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1. WO2021059689 - ハイドロゲル

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明 細 書

発明の名称 ハイドロゲル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071  

実施例

0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : ハイドロゲル

技術分野

[0001]
 本発明は、ハイドロゲルに関する。

背景技術

[0002]
 ハイドロゲルは、基本的に水との親和性の高いポリマーが水系溶媒中で膨潤したものである。ハイドロゲルは、その用途に応じて、吸水性、膨潤性、保湿性、粘着性、導電性等の種々の特性を有しており、これらの特性を活かして土木建築、農芸、食品、医療、化粧品、電気等の広範囲の分野において利用されている。
[0003]
 たとえば、特許文献1には、親水性高分子とアクリルアミド系高分子のマトリックス中に多価アルコールと水を含有してなる粘着性ゲル(粘着性を有するハイドロゲル)が開示されている。この粘着性ゲルは、含水量が低下した場合にも、粘着性を維持して生体表面に好適に貼付でき、かつ低皮膚刺激性、柔軟性を有するという特性をもつ。
[0004]
 また、特許文献2には、重合性単量体としてのアクリルアミドと、架橋性単量体とを共重合させた高分子マトリックス内に、4000~15000000の重量平均分子量の非架橋の水溶性高分子と水とが保持された粘着性ゲルであって、水溶性高分子が、ゲル中に0.1~5.0質量%含まれ、ゲルが、1.96~19.6Nの12mmφのステンレスに対する粘着力と、0.196~1.96N/0.02mの二軸延伸ポリエステルフィルムに対する90度剥離強度を有することを特徴とする粘着性ゲルが開示されている。この粘着性ゲルは、低皮膚刺激性を有し、また、高粘着でありながら、二軸延伸ポリエステルフィルムに対するフィルム剥離強度が低く、安定した離型性を有する。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2012-107120号公報
特許文献2 : 日本国特開2003-96431号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 ハイドロゲルは、皮膚に貼付される用途では、臭気が少なく、皮膚刺激性が少なく、かつ柔軟性を有することが好ましい。また、ハイドロゲルは繰り返し使用することが一般的であることから、貼り直しても皮膚表面に対する粘着性が維持されるよう、繰り返し使用した時の粘着性(以下、単に「繰り返し粘着性」とも言う)が高いことが好ましいが、特許文献1,2は、ゲルの繰り返し粘着性の向上については取り組んでいない。
[0007]
 従来のハイドロゲルは、貼付と剥離を数回繰り返すと粘着力が低下し、繰り返し粘着性が不十分である。しかしながら、粘着力を向上させるために高分子マトリックスにアクリル酸を使用すると、ゲルの臭気が強くなり、使用者に不快感を与えるおそれがある。
[0008]
 他方、繰り返し使用のためにハイドロゲルの硬さを調整し、皮膚への追従性を挙げることも可能であるが、ハイドロゲルが軟らかすぎると使用時に千切れてしまう場合がある。
[0009]
 本発明の目的は、繰り返し粘着性に優れ、かつ千切れにくいハイドロゲルを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、ハイドロゲルの構成成分を選択し、引張強度を一定の範囲に設定することにより、上記課題を解決できることを見出した。
[0011]
 本発明の第一態様によれば、アクリル系単量体と架橋性単量体との共重合体から形成される高分子マトリックスと、水溶性高分子と、水と、多価アルコールとを有するハイドロゲルであって、引張強度が0.5N/20mm~3.0N/20mmであることを特徴とするハイドロゲルが提供される。
[0012]
 本発明の第二態様によれば、上記ハイドロゲルの製造方法であって、アクリル系単量体、架橋性単量体、水溶性高分子、水、及び多価アルコールを含有し、かつ該架橋性単量体の含有率が0.03質量%~0.05質量%の重合性溶液に対して、ピーク強度が70~150mW/cm 2の紫外線を照射する工程を有することを特徴とするハイドロゲルの製造方法が提供される。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、繰り返し粘着性に優れ、かつ千切れにくいハイドロゲルを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] (A)ゲルシートの一実施形態の略平面図、(B)図1(A)のゲルシートの1B-1B線における略断面図。

発明を実施するための形態

[0015]
ハイドロゲル
 本発明のハイドロゲル(以下、単に「ハイドロゲル」又は「ゲル」ともいう)は、アクリル系単量体と架橋性単量体との共重合体から形成される高分子マトリックスと、水溶性高分子と、水と、多価アルコールとを有し、引張強度が0.5N/20mm~3.0N/20mmである。
[0016]
 アクリル系単量体とは、アクリロイル基(H 2C=CH-C(=O)-)又はメタクリロイル基(H 2C=C(CH 3)-C(=O)-)を有する、重合してポリマー(重合体)を形成可能なモノマーの総称である。アクリル系単量体は、分子内に重合性の炭素-炭素二重結合を1つ有する単官能単量体であり、非架橋モノマーである。
[0017]
 アクリル系単量体としては特に限定されないが、(メタ)アクリルアミド系単量体や(メタ)アクリル酸エステル等の水溶性単量体が好ましく、(メタ)アクリルアミド系単量体がより好ましい。
[0018]
 (メタ)アクリルアミド系単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-オクトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有のカチオン性アクリルアミド系化合物;4-アクリロイルモルフォリン、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基含有アニオン性のアクリル系単量体又はその塩;及びこれらの誘導体等が挙げられる。その中でも、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、4-アクリロイルモルフォリン、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸及びその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましいが、これに限定されるものではない。
[0019]
 (メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アルキル基の炭素数が1~18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1-アダマンチル等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等のアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル等の(ヒドロキシアルキル基にエーテル結合を介してアリール基が結合していても良い)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;モノ(メタ)アクリル酸グリセリン;モノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等のモノ(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール;(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル;及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられるが、これに限定されるものではない。
[0020]
 ハイドロゲルは、アクリル系単量体として、アクリル酸を含有することもできるし、あるいは含有しないこともできる。アクリル酸を適量ハイドロゲル中に残存させることにより、ハイドロゲル従来の粘着力を保ちつつ、硬度を高くすることができる。しかしながら、アクリル酸の含有によりハイドロゲルに臭気が生じるため、ハイドロゲルにおけるアクリル酸の量は少ない方が好ましく、例えばハイドロゲルに対し5質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくはアクリル酸はハイドロゲルに添加されない。
[0021]
 アクリル系単量体の添加量は、ハイドロゲルを構成する点、千切れ難さ、及び硬さの点から、高分子マトリックス総量に対して、98.5質量%~99.97質量%の範囲内であることが好ましい。同様に、高分子マトリックスにおけるアクリル系単量体に由来する構造単位の含有量は、98.5質量%~99.97質量%の範囲内であることが好ましい。
 アクリル系単量体の添加量は、ハイドロゲルを構成する点、千切れ難さ、及び硬さの点から、高分子マトリックス総量に対して、99.5質量%~99.85質量%であることがより好ましい。同様に、高分子マトリックスにおけるアクリル系単量体に由来する構造単位の含有量は、99.5質量%~99.85質量%の範囲内であることがより好ましい。
 さらに、アクリル系単量体の添加量は、ハイドロゲルを構成する点、千切れ難さ、及び硬さの点から、ハイドロゲルに対して、2質量%~60質量%の範囲内であることが好ましい。ハイドロゲルにおけるアクリル系単量体の含有量は2質量%以上であることが好ましい。ハイドロゲル中のイオンの移動を許容する点で、ハイドロゲルにおけるアクリル系単量体の含有量は60質量%以下であることが好ましい。ハイドロゲル中の高分子マトリックスの含有量は、より好ましくは5質量%~50質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、さらに好ましくは13質量%~35質量%の範囲内である。同様に、ハイドロゲルにおける架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、0.01質量%~0.1質量%の範囲内であることが好ましく、0.03質量%~0.05質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0022]
 架橋性単量体としては、分子内に重合性を有する炭素-炭素二重結合を2以上有している単量体を使用することが好ましい。具体的には、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド又は多官能(メタ)アクリル酸エステル、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、上記分子内に重合性を有する二重結合を2以上有する架橋性単量体として、特許第2803886号公報に記載された、2個以上の(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有しかつ分子量が400以上の多官能化合物であるポリグリセリン誘導体も使用することができる。上記多官能(メタ)アクリルアミド、上記多官能(メタ)アクリル酸エステル、及びポリグリセリン誘導体はアクリル系単量体に包含される。
[0023]
 架橋性単量体の添加量は、粘着力、繰り返し粘着性、千切れ難さ、及び硬さの点から、高分子マトリックス総量に対して、0.02質量%~1.5質量%の範囲内であることが好ましい。架橋性単量体の添加量を0.02質量%以上とすると、架橋密度が維持され、形状安定性が良好であると同時に、ゲルの凝集力が向上し、粘着力を十分に高くすることができる。また、剥離時に、被着体からゲルシートを円滑に剥離でき、千切れ難く、ゲルシートの取り扱い性が良好である。また、架橋性単量体の添加量が1.5質量%以下であると、粘着力及び/又は繰り返し粘着性を高く維持できるとともに、柔軟なゲルにすることができる。同様に、高分子マトリックスにおける架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、0.02質量%~1.5質量%の範囲であることが好ましい。
[0024]
 さらに、架橋性単量体の添加量は、ゲルシートの粘着力、繰り返し粘着性、取り扱い性等の点から、ハイドロゲルに対して、0.01質量%~0.1質量%の範囲内であることが好ましく、0.03質量%~0.05質量%の範囲内であることがより好ましい。同様に、ハイドロゲルにおける架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、0.01質量%~0.1質量%の範囲内であることが好ましく、0.03質量%~0.05質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0025]
 繰り返し粘着性、千切れ難さ、及び硬さの点から、高分子マトリックス総量に対して、高分子マトリックスの構成モノマーとしてのアクリル系単量体の添加量が98.5質量%~99.97質量%の範囲内であり、かつ架橋性単量体の添加量が0.03質量%~1.5質量%の範囲内であることが好ましく、アクリル系単量体の添加量が99.5質量%~99.85質量%の範囲内であり、かつ架橋性単量体の添加量が0.15質量%~0.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0026]
 繰り返し粘着性、千切れ難さ、及び硬さの点から、高分子マトリックスにおけるアクリル系単量体に由来する構造単位の含有量が98.5質量%~99.97質量%の範囲内であり、かつ架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が0.03質量%~1.5質量%の範囲内であることが好ましく、高分子マトリックスにおけるアクリル系単量体に由来する構造単位の含有量が99.5質量%~99.85質量%の範囲内であり、かつ架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が0.15質量%~0.5質量%の範囲内であることがより好ましい。
[0027]
 アクリル系単量体と架橋性単量体との共重合体は、アクリル系単量体と架橋性単量体以外の、共重合体を構成する追加の単量体を含まないことが好ましいが、かかる追加の単量体を含有してもよい。
[0028]
 水溶性高分子は、ハイドロゲルに被着体に対する粘着力、繰り返し粘着性、ゲルの凝集力(硬さ)を与えることを目的として添加される。
[0029]
 水溶性高分子は、好ましくは分子内にイオン性基を有しない非イオン性水溶性高分子である。
 水溶性高分子としては、例えばポリN-ビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリビニルアルコール部分鹸化物からなる群から選択される1種又は2種以上などが挙げられ、好ましくはPVPである。
[0030]
 ハイドロゲルにおける水溶性高分子の含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲルに対して、0.1質量%~13質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%~12質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5質量%~10質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
[0031]
 ハイドロゲルにおける水の含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲルに対して、10~60質量%であることが好ましく、10~45質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがさらに好ましい。水の含有量が少な過ぎると、ハイドロゲルの平衡水分量に対する含水量が少なくなり、ハイドロゲルの吸湿性が強くなり、ハイドロゲルが経時的に変質(例えば、膨潤)することがある。また、水の含有量が多過ぎると、ハイドロゲルの平衡水分量に対する含水量が多くなり、乾燥によるハイドロゲルの収縮や物性変化を生じることがある。
[0032]
 多価アルコールはハイドロゲルに湿潤性を付与するために添加される。多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体;ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体等が挙げられる。
[0033]
 多価アルコールの中でも、ハイドロゲルの使用温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状である多価アルコールを用いることが好ましく、具体的には、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン及びグリセリンからなる群から選択される1種又は2種以上等が好適である。
[0034]
 ハイドロゲルにおける多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲルに対して、20~70質量%の範囲内であることが好ましく、25~65質量%の範囲内であることがより好ましい。多価アルコールの含有量は水の含有量よりも多いことが好ましいが、水の含有量以下でもよい。多価アルコールの含有量が少な過ぎると、得られるハイドロゲルの保湿力、可塑性が乏しく、水分の蒸散が著しくなり、ハイドロゲルの経時安定性に欠けるとともに、柔軟性にも欠けるため、十分な粘着性が得られないことがある。また、上記多価アルコールの含有量が多過ぎると、高分子マトリックスが保持できる多価アルコールの量を超えてしまい、ハイドロゲルの表面から多価アルコールがブリードアウトすることによる物性変動が生じて、十分な粘着性が得られないことがあるため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。
[0035]
 また、本発明のハイドロゲルは、必要に応じて電解質を含有することができ、これにより、ハイドロゲルに導電性を付与することができる。
[0036]
 電解質としては特に限定されず、例えば、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属;ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属;その他の金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、上記電解質として、各種金属の、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩も好適に用いられる。また、上記電解質として、アンモニウム塩、各種錯塩等の無機塩類;酢酸、安息香酸、乳酸等の一価有機カルボン酸の塩;酒石酸等の多価有機カルボン酸の塩;フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩;有機アンモニウム塩等も好適である。
[0037]
 ハイドロゲルに導電性を付与する場合において、ハイドロゲルにおける電解質の含有量は、ハイドロゲルに対して、0.05~10質量%であることが好ましく、0.1~6質量%であることがより好ましい。電解質の含有量が少な過ぎると、インピーダンスが高くなり、導電性が良いとはいえなくなる。また、電解質の含有量が増えるに従ってインピーダンスは低下するが、電解質の含有量が多過ぎると、インピーダンスはもはや低下しなくなり、コスト的にも無駄である。
[0038]
 また、ハイドロゲルには、pHを調整する目的で水酸化ナトリウム等の塩基を適宜添加しても良い。
[0039]
 さらに、本実施形態に係るハイドロゲルには、粘着力を増強することを目的として、ポリアクリル酸又はその塩等の両親媒性高分子を必要に応じて含有させても良い。
[0040]
 このような両親媒性高分子の例として、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、構成単位にN-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマー等を挙げることができる。これらは、いずれかを単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
[0041]
 アクリル酸とメタクリル酸との共重合体は、アクリル酸とメタクリル酸との共重合比(モル比)が9:1~1:9であることが好ましい。
[0042]
 アクリル酸とメタクリル酸との共重合体の含有量は、少な過ぎると目的とする粘着力が得られ難く、逆に多過ぎるとハイドロゲルが硬くなり、結果的に粘着力の低下を引き起こすため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体の含有量は、ハイドロゲルに対して0.03~3質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.2~2質量%である。
[0043]
 アクリル酸とメタクリル酸との共重合体は、例えば、ラジカル重合、レドックス反応、光照射等の方法により製造することができる。このようなアクリル酸とメタクリル酸との共重合体として、東亞合成社製のジュリマーAC-20H、AC-20L(商品名)や、日本触媒社製FL-200(商品名)等の市販品を使用することもできる。
[0044]
 構成単位にN-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、配合液の調製のし易さや、得られるハイドロゲルが最適な粘着力を発揮するために、700万以下であることが好ましい。また、凝集性のあるゲルを得るために50万以上であることが好ましい。
[0045]
 構成単位にN-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーの含有量は、ハイドロゲルに対して0.1~40質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.4~15質量%である。
[0046]
 構成単位にN-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーは、他のポリマーとの共重合体であっても良い。市販されている上記共重合体として、例えば、アクリル酸とN-アルキルスルホン酸アクリルアミドとの共重合体が挙げられる。具体的には、アクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸との共重合体(東亞合成社製アロンビスAH-305(商品名))等を用いることができる。
[0047]
 構成単位にN-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーが他のポリマーとの共重合体である場合、その共重合比(モル比)は、N-アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマー:他のポリマー=2:8~8:2であることが好ましく、2:8~5:5であることがより好ましい。
[0048]
 ハイドロゲルは、必要に応じて、他の添加剤を含有していても良い。他の添加剤としては、例えば、防錆剤、防黴剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤、界面活性剤、着色剤等を挙げることができる。
[0049]
 本発明のハイドロゲルは、引張強度が0.5N/20mm~3.0N/20mmである。本明細書において、引張強度は、ハイドロゲルを120mm×20mm×0.4mmに切り出して試験片とし、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン(登録商標)万能試験機 RTE-1210)を用いて、引張速度20mm/minの条件で試験片を引っ張ったときの引張強度[N/20mm]を測定した。ハイドロゲルの引張強度が0.5N/20mm未満であると、剥離時に千切れを伴う恐れがある。ハイドロゲルの引張強度が3.0N/20mmを超えると、ゲルの強度が高くなるが粘着性が低下する恐れがある。
[0050]
ハイドロゲルの製造方法
 ハイドロゲルは、上述の水以外の各材料と、重合開始剤とを水に均一分散し、分散液を加熱又は紫外線照射等を行うことにより重合架橋して得ることができる。なお、分散には、溶質が水と混合せずに水中に分散された状態のみならず、溶質が水と混合して均一な相の混合物を形成する溶解も含まれる。
[0051]
 重合開始剤は、熱重合開始剤でも光重合開始剤でも良く、アクリル系単量体を重合させるための公知の熱重合開始剤又は光重合開始剤を使用することができる。また、重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、重合前の組成物である分散液(モノマー配合液とも称する)から重合開始剤を除いたものに対して、0.01質量%以上であることが好ましく、1質量%以下であることが好ましい。さらに、紫外線照射により重合する場合には、紫外線の積算照射量は、重合開始剤の含有量等によっても異なるが、例えば800mJ/cm 2~10000mJ/cm 2の範囲内であることが好ましく、2000mJ/cm 2~10000mJ/cm 2の範囲内であることがより好ましい。
[0052]
 重合開始剤の量と紫外線照射量を適宜設定することにより、アクリル系単量体の反応率を例えば99.8%以上となるように適宜調整することができる。紫外線照射量は特に限定されないが、ピーク強度が70~150mW/cm 2の紫外線を照射することが好ましい。ピーク強度が70mW/cm 2以上であるとハイドロゲル中の低分子量成分が増えることで粘着性機能が向上し、150mW/cm 2以下であると、適当な分子量成分を得やすい。
[0053]
 ハイドロゲルは、断面略矩形の有底の容器等の所望の形状の容器にモノマー配合液を流し込み、紫外線照射等により重合することにより、シート状等の所望の形状に成形することができる。シート状に成形したハイドロゲルのシートの形は、目的に合わせて任意の形状とすることができ、例えば略矩形、略円形等、が挙げられるがこれらに限定されない。以下、シート状のハイドロゲルを「ハイドロゲルシート」又は単に「ゲルシート」と称する。
[0054]
ハイドロゲル及びゲルシートのさらなる構成
 本発明のハイドロゲルは、面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれることが好ましい。ここでハイドロゲルの面内方向とは、ハイドロゲルの厚さ方向と直交する平面内の任意の方向を示すものとする。中間基材を有することにより、ハイドロゲルの補強、裁断時の保形性の改善等につながる。中間基材の具体的な態様として、不織布又は織布から構成することができる。不織布及び織布の材質は、セルロース、絹、麻等の天然繊維や、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、又はそれらの混紡が使用可能であり、必要に応じて、バインダーを用いても良く、さらに、必要に応じて着色しても良い。
[0055]
 不織布の製造方法は特に限定されないが、乾式法や湿式法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法が挙げられる。目付や材質に応じた製法を採用し、目付ムラがないことが中間基材の位置制御のためにより好ましい。織布についても、平織やトリコット、ラッセル等、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
[0056]
 また、織布又は不織布の目付は、中間基材としての所定の物性を得ることができる目付であれば特に限定されないが、例えば、10~40g/m 2であることが好ましく、10~28g/m 2であることがより好ましい。上記織布又は不織布の目付が小さ過ぎると、ゲルシートの補強等を図ることができなかったり、目付ムラが大きくなることでゲルシート製造時における液の浸透性が場所によって変わり、それによって中間基材の位置が変動する可能性がある。また、目付が大き過ぎると、中間基材が硬くなり、ハイドロゲルの皮膚への追従性等が損なわれるおそれや導通性に悪影響を与える可能性があるため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。
[0057]
 中間基材の厚みは、厚過ぎると液の浸透性が悪くなり、導通性に悪影響を及ぼす場合があり、逆に薄過ぎると、目付が小さ過ぎる場合と同様にゲルシートの補強等を図ることができなくなったり、中間基材の位置が変動する可能性があるため、これらを考慮して適宜設定される。好ましくは0.05mm~2.0mmの範囲内である。また、0.05mm~0.5mmであることがより好ましく、0.08mm~0.3mmであることが特に好ましい。
[0058]
 本発明のハイドロゲルの厚みは、厚過ぎるとずり応力が低下し、薄過ぎると凝集力が低下するこれらを考慮して適切な厚みが選択される。好ましくは0.2mm~2.0mmの範囲内である。特に、0.3mm~1.5mmであることがより好ましく、0.5mm~1.5mmであることがさらに好ましい。
[0059]
 本発明のハイドロゲルの貯蔵弾性率(周波数0.1Hzにおける)は特に限定されないが、好ましい下限が2000Pa、好ましい上限が9000Paである。貯蔵弾性率が下限未満であると、ゲルが柔らかくなりすぎて、ゲルの千切れ易さにつながると共に、ハンドリング性や形状安定性が乏しくなることや特定の形状に加工する際の加工性の低下が懸念される。貯蔵弾性率が前記上限を超えると、ゲルが硬くなりすぎ、ハンドリング性や加工性は向上しうるが、粘着力が低下しすぎる場合がある。本発明のハイドロゲルの貯蔵弾性率のより好ましい下限は3000Pa、さらに好ましい下限4000Paである。ハイドロゲルの貯蔵弾性率のより好ましい上限は8000Pa、さらに好ましい上限は7000Paである。
[0060]
 本発明のハイドロゲルのベークライト板に対する粘着力は特に限定されないが、好ましい下限は1N/20mm、好ましい上限は15N/20mmである。粘着力が前記下限未満であると、皮膚への粘着力が不十分であり、電極にした際にエレメントからゲルが脱落する恐れもある。粘着力が前記上限を超えると、皮膚に対する粘着力が強すぎて、剥がす際に痛みや発赤を伴う場合がある。本発明のハイドロゲルのベークライト板に対する粘着力のより好ましい下限は2N/20mm、さらに好ましい下限は3N/20mmである。本発明のハイドロゲルのベークライト板に対する粘着力のより好ましい上限は9N/20mm、さらに好ましい上限は7N/20mmである。
[0061]
 中間基材を備えたハイドロゲルシートの製造プロセスとしては、ゲル材の組成、中間基材の材質、厚み等によって細かい条件が異なり、特に限定されるものではない。例えば、中間基材の垂直方向における変形が最小限になるように一定以上のテンションをかけた状態で中間基材を空中で保持し、その中間基材の上側及び下側に、モノマー配合液を流し込み、光照射等により重合してシート状とする方法;表面が平滑なシート状のゲル材を2つ作製した後、一定以上のテンションをかけた状態で保持している中間基材をこれらのゲル材で挟持し、複合化する方法;あるいは、表面が平滑なシート状のゲル材を作製し、このゲル材の上に、一定以上のテンションをかけた状態で中間基材を載置し、その中間基材の上にモノマー配合液を流し込み、光照射等によりさらに重合させる方法等を適宜採用することができる。かかる製造プロセスが連続プロセスの場合、中間基材やゲル材をロール化してから、これを取り出し適宜シート状にカットしても良い。
[0062]
 図1(A)に、ゲルシートの一実施形態の略平面図、図1(B)に図1(A)のゲルシートの1B-1B線における断面図を示す。ゲルシート1は、本発明のハイドロゲルから構成されたゲル材10と、ゲル材10に埋め込まれた中間基材12とを備えている。中間基材12の詳細は上述したとおりである。本実施形態では、ゲルシート1の片面にはベースフィルム14を設け、ベースフィルム14が設けられた面の裏面にはトップフィルム16を設けているが、ベースフィルム14及びトップフィルム16は省略してもよい。
[0063]
 ベースフィルム14としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂からなる樹脂フィルム、紙、上記樹脂フィルムをラミネートした紙等を使用することができる。
[0064]
 ベースフィルム14のゲルシート1と接する面は、離型処理がなされていることが好ましい。離型処理の方法としては、シリコーンコーティング等が挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが好ましい。離型処理が施されるフィルムとしては、二軸延伸したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム等が特に好ましい。
[0065]
 トップフィルム16としては、基本的にベースフィルムと同じ材質のものを使用することも可能であるが、トップフィルムを設けた状態で、その上から紫外線照射等を行って重合させる場合には、光重合を妨げないために、光を遮断しない材質のフィルムを選択することが好ましい。
[0066]
 本発明のハイドロゲルは、柔軟性や保水性等に優れているため、医療、化粧品、食品、化学、土木、農業、バイオエンジニアリング、スポーツ関連等の多岐にわたる分野に対して用いることができる。例えば、医療用電極ハイドロゲル、冷却用ゲル、化粧用フェイスマスク、細胞培養培地等として使用することができる。好ましくは、導電材料から構成される電極と皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルとして用いることができる。
[0067]
 本発明は、以下の構成をとることもできる。
[1]アクリル系単量体と架橋性単量体との共重合体から形成される高分子マトリックスと、水溶性高分子と、水と、多価アルコールとを有するハイドロゲルであって、
 引張強度が0.5~3.0N/20mmであることを特徴とするハイドロゲル。
[2]水溶性高分子がポリビニルピロリドンである[1]に記載のハイドロゲル。
[3]アクリル系単量体がアクリルアミド系単量体である[1]又は[2]に記載のハイドロゲル。
[4]アクリル系単量体に由来する構造単位の含有率が高分子マトリックス総量に対して98.5質量%~99.97質量%の範囲内である[1]~[3]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[5]架橋性単量体に由来する構造単位の含有率が高分子マトリックス総量に対して0.02質量%~1.5質量%である[1]~[4]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[0068]
[6]ハイドロゲル中の架橋性単量体に由来する構造単位の含有率が0.01質量%~0.1質量%である[1]~[5]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[7]ハイドロゲル中のアクリル酸の濃度が5質量%以下である[1]~[6]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[8]ハイドロゲル中のアクリル酸の濃度が1質量%以下である[1]~[7]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[9]水溶性高分子が、ポリN-ビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール部分鹸化物からなる群から選択される1種又は2種以上を含む[1]~[8]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[10]水溶性高分子の含有量が0.1質量%~13質量%である[1]~[9]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[0069]
[11]水溶性高分子の含有量が0.5質量%~10質量%である[1]~[10]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[12]水の含有量が10質量%~60質量%である[1]~[11]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[13]多価アルコールが、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン
及びグリセリンからなる群から選択される1種又は2種以上を含む[1]~[12]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[14]多価アルコールの含有量が20質量%~70質量%である[1]~[13]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[15]電解質をさらに含む[1]~[14]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[0070]
[16]電解質が、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、金属の次亜塩素酸塩、金属の亜塩素酸塩、金属の塩素酸塩、金属の過塩素酸塩、金属の塩酸塩、金属の硫酸塩、金属の炭酸塩、金属の硝酸塩、金属の燐酸塩、アンモニウム塩、錯塩、一価有機カルボン酸の塩;酒石酸、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、又はクエン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸又はアミノ酸の金属塩、並びに有機アンモニウム塩のうちの1種又は2種以上を含む[1]~[15]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[17]電解質の含有量が0.05質量%~6質量%である[15]又は[16]に記載のハイドロゲル。
[18]ハイドロゲル中の高分子マトリックスの含有量が5質量%~50質量%である[1]~[17]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[19]面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる[1]~[18]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[20]前記中間基材が不織布である[19]に記載のハイドロゲル。
[21]厚みが0.5~1.5mmである[1]~[20]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[0071]
[22]貯蔵弾性率が2000~9000Paである[1]~[21]のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[23]導電材料から構成される電極と皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、[1]~[22]のいずれか1項に記載のハイドロゲルからなる医療用電極ハイドロゲル。
[24][1]~[22]のいずれか1項に記載のハイドロゲルの製造方法であって、アクリル系単量体、架橋性単量体、水溶性高分子、水、及び多価アルコールを含有し、かつ該架橋性単量体の含有率が0.03~0.05質量%の重合性溶液に対して、ピーク強度が70~150mW/cm 2の紫外線を照射する工程を有することを特徴とするハイドロゲルの製造方法。
実施例
[0072]
 以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0073]
1.ハイドロゲルの調製
 実施例1のハイドロゲルの調製
 (1)モノマー配合液の調製
 撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリルアミドを20質量%、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを0.04質量%、水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(クリージャスK-90、第一工業製薬株式会社製)を0.5質量%、イオン交換水18質量%を混合し、撹拌して均一に溶解させた後に、保湿剤としてグリセリンを58質量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として塩化ナトリウムを2.5質量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光重合開始剤、界面活性剤を合わせて0.96質量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。均一になるまで攪拌し、透明なモノマー配合液を得た。
[0074]
 (2)ハイドロゲルの製造
(実施例1)
 得られた配合液を、シリコーンコーティングされたベースフィルム上に滴下し、一定のクリアランスを通過させることで、液を均一に押し広げ、中間基材(不織布)を載せて、さらにその上に配合液を滴下し、その上から同じくシリコーンコーティングされたトップフィルムを被せて、液を均一に押し広げ、厚さが0.75mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してピーク照度130mW/cm 2、エネルギー量3000mJ/cm 2で紫外線照射を行うことにより、実施例1の厚さ0.75mmのハイドロゲルシートを得た。
[0075]
(実施例2~8)
 各成分の質量%及びゲルの厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。なお、実施例5では、両親媒性高分子として、アクリル酸-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体(アロンビスAH-305X、東亞合成社製)を0.5質量%添加した。
 実施例8では、ゲルの厚みを0.9mmとした。
[0076]
(比較例1)
 撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリル酸を14.4質量%、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)を9.6質量%、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを0.04質量%、水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(クリージャスK-90、第一工業製薬株式会社製)を3質量%混合し、さらに50質量%NaOH溶液を8.0質量%添加してpH4~5に調整し、イオン交換水を17.3質量%混合した。その後、保湿剤としてグリセリンを44質量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として塩化ナトリウムを0.5質量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光重合開始剤、界面活性剤、N-ビニル-2-カプロラクタムを合わせて3.16質量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。均一になるまで攪拌し、透明な配合液を得た。得られた配合液を用いて、実施例1と同様の製造方法で、比較例1のハイドロゲルを製造した。
[0077]
(比較例2)
 各成分の質量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に配合液を調製した。この配合液を用いて、メタルハライドランプのピーク照度50mW/cm 2、エネルギー量3000mJ/cm 2の赤外線照射を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
[0078]
(比較例3~5)
 各成分の質量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
 なお、実施例5では、両親媒性高分子として、アクリル酸-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体(アロンビスAH-305X、東亞合成社製)を1質量%添加した。
[0079]
2.各評価方法
 得られた実施例1~8及び比較例1~5のハイドロゲルを、以下の各項目で評価した。
[0080]
 (1)インピーダンスの評価
 ハイドロゲルを20mm×20mmに切り出し、トップフィルムを剥がして現れたゲル面(A層)をステンレス鋼SUS304に貼付け、もう1つ同じものを作成し、それぞれもう一方のベースフィルムを剥がして現れたゲル面(B層)同士を貼り合せ試験片とした。この試験片に入力電圧10V、抵抗1MΩ、1kHz及び10Hzの電流を印加したとき、SUS板間にかかる電圧をオシロスコープ(Tektronix社製;TDS3014)で読み取り、以下の式(1)(オームの法則)により電極インピーダンス値を求めた。
[0081]
 |Z|=E/I   ・・・ (1)
 |Z|は電極のインピーダンス値(Ω)であり、Eはオシロスコープで読み取った電圧値(V)であり、Iは電極に印加した電流10(μA)である。
[0082]
 (2)配合液溶解性
 表1に記載した実施例及び比較例のハイドロゲルの製造のために調製した配合液を外観を目視により判断し、完全溶解している場合をYes、一部でも不溶物が残った場合をNoとした。
[0083]
 (3)粘着力評価
(ベークライト板に対する粘着力評価)
 ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、ベースフィルムを剥がして現れたゲル面にベークライト板を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復して圧着し試験片とした。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR-500DX)を用い、JIS-Z0237;2009に準じて測定条件は、角度90度、速度300mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルの粘着力とした。測定環境としては、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で実施した。
[0084]
(皮膚に対する初期粘着力評価)
 ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、トップフィルムを剥がして現れたゲル面に測定時の持ち手を作るために無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片とした。その後、被験者5名(20代~50代の男女)を、貼付15分前に温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下の測定室に入室させた。上記試験片を各被験者の前腕内側のなるべく体毛の少ない部分に貼付し、その状態で30分間維持した。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR-500DX)を用い、測定条件は、角度180度、速度1000mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、2試験(計10点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルの皮膚に対する初期粘着力(I)とした。
[0085]
(皮膚に対する20回貼付後粘着力評価)
 上記の皮膚に対する初期粘着力評価に用いた試験片と同じものを、5名の各被験者の前腕内側に貼付し、1分間隔で引き剥がしと貼付を20回繰り返し、測定開始点から20回引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を、レオメーター(サン科学社製、CR-500DX)で測定し、2試験(計10点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルの皮膚に対する20回貼付後の粘着力(II)とした。
 繰り返し粘着性の指標として、皮膚に対する20回貼付後粘着力の皮膚に対する初期粘着力に対する比(II)/(I)を計算した。0.8以上をA、0.7以上0.8未満をB、0.7未満をCと評価した。
[0086]
 (4)臭気の評価
 実施例及び比較例の各ハイドロゲルに、訓練されたパネルがゲルの表面の匂いを嗅ぎ、臭気を感じなかった場合をNo、臭気を感じた場合をYesとした。
[0087]
 (5)ゲル千切れの評価
 実施例及び比較例の各ハイドロゲルに、訓練されたパネルが50mm×50mmにカットしたゲルを腕内側に貼付し、貼付後3分後に引き剥がし、皮膚にゲルが残らなかった場合をPass、一部でもゲルが残った場合をFailとした。
[0088]
 (6)引張強度の評価
 ハイドロゲルを120mm×20mm×0.4mmに切り出して試験片とし、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン(登録商標)万能試験機 RTE-1210)を用いて、引張速度20mm/minの条件で試験片を引っ張ったときの引張強度[N/20mm]を測定した。
[0089]
 (7)貯蔵弾性率の評価
 ハイドロゲルの貯蔵弾性率を測定した。具体的には、粘弾性測定装置(アントンパール社製、MR-102)を用い、23℃、0.1Hzの周波数における歪量1%の粘弾性測定を行った。冶具は25φのSUS製パラレルプレートに25φのゲル片を貼り合わせ、1Nになる荷重点まで押し当てた後、0.1Hzにて貯蔵弾性率を算出した。貯蔵弾性率が高いほど、弾性を示す硬さの指標となる。
[0090]
3.結果
 結果を表1に示す。比較例4のハイドロゲルはゲルを作製する際、調整する配合液粘度が高くなりすぎると共に水溶性高分子が凝集し、均一溶解が困難であり、結果として均一なゲルが得られなかった。実施例1~8のハイドロゲルの引張強度は比較例1~3,5のハイドロゲルの引張強度よりも高く、実施例1~8のハイドロゲルは硬さがあるが、千切れにくいことが判明した。実施例1~8のハイドロゲルは繰返し粘着性にも優れていた。また、実施例1~8のハイドロゲルはアクリル酸をモノマーとして含有しないため、臭気が生じなかった。比較例1~5のハイドロゲルでは千切れが発生し、繰返し粘着性が低いことが確認された。
[0091]
 以上の結果から、本実施例のハイドロゲルは、繰り返し粘着性に優れ、かつ千切れにくいことが示された。
[0092]
[表1]


請求の範囲

[請求項1]
 アクリル系単量体と架橋性単量体との共重合体から形成される高分子マトリックスと、水溶性高分子と、水と、多価アルコールとを有するハイドロゲルであって、
 引張強度が0.5~3.0N/20mmであることを特徴とするハイドロゲル。
[請求項2]
 水溶性高分子がポリビニルピロリドンである請求項1に記載のハイドロゲル。
[請求項3]
 アクリル系単量体がアクリルアミド系単量体である請求項1又は2に記載のハイドロゲル。
[請求項4]
 架橋性単量体に由来する構造単位の含有率が0.01質量%~0.1質量%である請求項1~3のいずれか1に記載のハイドロゲル。
[請求項5]
 水溶性高分子の含有量が0.1質量%~13質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[請求項6]
 面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる請求項1~5のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[請求項7]
 前記中間基材が不織布である請求項6に記載のハイドロゲル。
[請求項8]
 厚みが0.2mm~2.0mmである請求項1~7のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[請求項9]
 貯蔵弾性率が2000Pa~9000Paである請求項1~8のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
[請求項10]
 導電材料から構成される電極と皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、請求項1~9のいずれか1項に記載のハイドロゲルからなる医療用電極ハイドロゲル。
[請求項11]
 請求項1~9のいずれか1項に記載のハイドロゲルの製造方法であって、アクリル系単量体、架橋性単量体、水溶性高分子、水、及び多価アルコールを含有し、かつ該架橋性単量体の含有率が0.03質量%~0.05質量%の重合性溶液に対して、ピーク強度が70~150mW/cm 2の紫外線を照射する工程を有することを特徴とするハイドロゲルの製造方法。

図面

[ 図 1]