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1. WO2012011188 - 太陽電池およびその製造方法、並びに太陽電池の製造装置

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明 細 書

発明の名称 太陽電池およびその製造方法、並びに太陽電池の製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

産業上の利用可能性

0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 太陽電池およびその製造方法、並びに太陽電池の製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、太陽電池および太陽電池の製造方法、並びに太陽電池の製造装置に関する。本発明は、特に、表面の金属等による汚染が低減された半導体を備える太陽電池およびその製造方法、並びにその太陽電池の製造装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 半導体等の基板表面の金属等による汚染を除去することの可能なシアン(CN)含有洗浄液としては、すでに幾つかの溶液が開示されている。例えば、シアン化水素(HCN)を、純水、超純水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、エーテル系溶媒、脂肪族アルカン系溶媒、またはこれらの混合溶媒に溶解させた溶液が洗浄液として存在する。加えて、その洗浄液は、所定濃度に希釈されるともに、アンモニア水溶液等を用いて、その洗浄液中の水素イオン濃度指数、いわゆるpH値を、5~12、好ましくは6~9の範囲に調整して用いられる。その結果、半導体等の基板表面の銅(Cu)等の汚染金属の除去作用が得られることが開示されている(特許文献1参照)。
[0003]
 また、本願発明者は、環境負荷を軽減するために、溶液中のシアン化水素(HCN)を0.1mM(ミリモル)、すなわち約2.7ppmまで希薄した上で、pH10とし、かつ25℃の室温下において、Cuの表面濃度の低減に成功している。具体的には、本願発明者は、洗浄処理前のCuの表面濃度10 13~10 14原子/cm を、その洗浄処理によって、全反射蛍光X線分析装置による銅の検出限界(~3×10 原子/cm )以下にまで低減できることを示した(例えば、非特許文献1参照)。
[0004]
 また、本願発明者は、球状シリコン(Si balls)に対して、シアン化水素(HCN)水溶液を用いた洗浄処理を行い、その洗浄能力が高いことを確認した(例えば、非特許文献2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平2005-39198号公報

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : 東裕子、外3名,「極低濃度欠陥消滅型半導体洗浄液によるSiO2表面上の汚染Cuの除去」,2008年(平成20年)秋季第69回応用物理学会学術講演会講演予稿集, 2008年9月, No.2, p.692
非特許文献2 : 高橋昌男(M. Takahashi)、外4名,“Silicon cleaning and defect passivation effects of hydrogen cyanide aqueous solution”,Solid State Communications, ELSEVIER Ltd., 2005年12月1日, Vol.137, p.263-267

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 しかしながら、上述のシアン化水素の溶液を用いた処理は、上述の半導体等の基板表面洗浄のみならず欠陥準位の低減にも寄与するため、処理対象物(半導体等)の種類、あるいはその用途に適合する活用方法を見出すことが容易でない場合があることが明らかとなってきた。特に、日進月歩の開発が進む単結晶シリコンや多結晶シリコンを用いた太陽電池のさらなる高効率化に向けて上述の処理を活用するためには、より一層の工夫が要求される。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明は、太陽電池の高性能化に大きく貢献するものである。
[0009]
 本願発明者は、太陽電池に用いられる半導体の表面や裏面、及び/又はpn接合界面やpn接合表面の適切な制御が太陽電池の高効率化に少なからず寄与すると判断し、鋭意研究を行った。その結果、本願発明者は、これまでの研究結果とは別の特殊な手段を採用することにより、高効率化に悪影響を及ぼす半導体表面や裏面、及び/又はpn接合界面やpn接合表面やpn接合表面近傍の欠陥準位を可能な限り低減する有効な道筋を見出した。さらに、研究を重ねた結果、半導体表面形状に対する配慮を行いつつ、その欠陥準位の低減を実現する手段も見出された。本願発明は、そのような観点から創出された。
[0010]
本発明の1つの太陽電池の製造方法は、シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内にシリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池を浸漬する浸漬工程を含む。
[0011]
 この太陽電池の製造方法によれば、少な過ぎない適度な量のシアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面及び/又はpn接合界面に存在するダングリングボンド等に起因する欠陥準位の低減化が図られる。また、シアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板表面上に存在した金属等の汚染も適切に除去される。その結果、太陽電池の高効率化が図られる。また、前述のとおり、シアン化物イオン(CN )の濃度が比較的高いため、CN イオンがシリコン内に浸透し、シリコン内の欠陥消滅と金属除去が行われ得る。
[0012]
 なお、上述の浸漬工程において、上述のシリコン基板又は上述の太陽電池が反射防止膜を備えるとともに、上述のシアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、9.5以上14以下であることは、より好ましい一態様である。pHが高ければHCNの電離確率が増加するため、太陽電池の高効率化の妨げとなる欠陥の消滅や、基板表面の金属汚染の除去に寄与するシアン化物イオン(CN )の濃度が増加する。一方で、pHが高いほど、シアン含有溶液によってシリコン基板がエッチングされるために高効率化の障害となる可能性が高まる。そこで、上述の太陽電池が反射防止膜を備えることにより、その反射防止膜が、シアン含有溶液によるシリコン基板のエッチングに対する防壁の役割を果たすことになる。他方、pHが14を超える設定にすることは困難であるとともに、pHが13~14においてHCNの電離確率がほぼ100%になるため、pHが14を超える必要性に乏しい。
[0013]
 また、本発明の1つの太陽電池の製造装置は、シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内に、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池を浸漬する浸漬処理部を備えている。
[0014]
 この太陽電池の製造装置によれば、少な過ぎない適度な量のシアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面や裏面、及び/又はpn接合界面やpn接合表面に存在するダングリングボンド等に起因する欠陥準位の低減化が図られる。また、シアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板表面上に存在した金属等の汚染も適切に除去される。その結果、太陽電池の高効率化が図られる。また、前述のとおり、シアン化物イオン(CN )の濃度が比較的高いため、CN イオンがシリコン内に浸透し、シリコン内の欠陥消滅と金属除去が行われ得る。なお、多結晶シリコン基板を用いた場合は、結晶粒界を通じてシアン化物イオン(CN )が拡散され易いため、上述の効果がより高くなる。
[0015]
 なお、反射防止膜を備える上述のシリコン基板又は上述の太陽電池を浸漬する上述の浸漬処理部を備えるとともに、上述のシアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、9.5以上14以下であることは、既に述べたとおり、HCNの電離確率が増加とシリコン基板表面のエッチング防止の観点から、より好ましい一態様である。
[0016]
 また、本発明の1つの太陽電池は、シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内に、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池を浸漬することにより形成される前述のシリコン基板の表面を備えている。
[0017]
 この太陽電池は、少な過ぎない適度な量のシアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面及び/又はpn接合界面に存在するダングリングボンド等に起因する欠陥準位の低減化が図られている。また、シアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板表面上に存在した金属等の汚染も適切に除去されているため、高効率化の太陽電池が得られる。また、前述のとおり、シアン化物イオン(CN )の濃度が比較的高いため、CN イオンがシリコン内に浸透によるシリコン内の欠陥消滅と金属除去がなされた太陽電池が得られる。
[0018]
 ところで、本出願において「シリコン基板」とは、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板のみならず、ガラス基板、プラスティック基板、金属基板等の表面上に公知の手法(プラズマCVD法など)によって形成されるシリコン層、シリコン薄膜も含まれる。

発明の効果

[0019]
 本発明の1つの太陽電池の製造方法及び本発明の1つの太陽電池の製造装置によれば、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面や裏面、及び/又はpn接合界面やpn接合表面やpn接合領域(p型シリコン基板の場合は表面近傍のn型層)に存在する欠陥準位の低減化が図られる。また、シアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板表面上に存在した金属等の汚染も適切に除去される。その結果、太陽電池の高効率化が図られる。また、本発明の1つの太陽電池によれば、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面及び/又はpn接合領域(p型シリコン基板の場合は表面近傍のn型層)に存在するダングリングボンド等に起因する欠陥準位の低減化が図られている。また、シアン化物イオン(CN )の存在によって、シリコン基板表面上に存在した金属等の汚染も適切に除去されているため、高効率化の太陽電池が得られる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 本発明の第1の実施形態における太陽電池の主たる部分の断面構造の概要説明図である。
[図2] 本発明の第2の実施形態における太陽電池の主たる部分の断面構造の概要説明図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。なお、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。
[0022]
<第1の実施形態>
 本実施形態では、図1に示す構造を備える太陽電池を、シアン(CN)濃度が2700ppm(0.27wt%)であって、水素イオン濃度指数(pH値)が10に調整されたシアン化水素(HCN)水溶液中に浸漬する前後における変換効率の変化を調べた。
[0023]
 まず、本実施形態の太陽電池100,200の構造及びその製造方法について説明する。図1は、本実施形態の太陽電池100,200の主たる部分の断面構造の概要説明図である。本実施形態の太陽電池100,200の製造工程は次のとおりである。まず、p型の単結晶シリコン基板10(基板サイズ:125mm角、比抵抗:約10Ω・cm)に対してn型拡散層20が公知の手法を用いて形成されることにより、単結晶シリコン基板10内にpn接合が形成される。次に、そのn型拡散層20の表面上に反射防止膜30として二酸化チタン(TiO )膜が、図示しない公知の成膜手法(反射防止膜形成部)を用いて公知の手法(例えば、スピン塗布法)により形成される。
[0024]
 その後、上述の反射防止膜30上に、表面電極40として銀電極が形成される。加えて、単結晶シリコン基板10の裏面側に、裏面電極50としてアルミニウム電極が形成される。
[0025]
 上述のように形成された太陽電池100について、擬似太陽光(AM1.5 100mW/cm )の照射下において電流-電圧曲線が観測された。
[0026]
 その後、太陽電池100が、シアン(CN)濃度が2700ppm(0.27wt%)であって、水素イオン濃度指数(pH値)が10に調整されたHCN水溶液を収容する浸漬処理部(図示しない)において浸漬処理される。このときのHCN水溶液の温度は、約25℃(室温)であり、浸漬時間は2分間であった。このようにして、太陽電池200が製造される。
[0027]
 この太陽電池200についても、擬似太陽光(AM1.5 100mW/cm )の照射下において電流-電圧曲線が観測された。
[0028]
 表1は、上述のHCN水溶液中に浸漬する前後における太陽電池100,200の短絡光電流密度(A/cm )、開放光起電力(V)、曲線因子、及び変換効率(%)の変化を示している。なお、これらの測定の再現性を確認するために、上述の太陽電池100,200が2つずつ作製された。
[0029]
[表1]


[0030]
 表1から分かるように、HCN水溶液への浸漬前の太陽電池100に対して、HCN水溶液への浸漬後の太陽電池200は、短絡光電流密度(A/cm )、開放光起電力(V)、曲線因子、及び変換効率(%)のいずれの指標も顕著に向上している。特に、太陽電池100に対して、太陽電池200の変換効率が約12%も向上することが分かった。
[0031]
 従って、反射防止膜を備える太陽電池に対して、2700ppmという比較的高濃度であり、かつpH値が高く制御されたHCN水溶液を用いた浸漬処理を行うにより、太陽電池の高効率化に大きく寄与することが分かる。本願発明者は、このような現象が見られたのは、HCN水溶液が比較的高濃度に設定されたこととpH値の適切な制御による電離確率の増加とが相俟って、CN イオンの一部が反射防止膜30を通過して単結晶シリコン基板10に到達し、欠陥準位を消滅させたためと考えている。
[0032]
<第2の実施形態>
 本実施形態の太陽電池300は、第1の実施形態における単結晶シリコン基板10を多結晶シリコン基板310に代え、反射防止膜330として窒化シリコン膜を採用し、その窒化シリコン膜を形成する順序を変更したこと以外は第1の実施形態と同様に行われた。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
[0033]
 図2は、本実施形態の太陽電池300の主たる部分の断面構造の概要説明図である。本実施形態の太陽電池300の製造工程は次のとおりである。まず、p型の多結晶シリコン基板310(基板サイズ:125mm角、比抵抗:約10Ω・cm)に対してn型拡散層320が公知の手法を用いて形成されることにより、多結晶シリコン基板310内にpn接合が形成される。なお、表面電極と裏面電極が形成されれば、この段階でも実質的に太陽電池としての機能を発揮できる構造となる。従って、本出願においては、このpn接合が形成された多結晶シリコン基板310も太陽電池に含まれるものとする。
[0034]
 次に、本実施形態では、第1の実施形態における浸漬処理部において、pn接合が形成された多結晶シリコン基板310が、シアン(CN)濃度が540ppmであって、水素イオン濃度指数(pH値)が8.5に調整されたHCN水溶液中に浸漬される。このときのHCN水溶液の温度は、約25℃(室温)であり、浸漬時間は2分間であった。なお、本実施形態では、この浸漬時間が、1分以上10分程度までの実用的短時間内に行われることは特筆に値する。
[0035]
 その後、n型拡散層320の表面上に反射防止膜330として窒化シリコン膜が公知の手法(例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition法)により形成される。
[0036]
 本実施形態においても、比較的高濃度であり、かつpH値が適切に制御されたHCN水溶液を用いた浸漬処理を行うにより、変換効率の高い太陽電池300が得られる。
[0037]
 なお、本実施形態では、pH値が8.5であったが、この範囲が5以上9.5未満であれば、本実施形態と同様の効果が奏され得る。なお、本実施形態のように反射防止膜が形成されていない場合、HCN水溶液は直接シリコンに接触することになると、HCN水溶液のpH値が9.5以上であれば、シリコンがエッチングされてしまう可能性が高まる。従って、pH値を上述の範囲に設定することが好ましい。また、本実施形態では、反射防止膜330が形成される前に、HCN水溶液による処理が行われた。これは、窒化シリコン膜が非常に緻密な膜であるため、その反射防止膜330を形成した後でHCN水溶液による処理を行っても、反射防止膜をシアン化物イオンが通過しにくいと考えられるためである。従って、特に多結晶シリコン太陽電池の場合は、反射防止膜330が緻密な膜であれば、それが形成される前にHCN水溶液による処理が行われることが、欠陥消滅を促進する観点から非常に有効であるといえる。
[0038]
<第3の実施形態>
 本実施形態の太陽電池は、第2の実施形態におけるHCN水溶液中への浸漬処理が、pn接合が形成される前に行われる点を除き、第2の実施形態と同様に行われた。従って、第1及び第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
[0039]
 本実施形態の太陽電池の断面構造の概要も、第1及び第2の実施形態の太陽電池と同様である。しかしながら、本実施形態では、p型の多結晶シリコン基板310に対して、pn接合が形成される前に、第2実施形態のHCN水溶液を用いた浸漬処理と同様の処理が行われる。
[0040]
 その後、多結晶シリコン基板310に対してn型拡散層320が公知の手法を用いて形成される。ここで、本実施形態では、多結晶シリコン基板310が採用されているため、その表面上に存在し得る金属不純物の洗浄効果とともに、その表面又はその表面から一定の深さ方向に渡る領域内の欠陥準位の低減効果が奏され得る。
[0041]
 従って、HCN水溶液を用いた浸漬処理は、pn接合が形成された後にその処理が行われる場合のみならず、pn接合が形成される前に行われる場合であっても、太陽電池の高効率化に寄与し得る。本実施形態の浸漬処理は、単結晶シリコン用いた太陽電池に対しても適用し得るが、欠陥準位が表面や結晶粒界により多く存在する多結晶シリコンを用いた太陽電池に対して特に好適であるといえる。
[0042]
 なお、本実施形態におけるHCN水溶液による金属不純物の洗浄メカニズムは、次のように考えられる。まず、シアン化物イオン(CN )がシリコン基板表面上の金属、例えば銅と反応して[Cu(CN) を形成することにより、汚染銅が除去される。[Cu(CN) はHCN水溶液中のCN イオンと反応し、pH10では[Cu(CN) 3-として安定に存在する。CN イオンの錯イオン形成能は極めて大きいため、仮に極低濃度(例えば、3ppm程度)のHCN水溶液であっても、CN イオンが有効に反応して汚染銅の除去が可能である。このときの極低濃度の洗浄においてですら、洗浄前のシリコン基板表面銅濃度10 12~10 13原子/cm に汚染されていたものが、2分間の浸漬処理後には、全反射蛍光X線分析装置による銅の検出限界(~3×10 原子/cm )以下にまで銅が除去されることを確認されている。
[0043]
<その他の実施形態>
 なお、上述の実施形態では、反射防止膜として二酸化チタン(TiO )膜や窒化シリコン膜が用いられていたが、反射防止膜はこれに限定されない。例えば、SiO 、Al 、Ta 、MgO、ZrO 、又は前述の各酸化物の複合材や、SiO,SiONも、反射防止膜として適用され得る。特に、第2実施形態で採用した窒化シリコン膜のような緻密な膜を反射防止膜とする場合は、そのような反射防止膜が形成される前にシアン含有溶液による処理が行われることが、欠陥消滅を促進する観点から好ましい。
[0044]
 また、上述の各実施形態のいずれにも該当し得るが、シアン含有溶液のpHの調製ないし安定のための手段としては、アンモニア、コリン、TMAH等を含む溶液をシアン含有溶液に混入することが好ましい。なお、KOHやNaOH等の金属原子を含むアルカリは上述の各実施形態には適さない。
[0045]
 また、上述の各実施形態では、シアン含有溶液による金属汚染の除去に関する洗浄についてのみ言及しているが、その他の公知の洗浄工程が上述の各太陽電池の製造過程の中で適宜実施されても良い。代表的な洗浄工程には、RCA洗浄工程や純水(又は超純水)による洗浄工程が挙げられる。
[0046]
 さらに、上述の実施形態では、シアン含有溶液であるHCN水溶液の温度は、約25℃(室温)であったが、これに限定されない。例えば、30℃以上50℃以下のHCN水溶液を用いて行った場合であっても、上述の実施形態と同様の効果が奏され得る。
[0047]
 また、シアン含有溶液の温度が50℃を超えると、温度上昇に伴う反応性の向上によりシアン含有溶液による洗浄効果が高まる利点はあるが、同溶液中のシアン(CN)の揮発(蒸発)が起こるため、毒性のHCNの蒸発に対する安全対策が不可欠となる。従って、シアン(CN)の蒸発を抑制した上で、シアン含有溶液での汚染金属の除去という洗浄効果を十分に得る観点から言えば、シアン含有溶液の温度が25℃以上40℃以下であることが好ましい。
[0048]
 また、上述の各実施形態では、シアン(CN)含有溶液としてHCN水溶液が用いられたが、その溶媒は水(純水、超純水)に限定されない。例えば、シアン含有溶液の溶媒が、シアン化水素を、純水、超純水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、エーテル系溶媒、及び脂肪族アルカン系溶媒の群から選ばれる少なくとも1種類の溶媒であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。但し、HCNの溶解度と溶媒の純度の観点から言えば、超純水、アルコール系溶媒、あるいは二トリル系溶媒を前述の溶媒とすることは好ましい一態様である。
[0049]
 加えて、シアン(CN)含有溶液の濃度については、浸漬処理の対象となる太陽電池が反射防止膜を備えているか否か、より一般的には、シリコン表面が直接的にシアン(CN)含有溶液に触れるか否かで好ましい範囲が異なる。例えば、シリコン表面が直接シアン(CN)含有溶液に曝される構造を有する太陽電池を浸漬処理対象とする場合は、シリコンの不適切なエッチングを防止する観点から、pH値が5以上9.5未満であることが好ましい。他方、反射防止膜等によってシリコン表面がいわば「保護」され、シリコン表面が直接シアン(CN)含有溶液に曝されない構造を有する太陽電池を浸漬処理対象とする場合は、電離確率の増加を図ってCN イオンによる欠陥準位を消滅を促進する観点から、pH値が9.5以上であることが好ましい。
[0050]
 また、上述の各実施形態では、シアン(CN)含有溶液におけるシアン(CN)濃度が2700ppm又は540ppmであったが、その濃度はこれらの値に限定されない。シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であれば、上述の各実施形態の少なくとも一部の効果が奏され得る。但し、シリコン基板又はそのシリコン基板から形成される太陽電池の、おそらく表面や裏面、及び/又はpn接合界面やpn接合表面に存在するダングリングボンド等に起因する欠陥準位の低減化を促進する観点から言えば、シアン(CN)濃度が、300ppm以上0.5%以下とすることはより好ましい一態様である。
[0051]
 上述の各実施形態では、p型の単結晶シリコン基板やp型の多結晶シリコン基板が当初用いられているが、基板の種類もこれらに限定されない。p型の代わりにn型の各種基板が採用されても、上述の各実施形態の効果と同様の効果が奏され得る。
[0052]
 上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。

産業上の利用可能性

[0053]
 本発明の太陽電池の製造方法、太陽電池の製造装置、及び太陽電池は、その太陽電池の高い変換効率から、エネルギーの枯渇を憂う各種の産業分野において広く利用され得る。

符号の説明

[0054]
 10,310   シリコン基板(p型)
 20,320   n型拡散層
 30,330   反射防止膜
 40   表面電極
 50   裏面電極
 100,200,300  太陽電池

請求の範囲

[請求項1]
 シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内に、シリコン基板又は前記シリコン基板から形成される太陽電池を浸漬する浸漬工程を含む、
 太陽電池の製造方法。
[請求項2]
 前記浸漬工程において、前記シリコン基板又は前記太陽電池が反射防止膜を備え、かつ
 前記シアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、9.5以上14以下である、
 請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項3]
 前記シアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、5以上9.5未満であり、
 前記浸漬工程の後に、反射防止膜を形成する工程を含む、
 請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項4]
 前記シアン(CN)濃度が、300ppm以上0.5%以下である、
 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項5]
 前記シアン含有溶液の温度が、20℃以上40℃以下である、
 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項6]
 前記シアン含有溶液の溶媒が、シアン化水素を、純水、超純水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、及びエーテル系溶媒の群から選ばれる少なくとも1種類の溶媒である、
 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項7]
 前記シリコン基板が、単結晶シリコン又は多結晶シリコンである、
 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
[請求項8]
 シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内に、シリコン基板又は前記シリコン基板から形成される太陽電池を浸漬する浸漬処理部を備える、
 太陽電池の製造装置。
[請求項9]
 反射防止膜を備える前記シリコン基板又は前記太陽電池を浸漬する前記浸漬処理部を備え、かつ
 前記シアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、9.5以上14以下である、
 請求項8に記載の太陽電池の製造装置。
[請求項10]
 前記シアン含有溶液の水素イオン濃度指数(pH)が、5以上9.5未満であり、
 前記浸漬処理部を経た前記シリコン基板又は前記太陽電池に反射防止膜を形成する反射防止膜形成部をさらに備える、
 請求項8に記載の太陽電池の製造装置。
[請求項11]
 前記シアン(CN)濃度が、300ppm以上0.5%以下である、
 請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造装置。
[請求項12]
 前記シアン含有溶液の温度が、30℃以上40℃以下である、
 請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造装置。
[請求項13]
 シアン(CN)濃度が100ppm超5%以下であって、5℃以上50℃以下のシアン含有溶液内に、シリコン基板又は前記シリコン基板から形成される太陽電池を浸漬することにより形成される前記シリコン基板の表面を備える、
 太陽電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]