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1. (WO2006043407) 非強磁性物質成形体の製造方法、及び非強磁性物質成形体
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明 細書

非強磁性物質成形体の製造方法、及び非強磁性物質成形体

技術分野

[0001] 本発明は非強磁性物質成形体の製造方法に関し、より詳しくは結晶軸方位の配向 性が制御された磁化率に異方性を有する非強磁性物質成形体の製造方法、及び非 強磁性物質成形体に関する。

背景技術

[0002] 電子部品の素材に広く使用されているセラミック材料は、結晶軸方位の配向性が電 子部品の諸特性向上に寄与することが知られており、近年、結晶軸方位の配向性制 御に関する研究 ·開発が盛んに行われている。特に、圧電部品の分野では、従来より チタン酸ジノレコン酸鉛 (PZT)等の鉛系圧電セラミック材料が使用されてレ、るが、環境 面への配慮から鉛を含有しない非鉛系圧電セラミック材料の開発が求められており、 結晶軸の配向性を制御することにより、電気機械結合係数等の圧電特性が改善でき れば鉛系圧電セラミック材料の代替品として有望である。

[0003] そして、従来より、セラミック原料粉末としてビスマス層状化合物を 90重量%以上含 む粉末に溶媒を添加したスラリーを作製し、該スラリーに対して一方向に 1T (テスラ) 以上の磁場を印加して前記ビスマス層状化合物粉末を c面と垂直な結晶面に配向さ せつつ前記スラリーを固化した後、焼成するようにしたビスマス層状化合物焼結体の 製造方法が既に提案されている (特許文献 1)。

[0004] 特許文献 1では、ビスマス層状化合物が磁化率に異方性を有する非強磁性物質で あることに着目し、一方向に磁場を印加しながらスラリーに成形処理を施すことによつ て磁化率の大きな結晶軸を磁場方向に配向させ、これにより煩雑な製造工程を要す ることなく容易に成形体を得ることが可能となる。

[0005] 特許文献 1の製造方法は、従来の所謂シート工法に比べ、成形体の厚みの自由度 も大きぐまた、磁化率に異方性を有する非強磁性物質であれば結晶配向させること ができるため、多くの物質にも応用できると考えられる。

[0006] また、他の従来技術としては、非磁性セラミック粒子を含有したセラミックスラリーを ベースフィルム上に塗工して所定厚さの未配向シートを作製し、この未配向シートを ベースフィルム上で支持した状態のまま磁場印加装置に送り込んで所定方向の磁場 を印加し未配向シート内の非磁性セラミック粒子を磁場の方向に配向させて配向処 理シートを作製し、この配向処理シート内の少なくとも一部の非磁性セラミック粒子の 配向を固定して配向固定シートを得るようにした圧電セラミック部品の製造方法が提 案されている(特許文献 2)。

[0007] この特許文献 2には、図 7に示すように、未配向のセラミックグリーンシート 101をべ 一スフイルム 102で支持された状態で矢印 a方向に間欠走行させ、第 1の磁場印加 領域 103で前記セラミックグリーンシート 101に所定方向の磁場を印加すると共に、 第 1の磁場印加領域 103の終端近傍で透光部 104aが貫設されたマスク 104を介し て上方から紫外線を照射し、これによりマトリックス状の第 1の配向固定部 105を形成 した後、第 2の磁場印加領域 106で前記第 1の磁場印加領域 103の印加方向とは異 なる方向に磁場を印加し、さらに第 2の磁場印加領域 106の終端近傍 107で上方か ら紫外線を照射して前記配向固定部 105以外の部分の配向を固定し、第 2の配向固 定部 108を得る方法が開示されている。

[0008] さらに、その他の従来技術としては、等軸晶ではない結晶構造をもつ非強磁性体 粉末を溶媒に分散し、そのスラリーを磁場中で固化成形した後に焼結するようにした 配向性セラミック焼結体の製造方法が提案されている(特許文献 3)。

[0009] この特許文献 3では、アルミナセラミック焼結体等の非強磁性体物質であっても、ス ラリーを磁場中で固化させることにより、配向性を制御できる旨が開示されている。

[0010] 特許文献 1 :特開 2002— 121069号公報

特許文献 2:特開 2004— 6704号公報

特許文献 3 :特開 2002— 193672号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0011] し力ながら、特許文献 1では、磁化率が最も大きな結晶軸方位を配向させることが できるものの、その他の結晶軸方位を配向させることができず、例えばビスマス層状 化合物のように a軸と b軸との磁化率が略同等で c軸の磁化率は a軸及び b軸の磁化 率よりも低い場合は、 C軸に配向性を付与することができないため、 C軸の配向が求め られる用途には使用することができなかった。

[0012] すなわち、特許文献 1では、 a軸又は b軸には配向性を付与することができるものの 、 c軸は任意の方向に向いて一定の方向に揃えることができず、したがって、特許文 献 1からは、このように c軸の配向が求められる用途には使用することができな力つた

[0013] また、特許文献 2は、上述したようにセラミックグリーンシート 101に対し第 1及び第 2 の磁場印加領域 103、 106で互いに異なる方向から 2回の磁場印加を行っているが 、この方法は、磁化率の大きな結晶軸(ビスマス層状化合物でいえば a軸及び b軸)に ついて、第 1の配向固定部 105では例えば鉛直方向に配向し、第 2の配向固定部 1 08では例えば水平方向に配向させたものであり、 a軸及び b軸よりも磁化率の小さい c軸を磁場方向に配向させておらず、 c軸を一定方向に配向することは意図してレ、な い。

[0014] また、特許文献 3は、任意の方向からの磁場の印加によって、任意の配向方向を選 択することが可能ではある力磁場の印加が 1回のものしか開示されておらず、した 力 Sつて選択された特定の結晶軸のみの配向を意図したものと考えられる。

[0015] 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、磁場に対する磁化率が実質 的に最大の結晶軸のみならず、その他の結晶軸にも配向性を付与することができる 非強磁性物質成形体の製造方法、及び非強磁性物質成形体を提供することを目的 とする。

課題を解決するための手段

[0016] 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究したところ、セラミックスラリー に所定方向力磁場を印加して磁化率が最大の結晶軸に配向性を付与し、その配 向性を維持した状態で前記所定方向に対し略垂直な方向から再度磁場を印加する ことにより、磁場に対する磁化率が実質的に最大である結晶軸以外の結晶軸にも配 向性を付与することができるという知見を得た。

[0017] 本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る非強磁性物 質成形体の製造方法は、磁化率に異方性を有する非強磁性材料を含むスラリーに

磁場を印加しながら成形処理を施して成形体を形成する非強磁性物質成形体の製 造方法であって、前記非強磁性材料を主成分としたスラリーを作製するスラリー作製 工程と、前記スラリーに対し第 1の方向に磁場を印加し、磁場に対する結晶軸の磁化 率が実質的に最大である第 1の結晶軸に配向性を付与する第 1の配向性付与工程と 、前記第 1の結晶軸の配向性を維持した状態で前記第 1の方向に対し略垂直な第 2 の方向に磁場を印加し、前記第 1の結晶軸以外の結晶軸に配向性を付与する第 2の 配向性付与工程と、前記第 1及び第 2の配向性付与工程で付与された各結晶軸の 配向性を固定する配向性固定工程とを含むことを特徴としている。

[0018] 尚、「磁場に対する磁化率が実質的に最大の結晶軸」とは、例えば、真の磁化率が 最大の結晶軸よりも、磁化率が低ぐ正確には磁化率が最大でないとしても、磁場に 対する挙動においては、真の磁化率が最大の結晶軸と区別できないような結晶軸を いう。

[0019] また、本発明者らが更に鋭意研究を行ったところ、上述した第 1の配向性付与工程 と前記第 2の配向性付与工程とを時間的に間隔を設けることなく連続的に行った場 合は、時間的に間隔を設けて行った場合に比べ、第 1の結晶軸以外の結晶軸の配 向性を向上させることのできることが分かった。

[0020] すなわち、本発明の非強磁性物質成形体の製造方法は、前記第 1の配向性付与 工程と前記第 2の配向性付与工程とを連続的に行うことを特徴としている。

[0021] さらに、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、スラリーの粘性率を 30〜200mPa ' sに制御することにより、磁場に対する磁化率が実質的に最大となる結晶軸以外の結 晶軸の配向性を効果的に向上させ得ることが分かった。

[0022] そこで、本発明の非強磁性物質成形体の製造方法は、前記スラリー作製工程で作 製されたスラリーの粘性率力 30〜200mPa ' sであることを特徴としている。

[0023] また、本発明は、結晶軸の a軸及び b軸と、 c軸との磁化率の差が大きいビスマス層 状化合物において特に顕著な作用効果を奏することができる。

[0024] そこで、本発明の非強磁性物質成形体の製造方法は、前記非強磁性材料が、ビス マス層状化合物を主成分としたセラミック材料であることを特徴としている。

[0025] また、本発明の非強磁性物質成形体の製造方法を用いることによって、本発明の 非強磁性物質成形体が得られる。すなわち、本発明の非強磁性物質成形体は、磁 化率に異方性を有する非強磁性材料を含むスラリーに、磁場を印加しながら成形処 理を施して得られる非強磁性物質成形体であって、磁場に対する結晶軸の磁化率が 実質的に最大である第 1の結晶軸以外の結晶軸に配向性が付与されていることを特 徴としている。

[0026] また、本発明は、結晶軸の a軸及び b軸と、 c軸との磁化率の差が大きいビスマス層 状化合物において特に顕著な作用効果を奏することができる。そこで、本発明の非 強磁性物質成形体は、非強磁性材料がビスマス層状化合物を主成分とするセラミツ ク材料であり、第 1の結晶軸以外の結晶軸が c軸であることを特徴としている。

発明の効果

[0027] 本発明の非強磁性物質成形体の製造方法によれば、磁化率に異方性を有する非 強磁性材料を主成分としたスラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーに対 し第 1の方向に磁場を印加し、磁場に対する結晶軸の磁化率が実質的に最大である 第 1の結晶軸に配向性を付与する第 1の配向性付与工程と、前記第 1の結晶軸の配 向性を維持した状態で前記第 1の方向に対し略垂直な第 2の方向に磁場を印加し、 前記第 1の結晶軸以外の結晶軸に配向性を付与する第 2の配向性付与工程と、前 記第 1及び第 2の配向性付与工程で付与された各結晶軸の配向性を固定する配向 性固定工程とを含むので、磁場に対する磁化率が実質的に最大である第 1の結晶軸 のみならず、その他の結晶軸も配向固定することができ、したがって、第 1の方向へ の配向状態を維持したまま更に高次の配向性が付与されることとなり、電気特性が良 好で厚みの厚いブロック状の電子部品用成形体を容易に製造することができる。

[0028] また、前記第 1の配向性付与工程と前記第 2の配向性付与工程とを連続的に行う ので、特に第 1の結晶軸以外の結晶軸の配向性をより一層向上させることが可能とな る。

[0029] また、前記スラリー作製工程で作製されたスラリーの粘性率力 30〜200mPa ' sで あるので、磁場に対する磁化率が実質的に最大となる結晶軸のみならず、その他の 結晶軸の配向性をも良好なものとすることができる。

[0030] 本発明の製造方法は、前記非強磁性材料がビスマス層状化合物を主成分とするセ ラミック材料であるので、磁化率が略同等の a軸及び b軸だけではなく結晶軸の最も 小さい c軸にまで結晶軸に配向性が付与することができ、圧電セラミック材料に鉛を 含んでいなくとも、圧電特性に優れた各種圧電部品の実現が可能となる。

[0031] また、本発明の非強磁性物質成形体は、磁化率に異方性を有する非強磁性材料 を含むスラリーに、磁場を印加しながら成形処理を施して得られる非強磁性物質成 形体であっても、磁場に対する結晶軸の磁化率が実質的に最大である第 1の結晶軸 に配向性が付与されるだけでなぐ第 1の結晶軸以外の結晶軸にも配向性が付与さ れているため、第 1の結晶軸以外の結晶軸での配向性が必要となる用途において有 用に用いることができる。

[0032] また、本発明の非強磁性物質成形体は、前記非強磁性材料がビスマス層状化合 物を主成分とするセラミック材料であって、磁化率が略同等の a軸及び b軸だけでは なぐ磁化率が最も小さい c軸にまで配向性を付与されている。ビスマス層状化合物 の結晶軸中で最も長軸である c軸の配向性が高い非強磁性物質成形体が得られ、 電界印加時の圧電特性に優れた各種圧電部品が得られる。

図面の簡単な説明

[0033] [図 1]本発明に係る非強磁性物質成形体の製造方法の一実施の形態を示す製造ェ 程図である。

[図 2]上記実施の形態で使用される超伝導磁石の概略を示す斜視図である。

[図 3]上記実施の形態で使用される泥漿錡込み装置の概略を示す図である。

[図 4]本実施例で製造されたセラミック焼結体の斜視図である。

[図 5]図 4のセラミック焼結体を切り出して得られた圧電セラミック素体の斜視図である

[図 6]実施例で得られた圧電部品の外観を示す斜視図である。

[図 7]特許文献 2で開示された圧電セラミック部品の製造方法を説明するためのセラミ ックグリーンシートの平面図である。

符号の説明

[0034] 1 スラリー作製工程

2 第 1の配向性付与工程

3 第 2の配向性付与工程

4 配向性固定工程

10 スラリー

発明を実施するための最良の形態

[0035] 次に、本発明の実施の形態を詳説する。

[0036] 図 1は本発明に係る非強磁性物質の製造方法を示す製造工程図である。

[0037] スラリー作製工程 1では、磁化率に異方性を有する非強磁性材料を主成分としたス ラリーを作製する。

[0038] 「磁化率に異方性を有する非強磁性材料」としては、具体的には、 CaBi 4 Ti 4〇 15、 B aBi 4 Ti 4 O 15、 BaBi 2 Ta 2 O 9、 BaBi 2 Nb 2〇 9等のビスマス層状化合物、 Sr 1.9 Ca 0.1 NaNb

5 〇 15、 SrNb 2〇 6、 BaNb 2〇 6等のタングステンブロンズ型化合物、 Ho 2 Ti 2〇 7、 Dy 2 Ti 2

7等のパイクロア化合物、 ZnO等のセラミック材料が電子部品向け用途としては実 用的ではあり、特に、結晶の異方性が極めて大きいビスマス層状化合物が好適に使 用されるが、金属間化合物、高分子材料も使用することができる。

[0039] 次に、非強磁性材料のスラリー作製方法を具体的に説明する。

[0040] まず、出発原料として、 CaCO 3、 BaCO 3、 Bi 2〇 3、 Nb 2 O 5、 Ta 2〇 5、 TiO 2等の素原 料を用意する。

[0041] 次に、これら出発原料を所定量枰量し、さらに必要に応じて所望の添加物を枰量し 、該秤量物を部分安定化ジルコユア(PSZ)等の粉砕媒体が内有されたボールミル に投入して十分に湿式で混合粉砕し、次いで乾燥処理を施した後、所定時間仮焼 処理を施し、得られた仮焼物を解砕して仮焼粉末を作製する。

[0042] 次レ、で、この仮焼粉末を再度ボールミルに投入して十分に湿式粉碎し、非強磁性 物質を主成分とする原料粉末を作製する。そして、この原料粉末に適量の分散剤、 水、及び有機バインダを混合してスラリーを作製する。

[0043] ここで、スラリーの粘性率は、上記原料粉末と水との配合比率を調整することにより 、 30〜200mPa ' sに制御される。

[0044] すなわち、スラリーの粘性率が 30mPa ' s未満になると、スラリーの流動性が増加し 、後述する第 1の配向性付与工程で付与された配向性を維持することが困難となり、

配向性の低下を招くおそれがある。一方、スラリーの粘性率が 200mPa ' sを超えた 場合は、スラリーの粘性が高くなるため、磁化率の大小に関わらず結晶軸を配向させ ることが困難となり、この場合も配向性の低下を招くおそれがある。

[0045] そこで、本実施の形態では、スラリーの粘性率が、 30〜200mPa . s、好ましくは 60 〜 11 OmPa · sとなるように制御されてレ、る。

[0046] 次に、第 1の配向性付与工程 2では、泥漿錡込み装置 (成形装置)内に収容された 前記スラリーに対し水平方向に第 1回目の磁場を印加し、磁場に対する磁化率が実 質的に最大である第 1の結晶軸を前記磁場の印加方向に配向させる。

[0047] すなわち、まず、図 2に示すような超伝導磁石を用意する。

[0048] この超伝導磁石 5は空洞部 6を有する円筒形状に形成されており、コイル 7が螺旋 状に坦設されている。そして、該超伝導磁石 5に電圧を印加して通電すると矢印 X方 向(長手方向)に磁場が発生するようになっている。尚、本実施の形態では超伝導磁 石 5を使用したが通常の電磁石を使用することもできる。

[0049] 次に、泥漿铸込み装置を空洞部 6内に配し、磁場中で成形処理を行う。

[0050] 図 3は泥漿铸込み装置の模式図であって、図中、 8は铸型、 9は多孔質吸収板であ る。

[0051] すなわち、泥漿铸込み装置を超伝導磁石 5の空洞部 6に配し、該超伝導磁石 5に 通電して矢印 X方向に磁場を発生させ、この状態で铸型 8の上方に設けられた孔 (不 図示)からスラリー 10を流し込み、該スラリー 10を多孔質吸収板 9に吸収させて成形 処理を施す。

[0052] このとき、スラリー 10には矢印 X方向に磁場が印加されているため、スラリーの結晶 粒子は、磁化率が実質的に最大である第 1の結晶軸が磁場の印加方向に配向し、そ の他の結晶軸はランダムに任意の方向に向く。

[0053] 例えば、結晶軸の磁化率が a軸 >b軸 > c軸である場合、矢印 X方向に磁場が印加 され磁場が発生すると、 a軸の磁化率が b軸や c軸の磁化率に比べて大きいため、 a 軸が第 1の結晶軸となって磁場の印加方向である矢印 X方向に配向する。このとき b 軸と c軸は矢印 X方向に対し垂直な面内でランダムに任意の方向を向く。

[0054] 次に、第 2の配向性付与工程 3では、まず、スラリー 10に振動を与えないようにして 泥漿錡込み装置を水平方向に 90° 回転させる。そして、この状態で再度超伝導磁 石 5に通電して第 2回目の磁場印加を行レ、、矢印 X方向に磁場を発生させる。これに よりスラリー 10は第 1の配向性付与工程 2における印加方向とは垂直な方向に印加さ れることとなり、し力も第 1回目の配向性が維持されているので磁化率が最大である 第 1の結晶軸以外の結晶軸が配向する。

[0055] すなわち、先の例でいえば、第 1の配向性付与工程 2で配向性が付与された &軸( 第 1の結晶軸)は、第 2回目の磁場の印加方向とは垂直な方向を向いた状態で配向 性が維持されると共に、 b軸は c軸よりも磁化率が大きいため b軸が矢印 X方向に配向 する。そしてその結果、 c軸は第 1回目及び第 2回目の印加方向に垂直な第 3の方向 に配向される。

[0056] 次レ、で、配向性固定工程 4ではスラリーを所定時間乾燥させ、これにより非強磁性 成形体が製造される。

[0057] このようにスラリー作製工程 1で作製されたスラリーを印加方向が互いに垂直となる ように 2回の磁場を発生させ、磁場中で成形処理を行なうことにより、磁化率が最大で ある第 1の結晶軸以外の結晶軸に対しても配向性を付与することができ、これにより 磁場に対する磁化率が実質的に最大である結晶軸以外の結晶軸にも配向性が付与 された非強磁性物質成形体を製造することができる。

[0058] 尚、本実施の形態では第 2の配向性付与工程 3と配向性固定工程 4とを別々に行 なっているが、第 2の配向性付与工程 3において、第 2回目の磁場を印加しながら、 乾燥を開始してもよぐ第 2の配向性付与工程 3と配向性固定工程 4とを同時に行つ てもよい。

[0059] また、本実施の形態では、泥漿铸込み装置を回転させるだけで、スラリー 10に対して 互いに垂直方向となるように磁場を印加しており、したがって 1個の超伝導磁石 5で 異なる方向から 2回の磁場を印加することができる。

[0060] そして、各結晶軸が配向制御されたセラミック成形体を使用して圧電部品を形成す ること力 Sでき、したがってシート工法に依らなくとも厚みの厚いブロック状のセラミック 成形体を容易に製造することができ、鉛を含まない非鉛系であっても圧電特性の良 好な圧電部品を得ることが可能となる。

[0061] 尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなぐまた、良好な配向性を得 るためには印加される磁場の大きさは 1T以上が好ましい。

[0062] また、上記実施の形態では、結晶軸の磁化率が a軸 >b軸 > c軸の場合を例に述べ たが、ビスマス層状化合物などの場合、磁化率が a軸軸 > c軸のような関係が成り 立つ。この場合、第 1の配向性付与工程 2では、磁化率の最小の結晶軸(c軸)を除く 結晶軸のうち、一方の結晶軸(a軸又は b軸)に配向性が付与される。次いで、第 2の 配向性付与工程 3では、第 1の配向性付与工程 2において a軸が配向されたものに 対しては b軸、 b軸が配向されたものに対しては a軸がそれぞれ配向される。すなわち 、 a軸又は b軸が第 1及び第 2配向性付与工程 2、 3でいづれかの磁場印加方向に配 向される結果、磁化率が最小である c軸も必然的に配向することになる。

[0063] また、上記実施の形態では、第 1の配向性付与工程 1と第 2の配向性付与工程 2と を時間的間隔を設けずに連続的に行ってレ、るが、第 2の配向性付与工程 2との間に 一定の時間的間隔を設けるようにしてもよい。すなわち、第 1の配向性付与工程 1と 第 2の配向性付与工程 2との間に時間的間隔を設けた場合は、第 1の配向性付与ェ 程 1と第 2の配向性付与工程 2とを連続的に行った場合に比べ、配向性は若干低下 するものの、各結晶軸の配向性を確保することが可能である。

[0064] ただし、第 1の配向性付与工程 2と第 2の配向性付与工程 3との間で配向が固定さ れてしまうと磁化率の高い結晶軸以外の配向も、ランダムなまま固定されてしまうため 、配向性が固定されてしまうようなことは極力行わないことが望ましい。

[0065] また、上記実施の形態では、磁場印加は第 1回目と第 2回目とは XY平面上で互い に垂直となる方向に印加したが、 XZ面上での互いに垂直となる方向に印加してもよ ぐまた真に垂直でなくとも略垂直な方向に磁場が発生するように印加すればよい。

[0066] また、結晶軸の配向固定の方法としては上述した乾燥処理に限定されるものでは なぐ紫外線照射等で配向固定するようにしてもよい。

[0067] 上記のような非強磁性物質成形体の製造方法を用いることによって、磁化率に異 方性を有する非強磁性材料を含むスラリーに、磁場を印加しながら成形処理を施し て得られる非強磁性物質成形体であっても、磁場に対する結晶軸の磁化率が実質 的に最大である第 1の結晶軸以外の結晶軸に配向性が付与されている非強磁性物

質成形体を得ることができる。特に、非強磁性材料がビスマス層状化合物を主成分と する場合には、磁化率が最も小さい c軸へも配向性を付与された非強磁性物質成形 体が得られる。ビスマス層状化合物において、 c軸は結晶軸中で最も長軸であるため 、用途によっては電界印加時の圧電特性及び変位量の大きな圧電部品を提供する こと力 Sできる。

[0068] 尚、上記において非強磁性物質材料としてセラミック材料を用レ、、本発明の非強磁 性物質成形体を圧電部品等の部品本体に使用する場合には、上記配向性固定ェ 程を経て固化されたセラミック成形体を焼成し、セラミック焼結体を得てから、圧電部 品本体として用いることが一般的であるが、例えば高分子材料などを用いる場合には 、非強磁性物質成形体のままで利用することも可能である。

[0069] このような非強磁性物質成形体を電子部品用途として用いる場合には、例えば、半 導体保護膜、プリント基板、及び電磁遮蔽材等として用いることが有用であるが、これ に限るものではない。

[0070] 次に、本発明の実施例を具体的に説明する。

実施例

[0071] 磁化率に異方性を有する非強磁性物質として a軸及び b軸の磁化率が同等に高ぐ c軸の磁化率が a軸及び b軸の磁化率に比べて低いビスマス層状化合物を使用し、 結晶の配向性効果を確認した。

[0072] すなわち、まず、出発原料として CaCO 3、 Bi 2 O 3、 Ti〇 2、及び MnCO 3を用意し、 0

. 5重量%の MnCO 3を含有した組成式 CaBi 4 Ti 4 O 15で表されるビスマス層状化合物 が得られるように、前記出発原料を秤量した。

[0073] 次いで、この秤量物を PSZが内有されたボールミルに投入して約 16時間湿式で混 合し、得られた混合物を乾燥させた後、 1200°Cの温度で 2時間仮焼処理を施し、さ らに回転式粉砕機を使用し、乾式で 1分間解砕処理を施し、仮焼粉末を得た。

[0074] 次に、この仮焼粉末を再度上記ボールミルに投入して約 100時間湿式粉砕処理を 施して原料粉末を得、さらに表 1に示すような配合量となるように原料粉末に水及び 有機バインダ (酢酸ビニル樹脂)を混合し、 6種類のセラミックスラリーを作製した (スラ リー A〜F)。

[0075] 次に、各スラリー A〜Fの粘性率を振動式粘度測定器で測定した。

[0076] 表 1は原料粉末、水、有機バインダの各スラリー中の含有量と粘性率を示している。

[0077] [表 1]


[0078] この表 1に示すように、本実施例では原料粉末と水との配合比率を異ならせることに より、粘性率が 15〜240mPa · sの範囲に調製された 6種類のスラリー A〜Fを得た。

[0079] 次に、これらスラリー A〜Fに 0. 5重量%の分散剤としてのアクリル酸塩を添カ卩し、さ らに原料粉末を十分に分散させるため撹拌棒で分散させながら 5分間超音波振動を 付与し、撹拌した。

[0080] そして、このようにして得られたスラリー A〜Fを図 3に示す泥漿錡込み装置の铸型 に流し込み、上述した図 2に示す超伝導磁石 5の空洞部 6に前記泥漿錡込み装置を 配し、下記(1)〜(5)に示す磁場印加方法で磁場を印加しながら、成形処理を行な つた。

[0081] 〔磁場印加方法〕

[0082] (1)第 1回目の磁場印加として 12Tの磁場を水平方向に 15分間印加した後、試料( スラリー)に振動を与えないようにして泥漿錡込み装置を水平方向に 90° 回転させ、 第 2回目の磁場印加として 12Tの磁場を水平方向に 4時間印加した。尚、第 2回目の 磁場は、第 1回目の磁場の印加方向に対し垂直な方向に印加されることとなる。

[0083] (2)第 1回目の磁場印加として 12Tの磁場を水平方向に 15分間印加した後、泥漿铸 込み装置を超伝導磁石 5より取り出して 1分間放置し、その後、第 1回目の磁場印加

時と水平方向に 90° 回転させた状態となるように泥漿錡込み装置を超伝導磁石 5の 空洞部 6に配し、第 2回目の磁場印加として 12Tの磁場を水平方向に 4時間印加し た。尚、この場合も、上記(1)と同様、第 2回目の磁場は、第 1回目の磁場の印加方 向に対し垂直な方向に印加されることとなる。

[0084] (3)第 1回目の磁場印加として 12Tの磁場を水平方向に 4時間印加した後、泥漿铸 込み装置を超伝導磁石 5より取り出し、 5分間超音波振動を付与して試料を撹拌し、 その後、第 1回目の磁場印加時と水平方向に 90° 回転させた状態となるように泥漿 铸込み装置を超伝導磁石 5の空洞部 6に配し、第 2回目の磁場印加として 12Tの磁 場を水平方向に 4時間印加した。尚、この場合も、上記(1)と同様、第 2回目の磁場 は、第 1回目の磁場の印加方向に対し垂直な方向に印加されることとなる。

[0085] (4) 12Tの磁場を水平方向に 4時間印加したのみで、第 2回目の磁場印加は行わな かった。

[0086] (5)磁場印加を行うことなく泥漿铸込み成形を行った。

[0087] 次に、上記(1)〜(5)の成形処理を行なったスラリーを 150°Cで 12時間乾燥させて 型抜きし、幅 W力 ¾Omm、長さ Hが 35mm、厚み Tが 5mmの外形寸法を有する試料 番号:!〜 18のセラミック成形体を作製した。

[0088] 次に、このようにして得られたセラミック成形体を 500°Cの温度で 2時間熱処理して 有機バインダを除去し、次いで、 1200°Cの温度で 2時間、大気中で焼成処理を施し

、幅 Wが 34mm、長さ Hが 29mm、厚み Tが 4. 2mmの外形寸法を有する試料番号

1〜 18のセラミック焼結体を得た。

[0089] 図 4はセラミック焼結体の外観を示しており、 Pは第 1回目の磁場印加方向、 Qは第

2回目の磁場印加方向を示している。

[0090] 次に、面 A (W X Hの面)、面 B (W X Tの面)、面 C (H XTの面)について、 X線回 折法(線源 CuK α、 40kV、 200mA)を使用して回折角 20° 〜80° の X線ピーク強 度を測定した。比較のためセラミック成形体を粉砕して得た比較用粉末試料の各結 晶面の X線ピーク強度も測定した。

[0091] 次に、 Lotgering法により数式(1)に基づいて a軸と b軸の配向を示す(100)面と(010

)面の配向度 F1と c軸の配向を示す(001)面の配向度 F2を面 A〜Cのそれぞれにつ

いて算出した。

[0092] ほ女 1]

∑I(HKL ) _∑Io(HKL )

配向度 Fn (n = 1又は 2) = x 100 … (1)

∑lo(hkl)

[0093] ここで、∑ I (HKL)はセラミック焼結体における特定の結晶面(HKL)の X線ピーク 強度の総和であり、∑ I (hkl)はセラミック焼結体の全結晶面 (hkl)の X線ピーク強度 の総和である。また、∑Io (HKL)は上記比較用粉末試料の特定の結晶面(HKL) の X線ピーク強度の総和であり、∑ Io (hkl)は上記比較用粉末試料の全結晶面 (hkl )の X線ピーク強度の総和である。

[0094] 次に、試料番号 1〜: 18の各試料について、図 5に示すように、両主面が面 Bに平行 で、かつ長さ方向が面 Cと直交する幅力 Slmm、長さ W' 力 S5mm、厚み H' が 0 . 25mmの矩形板状の圧電セラミック素体 20を切り出した。

[0095] 次いで、この圧電セラミック素体 20の両端面(Η' XT' )に銀ペーストを塗布、焼 付けして導電部を形成し、 150°Cの絶縁オイル中で 5kV/mmの直流電圧を 10分 間印加して分極処理を施した。次に、導電部の所定領域を除去し、図 6に示すように 圧電セラミック素体 20の幅方向(Τ' )の一端からの距離 Lが 4mmとなるように電極 2 la、 21bを形成した。尚、電極 21a、 21bは、長さ方向の中央部の 3mmの範囲で対 向している。

[0096] 次に、インピーダンスアナライザ(ヒューレット 'パッカード社製 HP4194A)を使用し、 ANSI/IEEEスタンダードに基づき、厚みすベり振動の電気機械結合係数 k 15を測 定した。

[0097] 表 2は試料番号 1〜: 18のスラリー No.、磁場印加方法、面 A〜面 Cの結晶面(100) 及び(010)、(001)におけるそれぞれの配向度 F1、F2及び電気機械結合係数 k を

示している。

[0098] 尚、配向度は、無配向の場合を 0%、全ての結晶粒子が配向している場合を 100

%として規格化した値を示してレ、る。

[0099] [表 2]


*は本発明範囲外

[0100] 表 2に示すように試料番号 1、 2は、磁場を印加していないため、結晶粒子はランダ ムに配向しており、面 A〜面 Cの、(100)面及び(010)面、(001)面における各配向度 Fl、 F2は 6〜: 12%と低ぐ電気機械結合係数 k も 13. 4-13. 5%と低かった。

[0101] また、試料番号 3、 4は、面 Bに対し水平方向(矢印 P方向)から磁場を印加している ため、面 Bでは磁化率の大きな a軸及び b軸の配向度、すなわち(100)面、(010)面の 配向度 F1は 71〜78%と高ぐ配向性が付与されているが、面 A及び面 Cでは各結 晶軸の配向度は 6〜: 16%と低く結晶軸はランダムに任意の方向を向いており、電気 機械結合係数 k 15も 12.:!〜 12. 4%と低かった。

[0102] また、試料番号 17、 18は、面 Cの(100)面、(010)面での配向度 F1のみが 67〜76 %と高ぐ面 Cでの a軸配向は認められたものの、面 A、面 Bでは結晶軸はランダムに 任意の方向に向いているため、これらに面 A、面 Bでの配向度は 7〜14。/0と低ぐこ のため電気機械結合係数 k 15も 14. 9〜15. 3%と低かった。これは試料番号 17、 18 では、 2回の磁場印加は行っているものの、第 1回目の磁場印加を行った後、超音波 振動を付与してスラリーを撹拌したため、第 1回目の磁場印加による配向効果が取り 除かれ、し力も面 Cに対して水平方向(矢印 Q方向)に第 2回目の磁場印加を行って いるため、面 Cに対しては磁化率の高い a軸及び b軸、すなわち(100)面及び(010) 面のみが配向したためと考えられる。

[0103] これに対し試料番号 5〜16は、矢印 P方向に磁場印加した後、矢印 P方向とは垂直 な矢印 Q方向に磁場を印加しているので、面 B及び面 Cでは(100)面及び(010)面の 配向度 F1が 35〜71%と高く a軸に配向性が付与され、さらに面 Aでは(001)面の配 向度 F2が 50〜67%となって c軸に配向性が付与され、したがっていずれの結晶軸 にも配向性が付与され、電気機械結合係数 k 15も 20. 0〜23. 0%と向上することが分 かった。

[0104] 尚、試料番号 11〜: 15のように第 1回目の磁場印加と第 2回目の磁場印加との間に

1分間の時間的間隔を設けた場合は面 Aにおける c軸の配向度が 50〜55%であつ たのに対し、試料番号 5〜: 10のように第 1回目の磁場印加と第 2回目の磁場印加とを 時間的間隔を設けずに連続的に行った場合は面 Aにおける c軸の配向度が 57〜63 %と高ぐこれらの結果から、第 1回目の磁場印加と第 2回目の磁場印加とを時間的 間隔を設けずに連続的に行った方が場合に比べ、面 Aにおける(001)面の配向度 F 2を高くすることができ、より良好な電気機械結合係数 k 15を得ることのできることが分 かった。

[0105] また、試料番号 5〜: 10、及び試料番号 11〜: 16との比較からわかるように磁場印加 方法が同一の場合は、セラミックスラリーの粘性率が 30〜200mPa'sで面 Aの c軸の 配向度が高くなつており、特に 60〜: llOmPa'sで c軸の配向度はより高くなることが 確認された。