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1. WO2005012363 - 標的化された炎症惹起剤

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[ JA ]
明細書

標的化された炎症惹起剤

技術分野

本発明は、標的部位、特に腫瘍部位特異的な結合体、炎症惹起剤、または腫瘍 部位特異的な炎症惹起作用を有する抗腫瘍剤に関する。

背景技術

Fa sリガンド(Fa s L) は、その受容体である F a sに結合することによ り細胞のアポトーシスを誘導する! [型膜蛋白質であり、三量体またはそれ以上の 多量体として活性を発現する。 F a s Lの一部はプロセッシング酵素であるメタ 口プロテアーゼによる分解を受け、可溶型に転換するが、この可溶型 F a s Lは 膜型 F a s Lに比べてアポトーシス誘導活性が減弱または消失している。しかし、 可溶型 F a s Lを抗体によって架橋した凝集体や多量体化するぺプチドと F a s Lとの融合蛋白質、例えば FLAGタグ及びイソロイシンジッパーと F a s Lと の融合蛋白質(本明細書において、 F I Z— F a s Lと記載することがある; W 001/90382 :特許文献 1) は膜結合型 F a s Lと同様に強いアポト一シ ス誘導活性を有するが、同時に全身性の副作用、特に肝毒性も発現する。そのた め、可溶型 F a s Lの凝集体(WO 97/02290 :特許文献 2) や多量体を 全身性に投与し抗腫瘍効果を期待することには限界がある。

Fa s -Fa s L系はヒトとマウスの両方で免疫系の自己寛容とホメォス夕シ スに重要な働きをしている。 Fa s Lは細胞傷害性 T細胞(CTL) の細胞傷害 分子としても機能している。例えば、目や精巣は免疫系の破壊的な攻撃を免れる 組織、すなわち i mmu n e p r i v i l e ge d o r g anとして知られ ている。 F a s Lはこれらの組織に発現し、炎症性浸潤細胞にアポトーシスを誘 導することで炎症を抑制していると言われている。また、ある種の癌細胞は Fa s Lを発現しており、これを免疫回避に利用している可能性が指摘されている。 一方で、 Fa s Lを癌細胞や移植組織に異所性に発現させると、好中球の浸潤を 惹起し、拒絶が加速されることが報告されている。その機序としては、 F a s L が好中球等の炎症細胞にアポト一シスを誘導すると同時に、 I L一 1 i3 のプロ セシングと放出を誘導し、炎症を増強する作用が指摘されている。

近年、癌等の疾患に対する抗体医薬が開発され、臨床で使用されている。これ らは、癌細胞に対する特異性は高いと考えられるが、必ずしも有効性は高くなぐ 一般に高用量を投与する必要があり、副作用が懸念される。また、抗体の有効性 は、細胞上の抗原発現量にも依存するため、有効率及び治癒率にも限界がある。

発明の開示

本発明の目的は、標的部位、特に腫瘍部位に特異性が高く、全身性副作用が低 く、及び Zまたは有効性が高い炎症惹起剤、または腫瘍部位特異的な炎症惹起作 用を有する抗腫瘍剤を提供することにある。また、本発明は、標的部位特異的に 好中球等を集積させ、炎症を惹起する方法、標的部位特異的に好中球等を集積さ せ、炎症を惹起することにより、腫瘍を治療する方法及びそれらの方法のための キットを提供する。

本発明は上記目的を達成するためになされたもので、その代表的な態様を、以 下に示す。

( 1 ) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(C E A) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を標的化部として、 F a sリガンドまたはその活性領域もしくはそれらの 誘導体をエフェクター部として含有する結合体、融合蛋白質または複合体。

( 2 ) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(C E A) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を標的化部として、 F a sリガンドまたはその活性領域もしくはそれらの 誘導体をエフェクター部として含有する結合体、融合蛋白質または複合体を含有 する、腫瘍部位特異的炎症惹起剤。

( 3 ) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(C E A) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を標的化部として、 F a sリガンドまたはその活性領域もしくはそれらの 誘導体をエフェクター部として含有する結合体、融合蛋白質または複合体を含有 する、腫瘍治療剤。

(4) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(CEA) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を含有する標的化部(標的化剤または標的化物質)、及び、 Fa sリガン ドまたはその活性領域もしくはそれらの誘導体を含有するエフェクター部(エフ ェク夕一剤またはエフェクター物質)を同時または適当な時間間隔を置いて投与 する工程を含む、標的部位特異的に好中球を集積させ、炎症を惹起する方法。

(5) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(CEA) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を含有する標的化部(標的化剤または標的化物質)、及び、 Fa sリガン ドまたはその活性領域もしくはそれらの誘導体を含有するエフェクター部(エフ ェクタ一剤またはエフェクター物質)を同時または適当な時間間隔を置いて投与 する工程を含む、標的部位特異的に好中球を集積させ、炎症を惹起することによ り、腫瘍を治療する方法。

(6) 標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、具体的には 癌胎児抗原(CEA) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしくはそれらの 誘導体を含有する標的化部(標的化剤または標的化物質)、及び、 Fa sリガン ドまたはその活性領域もしくはそれらの誘導体を含有するエフェクター部(エフ ェクター剤またはエフェクター物質)を含有するキット。

図面の簡単な説明

図 1は、 HT— 29細胞を腹腔内移植した SC I Dマウスに各種結合体等を投 与後、腹腔内に浸潤した好中球数を測定した結果を示した図である。なお、左か ら 1ないし 3番目のカラムは HT— 29細胞を移植していない群の結果を、また、 左から 4ないし 10番目のカラムは HT— 29細胞を移植した群の結果を示して いる。

図 2は、 LS— 180細胞を腹腔内移植した SC I Dマウスに各種結合体等を 投与後、腹腔内に浸潤した好中球数を測定した結果を示した図である。カラム 1、 2、 3及び 4は、各々、生理食塩水投与(非移植)群、 3— 1 80移植(非投 与)群、 s hF a s L (ピキア)投与(非移植)群及び実施例 5に記載の CM 0 01— F 9 1 8 (B 3) - s hF a s L (ピキア)複合体投与(LS— 180移 植)群の結果を示す。

図 3は、 LS— 1 80細胞を腹腔内移植した SC I Dマウスに各種結合体等を 投与後、腹腔内に浸潤した好中球数を測定した結果を示した図である。カラム 1、 2、 3、 4、 5、 6、 7および 8は、各々、生理食塩水投与(非移植)群、 L S 一 180移植 (非投与)群、実施例 3 (2) に記載の CM001 -F a s L (A I'd) 投与(非移植)群、 CM00 l—F a s L (A 1 d) 投与(L S— 1 80 移植)群、実施例 3 (1) に記載の CM00 1— F a s L (EDC) 投与(非移 植)群、 CM00 1— F a s L (E D C) 投与(L S— 1 80移植)群、抗 CE A抗体 (CM00 1) 投与(非移植)群及び抗 CEA抗体(CM00 1 ) 投与 (LS- 180移植)群の結果を示す。

図 4は、 LS— 1 80細胞を腹腔内移植した SC I Dマウスに各種結合体等を 投与後、腹腔内に残存した L S— 180の生存細胞数を測定した結果を示した図 である。カラム 1、 2及び 3は、各々、 LS— 180移植(非投与)群、実施例 3 (2) に記載の CM001 -F a s L (A i d) 投与(LS— 180移植)群 及び実施例 3 (1) に記載の CM 001 -F a s L (EDC) 投与(L S— 18 0移植)群の結果を示す。

発明を実施するための最良の形態

本発明は、標的部位、標的細胞または組織、特に、腫瘍部位、細胞または組織 に特異的に送達し得る、標的化(t a r ge t t i n g) された、標的化部及び エフェクター部を含有する結合体、融合蛋白質もしくは複合体を含有する炎症惹 起剤、または腫瘍部位特異的な炎症惹起作用を有する抗腫瘍剤である。

前記結合体、融合蛋白質もしくは複合体を一般化すると、下記式 [I] のよう に表わすことができる。

T-L-E [I]

上記式 [I] において、 Tは標的化(t a r g e t t i n g) 部であり、 Lは リンカ一部で場合によっては無くても良く、 Eはエフェクター部(機能または効 果 (炎症惹起、好中球誘引)発現部)を表わす。 T、 L及び Εの間の結合は、共 有結合または非共有結合を含む。場合によっては、 L部は 2つ以上の部分からな つてもよい(本明細書において、 L部が η個の部分からなる場合、各部分を L l、 L 2、 · · · Lnと記載することがある)。また、 2種以上の T部及び Z又は 2 種以上の E部が L部に結合することもあり得る。なお、 T、 L及び Εは使用する 対象の動物種由来またはそれに適合し得る分子が好ましく、ヒトであれば、ヒ卜 において免疫原性の低い分子種、より好ましくはヒト由来のものである。これら の組合せ及び結合の型は複数考えられるが、その例を表 1にまとめた。

表 1

各部の結合一般化した例 具体例 実施例 パターン

Τ-Ε 抗腫瘍抗体一 F a s Lの融抗 CEAヒト抗体ーヒト F a 9

合蛋白質 s L細胞外領域の融合蛋白質 抗腫瘍抗体一 F a s Lの化坑 CEA抗体— F a s Lの化 1 学的結合体 学的結合体

T-L-E 抗腫瘍抗体ーリンカーぺプ抗 CEA抗体—(G 1 y4S e

チド— F a s Lの融合蛋白 r) 3—ヒト F a s L細胞外領

抗腫瘍抗体 -不溶性担体 - 抗 C E A抗体一 S e ρ h a r 4

F a s Lの化学的結合体 o s e— F I Z— Fa sL

抗腫瘍抗体一スぺ一サ一一抗 CEA抗体—(CH2) 6— 3 ( 1 ) F a s Lの化学的結合体 F I Z-F a s L 3 (2)

T-L ?几腫瘍几体一 ί几 F a s Lin, 抗 CEA抗体—抗ヒ卜 F a s 5

体の化学的結合体 L抗体

抗腫瘍抗体ーデキストラン抗 CEA抗体ーデキストラン 6 ー抗 F a s L抗体の化学的一抗ヒト F a s L抗体

結合体

T-L · Ε ί几腫瘍饥体— inF a s Li几抗 CEA抗体一抗ヒ卜 F a s 5

体化学的結合体及び F a s L抗体及び s h F a s L (ピ Lの複合体 キア)の複合体

抗腫瘍抗体ーデキストラン抗 CEA抗体ーデキストラン 6 ー抗 F a s L抗体化学的結ー抗ヒト F a s L抗体及び F 合体及び F a s Lの複合体 I Z— F a s Lの複合体

抗腫瘍抗体及び抗 I g抗体抗 CE Aヒト抗体及び抗ヒト

-F a s Lの複合体 I 抗体一 s h F a s L (ピ

キア)の複合体

T - L 1 · 抗腫瘍抗体一アビジン及び抗 C E A抗体一アビジン及び 7

L 2-E ピオチン化 F a s Lの複合ピオチン化 F I Z— F a s L

体 の複合体

抗腫瘍抗体一ペプチド T a 抗 C E A抗体— H i s T a g · ί/ιΤ a g饥体—F a s g ·抗 H i s T a gi 体— s

L複合体 hF a s L (ピキア)複合体 抗腫瘍抗体一糖鎖 ·抗糖鎖抗 CE A抗体ーシァリル S S 执体— F a s L EX · C A 54/61抗体—

s hF a s L (ピキア)

T · L · E ピオチン化抗腫瘍抗体、ァピオチン化抗 CE A抗体、ァ

ビジン及びピオチン化 F a ビジン及びピオチン化 s h F

s Lの複合体 a s L (ピキア)の複合体

L · E 不溶性担体結合抗 F a s L プロティン Aビーズ ·抗? a 8

抗体 · F a s Lの複合体 s L抗体 · F I Z— F a s L

上記表 1において、「一」は共有結合を、「 ·」は非共有結合を示す。また、 表 1の一般化した例において、抗体は抗原活性を有する抗体の断片、一部または 誘導体を含み、 F a s Lはその活性領域または誘導体を包含する。

「標的化部」は、標的部位、細胞もしくは標的組織、またはそれらに存在する 標的分子に特異的に結合する活性を有する物質(標的特異的結合物質)又はその ような標的特異的結合物質に由来する標的特異的結合性部位を含有する物質から なり、本発明の結合体等を標的部位、細胞または標的組織に特異的に結合させる 機能を有する。標的特異的結合物質としては、例えば、細胞表面抗原に対する抗 体、細胞表面受容体に対するリガンド、細胞表面リガンドに対する受容体、細胞 表面糖鎖に対するレクチン様物質等が挙げられ、好ましくは抗体である。抗体と しては、その活性、例えば、標的細胞等との結合能を有する限りにおいて、抗体 の断片、一部または誘導体でもよい。例えば、 Fab (f r agme n t o f an t i ge n b i nd i ng 、 Fab 、 (Fab ) 2、 F ab— F c ' 、一本鎖抗体(s c Fv) 、 d i abody、ジスルフィド安定化抗体(d s Fv) 、 CDRを含有するペプチド等が挙げられる。また、糖鎖を修飾するこ とにより ADCC活性の増強された抗体等も標的化部として有用である。抗体と しては、クラス、サブタイプまたはイソタイプは特に限定されず、いずれに分類 されるものでもあってもよい。例えば、イソタイプが I gGの抗体であり、好ま しくは補体結合性のないという点においてサブクラスが I g G 4の抗体であり、 ADCC活性が高いという点では I gMである。また、ヒトに用いる場合は、ヒ ト抗体、ヒト化抗体またはヒト遺伝子由来抗体が好ましい。これらは、公知の方 法に従って作製し得る。具体例としては、実施例で用いている抗 CE A抗体のよ うないわゆる腫瘍マーカ一に対する抗体の他、市販または開発中の抗腫瘍抗体医 薬が挙げられる。これらの抗体医薬を本発明の結合体等の標的化部として用いる と、該抗体医薬が有する作用とエフェクター部の作用とが相乗的に働くことが期 待される。抗体医薬の好適な例としては、 He r c e p t i n Tr a s t uz um a b) 、 R i t ux an (R i t u x i m a b) 、 My 1 o t a r g (G e mt uz umab) 、 C amp a t h (A l emt uz umab) 、 Z e n e p a x (D a c 1 i z um a b) , Remi c ade (Av ak i n e) 、 Syn a g i s (P a 1 i b i t umab) 等が挙げられ、より好ましくは He r c e p t i n (Tr a s t u z umab , R i t ux an (R i t u x i m a b である。

標的部位、細胞または組織としては、腫瘍細胞、ウィルス等の感染細胞、病原 体 (細菌、真菌もしくは原虫等)、自己抗体産生細胞、自己反応性 CTLのよう な自己認識リンパ球、関節滑膜細胞、細胞治療などにより外部より移入した細胞 や遺伝子治療により遺伝子が導入された細胞などの外部から移入された細胞や生 体にとって有害または不要な細胞または組織が含まれ、具体的には、腫瘍、癌及 び腹水癌ならびにこれらの転移巣及び播種組織等が含まれる。

標的分子としては、標的細胞または組織に特異的に存在する分子または発現組 織が限定さており当該組織に対する作用が治療上許容出来うる分子が好ましく、 標的細胞または組織にのみ存在する分子がより好ましい。本明細書において、 「標的細胞または組織に特異的に存在する」とは、標的以外の細胞等に比較して その存在量が定性的または定量的に多いことを意味する。例えば、 CEA、 CA 54/601、 CA125及び CA19— 9のような腫瘍マーカ一、 CD20及 び CD 33等のリンパ球分化抗原、また、標的細胞、特に腫瘍細胞の増殖、機能 または生存に関与する分子(HER 2等)も標的として有用である。その他、 I L— 2受容体、 I L— 6受容体、 TNF— Q!、 Fa s、 Fa s L等も標的分子と なり得る。標的分子が Fa s Lである場合(標的細胞が Fa s L発現腫瘍または F a s Lを発現する自己反応性 CTL等である場合)は、実施例で用いている F 918— 7— 3抗体(W097/02290) またはそのヒト化抗体のような F a s L細胞外領域の N末端領域を認識する抗体と F a s L細胞外領域の N末端欠 失体 (nd 32等)を組み合せるとよい。

リンカ一部は、 T部及び E部を連結させる部分であり、多様な分子種が適用可 能である。また、場合によっては、リンカ一部はタグ、スぺ一サーまたはキヤリ ァとしての機能を有する。例えば、一 (G 1 y4S e r) 3—等のペプチドリンカ 一、 MAPリンカ一、 H i s— Tag、適当な長さのスぺーサ一分子、例えば一 (CH2) 6—等のアルキレン基、アビジン及び Zまたはピオチン、抗体またはそ の抗原結合性の断片もしくは誘導体、必要に応じて官能基を導入したリボソーム、 デキストラン等の高分子、適当な分子量のポリビニルアルコール等のポリマ一、 ポリリジン及び糖鎖等が挙げられる。

場合によっては、 L部は 2つ以上の部分からなってもよく、例えば、 T— L 1 部の共有結合体及び L 2— E部の共有結合体が挙げられる(表 1参照)。また、 この場合、少なくとも一方のリンカ一部分は使用する対象の動物種、例えば、ヒ トであればヒトにおいて免疫原性の低い分子種、好ましくはヒト由来のもので、 通常血中または組織中濃度が低いもの、あるいは発現組織が限定されており当該 組織に対する作用が治療上許容されうるもの、特に、個体発生の比較的初期、例 えば胎生期には存在していたが、成体では全くまたはほとんど発現していない成 分が好ましい。例えば、胎児性癌抗原である CEA、シァリル S SEA— 1抗原、 s i a l y l S SEXまたは一フエトプロテイン等もしくはそれらの抗原 性断片が挙げられる。シァリル S SEA— 1抗原及びシァリル S SEXは糖鎖抗 原でもある。また、タンパク性の分子に限定されず低分子のリガンド、例えばァ ビジンとピオチン、糖鎖とレクチン様物質などが挙げられる。これらの成分を用 いることで、生体内における副作用が軽減されると共に、標的化部とエフェクタ 一部が効率的に結合し得る。さらには、 T部 1分子に対する L 1部の結合量を増 やすことで L 2— E部の標的上への結合量を増加することが出来る。このような 投与方法は、効果の増強及び Zまたは副作用の軽減に有用である。すなわち、標 的化部が結合する標的細胞上の標的分子数が少なく、通常の抗体医薬では有意な 効果が得られない場合でも、機能部の標的に対する結合量を増加させることが出 来る。また、 L部は 2種類以上の部分からなってもよく、各々の L部に特異的に 結合する L 2— E部の E部に機能の異なるものを同時に用いることで複数の効果 を期待することも出来る。具体的には E部に F a s Lを持つものと、 TLR (T o i l L i ke R e c e p t o r ) ァゴニスト例えば T L R 9ァゴニストで ある非メチル化 C p G配列を持つ DNAが結合したものを用いることで炎症惹起 による抗腫瘍効果並びに、 TLR刺激による抗腫瘍免疫の惹起を期待できる。

「エフェクター部」は、標的化部を介して結合した標的部位において、何らか の生物活性を発現する部分である。好ましくは、標的部位への炎症性細胞、例え ば、好中球、リンパ球、マクロファージ、単球、好酸球及び好塩基球、特に好中 球の浸潤、遊走、もしくは集積を誘導もしくは促進する活性、標的部位へ好中球 を集積させることによって炎症を誘導もしくは惹起する活性、またはそれらによ つて標的細胞等を除去する活性を有する。具体的には、 F a s L、 TRAI L (Tumo r n e c r o s i s f ac t o r (TNF) — r e l a t e d ap op t o s i s— i ndue i n g 1 i g a n d及び I L― 8等のケモカ インならびにそれらの活性領域または誘導体が挙げられ、好ましくは F a s Lま たはその活性領域もしくは誘導体である。ケモカインとしては、 GCP— 2、 G ROa、 GROi3、 GROァ、 NAP— 2、 ENA—78、 RANTES、 MI P— l a、 MCP— 1、 MCP—2、 MCP— 3、 MC P— 4MP I F— 1及び L k n- 1等が挙げられる。 F a s Lの活性領域もしくは誘導体としては、 F a s L細胞外領域及びその N末端アミノ酸欠失体(欠失残基数に応じて、 nd 5、 n d 12, n d 20, n d 32, nd41, n d 42と記載されている)(WO 95/13293及び WO 97/02290) 、組換ピキア酵母産生可溶型ヒト F a s L (WO 97/02290, 本明細書において s h F a s L (ピキア)と 記載することがある)、膜型 Fa s Lがプロセッシング酵素によって切断された 可溶型 F a s L断片(Tan ak aら、 Na t u r e Me dc i ne、 2 : 3 17— 322、 1996及び WO 97/02290) 及び F I Z— F a s Lが含 まれる。

ここで、 T、 L及び Εの間の結合は共有結合または非共有結合を含むが、共有 結合の場合、化学的に、もしくは遺伝子工学的に結合できる。結合方法の詳細は、 実施例に記載されているが、それらの方法及びそれらと類似の方法が例示される。 化学的な結合体の場合、公知の化学的コンジユゲート化技術を用いて連結でき る。一般に、この連結はァミンまたはスルフヒドリル基を介して行なわれる。連 結は切断可能な連結であつてもよいし、切断不可能な連結であつてもよい。

切断不能リンカ一系の具体例としては、カルポジイミド (E D O 系、スルフ ヒドリルーマレイミド系、および過ヨウ素酸塩系などが挙げられる。カルポジィ ミド系においては、水溶性カルポジイミドがタンパク質上のカルボン酸基と反応 してカルボキシル基を活性化する。力ルポキシル基は第 2のタンパク質のアミノ 基に結合する。この反応の結果、 2つのタンパク質の間に切断不能なアミド結合 ができる。

スルフヒドリル一マレイミド系においては、トラウト試薬などの化合物を用い て、スルフヒドリル基を上記タンパク質のうちの 1つのもののァミン基に導入す る。もう 1つのタンパク質を NH Sエステル(ガンマ一マレイミド酪酸 NH Sェ ステル (GM B S ) など)と反応させて、スルフヒドリル基に対して反応性を示 すマレイミド誘導体を作成する。次いで、これら 2つの修飾タンパク質を反応さ せて、切断不能な共有結合を形成させる。

過ヨウ素酸塩カップリングには、結合させる部、すなわち T、 Lまたは Ε部の いずれかの上にオリゴ糖基が存在している必要がある。これらの基が送達させた いタンパク質の上にある場合 (たとえばセィヨウヮサビペルォキシダ一ゼ (H R Ρ ) の場合)、送達させたいタンパク質の上に担体上のアミノ基と反応しうる活 性アルデヒドを形成する。また、抗体分子上に存在する炭水化物基から活性アル デヒド基を形成することもできる。次いで、これらの基を、送達させたいタンパ ク質の上のァミノ基と反応させて、安定なコンジュゲートを作成することができ る。あるいは、過ヨウ素酸塩で酸化した抗体を送達させたいタンパク質のヒドラ ジン誘導体と反応させて安定なコンジュゲートを得ることもできる。

その他にスルフヒドリル(S H) 法を用いることができる。ジスルフイド(S 一 S ) 結合をメルカプトエタノール、ジチオスレィトール、メルカプトエタノー ルァミン(ME A) で還元することによって、遊離の S H基を作ることができる が、 I g Gの場合、 M E Aによってヒンジ部の S— S結合を還元し、生成した遊 離の S H基を介して力ップリングする。

T、 L及び Εのいずれかの間の結合が非共有結合の場合、予め複合体を形成さ せずに、同時または適当な時間間隔をおいて投与すること(すなわち、 2段階ま たは多段階投与方法)も可能である。このような投与方法は、効果の増強及び Ζ または副作用、特に肝毒性の軽減に有用である。すなわち、標的化部が結合する 標的細胞上の標的分子数が少なく、有意な効果が得られない場合、及び Ζまたは、 標的化部または標的分子当たりのエフェクター部の結合数を増加させる場合に特 に有用である。また、液相、すなわち血中では活性が低く標的細胞上に集積する ことで活性が再構成される分子種を選択することで効果のみならず副作用を軽減 できる。例えば、腫瘍上に提示された抗原などの標的分子の数が少ない場合、 F a s L結合体の標的細胞に対する結合数も限定されてしまい充分な効果が得られ ない可能性がある。また、活性を高めるために標的化部当たりのエフェクター数 を増加させた結合体を用いると毒性も高まる可能性がある。これらの問題を解決 するために、特異的なリガンド等との結合領域を持つ分子で修飾した抗腫瘍抗体、 例えば実施例 7に示すようなアビジン標識抗 C E A抗体を先に投与し腫瘍表面に 抗体を結合させた後、適当な時間間隔をおいてピオチン標識 F a s Lを投与する。 先に投与したアビジン標識抗体が腫瘍表面に結合し、これに特異的にピオチン標 識 F a s Lが結合、集積することにより、腫瘍局所でのみ活性が上昇し、低い毒 性及び高い抗腫瘍活性を示す。この際、抗体上に多価の結合領域,例えばァビジ ン多量体などを用いることにより腫瘍表面に提示された分子数が限定される場合 においても、 F a s Lの結合量を増加させることが出来る。単独では活性の弱い F a s Lを用いることで全身毒性も回避できる。

投与間隔は先に投与した製剤の血中及び Zまたは標的組織における濃度、半減 期または消失曲線等の代謝特性、エフェクター部の単独または標的化部及びも しくはリンカ一部との複合体の全身性副作用等を勘案して適宜決定し得る。好ま しくは、先に投与した製剤の血中濃度が充分低下し、かつ標的組織濃度が薬効を 発揮し得る程度に維持されている時期を選択する。このような投与方法を用いる 場合、代謝速度及び標的組織への浸透性の観点からは、 i n t a c tの抗体( I g G等)よりも抗体断片(F a bまたは s c F v等)が好ましい。

本発明の結合体及び炎症惹起剤等は、標的部位、具体的には腫瘍組織等に特異 的であり、かつ、副作用、特に肝毒性が軽減されており、腫瘍細胞、ウィルス等 の感染細胞、病原体(細菌、真菌もしくは原虫等)、自己抗体産生細胞、自己反 応性 C T Lのような自己認識リンパ球、関節滑膜細胞、細胞治療などにより外部 より移入した細胞や遺伝子治療により遺伝子が導入された細胞などの生体にとつ て有害または不要な細胞または組織、特に、腫瘍、癌及び腹水癌ならびにこれら の転移巣及び播種組織等の予防及び Zまたは治療の目的で使用し得る。これらの 薬理効果、例えば、抗腫瘍効果を実験的に確認するには、ヌードマウスまたは S c i dマウス等の免疫不全マウスに標的分子を発現するヒ卜腫瘍細胞を移植(皮 下、皮内、腹腔内または腎皮膜下等)後、適当な時期に薬物を単回または複数回 投与し、腫瘍細胞数、形成される腫瘠の重量もしくは大きさ、または生存期間等 で判定することによって確認し得る。また B a 1 b / cマウスや C 5 7 /B L 6 マウスなどの免疫が正常なマウスに標的分子を発現するマウス腫瘍細胞を移植

(皮下、皮内、腹腔内または腎皮膜下等)後、適当な時期に薬物を投与し、腫瘍 細胞数、形成される腫瘤の重量もしくは大きさ、または生存期間等で判定するこ とによっても薬理効果を確認し得る。この場合、本発明の結合体等の投与により 腫瘍が寛解したマウスに再度同じ腫瘍の移植を実施し、腫瘍細胞数、形成される 腫瘤の重量もしくは大きさ、または生存期間等を判定することで抗腫瘍免疫が本 発明の結合体等によって惹起されることを確認できる。さらには、移植した腫瘍 細胞と同じ細胞をあらかじめ放射線照射などで殺し、これを本発明の結合体等と 混合して、腫瘍が生着したマウスの皮下などに投与した後、腫瘍細胞数、形成さ れる腫瘤の重量もしくは大きさ、または生存期間等を指標として抗腫瘍免疫が誘 導されることを確認できる。この方法により本発明の結合体等が腫瘍患部に直接 到達しなくとも手術などで摘出した腫瘍や細胞治療で移入に用いた細胞などと本 発明の結合体等を組み合わせることで治療効果が得られることが確認される。 本発明の炎症惹起剤等は、通常薬学的に許容される添加剤等と共に製剤される。 これらの添加剤としては、製剤上通常用いられる賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤 剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐 剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等などから適宜選択される。投 与経路としては、経口及び非経口投与が可能であるが、ペプチド性であるので、 好ましくは、ポーラスもしくは持続静注、筋注、皮下投与、経粘膜(鼻または直 腸等)投与または標的組織への局注等、非経口的に投与される。また、本発明の 炎症惹起剤等の投与量は、疾患、病態、患者の状態等を勘案して、適宜決定され るが、例えば、一回につき体重 lkgあたり 0. 001〜1000mg/body、好ましくは 0. 01〜100 mg/bodyの範囲から選択することができ、 1日 1回あるいは複数回に 分けて投与される。

本発明はまた、標的細胞、組織もしくは部位、例えば、腫瘍に特異的な抗原、 具体的には癌胎児抗原(C E A) に対する抗体またはその抗原結合性断片もしく は誘導体を含有する標的化部(標的化剤または標的化物質)、及び、 F a sリガ ンドまたはその活性領域もしくは誘導体を含有するエフェクター部(エフェク夕 一剤またはエフェクター物質)を含有するキットを提供する。本発明のキットの 構成成分は、上記した結合体等もしくはそれらの各部の少なくとも 1以上の部分、 炎症惹起剤、または抗腫瘍剤である。

本発明のキットにおいては、 T部、 L部及び E部の間の結合中に非共有結合が ある場合(例えば、表 1に記載した T— L · Ε、 T ' L一 E、 T - L 1 · L 2 -Tまたは T · L · Ε ) は、好ましくは、共有結合で結合された部分(例えば、 Τ — L、 L _ E、 T - L 1、 L 2— T) の少なくとも 1つ、より好ましくは全てを 含む。好ましい態様においては、それぞれの部分、例えば Τ一 L · Εの場合、 Τ 一 L及び Εを投与形態(注射剤であれば、必要に応じて適当な安定剤を添加した 注射用精製水または生理食塩水等の溶解液に予め溶解した製剤等)または保存用 の形態(注射剤の場合、凍結乾燥製剤等)で別々の容器中に含み得る。

実 施例

以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例とし て示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。また、 以下の記載において用いる略号は、当該分野における慣用略号に基づくものであ

る。

実施例 1 :抗 CEA抗体一 F a s L化学結合体の調製(d i r e c t)

マウス抗 CEAモノクローナル抗体(CM001) (畑田ら、最新医学 38巻、 401— 404頁、 1983年及び T s u t s um iら、 Am. J . C l i n. P a t ho l . 82 : 535-542, 1 984) 2. 5mgを 0. 15M N aC lを含む 0. 1Mリン酸緩衝液(pH7. 2) で希釈し、 5mg/m lとし た。続けてメタ過ヨウ素酸ナトリウム(ナカライ) 5mgを添加し、 25°Cで 3 0分間酸化し抗体の糖鎖をアルデヒド化した。続けて 0. 2M 炭酸緩衝液(p H9. 5) を添加しアルデヒド基を活性化し、直に 0. 8M NaC lを含む 0. 1 M リン酸緩衝液( p H 8. 0 ) に置換した F I Z— F a s Lを等量モル添加 し、室温で一夜反応した。翌日、 4mg/mlに溶解した水素化ホウ素ナトリウ ムを添加し 4°Cで 2時間静置後、生理食塩水に置換し、リンカ一を有さない型の 抗 CEA抗体一 F a s L化学結合体を調製した。

実施例 2 :ヘテロバイフアンクショナル架橋剤を用いた抗 CEA抗体一 F I Z 一 F a s L化学結合体の調製

(1) F I Z-F a s L及び s hF a s L (ピキア)

F I Z - F. a s Lを WO 0 1/90382の実施例に従い、 s h F a s L (ピキ ァ)及びマウス抗 F a s Lモノクローナル抗体(F 918— 7— 3) を W〇 97 / 02290の実施例に従って調製した。

(2) マウス抗 CEAモノクローナル抗体(CM00 1) 5mgを 5mM ED TAを含む 0. 1Mリン酸緩衝液(pH6. 0) に溶解し、最終濃度が 50mM となるように 2—Me r c a p t o e t hy l am i n e— HC lを添加し 3 7 °Cで 90分間反応した。氷冷後、 0. 1 5M NaC l、 ImM EDTAを 含む 2 OmMリン酸緩衝液で置換し、 F ab— Fc ' を調製した。次に F I Z— F a s L lmgを 0. 8M NaC 1を含む 0. 1 Mリン酸緩衝液(P H 7. 2) で置換し 2mg/m 1に調製した。そこに 0. 25mgの Su l f o— MB

S (P I ERCE) を添加し、 37 で 30分間反応させリンカ一を結合した。 過剰のリンカ一を NAPカラム(アマシャムバイオサイエンス)で除去し、 F a b-F c ' と 1 : 1 (モル比)で混合した。 4°Cで一夜反応させ、生理食塩水に 置換し抗 CEA— F I Z-F a s L化学結合体を調製した。

(3) マウス抗 CEAモノクローナル抗体(CM001) 5mgを 0. 1 M酢酸 Na緩衝液 (pH4. 2) に溶解し 5 m g/m 1に調製した。 5mg/nilに調 製したペプシン(S i gma) を抗体:ペプシン (重量比 33 : 1) で添加し、 37 °Cで 16時間静置した。 0. 5N NaOHで pHを 8に上昇させ反応を停 止した後、 5mM T r i s— HC 1 (p H 8 ) で透析した。次に D E AE— c e l l u l o s eカラム(Wh a tman) で 5から 50 OmMの T r i s -H C 1 (pH8) のクラジェント溶出を行い、 F b, ) 2を得た。 ImM E DTAを含む 0. 1Mリン酸緩衝液(pH6. 0) に置換後、最終濃度が 50m Mとなるように 2— Me r c ap t o e t hy l ami n e -HC 1を添加し 3 7でで 90分間反応した。氷冷後、 0. 15M NaC l、 ImM EDTAを 含む 2 OmMリン酸緩衝液で置換し、 Fab' を調製した。次に(2) で活性化 した F I Z— Fa s Lと Fab,を 1 : 1 (モル比)で混合し 4°Cで一夜反応さ せ、生理食塩水に置換し抗 CE A— F I Z-F a s L化学結合体を調製した。

実施例 3 :ジァミノリンカ一を用いた抗 CEA抗体一 F a s L化学結合体の調

M

(1) CM001— F a s L (EDO

F I Z-F a s L 0. 25mgを 0. 8M NaC lを含む 0. 1M MES緩 衝液 (pH5. 5) に溶解し、続けて 10倍モル量のジァミノへキサン(和光純 薬)又は p—フエ二レンジァミン(和光純薬)を添加した。次に 0. 1M ME S緩衝液 ( p H 5. 5) に溶解した 0 · lmg/m 1の水溶性力ルポジィミド (EDC、 同人化学)を 6. 25 1添加し室温で 2時間反応した。反応液を 0. 8M NaC 1を含むリン酸緩衝液(pH8. 0) に NAPカラムを用いて置換 し、実施例 1にしたがって調製したアルデヒド化 CM001抗体と 1 : 1 (モル 比)で混合した。得られた反応液を生理食塩水に置換し、 F I Z— F a s L—

(CH2) 6_CM001抗体化学結合体 (CM001— F a s L (EDO と記 載することがある)を調製した。

(2) CM001 ~F a s L (Ai d)

実施例 1にしたがって調製したアルデヒド化 CM 001抗体 2. 5mgに 0. 2M炭酸緩衝液 (pH9. 5) を 50 1添加することにより活性化し、 20倍 モルのジァミノへキサン(和光純薬)又は p—フエ二レンジァミン(和光純薬) を添加し 25 で 2時間反応した。次に 4mgZm 1の水素化ホウ素ナトリウム を添加し 4で 2時間反応した。緩衝液を 0. 1M MES (pH5. 5) に置換 後、 0. 8M NaC lを含む 0. 1M ^^3緩衝液 (《:5. 5) に溶解し た F I Z— FasLと 1 : 1 (モル比)で混合し、 0. 1 mgZm 1の水溶性力 ルポジイミド(EDC、同人化学)を 6. 25 1添加し室温で 2時間反応した。 得られた反応液を生理食塩水に置換し、 CM001抗体—(CH2) 6— F I Z— F a s L化学結合体(CM001— F a s L (Ai d) と記載することがある) を調製した。

実施例 4:抗 CEA抗体— S epharo s e— F I Z— Fas L結合体の調 製 (CM001— Sepha r o s e - F I Z— FasL)

(1) リガンド溶液の調製

F I Z— FasL (2. 83 mg/mL) 850 /zLを PD10カラム (Am e r s h am B i o s c i enc e) に供し、 1 M N a C 1水溶液 (pH 4. 5) を展開溶液として 1 mLずつ 10本分画し、フラクション 4 を F I Z— F a s Lリガンド溶液として用いた。一方、抗 CEA抗体(35. 5 5 mg/mL) 76 乙を11^ NaC l水溶液(pH 4. 5) で 850 Lに希釈後、 PD 10カラムで溶媒置換し、フラクション 4を抗 CEA抗体リガ ンド溶液として用いた。各リガンド溶液及び PD10カラムに供した各試料のそ れぞれの 280 nmにおける吸光度を測定し、各リガンド溶液の蛋白濃度を求 めた。その結果、両リガンド溶液共に蛋白濃度は 2 mgZmLであった。

(2) カップリング反応

10 mL の EAH— S e p h a r o s e 4 B (Ame r s h am B i o s c i e n c e) を 2000 mL の 1 M NaC l水溶液( p H 4. 5) で洗浄した。その後、 EAH— S e ph a r o s e 4 Bを同溶液に懸濁し、 各 0. Ί mLのゲルを 5本のチューブに分注した。次いで、 F I Z— F a s L リガンド溶液を 1 M N a C 1水溶液( p H 4. 5) にて希釈し終濃度 0、 0. 1、 0. 25、 0. 4及び 0. 5 mgZmLとなるように希釈し、各チュ ーブに 1. 4 mL添加した。更に、 1— E t hy l— 3—(3— d ime t h y l ami nop r opy l ) — c a r b od i im i d e HC 1 (同仁化 学)を終濃度 10 mgZmLとなるように添加し、室温、 3時間、転倒攪拌を しながらカップリングを実施した。カップリング反応終了後、各ゲル懸濁液を 1 000 g、 2分間、遠心分離を行い上清を回収した。次いで、抗 CEA抗体リ ガンド液を 1 M NaC l水溶液(pH 4. 5) にて希釈し終濃度 1、 0. 4、 0. 25、 0. 1及び 0 mgZmLとなるように希釈し、 F I Z— Fa s Lをカップリングしたゲル懸濁液に 1. 4 mL添加した。更に、 1— E t hy 1— 3— (3— d ime t hy l am i nop r o py l) 一 c a r b o d i i m i d e HC 1 (同仁化学 L o t GP 169) を終濃度 1 0 mg/mLと なるように添加し、 4°C、ー晚、転倒攪拌をしながらカップリングを行った。力 ップリング反応終了後、各ゲル懸濁液をカラムにパッキングし、抗 CEA抗体リ ガンド溶液を回収後、生理食塩水(大塚薬品工業) 50 mLで洗浄し、抗 CE A抗体— S e ph a r o s e_F I Z— Fa s L結合体とした。尚、上記の操作 を F I Z— F a s Lリガンド溶液及び抗 C E A抗体リガンド溶液を加えずに行つ て得られた EAH— S e p h a r o s e 4 B担体をコントロール担体とした。

実施例 5 :ホモ二価 NHSエステル架橋剤を用いた抗 CEA抗体ー抗 F a s L 抗体化学結合体の調製(CM00 1—F 918 (B 3) )

マウス抗 CEAモノクローナル抗体 (CM001) lmgとマウス抗 F a s L モノクローナル抗体(F 91 8— 7— 3、 WO 97/02290) 2mgを 0.

15M NaC lを含む 0. 1 Mリン酸緩衝液(p H 7. 2) に溶解した。続け てホモ二価 NHSエステル架橋剤の B S 3 [B i s (s u l f o s uc c i n i m i dy 1 ) s ub e r a t e] (P I ERCE) を抗体の 10倍モル相当添加 し、室温で 30分間反応した。 '反応終了後、 2M T r i s ' HC l (pH7. 4) を最終濃度が 5 OmMとなるように添加し、得られた抗 C E A抗体ー抗 F a s L抗体化学結合体の緩衝液を NAPカラム (アマシャムバイォサイエンス) を 用いて生理食塩水に置換した。蛋白濃度は 280 nmの吸光度より吸光係数(1 mgZml) を用いて算出した。本実施例及び実施例 6の結合体は、後述の実施 例 13及び 14において予め F I Z-F a s Lと数十分間反応させ複合体を形成 させて、使用した。実施例 5〜 7の結合体は F I Z-F a s L等と予め一定時間 反応させて F I A— F a s L等との複合体を形成させるか、または、予め複合体 を形成させず、同時にまたは別々に投与して標的部位において複合体を形成させ ることもできる。

実施例 6 :抗 CEA抗体ーデキストラン一抗ヒト F a s L抗体化学結合体(C M001— F918 (D e x) ) の調製

マウス抗 CEAモノクローナル抗体(CM001) lmgとマウス抗 Fa s L モノクローナル抗体(F 918— 7— 3) 1. 5mgを 0. 15M NaC lを 含む 0. 1 Mリン酸緩衝液( p H 7 · 2) lmlに溶解した。続けて 1 m 1で溶 解した A l de hyde a c t i v a t e d d e x t r an c oup l i n g k i t (P I ERCE) のマニュアルに従い両抗体とデキストラン(de X t r an) を混合し、室温で一夜反応させた後、 V I VAS P I N (V I VA SC I ENCE) を用いて濃縮し、得られた抗 CE A抗体ー抗 F a s L抗体化学 結合体の溶媒を NAPカラム (アマシャムバイオサイエンス) を用いて生理食塩 水に置換した。蛋白濃度は 280 nmの吸光度より吸光係数(lmg/ml) を 用いて算出した。

実施例 7 :アビジン · ピオチン結合を用いた抗 CEA抗体 ' F a s L複合体の 調製— (CM001 · F a s L_(B i o) )

マウス抗 CE Aモノクローナル抗体(CMO 01) 2. 5 m gを 0. 15M NaC lを含む 0. 1Mリン酸緩衝液(pH7. 2) で希釈し、 5mg/mlと した。続けてメタ過ヨウ素酸ナトリウム(ナカライ) 5mgを添加し、 25°Cで 30分間酸化し抗体の糖鎖をアルデヒド化した。続けて 0. 2M 炭酸緩衝液 (pH9. 5) を添加しアルデヒド基を活性化し、直に 0. 83mgの 0. 01 M 炭酸緩衝液(pH9. 5) に溶解したアビジン(P I ERCE) を添加し、 25でで 2時間反応した。次に 4mgZmlに溶解した水素化ホウ素ナトリウム を添加し 4 °Cで 2時間静置後、 0. 15 M NaC 1を含む 0. 1 Mリン酸緩衝 液 (ρΗ7· 2) に緩衝液を置換した。次にピオチン化 F a s Lを調製した。す なわち、 F I Z_Fa s L 0. 25mgを 0. 8M NaC 1を含むリン酸緩衝 液 (PH8. 0) に溶解し、続けて DMFに溶解した 28 gの D— B i o t i ny l— ε— ami no c ap r o i c a c i d N— Hyd r oxy s uc c i n imi de e s t e r (Ro c he) を添加し、室温で 30分間反応し た。反応終了後、 NAPカラム (アマシャムバイオサイエンス) により未結合の ピオチンを除去し、精製ピオチン化 F a s Lを調製した。次にアビジン—ビォチ ン結合を用いた抗 CEA抗体一 F a s L複合体を調製するため、アビジン化 CM 001抗体とピオチン化 F a s Lを 1 : 4 (モル比)の割合で混合し、室温で 3 0分間反応後、生理食塩水に緩衝液を置換しァビジン化抗 C E A抗体とピオチン ィ匕 F I Z— F a s L複合体を調製した。

実施例 8 :プロテイン A結合ビーズを用いた F a s L複合体の調製

標的細胞結合領域を持たない型の複合体として、プロテイン Aビーズ(PRO SEP— rA H i gh C a p a c i t y、ミリポア株式会社)を用いた F a s L結合体を作成した。 150 gの F 918— 7 _ 3抗体と 50 gの F I Z -Fa s Lを混合し、室温で 30分インキュベートすることにより抗体と F a s Lの複合体を形成させた。これと 100 の?1^03£?—八 H i gh C a p a c i t yビーズを 1 mLの生理食塩水に懸濁し室温で 30分ィンキュベ 一ト後、 10 %ゥシ胎児血清を含む RPM I 1640培地(シグマ株式会社)で 3回洗浄しプロテイン Aビーズ F I Z-F a s L複合体を調製した。対照として F I Z— F a s Lのみを添加しないビーズも調製した。

実施例 9 :抗 CE A抗体一 Fa s L融合蛋白質の作製

F a s Lと標的部結合ドメインを一つの遺伝子上にコードさせ、 1本のポリべ プチドとして調製する。具体的には公知の抗 CE Aヒト抗体(例えば、 Ge nB Ank受付番号 AB 107216及び AB 107217) の塩基配列を利用して プライマーを設計、合成し、その重鎖の塩基配列の 3' 末端に Fa s L細胞外ド メインや高活性型 F a s Lである F I Z-F a s Lをコードする遺伝子の 5 ' 末 端を連続したペプチドをコードするように結合させる。この遺伝子を PEF— B OS (特開平 2— 242687号公報に記載)プラスミドに組み込んだ発現ブラ スミドを調製する。軽鎖の発現プラスミドも同様に構築する。この 2つの発現プ ラスミドを COS— 1細胞へ同時に導入しその上清中に該蛋白質を発現、分泌さ せる。すなわち、 1 gのプラスミドを 2 の 1 OmM T r i s -HC 1 (pH7. 4) /ImMエチレンジァミン四酢酸溶液に溶解する。これらに、そ れぞれ 0. 2mg/mL DEAE—デキス卜ランおよび 5 OmM Tr i s— HC 1 (pH7. 4) を含有する D—MEM (日水製薬株式会社) 0. 7mLを 添加し、 DNA— DEAEデキストラン混合液を作製する。 6ゥエルプレート内 でセミコンフルェントまで単層培養した COS— 1細胞に DNA— DEAEデキ ストラン混合液を滴下し、 C02 インキュベータ中で、 37°Cにて培養する。 4時間後、 DNA— DEAEデキストラン混合液を除去し、 10%FBS (ギブ コ社)を含有する D— MEMに交換し、さらに 96時間培養する。プラスミドを 導入した COS— 1細胞の培養上清を回収し、以下の実施例に使用する。

(2) 融合蛋白質の精製

(1) の手法で調製したと抗 CEA抗体一 F a s L融合体を含む C〇 S— 1細 胞培養上清を用いて、抗 F a sリガンド抗体 F 919— 9一 18 (国際公開番号 WO097/02290号公報に記載) を固相化したセファロース 4 B担体を用 いたァフィ二ティクロマトグラフィーにより以下の通り精製する。すなわち、と 抗 CEA抗体と F a s Lを含む COS— 1細胞培養上清を 0. 45 m孔径のフ ィル夕一(ミリパック 60 :ミリポア社)に通し、ろ過液を回収し、精製出発材 料とする。冷所にて予め PBS (pho s ph a t e— bu f f e r e d s a 1 i n e) で平衡化された F 919— 9一 18— S e p h a r o s e 4 B F Fカラム (φ 10 3. 2 cmX 6. 2 cm) に精製出発材料を流速 1 OmLZ m i nにてアプライする。出発材料をアプライした後、カラムに PBSを 15. 3mL/m i n にて流し(洗浄 1 ) 、次いでカラムに 1 mo 1 /L NaC 1 /PBSを同条件下に流し洗浄操作(洗浄 2) とする。引き続いてカラムに 5 Ommo 1/L-g l yc i ne-NaOH (pHl l) を 1 OmL/m i nに て流し、溶離操作を行う。各溶離画分 4 OmL あたり 10mL の lmo l/ LT r i s— HC 1 (pH8) を速やかに加え、冷所に保存する。

実施例 10 :結合体等の解析

(1) SDS— PAGE

作成した Fa s L結合体の非還元条件下で SDS— PAGEを行い銀染色した。 結合しない Fa s Lのバンドが薄くなり、抗 CE A抗体のバンドが F a s Lが結 合することにより、高分子側へ移動した。

(2) 酵素免疫測定法(E I A)

作成した F a s L結合体等の性状を確認するため、以下の E I A法により、同 一分子中に CE A結合性部位並びに F a s L結合部もしくは F a s L分子が存在 することを確認した。実施例 5及び 6の抗 CE A抗体と抗 F a s L抗体 F 918 一 7— 3の結合体は以下の方法で検出した。まず 2. 5 8//1111^のじ£八(ォ リエンタル酵母)を PBS (pH7. 2) に溶解し 96穴プレートに 50 1 / we 1 1添加した。 37 で 1時間インキュベート後、イオン交換水で 5回洗浄 し、続いて 2 % s t ab i 1 i Gu a r d (Su rMod i c s) を含む PB S (pH7. 2) を 100 z l/we l 1添加しブロッキングした。次にプレート に実施例 5及び 6記載の結合体溶液及び 10 ig/mLの F I Z— Fa s Lを含 む PBS (pH7. 2) を各々 25 1添加し、 37 °Cで 1時間インキュベート

した。 0. 05 %Twe e n 20を含む 0. 9 %N a C 1で 3回洗浄後、 10% ラット血清, 1 %マウス血清を含む 0. 5 ^ g/m 1のペルォキシダ一ゼ標識抗 F a s L抗体 F 919-9- 18 (国際公開番号 WO 97/02290に記載) /PB S (pH7. 2) を 50 1 /we 1 1添加、 37°C1時間インキュべ一 トした。同様に洗浄後、 TMB (B i oFX) を添加し、 0. 5M H2S〇4で 反応を停止し、プレート吸光度計(E— Max) で 450 nmの吸光度を測定し たところ、濃度依存的に吸光度が上昇し複合体の形成が確認された。

実施例 1、 2、 3及び 7の抗 C E A抗体と F a s Lの結合体は以下の方法で検 出した。抗マウス I g s抗体 (DAKO) を 10 g/m 1で PB S (pH7. 2 ) に溶解し 96穴プレートに 37 °C 1時間で固相化した。イオン交換水で 5回 洗浄し、続いて 2%s t a b i 1 i Gu a r dを含む PBS (pH7. 2) を 1 00 1 Zwe 1 1添加しブロッキングした。次にプレートに実施例 1、 2、 3 及び 7記載の結合体溶液を 50 lZwe 1 1添加し、 37 °Cで 1時間反応した。 0. 05 %Twe e n 20を含む 0. 9 %NaC 1で 3回洗浄後、 10%ラット 血清, 1%マウス血清を含む 0. 5 gZm 1のペルォキシダーゼ標識抗 F a s L抗体 F 9 1 9 - 9 - 1 8/PB S (pH7. 2) を 5 0 1 /we 1 1添加、 37 °C 1時間インキュベートした。同様に洗浄後、 TMB (B i oFX) を添加 し、 0. 5M H2S〇4で反応を停止し、プレート吸光度計(E— Max) で 4 50 nmの吸光度を測定したところ、濃度依存的に吸光度が上昇し複合体の形成 が確認された。対象として用いた抗 CE A抗体単独では吸光度の上昇が認められ なかった。

(3) フローサイトメトリー(FACS)

F I Z-F a s L—抗 CEA抗体一 S e ph a r o s e 4 B結合体を蛍光標識 抗体ヒト F a s L抗体並びに抗マウス I g G抗体を結合させ C e l l c y t o me t e r FC500 (ベックマン .コールター)により解析を行う。 S e p h a r o s e 4 Bのみでは蛍光を有していないが、 F a s Lおよび抗 CEA抗体 を結合させた S e p h a r o s e 4 Bでは同一粒子上に 2種類の蛍光が検出され るため、同一粒子が各々の抗体で標識されていることが確認される。

実施例 11 : I n v i t r oアポトーシス誘導作用

各種 F a sリガンドのアポトーシス誘導活性を以下に示すルシフェラーゼアツ セィで検討した。まず、ァクチンプロモータを用いた発現ベクター、 pAc t— C (H i s a s h i H. , e t . a 1 , 1990, Ce l l , 63, p 303 -312) にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ p Ac t— Lu cプラスミドを、 ヒト T細胞由来株化培養細胞である J u r k a t細胞に導入し、構成的にルシフ エラ一ゼを発現する細胞、 JA11細胞を樹立した。この JA11細胞を 1. 2 5 X 106 c e l l s/mLとなるように 10%FBSを含むRPMI 164 0培地 (シグマ) に懸濁し、それを 96ゥエルプレートに 80 LZwe 1 1 ( 1 X 105 c e l l s Zw e l l) ずつ植え込んだ。次に F a sリガンド細 胞外ドメインを 10%FBSを含むRPMI 1640培地にて検定する濃度に希 釈した。また、 F a s Lを重合化するために抗 F a s L抗体 F 918— 7— 3を F s Lの 3倍量および 10倍量添加することで F a s L同士を架橋して添加し た。上記の F a s Lを含む溶液を 20 L/we 1 1となるように先の細胞を植 え込んだゥエルに添加し 37°Cの C02 インキュベータ中で約 20時間培養後、 アポトーシス誘導活性を測定した。ルシフェラーゼ活性測定試薬(ピッカージー ン LT 1. 5, 東洋インキ株式会社)を10 !^/ 6 1 1添加し室温で 30分 放置後、発光を測定することで実施した。アポトーシス誘導活性の判定はバック グランドとして細胞を植え込んでいないゥエルの値を差し引いた後、 Fa sリガ ンド蛋白質を全く含まない培地で同様に測定したゥエルの値を 100%としてし た。

細胞生存率(%) = (検定するゥエルの発光度—細胞非添加ゥエルの発光度) X 100÷ (F a s L結合体非添加ゥエルの発光度一細胞非添加ゥエルの吸光度)

陽性対象の F I Z-F a s Lは J Al 1細胞に対して強いアポトーシス誘導活 性を示した。しかしながら、 s hFa s L (ピキア)では単独の状態ではほとん どアポトーシス誘導活性を示さなかったが、 s hF a s L (ピキア)においても、 抗 F a s L抗体 F 918-7一 3で架橋することで足場が提供され、重合化する ことによりアポトーシス誘導活性が増強された。

実施例 12 : I n V i v o好中球遊走活性

(腹腔内移植)

実施例 3、 4、 5、 6及び 7で作成した各種の F a sリガンド結合体と CE A 発現腫瘍細胞である HT— 29 (低発現株)もしくは LS— 180細胞(高発現 株)の混合物、あるいは実施例 3、 4、 5、 6及び 7の F a sリガンド結合体単 独もしくは C E A発現腫瘍細胞単独の生理食塩水懸濁溶液を 500 L/マウス の用量で SC I Dマウス(6週齢、ォス、日本チヤ—ルスリバ一)の腹腔内に注 射した。移植の 18時間後に 0. 1%BSAを添加した PBSで腹腔内を洗浄す ることにより腹腔内滲出細胞を得た。

(腹腔内浸潤細胞の解析)

腹腔内滲出細胞は 0. 1 % B S Aを添加した P B Sで洗浄,遠心( 1500 r pm, 5 分)後、 0. 1%BSA を添加した PBS、 lmLに懸濁し細胞数 を計測した。さらに滲出細胞中の好中球数は c e l l c y t ome t r yを用 いて Ly— 6G (Gr- 1) 陽性細胞として計測した。すなわち、腹腔内浸潤細 胞 5X 105細胞を 0. 1 %B SAを添加した PB S、 50 Lに懸濁し、 1 gの F I TC標識抗マウス Ly— 6G (Gr-1) 抗体(日本べクトンデッキン ソン)存在下で氷上 60分反応させた。 0. 1%BSA を添加した PBS、 2 mLで 2回洗浄 ·遠心(1, 500 r pm、 5分、 4°C) 後、洗浄バッファー 1 mLに懸濁し、 Ce l l cy t ome t e r FC 500 (ベックマン 'コ一 ルター)により解析を行った(図:!〜 3) 。

生理食塩水投与動物に比較して C E A発現腫瘍である HT— 29もしくは LS 一 180の移植群ではわずかに好中球の腹腔浸潤が認められた。また、 F a s L または F a s L結合体もしくは複合体単独の投与では好中球の腹腔内浸潤はほと んど認められなかった。一方、この腫瘍とともに各種 F a s L結合体を投与した 動物では著しい好中球の腹腔浸潤が認められた。腫瘍表面に集積した F a s L結 合体が、好中球の遊走を惹起することが示された。また、腫瘍細胞の代わりにプ 口ティン Aビーズに F a s Lを結合させたものでもビーズ単独に比べて著しく好 中球遊走を惹起する事が出来た。

実施例 13 : I n V i v o抗腫瘍活性

(1) 移植細胞の生着阻害効果検討

予め蛍光標識した腫瘍細胞を移植することにより腫瘍細胞の生着阻害効果を評 価した。 LS— 180細胞、 6 106個を?83、 10mLに懸濁し、 0. 1 mo 1 /Lの CFSE (同仁化学)存在下で 7分間処理する。その後、 FBS、 1 OmLを加えることにより染色を停止し、 0. 1%の BSAを含む PBS、 2 mLで 3回洗浄 ·遠心(1, 500 r pm、 5分)を行い、 CFSE染色腫瘍細 胞を得た。本試薬は細胞内に取り込まれると細胞内エステラーゼで切断されて F I TCと類似の蛍光を発するようになる。また同時にアミノ基を会して細胞内夕 ンパク質に共有結合し、これにより細胞が蛍光標識される。この標識細胞 1. 5 X 106個を (腹腔内移植)の実施例 12の方法に従って単独あるいは F a sリ ガンド結合体と同時に SC I Dマウス(日本チヤ一ルスリバ一)の腹腔内に移植 し、移植 18時間後に腹腔内滲出細胞を回収後 C e l l c y t ome t e rに て標識腫瘍細胞の生存数を計測した。すなわち実施例 12の方法に従って腹腔内 滲出細胞を回収し、全腹腔内滲出細胞数を計測した。さらに回収した細胞 5X 1 05個を 0. 1 %の B S Aを含む PB S、 0. lmLに懸濁し、 の P r op i d i um I od i de (以下 P Iと省略、医学生物学研究所)存在 下で氷上 30分処理した。死細胞は P Iにより蛍光標識された。細胞を 0. 1 % の BSAを含む PBS、 2 mLで 2回洗浄後フローサイトメータ一 Cy t om i c s FC 500 (ベックマン ·コール夕一)で C F S E陽性 P I陰性細胞 C F S E標識細胞の存在比を解析した。この結果を全腹腔滲出細胞数に乗ずること で生腫瘍細胞数を計測した(図 4) 。

CFSEで標識した腫瘍細胞 LS 180のみを移植した群では 6. 2 X 105 の生腫瘍細胞が認められたが、 F a s L結合物質 L S 180+CM001/Fa

s L (Ai d) あるいは L S 180 +CM001/F a s L (EDC) で処理し た群では生腫瘍細胞数の著しい低下が認められた。これにより F a sリガンド結 合体の投与が抗腫瘍効果を発揮することが明らかとなった。

(2) 副作用の検討 '

実施例 13 (1) において腹腔内浸潤細胞を回収する前に、マウス眼窩より採 血を行い、室温で 5000回転 10分間遠心する事で血清を分離した。その血清 中の GPTの濃度を、ドライケム 5000 (富士写真フィルム)を用いて検討し た。いずれの F a s L結合体または複合体の投与においても血清中 GPTの上昇 は認められなかった。 F a s Lは全身性の毒性、特に肝毒性が危惧されるが、本 発明の F a s L結合体または複合体は全身性の毒性を惹起することなく抗腫瘍効 果を示すことが明らかとなった。

実施例 14 :腫瘍移植マウスの生存期間延長効果検討

CE Aなど標的となる抗原等を有する腫瘍細胞(HT—29及び LS— 18 0) を SC I Dマウスに移植(皮下または腹腔内)する。移植直後または数日後 から実施例 12及び 13で用いた結合体等を単回もしくは複数回投与し、経時的 に腫瘤の大きさ、腫瘍細胞数または生死を判定する。本発明の結合体等を投与し たマウスにおいては、腫瘍サイズもしくは生着する腫瘍細胞数が減少し、個体の 生存期間が延長する。

実施例 15 : 2段階投与方法

実施例 13及び 14と同様の方法で腫瘍をマウスに移植する。腫瘍を移植した マウスに、実施例 5の CM 001— F918 (B 3) と s hF a s L (ピキア)、 実施例 6の CM001— F 918 (D e x) と s hFa s L (ピキア)または実 施例 7のアビジン化 CM 001とピオチン化 F I Z-F a s Lの 3種類の組合せ で 2段階投与を行ない、実施例 13及び 14と同様の方法で評価する。標的化部 の実施例 5の CM 001 -F 918 (B 3) 、実施例 6の CM 001— F 918 (D e X) および実施例 7のアビジン化 CM001とエフェクター部としての s h F a s L (ピキア)及び実施例 7のピオチン化 F a s Lの投与間隔は 1時間、 6時間、 2 4時間または 7日間を目安とする。本発明の結合体等を投与したマウ スにおいては、腫瘍サイズもしくは生着する腫瘍細胞数が減少し、個体の生存期 間が延長する。また、肝毒性等の副作用の発現率は低い。

産業上の利用可能性

本発明の結合体等はその標的化部の標的特異性によって標的部位に集積し、標 的部位特異的にエフェクター部の活性が発現または再構成される。そのため、有 効性が高くかつ全身性の副作用が軽減された安全な薬剤が提供される。