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1. (WO2008117783) 膜エレメントおよび膜分離装置
Document

明 細 書

発明の名称 膜エレメントおよび膜分離装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

課題を解決するための手段

0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024   0025  

発明を実施するための最良の形態

0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

膜エレメントおよび膜分離装置

技術分野

[0001]
 本発明は、下水や生産工場、レストラン、水産加工工場、食品工場から生じる廃水を処理槽内で浄化する際に用いられる膜エレメントおよびそれを用いた膜分離装置に関する。

背景技術

[0002]
 生活廃水や産業廃水(以下「下廃水」という。)は、そのまま環境に放流してしまっては、環境汚染につながる。そのため一定のレベルまで浄化した後に放流する。従来は下廃水を処理槽(活性汚泥槽)に入れ、空気を通しながら微生物によって下廃水中の汚濁物質を分解処理して活性汚泥液とし、次いで、汚泥活性液を、別途設けた沈殿地にて汚濁分を沈降分離させた後、上澄み水を放流する。これは活性汚泥法と呼ばれる。
[0003]
 近年、高分子膜技術や膜分離技術の向上によって、膜分離活性汚泥法という方法が使われてきている。この方法では、処理槽(膜浸漬槽)中の被処理水中に膜分離装置を沈め、微生物による分解と、膜による活性汚泥液からの膜ろ過されて浄化水の取り出しとを同時に行う。膜ろ過されて取り出された水はそのまま放流できるため、沈降分離用の沈殿池地を設置しなくてよいという利点がある。
[0004]
 ここで、膜浸漬槽内には、下廃水と共に、それを微生物処理するための微生物及び微生物処理により生成された活性汚泥液が貯留しており、この処理槽内に存在する液体を被処理水という。
[0005]
 ここで用いられる膜分離装置は、図9に示すように、支持板の表裏両面に分離膜を貼り合わせた膜エレメント10を多数並べてなるエレメントブロック3から主として構成される。このエレメントブロック3の下方には、散気装置4が配設されている。膜エレメントには、ろ過水を取り出す吸水管38が配設されていて、この吸引管38にはチューブ5を介して集水管5が接続され、その下流側に吸引ポンプ6が接続され、膜エレメント10内部に陰圧をかけ、ろ過水を取り出す。散気装置4はブロワ7に連結されている。膜浸漬槽2内の被処理水中に沈められた膜分離装置3に向けて下方の散気装置4から空気が噴出されるが、これを曝気と称する。曝気は微生物に酸素を供給して活性化させ、汚泥の分解を促進する作用がある。
[0006]
 散気装置4からの曝気はまた、各膜エレメント10の両面に配置された分離膜の外表面に付着しようとする汚泥を剥ぎ取って、膜への汚泥の付着堆積を抑制すると共に、エアリフト効果によって槽内の被処理水を膜エレメント間に循環させる流れをも作る。図10に示すように、膜エレメント間には、曝気による被処理水の上昇流が生じていて、この上昇流が膜の外表面に衝突することで、表面が洗浄されて膜の目詰まりが抑制され、固液分離性能の経時的低下が抑制できる。
[0007]
 膜エレメント間の間隔が小さすぎるとこの上昇流に対する流動抵抗が高まり、流量が低下する結果、分離膜表面の汚泥付着を解消するに適切な流速を得ることが出来ない。また間隔が大きすぎると、一定体積中に設置できる膜エレメントの数が少なくなり、固液分離処理量、即ち、系外に取出されるろ過水の量が減る。従って、膜エレメント間は所定の間隔に保持されていなければならない。
[0008]
 膜分離装置3での膜エレメント10を所定間隔にして固定する方法は、いくつかの方法が提案されている。
[0009]
 例えば、膜エレメント間に保持体を挟み込み、支持体の四隅に設けた孔にボルトを挿通して固定する方法がある(特許文献1)。この場合は、保持体を挟み込むことにより膜エレメント間の間隔を維持されている。
[0010]
 また、支持体の側縁部に枠体を配置し、枠体同士が当接するように支持体を重ねるものもある(特許文献2)。この場合は、側縁部に設けた枠体が膜エレメント間の間隔を保持している。
[0011]
 膜分離装置に予め膜エレメントを固定するためのフレームを設ける場合もある。特許文献3には、フレームに溝状の固定端部を有する方法が開示されている。この方法では、曝気による膜エレメントの振動を防止するために、弾性素材からなる櫛歯状凸部を有する押さえ板を用いる。
[0012]
 さらに特許文献4には、隣接する膜モジュール間において相互に当接する凸部を設けた膜モジュールが開示されている。さらに、膜モジュールの幅方向の中間にサポート体を複数の膜モジュールに掛け渡して配置し、サポート体に各膜モジュールも縁端部に嵌合する複数の凹部を設けた膜分離装置が開示されている。
特許文献1 : 特開2004-121943号公報
特許文献2 : 特開平10-180052号公報
特許文献3 : 特許第3328149号報
特許文献4 : 特許第3342742号報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0013]
 特許文献3で示されているように、膜浸漬槽中の曝気によって膜エレメントは少なからず振動する。そのため、支持板同士若しくは支持板と他の部品が接近していると、連続的に衝突が生じ、その部分が磨耗する。
[0014]
 膜分離装置は、膜浸漬槽中に沈めて長期間連続的に使用するため、引き上げてのメンテナンスは容易ではない。従って、膜エレメントの部分的な磨耗は、無いか若しくは少ない事が望ましい。
[0015]
 すでに述べたように、エレメントブロックでは、複数の膜エレメントが所定間隔で配置されている。膜エレメントは幅が数十cmから1m程度の大きさの場合が多いが、膜エレメント間の間隔は数mmから広くてもせいぜい十数mm程度である。そして、膜エレメントの両幅端は固定されているので、膜エレメントの分離膜に垂直な方向に振動が生じると、支持板の上縁部若しくは下縁部の中央部付近での振幅が最も大きくなり、隣接する膜エレメントの支持板と中央部において容易に衝突を起こす。
[0016]
 膜エレメントの中央部が最も振動しやすい理由は、図10に示す通り、曝気によって膜エレメント間に生じる被処理水の上昇流速が、膜エレメント中央部ほど大きいことからも示唆される。よって隣接する膜エレメント同士の衝突を抑制するには、膜エレメントの中央部の振動を抑制することが最も単純かつ確実である。しかしながら特許文献3の発明では、膜エレメントの肩部に櫛歯状凸部を圧入して固定するため、膜エレメントの中央部の振動を抑制する効果はほとんどない。
[0017]
 なお、図10は標準的なK-εモデルを用いた解析である。解析対象領域は高さ1400mm、幅750mm、奥行き135mmの水槽中に幅250mm高さ500mmの膜エレメント136を5枚配置し、下部に散気管を配置した対称モデルである。メッシュ数は300,000であり、液体の粘度は10cp、散気管からの曝気量は1エレメントあたり16L/分であるので、図10に示す膜エレメント136を5枚配置したモデル解析での曝気総量は80L/分とした。図10を参照して、この解析では、浸漬膜端部121の流速が0.1m/sであったのに対して、浸漬膜中央部120の流速は0.8m/sであり、8倍の流速になった。
[0018]
 また、特許文献4の発明によれば、隣接する膜モジュール間において相互に当接する凸部同士が撓みの発生を相互に抑制するとあるが、当接のみでは、曝気による膜エレメントの微振動によってやがて凸部が摩耗し、結局、隣接する膜エレメントの支持板同士は、中央部において容易に衝突を起こす。
[0019]
 さらに、特許文献4の発明によれば、膜モジュールの幅方向の中間にサポート体を複数の膜モジュールに掛け渡して配置し、サポート体に各膜モジュールも縁端部に嵌合する複数の凹部を設けるとあるが、サポート体と膜モジュールとを全く隙間無く凹凸嵌合させることは製品精度がかなり高くなければならず、その精度を達成するのは量産技術として不向きである。また、隙間に余裕を持たせて凹凸勘合させた場合は、前述の通り、曝気による膜エレメントの微振動によって凹凸嵌合部が摩耗し、隣接する膜モジュール間の間隙を長期に渡って常に一定に維持することはできない。その結果、隣接する膜エレメントの支持板同士は、中央部において容易に衝突を起こし得る。
[0020]
 すなわち、従来の膜分離装置においては、膜エレメントの上縁部や下縁部の支持板の中央部分が磨耗しやすい、ひいては、振動により膜エレメントの支持板自体が疲労破壊に至るという課題があった。

課題を解決するための手段

[0021]
 上記の課題を解決するために、本発明では、支持板の上縁部若しくは下縁部の中央部に貫通孔を有する膜エレメントを与え、この貫通孔の周囲に、膜エレメント同士の間隔を適正に保持するための中央スペーサ部を容易に配置できるようにする。
[0022]
 さらに、これらの膜エレメントを複数枚並べて、幅方向の両端を固定し、貫通孔にシャフトを通してとめ具で固定し、全ての膜エレメントを挟圧固定した膜分離装置を与える。

発明の効果

[0023]
 膜エレメントの支持板の上縁部の中央部か下縁部の中央部の少なくとも一方に、貫通孔を有する中央スペーサ部を設けたので、支持板同士は幅方向の両端だけでなく、真ん中あたりでも固定されることになる。従って膜エレメントに、膜面の垂直な方向の振動が生じても、隣接する膜エレメント同士は、支持板の上縁部や下縁部で衝突が発生することがない。さらに、膜エレメント同士は挟圧固定されているので、膜エレメント間での微振動による摩耗を防止し、ひいては、隣接する膜エレメント同士の衝突による磨耗および膜エレメントの支持板自体の疲労破壊を減少させることができる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本発明に関する膜エレメントを示す斜視図である。
[図2] 膜エレメントの上面図であり、(a)及び(b)は膜エレメントが振動する様子を説明し、(c)は中央スペーサ部での固定により振動が抑制される様子を説明する。
[図3] 膜エレメントの上縁部の正面図であり、中央スペーサ部の取り付け方のバリエーションを示す。
[図4] 膜エレメントの上縁部の正面図であり、中央スペーサ部の取り付け方のバリエーションを示す。
[図5] 中央スペーサ部の形状のバリエーションを示す。
[図6] 本発明の膜エレメントを組み合わせた膜分離装置を示す斜視図である。
[図7] 中央スペース部の厚みの公差によって膜分離装置が変形する様子を示す上面図である。
[図8] 本発明の膜エレメントの他の形態を示す斜視図である。
[図9] 膜分離装置の構成を示す図である。
[図10] 膜分離装置における、被処理水の流動解析結果の例を示す。

符号の説明

[0025]
 3    膜分離装置(エレメントブロック)
 10   膜エレメント
 31   支持板
 33   保持枠体
 41   中央スペーサ部
 50   貫通孔

発明を実施するための最良の形態

[0026]
(実施の形態1)
 本発明の実施形態を図面により説明する。図1は本発明の膜エレメントの斜視図を示す。膜エレメント10は、両側縁部に保持枠部33を配置した支持板31に、分離膜36、37を表裏両面から貼り合わせてある。
[0027]
 なお、本明細書の説明において、膜エレメントの上縁部とは、分離膜の上方の支持板の部分をいう。また、下縁部は膜エレメントの分離膜の下方にある支持板の部分をいう。また側縁部とは、膜エレメントの側面の部分であり、図1では保持枠部33が設置されている部分である。また、枠中央部とは、上縁部や下縁部において、側縁部を除いた範囲をいうものとする。
[0028]
 分離膜36、37には、処理槽内に存在する被処理水(下廃水や活性汚泥液)をろ過することができる分離膜が用いられ、多孔質樹脂によって作製される平膜である場合が多い。その材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリサルフォン樹脂などを用いたり、主成分とすることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
[0029]
 保持枠部33は、膜エレメントを複数配置する際に、各膜エレメントの分離膜同士の間を所定の間隔に保持するための部分である。支持板31と一体的に成形して作るのが好ましいが、支持板と別に作製し、取り付けても良い。
[0030]
 保持枠部33は膜エレメントの分離膜同士の間の間隔保持を目的とする部分であるので、その厚み35は、支持板31の厚み32より厚い。支持板31に設置された保持枠部33が、支持板31の表側及び裏側で同じ高さ34を持つ場合は、隣接する膜エレメントの分離膜同士の間の距離は、この保持枠部の高さ34の2倍となる。
[0031]
 なお、膜分離装置のフレームに、隣接する膜エレメントの分離膜同士の間を所定間隔として固定するための要素が備えられている場合は、保持枠部33は設けない場合もある。
[0032]
 支持板31は、その表裏に分離膜36、37を保持する。分離膜を通過したろ過水は支持板と分離膜との間の集水路(図示せず)を流れてろ過水出口へと向かう。支持板31には、ろ過水を取り出す吸水管38が配設され、集水路を経て集められたろ過水は吸水管38からエレメント外に取り出される。支持板と分離膜との間の集水路は、支持板の表面に形成された流路用の溝であってもよいし、また、多孔質ネット(ネット、不織布、等)を支持板と分離膜の間に介在させて集水路としても良い。
[0033]
 支持板31の上縁部の枠中央部には、中央スペーサ部41が支持板31と一体的に作製されている。中央スペーサ部41の厚み43は、保持枠部33の厚み35と同じである。すなわち、保持枠高さ34の2倍と支持板厚み32を加えた厚みがある。保持枠部33の存在によって形成される、膜エレメントの分離膜同士の間隔を、枠中央部によっても形成できるようにするためである。
[0034]
 支持板31の上縁部もしくは下縁部の枠中央部には、中央スペーサ部41を有する膜エレメントを枠中央部でも固定するために貫通孔を有する。この貫通孔50に固定用シャフトを通し、固定用シャフトの両端から、重ねた膜エレメントをとめ具で挟圧固定することで、枠中央部での振動を防止する。固定用シャフトは、上述のように重ねた膜エレメントを、貫通孔50に挿通させることで固定するための棒である。特に限定されるものではないが、金属性の一体物で棒であるのが望ましい。しかし、ねじ止め等の連結手段によって複数のシャフトが繋がったものであってもよい。
[0035]
 この貫通孔50は、図1に示すように、中央スペーサ部41に形成されていてもよい。貫通孔50を中央スペーサ部41に設けることによって、各膜エレメント同士の中央スペーサ部の固定をより確実に行える。図1には、貫通孔50を中央スペーサ部41に設けた例を示している。また、貫通孔50は、側方に開口部を有する溝状であってもよい(図示なし)。貫通孔は、固定用シャフトを保持するための部分であるので、孔状でなくてもよいからである。溝状であると、固定用シャフトの脱着が容易になるという利点もある。
[0036]
 中央スペーサ部41は、膜エレメント同士の振動による衝突を抑制し、支持板の磨耗を減少させるためのものであるので、上縁部の中央付近に設置されてあれば位置的な限定はない。また中央スペーサ部41は下縁部に設けても良いし、複数個設けてもよい。しかし、多く設けると膜エレメント間における被処理水の上昇流を阻害する場合がある。
[0037]
 上昇流の阻害は、微生物の活性化を制限し、また膜エレメント表面の汚泥の除去を妨害することが考えられる。従って、中央スペーサ部41を複数配置する場合は、膜エレメントの大きさと散気装置による曝気の量などを考慮する必要がある。
[0038]
 支持板の材質としては、ASTM試験法のD638における引張り強さが15MPa程度以上の剛性を持つ材質が好ましい。ステンレスなどの金属類、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの樹脂、繊維強化樹脂(FRP)などの複合材料、その他の材質などを好ましく使用することができる。また、保持枠部33にも支持板と同等の材質を使用すればよい。支持板31及び保持枠部33等をABS樹脂等の同じ材質で構成する場合には、それらを一体成形により製造すればよい。
[0039]
 図2には、スペーサ部41の有無による膜エレメントの振動の様子を示す。この図は、膜エレメントの上面図である。図2(a)(b)は、中央スペーサ部がない場合を示す。膜エレメントは両端の保持枠部33で固定されており、分離膜同士は所定の距離で保持されるように設計されている。散気装置から噴出される曝気は、被処理水の上昇流を生むだけでなく、膜エレメントに衝突し、下方から押し上げるような力を発生させる。また、処理槽の底から水面に上がるに従い水圧が小さくなるため、大きな泡になるものもある。泡が大きくなる際には、膜エレメントの膜面に対し略垂直な方向から押す力が加わる。
[0040]
 このように押す力は、膜エレメントの膜面に対し垂直な方向に振動60を発生させうる。この振動のモードは様々であるが、膜の中央部分を振動の腹とする基本振動が容易に生じる。図2(a)と(b)は、2つの膜エレメントの支持板が、180度位相のずれた基本振動を行なっていることを示す。図2(a)は、2つの支持板が離れる方向に変位した場合を示し、図2(b)は近づく方向に変位した場合を示す。この振動によって、隣接する膜エレメントとの間で、支持板の上縁部において衝突62が発生する。
[0041]
 一方、中央スペーサ部41があれば、ちょうど振動の腹の部分が固定されるので、隣接の膜エレメント同士が衝突を起こす事はない。従って、膜エレメントの磨耗は抑制される。
[0042]
 なお、膜エレメントの幅が長い場合は中央スペーサ部41と保持枠部33との間でも振動が生ずる場合がある。そのような場合は、中央スペーサ部41を保持枠部33の間に複数設置すればよい。
[0043]
 図3は中央スペーサ部41の取り付け位置のバリエーションを示す。図3は膜エレメントの上縁部の正面図である。中央スペーサ部41は、膜エレメントの上縁部若しくは下縁部の中央部に取り付けるのが好ましい。膜エレメントは左右両端で固定されているので、中央部が振動の腹となり、変位が一番大きい。従って、この部分を固定するのが、磨耗の抑制において効果が大きい。
[0044]
 しかし、膜エレメントの大きさや、配置する間隔によっては、上縁部若しくは下縁部の真ん中から外れた位置に設置してもよい。また、複数個の中央スペーサ部を設置するようにしてもよい。図3(a)は、上縁部に2つの中央スペーサ部を設置した場合を示す。
[0045]
 スペーサ部41は、貫通孔が支持板の上端45にかかる場合、上端45よりも下にある場合、上端45よりも上にある場合の3つが考えられる。それぞれ図3の(b)、(c)、(d)である。これらはどれであってもかまわない。なお、図3では上縁部の例だけを示したが、下縁部に設置する場合も同じである。
[0046]
 また、図4には、他のバリエーションを示す。図4(a)は、中央スペーサ部と貫通孔が別々の位置に配置されるように成形されている場合を示す。また図4(b)は、図4(a)の変形である。これは支持板に形成された貫通孔50の両脇に中央スペーサ部が配置されている。このように中央スペーサ部は1つでなくてもよい。同様に貫通孔50が複数箇所あってもよい。
[0047]
 図4(c)には中央スペーサ部に形成された貫通孔が溝状の場合を示す。図4(d)は、中央スペーサ部と貫通孔が別々に形成され、貫通孔が溝状の場合を示している。このように本発明において、固定用シャフトを支える貫通孔50は孔状の場合だけでなく、溝状も含むものである。貫通孔50が溝状であれば、固定用シャフトの脱着が容易になる。
[0048]
 図5には、中央スペーサ部41の形状のバリエーションを示す。図5(a)は図1に示した長方形型である。もちろん正方形型であってもよい。図5(b)は、ひし形である。ひし形にすることで、曝気の上昇流の阻害を抑制することができる。図5(c)は丸型である。また(d)は涙滴状である。いずれも曝気による上昇流をスムースにするのが目的である。これらの形状はいずれであってもよい。なお、図5では、貫通孔50を中央スペーサ部41に存在するように記載したが、図4のようなバリエーションであってもよい。
[0049]
 図6に本発明の膜エレメント10を複数重ね合わせた膜分離装置3を示す。各膜エレメントは保持枠部33の固定孔48を通して連結され固定される。このように膜エレメントの側縁部を固定する要素をエレメント固定部と呼ぶ。エレメント固定部は、このように保持枠部に形成された固定孔48を通して連結され固定されるものを含む。また、膜分離装置のフレームに、側縁部を固定する部品が用意されている場合は、その部分を指す。
[0050]
 中央スペース部には貫通孔50が開けられているので、ここに固定用シャフト53を通し、両端をとめ具54で締め上げ、中央スペース部41を挟圧固定する。とめ具はボルトとナットとの組み合わせなどが好適に使用できるが、これに限定されるものではない。なお、図では膜エレメント間を保持枠部33で固定するように説明したが、膜エレメントを固定する他の部品で固定されてもよい。
[0051]
 本発明では、中央スペーサ部41の厚み43は、保持枠部33等により形成される所定の膜エレメント間隔が保持できるようにするのが基本であるが、ある程度の公差は容認される。この時、膜エレメント間隔に対してプラス公差であるのが望ましい。
[0052]
 図7には、膜エレメントを複数枚重ねて中央スペーサ部41をシャフトとボルトで固定した時の上面模式図を示す。もし、中央スペーサ部の厚みの公差が膜エレメント間隔に対してマイナス公差であった場合は、膜分離装置は図7(a)に示すように、中央部がへこんだ糸巻き形状になる。このようになるとエレメントブロックの中ほどの膜エレメント同士は中央スペーサ部で固定されない場合も生じる。
[0053]
 一方、中央スペーサ部の厚みが膜エレメントの間隔に対してプラス公差の場合は、図7(b)に示すように、膜分離装置が樽型になる。従って全ての膜エレメントは枠中央部で固定できる。
[0054]
 もっとも、図7(a)および(b)のどちらの場合も膜分離装置の変形量が大きいと、外側の膜エレメントの歪が大きく、割れなどの損傷が発生する。従って、中央スペーサ部の厚みは、膜分離装置に組んだ際に、個々の膜エレメントが損傷するなどの応力がかからない範囲で、全膜エレメントが固定できる範囲に設定されるものである。
[0055]
(実施の形態2)
 図8には、本発明の膜エレメントの他の形態を示す。この実施形態では、実施の形態1において一体的に付設されていた中央スペーサ部41が、別部材である間隔保持材71に分かれている。間隔保持材71には貫通孔50と同じ貫通孔54を有する。従って、間隔保持材71と貫通孔50を重ね、固定用シャフトととめ具で挟圧固定することができる。このように図1の中央スペーサ部を分離しても同様の効果を得る事ができる。
[0056]
 なお、図8では膜エレメント間に挿入する間隔保持材71を別々の部材としたが、個々の間隔保持材71は連結されていてもよい。また膜エレメントを枠中央部で固定することができれば、貫通孔はなくてもよい。
[0057]
 間隔保持材71は貫通孔54を有していても有していなくても、固定用シャフトで固定した際にずり落ちたり、はずれたりすることが無い程度近い場所に配置される必要がある。この意味で、間隔保持材71は貫通孔50の周囲に配置されなければならない。なお、間隔保持材71の材質は特に限定はないが、支持板31同様、耐腐食性の高い材料であるのが、好ましい。

請求の範囲

[1]
分離膜と、
支持板と、
前記支持板の上縁部の枠中央部又は下縁部の枠中央部の少なくとも一方に貫通孔を有する膜エレメント。
[2]
前記支持板の上縁部又は下縁部に中央スペーサ部を有し、前記貫通孔は前記中央スペーサ部に設けられている請求項1に記載の膜エレメント。
[3]
前記支持板の側縁部には保持枠部を有する請求項1または2に記載の膜エレメント。
[4]
分離膜と、
支持板と、
前記支持板の上縁部の枠中央部又は下縁部の枠中央部の少なくとも一方に貫通孔を有する複数の膜エレメントと、
前記複数の膜エレメントのそれぞれを所定間隔に配置し、それぞれ膜エレメントの側縁部を固定するエレメント固定部と、
前記複数の膜エレメントのそれぞれの前記貫通孔の周囲に配置された間隔保持材と、
前記複数の膜エレメントのそれぞれの前記貫通孔に挿通された固定用シャフトと、
前記固定用シャフトの両端から複数の該膜エレメントを挟圧固定するとめ具とを有する膜分離装置。
[5]
分離膜と、
支持板と、
前記支持板の上縁部の枠中央部又は下縁部の枠中央部の少なくとも一方に貫通孔と中央スペーサ部を有する複数の膜エレメントと、
前記複数の膜エレメントのそれぞれを所定間隔に配置し、それぞれ膜エレメントの側縁部を固定するエレメント固定部と、
前記複数の膜エレメントのそれぞれの前記貫通孔に挿通された固定用シャフトと、
前記固定用シャフトの両端から複数の該膜エレメントを挟圧固定するとめ具とを有する膜分離装置。
[6]
 前記貫通孔は前記中央スペーサ部に有する請求項5記載の膜分離装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]