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1. WO2021065756 - 回転体駆動システム

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明 細 書

発明の名称 回転体駆動システム 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 回転体駆動システム

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2019年10月1日に出願された日本出願番号2019-181703号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、回転体を駆動する回転体駆動システムに関する。

背景技術

[0003]
 車両駆動システムの中には、タイヤを駆動するモータとそれを駆動するインバータとを有する駆動システム(電源系統)を、複数有するものがある。そして、そのような技術を示す文献としては、次の特許文献1がある。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-35243号公報

発明の概要

[0005]
 上記のような車両駆動システムによれば、いずれかの駆動システムに不調が生じた場合にも、他の駆動システムによりその機能を補うことができる。そのため、車両が走行不能に陥るのを回避することができる。
[0006]
 しかしながら、このような車両駆動システムにおいても、いずれかの駆動タイヤがぬかるみや氷雪等に入ってそのタイヤのトラクションが低下した場合には、通常の車両駆動システムと同様に、当該駆動タイヤ以外の駆動タイヤのトルクしか地面に伝わらなくなる。そのため、当該ぬかるみや氷雪等からの脱出が困難になってしまう。
[0007]
 他方、当該トラクションが低下した駆動タイヤ以外の駆動タイヤのトルクのみでも、当該ぬかるみや氷雪等から充分脱出できる走破性能を確保しようとすると、大出力のインバータが必要となる。
[0008]
 また、これと類似の課題は、車両駆動システム以外の回転体駆動システムについても起こり得る。具体的には、例えば、ドローン駆動システムにおいて、ドローンが有する複数のプロペラのうちの1又は複数のプロペラが破損等により故障した場合には、残りのプロペラによる出力のみで飛行を維持しつつ軟着陸する必要がある。この場合において、残りのプロペラのみで飛行を維持できるだけの飛行性能を確保しようとすると、大出力のインバータが必要となる。
[0009]
 本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大出力のインバータを設置することなく、所定の回転体の異常時にそれ以外の回転体の出力を充分に大きく確保できるようにすること、を主たる目的とする。
[0010]
 本開示の回転体駆動システムは、所定の第1回転体を駆動する第1モータと、前記第1回転体とは別の第2回転体を駆動する第2モータと、前記第1モータを駆動する第1インバータと、前記第2モータを駆動する第2インバータと、を有する。
[0011]
 前記回転体駆動システムは、さらに第1スイッチと連結スイッチと判定部と制御部とを有する。前記第1スイッチは、ONになると前記第1インバータと前記第1モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す。前記連結スイッチは、ONになると前記第1インバータと前記第2モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す。前記判定部は、前記第1回転体の状態が異常か否かを判定する。前記制御部は、前記第1スイッチ及び前記連結スイッチを制御する。
[0012]
 前記回転体駆動システムは、前記判定部により前記第1回転体の状態に異常がないと判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがONで前記連結スイッチがOFFの通常状態にする。それにより、前記第1インバータにより前記第1モータを駆動すると共に、前記第2インバータにより前記第2モータを駆動する。
[0013]
 他方、前記回転体駆動システムは、前記判定部により前記第1回転体の状態が異常と判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがOFFで前記連結スイッチがONの第1対処状態にする。それにより、前記第1インバータと前記第2インバータとの双方により前記第2モータを駆動する。
[0014]
 本開示によれば、判定部により第1回転体の状態が異常と判定された場合には、制御部により上記の第1対処状態にすることにより、第1インバータと第2インバータとの双方により第2モータを駆動する。そのため、第2インバータのみで第2モータを駆動する場合に比べて、第2回転体のトルクを向上させることができる。そのため、大出力の第2インバータを設置することなく、第1回転体の異常時に第2回転体の出力を充分に大きく確保できるようにすることができる。

図面の簡単な説明

[0015]
 本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
[図1] 図1は、第1実施形態の回転体駆動システムを示す概略図であり、
[図2] 図2は、回転体駆動システムを示す回路図であり、
[図3] 図3は、回転体駆動システムの通常状態を示す回路図であり、
[図4] 図4は、回転体駆動システムの第1対処状態を示す回路図であり、
[図5] 図5は、回転体駆動システムの第2対処状態を示す回路図であり、
[図6] 図6は、接続制御を示すフローチャートであり、
[図7] 図7は、図4,図5を簡略化した回路図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 [第1実施形態]
 次に本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本開示は実施形態に限定されるものではなく、開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
[0017]
 図1は、本実施形態の車両駆動システム300を示す概略図である。車両駆動システム300は、車両400に搭載されており、上位ECU10とバッテリ20と第1駆動システム100と第2駆動システム200と連結スイッチ50とを有する。
[0018]
 第1駆動システム100は、第1タイヤ190と第1モータ160と第1インバータ120と第1制御部110と第1スイッチ150とを有する。第1タイヤ190は、本実施形態では、左側の前輪であり、第1回転軸180と共に回転する。
[0019]
 第1モータ160は、第1回転軸180を減速機(図示略)等を介して回転駆動することにより、第1タイヤ190を回転駆動する。第1インバータ120は、バッテリ20から給電される直流の電力を交流に変換して第1モータ160に給電することにより、第1モータ160を駆動する。第1制御部110は、第1インバータ120を制御することにより、第1モータ160による第1タイヤ190の駆動を制御する。
[0020]
 詳しくは、第1駆動システム100は、第1モータ160の駆動に基づき得られる第1モータ情報i1を第1制御部110に入力する。その第1モータ情報i1は、例えば、第1モータ160のステータに対するロータの回転角に関する情報や、第1モータ160のステータが有するU相コイル164、V相コイル165、W相コイル166に流れている各電流に関する情報等である。第1制御部110は、その第1モータ情報i1を用いて第1インバータ120を制御することにより、第1タイヤ190の駆動を制御する。
[0021]
 第2駆動システム200は、第2タイヤ290と第2モータ260と第2インバータ220と第2制御部210と第2スイッチ250とを有する。第2タイヤ290は、右側の前輪であり、第2回転軸280と共に回転する。
[0022]
 第2駆動システム200のより具体的な説明は、上記の第1駆動システム100の説明を、次のように読み替えて同様である。すなわち、「第1」を「第2」に、「左」を「右」に、「U相」を「X相」に、「V相」を「Y相」に、「W相」を「Z相」にそれぞれ読み替えると共に、符号をそれぞれ該当するものに読み替える。
[0023]
 図2は、車両駆動システム300を示す回路図である。まず、第1駆動システム100について説明する。第1モータ160は、U相コイル164とV相コイル165とW相コイル166とを有し、それらの一端どうしは中性点で接続されている。
[0024]
 第1インバータ120は、第1上配線122と、3本の上アーム(124~126)と、3本の接続線(134~136)と、3本の下アーム(144~146)と、第1下配線148とを有する。
[0025]
 第1上配線122は、一端がバッテリ20のプラス側の端子に接続されている。第1下配線148は、一端がバッテリ20のマイナス側の端子に接続されている。
[0026]
 3本の接続線(134~136)は、U相線134とV相線135とW相線136とからなる。U相線134は、一端がU相コイル164における中性点とは反対側の端部に接続されている。V相線135は、一端がV相コイル165における中性点とは反対側の端部に接続されている。W相線136は、一端がW相コイル166における中性点とは反対側の端部に接続されている。
[0027]
 3本の上アーム(124~126)は、U相上アーム124とV相上アーム125とW相上アーム126とからなる。U相上アーム124は、一端が第1上配線122に接続され、他端がU相線134に接続されている。そして、長さ方向中間部にU相上スイッチUaが設けられている。V相上アーム125は、一端が第1上配線122に接続され、他端がV相線135に接続されている。そして、長さ方向中間部にV相上スイッチVaが設けられている。W相上アーム126は、一端が第1上配線122に接続され、他端がW相線136に接続されている。そして、長さ方向中間部にW相上スイッチWaが設けられている。
[0028]
 3本の下アーム(144~146)は、U相下アーム144とV相下アーム145とW相下アーム146とからなる。U相下アーム144は、一端が第1下配線148に接続され、他端がU相線134に接続されている。そして、長さ方向中間部にU相下スイッチUbが設けられている。V相下アーム145は、一端が第1下配線148に接続され、他端がV相線135に接続されている。そして、長さ方向中間部にV相下スイッチVbが設けられている。W相下アーム146は、一端が第1下配線148に接続され、他端がW相線136に接続されている。そして、長さ方向中間部にW相下スイッチWbが設けられている。
[0029]
 そして、3本の接続線(134~136)に第1スイッチ150が設けられている。詳しくは、第1スイッチ150は、U相スイッチ154とV相スイッチ155とW相スイッチ156とを有する。U相スイッチ154は、U相線134における上下のアーム(124,144)とU相コイル164との間に設けられている。V相スイッチ155は、V相線135における上下のアーム(125,145)とV相コイル165との間に設けられている。W相スイッチ156は、W相線136における上下のアーム(126,146)とW相コイル166との間に設けられている。
[0030]
 以下、「第1スイッチ150」が「ON」というときは、当該第1スイッチ150を構成する「3つのスイッチ(154~156)」全てが「ON」のことをいい、「第1スイッチ150」が「OFF」というときは、それら「3つのスイッチ(154~156)」全てが「OFF」のことをいうものとする。第1スイッチ150は、ONになると第1インバータ120と第1モータ160とを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す。
[0031]
 第1制御部110は、3つの各上スイッチ(Ua,Va,Wa)及び3つの各下スイッチ(Ub,Vb,Wb)のON,OFFを制御することにより、第1インバータ120を制御する。
[0032]
 次に、第2駆動システム200について説明する。第2モータ260は、X相コイル264とY相コイル265とZ相コイル266とを有する。第2インバータ220は、第2上配線222と、3本の上アーム(224~226)と、3本の接続線(234~236)と、3本の下アーム(244~246)と、第2下配線248とを有する。
[0033]
 3本の上アーム(224~226)は、X相上アーム224とY相上アーム225とZ相上アーム226とからなる。X相上アーム224にはX相上スイッチXaが設けられ、Y相上アーム225にはY相上スイッチYaが設けられ、Z相上アーム226にはZ相上スイッチZaが設けられている。
[0034]
 3本の下アーム(244~246)は、X相下アーム244とY相下アーム245とZ相下アーム246とからなる。X相下アーム244にはX相下スイッチXbが設けられ、Y相下アーム245にはY相下スイッチYbが設けられ、Z相下アーム246にはZ相下スイッチZbが設けられている。
[0035]
 3本の相配線(234~236)は、X相線234とY相線235とZ相線236とからなる。第2スイッチ250は、X相スイッチ254とY相スイッチ255とZ相スイッチ256とからなる。
[0036]
 第2駆動システム200のより具体的な説明は、上記の第1駆動システム100の説明を、次のように読み替えて同様である。すなわち、「第1」を「第2」に、「U相」を「X相」に、「V相」を「Y相」に、「W相」を「Z相」にそれぞれ読み替えると共に、符号をそれぞれ該当するものに読み替える。
[0037]
 次に、連結スイッチ50について説明する。連結スイッチ50は、UX連結スイッチ54とVY連結スイッチ55とWZ連結スイッチ56とからなる。具体的には、U相線134におけるU相スイッチ154よりもバッテリ20側(第1モータ160側とは反対側)部分と、X相線234におけるX相スイッチ254よりもバッテリ20側部分とは、UX連結線34により接続されている。そのUX連結線34に、UX連結スイッチ54が設けられている。
[0038]
 また、V相線135におけるV相スイッチ155よりもバッテリ20側部分と、Y相線235におけるY相スイッチ255よりもバッテリ20側部分とは、VY連結線35により接続されている。そのVY連結線35に、VY連結スイッチ55が設けられている。また、W相線136におけるW相スイッチ156よりもバッテリ20側部分と、Z相線236におけるZ相スイッチ256よりもバッテリ20側部分とは、WZ連結線36により接続されている。そのWZ連結線36に、WZ連結スイッチ56が設けられている。
[0039]
 以下、「連結スイッチ50」が「ON」とは、当該連結スイッチ50を構成する「3つのスイッチ(54~56)」全てが「ON」のことをいい、「連結スイッチ50」が「OFF」とは、それら「3つのスイッチ(54~56)」全てが「OFF」のことをいうものとする。連結スイッチ50は、ONになると、第1インバータ120と第2モータ260とを、第2スイッチ250がONの状態において通電可能、かつ第2インバータ220と第1モータ160とを、第1スイッチ150がONの状態において通電可能に接続する。他方、連結スイッチ50は、OFFになると、第1インバータ120と第2モータ260とを通電不能、かつ第2インバータ220と第1モータ160とを通電不能にする。
[0040]
 再び図1を参照しつつ説明する。上位ECU10は、判定部14と制御部15とを有する。判定部14は、第1タイヤ190及び第2タイヤ290のトラクションがそれぞれ異常か否か判定する。具体的には、例えば、第1タイヤ190や第2タイヤ290の回転数が、他のタイヤの回転数よりも高い場合に、トラクションが異常と判定するようにすることができる。
[0041]
 また例えば、車両400は、第1タイヤ190のタイヤ圧を検出する第1タイヤ圧検出装置(TPMS)と、第2タイヤ290のタイヤ圧を検出する第2タイヤ圧検出装置(TPMS)とを有するようにすることができる。そして、判定部14は、それらにより検出されるタイヤ圧が低い場合に、トラクションが異常と判定するようにすることができる。タイヤ圧が低い場合は、タイヤが浮くなどして、トラクションが低下している可能性が高いからである。
[0042]
 以下では、判定部14により、第1タイヤ190及び第2タイヤ290のいずれのトラクションも異常でないと判定された時を、「通常時」という。また、判定部14により、第1タイヤ190及び第2タイヤ290のうち、第1タイヤ190のトラクションのみが異常と判定された時を「第1異常時」といい、第2タイヤ290のトラクションのみが異常と判定された時を「第2異常時」という。また、判定部14により、第1タイヤ190及び第2タイヤ290の両方のトラクションが異常と判定された時を「両異常時」という。
[0043]
 第1異常時には、第2駆動システム200は、第2モータ情報i2を、第2制御部210のみならず、第1制御部110にも入力する。また、第2異常時には、第1駆動システム100は、第1モータ情報i1を、第1制御部110のみならず、第2制御部210にも入力する。
[0044]
 制御部15は、通常時には、第1スイッチ150がONで第2スイッチ250がONで連結スイッチ50がOFFの通常状態s0にする。他方、第1異常時には、第1スイッチ150がOFFで第2スイッチ250がONで連結スイッチ50がONの第1対処状態s1にする。また、第2異常時には、第1スイッチ150がONで第2スイッチ250がOFFで連結スイッチ50がONの第2対処状態s2にする。
[0045]
 図3は、車両駆動システム300の通常状態s0を示す回路図である。なお、この図では、U相下スイッチUbとV相上スイッチVaとW相下スイッチWbとがONで、且つ、X相下スイッチXbとY相上スイッチYaとZ相下スイッチZbとがONであるが、これは所定の瞬間を示すものである。各上スイッチ(Ua,Va,Wa,Xa,Ya,Za)及び各下スイッチ(Ub,Vb,Wb,Xb,Yb,Zb)は、それぞれ所定のタイミングでONとOFFとを繰り返し、それにより、各モータ(160,260)内に流れる電流の向きが入れ替わる。これらのことは、図4,図5においても同様である。
[0046]
 この図3に示す通常状態s0では、第1インバータ120は、第1モータ160に給電することにより第1モータ160を駆動し、第2インバータ220は、第2モータ260に給電することにより第2モータ260を駆動する。
[0047]
 この通常状態s0では、第1モータ160は、第1インバータ120の性能(限界出力)によって決まる所定の第1上限出力以下の出力で第1モータ160を駆動する。そして、第2モータ260は、第2インバータ220の性能(限界出力)によって決まる所定の第2上限出力以下の出力で第2モータ260を駆動する。なお、本実施形態では、第1上限出力と第2上限出力とは同じである。
[0048]
 図4は、車両駆動システム300の第1対処状態s1を示す回路図である。この第1対処状態s1では、第1スイッチ150がOFFであるため、第1インバータ120が第1モータ160に給電することはない。他方、第2スイッチ250及び連結スイッチ50はONであるため、第2インバータ220及び第1インバータ120は第2モータ260に給電することになり、双方のインバータ120,220により第2モータ260を駆動することになる。
[0049]
 詳しくは、この第1対処状態s1では、第2駆動システム200は、上記のとおり、第2モータ情報i2を第2制御部210のみならず、第1制御部110にも入力する。第1制御部110は、その第2モータ情報i2を用いて、第1インバータ120の各スイッチ(Ua,Va,Wa,Ub,Vb,Wb)を制御することにより、第1インバータ120による第2モータ260の駆動を制御する。
[0050]
 この第1対処状態s1では、双方のインバータ(120,220)の共働により、上記の第2上限出力よりも大きい出力で、第2モータ260を駆動することになる。ただし、その第2上限出力よりも大きい出力で第2モータ260を駆動する期間は、所定の第2制限時間内において行う。その第2制限時間は、第2上限出力よりも大きい出力で第2モータ260を駆動することにより第2モータ260に所定の性能劣化が生じるまでの時間に基づいて定められる時間である。
[0051]
 その所定の性能劣化は、具体的には、例えば、第2モータ260の過熱により生じるロータ磁石の減磁や、所定の回路のショート等である。第2制限時間は、第2モータ260に流れる電流の大きさや、第2モータ260の温度に基づいて定める変数であってもよいし、定数であってよい。変数である場合、当該第2制限時間は、マップにより求めてもよいし、関数により求めてもよい。
[0052]
 第1対処状態s1において、第2上限出力よりも大きい出力で第2タイヤ290を駆動している期間が、第2制限時間を超えた場合には、通常状態s0に戻すようにしてもよいし、第1対処状態s1のまま、双方のインバータ120,220の出力を抑えるようにしてもよい。
[0053]
 図5は、車両駆動システム300の第2対処状態s2を示す回路図である。この第2対処状態s2では、第2スイッチ250がOFFであるため、第2インバータ220が第2モータ260に給電することはない。他方、第1スイッチ150及び連結スイッチ50はONであるため、第1インバータ120及び第2インバータ220は第1モータ160に給電することになり、双方のインバータ120,220により第1モータ160を駆動することになる。
[0054]
 この第2対処状態s2のより詳細な説明は、上記の第1対処状態s1の説明を次のように読み替えて同様である。すなわち、「第1」及び「第2」の各方を他方に読み替えると共に、符号をそれぞれ該当するものに読み替える。
[0055]
 図6は、上位ECU10による接続制御を示すフローチャートである。初期状態は、通常状態s0である。この状態から、まず、判定部14が、第1タイヤ190及び第2タイヤ290のトラクションに関する情報を検出する(S611)。次に、その第1タイヤ190のトラクションが異常か否かを判定する(S612)。
[0056]
 S612で、第1タイヤ190のトラクションを異常と判定した場合(S612:YES)、第2タイヤ290のトラクションが異常か否かを判定する(S613)。第2タイヤ290のトラクションを異常と判定した場合(S613:YES)、両方のタイヤのトラクションが異常である両異常時であることを意味するので、通常状態s0のまま、接続制御を終了する。
[0057]
 他方、S613で、第2タイヤ290のトラクションに異常がないと判定した場合(S613:NO)、第1タイヤ190のトラクションのみが異常の第1異常時であることを意味するので、第1インバータ120による第1モータ160の駆動を停止する(S614)。その後、第1スイッチ150をOFFにすると共に連結スイッチ50をONにすることにより(S615)、第1対処状態s1に切り替える。その後、第1インバータ120による第2モータ260の駆動を開始することにより(S616)、双方のインバータ120,220により第2モータ260を駆動するようにする。その状態で、接続制御を終了する。
[0058]
 他方、S612で、第1タイヤ190のトラクションに異常がないと判定した場合(S612:NO)も、第2タイヤ290のトラクションが異常か否かを判定する(S623)。第2タイヤ290のトラクションに異常がないと判定した場合(S623:NO)、両方のタイヤのトラクションに異常がない通常時であることを意味するので、通常状態s0のまま、接続制御を終了する。
[0059]
 他方、S623で、第2タイヤ290のトラクションを異常と判定した場合(S623:YES)、第2タイヤ290のトラクションのみが異常の第2異常時であることを意味するので、第2インバータ220による第2モータ260の駆動を停止する(S624)。その後、第2スイッチ250をOFFにすると共に連結スイッチ50をONにすることにより(S625)、第2対処状態s2に切り替える。その後、第2インバータ220による第1モータ160の駆動を開始することにより(S626)、双方のインバータ120,220により第1モータ160を駆動するようにする。その状態で、接続制御を終了する。
[0060]
 なお、この接続制御を終了した後は、次のように制御する。すなわち、この接続制御により第1対処状態s1に切り替えた場合においては、第1タイヤ190のトラクションが正常に戻ったことを条件に、通常状態s0に戻す。また、この接続制御により第2対処状態s2に切り替えた場合においては、第2タイヤ290のトラクションが正常に戻ったことを条件に、通常状態s0に戻す。
[0061]
 また、第1対処状態s1において、第2上限出力よりも大きい出力で第2タイヤ290を駆動している期間が、第2制限時間を超えた場合には、通常状態s0に戻すか、第1対処状態s1のまま、双方のインバータ120,220の出力を抑える。また、第2対処状態s2において、第1上限出力よりも大きい出力で第1タイヤ190を駆動している期間が、第1制限時間を超えた場合には、通常状態s0に戻すか、第2対処状態s2のまま、双方のインバータ120,220の出力を抑える。
[0062]
 本実施形態によれば、次の効果が得られる。第1タイヤ190のトラクションが異常な第1異常時には、双方のインバータ(120,220)により第2モータ260を駆動することにより、第2タイヤ290のトルクを向上させることができる。その詳細について、図7を参照しつつ説明する。なお、以下では、各上スイッチ(Ua,Va,Wa,Xa,Ya,Za)及び各下スイッチ(Ub,Vb,Wb,Xb,Yb,Zb)にそれぞれ流すことができる電流値の最大値を「Imax」とする。
[0063]
 図3に示す、通常状態s0における所定の瞬間の回路を、電流が流れていない回路を省いて簡略化すると、図7(a)に示す回路図になる。ここでは、バッテリ20のプラス端子と第2モータ260とは、1つの上スイッチ(Ya)を介して接続されている。他方、バッテリ20のマイナス端子と第2モータ260とは、並列に存在する2つの下スイッチ(Xb,Zb)を介して接続されている。そのため、第2モータ260に流すことのできる電流の最大値は、当該1つの上スイッチ(Ya)に流すことのできる電流の最大値(Imax)となる。
[0064]
 他方、図4に示す、第1対処状態s1における所定の瞬間の回路を、電流が流れていない回路を省いて簡略化すると、図7(b)に示す回路となる。ここでは、バッテリ20のプラス端子と第2モータ260とは、並列に存在する2つの上スイッチ(Va,Ya)を介して接続されている。他方、バッテリ20のマイナス端子と第2モータ260とは、並列に存在する4つの下スイッチ(Ub,Wb,Xb,Zb)を介して接続されている。そのため、第2モータ260に流すことのできる電流の最大値は、当該2つの上スイッチ(Va,Ya)に合計で流すことのできる電流の最大値(2×Imax)となる。
[0065]
 以上のとおり、通常状態s0では第2モータ260に最大でImaxの電流を流すことができるのに対して、第1対処状態s1では第2モータ260に最大で2×Imaxの電流を流すことができる。そのため、第1対処状態s1においては、第2モータ260は、通常状態s0における最大出力(第2上限出力)の約2倍の出力を、出すことができる。
[0066]
 そのため、第1タイヤ190がぬかるみや氷雪等に入った第1異常時には、第1対処状態s1にすることにより、第2タイヤ290のトルクを充分に向上させることができる。そのため、大出力の第2インバータ220を設置することなく、車両400を当該ぬかるみや氷雪等から脱出させ易くすることができる。
[0067]
 それと同様に、第2タイヤ290がぬかるみや氷雪等に入った第2異常時には、第2対処状態s2にすることにより、第1タイヤ190のトルクを充分に向上させることができる。そのため、大出力の第1インバータ120を設置することなく、車両400を当該ぬかるみ等から脱出させ易くすることができる。
[0068]
 具体的には、本実施形態では、第1タイヤ190が左側の車輪であり、第2タイヤ290が右側の車輪である。そのため、左側の車輪である第1タイヤ190がぬかるみ等に入ってそのトラクションが低下した第1異常時には、第1対処状態s1にして、右側の車輪である第2タイヤ290のトルクを向上させることにより、車両400を当該ぬかるみ等から脱出させ易くすることができる。また反対に、右側の車輪である第2タイヤ290がぬかるみ等に入ってそのトラクションが低下した第2異常時には、第2対処状態s2にして、左側の車輪である第1タイヤ190のトルクを向上させることにより、車両400を当該ぬかるみ等から脱出させ易くすることができる。
[0069]
 また、第1対処状態s1では、第2駆動システム200は、第2モータ情報i2を第1制御部110に入力するため、第1制御部110は、その第2モータ情報i2を用いることにより、問題なく第1インバータ120による第2モータ260の駆動を制御することができる。また同様に、第2対処状態s2では、第1駆動システム100は、第1モータ情報i1を第2制御部210に入力するため、第2制御部210は、その第1モータ情報i1を用いることにより、問題なく第2インバータ220による第1モータ160の駆動を制御することができる。
[0070]
 また、通常状態s0から第1対処状態s1に切り替える際には、通常状態s0において第1インバータ120による第1モータ160の駆動を停止されてから、第1スイッチ150をOFFにすると共に連結スイッチ50をONにして、第1対処状態s1に切り替える。そのため、第1スイッチ150に電流が流れなくなってから、第1スイッチ150をOFFにすることになる。そのため、第1スイッチ150に電流が流れている最中に第1スイッチ150をOFFにする場合に比べて、第1スイッチ150の両端子間での絶縁破壊が起こり難い。そのため、第1スイッチ150の耐電圧要求を低く抑えることができる。
[0071]
 また同様に、通常状態s0から第2対処状態s2に切り替える際には、通常状態s0において第2インバータ220による第2モータ260の駆動が停止されてから、第2スイッチ250をOFFにすると共に連結スイッチ50をONにして、第2対処状態s2に切り替える。そのため、上記の第1スイッチ150の場合と同様に、第2スイッチ250の耐電圧要求を低く抑えることができる。
[0072]
 また、第1対処状態s1では、第2モータ260は、所定の第2制限時間内において、上記の第2上限出力よりも大きい出力で第2モータ260を駆動する。その第2制限時間は、第2上限出力よりも大きい出力で第2モータ260を駆動することにより第2モータ260に所定の性能劣化が生じるまでの時間に基づいて定められる。そのため、第2モータ260に当該性能劣化が生じるのを回避できる。
[0073]
 また同様に、第2対処状態s2では、第1モータ160は、所定の第1制限時間内において、上記の第1上限出力よりも大きい出力で第1モータ160を駆動する。その第1制限時間は、第1上限出力よりも大きい出力で第1モータ160を駆動することにより第1モータ160に所定の性能劣化が生じるまでの時間に基づいて定められる。そのため、第1モータ160に当該性能劣化が生じるのを回避できる。
[0074]
 [他の実施形態]
 以上の実施形態は、次のように変更して実施することができる。例えば、第1駆動システム100は、左側の前輪ではなく、左右両方の前輪を駆動するものであり、第2駆動システム200は、右側の前輪ではなく、左右両方の後輪を駆動するものであってもよい。すなわち、第1タイヤ190は、左右両方の前輪であり、第2タイヤ290は、左右両方の後輪であってもよい。この場合、たとえば第1タイヤ190である前輪がぬかるみ等に入った場合、後輪である第2タイヤ290にトルクを集中させることにより、当該ぬかるみ等から脱出し易くなる。
[0075]
 また例えば、第2スイッチ250を省いて、第1異常時にのみ、通常状態s0から第1対処状態s1に切り替え、第2異常時には、通常状態s0のまま第2対処状態s2に切り替えないようにしてもよい。この場合には、例えば、左右のタイヤのうちの路肩側のタイヤや、前後のタイヤのうちの後側のタイヤ等、よりぬかるみや氷雪等に入れてしまいやすい側のタイヤを第1タイヤ190にすることが好ましい。
[0076]
 また例えば、各回路図(図2~図5,図7)では、各上スイッチ(Ua,Va,Wa,Xa,Ya,Za)及び各下スイッチ(Ub,Vb,Wb,Xb,Yb,Zb)は、通常のトランジスタの記号であるが、例えばMOSFETやIGBT等であってもよい。
[0077]
 また例えば、上記の車両駆動システム300を、ドローンのプロペラを駆動するドローン駆動システムとして採用してもよい。具体的には、例えば、ドローンが左前、右前、左後、右後の4つのプロペラを有する場合、左前及び右後の2つのプロペラである一方の対角のプロペラを第1モータ160で駆動し、右前及び左後の2つのプロペラである他方の対角のプロペラを第2モータ260で駆動するようにすることができる。この場合には、例えば、一方の対角のプロペラに破損等の異常が生じた場合には、他方の対角のプロペラに出力を集中して、当該他方の対角のプロペラの出力により軟着陸等を行うことができる。
[0078]
 本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

請求の範囲

[請求項1]
 所定の第1回転体(190)を駆動する第1モータ(160)と、前記第1回転体とは別の第2回転体(290)を駆動する第2モータ(260)と、前記第1モータを駆動する第1インバータ(120)と、前記第2モータを駆動する第2インバータ(220)と、を有する駆動システムにおいて、
 ONになると前記第1インバータと前記第1モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す第1スイッチ(150)と、
 ONになると前記第1インバータと前記第2モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す連結スイッチ(50)と、
 前記第1回転体の状態が異常か否かを判定する判定部(14)と、
 前記第1スイッチ及び前記連結スイッチを制御する制御部(15)と、を有し、
 前記判定部により前記第1回転体の状態に異常がないと判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがONで前記連結スイッチがOFFの通常状態(s0)にすることにより、前記第1インバータにより前記第1モータを駆動すると共に、前記第2インバータにより前記第2モータを駆動し、
 前記判定部により前記第1回転体の状態が異常と判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがOFFで前記連結スイッチがONの第1対処状態(s1)にすることにより、前記第1インバータと前記第2インバータとの双方により前記第2モータを駆動する、
 回転体駆動システム(300)。
[請求項2]
 所定の第1回転体(190)を駆動する第1モータ(160)と、前記第1回転体とは別の第2回転体(290)を駆動する第2モータ(260)と、前記第1モータを駆動する第1インバータ(120)と、前記第2モータを駆動する第2インバータ(220)と、を有する駆動システムにおいて、
 ONになると前記第1インバータと前記第1モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す第1スイッチ(150)と、
 ONになると前記第2インバータと前記第2モータとを通電可能に接続し、OFFになるとその接続を切り離す第2スイッチ(250)と、
 ONになると、前記第1インバータと前記第2モータとを、前記第2スイッチがONの状態において通電可能、かつ前記第2インバータと前記第1モータとを、前記第1スイッチがONの状態において通電可能に接続し、OFFになると、前記第1インバータと前記第2モータとを通電不能、かつ前記第2インバータと前記第1モータとを通電不能にする連結スイッチ(50)と、
 前記第1回転体及び前記第2回転体の状態がそれぞれ異常か否かを判定する判定部(14)と、
 前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記連結スイッチとを制御する制御部(15)と、を有し、
 前記判定部により前記第1回転体及び前記第2回転体のいずれのトラクションにも異常がないと判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがONで前記第2スイッチがONで前記連結スイッチがOFFの通常状態(s0)にすることにより、前記第1インバータにより前記第1モータを駆動すると共に、前記第2インバータにより前記第2モータを駆動し、
 前記判定部により前記第1回転体の状態が異常と判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがOFFで前記第2スイッチがONで前記連結スイッチがONの第1対処状態(s1)にすることにより、前記第1インバータと前記第2インバータとの双方により前記第2モータを駆動し、
 前記判定部により前記第2回転体の状態が異常と判定された場合には、前記制御部により、前記第1スイッチがONで前記第2スイッチがOFFで前記連結スイッチがONの第2対処状態(s2)にすることにより、前記第1インバータと前記第2インバータとの双方により前記第1モータを駆動する、
 回転体駆動システム(300)。
[請求項3]
 前記第1回転体は、車両(400)の左右一方のタイヤであり、前記第2回転体は、前記車両の左右他方のタイヤであり、
 前記判定部は、前記状態が異常か否かの判定として、トラクションが異常か否かを判定する、
 請求項1又は2に記載の回転体駆動システム。
[請求項4]
 前記第1モータと、前記第1インバータと、前記第1インバータを制御する所定の第1制御部(110)と、を含むシステムを第1駆動システム(100)とし、前記第2モータと、前記第2インバータと、前記第2インバータを制御する所定の第2制御部(210)と、を含むシステムを第2駆動システム(200)として、
 前記第1対処状態では、前記第2駆動システムは、前記第2モータの駆動に基づき得られる所定情報(i2)を前記第1制御部に入力し、前記第1制御部は、前記所定情報を用いて、前記第1インバータによる前記第2モータの駆動を制御する、
 請求項1~3のいずれか1項に記載の回転体駆動システム。
[請求項5]
 前記通常状態から前記第1対処状態に切り替える際には、前記通常状態において前記第1インバータによる前記第1モータの駆動が停止されてから、前記第1スイッチをOFFにして前記第1対処状態に切り替える、請求項1~4のいずれか1項に記載の回転体駆動システム。
[請求項6]
 前記通常状態では、前記第2インバータにより、所定の上限出力以下の出力で前記第2モータを駆動し、前記第1対処状態では、前記第1インバータと前記第2インバータとの共働により、所定の制限時間内において前記上限出力よりも大きい出力で前記第2モータを駆動し、
 前記制限時間は、前記上限出力よりも大きい出力で前記第2モータを駆動することにより前記第2モータに所定の性能劣化が生じるまでの時間に基づいて定められる時間である、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転体駆動システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]