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1. WO2004041602 - シートベルト装置

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明 細

シートベルト装置

技術分野

この発明は、シートベルト装置に係り、詳しくは、乗員の身体をシートに拘 束する 3点式のシートベルト装置に関する。

背景技術

車両衝突時に乗員が前方へ投げ出されることを防止するため、一般の車両に は 3点式のシートベルト装置が装備されている。

3点式シートベルト装置のシートベルト(ゥ Xビング)は、乗員の左右一方 の片側上部から他側下部へ胸の前で斜めに架け渡される肩ベルトと、左右一方の 片側から他側へ腰の上で架け渡される腰ベル卜とを有し、肩ベルト及び腰ベル卜 に連結されたタングを車体に固定されたバックルに差し込み係合させることで、 乗員の胸部及び腰部を拘束し、車両衝突時に乗員が前方へ投げ出されることを防 止する。

この 3点式シートベルト装置として、車両衝突に伴ってシートベルトに張力 がかかった際に、過剰な圧迫力が乗員に作用しないよう、タンダの保持位置を力 のかかる方向に徐々に移動させて、衝撃吸収を行うようにしたものが、特開 2 0 0 1 - 3 2 2 5 3 1号公報に開示されている。第 8図は、この種の機能を備えた バックル装置の構成を示している。

このバックル装置 1は、シートベルトのタンダ 5が係合されるバックノレ 7と、 プリテンショナ 8と、衝撃吸収機構 9とを備えている。バックル 7には、タング の挿入口と、ラッチ解除用のプレスボタン 7 bとが設けられ、内部にはタンダを 係止するラッチ機構が設けられている。

プリテンショナ 8は、ノくックル 7を引張るためのワイヤ 1 0と、ワイヤ 1 0 の一端が連結されたビストン 1 1と、ピストン 1 1を収容したシリンダ 1 2と、 ピストン 1 1を後退させるためのガス圧を発生するガス発生器 1 3と、ワイヤ 1 0の後退(図中右方移動)を許容し、かつ、前進(図中左方移動)を阻止するゥ エッジクランプ 1 4とを有している。ワイヤ 1 0は、ガイド 1 5に沿ってバック ル 7に向力、い、このバックル 7に設けられた巻掛部 1 6に略 U字状に巻き掛けら れている。ワイヤ 1 0の他端は衝撃吸収機構 9に連結されている。

上記衝撃吸収機構 9は、プリテンショナ 8のシリンダ 1 2から延出するベー ス 1 7と、ベース 1 7に一端が当接したコルゲートパイプ 1 9と、コルゲートパ イブ 1 9の他端に当接したクランプ 1 8とを有している。ワイヤ 1 0は、ベース 1 7の孔を介してコルゲートパイプ 1 9内を通り、クランプ 1 8に固定されてい る。

このバックル装置を備えた車両において、前方衝突が検知されると、ガス発 生器 1 3が作動し、その噴出ガス圧によってピストン 1 1が図中右方に移動し、 バックル 7が引き下げられ、タング 5が引き下げられることにより、シートベル 卜にプリテンションがかけられる。この状態で、乗員がシートベル卜にのし掛っ てくることにより、バックル 7に前進力(図の上方に向かう力)が加えられ、こ の前進力が所定以上になると、コルゲートパイプ 1 9がパイプ長手方向に押し縮 められ、バックル 7が徐々に上方に移動する。そして、このコルゲートパイプ 1 9の変形によって、乗員に加えられる衝撃が吸収される。

ところで、上記従来の技術は、過大な荷重が作用した際にバックル 7が移動 するようにはなっているものの、バックル 7の移動方向を規制するようにはなつ ていなかったので、ノックル 7は腰ベルト及び肩ベルトからバックル 7に加えら れた外力の合成力方向に移動することになる。即ち、バックル 7に作用する外力 の合成方向は実際には前上方となるので、ノックル 7つまりタンダ 5の保持位置 は前方だけでなく、上方にも移動することになる。したがって、バックル 7が上 方へも移動することにより、腰ベルトによる拘束位置が乗員の腰部から腹部方向 に移動する可能性がある。そうなると、腰ベルトによる腰部拘束性能が低減し、 いわゆるサブマリン現象(シートベルトの下側に乗員が滑り込むような現象)を 起こし易くなり、乗員拘束性能が低減してしまう。さらに、腰ベルトによって腹 部を圧迫する可能性も出てくる。

この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、シートベルトによる乗員 への圧迫度合いを軽減しながら、乗員拘束性能の向上を図ることのできるシート ベルト装置を提供することを目的としている。

発明の開示

請求項 1記載の発明は、シートベルト装置に係り、 3点式シートベルトの夕 ングが係合されるバックルを、該バックルの車両前方向への移動のみを許容する ガイドを介して車体に取り付けると共に、前記バックルに車両前方向への所定以 上の外力が加わったときに該バックルの車両前方向への移動を抵抗力を伴いなが ら許容するエネルギ吸収機構を設けたことを特徴としている。

請求項 1記載の構成によれば、車両衝突に伴ってバックルに作用する車両前 方向への外力が所定以上になったとき、バックルが抵抗力を伴いながら、ガイド に案内されることでほぼ同じ高さレベルのまま前方向へのみ移動する。したがつ て、タンダが保持高さをほぼ一定に保ちながら前方へ移動することにより、乗員 の腰部から腹部への腰ベルトの移動が防止され、腹部への圧迫度合いが軽減され る。また、バックルの前方への移動の際に衝撃エネルギが吸収されるので、乗員 に対する衝撃度合いが軽減され、乗員拘束性能が向上する。

また、請求項 2記載の発明は、請求項 1記載のシートベルト装置に係り、前 記ガイドが、前記バックルの車両上方向への移動を規制し、かつ、車両前方向へ の移動のみを許容するものであることを特徴としている。

請求項 2記載の構成によれば、バックルが上方へ移動しないように確実にガ ィドによって規制される。なお、ここで言うところの「バックルの移動が許容さ れる車両前方向」とは、必ずしも水平方向前方に限定的に解釈されるべきもので はなく、多少の上下方向の傾斜をもった車両前方向であることも当然含まれる概 念である。例えば、シートのスライド方向とほぼ同じ角度でガイドを取り付ける ことになる場合が多いので、ガイドを基準にした場合の方向となる。したがって、 「バックルの移動が規制される車両上方向」の意味も、ガイドで規定される前後 方向を基準にした上方向と言う意味であり、必ずしも、鉛直上方だけを指すもの ではなない。

また、請求項 3記載の発明は、請求項 1又は 2記載のシートベルト装置に係 り、前記エネルギ吸収機構を、バックルと車体との間に連結されてバックルの車 両前方向への移動に伴い塑性変形する塑性変形部材により構成したことを特徴と している。

このように、請求項 3記載の構成によれば、塑性変形部材によって衝撃エネ ルギを吸収するようにした場合、構造の単純化が図れる上、塑性変形部材の材質 や形状などを変えることで、容易にェネルギ吸収特性を変えることができる。

また、請求項 4記載の発明は、請求項 3記載のシートベルト装置に係り、前 記ガイドに、該ガイドに沿って車両前後方向にスライド可能なスライダを取り付 け、そのスライダに前記バックルを固定すると共に、前記スライダを車体側に固 定された部材に前記エネルギ吸収機構としての塑性変形部材を介して連結したこ とを特徴としている。

このように、請求項 4記載の構成によれば、ガイドにスライダを取り付けて、 そのスライダにバックルを固定し、スライダを車体側部材に塑性変形部材を介し て連結するようにした場合、各部品の機能を分けて設計することができるので、 部品の管理や製作、組立が容易になる。

また、請求項 5記載の発明は、請求項 4記載のシートベルト装置に係り、前 記塑性変形部材を前記スライダの後部に一体形成し、該塑性変形部材の後端を車 体に固定すると共に塑性変形部材の前端より前側の位置に前記バックルを固定し たことを特徴としている。

このように、請求項 5記載の構成によれば、スライダと塑性変形部材を一体 に形成した場合、構造の単純化が図れるので、組立が容易になる。

また、請求項 6記載の発明は、請求項 3又は 4記載のシートベルト装置に係 り、前記塑性変形部材が、所定の長さの金属線材を所定の形状に湾曲成形してな ることを特徴としている。

また、請求項 7記載の発明は、請求項 4記載のシートベルト装置に係り、前 記塑性変形部材が、所定の長さの金属線材を所定の形状に湾曲成形したもので、 スライダの溝部に嵌める前側の輪状部と、車体側に固定するための円形巻部とを 有してなることを特徴としている。

また、請求項 8記載の発明は、請求項 7記載のシートベルト装置に係り、前 記円形巻部が、前記輪状部を形成した後の線材の両端を円形に巻き付けた部分で あることを特徴とする請求項 7記載のシートベルト装置。

また、請求項 9記載の発明は、請求項 3又は 4記載のシートベルト装置に係 り 己塑性変形部材が、板体を板面内で U字状に屈曲させることにより、エネ ルギを吸収しやすくしたものであることを特徴としている。

図面の簡単な説明

第 1図は、この発明の第 1実施例であるシートベルト装置の全体構成を示す 斜視図で、同図(a )は、衝突初期のバックルが前方移動する前の状態を示す図、 同図(b ) は、バックルが前方移動した状態を示す図、第 2図は、同シートベル ト装置におけるバックル装置をシートフレームに組み付けようとしている状態を 示す斜視図、また、第 3図は、第 2図のバックル装置の分解斜視図である。

第 4図は、この発明の第 2実施例であるシートベルト装置におけるバックル 装置の構成を示す斜視図、第 5図は、第 4図のバックル装置におけるスライド部 材の構成図である。第 6図(a ) は、第 4図のスライド部材における塑性変形部. の変形例を示す斜視図、同図(b ) は、その製造方法を説明するための図、また、 第 7図は、第 6図(a ) の塑性変形部に板幅変更部を付加した例を示す斜視図で ある。第 8図は、従来のバックル装置の構成を示す断面図である。

発明完成に至るまでの研究

全面衝撃の乗員胸部の負荷を減少させる圧迫制限シ一卜ベルト

時速 50km (時速 30mマイル)での堅い障壁への完全正面衝突は、とても激 しい正面衝突を意味する。乗員によるシートベルトの負荷は、必然的にとても高 くなる。しかしながら、実際の車対車の事故で、 2台の車が重複して互いに衝突 することが 100%には及ばないが、極めて一般的である。 1台の車の正面の強固 な構造部分が、別の車の正面の強固な構造部分に相応して、ぶっかるということ もまたありそうもない。したがって、ほとんどの車両事故は、同じでの堅い 障壁テストで達成されたものより、さらに弱い波動によるのが特徴である。典型 的な減速が、時速 50kmでの堅い障壁テストにおいて 20Gならば、同じ A Vで半 分の速度に設定された車対車の衝突は、たったの約 10Gである。したがって、時 速 50km (時速 30mマイル)での堅い障壁テスト(統制の存在のため)において 最適化されたシートベルトは、道路上で車対車の衝突の大多数においてきつくな る。

人は年齢を重ねるにつれて、より弱まってくる。 Forest-Bruno et al. (1990) は、車の衝突での胸部負傷の危険性は、 Δ νの増加だけでなく、年齢の増加でも 高くなる、ということを発見した。その調査は、実際の車両事故からのデータも 含んでいた。耐えられる肩ベルトの力は、上記激しい胸部負傷発生、年齢によつ てかなり変えられる。 60から 70代の乗員は、 20から 30代の乗員が耐えられる たった半分の力しか耐えられない。女性のより軽い体重では、骨のより低い抵抗 に十分に補えない。

時速 50kmでの堅い障壁テストは、前に述べたように、とても激しい衝突を 意味する。しかしながら、より典型的な正面衝突は、時速約 30kmの A Vである (Harms et al, 1987)。時速 30から 20kmの範囲での Δ Vの正面衝突の頻度は、 時速 50kmでの の衝突よりも高い、約 5倍である。したがって、自動車自動 安全操作システム(シートベルト、エアーバック)は、高速度の衝突のためだけ でなく、より一般的な速度の衝突のためにも、改良されるべきである。ただ激し い衝突を規定するのは、現在の正面衝突の通常において、短所である。しかしな がら、その問題は、注目され、ある自動車メーカー(ボルボ)は、違った衝突速 度で、異なつた自動車自動安全操作システム構成の利点の価値を見極めるための 装置を開発した (Norin et al.. 1991) 0

正面衝突における乗員の負荷を減らす一つの方法は、シートベルトの取り付 け部分のどれにも圧迫制限装置を使うことである。 Volkswagen は膝ベルトの外 側固定部分での圧迫制限の効果を文書で立証した(Esslen et al., 1985)。頭部の 軌跡が上げられ、そのことは、おそらくタイヤの衝撃に導かれる頭部の衝撃性を 減少させるが、胸部への負荷は、増加した。異なった負荷制限装置のアメリカの 評価は(Haley et al., 1969)、良い概観を与えた。その負荷制限の一つは、一連 のテストのために(Viano, 1987)、 GM研究所によって選ばれた。その負荷制限 は、肩ベルトの上固定部、円柱形の輪に、位置付けられた。胸部と頭部の加速度 と胸部の偏りは、その負荷制限なしのシステムと比べると減少したが、頭部の前 方移動は増加した。その圧迫制限装置は、 " ω" (オメガ)を銅製の棒で形成した ように作られた。この型は、低い重量、少ない包装容量、小さな動力超過、どん な圧迫の偏りの特質をも選ぶ自主性を特徴としている。

この研究の狙いは、激しい正面衝突で、中型の乗員の胸部にかかる負荷を、 頭部の前方移動を増加させることなく、減らすことを発見することとなった。

方法

この研究は、数理的な模擬実験(Madymo) とそりを適用したテストの 2段 階によってなされた。

検証されたシートと Haland and Nisson(l991)によつて解説されたシートべ ルトの構成は、数理的な実験とそりを適用したテストのどちらにも使われた。最 初の膝ベルトの角度は、 60度の角度に位置された。

時速 50kmと時速 30kmの衝突速度で、異なつて位置付けられたシートベル 卜における圧迫制限装置の効果が、実験された。衝撃波は、約 20Gでの一定の減 速では、 "Square" になった。ベルトのたわみは、 10 k Nで 10%であった。数理 的模擬実験にしたがった最適な構成は、そりテストによって、さらに進んだ数値 を出すために選ばれた。

結果

異なつて位置付けられたシートベルト圧迫制限装置の数理的模擬実験の結果 は、表 2にみられる。表 1は、異なった位置の負荷制限装置の圧迫-移動の値であ る。

表 1

数理的模擬実験で使用された圧迫制限装置のデータ

Table 1

Data of force limiters used in the mathematical simulations

Force level Max. displacement

Position (constant) of the force limiter

(kN) (mm)

Retractor 4 50

Lap-belt outer

anchorage 9 60

Buc le

(along the stalk) 18 60

Buckle

(guided horizontally) 9 60

表 2

時速 50kmと時速 30kmの衝突速度で、異なった位置に付けられた圧迫制限装置 の結果

Table 2

Result of iorce limiters at different position at 30 km/h

and 50 km/h impact speeds


バックルが取り付けられた位置にある、平行に導かれる圧迫制限装置が、全 体的に、一番良い結果を出している。胸部が加速したとき、 HICと頭部の移動は、 時速 50kmと時速 30kmの衝突速度のどちらでも、注視される。したがって、こ の構成は、そりテストによって、さらに進んだ数値を出すために選ばれたのであ る。基本型のデザインが作られた。それは、前に述べた ω形の 2つの圧迫制限装 置 (エネルギー吸収)機構を持つものである。そのバックルの軸は 2つの ω形の 棒の前端を通すボルトに付く低め部分に位置する。そのボルトは、シートに取り 付けられる強固な(厚さ 6mm) 銅板の溝によって平行に導かれる。そのバック ルと負荷制限装置は、下の 2つの絵のように見られる。

負荷制限装置の圧迫の移動の特徴は、ある程度均衡状態の強度テストにおい て、測定された。その圧迫は、バックルの軸の方向によって、測定された。平行 方向(溝ガイドに沿った)での、対応する値は、 cos60° で複合的になった(図 2 参照)。

グラフ 1 : 負荷制限装置の圧迫の移動の特徴

Force

(horizontally)

(kN)

10

5

Displacement

30 60 imm)

そりテストは、その模擬テストのように、おなじベルトのジオメトリーでな された。そのテストは時速 50kmと時速 30kmのどちらでも行われた。その衝突

波は、模擬テストよりも、いくらか激しさは弱まるものとなった。その減速は、 約 20gで一定した。その結果は、表 3に見られる。

表 3

時速 50kmと時速 30kmの衝突速度における平行ガイドバックル圧迫制限装置で のそりテスト結果

Table 3

Sled test results with a horizontally guiaed buckle force limiter at 30 km h and 50 km/h impact speeds


負荷制限装置による胸部加速の比較上の減少は、時速 30kmで 17%、また, 時速 50kmでも 17%であつた。 HICにおける減少は、時速 30kmで 19%、また、 時速 50kmでも 32%であつた。

最初の一連の模擬実験(表 2) は、圧迫制限装置が、リトラクタ一に位置す るときは、胸部の負荷が、効果的に減った。し力、しながら、頭部の前方移動は、 圧迫制限装置のない従来のシステムと比べると、時速 30kmで 10mm、また、時 速 50kmで 30mm増す。このことは、おそらく運転者側での、タイヤの衝撃に導 かれる頭部の衝撃はより激しくなるという結果になるだろう。より長い頭部の前 方移動は、助手席側では加速するだろう。

圧迫制限装置は、リトラクターの位置よりも、膝ベルトの外側が固定されて

いる部分の位置のほうが、より適した位置であると思われる。頭部の前方移動は、 増加しない。

膝ベルトと肩ベルトの両方に負荷がかかるとき、バックルが取り付けられた 位置にある圧迫制限装置が、他のどの位置の圧迫制限装置よりも、よりエネルギ 一を吸収することができる。軸の方向に働くバックル圧迫制限装置は、頭部の前 方移動を、時速 50kmで 10mm波、といくらか増加させるようだ。しかしながら、 この構成は、バックルが腸骨前方上部あたり(A.S丄 S) で上にあがるために、サ ブマリン現象の危険性を増やす。それに反して、平行に働くバックル圧迫制限装 置は、この不利がない。膝ベルトの角度は、正面衝突でベルトに負荷がかかって いる間、ほとんど一定に保たれる。 Halandと Nilsson (1991)によって定義され たサブマリン現象の危険性を確定する、ベルトから骨盤の角度は、実際には、ベ ルトに負荷がかかっている間、いくらか減少する。平行に導かれるバックル圧迫 制限装置は、頭部の前方移動を増やすことなく、胸部と頭部にかかる負荷をかな り減少させるということも、表 2の値からみられる。そのかわり、そこには、模 擬実験のため、ごくわずかな減少がある。

そりテストの実施を改善するために、特に時速 30kmのテストで、ノックル 圧迫制限装置の特徴を進歩させることを決定した。それは、模擬実験で一定だつ た。その選択された特徴は、図 2に見られる。時速 30kmと時速 50kmでのそり テストの結果は、胸部加速において、頭部の前方移動は、増加させることなく、 それぞれ一 7G、一8Gと大きな減少を表した。

他の興味深い研究のパラメータ一は、胸部の偏りと粘性基準(VC) の特徴で ある。 4 ドア一車のフロント席における時速 50kmでのシートベルトの別のテス トでは、バックル圧迫制限装置を設置した場合としない場合とで行われた。その 波長は、約 30Gで、むしろ激しくなつた。膝ベルトの角度は、 65から 70° とな り、そのことは、そのバックル圧迫制限装置は、そりテストでのときよりも、き つくなつたことを意味する。 Hybrid IIIダミーの胸部の偏向の動きは、記録され た。その結果は、表 4に見られる。

表 4

平行に導かれるバックル圧迫制限装置を設置した場合としない場合とで行われた 時速 50kmのそりテストでの胸部の偏りと粘性基準(VC)、最大値

Table 4

Max. Chest Deflection and VC in 50 km/h sled tests with and without a horizontally guided buckle force limiter


圧迫制限装置は、最大胸部偏向を、 11mm (- 15%) 減少させた。これは、 胸部加速の減少と同じ法則であった。しかしながら、観察していてより興味深い ことは、粘性基準 (VC)が相対的に大きく減少したことである。その減少は 50%で あった。胸骨の最大の圧迫スピードは、約 2.5m/ sであった。胸部の偏りと粘性 基準(VC) のどちらの最大値も Viano and Lau (1987)によるこのスピードで研 究した関連のパラメ一夕一であつた。

糸口

この研究は、バックル設置部に、平行に導かれて位置づけられる圧迫制限装 置は、頭部と同じく胸部の負荷を、頭部の前方移動を増加させることなく減少さ せるだろう、ということを示す。

この圧迫制限装置は、より激しい正面衝突同様、それに劣る激しさでの正面 衝突で働くために進歩した特徴をもつ。時速 50kmと時速 30kmの衝突速度のど ちらでも、胸部の加速は 15%の減少を達成することが可能のようだ。粘性基準

(VC) の減少は 50%の割合で、可能である。

発明を実施するための最良の形態

以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、 実施例を用いて具体的に行う。

第 1実施例

第 1図は、この発明の第 1実施例である 3点式シートベルト装置 3 0の全体 概略構成を示す図である。この 3点式シートベルト装置 3 0は、連続した 1本の 帯状のシートベルト(ゥェビング) 3 1と、シートベルト 3 1に取り付けられた タンダ 3 2と、シートフレーム 2 3に固定されたバックル装置 4 0とを備えてい る。

シートベルト 3 1は、シート 2 5に着座した乗員 Mの左右一方の片側上部(図 の例では乗員の左側上部)から他側下部へ胸の前で斜めに架け渡される肩ベルト 3 1 Aと、左右一方の片側(図の例では乗員の左側)から他側へ腰の上で架け渡 される腰ベルト 3 1 Bとを有している。肩ベルト 3 1 Aは、図示略のアンカによ つてガイドされ、乗員の胸部に良好にフィッ卜するようになつている。タンダ 3 2は、肩ベル卜 3 1 A及び腰ベルト 3 1 Bに連結され、ベルト装着時にバックル 4 1に挿入係止される。その他にこのシートベルト装置は、図示しないが、肩べ ルト 3 1 Aを巻き取るリトラクタ、腰ベルト 3 1 Bを巻き取るリトラクタ、プリ テンショナ等の通常要素を備えている。

次に、この発明の特徴点を有するバックル装置 4 0について述べる。

このシートベルト装置 3 0では、 3点式シートベルトのタンダ 3 2が係合さ れるバックル 4 1を、該バックル 4 1の車両上下方向への移動を規制し前後方向 への移動のみを許容するガイド 4 5を介して、車体に固定されたシートフレーム 2 3に取り付けている。さらに、バックル 4 1に車両前方向への所定以上の外力 が加わったときに、バックル 4 1の前方向への移動を抵抗力を伴いながら許容す るエネルギ吸収機構 5 0を設けている。

第 2図は、バックル装置 4 0をシートフレーム 2 3に取り付けようとしてい る状態を示す斜視図、また、第 3図は、バックル装置 4 0の分解斜視図である。 このバックル装置 4 0は、バックル 4 1の他に前記ガイド 4 5と、該ガイド 4 5 に沿つて車両前後方向にスライド可能なスライダ 6 0と、前記ェネルギ吸収機構 5 0として、バックル 4 1と車体との間に連結されてバックル 4 1の車両前方向 への移動に伴い塑性変形する塑性変形部材 5 1とから構成されている。

ガイド 4 5は、金属の矩形板を断面 C字形に折り曲げることで形成されたガ ィド溝 4 6 aを有するガイドレ一ル部 4 6と、ガイドレール部 4 6の長手方向の 両側に張り出した耳部 4 7、 4' 8とを有する。ガイド 4 5は、両端の耳部 4 7、 4 8の貫通孔 4 7 a、 4 8 aに取付ボルト 7 1、 7 2を通し、それら取付ボルト 7 1、 7 2をシートフレーム 2 3のネジ孔 2 4に締結することによってシートフ レーム 2 3に固定される。その場合のガイド 4 5の取り付け向きは、ガイドレー ル部 4 6を車両前後方向に向けた姿勢である。シートフレーム 2 3には、その姿 勢でガイド 4 5を確実に位置決め保持するための突片 2 3 a、 2 3 bが設けられ ている。これらの突片 2 3 a、 2 3 bは、ガイドレール部 4 6を上下から挟める ように、ガイドレール部 4 6の幅に対応した上下間隔で設けられている。なお、 第 3図において、 7 3で示すものはファイバヮッシャである。

断面 C字形をなすガイドレール部 4 6は、上下前面壁 4 6 c、 4 6 dの間に 所定幅のガイド溝 4 6 aの開口 4 6 bを有しており、上下前面壁 4 6 c、 4 6 d の長手方向の中間部にピン孔 4 6 eを有している。また、車両後方側の耳部 4 8 の上下外周部には、取付ボルト 7 2の頭部側 7 2 aに突出する 2つの突起 4 9が 設けられている。なお、車両後方側の耳部 4 8を固定する取付ボルト 7 2には鍔 付きの段付きボルトが用いられており、その軸部には、先端側のネジ部 7 2 bの 他に基端側のネジを切っていない段部 7 2 cが設けられ、頭部 7 2 aの首下には 一体にフランジ 7 2 dが設けられている。

スライダ 6 0は、ガイド 4 5のガイド溝 4 6 aに樹脂カバー 6 6を介して車 両前後方向スライド自在に嵌め込まれている。このスライダ 6 0は、ガイドレー ル部 4 6に組み込んだ状態で車両前方側となる一側縁が半円弧状に形成された金 属の長方形板よりなり、半円弧状の一側縁及び上下側縁に、側縁に沿って連続す る溝部 6 4を有している。また、ガイドレール部 4 6に組み込んだ状態で手前側 となる板面に、ガイド溝 4 6 aの開口 4 6 bから突出する円形の凸部 6 1を有し、 その円形の凸部 6 1の中央にネジ孔 6 2を有している。また、凸部 6 1と同じ板 面に、 2つのピン孔 6 3と 1つの係止孔 6 5とを有している。

樹脂カバ一 6 6は、スライダ 6 0に対し前方から被せることのできる袋形状 に成形されており、スライダ 6 0の凸部 6 1を露出させる切欠 6 7と、スライダ 6 0のピン孔 6 3に対応した 2つのピン孔 6 8を有している。

エネルギ吸収機構 5 0としての塑性変形部材 5 1は、適当長さの金属線材を 所定の形状に湾曲成形したもので、スライダ 6 0の溝部 6 4に嵌める前側の輪状 部 5 1 aと、車体側に固定するための円形巻部 5 1 bとを有する。円形巻部 5 1 bは、輪状部 5 1 aを形成した後の線材の両端を円形に巻き付けた部分である。

このバックル装置 4 0を組み立てる場合は、まず、塑性変形部材 5 1の輪状 部 5 1 aをスライダ 6 0の溝部 6 4に嵌めて、スライダ 6 0に樹脂カバー 6 6を 被せる。この樹脂カバーは 6 6は、塑性変形部材 5 1の脱落防止と、スライダ 6 0とガイド 4 5のメタル接触を避ける役目を果たす。次に樹脂カバ一 6 6を被せ たスライダ 6 0をガイド 4 5のガイド溝 4 6 aに挿入し、スライダ 6 0及び樹脂 カバー 6 6のピン孔 6 3、 6 8とガイド 4 5のピン孔 4 6 eとを位置合わせして、 それらのピン孔 4 6 e、 6 8、 6 3にピン 6 9を圧入する。これにより、スライ ダ 6 0をピン 6 9で軽く固定することができる。

次にガイド溝 4 6 aの開口 4 6 bから露出しているスライダ 6 0の凸部 6 1 に対しバックル 4 1を固定する。その場合は、バックル 4 1から延びている連結 部材 4 2のネジ通し孔 4 2 aにボルト 7 5の先端を通し、ボルト 7 5の先端をヮ ッシャ 7 6及びパネヮッシャ 7 7を介して、スライダ 6 0のネジ孔 6 2に締結す ることで、バックル 4 1をスライダ 6 0に固定することができる。その際、パッ クル 4 1側の連結部材 4 2に形成してある爪 4 3を、スライダ 6 0の係止孔 6 5 に係合する。そうすることで、バックル 4 1の向きを固定することができる。

ここまでで、第 2図に示すバックル装置 4 0が出来上がる。次にこのバック ル装置 4 0を、ガイド 4 5の両端の耳部 4 7、 4 8を取付ボルト 7 1、 7 2でシ ―トフレーム 2 3に締結することで、シ一トフレーム 2 3に取り付ける。その際、 車両後方側に位置する取付ボルト 7 2の段部 7 2 cに塑性変形部材 5 0の円形巻 部 5 1 bを巻き付けた状態で、取付ボルト 7 2を耳部 4 8の貫通孔 4 8 aに通し てシートフレーム 2 3に締結する。これにより、塑性変形部材 5 0の後端を車体 に固定したことになる。

次に、この実施例のシートベルト装置 3 0の作用について説明する。

車両が前方衝突した際、第 1図(a ) に示すように、乗員 Mには前方に倒れ ようとする力が働き、同時にプリテンショナが作動することにより、シートベル ト 3 1には強い引張力が作用する。この動きに伴ってバックル 4 1に所定以上の 車両前方向荷重が加わると、バックル装置 4 0のスライダ 6 0を固定していたピ ン 6 9が剪断され、スライダ 6 0がガイド 4 5に規制されながら前方に移動し、 スライダ 6 0に固定されたバックル 4 1が第 1図(b) に示すように前方移動す る。

このとき、ガイド 4 5の後端側の取付ボルト 7 2の段部 7 2 cに巻かれてい る塑性変形部材 5 1の円形巻部 5 1 bが、円形を解くように塑性変形しながら引 き出されていき、この塑性変形によりエネルギ吸収が行われる。このスライダ 6 0の移動の際に、スライダ 6 0とガイド 4 5の間に介在された樹脂カバ一 6 6が、 摺動抵抗の極端な変化を防ぐ。また、ガイド 4 5の耳部 4 8に形成された突起 4 9が、塑性変形部材 5 1の円形巻部 5 1 bの跳ね上がりを防止する。

このように、本シートベルト装置 3 0では、車両衝突に伴ってバックル 4 1 に作用する車両前方向への外力が所定以上になったときに、バックル 4 1が抵抗 力を伴いながら、ガイド 4 5に案内されつつ前方向へのみ移動する。したがって、 タンダ 3 2が一定高さで前方へ移動することになり、乗員 Mの腰部から腹部への 腰ベル卜 3 1 Bの移動が防止されて、腹部への圧迫が軽減される。また、バック ル 4 1の前方への移動の際に、塑性変形部材 5 1の変形によってエネルギ吸収が 行われるので、乗員 Mに対する衝撃度合いが軽減され、乗員拘束性能が向上する。

また、このシートベルト装置 3 0では、エネルギ吸収機構 5 0として塑性変 形部材 5 1を用いているので、構造の単純化が図れる上、塑性変形部材 5 1の材 質や線径などを変更することにより、容易にエネルギ吸収特性を変えることがで きる。また、ガイド 4 5、スライダ 6 0、塑性変形部材 5 0は、それぞれの機能 を果たす個別部品として構成しているので、各部品の設計が楽にでき、部品の管 理ゃ製作、組立も容易である。なお、スライダ 6 0が大きく移動した場合には、 スライダ 6 0が反対側の取付ボルト 7 1に衝突して止まるので、スライダ 6 0の 脱落のおそれはない。

第 2実施例

第 4図は、この発明の第 2実施例であるシートベルト装置におけるバックル 装置 4 0 Bの構成を示す斜視図である。

このバックル装置 4 0 Bでは、ガイド 8 0をシ一トフレーム 2 3に直接形成 している。即ち、シートフレーム 2 3に複数の L字形のフック 8 1〜8 3を設け ることで、バー状のスライド部材 9 0を車両前後方向にのみ移動可能に収容する ガイド 8 0を構成している。

この場合、バー状のスライド部材 9 0を収容するスライド空間 8 0 a (車両 前方から見た場合に矩形をなす空間)を形成するため、少なくとも一対の L字形 のフック 8 1、 8 2は上下に組み合わせて設けられている。また、スライド空間 8 0 aの長さを確保するため、残りのフック 8 3は、前側の 2つのフック 8 1、

8 2から後方に離間した位置に配置されている。

このガイド 8 0に対して、バー状のスライド部材 9 0が車両前後方向に移動 可能に収容されている。このスライド部材 9 0は、第 5図に単体で示すように、 前部に、ガイド 8 0に対してスライド可能な形状とされたスラィダ部(スライダ) 9 1、後部に、 U字状に屈曲した塑性変形部(塑性変形部材) 9 3を一体に有す るものである。なお、塑性変形部 9 3は、板体を板面内で U字状に屈曲させるこ とにより、エネルギを吸収しやすくした部分である。この塑性変形部 9 3の前端

9 3 aはスライダ部 9 1につながっており、後端 9 3 bにはボルト通し孔 9 4が 設けられている。

このバックル装置 4 0 Bを組み立てる場合には、フック 8 1〜8 3で構成さ れたガイド 8 0にスライド部材 9 0のスライダ部 9 1を通し、その状態でスライ ド部材 9 0の塑性変形部 9 3の後端 9 3 bをボルト 9 5でシ一トフレーム 2 3に 固定する。また、塑性変形部 9 3の前端 9 3 aよりもスライド部材 9 0の前側位 置に設けたネジ孔 9 2に、バックル 4 1から延びる連結部材 4 2を、ボルト 7 5、 ヮッシャ 7 6、バネヮッシャ 7 7を用いて固定する。これにより、バックル装置 4 0 Bが出来上がる。

このバックル装置 4 0 Bの場合も、バックル 4 1に所定の前向き荷重が加わ ると、スライド部材 9 0の U字状の塑性変形部 9 3が伸びて、その分だけ、それ より前側のスライダ部 9 1が前方に移動する。したがって、第 1実施例における バックル装置 4 0と同様の作用効果を奏する。また、このようにスライダ(スラ イダ部 9 1 ) と塑性変形部材(塑性変形部 9 3 ) を一体に形成した場合、構造の 単純化が図れるので、組立が容易になる。また、ガイド 8 0をシートフレーム 8 0に直接形成することにより、部品点数を減らせるので、組立が容易になる上、 コストダウンも図れる。

なお、エネルギ吸収部分である塑性変形部 9 3の構造は前記に限定されず、 種々の形態が可能である。第 5図の例では、 U字状の曲げをスライド部材 9 0を 構成する板体の板面内で行ったが、第 6図(a )、 (b) に示すように、ローラ 9 9でしごいて金属板体を板面に垂直な方向に屈曲させることにより、塑性変形部 9 7を構成してもよい。また、第 7図に示すように、 U字状屈曲による塑性変形 部 9 7の他に板幅変更部 9 8を設けることで、エネルギ吸収特性を途中から変え ることも可能である。

産業上の利用可能性

この発明のシートベルト装置は、衝突時、シートベルトによる乗員の特に腹 部への圧迫度合いを軽減しながら、乗員拘束性能の向上を図ることができるので、 車両の座席に装備して有用である。