16:00 CETの火曜日 19.11.2019のメンテナンス理由で数時間使用できません
国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2006035680) 摺動部材及び流体機械
注意: このテキストは、OCR 処理によってテキスト化されたものです。法的な用途には PDF 版をご利用ください。
明 細書

摺動部材及び流体機械

技術分野

[0001] 本発明は、摺動部材及び流体機械圧縮機に関し、特に、金属製の基材の表面に フッ素を含有する榭脂層を備えた摺動部材及びそれを用いた流体機械に係るもので ある。

背景技術

[0002] 現在使用されているほとんどの機械には軸受けや互いに係合する歯車などの摺 動部材が用いられている。このような摺動部材は所要の機械的強度を必要とされるの と同時に、表面においては摺動性あるいは耐摩耗性を必要とされる。摺動部分に潤 滑剤を供給することによって摺動性ゃ耐摩耗性を満たす方法もあるが、摺動部材が 用いられる場所によっては潤滑剤を供給することが好ましくない場合もある。また、潤 滑剤を供給することがコスト増となる場合も多い。従って、潤滑剤を用いないで摺動 性あるいは耐摩耗性を表面に具備させる技術も非常にたくさん開発されており、例え ば摺動部材の表面に摺動性皮膜を形成する技術を挙げることができる。

[0003] ここで、摺動部材は機械的強度を要求されるため、摺動部材の基材は金属である 場合が多い。一方、摺動性皮膜には MoS2やグラフアイトのような固体潤滑剤あるい はフッ素榭脂のような高分子化合物が、摺動性能が良好なため多く用いられている。 しかし、このような固体潤滑剤や高分子化合物 (榭脂)は基材の金属との密着性に劣 るため、この密着性を向上させるために様々な検討が行われて、る。

[0004] 密着性の向上手段として、基材表面を荒らしてその粗面に固体潤滑剤や榭脂を 塗布する方法が多く検討されている(例えば、特許文献 1、特許文献 2)。この方法は 、基材表面の微細な凹部に固体潤滑剤や榭脂を食い込ませて密着性を向上させる ものである。

特許文献 1 :特開平 5— 180231号公報

特許文献 2 :特開 2000— 145804号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] し力しながら、特許文献 1に開示されている技術は、金属基体の表面層を硬質ィ匕 することが必須であり、このような硬質ィ匕を行わなヽ摺動性部材には適用できな、。

[0006] また、特許文献 2に開示されているバーフィールド型等速ジョイントは、ショットブラ スト処理によって基材表面を中心線平均粗さ Raで 10〜30 μ mの表面粗さにしたも のである。このため、表面には単純な形状の大きな凹凸があるだけであり、固体潤滑 剤ゃ榭脂の食い込み効果が小さい。従って、密着性が向上せず、特に、榭脂を塗布 した場合は運転の途中で榭脂が剥離して摩擦係数が大幅に上がってしまうという問 題があった。この問題は、ショットブラスト処理によって基材表面を中心線平均粗さ Ra で 10〜30 μ mの表面粗さにした後に化成処理を行っても解決しな!、。

[0007] 本発明は、斯カる点に鑑みてなされたものであり、基材の表面に対するフッ素榭 脂を含む摺動性被膜の密着性を向上させた摺動部材及び流体機械を提供すること を目的としている。

課題を解決するための手段

[0008] 上記の目的を達成するために、本願発明は、摺動部材が金属製の基材の表面に フッ素榭脂を含む榭脂層を備えるようにしたものである。

[0009] 具体的に、第 1の発明は、金属製の基材の表面にフッ素榭脂を含む榭脂層を備 えた摺動部材を対象としている。そして、上記基材の表面は、粗面化処理によって輪 郭曲線の算術平均高さ Raが 0. 5 mよりも大きく 10 m未満の表面粗さである。

[0010] この第 1の発明では、基材の表面と榭脂層とが強固に密着し、榭脂層が基材から 欠落するおそれがほとんどない。

[0011] 第 2の発明は、上記第 1の発明において、上記基材の表面は、粗面化処理によつ て輪郭曲線の算術平均高さ Raが 0. 75 mよりも大きく 10 m未満の表面粗さであ る。

[0012] この第 2の発明では、基材の表面と榭脂層とが非常に強固に密着し、基材からの 榭脂層の欠落を確実に防止できる。

[0013] 第 3の発明は、上記第 1又は第 2の発明において、上記粗面化処理が化成処理 である。

[0014] この第 3の発明では、粗面化処理を精度良くかつ再現性良く行うことができる。

[0015] 第 4の発明は、上記第 1〜第 3の発明の何れか 1の発明において、上記榭脂層が ポリアミドイミド榭脂を含有して、る。

[0016] この第 4の発明では、榭脂層を割れに《でき、より強固に金属基材に密着させる ことができる。

[0017] 第 5の発明は、上記第 1〜第 4の発明の何れか 1の発明において、上記基材の表 面層には硬質ィ匕処理がなされてヽな、。

[0018] この請求項 5の発明では、硬質ィ匕処理をわざわざしなくてもよぐコストダウンとなる

[0019] 第 6の発明は、摺動部材を備えた流体機械を対象としている。そして、上記摺動 部材は、金属製の基材の表面の少なくとも一部にフッ素榭脂を含む榭脂層を備え、 上記榭脂層の基材の表面は、粗面化処理によって輪郭曲線の算術平均高さ Raが 0 . 5 mよりも大きく 10 /z m未満の表面粗さである。

[0020] この第 6の発明では、流体機内の摺動部材において、基材の表面と榭脂層とが強 固に密着し、榭脂層が基材力欠落するおそれがほとんどない。

[0021] 第 7の発明は、上記第 6の発明において、上記榭脂層の基材の表面は、粗面化 処理によって輪郭曲線の算術平均高さ Raが 0. 75 μ mよりも大きく 10 μ m未満の表 面粗さである。

[0022] この第 7の発明では、基材の表面と榭脂層とが非常に強固に密着し、基材からの 榭脂層の欠落を確実に防止できる。

[0023] 第 8の発明は、上記第 6又は第 7の発明にお、て、上記粗面化処理が化成処理 である。

[0024] この第 8の発明では、粗面化処理を精度良くかつ再現性良く行うことができる。

[0025] 第 9の発明は、上記第 6〜第 8の発明の何れか 1の発明において、上記榭脂層が ポリアイドイミド榭脂を含有して、る。

[0026] この第 9の発明では、榭脂層を割れに《でき、より強固に金属基材に密着させる ことができる。

[0027] 第 10の発明は、上記第 6〜第 9の発明の何れか 1の発明において、上記摺動部 材が冷媒に晒される。

[0028] この第 10の発明では、冷媒中において特に潤滑性が向上する。

[0029] 第 11の発明は、上記第 10の発明において、上記冷媒がフッ素含有物質を含ん でいる。

[0030] この第 11の発明では、冷却効率と潤滑性とが優れた圧縮機となる。

[0031] 第 12の発明は、上記第 10又は第 11の発明において、上記冷媒に対する潤滑剤 の混合率が 5 %以下である。

[0032] この第 12の発明では、冷媒に対する潤滑剤の混合率が小さいので、冷却効率が 向上する。

[0033] 第 13の発明は、上記第 10又は第 11の発明において、上記冷媒に潤滑剤が実質 的に混合されていない。

[0034] この第 13の発明では、冷却効率が大きく向上する。

[0035] 第 14の発明は、上記第 6〜第 13の発明の何れか 1の発明において、互いに嚙み 合う一対のスクロール (50, 60)を有するスクロール機構 (40)を備えている。そして、一 対のスクロール(50, 60)のうち少なくとも一方が摺動部材を構成している。カロえて、該 摺動部材であるスクロール (50, 60)は、金属製の基材の表面の少なくとも一部に上 記榭脂層を備えている。

[0036] この第 14の発明では、少なくともスクロール (50, 60)の一方に形成された榭脂層 が強固に密着し、榭脂層が基材カも欠落するおそれがほとんどない。

[0037] 第 15の発明は、上記第 14の発明において、上記榭脂層が可動スクロール (50) の軸受部 (53)に直接形成されてヽる。

[0038] この第 15の発明では、可動スクロール (50)の軸受部(53)に榭脂層を直接形成し て 、るので、可動スクロール (50)の軸受部(53)と榭脂層が強固に密着すると共に、 加工の簡素化が図られる。

[0039] 第 16の発明は、上記第 14の発明において、上記榭脂層が可動スクロール (50) の全体に直接形成されて!、る。

[0040] この第 16の発明では、可動スクロール (50)全体に榭脂層を形成しているので、加 ェの容易化が図られる。

[0041] 第 17の発明は、上記第 14の発明において、上記榭脂層が可動スクロール (50) の可動側ラップ (52)に直接形成されている。

[0042] この第 17の発明では、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)に榭脂層を直接 形成して!/、るので、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)表面と榭脂層が強固に 密着すると共に、固定スクロール (60)との間の隙間が低減される。

[0043] 第 18の発明は、上記第 14の発明において、上記榭脂層は、固定スクロール (60) における可動スクロール (50)の対向面全体に直接形成されて!、る。

[0044] この第 18の発明では、固定スクロール(60)における可動スクロール(50)の対向面 全体に榭脂層を直接形成しているので、固定スクロール (60)と榭脂層が強固に密着 すると共に、可動スクロール (50)との間の隙間が低減される。

[0045] 第 19の発明は、上記第 6の発明において、互いに嚙み合う一対のスクロール(50

, 60)を有するスクロール機構 (40)を備えている。そして、該一対のスクロール(50, 60

)のうちの可動スクロール (50)のスラスト軸受(80)が摺動部材を構成して、る。加えて

、該摺動部材であるスラスト軸受(80)は、可動スクロール (50)との摺接面 (81)に上記 榭脂層が直接形成されている。

[0046] この第 19の発明では、スラスト軸受(80)における可動スクロール (50)との摺接面(

81)に榭脂層を直接形成しているので、スラスト軸受 (80)と榭脂層が強固に密着する

発明の効果

[0047] 第 1の発明によれば、金属製の基材と榭脂層との密着性が高くなり、優れた摺動 性を示す。

[0048] 第 2の発明によれば、金属製の基材と榭脂層との密着性が確実に高くなり、非常 に優れた摺動性を示す。

[0049] 第 3の発明によれば、金属製の基材の表面粗面化を精度良くかつ再現性よく行う ことができる。

[0050] 第 4の発明によれば、榭脂層を硬くし、且つこの層の金属製基材への密着性をよ り向上させることができる。

[0051] 第 5の発明によれば、コストダウンができる。

[0052] 第 6の発明によれば、流体機内の摺動部材において、基材の表面と榭脂層との 密着性が高くなり、優れた摺動性を示す。

[0053] 第 7の発明によれば、流体機内の摺動部材において、基材の表面と榭脂層との 密着性が確実に高くなり、非常に優れた摺動性を示す。

[0054] 第 8の発明によれば、流体機内の摺動部材において、金属製の基材の表面粗面 化を精度良くかつ再現性よく行うことができる。

[0055] 第 9の発明によれば、流体機内の摺動部材において、榭脂層を硬くし、且つこの 層の金属製基材への密着性をより向上させることができる。

[0056] 第 10の発明によれば、冷却効率と潤滑性とをともに向上させる。

[0057] 第 11の発明によれば、潤滑性及び冷媒との相性を向上させる。

[0058] 第 12の発明によれば、潤滑性を保ったまま冷却効率が向上する。

[0059] 第 13の発明によれば、潤滑性を保ったまま冷却効率が向上する。

[0060] 第 14の発明によれば、少なくともスクロール (50, 60)の一方に形成された榭脂層 の密着性が高くなり、優れた摺動性を示す。

[0061] 第 15の発明によれば、可動スクロール (50)の軸受部と榭脂層との密着性が高く なり、さらに加工の簡素化が図られる。

[0062] 第 16の発明によれば、可動スクロール (50)の特定部分にのみ榭脂層形成の処 理をする必要がなくなり、加工の容易化が図られる。

[0063] 第 17の発明によれば、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)表面と榭脂層と の密着性が高くなると共に、固定スクロール (60)との間の隙間が低減され、良好なシ ール性が確保できる。

[0064] 第 18の発明によれば、固定スクロール (60)と榭脂層との密着性が高くなると共に 、可動スクロール (50)との間の隙間が低減され、良好なシール性が確保できる。

[0065] 第 19の発明によれば、スラスト軸受(80)における可動スクロールとの摺接面(81) と榭脂層との密着性が高くなり、可動スクロール (50)とスラスト軸受 (80)との摺接面に おいて摺動性が向上する。

図面の簡単な説明

[0066] [図 1]実施形態 1に係るスクロール型圧縮機の断面図である。

[図 2]限界面圧試験を説明する概略図である。

[図 3]基材の表面粗さ Raと限界 PVとの関係を表す図である。

[図 4]冷媒中における摺動テストの結果を示す図である。

[図 5]空気中での限界面圧試験の結果を示す図である。

[図 6]空気中での摩耗量テストの結果を示す図である。

[図 7]実施形態 2に係るスクロール型圧縮機の断面図である。

[図 8]実施形態 3に係るスイング圧縮機の断面図である。

[図 9]実施形態 3に係るスイング圧縮機のシリンダ内の構造を示す横断面図である。

[図 10]実施形態 4に係るスイング圧縮機の断面図である。

[図 11]実施形態 5に係るロータリー圧縮機の断面図である。

[図 12]実施形態 5に係るロータリー圧縮機のシリンダ内の構造を示す横断面図である

符号の説明

[0067] 50 可動スクローノレ

52 可動側ラップ

53 突出部

60 固定スクロール

80 スラスト軸受

81 スラスト軸受上面

発明を実施するための最良の形態

[0068] 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

[0069] (実施形態 1)

本実施形態のスクロール型圧縮機(10)は、冷凍装置の冷媒回路に設けられて、 流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる流体機械である。

[0070] 《スクロール型圧縮機の全体構成》

図 1に示すように、上記スクロール型圧縮機(10)は、いわゆる全密閉形に構成さ れている。このスクロール型圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器状に形成され たケーシング(11)を備えている。上記ケーシング(11)の内部には、下から上へ向か つて順に、下部軸受部材 (30)と、電動機 (35)と、スクロール機構である圧縮機構 (40 )とが配置されている。また、ケーシング(11)の内部には、上下に延びる駆動軸 (20) が設けられている。

[0071] 上記ケーシング(11)の内部は、圧縮機構 (40)の固定スクロール (60)によって上 下に仕切られている。このケーシング(11)の内部は、固定スクロール(60)の上方の 空間が第 1室(12)に構成され、その下方の空間が第 2室(13)に構成されて、る。

[0072] 上記ケーシング(11)の胴部には、吸入管(14)が取り付けられている。この吸入管

(14)は、ケーシング(11)内の第 2室(13)に開口している。上記ケーシング(11)の上 端部には、吐出管(15)が取り付けられている。この吐出管(15)は、ケーシング(11) 内の第 1室(12)に開口している。

[0073] 上記駆動軸 (20)は、主軸部(21)と鍔部(22)と偏心部(23)とを備えて!/、る。上記 鍔部 (22)は、主軸部 (21)の上端に形成され、主軸部 (21)よりも大径の円板状となつ て 、る。上記偏心部(23)は、鍔部(22)の上面に突設されて、る。この偏心部(23)は 、主軸部(21)よりも小径の円柱状となっており、その軸心が主軸部(21)の軸心に対し て偏心している。

[0074] 上記駆動軸 (20)の主軸部(21)は、圧縮機構 (40)のフレーム部材 (41)を貫通して V、る。この主軸部(21)は、ころ軸受 (42)を介してフレーム部材 (41)に支持されて、る 。また、駆動軸 (20)の鍔部 (22)及び偏心部 (23)は、フレーム部材 (41)よりも上方の 第 2室(13)に位置している。

[0075] 上記駆動軸 (20)には、スライドブッシュ (25)が取り付けられて、る。該スライドブッ シュ (25)は、円筒部 (26)とバランスウェイト部 (27)とを備え、鍔部 (22)の上に設けら れている。上記スライドブッシュ(25)の円筒部(26)には、駆動軸 (20)の偏心部(23) が挿入されている。

[0076] 上記下部軸受部材 (30)は、ケーシング(11)内の第 2室(13)〖こ位置している。この 下部軸受部材 (30)は、ボルト(32)によってフレーム部材 (41)に固定されている。そし て、下部軸受部材 (30)は、玉軸受 (31)を介して駆動軸 (20)の主軸部 (21)を支持し ている。

[0077] 上記下部軸受部材 (30)には、給油ポンプ (33)が取り付けられて、る。この給油ポ ンプ (33)は、駆動軸 (20)の下端に係合している。上記給油ポンプ (33)は、駆動軸 (2 0)によって駆動され、ケーシング(11)の底に溜まった冷凍機油を吸入する。給油ポ ンプ (33)に吸い上げられた冷凍機油は、駆動軸 (20)内に形成された通路を通って 圧縮機構 (40)等へ供給される。

[0078] 上記電動機 (35)は、固定子 (36)と回転子 (37)とを備えて!/、る。上記固定子 (36) は、下部軸受部材 (30)と共にボルト (32)によってフレーム部材 (41)に固定されてい る。上記回転子 (37)は、駆動軸 (20)の主軸部(21)に固定されている。

[0079] 上記ケーシング(11)の胴部には、給電用のターミナル(16)が取り付けられている 。このターミナル(16)は、端子箱(17)によって覆われている。電動機 (35)は、ターミ ナル(16)を通じて電力が供給される。

[0080] 《圧縮機構の構成》

上記圧縮機構 (40)は、固定スクロール (60)及び可動スクロール (50)を備えると共 に、フレーム部材 (41)及びオルダムリング (43)を備えている。この圧縮機構 (40)は、 例えば、 V、わゆる非対称スクロール構造を採用して、る。

[0081] 上記可動スクロール (50)は、可動側平板部(51)、可動側ラップ (52)及び突出部( 53)を備えている。上記可動側平板部(51)は、やや肉厚の円板状に形成されている 。上記突出部 (53)は、可動側平板部 (51)の下面 (背面)から突出するように、可動側 平板部 (51)と一体に形成されている。上記突出部 (53)は、可動側平板部 (51)のほ ぼ中央に位置している。この突出部(53)は、スライドブッシュ (25)の円筒部(26)が挿 入されて軸受部を構成している。つまり、上記可動スクロール (50)には、スライドブッ シュ (25)を介して駆動軸 (20)の偏心部(23)が挿入されてヽる。

[0082] 上記可動側ラップ (52)は、可動側平板部 (51)の上面側 (前面側)に立設され、可 動側平板部(51)と一体に形成されている。上記可動側ラップ (52)は、高さが一定の 渦巻き壁状に形成されて!ヽる。

[0083] 上記可動スクローノレ (50)は、オルダムリング(43)とスラスト軸受(80)を介してフレ 一ム部材 (41)の上に設けられている。上記オルダムリング (43)には、二対のキーが 形成されている。このオルダムリング(43)は、一対のキーが可動スクロール(50)の可 動側平板部(51)に係合し、残りの一対のキーがフレーム部材 (41)〖こ係合している。 このオルダムリング (43)により可動スクロール (50)は自転運動が規制されている。つ まり、上記オルダムリング (43)は、可動スクロール (50)とフレーム部材 (41)とに摺接 移動する。

[0084] 上記スラスト軸受(80)は、フレーム部材 (41)の凹部に設けられている。そして、上 記スラスト軸受(80)の上面 (81)は、可動スクロール (50)の可動側平板部(51)の下面 が摺接する摺接面となっている。つまり、上記可動スクロール (50)は、該可動スクロー ル (50)の可動側平板部(51)の下面をスラスト軸受(80)の上面 (81)と摺動させながら 公転運動を行う。

[0085] 図 1に示すように、上記固定スクロール (60)は、固定側平板部(61)と、固定側ラッ プ (63)と、縁部(62)とを備えている。上記固定側平板部(61)は、やや肉厚の円板状 に形成されている。この固定側平板部(61)の直径は、ケーシング(11)の内径と概ね 等しくなつている。上記縁部(62)は、固定側平板部(61)の周縁部分から下方へ向か つて延びる壁状に形成されている。上記固定スクロール (60)は、縁部(62)の下端が フレーム部材 (41)に当接する状態で、ボルト (44)によってフレーム部材 (41)に固定 されている。上記固定スクロール (60)は、その縁部(62)がケーシング(11)と密着し、 ケーシング(11)内を第 1室(12)と第 2室(13)に仕切っている。

[0086] 上記固定側ラップ (63)は、固定側平板部 (61)の下面側 (前面側)に立設され、固 定側平板部(61)と一体に形成されている。上記固定側ラップ (63)は、高さが一定の 渦巻き壁状に形成されており、約 3巻き分の長さとなっている。

[0087] 上記固定側ラップ (63)の両側面である内側ラップ面 (64)と外側ラップ面 (65)は、 可動側ラップ (52)の両側面である外側ラップ面 (54)と内側ラップ面 (55)に摺接移動 する。上記固定側平板部 (61)の下面 (前面)、つまり、固定側ラップ (63)以外の歯底 面 (66)は、可動側ラップ (52)の先端面が摺接移動し、可動側平板部 (51)の上面 (前 面)、つまり、可動側ラップ (52)以外の歯底面 (56)は、固定側ラップ (63)の先端面が 摺接移動する。また、固定側平板部 (61)における固定側ラップ (63)の巻き始め近傍 には、吐出口(67)が形成されている。この吐出口(67)は、固定側平板部(61)を貫通 しており、第 1室(12)に開口している。

[0088] 上述のように、本実施形態のスクロール型圧縮機(10)は、冷凍機の冷媒回路に

設けられている。この冷媒回路では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが 行われる。その際、スクロール型圧縮機(10)は、蒸発器カゝら低圧のガス冷媒を吸入し て圧縮し、圧縮後の高圧のガス冷媒を凝縮器へ送り出す。

[0089] 尚、上記冷媒は、フッ素含有物質を含み、上記冷媒に対する潤滑剤の混合率が 5%以下である力又は上記冷媒には潤滑剤が実質的に混合されていない。

[0090] 上記スクロール型圧縮機(10)を運転すると、スライドブッシュ (25)の円筒部(26)と 可動スクロール (50)の突出部(53)とが摺動する。本実施形態では、この摺動部分に 軸受メタルである潤滑部(70)を設けている。この潤滑部(70)は円筒形であって、鉄を 基材としてその表面(内面側)に潤滑剤層 (榭脂層)が設けられた摺動部材を構成し ている。潤滑剤層が設けられた潤滑部(70)の内面は、スライドブッシュ (25)の円筒部 (26)の外面と摺動する。

[0091] この潤滑部(70)の基材表面は、化成処理によってその表面粗さ Raが 3. 7 μ mに なっている。そして、基材表面の上にポリアミドイミド榭脂(以下、 PAIという)とポリテト ラフルォロエチレン(以下、 PTFEという)とテトラフルォロエチレン一へキサフルォロ プロピレン共重合榭脂 (以下、 FEPとヽぅ)を混合させた潤滑剤を塗布して約 100 μ mの厚みの榭脂層である潤滑剤層を形成している。ここで、表面粗さ Raとは、 JIS B 0601— 2001に規定されて、る輪郭曲線の算術平均高さ Raのことである。以下の説 明にお、ても、表面粗さ Raと表示されて、るときは、 JISにより規定された算術平均高 さ Raを表している。

[0092] このような構成の潤滑部(70)を配置することにより、スライドブッシュ (25)の円筒部

(26)と潤滑部 (70)とが冷媒に晒されながら摺動しても低い摩擦係数で非常に長時間 摺動し続けることができる。

[0093] 《摺動部分の評価》

次に、潤滑部(70)に関して行った検討について説明する。

[0094] 含フッ素榭脂は、金属との摩擦係数が低く摺動性が優れている。しかし、発明が 解決しょうとする課題の欄で説明したように、含フッ素榭脂は、金属製の基材との密 着力が劣っており、金属製基材からすぐに剥がれてしまう。そこで、本願発明者らは、 基材の表面粗さをどのようにしたら含フッ素榭脂の基材への密着性が向上するかを

鋭意研究した。

[0095] 検討の方法は、図 2に示すようなリング Zディスク試験片を用いた限界面圧試験 によって行った。限界面圧試験は潤滑剤の基材への密着性を評価する試験であつ て、 SUJ2 (JIS G4805— 1990による)力もなるリングを一定速度で回転させ、評価 試験片 (ディスク)をその回転軸に沿ってリングに押し付けて評価を行う。試験ではリ ングに掛力るトルクを測定しながら、押し付ける荷重を一定時間毎に段階的に増加さ せる。

[0096] そして、トルクが急上昇した荷重を面圧に換算し、この面圧と回転速度との積を限 界 PV (限界面圧速度積)として密着性の評価指数とする。つまり、試験片の潤滑剤 が基材力剥離するとリング Zディスク間の摩擦係数が急激に大きくなつてトルクが急 上昇するので、限界 PVにより密着性が評価できる。限界 PVは大きい方が密着性に 優れている。尚、今回の試験は大気中で、かつリング zディスク間には潤滑油を介在 させることなく行った。

[0097] 試験片は、鉄基材の表面に化成処理により粗面化処理を施し、さらにその表面に フッ素榭脂を含む潤滑剤層を形成して作成した。基材の表面粗さ Raは、化成処理の 処理条件を変えることで調節した。化成処理には、ここではリン酸マンガンを用いた。 潤滑剤層は、 PAIZFEPZPTFE = 70Z24Z6の組成比の榭脂混合物から形成し た。潤滑剤層の厚みは約 100 mとした。尚、潤滑剤層は榭脂混合物を塗布した後 に焼成をし、その後に表面を研磨して形成した。

[0098] 図 3は基材の表面粗さ Raと限界 PVとの関係のグラフである。尚、ここで図 3に示 す基材 Raとは、基材表面における JIS B0601— 2001に規定されている輪郭曲線の 算術平均高さ Raのことである。

[0099] このグラフ力も判るように、 Raが 0. 5 μ mよりも小さいと限界 PVが 0. 4MPa-m/ s未満であるが、 Raが 0. 5 mを越えると限界 PVが 0. 4MPa'mZsよりも大きくなり 、一般的な摺動部材用途としては十分な密着性を有している。限界 PVが IMPa'm Zs以上 (RaO. 75 μ m以上)であると環境の変化があっても十分な密着性を保つこと ができるので好ましい。尚、より密着性を必要とされる用途では、限界 PVが 1. OMPa •mZs以上(RaO. 75 m以上)であるほう力よく、好ましくは 1. 5MPa'mZs以上(

RaO. 85 μ m以上)である。

[0100] 一方、表面粗さ Raが大きくなりすぎると、表面の粗さのうち最大高さ Rzも大きくな るため、潤滑剤層の表面力も基材の一部が突き出してしまう。また、表面粗さ Raを大 きくするためには、化成処理を長時間行う必要があり、コストが増大してしまうとともに 、化成処理により形成された基材表面の凹凸が崩壊し易くなる。これらの理由で、表 面粗さ Raは 10 μ m未満であることが好ましぐ 5 μ m以下であると低コストで作成でき るためより好ましい。

[0101] 次に、鉄基材の表面粗さ Raを化成処理によって 3. 7 μ mとし、上記の組成比の 潤滑剤層を基材表面に塗布し、さらに焼成 Z研磨した本実施形態のサンプル Bと、 比較のために形成したサンプル Aとを摺動性能の評価テストを行った。このサンプル Aは、鉄板の上にポーラスなブロンズ焼結体 (表面粗さ Ra30 m以上)を形成し、フ ッ素榭脂を含浸させたものである。尚、比較サンプル Aは、空調用スクロール圧縮機 に用いられて、る従来の摺動部材である。

[0102] 図 5は、空気中における潤滑油無しでの限界面圧試験の結果である。比較サンプ ル Aは、面圧が約 5. 5MPaになると焼き付いてしまった力サンプル Bは面圧が試験 機の上限の 7MPaに達しても焼き付きは起こさな力つた。

[0103] 図 6は、空気中における潤滑油無しでの摩耗量テストの結果である。テスト条件は 、面圧 2. 8MPa、摺動速度 lmZsで 1時間の摺動という条件である。比較サンプル Aは、約 45 μ mの摩耗量となったが、サンプル Bは摩耗量が 10 μ mと非常に少なぐ 優れていることがわ力る。

[0104] さらに、冷媒中における摺動テストの結果を図 4に示す。一般に空調用圧縮機内 では、摺動部分の摩耗を抑えるために、冷媒 (HFC冷媒)と潤滑油とを 65 : 35の割 合で混合させて用いて、るが、このテストでは潤滑油の混合比率 (濃度)を変更して データを採取した。 HFC冷媒はフッ素含有物質を含んでいる。図 4に示した摺動テ ストは、面圧 3MPa、摺動速度 2mZsで 2時間摺動させたときの摩耗量を縦軸に取つ て 、る。横軸は冷媒中に混合させた潤滑油の割合を示して、る。

[0105] 比較サンプル Aは、摺動部分に用いられている従来の部材である力通常の潤滑 油濃度 35%において摩耗量が 13 mで、潤滑油濃度を 10%にすると摩耗量は 24

μ mに増加した。一方、サンプル Bは、潤滑油濃度 10%で摩耗量が 2 mであり、潤 滑油濃度 0%、即ち冷媒 100%であっても摩耗量力 /z mと非常に少なぐ本実施形 態のサンプル Βの冷媒 100%時の摩耗量は比較サンプル Αの通常潤滑油濃度(35 %)時の摩耗量よりも少な!/、。

[0106] 上記結果から明らかなように、本実施形態のサンプル Bは潤滑油濃度 0%であつ てもほとんど摩耗しないので、冷媒中に潤滑油を混合させる必要が無ぐ冷却効率を 大幅に向上させることができる。含フッ素榭脂が摺動部材の表面に存しているので、 フッ素含有物質を含む冷媒に対してなじみが良ぐ摺動性能が向上している。また、 圧縮機の始動時や過渡時などには、摺動部において冷媒が存在しない完全ドライな 状態になることが考えられる力このような場合でも本実施形態のサンプル Bは優れ た摺動性能を発揮する。このような優れた摺動性能は、基材と含フッ素榭脂層 (潤滑 剤層)との密着性が高い状態ではじめて発揮されるものである。つまり、サンプル Bで は基材表面の表面粗さ Raを適切な範囲にしているので、基材と含フッ素榭脂層との 密着性が非常に優れており、従って優れた摺動性能を発揮できるのである。

[0107] 次に、フッ素榭脂を含む榭脂層の組成について説明する。

[0108] フッ素榭脂を含む榭脂層の主成分は、 15質量%以上 35質量%以下のフッ素榭 脂と、 65質量%以上 85質量%以下のポリアミドイミド榭脂とによって構成されているこ とが好ましい。また、上記主成分中のフッ素榭脂は、 FEPと PTFEとによって構成され ていることが好ましい。このフッ素榭脂では、 PTFEよりも FEPの割合の方が多くなつ ていることが好ましい。具体的には、このフッ素榭脂における FEPと PTFEの質量比 は、 FEP: PTFE = 7: 3〜99: 1が好ましく、 FEPが「9」に対して PTFEが「1」である のが望ましい。

[0109] 上記のようにポリアミドイミド榭脂を混合させていると、耐衝撃性に優れるというポリ アミドイミド榭脂の特性を利用することができ、構成部材の摺動面上に耐衝撃性が高 くて剥がれにくい榭脂被膜を形成できる。また、ポリアミドイミド榭脂は硬度が高いとい う特性も有することから、この榭脂被膜は、比較的硬くて摩耗しにくいものとなる。

[0110] また、フッ素榭脂を含む榭脂層には、フッ素榭脂とポリアミドイミド榭脂とで構成さ れた主成分の他に、着色料としてのカーボン等の顔料、その他の添加剤が配合され

ていてもよい。このような添加剤の添加量は、フッ素榭脂を含む榭脂層の性能ゃ基材 に対する密着性に悪影響が出ない程度に設定される。例えば、添加剤としてのカー ボンは、フッ素榭脂の 3質量%以下に設定する必要があり、好ましくは 1質量%以下、 更に好ましくは 0.5質量%以下に設定するのが望まし!/、。

[0111] また、フッ素榭脂を含む榭脂層の厚みは、 35 m以上 120 m以下が好ましい。

35 mよりも薄いと摺動性能が劣ってしまう虞があり、 120 mよりも厚いと、製造コス トが大きくなつてしまう。この層の厚みは、 50 m以上 105 m以下が摺動性能の面 とコスト面とでより好ましい。尚、ここでいう層の厚みは平均の厚みであって、局所的に はこの範囲外の厚みであっても構わな!/、。

[0112] 本実施形態では、摺動部材である潤滑部(70)にお、て、基材の表面粗さ Raを所 定の大きさにしてその表面にフッ素榭脂を含む榭脂層を形成して潤滑層としている ので、基材と含フッ素榭脂を含む榭脂層とが強固に密着しており、優れた摺動性能 を示す。特に、フッ素含有物質を含む冷媒中で用いられる場合には、潤滑油が無く てもほとんど摩耗せず、低摩擦係数での摺動を長時間維持できる。また、本実施形 態の摺動部材は、基材の表面を化成処理により所定の表面粗さ Raにすることで優れ た摺動性能を示すので、簡単且つ低コストでこの摺動部材を製造することができる。 また、本実施形態の摺動部材はこのように簡単な方法で製造できるので、スライドブ ッシュ(25)の円筒部(26)と可動スクロール (50)の突出部(53)との摺動部分に限らず 、様々な種類及び用途の摺動部材をこの方法で製造することができる。

[0113] 一実施形態 1の変形例 1

本変形例は、上記実施形態 1が潤滑部(70)を別物で構成したのに代わり、可動 スクロール (50)の突出部 (53)に潤滑剤として榭脂層を直接形成したものである。

[0114] つまり、上記可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面は、化成処理により、基 材表面粗さ Raが: L mの粗面化処理が施され、その上に、 PAI/FEP/PTFE = 7 OZ25Z5の組成比の榭脂層が形成されている。

[0115] 本変形例では、摺動部材である可動スクロール (50)において、該可動スクロール

(50)の突出部(53)に直接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減を図ることが できると共に、部品点数の削減も図ることができる。その他の構成、作用及び効果は 、実施形態 1と同じである。

[0116] 一実施形態 1の変形例 2—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部 (53)の摺動部分に榭 脂層を設けたのに代わり、可動側平板部(51)の下面に榭脂層を形成したものである

[0117] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)の可動スクロール (50)における可動側平板 部(51)の下面は、スラスト軸受(80)の上面(81)及びオルダムリング (43)の上面と摺 動する。そこで、本変形例は、可動側平板部(51)の下面の基材表面粗さ Raを化成 処理により 1 μ mとし、さらに PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層 を基材表面に形成した。

[0118] 本変形例では、摺動部材である可動スクロール (50)において、該可動スクロール

(50)の可動側平板部(51)に直接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減を図 ることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0119] 一実施形態 1の変形例 3—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、摺動部材である可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)に 榭脂層を直接形成したものである。

[0120] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)の可動スクロール(50)の可動側ラップ(52) の側面と固定スクロール (60)の固定側ラップ (63)の側面とが摺動する一方、可動側 ラップ (52)の先端面と固定スクロール (60)の固定側平板 (61)の歯底面 (66)とが摺 動する。そこで、本変形例は、可動側ラップ (52)の表面の基材表面粗さ Raをィ匕成処 理により 1 μ mとし、さらに PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を 基材表面に形成した。

[0121] 本変形例では、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)に榭脂層を直接形成し て 、るので、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)表面と榭脂層とが強固に密着 すると共に、固定スクロール (60)の固定側ラップ (63)及び固定側平板 (61)の歯底面 (66)との間の隙間が低減され、良好なシール性が確保される。その他の構成、作用 及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0122] 一実施形態 1の変形例 4

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、摺動部材である可動スクロール (50)の全体に榭脂層を直接 形成したものである。

[0123] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)の可動スクロール (50)において、上記実施 形態 1の変形例 1〜2に記載した突出部 (53)の内周面やや可動側平板部 (51)の下 面における相手材との摺動性を向上させ、上記変形例 3に記載した固定スクロール( 60)との対向面における摺動性及びシール性を向上させるため、可動スクロール (50) 全体に榭脂層を直接形成した。

[0124] 具体的には、上記可動スクロール (50)の全体の表面の基材表面粗さ Raをィ匕成処 理により 1 μ mとし、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂 層が形成されている。

[0125] 本変形例では、可動スクロール (50)を部分的に榭脂層形成の処理をする必要が なぐ可動スクロール (50)全体に直接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減 を図ることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0126] 一実施形態 1の変形例 5—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、固定スクロール(60)の可動スクロール(50)の対向面全体に 榭脂層を直接形成したものである。

[0127] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)の固定スクロール(60)と可動スクロール(50 )の対向面、即ち固定スクロール (60)の固定側ラップ (63)と固定平板部(61)の歯底 面 (66)は、可動スクロール (50)の可動側ラップ (52)と可動側平板部(51)上面と摺動 する。そこで、本変形例は、固定スクロール (60)の固定側ラップ (63)の両側面及び 先端面と固定側平板部 (61)の歯底面の基材表面粗さ Raを化成処理により 1 μ mとし 、さらに PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を基材表面に形成し た。

[0128] 本変形例では、固定スクロール(60)における可動スクロール(50)との対向面全体 に榭脂層を形成しているので、固定スクロール (60)と榭脂層とが強固に密着するとと もに、可動スクロール (50)との隙間が低減され、良好なシール性が確保される。その 他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0129] 一実施形態 1の変形例 6—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、スライドブッシュ (25)の円筒部 (26)の外周面に榭脂層を設け たものである。

[0130] つまり、上記スクロール圧縮機(10)のスライドブッシュ(25)の円筒部(26)の外周 面と可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面が摺動する。そこで、本変形例は、 スライドブッシュ(25)の円筒部(26)の外周面の基材表面粗さ Raをィ匕成処理により 1 μ mとし、さらに PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を基材表面 に形成した。

[0131] 本変形例では、摺動部材であるスライドライドブッシュ (25)において、円筒部 (26) の外周面に直接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減を図ることができると共 に、実施形態 1の変形例 1と同様に潤滑部(70)を設ける必要がなくなり、部品点数の 削減も図ることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0132] 一実施形態 1の変形例 7—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、スラスト軸受(80)の上面 (81)に榭脂層を直接形成したもので ある。

[0133] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)のスラスト軸受(80)の上面(81)は可動スク ロール (50)の可動側平板部(51)の下面と摺動する。そこで、本変形例は、スラスト軸 受(80)の上面(81)の基材表面粗さ Raを化成処理により 1 μ mとし、さらに PAlZFE PZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を基材表面に形成した。

[0134] 本変形例では、スラスト軸受(80)の上面 (81)に直接榭脂層を形成しているので、 スラスト軸受 (80)の上面 (81)と榭脂層とが強固に密着すると共に、スラスト軸受 (80) の上面 (81)と可動スクロール (50)の可動側平板部(51)下面との摺動部分にお!、て 、摺動性を向上させることがきる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じ である。

[0135] 一実施形態 1の変形例 8—

本変形例は、上記変形例 1が可動スクロール (50)の突出部(53)の内周面に榭脂 層を設けたのに代わり、オルダムリング (43)に榭脂層を直接形成したものである。

[0136] つまり、上記スクロール型圧縮機(10)のオルダムリング(43)の一方のキーは可動 スクロール (50)の可動側平板部(51)の下面と摺動し、オルダムリング (43)の本体及 び他方のキーはフレーム部材 (41)と摺動する。そこで、本変形例は、オルダムリング ( 43)の表面の基材表面粗さ Raを化成処理により 1 mとし、さらに PAlZFEPZPTF E = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を基材表面に形成した。

[0137] 本変形例では、オルダムリング (43)の表面に直接榭脂層を形成して、るので、ォ ルダムリング (43)と榭脂層とが強固に密着すると共に、オルダムリング (43)の一方の キーと可動スクロール (50)の可動側平板部(51)の下面との摺動部分、オルダムリン グ (43)の本体及び他方のキーとフレーム部材 (41)との摺動部分にお!、て、摺動性 が向上する。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0138] (実施形態 2)

以下、本発明の実施形態 2を図 7に基づいて詳細に説明する。

[0139] 本実施形態のスクロール圧縮機(100)は、上記実施形態 1の駆動軸 (20)が、ころ 軸受 (42)及び玉軸受 (31)を介してフレーム部材 (41)及び下部軸受部材 (30)に支 持されていたのに代わり、駆動軸 (20)の主軸部(21)が、軸受メタルである潤滑部(11 1, 121)を介してフレーム部材 (41)の主軸受部(110)と下部軸受部材(119)の下部主 軸受部(120)とに支持されている。

[0140] 上記潤滑部(111, 121)は、円筒形に形成され摺動部材を構成している。上記潤 滑部(111, 121)は、鉄を基材としたその内周面の基材表面粗さ Raを化成処理により 1 μ mとした上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層力なる潤 滑層が設けられている。

[0141] そして、スクロール圧縮機(100)を運転すると、駆動軸 (20)の主軸部(21)は、主 軸受部(110)及び下部主軸受部(120)において、上記潤滑部(111, 121)を介して摺 動する。

[0142] このような構成の潤滑部(111, 121)を配置することにより、主軸部(21)と潤滑部(1 11, 121)が低い摩擦係数で非常に長時間摺動し続けることができる。その他の構成 、作用及び効果は、実施形態 1と同じである。

[0143] 実施形態 2の変形例

本変形例は、上記実施形態 2が主軸部 (21)と主軸受部(110)及び下部主軸受部 (120)との間に潤滑部(111, 121)を設けたのに代わり、主軸受部(110)及び下部主 軸受部(120)に榭脂層を直接形成するか、または、主軸部 (21)に榭脂層を直接形成 したものである。

[0144] つまり、主軸受部(110)及び下部主軸受部(120)の内周面、または、主軸部(21) の主軸受部(110)及び下部主軸受部(120)との摺接面にあたる外周面の基材表面 粗さ Raを化成処理により 1 μ mとし、その上に、 PAI/FEP/PTFE = 70/25/5 の組成比の榭脂層からなる潤滑層が形成されている。

[0145] したがって、上記主軸受部(110)及び下部主軸受部(120)が、鉄製の基材の表面 に榭脂層を備えた摺動部材を構成するか、または、主軸部 (21)が、鉄製の基材の表 面に榭脂層を備えた摺動部材を構成してヽる。

[0146] 本変形例では、上記実施形態 2で示した潤滑部(111, 121)を設けることなぐ主 軸受部(110)及び下部主軸受部(120)の内周面、または、主軸部(21)の外周面に直 接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減を図ることができると共に、部品点数 の削減も図ることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 2と同じである

[0147] (実施形態 3)

以下、本発明の実施形態 2を図 8及び図 9に基づいて詳細に説明する。

[0148] 本実施形態は、 V、わゆる揺動ピストン型のスイング圧縮機 (200)である。本実施形 態のスイング圧縮機 (200)は、上記実施形態 1及び 2と同様に、冷凍装置の冷媒回路 に設けられ、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。このスイング圧縮機( 200)は、ドーム型のケーシング (210)内に、圧縮機構 (230)と電動機 (220)とが収納さ れ、全密閉型に構成されている。

[0149] 上記ケーシング (210)は、円筒状の胴部(211)と、該胴部(211)の上下にそれぞ れ設けられた鏡板 (212, 213)とを備えている。上記胴部(211)の下部には、吸入管( 241)が設けられ、上部の鏡板 (212)には、吐出管 (215)と、電動機 (220)に電力を供 給するターミナル (216)とが設けられて、る。

[0150] 上記圧縮機構 (230)は、ケーシング (210)内の下部に配置され、シリンダ (219)と 該シリンダ(219)のシリンダ室(225)に収納された揺動ピストン (228)とを備えている。 上記シリンダ (219)は、円筒状のシリンダ部(221)と、このシリンダ部(221)の上下を閉 塞するフロントヘッド (222)及びリャヘッド (223)とで構成されている。そして、上記シリ ンダ室(225)は、シリンダ部 (221)とフロントヘッド(222)とリャヘッド(223)とによって形 成されている。

[0151] 上記電動機 (220)は、固定子 (231)と回転子 (232)とを備えている。該固定子 (231 )は、圧縮機構 (230)の上方でケーシング (210)の胴部(211)に固定され、回転子 (23 2)は駆動軸 (233)が連結されて、る。

[0152] 上記駆動軸(233)は、シリンダ室(225)を上下方向に貫通し、フロントヘッド (222) とリャヘッド (223)には、駆動軸 (233)を支持するための主軸受部(222a)と副軸受部( 223a)がそれぞれ形成されている。また、上記駆動軸 (233)の下端部には、油ポンプ ( 236)が設けられている。そして、上記ケーシング (210)内の底部に貯留されている油 は、油ポンプ (236)によつ給油路(図示省略)を流通し、圧縮機構 (230)のシリンダ室 (225)などに供給される。

[0153] 上記駆動軸 (233)には、シリンダ室 (225)の中央部分に偏心部(233a)が形成され ている。この偏心部(233a)は、駆動軸 (233)よりも大径に形成されている。

[0154] 上記揺動ピストン(228)は、図 9に示すように、ピストン本体(228a)と該ピストン本 体 (228a)に一体に形成され且つピストン本体 (228a)力突出する仕切り部材である ブレード(228c)とを備えている。上記ピストン本体 (228a)の内周面には、上記偏心部 (233a)が挿入されている。

[0155] 上記シリンダ部(221)には、ブッシュ孔(221b)が形成されて!、る。該ブッシュ孔(22 lb)には、断面が略半円形状の一対のブッシュ(251, 252)が挿入されている。一対の ブッシュ (251, 252)は、平面状の対向面がブレード溝 (229)を形成し、該ブレード溝( 229)に、上記ブレード(228c)が揷入されている。一対のブッシュ(251, 252)は、ブレ ード (228c)を挟んだ状態で、ブレード (228c)がブレード溝 (229)を進退自在となるよ うに構成されている。同時に、ブッシュ(251, 252)は、ブレード(228c)と一体的にブッ シュ孔 (221b)の中で揺動するように構成されて!、る。

[0156] また、上記シリンダ部(221)には、ブレード (228c)の先端を収容するためのブッシ ュ背部室 (250)力ブッシュ孔 (22 lb)の外側に形成されている。

[0157] 以上の構成により、駆動軸 (233)が回転すると、揺動ピストン (228)は、ブレード溝

(229)内を進退するブレード (228c)の一点を中心として揺動する。この揺動により、ピ ストン本体 (228a)が自転することなぐシリンダ室 (225)の内周面に沿って公転する。 尚、上記ピストン本体(228a)の公転時において、ピストン本体(228a)とシリンダ室(22 5)の内周面との接点位置 (260)には、薄い油膜が形成される程のわずかな隙間が形 成されている。

[0158] また、上記ブレード (228c)は、シリンダ室 (225)を吸入側空間(225a)と圧縮側空 間(225b)とに区画している。上記シリンダ部(221)には、上記吸入側空間(225a)と連 通する吸入口(214)が形成されている。該吸入口(214)には、吸入管(241)が接続さ れている。また、上記フロントヘッド (222)には吐出口(242)が形成されている。さらに 、シリンダ部(221)の内周面には、吐出路 (243)が、吐出口(242)に連通して形成され ている。尚、上記フロントヘッド (222)の上面には、凹部(245)が形成されている。該 凹部(245)には、吐出口(215)を開閉する吐出弁 (246)が設けられている。

[0159] 上述したスイング圧縮機 (200)を運転すると駆動軸 (233)は主軸受部(222a)と副 軸受部(223a)と摺動し、駆動軸 (233)の偏心部(233a)はピストン本体 (228a)と摺動 する。本実施形態では、この摺動部分にそれぞれ軸受メタルである潤滑部(222b, 22 3b, 228b)を設けている。該潤滑部(222b, 223b, 228b)は、実施形態 1と同様に構成 され、円筒形に形成されている。そして、上記潤滑部(222b, 223b, 228b)は、鉄を基 材とし、その内周面の基材表面粗さ Raをィ匕成処理により 1 mとした上に、 PAIZFE PZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層からなる潤滑層が設けられた摺動部材 である。

[0160] このような構成の潤滑部(222b, 223b, 228b)を配置することにより、駆動軸(233)と 潤滑部(222b, 223b)、駆動軸 (233)の偏心部(233a)と潤滑部(228b)とが低、摩擦 係数で非常に長時間摺動し続けることができる。

[0161] 一実施形態 3の変形例 1

本変形例は、上記実施形態 3が主軸受部 (222a)及び副軸受部 (223a)と、駆動軸 (233)の偏心部(233a)とに別物の潤滑部(222b, 223b, 228b)を設けたのに代わり、 主軸受部 (222a)及び副軸受部 (223a)に摺接する駆動軸 (233)の外周面と偏心部 (2 33a)の外周面とに潤滑剤として榭脂層を直接形成するか、または、主軸受部 (222a) 及び副軸受部(223a)の内周面とピストン本体 (228a)の内周面に潤滑剤として榭脂層 を直接形成したものである。

[0162] つまり、上記駆動軸 (233)の外周面であって主軸受部(222a)及び副軸受部(223a )との摺接面及び偏心部(233a)の外周面、または、主軸受部(222a)と副軸受部(223 a)とピストン本体(228a)の内周面の基材表面粗さ Raを化成処理により 1 mとし、そ の上に PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層からなる潤滑層を形成 している。

[0163] 本変形例では、上記実施形態 3で示した潤滑部(222b, 223b, 228b)を設けること なぐ駆動軸 (233)と偏心部(233a)、または、主軸受部(222a)と副軸受部(223a)とピ ストン本体 (228a)に直接榭脂層を形成しているので、加工工数の低減と部品点数の 削減を図ることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 3と同じである。

[0164] 一実施形態 3の変形例 2—

本変形例は、上記実施形態 3が主軸受部 (222a)及び副軸受部 (223a)と、駆動軸 (233)の偏心部(233a)とに別物の潤滑部(222b, 223b, 228b)を設けたのに代わり、 ブッシュ (251, 252)全体に榭脂層を直接形成したものである。

[0165] つまり、上記ブッシュ(251, 252)は、ブレード溝(229)を形成する互いの対向面が ブレード(228c)と摺動し、ブッシュ(251, 252)の半円周面がブッシュ孔(221b)の表面 と摺動する。そこで、本変形例は、ブッシュ(251, 252)全体の表面の基材表面粗さ R aを化成処理により: L mとした後に、その上に PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の 組成比の榭脂層からなる潤滑層を形成している。

[0166] 本変形例では、ブッシュ (251, 252)に榭脂層を直接形成して、るので、ブッシュ( 251, 252)と榭脂層が強固に密着すると共に、ブレード溝 (229)とブレード (228c)との 摺動性と、ブッシュ(251, 252)の半円周面とブッシュ孔(221b)との摺動性が向上する 。これにより、ブレード(228c)のブレード溝 (229)における進退運動が円滑になるので 、ピストン (228)の公転運動の信頼性が向上する。その他の構成、作用及び効果は、 実施形態 3と同じである。

[0167] 一実施形態 3の変形例 3—

本変形例は、上記実施形態 3の変形例 1が、スイング圧縮機 (200)の駆動軸 (233 )の偏心部(233a)の外周面に榭脂層を設けたことに代わり、上記偏心部(233a)の上 面及び下面に榭脂層を直接形成したものである。

[0168] つまり、上記偏心部(233a)の上面はフロントヘッド (222)の下面と摺動し、偏心部( 233a)の下面はリャヘッド (223)の上面と摺動する。そこで、本変形例は、偏心部(233 a)の上面及び下面の基材表面粗さ Raをィ匕成処理により: L mとした後、その上に PA IZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層力もなる潤滑層を形成して、る。

[0169] 本変形例では、偏心部 (233a)に榭脂層を直接形成しているので、偏心部 (233a) と榭脂層が強固に密着すると共に、シリンダ室 (225)において、偏心部(233a)とフロ ントヘッド (222)及びリャヘッド (223)との隙間が低減されるので、良好なシール性が 確保される。これにより、圧縮機としての信頼性が向上する。その他の構成、作用及 び効果は、実施形態 3の変形例 1と同じである。

[0170] 尚、上記偏心部(233a)全体に榭脂層を直接形成すれば、上記の効果が得られる と共に、実施形態 3の変形例 1のように、偏心部(233a)とピストン本体 (228a)との摺動 性が向上する。そして、偏心部 (233a)の部位別に榭脂層を設ける処理を行う必要が 無くなるので、加工の簡素化が図れる。

[0171] 一実施形態 3の変形例 4

本変形例は、上記実施形態 3の変形例 1が、ピストン本体 (228a)の内周面に潤滑 層である榭脂層を設けたことに代わり、揺動ピストン (228)全体に榭脂層を直接形成 したものである。

[0172] つまり、上記揺動ピストン(228)の上面はフロントヘッド(222)の下面と摺動し、ビス トン (228)の下面はリャヘッド(223)上面と摺動し、ピストン本体 (228a)の外周面はシ リンダ部(221)の内周面と摺動し、ピストン本体 (228a)の内周面は偏心部(233a)と摺 動し、ブレード(228c)の側面はブッシュ(251, 252)の対向面と摺動する。そこで、本 変形例は、ピストン (228)全体の表面の基材表面粗さ Raをィ匕成処理により: L mとし た後、その上に PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層力もなる潤滑 層を形成している。

[0173] 本変形例では、揺動ピストン (228)全体に榭脂層を直接形成して!/ヽるので、各部 位別に処理を施す必要がなぐ加工の簡素化を図ることができる。また、ブレード (22 8c)とブッシュ(251, 252)との摺動性が向上し、ブレード(228c)の進退が円滑になる ので、ピストン本体 (228a)の公転運動が正確となる。さらに、上記揺動ピストン (228) とシリンダ室 (225)の内面との隙間が低減され、良好なシール性が確保される。これ により、圧縮機としての信頼性が向上する。その他の構成、作用及び効果は、実施形 態 3と同じである。

[0174] 一実施形態 3の変形例 5—

本変形例は、上記実施形態 3の変形例 3及びが、偏心部(233a)とピストン (228a) とに潤滑剤として榭脂層を形成したのに代わり、フロントヘッド (222)の下面と、リャへ ッド (223)の上面と、シリンダ部(221)の内周面とに榭脂層を直接形成したものである

[0175] つまり、上記フロントヘッド(222)の下面は、偏心部(233a)の上面及びピストン本 体 (228a)の上面と摺動し、リャヘッド (223)の上面は、偏心部(233a)の下面及びビス トン本体(228a)の下面と摺動し、シリンダ部(221)の内周面はピストン本体(228a)の 外周面と摺動する。そこで、本変形例は、フロントヘッド (222)の下面と、リャヘッド (22 3)の上面と、シリンダ部(221)の内周面とを、化成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層力もなる潤 滑層を形成した。

[0176] 本変形例では、フロントヘッド(222)の下面と、リャヘッド(223)の上面と、シリンダ 部(221)の内周面とに榭脂層を直接形成しているので、フロントヘッド (222)及びリャ ヘッド (223)及びシリンダ部(221)に榭脂層が強固に密着する。また、シリンダ室 (225 )の内面を形成するフロントヘッド(222)の下面と、リャヘッド(223)の上面と、シリンダ 部(221)の内周面とに榭脂層が形成されて、るので、シリンダ室 (225)の内面が摺接 する、偏心部(233a)の上面及び下面と、ピストン本体 (228a)の上面及び下面と内周 面との隙間が低減され、良好なシール性が確保される。これにより、圧縮機としての 信頼性が向上する。その他の構成、作用及び効果は、実施形態 3と同じである。

[0177] (実施形態 4)

本発明の実施形態 4は、図 10に示すスイング圧縮機 (300)である。上記実施形態 3の圧縮機構 (230)は、一つのシリンダ (219)を備えていたことに代わり、本実施形態 の圧縮機構 (301)は、複数のシリンダ本体 (325, 326)を備えている。そして、その他 の構成、作用については、実施形態 3のスイング圧縮機 (200)と同じである。

[0178] 本実施形態のスイング圧縮機 (300)は、上記実施形態 3と同様、冷凍装置の冷媒 回路に設けられ、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。尚、ここでは、 複数のシリンダ本体 (325, 326)を有する圧縮機構 (301)についてのみ説明する。

[0179] 上記圧縮機構(301)には、 2つのシリンダ本体(325, 326)が設けられ、これら 2つ のシリンダ本体 (325, 326)は、駆動軸 (314)の延びる方向、つまり、上下方向に並設 されている。

[0180] フロントヘッド (307)は、上側に配置される第 1シリンダ本体 (325)の上面に、またリ アヘッド (308)は、下側に配置される第 2シリンダ本体 (326)の下面にそれぞれ配置さ れている。上記第 1シリンダ本体 (325)及び第 2シリンダ本体 (326)間には、仕切プレ ートとしてのミドルプレート(327)が配置されている。上記ミドルプレート(327)の中央 部には、駆動軸 (314)の貫通孔 (327a)が形成されて!、る。

[0181] 上記フロントヘッド (307)と第 1シリンダ本体 (325)とミドルプレート(327)と第 2シリ ンダ本体 (326)とリアヘッド (308)とは、この順に配置されてボルトによって締結されて いる。そして、上記駆動軸(314)は、両ヘッド(307, 308)、両シリンダ本体(325, 326) 及びミドルプレート(327)を貫通して、る。

[0182] 上記第 1シリンダ本体 (325)には第 1揺動ピストン (333)が、また第 2シリンダ本体( 326)には第 2揺動ピストン (334)がそれぞれ配置されている。そして、本実施形態で は、フロントヘッド(307)、第 1シリンダ本体(325)、第 1ピストン(333)及びミドルプレー ト (327)によって区画形成される第 1圧縮室 (335)と、リアヘッド (308)、第 2シリンダ本 体 (326)、第 2ピストン (334)及びミドルプレート(327)によって区画形成される第 2圧 縮室(336)との 2つの圧縮室が形成されてヽる。

[0183] 上記スイング圧縮機 (300)を運転すると、ミドルプレート (327)の上面は第 1揺動ピ ストン (333)の下面と摺動し、ミドルプレート(327)の下面は第 2揺動ピストン (334)の 上面と摺動する。そこで、本実施形態では、ミドルプレート (327)の上面と下面とを、 化成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAI/FEP/PTFE = 70 Z25Z5の組成比の榭脂層を直接形成している。

[0184] 本実施形態により、ミドルプレート (327)に榭脂層を直接形成してヽるので、ミドル プレート (327)と榭脂層とが強固に密着する。また、ミドルプレート (327)の上面と第 1 揺動ピストン (333)の下面との摺接面における隙間と、ミドルプレート(327)の下面と 第 2揺動ピストン (334)の上面との摺接面における隙間が低減され、良好なシール性 が確保される。これにより、圧縮機としての信頼性も向上する。その他の構成、作用及 び効果は、実施形態 3と同じである。

[0185] 実施形態 4の変形例

本変形例は、上記実施形態 4がミドルプレート (327)の上面と下面とに潤滑剤とし て榭脂層を形成したのに代わり、第 1揺動ピストン (333)と第 2揺動ピストン (334)の全 体に直接榭脂層を形成したものである。

[0186] つまり、第 1揺動ピストン (333)と第 2揺動ピストン (324)の基材表面粗さ Raをィ匕成 処理により 1 μ mとし、その上に、 PAI/FEP/PTFE = 70/25/5の組成比の榭 脂層を直接形成している。

[0187] 本変形例では、第 1揺動ピストン (333)と第 2揺動ピストン (334)に榭脂層を直接形 成しているので、第 1揺動ピストン (333)と第 2揺動ピストン (334)に榭脂層が強固に 密着する。そして、上記実施形態 4と同様に、第 1揺動ピストン (333)の下面とミドルプ レート(327)の上面との隙間と第 2揺動ピストン(334)の上面とミドルプレート(327)の 下面との隙間が低減され、良好なシール性が確保される。これにより、圧縮機として の信頼性も向上する。その他の構成、作用及び効果は実施形態 4と同じである。

[0188] (実施形態 5)

本実施形態は、図 11及び図 12に示すように、回転ピストン型のロータリー圧縮機 (400)である。

[0189] 該ロータリー圧縮機 (400)は、上記実施形態 3のスイング圧縮機 (200)とほぼ同様 の構造で、全密閉型のケーシング (410)の内部に圧縮機構 (420)と電動機 (430)とが 収納され、吐出管 (415)及び吸入管 (414)を備えている。上記ロータリー圧縮機 (400 )は、図 12に示すように、圧縮機構 (420)の回転ピストン (424)とブレード (426)が別 個に構成され、回転ピストン (424)が自転しながら、シリンダ室 (425)の内周面に沿つ て公転する。

[0190] また、上記ロータリー圧縮機 (400)は、上記実施形態 1と同様、冷凍装置の冷媒 回路に設けられて、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。尚、ここでは、 本実施形態のロータリー圧縮機 (400)が、実施形態 3のスイング圧縮機 (200)と異な る構造、つまり、圧縮機構 (420)についてのみ説明する。

[0191] 上記圧縮機構 (420)は、シリンダ部 (421)とフロントヘッド (422)とリャヘッド (423)と を備え、上記シリンダ部 (421)とフロントヘッド (422)とリャヘッド (423)とによってシリン ダ室 (425)が形成されて!、る。

[0192] 上記フロントヘッド (422)とリャヘッド (423)には、駆動軸(433)を支持するための 主軸受部 (422a)と副軸受部 (423a)がそれぞれ形成されて!、る。駆動軸 (433)のシリ ンダ室 (425)に位置する偏心部(433a)は、本体部(433b)よりも大径に形成されて!、 る。そして、上記偏心部 (433a)は、圧縮機構 (420)の回転ピストン (424)に挿入されて いる。上記回転ピストン (424)は、円環状に形成され、その外周面がシリンダ (421)の 内周面と実質的に一点で接触するように形成されて、る。

[0193] 上記シリンダ (421)には、該シリンダ (421)の径方向に沿ってブレード溝 (421a)が 形成されている。該ブレード溝 (421a)には、ブレード (426)がシリンダ (421)と摺接し て装着されている。上記ブレード (426)は、ブレード溝 (421a)内に設けられたスプリン グ (427)によって径方向内方へ付勢され、先端が常に回転ピストン (424)の外周面に 接触している。

[0194] 上記ブレード(426)は、シリンダ(421)の内周面と回転ピストン(424)の外周面との 間のシリンダ室 (425)を吸入室 (425a)と圧縮室 (425b)とに区画して、る。上記シリン ダ (421)には、吸入管 (414)と吸入室 (425a)とを連通する吸入口(428)が形成されて いる。また、上記フロントヘッド (422)には、圧縮室 (425b)とケーシング (410)内の空 間とを連通する吐出口(429)が形成されている。

[0195] 尚、上記フロントヘッド (422)の上面には、凹部 (440)が形成されている。該凹部 (44 1)には、吐出口 (429)を開閉する吐出弁 (441)が設けられて、る。

[0196] 上記ロータリー圧縮機 (400)を運転すると、回転ピストン (424)の外周面はシリンダ

(421)の内周面と摺動し、回転ピストン (424)の上面はフロントヘッド (422)の下面と摺 接し、回転ピストン (424)の下面はリャヘッド (423)の上面と摺接する。そこで、本実施 形態は、回転ピストン (424)の全体の基材表面粗さ Raをィ匕成処理により: L mとし、そ の上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層を直接形成している

[0197] このように、上記回転ピストン (424)の全体に榭脂層を直接形成することにより、回 転ピストン (424)と榭脂層とが強固に密着する。さらに、上記回転ピストン (424)とフロ ントヘッド (422)及びリャヘッド (423)との摺動性が向上すると共に、この摺接面にお ける隙間が低減されるので、シリンダ室 (425)の良好なシール性が確保される。

[0198] 尚、本実施形態においても、上記実施形態 3及び該実施形態 3の変形例 1〜5と 同様の摺動部分に潤滑層である榭脂層を設けてもよい。

[0199] 具体的には、駆動軸 (433)と主軸受部 (422a)及び副軸受部 (423a)とが摺動し、 偏心部 (433a)とピストン (424)とが摺動するので、この摺動部分に、軸受メタルの潤 滑部(422b, 423b, 433b)を設けてもよい。上記潤滑部(422b, 423b, 433b)は円筒形 であって、鉄を基材としてその円周面をィ匕成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし 、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層の潤滑層を設け た摺動部材である。上記潤滑部 (422b, 423b, 433b)を設けることにより、駆動軸 (433 )と主軸受部 (422a)及び副軸受部 (423a)との摺動部分、偏心部 (433a)とピストン (42 4)との摺動部分における摺動性が向上する。

[0200] また、潤滑部(422b, 423b, 433b)を設けずに、主軸受部(422a)及び副軸受部(42 3a)に摺接する駆動軸 (433)の外周面と偏心部 (433a)の外周面、または、主軸受部( 422a)及び副軸受部(423a)の内周面とピストン (424)の内周面とを、化成処理により 基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成 比の榭脂層の潤滑層を設けてもよい。これにより、潤滑部 (422b, 423b, 433b)を設け ることなぐ駆動軸 (433)と主軸受部 (422a)及び副軸受部 (423a)との摺動部分、偏心 部 (433a)とピストン (424)との摺動部分における摺動性が向上する。

[0201] また、ブレード(426)とブレード溝 (421a)が摺動するので、ブレード (426)またはブ レード溝 (421a)の表面を、化成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層の潤滑層を設けてもよ!、。こ れにより、ブレード(426)のブレード溝 (421a)内での進退運動が円滑になるので、ピ ストン (424)の自転を伴う公転運動も円滑になり、圧縮機としての信頼性も向上する。

[0202] また、上記偏心部 (433a)の上面がフロントヘッド (422)の下面と摺動し、偏心部 (4 33a)の下面がリャヘッド(423)の上面と摺動するので、偏心部(433a)の上面及び下 面を、化成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAI/FEP/PTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層の潤滑層を設けてもよい。これにより、偏心部 (433 a)とフロントヘッド (422)及びリャヘッド (423)との摺接面にぉ、て、摺動性が向上す ると共に、この摺動部分の隙間が低減され、良好なシール性が確保される。

[0203] また、上記シリンダ室 (425)を形成するシリンダ部(421)の内周面と、フロントヘッド

(422)の下端面と、上記リャヘッド (423)の上端面とを、化成処理により基材表面粗さ Raを 1 μ mとし、その上に、 PAIZFEPZPTFE = 70Z25Z5の組成比の榭脂層の 潤滑層を設けてもよい。これにより、シリンダ室 (425)の内面と、該シリンダ室 (425)の 内面と摺動する偏心部(423a)の上面及び下面と、ピストン (424)の上面及び下面及 び外周面と、ブレード (426)の上面及び下面との摺動性が向上する。さらに、この摺 動部分の隙間が低減され、良好なシール性が確保されるので、圧縮機としての信頼 性が向上する。その他の構成、作用及び効果は実施形態 3と同じである。

[0204] (その他の実施形態)

上記各実施形態は、以下のような構成としてもよい。

[0205] 上記実施形態 1〜5では、軸受部ゃスクロール、シリンダとピストン等の摺動部分 について潤滑剤として榭脂層を形成したが、この他にも摺動する部分であれば、同じ ように基材表面を所定の表面粗さ Raとして、その表面に含フッ素榭脂を含む榭脂層 を形成した潤滑部を形成してよ!ヽ。

[0206] また、実施形態 1〜5では、スクロール型圧縮機(10, 100)、スイング圧縮機 (200, 300)、ロータリー圧縮機 (400)の摺動部材において、基材表面粗さ Raを所定の粗さ

として、その表面に含フッ素榭脂を含む榭脂層を形成しているが、圧縮機は、流体を 圧縮するどのような形式の圧縮機であってもよい。また流体も冷媒に限定されない。 さらには、本発明の摺動部材は圧縮機に使用される摺動部材に限定されない。圧縮 機以外の流体機械の摺動部材、車両や製造装置等の駆動部、回転部分など、摺動 する部分であればどのような部分であってもよい。

[0207] また、上述した摺動部分は、互いに摺動する 2つの部材の一方の部材においての み基材表面粗さ Raを所定の粗さとしてその表面に含フッ素榭脂を含む榭脂層を形 成してもょ、し、両方の部材にお、て基材表面粗さ Raを所定の粗さとしてその表面 に含フッ素榭脂を含む榭脂層を形成してもよ、。

[0208] また、上記摺動部材の基材は鉄に限定されず、アルミなど鉄以外の金属であって も構わない。

[0209] また、上記基材を粗面化するのは化成処理に限定されず、サンドブラスト処理な ど種々の公知の方法を用いることができる。また、化成処理に用いる薬剤もリン酸マ ンガンに限定されず、他のリン酸塩や公知の薬液を用いることができる。

産業上の利用可能性

[0210] 以上説明したように、本発明に係る摺動部材及び圧縮機は、優れた摺動性能を 有し、空調機や車両、製造装置、工作機械等として有用である。