0094]
<運転前の準備> 
 バッチ式のダイアフィルトレーションを行なう装置の運転は、適宜装置内および分離膜を洗剤や溶媒を用いて膜を洗浄し、必要な場合は分離を実行する前に、使用する分離膜の使用する分離条件に適した前処理、例えば一旦高い温度にした後、通常の温度で使用する、あるいは一旦pHを高い状態に維持して膜を調整した後、通常の運転条件で使用するのなど前処理条件や運転条件は適宜選定できる。
 運転前に、予め対象とする分離に適する条件の概要を選定しておく。運転条件は運転性能に直接影響するが、循環液の濃度や、温度、pHには、その液を取り扱う上での上限や下限があり、膜分離装置の運転についても、その温度、圧力、pH、圧力損失、粘度などに上限を設定することができることから、そうした条件を満たす、より適切と思われる条件からテストを始め、試行により適切な運転条件を選定することができる。膜の種類の選定も同様である。
[0095]
 また、必ずしも一般性はないが、多くの場合に種々の物質について“pHが高い方が分離膜での透過しやすい傾向”、“運転温度がより高い条件で透過液流量が大きい傾向”などの経験則を踏まえて、運転条件やそれぞれの影響度合を検討することができる。
[0096]
 その後、透過液流量を制御可能な運転に関する操作項目として、透過液流量を最も敏感な操作項目としながら、操作するpH、温度など他の条件に対応して分離試験のデータを収集し、適切な条件と対応する透過流束や透過液流量などの、分離に適した運転条件を選定する。
[0097]
<運転>
 具体的な運転例は実施例に記載するが、実施にあたって、運転圧力とモジュールの設置位置、循環液の抜き出し、ダイアフィルトレーション、透過傾向の維持と変更について説明する。
[0098]
<透過液量や濃度の測定とモジュールの位置、運転圧力と透過液流量について>
 膜分離装置の運転中の膜装置や膜モジュールからの透過液量の測定について、その測定は種々の位置で可能であり、透過液のサンプルも種々の位置から取得でき、これらの位置の選定は、運転方法に影響するが、以下の例からその位置は選択できる。透過液の流量測定機構25および透過液の濃度測定機構28は、膜分離装置全体の透過液全体や平均化した値を目的に設置してもよいし、一部の膜モジュール用を代表させて設置してもよい。
 膜モジュールを直列に接続して用いる場合は、上流側に用いても下流に用いてもよいが、循環液側の圧力がより低い下流側の膜モジュールは通常透過流束が小さくて透過液の濃度は高くなり、循環液の状態を敏感に反映した濃度測定が可能になる。反対に上流側のモジュールについては圧力が高く透過流束が大きいことから、平均的な透過液濃度を知りたい場合には上流側を選んだ方が平均的な透過液の組成を反映する。
 透過液流量を減らして透過する物質を高濃度にする方法として圧力を下げた場合、浸透圧相当の影響を受けて透過液流量は減少し、下流側に設置したモジュールから透過液が得られなくなる場合もある。そこで、こうした場合も考慮して透過液の流量測定機構25や透過液の濃度測定機構28の設置場所や操作項目の設定域を選定する。
[0099]
 バッチによる分離の終了と判断する段階で、循環液を最終残液として抜き出すことができる。また、終了と判断する段階で、濃度が上昇していたほうが、有利と判断すれば、一旦運転圧力を上げ、循環液濃度を上昇させてから、循環液や透過液を抜き出すこともできる。透過液の測定値や分析値を制御や判断に用いる場合、膜から出された透過液がモジュール内で蓄積されてきた液による影響を除くため、測定にあたってモジュールや配管内の液を一旦ドレンとして排出した後、透過液を得て測定や分析に供することは制御の応答や種々のタイミング選定の意味から効果があり、段階の切り替えや終点のタイミングの判断でも効果がある。このドレンは複数のモジュールを用いる場合、透過液全体の濃度は反映していないので、判断にあたってはその透過液の流量と測定値や分析値の関係を考慮する
ことが望ましい。
 循環液の抜き出しは、循環液の抜き出し機構22を用いる方法、循環液槽内の循環液を昇圧ポンプおよび/または内部循環ポンプを用いて系外に抜き出す方法、循環液出口配管/ホース10を用いて別に用意した容器や貯槽に移送する方法から適宜選択して実施する。
[0100]
<循環液の抜き出し>
 ダイアフィルトレーションが終了した段階の残液は、ポンプにより循環液槽などから直接抜き出せる。また膜分離装置内や循環配管に残った循環液は、洗浄液や温水などで系外に押し出すことができ、内部循環槽への洗浄液の噴霧などを採取する操作と組み合わせる方法による残存分の実行可能である。
[0101]
  <透過傾向の制御>
 また、ダイアフィルトレーションの分離にともなって、その操作項目の設定域を一定にしても、徐々にあるいは段階的に操作項目の設定域を変更しても、循環液や透過液の分離状態に応じた分離性能を確保することが可能で、望ましくは他の操作条件は必要に応じて変更し、分離状況指標あるいは進行結果指標にあわせて透過液流量を変更することができる。
 また、ダイアフィルトレーションの分離にともなって、その操作項目の設定域を一定にしても、徐々に変更しても循環液や透過液の分離状態に応じた分離性能を確保しても良い。
[0102]
 また、ダイアフィルトレーションを複数の段階に分け、段階毎に各々選択した操作項目の設定域を設定することができる。すなわち透過液流量、運転圧力、運転温度の設定域の変更、薬剤の添加によるpHの変更などの方法などにより、各段階の終点や始点を管理しながら、各段階の操作項目の設定域を制御し、各段階の膜分離に望ましい分離状態を達成することで、ダイアフィルトレーション全体として望ましい分離について、繰り返して実施するダイアフィルトレーションでの分離結果をそれぞれの分離目的に沿ったものにする。
[0103]
<透過液流量の変更による混合物の糖度の変化の説明>
 仮に開始時の運転条件における2種類の物質のパッセージが、開始時の物質Aは0.1、物質Bは0.0の状態で、物質Aが10%物質Bが10%(以下この項は糖度相当分として説明)の開始時の液を、物質Aの濃度をダイアフィルトレーションによって低下させながら、合計糖度を20%に維持する運転を実施し、物質Bの濃度は徐々に上昇し20%に近づくようにする。ここでは糖度とこの合計量は徐々に少なくなり、その物質Aの濃度は0%に近づくことになる。
 元の透過液流量の状態を維持した運転で、物質Aの濃度が1.5%でパッセージが0.1の時、糖度測定は0.15%(1.5%×0.1)になり、糖度計の測定限界が0.2%であれば、この状態は検知できないことになる。ところが透過液流量を下げて、パッセージの0.1を0.2で運転すれば、透過液の糖度は0.3%(1.5%×0.2)になり、糖度計の測定可能な範囲に入るようになる。以上の説明に基づいた現象は、検出限界に近い場合に限らず、開始時や終了時、段階の変更点など適切な場面での透過液や循環液の濃度状況の把握や確認あるいは切り替えなどの運転の判断時にも利用できる。
[0104]
 また、多成分混合系での分離で、多量の膜を透過しやすい目的物質Aがあり、膜を透過しにくく透過したくない物質Bを保持しながら、物質Aと物質Bの中間の透過傾向をもつ物質Cを除去したい場合、透過傾向は初め物質Aの透過を主にした低い透過傾向での運転を、次いで物質Bの透過をすすめる運転を実施することで、物質A、Bの透過と物質Cの保持が実現できる。
[0105]
 ダイアフィルトレーションを実施する際に、循環液の容積を少なくし目的物質の濃度は高い方が、分離効果は高くなる。そこで、例えば糖度計を用い循環液の濃度をそのダイアフィルトレーションの段階で、適切な濃度に維持して運転することで、ダイアフィルトレーションの効率的な進行が可能になる。常に濃度を高く設定する方がよいとは限らず、運転の安定性や膜表面の保護のために設定域に余裕を設けることが望ましい。
 また、原料を投入した最初の段階では透過しやすい物質が多量に含まれるが、こうした循環液の組成変化が大きい段階でのみ循環液や内部循環液の濃度管理を行ない、他の段階では濃度以外の管理、例えば液量による管理を行なうこともできる。
[0106]
<複数のバッチ運転に処理液がまたがる運転の例(図3)>
 図3は本発明によるダイアフィルトレーションを複数のバッチ運転にまたがって実施する際の装置全体を示したフローシートであり、以下にこのフローシートにしたがって説明する。
[0107]
 全体の構成は図1のバッチ運転の例とほとんど同じなので、同様の構成要素については同じ符号を付しており、以下には異なる点を中心に説明する。図3中にB1と記載した二点鎖線で囲んだ部分は1回目のバッチ運転について示し、B2と記載した二点鎖線で囲んだ部分は2回目のバッチ運転を示している。B1とB2で使用する装置は同じもので、時間的に先行した実行をB1、後のものをB2として表記した。
[0108]
 複数バッチにまたがる運転では、既に実施したバッチ運転で残した透過液、すなわち前回のバッチにおける透過液や最終的に残った循環液を系外に取り出す際に発生した希薄な液などを、新たなバッチ運転で、洗浄液や原料との混合液、あるいは再処理液として使用する。装置としては、それらの液を貯蔵する容器が必要になる。これらをまとめて先行バッチ分貯槽31と表し、先行バッチ分貯槽“透過液”:31A、先行バッチ分“最終循環液の抜き出し時希薄液”:31B、“再処理液”:31Cとそれぞれ称することにし、各々に番号を付した。
[0109]
 図3は二つの部分からなり、上部はバッチ装置で、先行するバッチでの運転フローで得られた工程を示し、その液が前述の31A,31B,31Cを経て、後で実行するバッチの運転フローの典型的な使用先に供給することを表現している。
 以下に示すような“透過液”“最終循環液の抜き出し時希薄液“ 、”再処理液” 、の先行バッチ分を後のバッチで利用することによって、全体として目的物質の回収率が向上し、ロスが減少する。
[0110]
 先行して実施したバッチからの液で、次の新たなバッチで用いる液の種類の例を説明する。
“先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“は、循環液槽、膜分離装置および関係配管などの液を取り出す際に、温水などの洗浄液などで押し出す作業を実施し、残液の一部を希薄液として回収する分である。この残液は、元来分離操作を完了し、その液中の膜分離で透過させたい物質の濃度は必要な水準以下である。そこでこの液をそのまま洗浄液として使用するか、あるいはあらかじめ何バッチ分かのこうした希薄液を集めて、後で実施するバッチで使用できる。これらの液を、単に濃縮して系外に分離済みの残液として抜き出すことも可能であるが、これらを原料の一部、あるいは洗浄液の一部として取り扱うことで、不必要な濃縮やそれまでの洗浄液の保存を避けることが可能になる。
[0111]
 “先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“は、最終段階の洗浄液の最初の部分として使用するなど適宜判断して使用できる。その循環液への投入方法は、循環液濃度を管理しながら、洗浄液の配管を通じて投入する方法が望ましく、直接循環液槽1に投入する方法、その希薄液を濃縮後に洗浄液として使用する方法、濃縮後に循環液槽1に投入する方法がある。
[0112]
 “先行バッチの再処理液”は、先行バッチでの分離を実行した後の分析で、その分離が不完全であり、不純物の精製を再度実施する必要が生じた場合に再処理するための対象とすることができる。
 “先行バッチの再処理液”は、必ずしも後のバッチの原液と同時に投入する必要はなく、最終段階の洗浄液の最初の部分として使用するなど適宜判断して使用できる。その循環液への投入方法は、“先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“と同様の方法で実施できる。
[0113]
 “先行バッチの透過液”は、1回のバッチ操作を複数の段階に分割し、最終段階では洗浄液として、新鮮な洗浄液を用い、それ以外の洗浄液としてその前のバッチまでで得た透過液をそのまま、あるいは通常のバッチ運転で使用する膜や別に設けた膜分離装置のRO膜、NF膜、UF膜を適宜使用して濃縮した残液や透過液を、新鮮な洗浄液に代えて使用できる。この際透過液側に目的物質の一部をこの濃縮で系外に抜き出すこともできる。
[0114]
 “先行バッチの透過液”については、その組成がダイアフィルトレーションを実施する際に、ダイアフィルトレーションの段階に先立つ段階で洗浄効果が確保できれば、洗各段階のダイアフィルトレーションの最初だけで使用するなど適宜判断して使用できる。その循環液への投入方法は、“先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“と同様の方法で実施できる。
[0115]
<連続多段ダイアフィルトレーションの例(図4関係)>
 図4は、本発明によるダイアフィルトレーションを連続多段操作によって実施する際の装置全体を示したフローシートであり、以下にこのフローシートに従って説明する。
[0116]
 膜分離装置20の構成は、図1と同様に熱交換器5、膜モジュール6、圧力計7、圧力調節弁9が中心の構成である。内部循環ポンプ32は用いても用いなくてもよいが、内部循環ポンプを用いる場合には各膜分離装置20に付属させ、内部循環ポンプを用いない場合には循環液槽1や昇圧ポンプを用いて循環を構成する。図4の場合は、内部循環ポンプ32を用いる場合である。
[0117]
 原液51は昇圧ポンプで、洗浄液52と膜分離装置20Aの内部循環ポンプ32、膜モジュール6および熱交換器5の循環系に供給する。ここではダイアフィルトレーションを3段階に分割し、膜分離装置20A、20B、20Cを用いる。
[0118]
 原液は膜分離装置20Aで洗浄液52によるダイアフィルトレーションをすすめ、透過液を抜き出し、残液は圧力調節弁9を経て膜装置20Bに送る。膜分離装置20B、20Cでも同様に洗浄液52によるダイアフィルトレーションをすすめ、最終的に残液を得る。
 各段階では膜分離装置20と内部循環ポンプ32、膜モジュール6および熱交換器5の循環系を形成している。
[0119]
 各段の運転圧力は圧力調節弁によって循環液を次の段あるいは系外に排出する量の制御をともなって制御する。各膜分離装置からの透過液流量を測定し、分離傾向を制御するために分離状態指標が設定域に入るように透過液流量、運転圧力、運転温度、運転濃度などの操作項目を設定する。透過液の行先は、系外への移送、前の段階の洗浄液としての移送、その段階の膜分離装置への返送から選定できるが、その一部はその段階の膜分離装置への返送量の制御を透過液容器の液位を一定にするなどの制御を行う事が望ましい。
[0120]
 本発明における連続多段ダイアフィルトレーションの運転は、図1、図3の場合と同様に運転状態の膜分離の透過傾向を制御して実施する。具体的には循環液の温度は各膜分離装置の熱交換器を用いて調整しながら、透過液流量が適正になるように操作圧力を制御することで、循環液濃度と透過液濃度を監視あるいは制御することができる。この点でバッチ運転の場合と連続運転の場合は同等である。バッチの場合と異なり連続運転の場合は、その各段の循環液や透過液の状態の刻々の変化を詳細に捉えることは不可欠ではない。
[0121]
 図4に示した多段連続プロセスによれば、バッチ的にあるいは連続的に供給した原液に対して実施し、その後循環液槽1Aに貯蔵した液に対して原液の供給を停止してダイアフィルトレーションを実施する方法あるいは原液の供給を継続しながらダイアフィルトレーションを実施する方法でダイアフィルトレーションが実施できる。ここでは3基の膜分離装置20A、20B,20Cを用い、その運転は各膜分離装置に対して第1段、第2段、第3段と段階を進める。
 さらに詳しく説明すると、先ず循環液槽1Aに濃度を調整した原液51を供給し、原液を供給し続けながら、ここから昇圧ポンプ4を用いて、膜モジュールを搭載した膜分離装置 20A(20B,20C)でダイアフィルトレーションをすすめた残液を、次の段の膜分離装置20Bに送る。
 その間、昇圧ポンプ4と膜分離装置20A(20B,20C)の間あるいは膜装置の循環系に洗浄液を加え、膜分離装置20A(20B,20C)から透過液を得、透過液容器15A(15B,15C)に貯蔵する。膜分離装置20A(20B,20C)も同様の処理対象液(原液51、処理中原液51)を用い、洗浄液52、透過液53、残液54をそれぞれ得ながら運転する。各膜分離装置の循環やクロスフローの確保の方法は、内部循環ポンプ32を用いる方法でも用いない方法でもよい。以上は内部循環を用いる場合で説明する。
 連続多段法によるダイアフィルトレーションでの膜の透過傾向の制御方法について、各膜分離装置の透過液流量の調整は、膜分離装置から得る透過液流量あるいはその中の一部のモジュールを選びそこから得られる透過液の流量でも調整でき、膜分離装置の運転圧力、運転温度、循環液濃度、水素イオン濃度(pH)は、バッチ運転の場合と同様に循環液に対して制御・調整することができる。
 循環液あるいは内部循環液の濃度は循環液の糖度などの濃度が設定域になるように洗浄液の供給量を洗浄液調節弁33によって制御する。透過液の糖度などの分離状態指標と、透過液の流量を各膜分離装置について測定し、糖度などの分離状態指標を用いて適切な透過液の流量を設定し、循環液の圧力を循環液から次の膜分離装置または系外への抜き出し配管に設置した圧力制御弁9で調節する。
 図4のプロセスフローを用いて、循環液槽1と膜分離装置20A、20B、20Cと経由して膜分離装置20Aに戻る循環系を形成して、ダイアフィルトレーションを行なうことも可能である。 
 また、図4に示したプロセスフローによるダイアフィルトレーションを、原液の供給を継続しながら実施し、処理済液を循環液槽1Bに貯蔵し、その後原液の供給を停止し、仕上げのダイアフィルトレーションを循環液槽1B中の液に対して実施することができる。またそれらを1Aから1B,1Bから1Aと繰り返しながら、3段の装置を何回か1バッチの原液に対して繰り返して使用することができる。
 また、図4の各透過液ポンプ34について、透過液をその透過液が発生した循環系に戻す事ができる。これは膜分離装置で適切な分離傾向維持の過程から得た透過液流量について、その膜装置の循環系から系外に移送する液流量よりその透過液流量が多い分をその膜分離装置の循環系に戻すことで、正常なあるいは定常的な運転状態を確保する。逆に対象とする膜分離装置からの透過液を少なくする必要がある場合は、あらかじめ取り扱い液を濃縮することでもその膜分離装置の透過液量を少なくする運転が可能になる場合がある。この場合、膜分離装置で使用する膜面積を多く持つことで面積あたりの透過液流量を小さくしながら、十分な透過液を得る操作が可能になる。
 各段で得た透過液を洗浄液に代えて、その透過液発生段の一つ前段階の洗浄液として使用する事ができ.この場合でも透過液が発生した段に透過液を循環できる事が望ましい。
[0122]
 図1、図3、図4に示した循環槽1は、その設置数を複数にするかその内部を分割することで、有効に利用できる。特にバッチ処理においては処理対象液の組成が経時的に変化するため、すなわちダイアフィルトレーションが進んで分割された循環槽1の上流側に供給し、順次下流側に移送することで、分割された循環槽1の内部に、ダイアフィルトレーションがより進んだ循環液を上流側に、ダイアフィルトレーションが進んでいない循環液を下流側に貯蔵した状態を作ることで、全体が混合した循環液になる場合よりも、効率よくダイアフィルトレーションを進めることが可能である。
 また複数の循環槽1を設置して交互に使用することでも同趣旨の効率のよい分離が達成できる。すなわち循環槽1のAと循環槽1のBを使用し、循環槽1のAから膜分離装置に処理対象液を供給し、その膜分離装置からの残液を1のBに供給する運転をつづけ、循環槽1のAが空になったところで、循環槽1のAから1のBへの運転を循環槽1のBから1のAへの運転に切り替える方法である。

実施例 1

[0123]
 本実施例では、原液として通常デカグリセリンとして入手可能なポリグリセリン混合物で、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンおよびテトラクリセリン以上の高重合のものを含むポリグリセリン混合液を用い、膜による精製を行なった。ナノ膜を用いた膜分離装置からの透過液の糖度を順次記録し、糖度が所定の値になったところで、運転圧力を下げて透過液流量を下げ、原料に対してグリセリンおよびジグリセリンを当初の十分の一以下程度までに低減した例を示す。
[0124]
 <原液>
      原料組成  水分   28.7wt%
      ポリグリセリン合計濃度  バランス
      平均的重合度       10量体
[0125]
 <分析方法>
 濃縮装置で水分を除いて濃縮サンプルとする。テトラデカンに対し一定量のピリジンを加えた内部標準液を用意しておき、濃縮サンプルに対し、内部標準液、ヘキサメチルジシラザン、クロロメチルシラン、クロロトリメチルシランを加え加熱し、TMS化した後、ガスクロマトグラフィーにより分析した。表5に示した組成についてのデータは、上述の水分を除いた濃縮サンプルに加えた内部標準物質に対するガスクロ分析での面積比から求めた指標である。
[0126]
 <装置>
 以下に膜分離装置の詳細を説明する。
 PCI Membranes社製造の膜分離装置BRO/BUFに同PCI Membranes社製のAFC30、1.2mの膜モジュール2本を装着したものを使用した。別に濃度調節の目的でAFC80、1.2mの膜モジュール1本も装着した。
 圧力計は2本のAFC30の膜モジュールの間と、後方の膜モジュールの後に設置した。
 図1に膜分離装置のフローシートを示す。
[0127]
 膜分離装置BRO/BUFは、昇圧ポンプ4、熱交換器5、膜モジュール6A(AFC80)、圧力計7、膜モジュール6B(AFC30)、膜モジュール6C(AFC30)、圧力調節弁9およびそれらを結ぶ接続配管からなる。圧力調節弁9は循環液配管/ホース10により、圧力調節弁からの循環液は、循環液槽に投入できる。また、同循環液は、別の膜洗浄用の容器、サンプリング用容器にも投入できる。
[0128]
 洗浄液貯槽13はドラム缶を容器として3基底部を配管で連結し、それぞれの容器には、元弁を通じて洗浄液ポンプ14および昇圧ポンプ入口配管3とバルブを介して接続しており、40℃~55℃の温水を貯蔵する。洗浄液ポンプの吐出は制御弁を経由して循環液槽への洗浄液投入用ホースに接続している。
[0129]
 膜モジュール6Bと膜モジュール6Cの透過液は、透過液容器用の秤2により経時的自動的に重量を測定する。膜モジュールBや膜モジュールCの上部透過液ノズルから各透過液は、各プラスチック容器にそれぞれ透過液用配管/ホース16で投入できる。
[0130]
 膜分離装置の通常運転時の循環系は、循環液槽1、昇圧ポンプ入口配管3、昇圧ポンプ4、熱交換器5、膜モジュールA 6A 膜モジュールB 6B、膜モジュールC 6C 圧力調節弁9、およびこれらを結ぶ配管・ホース接続で、後述する温水循環時は、循環液槽を温水膜洗浄液循環用容器11に変更する。
[0131]
 制御盤18には、循環液槽1の重量の測定値を指定した測定値に維持する循環液槽重量調節機構、圧力調節弁9の下流での循環液の温度の測定値を設定値に調節すべくチラー水ユニット19からのチラー水の供給を制御する循環液温度調節機構、透過液の合計重量表示機構および透過液重量の時間変化とその間の時間から計算した表示する透過液流量表示機能、圧力調節弁9下流の糖度を表示する循環液糖度表示機能がある。
[0132]
<運転方法および経緯>
 装置の循環系に予め0.5wt%の酵素洗剤(ULTRASIL 53)約30℃を充填し、装置を循環洗浄した後、イオン交換水に置換した。その後約50℃に加温したイオン交換水を温水膜洗浄液循環用容器11に用意し、膜分離装置との間で温水を循環し、さらに透過液を系外にドレンノズルから何度か抜き出した後、温水膜洗浄液循環用容器11を用いて循環液系(温水膜洗浄液循環用容器、ポンプ入口配管、昇圧ポンプ、熱交換器、膜モジュールA、膜モジュールB、膜モジュールC、圧力調節弁、循環液出口配管/ホース、温水膜洗浄液循環用容器)と透過液系(膜モジュールBおよびCの透過液側から抜き出しホースから温水膜洗浄液循環容器間)の両方を循環する運転とし、それらの系を50~53℃に維持できる状態にした。
[0133]
 別途約50℃の約70wt%の水分を含むポリグリセリン混合液を加熱したイオン交換水で希釈・攪拌し、約50℃、30wt%のポリグリセリンを循環液槽に用意した。
 循環系の膜分離装置中に含まれている温水の一部を抜き出しつつ、ポリグリセリン混合液に置換し、循環系をポリグリセリン液に置換し、透過液はすべて循環液槽に返送する設定とした。
[0134]
 運転圧力を当初33バールに設定し、AFC80の透過液を系外に出し、一旦下がった循環液濃度を25%程度まで回復させた後、AFC80の透過液は全て循環液槽1に戻し、2本のAFC30の透過液を20リットルの透過液用容器に取り出す状態とした。続いて運転温度を50から53℃を維持ながら、循環液の糖度を当初25%程度を維持するように循環液槽の運転を継続し、50℃程度に加温したイオン交換水をダイアフィルトレーション水として循環液槽に供給しながら、AFC30用のモジュール2本からの透過液を系外に取り出した。透過液の合計流量は30~45kg/時程度になるようにモジュールAの入り口圧力を手動の圧力調節弁で調節した。途中透過液を20リットル容器に順次取り出す方法で、透過液を順次取り出した。下流側モジュールBの透過液の流量について、上流側モジュールA側の透過液流量に対して半分以上であることを確保する方針で運転を継続し、半分以下の流量になった状況では、運転圧力を高めるか運転濃度を低下させて、合計の透過液流量とモジュールBすなわち下流側のモジュールAの透過液流量も確保する方針で、運転を継続した。
[0135]
 透過液の糖度を測定しながら、ダイアフィルトレーションを継続し、透過液の糖度が0.6%になったところで、運転圧力を22Barに変更して後段の運転に入った。
 後段に入ってからは透過液の流量を15から25kg/時程度に維持する運転を実施した。前段と同様に透過液を20リットルの容器に取り出しながら、循環液の糖度は22%程度で運転した。
 このようにして運転を継続した後、透過液の糖度が0.4%を示した時点で膜分離装置の運転を停止し、ほぼ同時にダイアフィルトレーションの水供給も停止した。その後循環液槽から残液であるポリグリセリン溶液を抜き出し、循環液槽内の液量は当初30wt%のポリグリセリン液32.6kgから、22wt%相当のポリグリセリン液27.3kgを得た。得られたポリグリセリン液の分析結果は、表5のサンプル番号C7に示した。続いて、温水で循環系にあるポリグリセリン溶液を循環ポンプにより膜モジュールから系外に押し出して回収した。
[0136]
 以上の運転により14.8kgの原料中に含まれていた乾燥重量として9.8kgのポリグリセリンから、表5中のC7欄の内部標準物質に対する面積比を有する乾燥重量6.0kgのポリグリセリンを得た。
 表6は循環液サンプルの内部標準物質に対する面積比の開始時面積比に対する比率を用いて、各サンプルの成分の変化を追跡したものである。
 表6に示した累積透過液量の対初期循環液量の比として計算した進行指標が2.1のデータでグリセリンは従来のグリセリン含有量の1/10以下まで低減でき、ジグリセリンについては同進行指標が5.0で1/10まで低減できた。
 そして回収した製品は、グリセリンは測定範囲以下、ジグリセリンは希望する従来の1/10以下の含有率に、トリグリセリンは当初希望した従来の含有量と比べ1/2以下の含有率になり、テトラグリセリン以上の含有率は上昇した。
 上記の運転においては、本発明における分離状態指標として透過液流量および透過液糖度を用い、本発明における進行経過指標として対初期循環液量に対する透過液量の比を用い、透過液流量は操作項目としても用いた。すなわち透過液流量は分離状態を知る指標として用い、先ず操作項目である透過液量を設定域30から45kg/時の範囲内を維持するように、分離状態指標でもある透過液流量を計量しながら運転圧力を調整した。進行経過指標である透過液の糖度が0.6%まで低下した時点で操作項目で透過液流量を15から25kg/時の設定域に変更して、運転圧力の調整および循環液濃度設定値の調整によって、分離状態指標である透過液流量を設定域に調整し、進行経過指標である透過液の糖度が0.4%に達した時点で分離精製を停止した。
 ここでは運転温度はあらかじめ設定した50~53℃に維持する運転であり操作項目の変動はしていないが操作項目を維持していた。循環液濃度は、下流側のモジュールBの透過液流量を上流側の1/2以上に確保する際にも、操作項目として使用していた。この運転ではpHは操作項目としては使用しなかった。循環液量は操作項目としては用いていないが、循環液濃度の変更は循環液量の変更に直結しており、操作項目としての意味は類似している。すなわち循環液を高濃度にすることは循環液量が少量にすることを意味し、循環液濃度と同様に適用できる。
 またここでは透過液流量をそのまま操作項目や分離状態指標としたが、上流側のモジュールのみを指標としても、上流側と下流側の合計を使用しても、下流側を使用しても、それらを使用した分離膜面積で除した透過流束の値として使用することも可能である。
 またここでは循環液の糖度値は22~25%の間で変化しているもののその差は大きくないことから、進行経過指標や分離状態指標として透過液の糖度を用いたが、透過液の糖度を循環液の糖度で除した値すなわち糖度比を指標とすると、正確に循環液の状態や膜分離の状態を把握する上で利点がある。
[0137]
[表4]


[0138]
[表5]


[0139]
[表6]


[0140]
 次に、上述したシステムにおいて、さらに説明する。
 図5は、他の実施形態(第1の実施形態)における分離システムの構成を示す図面である。この図において、図1に対応する機能については同一の符号を付し、その説明を省略する。透過液流量計100は、膜分離装置20によって分離され膜分離装置20から流出する透過液の流量を測定する。圧力計101は、膜分離装置20の膜モジュールの運転圧力を測定する。膜分離装置20の運転圧力は、圧力調整弁9によって調整される。
 次に、この図5に示す分離システムの動作について説明する。図6は、分離システムにて運転順序を説明するためのフローチャートである。
 まず、装置全体が洗浄され(ステップS101)、膜分離装置全体に温水が充填され(ステップS102)、循環液槽に濃度調整した原液を循環液槽に準備する(ステップS103)。
 循環液槽内液を昇圧ポンプで膜分離装置中に移送し、同時に膜分離装置内の温水を系外に除去し、循環液の温度を予め決められた所定温度になるように温度制御する(ステップS104)。
 循環液槽、循環ポンプ、膜分離装置、循環液槽の循環系を確立し、予定の運転圧力で透過液を循環させることにより循環液濃度を所定濃度(例えば、Brix25%など)に維持する(ステップS105)。透過液流量が初期段階の数値(30~45Kg/h)になるように圧力を調整する(ステップS106)。そして、洗浄液の供給と透過液の取得によるダイアフィルトレーション(段階1)を開始する(ステップS107)。ここでは、例えば、下流側の透過液量が上流側の半分以上にできる濃度にされている(ステップS108)。
 透過液糖度が所定の糖度(ここでは、例えば、0.6%)になったところで圧力を下げ、透過液量を15~25kg/h程度に維持する(段階2)(ステップS109)。例えば、ここでは、下流側の透過液量が上流側の半分以上にできる濃度にされている(ステップS110)。
 そして、透過液糖度が04%になった場合に、終点を判定し(ステップS111)、温水により処理済みの循環液を抜き出し、系内を温水で満たし(ステップS112)、洗剤洗浄を実施する(ステップS113)。
[0141]
 次に、図5の分離システムにおける、段階を進行させる制御について図7のフローチャートを用いて説明する。
 段階指数の初期値を段階1として設定し、目標循環液量が設定域内になるように圧力調整弁9によって圧力を調整する(ステップS120)。そして、透過液糖度が設定1以上であるか否かを判定する(ステップS121)。判定結果において、設定1以上である場合には、段階1を継続し、ステップS121に移行する(ステップS122)。一方、設定1以下である場合には、段階指数を段階2に設定する(ステップS123)。そして、透過液糖度が設定2以上であるか否かを判定する(ステップS124)。判定結果において、設定2以上である場合に圧力段階2を継続して(ステップS125)、ステップS124に移行し、設定2以下である場合には、段階指数を3に設定し、所定時間運転を継続して(ステップS126)、その後、処理を完了する(ステップS127)。
[0142]
 次に、図5の分離システムにおける、循環液濃度の制御について、図8のフローチャートを用いて説明する。
 維持すべき循環液濃度を設定1に設定する(ステップS140)。設定された循環液濃度である設定1にすべく、透過液を得ながら洗浄液供給を制御弁で制御する(ステップS141)。そして、循環液の糖度に対する必要圧力より、運転圧が大であるか否かを判定し(ステップS142)、運転圧が大であれば、ステップS141に移行し、運転圧が必要ある値未満である場合には、圧力に対応した濃度に変更し(ステップS144)、ステップS141に移行する。
[0143]
 次に、図5の分離システムにおいて、図6から図8に示す各処理を行った場合の透過液糖度の変化について、図9AおよびBを用いて説明する。図9Aは、縦軸が運転圧力、横軸が運転時間を示し、図9Bは、縦軸が透過液糖度を示し、横軸が運転時間を示す。
 運転圧を‘圧力段階1’を維持している間に(図9A)、透過液糖度目標糖度設定値が‘設定1’になるまで、膜分離が行われる(図9B)。そして、透過液糖度が目標糖度の設定値1になると(図9A)、運転圧力が圧力段階2に設定され、運転圧が設定2に切り替えられた後は、透過液糖度の測定値が一旦上昇するが、その後、目標糖度の設定値である設定2に近づくように低下する。そして、透過液糖度が目標糖度の設定値2に達するか、達した後一定時間をへて膜分離を完了する。
[0144]
 次に、第2の実施形態における分離システムについて説明する。図10は、第2の実施形態における分離システムの構成を示す図面である。この図において、図5に対応する機能については同一の符号を付し、その説明を省略する。
 次に、この図10に示す分離システムの動作について説明する。図11は、この実施形態における分離システムにて運転順序を説明するためのフローチャートである。
 まず、装置全体が洗浄され(ステップS201)、膜分離装置全体に温水が充填され(ステップS202)、循環液槽に濃度調整した原液を循環液槽に準備する(ステップS203)。
 循環液槽内液を昇圧ポンプで膜分離装置中に移送し、同時に膜分離装置内の温水を系外に除去し、循環液の温度を予め決められた所定温度になるように温度制御する(ステップS204)。
 循環液槽、循環ポンプ、膜分離装置、循環液槽の循環系を確立し、循環液濃度を所定濃度(例えば、Brix25%など)に維持する(ステップS205)。ここでは、圧力調整弁9の圧力を予め決められた所定の圧力で運転を開始したのち、透過液流量が初期設定値あるいは設定域になるように圧力を調整する(段階1、ステップS206)。そして、透過液の糖度あるいは糖度比が目標設定値1になるまで維持する(ステップS207)。そして、設定値1以下になったところで段階を2にすすめて対応した透過液流量あるいは操作圧力の設定値に進める。(ステップS208)。
 透過液糖度が設定値2以下になった場合に、段階3に進める(段階i+1)。この間、循環液濃度を運転圧力に対応した濃度に維持しながら段階を順次すすめる(ステップS210)。
 そして、所定の最終透過液量を維持し、目標糖度比度が所定値になるか、あるいは所定の時間あたりの変化率以下になるか、目標糖度比に到達してから所定の時間が経るまで継続する(ステップS211)。そして、温水により処理済みの循環液を抜き出し、系内を温水で満たし(ステップS212)、洗剤洗浄を実施する(ステップS213)。
[0145]
 次に、図10の分離システムにおける、段階を進行させる制御について図12のフローチャートを用いて説明する。
 運転開始後の初期の圧力は、初期値を設定し、透過液量を設定値1、目標糖度比1をそれぞれ設定値として運転をする(ステップS220)。そして、運転圧力を変更し、透過液量が設定値になるように制御する(ステップS221)。そして、現在の目標糖度比が設定以上であるか否かを判定する(ステップS222)。判定結果において、設定以上である場合には、段階1を継続し、ステップS221に移行する(ステップS223)。一方、設定1未満に到達した場合には、流量設定値iを1進めて流量設定値(i+1)とし、透過液糖度設定値iについても、1進めて(i+1)とする(ステップS224)。
 そして、必要時間が経過したか否かを判定し(ステップS225)、判定結果において、必要時間が経過していない場合には、各設定値をそのまま継続し(ステップS226)、ステップS225に移行する。
 一方、必要時間が経過した場合には、最終設定が完了したか否か、すなわち、所定変化率以下であるか否かを判定する(ステップS227)。所定変化率以下ではない場合には、流量設定値、目標透過液糖度比設定値の変更を有効にし(ステップS228)、ステップS221に移行する。一方、所定変化率以下である場合には、処理を完了する(ステップS229)。
[0146]
 次に、図10の分離システムにおける、循環液濃度の制御について、図13のフローチャートを用いて説明する。
 維持すべき循環液濃度を設定1に設定する(ステップS231)。設定された循環液濃度である設定1にすべく、透過液を得ながら洗浄液供給を制御弁で制御する(ステップS232)。そして、循環液の糖度に対する必要圧力より、運転圧が大であるか否かを判定し(ステップS233)、運転圧が大であれば、ステップS232に移行し、運転圧が必要圧力未満である場合には、圧力に対応した濃度に変更し(ステップS235)、ステップS232に移行する。
[0147]
 次に、図10の分離システムにおいて、図11から図13に示す各処理を行った場合の透過液糖度の変化について、図14を用いて説明する。図14の(a)における上方の図は、縦軸が循環液濃度、横軸が透過液糖度を示し、図14の(a)における下方の図は、縦軸が運転圧(または透過液流量)を示し、横軸が透過液糖度を示す。図14における(b)は、縦軸が糖度比、横軸が運転時間を示す。
 運転が開始された後、運転圧力を初期値にて一定時間維持した後、少しずつ下げ、運転圧力の第2段階の設定値まで到達したら、所定時間圧力を維持する。このとき、運転圧力を第2段階の設定値まで一気に切り替えると、目的物質の濃度等について、目標値から離れた値で分離されてしまうが、この実施形態によれば、運転圧力を操作し、少しずつ下げるようにしたので、目的物質の濃度等について目標値に近い状態で分離することができる。
[0148]
 次に、第3の実施形態における分離システムについて説明する。図15は、第3の実施形態における分離システムの構成を示す図面である。この実施形態においては、図5等における分離システムを多段にしたシステムである。この図において、図5に対応する機能については同一の符号を付し、その説明を省略する。
 この図において、流量調節弁130は、膜分離装置20に供給される原液の量を調節する。流量調節弁135は、前段となる膜分離装置20と後段となる膜分離装置20との間に設けられており、前段の膜分離装置20における分離前の原液の一部を後段の膜分離装置20に供給する量を調整する。
 ポンプ145は、透過液容器15に貯留された透過液を膜分離装置20に送出する。流量調節弁140は、ポンプ145と膜分離装置20との間に設けられ、透過液容器15から膜分離装置20内に流れる透過液(返送透過液55)の流量を調節する。流量調節弁150は、ポンプ145から膜分離装置20への配管から分岐され、透過液として取り出される経路に設けられ、外部に取り出される透過液の量を調節する。
[0149]
 この図における分離システムについて、定常に近い状態の運転方法を説明する。左側が1段目、右側が2段目の分離システムとなり、3段目以降は2段目と同様に全段に接続される。
 まず、原液の第1段への供給流量に比例して洗浄液を加え、透過液を抜き出し、運転圧力の制御により、循環液の一部を次の段に移送する。このときの透過流量は透過傾向の制御に用いる。これは分離傾向に、フラックスや透過液量が直接関係するためである。膜分離装置からの透過液のうち、排出すべき透過液分は系外に抜きだし、残りの液は循環系にリサイクルする液量バランスで運転が進められる。
 ここでは、透過液の糖度比など濃度を制御することも考えられる。この場合、測定された透過液の糖度あるいは透過液の糖度を循環液の糖度で割った糖度比は、分離状態指標として用いられる。また、ここでは分離状態指標を調整するために、透過液量や運転圧力を制御してもよい。
[0150]
 循環液の濃度は、系内に供給される原液と洗浄液、次段に移送される循環液、系外に排出される透過液の量の各液流量と濃度のバランスが直接の変動要因であり、各液流量の設定、あるいは場合によって循環液の濃度により制御することができる。図15におけるシステムでは、循環液濃度は洗浄液流量あるいは透過液/循環液の流量比、原液供給量のいずれかで制御することを想定している。
[0151]
<操作項目>
 図15のフローでは透過傾向の操作項目として、運転圧力、循環液濃度、透過液量の項目の制御手段を明示しているが、このほかに熱交換器を設けて運転温度の制御を行ったり、pH制御を設けてpH制御を行ったり、循環液流量センサを設けて循環液流量制御を行うことが、それぞれ可能である。
<分離状態指標>
 透過液量や糖度や糖度比は分離状態を示し、図15のシステムでは、それらを使用する手段を明示している。すなわち透過液の糖度が高いことは、分離傾向としてより透過しやすい状態を示し、透過流量が多い場合はより透過しにくい状態にあると判断することができる。
<進行経過指標>
 また、進行経過は透過液の糖度によって表すことができる。図15のシステムでは、通常圧力損失分の圧力低下から下流の段の方が同じ透過液量においてより低い値を示すが、それぞれの透過液量における糖度や糖度比は処理の進行の指標となる。
<連続多段プロセスにおける分離状態指標と進行経過指標>
 多段プロセスにおいて、分離状態指標と進行経過指標を明確に区別するのは困難であるが、おおむね以下と考える。分離状態指標は、その段の分離状態が正常か、あるいはより透過しやすい状態か、などが判断できる。また進行経過指標は各段の分離状態を前述の分離状態指標と同じ指標で判断しても、全体としてどこまで分離が進行しているのかを知る指標としても用いることができる。
[0152]
 なお、原料供給流量や透過液流量などの定常状態を維持しながら分離工程を継続する連続処理においては、時間により処理が原料の量などの処理が進むが、運転制御の全体は定常状態を維持する事が基本になるため、時間経過などの指標に進行経過指標によって精製の進行をあらわす事は難しい。透過液の糖度比などの測定値は要求する分離の達成度合の指標になり、例えば3段の操作で説明すれば、1段目では達成度合1まで2段目では達成度合2、3段目では達成度合3と目標とする達成度合を各段階に設け、段階の進行とともに進行する達成度合を、進行経過指標とし利用しながら、操作項目を制御する事ができる。すなわち進行経過指標から遅れた状態と判断されたら、透過が進みやすい条件、すなわち温度が高い条件、低い運転圧力で透過液の循環系の返送を少なくした運転などの条件を選定し、逆に進行経過指標から進みすぎた状態と判断されたら、物質の透過が進みにくい条件、すなわち温度が低い条件、圧力が高い条件などを選定し、安定した進行経過指標の状態を維持する制御が実現できる。
[0153]
 次に、この図15に示す分離システムの動作について説明する。図16は、この実施形態における分離システムについて運転順序を説明するためのフローチャートである。
 まず、装置全体が洗浄され(ステップS301)、膜分離装置全体に温水が充填され(ステップS302)、濃度調整した原液を1段目、2段目、3段目の各循環液槽に準備する(ステップS303)。
 1段目、2段目、3段目の各循環液槽の内液を昇圧ポンプで膜分離装置中に移送し、同時に膜分離装置内の温水を系外に除去し、循環液の温度を予め決められた所定温度になるように温度制御する(ステップS304)。
 1段目、2段目、3段目の各循環液槽、1段目、2段目、3段目の循環ポンプ、1段目、2段目、3段目の膜分離装置、循環液槽の循環系を確立し、循環液濃度を所定濃度(例えば、Brix25%など)に維持する(ステップS305)。ここでは、圧力調整弁9の圧力を予め決められた所定の圧力で運転を開始した後、透過液流量が初期設定値になるように圧力を調整する(ステップS306)。そして、透過液等の分離経過指標(分離状態指標)が各設定値1、2、3になるまで透過を続け、設定値になったところで、全透過液を各段の循環液槽に返送する状態(全循環)を維持する(ステップS307)。そして、各段の循環液と透過液が所定の分離経過指標になったところで、別途準備している原液の供給を開始し、徐々にその供給量を増やしながら、一方で洗浄液も増やす。循環系からの抜き出し量も増やし、透過液の循環液への返送量を徐々に減らし、系外への抜き出しを
徐々に増やす(ステップS308)。
 1段目に供給する原液の供給量にみあった、1段目の処理済液を2段目に抜き出し、1段目の循環液濃度を維持すべく洗浄液を1段目の循環液槽に供給し、循環系の運転圧力調節弁を通じて、循環液を次工程に移送し、返送透過液55の量を調節する(ステップS309)。そして、2段目移行の膜分離装置20に対しても1段目と同様な運転を行う(ステップS310)。
 その後、定常運転を行い(ステップS311)、諸設定が許容範囲に入る間、洗浄運転を継続し、必要時に停止作業を実施する(ステップS312)。ここでは、停止は、温水などへの置換によりバッチプロセスと同様に行う。その後洗浄を行う(ステップS313)。
[0154]
 次に、図15の分離システムにおける、段階を進行させる制御について図17のフローチャートを用いて説明する。
 バッチ処理と同様の方法で、透過液の糖度比などの分離経過指標が所定の値になるまで各段毎に実行する(ステップS320)。次に、各段毎の進行経過指標が目標値に到達したが否かを判定し(ステップS321)、到達していない場合には再度各測定結果を読み出し、ステップS321に移行する(ステップS322)。
 目標値に到達している場合には、各段の目標値に達したらその段は全循環にし、この間分離状態指標の透過液流量を所定量に維持し、主操作項目は圧力で運転濃度、運転温度は設定値を維持する(ステップS323)。
 そして、全段の進行経過指標が目標値に到達したか否かを判定し、目標値に達していない場合には、運転状態を継続し(ステップS325)、ステップS321に移行する。
 一方、全段の進行経過指標が目標値に到達している場合には、連続運転の前準備を終了する(ステップS326)。
[0155]
 次に、図10の分離システムにおける、透過液流量を操作項目として連続運転を開始してから停止するまでの動作について、図18のフローチャートを用いて説明する。
 なお洗浄水や透過液は昇圧ポンプのサクション側にいれても、吐出側に入れてもよい。
 前準備が完了し(ステップS340)、各段全循環状態となった後(ステップS341)、第1段への原液供給を開始してから徐々に原液を増加させる。この原液の供給量に対する所定比率で洗浄液を添加し、膜分離装置循環液の圧力を所定値にすべく循環液の次段への移送配管中の圧力調節弁を調節し、原液供給量に対応した透過液を系外に出し、残りの透過液を循環液系にもどし、循環液濃度を所定濃度にすべく洗浄液と原液の比率(洗浄液/原液)あるいは原液供給流量を調節する運転を継続する(ステップS342)。
 そして、透過液濃度が目標との乖離が所定の値以上あるか否かを判定し(ステップS343)、乖離していない、すなわち正常範囲である場合に設定を継続して(ステップS344)、ステップS343に移行する。一方、透過液濃度が目標との乖離がある場合には、操作項目の透過液流量、運転圧力、運転温度、循環液濃度などから選んだ設定を変更する(ステップS345)。諸設定が共用範囲に入るまでの間、正常運転が継続する。この正常運転を継続する場合には、透過液流量などを操作項目を変更し修正値で継続する(ステップS347)。ただし、必要時には停止作業を実施する(ステップS346)。

産業上の利用可能性

[0156]
 本発明はポリグリセリン、糖類、ペプタイドなどの小さい物質からのポリマーやオリゴマーの合成、あるいはポリマーやオリゴマー、樹脂、植物などの天然あるいは人工素材から分解によって製造される物質と未反応物質、反応が未完了な物質、中間体と原料や製品など広い物質の分離、分画、反応系、結晶化などに用いることができる汎用性の高い分離方法である。
 また、処理原料が、食塩などの塩類を含む場合であっても、食塩を低分子のグリセリンやポリグリセリンとともに除去し、残液中に食塩などの塩類が低減されたポリグリセリンとして回収することが可能になる。選定する膜としては、目的にそってナノ膜や限外濾過膜を適宜利用することができる。
[0157]
 また、圧力駆動を用いる分離膜あるいは膜分離装置、または膜分離あるいは膜分離装置と該分離膜あるいは膜分離装置を用いて処理する物質や成分もしくはそれらに用いる溶媒の評価において、混合物中の各物質や各成分のパッセージあるいは阻止率などの透過傾向を表す指標と任意に選定した物質あるいは成分のパッセージあるいは阻止率などの透過傾向を表す指標の関係を用いる分離膜の評価方法が実現される。本評価方法によれば、分離膜の評価が標準物質を基礎にその物質の透過傾向との比較関係において表現され、その膜の分離性能の敏感さ、すなわち近接している物質同士を分離する性能や対象とする物質の範囲が表現できる。コンピュータープログラム化あるいは表計算ソフトのデータファイルにすることによりシミュレーションソフトとして利用する事が可能になり、こうしたデータ
の集積により、膜の選択にとって有効なデータベースが構築できる。

請求の範囲

[1]
 複数の目的物質が含まれる原液を膜分離装置に供給し、前記膜分離装置から得る透過液中に目的物質を抜き出し、残る他の目的物質を残液に分離するダイアフィルトレーションにおいて、分離操作の分離状態指標および/または進行経過指標を用い、透過液流量、膜分離装置の運転圧力、運転温度、循環液濃度、循環液量から選択した少なくとも1項目の操作項目を設定域に調整あるいは制御することで目的物質の透過傾向を制御する、膜を用いた目的物質の分離方法。
[2]
 分離状態指標あるいは操作項目として膜分離装置の透過液流量を用いる請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[3]
 原液の供給に対応する一連のダイアフィルトレーションの過程を複数あるいは実質的に連続した段階を設け、それぞれの段階の進行経過指標に対して適宜選定した分離状態指標および/あるいは操作項目の設定域を設けて目的物質の透過傾向を制御する請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[4]
 分離状態指標および/あるいは進行経過指標を用い、前記各段階の開始および/あるいは終点を判断する請求項3に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[5]
 分離膜で扱う循環液や残液の濃度を実質的にあらわす測定値を指標として、膜分離装置に供給する液量や膜分離装置から系外に抜き出す液量、あるいは透過液あるいは循環液や残液への返送量を制御する請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[6]
 進行経過指標が、経過時間、累積透過液量、累積供給洗浄液量、循環液量、循環槽内液量、残液、透過液、原液の濃度の分離の結果を示す指標や、糖度、粘度、電気伝導度、測定値、pHあるいは分析値から選んだ少なくともひとつの項目あるいはそれらを基礎にした計算値である請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[7]
 分離膜としてナノ膜または限外濾過膜を用いる請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[8]
 分離膜として管状膜を用いる請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[9]
 透過液流量を操作項目とし、透過液の糖度あるいは循環液の糖度に対する透過液の糖度の比率である糖度比を分離状態指標として用いる請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[10]
 “先行バッチの最終循環液の抜き出し時希薄液“および/または“先行バッチの再処理液”および/または“先行バッチの透過液”を各液が発生したバッチの後で、原液、洗浄液あるいは“リサイクル液“として使用する請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[11]
 分離膜は、逆浸透膜、ナノ膜、限外濾過膜のうちいずれかまたは複数が用いられる請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[12]
 複数の目的物質が含まれる原液を膜分離装置に供給し、前記膜分離装置から得る透過液中に目的物質を抜き出し、残る他の目的物質を残液に分離するダイアフィルトレーション設備において、分離操作の分離状態指標および/または進行経過指標の監視手段と、透過液流量、膜分離装置の運転圧力、運転温度、循環液濃度、循環液量から選択した少なくとも1項目の操作項目を制御する制御手段を設けた、膜を用いた目的物質の分離装置。
[13]
 透過液濃度、透過液糖度、累積透過液量あるいは、経過時間の少なくとも1つに基づき、運転圧力および/または透過液流量を設定する機能、対応する循環液濃度、循環液糖度、あるいは循環液流量に調整しながら洗浄液を供給する調節機能を備え、ダイアフィルトレーションを実施する請求項12に記載の膜を用いた目的物質の分離装置。
[14]
 原液がポリグリセリンを含む混合液である請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。
[15]
 原液が複数の種類のポリグリセリンを含む混合液であり、前記混合液からグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンのうち、少なくとも一つを除去する請求項1に記載の膜を用いた目的物質の分離方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9A]

[ 図 9B]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]