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1. (WO2006041225) カイコでの組換えタンパク質製造のためのポリヌクレオチド
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明細書

カイコでの組換えタンパク質製造のためのポリヌクレオチド

技術分野

この発明は、カイコでの組換えタンパク質製造のためのポリヌクレオチドに関 するものである。さらに詳しくは、この発明は、カイコによる有用組換えタンパ ク質の大量生産のために有用なポリヌクレオチド、そのポリヌクレオチドを含む ベクター、および、そのべクタ一を用いて作製されたトランスジエニックカイコ、 並びに、その卜ランスジエニックカイコが作つた繭から有用組換えタンパク質を 抽出する組換えタンパク質の製造方法に関するものである。

背景技術

カイコは蛹になる直前に繭を作る。この繭の主成分は絹タンパク質であり、一 つの繭あたり 0.3〜0.5g もの絹タンパク質が含まれている。絹タンパク質は、 約 70 %がフィブロイン、残りの約 30 %がセリシンと呼ばれるタンパク質により 構成されている。これら絹タンパク質は絹糸腺で合成される。絹糸腺は後部絹糸 腺、中部絹糸腺および前部絹糸腺より構成され、後部絹糸腺ではフイブ口インが、 中部絹糸腺ではセリシンがそれぞれ特異的に合成 ·分泌される。後部絹糸腺から 分泌されたフィプロインは、絹糸腺の蠕動運動によって徐々に中部絹糸腺へと送 られ、そこで分泌されたセリシンによって周りが被覆され、さらに前部絹糸腺へ と送られ絹糸として吐糸される。従って、吐糸された絹糸において、フイブロイ ンは糸の中心に、セリシンは、フイブ口インの周りを取り巻くように存在する。 セリシンは、糊の役目をしているタンパク質であり、吐糸された絹糸どうしを接 着させる機能をもっている。フイブロインが水に対して極めて不溶性であるのに 対し、セリシンは比較的水に溶けやすい。繭から生糸を紡ぐ場合、繭を煮沸する 等の作業により、可溶性のセリシンは取り除かれ、不溶性のフイブ口イン繊維の みが生糸として精練される。

この出願の発明者らは、カイコが有する絹タンパク質の合成能力に着目し、絹 夕ンパク質と共に大量の組換えタンパク質を繭中に分泌する形質転換カイコの開 発を行ってきた。外来遺伝子を導入した形質転換カイコの作出については、鱗翅 目昆虫 Trichoplusia niに由来する DNA型トランスポゾンである piggyBacを 組み込んだプラスミドベクタ一をカイコ卵に微量注射する方法が確立されている (Nat. Biotechnol. 18, 81-84, 2000) 。この遺伝子導入法を用い、絹タンパ ク質遺伝子プロモ一ターの下流に連結したヒト ' コラーゲン cDNA をカイコに 組み込み、組換えヒト · コラーゲンを繭または絹糸腺内のタンパク質の一部とし て産生する形質転換カイコを開発し(非特許文献 1 ) 、また特許出願している (特許文献 1— 3 ) 。また、同様な方法により、絹糸腺または繭糸にサイトカイ ンを生産する遺伝子組換えカイコを作製し、絹糸腺または繭糸からサイトカイン を回収する組換え型サイトカインの製造方法に関する特許も出願されている(特 許文献 4 ) 。

さらに、この出願の発明者らは、繭中の組換えタンパク質含有量を向上させる ために、高い転写活性を有するフイブ口イン重鎖遺伝子に着目し、その上流域か ら遺伝子の転写活性を促進する最小領域としてのポリヌクレオチドを特定し、外 来遺伝子の発現を促進するポリヌクレオチドを提案し(非特許文献 2— 3 ) 、ま た特許出願している(特願 2003- 147497) 。

先行技術文献リスト

特許文献 1 :特開 2001- 161214号公報

特許文献 2 :特開 2002-315580号公報

特許文献 3 :特開 2004-016144号公報

特許文献 4 :特開 2003-325188号公報

非特許文献 1 : Tomita, M. et al. , Nature Biotechnology. 21 , 52-56, 2003 非特許文献 2 : 第 25 回日本分子生物学会年回プログラム ·講演要旨集、 2002年 1 1月 25日、 2P- 1588

非特許文献 3 :第 26 回日本分子生物学会プログラム '講演要旨集、 2003 年 1 1月 25曰、 2PC- 174

発明の開示

前記したように、繭を構成する絹タンパク質の約 70 %は後部絹糸腺で合成さ れるフイブ口インである。従って、フイブ口イン重鎖または軽鎖のプロモーター およびェンハンサ一を利用し、後部絹糸腺で組換えタンパク質遺伝子を発現させ れば、多量のタンパク質を繭中に分泌させることができる。この場合、組換え夕 ンパク質は、不溶性のフイブ口イン繊維の中に埋入されるため、例えば、多量の 組換えタンパク質と繭との混合物を得るためには有効な手段である。また、この 混合物から組換えタンパク質を抽出して、組換えタンパク質のみを単離すること もできる。

ただし、不溶性のフイブ口イン繊維を溶解させなければ、繭から組換えタンパ ク質を抽出することができないため、組換えタンパク質と繭との混合物からの組 換えタンパク質の抽出および単離は、必ずしも容易ではない。一般に、フイブ口 イン繊維を溶解するためには、リチウムチオシァネート、グァニジンチオシァネ ート、臭化リチウム等のカオトロピック塩、または塩化カルシウムとエタノール の混合液などが用いられるが、これらの溶液を用いても、フイブ口イン繊維を完 全に溶解することは難しい。さらに、これらの溶液を用いて組換えタンパク質を 抽出すると、多くの組換えタンパク質の立体構造は変性してしまう危険性がある。 そのため、組換えタンパク質が、立体構造に依存した生理活性を有している場合 には、変性した立体構造を再生させる処理を行わなければ、活性型の組換えタン パク質が得られない場合もある。

また、後部絹糸腺で組換えタンパク質を発現させ、効率よく繭中に分泌させる ためには、組換えタンパク質を、フィプロインまたはフイブ口インの部分配列と の融合タンパク質として合成させる必要があると考えられる。これは、後部絹糸 腺細胞から分泌された内在性のフイブロイン分子が、絹糸を _形成する過程で極め て緻密な結晶構造を形成することに起因している。組換えタンパク質をフィプロ インとの融合タンパク質ではなく、単独の分子として発現させた場合は、組換え タンパク質が内在性のフイブ口インの結晶間に入り込むことが難しい。一方、フ イブ口インとの融合タンパク質として合成させれば、融合タンパク質のフィプロ イン部分が結晶構造への組み込みを助け、組換えタンパク質を結晶構造の中に埋 入させることができ、その結果繭への分泌が可能となる。従って、例えばフイブ 口インと組換えタンパク質からなる有用な融合タンパク質(例えば、組換え生理 活性タンパク質を融合させた絹繊維など)の製造には有効な手段であるが、繭へ の分泌のためにフイブ口インとの融合化が必要であることは、繭から組換えタン パク質だけを取り出すことを考えた場合には好ましいことではない。組換えタン パク質だけを抽出するためには、例えば、あらかじめフイブ口インをコードする ポリヌクレオチドと組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドの間に、フ アクター Xゃェンテロキナーゼなどのプロテアーゼの切断配列をコードするポリ ヌクレオチドを挿入しておき、繭に存在する融合タンパク質を、ファクタ一 Xや ェンテロキナーゼで処理するといつた、煩雑でコストのかかる行程が必要となる からである。

以上のように、フィプロイン重鎖または軽鎖のプロモーターおよびェンハンサ 一を利用し、後部絹糸腺で組換えタンパク質遺伝子を発現させる方法は、多量の 夕ンパク質を合成させることができるという利点があるが、組換えタンパク質の 抽出の過程に幾つかの問題点が存在する。

この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技 術の問題点を解消し、カイコ中部絹糸腺において産生させた組換えタンパク質を 繭中に分泌させ、繭から容易に、しかもタンパク質の立体構造を変性させること なく組換えタンパク質を抽出することのできる新規な手段を提供することを課題 としている。

この出願は、前記の課題を解決する発明として、以下の(1) ~ (16)の発明を提 供する。

( 1) カイコ中部絹糸腺において組換えタンパク質を発現させるための発現カセ ットにおいて組換えタンパク質構造遺伝子と機能的に連結されるポリヌク レオチドであって、セリシン 1 またはセリシン 2遺伝子のプロモー夕一領 域を構成するポリヌクレオチドと、バキュロウィルス homologous regions を構成するポリヌクレオチドが機能的に連結されたポリヌクレオ チド。

(2) セリシン 2 遺伝子のプロモーター領域を構成するポリヌクレオチドが、配 列番号 1のヌクレオチド配列またはその一部である前記発明(1)のポリヌク レオチド。

(3) カイコ中部絹糸腺において組換えタンパク質を発現させるための発現カセ ットであって、前記発明(1)または (2)のポリヌクレオチドと組換えタンパ ク質構造遺伝子とが連結された発現カセッ卜。

(4) 前記発明(1)または (2)のポリヌクレオチドが有する転写活性を促進するポリ ヌクレオチドであって、セリシン 1 またはセリシン 2遺伝子のプロモー夕 —領域を構成するポリヌクレオチドと、パキュロウィルス IE 1 タンパク質 をコ一ドするポリヌクレオチドが機能的に連結されたポリヌクレオチド。

(5) セリシン 2 遺伝子のプリモーター領域を構成するポリヌクレオチドが、配 列番号 1のヌクレオチド配列またはその一部である前記発明 (4)のポリヌク レオチド。

(6) 前記発明(4)または (5)のポリヌクレオチドに、さらにバキュロウィルス homologous regions を構成するポリヌクレオチドを連結したポリヌクレ ォチド。

(7) 前記発明 (3)の発現カセットを保有する現べクタ一。一.

(8) 発現カセットが、昆虫由来 DNA型トランスポゾンの一対の逆向き反復配列 に挟まれている前記発明 (7)の発現べクタ一。

(9) 前記発明 (4)、(5)または (6)のポリヌクレオチドを保有するベクター。

(10) ポリヌクレオチドが昆虫由来 DNA 型トランスポゾンの一対の逆向き反復 配列に挟まれている前記発明 (9)のベクター。

(1 1) 前記発明 (3)の発現カセットと、前記発明 (4)、(5)または (6)のポリヌクレオ チドを保有する.ベクター。

(12) 発現カセットとポリヌクレオチドが昆虫由来 DNA 型トランスポゾンの一 対の逆向き反復配列に挟まれている前記発明(1 1)のベクター。

(13) 前記発明 (3)の発現カセットをゲノム中に保有し、組換えタンパク質を中 部絹糸腺にて発現する卜ランスジエニックカイコ。

( 14) 前記発明 (4)、. (5)または (6)のポリヌクレオチドをゲノム中に保有し、バキ ュロウィルス IE1 タンパク質を中部絹糸腺にて発現するトランスジェニッ クカイコ。

( 15) 前記発明 (3)の発現カセットと、前記発明 (4)、(5)または (6)のポリヌクレオ チドをゲノム中に保有し、組換えタンパク質を中部絹糸腺にて発現する卜 ランスジエニックカイコ。

( 16) 前記発明(13)のトランスジエニックカイコの繭から、組換えタンパク質を 抽出することを特徴とする組換えタンパク質の製造方法。

( 17) 前記発明(15)のトランスジエニックカイコの繭から、組換えタンパク質を 抽出することを特徴とする組換えタンパク質の製造方法。

( 18) セリシン 2遺伝子のプロモーター領域を構成するポリヌクレオチドであつ て、配列番号 1のヌクレオチド配列またはその一部配列からなるポリヌク レオチド。

この出願の発明によれば、トランスジエニックカイコの繭から、容易に、しか もタンパク質の立体構造を変性させることなく抽出することのできる状態で組換 えタンパク質を発現させることのできるポリヌクレオチドが提供される。

セリシンのプロモ一夕一およびェンハンサ一を用いて中部絹糸腺で組換えタン パク質遺伝子を発現させることによって、フィブロインのプロモー'夕一領域を用 いて後部絹糸腺で組換えタンパク質を発現させた塲合の問題点、すなわち繭から の組換えタンパク質の抽出過程における問題点を全て解消することができる。中 部絹糸腺で組換えタンパク質遺伝子を発現させれば、合成された組換えタンパク 質は、水に対して可溶性のセリシン層に分泌される。従って、組換えタンパク質 を抽出するために、タンパク質を変性させてしまう溶液を用いる必要がなく、組 換えタンパク質を変性させることなく容易に抽出できる。立体構造に依存した生 理活性を有する組換えタンパク質を得る場合でも、変性した立体構造を再生させ る処理は必要ない。さらに、中部絹糸腺で合成される内在性のセリシンは、フィ プロインのような結晶構造を形成しないため、組換えタンパク質を繭中に分泌さ せるために、融合タンパク質として合成する必要もない。従って、プロテアーゼ 処理によって、融合タンパク質から組換えタンパク質を切り出す処理も不要であ る。

以上のように、中部絹糸腺で組換えタンパク質を発現させ、セリシン層に分泌 させれば、繭からの組換えタンパク質の抽出に関する問題点は解決される。しか し、セリシンは絹タンパク質の 30 %を構成するタンパク質であり、フイブロイ ンに比べると存在量が少ない。そのため、中部絹糸腺にて組換えタンパク質遺伝 子を発現し、大量の組換えタンパク質を繭中に分泌させるためには、中部絹糸腺 で極めて高い転写活性を有した遺伝子発現制御配列としてのポリヌクレオチドが 必要となる。この出願の発明は、セリシン 1 またはセリシン 2 遺伝子のプロモ 一ター領域を構成するポリヌクレオチドに、これらのプロモーターが有する転写 活性を高めるポリヌクレオチドとして、パキュロウィルス homologous regions を構成するポリヌクレオチドを連結したポリヌクレオチドを提供する。また、さ らに、セリシン 1 またはセリシン 2 遺伝子のプロモー夕一とバキュロウィルス homologous regionsを連結したポリヌクレオチドの転写活性を増強するポリヌ クレオチドとして、セリシン 1 またはセリシン 2 遺伝子のプロモー夕一領域を構 成するポリヌクレオチドと、バキュロウィルス IE1 タンパク質をコードするポリヌ クレオチドが連結されたポリヌクレオチドを提供する。

以上のとおりのポリヌクレオチドを使用することによって、カイコを用いて無 変性の組換えタンパク質を容易かつ大量に生産することが可能となる。

なお、この発明において、「ポリヌクレオチド」とはプリンまたはピリミジン が糖に /3 -N-グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ATP、 GTP、 CTP、 UTP;または dATP、 dGTP、 dCTP、 dTTP) 2 個以上結合した分子を 意味する。ポリヌクレオチドと他のポリヌクレオチドが「機能的に連結されてい る」とは、各々のポリヌクレオチドが有する機能が損なわれることなく、しかも 連結によって所望の機能が発揮しうる状態が確保されている状態を意味する。具 体的には、一方のポリヌクレオチドの 3,端ヌクレオチドと他方のポリヌクレオ チドの 5'端ヌクレオチドが直接、または他のリンカ一配列を介して結合してい る状態をいう。

さらにこの発明において「タンパク質」とは、アミド結合(ペプチド結合)に よって互いに結合した複数個のアミノ酸残基から構成された分子を意味し、「組 換えタンパク質」とは、遺伝子工学的に製造されるタンパク質を意味する。

またさらに、この発明における「組換えタンパク質構造遺伝子」とは、組換え タンパク質をコードする領域(open reading flame: ORF) を含むポリヌクレ _ ォチドであり、例えば組換えタンパク質遺伝子の cDNA である。「遺伝子プロ モー夕一領域」とは、タンパク質をコードする遺伝子領域の転写開始点から上流 域に存在する転写を開始させるために必須な配列を含む領域であって、一般に 「プロモー夕一領域」および「ェンハンサ一領域」と言われる領域を言う。

この発明におけるその他の用語や概念は、発明の実施形態の説明や実施例にお いて詳しく規定する。またこの発明を実施するために使用する様々な技術は、特 にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば 容易かつ確実に実施可能である。例えば、遺伝子工学および分子生物学的技術は Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al. , Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている。

図面の簡単な説明

図 1は、遺伝子銃を用いた絹糸腺での一過性の遺伝子発現系を用いて、 hr3お よび IE1 によるセリシン 1 遺伝子プロモータ一の活性促進効果を調べた結果で ある。プロモーター活性は、中部絹糸腺におけるセリシン 1 遺伝子プロモ一夕 一の活性を 1 とした場合の相対値として示した。 PSGおよび MSG は、それぞ れ後部絹糸腺および中部絹糸腺でのプロモータ一活性を表す。

図 2は、トランスジエニックカイコ作製用ベクターである pMSG2の構造を示 す。 piggyBacR: piggyBac 3 ' 末端側配列、 3xP3-TATA:眼や神経系で発現を 引き起こすプロモーター、 DsRed:赤色蛍光タンパク質遺伝子、 SV40 polyA: SV40由来ポリ A付加シグナル、 IE1: BmNPV IE1 の ORF、 Pserl:カイコセ リシン 1 遺伝子プロモ一夕一、 HR3: BmNP hr3、 attRl-Cm-ccdB-attR2: Gatewa カセット、 FibL polyA;カイコフイブ口イン L鎖ポリ A付加シグナル、 piggyBacL: piggyBac 5 末顺側配列。

W

10

図 3は、繭出液のウェスタンプロット解析の結果である。野生型カイコの繭、 pMOSRA-7 ベクタ一により作製されたトランスジエニックカイコの繭、および pSEM2 ベクターにより作製されたトランスジエニックカイコの繭を、それぞれ 1% triton-X を含む PBS に浸しタンパク質を抽出した。抽出されたタンパク質 を電気泳動した後、抗 EGFP抗体を用いてウエスタンプロットを行った。

発明を実施するための最良の形態

カイコの中部絹糸腺で合成されるセリシンには、少なくとも 4〜6種類以上の 分子種が存在することが知られているが、これらセリシンは、 2種類のセリシン 遺伝子、すなわちセリシン 1 遺伝子おょぴセリシン 2 遺伝子からの合成産物で ある。セリシン 1 およびセリシン 2 のそれぞれの遺伝子から、オルタネィティ ブスプライシング機構により、サイズの異なる様々なセリシン mRNA が合成さ れ、これらの mRNA から様々な分子量のセリシンタンパク質群が翻訳される (Dev. Biol. 124, 431-440, 1987) 。この出願の発明では、中部絹糸腺で組換 えタンパク質遺伝子を発現させるために、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子のプロモーター領域を用いる。ここでいうプロモーター領域とは、セリシ ン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子の転写開始点から上流域に存在する転写を 開始させるために必須な配列を含む領域を指す。実質的には、セリシン 1 遺伝 子またはセリシン 2 遺伝子由来の塩基配列であって、その配列の下流に連結し た組換えタンパク質遺伝子の中部絹糸腺細胞での転写を開始させることができる 配列のことを指し、この条件に合う配列であれば、配列の長さなどは限定されな レ また、プロモータ一領域の転写活性を促進する、いわゆるェンハンサー配列 を含んでいても良い。セリシン 1 遺伝子のプロモーター領域は、公知の塩基配 列 (GeneBank/AB007831) などを利用してプライマーを設計し、ゲノム PCR を行うなどの方法により取得することができる。セリシン 2 遺伝子のプロモー 夕一配列は、この出願の発明者らが、非対称 PCR 法を用いてクローニングした 配列番号 1に記載したセリシン 2遺伝子 5 ' 上流域の塩基配列(発明(18)) や、 公知の塩基配列(GeneBank/J01036) などを利用してプライマ一を設計し、

ゲノム PCRを行うなどの方法により取得することができる。

前記したように、中部絹糸腺で組換えタンパク質遺伝子を発現することができ、 かつ大量の組換えタンパク質を発現させることが、この出願の発明における課題 である。そこで、以下に詳しく記載した発明によって、セリシン 1 遺伝子また はセリシン 2 遺伝子のプロモーターが有する中部絹糸腺細胞での転写活性を増 強した。

発明(1) (2) は、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2遺伝子プロモー夕一 領域を構成するポリヌクレオチドに、バキュロウィルス homologous regions を構成するポリヌクレオチド(以下「hrs」または単数を表す場合には「hrj と 表記する場合もある。)を組み合わせることによってセリシン 1 遺伝子または セリシン 2 遺伝子プロモーターが有する中部絹糸腺細胞での転写活性を増強し たポリヌクレオチドである。「hrs」は、パキュロウィルス(BmNPV、 AcNPV ^ CfNPV、 LdNPV、 OpNPVなど)のゲノム内に散在する一種の繰り返し配列であ り、ウィルス DNA の複製起点として働くほか、バキュロウィルスゲノム内の 様々な遺伝子の転写活性を促進するェンハンサーとしての機能も有している(丄 Biol. Chem. 272, 30724-30728, 1997) 。また、 hrs ま、ハ、キュロウィ Jレスの 遺伝子以外の遺伝子の転写にもェンハンサーとして働くことが知られている。例 えば、 BmNPVの hrsの一つである hr3は、カイコアクチンプロモーターに(J. Biol. Chem. 272, 30724-30728, 1997) 、 AcNPVの hrsの一つである hr5は Rous sarcomaウィルスの LTRに作用し(J. Virol. 61, 2091-2099, 1987) 、 これらの転写活性を増強することなどが報告されている。しかし、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子プロモーターが有する中部絹糸腺細胞での転写 活性を、 hrsが高めることをできるかどうかは知られていなかった。そこで、後 記実施例 1によってこの点に関して調べた。その結果、 hrsがセリシン 1遺伝子 またはセリシン 2 遺伝子プロモーターのもつ中部絹糸腺細胞での転写活性を増 強することを見出し発明(1) (2) を完成させた。この出願の発明で用いる hr は、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子プロモーターの活性を増強する 効果をもつものであれば、どのバキュロウィルスに由来するものであっても良く、

また、少なくとも 9種類以上知られている、どの種類の hrであっても良い。…さ らに、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子プロモーターの活'性を増強す る効果をもつのであれば、 hrsの部分配列であっても良い。これら、 hrs または hrs の部分配列は公知の塩基配列( GeneBank/NC— 001962 、 GeneBank/NC_001623 など)を利用してプライマーを設計し、ウィルスゲノ ムをテンプレートに用いた PCR を行うなどの方法により取得することができる。

発明(3) は、発明(1) のポリヌクレオチドと組換えタンパク質構造遺伝子 とが連結された発現カセットである。カセット内の組換え夕ンパク質構造遺伝子 は、任意のタンパク質をコードする cDNA などを用いることができる。組換え タンパク質が、分泌タンパク質であれば、タンパク質をコードする cDNA をそ のまま用いれば良いし、また、分泌タンパク質でない場合は、 cDNAの 5 ' 末端 側にシグナルべプチドをコードする配列を付加しても良い。シグナルぺプチドを コードする配列は、セリシンなどの絹タンパク質に由来するものであっても良い し、その他任意の分泌タンパク質に由来するものであっても良い。発明(3) の 発現カセットにおいて、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子プロモータ —領域は、組換えタンパク質構造遺伝子の上流に連結する必要があるが、 hrs に 関しては、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2 遺伝子プロモーター領域と組換 えタンパク質構造遺伝子からなるポリヌクレオチドの上流に位置しても良いし、 下流に位置しても良い。また、セリシン 1 遺伝子またはセリシン 2遺伝子プロ モーター領域と組換えタンパク質構造遺伝子からなるポリヌクレオチドに隣接し て連結されていても、効果がおよぶ範囲内であれば離れて連結されていても良い。 この出願の発明(4) (5) は、発明(1 ) のポリヌクレオチドが有する転写活 性を、さらに増強するためのポリヌクレオチドである。このポリヌクレオチドは、 セリシン 1 またはセリシン 2 遺伝子のプロモーター領域を構成するポリヌクレ ォチドと、その下流に連結されたバキュロウィルス IE 1 タンパク質をコードす るポリヌクレオチドから構成されている。 IE 1 は、バキュロウィルスが宿主細胞 に感染した直後に合成される一群のタンパク質の一つであり、 39kや p35 など のウィルス遺伝子、さらに IE1 タンパク質をコードする ie l 遺伝子自体の発現 を活性化するトランスレギュレーターである(J. Virol. 57, 563-571, 1986、 J.

Virol. 66, 7429-7437, 1992) 。 IE 1 がこれらのウィルス伝子の発現を活性 化する機構には、 hrs を介してプロモ一夕一の転写活性を高める機構と、 hrs を 介さずに直接プロモー夕一に作用する機構があることが知られている(J. Virol. 77, 5668-5677, 2003) 。また、 IE1 は、ァクチン遺伝子など、宿主細胞の遺 伝子発現を活性化することも知られている(Virology 218, 103- 1 13, 1996) 。 この出願の発明者らは、発明(1) (2) のポリヌクレオチドが有する中部絹糸 腺細胞での転写活性を、 IE1 タンパク質が増強する可能性があると考え、後記実 施例 1によってその可能性を検証した。その結果、 IE 1 タンパク質は、 hrs を介 してプロモーターの転写活性を高める機構と、 hrs を介さずに直接プロモータ一 に作用する機構の両方の機構により、発明(1〉 (2) のポリヌクレオチドが有 する中部絹糸腺細胞での転写活性を増強することが明らかとなった。そこで、次 に IE1 タンパク質が中部絹糸腺細胞で合成されるように、 IE1 タンパク質をコ —ドする ORFの上流に、セリシン 1遺伝子またはセリシン 2遺伝子のプロモー 夕一を連結したポリヌクレオチドを作製し、発明(4) ( 5) を完成させた。さ らに、発明(4) ( 5) のポリヌクレオチドに、パキュロウィルス hrs を連結し、 中部絹糸腺細胞において、さらに多くの IE1 タンパク質が合成されるポリヌク レオチドも開発した(発明(6) ) 。この発明(6) においては、 hrs は、発明 (4) (5)のポリヌクレオチドの上流に連結されても、下流に連結されても良い。 また、隣接されて連結されていても良いし、 hrs の効果がおよぶ範囲であれば、 離れて連結されていてもよい。これら、発明(4) ( 5) および発明(6) におけ る IE1 タンパク質をコードする ORF は、公知の塩基配列 (GeneBank/AY048770、 GeneBank/M 16820) などを利用してプライマ一を 設計し、ウィルスゲノムをテンプレートに用いた PCR を行うなどの方法により 取得することができる。 IE1 タンパク質をコードする ORF は、合成された IE1 がセリン遺伝子 1または 2のプロモーター領域や発明(1 ) (2) のポリヌクレ ォチドの転写活性を増強する効果があるものであれば、どのバキュロウィルスに 由来するものでも良く、また、 IE1 の部分配列や、塩基配列の一部が改変された ものでも良い。

発明 (7) は、発明(3) の発現カセットを保有する発現ベクターである。ま た-、発明(9) は、発明(4) ( 5) または(6)のポリヌクレオチドを保有するべ クタ一である。これらのベクタ一は、カイコの形質転換のために使用することの できる昆虫用のベクターであれば特段の制限なく使用することができる。例えば、 AcNPV ベクターや、昆虫由来 DNA 型トランスポゾンを組み込んだプラスミド ベクターなどであるが、特に後者が好ましい(発明(8) および発明(10) ) 。 昆虫由来 DNA 型トランスポゾンとしては、 piggyBac、 mariner (Insect Mol. Biol. 9, 145- 155, 2000) 、および Minos (Insect Mol. Biol. 9, 277-281 , 2000) 等が知られている。これらのトランスポゾンは、カイコ細胞内で転移活 性を示すことから、これらの DNA型トランスポゾンをもとに作製したべクタ一 によりカイコを形質転換させることが可能である。特に piggyBacをもとに作製 したプラスミドベクタ一は、カイコ卵に微量注入することにより、実際にカイコ を形質転換させることに成功している(Nat. Biotechnol. 18, 81-84, 2000) 。

発明(11 ) は、発明(3) の発現カセット、すなわち組換えタンパク質を発現 させるためのポリヌクレオチドと、発明(4) (5) または発明(6) のポリヌク レオチド、すなわち IE1 を発現するポリヌクレオチドの両方を有するベクタ一 である。また、発明(12) は、発明(10 の一実施形態であった、ベクターが DNA 型トランスポゾンをもとに作製したベクタ一である。これらのベクターに おいては、組換えタンパク質を発現する発現カセットと、 IE1 を合成するヌクレ ォチドが、完全に独立に一つのベクター内に保有されていても良いし、或いは、 プロモータ一や hrs を共有していても良い。例えば、組換えタンパク質遺伝子- プロモー夕一 -hrs-プロモ一夕一 -IE10RFの順にべクタ一に組み込めば、 hrs を 共有させることができる。また、カイコ絹糸腺細胞で機能する IRES . (Internal Ribosome Entry Site) を用い、例えば、 hrs-プロモーター-組換えタンパク質 遺伝子- IRES-IE IORF の順番でベクタ一に組み込めば、 hrs とプロモーターを 共有させることができる。

発明(7) または発明(8) のベクターを使って、組換えタンパク質を発現す るための発現カセットをゲノム中に保有するトランスジエニックカイコ(発明 ( 13) ) を、また、発明(9) または発明(10) のベクターを使って、 IE 1 を発 現するポリヌクレオチドをゲノム中に保有するトランスジエニックカイコ(発明

( 14) ) を作出することができる。また、発明(11) または発明(12) のべク ターを使えば、組換えタンパク質を発現するための発現カセットと IE1 を発現 するポリヌクレオチドの両方をゲノム中に保有するトランスジエニックカイコ

(発明(15) ) を作出することができる。

トランスジエニックカイコの作出については、例えば piggyBacをもとに作製 したベクターを利用する場合は、田村らの方法(Nat. Biotechnol. 18, 81-84, 2000) と同様な方法によって行うことができる。すなわち、 piggyBac の一対 の逆向き反復配列を適当なプラスミドベクターに組み込み、挿入するポリヌクレ ォチドを一対の逆向き反復配列で夾むように挿入する。そしてこのプラスミドべ クタ一を、 piggyBac のトランスポゼ一ス発現べクタ一(ヘルパープラスミド) と共にカイコ卵へ微量注入する。このへルパ一プラスミドは、 piggyBac の逆向 き反復配列の片方または両方を欠いた、実質的には piggyBacのトランスポゼ一 ス遺伝子領域のみが組み込まれている組換えプラスミドベクターである。このへ ルバ一プラスミドにおいて、トランスポゼースを発現させるためのプロモー夕一 は、内在性のトランスポゼースプロモーターをそのまま利用しても良いし、ある いは、カイコ ' ァクチンプロモーターゃショウジョゥバエ HSP70 プロモ一夕一 等を利用してもよい。次世代カイコのスクリーニングを容易にするために、挿入 するポリヌクレオチドを組み込んだベクタ一内に同時にマーカー遺伝子を組み込 んでおくこともできる。この場合、マーカ一遺伝子の上流に例えばカイコ. · ァク. チンプロモータ一ゃショウジョゥバエ HSP70 プロモ一夕一等のプロモ一夕一配 列を組み込み、その作用によりマ一カー遺伝子を発現させるようにする。マーカ 一遺伝子を発現させるプロモ一ターが、ベクター内に存在する hrs の影響を受 けないように、マーカ一遺伝子を発現させるプロモータ一と hrs の間にインシ ユレ一ターを組み込んでおくこともできる。用いるインシユレ一夕一としては、 例えばショウジヨウバエ gypsy トランスポゾンのインシユレ一夕一などを挙げ ることができる。

ベクタ一を微量注入したカイコ卵から孵化した幼虫(F0 世代)を飼育する。 得られた全 F0世代のカイコを野生型カイコと、あるいは F0 カイコ同士で交配

―し、次世代(F1 世代)のカイコからトランスジエニックカイコを選抜する。ト ランスジエニックカイコの選抜は、例えば PCR 法やサザンブロット法を用いて 行う。また、マーカー遺伝子を組み込んだ場合には、その表現形質を利用して選 抜することも可能である。例えばマーカー遺伝子として GFP 等の蛍光タンパク 質遺伝子を利用した場合には、 F1 世代のカイコ卵や幼虫に励起光を照射し、蛍 光タンパク質の発する蛍光を検出することにより行うことができる。以上のよう な方法によりトランスジエニックカイコを作出することができる。

発明(13) および発明(15) のトランスジエニックカイコは、中部絹糸腺に て組換えタンパク質を発現し、絹糸のセリシン層に組換えタンパク質を分泌する。 発明 (15) のトランスジエニックカイコには、組換えタンパク質を発現する発 現カセットに加え、 IE1 を発現するポリヌクレオチドが組み込まれているため、 発明 (13) の組換えタンパク質を発現する発現カセットのみが組み込まれてい る卜ランスジエニックカイコよりも、多くの組換えタンパク質を発現する。発明 ( 15) のトランスジエニックカイコは、前記したように、発明(1 1 ) または発 明(12) のベクターを使って作出することもできるし、或いは、発明(13) の 組換えタンパク質を発現する発現カセットが組み込まれているトランスジェニッ クカイコに、発明(9) または発明(10) のベクターを使って IE1を発現するポ リヌクレオチドを組み込むか、または、発明(14) の IE 1 を発現するポリヌク レオチドが組み込まれているトランスジエニックカイコに、発明(7) または発 明(8) のべクタ一を使って、組換えタンパク質を発現する発現カセットを組み 込むことによつても作出することが可能である。また、発明(13) のトランス ジエニックカイコと、発明(14) のトランスジエニックカイコを交配し、次の 世代のカイコから、組換えタンパク質を発現する発現カセットと IE 1 を発現す るポリヌクレオチドの両方を保有するカイコを選抜することによつても作出する こともできる。

発明 (16) および発明(17) は、それぞれ発明(13) および発明(15) のト ランスジエニックカイコの繭から、組換えタンパク質を抽出する組換えタンパク 質の製造方法である。発明(13) および発明(15) のトランスジエニックカイ コが合成した組換えタンパク質は、繭を構成する絹糸のセリシン層に分泌されて いる。前記したように、セリシン層は、水に対して可溶性のセリシンより構成さ れており、この層に局在する組換えタンパク質は、タンパク質を変性させてしま う溶液を用いることなく抽出することができる。セリシン層から組換えタンパク 質を抽出するための抽出液は、組換え夕ンパク質の抽出が可能であるものならば 特段の制限はない。例えば、中性の塩類溶液であっても良いし、界面活性剤や、 その他、抽出を効率的に行うための試薬などが含まれる溶液であっても良い。こ れらの抽出液を使って繭から組換えタンパク質を抽出するには、例えば、断片化 した繭を抽出液に浸し攪拌するなどの方法を用いることができる。また、抽出の 前に、繭を微粉末化する処理を行っても良いし、抽出の際に超音波処理を行うな どの機械的処理を併用しても良い。

実施例

以下、実施例によりこの発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明 は以下の例によって限定されるものではない。

実施例 1

hr3および IE1によるセリシン 1遺伝子のプロモー夕一活性促進効果の検証

以下の 3 種類のベクタ一を作製し、 BmNPV の hrs の一つである hr3 と BmNPV の IE 1 によるカイコセリシン 1 プロモーターの転写活性促進効果を、 遺伝子銃を用いた一過性遺伝子発現系を利用して調べた。

[ 1]セリシン 1 プロモ一夕一の下流にホ夕ルルシフェラーゼ遺伝子を有するべク 夕一

カイコセリシン 1遺伝子の転写開始点を + 1 とした場合の- 304? +20の領域に 対応する DNA断片を、カイコ成体腹部より抽出したゲノム DNA をテンプレー トとした PCRによって取得した。用いたプライマーは、 5'-GCTAGCAGTCGAA TTTCGACTACTGCG-3' (配列番号 2 ) と 5'-GCTAGCCC GATGATAAGACGA CTATG-3' (配列番号 3 )であり、それぞれの 5 ' 末端に Nhelサイトが付加されて いる。得られた PCR産物を Nhelで切断した後、ホタルルシフェラ一ゼレポ一 ターべクタ一 pGL3- basic (Promega) の Nhelサイトに挿入した。

[2]hr3 とセリシン 1 プロモータ一の下流にホ夕ルルシフェラーゼ遺伝子を有す るベクター

BmNPVの: hr3 (塩基番号 64321 ? 66017 : GeneBankデータベース登録番 号 NC— 001962) を含む DNA断片を、 pXINSECT-DEST38 (Invitrogen) をテ ンプレートにした PCR によって取得した。用いたプライマーは、 5'- CGGAATC TATGTTACGGACTTC-3' (配列番号 4 ) と 5'-GAGCTCGATATCGAATTCCTGC AGCC-3' (配列番号 5 : 5 ' 末端に Sacl サイ卜が付加されている)である。得 られた PCR産物を Saclで切断した後、上記①のセリシン 1 プロモー夕一を有 する pGL3のセリシンプロモータ一の上流にある Saclサイトに挿入した。挿入 した DNA断片の向きは、 hr3の 5 ' 末端(塩基番号 64321) 側が、セリシン 1 プロモーター側になるようにした。

[3]hr3とセリシン 1プロモ一夕一の下流に IE1の ORFを有するベクター

BmNPVの IE1 の ORF (塩基番号 1 16981 ? 1 19482 : GeneBankデータべ —ス登録番号 NC_001962) を、 pXINSECT-DEST38をテンプレートにした

PCR によって取得した。用いたプライマ一は、 5'-GGATCCCAACCAAACGACT ATGACGC-3' ( 1 配列番号 6 : 5 ' 末端に BamHI サイ卜が付加されている)と 5'-CAGGAGTGGGCATACTCTTG-3' (配列番号 7 ) である。得られた PCR産物 を、 pCR4Blunt-TOPO ベクター(Invitrogen) に挿入した。次に、セリシン 1 プロモー夕一を、 PCRによって、 [1]のセリシン 1 プロモーターを有する pGL3 ベクターから増幅した。用いたプライマーは、 5'-GGATCCGAGCTCAGTCGAA TTTCGACTACTGCG-3' (配列番号 8 : 5 ' 末端に BamHIサイトと Saclサイト が付加されている)と、 5'-GGATCCGCTAGCCCCGATGATAAGACGACTATG- 3' (配列番号 9 : 5 ' 末端に BamHIサイトが付加されている)である。 PCR産 物を BamHIで消化し、上記の IEIORF を有した pCR4Blunt-TOPO ベクタ一

―の—、 IEIORFの 5 ' 末端側に存在する BamHIサイトに挿入した。最後に、 [2]の hr3 とセリシン 1 プロモータ一の下流にホ夕ルルシフェラーゼ遺伝子を有する ベクターを Saclで消化することにより、このべクタ一から hr3を切り出し、上 記のセリシン 1 プロモーターと IE10RFを有するベクタ一の、セリシン 1 プロ モーターの 5 ' 末端側に存在する Saclサイトに揷入した。挿入した向きは、 hr3の 3 ' 末端(塩基番号 66017 : GeneBankデ一夕べ一ス登録番号 NC_001 962) 側が、セリシン 1プロモーター側になるようにした。

上記 [1]のベクターとィンサ一ト DNAを含まない pCR4Blunt-TOPOベクタ一 を 1 : 1 の割合で混合した DNA溶液(以下、 Pser と表記する)、上記 [2jのべク ターとィンサート DNAを含まない pCR4Blunt-TOPOベクタ一を 1 : 1の割合で 混合した DNA溶液(以下、 Pser+hr3 と表記する)、上記 [ 1]のべクタ一と上記 [3]のベクターを 1 : 1 の割合で混合した DNA 溶液(以下、 Pser+IE l と表記す る)、および上記 [2]のべクタ一と上記 [3]のべクタ一を 1 : 1 の割合で混合した DNA 溶液(以下、 Pser+hr3+IEl と表記する)を用意し、以下に記載した方法 によって、これら 4種類の DNA混合液をカイコ絹糸腺に導入し、ルシフェラー ゼ活性を測定した。

1) 金粒子の調製:金粒子 1 mgあたり 188 ngの DNA混合液を付着させた。 2)絹糸腺採取: 5令 1 日の幼虫から絹糸腺を取出し、 Grace 培地で洗浄した。

3) 遺伝子銃による DNA の絹糸腺への導入:遺伝子銃(Helios Gene Gun;

BioRad) を用いて絹糸腺に DNA の付着した金粒子を打ち込んだ。絹糸腺 あたり 0.02 mgの金粒子(3.8 ng DNA) を打ち込んでいる。

4) 絹糸腺の移植:絹糸腺を Grace 培地で洗浄後、絹糸腺を取出した個体と同 じ日令の幼虫の背側後方体腔内に移植した。絹糸腺を移植した幼虫を 3日 間飼育した。

5) 絹糸腺の採取:移植した絹糸腺を宿主から取出し、 Grace 培地で洗浄後、 絹糸腺を中部絹糸腺と後部絹糸腺に分割した。

6) ルシフェラ一ゼ活性の測定:中部絹糸腺および後部絹糸腺を passive lysis buffer (Promega) 中でホモジナイズした後遠心し、上清中のルシフェラ

ーゼ活性を、ルシフェラーゼ定量システム(Promega) を用いて測定した。

1種類の DNA混合液について 9〜; 12本の絹糸腺への導入を行いルシフェラ一 ゼ活性を測定し、それぞれの平均値と標準偏差(SEM) を算出した。図 1にそ の結果を示した。値は Pser を導入した絹糸腺における中部絹糸腺でのルシフエ ラーゼ活性の平均値を 1とした場合の相対値として示した。

Pser、 Pser+hr3 Pser+IEl , および Pser+hr3+IElを導入した中部絹糸腺で のルシフェラ一ゼ相対活性は、それぞれ、 1、 5.2、 3.7、 31.4 であった。この ように、 hr3 および IE1 は、それぞれ単独でもセリシン 1プロモーターの転写 活性を増強するが、 hr3 および IE1 の両方が存在したときに、転写活性の増強 効果は極めて高くなることが明らかになった。

実施例 2

トランスジエニックカイコ作製用ベクターの作製

5 ' 末端がリン酸化されたオリゴヌクレオチド 5 ' -AATTCCTTAAGCTCGAGT CGCGA-3 ' (配列番号 1 0 ) と 5 ' -AATTTCGCGACTCGAGCTTAAGG-3 ' ( 配列番号 1 1 ) をアニーリングさせた 2本鎖オリゴヌクレオチドを作製した。こ の 2本鎖オリゴヌクレオチドは、 AfllL XhoL Nrul の制限酵素認識配列を有し、 両末端は EcoRI サイトに連結可能な構造をしている。マーカー遺伝子として眼 や神経系で発現する赤色蛍光タンパク質(DsRed) 遺伝子を有する piggyBacベ クタ一である pBac[3xP3- DsRed/pA】 (Nat. Biotechnol. 21 , 52-56 (2003) ) の EcoRIサイトに、この 2本鎖オリゴヌクレオチドを挿入し、 pBac[3xP3-DsRed/pA]ベクタ一に AflII、 XhoL Nrulの制限酵素認識配列を挿入した。

実施例 1のベクター [3] (hr3とセリシン 1プロモーターの下流に IE 1の ORF を有するベクター)をテンプレートとした PCRによって、セリシン 1 プロモー 夕一おょぴ IE10RFからなる DNA断片を増幅した。 PCR に用いたプライマ一

は、 5 ' -GAATTCAGTCGAATTTCGACTACTGCG-3' (配列番号 1 2 ) および 5'-GAATTCCAGGAGTGGGCATACTCTTG-3' (配列番号 1 3 ) であり、それぞ れの 5 ' 末端に EcoRIサイトが付加されている。従って、得られた DNA断片の 両末端には EcoRIサイトが付加されている。この DNA断片を EcoRIで消化し、 前記した AflII、 XhoL Nrul を有する piggyBacベクタ一の EcoRIサイトに揷 入した。

同様にして、実施例 1のべクタ一 [2〗 (hr3 とセリシン 1 プロモ一夕一の下流 にホ夕ルルシフェラ一ゼ遺伝子を有するベクター)をテンプレートとした PCR によって、 hr3 とセリシン 1プロモ一夕一からなり、かつ両末端に Xholサイト を 有した DNA 断片を増幅した。用いたプライマ一は、 5 ' -CTCGAGGATATCGAATTCCTGCAGCC-3' (配列番号 1 4 ) および 5 ' -CTCGAGCCCGATGATAAGACGACTATG-3' (配列番号 1 5 ) である。増幅した DNA 断片を Xhol で消化した後、前記のセリシン 1 プロモータ一および IE10RFを挿入した piggyBacベクタ一の Xholサイトに挿入した。

最後に、 Gateway ベクタ一コンパ一ジョンシステム(Invitrogen) を用いて、 上記のベクターの Nrulサイトに、ラムダファ一ジ由来の部位特異的組換えサイ トである attRlおよび attR2 を含む DNA断片(Gatewayカセット)を挿入し た (pMSG2:図 2) 。この DNA断片を挿入することにより、 Gateway システ ム (Invitrogen) を利用して、発現させたい任意の遺伝子を、 hr3 を付加したセ リシン 1 プロモーターの下流に組み込むことが可能となる。組み込まれた任意 の遺伝子は、 hr3 を付加したセリシン 1 プロモーターによって、中部絹糸腺に て高発現する。さらに、同ベクター内に組み込まれている IE IORF から合成さ れた IE1 タンパク質によって、その発現は増強される。ベクタ一に組み込まれ た IEIORFの上流には、 hr3 とセリシン 1 プロモーターがあるため、 IE1 タン パク質は中部絹糸腺で高発現する。従って、中部絹糸腺における任意の遺伝子の 発現は、非常に高いレベルに達する。

実施例 3

緑色蛍光タンパク質をセリシン層に分泌するトランスジエニックカイコの作出

ヒトカルレティキユリンのシグナルぺプチドをコードする配列を含むプライマ

GGCCGTCGCCGTGAGCAAGGGCGAGGAG-3 ' :配列番号 1 6 ) および EGF Pの終止コドンを含むプライマ一(5, -TTTACTTGTACAGCTCGTCCATGC-3 ' :配列番号 1 7 ) を用い、 pEGFP (Clontech) をテンプレートにした PCR によって、ヒトカルレティキュリンのシグナルペプチドをコードする配列を 5 ' 末端に付加した EGFPの cDNAを作製した。得られた cDNA断片を pENTRベ クタ一(Invitrogen) に組み込み、さらに Gatewayシステムを利用して

pMSG2に揷入し、分泌型 EGFPを発現するべクタ一(pSEM2) を構築した。

pSEM2 を塩化セシウム超遠心法で精製した後、 pSEM2 とへルパープラスミ ドである pHA3PIG (Nat. Biotechnol. 18, 81-84 (2000)) とをプラスミド量が 1 : 1 になるように混合し、さらにエタノール沈殿を行った後、 pSEM と pHA3PIG のそれぞれの濃度が 200 z g/ml なるようにインジェクションバッフ ァ一 (0.5 mMリン酸バッファー pH 7.0, 5 mM KC1) に溶解した。この DNA 溶液を、産卵後 2〜 8時間の前胚盤葉期のカイコ卵(カイコ胚)に、一つの卵あ たり約 15? 20 nlの液量で微量注入した。合計 3466個の卵に微量注入を行つ た。

ベクター DNA を微量注入した卵を 25 でインキュベートしたところ 553 個 の卵が孵化した。孵化したカイコの飼育を続け、得られた生殖可能な成虫を交配 し、 143 グループの F1卵塊を得た。産卵日から 5〜6 日目の F1卵塊を蛍光実 体顕微鏡で観察することにより、眼や神経系から赤色蛍光を発するトランスジェ ニックカイコの卵をスクリーニングした。その結果、トランスジエニックカイコ の卵を含む卵塊を 7 グループ得ることができた。得られた卵塊を孵化させ飼育 したところ、 6 グループの卵塊に由来する卜ランスジエニックカイコは、吐糸期 に達する前に死滅したが、 1 グループの卵塊に由来するトランスジエニックカイ コは、正常に繭を作り蛹となり、さらに羽化して生殖能力を有した成虫になった。 そこで、野生型のカイコと交配して、トランスジエニック系統を樹立した。

pSEM2 によって作出されたトランスジエニックカイコは、 5齢期になると、 その中部絹糸腺から強い緑色蛍光を発した。さらに、吐糸期になると、緑色蛍光 を発する繭糸を吐き出し繭を作った。このように、トランスジエニックカイコは、 中部絹糸腺で EGFPを合成し、繭糸のセリシン層に EGFP を分泌していること が示唆された。そこで次に、繭糸をタンパク質変性剤を含まない中性緩衝液に浸 し EGFP の抽出を試みた。繭糸をハサミで断片化した後、 1% triton-X を含む PBS に懸濁し、 4°Cにおいて 48 時間インキュベートした。同様にして、野生型 カイコの繭糸、および pMOSRA-7 ベクタ一(Nat. Biotechnol. 21 , 52-56 (2003) ) によって作出されたトランスジエニックカイコの繭糸(不溶性のフィ プロイン層にフイブ口イン L 鎖、ミニコラーゲンの三重らせん領域および EGFPの融合タンパク質を含んでいる)の断片も、 1% Triton-Xを含む PBS中 でインキュベートした。遠心して繭糸断片を取り除き、それぞれの抽出液を蛍光 実体顕微鏡にて観察した。その結果、 pSEM2 によって作出されたトランスジェ ニックカイコの繭の抽出液のみから緑色蛍光が検出された。抽出液中から緑色蛍 光が検出されたことは、セリシン層中に分泌された EGFP が、立体構造の変性 を伴わずに、中性緩衝液中に抽出されたことを示している。

さらに抽出液に含まれるタンパク質を電気泳動してウエスタンブロット解析を 行った。抽出液を等量の SDSサンプルバッファーと混合し、 5分間 95°Cで加熱 した。この試料を SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Nature 227, 680-685, 1970) に供し、 Matsudaira らの方法(J. Biol. Chem. 262, 10035-10038, 1987) に準じて、泳動されたタンパク質をニトロセルロース膜 BA85 ( S&S) に転写した。このニトロセルロース膜をブロッキング液(5 % Skim milk/ 50 mM トリス塩酸緩衝液 pH 7.5、 150 mM NaCl) で室温において 1 時間処理した後に、ブロッキング液で 1000 倍に希釈した抗 EGFP ポリクロー ナル抗体 (Clontech) と室温で 1 時間反応させた。次に、 Tween20 を含む TBS ( 50 mM トリス塩酸緩衝液 pH 7.5、 150 mM NaCl) で 3000倍に希釈し たペルォキシダーゼ標識抗ゥサギ IgG抗体(Cell Signaling Technology) と室 温で約 1時間反応させた。最後に、抗体が反応したタンパク質を ECL Western Blotting Detection Reagents (Amersham Biosciences) ¾: /¾レて検出し。 その結果、野生型カイコの繭および pMOSRA-7ベクターによって作出されたト ランスジエニックカイコの繭の抽出液からは、 EGFP抗体と反応するパンドは検 出されなかったが、 pSEM2 ベクターを用いて作出されたトランスジエニック力 ィコの繭抽出液からは、 EGFPの分子量と一致する 27 kDaの位置に、明瞭なパ ンドを検出することができた(図 3) 。

以上の結果から、 pSEM2 ベクターによって作出されたトランスジエニック カイコの繭には、タンパク質変性剤を含まない中性緩衝液で抽出することができ る組換え EGFPが含まれていることが確認できた。このように、 pMSG2ベクタ —に挿入した組換えタンパク質遺伝子は、フィプロインなどの絹タンパク質との 融合タンパク質ではなく、組換えタンパク質単独で発現および分泌させることが でき、さらにタンパク質の高次構造を変性させることなく、中性緩衝液にて繭か ら抽出できることが明らかとなった。

実施例 4

カイコセリシン 2遺伝子 5'上流領域配列のクローニング

カイコセリシン 2遺伝子の 5 ' 上流域配列については、転写開始点を + 1 とし た場合の塩基番号- 80〜+60 までの配列のみが報告されており(Gene 86, 177- 184, 1990) 、この配列のさらに上流域の配列は未だ知られていない。そ こで、セリシン 2遺伝子の配列が決定されていない 5'上流領域を、非対称 PCR によってカイコゲノム DNA より増幅し、配列決定を行った。非対称 PCR法と は、既知の配列に対してはその配列に特異的なプライマーをァ二一リングさせ、 未知の配列に対しては degenerate random. プライマーをアニーリングさせて PCR を行なうことにより、既知配列に隣接する未知配列を取得する手法である。 目的としない配列の増幅を防ぐために、既知配列特異的プライマーを nested プ ライマ一にして、複数回 PCRを行い、増幅産物を純化する。セリシン 2遺伝子 の既知の配列は、 Michailleらの論文(Gene 86, 177- 184, 1990) に記載され ている、転写開始点の塩基を + 1 とした時の、塩基番号- 80 から塩基番号 +60 ま での塩基配列を参考にして、配列特異的な nested プライマーとして、 GSP- A ( 5'-TGGGATCTTCATGATGACTCGTGTGGCTC-3':配列番号 1 8 ) 、 GSP-B ( 5'-GACAGACCACCTTTATATAGCCGGTGCCAC-3':配列番号 1 9 ) 、 GSP-C ( 5'-GACAGTGCACGTCGGTCAAACTGTGTCAAC-3' :配列番号 2 0 ) の 3 つのプライマ一を設計した。テンプレートは、カイコ成虫の腹部から抽出したゲ ノム DNA 100 ng を用いた。非対称 PCR の反応は、 APAgene Locator Kit (Bio S&T Inc.) を使用して行なった。 degenerate randomプライマ一、酵素、 基質等は kitに付属のものを使用し、また、反応条件は全て kit付属のプロトコ ルに従った。その結果、約 1.5 k の DNA断片を増幅することができた。この 増幅産物を、 pCR4Blunt-TOPO ベクタ一(Invitrogen) にサブクローニングし、 ジデォキシ法によって塩基配列を決定した。塩基配列を配列番号 1に示す。

産業上の利用可能性

以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、中部絹糸腺で組換え夕 ンパク質遺伝子を発現することができ、かつ高い転写活性を有した遺伝子発現制 御配列からなるポリヌクレオチドが提供される。さらに、このポリヌクレオチド を含むベクタ一、およびこのべクタ一を用いて作製されたトランスジエニック力 ィコ、並びに、このトランスジエニックカイコが作った繭から組換えタンパク質 を抽出する組換えタンパク質の製造方法が提供される。この発明を利用すれば、 様々な組換えタンパク質を、絹タンパク質との融合タンパク質ではなく単独の夕 ンパク質として、カイコの繭中に分泌させることができ、さらに、組換えタンパ ク質を変性させることなく、容易に繭から抽出することができる。従って、医療、 食品、化粧品、繊維などの様々な産業分野で利用可能な組換えタンパク質を、大 量にかつ容易に生産することが可能となる。