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1. (WO2006035672) 水素貯蔵タンクの使用方法及び水素貯蔵タンク
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明 細書

水素貯蔵タンクの使用方法及び水素貯蔵タンク

技術分野

[0001] 本発明は、水素貯蔵タンクの使用方法及び水素貯蔵タンクに係り、詳しくは水素吸 蔵材を内蔵した水素貯蔵タンクから燃料電池へ水素を供給し、燃料電池の冷却水を 使用して水素吸蔵材を加熱する燃料電池システムに好適な水素貯蔵タンクの使用 方法及び水素貯蔵タンクに関する。

背景技術

[0002] 水素エネルギーは、太陽熱エネルギーと並んでクリーンエネルギーとして注目され ている。水素の貯蔵及び輸送において、「水素吸蔵合金」と称される金属の利用が着 目されている。この「水素吸蔵合金」は、所定の温度及び圧力下で水素を吸蔵して水 素化物になり、水素の必要な時には別の温度及び圧力下で水素を放出する。そして 、水素吸蔵合金を使用して水素の供給が行われる水素エンジン及び燃料電池自動 車、あるいは水素吸蔵合金が水素を吸蔵又は放出する際の発熱又は吸熱を利用す るヒートポンプの研究が行われて、る。

[0003] 水素吸蔵合金が水素貯蔵タンクに利用される場合、水素吸蔵合金は通常、その粉 末が水素ガスの導入口及び放出口を備えたタンクに充填された状態で使用される。 水素吸蔵合金は、それが水素の吸蔵及び放出時に大きな膨張又は収縮を生じること から、水素貯蔵タンクへの充填当初に粒径の大きなものが用いられても、水素の吸蔵 及び放出が繰り返されることにより最終的には微粉化される。粉末状の水素吸蔵合 金は流動性を有さず水素貯蔵タンク内を移動し難いことから、タンク内で粉末状の水 素吸蔵合金が水素吸蔵時に膨張すると、タンクに大きな圧力が局所的に加わること によってタンクの寿命が短くなる。水素貯蔵タンクにこのような圧力が加わることを防 止するために、水素貯蔵タンクは通常、その内容積に対して体積で 40〜60%の空 隙を有する必要がある。この空隙はこれまで水素貯蔵のためには無駄な空間として 当業者に認識されており、水素貯蔵タンク内の水素貯蔵密度を高めることができない 一因とされていた。本明細書において、水素吸蔵合金の体積は、水素吸蔵合金の嵩 密度に基づく体積ではなく水素吸蔵合金の真密度に基づく体積である。

[0004] このような問題を解消するために、水素吸蔵合金を保持する水素貯蔵タンク内に存 在する空隙に水素ガスが充填されるようにした水素貯蔵タンクが提案されている (特 許文献 1参照。 ) oこの文献によれば、空隙に充填された水素ガスの圧力は、前記水 素貯蔵タンクが置かれた温度において前記水素吸蔵合金が有する水素ガスのプラト 一平衡圧を超えている。また、水素貯蔵タンクに充填される水素の圧力は 25〜50M Paが好ましいとされている。

[0005] ところで、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際の反応は発熱反応であり、水素吸蔵 合金が水素を放出する際の反応は吸熱反応であることから、水素吸蔵合金が水素を 円滑に放出するために水素吸蔵合金を加熱する必要がある。

[0006] また、燃料電池にはいくつかの種類がある力自動車に使用される燃料電池には 小型化及び高出力化が要求されることから、固体高分子型燃料電池が自動車に好 適に使用される。固体高分子型燃料電池の発電は、所定の温度 (例えば、 80°C付 近)で効率よく行われる。燃料電池の発電における反応は発熱反応であることから、 発電の際に燃料電池の温度が前記所定の温度より上昇することを抑制するために燃 料電池を冷却する必要がある。従って、燃料電池には冷却液 (熱媒体)が循環する 冷却回路が設けられ、熱媒体が燃料電池内を通過する際に熱媒体が熱を奪って燃 料電池を冷却し、熱媒体が放熱器 (ラジェータ)を通過する際に放熱器が外気に放 熱して熱媒体を冷却する。そこで、燃料電池で使用された熱媒体が水素吸蔵合金の 加熱に使用されることにより、熱媒体の駆動系が燃料電池と水素吸蔵合金とにそれ ぞれ独立して設けられる必要がなくなることから、システムの小型化が可能になる。例 えば、燃料電池の冷却後に温度が高くなつた熱媒体の水素吸蔵合金への供給量を 調整することにより、水素吸蔵合金力の水素の放出量を所望量に制御することがで きる。

特許文献 1 :特開 2004— 108570号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 水素貯蔵タンクへの水素の充填時には、水素の充填時間を短くするために水素吸 蔵合金の冷却が行われており、従来は充填温度が比較的低い状態で、即ち燃料電 池の冷却後の熱媒体の温度に比べて充填温度が低い状態で水素の充填が行われ ていた。水素吸蔵合金の特性として、平衡圧 (解離圧)を Pとし、温度 (ケルビン温度) を Tとすると、 Pの自然対数関数である InPと 1ZTとの間には温度 Tの広い範囲に渡 つて直線的な比例関係が成り立つことが知られており、一般に平衡圧は温度が高い ほど大きい。

[0008] 例えば、組成式 Ti 1. 2 Cr 1. 2 Mn 0. 8で表される水素吸蔵合金の解離圧は、 10°Cで約

2MPaであり、 80°Cで約 12MPaである。水素は、 10°Cでの水素吸蔵合金の解離圧 以上である 6MPaの圧力で水素吸蔵合金に充填される。そのため、この水素吸蔵合 金を使用した水素貯蔵タンクを用いて燃料電池に水素を供給する燃料電池システム において、燃料電池の冷却に使用された熱媒体を使用して水素吸蔵合金を加熱す る構成では、水素の満充填又はそれに近い状態で、熱媒体の循環系の異常時に水 素貯蔵タンクの内圧が水素の充填圧力の約 2倍となる虞がある。前記循環系の異常 としては、熱媒体の循環経路に設けられたバルブの異常、水素吸蔵合金の加熱及び 水素の放出の判断に用いられるセンサの異常、制御装置の暴走、及びポンプ駆動 モータの停止不能等が考えられる。

[0009] 例えば、水素はその圧力が充填スタンドで管理された状態で水素貯蔵タンクに充 填されることから、水素の充填圧がタンクの許容値を超えることはないが、水素の満 充填状態での故障等により水素貯蔵タンクに燃料電池の冷却後の熱媒体が流れ続 けると、水素吸蔵合金に吸蔵された水素のほとんどが放出される。水素吸蔵合金が 水素貯蔵タンクの内容積の 50%を占有するとともに、水素が充填された空隙が同タ ンクの内容積の残り 50%を占有し、かつ空隙と同量の水素が水素吸蔵合金に吸蔵さ れている場合、タンクに 80°Cの熱媒体が流れ続けると、水素吸蔵合金に吸蔵された 水素のほぼ 100%が放出される。そして、空隙には充填時の水素量の 2倍の水素が 存在することになり、水素貯蔵タンクの内圧は、水素の充填圧の 2倍 (例えば、水素の 充填圧が 6MPaのときには 12MPa)になる。

[0010] 従って、従来技術では、水素貯蔵タンクを設計する際、単純に水素の充填圧に係 数を掛けることのみによってタンクの許容圧力を設定する場合、前記係数として大き

な安全率を見込んだ値を使用する必要があり、その結果、水素貯蔵タンクに必要以 上に耐圧性が付与されるとともに、水素貯蔵タンクの軽量ィ匕に支障を来すという問題 がある。

[0011] 本発明の第 1の目的は、燃料電池の冷却後の熱媒体が水素吸蔵合金を加熱し続 けても水素貯蔵タンク内の圧力が水素充填時の水素貯蔵タンクの内圧を超えること 力 Sなぐ水素貯蔵タンクの許容圧力の設定が容易である水素貯蔵タンクの使用方法 を提供することにある。また、第 2の目的は、前記水素貯蔵タンクの使用方法を実施 するのに適した水素貯蔵タンクを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0012] 前記第 1の目的を達成するため、本発明の一態様では、水素吸蔵材を内蔵した水 素貯蔵タンクから燃料電池へ水素を供給し、前記水素吸蔵材からの水素放出時に おける水素吸蔵材の加熱に前記燃料電池の冷却後の熱媒体を使用する燃料電池 システムにおける水素貯蔵タンクの使用方法が提供される。前記水素貯蔵タンクへ の水素ガスの充填は、前記燃料電池の定常運転時に前記熱媒体が達する最高温度 以上の温度、かつ前記水素吸蔵材の平衡圧以上の圧力で行われる。前記水素吸蔵 材からの水素の放出は、前記充填の完了時における水素吸蔵材の温度より低い温 度で行われる。「燃料電池の定常運転時」とは、燃料電池の暖機運転が終了して燃 料電池の内部温度が充分に上昇した状態を指す。

[0013] 本発明の一態様によれば、水素吸蔵材の加熱が不要にも拘わらず、熱媒体の循環 系に異常が発生して燃料電池の冷却後の熱媒体により水素吸蔵材が加熱され続け ても、水素貯蔵タンク内の圧力は、水素充填時の水素貯蔵タンクの内圧を超えること はない。そのため、水素貯蔵タンクを設計する際の水素貯蔵タンクの許容圧力の設 定が容易になる。

[0014] この水素貯蔵タンクの使用方法において、水素吸蔵材が達する最高温度は、前記 水素貯蔵タンクへの水素ガスの充填に伴う水素吸蔵材の発熱による昇温により、前 記燃料電池の定常運転時に前記熱媒体が達する最高温度以上でもよヽ。この場合 、水素貯蔵タンクへの水素ガスの充填に伴う水素吸蔵材の昇温、又は例えば冷却装 置による水素吸蔵材の冷却による温度変化が起きても、水素貯蔵タンクを設計する 際の水素貯蔵タンクの許容圧力の設定が容易になる。

[0015] 前記第 2の目的を達成するため、本発明の別の態様では、内部に水素吸蔵材が収 容されるとともに、前記水素吸蔵材との間で熱交換を行う熱媒体の流路を有する水 素貯蔵タンクであって、前記流路に燃料電池の冷却後の熱媒体が流れる状態で使 用された際の熱媒体の最高温度における前記水素吸蔵材の平衡圧以上の圧力で 水素が充填されて、る水素貯蔵タンクが提供される。

[0016] 本発明の別の態様によれば、水素貯蔵タンクが、燃料電池へ水素を供給し、前記 水素吸蔵材からの水素放出時における水素吸蔵材の加熱に前記燃料電池の冷却 後の熱媒体を使用する燃料電池システムに使用された場合、水素貯蔵タンクの水素 を燃料電池に供給しない状態で燃料電池の冷却後の熱媒体が水素貯蔵タンクに供 給され続けても、水素貯蔵タンクの内圧は水素充填時の圧力を超えない。従って、水 素貯蔵タンクを設計する際の水素貯蔵タンクの許容圧力の設定が容易になる。

[0017] この水素貯蔵タンクにおいて、前記水素吸蔵材は、前記充填の際の温度における 平衡圧が充填時の水素の圧力にほぼ等 U、水素吸蔵合金でもよ!、。水素吸蔵合金 は、平衡圧 (解離圧)を Pとし、温度 (ケルビン温度)を Tとすると、 InPと 1ZTとの間に 直線的な比例関係が成り立つ。従って、前記充填の際の温度 (例えば、 80°C)にお ける平衡圧が充填時の圧力にほぼ等しいと、例えば、— 10〜― 30°C程度の低温に おいても水素貯蔵タンクの内圧が 0. 5MPa程度になり、加圧することなく水素を燃料 電池に供給することができる。

[0018] また、水素吸蔵材の 80°Cにおける平衡圧が 35〜40MPaでもよい。更に、前記水 素貯蔵タンクの使用方法及び水素貯蔵タンクにおいて、燃料電池が車両の駆動源 に使用されてもよい。

図面の簡単な説明

[0019] [図 1]本発明の一実施形態の燃料電池システムを示す構成図。

[図 2]水素吸蔵合金の平衡圧と温度との関係を示すグラフ。

[図 3]燃料電池システムの別例を示す構成図。

発明を実施するための最良の形態

[0020] 以下、燃料電池を駆動源とした電気自動車の燃料電池システムに本発明を具体化

した一実施形態を、図 1及び図 2に従って説明する。図 1は燃料電池システムを示す 構成図であり、図 2は、水素吸蔵合金の平衡圧 (解離圧)の対数と、温度 (°C)及び温 度 (ケルビン温度)の逆数との関係を示すグラフである。

[0021] 燃料電池システム 10は、水素貯蔵タンク 11、燃料電池 12、コンプレッサ 13及びラ ジエータ 14を備えている。水素貯蔵タンク 11、燃料電池 12及びラジェータ 14は熱 媒流路 15を介して連結されている。

[0022] 燃料電池 12は例えば固体高分子型の燃料電池力もなり、水素貯蔵タンク 11から 供給される水素と、コンプレッサ 13から供給される空気中の酸素とを反応させて直流 の電気エネルギー(直流電力)を発生する。燃料電池 12の定常運転時に燃料電池 1 2を冷却するために、前記熱媒流路 15の一部が熱交換部 15aとして燃料電池 12内 に配置されている。

[0023] 水素貯蔵タンク 11は、タンク 16と、水素吸蔵用ユニット 17と、支持体 18とを備えて いる。水素吸蔵用ユニット 17の内部には、水素吸蔵材としての水素吸蔵合金 MHが 収容されている。この水素吸蔵合金 MHは公知のものでもよいが、 30°Cの低温に おける平衡圧 (解離圧)が大気圧より大きいものが好ましい。この実施形態では、組 成式 Ti 1. 2 Cr 1. 2 Mn 0. 8で表される TiCrMn系の水素吸蔵合金が使用されている。支 持体 18はタンク 16内で水素吸蔵用ユニット 17を支持して、る。水素貯蔵タンク 11内 には前記熱媒流路 15の一部が熱交換部 15bとして配置され、熱交換部 15bは、水 素吸蔵合金 MHとの間で熱交換を行う熱媒体の流路を形成して、る。この実施形態 では、熱媒体として LLC (ロングライフクーラント)が使用されている。熱交換部 15bの 周囲には多数のフィン 19が設けられ、各フィン 19は水素吸蔵合金 MHと熱媒体との 間の熱交換の効率を高めて、る。

[0024] 水素貯蔵タンク 11は燃料電池 12の水素供給ポート(図示せず)に管路 20を介して 連結され、燃料電池 12に水素を供給する。水素貯蔵タンク 11は例えば約 35MPaの 高圧で水素を貯蔵し、水素を図示しないバルブにより一定の圧力(例えば、 0. 3MP a程度)に減圧した状態で燃料電池 12に供給する。

[0025] コンプレッサ 13は、燃料電池 12の酸素供給ポート(図示せず)に管路 21を介して 連結され、燃料電池 12に圧縮空気を供給する。空気は図示しないエアクリーナでゴ

ミ等を除去された後、コンプレッサ 13により圧縮されて管路 21に吐出される。

[0026] ラジェータ 14は、モータ 22により回転されてラジェータ 14の放熱効率を高める ファン 23を備える。

[0027] 熱媒流路 15において、熱交換部 15aの出口と、熱交換部 15bの入口とを連結する 連結部分 15cの中間には、熱媒体を燃料電池 12から水素貯蔵タンク 11へ送るボン プ 24が設けられている。燃料電池 12及びラジェータ 14の間の熱媒流路 15と、ボン プ 24及び熱交換部 15aの間の連結部分 15cとは、バイパス流路 15dによって連結さ れている。連結部分 15cとバイパス流路 15dとの連結部には、電磁三方弁 25が設け られている。

[0028] 水素貯蔵タンク 11及びラジェータ 14の間の熱媒流路 15と、ポンプ 24及び熱交換 部 15bの間の連結部分 15cとは、バイパス流路 15eによって連結されている。連結部 分 15cとバイパス流路 15eとの連結部には、電磁三方弁 26が設けられている。

[0029] 前記コンプレッサ 13、モータ 22、ポンプ 24及び電磁三方弁 25, 26は、制御装置 2 7からの指令によって運転あるいは切り換え制御されている。ポンプ 24は、制御装置 27からの指令信号に基づいて、駆動又は停止するとともに熱媒体の流量を変更する 。制御装置 27には、燃料電池 12の温度を検出する温度センサ(図示せず)からの検 出信号と、水素貯蔵タンク 11内の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)からの検 出信号とが入力される。

[0030] 次に、前記のように構成された装置の作用を説明する。

[0031] 環境温度が燃料電池 12の発電可能な温度である設定温度以上の場合、燃料電池 12の定常運転が行われる。燃料電池 12の定常運転は、環境温度を計測する温度セ ンサ(図示せず)からの検出信号に基づく制御装置 27の制御により、環境温度が前 記設定温度以上の場合には燃料電池 12の始動時力行われ、環境温度が設定温 度未満の場合には燃料電池 12の暖機運転後に行われる。

[0032] 燃料電池 12の定常運転時には、水素が水素貯蔵タンク 11から燃料電池 12のァノ ード電極に向力つて供給される。また、コンプレッサ 13が駆動され、所定の圧力に加 圧された空気が燃料電池 12の力ソード電極に向力つて供給される。

[0033] 水素と酸素との化学反応は発熱反応である。そのため、固体高分子型燃料電池の

発電は 80°C程度で効率よく行われる力発電が継続して行われると、水素と酸素と の反応熱によって燃料電池 12の温度が発電の適正温度である 80°C程度より上昇す る。この温度上昇を防止するために、ラジェータ 14で冷却された熱媒体が熱媒流路 15を循環させられる。また、水素吸蔵合金 MHからの水素の放出における反応は吸 熱反応である。そのため、水素吸蔵合金 MHは水素の放出を円滑に進めるためにカロ 熱される必要があり、燃料電池 12の冷却後の温められた熱媒体が水素吸蔵合金 M Hの加熱に使用される。

[0034] 燃料電池 12の運転時には、制御装置 27は、熱媒体力バイパス流路 15dを流れず に連結部分 15cを流れる状態、即ちラジェータ 14から排出された熱媒体が燃料電池 12の熱交換部 15aを流れる状態に電磁三方弁 25の設定を保持する指令信号を出 力する。また、制御装置 27は、水素貯蔵タンク 11内の圧力を検出する圧力センサか らの検出信号に基づいて、熱媒体が水素貯蔵タンク 11に供給される状態と、熱媒体 が水素貯蔵タンク 11に供給されずにノィパス流路 15eからラジェータ 14へ流れる状 態とに電磁三方弁 26の設定を切り換える指令信号を出力する。

[0035] 水素貯蔵タンク 11に水素ガスが充填 (貯蔵)される際、即ち水素吸蔵合金 MHに水 素ガスが吸蔵される際、水素貯蔵タンク 11は、図示しないバルブの切り換えにより、 水素供給部としての水素カードル 30の水素充填配管に力ブラ(図示せず)を介して 接続される。そして、水素カードル 30と水素貯蔵タンク 11との圧力差により、水素貯 蔵タンク 11に水素ガスが充填される。

[0036] 水素吸蔵合金 MHは、水素カードル 30から水素貯蔵タンク 11内に供給された水素 ガスと反応して水素化物になることから、水素貯蔵タンク 11内に供給された水素ガス は水素吸蔵合金 MHに吸蔵される。水素の吸蔵反応は発熱反応であることから、水 素の吸蔵反応が円滑に進行するためには、その反応で発生した熱を水素吸蔵合金 MHから除去する必要がある。そこで、水素ガスが充填される際、熱媒流路 15を流れ る熱媒体が燃料電池 12及びバイパス流路 15eを流れずにバイパス流路 15d、連結 部分 15c及び熱交換部 15bを通って水素貯蔵タンク 11とラジェータ 14との間で循環 するように、電磁三方弁 25, 26の設定が切り換えられる。

[0037] この実施形態では、水素ガスの充填は、該水素ガスの満充填時の温度が燃料電池 12の定常運転時に熱媒体が達する最高温度以上である条件で行われる。具体的に は、前記最高温度は 80°Cであることから、水素ガスの充填は、該水素ガスの満充填 時の温度が 80°C以上である条件で行われる。さらに、 100°C以下における水素吸蔵 合金 MHの平衡圧は lOMPa以下であり、水素ガスの充填は、該水素ガスの充填温 度における水素吸蔵合金 MHの平衡圧以上の圧力で行われる。具体的には、水素 貯蔵タンク 11には、水素の満充填状態において所定圧力(例えば、 35MPa)を有す る水素ガスが充填される。

[0038] 水素吸蔵合金 MHによる水素ガスの吸蔵を円滑に行うために、ラジェータ 14で冷 却された熱媒体が熱媒流路 15を循環されて水素貯蔵タンク 11内の水素吸蔵合金 M Hが冷却される。水素ガスの充填が短時間で行われる場合、水素吸蔵合金 MHから 発生する熱により、水素貯蔵タンク 11内の温度は、定常運転時の燃料電池 12の冷 却後の熱媒体の温度である 80°C以上に容易に到達する。そして、水素貯蔵タンク 1 1の熱交換部 15bを流れる熱媒体の単位時間当たりの量と、ファン 23の風量とが調 整されることにより、水素貯蔵タンク 11内の温度は、燃料電池 12の定常運転におけ る熱媒体の最高温度以上の所定温度 (例えば、 100°C)に調整され、満充填になるま で水素ガスが充填される。水素ガスの充填は、水素貯蔵タンク 11内の圧力が 35MP aに到達した時点で終了する。

[0039] 燃料電池 12に水素ガスが供給される場合には、水素貯蔵タンク 11は、水素貯蔵タ ンク 11の空隙内に存在する水素を図示しな、減圧弁で一定の圧力に調整した後、 燃料電池 12に水素を供給する。制御装置 27は、水素貯蔵タンク 11内の圧力が予め 設定された第 1の設定圧力以下になると、熱媒体が水素貯蔵タンク 11を加熱する状 態、即ち熱媒体が熱交換部 15bを流れる状態に電磁三方弁 26の設定を切り換える 指令信号を出力する。また、制御装置 27は、水素貯蔵タンク 11内の圧力が予め設 定された第 2の設定圧力以上になると、熱媒体が水素貯蔵タンク 11内を流れない状 態に電磁三方弁 26の設定を切り換える指令信号を出力する。

[0040] 水素貯蔵タンク 11から燃料電池 12への水素ガスの供給は、水素ガスの満充填時 の温度より低い温度で行われる。従って、水素貯蔵タンク 11内の空隙に充填された 水素の圧力が当該温度における水素吸蔵合金 MHの平衡圧未満になるまで水素吸 蔵合金 MHから水素は放出されず、空隙に充填された水素が燃料電池 12へ供給さ れる。図 2に示すように、水素貯蔵タンク 11の温度に相当する外部環境の温度が例 えば 30°Cであれば、平衡圧は約 3. 5MPaである。そして、燃料電池 12へ供給すベ き水素の圧力がその平衡圧未満であれば、空隙に充填された水素ガスが減圧弁を 介して燃料電池 12へ供給される。そして、その間は水素の吸蔵及び放出が行われな いことから、水素吸蔵合金 MHの加熱及び冷却は不要であり、熱媒流路 15の熱媒体 が熱交換部 15bを通過しない状態に電磁三方弁 25, 26の設定が切り換えられる。

[0041] 水素貯蔵タンク 11内の圧力が平衡圧未満になると、水素吸蔵合金 MH力の水素 の放出が起こる。そして、水素の放出における反応は吸熱反応であり、加熱を行わな いと反応が円滑に進まないことから、水素貯蔵タンク 11の加熱が必要となる。制御装 置 27は、水素貯蔵タンク 11内の圧力が前記第 1の設定圧力と第 2の設定圧力との間 で維持されるように、熱媒体が水素貯蔵タンク 11内を流れる状態又は流れなヽ状態 に電磁三方弁 25, 26の設定を切り換える。

[0042] 制御装置 27は、熱媒体による加熱を予め設定された所定時間継続しても水素貯蔵 タンク 11内の圧力が第 1の設定圧力に達しない時点で、水素の充填が必要と判断す る。そして、制御装置 27は報知手段 (例えばランプ等の表示部)を駆動させる。

[0043] 水素吸蔵合金 MHは、その圧力が平衡圧より低い状態において、必要な熱が供給 されれば吸蔵している水素を放出し続ける。そして、水素貯蔵タンク 11には、水素の 放出時に水素吸蔵合金 MHを加熱する熱媒体の流路である熱媒流路 15の熱交換 部 15bが設けられている。従って、水素ガスの満充填又はそれに近い状態で、電磁 三方弁 25, 26の故障等により燃料電池 12の冷却後の熱媒体が継続して水素貯蔵 タンク 11に流れると、水素貯蔵タンク 11内の圧力が水素ガスの満充填時の圧力の 2 倍以上になる場合が起こる。

[0044] 従って、従来技術では、水素貯蔵タンク 11を設計する際、単純に水素の充填圧に 係数を掛けることのみによってタンクの許容圧力を設定する場合、前記係数として大 きな安全率を見込んだ値を使用する必要があり、水素貯蔵タンクに必要以上の耐圧 性が付与されるとともに、水素貯蔵タンクの軽量ィ匕に支障を来す。しかし、この実施形 態では、電磁三方弁 26の異常、制御装置 27の異常等によって燃料電池 12の冷却 後の熱媒体が水素吸蔵合金 MHを加熱し続けても、水素貯蔵タンク 11内の圧力が 水素充填時の水素貯蔵タンク 11の内圧を超えることがない。

[0045] この実施形態では以下の効果を有する。

[0046] (1)水素貯蔵タンク 11に内蔵された水素吸蔵合金 MH力も燃料電池 12に水素が 供給され、燃料電池 12の冷却後の熱媒体が水素吸蔵合金 MHの加熱に使用される 。そして、水素貯蔵タンク 11への水素の充填は、燃料電池 12の冷却後の熱媒体の 最高温度以上の温度、かつ当該温度における水素吸蔵合金 MHの平衡圧以上の 圧力で行われ、水素の放出は前記充填時の温度より低い温度で行われる。従って、 水素吸蔵合金 MHの加熱が不要にも拘わらず、熱媒体の循環系に異常が発生して 燃料電池 12の冷却後の熱媒体により水素吸蔵合金 MHが加熱され続けても、水素 貯蔵タンク 11内の圧力は、水素充填時の水素貯蔵タンク 11の内圧を超えることはな い。そのため、水素貯蔵タンク 11を設計する際の前記許容圧力の設定が容易になる

[0047] (2)水素吸蔵合金 MHへの水素ガスの充填が外気温度程度の温度で行われる場 合、水素吸蔵合金 MHを冷却する熱媒体の温度を外気温度より低くする必要がある 。そのため、ラジェータ 14に外気を送風する構成では、熱媒体を外気温度より低い 温度にまで十分に冷却することができないことから、熱媒体を冷却するための他の手 段が更に必要となる。しかし、本実施形態では、水素ガスの充填温度が燃料電池 12 の冷却後の熱媒体の最高温度以上の温度であることから、熱媒体の温度は外気温 度より高くてもよぐ外気が送風されるラジェータ 14によって熱冷媒の冷却を行うこと ができる。

[0048] (3)本実施形態では、水素貯蔵タンク 11に収容されている水素吸蔵合金 MHとし て、組成式 Ti 1. 2 Cr 1. 2 Mn 0. 8で表される TiCrMn系の水素吸蔵合金が使用されてい る。従って、図 2に示すように、 TiCrMn系の水素吸蔵合金の平衡圧は 0°Cにおいて も IMPa以上であることから、水素吸蔵合金を加熱することなく水素吸蔵合金力水 素を放出することができる温度範囲が広、。

[0049] 実施形態は前記に限定されるものではなぐ例えば次のように構成されてもよい。

[0050] 燃料電池システム 10は、水素貯蔵タンク 11の加熱に燃料電池 12の冷却後の熱媒

体を使用可能な構成であればよぐ熱媒体が燃料電池 12内の熱交換部 15aを経て 水素貯蔵タンク 11の熱交換部 15bに供給される状態と、熱交換部 15aを経ずに熱交 換部 15bに供給される状態とに切り換え可能な構成でなくてもよい。例えば、前記バ ィパス流路 15dを省略し、図 3に示すように、熱交換部 15aの上流にポンプ 24を設け てもよい。この場合、電磁三方弁 26の切り換え制御により、熱交換部 15aを通過した 熱媒体が水素貯蔵タンク 11の熱交換部 15bに供給される状態と、熱媒体がラジェ一 タ 14に直接供給される状態とに切り換えられる。従って、燃料電池 12の熱交換部 15 aを通った熱媒体のみが水素貯蔵タンク 11の熱交換部 15bに供給されるが、水素充 填時には燃料電池 12が運転されていない状態で熱媒体の熱交換部 15bへの供給 が行われることから、水素吸蔵合金 MHの冷却には支障はない。この場合、電磁三 方弁 25が省略されることから、熱媒体の循環系の構成が簡単になる。

[0051] 燃料電池システム 10は、水素貯蔵タンク 11から供給される水素ガスを燃料電池 12 に直接供給する構成に限らず、水素貯蔵タンク 11から供給される水素ガスがコンプ レッサで所定の圧力に加圧された後に燃料電池 12に供給される構成でもよい。この 場合、水素貯蔵タンク 11内の水素ガスの圧力が大気圧程度になるまで水素ガスを燃 料電池 12に円滑に供給することができ、かつ同じ充填量 (体積)であっても次の充填 までの間隔を長くすることができる。

[0052] 水素吸蔵合金 MHは、水素充填の際の温度における平衡圧が充填時の圧力にほ ぼ等しい水素吸蔵合金でもよい。この場合、水素充填の際の温度 (例えば、 80°C)に おける水素吸蔵合金 MHの平衡圧が充填時の圧力より著しく低い (例えば、 1Z10 未満)場合に比較して、水素貯蔵タンク 11に水素が満充填された状態での水素貯蔵 タンク 11に貯蔵される水素量が多くなる。なぜならば、水素貯蔵タンク 11に貯蔵され る水素量は、水素吸蔵合金に吸蔵された量と空隙に貯蔵された量の合計になる。そ して、水素充填の際の温度における平衡圧が低い水素吸蔵合金 MHに高い充填圧 力をかけると温度が上昇するとともに、高圧水素部分の充填量は概して温度に反比 例することから、高温になるほど水素の充填量が減少してしまうからである。また、水 素吸蔵合金の平衡圧 (解離圧)を Pとし、温度 (ケルビン温度)を Tとすると、 InPと 1Z Tとの間には直線的な比例関係が成り立つ。そして、水素充填の際の温度 (例えば、

80°C)における平衡圧が充填時の圧力にほぼ等しいと、例えば、 0°C程度において も水素貯蔵タンクの内圧が 0. 5MPa以上になり、加圧することなく水素を燃料電池に 供給することができる温度範囲が広くなる。

[0053] 水素吸蔵合金 MHとして、 80°Cの平衡圧が 35MPa〜40MPaである水素吸蔵合 金が使用されてもよい。現在、水素吸蔵合金を使用しない高圧タンクに水素ガスを充 填する水素ステーションとして、高圧タンクに 35MPaで水素ガスを充填することが考 えられて一部実施されている。この場合、水素貯蔵タンクが自動車に搭載される燃料 電池システムに使用される場合、水素の満充填を 80°C、及び 35MPa以上で行うこと ができ、現在考えられて!/、る水素ステーションでの水素充填に容易に対応することが できる。

[0054] 燃料電池 12は固体高分子型の燃料電池に限らず、リン酸型燃料電池、及びアル カリ型燃料電池等のように、燃料電池を冷却するのに熱媒体を使用する燃料電池で あればよい。

[0055] 燃料電池システム 10は、 1つの燃料電池 12と 1つの水素貯蔵タンク 11とが連結さ れた構成に限らず、例えば 1つの燃料電池 12に複数の水素貯蔵タンク 11から水素 を供給する構成でもよい。

[0056] 燃料電池システム 10は車両用に限らな、。燃料電池システム 10は、例えば、車両 以外の移動体用の燃料電池システムに適用されたり、家庭用のコジェネレーションシ ステムに適用されたりしてもよい。燃料電池システム 10が家庭用のコジェネレーション システムに適用される場合、水素貯蔵タンク 11への水素の充填を家庭に設置された 水素貯蔵タンク 11に対して行う構成だけでなぐ現在の LPガスのように、ガス会社で 水素が満充填された水素貯蔵タンクと、使用済みの水素貯蔵タンクとを交換する構 成でもよい。

[0057] 水素貯蔵タンク 11は、水素吸蔵合金以外の水素吸蔵材、例えば活性炭素繊維 (ac tivated carbon fiber)又は単層カーボンナノチューブを収容してもよい。