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1. WO2012144117 - 超音波プローブ、及び、超音波診断装置

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明 細 書

発明の名称 超音波プローブ、及び、超音波診断装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

先行技術文献

特許文献

0014  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0015   0016   0017  

課題を解決するための手段

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

発明の効果

0058  

図面の簡単な説明

0059  

発明を実施するための形態

0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280  

産業上の利用可能性

0281  

符号の説明

0282  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31   32   33   34   35   36   37  

明 細 書

発明の名称 : 超音波プローブ、及び、超音波診断装置

技術分野

[0001]
 本発明は、超音波プローブ、及び、超音波診断装置に関する。特に、被検体を超音波診断するために用いられる、超音波振動子を備える超音波プローブ、及び、超音波診断装置に関する。

背景技術

[0002]
 医療分野においては、被検体の内部を観察して診断を行うために、様々な撮像技術が開発されている。特に、超音波を送受信することによって被検体の内部情報を取得する超音波撮像は、リアルタイムで画像観察を行うことができる上に、X線写真やRI(radio isotope)シンチレーションカメラ等の他の医用画像技術と異なり、放射線による被曝がない。そのため、超音波撮像は、安全性の高い撮像技術として、産科領域における胎児診断の他、婦人科系、循環器系、消化器系等を含む幅広い領域において利用されている。超音波撮像とは、音響インピーダンスが異なる領域の境界(例えば、構造物の境界)において超音波が反射される性質を利用する画像生成技術であり、超音波ビームを人体等の被検体内に送信し、被検体内において生じた超音波エコーを受信し、超音波エコーが生じた反射点や反射強度を求めることにより、被検体内に存在する構造物(例えば、内臓や病変組織等)の輪郭を抽出する。
[0003]
 このような超音波撮像を行う装置(超音波診断装置、超音波撮像装置等と呼ばれる)においては、超音波を送信及び受信する超音波トランスデューサとして、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinyliden difluoride)に代表される高分子圧電材料等の圧電体の両面に電極を形成した振動子(圧電振動子)が、一般的に用いられている。
[0004]
 図2は、1次元アレイ型超音波プローブの一例の概略図である。図2に示されるように、1次元アレイ型の超音波プローブ403は、圧電体208、信号電極206、接地電極207及び整合層203を備える複数の超音波振動子205と、バッキング201と、接地配線202と、信号配線204と、音響レンズ209とを備える。
[0005]
 すべての接地電極207は一本の接地配線202に接続される。信号電極206はそれぞれ別の信号配線204が接続される。信号電極206と接地電極207とは圧電体208の向い合った一対の面に接着されている。信号電極206から接地電極207への向きを+Zとする。接地電極207の+Z側には整合層203を備える。
[0006]
 図2に示されるように、1次元アレイ型の超音波プローブ403は、複数の超音波振動子205が、音波を吸収するバッキング材201の+Z側に1次元アレイ状に配列されている。また、超音波振動子205の更に+Z側には音響レンズ209を備え、音響レンズ209を通して被検体(図略)に超音波を放射する構成となる。
[0007]
 超音波振動子205のそれぞれの2つの電極207及び206に電圧を印加すると、圧電効果により圧電体208が伸縮して超音波が発生する。前述のように、複数の超音波振動子205を1次元(又は2次元状)に配列し、各超音波振動子を順次駆動することにより、所定の方向に送信される超音波ビームを形成することができる。また、超音波振動子は、被検体内で反射して返って来た超音波を受信し伸縮することにより電気信号を発生する。この電気信号は、超音波の受信信号として用いられる。
[0008]
 図4は、超音波診断装置の一例の概略図である。図4に示されるように、超音波プローブ403を備えた超音波診断装置401は、超音波プローブ403と診断装置本体404とがケーブル405で接続された構成となる。診断装置本体404は、ケーブル405を介して、超音波プローブ403に対して超音波振動子を振動させるための信号を送信するとともに、超音波プローブ403からの信号に基づいて検体内の状態を超音波診断画像として画像化する。
[0009]
 このような超音波プローブにおいて、以下のような理由で、圧電体208と被検体との間に整合層203が備えられている。
[0010]
 異なる物質が接する境界面における超音波の伝播効率は、それらの物質の音響インピーダンスに応じて変化する。具体的には、音響インピーダンスの差が大きい境界面において、超音波は反射しやすいので、超音波の伝播損失が大きくなる。
[0011]
 そのため、超音波振動子と被検体との間に整合層を挿入することにより、音響インピーダンスの整合が図られている。整合層により、振動子から被検体に向かって音響インピーダンスを段階的に変化させることにより、各境界面における超音波の反射率を低下させ、超音波の伝播損失を抑制する。
[0012]
 ところが、整合層を設けることにより超音波の伝播効率を向上させると、その一方で、周波数帯域が狭まり、超音波診断画像の解像度が低下するという弊害が生ずることが知られている。超音波診断画像の解像度を低下させない整合層の実現が求められる。
[0013]
 従来、超音波診断画像の解像度を低下させない整合層の実現するために、超音波伝播方向に垂直な面内で、整合層の厚みが異なる複数の領域を備えることで広帯域化を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1)。

先行技術文献

特許文献

[0014]
特許文献1 : 特開2003-299195号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0015]
 前述のように、超音波の伝播効率を向上させるために超音波プローブに設けられる整合層が、透過する超音波の周波数帯域を狭め、超音波診断画像の解像度を低下させるという問題がある。よって、超音波の伝播効率が高く、かつ、解像度の高い超音波診断画像を取得することができる超音波プローブを実現することが課題である。
[0016]
 上記課題に対し、特許文献1記載の構成では、超音波伝播方向に垂直な面内で、厚みが異なる複数の領域を備える整合層を備える。この場合、整合層の各領域を通過する超音波パルスに時間差が生ずる。音響レンズをつけた場合にも、この時間差を完全に解消することができず、時間差のある複数の超音波パルスが被検体内で重なりあう現象が発生する。このため、整合層から放出される超音波の波形が理想的なインパルス波形からくずれ、超音波診断画像における超音波伝播方向の解像度が低下する。よって、特許文献1に開示される技術によって、上記課題は解決されない。
[0017]
 本発明は、前記従来の課題を解決するもので、超音波の伝播効率が高く、かつ、解像度の高い超音波診断画像を取得することができる超音波プローブ等を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0018]
 上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る超音波プローブは、被検体を超音波診断するために用いられる、超音波振動子を備える超音波プローブであって、前記超音波振動子は、超音波を発生させる圧電体と、前記圧電体から見て所定方向に配置され、前記圧電体と前記被検体との音響整合を行うための第一の整合層とを備え、前記第一の整合層は、前記所定方向の厚さが一定であり、前記所定方向に垂直な方向に配列された、超音波の透過率の周波数特性が互いに異なる少なくとも2つの整合領域を含む複数の整合領域を有する。
[0019]
 これにより、従来の一様な周波数特性を有する整合層より、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。なぜなら、整合領域のそれぞれを透過する超音波の周波数特性が異なるため、整合領域のそれぞれを透過した超音波を整合層全体で足し合わせたものは、従来の一様な周波数特性を有する整合層を透過した超音波よりも周波数帯域が広くなるからである。しかも、超音波伝播方向(所定方向)の厚さが一定であるため、各整合領域を透過する超音波パルスに時間差が生じない。その結果、超音波パルスが、インパルス波形に近い波形で被検体に伝播し、高い解像度の超音波診断画像が得られる。
[0020]
 また、好ましくは、前記複数の整合領域は、密度が互いに異なる少なくとも2つの整合領域を含む。
[0021]
 これにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、密度が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0022]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、互いに音響インピーダンスが異なる複数の整合材を含み、前記複数の整合材のうちの少なくとも1つが、前記所定方向と平行な、複数の先細形状を有し、前記先細形状の太さは、前記所定方向に連続的に増加又は減少する。
[0023]
 これにより、整合層の内部で圧電体に近い方の音響インピーダンスを圧電体の音響インピーダンスと近い値とし、整合層の内部で被検体に近い方の音響インピーダンスを被検体と近い値とすることができる。また、整合層の内部において、超音波の伝播方向に音響インピーダンスを連続的に変化させることができる。
[0024]
 また、好ましくは、前記複数の整合領域の1つにおける前記所定方向に垂直な面における単位面積あたりの前記先細形状の個数が、他の整合領域の当該面における単位面積あたりの前記先細形状の個数と異なる。
[0025]
 これにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の密度が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0026]
 また、好ましくは、前記整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記所定方向の大きさが、他の整合領域における前記先細形状の前記所定方向の大きさと異なる。
[0027]
 これにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の超音波伝播方向の高さが異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0028]
 また、好ましくは、前記整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記整合領域の配列方向の幅が、他の整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記整合領域の配列方向の幅と異なる。
[0029]
 これにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の太さが異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0030]
 また、好ましくは、前記第一の整合層の表面及び裏面のうち、前記圧電体から遠い方の面が平面である。
[0031]
 これにより、整合層と音響レンズとの接触面が平面となり、超音波プローブは、広い温度範囲において広帯域の超音波を受信することができる。その結果、高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、音響レンズは温度変化に対する収縮率が大きいため、当該接触面が平面でない場合には、音響レンズの収縮により音響レンズが剥離するおそれがあるからである。
[0032]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、前記所定方向に積層された複数の整合部層を有し、前記複数の整合部層のうち少なくとも1つが、前記所定方向に垂直な方向に配列された、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を有する。
[0033]
 これにより、より高い精度で圧電体と被検体との音響整合を行うと同時に、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。なぜなら、異なる音響インピーダンスを有する複数の整合部層によって、圧電体から被検体まで段階的に音響整合を行うとともに、複数の整合領域により超音波の透過率の周波数特性を広くすることができるからである。
[0034]
 また、好ましくは、前記複数の整合部層のそれぞれは、前記所定方向の厚さが一定である。
[0035]
 これにより、超音波プローブは、広い温度範囲において広帯域の超音波を受信することができる。その結果、高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、各整合部層の厚さが一定でない場合、整合部層の温度変化に対する収縮率の変化により整合部層同士が剥離するおそれがあるからである。
[0036]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、複数の材料を所定の混合率で混合した混合物により形成され、前記整合領域における混合率が、他の整合領域における混合率と異なる。
[0037]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、焼結材料を含む。
[0038]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、少なくとも、二酸化ケイ素と、銀、銅及びアクリル系の材料のうち少なくとも1種類の材料とを含む。
[0039]
 また、好ましくは、前記第一の整合層は、粒径が互いに5倍以上異なる複数の粒子を材料として含む。
[0040]
 これらにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、混合物における材料の混合率が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0041]
 また、好ましくは、前記整合領域の配列方向の前記整合領域の幅が、前記超音波診断で用いられる超音波の波長以上である。
[0042]
 これにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、整合領域の幅が超音波の波長より短い場合、超音波の透過率の周波数特性が所定の値となる整合領域を形成しないからである。
[0043]
 また、好ましくは、1ミクロン以下の粒径の金属ナノ粒子が配合され、当該第一の整合層の少なくとも一部が金属バルク化され、当該第一の整合層の密度が金属ナノ粒子の配合割合により決定される。
[0044]
 これにより、高い効率で複数の異なる密度を有する整合材を製造することができる。なぜなら、同一の材料を用い、それらの配合割合を変更するだけで、複数の異なる密度を有する整合材を製造することができるからである。
[0045]
 また、好ましくは、前記超音波振動子は、さらに、前記圧電体に対して前記第一の整合層が配置される側の反対側に配置され、超音波を吸収するためのバッキング材と、前記バッキング材と前記圧電体との間に配置され、前記所定方向に垂直な方向に配列された、透過する超音波の周波数が異なる複数の整合領域を有する第二の整合層とを備える。
[0046]
 これにより、圧電体から被検体の方向へ伝播させる超音波の音圧を高めることができる。
[0047]
 また、好ましくは、前記超音波振動子は、さらに、前記圧電体に対して前記第一の整合層が配置された側の反対側に配置され、超音波を吸収するためのバッキング材と、前記バッキング材と前記圧電体との間に配置され、超音波を反射する性質を有する高反射層とを備える。
[0048]
 これにより、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。
[0049]
 また、好ましくは、複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、複数の前記超音波振動子のそれぞれにおいて、前記整合領域の配列方向の両端部の前記整合領域が透過する超音波の周波数の平均値である平均周波数より、前記配列方向の中央部の前記整合領域が透過する超音波の前記平均周波数が低い。
[0050]
 これにより、高い解像度の超音波診断画像を取得することができる。
[0051]
 また、好ましくは、複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、複数の前記超音波振動子のそれぞれにおいて、前記整合領域の配列方向の両端部の前記整合領域が透過する超音波の周波数の平均値である平均周波数より、前記配列方向の中央部の前記整合領域が透過する超音波の前記平均周波数が高い。
[0052]
 これにより、高いS/Nの超音波診断画像を取得することができる。
[0053]
 また、好ましくは、複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、複数の前記超音波振動子のそれぞれにおける前記整合領域の順序が、他の超音波振動子における前記整合領域の順序と異なる。
[0054]
 また、好ましくは、複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、複数の前記超音波振動子のそれぞれにおける前記整合領域の順序の、超音波プローブにおける配列パターンが周期的である。
[0055]
 これらにより、高い解像度であり、かつ、S/Nの高い超音波診断画像を取得することができる。
[0056]
 また、本発明の一態様に係る超音波診断装置は、超音波プローブと、前記圧電体に超音波を発生させるための信号を生成し、前記超音波プローブが被検体から受信した信号に基づいて超音波診断画像を生成する診断装置とを備える。
[0057]
 これにより、上記超音波プローブの効果を奏しながら、被検体の超音波診断が可能となる。

発明の効果

[0058]
 本発明の超音波プローブ等によれば、超音波診断画像の解像度を低下させない整合層を実現することにより、超音波診断において解像度の高い診断画像が得られる。

図面の簡単な説明

[0059]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの一例の断面図である。
[図2] 図2は、1次元アレイ型超音波プローブの一例の概略図である。
[図3] 図3は、従来型の超音波プローブの断面図である。
[図4] 図4は、超音波診断装置の一例の概略図である。
[図5] 図5は、実施の形態1の超音波プローブにおける被検体との接触面での音圧分布を示す図である。
[図6] 図6は、本発明の実施の形態2に係る超音波プローブの一例の断面図である。
[図7] 図7は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブのマルチ透過率層の一例の断面図である。
[図8] 図8は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブのマルチ透過率層の別の一例の断面図である。
[図9] 図9は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブのマルチ透過率層の別の一例の断面図である。
[図10] 図10は、銀を含む混合物における銀の配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。
[図11] 図11は、銅を含む混合物における銅の配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。
[図12] 図12は、アクリルを含む混合物におけるアクリルの配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。
[図13] 図13は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の一例の断面図である。
[図14] 図14は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。
[図15] 図15は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。
[図16] 図16は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。
[図17] 図17は、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスと整合層の平均透過周波数の関係を示す図である。
[図18] 図18は、別のマルチインピーダンス層の音響インピーダンスと整合層の平均透過周波数の関係を示す図である。
[図19] 図19は、別のマルチインピーダンス層の音響インピーダンスと整合層の平均透過周波数の関係を示す図である。
[図20] 図20は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。
[図21] 図21は、別のマルチインピーダンス層の音響インピーダンスと整合層の平均透過周波数の関係を示す図である。
[図22] 図22は、本発明の実施の形態3に係る超音波振動子の一例の断面図である。
[図23] 図23は、本発明の実施の形態4に係る超音波振動子の断面図である。
[図24] 図24は、本発明の実施の形態3に係る整合層の透過特性を示す図である。
[図25] 図25は、本発明の実施の形態3に係る別の整合層の透過特性を示す図である。
[図26] 図26は、2層の整合層の平均透過周波数とマルチ密度層の密度の関係を示す図である。
[図27] 図27は、本発明の実施の形態3に係る整合層の平均透過周波数とマルチ密度層の密度の関係を示す図である。
[図28] 図28は、本発明の実施の形態3に係る別の超音波振動子の断面図である。
[図29] 図29は、(超音波伝播方向と垂直な軸における)位置とマルチ密度層の平均密度の関係の一例を示す図である。
[図30] 図30は、本発明の実施の形態4に係る超音波振動子の断面図である。
[図31] 図31は、本発明の実施の形態4に係る整合層の平均透過周波数とマルチ密度層の密度の関係を示す図である。
[図32] 図32は、本発明の実施の形態5に係る超音波振動子の断面図である。
[図33] 図33は、本発明の実施の形態5に係る整合層の平均透過周波数とマルチ密度層の密度の関係を示す図である。
[図34] 図34は、本発明の実施の形態5に係る別の超音波振動子の断面図である。
[図35] 図35は、従来型の超音波プローブ及び超音波伝播について示す概略図である。
[図36] 図36は、本発明の実施の形態6に係る超音波プローブ及び超音波伝播について示す概略図である。
[図37] 図37は、本発明の実施の形態6に係る別の超音波プローブ及び超音波伝播について示す概略図である。

発明を実施するための形態

[0060]
 以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
[0061]
 また、同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する場合もある。
[0062]
 (実施の形態1)
 図1は本実施の形態に係る超音波プローブの一例の断面図である。
[0063]
 図1に示されるように、本実施の形態に係る超音波プローブ102は、圧電体208と、信号電極206と、接地電極207とを備える。また、バッキング201と、音響レンズ209とを備えることがより望ましい。
[0064]
 超音波プローブ102が従来型の超音波プローブ304と異なる点は、超音波プローブ102が接地電極207と被検体(図略)の間に整合層101を備える点である。
[0065]
 整合層101は、X方向に配列された、超音波の透過率が異なる複数の整合領域を有する。圧電体208で発生した超音波の透過率については、X方向の中央の整合領域101aが最も高く、整合領域101b、101cと両端ほど低く設計されている。そのため、中央の整合領域101aを透過する超音波の音圧が最も高く、両端の整合領域101cの音圧が最も低くなる。従来型の超音波プローブの代わりに本発明の超音波プローブを超音波診断装置(図4)に用いることで、高いS/Nの超音波診断が可能となる。
[0066]
 本発明の超音波プローブを用いることで、高いS/Nの超音波診断が可能となる理由について以下に示す。
[0067]
 図3は、従来型の超音波プローブの断面図である。超音波プローブ表面から放射される超音波の音圧の周波数特性が、その面上で一定であるとき、被検体内において、メインローブ302だけでなくサイドローブ303が形成される。超音波診断画像には、メインローブ302により取得された画像に対し、サイドローブ303により取得された画像がノイズとして重畳される。このようなサイドローブの発生によって、超音波診断画像のS/N(信号対雑音比)低下が引き起こされる。
[0068]
 図1に示される超音波プローブ102によって、中央の整合領域101aを透過する超音波の音圧を、両端より高くすることで、サイドローブ104の音圧を従来より小さくすることができる。以上の理由により、高いS/Nの超音波診断が可能となる。
[0069]
 ここで、透過率が異なる複数の領域を備えた整合層(以下、マルチ透過率層とも称する。)を実現する方法の例について示す。
[0070]
 図7は、本実施の形態に係る超音波プローブのマルチ透過率層の一例の断面図である。
[0071]
 図7に示される整合層703は、圧電体208に近い音響インピーダンスを有する第一整合材702と、被検体の生体組織に近い音響インピーダンスを有する第二整合材701とで構成されている。第一整合材702は円錐型である。第一整合材702は、圧電体208側を底面とし、被検体側を頂点として、複数個配置されている。また、整合層703の中で、第一整合材702に占められる部分以外の部分を、第二整合材701で充満させた構成となる。
[0072]
 ここで、円錐型の第一整合材702は、金属、半導体、セラミックス、或いは樹脂に金属又は酸化物を混入した複合材であって、音響インピーダンスの値が10から30MRaylである。第二整合材701は、各種樹脂、又は、樹脂中に金属或いは酸化物を混入した複合材であって、音響インピーダンスの値が、1.2から3MRaylである。一般的に、圧電体208の音響インピーダンスが20から30MRayl、被検体の生体組織の音響インピーダンスが1.5MRayl程度である。よって、上記のように第一整合材及び第二整合材を配置することで、整合層と圧電体との間、及び、整合層と被検体の生体組織との間の両方において音響インピーダンスの差を小さくすることができる。
[0073]
 上記材料の具体例を挙げると、第一整合材702としては、アルミニウム(17MRayl)、鉛(22MRayl)、シリコン(20MRayl)、銀約95%二酸化ケイ素約5%の混合物(16MRayl)、水晶(16MRayl)などがある。また、第二整合材701としては、シリコーンゴム(1.5MRayl)、アクリル樹脂(3MRayl)、ポリイミド(3MRayl)などのプラスチック類、ゴム類がある。
[0074]
 整合層703は、整合領域703a、703b、及び、703cで第一整合材702からなる円錐が配置される間隔が異なる。つまり、X方向の中央の整合領域703aは円錐の間隔が最も狭く、整合領域703b、703cと両端ほど円錐の間隔が広い構成となる。
[0075]
 このように、円錐の間隔が広い領域ほど、超音波の透過率が低くなる。よって、領域ごとに円錐の間隔を調節することで任意の透過率を有するマルチ透過率層を設計することが可能となる。
[0076]
 また、円錐の間隔は、最も広い領域でも超音波の波長の四分の一以下が望ましい。これによって、感度が高く、より深部まで観察が可能な超音波プローブの実現が可能となるためである。
[0077]
 図8は、本実施の形態に係る超音波プローブのマルチ透過率層の別の一例の断面図である。
[0078]
 図8に示される整合層804は、圧電体208に近い音響インピーダンスを有する第一整合材702と、被検体の生体組織に近い音響インピーダンスを有する第二整合材とで構成されている。第一整合材702は円錐型である。第一整合材702は、圧電体208側を底面とし、被検体側を頂点として、複数個配置されている。また、整合層804の中で、第一整合材702に占められる部分以外の部分を、第二整合材803、802、及び、801で充満させた構成となる。
[0079]
 整合層804では、整合領域804a、804b、及び、804cのそれぞれが第二整合材803、802、及び、801を備える。整合材803の音響インピーダンスが圧電体208と最も近く、両端に近い領域の整合材802、801ほど、圧電体208との音響インピーダンスの差が大きい材料とする。
[0080]
 このように、第二整合材の音響インピーダンスが圧電体と近いほど透過率が高くなり、領域ごとに第二整合材の音響インピーダンスを調節することで、マルチ透過率層を設計することが可能となる。
[0081]
 なお、ここでは第二整合材の音響インピーダンスが整合領域ごとに異なるマルチ透過率層の例について示したが、第二整合材の音響インピーダンスが一定で、第一整合材の音響インピーダンスが整合領域ごとに異なるマルチ透過率層であってもよい。この場合は、第一整合材の音響インピーダンスが被検体に近いほど透過率が高くなるため、第一整合材の音響インピーダンスを調節することで、マルチ透過率層を設計することが可能となる。これにより、超音波診断において、S/Nを向上させることが可能となる。
[0082]
 なお、第一整合材及び第二整合材の両方が整合領域ごとに異なる構成であってもよい。
[0083]
 ただし、第二整合材には、金属のように加工が難しい材料が用いられることが多いため、一種類の第二整合材を用いることが望ましい。一種類の第二整合材を用いることで、より安価な超音波プローブが可能となる。
[0084]
 なお、第一整合材は材料ごとに熱膨張率が大きく異なる材料が多く、一種類の第一整合材を用いることが望ましく、より耐熱性に優れた超音波プローブが可能となる。
[0085]
 以上で示されるように、マルチ透過率層である整合層703及び整合層804を図1の整合層101として用いることで、本発明の超音波プローブ102を実現することが可能となる。
[0086]
 なお、整合層703は、整合層804より安価に作製することが可能である。整合層804は整合層703より波長依存性が少なく、設計が容易な構成となるため、用途ごとに最適な構成を用いることが望ましい。
[0087]
 なお、領域ごとに整合材と円錐の間隔の両方が異なるマルチ透過率層とすることで、少ない整合材の種類で、より自由に整合層の透過率を設計することが可能となるため望ましい。
[0088]
 図9は、本実施の形態に係る超音波プローブのマルチ透過率層の別の一例の断面図である。
[0089]
 図9に示される整合層904は、整合領域904a、904b、及び、904cのそれぞれが、一種類の整合材901、902、及び、903で構成されている。また、整合材901、902、及び、903は互いに音響インピーダンスが異なる材料からなる。このように、各整合領域が一種類の整合材で構成される(図7及び図8のような円錐構造が無い)場合であっても、整合領域ごとに音響インピーダンスが異なる材料で構成することで、透過率が領域ごとに異なる。そのため、本発明の整合層の特性を満たすことは言うまでも無い。これにより、超音波診断において、S/Nを向上させることが可能となる。
[0090]
 以降、このように音響インピーダンスが異なる複数の整合領域を備えた整合層をマルチインピーダンス層と呼ぶ。
[0091]
 また、各整合領域の音速はほぼ一定であることがより望ましく、厚みもほぼ一定であることが望ましい。これによって、各領域を透過した超音波パルスの時間ずれが抑制されて、超音波伝播方向の解像度が向上する。
[0092]
 このように、図9の構成(マルチインピーダンス層)によって、被検体内の音場を設計する場合、任意の透過率の設計を可能とするため、異なる音響インピーダンスを有する複数の材料からなる混合材料を用いることが、より望ましい。
[0093]
 異なる音響インピーダンスを有する複数の材料を作成するために、本願発明者は鋭意検討を行い、その実現が以下のように可能であることが判明した。
[0094]
 図10は、銀と二酸化ケイ素とを含む混合物における銀の配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。本願発明者の独自の検討の結果、銀と二酸化ケイ素とを含む混合物において、図10に示されるように銀の配合比を調整することで、少なくとも3.8~25MRaylの範囲で任意の音響インピーダンスを有する材料を実現することが可能であることが判明した。
[0095]
 図11は、銅と二酸化ケイ素とを含む混合物における銅の配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。本願発明者の独自の検討の結果、銅と二酸化ケイ素とを含む混合物において、図11に示されるように銅の配合比を変えることで、少なくとも4~8MRaylの範囲で任意の音響インピーダンスを有する材料を実現することが可能であることが判明した。
[0096]
 図12は、アクリルと二酸化ケイ素とを含む混合物におけるアクリルの配合率と音響インピーダンスの関係を示す図である。本願発明者の独自の検討の結果、アクリルと二酸化ケイ素とを含む混合物は、図12に示されるように銅の配合比を変えることで、少なくとも2.2~3.8MRaylの範囲で任意の音響インピーダンスを有する材料を実現することが可能であることが判明した。
[0097]
 このように、複数の材料からなる混合材料を用いることで、任意の音響インピーダンスの材料を作製することが可能となるため、任意の透過率の設計が可能となる。
[0098]
 よって、自由な透過率の設計が可能となるため、よりサイドローブの抑制効果が増して、超音波診断におけるS/Nが向上する。
[0099]
 以上、図7~9を用いて、整合層が三種類の整合領域からなり、両端ほど段階的に音圧が低下する例について説明した。しかし、本発明の超音波プローブとしては、整合層内により多くの整合領域を備えていることが望ましい。具体的には、図5の実線501に示されるように、中央から両端に向けて連続的に音圧が低下する構成が更に望ましい。
[0100]
 また、より望ましくは中央部の整合領域を中心としたガウシアン分布に近い音圧分布であることが望ましく、更なるサイドローブの抑制が可能となる。
[0101]
 X方向に超音波をスキャンさせることにより、3次元の超音波診断を可能とする超音波診断装置では、X方向(スキャン方向)の解像度が向上する効果が得られる。
[0102]
 また、図7及び図8に示される整合層の構成では、マルチインピーダンス層からなる整合層(図9)より広帯域化が可能となる点で、より望ましい。また、図9に示される整合層は、図7及び図8に示される整合層より安価に作製することが可能である点で、より望ましい。
[0103]
 また、超音波プローブ表面の超音波の音圧が、周波数ごとに異なる(位置)分布をしていることが望ましい。図5に一例が示されるように、周波数が高いほど点線502で示したようにX方向の幅が細く局所的な音圧分布となり、周波数が低いほど実線501で示したようにX方向の幅が広くなだらかな音圧分布となることが望ましい。
[0104]
 これによって、周波数が高い超音波及び周波数が低い超音波の、メインローブ103及びサイドローブ104のエネルギー比のばらつきを抑制することが可能となり、被検体内部の超音波パルス波形が、より安定する。このため、被検体内部の超音波診断画像において、超音波伝播方向(Z方向)の解像度が向上する。
[0105]
 また、例えば、図5において、音圧が中央部の整合領域の半分になるX方向の幅を半値幅とすると、半値幅が周波数に反比例することが更に望ましく、これによって、超音波診断におけるS/Nを更に高めることが可能となる。
[0106]
 このように、周波数ごとに異なる音圧分布を超音波プローブと被検体との接触面にて実現するためには、透過率の周波数特性(縦軸透過率-横軸周波数のグラフ形状)が異なる複数の領域を備えた整合層を実現する必要があり、以下でその実施の形態について示す。
[0107]
 図13は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の一例の断面図である。図13に示される、透過率の周波数特性が異なる複数の領域を備えた整合層(以降、マルチ透過F特層と称する。)の一例である整合層1301について説明する。
[0108]
 整合層1301は、整合層703と同様に、圧電体208に近い音響インピーダンスを有する第一整合材702と、被検体の生体組織に近い音響インピーダンスを有する第二整合材701とで構成されている。円錐型の第一整合材702が、圧電体208側を底面、被検体側を頂点として複数個配置されている。また、整合層1301の中で、第一整合材702で占められる部分以外の部分を、第二整合材701で充満させた構成となる。また、整合層1301では、図13の点A付近で第一整合材702からなる円錐の底面積と隣り合う円錐の間隔が最も広く、点Bに近づくほど円錐の底面積が小さくなり、それに伴って隣り合う円錐の間隔も狭くなっている。
[0109]
 このように、円錐の間隔が部分ごとに異なる整合層では、円錐の間隔が広い部分ほど(低周波の透過率)÷(高周波の透過率)で定義される値を大きくすることが可能であり、マルチ透過F特層を実現することが可能となる。
[0110]
 図14は、本実施の形態に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。図14に示される、マルチ透過F特層の別の一例である整合層1401について説明する。
[0111]
 整合層1401は、整合層703と同様に、圧電体208に近い音響インピーダンスを有する第一整合材702と、被検体の生体組織に近い音響インピーダンスを有する第二整合材701とで構成されている。円錐型の第一整合材702が、圧電体208側を底面、被検体側を頂点として複数個配置されている。また、整合層1401の中で、第一整合材702で占められる部分以外の部分を、第二整合材701で充満させた構成となる。また、整合層1401では、図14の点A付近で第一整合材702からなる円錐の高さが最も高く、点Bに近づくほど円錐の高さが低くなる。このように、円錐の高さが部分ごとに異なる整合層では、円錐の高さが高いほど(低周波の透過率)÷(高周波の透過率)で定義される値を大きくすることが可能であり、マルチ透過F特層を実現することが可能となる。
[0112]
 マルチ透過F特層を実現するために、本願発明者は鋭意検討を行い、その実現が以下のように可能であることが判明した。
[0113]
 図16は、本実施の形態に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。図16に示される、マルチ透過F特層の別の一例である整合層1606について説明する。
[0114]
 整合層1606は、銀約90%、二酸化ケイ素約10%の混合物(約11.9MRayl、厚み約45μm)の圧電体側の整合層1607と、5種類の整合材1601、1602、1603、1604、1605からなる被検体側のマルチインピーダンス層を重ねた2層構造の整合層である。なお、このような複数の層を含む整合層の、それぞれの層を、整合部層とも称する。
[0115]
 また、整合材1601は銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(約9.7MRayl)、整合材1602は銅約80%、二酸化ケイ素約20%の混合物(約7.7MRayl)、整合材1603は銅約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(約5.9MRayl)、整合材1604は二酸化ケイ素100%(約3.8MRayl)、整合材1605はアクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(約2.0MRayl)となる。
[0116]
 いずれの場合も音速は約1800m/sであった。また、整合材1601~1605の厚みは約90μmとした。
[0117]
 圧電体208をPZT系の圧電セラミック(約26MRayl、音速約3500m/s)とし、被検体(約1.5MRayl)としたところ、圧電体から被検体に放射し、被検体内で反射して再び圧電体に入射する超音波の平均周波数(以降、平均透過周波数とする。)は、図17に示すように、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスに依存することが判明した。ただし、平均透過周波数は、10MHz以下の範囲の平均とした。
[0118]
 図17に示されるように、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスが大きいほど平均透過周波数が低くなる。この特性を利用し、マルチ透過F特層を設計することが可能となる。
[0119]
 また、整合層1607を銀約95%、二酸化ケイ素約5%の混合物(約20MRayl、厚み約45μm)とし、マルチインピーダンス層の厚みも45μmとした場合、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスと平均透過周波数の関係は図18のような関係となる。よって、必ずしもマルチインピーダンス層とマルチインピーダンス層以外の整合層の厚みが異なる必要はないことが示される。
[0120]
 また、整合層1606は、被検体側がマルチインピーダンス層となる2層構造の整合層としたが、必ずしもマルチインピーダンス層が被検体側である必要はない。
[0121]
 例えば、被検体側に厚み90μm、音響インピーダンス2.0MRaylの整合層を備え、圧電体側に厚み45μmのマルチインピーダンス層を備える構成の場合、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスと平均透過周波数の関係は図19で実線1901に示す関係となり、マルチ透過F特層を設計する場合に用いることが可能となる。
[0122]
 更に、被検体側に厚み90μm、音響インピーダンス3.8MRaylの整合層を備え、圧電体側に厚み45μmのマルチインピーダンス層を備える構成の場合、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスと平均透過周波数の関係は図19で点線1902に示す関係となり、被検体側、圧電体側の両方の層がマルチインピーダンス層となることで、更に平均透過周波数の調整範囲が拡大し、自由なマルチ透過F特層の設計が可能となると言える。つまり、よりS/Nが高い超音波診断装置の実現が可能となるため望ましい。
[0123]
 図20は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。図20に示される、マルチ透過F特層の別の一例である整合層2006について説明する。
[0124]
 整合層2006は、銀約90%、二酸化ケイ素約10%の混合物(約11.9MRayl、厚み約90μm)からなる圧電体側の整合層2007と、アクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(約2.0MRayl、厚み約45μm)からなる被検体側の整合層2008の間に、5種類の整合材2001、2002、2003、2004、2005からなるマルチインピーダンス層(厚み約45μm)を挟んだ3層構造の整合層である。
[0125]
 また、整合材2001は銀約88%、二酸化ケイ素約12%の混合物(10.8MRayl)整合材2002は銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(約9.7MRayl)、整合材2003は銅約80%、二酸化ケイ素約20%の混合物(約7.7MRayl)、整合材2004は銅約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(約5.9MRayl)、整合材2005は二酸化ケイ素100%(約3.8MRayl)となる。
[0126]
 いずれの場合も音速は約1800m/sであった。
[0127]
 圧電体208をPZT系の圧電セラミック(約26MRayl、音速約3500m/s)とし、被検体(約1.5MRayl)とし、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスと平均透過周波数の関係を図21に示す。
[0128]
 このように、3層のうち一層がマルチインピーダンス層となる整合層2006の場合も、マルチインピーダンス層の音響インピーダンスを変えることで、平均透過周波数を調節することが可能となり、設計可能なマルチ透過F特層となる。
[0129]
 以上、2層、或いは、3層の整合層で、少なくとも1層がマルチインピーダンス層となる例について示したが、4層以上の場合についてもマルチインピーダンス層を含むことで、平均透過周波数を設計することが可能となる。
[0130]
 図15は、本発明の実施の形態1に係る超音波プローブの整合層の別の一例の断面図である。図15に示されるように、マルチ透過F特層の別の一例である整合層1501について説明する。
[0131]
 整合層1501は、整合層1401を2層重ねて組み合わせた整合層である。より詳細には下記に示す。整合層1501は、圧電体208に近い音響インピーダンスを有する第一整合材702と、被検体の生体組織に近い音響インピーダンスを有する第二整合材701と、第一整合材702より小さくて、且つ、第二整合材701より大きい音響インピーダンスを有する第三整合材1502とで構成される。図15に示されるように、2つの整合層1401を1401a及び1401bとする。1401aにおいて、円錐型の第一整合材702が、圧電体208側を底面として複数個配置されており、1401aの中で第一整合材702で占められる部分以外の部分を第三整合材1502で充満させた構成となる。また、その更に上(被検体側)の1401bにおいて、円錐型の第三整合材1502からなる三角錐が複数個配置されており、第三整合材1502で占められる部分以外の部分を第二整合材701で充満させた層が形成されている。
[0132]
 このように、整合層1401を複数層重ね合わせることで、超音波プローブ表面における音圧の周波数特性をより自由に設計することが可能となるため望ましい。これにより、超音波診断画像において、更にS/Nを向上させることが可能となる。
[0133]
 また、整合層1401を複数層重ねあわせる場合、隣り合う層の円錐の高さが異なることがより望ましく、更に解像度を向上させることが可能となる。例えば、図15の例では第一整合材702と第三整合材1502からなる層1401bについては、円錐の高さが(点A付近)>(点C付近)>(点B付近)となるが、第三整合材1502と第二整合材701からなる層1401aについては、円錐の高さは(点A付近)>(点C付近)≒(点B付近)となるように構成されている。また、2つの層で点A付近の円錐の高さが異なる。
[0134]
 また、整合層1401の重ね合わせに限らず、整合層703、整合層804、整合層904などのマルチ透過率層や整合層1301、整合層1606、整合層2006などのマルチ透過F特層も組み合わせて重ねあわせることで、より音圧の周波数特性を自由に設計することが可能となり、超音波診断画像における解像度の向上が可能となるため望ましい。
[0135]
 なお、圧電体101と音響レンズ209との接触面は、平面となるのが望ましい。なお、圧電体の厚さに対して、10%程度の誤差があってもよい。これにより、広い温度範囲において高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、音響レンズは温度変化に対する収縮率が大きいため、当該接触面が平面でない場合には、音響レンズの収縮により音響レンズが剥離するおそれがあるからである。
[0136]
 なお、各整合部層のそれぞれは、厚さを一定とするのが望ましい。これにより、広い温度範囲において高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、各整合部層の厚さが一定でない場合、整合部層の温度変化に対する収縮率の変化により整合部層同士が剥離するおそれがあるためである。
[0137]
 以上のように、本発明の一態様に係る超音波プローブにより、従来の一様な周波数特性を有する整合層より、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。なぜなら、整合領域のそれぞれを透過する超音波の周波数特性が異なるため、整合領域のそれぞれを透過した超音波を整合層全体で足し合わせたものは、従来の一様な周波数特性を有する整合層を透過した超音波よりも周波数帯域が広くなるからである。しかも、超音波伝播方向(所定方向)の厚さが一定であるため、各整合領域を透過する超音波パルスに時間差が生じない。その結果、超音波パルスが、インパルス波形に近い波形で被検体に伝播し、高い解像度の超音波診断画像が得られる。
[0138]
 また、整合層の内部で圧電体に近い方の音響インピーダンスを圧電体の音響インピーダンスと近い値とし、整合層の内部で被検体に近い方の音響インピーダンスを被検体と近い値とすることができる。また、整合層の内部において、超音波の伝播方向に音響インピーダンスを連続的に変化させることができる。
[0139]
 また、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の密度が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0140]
 また、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の超音波伝播方向の高さが異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0141]
 また、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、先細形状の太さが異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0142]
 また、整合層と音響レンズとの接触面が平面となり、超音波プローブは、広い温度範囲において広帯域の超音波を受信することができる。その結果、高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、音響レンズは温度変化に対する収縮率が大きいため、当該接触面が平面でない場合には、音響レンズの収縮により音響レンズが剥離するおそれがあるからである。
[0143]
 また、より高い精度で圧電体と被検体との音響整合を行うと同時に、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。なぜなら、異なる音響インピーダンスを有する複数の整合部層によって、圧電体から被検体まで段階的に音響整合を行うとともに、複数の整合領域により超音波の透過率の周波数特性を広くすることができるからである。
[0144]
 また、超音波プローブは、広い温度範囲において広帯域の超音波を受信することができる。その結果、高い解像度の超音波診断画像を得ることができる。なぜなら、各整合部層の厚さが一定でない場合、整合部層の温度変化に対する収縮率の変化により整合部層同士が剥離するおそれがあるからである。
[0145]
 また、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、混合物における材料の混合率が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0146]
 また、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、整合領域の幅が超音波の波長より短い場合、超音波の透過率の周波数特性が所定の値となる整合領域を形成しないからである。
[0147]
 また、高い効率で複数の異なる密度を有する整合材を製造することができる。なぜなら、同一の材料を用い、それらの配合割合を変更するだけで、複数の異なる密度を有する整合材を製造することができるからである。
[0148]
 また、圧電体から被検体の方向へ伝播させる超音波の音圧を高めることができる。
[0149]
 また、整合層を透過する超音波の周波数帯域を広くすることができる。
[0150]
 (実施の形態2)
 図6は本実施の形態に係る超音波プローブの一例の断面図である。
[0151]
 図6に示されるように、本発明の超音波プローブ602は、圧電体208と、信号電極206と、接地電極207とを備える。また、バッキング201と、音響レンズ209とを備えることがより望ましい。
[0152]
 超音波プローブ602が従来型の超音波振動子304と異なる点は、接地電極207と被検体(図略)の間に整合層601を備える点である。
[0153]
 超音波プローブ602は、整合層601のX方向(各超音波振動子の長尺方向)の両端部の整合領域601cから放射される超音波の平均周波数が、中央部の整合領域601aから放射される超音波の平均周波数より高くなるように設計されている。
[0154]
 これによって、もともと集束させる用途に適している高い周波数の超音波を局所的により細く絞り、周波数が低い超音波を太く伝播させる。更に、被検体で反射した超音波信号を周波数ごとに分離して解析し、局所的に細いビーム(高い周波数)から得られた超音波診断画像と太いビーム(低い周波数)から得られた超音波診断画像の両方の情報を得ることが可能となる。
[0155]
 太いビームから得られた超音波診断画像は領域内の反射及び散乱が平均化された画像となるため、位置調節用に用いることで高速な位置あわせが可能である。また、局所的に細いビームから得られた超音波画像は局所部から得られた反射及び散乱の情報を平均化することなく高いコントラストで得ることが可能となる。
[0156]
 本実施の形態の超音波プローブは実施の形態1にて説明したように、マルチ透過率層や、マルチ透過F特層を用いて設計が可能であることは言うまでも無く、整合層の構成については、ここでは説明を省略する。
[0157]
 実施の形態1と実施の形態2とを比較して、それぞれの形態の特徴を説明する。実施の形態1は、安価に高S/Nの超音波診断が実現できる点で望ましい。また、実施の形態2は、初期癌の発見などのように、より詳細な画像による診断が必要な用途において望ましい。
[0158]
 また、更には、図2に示されるように複数の超音波振動子が1次元アレイ状に配列される超音波プローブにおいて、実施の形態1の超音波振動子と実施の形態2の超音波振動子とが交互に配列するようにすると望ましい。なぜなら、それぞれの超音波振動子を別々に制御することによって、両方の超音波振動子の特性を両立させることが可能となるためである。
[0159]
 また、実施の形態1、2に共通して、以下のことが言える。
[0160]
 実施の形態1及び実施の形態2において、円錐型の整合材とその円錐の間を埋める別の整合材からなる整合層の例(図7、図8、図13、図14、及び、図15など)について示したが、これらの整合層について以下のことが言える。
[0161]
 整合材は円錐形状である必要は無く、少なくとも凹凸があればよい。より望ましくは圧電体から被検体に向けて断面積が連続的に小さくなる形状であればよい。例えば、三角錐型、四角錐型、又は、釣鐘型などの先細柱状体のいずれであってもよい。先細注状体の凹凸の高低差及び幅が異なることで、実施の形態1にて説明した円錐型の高さや間隔が異なることと同様の効果が得られる。
[0162]
 また、図7及び図8の例では、整合層101の(圧電体から被検体方向への)厚みは、超音波の波長の半分より厚いことが望ましい。これによって、全領域の平均透過率が高くなり、より高感度な超音波プローブとなるため、被検体のより深部まで超音波診断画像が得られる。
[0163]
 また、実施の形態1及び実施の形態2に用いるマルチインピーダンス層について、以下のことが言える。
[0164]
 まず、音響インピーダンスが異なる各整合領域の幅は圧電体で発生する超音波の波長より長いことが望ましい。
[0165]
 なぜなら、超音波の波長以下の長さの範囲での音響インピーダンス高低差による透過率の周波数特性の差が、波の回折現象によって軽減されてしまうためである。各整合領域の幅を圧電体で発生する超音波の波長より長くすることで、より自由に音圧分布の周波数特性を設計することが可能となるため、より望ましい。
[0166]
 また、本実施の形態のマルチインピーダンス層において、音響インピーダンスが異なる複数の領域が、図9ではX方向に垂直な面で分割されているが、必ずしもX方向に垂直な面である必要はなく、分割される面はZ方向に垂直な面でなければよい。
[0167]
 また、本実施の形態では、銅、銀、及び、アクリルと二酸化ケイ素の混合物とからなる整合層を用いたが、これらは一例であって、鉄又はタングステンなど、他の材料を用いてもよいことは言うまでもない。
[0168]
 本実施の形態で示した銅、銀、アクリルと二酸化ケイ素との混合物は、その混合割合を変えることで、音響インピーダンスの変化が大きく、且つ、音速がほぼ一定となる。そのため、各整合領域を透過する超音波の時間ズレによる超音波診断画像の画質低下を抑制することが可能となるため、本発明に望ましい材料と言える。
[0169]
 特に、銀と二酸化ケイ素との混合物は、代替材料が少ない音響インピーダンスが高い領域において、広い範囲で音響インピーダンスを調節することが可能である。そのため、より自由な透過率分布の設計が可能となるため望ましい材料といえる。
[0170]
 また、銅と二酸化ケイ素との混合物は、安価に広い範囲で音響インピーダンスの調節が可能となるため望ましい。
[0171]
 また、それぞれ、上記の範囲の中で、二酸化ケイ素に混合させる銀、銅の割合を増やすことで、密度が単調増加し、アクリルの割合を増やすことで密度が単調減少するため、整合層の設計が容易となる。
[0172]
 また、整合層材料を成膜した後、焼結工程を行うことが望ましい。つまり、前記整合層は銀又は銅などの金属粒子が結合材料内で単独で分散した常態で用いられるのではなく、各々の粒子を結合しバルク化することが望ましく、これによって、より高いインピーダンスの膜を得ることも可能となり、より設計の自由度が高まる。
[0173]
 また、二酸化ケイ素に混合させる金属は、数百ナノメートル台を下回る金属ナノ粒子であることが望ましい。金属ナノ粉末は、その表面積の大きさから反応性に富み、粒径に依存して焼結開始温度が100℃から350℃と変化するが、安価な加熱手段で、昇温、降温の時間を短縮することが可能であり、安価な整合層の作製が可能となる。
[0174]
 また、上記において、結合材として二酸化ケイ素を用いた例について示したが、酸化チタン又は酸化ニオブなどのほかの無機系結合材を用いてもよく、有機系の結合材を用いてもよい。ただし、二酸化ケイ素を用いた上記例では、音速の変化を抑えて密度の変化を大きくすることができており、更に、安価であることなども考慮し、本発明の結合材として最適な材料である。
[0175]
 更には、本発明の超音波振動子における整合層は、整合層用の材料を水などによって希釈し、印刷又はスプレー方式によって成膜することが望ましい。材料ごとに異なるノズルを用いて、印刷又はスプレー方式で成膜することによって、場所ごとに混合材料の濃度を変えることが容易である。よって、蒸着、スパッタ、スピンコーターなどの手段を用いた場合に比べて、安価にマルチインピーダンス層を形成することが可能となるため本発明において望ましい。
[0176]
 また、上述のように複数の材料の濃度を場所(領域)ごとに変えることによって実現されたマルチインピーダンス層において、隣り合う領域には同一の材料を含んでいることが望ましい。なぜなら、領域ごとの密着性が向上するため超音波振動子の振動耐性や耐熱性が向上するからである。
[0177]
 また、上述のように複数の材料の混合物からなる整合層とする場合は、平均粒径が一桁程度(少なくとも5倍)以上異なる材料の混合物とすることがより望ましい。なぜなら、粒径が異なる複数材料の混合物であることによって、濃度が異なる複数の領域で、混合物の配合比の変化に伴う音速の変化を抑制することが可能となるからである。
[0178]
 また、整合層に焼結材料を含むことがより望ましい。
[0179]
 以上、実施の形態1及び実施の形態2において、本発明の超音波プローブ及び超音波診断装置として、1次元アレイ型の超音波プローブとそれを備えた超音波診断装置とについて示したが、本明細書にて、実施の形態に示した構成は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であることは言うまでもない。
[0180]
 つまり、K31モードを用いた超音波プローブにおいても、同様の効果を発揮する。つまり、超音波プローブと被検体との接触面において、超音波の音圧-周波数特性が異なる複数の領域を備えることにより、高精度な超音波診断装置が可能となる。
[0181]
 また、圧電体208とバッキング201との間にも、整合層(図略)を備えることがより望ましく、圧電体208とバッキング201との間の整合層もマルチ透過率層や更には周波数ごとに透過率が異なる整合層であることが望ましく、圧電体208を含む超音波振動子のQ値が領域ごとに異なることによる超音波パルス波形の違いを軽減することが可能となる。つまり、被検体側のマルチ透過率層の透過率が比較的高い領域では、バッキング201側のマルチ透過率層の透過率を比較的低く、被検体側のマルチ透過率層の透過率が比較的低い領域では、バッキング201側のマルチ透過率層の透過率を比較的高く設計することが望ましい。これによって、領域ごとに生成される超音波のパルス波形の違いが軽減されるため、深さ方向の超音波診断画像における解像度が向上する。
[0182]
 また、圧電体とバッキングとの間に超音波の反射率を高める透過防止層を備えてもよい。それによって、より高感度の超音波プローブを実現することが可能となるため、より被検体の深部まで超音波診断が可能となる。
[0183]
 また、被検体との接触面における、音圧分布を設計することが可能な超音波プローブとしては、2次元アレイ型超音波プローブで、X方向についても超音波振動子ごとに異なる電圧を印加する方法なども考えられる。しかし、各超音波振動子が細く、製造歩留まりの低下や、落下衝撃などに対する信頼性も低下する。また、製造工数も増加するため高価格化を招く。
[0184]
 このため、本発明のように透過率分布を作り出す整合層を備える方式がより望ましい。
[0185]
 また、2次元アレイ型超音波プローブで、且つ、本発明のように透過率分布を備えた整合層を備えることがより望ましく、より少ない分割数で、より高いS/Nが実現できるため、製造歩留まりの低下や、落下衝撃に対する信頼性の低下、製造工数増加による高価格化を抑えることが可能となる。
[0186]
 また、各振動子の中央からX方向の両端に近づくほど、超音波の音圧が低い超音波プローブを実現する方法として、超音波振動子に溝加工を施して圧電体の密度分布を形成する方法や、分極強度の分布を持たせる方法、各振動子の中央からX方向の両端に近づくほど電極(信号電極と接地電極の少なくとも一方)を細くする方法などを用いてもよい。ただし、超音波振動子に溝加工を施す方法では、製造工程が複雑となり安定性が低下する。また、分極強度の分布を持たせる方法では分極工程が複雑となる。また、各振動子の中央からX方向の両端に近づくほど電極を細くする方法では、切断箇所と電極の位置あわせが複雑となり、製造歩留まりが低下する。そのため、本実施の形態にて示した整合層を用いることが望ましい。
[0187]
 また、本発明と同様に透過率分布を作り出す整合層として、各超音波振動子の中央とX方向の両端で平均粒径が異なる整合層などを用いてもよいが、粒径が大きく減衰が多い領域で散乱した音波が超音波診断画像におけるノイズの原因となるため、本実施の形態にて示した整合層の構成がより望ましい。
[0188]
 以上、実施の形態1及び実施の形態2において、本発明の超音波プローブについて示した。従来型と同様に、図2のような1次元アレイ型や2次元アレイ型に配列された超音波プローブとし、図4のような超音波診断装置に用いることで記述のS/N向上等の効果を有する。
[0189]
 (実施の形態3)
 本実施の形態において、密度の異なる複数の整合領域を備える整合層を有する超音波振動子について説明する。
[0190]
 図22は本実施の形態に係る超音波振動子の一例の断面図である。
[0191]
 図22の超音波振動子は、圧電体102を備え、圧電体の向い合った一対の面に形成された駆動電極206及び207を備える。これによって、超音波を送信し、受信する。また、圧電体208と駆動電極206及び207によって生成された超音波を効率よく被検体との間で送受信するために整合層2201及び2202を備える。更に、整合層2202と被検体との間には、診断画像の分解能を高めるために超音波ビームを絞る役目を保持する音響レンズ209を備える。
[0192]
 整合層2201は密度が異なる2つの整合領域2201a及び2201bからなる。また、ここで整合領域2201a及び2201bは超音波が伝播するZ方向に平行な面で分割されている。
[0193]
 本願発明者は鋭意検討を行い、密度の異なる複数の整合領域を備える整合層が以下のように実現可能であることが判明した。
[0194]
 図22は、本発明の本実施の形態に係る超音波振動子の一例の断面図である。
[0195]
 図22に示される超音波振動子について、圧電体208はPZT系の圧電セラミック(密度約7.4g/cc、音速約3500m/s)とし、一対の向い合う表面に銀を焼き付けることによって、駆動電極206及び207を形成した。
[0196]
 また、整合層2202は、銀約90%、二酸化ケイ素約10%の混合物(密度約6.6g/cc、厚み約45μm)とし、整合層2201の整合領域2201aは、銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(密度約5.4g/cc、厚み約90μm、音速約1800m/s)、整合層2201の整合領域2201bは、アクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約1.1g/cc、厚み約90μm、音速約1800m/s)とした。
[0197]
 また、音響レンズ209は、生体と音響インピーダンスが近いシリコーンゴム(密度約1.5g/cc、音速約947m/s)を用いた。
[0198]
 図24は、本発明の実施の形態3に係る整合層の透過特性を示す図である。
[0199]
 図24に、上記構成の超音波振動子の、整合層2201及び2202の各周波数に対する透過率の2乗(以降、透過特性とする。)を示す。ここで透過率の2乗としたのは、超音波振動子で診断を行う場合、超音波は圧電体と被検体との間を往復するため、整合層を2度通過するためである。
[0200]
 より詳細には、図24は、整合層2202と整合層2201の領域2201aの透過特性を示し、図25は、整合層2202と整合層2201の領域2201bの透過特性を示す。
[0201]
 図25から分かるように、2つの領域の透過特性は大きく異なる。図24では透過率が最大となるピーク周波数は約4MHzであるのに対して、図25では約7MHzとなっている。
[0202]
 このように、2層の整合層を備える場合、そのうちの少なくとも1層の密度を変えることで透過する超音波の周波数を変えることが可能となることが判明した。(以降、整合層101のように密度の異なる複数の領域を備える(整合)層を「マルチ密度層」とする。)
[0203]
 また、図24では、マルチ密度層が密度5.4g/ccと密度1.1g/ccの2種類の場合について、その透過特性を示したが、同様に、図22の構成の超音波振動子でマルチ密度層が下記の場合について透過特性を評価し、マルチ密度層の密度と平均透過周波数の関係を調べた結果、図27のような関係となった。
[0204]
 (1)(銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(密度約5.4g/cc):101a)
 (2)銅約80%、二酸化ケイ素約20%の混合物(密度約4.3g/cc)
 (3)銅約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約3.3g/cc)
 (4)二酸化ケイ素100%(密度約2.1g/cc)
 (5)(アクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約1.1g/cc):101b)
[0205]
 いずれの場合も音速は約1800m/sであった。また、厚みは約90μmとした。
[0206]
 図27から、本実施の形態の構成では、マルチ密度層の密度増加に対して平均透過周波数は低下することが判明した。
[0207]
 また、以上では整合層105の厚みが45μm、整合層101の厚みが90μm(音速はともに約1800m/s)である例について示したが、本発明の実施の形態としては、各整合層の厚みに限定されず、広帯域化の効果を発揮する。
[0208]
 例えば、図26に整合層2201及び2202の厚みがともに45μmの場合について、整合層2201の密度と2層の整合層を透過する平均周波数の関係を示す。図26に示されるように、2層の整合層の厚みが同じ場合もマルチ密度層の密度増加に対して平均透過周波数は低下する。ここで、図26は、例として整合層2202は銀約95%、二酸化ケイ素約5%の混合物(密度約8.6g/cc)の場合の関係を示す図である。
[0209]
 以上のように、本発明の一態様に係る超音波プローブにより、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を実現することができる。なぜなら、密度が異なる複数の整合領域は、超音波の透過率の周波数特性が異なるからである。
[0210]
 (実施の形態4)
 図30は、本実施の形態に係る超音波振動子の一例を示す概略断面図である。
[0211]
 図30の超音波振動子は、図22に示した実施の形態3の超音波振動子と同様に、圧電体208と、圧電体208の向い合った一対の面に形成された駆動電極206及び207と、2層の整合層、音響レンズ209からなる。2層の整合層は、整合層3001、3002であり、整合層3002がマルチ密度層となる。
[0212]
 つまり、実施の形態3では2層の整合層のうち、被検体側の層がマルチ密度層であったのに対して、本実施の形態では2層の整合層のうち、圧電体208側の層がマルチ密度層となる。
[0213]
 本願発明者は、鋭意検討を行い、上記のマルチ密度層を有する2層の整合層が、以下のように実現可能であることが判明した。
[0214]
 本実施の形態では、整合層3001をアクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約1.1g/cc、厚み約90μm)とし、整合層3002の整合領域3002aを銀約95%、二酸化ケイ素約5%の混合物(密度約8.6g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3002bを銀約90%、二酸化ケイ素約10%の混合物(密度約6.6g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3002cを銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(密度約5.4g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3002dを銅約80%、二酸化ケイ素約20%の混合物(密度約4.3g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3002eを銅約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約3.3g/cc、厚み約45μm)とした。
[0215]
 また、いずれの領域についても、音速は約1800m/sであった。
[0216]
 上記構成で、マルチ密度層(整合層3002)の各領域の平均透過周波数を求め、マルチ密度層(整合層3002)の密度と、2層の整合層の平均透過周波数の関係について、図31に実線3101で示す。
[0217]
 図31から、マルチ密度層の密度が増加するほど平均透過周波数は低下することが判明した。
[0218]
 また、図23に示すように体側の整合層(図30における整合層3001)が、二酸化ケイ素100%(密度約2.1g/cc、厚み約90μm)の整合層2301の場合、整合層3002の密度と、2層の整合層の平均透過周波数の関係は図31の点線3102に示す関係となる。
[0219]
 整合層3002の密度が同じ場合でも、整合層3001の密度が変わることで平均透過周波数が変化する。つまり、2層の整合層を備え、その両方がマルチ密度層となることで、より実現可能な帯域幅が拡大できる(より広帯域化が可能である)ことが判明した。
[0220]
 よって、複数の整合層を備え、そのうち1層がマルチ密度層である超音波振動子より、複数のマルチ密度層を備えた超音波振動子のほうが、より広帯域化が可能となるため望ましい。
[0221]
 実施の形態3及び実施の形態4より、2層の整合層を備えて、且つ、少なくとも1層をマルチ密度層とすることで、整合層の厚みを変えることなく、様々な周波数の超音波を送受することが可能となり、広帯域な超音波振動子とすることが可能となることが判明した。
[0222]
 (実施の形態5)
 次に、3層の整合層を備えて、且つ、少なくとも1層をマルチ密度層とした例について図32を用いて示す。
[0223]
 本願発明者は、鋭意検討を行い、少なくとも1層をマルチ密度層とする3層の整合層が、以下のように実現可能であることが判明した。
[0224]
 図32の超音波振動子は、実施の形態3の超音波振動子と同様に、圧電体208と、圧電体208の向い合った一対の面に形成された駆動電極206及び207と、整合層、音響レンズ209からなる。
[0225]
 図32の超音波振動子における整合層は3層の整合層から構成されており、整合層3201はアクリル約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約1.1g/cc、厚み約45μm)、整合層3203は銀約90%、二酸化ケイ素約10%の混合物(密度約6.6g/cc、厚み約90μm)とする。
[0226]
 また、整合層3202はマルチ密度層であり、整合領域3202aを銀約88%、二酸化ケイ素約12%の混合物(密度約6.0g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3202bを銀約85%、二酸化ケイ素約15%の混合物(密度約5.4g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3202cを銅約80%、二酸化ケイ素約20%の混合物(密度約4.3g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3202dを銅約55%、二酸化ケイ素約45%の混合物(密度約3.3g/cc、厚み約45μm)とし、整合領域3202eを二酸化ケイ素約100%(密度約2.1g/cc、厚み約45μm)とした。
[0227]
 また、いずれの領域についても、音速は約1800m/sであった。
[0228]
 上記構成で、マルチ密度層(整合層3202)の各領域の平均透過周波数を求め、マルチ密度層(整合層3202)の密度と、3層の整合層の平均透過周波数の関係について、図33に実線3301で示す。
[0229]
 図33から、マルチ密度層の密度が増加するほど平均透過周波数は低下することが判明した。
[0230]
 また、図34に示すように体側の整合層(図32における整合層3203)が、銀約95%、二酸化ケイ素5%の整合層3401の場合、整合層3202の密度と、3層の整合層の平均透過周波数の関係は図33の点線3302に示す関係となる。
[0231]
 整合層3202の密度が同じ場合でも、整合層3203の密度が変わることで平均透過周波数が変化することがわかる。つまり、3層の整合層を備え、そのうち2層がマルチ密度層となることで、3層のうち1層のみがマルチ密度層の場合より実現可能な帯域幅が拡大できる(より広帯域化が可能である)ことがわかる。
[0232]
 つまり、実施の形態4と同様に、3層の整合層を備える場合についても、複数のマルチ密度層を備えることでより広帯域かが可能となるため望ましいといえる。
[0233]
 なお、実施の形態3から5について、共通して下記のことが言える。
[0234]
 実施の形態3から5において、2層又は3層の整合層を備えた超音波振動子について示したが、4層以上、または、1層の整合層の場合にも同様に、少なくともそのうち1層がマルチ密度層であることで本発明の効果を発揮する。しかし、1層の整合層を備える場合(すなわちマルチ密度層のみを備える場合)に比べて、2層以上の整合層を備えて、且つ、少なくとも1層がマルチ密度層であることによって、広帯域化の効果は、劇的に向上する。このため、2層以上の整合層を備えて、且つ、少なくとも1層がマルチ密度層となる構成が望ましい。
[0235]
 また、本実施の形態3から5において、マルチ密度層は密度の異なる領域をそれぞれ1つずつ備えた層として説明したがたが、図28に実施の形態3の別の形態を示すように、整合層2801のように同じ密度の領域を2つ以上備える構成としてもよい。同じ密度の領域を複数個所に備えることで、被検体内における超音波ビーム形状の周波数依存性をより軽減することが可能となり、超音波ビームスキャン方向(X方向やY方向)の解像度が向上するため望ましい。
[0236]
 また、本発明の超音波振動子におけるマルチ密度層において、密度が異なる各領域の幅(少なくとも一方向のは領域幅)は圧電体で発生する超音波の波長より長いことが望ましい。
[0237]
 これは、超音波の波長以下の密度変化による広帯域化の効果の一部は、波の回折現象によって解消されてしまうためであり、各領域の幅を圧電体で発生する超音波の波長より長くすることで、より大きな広帯域化の効果が得られ、より望ましい。
[0238]
 また、図29に、マルチ密度層の密度分布の例を示す。ここでは横軸をX方向としているが、Z方向に垂直な(XY面内の)方向なら任意の方向を横軸としてもよい。また、前述の理由(波長以上の幅の領域での密度変化により、広帯域化への効果が大きくなる)により縦軸は超音波の波長と同じ(横軸の:ここではX方向の)長さ領域の平均密度とした。例えば、整合層2201の密度分布を図29に示すと、点線2901で示すように1.1g/ccの部分と5.4g/ccの部分に2分される。
[0239]
 しかし、例えば、実線2902や破線2903のように連続的に密度が変化するマルチ密度層であっても、超音波の波長と同程度の長さ領域で平均した密度が場所によって変化するマルチ密度層であれば、広帯域化の効果は大きいため、本発明の効果を発現する。
[0240]
 また、本実施の形態のマルチ密度層において、密度の異なる複数の領域(2201a及び2201b)が、図22ではY方向に垂直な面で分割されているが、必ずしもY方向に垂直な面である必要はなく、分割される面はZ方向に垂直な面でなければよい。
[0241]
 また、本実施の形態では、銅、銀、又は、アクリルと二酸化ケイ素との混合物からなる整合層を用いたが、これらは一例であって、鉄又はタングステンなど、他の材料を用いてもよいことは言うまでもない。
[0242]
 しかし、ここで示した銅、銀、又は、アクリルと二酸化ケイ素との混合物は、その混合割合を変えることで、密度の変化が大きく、且つ、音速がほぼ一定となるため、各領域を透過する超音波の時間ズレによる超音波診断画像の画質低下を抑制することが可能となるため本発明に望ましい材料と言える。
[0243]
 特に、銀は、例えば、二酸化ケイ素に混合させる割合を0%から99%までの範囲で任意の割合とすることで、約2.2から約8.6g/ccと広範囲の中で任意の密度を実現することが可能であり、銀を混合させて、その濃度を場所ごとにかえることで広帯域化の効果はより大きい。
[0244]
 また、銅は、例えば、二酸化ケイ素に混合させる割合を0%から90%までの範囲で任意の割合とすることで、約2.2から約5.6g/ccの範囲の中で任意の密度を実現することが可能であり、また、非常に安価な整合層の実現が可能となるため望ましい。
[0245]
 また、アクリルは、例えば、二酸化ケイ素に混合させる割合を0%から55%までの範囲で任意の割合とすることで、約2.2から約1.1g/ccの範囲の中で任意の密度を実現することが可能であり、望ましい。
[0246]
 それぞれ、上記の範囲の中で、二酸化ケイ素に混合させる銀又は銅の割合を増やすことで、密度が単調増加し、アクリルの割合を増やすことで密度が単調減少するため、整合層の設計が容易となる。
[0247]
 また、整合層材料を成膜した後、焼結工程を行うことが望ましい。つまり、前記整合層は銀、銅などの金属粒子が結合材料内で単独で分散した常態で用いられるのではなく、各々の粒子を結合しバルク化することが望ましく、これによって、より高いインピーダンスの膜を得ることが可能となり、広帯域化の効果も大きくなる。
[0248]
 また、二酸化ケイ素に混合させる金属は、数百ナノメートル台を下回る金属ナノ粒子であることが望ましい。金属ナノ粒子は、その表面積の大きさから反応性に富み、焼結開始温度が100℃から350℃と粒径に依存して温度は変化するが、安価な加熱手段で、昇温、降温の時間を短縮することが可能であり、安価な整合層の作製が可能となる。
[0249]
 また、上記において、結合材として二酸化ケイ素を用いた例について示したが、酸化チタンや酸化ニオブなどのほかの無機系結合材を用いてもよく、有機系の結合材を用いてもよい。ただし、二酸化ケイ素を用いた上記例では、音速の変化を抑えて密度の変化を大きくすることができており、更に、安価であることなども考慮し、本発明の結合材として最適な材料である。
[0250]
 更には、本発明の超音波振動子における整合層は、整合層用の材料を水などによって希釈し、印刷やスプレー方式によって成膜することが望ましい。材料ごとに異なるノズルを用いて、印刷やスプレー方式で成膜することによって、場所ごとに混合材料の濃度を変えることが容易であり、蒸着、スパッタ、スピンコーターなどの手段を用いた場合に比べて、安価にマルチ密度層を形成することが可能となるため本発明において望ましい。
[0251]
 また、上述のように複数の材料の濃度を場所(整合領域)ごとに変えることによって実現されたマルチ密度層において、隣り合う領域には同一の材料を含んでいることが望ましく、整合領域ごとの密着性が向上するため超音波振動子の振動耐性及び耐熱性が向上する。
[0252]
 また、上述のように複数の材料の混合物からなる整合層とする場合は、平均粒径が一桁程度(少なくとも5倍)以上異なる材料の混合物とすることがより望ましく、粒径が異なる複数材料の混合物であることによって、濃度が異なる複数の領域で音速をほぼ一定に保つことが可能となる。
[0253]
 マルチ密度層の密度が異なる複数の領域において、厚み又は音速も異ならせることによって、上述のように各領域を透過する時間のずれによる超音波波形の劣化の課題を引き起こす。しかし、更に広帯域化の効果が大きくなる。このため、密度と、厚み又は音速との両方が異なる複数の領域を備える構成としてもよい。つまり、従来例(特許文献1)との組み合わせた構成としてもよい。
[0254]
 本発明では密度も異なるため、従来例に比べて、少ない音速や厚みの違いで、広帯域化が可能であり、単に従来例をそのまま用いる場合に比べて、超音波波形の劣化を抑制して広帯域化が可能となる。
[0255]
 マルチ密度層における複数の領域において、音速又は厚みが異なる構成とする場合は、各整合領域を超音波が通過する時間のずれが、超音波の一周期の1/4以下であることが望ましい。なぜなら、より超音波波形の劣化による解像度の低下を抑制することが可能となるためである。
[0256]
 (実施の形態6)
 本実施の形態では、実施の形態3から5に示す超音波振動子を備えた超音波診断装置について示す。
[0257]
 本実施の形態の超音波診断装置の構成は、図4に示されるとおりである。ただし、超音波プローブ403は図2に示される構成である。超音波プローブ403は、実施の形態3から5において示した超音波振動子を備える。
[0258]
 信号電極206及び接地電極207が、圧電体208の向い合った一対の面に形成されており、複数の圧電体208が1次元アレイ状に、信号配線206が形成された面で、不要な音波を吸収するバッキング材201に接着される。
[0259]
 圧電体208の+Z側には整合層203を備え、整合層203の+Z側には音響レンズ209を備え、音響レンズを通して被検体(図略)に超音波を放射する構成となる。
[0260]
 ここで、実施の形態3から5に記載したように、整合層203はマルチ密度層を含む。
[0261]
 実施の形態3から5に記載の超音波振動子(マルチ密度層を含む整合層を備えた超音波振動子)を用いた超音波プローブによって、より広帯域の超音波送受信が可能となり、高解像度な超音波診断が可能な超音波診断が可能となる。
[0262]
 また、通常、図35に示すように、マルチ密度層を備えない整合層3503を備えた超音波振動子から放射された超音波を一つの音響レンズで集束させる場合、周波数が高い超音波ほど強い集束効果を受けるため、図35に点線3501で示すように細く絞れるが、周波数が低い超音波ほど集束効果が弱く、実線3502で示すように太い超音波ビームとなってしまう。
[0263]
 このように周波数によって太さの異なる超音波ビームとして被検体内を伝播することは、つまりは、被検体内の場所によって超音波パルスの波形が異なる形状となることを意味し、超音波診断画像の画質低下を引き起こす。
[0264]
 このため、図36に示すように、本発明の整合層3603(少なくとも一層のマルチ密度層を含む)を用いて、X方向(各超音波振動子の長尺方向)の両端から放射される超音波の平均周波数が、中心部分から放射される超音波の平均周波数より低くなるように設計することが望ましい。例えば、実施の形態3から5に示した例では、いずれの場合もマルチ密度層の密度が高いほど平均透過周波数は低くなっており、これらの場合は、マルチ密度層の密度がX方向の両端ほど高くなる構成とすることで、上記を実現することができる。
[0265]
 点線3601で示すように周波数が高い超音波ほど中心付近から放射され、実線3602で示すように周波数が低い超音波ほど広い領域から放射される構成とすることによって、一つの音響レンズで集束した場合にも、被検体内のビーム太さを同程度に調節することが可能となり、被検体内の場所による超音波パルス波形の変化を抑制することで超音波診断画像の画質低下を抑制することが可能となる。
[0266]
 また、図37に示すように、本発明の整合層3703(少なくとも一層のマルチ密度層を含む)を用いて、X方向(各超音波振動子の長尺方向)の両端から放射される超音波の平均周波数が、中心部分から放射される超音波の平均周波数より高くなるように設計することで、点線3701が示すように周波数が高い超音波を細く絞り、実線3702が示すように周波数が低い超音波を太く伝播させる構成とすることも可能である。
[0267]
 図37のような構成とし、被検体で反射した超音波信号を周波数ごとに分離して超音波診断画像を作製することによって、細いビームから得られた超音波診断画像と太いビームから得られた超音波診断画像の両方の情報を得ることが可能となる。
[0268]
 太いビームから得られた超音波診断画像は領域内の反射又は散乱が平均化された画像となるため、位置調節用に用いることで高速な位置あわせが可能となり、細いビームから得られた超音波診断画像は局所部から得られた反射又は散乱の情報を平均化することなく高いコントラストで得ることが可能となる。
[0269]
 より一般的で安価に高S/Nの超音波診断が実現できる構成としては図36の構成が望ましいが、初期癌の発見などのように、より詳細な画像による診断が必要な用途においては、図37の構成が望ましい。
[0270]
 また、更には、図2に示されるように複数の超音波振動子が1次元アレイ状に配列される超音波プローブにおいて、図36の構成の超音波振動子と図37の構成の超音波振動子の両方を備え、それぞれの超音波振動子を別のタイミングで超音波振動させることによって、両方の超音波振動子の特性を両立させることが可能となるため望ましい。
[0271]
 また、より望ましくは、異なる順序の超音波振動子が一次元アレイ状に配列されてもよい。それぞれの超音波振動子が異なる周波数特性で超音波を送信することにより、広い周波数帯域を有する超音波を送信することができる。
[0272]
 また、より望ましくは、同じ構成の超音波振動子が周期的に等間隔に配置されていることが望ましい。例えば、図36の構成の超音波振動子と図37の構成の超音波振動子が交互に配列されている超音波プローブが望ましい。また、図36の構成の超音波振動子の2つと図37の構成の超音波振動子の1つが、3つの超音波振動子セットとして周期的に配列されている構成などが望ましい。
[0273]
 上述のように、周期的に配列することによって、両方の超音波振動子の特性について、より高い解像度で両立させることが可能となる。
[0274]
 なお、本実施の形態では1次元アレイ型の超音波プローブについて示したが、言うまでもなく、2次元アレイ型の超音波プローブについても同様の効果を発揮する。
[0275]
 また、診断装置と超音波プローブとをケーブルで接続する構成の超音波診断装置について説明したが、両者間を無線で信号を伝送する構成としてもよい。
[0276]
 以上、本発明の超音波振動子、及び、超音波診断装置について示したが、本明細書にて示した構成は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であることは言うまでもない。
[0277]
 以上のように、本発明の一態様に係る超音波プローブにより、高い解像度の超音波診断画像を取得することができる。
[0278]
 また、高いS/Nの超音波診断画像を取得することができる。
[0279]
 また、高い解像度であり、かつ、S/Nの高い超音波診断画像を取得することができる。
[0280]
 以上、本発明の実装方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。

産業上の利用可能性

[0281]
 本発明にかかる超音波プローブにより、サイドローブの抑制や周波数ごとの音場分布を任意に設計することが可能となり、高解像度の超音波診断装置用超音波プローブ等として有用である。

符号の説明

[0282]
  101、203、301、601、703、804、904、1301、1401、1501、1606、1607、2006、2007、2008 整合層
  101a、101b、101c、601a、602b、602c、703a、703b、703c、804a、804b、804c、904a、904b、904c、1601、1602、1603、1604、1605、2001、2002、2003、2004、2005 整合領域
  102、304、403、602 超音波プローブ
  103 メインローブ
  104 サイドローブ
  201 バッキング
  202 接地配線
  204 信号配線
  205 超音波振動子
  206 信号電極
  207 接地電極
  208 圧電体
  209 音響レンズ
  302 メインローブ
  303 サイドローブ
  401 超音波診断装置
  402 被検体
  404 診断装置本体
  405 ケーブル
  701、801、802、803、901、902、903 第二整合材
  702 第一整合材
 1502 第三整合材

請求の範囲

[請求項1]
 被検体を超音波診断するために用いられる、超音波振動子を備える超音波プローブであって、
 前記超音波振動子は、
 超音波を発生させる圧電体と、
 前記圧電体から見て所定方向に配置され、前記圧電体と前記被検体との音響整合を行うための第一の整合層と
 を備え、
 前記第一の整合層は、前記所定方向の厚さが一定であり、前記所定方向に垂直な方向に配列された、超音波の透過率の周波数特性が互いに異なる少なくとも2つの整合領域を含む複数の整合領域を有する
 超音波プローブ。
[請求項2]
 前記複数の整合領域は、密度が互いに異なる少なくとも2つの整合領域を含む
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項3]
 前記第一の整合層は、
 互いに音響インピーダンスが異なる複数の整合材を含み、前記複数の整合材のうちの少なくとも1つが、前記所定方向と平行な、複数の先細形状を有し、
 前記先細形状の太さは、前記所定方向に連続的に増加又は減少する
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項4]
 前記複数の整合領域の1つにおける前記所定方向に垂直な面における単位面積あたりの前記先細形状の個数が、他の整合領域の当該面における単位面積あたりの前記先細形状の個数と異なる
 請求項3に記載の超音波プローブ。
[請求項5]
 前記整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記所定方向の大きさが、他の整合領域における前記先細形状の前記所定方向の大きさと異なる
 請求項3に記載の超音波プローブ。
[請求項6]
 前記整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記整合領域の配列方向の幅が、他の整合領域における前記先細形状を有する整合材の前記整合領域の配列方向の幅と異なる
 請求項3に記載の超音波プローブ。
[請求項7]
 前記第一の整合層の表面及び裏面のうち、前記圧電体から遠い方の面が平面である
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項8]
 前記第一の整合層は、
 前記所定方向に積層された複数の整合部層を有し、
 前記複数の整合部層のうち少なくとも1つが、前記所定方向に垂直な方向に配列された、超音波の透過率の周波数特性が異なる複数の整合領域を有する
 請求項1~6のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項9]
 前記複数の整合部層のそれぞれは、前記所定方向の厚さが一定である
 請求項8に記載の超音波プローブ。
[請求項10]
 前記第一の整合層は、
 複数の材料を所定の混合率で混合した混合物により形成され、
 前記整合領域における混合率が、他の整合領域における混合率と異なる
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項11]
 前記第一の整合層は、焼結材料を含む
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項12]
 前記第一の整合層は、少なくとも、二酸化ケイ素と、銀、銅及びアクリル系の材料のうち少なくとも1種類の材料とを含む
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項13]
 前記第一の整合層は、粒径が互いに5倍以上異なる複数の粒子を材料として含む
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項14]
 前記整合領域の配列方向の前記整合領域の幅が、前記超音波診断で用いられる超音波の波長以上である
 請求項1~10のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項15]
 1ミクロン以下の粒径の金属ナノ粒子が配合され、当該第一の整合層の少なくとも一部が金属バルク化され、当該第一の整合層の密度が金属ナノ粒子の配合割合により決定される
 請求項2に記載の超音波プローブ。
[請求項16]
 前記超音波振動子は、さらに、
 前記圧電体に対して前記第一の整合層が配置される側の反対側に配置され、超音波を吸収するためのバッキング材と、
 前記バッキング材と前記圧電体との間に配置され、前記所定方向に垂直な方向に配列された、透過する超音波の周波数が異なる複数の整合領域を有する第二の整合層とを備える
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項17]
 前記超音波振動子は、さらに、
 前記圧電体に対して前記第一の整合層が配置された側の反対側に配置され、超音波を吸収するためのバッキング材と、
 前記バッキング材と前記圧電体との間に配置され、超音波を反射する性質を有する高反射層とを備える
 請求項1に記載の超音波プローブ。
[請求項18]
 複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、
 複数の前記超音波振動子のそれぞれにおいて、前記整合領域の配列方向の両端部の前記整合領域が透過する超音波の周波数の平均値である平均周波数より、前記配列方向の中央部の前記整合領域が透過する超音波の前記平均周波数が低い
 請求項1~17のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項19]
 複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、
 複数の前記超音波振動子のそれぞれにおいて、前記整合領域の配列方向の両端部の前記整合領域が透過する超音波の周波数の平均値である平均周波数より、前記配列方向の中央部の前記整合領域が透過する超音波の前記平均周波数が高い
 請求項1~17のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項20]
 複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、
 複数の前記超音波振動子のそれぞれにおける前記整合領域の順序が、他の超音波振動子における前記整合領域の順序と異なる
 請求項1~17のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項21]
 複数の前記超音波振動子が一次元アレイ状に配列され、
 複数の前記超音波振動子のそれぞれにおける前記整合領域の順序の、超音波プローブにおける配列パターンが周期的である
 請求項1~17のいずれか1項に記載の超音波プローブ。
[請求項22]
 請求項1~21のいずれか1項に記載の超音波プローブと、
 前記圧電体に超音波を発生させるための信号を生成し、前記超音波プローブが被検体から受信した信号に基づいて超音波診断画像を生成する診断装置と
 を備える超音波診断装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]

[ 図 32]

[ 図 33]

[ 図 34]

[ 図 35]

[ 図 36]

[ 図 37]