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1. (JPWO2008126720) 眼透明組織可視化用懸濁剤
Document

Description

Title of Invention 眼透明組織可視化用懸濁剤 JP 2007100060 20070406

Technical Field

0001  

Background Art

0002   0003   0004   0005   0006  

Disclosure of Invention

Technical Problem

0007   0008  

Technical Solution

0009  

Advantageous Effects

0010  

Brief Description of Drawings

0011   0012  

Best Mode for Carrying out the Invention

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

Industrial Applicability

0048  

Claims

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22    

Drawings

1   2    

Description

眼透明組織可視化用懸濁剤

JP 2007100060 20070406

Technical Field

[0001]
本発明は、眼の透明組織に注入することによって、手術時における眼の透明組織の視認性を向上させるための、眼透明組織可視化用懸濁剤に関する。

Background Art

[0002]
眼球は、外界から光を取り入れて視細胞に投射するため、その多くの部分が透明組織によって構成されており、角膜、水晶体及び硝子体がこれにあたる。硝子体は、網膜と接しており、糖尿病性網膜症その他の網膜疾患の多くにおいて、網膜の増殖組織の足場となる。硝子体内へと増殖した組織は、繊維を形成して網膜を牽引し剥離を引き起こすため、放置は失明へと繋がり得る。従って、そのような増殖組織を含むに至った硝子体に対しては、しばしば手術による完全除去が行われている。
[0003]
硝子体除去手術では、網膜に癒着した増殖組織と、増殖の足場となる硝子体を可能な限り完全に除去することが求められる。手術は、手術用の眼内灌流液を眼球内へ流しながら行われるが、硝子体は透明組織であり眼内灌流液との屈折率差も殆ど無い。このため、そのままでは手術用顕微鏡を介した術野において、透明組織は視認性に欠け、その位置の判別が困難で、その完全な除去は容易でない。この解決策として、硝子体除去手術中に、トリアムシノロン製剤(ケナコルト−A:登録商標)等のステロイド懸濁剤を硝子体腔(硝子体中央部を吸引除去してできた中空部分)に注入して分散させ硝子体に付着させることによって、これを可視化することが行われている(非特許文献1参照)。この方法は、術野での硝子体の視認性を高めて手術を容易にし、硝子体の完全除去を可能にする。しかしながら、ステロイド剤の硝子体への適用については、副作用としての眼圧上昇と白内障進行とが報告されている(非特許文献2及び3参照)。このことから、硝子体除去手術における視認性を向上させることを目的としたステロイド懸濁剤の使用についても、同様の副作用の発現の可能性があり得る。
[0004]
一方、トリパンブルー等の色素を溶解させた水溶液で増殖硝子体網膜症(PVR)に伴う増殖膜や網膜上膜を染色し、可視化する方法も報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、色素の使用は術野を暗くし、また硝子体そのものを術野に浮かび上がらせることもないため、これによる視認性の向上は極めて不十分である。
[0005]
また、例えば、白内障手術では、水晶体嚢内の核及び皮質の除去を行って、眼内レンズの挿入を行うが、後嚢近くに除去し切れずに残存した皮質が、術後、期間を経てしばしば増殖して混濁し、後発白内障を引き起こすことが知られている。このため、白内障手術においても、透明な皮質部分を可視化して、完全な除去を容易にするための手段が必要である。
[0006]
このような状況を改善する手段として、本発明者は先に、硝子体や水晶体等のような眼の透明組織に接触させて手術におけるそれらの視認性を高めるための、高分子化合物の微粒子を含んでなる、透明組織可視化剤を報告している(特許文献2)。しかしながら、更なる検討の結果、当該透明組織可視化剤では、透明組織の視認性をかなり向上できるものの、実際の手術に際して、手術中に使用される灌流液の流量によっては、当該透明組織可視化剤が一部流出して視認性が低下する可能性がある。従って、透明組織の外科的除去において、除去を一層容易にし、除去の確実性を一層高めるには、当該透明組織可視化剤より大幅に高い可視化能を有する新たな透明組織可視化剤の存在が極めて望ましい。
patcit 1 : WO 99/058159
patcit 2 : WO 2005/115411
nplcit 1 : Sakamoto, T., et al., Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology, 240: p.423 (2002).
nplcit 2 : Challa, J.K. et al., Australian and New Zealand Journal of Ophthalmology, 26: p.277 (1998)
nplcit 3 : Wingate, R.J. et al., Australian and New Zealand Journal of Ophthalmology, 27: p.431 (1999)

Disclosure of Invention

Technical Problem

[0007]
このような背景において、本発明は、眼の透明組織である硝子体、水晶体又は角膜の手術に際し、その視認性を高めるための手段であって、改善された十分な視認性を達成し、使用し易く、且つ安全性に優れた手段を提供することを目的とする。
[0008]
上記課題のもとに検討の結果、本発明者は、薬理作用を有しない生分解性高分子化合物からなる微粒子を、所定濃度以上の2価金属のイオン及び/又は所定濃度以上の3価金属のイオンを含有する水性媒質中に分散させて懸濁剤を製造し、これを眼内に注入して眼の透明組織に接触させたとき、そのような濃度以上の2価又は3価の金属イオンを懸濁剤が含有しない場合に比して、術野における可視光の散乱強度が著しく向上し、そのため眼の透明組織の視認性が格段に高まることを見出した。本発明は、この知見に基づき、更に検討を加えることにより完成されたものである。すなわち、本発明は以下を提供する。

Technical Solution

[0009]
1.生分解性高分子化合物よりなる微粒子と、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩とを水性媒質中に含有する、眼内に注入し眼の透明組織に接触させてその視認性を高めるための、眼透明組織可視化用懸濁剤。
2.該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、上記1の眼透明組織可視化用懸濁剤。
3.該生分解性高分子化合物が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及び乳酸・グリコール酸共重合体からなる群より選ばれるものである、上記1又は2の眼透明組織可視化用懸濁剤。
4.該3価金属の塩の濃度が0.01〜1w/v%及び/又は該2価金属塩の濃度が0.1〜1w/v%である、上記1ないし3の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
5.該3価金属の塩がアルミニウム塩及び鉄塩から選ばれるものであり、該2価金属の塩がマグネシウム塩、カルシウム塩、及び亜鉛塩から選ばれるものである、上記1ないし4の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
6.該3価金属の塩が硫酸アルミニウムカリウムである、上記1ないし5の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
7.該2価金属の塩が塩化マグネシウム又は塩化カルシウムである、上記1ないし6の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
8.ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールであってよいポリビニル系化合物、及び/又は多価アルコールを更に含んでなるものである、上記1ないし7の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
9.該ポリビニル系化合物がポリビニルピロリドンであり、該多価アルコールがマンニトールである、上記8の眼透明組織可視化用懸濁剤。
10.該生分解性高分子化合物よりなる微粒子の含量が0.005〜10w/v%である、上記1ないし9の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
11.生分解性高分子化合物よりなる微粒子を含んでなる固形剤を準備するステップと、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩を含有する水性溶液であって該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上である水性溶液を準備するステップと、そして該微粒子を該水性溶液に懸濁させるステップとを含んでなるものである、眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
12.該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、上記11の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
13.該固形剤及び/又は該水性溶液が、ポリビニル系化合物及び多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、上記11又は12の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
14.生分解性高分子化合物よりなる微粒子と、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩とを含んでなる固形剤を準備するステップと、該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上となるように水性媒質と混合して懸濁液とするステップとを含んでなる、眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
15.該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、上記14の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
16.該固形剤及び/又は該水性媒質が、ポリビニル系化合物及び/又は多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、上記14又は15の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
17.生分解性高分子化合物よりなる微粒子を含んでなる固形剤と水性媒質とを、相互に非接触に分離した状態で含んでなり、該固形剤と該水性媒質とを混合したとき得られる懸濁剤が、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩を含有し且つ該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上となるように、該水性媒質及び/又は該固形剤が該3価金属の塩及び/又は該2価金属の塩を含有するものである、眼透明組織可視化剤。
18.該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、上記17の眼透明組織可視化剤。
19.該固形剤及び/又は該水性媒質が、ポリビニル系化合物及び/又は多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、上記17又は18の眼透明組織可視化剤。
20.該懸濁剤中の該生分解性高分子化合物よりなる微粒子の含量が0.005〜10w/v%である、上記17ないし19の何れかの眼透明組織可視化剤。
21.該固形剤と該水性媒質とが、単一の混合及び排出手段内に封入されているものである、上記17ないし20の何れかの眼透明組織可視化剤。
22.上記1ないし10の何れかの懸濁剤を眼内に注入して眼の透明組織に接触させることを含んでなる,眼の透明組織の視認性を向上させる方法。

Advantageous Effects

[0010]
上記各構成になる本発明は、眼の透明組織である硝子体、水晶体、角膜の手術において、眼内に注入して眼の透明組織に接触させることによって、術野において視認困難な透明組織に付着させ、それら透明組織の視認性を著しく向上させることを可能にする。従って本発明は、そのような手術における手技を容易にし、手術目的の確実な達成を容易にする。特に、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑症、黄斑円孔、網膜上膜形成症、及び裂孔原性網膜剥離等の、硝子体除去を伴う眼内手術において、硝子体腔に、本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤を注入することにより、硝子体ゲルに無数の微粒子を付着させこれに可視光を照射して、硝子体ゲルの形に沿って光の強い散乱を起こさせることができるため、視認が困難であった硝子体の視認性が著しく向上し、例えば手術用顕微鏡を介した術野において、眼による容易な確認が可能になる。また、水晶体の核及び皮質の除去を伴う手術においても、水晶体嚢内に注入することによって、水晶体の核及び皮質に無数の微粒子が付着して、核や皮質の形に添って光の散乱が起こるため、それらの視認性も同様に向上する。更に、薬理作用を有しない微粒子を使用することから、生体に対して無用な薬物応答や副作用を惹起することがない。特に、生分解性の微粒子を使用することから、術後に眼の組織に付着して微粒子が一部残存した場合でも、時の経過と共に溶解及び/又は分解して排出又は吸収等により眼組織から消失するため、不都合がない。

Brief Description of Drawings

[0011]
[fig. 1] ダブルチャンバーシリンジ充填型の眼透明組織可視化剤の一実施例を示す概要断面図
[fig. 2] 試験懸濁剤の可視化能の評価における硝子体サンプルの照明及び撮影方法を示す概要図

符号の説明

[0012]
1=ダブルチャンバー型シリンジ
2=可動仕切り
3=前方チャンバー
4=後方チャンバー
7=排出流路
8=ピストン
9=周辺流路
12=12穴プレート
13=デジタルマイクロスコープ
14=ファイバー光源

Best Mode for Carrying out the Invention

[0013]
本発明において、「生分解性高分子化合物」としては、哺乳類の、特にヒトの眼の組織及び身体に対し薬理学的に不活性な生分解性高分子化合物を使用することができる。ここに、本発明において用いられる生分解性高分子化合物は、常温で固体であって、微粒子とすることができればよいから、その分子量に特段の限定はない。通常は、分子量1500以上、好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上、特に好ましくは5000以上であり、通常200000以下、好ましくは100000以下、更に好ましくは80000以下、特に好ましくは50000以下であるが、本発明の目的を達成できるものである限り、これらの範囲外であってもよい。
[0014]
生分解性高分子化合物としては、種々のものを用いることができるが、それにより形成された微粒子は、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものであるのが好ましい。そのような溶解性であれば、通常1回の手術時間中は溶け切らずに光散乱源として残るに十分だからである。この溶解性は、第十四改正日本薬局方に規定された「やや溶けにくい」から、「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」及び「ほとんど溶けない」までの範囲の溶解性に該当する。同薬局方では、溶質1gを溶媒中に入れ20±5℃で5分毎に強く30秒間振り混ぜるとき30分以内に溶ける度合いに基づいて、溶解性を定義しており、本発明においては、同定義に準拠し、20℃において微粒子1gを水に入れて30分間十分に撹拌したとき、溶解性が次の何れかである微粒子が、好適に用いられる。
(1)やや溶けにくい(すなわち、30mL未満の水には完全には溶解させることができないが、30mL以上且つ100mL未満の範囲に、完全に溶解させることができる水量が存在する)、
(2)溶けにくい(すなわち、100mL未満の水には完全に溶解させることができないが、100mL以上且つ1000mL未満の範囲に、完全に溶解させることができる水量が存在する)
(3)極めて溶けにくい(すなわち、1000mL未満の水には完全に溶解させることができないが、1000以上且つ10000mL未満の範囲に、完全に溶解させることができる水量が存在する)
(4)ほとんど溶けない(すなわち、完全に溶解させるには、少なくとも10000mL以上の水量が必要である)
[0015]
また生分解性高分子化合物について、水に対する可溶性の低さ(溶解に要する時間の長さ)に明確な上限はなく、例えば大過剰の水と共に37℃において1週間撹拌したとき、溶解する程度の可溶性があれば十分である。手術後に微粒子が眼内に残留することがあっても、その量は通常ごく僅かであり、徐々にでも溶解して固体としての形態を失えばよいからである。
[0016]
生分解性高分子化合物からなる微粒子の平均粒子径に明確な制限はないが、使用時の取り扱い易さとや可視光の散乱性を考慮すると、通常は0.01〜500μm程度とするのが好ましく、0.1〜200μm程度とするのがより好ましく、0.5〜100μm程度とするのが更に好ましく、1〜60μmとするのが特に好ましい。
[0017]
手術後に組織に高分子化合物の微粒子が一部残存する可能性があるが、生分解性高分子化合物よりなるものであることから、時と共に溶解及び分解して眼から消失するため、支障はない。
[0018]
本発明において用いる生分解性高分子化合物としては、種々のものが使用できる。例えば、ポリ乳酸(D−、L−又はDL体)、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリカプロラクトン、ヒドロキシ酪酸・グリコール酸共重合体、乳酸・カプロラクトン共重合体、ポリエチレンサクシネート、及びポリブチレンサクシネート等の脂肪酸ポリエステル;多糖類及びその誘導体として、デンプン、可溶性デンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン誘導体、セルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体のほか、キトサン、キチン、デキストラン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、特に好ましいのは、ポリ乳酸、及び、並びにポリ乳酸に極めてよく似た物性のものであるポリグリコール酸及び乳酸・ポリグリコール酸共重合体である。
[0019]
生分解性高分子化合物を微粒子とするための方法は、適宜であってよく、用いる高分子化合物の物性応じて、例えば、ジェットミルなどの機械的手段による粉砕や、溶媒(水、極性又は非極性の有機溶媒)に対する溶解性の差を利用して貧溶媒中に析出させる等の方法を用いることができる。
[0020]
本発明において、3価金属の塩の例としては、アルミニウム、鉄等の塩化物、硫酸塩、1価陽イオンの硫酸塩との複塩、水酸化物、乳酸塩等が挙げられる。より具体的には、例えば、硫酸アルミニウムカリウム、塩化鉄(III)、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、乳酸アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム等、又はそれらの水和物が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうちより好ましいのは硫酸アルミニウムカリウム、塩化鉄(III)であり、特に好ましいのは硫酸アルミニウムカリウムである。3価金属の塩の濃度は、通常0.01w/v%以上であればよく、好ましくは0.01w/v%〜1w/v%、特に好ましくは0.01w/v%〜0.5w/v%の範囲である。
[0021]
本発明において、2価金属の塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、臭化物、乳酸塩が挙げられる。より具体的には、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、臭化カルシウム、乳酸カルシウム等、又はそれらの水和物が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうちより好ましいのは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛であり、特に好ましいのは、塩化マグネシウム、塩化カルシウムである。2価金属の塩の濃度は、通常0.1w/v%以上であればよく、好ましくは0.1w/v%〜1w/v%、特に好ましくは0.1w/v%〜0.5w/v%の範囲である。
[0022]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤は、生分解性高分子化合物からなる微粒子と共に、ポリビニル系化合物や多価アルコールの一方又は双方を含有してもよい。ポリビニル系化合物や多価アルコールの存在は、生分解性高分子化合物からなる微粒子を水性媒質と混合したときに微粒子が直ちに分散する等、微粒子の分散性を高める好ましい働きをする。特に、好ましいポリビニル系化合物の例としては、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールが挙げられ、特に、好ましい多価アルコールの例としてはマンニトールが挙げられるが、これらに限定されず、不活性で薬理作用がない、水に可溶性のポリビニル系化合物や多価アルコールを、適宜使用することができる。ポリビニル系化合物及び多価アルコールの使用量は、生分解性高分子化合物よりなる微粒子の1重量部に対して、通常、0.05〜10重量部程度であればよいが、この範囲外より少なくてもその量に応じた幾分の効果があり、多くても特に不都合はないため、この範囲外であってもよい。
[0023]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤は、生分解性高分子化合物よりなる微粒子が水性媒質に分散した懸濁剤の形態で提供することができる。
[0024]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤を構成要素としての「水性媒質」は、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液である。3価金属の塩を含有する場合、その濃度は0.01w/v%以上であることが好ましく、特段の上限はないが、通常1w/v%以下とすることが好ましい。2価金属の塩を含有する場合、その濃度は0.1w/v%以上であることが好ましく、特段の上限はないが、通常1w/v%以下とすることが好ましい。水性媒質は、所望によりこれに、他の塩類、糖類等の等張化剤、緩衝剤等、眼の組織特に眼内組織に許容し得る添加剤を含んでいてよい。
[0025]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤において、懸濁剤中の生分解性高分子化合物よりなる微粒子の含量は、0.005〜10w/v%の範囲とするのが、安定した視認性向上効果が得られるという点から好ましく、0.01〜5w/v%とするのが更に好ましく、0.1〜2w/v%とするのが特に好ましい。但し、これより低い含量、例えば、0.0001w/v%でも視認性を得ることは可能であり、また、これより高い含量であっても微粒子の分散等の取り扱いに不便がなければ使用できるから、この範囲外であってもよい。便宜上は、通常、0.01〜5w/v%の範囲で適宜定めればよい。また、微粒子の分散性を高めるために上述のポリビニル系化合物や多価アルコールを更に含有させる場合、それらの濃度は何れも、0.1〜5w/v%の範囲で、それぞれ適宜に設定すればよい。但し、この範囲の濃度より少なくてもその量に応じた幾分の効果があり、多くても特に不都合はないため、この範囲外であってもよい。
[0026]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤はまた、生分解性高分子化合物よりなる微粒子を含んでなる粉末等の固形剤と、手術での使用時にこの粉末を分散させて懸濁剤とするために用いる水性媒質とを、相互に非接触に分離した状態で含んだ、2剤型の製剤形態で提供してもよい。この場合、製剤には、固形剤と水性媒質とを混合したとき得られる懸濁剤が、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し且つ該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上となるように、水性媒質側若しくは固形剤側又はこれら双方、特に好ましくは水性媒質側に、それら3価金属の塩及び/又は該2価金属の塩を含有させておく。
[0027]
また上記2剤型の製剤は、粉末等の固形剤側若しくは水性媒質側又はこれら双方、特に好ましくは少なくとも粉末等の固形剤側に、上記のポリビニル系化合物や多価アルコールの一方又は双方を、更に含有していてもよい。
[0028]
上記の2剤型の製剤形態において、生分解性高分子化合物よりなる微粒子と水性媒質とは、単一の混合及び排出手段に封入された形態であってもよい。
[0029]
上記において、「混合及び排出手段」は、分離して封入されている粉末と水性媒質とを、外部からの操作で混合でき且つ形成された混合物を外部からの操作によって外部へと排出できるものであればよく、そのようなものとして、種々のダブルチャンバー型のシリンジ(注射筒)が周知である(図1参照)。ダブルチャンバー型のシリンジは、典型的には、先端に注射針を取り付けることが可能な(或いは既に注射針を取り付けてある)排出流路を備えた筒状物であり、他端には、ピストンが液密に挿入され、筒内の中間部には、前後方向に可動の仕切りが液密に挿入されて筒内に前方及び後方の2つのチャンバーを形成しており、仕切りの前方には、仕切りの厚みより長い範囲にわたって前後方向に延びる細長い周辺流路が、筒の内面を外方へ凹ませることによって形成されている。前方のチャンバーには、通常、乾燥した粉末等の固形剤が、後方のチャンバーにはこれと混合させる水性媒質(例えば、緩衝液等)が封入されている。混合及び排出は、後端に挿入されたピストンを前進させることによって生ずる水圧を利用して可動仕切りを筒内で前進させて周辺流路の中央付近まで到達させ、ピストンの前進を続けて周辺流路を通じ後方のチャンバーの水性媒質を前方のチャンバー内へと押し出し、前方のチャンバー内で内容物を混ぜ合わせた後、ピストンを押して可動仕切りを更に前進させて混合物を排出流路から排出する、という手順で行われる。本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤を、このような単一の混合及び排出手段内に、相互に非接触に分離した状態で封入した形で提供すれば、手術での使用に際して、利便性の非常に高いものとすることができ、取り分け有利である。
[0030]
上記において2剤型の製剤を構成する粉末等の固形剤は、例えば生分解性高分子化合物よりなる微粒子を(所望により上記ポリビニル系化合物や多価アルコール、3価又は2価の金属塩と共に)一旦適宜の緩衝液等の水性媒質に懸濁させた上、これを例えば急速冷却して凍結乾燥に付すことによって、製造することができる。
[0031]
本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤は、医薬として許容される添加物、例えば、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩;グリセロール、グルコース等の糖類;ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類;ホウ酸、ホウ砂等)、緩衝剤(リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、トリス緩衝剤等)、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルギン酸ナトリウム等)、安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸等)等を適宜含有することができる。更には、本発明の目的に反しない限り、本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤に薬効成分を含有させてもよい。また、本発明の眼透明組織可視化用懸濁剤のpHは、通常、4.0〜8.0、好ましくは約5.0〜7.5の範囲にあるように調整される。
[0032]
以下、実施例及び比較例、試験例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明がそれらの実施例に限定されることは意図しない。
[0033]
〔試験例1〕硝子体視認性試験
(材料)
微粒子の製造、懸濁剤への製剤化及びその試験には、以下の材料を用いた。
(1)D,L−ポリ乳酸(分子量約5000)(PLA0005、和光純薬工業製)
(2)ポリビニルピロリドン(ポビドンK−30、BASFジャパン製、日本薬局方)
(3)D−マンニトール(ナカライテスク製)
(4)硫酸アルミニウムカリウム・12水和物(和光純薬工業製)
(5)塩化鉄(III)・6水和物(和光純薬工業製)
(6)塩化マグネシウム(シグマ製)
(7)塩化カルシウム・2水和物(和光純薬工業製)
(8)塩化亜鉛(ナカライテスク製)
(9)オペガードMA(千寿製薬製、眼内灌流液、次の成分を含有(1mLあたり):ブドウ糖1.5mg、塩化ナトリウム6.6mg、塩化カリウム0.36mg、塩化カルシウム0.18mg、硫酸マグネシウム0.3mg、炭酸水素ナトリウム2.1mg)
[0034]
(微粒子の調製)
1.11%D−マンニトール及び0.55%ポビドンK−30を含有した水溶液を、0.22μm水性フィルターでろ過し、A液とした。また、10%PLA0005(アセトン:エタノール=4:6)溶液を調製し、0.22μm非水性フィルターでろ過してB液とした。
[0035]
更に、次の処方及び手順に従って分散液(C液)を調製した。
<分散液(C液)>
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.75g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
リン酸水素2ナトリウム・12水和物・・・0.25g
酢酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量(pH7.0)
精製水・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
精製水に0.75g塩化ナトリウム、0.16g塩化カリウム、0.25gリン酸水素2ナトリウム・12水和物を溶かし、酢酸でpHを7.0に調製して、精製水を加えて全量100mLとする。
[0036]
A液とB液とを9:1の割合で次のように混合した。すなわち、A液をスターラー700〜800rpmで攪拌しながら、B液を約100μL/秒の速度で注入し、PLA0005粒子を析出させた。これを約30分間攪拌して懸濁液Dを得た。ふるい(口径106μm)で凝集塊を除去し、バイアル中で凍結乾燥を行い、粉末試料(微粒子)Eを得た。この凍結乾燥の操作は次のとおりとした。すなわち、懸濁液Dを−40℃で6時間保存して凍結させ、−40℃下で100μmHg以下まで減圧を行い、24時間以上乾燥させた。−40℃から1時間ごとに10℃ずつ上昇させ、+20℃になるまで続けた。さらに+20℃、100μmHg以下で24時間以上乾燥させた。
[0037]
(試験媒質の調製)
精製水に0.75g塩化ナトリウム、0.16g塩化カリウム、0.25gリン酸水素2ナトリウム・12水和物を溶かし、酢酸でpHを7.0に調製して、さらに全量80mLとした(F液)。また、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウムカリウム・12水和物、塩化カルシウム・2水和物、塩化鉄(III)・6水和物又は塩化亜鉛の各1gをF液に加え、それぞれ精製水で全量100mLにメスアップして、各1w/v%の濃度に3値又は2価金属の塩を含有する水溶液(G液)とした。3価又は2価金属の塩の最終濃度が0.005%〜0.75w/v%となるよう各G液を分取しこれをC液で希釈することによって、各種濃度で3価又は2価金属の塩を含有する試験媒質とした。
[0038]
(硝子体に対する可視化能の評価)
下記の手順で、豚硝子体に対する、各懸濁剤の可視化能の検討を行った。なお、対照として、各試験媒質の代わりにC液を用いて対照懸濁剤を調製した。
1.豚眼から硝子体を切り出し、硝子体およそ1gを5mLのオペガードMAを入れたビーカー中に浸漬する(以下、1液)。
2.粉末試料Eの50mgを各試験媒質2mLに分散させる(以下、「試験懸濁剤」)。試験懸濁剤を1液に注入し(以下、「2液」)、ビーカーを手で振って撹拌する。
3.2液から硝子体のみを残して液を捨てる。
4.硝子体のみが入ったビーカーに5mLのオペガードMAを加えて手で撹拌する。
5.さらに硝子体のみを残して液を捨てる。
6.上記4〜5の操作を再度行う。
7.5mLのオペガードMAを加える。
8.硝子体のみを12穴プレート(12.5cm×8cm、内径22mm、IWAKI社)に移す(図2参照)。
9.デジタルマイクロスコープ(型番:VHX−500 キーエンス社)で以下の操作を行う。
10.一定量の光(ファイバー光源、オリンパスLGPS、オリンパス社)を、目標とする穴からそれぞれ16cm離して、対向する2方向から水平に照射する(図2参照)。目標とする穴における照度は約1000Lux。
11.デジタルマイクロスコープの倍率を1穴の大部分が視界に入る20倍に設定し、硝子体表面に焦点を合わせる。
12.目標とする穴の上部より、20倍の静止画を撮影する。
13.静止画から輝度65以上の領域を指定する。
14.小点を除去するため30ピクセル以下の領域を除去する。
15.上記13〜14により選択された領域の総面積を求める。
[0039]
結果を表1に示す。
[Table 1]



[0040]
対照懸濁剤においては、選択された領域の総面積は29±9.08mm 2(n=3)であった。試験懸濁剤においては、3価金属の塩である硫酸アルミニウムカリウムは、0.01w/v%の濃度で62.15mm 2の総面積を示し、対照懸濁剤に比して顕著に高い可視化能を有することが認められた。また、これより高濃度においても対照懸濁剤に比して極めて高い可視化能を有し、濃度0.5〜1.0w/v%付近でほぼ最高となることが認められた。3価金属の塩である塩化鉄(III)(測定は、0.25w/v%以上のみ)も、顕著に高い可視化能を示した。2価金属の塩である塩化マグネシウムは、0.1w/v%の濃度で総面積89.8mm 2と、対照懸濁剤に比して顕著に高い可視化能を有することが認められ、これより高濃度においても、対照懸濁剤に比して極めて高い可視化能を有し、やはり濃度0.5〜1.0w/v%付近でほぼ最高となることが認められた。他の2価金属の塩である塩化カルシウム及び塩化亜鉛(測定は、濃度0.25w/v%以上のみ)も、対照懸濁剤に比して顕著に高い可視化能を示した。
[0041]
〔製剤実施例1〕
ポリ乳酸微粒子を用いて、常法により以下の処方の眼透明組織可視化用懸濁剤を調製する。ポリ乳酸微粒子の平均粒子径20〜30μm。
ポリ乳酸微粒子・・・・・・・・・・・・ 1.0g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.75g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
2又は3価金属塩 * ・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
リン酸水素2ナトリウム・12水和物・・・0.25g
酢酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
精製水・・・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0
*)2又は3価金属塩は、硫酸アルミニウムカリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム2水和物、塩化鉄(III)、塩化亜鉛より選択して使用(以下同じ)。
[0042]
〔製剤実施例2〕
乳酸・グリコール酸共重合体微粒子をもちいて、常法により以下の処方の眼透明組織可視化用懸濁剤を調製する。乳酸・グリコール酸共重合体微粒子の平均粒子径は60〜70μm。
乳酸・グリコール酸共重合体微粒子・・・ 2g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.75g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
2又は3価金属塩・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
リン酸水素2ナトリウム・12水和物・・・0.25g
ポビドンK−30・・・・・・・・・・・・1.0g
D−マンニトール・・・・・・・・・・・・1.0g
酢酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
精製水・・・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0
[0043]
〔製剤実施例3〕
ポリ乳酸微粒子を用いて、常法により以下の処方の眼透明組織可視化用懸濁剤を調製する。
ポリ乳酸・・・・・・・・・・・・・・・・5g
リン酸二水素ナトリウム二水和物・・・・・0.1g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.9g
水酸化ナトリウム・・・・・・・・・・・・適量
2又は3価金属塩・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
エデト酸ナトリウム・・・・・・・・・・ 0.1g
ポビドンK−30・・・・・・・・・・・・5g
D−マンニトール・・・・・・・・・・・・5g
滅菌精製水・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0
[0044]
〔製剤実施例4〕
乳酸・グリコール酸共重合体微粒子を用いて、常法により以下の処方の眼透明組織可視化用懸濁剤を調製する。
乳酸・グリコール酸共重合体・・・・・・・0.10g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.55g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
乾燥炭酸ナトリウム・・・・・・・・・・・0.06g
リン酸水素ナトリウム・・・・・・・・・・0.18g
ホウ酸・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2g
ホウ砂・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
2又は3価金属塩・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
ポビドンK−30・・・・・・・・・・・・0.1g
D−マンニトール・・・・・・・・・・・・0.1g
滅菌精製水・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.3
[0045]
〔製剤実施例5〕
ポリグリコール酸微粒子を用いて、常法により以下の処方の眼透明組織可視化用懸濁剤を調製する。
ポリグリコール酸微粒子・・・・・・・・・1.0g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.75g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
2又は3価金属塩・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
リン酸水素2ナトリウム・12水和物・・・0.25g
ポビドンK−30・・・・・・・・・・・・1.0g
D−マンニトール・・・・・・・・・・・・1.0g
酢酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
精製水・・・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0
[0046]
〔製剤実施例6〕ダブルチャンバーシリンジ充填型の眼透明組織可視化剤
1.11w/v%D−マンニトールおよび1.11w/v%ポビドンK−30を含有した水溶液をポアサイズ0.22μmの水性フィルターでろ過し、F液とする。一方10w/v%PLA0005(アセトン:エタノール=4:6)溶液をポアサイズ0.22μmの非水性フィルターでろ過し、G液とする。0.75%塩化ナトリウム、0.16%塩化カリウム、0.1〜1.0w/v%の2又は3価金属塩(硫酸アルミニウムカリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム2水和物、塩化鉄(III)、塩化亜鉛より選択)を含有したリン酸塩緩衝液(pH7)を調製し、H液とする。
F液とG液とを、9:1の割合で次のように混合する。すなわち、F液をスターラー700〜800rpmで攪拌しながら、G液を約10〜100μL/秒で滴下し、PLA0005の微粒子を析出させる。これを約40分間(内10分間は減圧下)攪拌した後、篩(口径106μm)で凝集塊を除去し、懸濁液Jを得る。2mLずつ、図1に概要を示すダブルチャンバー型シリンジ1の前方チャンバー3に分注し、急速冷却して凍結乾燥を行い、粉末Lを得る。前方チャンバー3と後方チャンバー4の可動仕切り2であるゴム栓を嵌め、後方チャンバー4に水性媒質6としてH液2mL充填し、ピストン8である栓をすることによって、ダブルチャンバー型シリンンジ充填型透明組織可視化剤を製造する。9は、ダブルチャンバー型シリンジ1の内壁が部分的に外方へと凹むことによって形成されている前後方向の周辺流路である。なお、凍結乾燥は次のとおりに行う。すなわち、懸濁液Jを−40℃で6時間保存して凍結させ、−40℃下で100μmHg以下まで減圧を行い、24時間以上乾燥させる。−40℃から1時間ごとに10℃ずつ上昇させ、+20℃になるまで続ける。更に+20℃、100μmHg以下で24時間以上乾燥させる。
本製剤実施例の透明組織可視化剤の使用方法は次のとおりである。すなわち、ピストン8を押して前進させ、これにより後方チャンバー4内の媒質であるH液に生ずる圧力により、可動仕切り2を押して前進させる。可動仕切り2の後縁が周辺流路9に達したとき、後方チャンバー4と前方チャンバー3とが周辺流路9で連通し、前方チャンバー3へのH液の注入が開始される。ピストン8を可動仕切り2に当接するまで前進させることにより、H液の全てが前方チャンバー3に送り込まれ、そこで粉末Lと混合する。混合後、ピストン8を更に(可動仕切り2と共に)前進させることにより、混合液を排出流路7から、(図示しない注射針等を通して)手術部位へ排出する。
[0047]
〔製剤実施例7〕
ポリ乳酸微粒子を用いて,常法により以下の処方の透明組織可視化用懸濁剤を調製する。
ポリ乳酸微粒子・・・・・・・・・・・・・1.0g
塩化ナトリウム・・・・・・・・・・・・・0.75g
塩化カリウム・・・・・・・・・・・・・・0.16g
2又は3価金属塩・・・・・・・・・・・・0.1〜1.0g
リン酸水素二ナトリウム・12水和物・・・0.25g
ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・1.0g
酢酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
精製水・・・・・・・・・・・・・・・・・全量100mL
pH・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0

Industrial Applicability

[0048]
上記各構成になる本発明は、生体に対して無用な反応や副作用を惹起することなしに、眼の透明組織である硝子体、水晶体、角膜の手術において、術野において視認困難な透明組織の視認性を著しく向上させることを可能にし、従ってそのような手術を容易にし、手術目的の確実な達成を容易にする。

Claims

[1]
生分解性高分子化合物よりなる微粒子と、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩とを水性媒質中に含有する、眼内に注入し眼の透明組織に接触させてその視認性を高めるための、眼透明組織可視化用懸濁剤。
[2]
該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、請求項1の眼透明組織可視化用懸濁剤。
[3]
該生分解性高分子化合物が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及び乳酸・グリコール酸共重合体からなる群より選ばれるものである、請求項1又は2の眼透明組織可視化用懸濁剤。
[4]
該3価金属の塩の濃度が0.01〜1w/v%及び/又は該2価金属塩の濃度が0.1〜1w/v%である、請求項1ないし3の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[5]
該3価金属の塩がアルミニウム塩及び鉄塩から選ばれるものであり、該2価金属の塩がマグネシウム塩、カルシウム塩、及び亜鉛塩から選ばれるものである、請求項1ないし4の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[6]
該3価金属の塩が硫酸アルミニウムカリウムである、請求項1ないし5の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[7]
該2価金属の塩が塩化マグネシウム又は塩化カルシウムである、請求項1ないし6の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[8]
ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールであってよいポリビニル系化合物、及び/又は多価アルコールを更に含んでなるものである、請求項1ないし7の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[9]
該ポリビニル系化合物がポリビニルピロリドンであり、該多価アルコールがマンニトールである、請求項8の眼透明組織可視化用懸濁剤。
[10]
該生分解性高分子化合物よりなる微粒子の含量が0.005〜10w/v%である、請求項1ないし9の何れかの眼透明組織可視化用懸濁剤。
[11]
生分解性高分子化合物よりなる微粒子を含んでなる固形剤を準備するステップと、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩を含有する水性溶液であって該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上である水性溶液を準備するステップと、そして該微粒子を該水性溶液に懸濁させるステップとを含んでなるものである、眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[12]
該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、請求項11の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[13]
該固形剤及び/又は該水性溶液が、ポリビニル系化合物及び多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、請求項11又は12の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[14]
生分解性高分子化合物よりなる微粒子と、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩とを含んでなる固形剤を準備するステップと、該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上となるように水性媒質と混合して懸濁液とするステップとを含んでなる、眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[15]
該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、請求項14の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[16]
該固形剤及び/又は該水性媒質が、ポリビニル系化合物及び/又は多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、請求項14又は15の眼透明組織可視化用懸濁剤の製造方法。
[17]
生分解性高分子化合物よりなる微粒子を含んでなる固形剤と水性媒質とを、相互に非接触に分離した状態で含んでなり、該固形剤と該水性媒質とを混合したとき得られる懸濁剤が、3価金属の塩及び2価金属の塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の塩を含有し且つ該3価金属の塩の濃度が0.01w/v%以上及び/又は該2価金属の塩の濃度が0.1w/v%以上となるように、該水性媒質及び/又は該固形剤が該3価金属の塩及び/又は該2価金属の塩を含有するものである、眼透明組織可視化剤。
[18]
該生分解性高分子化合物よりなる微粒子が、その1gを、20℃において30mL未満の水には30分以内に完全に溶解させることのできないものである、請求項17の眼透明組織可視化剤。
[19]
該固形剤及び/又は該水性媒質が、ポリビニル系化合物及び/又は多価アルコールよりなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を更に含有するものである、請求項17又は18の眼透明組織可視化剤。
[20]
該懸濁剤中の該生分解性高分子化合物よりなる微粒子の含量が0.005〜10w/v%である、請求項17ないし19の何れかの眼透明組織可視化剤。
[21]
該固形剤と該水性媒質とが、単一の混合及び排出手段内に封入されているものである、請求項17ないし20の何れかの眼透明組織可視化剤。
[22]
請求項1ないし10の何れかの懸濁剤を眼内に注入して眼の透明組織に接触させることを含んでなる,眼の透明組織の視認性を向上させる方法。

Drawings

[ Fig. 1]

[ Fig. 2]