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1. (WO2008117772) 光重合性高分子を含む硬化性材料および硬化物
Document

明 細 書

発明の名称 光重合性高分子を含む硬化性材料および硬化物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020   0021   0022   0023  

発明を実施するための最良の形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

実施例

0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

光重合性高分子を含む硬化性材料および硬化物

技術分野

[0001]
 本発明は、重合開始剤及び促進剤、架橋剤等の添加剤を一切添加することを必要とせずに光の照射により硬化物を形成できる硬化性材料に関し、詳述すると、硬化膜を形成できる膜形成材料及びそれから得られる硬化膜に関する。
 これらは、塗料、インキ、接着剤、樹脂フィラー、各種成形材料、フォトニック結晶、レジスト材料、光学材料、電子材料、情報記録材料、印刷材料、電池材料、医用材料、磁性材料などとして好適に利用される。

背景技術

[0002]
 従来、ハイパーブランチポリマー(HBP)はデンドリマーと共にデンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されている。
 従来の高分子化合物は一般的に紐状(線状)の形状であるのに対し、これらのデンドリティックポリマーは積極的に分枝を導入することにより、特異なポリマー構造や様々な機能の発現を目指している。例えば、前記多分枝構造によって、ナノメートルオーダーの分子サイズや、数多くの官能基を保持し得る表面状態を有するポリマー構造をとるほか、線状ポリマーに比べて低粘度化できる、分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示す、非晶性になり溶媒溶解性を制御できるなどの様々な特性が発現し、これらの特性を利用して幅広い技術分野への応用が期待されている。
[0003]
 特に、デンドリティックポリマーの最も顕著な特徴として、末端基数の多さが挙げられる。デンドリティックポリマーにおいては一般に分子量の増加と共に分枝の数も増加するため、末端基の絶対数は高分子量のデンドリティックポリマーほど多くなる。
 このような末端基数の多いデンドリティックポリマーでは、末端基の種類によって分子間相互作用が大きく左右され、ガラス転移温度や溶解性、薄膜形成性などが大きく変化するという一般の線状高分子にはない特徴を有する。
[0004]
 また、末端基に反応性官能基を付与した場合には、その分子形態から非常に高密度に反応性官能基を有することになるため、例えば、機能物質の高感度補足剤、高感度な多官能架橋剤、金属や金属酸化物の分散剤又はコーティング剤としての応用が期待される。したがって、デンドリティックポリマーにおいては、末端基の種類をどのように設定するかが、そのポリマーの特性の発現に重要な因子となる。
[0005]
 一方、光硬化性樹脂組成物は、一般に紫外線の照射により硬化を行う紫外線硬化型の光硬化性樹脂組成物が、多岐にわたる分野で利用されている。これらの光硬化性樹脂組成物は、一般に、モノマー、オリゴマーおよび光重合開始剤を含み、必要に応じて促進剤や架橋剤、さらには安定性や強化等の向上を目的として各種添加剤(安定剤、フィラー、顔料など)を含む組成物である。
 該組成物に含まれるモノマーやオリゴマーのみでは簡単には重合反応を起こさないため、光重合開始剤により反応を開始させる必要がある。光重合開始剤は光を吸収して活性化(励起)し、開裂反応、水素引き抜き、電子移動などの反応を起こすことにより、ラジカル分子、水素イオンなど反応を開始する物質を生成させる。そして生成したラジカル分子や水素イオンなどがオリゴマーやモノマー分子を攻撃して3次元的な重合や架橋反応を起こす。
 この反応により一定以上の大きさの分子になると、光照射によって反応が進行した部分が液体状態から固体状態に変化する。
[0006]
 これまで、塗料等の硬化性樹脂組成物として、末端にビニル基を有するデンドリマーを用いて、電子線照射により硬化膜が得られることが報告されている(例えば、特許文献1等)。
[0007]
 また、ジチオカルバメート化合物への光照射等によりラジカル種を発生させ、リビングラジカル重合が進行して得られる、ジチオカルバメート基を末端に有するハイパーブランチポリマーが報告されている(特許文献2)。
特許文献1 : 特開平11-335429号公報
特許文献2 : 国際公開2006/093050号パンフレット

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0008]
 上述したように、従来の光硬化プロセスにおいて一般に用いられる光重合開始剤や添加剤は、しばしば残留成分となり、臭気、着色、劣化など硬化膜の品質低下を招くものであった。
 しかしながら光重合開始剤を使用せずに紫外光照射により硬化膜が得られることは特許文献1においては報告されておらず、また特許文献2のハイパーブランチポリマーにおいてはこれらが光硬化性であるという特性は何ら示されていない。
[0009]
 本発明は、上記現状に鑑み、光重合開始剤や添加剤を使用することなく、紫外線照射により硬化物を作製できる硬化性材料およびそれから得られる硬化物の提供を目的とし、詳述すると、硬化膜を作製できる膜形成材料およびそれから得られる硬化膜の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、官能基として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を分子末端に有する分枝状及び/又は線状の光重合性高分子を塗布してなる薄膜を光照射することにより、容易に硬化膜が形成されることを見出した。
[0011]
 すなわち、本発明は、第1観点として、官能基として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を分子末端に有する分枝状及び/又は線状の光重合性高分子を含む硬化性材料に関する。
 第2観点として、前記光重合性高分子が式(1):
[0012]
[化1]


[0013]
(式中、R 1は水素原子又はメチル基を表し、A 1は式(2)又は式(3):
[0014]
[化2]


[0015]
(式中、A 2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1乃至30の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1、Y 2、Y 3又はY 4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、B 1又はB 2は、それぞれ独立して、水素原子、チオール基又は式(4):
[0016]
[化3]


[0017]
(式中、R 2及びR 3は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、又は、R 2とR 3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよい。)を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。)で表されるジチオカルバメート基で表される分枝状の光重合性高分子である第1観点に記載の硬化性材料に関する。
 第3観点として、前記光重合性高分子が式(5):
[0018]
[化4]


[0019]
(式中、R 1、A 1、B 1、nは前記式(1)における定義と同義である。)で表される線状の光重合性高分子である第1観点に記載の硬化性材料に関する。
 第4観点として、前記式(1)で表される光重合性高分子の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至200,000である、第2観点記載の硬化性材料に関する。
 第5観点として、前記式(5)で表される光重合性高分子の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至200,000である、第3観点記載の硬化性材料に関する。
 第6観点として、第1観点乃至第5観点記載の硬化性材料からなる膜形成材料に関する。
 第7観点として、第1観点乃至第5観点記載の硬化性材料が光重合により相互に結合することにより得られる硬化物に関する。
 第8観点として、第6観点記載の膜形成材料が光重合により相互に結合して膜形成されることにより得られる硬化膜に関する。

発明の効果

[0020]
 本発明の硬化性材料を構成する光重合性高分子(ハイパーブランチポリマー)は、高分子化も(通常、微粒子の形態にある)、その分子末端の全部又は一部(通常大部分)にジチオカルバメート基を有する構造であるので、光重合性高分子を含む物質に対する所定波長の光照射により光重合反応が更に進行し、相互に結合し、結果として一般に膜形態の硬化物が形成される。
 よって、本発明の硬化性材料は、重合開始剤及び促進剤、架橋剤等の添加剤を必要とせずに、光重合反応のみによって、簡便且つ効率よく硬化物(とりわけ硬化膜)を得ることができるという大きな利点を有する。
 また本発明の光重合性高分子は、その分子末端にジチオカルバメート基を有し、容易に改変することができるため、該高分子を含む硬化性材料の溶解又は分散が可能となる溶媒の自由度が高く、また、粘度調整や分散特性の改変も容易であることから、用途に応じて各種溶媒を含む硬化性材料(例えば光重合性高分子のワニスの形態)を構成でき、各種の硬化物(例えば膜)形成用途に用いることができる。
[0021]
 また、上記の硬化性材料から形成される、本発明の硬化物は上記重合開始剤等の添加剤を含まないため、該添加剤の存在によって生じ得る着色や劣化等の硬化物の性能劣化を引き起こすことがないという効果、利点が得られる。
[0022]
 そして、本発明の膜形成材料から形成される、本発明の硬化膜は上記重合開始剤等の添加剤を含まないため、例えば絶縁膜などとして用いた際、該添加剤の存在によって生じ得る絶縁性能等の低下といった硬化膜の性能劣化を引き起こすことがないという効果、利点が得られる。
 しかも本発明の硬化膜は、光重合性高分子(ハイパーブランチポリマー)が光重合反応により相互に結合し、巨大なマトリクス状の高分子を形成しているため、基材より剥離しにくいという優れた特性を有している。
 また、光重合反応の際にシャドウマスクを用いることによりパターン露光することで、パターン形成が可能である。
 さらに、屈折率の異なる分枝状及び/又は線状の光重合性高分子を硬化させて重ね塗りすれば、容易に反射防止膜や回折格子を提供することが可能となる。
 そして、高屈折率光重合性ハイパーブランチポリマー(例えば上記式(1)で表される光重合性高分子において、A 1が式(2)で表される場合。)をパターン露光することによりコアを形成した後、低屈折率の分枝状及び/若しくは線状の高分子、又は低屈折率の重合性化合物の熱若しくは光重合物により形成したクラッドを有する光導波路を作製することが可能である。同様に、低屈折率光重合性ハイパーブランチポリマー(例えば上記式(1)で表される光重合性高分子において、A 1が式(3)で表される場合。)をパターン露光することによりクラッドを形成した後、高屈折率の分枝状及び/若しくは線状の高分子、又は高屈折率の重合性化合物の熱若しくは光重合物により形成したコアを有する光導波路を作製することが可能となる。
[0023]
 以上より、本発明の光重合性高分子を含む膜形成材料からなる硬化膜を、例えばゲート絶縁層として好適に用いることができ、該硬化膜からなるゲート絶縁層を含む有機半導体素子は、トップコンタクト型FETだけでなく、ボトムコンタクト型FETの作成が可能となるだけでなく、有機半導体層がn型でもp型でも動作させることができ、幅広い分野での産業応用が可能となる。

発明を実施するための最良の形態

[0024]
 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子としては、例えば、下記式(1)で表される分枝状の光重合性高分子、あるいは、下記式(5)で表される線状の光重合性高分子が挙げられる。
[0025]
[化5]


[0026]
[化6]


[0027]
 上記式(1)又は式(5)において、R 1は水素原子又はメチル基を表す。nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。
[0028]
 上記式(1)又は式(5)中、A 1は式(2)又は式(3)で表される構造を表す。
[0029]
[化7]


[0030]
 上記式(2)及び式(3)中、A 2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表す。
[0031]
 直鎖状アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、ノルマルプロピレン基、ノルマルブチレン基、ノルマルヘキシレン基等が挙げられる。また、分枝鎖状アルキレン基の具体例としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルプロピレン基等が挙げられる。
 また環状アルキレン基としては、炭素原子数3乃至30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。以下に脂環式脂肪族基における、脂環式部分の構造例(a)乃至(s)を示す
[0032]
[化8]


[0033]
 また上記式(2)及び式(3)中、Y 1、Y 2、Y 3及びY 4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
[0034]
 炭素原子数1乃至20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。
 炭素原子数1乃至20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。
 ハロゲン基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基である。
[0035]
 上記のY 1、Y 2、Y 3及びY 4としては、特に水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基であることが好ましい。
[0036]
 また前記式(1)又は式(5)中、B 1又はB 2は、それぞれ独立して、水素原子、チオール基又は下記式(4)で表されるジチオカルバメート基を表す。
[0037]
[化9]


[0038]
 上記式(4)中、R 2及びR 3は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、又は、R 2とR 3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよい。
[0039]
 炭素原子数1乃至5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、ノルマルペンチル基等が挙げられる。
 炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
 炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
[0040]
 R 2とR 3が互いに結合し、それらと結合する窒素原子と共に形成する環としては、四乃至八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙げられる。また、酸素原子又は硫黄原子と、四乃至六個のメチレン基を含む環も挙げられる。
 R 2とR 3が互いに結合し、それらと結合する窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環等が挙げられる。
[0041]
 本発明は上記式(1)で表される分枝状の光重合性高分子、あるいは、下記式(5)で表される線状の光重合性高分子にも関する。
 上記光重合性高分子の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは、500乃至5,000,000、好ましくは500乃至1,000,000、より好ましくは500乃至200,000であり、特に好ましくは3,000乃至100,000である。
 また、本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子の分散度(Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量))としては、1.0乃至7.0であり、好ましくは1.1乃至6.0であり、より好ましくは1.2乃至5.0である。
[0042]
<光重合性高分子の製法>
 上記光重合性高分子において、分子末端にジチオカーバメート基を有する分枝状の光重合性高分子は、例えばジチオカーバメート基を有するスチレン化合物の光重合による合成方法(Koji Ishizu, Akihide Mori, Macromol. Rapid Commun. 21,665-668(2000)、Koji Ishizu, Akihide Mori, Polymer International 50,906-910(2001)、Koji Ishizu, Yoshihiro Ohta, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.35, No.9, 3781-3784(2002))や、ジチオカルバメート基を有するアクリル化合物の光重合による合成方法(Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Akihide Mori, Polymer International 51,424-428(2002)、Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.36, No.10, 3505-3510(2002)、Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Jaebum Park, Satoshi Uchida, Polymer International 53,259-265(2004))によって合成できる。
[0043]
 具体的には、下記式(6)で表されるジチオカルバメート化合物
[0044]
[化10]


[0045]
(式中、R 1及びA 1は前記式(1)における定義と同義であり、R 2及びR 3は前記式(4)における定義と同義である。)、すなわち、A 1が前記式(2)を表すジチオカルバメート化合物と、A 1が前記式(3)を表すジチオカルバメート化合物の共存下で、リビングラジカル重合する工程を含む方法によって、式(7):
[0046]
[化11]


[0047]
(式中、R 1、A 1は前記式(1)における定義と同義である。)で表される枝分かれ繰り返し単位構造を有する光重合性高分子を得ることができ、また同重合方法によってジチオカルバメート基を分子末端に有する光重合性高分子(すなわち式(1)で表される光重合性高分子)を得ることができる。
[0048]
 上記リビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合形式により行なうことができるが、有機溶媒溶液中での溶液重合が好ましい。
[0049]
 溶液重合の場合は、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物として、A 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物とを用い、溶解可能な有機溶媒溶液中で、任意の濃度で重合反応を行なうことによってなされる。例えば、A 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物に対して、A 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物の割合は0.01乃至99モル当量、好ましくは0.05乃至19モル当量、より好ましくは0.1乃至9モル当量である。
 また、溶液重合の場合、溶液中において式(6)で表されるジチオカルバメート化合物として用いられるA 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物との合計量は、総質量(A 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物と、A 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物と、有機溶媒との合計質量)に対して、1乃至80質量%であり、好ましくは2乃至70質量%であり、より好ましくは5乃至60質量%である。
 有機溶媒としては、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物として用いられるA 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物とを溶解可能な有機溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
[0050]
 A 1が式(2)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物との共存下におけるリビングラジカル重合は、有機溶媒溶液中、加熱又は紫外線等の光照射によって行なうことができるが、紫外線等の光照射によって行なうことが好ましい。光照射は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等の紫外線照射ランプを使用して、反応系の内部又は外部から照射することによって行なうことができる。
[0051]
 リビングラジカル重合においては、重合開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。
 重合時間としては、0.1乃至100時間であり、好ましくは1乃至50時間であり、より好ましくは3乃至30時間である。通常、重合時間の経過と共にモノマー(A 1が式(2)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物)の転化率は増加する。重合温度は特に制限されないが、0乃至200℃であり、好ましくは10乃至150℃であり、より好ましくは20乃至100℃である。
[0052]
 A 1が式(2)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表す式(6)で表されるジチオカルバメート化合物との共存下におけるリビングラジカル重合時には、分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類、スルフィド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラムなどのスルフィド化合物を使用することができる。さらに、所望により、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤、4-tert-ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン、ジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤も使用できる。
[0053]
 さらに、リビングラジカル重合時には、枝分かれ度や重合度を調整するために、ジチオカルバメート基を有していない公知のビニルモノマー又は不飽和二重結合を有する化合物を添加することもできる。これらは、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物として用いられる、A 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物とA 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物の総量に対して50モル%未満の割合で使用することができる。これらの具体例としては、スチレン類、ビニルビフェニル類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルピロリドン類、アクリロニトリル類、マレイン酸類、マレイミド類、ジビニル化合物類及びトリビニル化合物類が挙げられる。
[0054]
 なお、上記式(6)で表されるジチオカルバメート化合物は、下記の式(8)で表される化合物と式(9)で表される化合物との求核置換反応により容易に得ることができる。
[0055]
[化12]


[0056]
 式(8)中、Yは脱離基を表す。脱離基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メシル基、トシル基等が挙げられる。式(9)中、Mはリチウム、ナトリウム又はカリウムを表す。
 本求核置換反応は、通常上記二種類の化合物を両方溶解できる有機溶媒中で行なうことが好ましい。反応後、水/非水系有機溶媒による分液処理や、再結晶処理によって式(6)で表されるジチオカルバメート化合物を高純度で得ることができる。また、式(6)で表されるジチオカルバメート化合物は、Macromol.Rapid Commun. 21,665-668(2000)又はPolymer International 51,424-428(2002)に記載の方法を参照して製造することもできる。
 式(6)で表されるジチオカルバメート化合物の具体例は、A 1が式(2)を表すジチオカルバメート化合物としてN,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン等が挙げられ、A 1が式(3)を表すジチオカルバメート化合物としてN,N-ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレート等が挙げられる。
[0057]
<光重合性高分子の分子末端に存在するジチオカルバメート基の還元及び変換方法>
 また本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子は、末端に存在するジチオカルバメート基が還元されて水素原子となっていてもよい。
 上述のようにして得られるジチオカルバメート基を分子末端に有する光重合性高分子を還元すること、すなわち、分子末端のジチオカルバメート基を水素原子に変換することによって本発明の式(7)で表される枝分かれ繰り返し単位構造において、A 1が式(2)を表す式(4)で表される枝分かれ繰り返し単位とA 1が式(3)を表す式(4)で表される枝分かれ繰り返し単位とが連結した構造を有し、分子末端に水素原子を有する下記の式(10)
[0058]
[化13]


[0059]
(式中、R 1、A 1は前記式(1)における定義と同意義である。)で表される光重合性高分子を得ることができる。
[0060]
 還元の方法は、ジチオカルバメート基を水素原子に変換することができる方法であれば、特に制限はなく、例えば、水素、ヨウ化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリブチルスズ、トリス(トリメチルシリル)シラン、チオグリコール酸等の公知の還元剤を用いて還元反応を行なうことができる。
 還元剤の使用量は、光重合性高分子内のジチオカルバメート基の数に対して1乃至20倍モル当量、好ましくは1.5乃至10倍モル当量、より好ましくは1.8乃至5倍モル当量であればよい。
[0061]
 還元反応の条件としては、反応時間0.01乃至100時間、反応温度0乃至200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間は0.1乃至10時間であり、反応温度は20乃至100℃である。
 還元反応は水又は有機溶媒中で行なうことが好ましい。使用する溶媒としては、前記のジチオカルバメート基を有する光重合性高分子と還元剤を溶解可能なものが好ましい。またジチオカルバメート基を有する光重合性高分子を製造する際に使用する溶媒と同じであると、反応操作も簡便になり好ましい。
[0062]
 還元の方法としては、有機溶媒溶液中、水素化トリブチルスズ等のラジカル反応条件での還元に使用される化合物を還元剤として使用し、光照射することによって行なう還元反応が好ましい。
 有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶媒は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
 光照射は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等の紫外線照射ランプを使用して、反応系の内部又は外部から照射することによって行なうことができる。
[0063]
 この還元反応では、光重合性高分子内のジチオカルバメート基の数に対して水素化トリブチルスズ等の還元剤を1乃至10倍モル当量、好ましくは1.5乃至5倍モル当量、より好ましくは1.8乃至4倍モル当量使用することができる。
 また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して、0.2乃至1000倍質量、好ましくは1乃至500倍質量、より好ましくは5乃至100倍質量、最も好ましくは10乃至50倍質量の有機溶媒を使用することが好ましい。
 また、この還元反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01乃至100時間、反応温度0乃至200℃から、適宜選択される。好ましくは、反応時間は0.1乃至2時間であり、反応温度は20乃至60℃である。
[0064]
 上述のような還元反応によって得られた本発明の硬化性材料又は膜形成材料に含まれる光重合性高分子は、反応溶液中から溶媒留去又は固液分離により溶媒と分離することができる。また、反応溶液を貧溶媒中へ加えることにより本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子を沈殿させ、粉末として回収することもできる。
 なお、本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる、分子末端が水素原子を含有する光重合性高分子は、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。
[0065]
 さらに、本発明の、硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子は、末端に存在するカルバメート基が変換されてチオール基となっていてもよい。
 ジチオカルバメート基を分子末端に有する光重合性高分子をチオール化変換剤によって処理すること、すなわち、ジチオカルバメート基をチオール基に変換すること、によって分子末端にチオール基を有する式(11)で表される光重合性高分子を得ることができる。
[0066]
[化14]


[0067]
 反応の方法は、ジチオカルバメート基をチオール基に変換することができる方法であれば、特に制限はなく、例えば、ヒドラジン、ベンジルヒドラジン、アンモニア、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、臭化水素、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジアセチル水銀等のチオール化変換剤を用いてチオール化反応を行なうことができる。
 チオール化変換剤の使用量は、光重合性高分子内のジチオカルバメート基の数に対して1乃至200倍モル当量、又は2乃至100倍モル当量、又は2.5乃至80倍モル当量、又は3乃至50倍モル当量であればよい。
[0068]
 チオール化反応の条件としては、反応時間0.01乃至100時間、反応温度0乃至200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間1乃至80時間、反応温度20乃至150℃である。
 チオール化反応は水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有する光重合性高分子とチオール化変換剤を溶解可能なものが好ましい。またジチオカルバメート基を有する光重合性高分子を製造する際に使用する溶剤と同じであると、反応操作も簡便になり好ましい。
[0069]
 チオール化反応の方法としては、有機溶剤溶液中、ヒドラジン等の化合物を使用して、加熱還流することによって行なう反応が好ましい。
 有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
 また、ジチオカルバメート基を分子末端に有する光重合性高分子の質量に対して0.2乃至1000倍質量、又は1乃至500倍質量、又は5乃至100倍質量、又は10乃至50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。
 また、この反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。
[0070]
 上述のようなチオール化反応によって得られた本発明の光重合性高分子は、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることにより本発明の光重合性高分子を沈殿させ、粉末として回収することもできる。
 なお、本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる、分子末端がチオール基を有する光重合性高分子は、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。
[0071]
 本発明の硬化性材料又は膜形成材料に用いる光重合性高分子を、反応スキームとともにその具体例を以下に示す。ここでは一例として、基本構造となるモノマーをS-DC(N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン)としている。
[0072]
[化15]


[0073]
 上記反応スキームに示すように、S-DCの光重合によって得られた光重合性高分子は、その分子末端にジチオカルバメート基を有する。
 このため、該光重合性高分子に紫外線等の光照射を行うと、ジチオカルバメート基とその隣の炭素原子の結合が解裂して、ラジカル種を発生する。
 このラジカル種は、隣接する他の光重合性高分子の分子と反応して重合体を形成し、光照射を続けることにより、ラジカル種が次々に発生と反応を繰り返して、最終的には巨大なマトリクス状の高分子(すなわち、硬化物又は膜)を形成する。
[0074]
<塗膜及び硬化膜>
 本発明の光重合性高分子を含む膜形成材料から硬化膜を形成する具体的な方法としては、まず、光重合性高分子を溶媒に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基板上にスピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等によって塗布し、その後、ホットプレート又はオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
 これらの塗布方法の中でもスピンコート法が好ましい。スピンコート法を用いる場合には、単時間で塗布することができるために、揮発性の高い溶液であっても利用でき、また、均一性の高い塗布を行うことができるという利点がある。
[0075]
 上記ワニスの形態において使用する有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これら有機溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の溶媒を混合してもよい
 また上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、光重合性高分子と溶媒の総質量(合計質量)に対して、光重合性高分子の濃度は0.001乃至90質量%であり、好ましくは0.002乃至80質量%であり、より好ましくは0.005乃至70質量%である。
[0076]
 そして塗膜形成後、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びキセノンランプ等の紫外線照射ランプを照射することにより、硬化膜が形成される。
 該照射は、空気および不活性ガス雰囲気下で行うことができる。特に、窒素、アルゴンなどの不活性気体雰囲気下での光照射は、ラジカルの失活を招く酸素がないので、空気雰囲気下と比較して硬化速度を短縮することができて望ましい。
 反応温度は特に制限されないが、例えば0乃至200℃であることが好ましく、より好ましくは10乃至150℃、特に好ましくは20乃至100℃であることが望ましい。
 光源の強度及び光源と基板との間の距離は、硬化速度に比例するため、適宜選択することができる。
[0077]
 また、本発明の膜形成材料から形成される硬化膜の膜厚は、一般に1μm以下であり、特に10nm乃至500nmであることが好ましい。

実施例

[0078]
 以下、本発明について実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[0079]
 以下の実施例において、試料の物性測定には下記の装置を使用した。
[膜厚測定]
 装置:小坂製作所製 微細形状測定装置 ET4000A
[重量分析]
 装置:METTLER社製 AT250
[硬度・弾性率試験(ナノインデンテーション)]
 装置:エリオニクス社製 ENT-2100
 使用圧子:バーコビッチ圧子
[0080]
[実施例1乃至実施例5:光重合性高分子薄膜のUV硬化挙動]
 S-DC(N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン)を基本構造とする光重合性高分子のトルエン溶液(10wt%又は5wt%)1200μLを300rpm×5sec、その後、2500rpm×20secにて5×5cmのガラス基板にスピンコートした後、150℃にて20分間乾燥を行った。
 100Wの高圧水銀ランプを用いて、0.5hr、1hr、3hr光照射(光源からの距離:5cm)を行い、光硬化させた後、200mlのトルエンに15秒間浸漬して洗浄し、150℃で20min乾燥することで未硬化の光重合性高分子を除去した。
 照射前後の膜厚及び重量変化により硬化率を測定した。結果を表1に示す。
[0081]
[表1]


[0082]
 表1に示すように、何れの実施例においても、紫外線照射により硬化膜を形成することができた。
[0083]
[実施例3及び比較例1:硬度及び弾性率]
 実施例3で作製した硬化膜(濃度10%、3時間光照射)について、薄膜の硬度および弾性率をナノインデンテーション法によって測定を行った。
 また、光照射を行っていない以外は、上記実施例1乃至5と同様の手順で作製した塗膜試料(比較例1:濃度10%、光照射なし)の硬度及び弾性率を上記手順にて測定した。
 得られた結果を表2(印加荷重:0.1mN)及び表3(印加荷重:0.05mN)に示す。
[0084]
[表2]


[0085]
[表3]


[0086]
 上記表2及び表3に示すとおり、何れの印加荷重の場合においても、光照射(実施例3)によって硬度が増加しているとする結果が得られた。
[0087]
 以下に本実施例で用いたS-DC(N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン)及び該S-DCから得られる光重合性高分子のモデル図を示す。
[0088]
[化16]


 S-DC(N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン)
[0089]
[化17]


 光重合性高分子のモデル図(ベンゼン環等は省略した図となっている。DC:ジチオカルバメート基(下記参照))
[化18]


請求の範囲

[1]
 官能基として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を分子末端に有する分枝状及び/又は線状の光重合性高分子を含む硬化性材料。
[2]
 前記光重合性高分子が式(1):
[化1]


(式中、R 1は水素原子又はメチル基を表し、A 1は式(2)又は式(3):
[化2]


(式中、A 2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1乃至30の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1、Y 2、Y 3又はY 4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、B 1又はB 2は、それぞれ独立して、水素原子、チオール基又は式(4):
[化3]


(式中、R 2及びR 3は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、又は、R 2とR 3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよい。)で表されるジチオカルバメート基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。)で表される分枝状の光重合性高分子である請求項1に記載の硬化性材料。
[3]
 前記光重合性高分子が式(5):
[化4]


(式中、R 1、A 1、B 1、nは前記式(1)における定義と同義である。)で表される線状の光重合性高分子である請求項1に記載の硬化性材料。
[4]
 前記式(1)で表される光重合性高分子の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至200,000である、請求項2記載の硬化性材料。
[5]
 前記式(5)で表される光重合性高分子の、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が、500乃至200,000である、請求項3記載の硬化性材料。
[6]
 請求項1乃至請求項5記載の硬化性材料からなる膜形成材料。
[7]
 請求項1乃至請求項5記載の硬化性材料が光重合により相互に結合することにより得られる硬化物。
[8]
 請求項6記載の膜形成材料が光重合により相互に結合して膜形成されることにより得られる硬化膜。