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1. (WO2006038475) 燃料電池および燃料電池用セパレータ
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明 細書

燃料電池および燃料電池用セパレータ

技術分野

[0001] 本発明は、携帯機器用電源、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージ エネレーシヨンシステム等に使用される燃料電池、特に高分子電解質型燃料電池の セパレータ板の改良に関する。

背景技術

[0002] 高分子電解質型燃料電池は、水素などの燃料ガスと空気などの酸化ガスをガス拡 散電極によって電気化学的に反応させて、電気と熱とを同時に発生させるものである 。図 9は、従来の高分子電解質型燃料電池の構成を示す概略断面図である。この高 分子電解質燃料電池 111は、基本的には陽イオン (水素イオン)を選択的に輸送す る高分子電解質膜 101、および高分子電解質膜 101の両面に配置された一対の電 極 (アノードおよび力ソード) 104からなる。電極 104は、電極触媒 (例えば白金金属 など)を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層 102と、触媒層 102の外面に形 成され通気性および導電性を兼ね備えたガス拡散層 103とからなる。

[0003] 高分子電解質膜 101および電極 104で構成される膜電極接合体 (MEA) 110の 外側には、当該 MEAを機械的に固定するとともに、隣接する MEA110を互いに電 気的に直列に接続し、さらに電極 104に燃料ガスまたは酸化剤ガス (反応ガス)を供 給し、かつ反応により発生したガスや余剰のガスを運び去るためのガス流路を有する セパレータ板 120、 130が配置される。また、燃料ガスや酸化剤ガスが電池外にリー クしたり、互いに混合したりしないように、電極 104の周囲には高分子電解質膜 101 を挟んでガスシール材 106が配置され、さらには冷却水が電池外にリークしないよう に、 Oリング 124、 125も配置される。

[0004] ガス流路 122、 132は、セパレータ板 120、 130と別に設けることもできる力図 9に 示すように、セパレータ板 120、 130の表面に溝を設けてガス流路 122とする方式が 一般的である。

セパレータ板 120、 130の他方の面には、電池温度を一定に保っための冷却水を

循環させる冷却水の流路 123、 133が設けられる。冷却水を循環させることにより、反 応により発生した熱エネルギーは、温水などの形で利用することができる。

[0005] この種の燃料電池においては、特に力ソード側で電池反応によって生成する水が セパレータ板 130のガス流路 132に滞留しやすぐ生成水の量が甚だしい場合は完 全にガス流路 132を塞いでしまう。これをフラッデイング現象という。フラッデイング現 象は、生成水によるものだけでなぐ供給ガスが過剰に加湿されている場合にも発生 し得る。そして、いったんフラッデイング現象が発生すると、その部分にはガスが流れ なくなり、電池性能が急激に低下して、電池として機能しなくなる可能性がある。

[0006] このような問題に対して、例えば特許文献 1には、セパレータ板のガス流路の下流 側に親水性処理を行うことで、燃料電池内部の残留水を効率よく燃料電池外に排出 することを意図した方法が開示されている。また、例えば特許文献 2では、セパレータ の表面性状が親水性である力撥水性であるかにかかわらず、凸部と電極構造体との 接触角度を、セパレータ表面に対する水の接触角度よりも小さくすることで、ガス流路 に滞留する水の排水性を高めることを意図した方法が開示されている。

特許文献 1:特開 2002— 298871号公報

特許文献 2 :特開 2003— 197213号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 上記特許文献 1によれば、ガス流路の出口部に親水化処理が施されているため、 電池内部で発生する生成水や供給ガス中の過剰の加湿により発生する凝縮水など の残留水を効率よく排出することができる可能性がある。

しカゝしながら、特にガスが過剰に加湿された場合やガス流速が小さい場合には、ガ ス流路の上流部においても残留水が滞留してフラッデイング現象が発生する。また、 ガス流路の出口部分の内面全体に親水処理を行っているため、流路全体が水に覆 われると流路全体に水が滞留し、フラッデイング現象が発生するおそれがある。

[0008] また、上記特許文献 2の方法によれば、セパレータ板の表面性状にかかわりなぐ 凸部と電極構造体との接触角度を、セパレータ表面に対する水の接触角度よりも小 さくすればよいため、セパレータ板の構成材料の選択範囲 (採用範囲)を広くできる 可能性がある。また、セパレータ板の表面に特別な処理を行わなくてもよいので、省 プロセス化できる可能性もある。

し力しながら、この方法によれば、セパレータ板の凸部の電極構造体に対する接触 角度が一義的に決まってしまうため、セパレータ板設計の際の自由度が小さくなつて しまう。また、燃料電池の設置の仕方によっては、ガス拡散層とセパレータ板の界面 力も押し出された水がスムーズに燃料電池外に排出できなくなるおそれもある。

[0009] 以上のような問題点に鑑み、本発明は、ガス流速が小さくフラッデイング現象が発生 しゃすい状況になったとしても、フラッデイング現象を確実に防止することができ、安 定して運転を行うことのできる燃料電池を提供することを目的とする。さらに、本発明 は、ガス流速が小さくフラッデイング現象が発生しやすい状況になったとしても、フラッ デイング現象を確実に防止することができる燃料電池を容易且つ確実に構成するこ とが可能なセパレータ板を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

[0010] 上記課題を解決すべく、本発明は、

高分子電解質膜および高分子電解質膜を挟むアノードおよび力ソードを含む膜電 極接合体を、セパレータ板を介して接地面の法線方向に略垂直な方向に複数個積 層した燃料電池であって、

セパレータ板は、アノードと対向する面に燃料ガスを供給し力ソードと対向する面に 酸化剤ガスを供給するガス流路を有し、

ガス流路は、重力方向と交わるガス流路部分を有し、

ガス流路部分の内面における底面側の領域の親水性力ガス流路部分の内面に おける他の部分よりも高いこと、を特徴とする燃料電池を提供する。

[0011] ここで、ガス流路のうち重力方向と交わる「ガス流路部分」とは、例えばサーペンタイ ン型のガス流路の場合は、重力方向に略垂直な方向に延びる主たる流路 (長!/、流路 )部分のことをいう。したがって、本発明のセパレータ板のガス流路は、その全長にわ たって重力方向と交わって!/、る必要はな!/、。

本発明の燃料電池におけるセパレータ板の面内において、ガス流路全体における 上記ガス流路部分の割合 (面積)は、セパレータ形状や構造によって変化するため

一義的に決定することは出来ないが、本発明の効果を損なわない範囲で設定可能 であり、フラッデイングをより効果的に抑制するという観点から、 80%以上 100%未満 であることが好ましぐ 80%以上 98%以下であることがより好ましい。

[0012] また、セパレータ板のガス流路としては、複数の直線部と、隣接する直線部の端を 上流側から下流側へ連結するターン部と、からなるサーペンタイン形の流路が良く用 いられるが、この場合は、直線部またはターン部が重力方向と交わる。

本発明においては、セパレータ板のガス流路は、燃料電池の設置面に略平行な複 数の直線状の流路によって構成することもできる。この場合は、ガス流路の全長にわ たって、本発明による親水性の高、領域を設けるのが好ま U、。

[0013] 本発明の燃料電池においては、セパレータ板が上記のような構成をとることにより、 ガス流路内で液滴となった水力ガス流路の重力方向と交わるガス流路において、 当該ガス流路の内面の重力方向の下側の領域、即ち底面側の領域に滞留すること になる。本発明の燃料電池では、この底面側の領域の親水性を他の部分よりも選択 的に高く設定してあるため、水力なる液膜が底面側の領域上に優先的に形成され 、拡がってゆくので、ガス拡散層力もの水の排出をスムーズに行なうことができるととも に、当該ガス流路部分の上側は閉塞することなく開き、フラッデイングによるガス流路 の閉塞を防止することができる。

ここで、本発明において、「ガス流路部分の内面における底面側の領域」とは、上述 したように、ガス流路の内面うちの重力方向と交わる部分領域であり、かつ、当該部 分領域のうちの下側の部分領域 {ガス流路中にガスの流れが無いと仮定した場合に おいて、水の液滴 (ガス流路よりも小さい水の液滴)が当該液滴に力かる重力によりガ ス流路中を落下した際に、着弾する部分領域 }である。

[0014] 更に、本発明は、

高分子電解質膜および高分子電解質膜を挟むアノードおよび力ソードを含む膜電 極接合体を、セパレータ板を介して接地面の法線方向に略垂直な方向に複数個積 層した燃料電池に用いられるセパレータ板であって、

アノードまたは力ソードにガスを供給するガス流路を有し、

ガス流路は、重力方向と交わるガス流路部分を有し、

ガス流路部分の内面における底面側の領域の親水性力ガス流路部分の内面に おける他の部分よりも高いこと、を特徴とする燃料電池用セパレータ板を提供するも のである。

[0015] このセパレータ板を用いれば、ガス流路内で液滴となった水力ガス流路の重力方 向と交わるガス流路において、当該ガス流路の内面の重力方向の下側、即ち底面側 の領域に滞留することになる。そのため、本発明のセパレータにより、この底面側の 親水性が他の部分よりも高いため、水は底面側に液膜となって拡がり、ガス拡散層か らの水の排出をスムーズに行なうことができるとともに、当該ガス流路部分の上側が開 いているため、フラッデイングによるガス流路の閉塞を防止することができる信頼性の 高 、燃料電池を容易且つ確実に構成することができる。

発明の効果

[0016] 以上のように、本発明によれば、燃料電池セパレータのガス流路中の特定の部分 に親水性を選択的に付与し、他の部分よりも水の接触角を小さくすることで、ガス流 速が小さい場合でも、従来に比べてフラッデイング現象を確実に防止し、安定した運 転が行える信頼性の高い燃料電池を提供することができる。また、本発明によれば、 上記本発明の燃料電池を容易且つ確実に構成することのできる燃料電池用セパレ 一タ板を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]本発明の燃料電池の第一実施形態の基本構成を示す概略縦断面図である。

[図 2]図 1に示した燃料電池 100のセパレータ板 30の要部拡大断面図である。

[図 3]本発明の燃料電池の第二実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板の要 部拡大断面図である。

[図 4]本発明の燃料電池の第三実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板の要 部拡大断面図である。

[図 5]図 1に示した燃料電池 100の設置状態の変形例を説明するための図である。

[図 6]本発明の実施例および比較例の燃料電池の電流電圧特性を示すグラフで ある。

[図 7]本発明の実施例および比較例の燃料電池の空気利用率を変えた場合の平均 電圧の変動を示すグラフである。

[図 8]本発明の実施例の燃料電池の電流電圧特性を示すグラフである。

[図 9]従来の燃料電池の基本構成を示す概略縦断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0018] 以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以 下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略す ることちある。

[第一実施形態]

図 1は、本発明の燃料電池の第一実施形態の基本構成を示す概略断面図である。 この高分子電解質燃料電池 100は、基本的には陽イオン (水素イオン)を選択的に 輸送する高分子電解質膜 1、および高分子電解質膜 1の両面に配置された一対の 電極 (アノードおよび力ソード) 4からなる。電極 4は、電極触媒 (例えば白金金属など の貴金属)を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層 2と、触媒層 2の外面に形 成され通気性および導電性を兼ね備えたガス拡散層 3とからなる。

[0019] 上記の高分子電解質膜 1および電極 4で構成される膜電極接合体 (MEA) 10の外 側には、当該 MEAを機械的に固定するとともに、隣接する MEA10を互いに電気的 に直列に接続し、さらに電極 4に燃料ガスまたは酸化剤ガス (反応ガス)を供給し、か つ反応により発生したガスや余剰のガスを運び去るためのガス流路を有するセパレ ータ板 20、 30が配置される。また、燃料ガスや酸化剤ガスが電池外にリークしたり、 互いに混合したりしなヽように、電極 4の周囲には高分子電解質膜 1を挟んでガスシ ール材 6が配置され、さらには冷却水が電池外にリークしないように、 Oリング 24、 25 が配置される。このように構成された MEA10の複数個を、セパレータ板を介して交 互に積層して燃料電池のセルスタックを構成する。

[0020] ガス拡散層 3を構成する材料としては、特に限定されることなぐ当該分野で公知の ものを使用することができる。例えばカーボンクロスやカーボンペーパーなどの導電 性多孔質基材を用いることができる。

また、触媒層 2は、貴金属からなる電極触媒を担持した導電性炭素粒子と、陽ィォ ン (水素イオン)伝導性を有する高分子電解質と、分散媒と、を含む触媒層形成用ィ

ンクを用いて、当該分野で公知の方法により形成することができる。

さらに、 MEA10も、上記のような高分子電解質膜 1、触媒層 2およびガス拡散層 3 から、当該分野で公知の技術によって作製することができる。

[0021] 本発明の燃料電池は、上述したように、主として、セパレータ板 20、 30のガス流路 22、 32に特徴を有する。ガス流路 22、 32の表面には溝を設けてガス流路 22、 32が 形成されている。また、セパレータ板 20、 30の他方の面には、電池温度を一定に保 つための冷却水を循環させる冷却水の流路 23、 33が設けられる。ここに冷却水を循 環させることにより、反応により発生した熱エネルギーは、温水などの形で利用するこ とがでさる。

[0022] 本発明の燃料電池におけるセパレータ板は、アノード側セパレータ板 20と力ソード 側セパレータ板 30とを含み、両者間に冷却水の流路が形成されている。アノード側 セパレータ板 20は、アノードと対向する面に、アノードへ燃料ガスを供給する燃料ガ スの流路 22を有し、反対側の面には、冷却水の流路 23を有する。力ソード側セパレ ータ板 30は、力ソードと対向する面に、力ソードへ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス の流路 32を有し、反対側の面には、冷却水の流路 33を有する。

[0023] 隣接する単セルのアノード側セパレータ板 20と力ソード側セパレータ板 30との間に は、流路 23と 33とにより形成される 1組の冷却水の流路が形成される。アノード側セ パレータ板 20には、冷却水の流路 23を囲むように溝 24が形成されており、ここに Oリ ング 25をはめ込むことにより、セパレータ板 20と 30との間から冷却水が外部へ漏洩 するのを防止する。

[0024] 図 1においては、各単セル間に冷却水の流路が形成されている力単セル 2〜3個 毎に冷却水の流路を配置してもよい。単セル間に冷却水の流路を形成しない場合は 、一方の面に燃料ガスの流路を設け、他方の面に酸化剤ガスの流路を設けた、ァノ 一ド側セパレータ板と力ソード側セパレータ板とを兼ねる単一のセパレータ板を使用 することも可會である。

また、セパレータ板の材質としては、金属製、カーボン製、黒鉛と榭脂を混合した材 料などがあり、幅広く使用することができる。例えばカーボン粉末とバインダーとの混 合物を射出成形して得られるセパレータ板や、チタンやステンレス鋼製セパレータ板 の表面に金メッキを施したものなども使用することができる。

ここで、本発明の燃料電池は、図 1のように、 MEAがセパレータ板を介して燃料電 池の接地面 Pの法線方向に略垂直な方向に複数個積層されて構成されており、図 1 においては図中 Z軸が示す上下方向が重力方向となる。

[0025] 以下においては、燃料電池 100に搭載されるセパレータ板 (本発明のセパレータ板 の第一実施形態)について図面を参照しながらさらに詳しく説明する。

図 2は、図 1に示した燃料電池 100のセパレータ板 30の要部拡大断面図である。 特に、図 2は、図 1に示したセパレータ板 30のうちの力ソード側セパレータ板 30Aと、 当該力ソード側セパレータ板 30Aに接する力ソードのガス拡散層 3の要部を、電池の 接地面 Pに略垂直な方向に沿って切断した場合の要部拡大断面図である。したがつ て、図 2に示されているガス流路は、重力方向と交わる流路である。セパレータ板 30 Aの酸化剤ガスの流路 32Aは、セパレータ板の表面に開口するように設けた溝によ つて構成されている。この溝は、ガス拡散層 3により覆われたとき、断面が矩形の流路 となる。燃料電池 100では、この矩形の底辺の部分 c (即ち重力方向と交わるガス流 路 32Aの内面のうちの底面側の領域)の親水性が、先に述べた矩形の他の 2辺の部 分 aおよび bの親水性よりも大きく設定されている。

[0026] このような構成によって、まず、電極 4の主面の略法線方向(図中、矢印 Xで示され る方向)に、ガス拡散層 3からガス流路 32Aに生成水が排出される力ガス拡散層 3 は通常ある程度の撥水性を有するため、この排出された生成水は、ガス拡散層 3側 には戻らない。そして、ガス流路 32Aの矩形の底辺側の部分 c (即ち重力方向と交わ るガス流路 32Aの内面のうちの底面側の領域)の親水性が、他の 2辺の部分 aおよび bの親水性より大きいため、重力だけの作用を受ける場合に比べて、生成水はガス流 路 32Aの重力方向の下方部分に向力つて(つまり図中、矢印 Yの方向に略平行な方 向に向力つて)より落ち易くなり、矩形の底辺の部分 cの領域に優先的に移動して滞 留し易くなる。

[0027] そして、この底辺側の部分 cの領域の親水性が他の部分よりも高いため、生成水は 液膜となって拡がってガス流路 32Aの上側にはガスの流通可能な空間が確保され 易くなり、したがって、生成水は、図中のガス流路 32Aの矩形断面の略法線方向(紙 面に略垂直な方向)に沿ってガス流路 32Aをスムーズに流れて排出される。即ち、ガ ス拡散層からの水の排出をスムーズに行なうことができるとともに、当該ガス流路 32A の少なくとも上側は閉塞することなく開き、フラッデイングによるガス流路の閉塞を防 止することができる。

このように、燃料電池 100においては、ガス拡散層 3からの水の排出がスムーズに 行なわれる。また、生成水の有無にかかわりなぐガス流路 32Aの他の部分で液滴と なった余剰水も、この領域で液膜となって拡がり、ガス流路 32Aを閉塞することがなく なる。

[0028] なお、ガス流路 32Aの内面の親水性の程度は、水に対する接触角を測定すること により確認することができる。親水化された領域に対する水の接触角は、他の部分に 対する水の接触角よりも小さくなつている。これにより、ガス流路 32Aの底面側の領域 で、生成水や余剰水がより液膜となって拡がりやすくなり、フラッデイングを防止するこ とができる。また、カロえて、ガス流路 32Aの底面側の領域に対する水の接触角をガス 拡散層に対する水の接触角より小さくした場合にも、ガス拡散層表面力もガス流路 3 2Aへの水のスムーズな移動が生じるため、フラッデイングを防止できる。

[0029] 燃料電池 100の設計条件、配置条件、運転条件等によって、ガス流路 32Aの底面 側の領域に対する水の接触角の最適値は一義的に規定することはできないが、ガス 流路 32Aの底面側の領域に対する水の接触角を概ね 0〜50° にしておけば十分な 効果が得られる。

なお、水の接触角は、例えば、協和界面化学 (株)製の FACE X— 150などを用 いて測定することができる。また、例えばウィルヘルミ法を用いて測定することもできる

[0030] ガス流路 32Aの底面側の領域を親水化する方法としては、先に述べた本発明の効 果を得られる限りにお、ては特に制限はな、が、例えば酸ィ匕アルミなどの微粉末を 吹き付けるブラスト処理によって当該部分の表面性状を変化させる方法や、紫外線 照射処理やプラズマ処理により親水性官能基を付与する方法などを用いることがで きる。

これらの処理方法の種類はセパレータ板の材質によって使い分けることができる。 例えばブラスト処理は、カーボン製セパレータ板および金属製セパレータ板に適用 することができ、プラズマ処理はカーボン製セパレータ板に適用することができる。

[0031] ブラスト処理による方法では、ブラスト処理によりセパレータ板の表面の面粗度 (Ra )を変化させ、結果的に水の接触角を小さくする。用いるセパレータ板の材質などに よっても変化するので一義的に規定することはできないが、カーボン製セパレータ板 の場合、 Raを大きくすることによって水の接触角を小さくすることができる。

一方、プラズマ処理による方法においては、減圧下で行っても大気圧下で行っても よい。また、オゾン雰囲気で紫外光を照射する紫外線照射処理であってもよい。

[0032] また、上記とは反対に、ガス流路 32Aの内面のうち底面側の領域を除いて撥水処 理をすることによって、結果的に底面側の領域の親水性を高めることもできる。この場 合、底面側以外の部分にポリエチレンテレフタレート(PTFE)ゃテトラフルォロェチレ ン一へキサフルォロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素榭脂のディスパージヨン を塗布し、乾燥して撥水性を付与することができる。もちろん、上記のように底面側の 領域に親水性を付与するとともに、底面側の領域を除いた部分に撥水処理を施して もよい。なお、撥水性を付与する方法は、これに限るものではない。

[0033] さらに、上記に加えて、ガス流路 32Aに面するガス拡散層 3側に撥水処理を行うこ とで、ガス流路 32Aの底面側の領域の親水性を高めることもできる。ガス拡散層 3は 本来的にある程度の撥水性を有している力ガス流路 32Aに面するガス拡散層 3側 に撥水処理を行うことで、本発明の効果をより確実に得ることができるようになる。

[0034] ガス拡散層 3に撥水処理を行う方法としては、ガス拡散層 3のガス流路に臨む部分 において、少なくともガス流路 32Aの形状と同様の形状に撥水処理を施せばよいが 、実質的な観点力はガス拡散層 3全体を撥水処理しておくのが好ましい。上記した カーボンペーパーやカーボンクロスなどの導電性多孔質基材を、 PTFEや FEPを含 むフッ素榭脂デイスパージヨンに浸漬し、乾燥して分散媒などを除去することによって 撥水処理を施すことができる。

[0035] [第二実施形態]

次に、本発明の燃料電池の第二実施形態について説明する。この第二実施形態 の燃料電池(図示せず)は、図 1に示した第一実施形態の燃料電池 100に於けるセ パレータ板 30を異なる構成に代えたものであり、セパレータ板 30以外の構成は第一 実施形態の燃料電池 100と同様である。

以下、第二実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板 (本発明のセパレータ 板の第二実施形態)について説明する。

[0036] 図 3は、第二実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板の要部拡大断面図で ある。より詳しくは、図 3は、第二実施形態の燃料電池のセパレータ板のうちのカソー ド側セパレータ板 30Bと、当該力ソード側セパレータ板 30Bに接する力ソードのガス 拡散層 3の要部を、電池の接地面に略垂直な方向に沿って切断した場合の要部拡 大断面図である。

第二実施形態の燃料電池の力ソード側セパレータ板 30Bのガス流路 32Bは、先に 述べた第一実施形態の燃料電池 100と同じくセパレータ板の表面に設けた溝によつ て形成される。ここでは、溝がガス拡散層 3により覆われたとき、ガス拡散層側を底辺 とする断面略台形の流路を形成する。この台形の側辺のうち下位の側辺の部分 cが、 重力方向と交わるガス流路 32Bの内面のうちの底面側の領域であり、この領域の親 水性を他の部分 aおよび bより大きくしている。

[0037] [第三実施形態]

次に、本発明の燃料電池の第三実施形態について説明する。この第三実施形態 の燃料電池(図示せず)は、図 1に示した第一実施形態の燃料電池 100に於けるセ パレータ板 30を異なる構成に代えたものであり、セパレータ板 30以外の構成は第一 実施形態の燃料電池 100と同様である。

以下、第三実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板 (本発明のセパレータ 板の第三実施形態)について説明する。

[0038] 図 4は、第三実施形態の燃料電池に備えられるセパレータ板の要部拡大断面図で ある。より詳しくは、図 4は、第三実施形態の燃料電池のセパレータ板のうちのカソー ド側セパレータ板 30Cと、当該力ソード側セパレータ板 30Cに接する力ソードのガス 拡散層 3の要部を、電池の接地面に略垂直な方向に沿って切断した場合の要部拡 大断面図である。

第二実施形態の燃料電池の力ソード側セパレータ板 30Cとこれに接する力ソードの ガス拡散層 3の要部を、電池の接地面に垂直な方向に切断した断面で示している。 力ソード側セパレータ板 30Cのガス流路 32Cは、上記第一実施形態の燃料電池 1

00および第二実施形態の燃料電池と同じくセパレータ板の表面に設けた溝によって 形成される。この溝は断面 U字状であり、その溝により構成されるガス流路の内面のう ちの底面側 eの領域の親水性を他の部分 dの親水性より大きくする。

[0039] 図 3および図 4に示したように、重力方向と交わるガス流路の内面のうちの底面側の 領域の親水性を他の部分の親水性より大きくすることにより、第一実施形態と同様の 効果が発揮され、フラッデイングを防止することができる。

[0040] 以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に 限定されるものではない。

例えば、上述の実施形態においては、図 1に接地面 Pとして示したように、燃料電池 が配置される「接地面」を重力方向に略直行する平滑な面 (地面)として説明したが、 本発明における「接地面」はこれに限定されるものではな、。本発明における「接地 面」とは、本発明の燃料電池が設置される設置スペースの状況に応じて変動し得るも のであり、水平方向に対してある程度の角度を有する斜面であっても構わない。例え ば、図 5に示すように、第一実施形態の燃料電池 100は、支持体 200を介して、水平 方向に平行な面 R (例えば地面)に対して斜めに傾ヽた常態で設置されて!ヽてもよ!/、 。この場合、燃料電池 100と支持体 200との接点 Sと、燃料電池 100と地面との接点 Tとの接線を含む面 Q力本発明にお、て、う接地面となる。

[0041] また、本発明において、セパレータ板に設けるガス流路の断面形状は、重力方向と 交わるガス流路の底面側の領域が親水化されていればよぐ特に限定されない。上 述の各実施形態を用いて説明した、矩形状、台形状及び U字状 (R形状)以外の形 状であってもよい。この親水性を大きくする領域は、燃料電池の動作条件や使用する 電解質膜電極接合体の種類によって、適宜変更することができる。概ねガス流路の 半分くら、までの領域の範囲で、適宜決定すればょ、。

[0042] 更に、上述の各実施形態では、力ソード側セパレータ板について、「ガス流路部分 の内面における底面側の領域の親水性が、当該ガス流路部分の内面における他の 部分よりも高くする」構成を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定 されず、アノード側セパレータ板にも同様に「ガス流路部分の内面における底面側の 領域の親水性が、当該ガス流路部分の内面における他の部分よりも高くする」構成を 適用することができる。更に、力ソード側セパレータ板及びアノード側セパレータ板に 同時に「ガス流路部分の内面における底面側の領域の親水性力当該ガス流路部 分の内面における他の部分よりも高くする」構成を適用してもよい。

[0043] また、燃料電池の設計およびコスト低減の観点から、フラッデイングが起こりやす!/ヽ どちらか一方のセパレータ板にのみ適用してもよい。更に、アノード側セパレータ板 および力ソード側セパレータ板でそれぞれ独立に、底面側の領域及びその他の領域 の位置、底面側の領域及びその他の領域の大きさ、底面側の領域の親水性及びそ の他の領域の親水性の設定することもできる。

実施例

[0044] 以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらのみに 限定されるものではない。

《実施例 1》

まず、触媒層を作製した。炭素粉末であるケッチェンブラック (ケッチェンブラックィ ンターナショナル (株)製の Ketjen Black EC、粒径 30nm)上に電極触媒である 白金を担持させて得られた触媒体 (50質量%が1^) 66質量部を、水素イオン伝導材 でありかつ結着剤であるパーフルォロカーボンスルホン酸アイオノマー(米国 Aldric h社製の 5質量%Nafion分散液) 33質量部 (高分子乾燥質量)と混合し、得られた混 合物を成形して触媒層(10〜20 μ m)を作製した。

このようにして得た触媒層と、ガス拡散層となるカーボンクロス(日本カーボン社製の カーボロン GF—20— 31E)とを、高分子電解質膜(米国 DuPont社の Nafionl l2 膜、イオン交換基容量: 0. 9meqZg)の両面にホットプレスにより接合し、 12cm角の アノードおよび力ソードを有する 18cm角の MEAを作製した。

[0045] っ、で、得られた MEAを用いて図 1に示す構造を有する本発明の燃料電池を組 み立てた。アノード側セパレータ板および力ソード側セパレータ板は、 160mm X 16 Omm X 5mmの外寸を有し、かつ幅 0. 9mm、深さ 0. 7mmのガス流路を有し、図 4 のような構造を有するフエノール榭脂を含浸させた黒鉛板 (カーボン製セパレータ板) を親水処理して組立に供した。

親水処理は、酸素プラズマ処理装置を用いて行った。酸素プラズマ装置としては、 減圧平行平板型の一般的な RFプラズマ装置を用い、 RF電源は 13. 56MHzの周 波数、出力 500W、酸素供給量は 500sccm、処理時間は 5分、チャンバ一内圧力は 0. 5Torrとした。

[0046] 親水処理する領域である部分 e以外の部分すべてに、あらかじめマスキング材を配 置して、特定部分領域のみにプラズマ処理されるようにした。プラズマ処理後の部分 eに対する水の接触角は 0° 、プラズマ処理してヽな、部分 dに対する水の接触角は 100° であり、部分 eが選択的に親水化されたことが確認された。

[0047] このように処理したアノード側セパレータ板および力ソード側セパレータ板を用いて 、単セル 80個を積層して燃料電池 (スタック)を作製した。このスタックのアノードには 水素ガスを、力ソードには空気をそれぞれ露点が 75°Cとなるように加湿して供給し、 冷却水の入口温度を 80°C、燃料利用率を 80%、空気利用率を 40%に調整して、電 池特性を調べた。

[0048] 電流密度を 0〜0. 8AZcm2に変化させたときの単セル 1個当たりの平均電池電圧 を図 6に示した。このとき、ガスの利用率は上述の値になるようにガス量を調節した。こ れより、電流密度が高い場合にも電池電圧の大きな低下は見られな力つた。また、電 流密度を 0. 3AZcm2に固定し、空気利用率 40%〜70%まで変化させたときの平 均電池電圧を図 7に示した。この結果、高い空気利用率でも電池電圧の低下は小さ ぐフラッデイングが抑制され、電池電圧は安定していた。

[0049] 《実施例 2および 3》

図 2および図 3のような構造を有するセパレータ板を用いた以外は実施例 1と同様 にして実施例 2および 3の燃料電池スタックを作製し、実施例 1と同様の電池試験を 行った。親水処理を行った部分は、図 2の部分 cおよび図 3の部分 cとした。

この結果、実施例 1と同様に高電流密度域でも電池電圧の大きな低下は見られず 電池電圧も安定していた。また、空気利用率を変化させた場合、実施例 1と同様に電 池電圧の低下も小さぐフラッデイングが抑制され、電池電圧は安定していた。

[0050] 《比較例 1》

ガス流路に親水処理を行わないセパレータ板を用いた以外は実施例 1と同様の構 成の燃料電池スタックを作製し、実施例 1と同様の電池試験を行った。

この結果、図 6に示すように、高電流密度域で電池電圧の大きな低下と不安定挙動 が観測された。また、図 7に示すように、空気利用率を変化させた場合、高い空気利 用率側、つまりガス流量が小さい時の電池電圧の低下が大きぐ電池電圧の安定性 が悪くなつた。

[0051] 《比較例 2》

ガス流路にマスキングを行わず流路全面に親水処理を行つたセパレータ板を用ヽ た以外は実施例 1と同様の構成の燃料電池スタックを作製し、実施例 1と同様の電池 試験を行った。

この結果、図 6に示すように、高電流密度域で電池電圧の低下と不安定挙動が観 測された。また、図 7に示すように、空気利用率を変化させた場合、高い空気利用率 側、つまりガス流量が小さい時の電池電圧の低下が大きぐ電池電圧の安定性は比 較例 1よりはやや向上した力実施例 1よりは悪くなつた。

[0052] 《実施例 4》

本実施例では、撥水処理したガス拡散層を用いた他は、実施例 1と同様の構成の 燃料電池スタックを作製し、実施例 1と同様の電池試験を行った。

本実施例においては、カーボンペーパーを、あら力じめテトラフルォロエチレン一 へキサフルォロプロピレン共重合体のデイスパージヨン(ダイキン工業 (株)製の ND —1 (商品名))と水を体積比 1 : 1の割合で混合した撥水処理液に浸潰し、乾燥後、 3 80°Cで焼成して撥水処理を施してガス拡散層とした。

[0053] 電流密度を 0〜0. 8AZcm2に変化させたときの電池電圧を、実施例 1と比較して 図 8に示した。この時、ガスの利用率は上述の値になるようにガス量を調節した。これ より、電流密度が高い場合にもフラッデイングが抑制され、電池電圧の大きな低下は 見られず、実施例 1より高電流密度域での電池電圧の低下が小さくなつた。

[0054] 《実施例 5》

本実施例においては、以下の処理を行ったセパレータ板を用いた他は実施例 1と 同様にして燃料電池スタックを構成し、実施例 1と同じ条件で電池特性を調べた。

即ち、図 2に示す構造を有するセパレータ板のガス流路の部分 aおよび部分 bに、 テトラフルォロエチレン一へキサフルォロプロピレン共重合体のデイスパージヨン(ダ ィキン工業 (株)製の ND— 1 (商品名))と水を体積比 1: 1の割合で混合した撥水処 理液を塗布し、乾燥後、 380°Cで焼成して撥水処理を施した。その後、実施例 1で使 用した酸素プラズマ装置を用いて、ガス流路の部分 cに親水処理を行った。それ以外 の部分すべてにはあらかじめマスキング材を配置して、部分 cのみにプラズマ処理さ れるようにした。最終的なセパレータ板の部分 cに対する水の接触角は 0° 、部分 aお よび bに対する水の接触角は 120° であった。

[0055] その結果、実施例 1と同様にフラッデイングが抑制され、高電流密度域でも電池電 圧の大きな低下は見られず電池電圧も安定してヽた。

産業上の利用可能性

[0056] 本発明の燃料電池は、フラッデイング現象が抑制され、安定した運転が行える。し たがって、携帯機器用の電源やポータブル機器用電源として利用可能である。また、 電気自動車用あるいは家庭用コージエネレーションシステムなどの燃料電池にも適 用可能である。