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1. WO2014119176 - 形状最適化解析(analysis of shape optimization)方法及び装置

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明 細 書

発明の名称 形状最適化解析(analysis of shape optimization)方法及び装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

産業上の利用可能性

0078  

符号の説明

0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4A   4B   4C   5A   5B   6   7   8   9   10   11   12A   12B   13A   13B   13C   13D   14   15   16   17   18   19   20   21   22A   22B   22C  

明 細 書

発明の名称 : 形状最適化解析(analysis of shape optimization)方法及び装置

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば自動車(automobile)等の(automotive)構造体の剛性(stiffness)を高めると共に軽量化(weight reduction of automotive body)を実現したり、衝突特性(crash worthiness)を向上させると共に軽量化を実現したりするための、構造体の形状最適化解析方法及び装置に関する。なお、本明細書において形状最適化と称する場合には、予め所定の形状(例えばT字形状)を想定してその形状を前提として最適な形状を求めることではなく、所定の形状を想定することなく、解析条件を満たす最も好適な形状を求めることを意味する。

背景技術

[0002]
 近年、特に自動車産業においては環境問題に起因した車体全体(full vehicle)の軽量化が進められており、車体(automotive body)の設計にコンピュータ支援工学による解析(以下、「CAE(computer aided engineering)解析」という)は欠かせない技術となっている。このCAE解析では、数理最適化(mathematical optimization)、板厚最適化、形状最適化(shape optimization)、トポロジー最適化(topology optimization)などの最適化技術を用いることによって剛性の向上や軽量化が図られることが知られている。例えば、CAE解析の最適化技術は、エンジンブロックなどの鋳物の構造最適化によく用いられている。このようなCAE解析の最適化技術の中で、特にトポロジー最適化が着目されつつある。
[0003]
 トポロジー最適化は、ある程度の大きさの設計空間を設け、当該設計空間に立体要素(three-dimensional element)を組み込み、与えられた条件を満たしかつ必要最小限の立体要素の部分を残すことで、当該条件を満たす最適形状とするという方法である。そのため、トポロジー最適化には、設計空間をなす立体要素に直接拘束を行い、直接荷重を加えるという方法が用いられる。このようなトポロジー最適化に関する技術として、複雑な構造体のコンポーネントのトポロジー最適化のための方法が特開2010-250818号公報に開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-250818号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 自動車等の構造体は主に薄板(thin sheet)を用いて構成されており、このような薄板で構成される車体の一部分の最適化をする場合、当該部位を設計空間として独立させ、その設計空間に対して荷重や拘束状態を反映させることは困難である。それ故に、構造体の一部に最適化技術を適用することが難しいという課題があった。また、立体要素によって最適化形状を求めたとしても、それを薄板構造に適切に反映させるにはいかにするべきかという課題もあった。
[0006]
 特開2010-250818号公報に開示の技術は、数学演算上の手法および解析の物理的システムに関するものであり、上記のような課題に対しては何らの解決手段を与えるものではない。近年、上記課題を解決するための技術の開発が望まれていた。
[0007]
 本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外力を受ける構造体の一部に最適化技術を適用することを可能にし、構造体の最適化に資する技術を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0008]
 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る形状最適化解析方法は、可動部分を有する構造体モデルの一部分を、平面要素(two-dimensional element)または立体要素を使って最適化を行う形状最適化解析方法であって、前記可動部分における最適化の対象となる部分を設計空間として設定する設計空間設定ステップと、設定された前記設計空間に立体要素で構成され最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成ステップと、生成された前記最適化ブロックモデルを前記構造体モデルに結合する結合処理ステップと、前記最適化ブロックモデルに材料特性を設定する材料特性設定ステップと、前記最適化ブロックモデルに最適形状を求めるための最適化解析条件を設定する最適化解析条件設定ステップと、前記最適化ブロックモデルが結合された前記構造体モデルに機構解析(computer aided kinematics and dynamics of mechanical systems)を行うための機構解析条件を設定する機構解析条件設定ステップと、設定された前記最適化解析条件および前記機構解析条件に基づいて前記最適化ブロックモデルに対して機構解析を実行して、前記最適化ブロックモデルの最適形状を求める最適形状解析ステップとを含むことを特徴とするものである。
[0009]
 また、上記の発明において、前記機構解析条件設定ステップは、前記構造体モデルに対して予め機構解析を行った結果として、得られた荷重または変位を設定することを特徴とするものである。
[0010]
 また、上記の発明において、前記材料特性設定ステップは、前記構造体モデルにおける前記最適化ブロックモデルの結合された部位が平面要素で構成されている場合には、前記最適化ブロックモデルの立体要素におけるヤング率(Young’s modulus)を前記平面要素におけるヤング率よりも低く設定することを特徴とするものである。
[0011]
 また、本発明に係る形状最適化解析方法は、上記の発明において、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で構成したことを特徴とするものである。
[0012]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデル生成ステップは、前記構造体モデルにおける前記設計空間が設置された周囲の面に沿い、かつ前記設計空間の最大面積を持つ面に平行に立体要素を細分化する前記最適化ブロックモデルを生成することを特徴とするものである。
[0013]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデルは、前記構造体モデルを構成する平面要素または立体要素との結合部に節点を配置し、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として六面体立体要素を用いると共に前記結合部に配置された前記節点を含む平面に沿うように立体要素を積み上げるように生成することを特徴とするものである。
[0014]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデルは、立体要素によって構成される複数のブロック体からなり、該複数のブロック体を剛体(rigid body)要素、梁要素または平面要素を用いて連結してなることを特徴とするものである。
[0015]
 また、本発明に係る形状最適化解析方法は、上記の発明において、数値解析(numerical analysis)による最適化計算において最適化パラメータで離散化(discretization)を行うことを特徴とするものである。
[0016]
 また、本発明に係る形状最適化解析装置は、可動部分を有する構造体モデルの一部分を、平面要素、または立体要素を使って最適化を行う形状最適化解析装置であって、前記可動部分における最適化の対象となる部分を設計空間として設定する設計空間設定部と、設定された前記設計空間に立体要素で構成され最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、生成された前記最適化ブロックモデルを前記構造体モデルに結合する結合処理部と、前記最適化ブロックモデルに材料特性を設定する材料特性設定部と、前記最適化ブロックモデルに最適形状を求めるための最適化解析条件を設定する最適化解析条件設定部と、前記最適化ブロックモデルが結合された前記構造体モデルに機構解析を行うための機構解析条件を設定する機構解析条件設定部と、設定された前記最適化解析条件および前記機構解析条件に基づいて前記最適化ブロックモデルに対して機構解析を実行して、前記最適化ブロックモデルの最適形状を求める最適形状解析部とを備えたことを特徴とするものである。
[0017]
 また、上記の発明において、前記機構解析条件設定部は、前記構造体モデルに対して予め機構解析を行った結果、得られた荷重または変位を設定することを特徴とするものである。
[0018]
 また、上記の発明において、前記材料特性設定部は、前記構造体モデルにおける前記最適化ブロックモデルの結合された部位が平面要素で構成されている場合には、前記最適化ブロックモデルの立体要素におけるヤング率を前記平面要素におけるヤング率よりも低く設定することを特徴とするものである。
[0019]
 また、本発明に係る形状最適化解析装置は、上記の発明において、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素を、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で構成することを特徴とするものである。
[0020]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデル生成部は、前記構造体モデルにおける前記設計空間が設置された周囲の面に沿い、かつ前記設計空間の最大面積を持つ面に平行に立体要素を細分化する前記最適化ブロックモデルを生成することを特徴とするものである。
[0021]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデル生成部は、前記構造体モデルを構成する平面要素または立体要素との結合部に節点を配置し、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として六面体立体要素を用いると共に前記結合部に配置された前記節点を含む平面に沿うように立体要素を積み上げるように生成することを特徴とするものである。
[0022]
 また、上記の発明において、前記最適化ブロックモデル生成部は、前記最適化ブロックモデルを、立体要素によって構成される複数のブロックで構成すると共に該複数のブロックを剛体要素、梁要素または平面要素を用いて連結して生成することを特徴とするものである。
[0023]
 また、上記の発明において、前記最適形状解析部は、数値解析による最適化計算において最適化パラメータで離散化を行うことを特徴とするものである。
[0024]
 また、上記の発明において、前記最適形状解析部は、トポロジー最適化による最適化計算を行うことを特徴とするものである。

発明の効果

[0025]
 本発明は、外力を受ける構造体の一部に最適化技術を適用することを可能にし、車体等の構造体を最適化でき、これにより、構造体の可動部分における剛性や衝突特性を向上しつつ構造体の軽量化を実現することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 図1は、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析装置のブロック図である。
[図2] 図2は、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分(ドア)の説明図である。
[図3] 図3は、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分(ドア)の動作を説明する説明図である。
[図4A] 図4Aは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における設計空間の設定処理を説明する図である。
[図4B] 図4Bは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における最適化ブロックモデルの生成処理を説明する図である。
[図4C] 図4Cは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における最適化ブロックモデルの結合処理を説明する図である。
[図5A] 図5Aは、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの内部の要素を説明する説明図である。
[図5B] 図5Bは、図5Aに示す最適化ブロックモデルの内部を示す拡大図である。
[図6] 図6は、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの結合位置を説明する説明図である。
[図7] 図7は、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの結合位置の別例を説明する説明図である。
[図8] 図8は、本発明の実施の形態1に係る機構解析条件を説明する説明図であって、ドアを閉じる動作を説明する説明図である。
[図9] 図9は、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分(ドア)の比較例としてのドア単独のモデルの説明図である。
[図10] 図10は、比較例の機構解析条件を説明する説明図である。
[図11] 図11は、本発明の実施の形態1における形状最適化解析方法の処理の流れを示すフローチャートである。
[図12A] 図12Aは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分(ドア)の最適化ブロックモデルの他の態様における内部の様子を説明する説明図である。
[図12B] 図12Bは、図12Aに示す最適化ブロックモデルの内部の様子を示す拡大図である。
[図13A] 図13Aは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分のうちの設計空間以外の部分の一例を示す図である。
[図13B] 図13Bは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分のうちの設計空間以外の部分の別例を示す図である。
[図13C] 図13Cは、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの別態様を示す図である。
[図13D] 図13Dは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルと最適化ブロックモデルとの結合体の別態様を示す図である。
[図14] 図14は、図13に示したドアの最適化解析を説明する説明図である。
[図15] 図15は、本発明の実施の形態2における設計空間の説明図である。
[図16] 図16は、本発明の実施の形態2における最適化ブロックモデルの生成方法の説明図である。
[図17] 図17は、本発明の実施の形態2において生成した最適化ブロックモデルの説明図である。
[図18] 図18は、本発明の実施の形態2において生成した最適化ブロックモデルの結合部を示す図である。
[図19] 図19は、本発明の実施の形態2における最適化ブロックモデルの生成方法との比較例として実施の形態1の方法で最適化ブロックモデルを生成した状態の説明図である。
[図20] 図20は、本発明の実施の形態2に対する比較例の最適化ブロックモデルの結合部を示す図である。
[図21] 図21は、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルの生成方法の説明図である。
[図22A] 図22Aは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルの上部分を生成した状態を示す図である。
[図22B] 図22Bは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルの下部分を生成した状態を示す図である。
[図22C] 図22Cは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルと構造体モデルとを結合した状態を示す図である。

発明を実施するための形態

[0027]
 以下に、本発明に係る形状最適化解析方法及び装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[0028]
[実施の形態1]
 本実施の形態1に係る形状最適化解析装置1は、操作者の指示に従って、コンピュータが、可動部分を有する構造体モデルの一部分を、平面要素および立体要素を適宜使って最適化する装置である。具体的には、本実施の形態1に係る形状最適化解析装置1は、図2に一例を示す平面要素、または、平面要素と立体要素とを使って構成された構造体モデル13(図3参照)の一部分について、その形状の数値解析による最適化計算を行う装置である。この形状最適化解析装置1は、図1に示すとおり、PC(パーソナルコンピュータ)によって構成され、表示装置(display device)3と入力装置(input device)5と記憶装置(memory storage)7と作業用データメモリ9と演算処理部(arithmetic processing)11とを有している。また、演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と記憶装置7と作業用データメモリ9とが接続される。表示装置3、入力装置5、記憶装置7および作業用データメモリ9は、演算処理部11の指令によって各機能を行う。
[0029]
<表示装置>
 表示装置3は、計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
[0030]
<入力装置>
 入力装置5は、構造体モデルファイルの表示指示、操作者の条件入力などに用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
[0031]
<記憶装置>
 記憶装置7内には、図3に例示される構造体モデル13のファイルなどの各種の情報が格納される。構造体モデル13は、平面要素のみによって構成されたものでもよいし、あるいは平面要素と立体要素との組合せによって構成されたものでもよい。例えば、構造体モデル13の例として図2に示すような自動車のドア14を例に挙げると、ドア14の車外側を構成するアウター部品14aは主に薄鋼板(steel sheet)によって形成されることから、構造体モデル13は平面要素によって構成される。また、構造体モデル13は、例えばエンジンのような鋳物で形成されるブロック体のようなものである場合、立体要素で構成される。
[0032]
<作業用データメモリ>
 作業用データメモリ9は、その内部に、計算結果を記憶するデータ記憶領域9aと、計算処理を行うための作業領域9bとを有している。
[0033]
<演算処理部>
 演算処理部11は、PC(Personal Computer)等のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)によって構成される。以下に説明する演算処理部11の各部は、PCのCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。演算処理部11は、可動部分における最適化の対象となる部分を設計空間として設定する設計空間設定部15と、設定された設計空間に立体要素で構成され最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデル27(図4B等参照)を生成する最適化ブロックモデル生成部17と、生成された最適化ブロックモデル27を構造体モデル13に結合する結合処理部19と、最適化ブロックモデル27に材料特性を設定する材料特性設定部20と、最適化ブロックモデル27に最適形状を求めるための条件(最適化解析条件と称する)を設定する最適化解析条件設定部21と、最適化ブロックモデル27が結合された構造体モデル13(図8参照)に機構解析を行うための条件(機構解析条件と称する)を設定する機構解析条件設定部22と、設定された最適化解析条件および機構解析条件に基づいて最適化ブロックモデル27に対して機構解析を実行して、最適化ブロックモデル27の最適形状を求める最適形状解析部23とを備えている。
[0034]
 演算処理部11の各部の構成を詳細に説明する。説明にあたって、車体(図示なし)の前方左側のドア枠12(図3参照)およびドア14(図2および図3参照)で構成される構造体モデル13を例に挙げる。また、ドア14は、構造体モデル13の可動部分でもある。
[0035]
 図2は、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分の説明図である。図2には、この構造体モデル13の可動部分の一例であるドア14の車内側からの斜視図が示されている。図2に示すように、ドア14は、車外側に設けられる板状のアウター部品14aと、車内側に設けられるインナー部品14bとを有している。また、ドア14は、アウター部品14aとインナー部品14bとの間に設けられてドア14を補強するリインホース(reinforcement)部品(part)(図示せず)と、車体前方側の側面に設けられるドア14をドア枠12に連結するためのヒンジ(hinge)部14d(図3参照)とを有している。
[0036]
 ドア14は、ヒンジ部14dでドア枠12に回動可能に取り付けられ、図3の状態A1~状態A4によって示されるように、ヒンジ部14dを中心に回動する。このようにしてドア14の開閉が行われる。図3は、ドア14を閉じる動作を説明する図である。図3において、状態A1は、ドア14の開状態を示している。状態A2、状態A3は、ドア14が開状態から閉状態になる過程を示している。状態A4は、ドア14の閉状態を示している。このとき、ドア14を勢いよく閉じると、遠心力やドア14を閉じたときの反力等によってアウター部品14aが変形する場合がある。そこで、本例においては、インナー部品14bの形状を最適化して、ドア14の軽量化を図りつつ、ドア14を閉じる際のアウター部品14aの変形量を最小化することについて検討する。
[0037]
〔設計空間設定部〕
 設計空間設定部15は、構造体モデル13の可動部分の一部に最適化の対象となる部分を設計空間25として設定する。本実施の形態1において、設計空間設定部15は、図2に示したドア14のうちのアウター部品14a以外の部分を設計空間25として設定した。図4A~図4Cは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分の一例であるドア14の最適化解析方法を説明する図である。図4Aは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における設計空間の設定処理を説明する図である。図4Bは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における最適化ブロックモデルの生成処理を説明する図である。図4Cは、本発明の実施の形態1に係る形状最適化解析方法における最適化ブロックモデルの結合処理を説明する図である。設計空間設定部15によって構造体モデル13の可動部分の一部に設計空間25が設定されると、図4Aに示すように、当該部位における構造体モデル13の一部であるインナー部品14b(図2)が削除され、削除された部位が設計空間25となる。図4Aは、アウター部品14aのみの状態を示している。
[0038]
 なお、上記の例は、設計空間設定部15が、構造体モデル13における一部を削除することによって設計空間25を設定する場合であるが、構造体モデル13を生成する際に予め設計空間25を設定するように、形状最適化解析装置1が構成されてもよい。構造体モデル13を生成する際に予め設計空間25を設定する場合には、構造体モデル13を生成する生成部自体が設計空間設定部15を兼ねることになる。つまり、本発明の設計空間設定部15は、上記したような設計空間設定機能と構造体モデル生成機能とを兼ね備えたものであってもよい。
[0039]
〔最適化ブロックモデル生成部〕
 最適化ブロックモデル生成部17は、設定された設計空間25に最適化の解析処理を行うための最適化ブロックモデル27を生成する。この際、最適化ブロックモデル生成部17は、設定された設計空間25に入る大きさで任意の形状に、最適化ブロックモデル27を生成することができる。図4B、図5Aおよび図5Bには、設計空間25に最適化ブロックモデル27を生成した一例が示されている。図5Aおよび図5Bは、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの内部の要素を説明する説明図である。図5Aは、図4Bに示す最適化ブロックモデル27を図4B中の太矢印の方向から見た状態を示す。図5Bは、図5Aに示す最適化ブロックモデル27の前後方向中央部における内部を拡大して図示したものである。
[0040]
 また、最適化ブロックモデル生成部17は、最適化ブロックモデル27を立体要素で構成する。その際、最適化ブロックモデル生成部17は、当該立体要素を、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で構成するのが好ましい。この理由は、以下の通りである。設計空間25に形成される部位が車体の一部のように薄板で形成される場合には、最適化ブロックモデル27を用いて最適化の計算を実行することにより、薄板の構造体形状に反映できるように最適化ブロックモデル27の最適形状が算出されることが望ましい。この点、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素を用いて最適化ブロックモデル27を構成することにより、このような要求を満たしやすくなるからである。また、最適化ブロックモデル27を構成する五面体以上の立体要素として均一なサイズのものを配置し、これにより、最適化の精度を上げるようにするのが好ましい。なお、本実施の形態1では、図5Bに示す通り、最適化ブロックモデル27の全体が六面体要素で構成されている。
[0041]
 また、最適化ブロックモデル生成部17は、構造体における設計空間25が設置された周囲の面に沿い、かつ設計空間25の最大面積を持つ面に平行に立体要素を細分化するように、最適化ブロックモデル27を生成するのが好ましい。例えば、図4Aに示すように、ドア14におけるインナー部品14bを設計空間25として設定した場合には、図4Bに示すように、この最適化ブロックモデル27の車外側の面が最大面積になっている。最適化ブロックモデル生成部17は、この最大面積となっている車外側の面が車体の側面と平行になるように最適化ブロックモデル27を生成する。
[0042]
 最適化ブロックモデル27をこのように生成する理由は以下の通りである。例えばインナー部品14bは板材によって形成されるので、最適化ブロックモデル27を用いて最適化の計算を実行した場合に、最適化ブロックモデル27の立体要素が面状に残るような計算結果を得られることが望ましい。最適化ブロックモデル27を上記のようなモデル構成にすることにより、この計算結果が面状に残る可能性が高くなり、このため、実際のものに対する利用価値が高くなるからである。
[0043]
〔結合処理部〕
 結合処理部19は、生成された最適化ブロックモデル27を、構造体モデル13側(アウター部品14aおよびヒンジ部14d)に結合する処理を行う。この最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合処理において、剛体要素、板要素または梁要素が用いられる。この際、結合処理部19は、最適化ブロックモデル27とアウター部品14aとの間で正確に荷重を伝達させるため、設計空間25として削除した部位とアウター部品14aとの元の接合箇所を最適化ブロックモデル27とアウター部品14aとの結合箇所に反映させるように結合処理するのが好ましい。図6は、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの結合位置を説明する説明図である。図6には、最適化ブロックモデル27の結合位置の一例として、アウター部品14aの車内側の面と図4C等に示す最適化ブロックモデル27との結合部29が図示される。結合処理部19は、図6に示す結合部29において、アウター部品14aと最適化ブロックモデル27とを面で結合した。こうすることによって、図2等に示すインナー部品14bの最適な形状とともにアウター部品14aとインナー部品14bとの最適な接合箇所を解析することができる。図7は、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの結合位置の別例を説明する説明図である。図7には、最適化ブロックモデル27の結合位置の別例として、最適化ブロックモデル27とヒンジ部14dとの接合部が示されている。本実施の形態1において、ヒンジ部14dは、図7に示すように、平面要素で構成した。結合処理部19は、これらの最適化ブロックモデル27とヒンジ部14dとを、図4Cに示すように結合した。
[0044]
〔材料特性設定部〕
 材料特性設定部20は、最適化ブロックモデル27にヤング率や比重(specific gravity)、降伏強度(yield strength)、引張強度(tensile strength)などの材料特性を設定する。立体要素は平面要素よりも変形しにくい。そのため、解析対象となるモデルが立体要素と平面要素とを結合して構成されている場合、平面要素で構成される箇所が大きく変形して、実態と異なる解析結果になる場合がある。例えば、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合部位が平面要素で構成されている場合に、最適化ブロックモデル27に荷重が付加されると、最適化ブロックモデル27よりも結合部位の箇所が大きく変形して、実態と合わない。このような問題点を解消するために、材料特性設定部20は、上記のように構造体モデル13における最適化ブロックモデル27が結合された部位が平面要素で構成されている場合には、最適化ブロックモデル27の立体要素におけるヤング率を平面要素におけるヤング率よりも低く(例えば半分以下)設定する。このようにすることで、変形の偏りがなくバランスの良い解析を行うことができる。
[0045]
〔最適化解析条件設定部〕
 最適化解析条件設定部21は、最適化ブロックモデル27に最適形状を求めるための最適化解析条件を設定する。この最適化解析条件設定部21によって設定される最適化解析条件には、目的条件と制約条件との2種類がある。目的条件は、構造体モデル13の目的に応じて設定される条件である。この目的条件として、例えば、変位(displacement)を最小にする、ひずみエネルギーを最小にする、発生応力を最小にする、吸収エネルギーを最大にする等がある。最適化解析条件設定部21は、最適化ブロックモデル27に対して目的条件を1つだけ設定する。制約条件は、最適化解析を行う上で課す制約である。この制約条件として、例えば、最適化前の最適化ブロックモデル27の体積に対する最適化後の最適化ブロックモデル27の体積比率である材料体積率、任意の部分の変位、発生応力等がある。最適化解析条件設定部21は、最適化ブロックモデル27に対して制約条件を複数設定可能である。
[0046]
〔機構解析条件設定部〕
 機構解析条件設定部22は、最適化ブロックモデル27が結合された構造体モデル13に機構解析を行うための機構解析条件を設定する。機構解析条件設定部22は、例えば、ドア14の閉じる動作におけるアウター部品14aの変形量を解析する場合、ドア14をヒンジ部14dによってドア枠12に回動可能に設置して、解析開始時におけるドア14の位置や、ドア14の閉じる速度等を設定する。なお、機構解析条件設定部22は、構造体モデル13に対して予め機構解析を行い、その結果得られた荷重、変位等を設定するようにしてもよい。
[0047]
〔最適形状解析部〕
 最適形状解析部23は、上記設定された機構解析条件に基づいて機構解析を実行するとともに、最適化解析条件に基づいて最適化解析を実行して最適化ブロックモデル27の最適形状を求める。図8は、本発明の実施の形態1に係る機構解析条件を説明する説明図であって、ドア14を閉じる動作を説明する説明図である。図8において、状態B1は、ドア14の開状態を示している。状態B2、状態B3は、ドア14が開状態から閉状態になる過程を示している。状態B4は、ドア14の閉状態を示している。
[0048]
 最適形状解析部23が解析を開始すると、ドア14はヒンジ部14dを中心に回動して(図8に示す状態B1~状態B3参照)、ドア14が閉まるとアウター部品14aがドア枠12に衝突する(図8に示す状態B4参照)。ドア14が回転を開始すると、最適化ブロックモデル27には遠心力が作用する。ドア14が閉まり、ドア枠12とアウター部品14aとが衝突すると反力が生じ、該反力がアウター部品14aから結合部29(図6参照)を介して、最適化ブロックモデル27に伝達されて作用する。また、このとき、最適化ブロックモデル27には瞬間的に負の加速度(acceleration)が生じる。そのため、最適化ブロックモデル27には質量に応じた慣性力(inertia force)が作用する。このように、最適化ブロックモデル27には、上記3つの力(遠心力(centrifugal force)、反力(reaction force)、慣性力)が作用する。
[0049]
 なお、最適形状解析部23は、数値解析による最適化計算すなわち最適化解析において、最適化パラメータの離散化を行うのが好ましい。この離散化におけるペナルティ係数(penalty coefficient)として2以上または基準となる立体要素のサイズの3~20倍を制限にすることが好ましい。最適化パラメータの離散化を行うことで、最適化パラメータを薄板の構造体形状に反映することが可能になる。最適形状解析部23は、最適化解析として、トポロジー最適化による最適化計算すなわちトポロジー最適化処理を行うものでもよいし、他の最適化計算方式による最適化処理であってもよい。したがって、最適形状解析部23としては、例えば市販されている有限要素(finite element)を用いた解析ソフトを使用することができる。最適形状解析部23が最適化解析処理を実行することで、最適化ブロックモデル27における立体要素のうち、与えられた解析条件を満たす最適の形状となる立体要素が残る。
[0050]
 ここで、着目すべき点は、上述したとおり、ドア枠12とアウター部品14aとが衝突すると反力が生じ、該反力が結合部29を介してアウター部品14aから最適化ブロックモデル27に伝達されるという、実際の車体に生ずる荷重伝達と同様の荷重伝達によって解析を行うことができる点である。
 この点を、比較例を示して詳細に説明する。
[0051]
 図9は、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分の一例であるドアの比較例としてのドア単独のモデルの説明図である。図9には、この比較例のモデルとして、ドア14のアウター部品14a以外の部分(例えばインナー部品41b、ヒンジ部41c)に相当するドアモデル41が図示されている。図10は、比較例の機構解析条件を説明する説明図である。比較例では、このドアモデル41に対して機構解析を行うとともに最適化解析を行った。具体的には、比較例の最適化解析では、仮にドアモデル41にアウター部品14aが取りつけられるとした場合の取付面の変位を最小にする形状を求めた。比較例の機構解析では、図10に示すヒンジ部41cの軸43を中心にドアモデル41を所定速度で、所定角度回動させた後、瞬時に停止させるという、ドアを閉める動作に相当する動作について解析した。このとき、ドアモデル41には、回動中の遠心力と回動停止時の慣性力とが作用することは本発明と同様であるが、比較例ではドア枠12を用いていないので、アウター部品14aがドア枠12へ衝突する現象を考慮することができない。また、比較例では、アウター部品14aがないため、アウター部品14aそのものが持つ剛性などの特性を考慮することができない。
[0052]
 その結果、上述した最適化ブロックモデル27をドア枠12に設置して機構解析を行う場合と、上記比較例の場合(ドアモデル41をドア枠12に設置せずに機構解析を行う場合)とでは全く異なる最適形状になった。そして、このような形状の違いが例えば剛性向上率において異なる結果となる。従って、本発明では、構造体モデル13に最適化ブロックモデル27を結合することは最適化ブロックモデル27を単に拘束するだけでなく、荷重を伝達させることで、実用上活用可能な最適形状を求めることを可能にしたわけである。この点は、後述する実施例で詳細に説明する。
[0053]
 次に、上記のように構成される形状最適化解析装置1を用いて実際に解析を実行する際の処理の流れを、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下に説明する処理は、操作者が入力装置5を通じてコンピュータに指示することによって、コンピュータが演算処理部11の各機能部(設計空間設定部15、最適化ブロックモデル生成部17、結合処理部19、材料特性設定部20、最適化解析条件設定部21、機構解析条件設定部22および最適形状解析部23)の上述した各処理を適宜実行し、これにより、実現される。
[0054]
 操作者が、構造体モデル13のファイル読み出しを入力装置5によって指示することで、コンピュータが構造体モデル13を記憶装置7から読みだして、表示装置3に表示する(S1)。つぎに、操作者は、表示された構造体モデル13において、最適化処理の対象となる設計空間25を設定する。具体的には、操作者は、構造体モデル13において設計空間25とする部位の座標を指定して、当該部位の要素を削除する指示を行う。この指示がなされることで、コンピュータの設計空間設定部15が当該部位の要素を削除する処理を行い、設計空間25が設定される(S3)。
[0055]
 設計空間25が設定されると、操作者は設計空間25に入る大きさの最適化ブロックモデル27の生成を最適化ブロックモデル生成部17に指示する。この指示としては、設計空間25におけるどの面を基準にして最適化ブロックモデル27を生成するかという指示を含む。例えば、図4Bおよび図5Aに示す最適化ブロックモデル27を生成するような場合では、最適化ブロックモデル27における前後方向の面を基準にして最適化ブロックモデル27を生成するという指示を与えると、コンピュータの最適化ブロックモデル生成部17が前記面を車幅方向に押し出すことによってメッシュ化された最適化ブロックモデル27を生成する(S5)。
[0056]
 最適化ブロックモデル27が生成されると、操作者が最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合を指示する。この指示には、結合要素として、剛体要素、板要素または梁(beam)要素のいずれの要素を用いるかを含む。コンピュータの結合処理部19は、指示を受けて、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合処理を行う(S7)。
[0057]
 上述した結合処理が完了すると、操作者は、最適化ブロックモデル27の材料特性を設定する(S8)。この際、操作者は、入力装置5の入力操作を行い、ヤング率や比重、降伏強度や引張強度等の材料特性を入力する。コンピュータの材料特性設定部20は、この入力された材料特性を、上述したように構造体モデル13と結合された最適化ブロックモデル27に設定する。
 その後、操作者は、最適化解析条件を設定する(S9)。この際、操作者は、最適化解析条件として、前述したように、ひずみエネルギーを最小にする、吸収エネルギーを最大にする等の目的条件、および材料体積率等の制約条件を入力する。操作者は次に、最適化ブロックモデル27が結合された構造体モデル13に機構解析を行うための機構解析条件を入力し、これに基づいて、コンピュータの機構解析条件設定部22は機構解析条件を設定する(S10)。
[0058]
 次に、コンピュータの最適形状解析部23は、機構解析の計算および最適化解析の計算を実行して、最適形状解析を実行する(S11)。次いで、コンピュータは、最適化計算等によって最適化ブロックモデル27における必要な要素が残った状態について、最適形状解析の結果として表示装置3に表示する(S13)。
[0059]
 操作者は、最適化計算等によって得られた形状モデルを作成し、当該モデルに基づいて他の構造解析計算により剛性の確認を行う。
[0060]
 以上のように本実施の形態1では、構造体モデル13の中の最適化の対象となる部位を設計空間25として設定し、設定された設計空間25に最適化ブロックモデル27を生成し、当該最適化ブロックモデル27を構造体モデル13に結合して機構解析を実行するようにしたので、最適化ブロックモデル27に構造体モデル13との結合部29から荷重伝達が適切に行われ、最適化ブロックモデル27の最適の形状を精度よく算出することができる。これによって、例えば車体構造の最適化が可能になり、剛性や衝突特性の向上が可能になり、車体のドアに例示される可動部分の剛性や衝突性能を所定値に保持しつつ車体等の構造体の軽量化を実現することができる。
[0061]
 なお、上記の説明では、最適化ブロックモデル27を構成する立体要素として図5Bに示すような六面体を例にあげ、その他の立体要素として、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で最適化ブロックモデル27を構成するのが好ましい旨を説明した。しかし、本発明は、最適化ブロックモデル27を構成する立体要素として、図12Aおよび図12Bに示すような四面体を用いる場合を排除するものではない。図12A、図12Bは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分の一例として、ドアの最適化ブロックモデルの他の態様における内部の様子を説明する説明図である。図12Aは、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの別態様の一例を示す図である。図12Bは、図12Aに示す最適化ブロックモデルの前後方向中央部における内部の様子を拡大して示す拡大図である。図12A、図12Bに示すように最適化ブロックモデル27を構成する立体要素として四面体要素を用いる場合は、設計空間25の外形のみ作成し内部は自動的に埋めるようにしてモデル生成することが可能になる。しかし、立体要素の形状として三角形からなる3面の先端が隣り合う部位に尖りを有するものになるため、最適化ブロックモデル27を薄板の構造体に反映しにくいという問題がある。
[0062]
 図12Bには、図12Aに示す最適化ブロックモデル27の前後方向中央部における内部の様子が拡大して図示されている。図12Aに示す最適化ブロックモデル27は、図12Bに示すように、表面から内部にかけて要素サイズが徐々に大きくなるように(グラデュアルに)生成したものである。なお、最適化ブロックモデル27は、内部の要素サイズを表面の要素サイズに合わせて細かくし、かつ最適化ブロックモデル27全体で均一な要素サイズになるように生成してもよい。この場合、精度の高い解析を行うことができる。
[0063]
 なお、上記の説明ではインナー部品14bを設計空間25としたが、設計空間25の設定方法はこれに限られない。図13A~図13Dは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルの可動部分の一例として、ドアの設計空間の他の態様を説明する説明図である。図13Aは、この可動部分のうちの設計空間以外の部分の一例を示す図である。図13Bは、この可動部分のうちの設計空間以外の部分の別例を示す図である。図13Cは、本発明の実施の形態1に係る最適化ブロックモデルの別態様を示す図である。図13Dは、本発明の実施の形態1に係る構造体モデルと最適化ブロックモデルとの結合体の別態様を示す図である。例えば、設計空間25は、図13Aに示すアウター部品14aおよび図13Bに示すインナー部品14b以外の部分に設定されてもよい。この場合、図4Bの場合と比較して、インナー部品14b以外の部分のみが最適化ブロックモデル27として生成される(図13C参照)。アウター部品14aとインナー部品14bと最適化ブロックモデル27とを結合したもの(ドア14に相当)が、図13Dに示される。この場合、上記のアウター部品14a以外の部分を設計空間25とした場合と同様の最適形状解析を実行すると(図14参照)、インナー部品14bの内部に最適化後の形状が残る。こうすることで、インナー部品14bをどのように補強すればよいかが分かる。また、上述したようにアウター部品14aおよびインナー部品14b以外の部分に設計空間25を設定した場合、上記のアウター部品14a以外の部分を設計空間25とした場合に比べて、最適化解析条件を変更することでより正確な解析を行うことができる。例えば、インナー部品14bがあるので、インナー部品14b以外の材料体積率を減らしてもよい。
[0064]
 なお、上記の例では車体の左前方のドア14(フロントドア)を対象に最適化することを例に挙げて説明したが、本発明は、他の可動部分にも適用できる。他の可動部分としては、例えば、リアドア、バックドア、トランクなどが挙げられる。
[0065]
[実施の形態2]
 本実施の形態2は、最適化ブロックモデル生成部17の他の態様に関するものであり、最適化ブロックモデル生成を、構造体モデル13を構成する平面要素または立体要素との結合部に節点を配置し、最適化ブロックモデル27を構成する立体要素として六面体立体要素を用いると共に前記結合部に配置された節点を含む平面に沿うように立体要素を積み上げるように行うものである。以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
[0066]
 図15は、アウター部品14aとインナー部品14bとで囲まれた空間の一部に設計空間25を設定した状態を示している。この例では、図15に示すように平面要素で構成される構造体モデル13と後述の図17に示す最適化ブロックモデル27の立体要素との結合位置に基準軸面に平行でないものが存在する。このような場合に適用するのが本実施の形態2である。
[0067]
 本実施の形態2において、最適化ブロックモデル生成部17は、上述した実施の形態1における最適化ブロックモデル生成機能に加え、以下に示す最適化ブロックモデル生成機能を兼ね備える。具体的には、最適化ブロックモデル生成部17は、図16に示すように、設計空間25におけるインナー部品14b側の面において構造体モデル13を削除した部位に存在する節点を直線で連結して、最適化ブロックモデル27を作成するための基準となる基準面33を板要素で作成する。最適化ブロックモデル生成部17は、基準面33を生成すると、基準面33を車幅方向に、節点共有により一体化しているように押し出して最適化ブロックモデル27を生成する。
[0068]
 本実施の形態2に係る最適化ブロックモデル27を生成した状態を図17、図18に示す。図17は、生成された最適化ブロックモデル27のメッシュの状態を示した図である。図18は、最適化ブロックモデル27に結合部29を図示したものである。このように、最適化ブロックモデル生成部17は、基準面33(図16参照)を生成し、この基準面33を用いて最適化ブロックモデル27を生成する。これにより、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合部29の傾斜部位などが滑らかな直線になるという効果がある。このようにすることで、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合状態が滑らかになり、その結果、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との間における荷重の伝達が正確になるという効果が得られる。
[0069]
 本実施の形態2に対する比較例として、実施の形態1と同様に、事前に基準面33を生成することなく最適化ブロックモデル27を生成した例を図19、図20に示す。図19は、比較例において生成された最適化ブロックモデル27のメッシュの状態を示した図である。図20は、比較例における最適化ブロックモデル27に結合部29を図示したものである。図19、図20に示す比較例では、図17に示す本実施の形態2の最適化ブロックモデル27に比べて傾斜部位に段35が形成されており、比較例の結合部29が滑らかでないことが分かる。
[0070]
 本実施の形態2によれば、最適化ブロックモデル27の形状が斜面を有するような場合であっても、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との結合状態が滑らかになり、その結果、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との間における荷重の伝達が正確になる。
[0071]
[実施の形態3]
 上述した実施の形態1、2では、最適化ブロックモデル生成部17による最適化ブロックモデル27の生成処理として、最適化ブロックモデル27を単体で形成した例を示したが、本実施の形態3において、最適化ブロックモデル生成部17は、最適化ブロックモデル27を、立体要素によって構成される複数のブロックで構成すると共に該複数のブロックを剛体要素、梁要素または平面要素を用いて連結して生成するようにしてもよい。以下、実施の形態3における最適化ブロックモデル27の生成処理を具体的に説明する。
[0072]
 図21および図22A~図22Cは、本実施の形態3における最適化ブロックモデルの生成方法の説明図である。図22Aは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルの上部分を生成した状態を示す図である。図22Bは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルの下部分を生成した状態を示す図である。図22Cは、本発明の実施の形態3における最適化ブロックモデルと構造体モデルとを結合した状態を示す図である。最適化ブロックモデル生成部17は、上述した実施の形態1、2における最適化ブロックモデル生成機能に加え、本実施の形態3の最適化ブロックモデル生成機能を兼ね備える。本実施の形態3において、最適化ブロックモデル生成部17は、実施の形態2で示した基準面33を生成する方法を用いると共に複数のブロックで最適化ブロックモデル27を生成する。
[0073]
 具体的には、最適化ブロックモデル生成部17は、まず、図15に示した設計空間25に、独立した複数の基準面33a、33bを生成する(図21参照)。つぎに、最適化ブロックモデル生成部17は、図21に示す上部の三角形の基準面33aを車の車幅方向に押し出して、図22Aに示すように三角柱の部分の上部ブロック27aを生成する。続いて、最適化ブロックモデル生成部17は、三角柱の下方の基準面33b(図21参照)を車幅方向に押し出して、図22Bに示すように下部ブロック27bを生成する。その後、最適化ブロックモデル生成部17は、生成したブロック同士と、これらの上部ブロック27aおよび下部ブロック27bの結合体である最適化ブロックモデル27と構造体モデル13(車体)とを結合部29によって順次結合する(図22C参照)。
[0074]
 上述したように、本実施の形態3では、最適化ブロックモデル27を複数のブロックに分割して生成することで、直方体のような単純形状のブロックからなる設計空間25は勿論、単純形状ではない設計空間25、例えば複雑な形状のブロックや斜面を含むブロックなどからなる設計空間25においても最適化ブロックモデル27を生成することが可能になる。
[0075]
 また、最適化ブロックモデル27を複数のブロックに分割して生成することで、最適化ブロックモデル27を滑らかな面で形成することができる。これにより、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との接合を滑らかにでき、この結果、最適化ブロックモデル27と構造体モデル13との間における荷重伝達を正確に行うことができる。
[0076]
 なお、上述した実施の形態3では、上部ブロック27aおよび下部ブロック27bのどちらを先に生成してもよく、また、これらブロック同士(上部ブロック27aおよび下部ブロック27b)の結合と、上部ブロック27aまたは下部ブロック27bと車体との結合との順序は本発明において特に問われず、いずれの結合を先に行ってもよい。
[0077]
 また、本実施の形態3において、最適化は節点が共有された空間を対象にするのが基本のため、ブロック結合は結合面積にして20%以下にするのが好ましい。

産業上の利用可能性

[0078]
 以上のように、本発明にかかる形状最適化解析方法及び装置は、車体等の構造体の最適化に有用であり、特に、構造体の可動部分の剛性や衝突特性の向上と構造体の軽量化とをともに実現する形状最適化解析方法及び装置に適している。

符号の説明

[0079]
  1 形状最適化解析装置
  3 表示装置
  5 入力装置
  7 記憶装置
  9 作業用データメモリ
  9a データ記憶領域
  9b 作業領域
 11 演算処理部
 12 ドア枠
 13 構造体モデル
 14 ドア
 14a アウター部品
 14b インナー部品
 14d ヒンジ部
 15 設計空間設定部
 17 最適化ブロックモデル生成部
 19 結合処理部
 20 材料特性設定部
 21 最適化解析条件設定部
 22 機構解析条件設定部
 23 最適形状解析部
 25 設計空間
 27 最適化ブロックモデル
 27a 上部ブロック
 27b 下部ブロック
 29 結合部
 33 基準面
 33a 基準面
 33b 基準面
 35 段
 41 ドアモデル
 41b インナー部品
 41c ヒンジ部
 43 軸

請求の範囲

[請求項1]
 可動部分を有する構造体モデルの一部分を、平面要素、または立体要素を使って最適化を行う形状最適化解析方法であって、
 前記可動部分における最適化の対象となる部分を設計空間として設定する設計空間設定ステップと、
 設定された前記設計空間に立体要素で構成され最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成ステップと、
 生成された前記最適化ブロックモデルを前記構造体モデルに結合する結合処理ステップと、
 前記最適化ブロックモデルに材料特性を設定する材料特性設定ステップと、
 前記最適化ブロックモデルに最適形状を求めるための最適化解析条件を設定する最適化解析条件設定ステップと、
 前記最適化ブロックモデルが結合された前記構造体モデルに機構解析を行うための機構解析条件を設定する機構解析条件設定ステップと、
 設定された前記最適化解析条件および前記機構解析条件に基づいて前記最適化ブロックモデルに対して機構解析を実行して、前記最適化ブロックモデルの最適形状を求める最適形状解析ステップと、
 を含むことを特徴とする形状最適化解析方法。
[請求項2]
 前記機構解析条件設定ステップは、前記構造体モデルに対して予め機構解析を行った結果、得られた荷重、または変位を設定することを特徴とする請求項1に記載の形状最適化解析方法。
[請求項3]
 前記材料特性設定ステップは、前記構造体モデルにおける前記最適化ブロックモデルの結合された部位が平面要素で構成されている場合には、前記最適化ブロックモデルの立体要素におけるヤング率を前記平面要素におけるヤング率よりも低く設定することを特徴とする請求項1または2に記載の形状最適化解析方法。
[請求項4]
 前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の形状最適化解析方法。
[請求項5]
 前記最適化ブロックモデル生成ステップは、前記構造体モデルにおける前記設計空間が設置された周囲の面に沿い、かつ前記設計空間の最大面積を持つ面に平行に立体要素を細分化する前記最適化ブロックモデルを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の形状最適化解析方法。
[請求項6]
 前記最適化ブロックモデルは、前記構造体モデルを構成する平面要素または立体要素との結合部に節点を配置し、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として六面体立体要素を用いると共に前記結合部に配置された前記節点を含む平面に沿うように立体要素を積み上げるように生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の形状最適化解析方法。
[請求項7]
 前記最適化ブロックモデルは、立体要素によって構成される複数のブロック体からなり、該複数のブロック体を剛体要素、梁要素または平面要素を用いて連結してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の形状最適化解析方法。
[請求項8]
 数値解析による最適化計算において最適化パラメータで離散化を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の形状最適化解析方法。
[請求項9]
 可動部分を有する構造体モデルの一部分を、平面要素、または立体要素を使って最適化を行う形状最適化解析装置であって、
 前記可動部分における最適化の対象となる部分を設計空間として設定する設計空間設定部と、
 設定された前記設計空間に立体要素で構成され最適化の解析処理を行う最適化ブロックモデルを生成する最適化ブロックモデル生成部と、
 生成された前記最適化ブロックモデルを前記構造体モデルに結合する結合処理部と、
 前記最適化ブロックモデルに材料特性を設定する材料特性設定部と、
 前記最適化ブロックモデルに最適形状を求めるための最適化解析条件を設定する最適化解析条件設定部と、
 前記最適化ブロックモデルが結合された前記構造体モデルに機構解析を行うための機構解析条件を設定する機構解析条件設定部と、
 設定された前記最適化解析条件および前記機構解析条件に基づいて前記最適化ブロックモデルに対して機構解析を実行して、前記最適化ブロックモデルの最適形状を求める最適形状解析部と、
 を備えたことを特徴とする形状最適化解析装置。
[請求項10]
 前記機構解析条件設定部は、前記構造体モデルに対して予め機構解析を行った結果、得られた荷重、または変位を設定することを特徴とする請求項9に記載の形状最適化解析装置。
[請求項11]
 前記材料特性設定部は、前記構造体モデルにおける前記最適化ブロックモデルの結合された部位が平面要素で構成されている場合には、前記最適化ブロックモデルの立体要素におけるヤング率を前記平面要素におけるヤング率よりも低く設定することを特徴とする請求項9または10に記載の形状最適化解析装置。
[請求項12]
 前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素を、五面体以上八面体以下であって互いに平行な2面を少なくとも一組有する立体要素で構成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。
[請求項13]
 前記最適化ブロックモデル生成部は、前記構造体モデルにおける前記設計空間が設置された周囲の面に沿い、かつ前記設計空間の最大面積を持つ面に平行に立体要素を細分化する前記最適化ブロックモデルを生成することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。
[請求項14]
 前記最適化ブロックモデル生成部は、前記構造体モデルを構成する平面要素または立体要素との結合部に節点を配置し、前記最適化ブロックモデルを構成する立体要素として六面体立体要素を用いると共に前記結合部に配置された前記節点を含む平面に沿うように立体要素を積み上げるように生成することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。
[請求項15]
 前記最適化ブロックモデル生成部は、前記最適化ブロックモデルを、立体要素によって構成される複数のブロックで構成すると共に該複数のブロックを剛体要素、梁要素または平面要素を用いて連結して生成することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。
[請求項16]
 前記最適形状解析部は、数値解析による最適化計算において最適化パラメータで離散化を行うことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。
[請求項17]
 前記最適形状解析部は、トポロジー最適化による最適化計算を行うことを特徴とする請求項9乃至16のいずれか一項に記載の形状最適化解析装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 4C]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]

[ 図 13A]

[ 図 13B]

[ 図 13C]

[ 図 13D]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22A]

[ 図 22B]

[ 図 22C]