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1. WO2021059567 - シーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品

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明 細 書

発明の名称 シーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

実施例

0048   0049   0050   0051   0052   0053  

産業上の利用可能性

0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : シーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品

技術分野

[0001]
 本発明は、車載用バッテリーモジュール等に有用なシーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品に関する。

背景技術

[0002]
 車載用バッテリーモジュールは、複数の単電池(蓄電素子)が並べられて、電気的に接続されている。単電池は、ケース内に発電要素が収容されている。単電池の充電時又は放電時には、発電要素から熱が発生する。この熱が単電池内に蓄積し、単電池の温度が上昇すると、電池性能が低下することが懸念される。また、組電池の場合は,発熱によって各単電池に温度バラツキが発生し,電池性能低下の進み具合にも差が発生することが懸念される。そこで従来技術においては、ケースの外側に、単電池を冷却するための冷却装置を配置し、バッテリーモジュールとケースとの間に熱伝導部材シートを介在する提案がある(特許文献1)。特許文献2には、単電池集合体と収納容器との間に樹脂フィルムの袋内にシリコーンゲルを封入した袋体を配置することが提案されている。特許文献3には、単電池と収納容器との間に絶縁性放熱ゲル部材を配置することが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2017‐10944号公報
特許文献2 : WO2013‐047430号公報
特許文献3 : 特開2010-186715号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、従来の電池と収納容器との間の放熱材料は、次のような問題があった。
(1)熱伝導性シートは、バッテリーモジュールとケースとの間にすき間なく充填することは困難であるという問題がある。
(2)樹脂フィルムの袋内に熱伝導性液状物を封入する場合は、樹脂フィルムの熱伝導率が低い問題がある。
(3)熱伝導性液状物をバッテリーモジュールとケースとの間に直接注入する場合は、注入する際に液状物が漏れ出す問題があった。
[0005]
 本発明は前記従来の問題を解決するため、熱伝導性液状物をバッテリーモジュールなどの発熱性電気・電子部品と、ケースとの間に直接注入しても液状物が漏れ出すことが防げ、かつ発熱性電気・電子部品に負荷を与えないレベルの柔軟性があり、発熱性電気・電子部品とケースとの間の密着性の高いシーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品を提供する。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明のシーリング材用熱伝導シートは、発熱性電気・電子部品と放熱ケースとの間に配置されるシーリング材用熱伝導シートであって、前記シートの硬さはショアー00で5以上55以下であり、前記シートは枠状シートであり、枠内は液状熱伝導組成物を充填するための空間部であることを特徴とする。
[0007]
 本発明の発熱性電気・電子部品は、前記のシーリング材用熱伝導シートを組み込んだ発熱性電気・電子部品であって、発熱性電気・電子部品とケースとの間に、前記熱伝導シートが貼り付けられ、前記発熱性電気・電子部品と前記ケースと前記熱伝導シートとの空間部に液状熱伝導組成物が充填されていることを特徴とする。

発明の効果

[0008]
 本発明のシーリング材用熱伝導シートは、硬さがショアー00で5以上55以下であり、前記シートは枠状シートであり、枠内は液状熱伝導組成物を充填するための空間部であることにより、熱伝導性液状物を発熱性電気・電子部品とケースとの間に直接注入する際、または実装後稼働時においても、液状熱伝導組成物が漏れ出すことが無く、かつ発熱性電気・電子部品に負荷を与えないレベルの柔軟性があり、発熱性電気・電子部品とケースとの間の密着性の高い発熱性電気・電子部品を提供できる。また、本発明の発熱性電気・電子部品は、発熱性電気・電子部品とケースとの間に、前記シートが貼り付けられ、前記発熱性電気・電子部品と前記ケースと前記熱伝導シートとの空間部に液状熱伝導組成物が充填されていることにより、発熱性電気・電子部品とケースとの間の密着性が高く、放熱性の高い発熱性電気・電子部品を提供できる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 図1は本発明の一実施形態のシーリング材用熱伝導シートの模式的斜視図である。
[図2] 図2Aは本発明の一実施形態のシーリング材用熱伝導シートをバッテリーモジュールに貼り付けた模式的斜視図、図2Bは同、バッテリーモジュールをケースに入れた模式的斜視図、図2Cは図2BのI-I断面図であり、シーリング材用熱伝導シートとバッテリーモジュールとケースとの間の空間部に液状熱伝導組成物を充填した状態を示す。
[図3] 図3A-Bは本発明の一実施例における熱伝導シートの熱伝導率の測定方法を示す説明図である。
[図4] 図4A-Bは本発明の一実施例のシーリング材用熱伝導シートに液状熱伝導組成物を充填する際の耐圧試験方法を示す写真である。

発明を実施するための形態

[0010]
 本発明は、発熱性電気・電子部品とケースとの間に配置されるシーリング材用熱伝導シートであり、このシートは枠状シートであり、枠内は液状熱伝導組成物を充填するための空間部である。前記空間部には液状熱伝導組成物を充填する。そのため、前記シートの硬さはショアー00で5以上である。これにより、前記空間部に液状熱伝導組成物を加圧状態で充填しても、シートの外側にあふれ出ることを防止できる。また、シートは発熱性電気・電子部品と放熱ケースとの間で挟持されるが、発熱性電気・電子部品に負荷を与えないレベルの柔軟性があり、密着性が良く、液状熱伝導組成物を充填してもシート形状は保持するため硬さは55以下が望ましい。好ましい硬さはショアー00で7~40であり、さらに好ましくは10~30である。
[0011]
 前記シートは枠状であることが好ましい。枠状であると内部の空間部に液状熱伝導組成物を充填できる。枠の大きさ、幅、枠形状は、発熱性電気・電子部品の形状に応じて選択できる。一例として車載用リチウムバッテリーモジュールの場合は矩形である。そのほか円形、矩形以外の多角形など様々な形状に成形できる。
[0012]
 前記シートの厚さは0.2~5mmが好ましく、より好ましくは0.3~4mmであり、さらに好ましくは0.5~3mmである。前記厚さであれば、発熱性電気・電子部品と放熱ケースとの間を挟持するのに都合がよく、液状熱伝導組成物を充填する際の液漏れを防止できる。前記シートの幅は任意とすることができるが、1~50mmが好ましい。前記幅であれば同様に発熱性電気・電子部品と放熱ケースとの間を挟持するのに都合がよく、液状熱伝導組成物を充填する際の液漏れを防止できる。
[0013]
 前記熱伝導シートの熱伝導率は0.8W/m・K以上が好ましく、さらに好ましくは1.0W/m・K以上である。熱伝導率0.8W/m・K以上であれば、発熱部からの熱を放熱体に熱伝導するのに適している。
[0014]
 前記発熱性電気・電子部品は、パワーモジュールなどの半導体、リチウムバッテリーモジュールなどの発熱性電気・電子部品であれば、いかなるものにも適用できる。とくに車載用リチウムバッテリーモジュールは発熱が多く、本発明を適用するのに好適である。
[0015]
 前記熱伝導シートのマトリックス樹脂はシリコーンポリマーが好ましい。シリコーンポリマーは耐熱性が高く、様々な発熱性電気・電子部品のサーマル インターフェース マテリアル(TIM)材として実用化されている。
[0016]
 前記熱伝導シートは、前記マトリックス樹脂は架橋成分と触媒成分を含み、付加硬化型シリコーンポリマーであるのが好ましい。熱伝導シートの空間部に充填する液状熱伝導組成物との親和性が良いためである。
[0017]
 本発明の発熱性電気・電子部品には、発熱性電気・電子部品とケースとの間に、前記熱伝導シートが貼り付けられ、前記発熱性電気・電子部品と前記ケースと前記熱伝導シートとの空間部に液状熱伝導組成物が充填されている。これにより、発熱性電気・電子部品とケースとの間の密着性が高く、放熱性を高くすることができる。ケースの外側には放熱フィン又は冷却装置を設けてもよい。なお、液状熱伝導組成物を前記空間部に充填した後、液状熱伝導組成物は未硬化のままであってもよいし、硬化させてもよい。
[0018]
 前記液状熱伝導組成物は、マトリックス樹脂としてはシリコーンポリマーであり、熱伝導性材粒子を含んだ組成物としては0.8W/m・K以上が好ましく、さらに好ましくは1.0W/m・K以上である。熱伝導率0.8W/m・K以上であれば、発熱部からの熱を放熱体に熱伝導するのに適している。
[0019]
 本発明で使用する熱伝導シートのマトリックス樹脂、及び液状熱伝導組成物のマトリックス樹脂には熱伝導性粒子が混合されている。前記熱伝導性粒子は、アルミナ,酸化亜鉛,酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、シリカなどの無機粒子が好ましい。これらの無機粒子は、単独でも複数種類組み合わせて添加してもよい。熱伝導性粒子は、マトリックス樹脂を100質量部としたとき、100~4000質量部添加するのが好ましく、さらに好ましくは500~3000質量部である。
[0020]
 本発明で使用する熱伝導性粒子は一部または全部がシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。シランカップリング剤は予め熱伝導性粒子と混合して前処理しておいてもよく、マトリックス樹脂と硬化触媒と熱伝導性粒子を混合する際に添加してもよい(インテグラルブレンド法)。インテグラルブレンド法の場合には、本発明の耐熱性熱伝導性組成物に使用される表面処理されていない熱伝導性粒子100質量部に対し、シランカップリング剤を0.01~10質量部添加するのが好ましい。表面処理することでマトリックス樹脂に混合しやすくなるとともに、熱伝導性粒子へ硬化触媒が吸着されるのを防ぎ、硬化阻害を防止する効果がある。これは保存安定性に有用である。
[0021]
 前記熱伝導シートの絶縁破壊電圧(JIS K6249)は、11~16kV/mmであるのが好ましい。これにより、電気的絶縁性の高い耐熱性熱伝導性シートとすることができる。
[0022]
<熱伝導シートの組成>
 本発明の熱伝導シートは、下記(A)~(D)成分を含み、及び任意成分として(E)(F)(G)成分等を混合し、硬化(架橋)することが好ましい。
(A)マトリックス成分:1分子中にアルケニル基が結合したケイ素原子を平均2個以上含有するオルガノポリシロキサン
(B)架橋成分:1分子中に水素原子が結合したケイ素原子を平均2個以上含有するオルガノポリシロキサンが、前記A成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、0.01~3モル
(C)触媒成分:白金族系金属触媒であり、A成分と白金族系金属触媒の合計に対して金属原子重量単位で0.01~1000ppmの量
(D)熱伝導性粒子:付加硬化型シリコーンポリマー成分(A成分+B成分)100質量部に対して100~4000質量部
(E)アルキルトリアルコキシシラン:付加硬化型シリコーンポリマー成分(A成分+B成分)100質量部に対して0.1~10質量部添加しても良い。
(F)無機粒子顔料、耐熱性有機材料、耐熱材料、難燃剤など:付加硬化型シリコーンポリマー成分(A成分+B成分)100質量部に対してさらに0.5~10質量部添加しても良い。
(G)付加硬化反応基を持たないオルガノポリシロキサン:付加硬化型シリコーンポリマー(A成分+B成分)100質量部に対して0.5~50質量部添加しても良い。
[0023]
 以下、各成分について説明する。
(1)マトリックス成分(A成分)
 マトリックス成分は、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサンであり、アルケニル基を2個含有するオルガノポリシロキサンは本発明のシリコーンゲル組成物における主剤(ベースポリマー成分)である。このオルガノポリシロキサンは、アルケニル基として、ビニル基、アリル基等の炭素原子数2~8、特に2~6の、ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に2個以上有する。粘度は25℃で10~100,000mPa・s、特に100~10,000mPa・sであることが作業性、硬化性などから望ましい。
[0024]
 具体的には、下記一般式(化1)で表される1分子中に平均2個以上かつ分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンを使用する。側鎖はアルキル基で封鎖された直鎖状オルガノポリシロキサンである。25℃における粘度は10~100,000mPa・sのものが作業性、硬化性などから望ましい。なお、この直鎖状オルガノポリシロキサンは少量の分岐状構造(三官能性シロキサン単位)を分子鎖中に含有するものであってもよい。
[0025]
[化1]


[0026]
 式中、R 1は互いに同一又は異種の脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換一価炭化水素基であり、R 2はアルケニル基であり、kは0又は正の整数である。ここで、R 1の脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~10、特に1~6のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、並びに、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基、シアノエチル基等が挙げられる。R 2のアルケニル基としては、例えば炭素原子数2~8、特に2~6のものが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。一般式(化1)において、kは、一般的には0≦k≦10000を満足する0又は正の整数であり、好ましくは5≦k≦2000、より好ましくは10≦k≦1200を満足する正の整数である。
[0027]
 A成分のオルガノポリシロキサンとしては一分子中に例えばビニル基、アリル基等の炭素原子数2~8、特に2~6のケイ素原子に結合したアルケニル基を3個以上、通常、3~30個、好ましくは、3~20個程度有するオルガノポリシロキサンを併用しても良い。分子構造は直鎖状、環状、分岐状、三次元網状のいずれの分子構造のものであってもよい。好ましくは、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、25℃での粘度が10~100,000mPa・s、特に100~10,000mPa・sの直鎖状オルガノポリシロキサンである。
[0028]
 アルケニル基は分子のいずれかの部分に結合していればよい。例えば、分子鎖末端、あるいは分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子に結合しているものを含んでも良い。なかでも下記一般式(化2)で表される分子鎖両末端のケイ素原子上にそれぞれ1~3個のアルケニル基を有し(但し、この分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基が、両末端合計で3個未満である場合には、分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子に結合したアルケニル基を、(例えばジオルガノシロキサン単位中の置換基として)、少なくとも1個有する直鎖状オルガノポリシロキサンであって)、上記でも述べた通り25℃における粘度が10~100,000mPa・sのものが作業性、硬化性などから望ましい。なお、この直鎖状オルガノポリシロキサンは少量の分岐状構造(三官能性シロキサン単位)を分子鎖中に含有するものであってもよい。
[0029]
[化2]


[0030]
 式中、R 3は互いに同一又は異種の非置換又は置換一価炭化水素基であって、少なくとも1個がアルケニル基である。R 4は互いに同一又は異種の脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換一価炭化水素基であり、R 5はアルケニル基であり、l,mは0又は正の整数である。ここで、R 3の一価炭化水素基としては、炭素原子数1~10、特に1~6のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。
[0031]
 また、R 4の一価炭化水素基としても、炭素原子数1~10、特に1~6のものが好ましく、上記R 1の具体例と同様のものが例示できるが、但しアルケニル基は含まない。R 5のアルケニル基としては、例えば炭素数2~8、特に炭素数2~6のものが好ましく、具体的には前記式(化1)のR 2と同じものが例示され、好ましくはビニル基である。
[0032]
 l,mは、一般的には0<l+m≦10000を満足する0又は正の整数であり、好ましくは5≦l+m≦2000、より好ましくは10≦l+m≦1200で、かつ0<l/(l+m)≦0.2、好ましくは、0.0011≦l/(l+m)≦0.1を満足する整数である。
[0033]
(2)架橋成分(B成分)
 本発明のB成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは架橋剤として作用するものであり、この成分中のSiH基とA成分中のアルケニル基とが付加反応(ヒドロシリル化)することにより硬化物を形成するものである。かかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を2個以上有するものであればいずれのものでもよく、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、一分子中のケイ素原子の数(即ち、重合度)は2~1000、特に2~300程度のものを使用することができる。
[0034]
 水素原子が結合するケイ素原子の位置は特に制約はなく、分子鎖の末端でも非末端(途中)でもよい。また、水素原子以外のケイ素原子に結合した有機基としては、前記一般式(化1)のR 1と同様の脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換一価炭化水素基が挙げられる。
[0035]
 B成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては一般式下記(化3)が例示できる。
[0036]
[化3]


[0037]
 上記の式中、R 6は互いに同一又は異種のアルキル基、フェニル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アルコキシ基、水素原子であり、少なくとも2つは水素原子である。Lは0~1,000の整数、特には0~300の整数であり、Mは1~200の整数である。この中でも前記熱伝導シート硬さのショアー00で5以上55以下とするため、両末端Si-Hオルガノハイドロジェンポリシロキサンをシリコーンポリマー100質量部に対し、10~30質量部添加するのが好ましく、さらに好ましくは15~30質量部添加する。硬さ調整のために添加する好ましい化合物は、側鎖部のR 6がメチル基で、両末端のR 6が水素である。
[0038]
(3)触媒成分(C成分)
 C成分の触媒成分は、本組成物の硬化を促進させる成分である。C成分としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒を用いることができる。例えば白金黒、塩化第2白金酸、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類やビニルシロキサンとの錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族系金属触媒が挙げられる。C成分の配合量は、硬化に必要な量であればよく、所望の硬化速度などに応じて適宜調整することができる。A成分と白金族系金属触媒の合計に対して金属原子重量として0.01~1000ppm添加するのが好ましい。
[0039]
(4)熱伝導性粒子(D成分)
 本発明のD成分は、付加硬化型シリコーンポリマー成分(A成分+B成分)100質量部に対して、100~4000質量部添加するのが好ましい。これにより耐熱性熱伝導性組成物及び耐熱性熱伝導性シートの熱伝導率を0.8W/m・K以上とすることができる。熱伝導粒子としては、アルミナ,酸化亜鉛,酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム及びシリカから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。形状は球状,鱗片状,多面体状等様々なものを使用できる。熱伝導性粒子の比表面積は0.06~15m 2/gの範囲が好ましい。比表面積はBET比表面積であり、測定方法はJIS R1626にしたがう。平均粒子径を用いる場合は、0.1~100μmの範囲が好ましい。粒子径の測定はレーザー回折光散乱法により、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)を測定する。この測定器としては、例えば堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA-950S2がある。
[0040]
 熱伝導性粒子は平均粒子径が異なる少なくとも2つ以上の無機粒子を併用してもよい。このようにすると大きな粒子径の間に小さな粒子径の熱伝導性無機粒子が埋まり、最密充填に近い状態で混合でき、熱伝導性が高くなるからである。
[0041]
 無機粒子は、R aSi(OR’) 3-a(Rは炭素数1~20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1~4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシラン化合物、もしくはその部分加水分解物で表面処理するのが好ましい。前記のアルコキシシラン化合物(以下単に「シラン」という。)は、一例としてメチルトリメトキシラン,エチルトリメトキシラン,プロピルトリメトキシラン,ブチルトリメトキシラン,ペンチルトリメトキシラン,ヘキシルトリメトキシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン,ヘキサデシルトリメトキシシラン,ヘキサデシルトリエトキシシラン,オクタデシルトリメトキシシラン,オクタデシルトリエトキシシラン等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、一種又は二種以上混合して使用することができる。表面処理剤として、アルコキシシランと片末端シラノールシロキサンを併用してもよい。ここでいう表面処理とは共有結合のほか吸着なども含む。
[0042]
(5)その他添加剤
 本発明の組成物には、必要に応じて前記以外の成分を配合することができる。例えばベンガラ、酸化チタン、酸化セリウムなどの耐熱向上剤、難燃助剤、硬化遅延剤などを添加してもよい。着色、調色の目的で有機或いは無機粒子顔料を添加しても良い。フィラー表面処理などの目的で添加する材料として、アルコキシ基含有シリコーンを添加しても良い。また、付加硬化反応基を持たないオルガノポリシロキサンを添加しても良い。25℃での粘度が10~100,000mPa・s、特に100~10,000mPa・sであることが作業性から望ましい。
[0043]
<液状熱伝導組成物の組成>
 液状熱伝導組成物の組成は、前記熱伝導シートと同様の組成であってもよいし、下記の組成であってもよい。
(a)マトリックス成分:1分子中に平均2個以上かつ分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状オルガノポリシロキサン
(b)架橋成分:1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが、前記A成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、1モル未満の量
(c)熱伝導性粒子:付加硬化型シリコーンポリマー成分(A成分+B成分)100質量部に対して100~4000質量部
 前記(a)-(c)成分は、前記熱伝導シートの組成で説明したマトリックス成分と架橋成分と熱伝導性粒子と共通する。前記(a)-(c)成分を使用することにより、前記空間部に充填した後、液状熱伝導組成物を未硬化のまま保持してもよいし、前記熱伝導シートの硬化触媒の拡散により硬化させることもできる。前記熱伝導シートと同様の組成の場合は、充填後硬化させることができる。また、架橋成分の添加割合を少なくし、部分架橋させてもよい。この場合はペースト状となる。
 また、(a)、(b)の代わりに反応基を持たないジメチルシリコーンオイルを使用しても良い。この場合は未架橋となる。
 液状熱伝導材料の粘度は50~5000Pa・sが好ましい。粘度測定は、HAAKE製レオメーターMARSIIIを使用し、Gap:0.5mm,回転速度1(1/s)、温度25℃の条件で測定する。
[0044]
 以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施形態のシーリング材用熱伝導シートの模式的斜視図である。このシーリング材用熱伝導シート10は枠状シートに形成されており、枠内は液状熱伝導組成物を充填するための空間部11である。また、このシート10の硬さはショアー00で5以上55以下である。このシート10はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム12の上に配置し、包装され運搬できる。
[0045]
 図2Aは本発明の一実施形態のシーリング材用熱伝導シート10をバッテリーモジュール13の底面に貼り付けた模式的斜視図、図2Bは同、バッテリーモジュール13をひっくり返してケース14に入れた模式的斜視図、図2Cは図2BのI-I断面図であり、シーリング材用熱伝導シート10とバッテリーモジュール13とケース14との間の空間部に液状熱伝導組成物15を充填した状態を示す。図2A-Cはバッテリーモジュール13の底面にシーリング材用熱伝導シート10を貼りつけ、枠状の空間部11に液状熱伝導組成物を充填した例を示したが、バッテリーモジュール13の底面に限らず、側面、上面にシーリング材用熱伝導シート10を貼りつけ、枠状の空間部11に液状熱伝導組成物を充填してもよい。
[0046]
 図3A-Bは本発明の一実施例における熱伝導シートの熱伝導率の測定方法を示す説明図である。熱伝導性シートの熱伝導率は、ホットディスク(ISO 22007-2準拠)により測定した。この熱伝導率測定装置1は図3Aに示すように、ポリイミドフィルム製センサ2を2個の試料3a,3bで挟み、センサ2に定電力をかけ、一定発熱させてセンサ2の温度上昇値から熱特性を解析する。センサ2は先端4が直径7mmであり、図3Bに示すように、電極の2重スパイラル構造となっており、下部に印加電流用電極5と抵抗値用電極(温度測定用電極)6が配置されている。
[0047]
 図4A-Bは本発明の一実施例のシーリング材用熱伝導シートに液状熱伝導組成物を充填する際の耐圧試験方法を示す写真である。図4Aに示すようにアルミ板16の上に熱伝導シート10を載せる。次に図4Bに示すように、熱伝導シート10の上に厚さ10mmのアクリル樹脂板17を載せ、4個のボルトでアルミ板16と固定する。アルミ板16とアクリル樹脂板17との隙間は所定の距離を保持する。アクリル樹脂板17には注入口18と圧力センサ19が設けてある。次に、注入口18から液状熱伝導組成物を、圧力をかけて充填し、熱伝導シート10にかかる圧力を測定する。液状熱伝導組成物はディスペンサーなどに入れて注入口18から圧入できる。
実施例
[0048]
 以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。各種パラメーターについては下記の方法で測定した。
<熱伝導率>
 図3A-Bに示す方法で測定した。熱伝導率は以下の式(数1)で算出する。
[0049]
[数1]


<硬さ>
 熱伝導性シートの硬さは、ASTM D2240のショアー00硬さに従い測定した。
<耐圧試験>
 前記した図4A-Bの説明のように圧力を測定した。
[0050]
(実施例1)
1.枠状シートの作成
<材料>
 下記の材料を準備した。
(1)一般に市販されている2液付加硬化型シリコーンポリマーの触媒成分(C成分)とマトリックス成分(A成分)が含有されたA液50g
(2)一般に市販されている2液付加硬化型シリコーンポリマーの架橋成分(B1成分)とマトリックス成分(A成分)が含有されたB液40g
(3)両末端Si-Hオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2成分)10g
(4)酸化アルミニウム粉末(D50:約1~2μm)500g
(5)水酸化アルミニウム粉末(D50:約50μm)550g
(6)オクチルトリメトキシシラン
<作成方法>
(1)酸化アルミニウムとオクチルトリメトキシシロキサンを混錬した。
(2)(1)に水酸化アルミニウムを添加し混練した。
(3)(2)にA液、B液、B2成分を添加し混練した。
(4)脱泡後、PETフィルムに挟持した状態でシート状物を作成し、温度100℃、10分間加熱硬化し、カットして枠状シートを得た。この枠状シートの外形はタテ40mm、ヨコ70mm、幅5mm、厚さは2mmと1mmの2つを作成した。カット方法は、カッティングプロッターにて外形、内形をカットし外周部、中央部を取り除いた。また、(3)で混錬した材料はPETフォイル上にディスペンサーなどで塗布し、枠状を形成しても良い。
※すでにシランカップリング剤で表面処理された酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムを使用しても良い。その場合(1)、(2)の工程は必要無い。
※フィラーの種類や表面処理材を変えることで、シリコーンベース(B成分)と両末端Si-Hオルガノハイドロジェンポリシロキサンの割合は変動する。
2.液状熱伝導組成物の作成
(1)ジメチルシリコーンオイル100g
(2)酸化アルミニウム粉末(D50:約35μm)200g
(3)酸化アルミニウム粉末(D50:約2μm)500g
(4)酸化ケイ素粉末(D50:約50μm)200g
<作成方法>
(1)ジメチルシリコーンオイルに3種の粉末を添加し混錬した。
(2)得られた液状熱伝導材料の粘度は1000Pa・s(at25℃)であった。
3.評価試験
 上記のようにして得られた枠状シートについて、硬さ、熱伝導率、比重を測定した。また、図4A-Bに示すように、枠状シートの空間部への液状熱伝導組成物の充填と、その際の耐圧試験を行った。注入圧力は0.35MPaとした。また目視により、枠状シートから液状熱伝導材料が漏れ出したかどうかを確認した。
 条件と結果を表1にまとめて示す。
[0051]
(実施例2~4、比較例1~2)
 表1に示す以外は実施例1と同様に実施した。
[0052]
[表1]


[0053]
 以上の実施例、比較例から明らかなとおり、ショアー00が5以上の枠状シートであれば、液状熱伝導材料を圧入する際に、枠状シートに側圧がかかり、かつ液の漏れ出しは無かった。ショアー00が55を超えると、バッテリー組付け時の反発応力が高くなり、バッテリーモジュールにかかる負荷荷重により故障の原因となる可能性がある。

産業上の利用可能性

[0054]
 以上説明したとおり、本発明のシーリング材用熱伝導シート及びこれを組み込んだ発熱性電気・電子部品は、パワーモジュールなどの半導体、リチウムバッテリーモジュールなどの発熱性電気・電子部品であれば、いかなるものにも適用できる。とくに車載用リチウムバッテリーモジュールは発熱が多く、本発明を適用するのに好適である。

符号の説明

[0055]
1 熱伝導率測定装置
2 センサ
3a,3b 試料
4 センサの先端
5 印加電流用電極
6 抵抗値用電極(温度測定用電極)
10 シーリング材用熱伝導シート
11 空間部
12 ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
13 バッテリーモジュール
14 ケース
15 液状熱伝導組成物
16 アルミ板
17 アクリル樹脂板
18 注入口
19 圧力センサ

請求の範囲

[請求項1]
 発熱性電気・電子部品と放熱ケースとの間に配置されるシーリング材用熱伝導シートであって、
 前記シートの硬さはショアー00で5以上55以下であり、
 前記シートは枠状シートであり、枠内は液状熱伝導組成物を充填するための空間部であることを特徴とするシーリング材用熱伝導シート。
[請求項2]
 前記シートは矩形である請求項1に記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項3]
 前記シートの厚さは0.2~5mmである請求項1又は2に記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項4]
 前記シートの幅は1~50mmである請求項1~3のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項5]
 前記熱伝導シートの熱伝導率は0.8W/m・K以上である請求項1~4のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項6]
 前記発熱性電気・電子部品が、リチウムバッテリーモジュールである請求項1~5のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項7]
 前記熱伝導シートのマトリックス樹脂はシリコーンポリマーである請求項1~6のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項8]
 前記熱伝導シートのマトリックス樹脂は硬化触媒を含み、付加硬化型シリコーンポリマーである請求項1~7のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シート。
[請求項9]
 請求項1~8のいずれかに記載のシーリング材用熱伝導シートを組み込んだ発熱性電気・電子部品であって、
 発熱性電気・電子部品とケースとの間に、前記熱伝導シートが貼り付けられ、前記発熱性電気・電子部品と前記ケースと前記熱伝導シートとの空間部に液状熱伝導組成物が充填されていることを特徴とする発熱性電気・電子部品。
[請求項10]
 前記発熱性電気・電子部品がバッテリーモジュールである請求項9に記載の発熱性電気・電子部品。
[請求項11]
 前記液状熱伝導組成物は、マトリックス樹脂はシリコーンポリマーであり、熱伝導率は0.8W/m・K以上である請求項9又は10に記載の発熱性電気・電子部品。
[請求項12]
 前記バッテリーモジュールは、車載用リチウムバッテリーモジュールである請求項10又は11に記載の発熱性電気・電子部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]