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1. WO2013111692 - 発泡成形品の製造方法および発泡成形品

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明 細 書

発明の名称 発泡成形品の製造方法および発泡成形品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

先行技術文献

特許文献

0011  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0012   0013   0014   0015  

課題を解決するための手段

0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

実施例

0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127  

符号の説明

0128  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 発泡成形品の製造方法および発泡成形品

技術分野

[0001]
 本発明は、バージン樹脂と、回収樹脂材料とを混合して製造する発泡成形品の製造方法および発泡成形品に関する。

背景技術

[0002]
 一般に、樹脂成形品の成形では、溶融状態の熱可塑性樹脂を分割金型で挟み込んで成形する成形方法が広く用いられている。
 こうした成形方法では、樹脂材料を溶融状態として分割金型で型締めした後、金型を開いて離型させ、成形品の周囲等のバリをカッター等で切除し、完成品を得ることとなる。
[0003]
 こうした一般的な成形方法では、成形後に冷えて固化した樹脂材料における完成品の周囲等に、いわゆるバリなど、完成品以外の部分の樹脂が発生してしまう。
[0004]
 この完成品以外の部分の樹脂は、成形時に溶融状態とさせるための熱が加えられた後に冷えて固化した熱履歴を有するため、熱履歴を加えていないバージン樹脂と比較して、例えばメルトテンション(MT)、メルトフローレイト(MFR)、アイゾット衝撃強度等の数値で示されるような物性が劣化してしまうことが多くある。
[0005]
 樹脂成形品を大量生産する際には、省資源化および低コスト化の観点から、成形時に発生した完成品以外の部分の樹脂を粉砕して回収樹脂材料とし、この回収樹脂材料をバージン樹脂と混合して基材樹脂とし、溶融状態として次の樹脂成形品を成形するといったサイクルを繰り返す。
[0006]
 このため、樹脂成形品を大量生産する製造サイクルで用いられる樹脂材料は、熱履歴が加えられていないバージン樹脂のみの場合よりも、例えばMT、MFR、アイゾット衝撃強度等の数値で示される物性が劣化してしまっていることが多くある。
[0007]
 このため、成形に用いる樹脂の選択として、回収樹脂材料との混合樹脂とされ、バージン樹脂の状態よりも物性が劣化した状態でも十分な性質を有するように、高い物性を有する樹脂を選択することが一般的である。
[0008]
 ここで、MTやMFR等の数値で示される物性が劣化し、あるラインを下回ると、成形時に金型表面の凹凸形状に沿わせるよう、溶融状態の樹脂材料を大きく延ばした場合に、ピンホールが空いてしまう虞がある。
 また、流動性が変化したり炭化現象が現れ、例えば、ブロー成形においてはドローダウンが発生して肉厚が不均一になったり、表面の劣化が現れる虞がある。
[0009]
 また、発泡樹脂の場合、気泡セルが大きくなる際に破泡してしまう虞がある。こうして気泡セルが破泡してしまうと発泡倍率が下がってしまい、高い発泡倍率を実現することが困難となる。
[0010]
 本出願人による技術としては、軽量であり、かつ耐衝撃強度に優れる発泡成形体を成形するため、発泡用ポリプロピレン系樹脂と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、を含む混合樹脂を用いて、その水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量を15~25wt%としたものがある(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0011]
特許文献1 : 特開2011-51180号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0012]
 しかしながら、高い物性を有する樹脂は一般に高価である。
 このため、バージン樹脂と回収樹脂材料との混合樹脂を用いて成形した成形品についても十分な物性となるように、材料とする樹脂に高い物性を有するものを選択すると、発泡成形品を製造する上で材料コストが高くなる問題があった。
[0013]
 また、車載部品等に用いるために、発泡成形品における発泡倍率を高くして軽量化すると、低温時の耐衝撃性が低下する傾向がある。
[0014]
 また、上述した特許文献1のものは、こうした回収樹脂材料を用いることによる物性の劣化への対策についてまで考慮されたものではなかった。
[0015]
 本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、バージン樹脂と回収樹脂材料との混合樹脂を成形における樹脂材料として用いる場合であっても、耐衝撃強度に優れ、安定した高品質の発泡成形品を低コストに製造することができる発泡成形品の製造方法および発泡成形品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0016]
 かかる目的を達成するために、本発明に係る発泡成形品の製造方法は、溶融状態の樹脂材料を分割金型により型締めして成形する発泡成形品の製造方法であって、
 樹脂材料は、
  溶融された後に固化した樹脂材料を砕いてなる回収樹脂材料と、
  溶融による熱履歴が加えられていないバージン樹脂と、を混合した混合樹脂に発泡剤を添加して構成され、
  ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーを混合させたものであることを特徴とする。
[0017]
 また、本発明に係る発泡成形品は、溶融状態の樹脂材料を分割金型により型締めして成形する発泡成形品であって、
 樹脂材料は、
  溶融された後に固化した樹脂材料を砕いてなる回収樹脂材料と、
  溶融による熱履歴が加えられていないバージン樹脂と、を混合した混合樹脂に発泡剤を添加して構成され、
  ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーを混合させたものであることを特徴とする。

発明の効果

[0018]
 以上のように、本発明によれば、バージン樹脂と回収樹脂材料との混合樹脂を成形における樹脂材料として用いる場合であっても、耐衝撃強度に優れ、安定した高品質の発泡成形品を低コストに製造することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明の実施形態としてのダクト10の一例を示す斜視図である。
[図2] 図1に記載のダクト10をブロー成形する際の態様を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 次に、本発明に係る発泡成形品の製造方法および発泡成形品を車両用空調ダクトに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
 なお、本発明は、車両用空調ダクトに限らず、例えば、ドアパネル、インストルメントパネル、車両用デッキボードなどの自動車用内装部品、住宅用内装壁材、電子機器のハウジング、車両用以外の気体や液体を供給するダクトなど、他の発泡成形品にも適用することができる。
[0021]
 図1に示す本発明の一実施形態のダクト10は、不図示のエアコンユニットより供給される空調エアをダクト内部の流路により流通させ、所望の部位へ通風させるように構成される。
 なお、本実施形態のダクト10の形状は図1に示すものに限定されず、ダクト10の用途や配置場所等に応じた任意の形状であってよい。
[0022]
 本実施形態のダクト10は、押出機の環状ダイから発泡性樹脂を押し出すことによって形成した発泡パリソンを金型で挟んでブロー成形することにより得られる。なお、ブロー成形直後のダクトは両端が閉じた状態となっており、ブロー成形後のトリミングによってダクトの両端が切断されて開口形状にされる。ブロー成形については後述する。
[0023]
 本実施形態のダクト10は、管壁に発泡層を有する中空の発泡成形品からなる。このように、独立気泡構造を有する構成とすることにより、軽量で断熱性に優れたダクトとすることができる。独立気泡構造とは、複数の気泡セルを有する構造であり、少なくとも独立気泡率が70%以上のものを意味する。
 こうした構成により、ダクト内に冷房の空気を流通させた場合であっても、結露が発生する可能性をほとんどなくすことができる。
[0024]
 また、本実施形態のダクト10は、回収樹脂材料と、バージン樹脂とを混合した混合樹脂を基材樹脂として用い、その基材樹脂に発泡剤を添加して発泡ブロー成形することにより得られる。
[0025]
 樹脂成形品を一般的なブロー成形により成形する際、溶融状態の樹脂材料を金型表面の形状に賦形し、冷えて固化した状態で金型から離型し、成形品の周囲等のバリや開口部をカッター等で切除することで、完成品を得る。ブロー成形で大量生産する際の製造サイクルでは、省資源化および低コスト化の観点から、このように一度溶融状態とされた後で固化した樹脂材料における完成品以外の部分を、粉砕して回収樹脂材料とする。そして、この回収樹脂材料に、熱履歴を加えていないバージン樹脂を混合して混合樹脂とし、発泡剤を添加して再度ブロー成形を行う。
[0026]
 こうした大量生産における製造サイクルでは、成形に用いる樹脂材料中に占める回収樹脂材料の割合が、場合によって70~90%程度ともなる。こうしてブロー成形を行った後、そのブロー成形による回収樹脂材料に、完成品である発泡成形品を取り出した分のバージン樹脂を、樹脂材料全体に対して10~30%程度追加して混合樹脂とし、再度ブロー成形を行うこととなる。
[0027]
 このようにブロー成形を行い、そのブロー成形による回収樹脂材料にバージン樹脂を追加して混合樹脂とし、再度ブロー成形を行う製造サイクルを繰り返していくため、この混合樹脂を用いた成形による発泡成形品の性質は、バージン樹脂のみを用いた成形による発泡成形品の性質と比べて劣化したものとなることが多い。
[0028]
 こうした樹脂材料の性質劣化を検証する試験として、本件発明者らは、バージン樹脂のみを溶融状態として押出機から押し出して作成した、熱履歴が1回である試験片と、熱履歴が3回の試験片とで性質の比較を行った。熱履歴が3回の試験片は、バージン樹脂を溶融した後、固化した樹脂材料を粉砕して再度溶融し、その固化した樹脂材料を粉砕して再度溶融し、固化させることにより作成している。
[0029]
 本願における熱履歴をかける際の押出機での押し出し条件は以下のとおりである。
 押出機内のスクリューの回転数を60rpmとし、押出口の形状を、25mm×1mmのスリット形状とする。そして、押出量が15~25kg/hの範囲内になるように、押出装置内の温度を調整して、押出口から樹脂を押し出す。押し出されたシート状の樹脂は、金属の板で挟んで冷却固化する。これにより熱履歴が1回かかる。
[0030]
 本実施形態のダクト10では、こうした性質劣化の検証試験の試験結果として、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)≧0.4となるように、用いる樹脂を選択している。0.4未満になると、せっかく高価な材料を用いて高い物性を持たせる意味がなくなるため、低コストで安定した高品質の発泡成形品を製造するには不向きと考えられる。
[0031]
 上記のメルトテンション(MT)とは、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
 また、上記のメルトフローレイト(MFR)とは、JIS K-7210に準じて測定した値である。
[0032]
 また、本実施形態のダクト10では、ポリプロピレン系樹脂に改質材を混合させた材料組成とすることにより、改質材を混合させない材料組成の場合に対して、アイゾット衝撃強度が劣化せず、MT×MFRの低下も抑制できるよう、用いる樹脂を選択している。
[0033]
 上記のアイゾット衝撃強度は、サンプルの壁部を切り出し、-30℃で24時間以上保管後に、80×10(長さmm×幅mm)の試験片として切り出し、厚さが4mmとなるように切り出した試験片を重ねてこれを用いてJIS K-7110(ノッチ付き)に準じて測定したものである。
[0034]
 このため、バージン樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に改質材を混合させた混合樹脂を用いる。改質材としては、ポリエチレン系エラストマーを用いる。改質材としてのポリエチレン系エラストマーは、配合比率が重量比で混合樹脂の3~15%となるよう配合されることが好ましい。
 配合比率が上記範囲外であると、上記範囲内にある場合と比較して、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下する場合がある。
[0035]
 ポリプロピレン系樹脂としては、発泡用ポリプロピレン系樹脂に、希釈用の他のポリプロピレン系樹脂を加えて用いる。
[0036]
 発泡用ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体を含むものであることが好ましい。
 長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体は、0.9以下の重量平均分岐指数を有するプロピレン単独重合体であることが好ましい。また、重量平均分岐指数gは、V1/V2で表され、V1が分岐ポリオレフィンの極限粘度数、V2が分岐ポリオレフィンと同じ重量平均分子量を有する線状ポリオレフィンの極限粘度数を示す。
[0037]
 希釈用の他のポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンのホモポリマー、プロピレンと炭素数2~20のα-オレフィンの1種または2種との共重合体、及びプロピレンのホモポリマーと他の熱可塑性樹脂との混合物などが挙げられ、樹脂成分中にプロピレンを85モル%以上含んでいるものをポリプロピレン系樹脂と称す。
[0038]
 ポリエチレン系エラストマーとは、エチレンを50重量%以上含むエラストマーのことである。こうしたポリエチレン系エラストマーとしては、190℃におけるメルトフローレイト(MFR)が3以上であることが好ましい。MFRがこの範囲内のポリエチレン系エラストマーを用いることにより、下記の3つの条件を満足させることができる。
(1) 熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高くなる。
(2) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m 2以上である。
(3) 熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上である。
[0039]
 さらに、ポリエチレン系エラストマーとしては、密度が0.87g/cm 3未満であることがより好ましい。MFRが上記範囲内であり、かつ、密度が0.87g/cm 3未満のポリエチレン系エラストマーを用いることにより、上記の3つの条件に加え、さらに下記の条件を満足させることができる。
(4) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.5kJ/m 2以上である。
[0040]
 また、こうした基材樹脂は、ブロー成形される前に、発泡剤を用いて発泡される。
 発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系発泡剤、又は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系発泡剤が挙げられる。
 これらの中でも、発泡剤は、空気、炭酸ガス又は窒素ガスを用いることが好ましい。この場合、有体物の混入が防げるので、耐久性等の低下が抑制される。
[0041]
 また、発泡方法としては、超臨界流体を用いることが好ましい。すなわち、炭酸ガス又は窒素ガスを超臨界状態とし、混合樹脂を発泡させることが好ましい。この場合、均一且つ確実に気泡することができる。
 なお、超臨界流体が窒素ガスの場合、条件は、臨界温度-149.1℃、臨界圧力3.4MPa以上とすればよく、超臨界流体が炭酸ガスの場合、条件は、臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上とすればよい。
[0042]
 こうして、発泡処理された基材樹脂を公知の方法でブロー成形することにより、本実施形態としてのダクト10を成形する。
 図2は、本実施形態としてのダクト10をブロー成形する際の態様を示す断面図である。
[0043]
 まず、押出機内で、成形に用いる樹脂材料を混練して、基材樹脂を作製する。この樹脂材料は、バージン樹脂のみを用いて成形する場合であれば、上述したポリプロピレン系樹脂のバージン樹脂と、ポリエチレン系エラストマーによる改質材のバージン樹脂とを所定の割合で混練して、基材樹脂を作製する。
[0044]
 樹脂材料として、バージン樹脂と、回収樹脂材料とによる混合樹脂を用いる場合であれば、粉砕された回収樹脂材料にバージン樹脂を所定割合加え、混練して基材樹脂を作製する。
[0045]
 こうした基材樹脂に発泡剤を添加し押出機内で混合した後、ダイ内アキュムレーター(図示せず)に貯留し、続いて、所定の樹脂量が貯留された後にリング状ピストン(図示せず)を水平方向に対して垂直に押し下げる。
 そして、図2に示す環状ダイ21のダイスリットより、押出速度700kg/時以上で円筒状のパリソンPとして、型締装置30を構成する分割金型31、32の間に押し出す。
 その後、分割金型31、32を型締めしてパリソンPを挟み込んで、パリソンP内に0.05~0.15MPaの範囲でエアを吹き込み、ダクト10を形成する。
[0046]
 成形後に、冷えて固化した樹脂材料における完成品以外の部分を粉砕して回収樹脂材料とし、この回収樹脂材料にバージン樹脂を所定割合加えた混合樹脂を用いて、再度上述のようにブロー成形を行う。こうした製造サイクルを繰り返すことにより、ダクト10を大量生産することができる。
[0047]
 なお、上述のようにブロー成形により発泡成形品を成形する場合に限らず、押し出されたパリソンを金型に吸い付けて所定の形状の成形品を成形するバキューム成形を用いてもよい。また、エアの吹き込みや、吸引を行わず、押し出されたパリソンを金型で挟み込んで成形するコンプレッション成形を用いて、発泡成形品を成形してもよい。
[0048]
 以上のように、本実施形態としてのダクト10は、回収樹脂材料と、バージン樹脂とを混合した混合樹脂を基材樹脂として用い、その基材樹脂に発泡剤を添加して発泡ブロー成形することで製造される。
[0049]
 また、本実施形態では、ダクト10に用いる樹脂材料として、上述のようにポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーによる改質材を混合させた混合樹脂を用いることで、改質材を混合させない材料組成の場合に対して、アイゾット衝撃強度が劣化せず、MT×MFRの低下も抑制することができる。
[0050]
 また、改質材としてのポリエチレン系エラストマーの配合比率を、重量比で混合樹脂の3~15%となるよう配合することで、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下しないダクト10とすることができる。
[0051]
 改質材としてポリエチレン系エラストマーを配合することによりこうした効果が得られる理由としては、エラストマー中にコモノマーが多数導入されているため、熱履歴が加えられた際にポリプロピレン系樹脂の分子構造間を架橋することが挙げられる。
[0052]
 なお、混合樹脂に対するポリエチレン系エラストマーの配合比率が3%未満であると、この架橋の構造が少なく、上述の効果があまり得られない。また、配合比率が15%よりも多いと、コモノマーによる架橋の方が大きくなり、さらに熱履歴を加える度にゲル化して硬くなることで、耐衝撃性の改善効果もなくなっていく。
[0053]
 また、改質材にポリプロピレン系エラストマーを配合すると、発泡主材となるポリプロピレン系樹脂に溶けてしまうため、上述の効果は得られない。
 また、改質材として、ポリエチレン系樹脂や、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)を用いる場合、上述のような架橋の構造を形成しにくいため、上述の効果は得られない。
[0054]
 また、本実施形態としての改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、190℃におけるMFRが3以上のものを用いることにより、下記の3つの条件を満足するダクト10とすることができる。
(1) 熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高くなる。
(2) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m 2以上である。
(3) 熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上である。
[0055]
 上記(1)のように、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高いため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いても、十分な耐衝撃性を有するダクトを製造することができる。
[0056]
 また、上記(2)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m 2以上であるため、低温時にも十分な耐衝撃性を有するダクトを製造することができる。また、発泡倍率を高めた場合でも低温時の耐衝撃性が十分に確保されているため、軽量で、かつ低温時の耐衝撃性にも優れたダクトを製造することができる。
[0057]
 なお、発泡成形品の大量生産で、回収樹脂材料を70%以上使用する場合、熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が2.5kJ/m 2以上であることが推奨される。このため、上記(2)の条件を満足することにより、十分な耐衝撃性を有する発泡成形品の大量生産が可能となる。
[0058]
 また、上記(3)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上であるため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いても成形性が劣化し過ぎることがない。このため、溶融状態の樹脂材料を発泡させて押し出す際にも、気泡セルが破泡して発泡倍率が下がりすぎてしまうこともなく、高い発泡倍率の発泡成形品を繰り返し製造し続けることができる。
 このため、金型表面の凹凸が大きい場合であっても、その凹凸形状に賦形しやすくなるため、より複雑な凹凸形状の発泡成形品であっても、ピンホールができてしまうことなく高品質に成形することができる。
[0059]
 また、溶融状態の樹脂材料を押し出した際にも、ドローダウンの発生を抑制できるため、安定した大量生産を行うことができる。
[0060]
 さらに、上述した改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、密度が0.87g/cm 3未満のものを用いることにより、上記(1)~(3)の条件に加え、さらに下記の条件を満足するダクト10とすることができる。
(4) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.5kJ/m 2以上である。
[0061]
 このため、さらに耐衝撃性に優れたダクト10を製造することができる。
[0062]
 このように、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いても物性が劣化し過ぎることがないため、バージン樹脂を選択する際にも、優れた物性を有する高価な材料だけでなく、より安価な材料も選択対象とすることができる。このため、より低コスト化することができる。
実施例
[0063]
 次に、上述した実施形態のダクト10に用いる樹脂材料についての、上述した性質劣化の検証試験としての実施例および比較例について、具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0064]
 まず、実施例として用いた、発泡用ポリプロピレン系樹脂、希釈用の他のポリプロピレン系樹脂、および改質材としてのポリエチレン系エラストマー、さらに、比較例として用いた他の改質材としてのポリプロピレン系エラストマー、ポリエチレン系樹脂、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは以下の通りである。
[0065]
<発泡用ポリプロピレン系樹脂>
 PP1:プロピレン単独重合体(ボレアリス社(Borealis AG)製、商品名「Daploy WB140」)
[0066]
<希釈用の他のポリプロピレン系樹脂>
 PP2:ブロックポリプロピレンA(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックBC8」)
 PP3:ブロックポリプロピレンB(日本ポリプロ株式会社製、商品名「FTS3000」)
 PP4:ブロックポリプロピレンC(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ニューフォーマーFB3312」)
 PP5:ブロックポリプロピレンD(住友化学株式会社製、商品名「ノーブレンAH561」)
 PP6:ブロックポリプロピレンE(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックEC9」)
 PP7:ブロックポリプロピレンF(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックEA9FT」)
 PP8:ブロックポリプロピレンG(湖南石油化学株式会社製、商品名「J320」)
[0067]
<改質材としてのポリエチレン系エラストマー>
 TPE1:エチレンα-オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA0550S」)
 TPE2:エチレンα-オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA-4050S」)
 TPE3:エチレンα-オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA-4085S」)
 TPE4:エチレンα-オレフィン共重合体(ダウケミカル社製、商品名「エンゲージ8180」)
[0068]
<他の改質材>
 TPE5:ポリプロピレン系エラストマー(三井化学株式会社製、商品名「タフマー XM-7070」)
 TPE6:直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)(住友化学工業株式会社製、商品名「エクセレンFX201」)
 TPE7:スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「タフテックH1053」)
[0069]
 また、これらの樹脂の、MT(メルトテンション)(mN)、MFR(メルトフローレイト)(g/10分)、MT×MFR(mN・g/10分)、密度(g/cm 3)を表1に示す。
[0070]
 なお、PP1~PP8について、メルトテンション(MT)は、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
 また、TPE1~TPE7については、余熱温度210℃の場合の値を示す。
[0071]
 また、PP1~PP8について、メルトフローレイト(MFR)は、JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
 また、TPE1~TPE7について、MFRは、JIS K-6922-1に準じて試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
[0072]
 また、密度は、常温(23℃)で測定した値である。
[0073]
[表1]


[0074]
<実施例1>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 そして、このバージン樹脂のみによる基材樹脂を溶融状態として所定の押出機から、次に示す条件で押し出し、固化させることで、熱履歴が1回のサンプル(試験片)を得た。具体的には、押出機内のスクリューの回転数を60rpmとし、押出口の形状を、25mm×1mmのスリット形状とする。そして、押出量が約20kg/hの範囲内になるように、押出装置内の温度を約220~230℃に調整して、押出口から樹脂を押し出す。押し出されたシート状の樹脂は、金属の板で挟んで冷却固化する。
[0075]
 こうして熱履歴が1回のサンプルを得た後、バージン樹脂を追加せず、固化した樹脂材料の全てを粉砕して回収樹脂材料として、この回収樹脂材料のみを溶融状態として25mm押出機から押し出し、固化させることで、熱履歴が2回のサンプルを得る。この熱履歴が2回のサンプルを得た後、バージン樹脂を追加せず、固化した熱履歴2回のサンプルの全てを粉砕して回収樹脂材料として、この回収樹脂材料のみを溶融状態として25mm押出機から押し出し、固化させ、熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0076]
<実施例2>
 PP1のバージン樹脂を50wt%、PP2のバージン樹脂を45wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0077]
<実施例3>
 PP1のバージン樹脂を20wt%、PP2のバージン樹脂を75wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0078]
<実施例4>
 PP2のバージン樹脂を95wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0079]
<実施例5>
 PP1のバージン樹脂を77.4wt%、PP2のバージン樹脂を20.6wt%、TPE1のバージン樹脂を2wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0080]
<実施例6>
 PP1のバージン樹脂を67.5wt%、PP2のバージン樹脂を22.5wt%、TPE1のバージン樹脂を10wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0081]
<実施例7>
 PP1のバージン樹脂を60wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0082]
<実施例8>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP3のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0083]
<実施例9>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP4のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0084]
<実施例10>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP5のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0085]
<実施例11>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP6のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0086]
<実施例12>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP7のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0087]
<実施例13>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP8のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0088]
<実施例14>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE2のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0089]
<実施例15>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE3のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0090]
<実施例16>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE4のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0091]
<比較例1>
 PP1のバージン樹脂を80wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0092]
<比較例2>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE5のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0093]
<比較例3>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE6のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0094]
<比較例4>
 PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE7のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0095]
<比較例5>
 PP1のバージン樹脂を67.5wt%、PP2のバージン樹脂を22.5wt%、TPE7のバージン樹脂を10wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0096]
<比較例6>
 PP1のバージン樹脂を60wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE7のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
 その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
[0097]
 実施例1~16および比較例1~6で得られた熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルそれぞれの物性を以下のように評価した。
[0098]
 MTは、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
[0099]
 MFRは、JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
[0100]
 劣化度は、(熱履歴が3回のサンプルにおけるMT×MFR)/(熱履歴が1回のサンプルにおけるMT×MFR)である。
[0101]
 アイゾット衝撃強度は、サンプルの壁部を切り出し、-30℃で保管後に、80×10(長さmm×幅mm)の試験片として切り出し、厚さが4mmとなるように切り出した試験片を重ねてこれを用いてJIS K-7110(ノッチ付き)に準じて測定したものである。
[0102]
 アイゾット変位は、(熱履歴が3回のサンプルにおけるアイゾット衝撃強度)/(熱履歴が1回のサンプルにおけるアイゾット衝撃強度)である。
[0103]
 実施例1~16および比較例1~6について、PP1~PP8、TPE1~TPE7の基材樹脂中における配合比率と、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルそれぞれについて上述のように評価したMT、MFR、MT×MFR、劣化度、アイゾット衝撃強度(IZOD)、およびアイゾット変位(IZOD変位)を表2に示す。
[0104]
[表2]


[0105]
 実施例1~16のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーによる改質材を混合させた混合樹脂を用いている。
 また、比較例1のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂のみを用い、改質材を用いない材料組成としている。
[0106]
 実施例1~16のサンプルでは、基材樹脂を上述の材料組成である混合樹脂とすることにより、アイゾット衝撃強度が比較例1のサンプルにおける1.4kJ/m 2よりも大きくなった。このように、改質材を混合させない材料組成の場合と比較して、アイゾット衝撃強度が劣化しない結果となった。
[0107]
 さらに、実施例1~16のサンプルでは、MT×MFRについても、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)≧0.4となった。このように、熱履歴が3回の試験片についても、熱履歴が1回の試験片と比較して、MT×MFRの低下を抑制できる結果となった。
[0108]
 このように、実施例1~16のサンプルでは、熱履歴を多く加えた場合であっても、改質材を混合させない材料組成の場合と比較してアイゾット衝撃強度を劣化させず、MT×MFRの低下も抑制できる結果となった。
[0109]
 発泡成形品をブロー成形により大量生産する場合には、上述のように、一度溶融状態とされた後で固化した樹脂材料における完成品以外の部分を粉砕して回収樹脂材料とし、この回収樹脂材料にバージン樹脂を混合して再度ブロー成形を行う製造プロセスを繰り返すこととなる。このため、実施例1~16のサンプルにおける樹脂材料では、特にこうした大量生産の場合にも、低コストで安定した高品質の発泡成形品を製造できると共に、高い耐衝撃性を期待できる結果となった。
[0110]
 この実施例1~16のサンプルの内、特に実施例1~4、6、8~16のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーの配合比率を、重量比で混合樹脂の3~15%としている。
[0111]
 このため、この実施例1~4、6、8~16のサンプルでは、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下しない結果となった。
[0112]
 なお、実施例5、7のサンプルでは、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下した結果となっている。このため、表2中、総合評価を“C”として示す。
[0113]
 また、上記の実施例1~4、6、8~16のサンプルの内、特に実施例14、15のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、190℃におけるMFRが3以上のものを用いている。
[0114]
 このため、実施例14、15のサンプルでは、下記の3つの条件全てを満足する結果となっている。
(1) 熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高くなる。
(2) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m 2以上である。
(3) 熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上である。
[0115]
 上記(1)のように、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高いため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いて発泡成形品を大量生産する場合であっても、十分に高い耐衝撃性を期待できる結果となった。
[0116]
 また、上記(2)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m 2以上であるため、低温時にも十分な耐衝撃性を有する発泡成形品の大量生産を実現できるものとなった。また、発泡倍率を高めた場合でも低温時の耐衝撃性が十分に確保されているため、軽量で、かつ低温時の耐衝撃性にも優れた発泡成形品の大量生産を実現できるものとなった。
[0117]
 また、上記(3)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上であるため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いても成形性が劣化し過ぎることがない結果となった。このため、溶融状態の樹脂材料を発泡させて押し出す際にも、気泡セルが破泡して発泡倍率が下がりすぎてしまうこともなく、高い発泡倍率の発泡成形品を大量生産できるものとなった。
 このため、金型表面の凹凸が大きい場合であっても、その凹凸形状に賦形しやすくなるため、より複雑な凹凸形状の発泡成形品であっても、ピンホールができてしまうことなく高品質な成形が期待できる結果となった。
[0118]
 また、溶融状態の樹脂材料を押し出した際にも、ドローダウンの発生を抑制できるため、安定した大量生産を実現できるものとなった。
[0119]
 なお、実施例1~4、6、8~13、16のサンプルでは、上記(1)~(3)の条件全てを同時に満足する結果とはならなかった。このため、表2中、総合評価を“B”として示す。
 また、上記の実施例14、15のサンプルについては、表2中、総合評価を“A”として示す。
[0120]
 さらに、上記の実施例14、15のサンプルの内、特に実施例14のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、密度が0.87g/cm 3未満のTPE2を用いている。
[0121]
 このため、実施例14のサンプルでは、上記(1)~(3)の条件全てを満足すると共に、さらに下記の条件を満足する結果となっている。
(4) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.5kJ/m 2以上である。
[0122]
 このため、低温時の耐衝撃性にさらに優れた発泡成形品を大量生産できるものとなった。
[0123]
 これに対して、比較例2~6のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーではない他の改質材を混合させた混合樹脂を用いている。
[0124]
 基材樹脂にこうした材料組成の混合樹脂を用いることにより、比較例2~4のサンプルでは、改質材を混合させない比較例1のサンプルと比較して、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)の劣化度が、かえって悪化した結果となった。
[0125]
 また、比較例5、6のサンプルでは、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)が0.4を下回る結果となった。
[0126]
 以上のように、比較例2~6のサンプルでは、改質材を混合させることで、何れも結果が悪化したものとなった。
 また、比較例1のサンプルのように改質材を混合させない材料組成とした場合、アイゾット衝撃強度は、改質材を用いた実施例1~16および比較例2~6のサンプルの何れよりも低い結果となっている。
 このため、比較例1~6については、表2中、総合評価を“D”として示す。
[0127]
 なお、本発明は、車両用軽量空調ダクトに限らず、例えば、自動車用、航空機用、車両・船舶用、建材用、各種電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用の構造部材等にも用いることができる。また、カーゴフロアボード、デッキボード、リアパーセルシェルフ、ルーフパネル、ドアトリム等の内装パネル、ドアインナーパネル、プラットフォーム、ハードトップ、サンルーフ、ボンネット、バンパー、フロアスペーサー、ディビアパッド等の自動車の構造部材として用いると、自動車の軽量化が測れるので、燃費を向上させることができる。

符号の説明

[0128]
 10  ダクト
 21  環状ダイ
 30  型締装置
 31、32  分割金型
 P  発泡パリソン

請求の範囲

[請求項1]
 溶融状態の樹脂材料を分割金型により型締めして成形する発泡成形品の製造方法であって、
 前記樹脂材料は、
  溶融された後に固化した樹脂材料を砕いてなる回収樹脂材料と、
  溶融による熱履歴が加えられていないバージン樹脂と、を混合した混合樹脂に発泡剤を添加して構成され、
  ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーを混合させたものであることを特徴とする発泡成形品の製造方法。
[請求項2]
 前記ポリエチレン系エラストマーは、配合比率が重量比で前記混合樹脂の3~15%であることを特徴とする請求項1記載の発泡成形品の製造方法。
[請求項3]
 前記ポリエチレン系エラストマーは、190℃におけるメルトフローレイト(MFR)が3g/10分以上であることを特徴とする請求項1または2記載の発泡成形品の製造方法。
[請求項4]
 前記ポリエチレン系エラストマーは、密度が0.87g/cm 3未満であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の発泡成形品の製造方法。
[請求項5]
 溶融状態の樹脂材料を分割金型により型締めして成形する発泡成形品であって、
 前記樹脂材料は、
  溶融された後に固化した樹脂材料を砕いてなる回収樹脂材料と、
  溶融による熱履歴が加えられていないバージン樹脂と、を混合した混合樹脂に発泡剤を添加して構成され、
  ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーを混合させたものであることを特徴とする発泡成形品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]