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1. WO2008117354 - 磁気抵抗効果素子、及びこれを備えた磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ装置

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明 細 書

発明の名称 磁気抵抗効果素子、及びこれを備えた磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012  

発明の開示

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための最良の形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

磁気抵抗効果素子、及びこれを備えた磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ装置

技術分野

[0001]
 本発明は、積層フェリピン構造の磁性膜を有するCPP(Current Perpendicular to Plane)型の磁気抵抗効果素子、及びこれを備えた磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気メモリ装置、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 近年ハードディスク等の磁気記録装置の記録密度が高密度化し、磁気ヘッドに用いられる磁気センサには記録ビットの微細化に対応して、より高感度かつ低ノイズ特性が求められている。また、磁気ランダムアクセスメモリは磁気抵抗効果素子を記録素子として用いるものであり、信頼性を高めるため高いMR比(外部磁場を加えたときの抵抗変化率)を有する磁気抵抗効果素子が求められる。
[0003]
 この磁気抵抗効果素子は強磁性体膜、常磁性体膜及び反強磁性体膜等を積層した素子であり、いわゆるスピンバルブを利用したGMR(巨大磁気抵抗効果:Giant Magneto-Resistance)素子と、トンネル電流の変化に基づくTMR(トンネル磁気抵抗効果:Tunneling Magneto-Resistance)素子がある。このうちGMR素子には、積層された膜の面内方向に電流を流すCIP(Current In Plane)型のGMR素子(以下CIP-GMR素子)と、磁性層の面と垂直方向に電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)型のGMR素子(以下CPP-GMR素子)とがある。GMR素子においては、その磁気抵抗変化は電子が非磁性中間層(常磁性体膜)と磁性層(強磁性体膜)との界面で散乱を起こす界面散乱及び磁性層内部で電子が散乱するバルク散乱によって起こっている。
[0004]
 CIP-GMR素子には、例えば特許文献1に記載されたものがある。しかし、CIP-GMR素子は素子幅を減少すると電流密度の制約から高感度化及び低ノイズ化に限界があり、例えば磁気ディスク装置に使用する場合には狭いトラック幅に対応するのが困難である。
[0005]
 一方、CPP型のGMR素子は素子の小型化が可能であるが、強磁性体膜の厚さ方向に電流が流れるため電子が磁性層を通る距離が短くバルク散乱が起こりにくい。そのため、CIP型の素子に用いられている材料をそのまま採用しても単位面積あたりの磁気抵抗変化量(ΔRA)が小さく、十分な出力及びS/N比を得ることができないという問題があった。
[0006]
 図1は、従来のCPP-GMR素子の問題点を示す模式図である。図1のGMR素子は積層フェリスピンバルブ膜とも呼ばれ、下側から下地層1、反強磁性層2、第1固定磁化層(以下P1層)3、非磁性結合層4、第2固定磁化層(以下P2層)5、非磁性中間層6、フリー強磁性層7、上部電極8から構成される。ここでP1層3、非磁性結合層4、及びP2層5からなる層は積層フェリピン構造と呼ばれ、非磁性結合層4を介した反強磁性結合によってP1層3とP2層5との磁化の向きが反対方向に固定される。一方、フリー強磁性体層7は、外部磁場により容易に磁化の方向を変化させることができる。
[0007]
 この積層フェリスピンバルブ膜に上部電極から下地層の方向に電流を流すと、フリー磁性層7の磁化の向きとP2層5の磁化の向きとが同じときは図1(a)に示すようにP2層5の電気抵抗R2aが低く、磁化の向きが反対のときは図1(b)に示すようにP2層5の電気抵抗R2bが高くなる。CPP型の磁気抵抗素子はこの抵抗値の差である磁気抵抗変化量を検出する。
[0008]
 ところが、上述したようにP1層3の磁化の向きはP2層5の磁化の向きと逆であり、P1層3の電気抵抗の変化がP2層5の電気抵抗の変化を打ち消すように作用する。このため、CPP型磁気抵抗効果膜では単位面積あたりの磁気抵抗変化量が低いという問題があった。
[0009]
 P1層に用いられる材料のバルク散乱係数が大きい場合、P1層はより強くP2層の磁気抵抗変化を打ち消す。
[0010]
 そこで、特許文献2では、磁気抵抗変化量を大きくするため、磁気モーメントを有しながらバルク散乱係数が零である材料としてCoFeRuやCoFeTaをP1層に用いた磁気抵抗効果素子を開示する。
[0011]
 しかし、その効果は最大でもP1層にFeCoを用いたCPP型GMR素子のMR比の1.3倍程度に留まっていた。
[0012]
 ところで、CoGd合金は、Gdの割合が20at%~75at%の範囲で負のトンネルスピン偏極率を示し、特にGdの割合が20at%程度のときに最大で-30%のトンネルスピン偏極率を示すことが報告されている(非特許文献1)。負のトンネルスピン偏極率を有する材料をトンネル磁気抵抗効果膜に使用した場合には磁気抵抗の変化も通常の材料からなるトンネル磁気抵抗効果膜と逆の特性を示す。すなわち、フリー強磁性層と固定磁化層の磁化の向きが逆向きの場合に磁気抵抗が減少する。しかし、非特許文献1に記載されたTMR膜は積層フェリピン構造を有する磁気抵抗効素子やTMR素子に関するものではない。
特許文献1 : 特許第2901501号公報
特許文献2 : 特開2006-13430号公報
非特許文献1 : C.Kaiser, et al., "Finite Tunneling Spin Polarizati on at the Compensation Point of Rare-Earth-Metal-Transition-Metal Alloys", Phy sical Review Letters, PRL 95, 047202 (2005)

発明の開示

[0013]
 本発明は、CPP型の磁気抵抗効果素子において、積層フェリピン層の材料を改善しMR比の高い磁気抵抗効果素子を得ると共に、この磁気抵抗効果素子の製造方法、この素子を利用した磁気ヘッド、磁気ディスク装置、及び磁気メモリ装置を得ることを目的とする。
[0014]
 本発明の第1の観点によれば、積層フェリピン構造を構成する第1固定磁化層(P1層)及び第2固定磁化層(P2層)のうちの何れか一方に希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜で構成することを特徴とした磁気抵抗効果素子が提供される。
[0015]
 上記の構成によれば、磁気モーメントを有しながらバルク散乱係数が零である材料(例えばCoFeRuやCoFeTa等)を用いた従来の磁気抵抗効果素子よりもさらにMR比を大きくすることができる。
[0016]
 ここで、希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料の組成は、(Co aFe (1-a)(1-b)b(ここで、XはSm、Eu、Gd、Tb、Dyの少なくとも一種からなり、a及びbは原子組成比率を表し、0≦a≦1、0.05≦b≦1を満たす。)で表される組成とすると好適である。また、P1層及びP2層のうちP1層のみに上記希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料を用いるとさらに好適である。P1層のみに上記希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料を用いる場合には、高記録密度対応の点で下部端子から上部端子までのリードギャップ(Read-Gap)を短縮しなければならないため、P1層の厚さを0.1nm~5nmの範囲とすると好適である。
[0017]
 さらに、前記希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜の上面又は下面の少なくとも一方に、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金からなる群から選択された材料からなる膜を形成してもよい。これにより希土類元素の拡散を防止することができ、GMR素子の特性劣化を防止することができる。
[0018]
 本発明の他の観点によれば、本発明の上記の観点の磁気抵抗効果素子の構成に加え、さらに固定磁化層をフリー強磁性層の上に1層加えた、いわゆるデュアルスピンバルブ構造を備えたCPP型GMR素子が提供される。デュアルスピンバルブ構造を有するGMR素子とすることで、素子の単位面積に含まれ磁性層の数が先の観点の磁気抵抗効果素子の2倍となるため、GMR素子の単位面積あたりの抵抗変化量が大きくなりMR比の向上が図られる。
[0019]
 本発明の更に他の観点によれば、本発明の第1の観点における、非磁性中間層に代えて、絶縁層を挿入した積層フェリピン構造を有するTMR素子が提供される。本観点によるTMR素子において、希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料は、(Co aFe (1-a)(1-b)b(ここで、XはSm、Eu、Gd、Tb、Dyの少なくとも一種からなり、a及びbは原子組成比率を表し、0≦a≦1、0.05≦b≦1を満たす。)で表される組成を有する材料を用いることが好適であり、特に負のトンネルスピン散乱係数を示す組成とするとさらに好適である。本観点によればP1層又はP2層の何れか一方の磁気抵抗の変化と他方の磁気抵抗の変化を打ち消すのではなく、互いに増強するように変化するため、MR比の高いTMR素子が提供される。
[0020]
 本発明の更に他の観点によれば、上記の観点によるGMR素子及びTMR素子を備えた磁気ヘッド、及び磁気記録装置が提供される。上記の観点による磁気抵抗効果素子はそのMR比が高いので、磁気ヘッドを小型化しても十分な出力を得ることができ、磁気記録装置の高記録密度化及び高記録容量化を図ることができる。
[0021]
 本発明の更に他の観点によれば、上記の観点による磁気抵抗効果素子を備えた磁気メモリ装置が提供される。本発明の上記観点に基づく磁気抵抗効果素子は、電流によって発生する磁界によって書き込みを行う電流書き込み型磁気メモリに用いることもでき、スピン偏極電流を磁気抵抗効果膜の膜面と垂直方向に流すことにより書き込みを行うスピン偏極電流注入書き込み型の磁気メモリ装置にも用いることができる。
[0022]
 本発明の磁気メモリ装置によれば、記録素子に、上記の観点によるGMR素子又はTMR素子を用いているため、記録素子の抵抗変化量を大きくすることができ、検出電流の変化が大きくなるためより信頼性の高い磁気メモリ装置を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 図1は、従来のCPP型GMR素子の問題点を示す模式図である。
[図2] 図2は、第1の実施形態の第1構成例に係るCPP型GMR素子を示す断面図である。
[図3] 図3は、第1の実施形態の第1固定磁化層(P1層)の変形例を示す拡大図である。
[図4] 図4(a)及び図4(b)は、本発明のCPP型GMR素子の動作を示す模式図である。
[図5] 図5は、第1の実施形態の第2構成例に係るCPP型GMR素子を示す断面図である。
[図6] 図6は、第1実施形態の第3構成例に係るCPP型TMR素子を示す断面図である。
[図7] 図7は、第1の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR変化率を示す図である。
[図8] 図8は、第2の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR変化率を示す図である。
[図9] 図9は、第3の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR変化率を示す図である。
[図10] 図10は、第2の実施形態に係る複合型磁気ヘッドの要部を示す図である。
[図11] 図11は、第2の実施形態に係る磁気ディスク装置の要部を示す平面図である。
[図12] 図12は、第3の実施形態に係る電流磁界書き込み型磁気メモリ装置を示す断面図である。
[図13] 図13は、第3の実施形態の第1の構成例に係る磁気抵抗効果素子を示す断面図である。
[図14] 図14は、第3の実施形態の第1の構成例に係る磁気メモリ装置の等価回路を示す図である。
[図15] 図15は、第3の実施形態の第1の構成例に係る磁気抵抗効果素子の変形例を示す断面図である。
[図16] 図16は、第3の実施形態の第2の構成例に係るスピン注入書き込み型磁気メモリ装置を示す断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0024]
 以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
[0025]
 (第1の実施形態)
 図2は、本発明の第1実施形態に係るCPP型巨大磁気抵抗効果(GMR)素子の第1の構成例を示す断面図である。図2に示すように、本構成例のGMR素子は、下地層31上に順に反強磁性層32、P1層33、非磁性結合層34、P2層35、非磁性中間層36、フリー強磁性層37、及び保護層38が積層された構造からなる。
[0026]
 下地層31は、熱酸化シリコン基板等の基板の表面上にスパッタ法等により形成され、例えば、Ru膜(例えば膜厚4nm)等から構成される。
[0027]
 反強磁性層32は、下地層31の上にスパッタ法、蒸着法、CVD法等により形成され、例えば、IrMn(例えば膜厚7nm)等のMn-TM合金(ここでTMは、Pt、Pd、Ni、Fe、Rh及びIrのうち少なくとも1種の元素を含む)から構成される。これらの合金は保護層38が成膜された後の熱処理により合金化され反強磁性を示す。熱処理の際に所定の方向に磁界を印加することで反強磁性層32が規則化し、後述するP1層33との間で交換相互作用が起こりP1層33の磁化の向きを固定する。
[0028]
 P1層33は、反強磁性層32の上にスパッタ法等により形成される。P1層33には、遷移金属と希土類元素との合金、複数の希土類金属からなる合金、又は希土類元素の単体等の材料を使用することができる。特に、下記の組成比を有する合金が望ましい。
[0029]
 (Co aFe (1-a)(1-b)b
 ここに、a、bは原子組成比率を表し、0≦a≦1、0.05≦b≦1を満たす。また、Xは希土類元素を表し、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyのうち少なくとも1種類の元素から選択される。
[0030]
 P1層33をスパッタ法により成膜する場合には、例えばCoターゲットとGdターゲット等を同時放電して成膜する方法、形成される膜と同一の組成を有する合金をターゲットに用いて成膜する方法、及びCoターゲットとGdターゲットとを交互に積層させて成膜する方法の何れを用いることができる。これらの方法によって形成された膜は、その後に行われる加熱処理の際に合金化される。
[0031]
 P1層33の膜厚は、スパッタ法による成膜の困難性から0.1nm以上の膜厚であることが好ましく、素子の小型化及び高密度化の観点から5nm以下であることが望ましい。
[0032]
 図3(a)、(b)、(c)は、第1の実施形態のP1層33の変形例を示す拡大図である。本実施形態においては、P1層33の希土類元素が反強磁性層32、非磁性結合層34、又は非磁性中間層36等に拡散して素子の特性を劣化させる可能性があるため、図3(a)、(b)、(c)に示すような積層構造とすることが望ましい。図3(a)は、遷移金属-希土類元素系合金膜332の上下両面に遷移金属膜331a及び331bを形成し、これら膜(331a、331b、332)によりP1層33を構成したものである。図3(b)は、希土類元素を含む膜332の下側、すなわち、反強磁性層32との間にのみ遷移金属膜331aを形成したものであり、図3(c)は、希土類元素を含む膜332の上側、すなわち、非磁性結合層との間に遷移金属膜331bを形成したものである。P1層33を図3(a)、(b)、(c)のような積層構造とすることで、遷移金属膜331a、331bにより希土類元素の拡散が阻止され磁気抵抗効果素子の特性劣化が防止される。
[0033]
 上記の積層膜は、例えばスパッタ法により形成することができる。また、遷移金属膜の材料は例えば、CoFe系合金を使用することができる。
[0034]
 図2にもどって、非磁性結合層34について説明する。
[0035]
 非磁性結合層34は、Ru、Rh、Ir又はRu系合金等の非磁性材料をスパッタ法等により成膜したものであり、その厚さは例えば0.7nmである。
[0036]
 P2層35は、非磁性結合層34の上に、Co、Ni、Fe及びこれらの元素を含む強磁性体からなる材料をスパッタ法等により成膜したものであり、その膜厚は例えば4nmである。P2層35の材料としては例えば、CoFe、CoFeB、NiFe、FeCoCu等とすることもできる。
[0037]
 尚、P2層35に遷移金属-希土類元素の合金又は希土類元素の単体を用いても良い。この場合には、希土類元素の拡散を防止するため、図3(a)、(b)、(c)に示すP1層33と同様に遷移金属―希土類元素の合金層の片面又は両面にFe、Co、Ni及びこれらの元素を含む合金からなる層を形成しても良い。P2層35に遷移金属―希土類元素の合金層又は希土類元素の単体層を形成した場合には、P1層33をCo、Ni、Fe又はこれらの合金からなる層とすることが望ましい。このような構成とすれば、P2層35の磁気抵抗の変化をP1層33の磁気抵抗の変化が打ち消すことはない。
[0038]
 非磁性中間層36は、P2層35の上にCuやAl等の非磁性の導電性材料を例えばスパッタ法等により成膜して形成されたものであり、その膜厚は例えば、4.0nmとすることができる。
[0039]
 フリー強磁性層37は、非磁性中間層36の上にスパッタ法等により形成され、膜厚を例えば4nmとし、Co、Ni、Fe及びこれらの元素を含む強磁性材料、例えば、NiFe、FeCo、FeCoB等、又はこれらの積層体により構成することができる。フリー強磁性層37の磁化は面内方向を向いており、外部磁場、例えば、磁気記録媒体から漏洩する磁場や磁気メモリの書き込み配線からの磁場の方向に応じて磁化の向きが変わる。フリー強磁性層37とP2層35及びP1層33の磁化のなす角度によりGMR素子の抵抗値が変化する。
[0040]
 保護膜38は、フリー強磁性層37の上にスパッタ法等により形成され、例えばRu、Cu、Ta、Au、Al及びWのうちのいずれかの金属からなる導電性膜、又はこれらの積層体等から構成される。保護膜38は、熱処理の際にGMR膜が酸化されるのを防止する。
[0041]
 次に本構成例のGMR素子30の製造方法について説明する。
[0042]
 まず、熱酸化膜が形成されたシリコン基板上に、下地層31と、反強磁性層32と、P1層33と、非磁性結合層34と、P2層35と、非磁性中間層36と、フリー強磁性層37と、保護膜38とを順に成膜する。成膜は、例えば、スパッタ法により超高真空(2×10 -6Pa以下)下において、室温で成膜することができる。これにより、磁気抵抗効果膜成膜が形成される。その後、この磁気抵抗効果膜を真空雰囲気中で磁場(例えば磁気抵抗効果膜近傍の磁束密度が2T(テスラ)となる磁場)の存在下で、数時間(例えば2時間以上)高温(例えば250℃以上)で熱処理を行う。この熱処理によりP1層33等の膜が合金化され、さらに反強磁性層32が規則化してP1層33との間で交換相互作用が起こり、P1層33の磁化の向きが固定される。その後、磁気抵抗効果膜を例えばフォトリソグラフィー法及びイオンミリング法で加工してGMR素子30が完成する。このGMR素子30のサイズは、例えば磁気ヘッドへ応用する場合には0.1μm 2~0.6μm 2とすることができる。
[0043]
 本願発明者は、本構成例の積層フェリピン構造を有するGMR膜30は図4に示すように作用するものと考える。図4(a)及び図4(b)は、本発明のCPP型GMR素子の作用を示す模式図である。図中、先に説明した構成要素に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
[0044]
 図4(a)において、固定磁化層の一部を構成するP1層33は反強磁性層32との交換相互作用によって磁化の方向が固定されており、その磁化の向きは例えば図4(a)及び(b)の矢印に示すように右を向いている。P2層35は非磁性結合層34を介してP1層33と反強磁性的に結合しており、その磁化の向きは例えば図4(a)及び(b)に示すように左側、すなわち、P1層33と反対の方向を向いている。フリー強磁性層37は外部磁場に応じてその磁化の向きを変化させることができる。
[0045]
 ここで、図4(a)に示すようにフリー強磁性層37の磁化が左側、すなわち、P1層33と反平行であり、P2層35と平行な向きを向いているときにGMR素子30にその積層膜の面に対して垂直な方向に検出電流を流す。この場合にはP2層35はCoFe等の材料であり、フリー強磁性層37と磁化の向きが平行であるときに相対的に抵抗値が低くなるため、GMR素子30の抵抗値への寄与は相対的に低くなる(R2L)。一方、P1層33は希土類元素を含む合金膜を有し、磁気抵抗の変化が従来の材料とは逆の変化をするものと考えられるため、その磁化の向きがフリー強磁性層37の磁化の向きと反平行のときの方が抵抗は低くなる。したがって、図4(a)の場合はP1層33による抵抗値への寄与は相対的に低くなる(R1L)。
[0046]
 図4(b)に示すようにフリー強磁性層37の磁化が右側、すなわち、P1層33と平行であり、P2層35と反平行な向きを向いている場合には、P2層35によるGMR素子30の抵抗値への寄与は相対的に大きくなる(R2H)。また、P1層33によるGMR素子30の抵抗値への寄与も相対的に大きくなる(R1H)。
[0047]
 したがって、本構成例のGMR素子30においてフリー強磁性層37の磁化方向の変化に対応したP2層35の磁気抵抗変化に対してP1層33の磁気抵抗も同じように変化するため、これらの層が互いの磁気抵抗の変化を打ち消しあうことはない。
[0048]
 以上のように本構成例のGMR素子30によれば、積層フェリピン構造によってP1層33とP2層35との磁化の向きが逆向きに固定されている積層フェリピン構造において、従来打ち消しあう方向に変化していた磁気抵抗の変化を逆に増強させるように作用させているので、磁気抵抗効果素子のMR比を従来の磁気抵抗効果素子よりも増加させることができる。
[0049]
 次に、本実施形態の第2構成例について説明する。第2構成例に係る磁気抵抗効果素子は第1構成例に係る積層フェリピン構造からなる固定磁化層を、フリー強磁性層の上にさらに積層した、いわゆるデュアルスピンバルブ構造を有するものである。図5は第1の実施形態の第2構成例に係るCPP型GMR素子を示す断面図である。図中、先に説明した構成要素に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
[0050]
 GMR素子40は、熱酸化シリコン基板上に、下地層31と、下部反強磁性層32aと、下部P1層33aと、下部非磁性結合層34aと、下部P2層35aと、下部非磁性中間層36aと、フリー強磁性層37とを順に備え、さらにその上に上部非磁性中間層36bと、上部P2層35bと、上部非磁性結合層34bと、上部P1層33bと、上部反強磁性層32bと、保護層38とを順に備える。本構成例において、上下のP1層33a、33bは、(Co aFe (1-a)(1-b)b(a、bは原子組成比率を表し、0≦a≦1、0.05≦b≦1を満たし、Xは希土類元素を表し、Sm、Eu、Gd、Tb及びDyのうち少なくとも1種類の元素から選択される)で表される材料からなる層を含む。また、上下のP2層は、遷移金属合金(例えばCoFe合金)から形成されている。上記各層の構成は構成例1で説明したGMR素子30の同一番号の符号が付された層と同じである。
[0051]
 GMR素子40の製法は構成例1とほぼ同様であり、熱酸化膜が形成されたシリコン基板上に、下地層31、下部反強磁性層32a、下部P1層33a、下部非磁性結合層34a、下部P2層35a、下部非磁性中間層36a、フリー強磁性層37、上部非磁性中間層36b、上部P2層35b、上部非磁性結合層34b、上部P1層33b、上部反強磁性層32b、及び保護層38を順に積層する。成膜は、例えば、スパッタ法により超高真空(2×10 -6Pa以下)下において、室温で成膜することができる。その後、この磁気抵抗効果膜を真空雰囲気中で磁場(例えば磁気抵抗効果膜近傍の磁束密度が2T(テスラ)となる磁場)の存在下で、数時間(例えば2.5時間以上)高温(例えば200℃以上)で熱処理を行う。この熱処理によりP1層33等の膜が合金化され、さらに反強磁性層32a、32bが規則化してP1層33a、33bとの間で交換相互作用が起こり、P1層33a、33bの磁化の向きが固定される。尚、P1層33a、33bの磁化の向きは同じ方向である。その後、磁気抵抗効果膜を例えばフォトリソグラフィー法及びイオンミリング法で加工してGMR素子40が完成する。
[0052]
 第2構成例のGMR素子40では、上下のP1層33a、33bが遷移金属と希土類元素との合金又は、希土類元素の単体から構成されている。このため、P2層35a、35bの磁気抵抗の変化に対してP1層33a、33bの磁気抵抗も同じように変化し、これらの層が互いの磁気抵抗の変化を打ち消しあうのではなく、増強するように作用するため素子の単位面積あたりの抵抗変化量が大きくすることができる。さらに、デュアルスピンバルブ構造のGMR素子40は、素子のスピンバルブ構造の数がシングルスピンバルブ構造のGMR素子30の2倍となるため、単位面積あたりの磁気抵抗変化量も約2倍となり、本構成例のGMR素子40によればさらに高いMR比を得ることができる。
[0053]
 次に、本実施形態の第3構成例について説明する。第3構成例に係る磁気抵抗効果素子は第1構成例の磁気抵抗効果素子における非磁性中間層を絶縁膜としたものであり、積層フェリピン構造を有するトンネル磁気抵抗効果素子に関するものである。
[0054]
 図6は、第1実施形態の第3構成例に係るCPP型TMR素子を示す断面図である。図中、先に説明した構成要素に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
[0055]
 図6に示すように本構成例のTMR素子50は、基板上に、下地層31と、反強磁性層32と、P1層33と、非磁性結合層34と、P2層35と、非磁性絶縁層56と、フリー強磁性層37と、保護層38とを順に備える。第3の構成例では、P1層が負のトンネルスピン偏極率を有する材料(例えばCoGd合金)で形成され、P2層を正のトンネルスピン偏極率を有する材料(例えばCoFe合金)で形成されている。
[0056]
 非磁性絶縁層56は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化チタニウム等の非磁性の絶縁材料からなる膜を例えば厚さ0.5nm~1.5nmに形成したものであり、スパッタ法等により形成される。非磁性絶縁層56は、P2層35の上にこれらの絶縁材料を直接積層する方法や、アルミニウム、マグネシウム、又はチタン等の金属膜を形成した後酸化する方法で形成することができる。
[0057]
 その他、下地層31、反強磁性層32、P1層33、非磁性結合層34、P2層35、フリー強磁性層37、及び保護層38の構成は構成例1と同様とすることができる。
[0058]
 本構成例に係るTMR素子50の製法は基本的に構成例1と同様であり、熱酸化膜が形成されたシリコン基板上に、各積層膜を下地層31、反強磁性層32、P1層33、非磁性結合層34、P2層35、非磁性絶縁層56、フリー強磁性層37、保護層38を順に積層する。成膜は、例えば、スパッタ法により超高真空(2×10 -6Pa以下)下において、室温で成膜することができる。その後、この磁気抵抗効果膜を真空雰囲気中で磁場(例えば磁気抵抗効果膜近傍の磁束密度が2T(テスラ)となる磁場)の存在下で、数時間(例えば2.5時間以上)高温(例えば200℃以上)で熱処理を行う。その後、磁気抵抗効果膜を例えばフォトリソグラフィー法及びイオンミリング法で加工してTMR素子50が完成する。
[0059]
 本構成例に係るTMR素子50は図6に示すシングル構造のものに限られず、図5に示したようにデュアル構造としてもよい。この場合には、図5の上下の非磁性中間層36a及び36bを非磁性絶縁膜56とすればよい。また、P1層33に正のトンネルスピン偏極率を有する材料からなる膜を形成し、P2層35に負のトンネルスピン偏極率を有する材料からなる膜を形成した構成とすることもできる。すなわちP1層33及びP2層35の何れか一方が正のトンネルスピン偏極率を有し、何れか他方が負のトンネルスピン偏極率を有する材料で層を形成すればよい。
[0060]
 次に第3の構成例に係るTMR素子50の動作を説明する。TMR素子50は、P1層33が例えばCoGd合金等の負のトンネルスピン偏極率を有する材料からなり、P2層35がCoFe合金等の正のトンネルスピン偏極率を有する材料からなる。この場合、フリー強磁性層37の磁化の向きとP2層35の磁化の向が平行のときには、P2層35のコンダクタンスへの寄与は、正のトンネルスピン偏極率により、コンダクタンスが大きくなる方向(素子の抵抗が小さくなる方向)に作用する。P1層33のコンダクタンスへの寄与は、負のトンネルスピン偏極率により、コンダクタンスが大きくなる方向(素子の抵抗が低くなる方向)に作用する。一方、フリー強磁性層とP2層35との磁化の向きが反平行の場合は、P2層35はコンダクタンスが小さくなる方向(素子の抵抗が高くなる方向)に作用し、P1層33も、負のトンネルスピン偏極率により、コンダクタンスが小さくなる(素子の抵抗が大きくなる)方向に作用する。
[0061]
 このように、第3の構成例のTMR素子50は、P1層33が正のトンネルスピン偏極率を有する材料で構成され、P2層35が負のトンネルスピン偏極率を有する材料で構成されているため、P2層35のコンダクタンス変化をP1層33が打ち消すのではなく増加する方向に作用する。したがって、従来の積層フェリピン構造を有するTMR素子より単位面積あたりの磁気抵抗の変化が大きくなり、より高いMR比を有するTMR素子を得ることができる。
[0062]
 次に、本実施形態の磁気抵抗効果素子について実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
[0063]
 (第1の実施例)
 本実施例は、本実施形態の第1の構成例の巨大磁気抵抗効果膜と同様の構成であり、そのP1層はCoGd合金又はGd単体の層を含む積層膜からなる。尚、Gd原子の拡散を防止するため、CoGd合金層の両面には、図3(a)に示すように、CoFe合金膜を形成している。
[0064]
 本実施例の磁気抵抗効果素子はシリコン基板上に形成されたものであり、基板側から下記の順に形成されている。尚、括弧内の数字は膜厚を表する。また、左端に表示した層が積層膜からなる場合は膜ごとに「/」で区切って表示し、左側の膜のほうが下側に形成されたものである。以下、他の実施例についても同様とする。
下地層:Ru(4nm)
反強磁性層:IrMn(7nm)
P1層:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co aGd (1-a)(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
非磁性結合層:Ru(0.7nm)
P2層:Co 0.4Fe 0.6(4nm)
非磁性中間層:Cu(4.0nm)
フリー強磁性層:Co 0.4Fe 0.6(4nm)
保護層:Cu(3.5nm)/Ru(5nm)
 各層は、2×10 -6Pa以下の超高真空下において、基板温度を室温とし、スパッタ法により成膜した。CoGd層は同じ組成比からなるCoGd合金をターゲットに用いて成膜した。成膜終了後、積層膜を真空雰囲気中で、2T(テスラ)の磁束密度となる磁場(1592kA/m)を印加して3時間300℃で熱処理を行った。その後、熱処理した積層膜をフォトリソグラフィーとイオンミリングによって、0.1μm 2~0.6μm 2となるように整形して磁気抵抗効果素子とした。
[0065]
 上記の工程により作製された磁気抵抗効素子の膜面と垂直方向に電流を流し、磁界の変化に対する磁気抵抗の変化率であるMR比(%)を測定した。尚、MR比の測定は室温で行った。
[0066]
 図7は、第1の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR比を測定した結果を示す図である。図の左端は比較例であり、P1層に従来のCo 0.6Fe 0.4を3nmの厚さで形成した以外は本実施例の膜と同様である。図中横軸はCoとGdとの組成比を示し、図の右側の磁気抵抗効果素子ほどCoGd合金中のGd濃度が高い。図中の表記とP1層の構成との対応関係は以下のとおりである。
CoFe40:Co 0.6Fe 0.4(3nm)
CoGd5:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.95Gd 0.05(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd10:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.9Gd 0.1(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd15:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.85Gd 0.15(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd20:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.8Gd 0.2(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd25:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.75Gd 0.25(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd40:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.6Gd 0.4(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd60:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.4Gd 0.6(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
CoGd80:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.2Gd 0.8(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
Gd:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Gd(1nm)/Co 0.6Fe 0.4(1nm)
 図7に示すように、Co (1-a)Gd aにおいて0.05≦a≦1の範囲でGdを含まない比較例よりもMR比が増加している。特に、a=0.25の時にMR比は最大の2.79%となる。この値は比較例のCo 0.6Fe 0.4を使用した場合の2.3倍の値であり、CoGd合金層1nmをP1層に入れるだけでMR比増加に非常に大きな効果が得られる。本実施例によるMR比は、磁気モーメントを有しながらバルク散乱係数が零である材料(CoFeRu又はCoFeTa)をP1層に用いた従来の磁気抵抗効果膜よりもさらに高くなることが確認された。
[0067]
 (第2の実施例)
 第2の実施例は、本実施形態の第1構成例に係る磁気抵抗効果膜と同様の構成であり、そのP1層が図3(b)に示す構造を有する積層膜からなる。
[0068]
 第2の実施例の磁気抵抗効果膜は第1の実施例の磁気抵抗効果膜のうち、P1層の構成を変えたものであり他の膜の構成及び配列は同様である。本実施形態のP1層は以下の構成であり、IrMnからなる反強磁性との界面にCoFe層が実施例1よりも厚く形成されている。
P1層:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co (1-a)Gd a(1nm)
 尚、第2の実施例の磁気抵抗素子の製法及びMR比の測定条件は第1の実施例と同様である。
[0069]
 図8は、第2の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR変化率を示す図である。図8の左端はP1層をCoFeからなる単層とした比較例である。図中の表記とP1層の構成との対応関係は以下のとおりである。第2の実施例においてMR比の測定は室温で行った。
CoFe40:Co 0.6Fe 0.4(3nm)
CoGd5:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co 0.95Gd 0.05(1nm)
CoGd10:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co 0.9Gd 0.1(1nm)
CoGd15:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co 0.85Gd 0.15(1nm)
CoGd20:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co 0.8Gd 0.2(1nm)
CoGd25:Co 0.6Fe 0.4(2nm)/Co 0.75Gd 0.25(1nm)
 図8に示すように、第2の実施例の磁気抵抗効果膜でもCoGd合金からなる膜をP1層に挿入することで高いMR比が得られることが確認された。
[0070]
 (第3の実施例)
 第3の実施例の磁気抵抗効果素子は、CoGd合金に代えて、CoFeGd合金層をP1層に形成したものである。第3の実施例の磁気抵抗効果素子は、CoGd合金の組成を除き本実施形態の第1構成例に係る磁気抵抗効果素子と同様の構成であり、P1層は図3(a)の構造を有する。
[0071]
 膜の製法及びMR比の測定条件は、第1の実施例と同様である。尚、CoFeGd合金膜は、CoFeGd合金のターゲットを用いたスパッタ法によって室温で作製した。
[0072]
 図9は、第3の実施例及び比較例に係るCPP型GMR素子のMR比を示す図である。図の左端は比較例を示す。第3の実施例においてMR比の測定は室温で行った。図中の表記とP1層の構成との対応関係は下記のとおりである。
CoFe40:Co 0.6Fe 0.4(3nm)
Co63Fe32Gd5:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.63Fe 0.32Gd 0.05(1nm)/Co 0.4Fe 0.6(1nm)
Co60Fe30Gd10:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.60Fe 0.30Gd 0.10(1nm)/Co 0.4Fe 0.6(1nm)
Co57Fe28Gd15:Co 0.6Fe 0.4(1nm)/Co 0.57Fe 0.28Gd 0.15(1nm)/Co 0.4Fe 0.6(1nm)
 図9に示すように、CoFeGd合金膜をP1層に挿入した場合にも従来よりも高いMR比が得られるという効果が確認された。
[0073]
 (第2の実施形態)
 次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、本発明に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッドに関するものである。
[0074]
 図10は複合型磁気ヘッドの要部を示す断面図である。図11は本実施形態に係る磁気記録装置の要部を示す平面図である。
[0075]
 本実施形態の磁気ヘッド20は、ヘッドスライダを構成するAl 23-TiC(アルチック)基板等のセラミック基板21の上に形成されたGMR素子30と、その上に形成された誘導型記録素子270とを備えた複合型磁気ヘッドである。
[0076]
 誘導型記録素子270は記録媒体との対向面に配置された上部磁極29と、上部磁極29の下に形成されている記録ギャップ層28と、記録ギャップ層28を挟んで上部磁極29と対向する下部磁極27とを備える。上部磁極29は、磁気記録媒体のトラック幅と同じ幅に形成されている。上部磁極及び下部磁極は軟磁性材料によって形成されている。この軟磁性材料としては記録密度を確保する観点から飽和磁束密度が大きい材料が望ましく、例えばNi 0.8Fe 0.2、CoZrNb、FeN、FeSiN、FeCo、又はCoNiFe等の材料を用いることができる。記録ギャップ層28は、非磁性の材料から構成され、例えばAl 23等を使用することができる。
[0077]
 下部電極23は、セラミック基板21上に形成されたAl 23膜22の上に形成され、下部電極23の上にはGMR素子30が形成されている。上部電極26は、GMR素子30の上部に形成されている。下部電極23、GMR素子30及び上部電極26は電気的に接続されている。下部電極23及び上部電極26はGMR素子30の磁気シールドとしての機能も兼ねる。このため、下部電極23及び上部電極26は軟磁性材料で形成することが望ましく、例えばNiFe又はCoFe等から構成される。さらに、GMR素子30の結晶性を向上させるため、下部電極23とGMR素子30との間に例えば、Cu、Ta、又はTi等からなる導電膜を設けてもよい。
[0078]
 図10において、GMR素子30は図2に示す構造を有しており、下部電極23側に下地層31が形成され、上部電極26側に保護層38が形成されている。尚、本実施形態の磁気抵抗効果素子はGMR素子30のようなシングルスピンバルブ構造の素子に限られず、デュアルスピンバルブ構造を有するGMR素子40や、TMR素子50としてもよい。
[0079]
 磁区制御膜24は、GMR素子30の両側部に絶縁膜25を介して設けられている。磁区制御膜24は磁気抵抗効果膜を構成するフリー強磁性層37の単磁区化を図りバルクハウゼンノイズの発生を防止する。磁区制御膜24は例えば、Cr膜と強磁性のCoCrPt膜との積層体から構成することができる。
[0080]
 本実施形態の磁気記録装置60は、図11に示すように、筐体64内に磁気記録媒体61と、先端に磁気ヘッド20を備えたヘッドスライダ21と、ヘッドスライダ21を保持するサスペンションアーム62とを収納している。磁気記録媒体61は図示しないスピンドルモータにより回転され、磁気ヘッド20はサスペンションアーム62を駆動する図示しないヘッド位置決め機構により所定のトラック上に移動される。
[0081]
 次に本実施形態の磁気記録装置読み取り動作について説明する。
[0082]
 磁気ヘッド20は、図10に示す面が磁気記録媒体61の記録面に対向するように配置され、記録媒体61に対し矢印A方向に相対的に移動する。GMR素子30には、上面と下面に配置された上部電極26及び下部電極23からセンス電流が流される。記録媒体61からの漏れ磁場によってGMR素子30のフリー強磁性層37の磁化の方向が変化し、これに応じてGMR素子30の電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化に基づく検出電流又は電圧の変化により磁気記録装置60の読み取りが行われる。
[0083]
 本実施形態に係る磁気ヘッド20は、P1層に希土類元素を含む合金、又は希土類金属の単体からなる膜が形成されたGMR素子30を用いているので、素子の単位面積あたりの磁気抵抗変化が大きく、磁気ヘッド20を小型化しても十分な出力を得ることができ、磁気記録装置の高記録密度化及び高記録容量化を図ることができる。
[0084]
 (第3の実施形態)
 図12は、本発明の第3実施形態に係る磁気メモリ装置の構成例1を示す。図13は、図12で用いられるGMR素子30の構成例である。図14は、構成例1の磁気メモリ装置の1つのメモリセルの等価回路図である。図12では方向を示すために直交座標軸を示している。このうち、Y1及びY2方向は、紙面に垂直な方向であり、Y1方向は紙面の奥に向かう方向、Y2方向は紙面の手前に向かう方向である。以下の説明において、単にX方向という場合は、X1方向及びX2方向のいずれでも良いことを示し、Y方向及びZ方向についても同様とする。図中、先に説明した構成要素に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
[0085]
 磁気メモリ装置100は、例えばマトリクス状に配列された複数のメモリセル101により構成される。メモリセル101は、大略して磁気抵抗効果(GMR)膜30とMOS型電界効果トランジスタ(FET)102を有する。MOS型FET102は、pチャネルMOSFET又はnチャネルMOS型FETを用いることができるが、ここでは、電子がキャリアとなるnチャネルMOS型FETを例として説明する。MOS型FET102は、シリコン基板103中に形成されたp型不純物を含むpウェル領域104と、pウェル領域104中のシリコン基板103の表面の近傍に互いに隔離してn型不純物が導入された不純物拡散領域105a、105bを有する。ここで、一方の不純物拡散領域105aをソースS、他方の不純物拡散領域105bをドレインDとする。2つの不純物拡散領域105a、105bの間のシリコン基板103の表面にはゲート絶縁膜106を介してゲート電極Gが設けられている。
[0086]
 MOS型FET102のソースSは、垂直配線114及び層内配線115を介してGMR素子30の一方の側、例えば下地層31に電気的に接続される。また、ドレインDは垂直配線114を介してプレート線108が電気的に接続される。ゲート電極Gは読み出し用ワード線109に電気的に接続される。なお、ゲート電極Gが読み出し用ワード線109を兼ねても良い。また、ビット線101は、GMR素子30の他方の側、例えば保護膜39に電気的に接続される。GMR素子30の下側には隔離して書き込み用ワード線111が設けられている。GMR素子30は、先に図2に示したGMR素子30と同様の構成を有する。GMR素子30は、フリー強磁性層37の磁化容易軸の方向を図12に示すX方向に沿って設定し、磁化困難軸の方向をY方向に沿って設定する。磁化容易軸の方向は、熱処理により形成してもよく、形状異方性により形成しても良い。形状異方性によりX方向に磁化容易軸を形成する場合は、GMR素子30の膜面に平行な断面形状(X-Y平面に平行な断面形状)をY方向の辺よりもX方向の辺が長い矩形とする。
[0087]
 なお、磁気メモリ装置100は、シリコン基板103の表面やゲート電極Gがシリコン窒化膜やシリコン酸化膜等の層間絶縁膜113に覆われている。また、GMR素子30、プレート線108、読み出し用ワード線109、ビット線110、書き込み用ワード線111、垂直配線114、及び層内配線115は、上記で説明した電気的な接続以外は層間絶縁膜113により互いに電気的に絶縁されている。
[0088]
 磁気メモリ装置100は、GMR素子30に情報を保持する。情報は、P2層35の磁化の方向に対して、フリー層37の磁化の方向が平行か又は反平行の状態であるかにより保持される。
[0089]
 次に、磁気メモリ装置100の書き込み及び読み出し動作を説明する。
[0090]
 磁気メモリ装置100のGMR素子30への情報の書き込み動作は、GMR素子30の上下に配置されたビット線110と書き込み用ワード線111により行われる。ビット線110はGMR素子30の上方をX軸方向に延在しており、書き込み用ワード線111に電流を流すことにより、GMR素子30にY方向に磁界が加される。また、書き込み用ワード線111はGMR素子30の下方をY方向に延在しており、書き込み用ワード線111に電流を流すことにより、GMR素子30にX方向に磁界が印加される。GMR素子30のフリー層37の磁化は、実質的に磁界が印加されない場合はX方向(例えばX2方向とする)を向いており、その磁化方向は安定である。
[0091]
 情報をGMR素子30に書き込む際はビット線110と書き込み用ワード線111に同時に電流を流す。例えば、フリー層37の磁化をX1方向に向ける場合は、書き込み用ワード線111に電流をY1方向に流す。これにより、GMR素子30において磁界がX1方向となる。この際、ビット線110に流す電流の方向は、X1方向及びX2方向のいずれでも良い。ビット線110に流す電流により生じた磁界は、GMR素子30においてY1方向又はY2方向になり、フリー層37の磁化が磁化困難軸の障壁を超えるための磁界の一部として機能する。すなわち、フリー層37の磁化はX1方向を向いており、次の書き込み動作の磁界又は消去用の磁界が印加されない限りは安定である。
[0092]
 このようにして、GMR素子30にはフリー層37の磁化の方向に応じて、“1”又は“0”を記録できる。例えば、P2層35の磁化の方向がX1方向の場合に、フリー層37の磁化方向がX1方向(トンネル抵抗値が低い状態)のときは“1”、X2方向(トンネル抵抗値が高い状態)のときは“0”に設定する。なお、書き込み動作の際にビット線110及び書き込み用ワード線111に供給される電流の大きさは、ビット線110又は書き込み用ワード線111のいずれか一方のみに電流が流されてもフリー層37の磁化の反転が生じない程度に設定される。これにより、電流を供給したビット線110と電流を供給した書き込み用ワード線111との交点にあるGMR素子30のフリー層37のみ磁化による記録が行われる。なお、書き込み動作の際にビット線110に電流を流した際に、GMR素子30には電流が流れないように、ソースS側がハイインピーダンスに設定される。
[0093]
 次に、磁気メモリ装置100のGMR素子30への情報の読み出し動作は、ビット線110をソースSに対して負電圧を印加し、読み出し用ワード線109、即ちゲート電極GにMOS型FET102の閾値電圧よりも大きな電圧(正電圧)を印加して行う。これによりMOS型FET102はオンとなり、電子がビット線110から、GMR素子30、ソースS及びドレインDを介してプレート線108に流れる。プレート線108に電流計等の電流検出器118を電気的に接続することで、P2層35の磁化の方向に対するフリー層37の磁化の方向を表す磁気抵抗値を検出する。これにより、GMR素子30が保持する“1”又は“0”の情報を読み出すことができる。
[0094]
 第3実施形態の構成例1の磁気メモリ装置100は、GMR素子30のP1層33がCoGd合金又はGdで構成され、磁気抵抗変化量ΔRAが大きい。つまり、磁気メモリ装置100では、情報の読み出しの際に、保持された“0”及び“1”に対応する磁気抵抗値の差が大きいので、正確な読み出しができる。なお、磁気メモリ装置100を構成するGMR素子30を、図5に示すGMR素子40としてもよい。また、図13に示すP1層33に代えて、図3の積層構造を有するP1層33に置換しても良い。
[0095]
 図15は、構成例1の磁気メモリ装置100の変形例で用いられるTMR素子50の構成図である。このTMR素子50は、図15で用いられたGMR素子30に代えて用いられている。TMR素子50は、第1実施形態の磁気抵抗効果素子の第3の構成例であるTMR素子と同様である。TMR素子50は、例えば、下地層31が層内配線層115に接触し、保護膜39がビット線110に接触している。また、フリー層37の磁化容易軸は上述したGMR素子30と同様に配置される。TMR素子50を用いた場合の磁気メモリ装置100の書き込み動作及び読み出し動作はGMR素子30と同様であるのでその説明を省略する。
[0096]
 TMR素子50は、第3実施形態において説明したように、トンネル抵抗効果を示す。TMR素子50のP1層33はCoGd合金で構成され、トンネル抵抗変化量が大きい。したがって、磁気メモリ装置100は、情報の読み出しの際に、保持された“0”及び“1”に対応するトンネル抵抗変化量が大きく、正確な読み出しができる。
[0097]
 図13に示すP1層33に代えて、図3に示す331a、331b及び332の積層膜から構成されたP1層33としても良い。また、P1層33をCoFe合金とし、P2層35にCoGd合金を用いても良い。
[0098]
 図16は、第3実施形態の磁気メモリ装置の構成例2を示す。同一構成要素には同一参照符号を付し、説明を省略する。磁気メモリ装置120は、GMR素子30に情報書き込むための機構及び動作が構成例1の磁気メモリ装置100と異なる。
[0099]
 磁気メモリ装置120のメモリセルは、書き込み用ワード線111が設けられていない点を除いて、図12及び図13に示すメモリセル101と同様の構成である。以下、図13と図16を参照しつつ説明する。
[0100]
 磁気メモリ装置120は、偏極スピン電流IwをGMR素子30に注入し、その電流の向きによって、フリー層37の磁化のP2層35の向きに対して平衡の状態から反平衡の状態に、又は反平行の状態から平行の状態に反転させる。偏極スピン電流Iwは、電子がとり得る2つのスピンの向きのうち、一方の向きの電子からなる電子流である。偏極スピン電流Iwの向きを、GMR素子30のZ1方向又はZ2方向に流すことで、フリー層37の磁化にトルクを発生させ、いわゆるスピン注入磁化反転を起こさせる。偏極スピン電流Iwの電流量は、フリー層37の膜厚に応じて適宜選択されるが数mA~20mA程度である。偏極スピン電流Iwの電流量は、図12の構成例1の書き込み動作でビット線110及び書き込み用ワード線111に流れる電流量よりも少なく、消費電力を低減できる。
[0101]
 尚、偏極スピン電流は、GMR素子30と略同様の構成を有するCu膜を2つの強磁性体層で挟んだ積層体に垂直に電流を流すことで生成することができる。電子のスピンの向きは2つの強磁性体の磁化の向きを平行又は反平行に設定することで制御できる。磁気メモリ装置120の読み取り動作は、図12の構成例1の磁気メモリ装置100と同様である。
[0102]
 構成例2の磁気メモリ装置120は、構成例1の磁気メモリ装置100の持つ効果に加えて、低消費電力化が可能であるという効果も有する。なお、磁気メモリ装置120において、シングルスピンバルブ構造のGMR素子30の代わりに、図5に示したデュアルスピンバルブ構造のGMR素子40に置換してよく、又は、図6に示すTMR素子50に置換しても良い。また、第3実施形態の構成例1及び2の磁気メモリ装置100、120では、MOS型FETにより書き込み動作及び読み出し動作の際の電流方向を制御していたが、他の公知の手段により電流方向の制御を行っても良い。

請求の範囲

[1]
基板の上方に形成された反強磁性層と、
 前記反強磁性層上に第1固定磁化層と、非磁性結合層と、第2固定磁化層とが順に形成されてなり、かつ、前記第1固定磁化層と第2固定磁化層とが反強磁性的に交換結合して磁化の方向が固定された固定磁化層と、
 前記固定磁化層上に形成された非磁性中間層と、
 前記非磁性中間層上に形成されたフリー強磁性層とを備え、
 前記第1固定磁化層及び第2固定磁化層のうちの何れか一方が、希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
[2]
さらに、前記フリー強磁性層上に形成された上部非磁性中間層と、
 前記上部非磁性中間層上に上部第2固定磁化層と、非磁性結合層と、上部第1固定磁化層とが順に形成されてなり、かつ、前記上部第1固定磁化層と上部第2固定磁化層とが反強磁性的に交換結合して磁化の方向が固定された上部固定磁化層と、
 前記上部固定磁化層上に形成された上部反強磁性層とを備え、
 前記上部第1固定磁化層及び上部第2固定磁化層の何れか一方が、希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
[3]
基板の上方に形成された反強磁性層と、
 前記反強磁性層上に第1固定磁化層と、非磁性結合層と、第2固定磁化層とが順に形成されてなり、かつ、前記第1固定磁化層と第2固定磁化層とが反強磁性的に交換結合して磁化の方向が固定された固定磁化層と、
 前記固定磁化層上に形成された絶縁層と、
 前記絶縁層上に形成されたフリー強磁性層とを備え、
 前記第1固定磁化層及び第2固定磁化層のうちの何れか一方が、希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
[4]
基板の上方に反強磁性層を形成する工程と、
 前記反強磁性層上に、第1固定磁化層、非磁性結合層、及び第2固定磁化層を順に形成する固定磁化層形成工程と、
 前記固定磁化層上に非磁性中間層を形成する工程と、
 前記非磁性中間層上にフリー強磁性層を形成する工程と、
 前記固定磁化層の磁化の方向を固定する工程とを備え、
 前記第1固定磁化層及び前記第2固定磁化層のうちの何れか一方を、希土類元素を含む合金膜、又は希土類元素の単体からなる膜を積層した積層膜により形成することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
[5]
基板の上方に下部反強磁性層を形成する工程と、
 前記下部反強磁性層上に下部第1固定磁化層、下部非磁性結合層、下部第2固定磁化層を順に形成する下部固定磁化層形成工程と、
 前記下部固定磁化層上に下部非磁性中間層を形成する工程と、
 前記下部非磁性中間層上にフリー強磁性層を形成する工程と、
 前記フリー強磁性層上に上部非磁性中間層を形成する工程と、
 前記上部非磁性中間層上に上部第2固定磁化層、上部非磁性結合層、上部第1固定磁化層を順に形成する上部固定磁化層形成工程と、
 前記上部固定磁化層上に上部反強磁性層を形成する工程と、
 前記下部固定磁化層及び上部固定磁化層の磁化の方向を固定する工程とを備え、
 前記上部並びに下部の第1固定磁化層又は前記上部並びに下部の第2固定磁化層の何れか一方の組を、希土類元素を含む合金膜、又は希土類元素の単体からなる膜により形成することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
[6]
基板の上方に反強磁性層を形成する工程と、
 前記反強磁性層上に第1固定磁化層、非磁性結合層、第2固定磁化層を順に形成する固定磁化層形成工程と、
 前記固定磁化層上に絶縁層を形成する工程と、
 前記絶縁層上にフリー強磁性層を形成する工程と、
 前記固定磁化層の磁化の方向を固定する工程とを備え、
 前記第1固定磁化層及び前記第2固定磁化層のうちの何れか一方を、希土類元素を含む合金膜、又は希土類元素の単体からなる膜を積層した積層膜により形成することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
[7]
前記希土類元素を含む合金が、希土類元素と1若しくは複数の遷移金属元素との合金、又は複数の希土類元素のみからなる合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
[8]
前記遷移金属元素がFe及びCoからなる群から選択され、前記希土類元素がSm、Eu、Gd、Tb、及びDyからなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
[9]
前記希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料が、(Co aFe (1-a)(1-b)b(ここで、XはSm、Eu、Gd、Tb、及びDyの少なくとも一種からなり、a及びbは原子組成比率を表し、0≦a≦1、0.05≦b≦1を満たす。)で表される組成を有する材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
[10]
前記希土類元素を含む合金が負のトンネルスピン偏極率を有する材料であることを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。
[11]
前記第1固定磁化層及び第2固定磁化層のうちの何れか一方に形成された膜であって、前記希土類元素を含む合金又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜の厚さが0.1nm~3nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
[12]
さらに、前記希土類元素を含む合金、又は希土類元素の単体からなる材料から形成された膜の上面又は下面の少なくとも一方に、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金からなる群から選択された材料からなる膜を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
[13]
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、記録素子とを備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
[14]
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子と記録素子とを備えた磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを支持するアームと、前記磁気ヘッドにより情報の書き込み及び読み出しが行われる磁気記録媒体とを備えたことを特徴とする磁気記録装置。
[15]
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、
 前記磁気抵抗効果素子に磁界を印加して前記フリー強磁性層の磁化を所定の方向に向ける書き込み手段と、
 前記磁気抵抗効果素子に検出電流を供給して抵抗値を検出する読み出し手段とを備えたことを特徴とする磁気メモリ装置。
[16]
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、
 前記磁気抵抗効果素子にスピン偏極電流を流すことで前記フリー強磁性層の磁化を所定の方向に向ける書き込み手段と、
 前記磁気抵抗効果膜に検出電流を供給して抵抗値を検出する読み取り手段とを備えたことを特徴とする磁気メモリ装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]