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1. (WO2006036004) テロメライシン-GFP遺伝子含有組換えウイルス
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テロメライシン - GFP遺伝子含有組換えウィルス

技術分野

本発明は、本発明は、癌細胞の検出用若しくは癌の診断用試薬並びに細胞 死誘導剤に関する。

背景技術

癌化した細胞又は不死化した細胞株においては、テロメラーゼ活性が増大 している頻度が高く、生殖系列の細胞、血球書系細胞、上皮系細胞等以外の正 常な体細胞ではテ口メラーゼの活性はほとんど検出されていない。従って、 テロメラーゼ活性を指標として癌を検出する試みがなされている(Shay JW, Zou Y, Hiyama Ε, Wright WE. Teiomerase and cancer. Hum Mol Genet 10(7):677-85, 2001) o

一方、生体内で癌組織や転移リンパ節を検出する試みは、画像診断の分野 で研究が進んでいる。例えば、 PET による生物学的診断やニューラルネッ トワークを駆使した画像解析などが報告されている。また、制限増殖型ウイ ルスの抗腫瘍活性や安全性を検討した研究報告も散見され(DeWeese TL, van der Poel H, Li S, Mikhak B, Drew R, Goemann M, Hamper U, DeJong R, Detorie N, Rodriguez R, Haulk T, DeMarzo AM, Piantadosi S, Yu DC, Chen Y, Henderson DR, Carducci MA, Nelson WG, Simons JW. A phase I trial of CV706, a replication-competent, PSA selective oncolytic adenovirus, for the treatment of locally recurrent prostate cancer following radiation therapy. Cancer Res 61(20):7464-72, 2001) 、本発明者も、テロメラーゼのプロモーターを有し、 かつ増殖能を有するウィルスを癌細胞に感染させることによ'り、ウィルスの 増殖により癌細胞を死滅ことができることを見出した (Kawashima T, Kagawa S, Kobayashi N, Shirakiya Y, Umeoka T, Teraishi F, Taki M, Kyo S, Tanaka N, Fujiwara T. Related Articles, Links Abstract Telomerase-specmc

replication-selective virotherapy for human cancer. Clin Cancer Res 10ひ): 285-92, 2004) 。

しかし、癌細胞へのターゲッティングの困難さから、術中の in situでの 癌検出システムは未だ開発されていない。また、ウィルスを生体内に感染さ せた場合の癌細胞内動態を、実際に癌組織の可視化に応用した研究はまだ知 られていない。

発明の開示

上記のように、これまで、生体内においても可視化が可能な癌細胞の検出 用若しくは癌の診断用試薬、並びに細胞死誘導剤の開発が望まれていた。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、蛍光標識 タンパク質をコードする遺伝子をウィルスゲノムの E3領域に組み込み、ヒ トテロメラーゼのプロモーター、 E1A遺伝子、 IRES配列及ぴ E1B遺伝子 をこの順に含む複製カセットを E1領域に組み込み、両カセットを発現させ ることにより、癌細胞を極めて高感度に検出し、しかも、生体内において検 出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は以下のとおりである。

( 1 ) ヒトテロメラーゼのプロモーター、 E1A 遺伝子、 IRES 配列及ぴ E1B遺伝子をこの順に含む複製カセットがウィルスゲノムの E1領域に組み 込まれ、かつ、標識タンパク質をコードする遺伝子及び該遺伝子の発現を制 御しうるプロモーターを含む標識力セットがウイルスゲノムの E3領域に組 み込まれた組換えウィルスを含む、癌細胞検出用試薬。

( 2 ) ヒトテロメラーゼのプロモーター、 E1A 遺伝子、 IRES 配列及ぴ E1B遺伝子をこの順に含む複製カセットがウィルスゲノムの E1領域に組み 込まれ、かつ、標識タンパク質をコードする遺伝子及び該遺伝子の発現を制 御しうるプロモーターを含む標識カセットがウィルスゲノムの E3領域に組 み込まれた組換えウィルスを含む、癌の診断用試薬。

上記(1 ) 及び(2 ) において、これらの試薬は、体内における検出、診

听又はナビゲーシヨン手術のために使用することができる。これらのヒトテ 口メラーゼプロモーターとして hTERTプロモーターを、標識タンパク質と して GFP を例示することができる。この標識タンパク質をコードする遺伝 子の発現を制御しうるプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウィル スプロモーター文は hTERTプロモーターを使用することができる。さらに ウィルスとしては、例えばアデノウィルスが挙げられる。

( 3 ) ヒトテロメラーゼのプロモーター、 E1A 遺伝子、 IRES 配列及び E 1B遺伝子をこの順に含む複製力セットがウィルスゲノムの E1領域に組み 込まれ、かつ、細胞死誘導関連タンパク質をコードする遺伝子及ぴ該遺伝子 の発現を制御しうるプロモーターを含む細胞死誘導カセットがウィルスゲノ ムの E3領域に組み込まれた組換えウィルスを含む細胞死誘導剤。

この場合、ヒトテロメラーゼのプロモーターが hTERTプロモーターであ つてもよい。また、細胞死誘導関連タンパク質としては、免疫関連タンパク 質、アポトーシス誘導タンパク質、及びテロメラーゼ関連タンパク質が挙げ られる。さらに、例えば、免疫関連タンパク質として PA28を、アポトーシ ス誘導タンパク質として TRAIL を、テロメラーゼ関連タンパク質として AU5 を例示することができる。また、細胞死誘導関連タンパク質の発現を 御しうるプロモーターがサイトメガロウィルスプロモーター又は hTERT プロモーターであってもよく、さらにウィルスがアデノウィルスであっても よい。本発明の細胞として、癌細胞を使用することもできる。

( 4 ) 上記(1 ) の試薬を癌細胞に感染させ、当該癌細胞から発する蛍光を 検出することを特徴とする、癌細胞の検出方法。

( 5 ) 上記(2 ) の試薬を癌細胞に感染させ、当該癌細胞から発する蛍光を 検出することを特徴とする、癌の診断方法。

( 6 ) 上記(3 ) の誘導剤を標的細胞に感染させることを特徴とする、該標 白勺細胞の細胞死を誘導する方法。

図面の簡単な説明

図 1は、テロメライシン- GFPの構造を示す図である。

図 2は、非增殖性ウィルスの増殖を示す図である。

図 3は、インビトロにおける Ad-GFP 共感染による癌細胞の検出結果を示 す図である。

図 4は、ィンビポにおける Ad-GFP 共感染によるヒト癌組織の検出結果を 示す図である。

図 5は、七ト月市癌細胞へのテロメライシン- GFP感染による形態学的変化を 示す図である。

図 6は、ヒト月巿癌細胞へのテロメライシン- GFP感染による GFP 蛍光発現 を示す図である。

図 7は、定量白勺リアルタイム PCR によるテロメライシン- GFP 増殖を示す 図である。

図 8は、ヒト大腸癌細胞へのテロメライシン- GFP 感染による GFP 蛍光発 現を示す図である。

図 9は、定量的リアルタイム PCR によるテロメライシン- GFP 増殖を示す 図である。

図 1 0は、正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF) へのテロメライシン- GFP 感染 による形態学的変化を示す図である。

図 1 1は、正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF) へのテロメライシン- GFP 感染 による GFP ¾光発現を示す図である。

図 1 2は、定量的リアルタイム PCR によるテロメライシン- GFP増殖の比 較を示す図である。

図 1 3は、蛍光イメージングによるテロメライシン- GFP の腫瘍内増殖 '複 製を示す図である。

図 1 4は、蛍光イメージングによるテロメライシン- GFP の腫瘍内増殖 '複 製を示す図である。 ·

図 1 5は、蛍光イメージングによるテロメライシン- GFP のリンパ節転移モ デルにおける月重瘍内増殖 ·複製を示す図である。

図 1 6は、ヌードマウスと HT29 ヒト大腸癌細胞を用いた同所性直腸癌モ デルにおける組織学的角析を示す図である。

図 1 7は、ヌードマウスと HT29 ヒト大腸癌細胞を用いた同所性直腸癌モ デルにおける開腹所見を示す図である。

図 1 8は、蛍光イメージングによる HT29 直腸腫瘍および傍大動脈リンパ 節におけるテロメラィシン- GFPの腫瘍内増殖 ·複製を示す図である。

図 1 9は、蛍光イメージングによる傍大動脈リンパ節におけるテロメライシ ン -GFPの腫瘍内増殖 ·ネ复製を示す図である。

図 2 0は、蛍光イメージングによる傍大動脈リンパ節におけるテロメライシ ン -GFPの腫瘍内増殖 ·ネ复製を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

以下、本発明を詳細 ίこ説明する。

本明細書に記載された参考文献は、参照として本明細書の全体に組み込まれ るものとする。

1 . 癌細胞検出用試薬及び検出方法

本発明は、ヒトテロメラーゼのプロモーター、 E1A遺伝子、 IRES配列及 ぴ E1B遺伝子をこの川頁に含む複製カセットがウィルスゲノムの E1領域に 組み込まれ、かつ、標識タンパク質をコードする遺伝子及ぴ該遺伝子の発現 を制御しうるプロモーターを含む標識カセットがウィルスゲノムの E3領域 に組み込まれた組換えクイルスを含む、癌細胞検出用試薬である。また、本 発明は、当該試薬を癌糸田胞に感染させ、当該癌細胞から発する蛍光を検出す ることを特徴とする、癌細胞の検出方法である。本発明において、「組換え ウィルス」とは、後述の複製カセットと標識カセットがゲノムに組み込まれ たウィルスをいう。用レヽられるウィルスは特に限定されないが、安全性等の 点からアデノウイルスが好ましい。また、アデノウイルスの中でも、使用の 簡便さ等の点からタイプ 5のアデノウィルスが特に好ましい ώ

本発明に使用される糸且換えウィルスは、アデノウィルスゲノムの E1領域 相当する領域に複製カセットが、及ぴアデノウィルスゲノムの Ε3領域に相 当する領域に標識カセットが組み込まれたものである。複製カセットは、ヒ トテロメラーゼプロモーター、 E1A 遺伝子、 IRES配列及び E1B遺伝子を この順に含むものであり、ヒトテロメラーゼプロモーターにより、 E1A遺 伝子、 IRES 配列及び E1B 遺伝子が駆動され、癌細胞特異的およびテロメ ラーゼ特異的に増殖 ·複製される。また、標識カセットは、プロモーター及 ぴ標識タンパク質をコードする遺伝子を含むものであり、例えば CMV (サ ィトメガロウィルス)プロモータースは hTERTプロモーターにより標識タ ンパク質をコードする遺伝子が駆動される(図 1 ) 。

「テロメラーゼプロモーター」は、テロメラーゼの転写開始部位を決定し、 その頻度を直接的に調節する。テロメラーゼとは、真核生物染色体の複製時 の短縮に拮抗して、テロメァ長を維持する酵素である。このようなテロメラ ーゼプロモーターの種類は、目的とする遺伝子の発現に用いるウィルスに対 応しうる、適切なプロモーターであればいかなるものでもよく、特に限定さ れるものではないが、例えば、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT) の プロモーターが好ましい。 hTERT fま、その 5' 末端の上流 1.4kbp の領域 には、多くの転写因子結合配列が確認されており、その領域が hTERTプロ モーターと考えられるが、中でも、翻訳開始部位の上流 181bp の配列が下 流の遺伝子発現に重要なコア領域である。本発明において、このコア領域を 含むものであれば、限定されずに使用することができるが、このコア領域を 完全に含む上流 378bp 程度の配列を hTERT プロモーターとして使用する のが好ましい。この 378bp 程度の酉己列は、 181bp のコア領域単独の場合と 比べて、その遺伝子発現効率が同等であることが確認されている。 455bp の長さの hTERTプロモーターの塩基配列を配列番号 1に示す。

hTERTプロモーターは、配列番号 1 に示される塩基配列のほか、配列番 号 1からなる DNAに対し相補的な塩基配列よりなる DNAとストリンジェ ントな条件でハイブリダィズし、かつ hTERTプロモーター活性を有するヌ クレオチドの塩基配列も含まれる。このようなヌクレオチドは、配列番号 1 で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、又はその断片をプローブとし て、コロニーハイブリダィゼーシヨン、プラークハイブリダイゼーション、サ ザンブ口ット等の公知のハイブリダイゼーション法により、 cDNA ライブラリ 一及びゲノムライブラリーから得ることができる。 cDNA ライブラリ一の作製 方法につレヽては、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」 (Cold Spring Harbor Press (1989))を参照することができる。また、市販の cDNAラ イブラリー及ぴゲノムライプラリーを用いてもよ、。

上記ハイブリダィゼーシヨンにおいてストリンジェントな条件としては、 たとえば、 1 X SSC〜2 X SSC、 0.1%〜0.5%SE>S 及び 42°C〜68°Cの条件が 挙げられ、より詳細には、 60〜68°Cで 30分以上プレハイブリダィゼーショ ンを行った後、 2 X SSC、 0.1%SDS中、室温で 5〜15分の洗浄を 4〜6回行 う条件が挙げられる。

ハイブリダイゼーション法の詳細な手順にっレ、ては、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」 (Cold Spriag Harbor Press (1989);特に Section9.47-9.58)等を参照することができる。

本発明において、 E1A遺伝子、 IRES配列び E1B遺伝子をこの順に含 むこととしたのは、 IRES配列を E1A遺伝子と E1B遺伝子との間に挿入し たものを使用すると、ウィルスが宿主細胞に感染した際に、増殖能が高くな るためである。なお、 E1A遺伝子と E1B遺伝子は、 E1 遺伝子に含まれる 遺伝子であるが、この E1遺伝子とは、ゥイノレスの有する DNA複製に関す る初期遺伝子(early:E) と後期遺伝子(late:L) のうちの初期遺伝子の一 つをいい、ウィルスゲノムの転写の制御に係わるタンパク質をコードしてい る。 E1A遺伝子によりコードされる E1Aタンパク質は、感染可能なウィル ス産生に必要な遺伝子群(E1B、 E2、 E4等)の転写を活性化する。 E1B遺 伝子でコードされる E1Bタンパク質は、後期遺伝子(L遺伝子)の mRNA 力 感染した宿主細胞の細胞質へ蓄積するのを助け、宿主細胞のタンパク質 合成を阻害することで、ウィルスの複製を促進する。 E1A遺伝子、 E1B 遺 伝子の塩基配列を、それぞれ配列番号 2及び酉列番号 3に示す。

E1A及ぴ E1Bは、それぞれ配列番号 2及び配列番号 3に示される塩基配 列のほか、配列番号 2及び配列番号 3からなる DNAに対し相補的な塩基配 列よりなる DNAとストリンジヱントな条件でハイブリダイズし、かつ各々 E1A及び E1B活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。

このような塩基配列は、それぞれ配列番号 2及び配列番号 3で表される塩基配 列からなるポリヌクレオチド、又はその断片をプローブとして、コロニーハイ プリダイゼーシヨン、プラークハイブリダィゼーシヨン、サザ'ンブロット等の 公知のハイブリダイゼーシ 3ン法により、 cDNA ライブラリ一及びゲノムライ ブラリーから得ることができる ώ cDNA ライブラリーの作製方法については、 「Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.J (Cold. Spring Harbor Press (1989》を参照することができる。また、市販の cDNAライブラリ一及び ゲノムライブラリーを用いてもよい。上記ハイプリダイゼーションにおいて ストリンジェントな条件としては、たとえば、 1 X SSC〜2 X SSC、 0·1%〜 0.5%SDS 及び 42°C〜68°Cの条件が挙げられ、より詳細には、 60〜68°Cで 30 分以上プレハイブリダィゼーシヨンを行った後、 2 X SSC、 0.1%SDS 中、 室温で 5〜15分の洗浄を 4〜6回行う条件が挙げられる。 /、イブリダイゼー ション法の詳細な手 j頃については、「 Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.」(Cold Spring Harbor Press (1989); に Section9.47-9.58)等を参照することができる。

IRESdnternal Ribosome Entry Site)とは、ピコルナウィルス科に特異的 なタンパク質合成開始シグナルであり、 18S リポソーム RNAの 3'末端と相 補的な配列があるためリポソーム結合部位としての役割を果たすと考えられ ている。ピコルナウィルス科のウィルス由来 mRNA はこの配列を介して翻 訳されることが知られている。 IRES 配列からの翻訳効奪は高く、 mRNA の途中からでもキヤップ構造非依存的にタンパク質合成が行われる。したが つて、本ウィルスでは、ヒトテロメラーゼのプロモーターこより E1A 遺伝 子と IRES配列の下流にある E1B遺伝子の両方が独立に翻訳される。 IRES を使用すると、テロメラーゼプロモーターの発現制御が E1A 遺伝子、 E1B 遺伝子に独立して及ぶために、 E1A遺伝子あるいは E1B遺伝子のいずれか 一方をテロメラーゼプロモーターで制御する場合に比べて、 'ウィルスの増殖 をより厳格にテロメラーゼ活性を有する細胞に限定することができる。 IRES配列を配列番号 4に示す。

また、 IRES は、配列番号 4に示される塩基配列のほか、配列番号 4から

なる DNAに対し相補的な塩基配列よりなる DNA とストリンジェントな条 件でハイブリダイズし、かつ IRES活性を有するタンパク質をコードする塩 基配列も含まれる。このような塩基配列は、配列番号 4で表される塩基配歹 LIか らなるポリヌクレオチド、又はその断片をプローブとして、コロニーハイグリ ダイゼーシヨン、'プラークハイブリダィゼーシヨン、サザンブロット等の公知 のハイブリダイゼーション法により、 cDNA ライブラリー及びゲノムライプ-ラ リ一から得ることができる。 cDNA ライブラリーの作製方法について、 I Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.J (Cold Spring Harbor Press (1989))を参照することができる。また、市販の cDNAライブラリ一び ゲノムライブラリーを用いてもよい。上記ハイブリダィゼーシヨンにおいて ストリンジェントな条件としては、たとえば、 1 X SSC- 2 X SSC、 0.1% ~ 0.5%SDS 及び 42°C〜68°Cの条件が挙げられ、より詳細には、 60〜68°Cで 30 分以上プレハイブリダィゼーシヨンを行った後、 2 X SSC、 0.1%SDS 中、 室温で 5〜15分の洗浄を 4〜6回行う条件が挙げられる。ハイブリダイぜー シヨン法の詳細な手順については、「 Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed. J (Cold Spring Harbor Press (1989);特に Section9.47-9.58)等を参照することができる。

また、本発明において、ヒトテロメラーゼのプロモーターは E1遺伝チの 上流に有する。テロメラーゼ活性を有する細胞内で増殖を促進すること力で きるからである。

本発明の複製カセットに含まれる遺伝子は、通常の遺伝子工学的手法 ίこよ り得ることができる。例えば、遺伝子工学的手法として一般的に用いらて いる DNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。また、鎳 型となる遺伝子配列を単離又は合成した後に、それぞれの遺伝子に特異 0勺な プライマーを設計し、 PCR装置を用いてその遺伝子配列を増幅する PCR法 (Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987) Section 6.1-6.4)又はクローニングベクターを用いた遺伝子増幅法を用!/ヽる ことができる。上記方法は、 Moleculer cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等に従い、当業者ならば容易に行うことが

できる。得られた PCR産物の精製には公知の方法を用いることができる。 たとえば、ェチジゥムブ口マイドを用いる方法、 SYBR Greenl (Molecular probes 社)を用いる方法、 GENECLEAN(フナコシ)、 QIAGEN(QIAGEN 社)等によるァガロースゲルを用いる方法、 DEAE-セルロース濾紙を用いる 方法、フリーズ &スクイーズ法、透析チューブを用いる方法等がある。ァガ ロースゲルを用いる場合には、ァガロースゲル電気泳動し、 DNA 断片をァ ガロースゲルより切り出して精製する。必要に応じて、慣用の配列決定法に より期待された遺伝子が得られていることを確認することができる。例えば、 ジデォキシヌクレオチドチェーンターミネーション法 (Sanger et al. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463) 等により行うことができる。また、 適当な DNAシークェンサ一(例えば、 ABI PRISM (アプライドバイオシス テムズ社))を利用して配列を解析することも可能である。

その後、上記のようにして得られた各々の遺伝子を所定の順序となるよう に連結させる。まず、上記各々の遺伝子を公知の制限酵素等で切断し、切断 した当該遺伝子の DNA断片を公知のベクターに公知の方法に従って挿入し、 連結する。公知のベクターとしては、脳心筋炎ウィルス(ECMV) の IRES (mRNA内部のリボソーム結合サイト)が含まれていて、 1種類の mRNA から 2 箇所のオープンリーディングフレーム(ORF) を翻訳することが可 能な pIRES ベクターのほか、大腸菌由来のプラスミド(pCR4、 pCR2、 pCR2.1、 pBR322、 pBR325、 pUC12、 pUC13 など)、枯草菌由来のプラ スミド(pUB110、 pTP5、 pC194 など)、酵母由来プラスミド(pSH19、 pSH15 など)、 λ ファージなどのバタテリオファージ、レトロウイルス、 ワクシニアウィルス、バキュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 pAl-ll、 XTl, pRc/CMV, pRc/RSV, pcDNAI/Neo などが用いられる力 本発明の場合は、 pIRES ベクターを用いると、マルチクローニングサイト に、順次必要な遺伝子を揷入することにより、「ヒトテロメ'ラーゼのプロモ 一ター、 E1A遺伝子、 IRES配列及ぴ E1B遺伝子」をこの順に含む複製力 セットを作製することができるため、好ましい。 DNA の連結には、 DNA リガーゼを用いることができる。本発明において、ヒトテロメラーゼとして

hTERTを用いる場合について以下に具体的に説明する。

293細胞等の E1遺伝子を発現している細胞から E1A-S、 El A- AS, E1B-S、 E1B-AS 等の適当なプライマーを用いて、 RT-PCR 及び/又は DNA-PCR を行うことにより E1A遺伝子及び E1B遺伝子を増幅し、必要に応じ て TAクローニング等の公知の方法を用いて配列を確認した後、公知の制限 酵素で E1A及び E1Bの DNA断片を切り出す。

次に、' 本発明に使用される hTERT-ElA-IRES-ΕΙΒ からなる複製カセッ トは、 pIRESベクターのような公知のベクターに『hTERTプロモーター配 歹 |J-E1A-IRES-E1B』の順になるように各遺伝子を、マルチクローニングサ イト等を利用して挿入することにより作製することができる。また、必要に 応じて、 p Shuttle などの公知ベクターに含まれるサイトメガロウィルス (CMV)プロモーターを公知の制限酵素によ り取り除き、その部位に phTERT-ElA-IRES-ElB から適当な制限酵素を用いて切り出した配列を挿 入することができる。このように、本発明に使用される hTERT-ElA-IRES-E1B からなる複製カセットのみを組込んだアデノウイルスを「テロメライ シン」又は「TelomelysinJ という。 hTERT プロモーターの制御下にアデ ノウィルスの増殖に必要な E1遺伝子を発現させることによって、ウィルス を癌細胞特異的に増殖させることができる。

本発明の試薬として使用される組換えウィルス中には、複製カセットと共 に標識カセットも含む。この「標識カセット」は、例えば、アデノウイルス では E3領域に組み込まれる。

ここで、本発明において使用される組換えウィルスであるウィルスべクタ 一本来の機能は、ウィルス増殖による細胞障害である。従って、本発明の試 薬を微小癌組織の診断目的で使用するためには、上記細胞障害が発生する時 期はできるだけ遅い方が好ましい。その理由は、細胞が破壌されると本発明 の組換えウィルスの増殖で生じた蛍光発現が消失し、その存在部位を同定す るのが困難となるためである。

一方、例えば、アデノウイルス E3領域には E3Aおよび E3Bが存在し、 E3A領域の 11.6 kDaの ADP (adenovirus death protein)が、細胞障害及び ウィルスの拡散を促進する機能を有している。

従って、本発明に使用する組換えウィルスは、 ADP を含む E3 領域のよ うな細胞障害及びウィルスの拡散を促進する機能を有するタンパク質をコー ドするウィルスゲノム領域を除去することで細胞死のタイミングを遅らせ、 GFP等の蛍光発現による癌組織の同定を容易にしている。

標識カセットを構成する標識タンパク質は、上記ウィルスが増殖した細胞 内で発光して可視化されるタンパク質であり、好ましくは蛍光を発する物質 が用いられる。 このような物質としては、例えば、ォワンクラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein: GFP), それを改変した変異体 (GFPバリアント)である、 EGFP (Enhanced-humanized GFP)又は rsGFP (red- shift GFP)などが挙げ られる。また、黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein: YFP)、藍 色蛍光タンパク質(cyan fluorescent protein:CFP)、青色蛍光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP)、ゥシィタケ (Renilla reniformis) 由来 の GFP を使用することも可能であり、これらをコードする遺伝子を本発明 に使用することができる。

また、上記遺伝子の発現を制御しうるプロモーターとは、目的とする上記 遺伝子の発現に用いるウィルスに対応しうる、適切なプロモーターであれば いかなるものでもよい。例えば、サイトメガロウィルス(CMV) プロモー ター、 hTERT プロモーター、 SV40 後期プロモーター、 MMTV LTR プロ モーター、 RSV LTR プロモーター、 SR aプロモーター等が挙げられるが これに限定されるものではない。好ましくは CMV プロモーター又は hTERTプロモーターを用いることができる。

本発明の標識カセットに含まれる組換え遺伝子は、通常の遺伝子工学的 手法により得ることができる。例えば、遺伝子工学的手法として一般的に用 いられている DNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。 また、铸型となる遺伝子配列を単離又は合成した後に、それぞれの遺伝子に

特異的なプライマーを設計し、 PCR 装置を用いてその遺伝子配列を増幅す る PCR法 (Current Protocols m Molecular Biology, dohn ^i e & Sons (1987) Section 6.1-6.4)又はクローニングベクターを用いた遺伝子増幅法を 用いることができる。上記方法は、 Moleculer cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等に従い、当業者ならば容易に行うこと力 S できる。得られた PCR産物の精製には公知の方法を用いることができる。 たとえば、ェチジゥムブ口マイドを用いる方法、 SYBR Greenl (Molecular probes 社)を用いる方法、 GENECLEAN (フナコシ)、 QIAGEN(QIAGEN 社)等によるァガロースゲルを用いる方法、 DEAE-セルロース濾紙を用いる 方法、フリーズ &スクイーズ法、透析チューブを用いる方法等がある。ァガ ロースゲルを用いる場合には、ァガロースゲル電気泳動し、 DNA 断片をァ ガロースゲルより切り出して精製する。必要に応じて、慣用の配列決定法に より期待された遺伝子が得られていることを確認することができる。例えば、 ジデォキシヌクレオチドチェーンターミネーシヨン法 (Sanger et al. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463) 等により行うことができる。また、 適当な DNAシークェンサ一(例えば、 ABI PRISM (アプライドバイオシス テムズ社))を利用して配列を解析することも可能である。その後、上記の ようにして得られた遺伝子をを公知の制限酵素等で切断し、切断した当該遺 伝子の DNA断片を、上記標識タンパク質をコードする遺伝子断片の上流に、 当該遺伝子を駆動させうるように上記プロモーターをコードする遺伝子断片 を配置するように組換え遺伝子を設計する。このとき、プラスミドとして、 シャトルプラスミド pHMll などを用いることができる。そして、 DNA リ ガーゼを用いて両遺伝子を連結させ、ベクターに揷入し、標識カセット組換 え遺伝子を作製する。

公知のベクターとしては、 pSlmttle ベクター、大腸菌由来のプラスミド (pCR4 pCR2、 pCR2,l、 pBR322、 pBR325、 pUC12、 pUC13 など)、 枯草菌由来のプラスミド(pUB110、 pTP5、 pC194 など)、酵母由来ブラ スミド (pSH19、 pSH15 など)、 λ ファージなどのバクテリオファージ、 レトロウイ ス、ワクシニアウイノレス、バキュロウイノレスなどの動物ウイノレ スなどの他、 pAl-ll、 pXTl、 pRc/CMV、 pRc/RSV, pcDNAI/Neo などが 用いられる。

その後、上記複製カセット及び標識カセットを含む組換え遺伝子を、適当 な制限酵素を用いて切り出し、適当なウィルス発現ベクター挿入することに より、組換えウィルスを作製することができる。ウィルス発現ベクターには、 アデノウイルス、レトロゥイノレス、ヮクシニアウイ/レス、バキュロウイノレス などが挙げられえるが、上記したように、アデノウィルス、特にタイプ 5の アデノウイルスが好ましい。カセットのウィルスへの組み込みは、例えばェ レクトロボレ"シヨン法、リボソーム法、スフエロプラスト法、酢酸リチウ ム法等を用いることができる。

本発明では、具体的には、シャトルプラスミド pHMll に pEGFP-Nl(CLONTECH)由来の CMV_EGFP-SV40P(A)を挿入し、このプラスミド の Csp45I断片を、 phTERT-ElA-IRES-ΕΙΒを組み込んだ pShuttleベクタ 一の Clal 部位に揷入することによって得ることができる。

本発明では、具体的には、上記のように作製した組換え遺伝子から、公知 の制限酵素により必要な部分の配列を切り出し、 Adeno-X Expression System (CLONTECH) 等の市販のキットを用いて Adeno-X Viral DNA等 のウィルスの DNA に挿入することができる(得られたものを「AdenoX-hAIB」とレヽう。)。

そして、この AdenoX-hAIB を公知の制限酵素により線状化した後、 293 細胞等の培養細胞にトランスフエクションすることで、感染性のある組換え ウィルスを作製することができる。

本発明において検出の対象となる癌細胞の種類は、限定されるものではな く、あらゆる種類の癌の細胞を用いることができる。例えば、頭頸部、胃、 大腸、肺、肝、前立腺、膝、食道、膀胱、胆嚢 ·胆管、乳房、子宮、甲状腺、 卵巣等における固形癌、あるいは白血病、リンパ腫、肉腫、間葉系腫瘍等に 有効である。ヒトの組織由来の癌細胞のほとんどはテロメラーゼ活性の上昇 を示しており、本発明はそのようなテロメラーゼ活性により増殖が活発にな

つた癌細胞を全般的に検出することが可能である。

癌細胞では正常細胞と比較してテロメラーゼの発現が極めて高いため、テ ロメラーゼが含まれる癌細胞においては hTERTが発現し、複製カセットが 機能する。これによりウィルスは増殖し、また増殖によって標識タンパク質 の複製も増加することから、標識タンパク質が発現して可視化されることと なる。

したがって、本発明の試薬は、正常細胞では蛍光発色せず、本発明の試薬 を含む癌細胞は発光し、癌細胞を視覚的に観察することができる。

組換えウィルスを細胞に感染させるには、例えば、以下の方法がある。ま ず、ヒト大腸癌細胞 SW620、ヒト肺癌細胞 A549、 H1299等の細胞を適当 な培養液が入った培養プレートに播き、炭酸ガス存在下で、 37°Cで培養す る。培養液は、動物細胞培養に一般的に使用される DMEM、 MEM、 RPMI-1640 などが採用され、必要応じて血清、抗生物質、ビタミン等を添 加することができる。培養した細胞に一定量の本ウィルス、例えば、 0.:!〜 10 MOI (multiplicity of infection), 好ましくは、 1 MOIを接種することに より感染させる。 MOI とは、一定量の培養細胞に一定量のウィルス粒子を 感染させる場合のウィルス量(感染単位)と細胞数の比をいい、ウィルスを 細胞に感染させる際の指標として用いられる。

なお、ウィルス増殖を確認するには、ウィルス感染細胞を回収し、 DNA を抽出し、本ウィルスが有する適当な遺伝子を標的とするプライマーを用い てリアルタイム PCRを行うことで定量的に解析することができる。

標識された細胞の検出については、ウィルス増殖がみられる細胞は、励起 光をあてることにより所定の蛍光(例えば GFP の場合は緑色蛍光)を発す るため、それにより癌細胞を可視化することができる。例えば、ウィルス感 染細胞を蛍光顕微鏡下に観察すると、細胞で GFP蛍光発現が見られる。ま たウィルス感染細胞を経時的に観察するには、 CCD カメラ'を用いて、経時 的に GFP蛍光発現を観察することができる。

生体内において細胞をリアルタイムで標識おょぴ検出するには、本発明の 組換えウィルスを生体内に投与すればよい。

本 明の試薬はそのまま患部に適用することもできるし、あらゆる公知の 方法、例えば、静脈、筋肉、腹腔内又は皮下等に、注射、鼻腔、口腔又は肺 からの吸入、経口投与、カテーテルなどを用いた血管内投与等により生体 (対象となる細胞や臓器)に導入することもできる。投与量は、有効成分の 種類、投与経路、投与対象、患者の年齢、体重、性別、症状その他の条件に より遊宜選択されるが、一日投与量として、通常有効成分である本発明ウイ ルスの量を 106〜: !OuPFlKplaque forming units)程度、好ましくは 109〜 lOnP U 程度とするのがよく、 1 日 1回投与することもでき、数回に分け て投与することもできる。

生 ίφ:内においてリアルタイムで標識を観察することは、体内診断薬に用い るメリットがある。これは、いわゆるナビゲーシヨン手術などに有用である。 外科手術において、病変臓器を含めて広範囲の切除を行えば、手術を乗り 切つ广こ患者では長期生存が得られる。しかし、手術そのものによる合併症の 発生率は高くなり、また機能を失うことで術後の日常生活への影響は避けら れなレ、。長期生存の遠隔成績を維持しながら、患者の負担を軽減した低侵襲 な治療を導入することは、癌治療において重要なことである。

必要最小限の切除を行う手術の縮小化による低侵襲化を目指す場合にほし い情幸! ¾の一つに転移リンパ節の有無があり、それを知る方法としてセンチネ ルリンパ節 (sentinel node, SN) が注目されている。 SN とは腫瘍から最 初にリンパ流をうけるリンパ節であり、ここに最初の微小転移が生ずるとい う仮説がある。この仮説を SN理論という。乳癌では欧米を中心に大規模な 臨床試験が開始されているが、その他の固形腫瘍にもこの考え方が通用する かについては未だ不明であり、その検証がはじまったところである。

本発明の試薬による体内癌診断システムは、 SN より有効な方法として、 癌細包において蛍光タンパク質を直接発現させ、高感度術中蛍光検出システ ムにより腫瘍組織又は転移陽性リンパ節を同定する技術、すなわち「ナビゲ ーシヨン手術」の技術を確立することができる。テロメラーゼ活性を持つ多 くの癌細胞では本発明の組換えウィルスが増殖し、例えば GFP の強い緑色 蛍光を発することができる。

胃癌の単発リンパ節転移部位の解析から、 10%前後の skip 転移、すなわ ち第 1 群リンパ節を飛び越した第 2 群以遠リンパ節への初発転移が報告さ れており、これを根拠として SNナビゲーションの危険性を唱える意見も多 い。しかしながら、本発明の試薬による体内癌診断システムは、腫瘍組織又 は転移陽性リンパ節を直接術中にリアルタイムに同定し、切除範囲のナビゲ ーシヨンとするものであり、独創的かつ画期的であるとともに、よりスムー スに手術を進めるためには極めて実用的である。具体的には、 SN ナビゲー シヨンの際と同様の手技で、本発明の試薬を手術より数日前に内視鏡的に腫 瘍部 (例えば胃癌や大腸癌周囲の胃 ·大腸粘膜、胃癌 ·大腸癌 ·肺癌 ·膝癌 などの腫瘍内部、等)に注入し、腫瘍浸潤組織、腫瘍転移組織、あるいは所 属リンパ節へゥイノレスが分布し、腫瘍部位又は転移陽性部位でのウィルスが 増殖するために十分な時間をおく。

手術時には、開腹後に GFP蛍光励起光源から術野を投射し、特殊 3CCD カメラからの映像をフェース 'マウント ·ディスプレイに投影する。透過レ ンズを使用することで、実際の術野の視野も確保でき、オーバーラップした GFP 画像により転移陽性リンパ節を検出することができる。さらに、専用 フィルターを装着することで、カメラを用いずに肉眼的に蛍光を視認するこ とが可能となる。

2 . 体外診断用試薬

本発明の試薬は、スクリ一二ング目的の体外診断薬としても応用可能であ る。現在、腫瘍マーカーの定量は、肉眼的に検出できない、あるいは原発巣 が同定できない癌の存在を知る最も一般的な方法である。しかし、腫瘍マー カーはその癌特異†生で必ずしも満足できるものではなく、またすベての癌種 を単一のマーカーで検索することは極めて困難である。

テロメラーゼはヒト悪性腫瘍の 85%以上で活性の上昇が'確認されており、 その癌特異性に関しては極めて高いと考えられる。

本発明の試薬を用いた体外的癌診断は、例えば以下の通り行うことができ る。

被験者から採取した全血から赤血球を除き、その他の細胞浮遊液に一定の 比率 (0.1〜: 10 MOI、好ましくは、 1 ΜΟΙ) の本発明の試薬を試験管内で混 合する。一定の時間(例えば 12〜48時間)放置し、癌細胞へのウィルスの 感染および増殖を促し、その細胞分画における GFP発現をフローサイトメ トリーにて定量的に解析する。このシステムを用いて、末梢血中に存在する 遊離癌細胞を高感度に検出することが可能となる。この方法は、末梢血中に ごく微量にしか存在しない遊離癌細胞を検出するために用いることができる。

3 . 細胞死誘導剤及び細胞死を誘導する方法

本発明は、ヒトテロメラーゼのプロモーター、 E1A遺伝子、 IRES配列及 び E1B遺伝子をこの順に含む複製カセットがウィルスゲノムの E1領域に 組み込まれ、かつ、細胞死誘導関連タンパク質をコードする遺伝子及び該遺 伝子の発現を制御しうるプロモーターを含む細胞死誘導カセットがウィルス ゲノムの E3領域に組み込まれた組換えウィルスを含む細胞死誘導剤を提供 する。好ましくは、癌細月包の細胞死の誘導剤として、癌の遺伝子治療、さら に手術後の再発予防、転移の防止及び Z又は予防等にも使用できる。

本発明の細胞死誘導剤に含まれる組換えウィルスの細胞死誘導カセットに は、プロモーターにより馬区動される細胞死を誘導しうるタンパク質をコード する遺伝子が組み込まれている。

この組換えウィルスに用いられる細胞死誘導カセットには、細胞死誘導関 連タンパク質をコードする遺伝子と該遺伝子の発現を制御しうるプロモータ 一が含まれる。したがって、例えば本発明の誘導剤を癌細胞に導入すると、 癌細胞で特異的にウィルスが増殖する結果、細胞死誘導タンパク質の細胞内 発現量が高まり、他の正常細胞を傷つけることなく、癌細胞でのみ細胞死を 誘導することができる。

細胞死誘導関連タンパク質をコードする遺伝子とは、特定の細胞の細胞死 の誘導に関連するタンパク質をコードする遺伝子をいう。

細胞死誘導関連タンパク質として、例えば以下のものが挙げられ、本発明 においてはこれらのタン z ク質をコードする遺伝子を組み込むことができる。 たとえば、免疫関連タンパク質として、 PA28 が挙げられる。 PA28 は細 胞内のプロテアソームを活性化するタンパク質であり、過剰発現により免疫 反応を惹起するとともに細胞死も誘導するタンパク質である。また、アポト 一シス誘導タンパク質として、 TRAILが挙げられる。 TRAILは、細胞表面 の受容体と結合することでアポトーシス細胞死を誘導する分子をいう。テロ メラーゼ関連タンパク質として、 AU5 が挙げられる。 AU5 は、テロメラー ゼ活性を有する細胞で細胞死を誘導することができる配列を有する。

これらの細胞死誘導関連タンパク質の遺伝子は、通常の遺伝子工学的手法 により得ることができる。例えば、遺伝子工学的手法として一般的に用いら れている DNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。また、 铸型となる遺伝子配列を単離又は合成した後に、それぞれの遺伝子に特異的 なプライマーを設計し、 PCR装置を用いてその遺伝子配列を増幅する PCR (Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987) Section 6.1-6.4)又はクローニングベクターを用いた遺伝子増幅法を用いる ことができる。上記方法は、 Moleculer cloning 2nd Edt. Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等【こ従い、当業者ならば容易に行うこと力 S できる。得られた PCR産物の精製【こは公知の方法を用いることができる。 たとえば、ェチジゥムブ口マイドを用いる方法、 SYBR Greenl (Molecular probes 社)を用いる方法、 GENECLEAN (フナコシ)、 QIAGEN(QIAGEN 社)等によるァガロースゲルを用いる方法、 DEAE-セルロース濾紙を用いる 方法、フリーズ &スクイーズ法、透析チューブを用いる方法等がある。ァガ ロースゲルを用いる場合には、ァガロースゲル電気泳動し、 DNA 断片をァ ガロースゲルより切り出して精製する。必要に応じて、慣用の配列決定法に より期待された遺伝子が得られていることを確認することができる。例えば、 ジデォキシヌクレオチドチェーンターミネーション法 (Sanger et al. (1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463) 等により行うことができる。また、 適当な DNAシークェンサ一(例え、、 ABI PRISM (アプライドパイオシス テムズ社))を利用して配列を解析することも可能である。

また、癌細胞の細胞死の誘導物質として、癌抑制遺伝子も含む。癌抑制遺

伝子は癌細胞の増殖を抑える機能を有している、らである。この場合、癌抑 制遺伝子は、例えば従来の遺伝子治療で用いられている以下のものが挙げら れる。

p53(配列番号 1 1 ; Accession No.M14694):多種の癌

pl5(配列番号 1 2 ; Accession No. L36844):多種の癌

pl6(配列番号 1 3 ; Accession No丄 27211):多種の癌

APC ' (配列番号 1 4 ; Accession No.M74088) :大腸癌、胃癌、すい臓癌 BRCA-1 (配列番号 1 5 ; Accession No.U14680):卵巣癌、乳癌

DPC-4 (配列番号 1 6 ; Accession No.U44378) :大腸癌、すい臓癌 FHIT (配列番号 1 7 ; Accession No. NM 112012):胃癌、肺癌、子宫癌 p73 (配列番号 1 8 ; Accession No.Y11416) :神経芽細胞種

PATCHED (配列番号 1 9 ; Accession No. U59464) :基底細胞癌

Rb p 110 (配列番号 2 0 ; Accession No.M15400) :肺癌、骨肉種

DCC (配列番号 2 1 ; Accession No.X76132) :大腸癌

NF1 (配列番号 2 2 ; Accession No.NM 000267) :神経繊維腫症 1型 NF2 (配列番号 2 3 ; Accession No丄 11353) :神経繊維腫症 2型

WT-1 (配列番号 2 4 ; Accession No.NM 000378) :ウィルムス腫瘍

これらの癌抑制遺伝子は、通常の遺伝子工学白勺手法により得ることができ る。例えば、遺伝子工学的手法として一般的に用いられている DNA合成装 置を用いた核酸合成法を使用することができる。また、铸型となる遺伝子配 列を単離又は合成した後に、それぞれの遺伝子【こ特異的なプライマーを設計 し、 PCR装置を用いてその遺伝子配列を増幅する PCR法又はクローニング ベクターを用いた遺伝子増幅法を用いることができる。必要に応じて、 DNA シークェンスにて期待された遺伝子が得られていることを確認するこ とができる。 '

上記遺伝子の発現を制御しうるプロモーターとは、目的とする遺伝子の発 現に用いるウィルスに対応しうる、適切なプロモーターであればいかなるも のでもよい。好ましくは CMVプロモーター又 fま hTERTプロモーターを用

いうるが、これに限定されず、例えば、 SV40 後期プロモーター、 MMTV LTR プロモーター、 RSV LTR プロモーター、 SRひプロ一ター等を用い ることができる。

本発明の細胞死誘導剤は、そのまま患部に適用すること 1 できるし、あら ゆる公知の方法、例えば、静脈、筋肉、腹腔内又は皮下等 O注射、あるいは 鼻腔、口腔又は肺からの吸入、経口投与、カテーテルなどを用いた血管内投 与等により生体(対象となる細胞や臓器)に導入することできる。

また、例えば凍結などの方法により扱いやすくした後、のまま若しくは 賦形剤、増量剤、結合剤、滑沢剤等公知の薬学的に許容される担体、公知の 添加剤 (緩衝剤、等張化剤、キレート剤、着色剤、保存剤、香料、風味剤、 甘味剤等が含まれる。)などと混合することができる。 '

本発明の細胞死誘導剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆 ¾ϊ剤、丸剤、液剤、 シロップ剤等の経口投与剤、注射剤、外用剤、坐剤、点眼」等の非経口投与 剤などの形態に応じて、経口投与又は非経口投与することできる。好まし くは、筋肉、腹腔等への局部注射、静脈への注射等が例示される。

投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象、患者の年齢、体重、性 別、症状その他の条件により適宜選択されるが、一日投与量として、通常有 効成分である本発明ウィルスの量を 106〜: LOuPFU(pla(iue forming units) 程度、好ましくは 109〜10UPFU程度とするのがよく、 1曰 1回投与するこ ともでき、数回に分けて投与することもできる。

また、本発明のウィルスを使用する際には、公知の免疫抑制 J剤等を用いるこ とにより、生体の免疫を抑制し、該ウィルスが感染し易くすることもできる。 更に、本発明のウィルスは、公知の抗癌剤及び放射線からなる群から選ばれ る少なくとも 1種の抗癌剤を併用することもできる。抗癌斉 IJには、以下のも のがあるが、これらに限定されない。

(1)アルキル化活性剤:この製剤は、癌細胞の核酸タンパク'質にアルキル基' を導入して細胞障害を起こさせる作用を有するものでり、例えばカル ボコン、ブス/レフアン(マスタード薬)、 -ムスチン(ニトロソゥレア 類)などがあげられる。

(2)代謝拮抗活性剤:この製剤は、代謝過程で酵素に拮抗して、細胞合成を 阻害する作用を有するものであり、例えばメトトレキサ一ト (葉酸系)、 メルカプトプリン'、(プリン系)、シタラビン(ピリミジン系)、フル ォロウラシル、テガフール、カルモフールなどがあげられる。

(3)抗生物質:抗瘙作用を有する、ァクチノマイシン D、ブレオマイシン、 ァドリァマイシン、マイトマイシン Cなどがあげられる。

(4)微小管阻害活性剤:この製剤は、微小管に作用して抗腫瘍効果を示すも のであり、例えばドセタキセル、パクリタキセル (タキサン) 、ビノレ ルビン、ピンクリスチン、ビンブラスチン(アルカロイド系)など;^あ げられる。

(5)白金製剤:この製剤は、 DNA鎖内又は鎖間結合あるいは DNA タン z ク 質結合を構成して、 DNA合成を阻害する作用を有するものであり、例 えば、シスプラチン、アルポプラチン、ネダプラチンなどがあげられる。

(6)トポイソメラーゼ阻害活性剤:トポイソメラーゼを阻害する、イリノテ カン (トポイソメラーゼ I阻害薬)、ポドフイロトキシン誘導体(トポ イソメラーゼ II 阻害薬)などがあげられる。なお、トポイソメラーゼ とは、 DNA に一時的に切れ目を入れて DNA鎖のリンキング数を変え る反応を触媒する酵素である。

本発明の細胞死誘導剤等は、以下の理由で副作用が生じる可能性は極めて 低いと考えられ、非常に安全な製剤であるということができる。

( 1 ) 正常の体細胞ではテロメラーゼ活性がほとんどなく、また、造血田胞 等の浮遊細胞では本発明のウィルスは感染しにくレ、。

( 2 ) 本発明のウィルスは増殖能を有するので、通常の遺伝子治療で用レヽら れている非増殖性ウィルスよりも低い濃度で使用することができる。

( 3 ) 本発明のウィルスが過剰に投与された場合であっても'、生体内の通常 の免疫作用によって抗ウィルス作用が働く。

本発明の組換えウィルスを標的細胞中で感染させることで標的細胞におい て細胞死を誘導することができる。標的細胞の種類は特に限定されるもので

はないが、例えば腫瘍細胞、増殖が活発な細胞、テロメラーゼ活性が上昇し ている細胞などを挙げることができる。

細胞死が誘導されたか否かを判断するには、形態学的観察を以下の方法に より行うことができる。すなわち、培養容器の底面に付着した細胞に本発明 の組換えウィルスを感染させ一定の時間を経ると、倒立顕微鏡下で細胞は円 形化し、底面からはがれて光沢を持った細胞として培養液中に浮遊する。こ の時点で細胞はその生命を維持する機構に破綻を来たしており、細胞死が誘 導されたと判断できる。また、テトラゾリゥム塩(MTT、 XTT など)を用 いた市販の生細胞アツセィキットでも、細胞死を確認することができる。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。但し、本発明はこ れら実施例に限定されるものではない。

実施例 1 インビト口における共感染による癌細胞描出

本実施例は、複製カセットを含むウィルス「テロメライシン (Telomelysin) 」と、標識カセットを含む非増殖型ウィルス「Ad_GFP」 とを共感染させたときに、インビトロで蛍光を発するかどうかを予備的に検 討したものである。

ヒト大腸癌細胞 SW620、ヒト肺癌細胞 A549、 H1299 に 0.1 MOI (multiplicity of infection)の Ad-GFPを感染させた(図 2) 。

その結果、ヒト大腸癌細胞 SW620、ヒト肺癌細胞 A549、 H1299 に 0.1 MOI の Ad-GFP を感染させてもほとんど緑色傾向は認められないが、 1 MOIの TRAD を併用すると癌細胞のみで蛍光が検出でき、 WI38や NHLF などのヒト線維芽細胞ゃヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)などの正常細胞 では蛍光はまったく見られなかった(図 3) 。

実施例 2 インビボにおけるテロメライシンと Ad-GFP 共'感染によるヒト 癌組織の描出

本実施例は、複製カセットを含むウィルス「テロメライシン」と、標識 カセットを含む非増殖型ウィルス「Ad-GFP」とを共感染させたときに、ィ ンビボで蛍光を発するかどうかを予備的に検討したものである。

ヌードマウスの背部皮下に移植したヒト大腸癌 SW620 およびヒト肺癌 A549腫瘍に、 8 X 105 PFUの Ad-GFPと 8 X 106 PFUの TRADを腫瘍 内投与し、経時的に蛍光を観察した。

ぞの結果、いずれの腫瘍でも.投与後 2 日目から斑状の蛍光が検出され、 14日目までに消失していたことが示された(図 4) 。

実施例 3 テロメライシン- GFPによる癌細胞の検出

1 . テロメラーゼプロモーターと E1 遺伝子を含む複製カセット及ぴ GFP タンパク質をコードする遺伝子を含む標識カセットを単一のウィルスに含む

GFP発現増殖型ウィルス(テロメライシン- GFP) の作製

テロメライシン- GF の概要を図 1 に示す。テロメライシン- GFP は、 hTERT プロモーターにより E1A/IRES/E1B が駆動され、癌細胞特異的お よびテロメラーゼ特異的に増殖 ·複製が認められる一方、さらに E3領域に、 プロモーターにより駆動されるォワンクラゲ由来の GFP遺伝子が組み込ま れている。したがって、ウィルス増殖がみられる細胞は励起光により緑色蛍 光を発し、癌細胞を可視化することが可能となる。

このような非増殖型ウィルスは以下の通り作製した。

2 . 組換えウィルスの作製.

293細胞から抽出した RNAから以下の特異的プライマー(E1A-S、 E1A-AS) 及ぴ PCR条件を用いて RT-PCRを行い、 897bpの E1A遺伝子を増幅 した。

E1A-S: 5' -AC A CCG GGA CTG AAA ATG AG-3' (配列番号 5)

El A- AS: 5,-CAC AGG TTTACA CCT TAT GGC-3' (配列番号 6)

PCR液組成 I X PCR緩衝液

0.2mM 各 dNTP

5mM MgCl2

2.5U AmpliTaq Gold

0.2 μ Μ 各プライマー

反応条件: 95°C 10分

(95°C 1分、 56°C 1分、 72°C 1.5分) X 32サイクル 72°C 7分

4°C 5分

293 細胞から抽出した DNA より以下のプライマー(E1B-S、 E1B-AS) を用いて DNA-PCRを行い、 1822bpの E1B遺伝子を増幅した。

E1B-S : 5'-CTG ACC TCATGG AGG CTT GG-3' (配列番号 7)

E1B-AS : 5,-GCC CAC ACA TTT CAG TAG CTC-3' (配列番号 8)

PCR液組成、反応条件(サイクル、温度)は E1A遺伝子の場合と同様で あつた o

それぞれの PCR 産物の TA クローニング ( TA Cloning kit dual Promoter; Invitrogen) を行い、シークェンスを確認した後、制限酵素 EcoRIにより、各々 911bp (El A) 、 1836bp (EIB) の DNA断片を切り出 した。

pIRESベクター(CLONTECH) の Mlul切断部位に E1Aを、 Sail部位 に E1Bをそれぞれ順方向に挿入した(E1A-IRES I -E1B) 。

制限酵素 Mlulおよぴ Bglllで切り出した 455bpの hTERTプロモーター 配列を、 E1A-IRES-E1Bの E1A上流にある Xhol部位に順方向に挿入した (phTERT -E1A -IRES'EIB) 。

pSliuttle ベクターに含まれるサイトメガロウィルス(CMV) プロモータ 一を制限酵素 Mfelおよぴ Nhel処理により取り除き、その部位に phTERT-E1A-IRES-E1Bより制限酵素 Nhelおよび Notlで切り出した 3828bpの配 列を揷入した(pSh-hAIB) 。

pEGFP-Nl(CLONTECH)を Agel/Nhelで切断し、クレノゥ断片で平滑化 し自己結合 (self- ligation)した (pEGFP-N2) 。

この pEGFP-N2を Nsil/Aflllで切断し、 T4 DNA ポリメラーゼで平滑化 し Bglll リンカ一を使って、 Bglll 部位を作製した。この Bglll 断片を pHMllの BamHI部位に挿入した(pHMll_EGFP-N2) 。

さらに、 pHMll-EGFP-N2 の Csp45I 断片を phTERT'ElA-IRES-ElB を組み込んだ pShuttleベクター(pSh-hAIB) の Clal 部位に揷入した。

作製した組換え遺伝子を制限酵素 LCeuI および PI-SceI により 4381bp の配列を切り 出し、 Adeno-X Expression System ( CLONTECH ) の Adeno-X Viral DNAに揷入した(AdenoX'hAIB) 。 AdenoXOhAIBを制限 酵素 Pa 処理で線状化した後、 293細胞にトランスフヱクシヨンし、感染 性のある組換えアデノウイルスを作製した(以下、「テロメライシン-GFP」とレヽう)。

実施例 4 ヒト肺癌細胞の検出試験

1 . ヒト肺癌細胞へのテロメライシン- GFP感染による形態学的変化

インビトロで培養中のヒト非小細胞肺癌由来 H1299 細胞にテロメライシ ン -GFPを 1MOIおよび 10MOIで感染させた。具体的には、 24ゥエルプレ ートに 5 X 104個の H1299細胞を蒔き、 24時間後に細胞数をカウントして 1MOIあるいは 10MOI となるような濃度のウィルスを培養液中に添加した。 その後、経時的に倒立顕微鏡下に細胞形態を観察し、ウィルスの細胞障害活 性を検討した。

その結果、濃度依存性にまた時間依存性にウィルス増殖による細胞死が誘 導された。 10MOI感染後 120時間では、倒立顕微鏡下にほとんどの細胞が 円形となり浮遊していた(図 5 ) 。

ヒト肺癌細胞へのテロメライシン- GFP感染による GFP蛍光発現

6に示した倒立顕微鏡像を蛍光顕微鏡下に観察した。濃度依存性にまた P T/JP2005/018401

時間依存性にウィルス増殖を示す GFP 緑色蛍光が認められた(図 6 ) 。 10MOI感染後 72時間で最も多くの細胞で GFP発現がみられ、その後細胞 死の誘導とともに GFP陽性細胞数は減少していた(図 6 ) 。

3 . 定量的リアルタイム PCRによるテロメライシン- GFP増殖の検証

H1299 ヒト肺癌細胞に 10MOIでテロメライシン- GFPを感染させ、 2時 間後から. 26、 50、 74時間後に細胞を回収し、 DNA を抽出した。テロメラ イシン- GFP が有する E1A遺伝子を標的とするプライマーを用いてリアル タイム PCR を行い、ウィルス増殖 '複製を定量的に解析した。用いたブラ イマー及ぴ PCR条件は以下の通りである。

E1A-S: 5 ' -CCT GTG TCT AGA GAA TGC AA-3 ' (配列番号 9)

E1A-AS: 5' -AC A GCT CAA GTC CAA AGG TT-3,(配列番号 10)

PCR液組成: 1 X LC FastStart DNA Master SYBR Green I

3mM MgCl2

0.5 Μ各プライマー

反応条件: 95°C 10分

(95°C 10秒、 60°C 15秒、 72°C 8秒) X 40サイクル 70°C 15秒

40°C 30秒

その結果、テロメライシン- GFPは 26時間後にはすでに 100万倍に増殖 しており(図 7 ) 、その後プラトーに達するが、やや遅れて GFP蛍光も増 強していくことが示された(図 7 ) 。

実施例 5 ヒト大腸癌細胞の検出試験

1 . ヒト大腸癌細胞へのテロメライシン- GFP感染による GFP蛍光発現

ヒト大腸癌由来 SW62ひ細胞に 10MOI でテロメライシン- GFP を感染させ、 倒立顕微鏡下および蛍光顕微鏡下に経時的に変化を観察した。

その結果、 H1299 細胞の際と同様に、時間依存性にウィルス増殖を示す GFP緑色蛍光が認められた(図 8 ) 。

2 . 定量的リアルタイム PCRによるテロメライシン- GFP増殖の検証

H1299細胞と同様に、 SW620 ヒト大腸癌細胞に 10MOI でテロメライシ ン -GFP を感染させ、 2時間後から 26、 50、 74、 98時間後に細胞を回収、 DNA を抽出し、ウィルス増殖をリアルタイム PCR にて定量的に解析した。 リアルタイム PCR の条件(反応液組成、サイクル、時間等)は H1299 細 胞の場合と同様である。

その結果、テロメライシン- GFPは 26時間後には 100万倍に増殖してお り、その後 98時間後までほぼプラトーであった(図 9 ) 。

実施例 6

1 . 正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)へのテロメライシン- GFP感染による形 態学的変化

インビトロで培養中の正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)にテロメライシン-GFPを 1MOIおよび 10MOIで感染させ、倒立顕微鏡下に 120時間まで観 察した。

その結果、形態学的変化は見られず、細胞死は誘導されなかった(図 10) 。

2 . 正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)へのテロメライシン- GFP 感染による GFP蛍光発現

図 10 の倒立顕微鏡像を蛍光顕微鏡下に観察すると、若牛の細胞で GFP 蛍光発現は見られるが、細胞密度を考慮すると癌細胞に比べてきわめて稀で あった。従って、テロメライシン- GFP はほとんど正常細胞では増殖 '複製 していないと考えられた(図 11) 。

3 . 定量的リアルタイム PCRによるテロメライシン- GFP増殖の検証 上言己のように、 H1299 ヒト肺癌細胞、 SW620 ヒト大腸癌細胞、正常ヒト 肺線雑芽細胞 (NHLF)に 10MOIでテロメライシン- GFPを感染させ、経時 的に 田胞を回収、 ' DNA を抽出し、リアルタイム PCR にてウィルス増殖を 定量的に解析した。

その結'果、癌細胞ではテロメライシン- GFPは 24時間後には約 100万倍 に増殖し、 72 時間後には顕著な GFP 蛍光を発していたのに対し、 NH F では 72時間後でも 1000倍程度の増殖にとどまり、 GFP蛍光もほとんど検 出できなかった(図 12) 。

実施例 7 蛍光イメージングによるテロメライシン- GFP の腫瘍内増殖 -複 製の検出

1 . ヌードマウスに移植した H1299ヒト肺癌腫瘍内に 107 PFUのテロメラ イシン- GFPを投与し、 CCDカメラにて経時的に GFP蛍光発現を観察した。 その結果、 24時間以内にテロメライシン- GFP増殖による GFP蛍光発現 が認、められるようになり、 3 日後-、 5 日後とその範囲および輝度が増強した (図 13) 。

2 . 上記と同様にして、ヌードマウスに移植した H1299 ヒト肺癌腫瘍内に 107 : PFUのテロメライシン- GFPを投与し、 1週間後おょぴ 3週間後に皮下 腫塞を摘出した。 CCD カメラにて腫瘍全体おょぴ割面での GFP 蛍光発現 を観察した。

その結果、摘出腫瘍表面で蛍光発現が微弱な場合も、割面では広い範囲で テロメライシン- GFP の増殖が確認でき、 3 週間後の組織ではほとんど腫瘍 全 ίφ:で蛍光が認められた(図 14) 。

3 . 上記と同様にして、同所性モデルとしてヌードマウスの直腸壁内に ΗΤ29 ヒト大腸癌細胞を移植し、肉眼的腫瘍を形成した時点で 107 PFU の テロメライシン- GFP を投与した。 CCD カメラにて 1週間後にテロメライ シン- GFP増殖による GFP 蛍光発現が認められるようになり、その蛍光発 現は 3週間後でも維持されていた(図 15) 。

実施例 8

1 . ヌードマウスと HT29 ヒト大腸癌細胞を用いた同所性直腸癌モデルに おける組織学白勺解析

ヌードマウスの直腸壁内に HT29 ヒト大腸癌細胞を移植し、肉眼的腫瘍 を形成した時点で腫瘍を摘出、へマトキシリン 'ェォジン(HE)染色にて解 祈した。

その結果、直腸周囲には腫瘍が形成されており、さらに直腸壁内のリンパ 管内にも腫瘍細胞塊が確認できた(図 16) 。

2 . ヌードマウスと HT29 ヒト大腸癌細胞を用いた同所性直腸癌モデルに おける開腹所見

HT29 ヒト大腸癌細胞を直腸壁内に移植後、肉眼的腫瘍が形成された時点 で開腹したところ、 3 個の大動脈周囲のリンパ節 (LN)の腫脹が認められた (図 17) 。

3 . 蛍光イメージングによる HT29 直腸腫瘍および傍大動脈リンパ節にお けるテロメライシン- GFPの腫瘍内増殖 ·複製の検出

CCDカメヲによる蛍光イメージングにより、移植された HT29直腸腫瘍 および 3個のうち 1個の傍大動脈リンパ節において GFP蛍光発現が認めら れた (図 18) 。

4 . 蛍光ィメ一ジングによる傍大動脈リンパ節におけるテロメライシン-GFPの腫瘍内増殖 ·複製の検出

CCDカメラによる蛍光イメージングにより、傍大動脈リンパ節 3個のう ち 1個のみで GFP蛍光発現が認められた(図 19) 。

5 . 蛍光イメージングによる傍大動脈リンパ節におけるテロメライシン-GFPの腫瘍内増殖 ·複製の検出

傍大動脈リンパ節を組織学的に解析したところ、 CCD カメラによる蛍光 イメージングにより GFP 蛍光発現陽性であった 1個のみで転移腫瘍組織が 検出され、テロメライシン- GFP の増殖が転移陽性リンパ節のみであること が確認された(図 20) 。

参考文献

Reid T, Galanis E, Abbruzzese J, Sze D, Wein LM, Andrews J, Randlev B, Heise C, Uprichard M, Hatfield M, Rome L, Rubin J, Kirn D. Hepatic arterial infusion of a replication-selective oncolytic adenovirus (dll520): phase II viral, immunologic, and clinical endpoints. Cancer Res 62(21):6070-9, 2002.

産業上の利用可能性

本発明により、癌細胞検出用試薬又は癌の診断用試薬及び細胞死誘導剤が 提供される。本発明の試薬は生体内においても極めて高感度に癌細胞を検出 することができるため、レヽゎゆるナビゲーシヨン手術等に有用である。

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