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1. WO2014118863 - 光起電力装置

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明 細 書

発明の名称 光起電力装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

符号の説明

0071  

産業上の利用可能性

0072  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 光起電力装置

技術分野

[0001]
 本発明は、光起電力装置に関する。

背景技術

[0002]
 光エネルギーを電気エネルギーに変換する光起電力素子の開発が各方面で精力的に行われている。例えば、単結晶シリコンや多結晶シリコン等の結晶質系シリコンを用いた光起電力素子または光起電力装置の研究および実用化が盛んに行われている。
[0003]
 近年、光入射面の受光面積を拡大して電力変換効率を高めた光起電力素子として、光入射面である受光面から受光面に対向する裏面までを貫通する貫通孔を形成し、受光面側から得られる出力電力を貫通孔を介して裏面側に引き出すメタルラップスルー構造の光起電力素子が注目されている。このようなタイプの光起電力素子の製造方法として、光起電力を生じる単結晶シリコン層に貫通孔を設けるとともに、貫通孔の内壁の一部に非晶質シリコン層によるヘテロ結合を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-80885号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 メタルラップスルー構造を有する光起電力素子では、一般に貫通孔が金属材料で埋設されるが、この金属材料が貫通孔を形成する壁面や光起電力素子の裏面において受光面以外の領域と接触してしまうと、正負極間が短絡され出力特性を大きく損ねるおそれがある。
[0006]
 本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性を高めた光起電力装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するために、本発明のある態様の光起電力装置は、一導電型を有する第1導電層と、第1導電層の上に設けられるベース層と、ベース層の上に設けられる第1電極と、第1電極およびベース層を貫通する貫通孔と、第1電極の略全面を覆うように設けられ、貫通孔の内壁を被覆する絶縁層と、絶縁層の上に設けられる第2電極と、を備える。第2電極は、貫通孔を介して第1導電層と接する。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、信頼性を高めた光起電力装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 第1の実施形態における光起電力装置の構造を示す断面図である。
[図2] 図1の光起電力装置を裏面から見た外観図である。
[図3] 図1の光起電力装置を受光面から見た外観図である。
[図4] ベース層が形成された材料基板を示す図である。
[図5] 第2のi型層および第2導電層が形成された材料基板を示す図である。
[図6] 第1透明電極層および第1金属電極が形成された材料基板を示す図である。
[図7] 第1金属電極から第2のi型層までを貫通する第1の孔が形成された状態を示す図である。
[図8] ベース層を貫通する第2の孔が形成された状態を示す図である。
[図9] 第1の孔および第2の孔の内壁をドライエッチングする様子を示す図である。
[図10] 絶縁層が形成された状態を示す図である。
[図11] 材料基板を分離した状態を示す図である。
[図12] 第1のi型層、第1導電層および第2透明電極層が形成された状態を示す図である。
[図13] 第2金属電極およびタブ電極が形成された状態を示す図である。
[図14] 第2の実施形態における光起電力装置の構造を示す断面図である。
[図15] 図14の光起電力装置を裏面から見た外観図である。
[図16] 複数の光起電力素子を保護基板およびバックシートで封止する様子を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
[0011]
 <第1の実施形態>
 図1は、第1の実施形態に係る光起電力装置100の構造を示す断面図である。光起電力装置100は、光起電力素子70と、光起電力素子70が発電した電力を外部に取り出すためのタブ電極80を備える。光起電力素子70は、発電した電力を外部へ取り出す電極として、光(太陽光)Aが入射する受光面70aに対向する裏面70b側に設けられる第1金属電極20と第2金属電極30を備える。第2金属電極30は、光起電力素子70の受光面70aと裏面70bを貫通する貫通孔36を介して、受光面70a側に形成される第1導電層26および第2透明電極層28と接続される。このように、光起電力装置100は、受光面70a側からの電力を貫通孔36を充填する第2金属電極30を介して裏面70b側に引き出すことのできるメタルラップスルー構造を有する。
[0012]
 光起電力素子70は、ベース層12と、第2のi型層14と、第2導電層16と、第1透明電極層18と、第1金属電極20と、絶縁層22と、第1のi型層24と、第1導電層26と、第2透明電極層28と、第2金属電極30を備える。
[0013]
 ベース層12は、結晶質の半導体層であり、例えば、単結晶の半導体層や、多数の結晶粒が集合した多結晶の半導体層である。ここでは、ベース層12として、n型のドーパントが添加されたn型結晶質シリコン基板を用い、ドーピング濃度は10 16/cm 程度とする。また、ベース層12は、光起電力素子70に入射する光吸収効率を向上させるためのテクスチャ構造が受光面70a側に設けられる。テクスチャ構造を設けることで、光起電力素子70に入射する光の進行方向を変化させ、ベース層12に入射した光の光路長を長くすることができる。
[0014]
 第2のi型層14及び第2導電層16は、非晶質系の半導体層であり、アモルファス相又はアモルファス相内に微少な結晶粒が析出している微結晶相を含む半導体層である。ここでは、水素を含有するアモルファスシリコンとする。第2のi型層14は、実質的に真性のアモルファスシリコンであり、第2導電層16は、n型のドーパントが添加されたアモルファスシリコンである。第2導電層16は、第2のi型層14よりもドーパント濃度が高いシリコンとされる。例えば、第2のi型層14には意図的にドーピングを行わず、第2導電層16のドーパント濃度は10 18/cm 程度とすればよい。
[0015]
 第2のi型層14の厚さは、光の吸収をできるだけ抑えるためにはできるだけ薄くすることが望ましく、ベース層12の表面が十分にパッシベーションされる程度にすることが好ましい。具体的には、第2のi型層14の厚さは、1nm以上50nm以下とすればよく、例えば10nmとする。また、第2導電層16は、光の吸収をできるだけ抑えられるためにはできるだけ薄くすることが望ましく、光起電力素子70の開放電圧が十分に高くなるような程度に厚くすることが好ましい。具体的には、第2導電層16の厚さは、例えば、1nm以上とすればよく、例えば200nmとする。
[0016]
 第1のi型層24及び第1導電層26は、非晶質系の半導体層であり、アモルファス相又はアモルファス相内に微少な結晶粒が析出している微結晶相を含む半導体層であり、ここでは、水素を含有するアモルファスシリコンとする。第1のi型層24は、実質的に真性のアモルファスシリコンであり、第1導電層26は、p型のドーパントが添加されたアモルファスシリコンである。第1導電層26は、第1のi型層24よりもドーパント濃度が高いシリコン層とされる。例えば、第1のi型層24には意図的にドーピングを行わず、第1導電層26のドーパント濃度は10 18/cm 程度とすればよい。
[0017]
 第1のi型層24の厚さは、ベース層12の表面が十分にパッシベーションされる程度に厚くするとよい。具体的には、第1のi型層24の厚さは1nm以上とすればよく、例えば10nmとする。また、第1導電層26の厚さは、光起電力素子70の開放電圧が十分に高くなるような程度にするとよい。第1導電層26の厚さは1nm以上50nm以下とすればよく、例えば10nmとする。
[0018]
 第2のi型層14および第2導電層16は、裏面70b側においてヘテロ接合を形成し、第1のi型層24および第1導電層26は、受光面70a側においてヘテロ接合を形成する。これにより、光起電力素子70内にビルトインポテンシャルを形成する。
[0019]
 第1透明電極層18及び第2透明電極層28は、酸化錫(SnO )、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等に錫(Sn)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)等をドープした透明導電性酸化物(TCO)のうち少なくとも一種類又は複数種を組み合わせて用いることが好適である。特に、酸化亜鉛(ZnO)は、透光性が高く、抵抗率が低い等の利点を有している。第1透明電極層18及び第2透明電極層28の膜厚は、10nm以上500nm以下とすればよく、例えば100nmとする。
[0020]
 なお、受光面70a側に設けられる第2透明電極層28の上には、入射する光Aの反射率を低減させるための反射防止膜が形成されてもよい。
[0021]
 第1金属電極20及び第2金属電極30は、光起電力素子70が発電する電力を外部に取り出すための電極であり、例えば、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)またはこれらの合金、もしくはこれらの金属粒子を含むペーストなどである。第1金属電極20は、後述する製造工程において一時的な支持基板としての役割を果たすため、その厚さは50μm以上とすることが望ましい。
[0022]
 図2は、図1の光起電力装置100を裏面70bから見た外観図であり、図3は、図1の光起電力装置100を受光面70aから見た外観図である。第2金属電極30は、光起電力素子70の裏面70b側に設けられるとともに、光起電力素子70の受光面70aと裏面70bを貫通する複数の貫通孔36を充填するように設けられる。第2金属電極30が充填される複数の貫通孔36は、第2金属電極30による集電効率を高めるため、それぞれが互いに離間して配列される。なお、第2金属電極30は、電気抵抗を小さくするためその厚さを10μm以上とすることが望ましい。
[0023]
 第2金属電極30は、図2に示すように、複数の貫通孔36が配列する領域C1を覆うようにして裏面70b側に形成される。また、第1金属電極20は、図1に示すように、複数の貫通孔36が配列する領域C1以外の領域を覆うようにして形成される。このため、光起電力素子70の裏面70b側は、第1金属電極20または第2金属電極30によりその略全面が覆われることとなる。これにより、光起電力素子70の受光面70aから入射した光は、ベース層12を一度通過しただけでは吸収が不十分であったとしても、裏面70b側に形成された第1金属電極20および第2金属電極30により反射されて、再度ベース層12を通過することとなる。そのため、第1金属電極20または第2金属電極30により裏面70b側の略全面が覆われていない場合と比較して、より多くの光をベース層12に反射させてベース層12の光吸収量を増大させることができる。
[0024]
 絶縁層22は、第1金属電極20の略全面を被覆するとともに、貫通孔36の内壁を形成するように設けられ、第2金属電極30が、ベース層12、第2のi型層14、第2導電層16、第1透明電極層18及び第1金属電極20と接触しないように絶縁する。絶縁層22は、電気的に絶縁性を有する材料により構成され、ベース層12の光吸収量を増大させるため、光の吸収を生じない透明材料であることが望ましい。絶縁層22は、例えば、酸化シリコン(SiO )、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al )又は樹脂材料とすればよく、その膜厚は、例えば100nm以上1μm以下とすればよい。なお、絶縁層22は、第1金属電極20から外部に電力が取り出せるよう、タブ電極80が設けられる領域には形成されないようにしてもよい。
[0025]
 本実施の形態では、光起電力素子70の第2透明電極層28が受光面70aとなる。ここで、受光面とは、光起電力素子70において主に光(太陽光)Aが入射される主面を意味し、具体的には、光起電力素子70に入射される光Aの大部分が入射される面である。
[0026]
 次に、光起電力装置100の製造方法について説明する。
 図4は、ベース層12が形成された材料基板10を示す図である。材料基板10は、結晶質の半導体材料であり、例えば、シリコン、多結晶シリコン、砒化ガリウム(GaAs)、インジウム燐(InP)等の半導体基板である。なお、本実施の形態では、材料基板10として単結晶シリコン基板を用いた例を示す。したがって、後述するベース層12、第2のi型層14、第2導電層16、第1のi型層24、第1導電層26もシリコン層とする。ただし、材料基板10をシリコン以外の材料としてもよく、これらの層もシリコン層以外の材料としてもよい。
[0027]
 ポーラス層(脆化層)10aは、材料基板10を陽極酸化処理等することにより形成される。陽極酸化に用いる電解質は、例えば、フッ化水素酸及びエタノールの混合液又はフッ化水素酸及び過酸化水素水の混合液とすることができる。陽極酸化の電流密度は、5mA/cm 以上600mA/cm 以下とすればよく、例えば10mA/cm 程度とする。
[0028]
 ポーラス層10aの厚さは、0.01μm以上30μm以下とすればよく、例えば10μm程度とする。ポーラス層10aの空孔径は、0.002μm以上5μm以下とすればよく、例えば0.01μm程度とする。ポーラス層10aの空孔率は、10%以上70%以下とすればよく、例えば20%程度とする。
[0029]
 材料基板10のポーラス層10a上には、ベース層12が形成される。ベース層12は、化学気相成長法(CVD)で形成することができる。ベース層12は、ポーラス層10aをシード層としたエピタキシャル成長により形成され、結晶質の半導体層同士が接合されたホモ接合領域を形成する。例えば、材料基板10を950℃に加熱し、水素(H )で希釈されたジクロロシラン(SiH Cl )を原料ガスとして供給することにより成膜することができる。水素(H )とジクロロシラン(SiH Cl )の流量は、例えばそれぞれ0.5(l/min)及び180(l/min)とする。また、必要に応じてホスフィン(PH )をドーピングガスとして添加する。
[0030]
 図示していないが、ベース層12の表面12aにテクスチャ構造が形成される。材料基板10、ポーラス層10a及びベース層12を、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液中で化学的にエッチングすることにより、ベース層12の表面12aに微細な凹凸形状を有するテクスチャ構造を形成する。なお、テクスチャ構造の凹凸形状は、エッチングに用いるNaOH水溶液の濃度や反応時間などを変えることにより制御することが望ましい。
[0031]
 なお、材料基板10として、サファイア(Al )などのシリコン以外を材料とする基板を用いてもよい。この場合、材料基板10の上にポーラス層10aを形成する必要はなく、ポーラス層10aを設ける替わりにサファイア基板上に微細なテクスチャ構造を設け、この上にベース層12をエピタキシャル成長させることで表面にテクスチャ構造が形成されたベース層12を得ることができる。
[0032]
 図5は、第2のi型層14および第2導電層16が形成された材料基板10を示す図である。ベース層12の上に第2のi型層14と第2導電層16が順に形成される。
[0033]
 第2のi型層14及び第2導電層16は、シラン(SiH )等のケイ素含有ガスを用いたプラズマ化学気相法(PECVD)により形成することができる。シラン(SiH )等のケイ素含有ガスを供給しつつ、高周波電源から高周波電極へ高周波電力を供給することによって原料ガスのプラズマが生成され、プラズマからベース層12上に原料が供給されてシリコン薄膜が形成される。原料ガスには、必要に応じてホスフィン(PH )等のドーパント含有ガスを混合する。
[0034]
 図6は、第1透明電極層18および第1金属電極20が形成された材料基板10を示す図である。第1透明電極層18は、スパッタリング法又はプラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成方法で形成することができる。第1金属電極20は、ニッケルと鉄の合金からなる金属層がメッキ法により形成される。
[0035]
 図7は、第1金属電極20から第2のi型層14までを貫通する第1の孔32が形成された状態を示す図である。第1金属電極20の上から第1のレーザ60を照射することで、第1金属電極20から第2のi型層14までを貫通し、ベース層12が露出される第1の孔32を形成する。第1のレーザ60の照射条件は、例えば波長355nm、繰り返し周波数25kHz、パワー0.90W、パルスエネルギー3.6μJのパルス状集光レーザビームである。これを第1金属電極20の上から直径50μmの領域C1に照射することにより、第1金属電極20から第2のi型層14まで貫通する直径約45μmの第1の孔32を形成することができる。
[0036]
 図8は、ベース層12を貫通する第2の孔が形成された状態を示す図である。第1の孔32の内部に第2のレーザ62を照射することで、ベース層12を貫通し、ポーラス層10aが露出される第2の孔34を形成する。第2のレーザ62の照射条件は、例えば波長1064nm、繰り返し周波数15kHz、パワー25W、パルスエネルギー1.7mJのパルス状集光レーザビームである。これを第1の孔32により露出したベース層12の直径40μmの領域C2に照射することにより、ベース層12を貫通してポーラス層10aの表面に至る直径約30μmの第2の孔34を形成する。
[0037]
 図9は、第1の孔32および第2の孔34の内壁をドライエッチングする様子を示す図である。上述した第1の孔32および第2の孔34を形成する際、レーザビームの照射領域からいわゆるデブリと呼ばれる飛散物が生じ、第1の孔32および第2の孔34の内壁や第1金属電極20の上面20aに付着する。このような付着物によりベース層12から第1金属電極20の間に形成された各層の間で短絡が生じてしまうと、光起電力素子70の出力特性が低下することとなる。そこで、第1の孔32および第2の孔34を形成した後に、第1金属電極20の上から四フッ化炭素および酸素(CF +O )によるプラズマガス64に晒すことにより、これらの付着物をドライエッチングし、第1の孔32および第2の孔34の内壁や第1金属電極20の上面20aをクリーニングする。なお、エッチングに用いるガスは、CF +O には限定されず、三フッ化窒素(NF )や、六フッ化硫黄(SF )などを用いてもよい。
[0038]
 図10は、絶縁層22が形成された状態を示す図である。絶縁層22は、ドライエッチングがなされた第1金属電極20の上から、第1金属電極20の上面20aと第1の孔32および第2の孔34の内壁を被覆するように形成される。絶縁層22は、膜厚が200nm程度の窒化シリコン層であり、シラン(SiH )と水素(H )に窒素(N )又はアンモニア(NH )を混合した原料ガスをプラズマ化して供給するプラズマ化学気相成長法(PECVD)により形成することができる。これにより、第1の孔32および第2の孔34の内壁を被覆する側面部22aと、第2の孔34により露出するポーラス層10aの表面を被覆する底面部22bが形成される。なお、第1金属電極20から外部へ電力を取り出すためのタブ電極80が接続できるよう、第1金属電極20の一部領域C3にマスクを施すことにより、絶縁層22が形成されないようにしている。
[0039]
 図11は、材料基板10を分離した状態を示す図である。ポーラス層10aを境界として、ベース層12側と材料基板10側とを機械的に切り離す。このとき、第2の孔34の直径が約30μmであるのに対し、絶縁層22の膜厚は200nm程度と第2の孔34の直径に対して極めて薄いため、ポーラス層10aの上の直径約30μmの範囲に形成される底面部22bは材料基板10側に残ることとなる。このため、ポーラス層10aの上に形成される底面部22bは側面部22aから切り離され、第1の孔32と第2の孔34を被覆する側面部22aにより貫通孔36が形成される。
[0040]
 材料基板10の分離処理では、例えば、材料基板10及び絶縁層22を真空チャックで吸着し、双方を引き離すように引っ張ることによって、ポーラス層10a部分から材料基板10を切り離すことができる。その他、絶縁層22と材料基板10とをそれぞれ別の仮支持基材に接着剤、或いはテープ等で固定し、これらの仮支持基材に外力を印加することで分離を行い、その後接着剤、或いはテープを除去してもよい。また、材料基板10の側面からポーラス層10aにウォータージェットを吹き付けることによって、ポーラス層10a部分から材料基板10を切り離すことができる。
[0041]
 図12は、第1のi型層24、第1導電層26および第2透明電極層28が形成された状態を示す図であり、これらの層は、貫通孔36が設けられたベース層12の上に順に形成される。第1のi型層24及び第1導電層26は、第2のi型層14および第2導電層16と同様に、シラン(SiH )等のケイ素含有ガスを用いたプラズマ化学気相法(PECVD)により形成することができる。原料ガスには、必要に応じてジボラン(B )等のドーパント含有ガスを混合する。
[0042]
 第2透明電極層28は、第1透明電極層18と同様、スパッタリング法又はプラズマ化学気相成長法(PECVD)等の薄膜形成方法で形成することができる。なお、第2透明電極層28を形成した後に、第2透明電極層28よりも屈折率の小さい反射防止層を第2透明電極層28の上に形成してもよい。この場合、反射防止膜は、既に形成されているヘテロ接合に影響を与えないよう250℃以下の温度で形成することが望ましい。
[0043]
 なお、第1のi型層24、第1導電層26および第2透明電極層28の膜厚は、貫通孔36の直径の大きさと比べて極めて薄いため、貫通孔36の上からこれらの層を形成したとしても、貫通孔36が埋設されることはない。その結果、貫通孔36は、絶縁層22から第2透明電極層28までを貫通することとなる。
[0044]
 図13は、第2金属電極30およびタブ電極80が形成された状態を示す図である。第2金属電極30は、第1金属電極20が形成されていない領域C1に対応した開口を有するメタルマスクを絶縁層22の上に配置し、その上から壁面への付着性の高いCVD法やスパッタリング法により形成される。これにより、貫通孔36の内部が充填されるとともに、絶縁層22の一部領域C1を被覆するようにして第2金属電極30が形成される。また、第2金属電極30は、貫通孔36を介して受光面70a側の第1導電層26および第2透明電極層28と接続される。なお、第2金属電極30は、金属ペーストをスクリーン印刷する方法により、貫通孔36を埋設するよう形成してもよい。最後に、第1金属電極20が露出した領域C3にタブ電極80を設ける。
[0045]
 以上の製造方法により、光起電力装置100は、裏面70b側に第1金属電極20及び第2金属電極30が形成されるとともに、貫通孔36を介して受光面70a側の第1導電層26および第2透明電極層28と接続される第2金属電極30が設けられるメタルラップスルー構造を有する。その結果、受光面70aの上に集電極を形成する必要がなくなるため、受光面70a上に集電極を形成した場合と比較して受光面70aの受光面積を大きくすることができ、電力変換効率を高めることができる。
[0046]
 また、第2金属電極30は、貫通孔36および第1金属電極20の上を被覆する絶縁層22により、ベース層12から第1金属電極20の間に設けられる各層と電気的に絶縁されることとなる。このため、受光面70a側に設けられる第1のi型層24、第1導電層26および第2透明電極層28以外の領域と、第2金属電極30とが接触してしまうことを防ぐことができ、信頼性の高いメタルラップスルー構造とすることができる。
[0047]
 また、第1金属電極20と第2金属電極30は、絶縁層22を挟んで異なる平面上に形成されているため、どちらかの金属電極を櫛形等にする必要がなく、図2に示すように、広い面積を有する金属電極とすることができる。このため、電極構造を簡便に製造することができ、コストアップを防止することが出来る。
[0048]
 また、第2金属電極30は、第1金属電極20が形成されていない領域C1の上を覆うように形成されるため、光起電力素子70の裏面70b側は、第1金属電極20または第2金属電極30のいずれかによって被覆されることとなる。その結果、入射光の一部、例えば裏面70b側に透過したとしても、第1金属電極20または第2金属電極30のいずれかが透過光を反射させて再度光起電力素子70に向かわせる光閉じ込め効果を得ることができ、電力変換効率を高めることができる。
[0049]
 <第2の実施形態>
 図14は、第2の実施形態に係る光起電力装置200の構造を示す断面図である。以下、第1の実施形態における光起電力装置100との相違点を中心に説明する。
[0050]
 光起電力装置200は、第1の実施形態において示した光起電力素子70を複数備え、タブ電極80によって互いに接続される。図15は、図14の光起電力装置200を裏面70bから見た外観図であり、複数の光起電力素子70がタブ電極80により接続される様子を示す。図15に示すように、タブ電極80は、隣接する光起電力素子70の第1金属電極20と第2金属電極30を接続することにより、複数の光起電力素子70を直列接続する。本実施の形態において、第1金属電極20と第2金属電極30はいずれも光起電力素子70の裏面70b側に設けられるため、タブ電極80により簡便に複数の光起電力素子70を接続することができる。
[0051]
 図14に戻り、光起電力装置200は、保護基板40と、保護層42と、バックシート50を備える。保護基板40は、光起電力素子70を外部環境から保護するとともに、光起電力素子70が発電のために吸収する波長帯域の光を透過する。保護基板40は、例えば、ガラス基板である。なお、本実施の形態における光起電力素子70の受光面70aは、櫛形状に形成される電極が設けられず平坦に形成されるため、保護基板40を受光面70aに接するように配置することができる。これにより、受光面70aと保護基板40を接着するための接着剤を省くことができるため、接着剤による入射光の吸収損失を防ぎ、電力変換効率を高めることができる。
[0052]
 保護層42及びバックシート50は、EVA、ポリイミド等の樹脂材料である。これにより、光起電力装置200の発電層への水分の浸入等を防ぐとともに、光起電力装置200全体の強度を向上させる。なお、バックシート50は、保護基板40と同じガラスや、プラスチック等の透明基板としてもよい。また、保護基板40側から入射した光がベース層12により多く吸収されるよう、保護層42とバックシート50との間に反射層を設けることで、光起電力素子70を透過してバックシート50に達した光を光起電力素子70へ反射させてもよい。
[0053]
 次に、光起電力装置200の製造方法を示す。
 図16は、複数の光起電力素子70を保護基板40およびバックシート50で封止する様子を示す図である。図4~13に示す工程により製造された複数の光起電力素子70をタブ電極80により直列接続した後、受光面70a側に保護基板40を配置し、裏面70b側に保護層42を挟み込むようにしてバックシート50を配置する。その後、光起電力素子70を保護基板40とバックシート50で挟み込んだ状態で加熱圧着するとともに、保護基板40からはみ出た保護層42を除去することで、図14に示す光起電力装置100が形成される。
[0054]
 以上の製造方法により、光起電力装置200は、複数の光起電力素子70がモジュール化されるとともに、保護基板40が受光面側となり、第1金属電極20および第2金属電極30が裏面側に設けられることとなる。また、貫通孔36を介して受光面70a側の第2透明電極層28と接続される第2金属電極30が設けられるメタルラップスルー構造を有する。これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[0055]
 以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
[0056]
 上述の実施形態においては、受光面70a側の第2透明電極層28上に金属電極が設けられない構造としたが、第2透明電極層28の上に櫛形状に形成した金属電極を形成してもよい。この場合、櫛形状に形成される金属電極の分だけ受光面積が低下してしまうが、受光面70a側の集電効率を高めることができる。
[0057]
 上述の実施形態においては、複数の貫通孔36が配列する領域C1を覆うようにして第2金属電極30が形成される場合について述べたが、第2金属電極30は、領域C1以外領域を覆うように形成されてもよい。例えば、領域C1よりも少し広い領域を覆うように第2金属電極30を形成し、第2金属電極30が絶縁層22を挟んで第1金属電極20と重なるようにしてもよい。また、絶縁層22の略全面を覆うように第2金属電極30を形成してもよい。このように、第1金属電極20の上に第2金属電極30の少なくとも一部領域が重なるようにして電極を形成することで、光閉じ込め効果をさらに高めることができる。
[0058]
 上述の実施形態においては、ベース層12として、n型のドーパントが添加されたn型結晶質シリコン基板を用いたが、p型のドーパントが添加されたp型結晶質シリコン基板を用いても良い。この場合のドーピング濃度は10 16/cm 程度とすればよい。
[0059]
 上述の実施形態においては、第2導電層16をn型のドーパントを添加したn型導電層とし、第1導電層26をp型のドーパントを添加したp型導電層としたが、これらの層の導電型を逆にしても良い。つまり、第2導電層16をp型のドーパントを添加したp型導電層とし、第1導電層26をn型のドーパントを添加したn型導電層としてもよい。
[0060]
 なお、以下の組合せによる光起電力装置についても本発明の範囲に含まれうる。
[0061]
 (1)光起電力装置は、一導電型を有する第1導電層と、第1導電層の上に設けられるベース層と、ベース層の上に設けられる第1電極と、第1電極およびベース層を貫通する貫通孔と、第1電極の略全面を覆うように設けられ、貫通孔の内壁を被覆する絶縁層と、絶縁層の上に設けられる第2電極と、を備える。第2電極は、貫通孔を介して第1導電層と接する。
[0062]
 この態様によれば、受光面となる第1導電層の上に電極を設けない構造とすることができるため、受光面の受光面積を大きくすることができ、電力変換効率を高めることができる。また、第1電極は略全面が絶縁層により覆われており、第2電極は絶縁層により被覆された貫通孔を介して第1導電層と接するため、第1電極及びベース層と第2電極との間で電気的な絶縁を確保し、光起電力装置の信頼性を高めることができる。
[0063]
 (2)第1電極は、ベース層の上に設けられる透明電極層と、透明電極層の上に設けられる金属電極と、を有し、第2電極は、絶縁層を挟んで金属電極の上に重なる領域を有する(1)に記載の光起電力装置であってもよい。
[0064]
 この態様によれば、ベース層の上に金属電極が形成されるとともに、金属電極の上に第2電極が重なるように設けられるため、双方の電極でもってベース層の略全面を覆うように形成することが可能となる。このため、受光面となる第1導電層から入射した光がベース層に吸収されずに裏面側に透過したとしても、裏面側に形成される電極により反射して再度ベース層に向かわせることができる。その結果、裏面側の略全面に電極が形成されない場合と比較して、光電変換効率を高めることができる。
[0065]
 (3)貫通孔は、それぞれが互いに離間して配列するように複数設けられており、第2電極は、複数設けられる貫通孔を介して第1導電層と接する(1)または(2)に記載の光起電力装置であってもよい。第2電極が互いに離間して配列する複数の貫通孔を介して第1導電層と接することで、第2電極による集電効率を高めることができる。
[0066]
 (4)ベース層と第1電極との間に、第1導電層とは異なる導電型を有する第2導電層をさらに備える(1)から(3)のいずれかに記載の光起電力装置であってもよい。
[0067]
 (5)ベース層は、第2導電層と同じ導電型のドーパントが添加された結晶質シリコン層であり、第2導電層は、ベース層と比較して高濃度にドープされた層であり、ベース層との間の領域において実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成される(4)に記載の光起電力装置であってもよい。
[0068]
 (6)ベース層は、第1導電層との間の領域に、実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成される(5)に記載の光起電力装置であってもよい。
[0069]
 (7)ベース層は、第1導電層と同じ導電型のドーパントが添加された結晶質シリコン層であり、第1導電層は、ベース層と比較して高濃度にドープされた層であり、ベース層との間の領域において実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成される(1)から(4)のいずれかに記載の光起電力装置であってもよい。
[0070]
 (8)ベース層は、第1電極との間の領域に、実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成される(7)に記載の光起電力装置であってもよい。

符号の説明

[0071]
 12…ベース層、14…第2のi型層、16…第2導電層、18…第1透明電極層、20…第1金属電極、22…絶縁層、24…第1のi型層、26…第1導電層、28…第2透明電極層、30…第2金属電極、36…貫通孔、40…保護基板、42…保護層、50…バックシート、70…光起電力素子、70a…受光面、70b…裏面、80…タブ電極、100、200…光起電力装置。

産業上の利用可能性

[0072]
 本発明によれば、信頼性を高めた光起電力装置を提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 一導電型を有する第1導電層と、
 前記第1導電層の上に設けられるベース層と、
 前記ベース層の上に設けられる第1電極と、
 前記第1電極および前記ベース層を貫通する貫通孔と、
 前記第1電極の略全面を覆うように設けられ、前記貫通孔の内壁を被覆する絶縁層と、
 前記絶縁層の上に設けられる第2電極と、
 を備え、
 前記第2電極は、前記貫通孔を介して前記第1導電層と接することを特徴とする光起電力装置。
[請求項2]
 前記第1電極は、前記ベース層の上に設けられる透明電極層と、前記透明電極層の上に設けられる金属電極と、を有し、
 前記第2電極は、前記絶縁層を挟んで前記金属電極の上に重なる領域を有することを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置。
[請求項3]
 前記貫通孔は、それぞれが互いに離間して配列するように複数設けられており、
 前記第2電極は、複数設けられる前記貫通孔を介して前記第1導電層と接することを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力装置。
[請求項4]
 前記ベース層と前記第1電極との間に、前記第1導電層とは異なる導電型を有する第2導電層をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光起電力装置。
[請求項5]
 前記ベース層は、前記第2導電層と同じ導電型のドーパントが添加された結晶質シリコン層であり、
 前記第2導電層は、前記ベース層と比較して高濃度にドープされた層であり、前記ベース層との間の領域において実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成されることを特徴とする請求項4に記載の光起電力装置。
[請求項6]
 前記ベース層は、前記第1導電層との間の領域に、実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成されることを特徴とする請求項5に記載の光起電力装置。
[請求項7]
 前記ベース層は、前記第1導電層と同じ導電型のドーパントが添加された結晶質シリコン層であり、
 前記第1導電層は、前記ベース層と比較して高濃度にドープされた層であり、前記ベース層との間の領域において実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光起電力装置。
[請求項8]
 前記ベース層は、前記第1電極との間の領域に、実質的に真性である非晶質シリコン層を含むヘテロ接合領域が形成されることを特徴とする請求項7に記載の光起電力装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]