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1. (WO2006043550) 溶接システムおよび消耗電極式溶接方法
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明 細書

溶接システムおよび消耗電極式溶接方法

技術分野

[0001] 本発明は、モータにより駆動される溶接用ロボットの位置制御における制御方法に 関するものである。

背景技術

[0002] 近年、溶接業界では更なる生産性向上の努力が日々続けられている。特に、軽微 なトラブルを原因とする生産ラインの短時間の停止を削減することやタクトタイムの短 縮に対する要求は以前にも増して高まってきて、る。

[0003] 生産ラインの停止の原因には様々な要因が考えられる力最も大きな原因はアーク スタートの不良に起因するトラブルである。

[0004] このため、従来の消耗電極式溶接方法におけるアークスタートでは、開始信号が外 部から入力されると、ロボットマ-ュピユレータを駆動して溶接トーチを予め教示され た溶接開始位置まで移動させる。その後に、ワイヤの送給は停止したままでロボット マ-ュピユレータによって溶接トーチを略溶接ワイヤの送給方向に移動させてワイヤ 先端を前記被溶接物に近づけていき、ワイヤ先端が被溶接物に接触したことを判別 すると予め定めた小電流値の初期電流を溶接電源装置力通電する。それと同時に 、溶接トーチを略溶接ワイヤの送給方向とは逆方向に移動させて前記ワイヤ先端を 前記被溶接物から遠ざける後退移動を行い、後退移動によってワイヤ先端と被溶接 物とが離れると初期電流が通電するアークが発生して、初期アーク発生状態を維持 したままで後退移動を継続し溶接トーチが溶接開始位置に復帰する。その後、後退 移動から予め教示された溶接方向への移動に切り換えて、同時に溶接ワイヤの送給 を開始すると共に定常の溶接電流を通電することによって初期アーク発生状態から 定常のアーク発生状態へと移行させる。(例えば特許文献 1参照)。

[0005] 図 4は上述した消耗電極式溶接方法を行うロボットを用いた溶接システムの概略全 体構成図である。

[0006] 図 4において、消耗電極である溶接ワイヤ 101は、ワイヤースプール 102からワイヤ 送給モータ 103により溶接トーチ 104の方向に繰り出される。

[0007] 溶接電源装置 105は、溶接トーチ 104および溶接チップ 106を経由して溶接ワイヤ

101と被溶接物である母材 107との間に所定の溶接電流 I及び溶接電圧 Vを印加し

、アーク 108を発生させるとともにワイヤ送給モータ 103を制御する。

[0008] ロボットマニピュレータ 109は溶接トーチ 104を保持し、溶接開始位置(図示せず) に位置決めを行うと共に溶接線(図示せず)に沿って溶接トーチ 104を移動させる。

[0009] ロボット制御装置 110は、溶接電源装置 105との間で双方向通信 Sを行い、溶接電 流 Iや溶接電圧 Vなどの溶接諸条件や、溶接の開始や終了指令を送信することで、口 ボットマニピュレータ 109を制御する。

[0010] 以上のように構成された溶接システムにおける消耗電極式溶接方法について、図 5 のタイムチャートを用いて説明する。

[0011] 図 5は、縦方向に、溶接トーチの移動速度 TV、溶接ワイヤの送給速度 WF、短絡 判定信号 AZS、溶接電流 I、溶接電圧 Vの各状況を表し、横軸は時間を表す。溶接 開始信号がロボット制御装置 110から溶接電源装置 105に送信された時点を TSO' としており、以後 TS1 'から TS5'は後述する。

[0012] まず、ロボット制御装置 110は、溶接開始信号を溶接電源装置 105に送信し、ロボ ットマニピュレータ 109を起動して溶接トーチ 104を母材 107に向かって加速させる。 溶接トーチ 104の速度が初期トーチ速度 TVOに達するとロボットマニピュレータ 109 の加速を停止し、一定速度で溶接トーチ 104の降下を継続する。

[0013] また、溶接電源装置 105はロボット制御装置 110から溶接開始信号を受信すると、 溶接ワイヤ 101と母材 107との間に無負荷電圧 VOを印加する。

[0014] 時刻 TS1,において、溶接ワイヤ 101と母材 107が接触すると溶接電源装置 105の 内部にある短絡判定手段(図示せず)により、短絡判定信号 AZSが出力される。

[0015] この短絡判定信号 AZSは双方向通信 Sによってロボット制御装置 110に伝達され

、ロボット制御装置 110は直ちにロボットマニピュレータ 109を減速し停止させる。時 刻 TS2,において、ロボットマニピュレータ 109の動作、すなわち溶接トーチ 104の速 度がゼロとなる。

[0016] その後、ロボット制御装置 110は直ちにロボットマニピュレータ 109の動作を反転さ せ溶接トーチ 104が母材 107から離れる方向への動作を開始し、溶接トーチ 104の 引き上げ動作を行う。

[0017] この時刻 TS1,力も TS3,の間は初期短絡期間であり、ロボットマニピュレータ 109 が減速して速度がゼロとなる時刻 TS2'までの間はワイヤ 101を母材 107に押しつけ ることになるが、時刻 TS2'以降はロボットマニピュレータ 109の動作が反転するので 押しつけ量は減少して行き、やがて時刻 TS3'の時点で短絡が解除される。

[0018] この短絡が解除される時刻 TS3'は、溶接トーチ 104の速度を表す TVの線が示す 溶接ワイヤ 101の押し付け量となる三角形 abcの面積よりも弓 Iき上げ量となる三角形 c deの面積が上回った時点で発生する。

[0019] なお、溶接電源装置 105は、時刻 TS1 'において初期短絡が発生すると溶接電流 I を II 'に制御し、所定の時間経過後に電流を 12'に増加して短絡開放を待つ。

[0020] この初期短絡期間の第 1段階として、溶接電流を比較的低く設定された II 'に制御 するの理由は、初期短絡によって溶接ワイヤ 101の先端部のジュール加熱により溶 接ワイヤ 101が溶融し、アークの発生と同時に溶融した溶接ワイヤ 101が飛散してス ノッタとなるのを防止するためである。

[0021] また、電流を II 'から 12'に変化させる理由は、時刻 TS3 'で短絡解放時にアークを 発生させるのに十分なエネルギを与えるためである。

[0022] 時刻 TS3,において、アークが発生すると、溶接電源装置 105はワイヤ送給モータ 103を起動して溶接ワイヤ 101を母材 107に向かって加速し、溶接ワイヤ 101の速度 が本溶接用の溶接ワイヤ速度に達するまで加速を継続し、本溶接用の溶接ワイヤ速 度に到達した後は、一定速度で溶接ワイヤ 101の送給を継続する。

[0023] また、溶接電源装置 105はワイヤ送給モータ 103の起動と合わせてアーク電流 Iを アーク初期電流 13'に一定時間制御した後、第 2の初期電流 14へと制御し、その後、 本溶接出力(図示せず)へと制御する。

特許文献 1 :特開 2002— 205169号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0024] しかし、従来の消耗電極式溶接方法は、ロボットマニピュレータ 109の反転動作を 必要とする。すなわち、溶接ワイヤ 101の先端が母材 107に接触したことを判別する と前進移動していたロボットマニピュレータ 109の減速を開始し、一端停止した後に 後進方向に反転加速するため、ロボットマニピュレータ 109の応答時間および加減 速時間が必要となる。

[0025] ロボットマニピュレータ 109は、一般的には減速機を介してモータによって駆動され るので、 TS2'で速度が反転する際に、減速機のガタ(嚙み合わせの遊び)やパネ成 分、摩擦の不連続性等により振動が発生する。

[0026] そして、この振動により、溶接ワイヤ 101が母材 107に必要以上に押しつけられる 可能性があり、溶接ワイヤ 101が挫屈する恐れがある。

[0027] また、ロボットマニピュレータ 109の応答性が悪ぐ溶接トーチ 104の速度指令と実 速度間に遅れが発生する場合においても、 TS1 'で短絡検出して力 TS2'で速度 が減速して反転するまでの時間が延び、溶接ワイヤ 101が母材 107に必要以上に押 しつけられる可能性があり、溶接ワイヤ 101が挫屈する恐れがある。

[0028] ここで、ロボットマニピュレータ 109の応答性を決めるの力ロボット制御装置 110内 に構成される位置制御ループであり、この構成を図 6に示す。

[0029] 図 6において、溶接トーチ 104に所望の軌跡を動作させる時、逆キネマ演算により、 ロボットマニピュレータ 109を構成する各軸のモータ位置の軌跡を求め、その速度成 分を速度ループ指令 TVC201として、制御ループに入力する。

[0030] なお、制御ループへの入力を、位置成分ではなく速度成分として!/、る理由は、位置 成分ではロボットの動作範囲を全て含む大きな有効桁数が必要となり、データ処理の 負荷が重くなるためである。

[0031] このトーチ速度指令 TVC201を積分要素 202で積分したトーチ位置指令 TPC203 を位置ループ 216に入力する。

[0032] ロボットマニピュレータ 109に軌跡をティーチングする場合は、始点と終点の位置を 指定することが一般的であり、位置ループ 216が必要な理由は、速度ループ 218の みでは、位置決めが正確にできないためである。

[0033] そこで、一般的なフィードバック制御(以後、 FB制御と示す)では、トーチ位置指令

TPC203とモータ 214に備えられた回転位置検出装置 215から出力されるトーチ位

置フィードバック(以下 FBと省略して示す)信号 TPF204との差に、位置ループゲイ ン KPP205を乗じて、速度ループ指令 TVCA200を生成し、速度制御ループ 218に 入力する。

[0034] [数 1]

T V C Λ = K P P ( T P C - T P F )

速度制御ブロック 218は、速度ループ指令 TVCA200とトーチ位置 FB信号 TPF2 04を微分したトーチ速度 FB信号 TVF208との差と、速度ループ比例ゲイン KPS20 9と、積分要素 210と、速度ループ積分ゲイン KIS211とから、電流指令 TCC212を 生成する。この電流指令 TCC212を受けた電流アンプ 213が実際の電流をモータ 2 14に流すことにより、マニピュレータ 109を駆動する。

[0035] この状態では、一般的に、この位置ループ 216により演算される速度ループ指令 T VCA200は、モータ位置指令 TPC203の速度成分であるトーチ速度指令 TVC201 から位相が遅れた信号となる。このことが主因となり、トーチ速度 FB信号 TVF208は トーチ速度指令 TVC201に十分追従できずに位相が遅れる。これを示したものが図 7 (a)である。

[0036] 図 7 (a)では、トーチ速度指令 TVC201として、一般的な台形状に加速、一定速、 減速を与えた例を示している。トーチ速度指令 TVC201に対し、トーチ速度 FB信号 TVF208は十分追従できず、位相が遅れ、最大速度比で最大 35. 3%の誤差が発 生している。

[0037] そこで、ロボットマニピュレータ 109の応答性を良くするために、一般的に用いられ る方式として、図 9に示すフィードフォワード制御(以後、 FF制御と示す)を追加する 方式がある。

[0038] 図 9においては、図 6の制御ブロックの位置制御ループ 216内に、トーチ速度指令 TVC201に、速度 FFゲイン KFF219で乗じて、(数 1)で求めた速度ループ指令 TV CA200に加算する FF制御ブロック 217を追加することにより、速度ループ指令を T VCB206とする。

[0039] [数 2]

T V C B 二 T V C A + K F F X T V C

(数 2)で計算された TVCB206を速度指令として速度制御ループ 218に入力する ことで、後述するように、速度追従性が向上することが知られている。

[0040] なお、速度 FFゲイン KFF219の範囲は、下記(数 3)に示す通りである。

[0041] [数 3]

0 ≤ K F F ≤ 1 . 0

なお、図 9において、 KFF=0とすれば図 6と等価である。

[0042] 速度 FFゲイン KFF219を大きくすれば、すなわち 1に近づければ、速度追従性は 改善するが、その反面オーバーシュートが大きくなる。これを示したもの力図 7 (b)、 図 7 (c)である。

[0043] 図 7 (b)は KFF = 0. 5、図 7 (c)は KFF= 1. 0とした時のもので、トーチ速度指令 T VC201としては、図 7 (a)と同じ波形を与えた場合を示している。

[0044] マニピュレータ 109の通常動作では、トーチ速度指令 TVC201の波形形状は、マ -ピユレータ 109の負荷パラメータやモータ 214の最大回転数、最大トルク等から予 め決められており、追従遅れをカ卩味した補正をリアルタイムには行わないことが一般 的である。

[0045] 図 8 (a)から(c)は、図 7 (a)から(c)の縦軸をトーチ速度からトーチ位置へと変更し たもので、終点位置を 100%としている。ここでも、速度と同様、速度 FFゲイン KFF2 19を大きくして 1に近づければ、位置のオーバーシュートが増大していることがわか る。

[0046] そして、位置のオーバーシュートの増加は、以下の問題を招く。

[0047] 溶接終了後、ロボットマニピュレータ 109は、溶接を完了した母材 107の取り出しと 新たな母材 107の設置とを妨げない待避位置へ移動し、新たな母材 107の設置後、 母材 107に近づく溶接開始点である TSO'時の位置へ溶接トーチ 104を移動させる

ことが一般的である。この場合、溶接ワイヤ 101の先端が母材 107側へオーバーシュ ートすることなく停止することが好ましい。オーバーシュートすると、意図しない時点で 溶接ワイヤ 101の先端が母材 7に接触し、溶接ワイヤ 101の挫屈ゃスパッタ発生の可 能性が発生する。

[0048] つまり、待避位置力溶接開始点 TS0'への移動を考えれば、意図しな!、時点で溶 接ワイヤ 101の先端が母材 7に接触しないように、母材 107側へのオーバーシュート に関係する速度 FFゲイン KFF219はそれほど大きくできないことがわかる。

[0049] 一方、図 5で示す、従来のアークスタート処理における TS0'から TS2'の間では、 後述するように、溶接ワイヤ 101が母材 107に接する TS1 'で示される減速位置を予 め教示することはできない。

[0050] すなわち、溶接トーチ 104からの溶接ワイヤ 101の突き出し量や、母材 107の形状 誤差等によって、短絡する位置が一定では無いので、短絡判定信号 AZSにより短 絡検出をして力減速することになる。

[0051] ただし、以下では、説明を簡単にするために、溶接ワイヤ 101の突き出し量や、母 材 107の形状に誤差が無、と仮定して説明する。

[0052] 図 10 (a)は、従来のアークスタート処理における TS0'〜TS2'間で、速度 FB信号

TVF208は追従遅れがなぐ完全にトーチ速度指令 TVC201に追従した場合を示 している。図 10 (b)は縦軸を位置成分としたものである。

[0053] 図 10 (a)、図 10 (b)において、時刻 TS1 ' ( = 0. 4)で、トーチは母材 107に接触し

、短絡が検出され、減速を開始し、時刻 TS2' ( = 0. 6)で停止するものとする。

[0054] 図 10 (b)の縦軸は、時刻 TS2'までの移動量を 100%としており、時刻 TS1 'の短 絡した時点での移動量は 75%である。

[0055] しかし、実際には、図 7 (a)から (c)で示したように、速度 FB信号 TVF208はトーチ 速度指令 TVC201に対し追従遅れが発生するので、速度 FB信号 TVF208が短絡 する時刻、つまり図 10 (b)の 75%に到達する時刻 TS1 'は遅れることになる。

[0056] 図 11 (a)は、 KFF = 0の時のトーチ速度指令 TVC201と速度 FB信号 TVF208の 関係を示したものである。

[0057] 図 11 (a)において、トーチ速度指令 TVC201は、時刻 0. 2迄は加速し、その後一

定速になる。この間、速度 FB信号 TVF208は追従遅れによる誤差が蓄積し、トーチ 速度指令 TVC201が短絡位置に到達する時刻 0. 4になっても、短絡位置には到達 しない。短絡が発生しないので、トーチ速度指令 TVC201は減速せず、一定値を保 持する。その後、ようやく時刻 0. 47 (TS1,で図示)に達して、速度 FB信号 TVF208 は短絡位置に達するので、トーチ速度指令 TVC201は減速に転じて 0まで減速する

[0058] しかし、この後も追従遅れが発生し、速度 FB信号 TVF208が 0に減速するまでトー チは下降する。

[0059] 図 12 (a)は図 11 (a)の縦軸をトーチ位置で表したものであり、縦軸は追従遅れがな い場合を示した図 10 (b)の時刻 TS2'までの移動量を 100%としている。

[0060] 図 12 (a)において、位置 FB信号 TPF204はトーチ位置指令 TPC203に対しての オーバーシュートは少ないが、追従遅れが原因して短絡時刻 TS1 'が遅れたことによ り、時刻 TS2'での移動量は、図 10 (b)の移動量(100%)に対して 17. 6%増加して いる。つまり、下降の移動量が大きくなり、ワイヤ 101が母材 107へ余分に突っ込むこ とになるため、ワイヤ 101が挫屈する可能性が発生する。

[0061] 図 11 (c)、図 12 (c)は KFF= 1. 0の時の波形を示したものである。

[0062] 図 11 (c)において、速度オーバーシュートが 13. 3%であり、 KFF=0の時と比べ てオーバーシュートが増加している力追従遅れは少なくなり、最大誤差は 13. 3% に減少している。

[0063] 図 12 (c)は、図 11 (a)の縦軸をトーチ位置で表したものであり、縦軸は追従遅れが ない場合を示した図 10 (b)の時刻 TS2'までの移動量を 100%としている。

[0064] 図 12 (c)においては、位置 FB信号 TPF204はトーチ位置指令 TPC203に対して のオーバーシュートは KFF=0の時と比べ増加している力追従遅れが少ないため 短絡時刻 TS1 'はほとんど遅延せず、時刻 TS2'での移動量は、図 10 (b)の移動量 ( 100%)に対してのオーバーシュートは 3. 1%に減少している。

[0065] 以上の結果より、従来のアークスタート処理における TSO'力 TS2'の間では、 TS 1 'で短絡を検出して力減速を始めるため、速度オーバーシュートが大きくても、追 従遅れが小さい方、つまり KFF= 1. 0と設定した時の方力 TSl 'の短絡検出後の 移動量を小さくでき、溶接ワイヤ 101の挫屈の危険性が少なくなることがわかる。

[0066] しかし、溶接開始点である TSO'の以後に必要な速度追従性を重視し、 KFF= 1.

0と設定すると、待避位置力溶接開始点 TSO'への移動動作におけるオーバーシュ ート量が増加することになり、意図しない時点で溶接ワイヤ 101の先端が母材 107に 接触し、溶接ワイヤ 101の挫屈ゃスパッタ発生の可能性が生じてしまい、速度追従性 の向上とオーバーシュートの抑制の両方を満たすように FFゲイン KFFの調整を行う ことは困難である。

[0067] 以上説明したように、従来の方式では、方向反転時の振動とトーチ速度の追従遅 れが原因となり、溶接ワイヤ 101が母材 107に必要以上に押しつけられる可能性が あるため、 TSO'から TS4'間のトーチの加減速を落とさざるを得ない。このため、ァー ク発生シーケンスによる無駄時間が長くなる可能性が大きい。

[0068] 本発明は、従来の消耗電極式溶接方法が有して!/、たアーク発生シーケンスの無駄 時間を、溶接ワイヤの挫屈ゃスパッタを発生させることなく削減することができる消耗 電極式溶接方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0069] 上記目的を達成するために、本発明の溶接システムは、溶接ワイヤを溶接トーチへ 送給するワイヤ送給手段と、前記溶接トーチを保持し、かつ溶接トーチを移動するァ クチユエータと、位置制御系を有しており前記ァクチユエータを駆動制御する制御装 置と、被溶接物と溶接ワイヤとの間に溶接出力を加える溶接電源装とを備えた溶接 システムであって、前記ァクチユエータにより溶接トーチを被溶接物から引き離す方 向に移動し、溶接ワイヤの被溶接物に対する速度を制御し、前記制御装置は、前記 位置制御系とは別に、溶接トーチを被溶接物から ΰ Iき離す方向に前記ァクチユエ一 タを移動する専用の弓 Iき離し制御系を備えるものである。

[0070] また、本発明の消耗電極式溶接方法は、溶接ワイヤを溶接トーチへ送給するワイヤ 送給手段と、前記溶接トーチを保持し、かつ溶接トーチを移動するァクチユエータと、 位置制御系を有しており前記ァクチユエータを制御する制御装置と、被溶接物と溶 接ワイヤとの間に溶接出力を加える溶接電源装置を備えた溶接システムを用いて、 溶接ワイヤを送給しながら前記ァクチユエータにより溶接トーチを被溶接物から引き 離す方向に移動し、溶接ワイヤの被溶接物に対する速度を制御する消耗電極式溶 接方法であって、前記制御装置は、前記位置制御系とは別に、溶接トーチを被溶接 物から引き離す方向に前記ァクチユエータを制御するための専用の弓 Iき離し制御系 を備えることを特徴とする。

[0071] この方法によれば、溶接開始時は、ァクチユエータがトーチを引き離す一方向の動 作で溶接ワイヤの被溶接物に対する速度を制御できるので、トーチ速度の反転によ る振動は発生せず、また、専用の引き離し制御系を用いて溶接トーチを移動するァク チユエータの速度追従性を高めることにより、応答時間および加減速時間が従来の ものに比べて短縮できる。そして、通常の位置決めにおいては、専用の引き離し制御 系による制御を行わな、ことにより、引き離し制御系によるオーバーシュートの発生を 防止する。

発明の効果

[0072] 以上のように、本発明は、溶接開始時に専用の引き離し制御系を用いて制御され るァクチユエータにより溶接トーチを被溶接物から引き離す方向に移動させることによ り、従来の消耗電極式溶接方法が有していたアーク発生シーケンスの無駄時間を削 減してタクトタイムを短縮することや、溶接始端部での溶接ワイヤの挫屈ゃスパッタの 発生を防止し、所謂「チョコ停」を効果的に削減することができる。

図面の簡単な説明

[0073] [図 1]本発明の実施の形態における位置制御ループを示すブロック図

[図 2]本発明の実施の形態に用いる溶接システムの概略構成図

[図 3]本発明の実施の形態におけるアークスタート時のタイミングチャート

[図 4]従来技術に用いる溶接システムの概略構成図

[図 5]従来技術におけるアークスタート時のタイミングチャート

[図 6]従来技術における位置制御ループを示すブロック図

[図 7] (a)通常動作におけるフィードフォワードゲイン力^である時のトーチの速度指令 とフィードバックの関係を示すグラフ(b)通常動作におけるフィードフォワードゲインが 0. 5である時のトーチの速度指令とフィードバックの関係を示すグラフ(c)通常動作 におけるフィードフォワードゲインが 1である時のトーチの速度指令とフィードバックの 関係を示すグラフ

[図 8] (a)通常動作におけるフィードフォワードゲイン力^である時のトーチの位置指令 とフィードバックの関係を示すグラフ(b)通常動作におけるフィードフォワードゲインが 0. 5である時のトーチの位置指令とフィードバックの関係を示すグラフ(c)通常動作 におけるフィードフォワードゲインが 1である時のトーチの位置指令とフィードバックの 関係を示すグラフ

[図 9]従来技術におけるフィードフォワード制御を加えた位置制御ループを示すブロ ック図

圆 10] (a)トーチ引き上げ動作における追従遅れがない場合のトーチの速度指令とフ イードバックの関係を時間とトーチ速度で表したグラフ (b)トーチ引き上げ動作におけ る追従遅れがない場合のトーチの速度指令とフィードバックの関係を時間とトーチ位 置で表したグラフ

[図 11] (a)フィードフォワードゲインが 0である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチ の速度指令とフィードバックの関係を時間とトーチ速度で表したグラフ (b)フィードフォ ワードゲインが 0. 5である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチの速度指令とフィ ードバックの関係を時間とトーチ速度で表したグラフ(c)フィードフォワードゲインが 1 である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチの速度指令とフィードバックの関係を 時間とトーチ速度で表したグラフ

[図 12] (a)フィードフォワードゲインが 0である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチ の速度指令とフィードバックの関係を時間とトーチ位置で表したグラフ (b)フィードフォ ワードゲインが 0. 5である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチの速度指令とフィ ードバックの関係を時間とトーチ位置で表したグラフ(c)フィードフォワードゲインが 1 である時のトーチ引き上げ動作におけるトーチの速度指令とフィードバックの関係を 時間とトーチ位置で表したグラフ

圆 13]本発明の実施の形態における衝突検出方法を示すブロック図

[図 14]従来技術における衝突検出方法を示すブロック図 (動力学演算方式)

[図 15]ロボットの減速機のパネ成分を示す概略構成図

[図 16]ロボットの減速機のパネ成分をモデル化したブロック線図

[図 17]従来技術の形態における衝突判定を示す波形図

[図 18]従来技術における衝突検出方法を示すブロック図(外乱オブザーバ方式) [図 19]ロボット減速機 (ノヽ一モニック減速機)のパネ定数を示すグラフ

[図 20]本発明の実施の形態における衝突判定を示す波形図

[図 21]本発明の実施の形態における衝突判定を示す波形図

符号の説明

1 溶接ワイヤ

3 ワイヤ送給モータ

4 溶接トーチ

5 溶接電源装置

7 母材

8 アーク

9 ロボットマニュピレータ

10 ロボット制御装置

200 速度ループ指令 TVCA

201 トーチ速度指令 TVC

202 積分要素

203 トーチ位置指令 TPC

204 微分要素

205 位置ループゲイン KPP

206 速度ループ指令 TVCB

207 微分要素

208 トーチ速度 FB信号 TVF

209 速度ループ比例ゲイン KPS

210 積分要素

211 速度ループ積分ゲイン KIS

212 電流指令 TCC

213 電流アンプ

215 回転位置検出装置

216 位置制御ループ

217 FF制御ブロック

218 速度ループ

219 速度 FFゲイン KFF

220 速度 FFゲイン KFFA

221 速度 FFゲイン KFFB

222 トーチ引き上げ速度指令 TUVC

223 通常動作速度指令 TNVC

224 トーチ引き離し制御ブロック

発明を実施するための最良の形態

[0075] (実施の形態 1)

以下、本発明の一実施の形態について、図 1から図 3および図 7と図 8を用いて説 明する。

[0076] まず、図 2と図 3を用いて本実施の形態における溶接システムの構成とアークスター トの過程について説明し、次いで、図 1と図 7、図 8を用いて、本実施の形態における ロボット制御装置 10の位置制御ループについて説明する。

[0077] 図 2は本実施の形態における溶接システムの概要を示す構成図で、消耗電極であ る溶接ワイヤ 1は、ワイヤースプール 2からワイヤ送給モータ 3により溶接トーチ 4の方 向に繰り出される。

[0078] 溶接電源装置 5は、溶接トーチ 4および溶接チップ 6を経由して溶接ワイヤ 1と被溶 接物である母材 7との間に所定の溶接電流 I及び溶接電圧 Vを印加してアーク 8を発 生させるとともに、ワイヤ送給モータ 3を制御して溶接施工を行うものである。

[0079] ロボットマニピュレータ 9は、溶接トーチ 4を保持し、溶接開始位置(図示せず)に位 置決めを行うと共に溶接線(図示せず)に沿って溶接トーチ 4を移動させるものである

[0080] このロボット制御装置 10は、溶接電源装置 5との間で双方向通信 Sを行い、溶接電 流 Iや溶接電圧 Vなどの溶接諸条件や、溶接の開始や終了指令を送信することで、口 ボットマニピュレータ 9を制御する。

[0081] 図 3は、縦方向に、溶接トーチ 4の移動速度 TV、溶接ワイヤ 1の送給速度 WF、短 絡判定信号 AZS、溶接電流 I、溶接電圧 Vの各状況を表し、また、横軸に時間を表 す。溶接開始信号がロボット制御装置 10から溶接電源装置 5に送信された時刻を T SOとしており、以後 TS1から TS5は、後述のタイミングを表している。なお、時刻 TS0 において、溶接トーチ 4は溶接開始位置に位置する。また、 TS1は溶接ワイヤ 1と母 材 7が接触する時刻を示し、 TS 2は溶接ワイヤ 1を母材 7に押しつける方に加わる力 がゼロとなる、すなわち溶接トーチ 4の引き上げ速度と溶接ワイヤ 1の送給速度が釣り 合う時刻を示し、 TS3は溶接ワイヤ 1と母材 7との短絡が解除される時刻を示し、 TS4 は溶接トーチ 4の高さが所定の高さとなり溶接トーチ 4の引き上げが完了した時刻を 示し、 TS 5はワイヤの速度 WFが所定の速度になつた時刻を示して、る。

[0082] 図 3において、本実施の形態では、溶接開始信号がロボット制御装置 10から溶接 電源装置 5に送信される (TS0)と、溶接電源装置 5は溶接ワイヤ 1と母材 7の間に無 負荷電圧 V0を印加すると共にワイヤ送給モータ 3を起動して溶接ワイヤ 1を母材 7に 向かって加速する。

[0083] 溶接ワイヤ 1の送給速度が初期ワイヤ速度 W0に達するとワイヤ送給モータ 3の加 速を停止し、一定速度でワイヤ送給を継続する。

[0084] やがて TS1の時刻において、溶接ワイヤ 1と母材 7が接触すると、溶接電源装置 5 の内部にある短絡判定手段(図示せず)により、短絡判定信号 AZSが出力される。

[0085] この短絡判定信号 AZSは、双方向通信 Sによってロボット制御装置 10に伝達され

、ロボット制御装置 10は直ちにロボットマニピュレータ 9を溶接トーチ 4が母材 7から概 ね離れる方向への動作を開始し、溶接トーチ 4の引き上げ動作を行う。

[0086] TS1から TS3の間は初期短絡期間であり、この間、溶接ワイヤ 1は初期ワイヤ速度

W0での送給が «続され、ロボットマニピュレータ 9は溶接トーチ 4の引き上げ動作を 継続するので、溶接ワイヤ 1の先端部の速度は、図中の波線で示すように、ワイヤ速 度 WFとトーチ速度 TVとが合成された速度となる。

[0087] よって、 TS1以降の溶接ワイヤ 1の先端は、図中の波線が示す合成速度がゼロとな る TS2までの間は母材 7に押しつけられることとなる力 TS2以降は合成速度が負に 転じるので押しつけ量は減少して行き、やがて TS3の時点で短絡が解除される。 TS 3は、溶接ワイヤ 1の押し付け量である三角形 fghの面積よりも引き上げ量である三角 形 hjiの面積が上回った時刻である。

[0088] なお、溶接電源装置 5は、時刻 TS1において、初期短絡が発生すると溶接電流 Iを IIに制御し、所定の時間経過後に電流を 12に増加して短絡開放を待つ。

[0089] 初期短絡期間の第 1段階として、溶接電流 Iを比較的低く設定された IIに制御する 理由は、初期短絡によって溶接ワイヤ 1の先端部のジュール加熱により溶接ワイヤ 1 が溶融し、アークの発生と同時に溶融した溶接ワイヤ 1が飛散してスパッタとなるのを 防止するためである。

[0090] また、電流を IIから 12に変化させる理由は、時刻 TS3で短絡解放時にアークを発 生させるのに十分なエネルギを与えるためである。

[0091] なお、 TS1で短絡検出し、その後の溶接トーチ 4の引き上げ動作において、溶接ト ーチ 4の速度 TVに追従遅れが生じ、溶接トート 4の引き上げ速度 TVが溶接ワイヤ 1 の速度 WFを上回る時間、つまり合成速度が負に転じる時間が余分に力かった場合 、その間も溶接ワイヤ 1は供給され続けるので、溶接ワイヤ 1の押しつけ量が過大とな り、溶接ワイヤ 1が挫屈する可能性がある。

[0092] また、発明が解決しょうとする課題で説明した従来例で TS1 'の減速位置が前もつ てわ力もないことと同様、 TS1の短絡検出時刻を予め教示することはできないので、 追従遅れを見越して前もって引き上げ動作をすることは出来ない。

[0093] そこで、溶接ワイヤ 1の押しつけ量を少なくするため、トーチ速度 TVの追従遅れを 少なくすることが必要となる。なお、本実施の形態の溶接方法は、図 5を用いて説明 した時刻 TSO'における位置力も溶接トーチ 104が母材 107側にも移動する従来例 とは異なり、時刻 TSOにおける位置力の溶接トーチ 4の動作方向は、母材 7から離 れる方向のみであるので、従来例で示したような速度方向が変わることによる振動が 原因となる挫屈の心配はない。

[0094] また、溶接トーチ 4と溶接ワイヤ 1の合成速度は一定である方が好ましいので、速度 追従誤差を最小にするように調整すれば良い。

[0095] 一方、ロボットマニピュレータ 9の通常動作や位置決めにおいて、 TS0の時刻で、 母材 7を供給するために待避位置にあった溶接トーチ 4は、ロボット制御装置 10が口 ボットマニピュレータ 9を駆動することにより溶接開始位置へ移動してくる。

[0096] この時は、溶接ワイヤ 1の先端が母材 7側へオーバーシュートすることなく停止する ことが好ましい。それは、溶接ワイヤ 1の先端がオーバーシュートすると、意図しない 時点で溶接ワイヤ 1の先端が母材 7に接触する恐れがあるからである。

[0097] ただし、 TS4以後の溶接方向への移動に関しては、軌跡精度つまり追従特性が求 められるので、オーバーシュートが許容値内に収まる範囲で FFゲインを大きくするこ とが好ましい。

[0098] 次に、ロボット制御装置 10内に構成される本実施の形態における位置制御ループ について説明する。

[0099] 図 1はロボット制御装置 10内に構成される位置制御ループを示すブロック図である 。なお、この図 1において、図 6や図 9と同様の構成については同一の符号を付して いる。

[0100] この図 1に示す位置制御ループは、図 9を用いて説明した従来例の位置制御ルー プに、アークスタート時のトーチ引き上げ動作のみの応答性を改善するためのトーチ 引き離し制御ブロック 224を設けた構成となっている。

[0101] また、図 1では、速度指令を、溶接開始における図 3で示す時刻 TS1から TS4迄の 溶接トーチ引き上げ動作に関するトーチ引き上げ速度指令 TUVC222と、それ以外 の通常動作における通常動作速度指令 TNVC223としている。

[0102] そして、このトーチ引き離し制御ブロック 224は、トーチ引き上げ速度指令 TUVC2 22に基づいて、溶接開始における溶接トーチ 4を母材 7から引き離す方向に移動さ せる動作の応答性を改善するために FF (フィードフォワード)制御を行うものである。 なお、このトーチ引き上げ速度指令 TUVC222は、溶接開始において、ロボット制御 装置 10が溶接トーチ 4を母材 7から引き離す方向に移動させる制御を行うときに出力 される指令であり、通常動作時には出力されないものである。

[0103] 図 1の制御ループにおいて、位置制御ループ 216から速度ループ 218に出力され る速度ループ指令 TVCB206について説明すると、速度 FFゲイン KFFB221が乗じ られたトーチ引き上げ速度指令 TUVC222と、速度 FFゲイン KFFA220が乗じられ た通常動作速度指令 TNVC223とを加算し、この加算したものを (数 1)で計算した 速度ループ指令 TCVA200に加算することにより、速度ループ指令 TVCB206が演 算される。この TVCBを数式で表すと以下の(数 4)となる。

T V C B = '

ここで、速度 F Fゲイン K F F A、 KF F Bの範囲は以下の通りである。

0 ≤ KF F A ≤ 1 . 0

0 ≤ KF F B ≤ 1 . 0

ここで、速度 FFゲイン KFFA、 KFFBの範囲は以下のとおりである。

[0105] また、位置制御ループ 216に出力される位置指令 TPC203につ!/、て説明すると、 位置指令 TPC203は、トーチ弓 Iき上げ速度指令 TUVC222と通常動作速度指令 T

NVC223の和を積分したものである。この位置指令 TPCを数式で表すと下記の(数

5)となる。

[0106] [数 5]

T P C = f d

なお、 KFFA=KFFB = 0の時は、従来例として図 6で示した FF制御が無い制御 ループと同じになる。

[0107] ここで、先にも述ぺたように、 TS0以前と TS4以後の通常動作においては、オーバ 一シュートが許容値内に収まる範囲で FFゲインを大きくして追従性を改善することが 好ましい。

[0108] そこで、通常動作速度指令 TNVC223に乗算するための速度 FFゲイン KFFA22 0を例えば KFFA-0. 5とすると、図 7 (b)、図 8 (b)で示す追従特性となり、位置のォ 一バーシュートは 1%以下でありながら、追従特性は改善され位置最大誤差は 9. 2 %に減少する。

[0109] 一方、溶接開始における図 3に示す時刻 TS1から時刻 TS4迄のトーチ弓 Iき上げ動 作では、トーチ速度 TVの追従遅れを少なくし、速度追従誤差を最小にすることが必

差替え用紙(規則 26)

要である。そこで、トーチ引き上げ速度指令 TUVC222に乗算するための速度 FFゲ イン KFFBを例えば KFFB= 1. 0とすると、図 7 (c)、図 8 (c)で示す追従特性となり、 速度の追従遅れと最大誤差を最小化出来る。

[0110] 以上のように、ロボット制御装置 10の位置制御ループを図 1に示すトーチ引き離し 制御ブロック 224を設けた構成とし、トーチ引き上げ速度指令 TUVC222と通常動作 速度指令 TNVC223とを別個に入力するものとし、トーチ引き上げ速度指令 TUVC 222は溶接開始においてロボット制御装置 10が溶接トーチ 4を母材 7から引き離す 方向に移動させる制御を行うときにのみ出力され通常動作時には出力されないもの とすることで、溶接開始時に、トーチ引き離し制御ブロック 224により溶接トーチ 4の移 動の速度追従性を高めることができるので、アーク発生シーケンスの無駄時間を削減 することができ、溶接ワイヤ 4の挫屈ゃスパッタの発生を防ぐことができる。

[0111] また、通常動作時にはトーチ引き上げ速度指令 TUVC222が出力されないので、 通常動作時にトーチ引き離し制御ブロック 224によるオーバーシュートが発生するこ となく通常動作を行うことができる。

[0112] すなわち、図 1に示す位置制御ループを構成することにより、溶接開始における TS 1から TS4迄のトーチ引き上げ動作と、それ以外の通常動作における速度追従特性 を最適に調整することが出来る。

[0113] なお、本実施の形態の制御方法では、上述したように、溶接開始時の時刻 TSOに おける位置力もの溶接トーチ 4の動作方向は、母材 7から離れる方向のみであるので 、従来例のように溶接トート 4の速度方向が反転することにより溶接トーチ 4の振動が 発生して溶接ワイヤ 1が挫屈する心配はない。

[0114] また、溶接トーチ 4を溶接方向に動作させながらアークスタートをさせるような場合に は、溶接方向動作とトーチ引き上げ動作とが同時に行われるが、このような場合でも 、速度指令を、溶接開始における図 3で示す時刻 TS1から TS4迄の溶接トーチ引き 上げ動作に関するトーチ引き上げ速度指令 TUVC222と、それ以外の通常動作に おける通常動作速度指令 TNVC223と別個にしているので、溶接方向動作とトーチ 引き上げ動作との速度追従特性を各々最適に調整することが出来る。なお、トーチ 引き上げ速度指令 TUVC222と通常動作速度指令 TNVC223とを別個にせず、一

つの速度指令とし FFゲインを変化させる方式では、 FFゲインの適切な変化が困難 であり、溶接方向に動作させながらアークスタートをさせることは難し、。

本発明の溶接システムにおける溶接ロボットには以下に示す衝突検出方法を採用 することが望ましい。

[0115] 近年、ロボットにおいて、衝突時の安全性向上や破壊による損失防止のために、衝 突検出の高精度化が求められている。し力しながら、高精度な衝突センサを用いるこ とはコストが増大し、さらに重量負荷としてのセンサを振り回すことになるので、ロボッ トの高速化や省エネに反することになる。そこで、衝突力のセンサレス検出における 高精度化が求められている。

[0116] 衝突力をセンサレスで求める方法としては、モータの駆動電流で発生したトルクから モータ及び減速機のイナ一シャと摩擦で損失するトルクを差し引、た減速機出力トル クより、ロボットの逆動力学演算から求めたロボットの動力学トルクを差し引いて衝突 力を求める方式 (以下、動力学演算方式という。非特許文献 1参照)と、外乱推定ォ ブザーバを用いて衝突力を求める方式 (以下、外乱推定オブザーバ方式という)があ る。

[0117] 図 14は、動力学演算方式の制御ブロック線図である。

[0118] 図 14において、 6は位置制御ブロックであり、位置指令の速度成分 d Θ com (l)を 積分した位置指令 Θ com (3)と、モータ速度フィードバック co m (2)を積分したモータ 位置フィードバック Θ m (4)との差分値から速度ループ指令 ω com (7)を生成する。

[0119] 図 14の 10は速度制御ブロックであり、速度ループ指令 ω com (7)とモータ速度フィ ードバック ω m (2)の差分値力もモータ電流指令 Im (11)を生成する。

[0120] 図 14の 18はモータと外力を示したブロックである。 τ πι (13)はモータ発生トルクで あり、減速機が剛体であると仮定すると、モータ発生トルク τ m (13)は、以下に示す( 数 6)において、モータ駆動側から見れば (数 6— 1)で表され、負荷側から見れば (数 6— 2)で表される。

[0121] [数 6]

て m=Kt X Im (数 1一 1 ) τ m= τ d y n + τ d s + J mX am + D X ωιη+て μ (数 1一 2) ただし、式(数 1一 )、(数 1— 2) における記号は以下の通りである

K t (12) モータトノレク定数

I m(ll) モータ電流

a m モータ角加速度(comの微分値)

com (2) モータ角速度

Jm モータイナーシャ(ロータ +減速機 1次側)

D 粘'醵擦係数

μ (15) 動摩擦トルク

て d y n (14) 動力学トルク(動トノレク、憒¾¾、遠心力、コリオリカの和) τ d i s (16) 衝突トルク

[0122] また、上記に示す動摩擦トルク τ μ (15)は、以下に示す (数 7)で計算できる。

[0123] [数 7]

て /z-K/x X s g n

ただし、

Κμ :動摩擦の大きさ

1 m>0)

s g n = 0 (ωΐη= 0)

I - 1 (comく 0)

[0124] また、(数 6— 2)の右辺にある衝突トルク τ disは、(数 6— 1)と(数 6— 2)より、以下 に示す (数 8)に変形して求めることが出来る。

[0125] [数 8]

d i s=(KtX Im一: fmXam一 DXcom— K X s gn)一て dyn

[0126] なお、上記(数 8)において、 KtXlm—JmX am-DX ω χι~Κμ Xsgnはモータ が減速機に出力するトルクであり、て dynは動力学トルクである。■ [0127] 図 14において、(30)は、(数 8)を衝突トルク推定ブロックとして表したものである。

[0128〕衝突トルク推定ブロック(30)におヽて、動力学トルク推定値 τ dyno (29)は、動力 学トルク演算ブロック(26)において、ロボットを構成する全軸のモータ速度フィードパ ックとロボットの機械パラメータを用いて逆動力学演算を実行することで求められる。

差替え用紙 (規則 26)

衝突トルク推定ブロック(30)は、この動力学トルク推定値て dyno (29)を用いて衝突 トルク推定値 τ diso (28)をもとめ、この衝突トルク推定値 τ diso (28)を衝突判定ブ ロック(31)へ出力する。

[0129] 衝突判定ブロック(31)は、所定の衝突検出閾値 τ thを用いて、以下に示す (数 9) に従い衝突を検出する。

[0130] [数 9]

I τ d i s o I > τ t h

[0131] 以上説明した従来の動力学演算方式では、減速機が剛体であることが前提であつ た。

[0132] しかし、実際の減速機にはパネ成分が存在し、このパネ成分により振動が発生する 可能性がある。

[0133] 図 15は、ロボットにおけるモータと減速機をモデルィ匕した図を示したものであり、モ ータ取り付けベースとなるアーム 1 (71)に、モータ(72)、減速機(73)、ベアリング(7 4)が固定され、減速機 2次側(77)の回転部に結合された負荷であるアーム 2 (79) を駆動する。

[0134] 減速機 1次側(76)は、モータ回転軸(80)でモータ内のロータに結合され、モータ 回転速度 co m (2)で回転する。減速機(73)は減速比 Rgで、モータ回転速度 co m (2 )を負荷回転速度 ω L (41)に減速する。

[0135] ここで、減速機(73)の減速比 Rgは下記に示す (数 10)により表される。

[0136] [数 10]

R g = ω m/ ω L

[0137] しかし、減速機 (73)は減速機 1次側(76)と減速機 2次側(77)の間にパネ成分が 存在するので、(数 10)が成立するのは、パネの伸びが一定となった定常状態の場 合のみである。

[0138] このパネ成分のパネ定数を KSとして、図 15に示すモデルをブロック線図で表した ものが図 16である。

[0139] 図 16において、 Im (l l)はモータ(72)を駆動するモータ電流指令、 Kt (12)はモ ータ(72)のトルク定数、 lZRg (42、 43)は減速比の逆数、 44はモータ伝達関数、 4 5は負荷伝達関数、 KS (46)は減速機 (73)のパネ定数、 Θ s (47)は減速機 1次側( 76)と減速機 2次側(77)間に発生するねじれ角、 48は積分である。

[0140] τ dis (22)は負荷 (アーム 2)にカ卩わる衝突トルク、 τ dyn' (49)は自軸の慣性力と 重力トルクを除いた動力学トルク、 T G (50)は重力トルク、 τ (15)は動摩擦トルク である。

[0141] モータ伝達関数 (44)にお!/、て、モータイナーシャ Jmはモータロータ(75)と減速機 1次側(76)を合わせた回転軸(80)回りの慣性モーメント、 Dmはモータ粘性摩擦係 数である。

[0142] 負荷伝達関数 (45)においても、負荷イナーシャ JLは負荷 (アーム 2) (79)と減速機 2次側(77)を合わせた回転軸 (80)回りの慣性モーメント、 DLは負荷粘性摩擦係数 である。

[0143] 特に大型ロボットでは、図 16でモデルィ匕した減速機のパネ成分の共振周波数が 1 OHz以下の低い周波数となり、ロボットの動作周波数がこれに近くなれば、振動を発 生する確率が増加する。

[0144] ロボットの通常用途では、振動が発生しないように、ロボットの動作周波数はパネ成 分の共振周波数より低くなるように加減速を調整するので、それほど大きな問題とは ならない。しかし溶接用途では、特許文献 2に記載されたアークスタート時のトーチ引 き上げ動作や、トーチを振動させるウィービング動作等では、多少振動が発生し軌跡 精度が多少劣化しても速応性が求められるため、ロボットの動作周波数がパネ成分 の共振周波数に近づく可能性は高い。

[0145] このような場合、減速機のパネ成分による振動を無視して、衝突検出閾値を定める と、衝突していないにも関わらず、衝突としていると誤検出する可能性がある。

[0146] 図 17はこの誤検出を示した例を示す図であり、時刻 0. 1〜0. 5の間は通常動作を 示し、時刻 0. 6〜0. 8はトーチ引き上げ動作を示しており、上から、位置指令の速度 成分 d Θ com (l)の時間変化、その下にそれを微分した加速度成分 a comの時間 変化、その下に衝突トルク推定値 τ diso (28)の時間変化を示している。

[0147] 通常動作では、 a comの絶対値は、減速機ばね成分による振動を発生させない様 に、加速度閾値 a thを越えないように調整される。そして、この加速度閾値 a thは、 実際に通常動作を行うことで求められるものである。

[0148] し力しトーチ引き上げ動作では、多少振動が発生して軌跡精度が多少劣化しても 速応性が求められるため、このときの加速度 a comは加速度閾値 a thを越える可能

'性がある。

[0149] 図 14で示す従来の動力学演算方式では、減速機のパネ成分を図 16の様にモデ ル化していないので、その振動がそのまま衝突トルク推定値 τ diso (28)の誤差とし て現れる。この様子を表したものが、図 5の時刻 0. 6〜0. 8間であり、衝突トルク推定 値て diso (28)の絶対値が衝突検出閾値て th (39)を 2回越えている。

[0150] このような現象が発生すると、衝突していないにも関わらず衝突が発生したと誤検 出することになる。この誤検出を避けるためには、衝突検出閾値 τ th (39)を大きくす るしかないが、逆に衝突検出感度が低くなるので、実際に衝突が発生した場合の検 出が遅れることになる。そして、衝突検出が遅れると、衝突による衝撃緩和手段をとる のも遅れることになり、アームや減速機、さらにはワーク等にダメージを与えることにな る。

[0151] 一方、外乱推定オブザーバ方式では、図 15、図 16で示した、減速機がパネを持つ たモデルを対象として、衝突検出を実現する方法が知られている(例えば特許文献 3 参照)。

[0152] 図 18に外乱オブザーバ方式を説明するためのブロック図を示す。衝突トルク推定 ブロック(69)において、外乱推定オブザーバ(61)は、入力としてモータ電流 Im (11 )とモータ回転速度 co m (11)、演算パラメータとしてモータイナーシャ Jm、負荷イナ ーシャ JL、モータ粘性摩擦係数 Dm、負荷粘性摩擦係数 DL、減速機パネ定数 KS ( 46)および減速比 Rgを用いて、負荷回転速度 co L (41)、ねじれ角 Θ s (47)及び外 乱トルクの和( τ dis + τ dyn' + τ μ + τ G) ο (65)を推定するものである。

[0153] 重力トルク演算ブロック(62)は、ロボットを構成する全軸の位置情報 (速度を積分( 63) )から重力トルク推定値を演算し、重力トルク推定値 τ Go (67)を出力する。

[0154] 衝突トルク推定ブロック(69)は、外乱トルクの和( τ dis + τ dyn' + τ μ + T G) O ( 65)から、重力トルク推定値て Go (67)と動摩擦トルク推定値 τ μ ο (24)とを減算し、 衝突トルク推定(て dis+ て dyn' ) o (66)を衝突判定ブロック(30)に出力する。

特許文献 2 :特開 2002— 205169号公報

特許文献 3:特開 2000 - 52286号公報

非特許文献 1 :小菅一弘、他 1名、 "マニピュレータの動的衝突検出"、日本機械学会 [No. 99— 9]ロボテイクス 'メカトロニクス講演会, 99講演論文集 2A1— 11 030 しかし、従来の外乱推定オブザーバ方式では、下記の課題がある。

[0155] 1つ目の課題は、衝突トルク推定(r dis+ τ dyn' ) o (66)に、自軸の慣性力と重力 トルクを除いた動力学トルク τ dyn' (49)が含まれることである。 τ dyn' (49)は主に 他軸からの干渉力(遠心力、コリオリカ)で構成される。

[0156] この τ dyn' (49)が誤差成分となるので、動力学演算方式に比べ、衝突検出閾値 が大きくなる (衝突検出感度が下がる)ことが考えられる。つまり、せっかく図 15、 図 16で示した、減速機のパネ成分をモデルィ匕しても動力学演算方式より衝突検出 感度が下がる可能性がある。

[0157] 2つ目の課題は、外乱オブザーバ(61)では、負荷イナーシャ JLとパネ定数 KS (46 )の正確な値が必要で、これらのパラメータに誤差があると、外乱推定にも誤差が発 生し、パネをモデルィ匕した意味が少なくなることである。

[0158] 負荷イナーシャ JLは、ロボットの姿勢やアームに取り付ける負荷により変動するので 、リアルタイムに演算する必要があり、演算は可能である。

[0159] し力し、パネ定数 KS (19)を固定値とすることには問題がある。図 19は、ロボットに 使用される減速機の代表であるハーモニック減速機のパネ定数 KSの一例を示す図 であり、あるメーカカタログに記載されているものである。図 19において、ねじれ角が 変わるとパネ定数も変化するので、 3段階の直線で近似されており、それぞれのトル ク定数を Kl、 Κ2、 Κ3としている。ロボットで使用される頻度の高い、減速比 80以上 のパネ定数について、メーカカタログ値より Kl、 Κ2、 Κ3の平均値を求め、その平均 値を基準に Kl、 Κ2、 Κ3の誤差を算出すると、最大で約 33%になる。

[0160] また、ねじれ角 0 s (47)と負荷回転速度 co L (41)は直接測定されるのではなぐ外 乱推定オブザーバの 1変数として推定される値のため、パネ定数 KS (46)が変わると ねじれ角 Θ s (47)の推定値も変化する。しかし、現実には、パネ定数 KS (46)がねじ れ角 Θ s (47)の関数になっており、相互に従属するので、推定は不可能となる。

[0161] そこで、外乱推定オブザーバを成立させるには、パネ定数 KS (46)を固定値と見な すしか方法はな!/、が、その誤差が外乱推定値の精度を悪化させる可能性は高、。

[0162] すなわち、減速機のパネ成分をモデルィ匕しても、衝突力の検出精度を十分に上げ られるとは限らないので、衝突していないにも関わらず、衝突として誤検出する可能 性を無くすことは困難である。

[0163] したがって、本発明のロボットの衝突検出方法では、ロボットの動作周波数が低い 時 (例えば、通常動作時)の衝突検出感度を落とすことなぐ動作周波数が減速機バ ネ成分の共振周波数に近付いた時 (例えば、溶接トーチの引き上げ動作時)の衝突 誤検出を防ぐことを目的とする。

[0164] 上記目的を達成するために、本発明のロボットの衝突検出方法は、減速機を介して モータにより駆動されるロボットにおいて、モータが前記減速機に出力するトルクから ロボットの逆動力学演算で求めた動力学トルクを差し引くことにより、衝突による外力 をセンサレスで検出し、外力の検出値が予め設定した所定の閾値より大きければァ ームが外力を受けたと判断する衝突検出方法を有し、ロボット動作の指令加速度が 予め設定した所定値より大きければ衝突検出における閾値を上げて衝突検出感度 を下げるものである。

[0165] また、本発明のロボットの衝突検出方法は、ロボット動作の指令加速度が予め設定 した所定値より大きければ衝突検出における閾値を上げ、それを所定時間保持する ものである。

[0166] 以上のように、本発明のロボットの衝突検出方法においては、ロボットの動作周波 数が低い時 (例えば、通常動作時)の衝突検出感度を落とすことなぐ動作周波数が 減速機パネ成分の共振周波数に近付いた時 (例えば、溶接トーチの引き上げ動作 時)の衝突誤検出を防ぐことができる。

[0167] また、ロボット動作の指令加速度が予め設定した所定値より大きければ前記衝突検 出における閾値を上げ、それを所定時間保持することにより、減速機パネ成分の振 動の位相遅れや振動の持続による衝突誤検出を防ぐことができる。

[0168] 以下、ロボットの衝突検出の実施の形態について説明する。

[0169] 図 13は、本実施の形態における衝突検出方法を示すブロック図であり、図 14で示 した動力学演算方式をベースに、衝突検出閾値設定ブロック(34)を追加した構成と なっている。なお、図 13において、図 14と同様の箇所については同一の符号を付し て詳細な説明を省略する。

[0170] 図 13において、衝突検出閾値設定ブロック(34)では、位置指令の速度成分 d Θ c oni (1)を微分した位置指令の加速度成分 α com (33)を入力とし、所定の加速度閾 値 a thと比較をし、以下に示す (数 11)に従って衝突検出闞値て vth (35)を衝突判 定ブロック(31)に出力する。

[0171] [数 11]

τ t h + d r .t h ( | ct c o m | > t hの時)
τ t h ( | a c o rn | .≤ t hの時) ただし、

t h :通常動作で調整した衝突検出閾値

d τ t h :減速機パネ振動に対応した閾値増分

[0172] なお、上記 τ thは通常動作を実際に行ってそれに基づいて予め求められたもので あり、 d τ thは、通常動作ではない動作を実際に行ってそれに基づい.て予め求めた れたものである。

[0173] そして、この衝突検出閾値て vth (35)を用いて、衝突判定プッロク(31)で衝突判 定をしたときの波形を図 20に示す。なお、図 20では、通常動作ではない動作の例と して、口ポットが溶接トーチの弓 Iき上げ動作を行う例を示してレ、る。

図 20に示すように、トーチ引き上げ動作を行っている時刻 0. 6〜0. 8間では、位置 指令の加速度成分 ά com (33)の絶対値が所定の加速度閾値 a th (38)を越えるの で、その間は、(数 1 1)で示したように、衝突検出閾値 τ vth (35)は、通常動作で調 整した衝突検出閾値 τ thより d τ ώ (36)分大きくなる。このことにより、 Βき刻 0. 6〜0 . 8間で、衝突トルク推定値て diso (28)に減速櫞バネの振動誤差が加わっても、そ の絶対値は衝突検出闞値 τ vth (35)を越えな V、ので、衝突誤検出は発生しな!/ヽ。

[0174] また、時刻 0. 8以後では、位置指令の加速度成分 a com (33)の絶対値が所定

差替え用紙(規則 26)

の加速度閾値 a th (38)以下になるので、衝突検出閾値て vth (35)は通常動作で 調整した衝突検出閾値て thに戻り、これにより通常動作時の衝突検出感度を落とす ことはない。

[0175] なお、上記した閾値の判定や閾値の変更は、例えば、ロボットシステムに設けられ ている CPU (Central Processing Unit)内に記憶されているプログラムにより行 われるものである。

[0176] また、上記では、位置指令の加速度成分 ex com (33)の絶対値が所定の加速度閾 値 a tM38)以下になった時点で直ぐに衝突検出閾値て vth (35)を通常動作で調 整した衝突検出閾値 τ thに戻す例を示したが、位置指令の加速度成分 ex com (33 )の絶対値が所定の加速度閾値 ex th (38)以下になった時点で直ぐに衝突検出閾値 τ vth (35)は通常動作で調整した衝突検出閾値 τ thに戻すのではなぐ図 21に示 すように所定の時刻 Td ( 37)の間衝突検出閾値 τ vth (35)の値を τ th + d τ thに 保持するようにしてもよヽ。

[0177] この例を、図 21を用いて説明する。図 21において、トーチ引き上げ動作を行ってい る時刻 0. 6〜0. 8間では、位置指令の加速度成分 a com (33)の絶対値が所定の 加速度閾値 a th (38)を越えるので、その間は、(数 6)で示したように、衝突検出閾 値 τ vth (35)は通常の場合より、 d τ th (36)分大きくなる力一度位置指令の加速 度成分 ex com (33)の絶対値が所定の加速度閾値 ex th (38)を越えて、次に下回る 時は(図では時刻 0. 8)衝突検出閾値て vth (35)の値をて th+ dて thに所定の時刻 Td (37)の間保持する。

[0178] このように、位置指令の加速度成分 a com (33)の絶対値が所定の加速度閾値 a t M38)を越えて、その後加速度閾値 a th (38)を下回った場合でも、衝突検出閾値 τ vth (35)の値を τ thにすぐに戻さず、所定の時刻 Td (37)の間衝突検出閾値 τ ν th (35)の値を τ th+ d τ thに保持することで、減速機パネ成分による振動の位相遅 れゃ振動の持続が生じる場合でも、衝突誤検出を防ぐことができる。

[0179] なお、上記した所定の時刻 Td ( 37)の間衝突検出閾値 τ vth ( 35)の値を τ th + d

τ thに保持する処理は、例えば、ロボットシステムに設けられている CPU (Central Processing Unit)内に記憶されているプログラムにより行われるものである。

[0180] また、本実施の形態では、動力学演算方式をベースに説明したが、図 18で示す外 乱推定オブザーバ方式にも同様の手法を用いることが出来ることは言うまでもな、。

[0181] 以上のように、通常動作に対して加速度成分が大きくなる溶接トーチの引き上げ動 作等を行う場合には、通常動作で調整した衝突検出閾値よりも閾値を大きくすること で衝突誤検出を防ぐことができ、加速度成分が通常動作の状態に戻った場合には衝 突検出閾値を通常動作で調整した衝突検出閾値に戻すことで通常動作時の衝突検 出感度を低下させることなく衝突検出を行うことができる。

本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。

[0182] 本出願は、 2004年 10月 21日出願の日本特許出願 2004-306672および 2004年 10月 21日出願の日本特許出願 2004-206673に基づくものであり、その内容はここに参照と して取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0183] 本発明の消耗電極式溶接方法は、従来の消耗電極式溶接方法が有していたァー ク発生シーケンスの無駄時間を削減してタクトタイムを短縮すると共に、溶接始端部 でのワイヤ挫屈ゃスパッタの発生を防止し、アークスタートの不良に起因する生産ラ インの停止を効果的に削減することができるので、例えば生産設備や建設用途など に用いられる消耗電極式溶接方法として産業上有用である。

[0184] さらに、前述のロボットの衝突検出方法を採用することで、ロボットの動作周波数が 低い時の衝突検出感度を落とすことなぐ動作周波数が減速機パネ成分の共振周波 数に近付いた時の衝突誤検出を防ぐことができるので、溶接用途におけるアークスタ ート時のトーチ引き上げ動作や、トーチを振動させるウィービング動作等の多少振動 が発生し軌跡精度が多少劣化しても速応性が求められる条件でも衝突誤検出を防ぐ ことが可能となる。