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1. WO2008117868 - 変性水添ジエン系重合体組成物

Document

明 細 書

発明の名称 変性水添ジエン系重合体組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

発明の開示

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明を実施するための最良の形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059  

実施例

0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093  

産業上の利用可能性

0094  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

変性水添ジエン系重合体組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、変性水添ジエン系重合体組成物、及びゴム成形品に関し、更に詳しくは、防振性等に優れたゴム成形品を作製可能な変性水添ジエン系重合体組成物、並びに防振性等に優れたゴム成形品に関する。

背景技術

[0002]
 天然ゴム(NR)をはじめとするジエン系ゴムは、十分な機械特性を有するものであり、疲労特性に優れている。そこで従来、ジエン系ゴムは、防振ゴム等として多用されている。このような防振ゴムは、高温条件等、種々の過酷な環境下に配設され、使用されることが多い。例えば、車両等のエンジンルームに防振ゴムとして使用される場合、エンジンルームの温度上昇により防振ゴムは高温状態に晒されることになる。このような高温状態となる環境で使用される防振ゴムは、防振性とともに十分な耐熱性を発揮することが要求される。しかしながら、これまで防振ゴムとして多用されてきたジエン系ゴムは、耐熱性の面では十分であるとはいい難く、高温状態となる環境でジエン系ゴムを使用することは困難であった。従って、ジエン系ゴムを防振ゴムとして使用するに際しては、その用途や配設場所が限定されてしまうという問題がある。
[0003]
 一方、エチレン・α-オレフィン系共重合ゴムは、耐熱性、耐候性等が良好なゴムである。このため、エチレン・α-オレフィン系共重合ゴムは、自動車部品、電線被覆材、電気絶縁材、一般工業用ゴム製品、土木建築資材等、広範な用途において使用されている。また、ポリプロピレン、ポリスチレン等の各種プラスチックの改質剤等としても用いられている。しかしながら、エチレン・α-オレフィン系共重合ゴムは、機械特性、防振特性等が必ずしも十分ではなく、防振ゴムとして好適な材料であるとはいえない。
[0004]
 なお、関連する従来技術として、エチレン・α-オレフィン系共重合ゴムに対して、官能基含有(共)重合体を金属成分で架橋した架橋物を配合したゴム組成物(例えば、特許文献1参照)や、エチレン・α-オレフィン系共重合ゴムに対して、官能基含有(共)重合体、及びシリカ系フィラーを配合したゴム組成物(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。しかしながら、これらのゴム組成物を用いて作製したゴム成形品であっても、その防振性や耐熱性については更なる改良の余地があるといえる。また、これらのゴム組成物については、加工性が必ずしも十分とはいえない場合もあり、更なる改善を図る必要性がある。
特許文献1 : 特開2004-67831号公報
特許文献2 : 特開2004-83622号公報

発明の開示

[0005]
 本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、防振性、耐熱性に優れたゴム成形品を作製可能な、変性水添ジエン系重合体組成物、並びに防振性、耐熱性に優れたゴム成形品を提供することにある。
[0006]
 本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定量のビニル結合を有するジエン系重合体を水素添加して得られる、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、及び水素添加率が特定の数値範囲内でありかつ官能基を有するポリマーと、ジエン系ゴムとを混合することにより、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0007]
 即ち、本発明によれば、以下に示す変性水添ジエン系重合体組成物、及び成形品が提供される。
[0008]
[1] (A)ビニル結合含量が20~70%のジエン系重合体を水素添加して得られた、重量平均分子量(Mw)が10万~170万、分子量分布(Mw/Mn)が1.0~3.0、及び水素添加率が72~96%であり、かつ、官能基を有する変性水添ジエン系重合体と、(B)ジエン系ゴムを含有し、前記(A)変性水添ジエン系重合体60~95質量部、(B)ジエン系ゴム5~40質量部の比率で、合計100質量部を含有する変性水添ジエン系重合体組成物。
[0009]
[2] 前記(A)官能基を有する変性水添ジエン系重合体が、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、又はブタジエン-イソプレンランダム共重合体である上記[1]に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[0010]
[3] 前記(A)官能基を有する変性水添ジエン系共重合体の官能基が、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基、及びハロゲンからなる群より選択される少なくとも一種である上記[1]または[2]に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[0011]
[4] 前記(A)変性水添ジエン系重合体の一の分子鎖に含まれる前記官能基の数が、0.1~5.0個である上記[1]~[3]のいずれかに記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[0012]
[5] シリカ系フィラーをさらに含有する上記[1]~[4]のいずれかに記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[0013]
[6] 前記(B)ジエン系ゴムが、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、およびブタジエン-イソプレンランダム共重合体のうちの1種または2種以上である上記[1]~[5]のいずれかに記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[0014]
[7] 上記[1]~[6]のいずれかに記載の変性水添ジエン系重合体組成物を架橋して得られた架橋ゴムからなるゴム成形品。
[0015]
 本発明の変性水添ジエン系重合体組成物は、高温環境下での使用においてもひび割れの発生が少なくかつ防振性に優れたゴム成形品を作製可能なものである。
[0016]
 本発明のゴム成形品は、良好な高温物性と動的弾性率とを併せ持ち、高温環境下での使用においてもひび割れの発生が少なくかつ防振性に優れているという効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

[0017]
 以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[0018]
1.変性水添ジエン系重合体組成物
 本発明の変性水添ジエン系重合体組成物の一実施形態は、(A)ビニル結合含量が20~70%のジエン系重合体を水素添加して得られた、重量平均分子量(Mw)が10万~170万、分子量分布(Mw/Mn)が1.0~3.0、及び水素添加率が72~96%であり、かつ、官能基を有する変性水添ジエン系重合体と、(B)ジエン系ゴムを含有し、前記(A)変性水添ジエン系重合体60~95質量部、(B)ジエン系ゴム5~40質量部の比率で、合計100質量部を含有する変性水添ジエン系重合体組成物である。以下、その詳細について説明する。
[0019]
((A)変性水添ジエン系重合体)
 本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物に含有される(A)成分は、変性水添ジエン系重合体である。この(A)成分は、所定の変性ジエン系重合体を水素添加することにより得られたものである。
[0020]
(ジエン系重合体)
 (A)成分を得るために用いられるジエン系重合体(以下、「水添前重合体」ともいう)の種類、構造については特に限定はなく、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、又はブタジエン-イソプレンランダム共重合体等のゴムを挙げることができる。これらのゴムのうち、BR、ブタジエン-イソプレンランダム共重合体が好適に用いられる。
[0021]
 水添前重合体のビニル結合含量は20~70%、好ましくは30~60%、更に好ましくは35~45%である。ジエン系重合体のビニル結合含量が20%未満であると、融解熱が大きくなり低温性が著しく低下する。一方、70%超であると防振性が低下する。
[0022]
(水素添加)
 (A)成分の水素添加率は、72~96%、好ましくは74~95%、更に好ましくは80~93%である。(A)成分の水素添加率が72%未満であると、熱老化性が劣る。一方、(A)成分の水素添加率が96%超であると、架橋密度が低く、防振性が低下する。
[0023]
 水素添加の方法、反応条件については特に限定はない。通常は、20~150℃、0.1~10MPaの水素加圧下、水添触媒の存在下で実施される。なお、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、反応時間等を変えることにより、任意に選定することができる。水添触媒として、通常は、元素周期表Ib、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属のいずれかを含む化合物を用いることができる。例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物を水添触媒として用いることができる。より具体的な水添触媒としては、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン系化合物;Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物又は錯体;水素を吸蔵させたフラーレンやカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
[0024]
 これらのうち、Ti、Zr、Hf、Co、Niのいずれかを含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水添反応できる点で好ましい。更に、Ti、Zr、Hfのいずれかを含むメタロセン化合物が好ましい。特に、チタノセン化合物とアルキルリチウムとを反応させた水添触媒は、安価で工業的に特に有用な触媒であるので好ましい。具体的な例として、例えば、特開平1-275605号公報、特開平5-271326号公報、特開平5-271325号公報、特開平5-222115号公報、特開平11-292924号公報、特開2000-37632号公報、特開昭59-133203号公報、特開昭63-5401号公報、特開昭62-218403号公報、特開平7-90017号公報、特公昭43-19960号公報、特公昭47-40473号公報に記載の水添触媒を挙げることができる。なお、これらの水添触媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0025]
(重量平均分子量(Mw))
 (A)成分の重量平均分子量(Mw)は、10万~170万、好ましくは15万~170万、更に好ましくは15万~150万である。重量平均分子量(Mw)が10万未満であると、粘度が低すぎ加工性が劣る。一方、170万超であると、粘度が高く加工性が劣る。なお、本明細書にいう「重量平均分子量(Mw)」は、130℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した、ポリスチレン換算の値である。
[0026]
(分子量分布(Mw/Mn))
 (A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~3.0、好ましくは1.0~2.5、更に好ましくは1.0~2.0である。Mw/Mnの値が3.0超であると、防振性が低下する傾向にある。なお、分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する、重量平均分子量(Mw)の比で表されるが、本明細書にいう「数平均分子量(Mn)」は、130℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した、ポリスチレン換算分子量である。
[0027]
(官能基)
 (A)成分は、その分子鎖中に官能基を有する変性重合体である。本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物に含有される(A)成分は変性重合体であるので、フィラーと混合して組成物とした際に、フィラーと相互反応して、組成物中におけるフィラーの分散性を向上させることができる。このため、静動比を向上させて防振特性を向上させるとともに、高温時の物性を改善することができる。
[0028]
 (A)成分に導入される官能基は、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基、又はハロゲン(フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素のうちの一種以上)であることが好ましい。これらのうち、アミノ基、アルコキシル基、オキサゾリン基が更に好ましい。一の分子鎖に導入される官能基は、一種類のみであっても、二種以上であってもよい。なお、カルボキシル基には、通常のカルボキシル基(-COOH)だけでなく、加水分解によりカルボキシル基を生ずる基も含まれる。この「加水分解によりカルボキシル基を生ずる基」としては、例えば、下記式(1)で表される無水カルボキシル基の他、エステル基、アミド基等を挙げることができる。
[0029]
[化1]


[0030]
 (A)成分中に官能基を導入する方法には特に限定はない。例えば、(1)官能基を有する重合開始剤を用いて重合を行うことにより導入する方法、(2)官能基を有する不飽和単量体を反応させることにより導入する方法、及び(3)(共)重合体の活性点に官能基を有する重合停止剤を反応させることにより導入する方法、等を挙げることができる。また、上記の各方法は単独で行ってもよく、又は複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
[0031]
 (A)成分の一の分子鎖に含まれる官能基の数は、0.1~5.0個であることが好ましく、1.0~5.0個であることが更に好ましい。0.1個未満であると、官能基が導入した場合の効果が十分に発揮されなくなる傾向にある。
[0032]
 なお、本明細書にいう「一の分子鎖に含まれる官能基の数」、即ち「官能基含量(=官能基(個)/ポリマー(一分子鎖))」は、例えば滴定法等の測定方法によって求められる値である。例えば、官能基がアミノ基である場合には、Analy.Chem.564(1952)記載のアミン滴定法に準拠して定量した値である。即ち、精製したポリマーを有機溶剤に溶解してポリマー溶液を調製し、指示薬としてメチルバイオレットを使用して、ポリマー溶液の色が紫から水色に変化するまでHClO /CH COOHを滴下する。HClO /CH COOHの滴下量から、官能基含量を算出することができる。
[0033]
((B)ジエン系ゴム)
 本実施形態における(B)ジエン系ゴムは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、又はブタジエン-イソプレンランダム共重合体のうちの1種または2種以上である。これらのジエン系ゴムは、分子鎖中に官能基を有する変性ジエン系ゴムであっても良い。(B)成分中に導入しても良い官能基、(B)成分中に官能基を導入する方法等は、上記(A)成分の説明において詳説した通りである。
[0034]
(変性水添ジエン系重合体組成物)
 本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物は、(A)成分60~95質量部に対して、(B)成分を5~40質量部、好ましくは10~30質量部、更に好ましくは15~25質量部含有するものである。(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して5質量部未満であると強度が十分に得られない。一方、40質量部超であると、変性水添ジエン系重合体組成物の防振性能が劣る。
[0035]
(その他の成分)
(フィラー)
 本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物にフィラーを配合しても良い。フィラーを含有させることにより、強度を向上させることができる。好ましいフィラーとしては、シリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、ガラス粉末、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク、フッ素樹脂等を挙げることができる。なかでも、シリカ、カーボンブラック、ガラスファイバー、マイカ、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、クレー、硫酸バリウム、ガラスフレーク、フッ素樹脂が好ましい。更には、シリカ、カーボンブラックが好ましく、シリカを含有させることがより好ましく、シリカとカーボンブラックの両者を含有させることが特に好ましい。
[0036]
 シリカは、静動比の点から好ましい。また、カーボンブラックは、強度の点から好ましい。シリカには、湿式法ホワイトカーボン、乾式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ等の種類があるが、何れも使用することができる。なかでも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。カーボンブラックには、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等の種類があるが、いずれも使用することができる。なかでも、ファーネスブラックが好ましく、より具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、MT等が更に好ましい。
[0037]
 フィラーの含有量は、(A)成分と(B)成分との合計(他のゴム成分を含む場合には、全てのゴム成分の合計)100質量部に対して、通常100質量部以下であり、5~100質量部とすることがより好ましく、5~40質量部とすることが特に好ましい。
[0038]
 また、ASTM D3037-81に準拠してBET法により測定したカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に限定されないが、架橋ゴムの引張強度等を十分に向上させるためには、5~200m /gであることが好ましく、50~150m /gであることが更に好ましく、80~130m /gであることが特に好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸着量も特に限定されないが、架橋ゴムの強度等を十分に向上させるためには、5~300ml/100gであることが好ましく、50~200ml/100gであることが更に好ましく、80~160ml/100gであることが特に好ましい。
[0039]
 また、本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、アミン化合物を含有させることができる。かかるアミン化合物を含有させることにより、フィラーの濡れ性を改良し、フィラーの変性水添ジエン系重合体組成物中での分散性を向上させ、耐久性及び防振性能を向上させることができるので好ましい。なお、アミン化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0040]
 アミン化合物は、アミノ基を含んでいれば、その構造については特に限定はなく、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでもよい。また、アミノ基の数についても特に限定はなく、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ポリアミンでもよい。更に、アミン化合物の炭素数も特に限定はなく、通常は1~20、好ましくは1~15、更に好ましくは3~15、より好ましくは3~10である。また、アルカノールアミン等のように、アミノ基以外の官能基を含んでいてもよい。アミン化合物の具体例としては、2-エチルヘキシルアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
[0041]
 アミン化合物の含有量についても特に限定はなく、必要に応じて種々の範囲とすることができる。アミン化合物の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、通常20質量部以下であり、0より大きく15質量部以下とすることが好ましく、0より大きく10質量部以下とすることが更に好ましく、0.01~10質量部とすることがより好ましく、0.01~8質量部とすることが特に好ましく、0.01~5質量部とすることが最も好ましい。
[0042]
 更に、本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。このような添加剤としては、例えば、ゴム用伸展油、充填剤、架橋剤、架橋促進剤、及び架橋活性化剤等を挙げることができる。
[0043]
 ゴム用伸展油としては、石油系配合油であるパラフィン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を使用することができる。これらのうち、パラフィン系プロセスオイルが好ましい。ゴム用伸展油の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計(他のゴム成分を含む場合には、全てのゴム成分の合計)100質量部に対して、150質量部以下とすることが好ましく、100質量部以下とすることが更に好ましい。また、このゴム用伸展油は、予めゴム成分中に含まれていてもよい。
[0044]
 架橋剤としては、ジクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’-メチレンビス-o-クロロアニリン等の有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂等を使用することができる。架橋剤はそれぞれの種類のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用することもできる。あるいは、異なった種類のものを併用することもできる。架橋剤の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計(他のゴム成分を含む場合には、全てのゴム成分の合計)100質量部に対して、0.1~20質量部とすることが好ましく、0.5~10質量部とすることが更に好ましい。この範囲の配合量であれば、架橋ゴムの引張強度等を十分に向上させることができる。
[0045]
 架橋促進剤としては、以下の(a)~(g)に代表される各種のものを使用することができる。
[0046]
 (a)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系架橋促進剤。
[0047]
 (b)ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系架橋促進剤。
[0048]
 (c)チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系架橋促進剤。
[0049]
 (d)2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2-メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系架橋促進剤。
[0050]
 (e)テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系架橋促進剤。
[0051]
 (f)ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系架橋促進剤。
[0052]
 (g)イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系架橋促進剤。
[0053]
 架橋促進剤は、それぞれの種類のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用することもできる。あるいは、異なった種類のものを併用することもできる。架橋促進剤の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計(他のゴム成分を含む場合には、全てのゴム成分の合計)100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることが更に好ましい。なお、架橋剤として有機過酸化物を使用し、これに少量(有機過酸化物100質量部に対して、好ましくは1~5質量部、更に好ましくは2~4質量部)の硫黄を架橋助剤として添加することもできる。
[0054]
 架橋活性化剤としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸、酸化亜鉛等を使用することができる。酸化亜鉛としては、表面活性が高く、粒径が5μm以下のものが好ましい。そのような酸化亜鉛としては、粒径が0.05~0.2μmの活性亜鉛華、又は0.3~1μmの亜鉛華等を挙げることができる。また、アミン系の分散剤又は湿潤剤により表面処理した酸化亜鉛等を使用することもできる。これらの架橋活性化剤は、それぞれの種類のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用することもできる。或いは、異なった種類のものを併用することもできる。架橋活性化剤の配合量は、その種類等により適宜設定することができる。
[0055]
 また、有機過酸化物系架橋剤を使用する場合には、イオウ、p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン等を架橋助剤として使用してもよい。この架橋助剤の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計(他のゴム成分を含む場合には、全てのゴム成分の合計)100質量部に対して、0.1~20質量部とすることが好ましく、0.1~10質量部とすることが更に好ましい。
[0056]
(変性水添ジエン系重合体組成物の製造方法)
 本実施形態の水添ジエン系重合体組成物は、(A)成分と(B)成分とを混合することにより製造することができる。混合方法としては、溶液又はスラリー状態で混合する方法や混練機を用いた熱混合等が好ましい。混練機としては、バンバリーミキサー、ミキシングロール等を挙げることができる。混合する場合の条件については特に限定はなく、必要に応じて種々の条件とすることができる。加熱温度は、100~220℃とすることが好ましく、120~200℃とすることが更に好ましい。なお、混合の段階で、必要に応じてその他の成分を添加してもよい。
[0057]
2.ゴム成形品
 次に、本発明のゴム成形品の一実施形態について説明する。本実施形態のゴム成形品は、前述の変性水添ジエン系重合体組成物を架橋して得られた架橋ゴムからなるものである。従って、本実施形態のゴム成形品は、防振性、及び耐熱性に優れたものである。
[0058]
 本実施形態の変性水添ジエン系重合体組成物を使用してゴム成形品を製造するには、先ず、変性水添ジエン系重合体組成物に対して、架橋剤(過酸化物等)、及び必要に応じて架橋助剤(硫黄等)等を添加し、配合ゴム組成物を得る。得られた配合ゴム組成物を所定形状に成形しつつ、変性水添ジエン系重合体組成物に含有される(A)成分および(B)成分の架橋を行うことにより、本実施形態のゴム成形品を製造することができる。
[0059]
 本実施形態のゴム成形品は、例えば、防振ゴム類;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース類やホースカバー類;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O-リング、オイルシール等のシール類;ベルト、ライニング、ダストブーツ等として好適である。これまで述べてきたように、本実施形態の水添ジエン系重合体組成物は、十分な耐熱性を有するとともに、優れた防振性能を有するものでる。従って、これらの材料によって構成された本実施形態のゴム成形品は、防振ゴムとして好適である。

実施例

[0060]
 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[0061]
 [重量平均分子量(Mw)]:130℃においてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「HLC-8120」、東ソー社製)を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。
[0062]
 [数平均分子量(Mn)]:130℃においてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「HLC-8120」、東ソー社製)を使用し、ポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
[0063]
 [(水添前重合体の)ビニル結合含量]:赤外分析法を使用し、ハンプトン法により、ビニル結合の含量を算出した。
[0064]
 [水素添加率]:四塩化炭素溶液を溶媒として使用し、270MHz、 H-NMRスペクトルから算出した。
[0065]
 [官能基含量]:Analy.Chem.564(1952)記載のアミン滴定法に準拠して定量した。即ち、精製したポリマーを有機溶剤に溶解してポリマー溶液を調製し、指示薬としてメチルバイオレットを使用して、ポリマー溶液の色が紫から水色に変化するまでHClO /CH COOHを滴下した。HClO /CH COOHの滴下量から、官能基含量を算出した。なお、官能基含量は、以下に示す式(1)により表される。
 官能基含量=官能基(個)/ポリマー(一分子鎖)   (1)
[0066]
 [ムーニー粘度(ML 1+4,100℃)]:JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。
[0067]
 [シス-1,4-結合含量(%)]: 13C-NMR分析を行い、27.5ppm(シス-1,4-結合)、及び32.8ppm(トランス-1,4-結合)におけるシグナル強度から、重合体中のシス-1,4-結合とトランス-1,4-結合の比を算出した。
[0068]
 [引張破断強度(T )、引張破断伸び(E )]:JIS K6251に準拠し、3号型試験片を使用して、測定温度23℃、引張速度500mm/minの条件で測定した(常態物性)。また、測定温度が120℃である以外同様にして測定した(高温物性)。
[0069]
 [硬度(デュロA)]:JIS K6253に準拠し、試験片のスプリング硬さ(デュロメーターA硬度)を測定した。
[0070]
 [動的弾性率]:JIS K6394に準拠し、ブロック状の試験片を使用して、動的歪1%、温度25℃の条件で70Hzでの動的弾性率を測定した。また、同様にして、動的歪10%、温度25℃の条件で0.1Hzでの動的弾性率を測定した。なお、測定に際しては、レオメトリック社製の粘弾性測定装置(商品名「ARES」)を使用した。
[0071]
 [静動比]:以下に示す式(2)により、静動比を算出した。
 静動比=(70Hz時の動的弾性率)/(0.1Hz時の動的弾性率)   (2)
[0072]
(実施例1)
 窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン28kg、テトラヒドロフラン61.6g、n-ブチルリチウム0.61g、ピペリジン0.59g、及び1,3-ブタジエン1400gを入れ、30℃に設定後、断熱重合を行った。重合が完了した後、系内にN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン2.19gを加えて60分反応させ、前記の重合により得られたジエン系重合体の活性点に変性基を導入した。重合完結後、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給して20分間撹拌してリビングアニオンとして残っているポリマー末端をリチウムと反応させ、水素化リチウムとした。反応溶液を90℃とし、チタノセンジクロリドを主体とする触媒を使用して水素添加反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出した。抜き出した反応溶液を水中に撹拌投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去することにより、(変性)水添ジエン系重合体(1)を得た。得られた変性水添ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は25.8万、分子量分布(Mw/Mn)は1.20、ビニル結合含量は39.5%、水素添加率は86.6%であった。以上の結果を表1にまとめた。
[0073]
 (A)成分として、得られた水添ジエン系重合体(1)80質量部、(B)成分として天然ゴム20質量部、亜鉛華5質量部、ステアリン酸1質量部、シリカ30質量部、FEFカーボン10質量部、及び軟化剤10質量部を、容量250mlのプラストミルを使用し、150℃で5分間混練して混合物を得た。得られた混合物に対して、架橋剤5質量部、及び架橋助剤0.2質量部を添加し、オープンロールで50~70℃、5分間混練することにより、配合ゴム組成物を得た。なお、各種配合成分としては、以下の(1)~(7)に示すものを使用した。
[0074]
 (1)亜鉛華:商品名「酸化亜鉛2種」(白水化学工業社製)
 (2)ステアリン酸:商品名「ルナックS30」(花王社製)
 (3)シリカ:商品名「ニプシールER」(日本シリカ社製)
 (4)FEFカーボン:商品名「シーストSO」(東海カーボン社製)
 (5)軟化剤:商品名「ダイアナプロセスPW90」(出光興産社製)
 (6)架橋剤:商品名「パークミルD-40」(日本油脂社製)
 (7)架橋助剤:商品名「イオウ」(鶴見化学工業社製)
[0075]
 得られた配合ゴム組成物を、プレス成型機を使用して、170℃、150kgf/cm のプレス圧力下で20分間加熱し、厚さ2mmの試験片(加硫ゴムシート)を作製した。作製した試験片の引張破断強度(T )は19.6MPa、引張破断伸び(E )は450%、硬度(デュロA)は64であった。
[0076]
 また、得られた配合ゴム組成物を20分間加熱することにより、粘弾性試験用のブロック状試験片を作製した。作製したブロック状試験片の動的弾性率は2.67MPa(70Hz)及び2.07MPa(0.1Hz)、静動比は1.29であった。以上の結果を表3にまとめた。
[0077]
(実施例2)
 (B)成分をブタジエンゴム(BR)としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、変性水添ジエン系重合体組成物を得た。なお、(B)成分のジエン系ゴムの詳細は表2に示す。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0078]
(実施例3)
 窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン28kg、テトラヒドロフラン61.6g、n-ブチルリチウム0.61g、ピペリジン0.59g、及び1,3-ブタジエン1400gを入れ、50℃に設定後、断熱重合を行った。重合が完結した後、系内に4-{2-[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン2.60gを加えて60分反応させ、前記の重合により得られたジエン系重合体の活性点に導入した。次いで、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、未反応のポリマー末端をリチウムと反応させ、水素化リチウムとした。水素ガス供給圧力を0.7MPa-Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする触媒を使用して水素添加反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒をスチームストリッピングにより除去することによって、水添ジエン系重合体(2)を得た。得られた水添ジエン系重合体(2)の各種物性値を表1に示す。また、表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0079]
(実施例4)
 窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン28kg、テトラヒドロフラン61.6g、n-ブチルリチウム0.61g、ピペリジン0.59g、及び1,3-ブタジエン1400gを入れ、50℃に設定後、断熱重合を行った。重合が完結した後、系内にN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.13gを加えて60分反応させ、前記の重合により得られたジエン系重合体の活性点に導入した。次いで、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給し、20分間撹拌し、リビングアニオンとして残っているポリマー末端をリチウムと反応させ、水素化リチウムとした。水素ガス供給圧力を0.7MPa-Gauge、反応溶液を90℃にし、チタノセンジクロリドを主体とする触媒を使用して水素添加反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒をスチームストリッピングにより除去することによって、水添ジエン系重合体(3)を得た。得られた水添ジエン系重合体(3)の各種物性値を表1に示す。また、表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0080]
(ジエン系ゴム(3)の合成例)
 窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン2.4kg、1,3-ブタジエン300gを仕込んだ。これらに、予め触媒成分としてバーサチック酸ネオジム(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(以下「MAO」ともいう)(1.8mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(以下「DIBAH」ともいう)(5.0mmol)およびジエチルアルミニウムクロリド(0.18mmol)のトルエン溶液と1,3-ブタジエン(4.5mmol)を50℃で30分間反応熟成させた触媒を仕込み、80℃で60分間重合を行った。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液200gを抜き取り、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、重合停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、変性前重合体を得た。
[0081]
 さらに、残りの重合体溶液を温度60℃に保ち、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以下「GPMOS」ともいう)(4.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間反応させた。続いて、テトライソプロピルチタネート(以下「IPOTi」ともいう)(13.5mmol)のトルエン溶液を添加し、30分間混合させた。その後、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.5gを含むメタノール溶液を添加し、変性重合体溶液2.5kgを得た。
[0082]
 次に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lに上記変性重合体溶液を添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応を行い、110℃のロールで乾燥して、変性重合体(ジエン系ゴム(3))を得た。得られたポリマーの特性を表2に示す。
[0083]
(実施例5)
 (B)成分をブタジエンゴム(BR)15質量部とジエン系ゴム(3)5質量部との混合物としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、変性水添ジエン系重合体組成物を得た。なお、(B)成分のジエン系ゴムの詳細は表2に示す。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0084]
(実施例6)
 (B)成分をジエン系ゴム(3)としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、変性水添ジエン系重合体組成物を得た。なお、(B)成分のジエン系ゴムの詳細は表2に示す。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0085]
(比較例1)
 (A)成分を100質量部とし、(B)成分を用いなかったこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、変性水添ジエン系重合体組成物を得た。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0086]
(比較例2)
 窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン28kg、テトラヒドロフラン56g、及び1,3-ブタジエン1400gを入れ、50℃に設定後、断熱重合を行った。重合完結後、水素ガスを0.4MPa-Gaugeの圧力で供給して20分間撹拌してリビングアニオンとして生きているポリマー末端をリチウムと反応させ、水素化リチウムとした。反応溶液を90℃とし、チタノセンジクロリドを主体とする触媒を使用して水素添加反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出した。抜き出した反応溶液を水中に撹拌投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去することにより、水添ジエン系重合体(4)を得た。得られた水添ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は25.5万、分子量分布(Mw/Mn)は1.10、ビニル結合含量は39.0%、水素添加率は83.9%であった。以上の結果を表1にまとめた。
[0087]
 上記で得られた水添ジエン系重合体(4)を(A)成分としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、水添ジエン系重合体組成物を得た。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0088]
(比較例3)
 (A)成分を用いずに、(B)成分を100質量部としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、ジエン系重合体組成物を得た。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0089]
(比較例4)
 (B)成分をブタジエンゴム(BR)としたこと以外は、前述の比較例3と同様にして、ジエン系重合体組成物を得た。表3に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、配合ゴム組成物、及び試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片を作製した。作製した試験片(加硫ゴムシート)、及びブロック状試験片の各種物性値を表3に示す。
[0090]
[表1]


[0091]
[表2]


[0092]
[表3]


[0093]
(考察)
 表1に示す結果から、実施例1~6で用いた変性水添ジエン系重合体組成物は、比較例1~4に比して高温物性のE と静動比とのバランスが優れ、防振性、及び耐熱性に優れたものであることが明らかである。なお、高温物性のE は170%以上が好ましく、静動比は1.4以下が好ましい。

産業上の利用可能性

[0094]
 本発明の水添ジエン系重合体、及び水添ジエン系重合体組成物は、防振性、耐熱性に優れたゴム成形品を作製可能なものである。従って、これらの変性水添ジエン系重合体や変性水添ジエン系重合体組成物を用いて作製した本発明のゴム成形品は、防振性、耐熱性に優れたものであり、例えば、防振ゴム類;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース類やホースカバー類;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O-リング、オイルシール等のシール類;ベルト、ライニング、ダストブーツ等として好適である。

請求の範囲

[1]
 (A)ビニル結合含量が20~70%のジエン系重合体を水素添加して得られた、重量平均分子量(Mw)が10万~170万、分子量分布(Mw/Mn)が1.0~3.0、及び水素添加率が72~96%であり、かつ、官能基を有する変性水添ジエン系重合体と、
 (B)ジエン系ゴムを含有し、
 前記(A)変性水添ジエン系重合体60~95質量部、(B)ジエン系ゴム5~40質量部の比率で、合計100質量部を含有する変性水添ジエン系重合体組成物。
[2]
 前記(A)官能基を有する変性水添ジエン系重合体が、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、又はブタジエン-イソプレンランダム共重合体である請求項1に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[3]
 前記(A)官能基を有する変性水添ジエン系共重合体の官能基が、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン基、オキサゾリン基、イソシアネート基、チオール基、及びハロゲンからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1または2に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[4]
 前記(A)変性水添ジエン系重合体の一の分子鎖に含まれる前記官能基の数が、0.1~5.0個である請求項1~3のいずれか一項に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[5]
 シリカ系フィラーをさらに含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[6]
 前記(B)ジエン系ゴムが、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、およびブタジエン-イソプレンランダム共重合体のうちの1種または2種以上である請求項1~5のいずれか一項に記載の変性水添ジエン系重合体組成物。
[7]
 請求項1~6のいずれか一項に記載の変性水添ジエン系重合体組成物を架橋して得られた架橋ゴムからなるゴム成形品。