処理中

しばらくお待ちください...

設定

設定

出願の表示

1. WO2020158868 - 配線板

Document

明 細 書

発明の名称 配線板

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104  

実施例

0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

符号の説明

0116  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 配線板

技術分野

[0001]
本開示は、配線板に関する。

背景技術

[0002]
マイクロ波やミリ波の高周波信号を伝送させるための伝送線路として、従来は金属導波管が用いられてきたが、近年の高周波モジュール小型化の要求等により、誘電体線路を導波路として用いることが検討されている。
[0003]
特許文献1には、第1の導体板と、第2の導体板と、少なくとも一つの誘電体ストリップ線路と、誘電体スラブとを含む誘電体線路結合装置であって、前記第1の導体板及び前記第2の導体板は、互いに間隔を隔て、かつ、対向して配置されており、前記誘電体ストリップ線路は、前記第1の導体板と第2の導体板との間に配置されており、前記誘電体スラブは、誘電体の薄板からなり、前記第1、第2の導体板のいずれかの側面と面接触し、且つ、端部が前記誘電体ストリップ線路の側面と接触している誘電体線路結合装置が記載されている。
[0004]
ところで、特許文献2には、(1)未焼成ポリテトラフルオロエチレン樹脂をポリテトラフルオロエチレン樹脂の融点以上の温度で焼成し、この焼成したポリテトラフルオロエチレン樹脂を粉砕して焼成ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末とし、次いで、この粉末を1g/cm ~800kg/cm の圧力で所定形状に成形し、再度ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で焼成することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン樹脂多孔質体の製造方法が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平11-186818号公報
特許文献2 : 特開昭61-66730号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
本開示は、高周波の伝送効率が高い誘電体線路を有する配線板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
本開示は、樹脂(A)を含む誘電体線路と、該誘電体線路を覆い、樹脂(B)を含む誘電体外装部とを備え、前記誘電体外装部は、6GHz、25℃における比誘電率が前記誘電体線路よりも低いことを特徴とする配線板に関する。
[0008]
本開示の配線板は、6GHz、25℃における誘電体外装部の比誘電率と誘電体線路の比誘電率との比(誘電体外装部の比誘電率/誘電体線路の比誘電率)が、0.60~0.90であることが好ましい。
[0009]
上記樹脂(A)は、6GHz、25℃における比誘電率が3.0以下であり、誘電正接が0.003以下であることが好ましい。上記樹脂(A)は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0010]
上記誘電体線路は、更に、無機粉体(C)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上であることが好ましい。上記無機粉体(C)は、セラミック粉体であることが好ましく、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0011]
上記樹脂(B)は、6GHz、25℃における誘電体線路の比誘電率よりも小さく、誘電正接が0.0012以下であることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリスチロールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0012]
上記誘電体外装部は、更に、無機粉体(D)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上であることが好ましい。無機粉体(D)は、セラミック粉体であることが好ましく、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0013]
本開示の配線板は、上記誘電体外装部が、誘電体線路を収納する溝を有する下部層と、該下部層上に形成された上部層との積層構造を有することが好ましい形態の一つである。
上記誘電体外装部は、下部層と上部層との間に接着層を有することが好ましい。上記接着層を構成する材料は、6GHz、25℃における誘電正接が0.003以下であることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0014]
本開示の配線板は、上記誘電体外装部が、下部層と、該下部層上に形成された誘電体線路を収納する空洞を有する中間層と、該中間層上に形成された上部層との積層構造を有することも好ましい形態の一つである。上記誘電体外装部は、下部層と中間層との間、又は、中間層と上部層との間に接着層を有することが好ましい。上記接着層を構成する材料は、6GHz、25℃における誘電正接が0.003以下であることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
[0015]
上記誘電体外装部は、板状であり、長辺の長さが厚みの3倍以上であることが好ましい。

発明の効果

[0016]
本開示の配線板は、誘電体線路の高周波の伝送効率が高い。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 本開示の配線板の一例を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
[図2] 本開示の配線板の一例を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
[図3] 本開示の配線板の一例を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
[図4] 本開示の配線板の一例を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
[図5] 本開示の配線板の一例を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
[図6] 本開示の配線板において、誘電体線路を曲げた時の一例を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0018]
以下、本開示の配線板を具体的に説明する。
[0019]
本開示の配線板は、樹脂(A)を含む誘電体線路と、該誘電体線路を覆い、樹脂(B)を含む誘電体外装部とを備え、該誘電体外装部は、6GHz、25℃における比誘電率が前記誘電体線路よりも低いことを特徴とする。
上記誘電体線路は、誘電体線路よりも低い比誘電率を有する誘電体外装部に覆われていることによって、ミリ波、サブミリ波等の高周波を効率よく伝送することができる。誘電体外装部は、誘電体線路の表面積の95%以上を覆っていることが好ましく、99%以上を覆っていることがより好ましく、実質的に全面を覆っていることが好ましい。
[0020]
上記誘電体線路及び誘電体外装部の比誘電率は、6GHz、25℃における比誘電率である。
誘電体線路および誘電体外装部の比誘電率は、直径2mmの円柱状に加工し、空洞共振器を使用して測定することができる。
[0021]
本開示の配線板は、電磁波の伝送効率をより優れたものとできることから、6GHz、25℃における誘電体外装部の比誘電率と誘電体線路の比誘電率との比(誘電体外装部の比誘電率/誘電体線路)が、0.60~0.90であることが好ましい。上記比は、配線板内で直線が多い場合は0.80~0.90であることがより好ましく、曲率半径30mmの曲がりが多い場合は0.60~0.70であることがより好ましい。比誘電率の比を上記範囲とすることで、誘電体線路が曲がっている場合でも損失を小さくして電磁波を通過させることができる。
[0022]
誘電体の中での電磁波の速度は、光速C/{(比誘電率) 1/2}である。誘電体線路(内層)が直線の場合、内層と誘電体外装部(外層)間で、比誘電率の関係が、内層比誘電率>外層比誘電率である場合、内層を伝わる電磁波の速度よりも、外層を伝わる電磁波の速度が速くなり、電磁波は内層内壁での全反射となり伝送する。
図6に示すように、断面積がd (mm)×d (mm)である線路61が曲線である場合、曲率半径a(mm)で配線板内での曲がりを表すことができる。比誘電率の比と配線板内での曲がりによる伝送損失の関係を表1に示す。
[0023]
[表1]


[0024]
比誘電率の比が、0.60~0.90であることで、直線を含んでおおよそ曲率半径が30mmの曲げに、-3.0dB以下の伝送損失で対応できる誘電体線路を作製できる。
[0025]
上記誘電体線路の6GHz、25℃における比誘電率は、2.05以上が好ましく、2.10以上がより好ましく、2.16以上が更に好ましい。上限は、特に限定されないが、2.20であってよい。
[0026]
上記誘電体線路の6GHz、25℃における誘電正接としては、1.20×10 -4以下が好ましく、1.00×10 -4以下がより好ましく、0.95×10 -4以下が更に好ましい。下限は、特に限定されないが、0.10×10 -4であってよく、0.80×10 -4であってよい。
[0027]
上記誘電体線路は樹脂(A)を含む。上記樹脂(A)は、誘電体外装部の比誘電率が誘電体線路の比誘電率よりも低くなるように、誘電体外装部との関係で適宜選択すればよく限定されるものではないが、伝送効率の観点から、6GHz、25℃における比誘電率が3.0以下であり、誘電正接が0.003以下であることが好ましい。また、上記比誘電率が1.9以上であり、誘電正接が0.0002以下であることが好ましい。より好ましくは、比誘電率が2.0以上であり、誘電正接が0.00015以下である。上記樹脂(A)の比誘電率は、2.8以下であってよく、2.5以下であってもよい。
[0028]
上記樹脂(A)は、低損失の観点からは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、更に好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
誘電体線路におけるPTFEは、比重が2.160以上であることが好ましく、2.165以上であることがより好ましく、2.170以上であることが更に好ましい。上限は、特に限定されないが、2.30であってよい。
[0029]
上記PTFEは、TFEの単独重合体であっても、他の単量体で変性された変性PTFEであってもよい。
[0030]
上記変性PTFEは、テトラフルオロエチレン〔TFE〕とTFE以外のモノマー(以下、「変性剤」ともいう。)とからなるPTFEである。変性PTFEは、均一に変性されたものであってもよいし、後述するコアシェル構造を有する変性PTFEであってもよい。
[0031]
上記変性PTFEは、TFEに基づくTFE単位と変性剤に基づく変性剤単位とからなるものである。上記変性PTFEは、変性剤単位が全単量体単位の0.005~1質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.02~0.5質量%である。
[0032]
本明細書において、「変性剤単位」は、変性PTFEの分子構造上の一部分であって、変性剤として用いた共単量体に由来する繰り返し単位を意味する。上記変性剤単位は、例えば、変性剤としてパーフルオロプロピルビニルエーテルを用いた場合、-[CF -CF(-OC )]-で表され、ヘキサフルオロプロピレンを用いた場合、-[CF -CF(-CF )]-で表される。
[0033]
上記変性剤としては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアルキルエチレン、エチレン等が挙げられる。また、用いる変性剤は1種であってもよいし、複数種であってもよい。
[0034]
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式:
CF =CF-ORf 
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
[0035]
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
[0036]
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられるが、パーフルオロアルキル基がパーフルオロプロピル基であることが好ましい。すなわち、上記PAVEは、パーフルオロプロピルビニルエーテル〔PPVE〕が好ましい。
[0037]
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式において、Rfが炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
[0038]
[化1]


[0039]
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
[0040]
[化2]


[0041]
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
[0042]
パーフルオロアルキルエチレン(PFAE)としては特に限定されず、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)、(パーフルオロヘキシル)エチレン等が挙げられる。
[0043]
上記変性PTFEにおける変性剤としては、HFP、CTFE、VDF、PAVE、PFAE及びエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、PAVEであり、更に好ましくは、PPVEである。
[0044]
上記変性PTFEは、粒子芯部と粒子殻部とからなるコアシェル構造を有するものであってもよい。
[0045]
上記PTFEは、フィブリル化性を有することが好ましい。フィブリル化性の有無は、TFEの重合体から作られた粉末である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量のPTFEがフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
[0046]
上記PTFEは、非溶融加工性を有することが好ましい。上記非溶融加工性とは、ASTM D-1238及びD-2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
[0047]
上記PTFEは、標準比重〔SSG〕が2.13~2.23であることが好ましく、2.15~2.19であることがより好ましい。上記標準比重は、ASTM D-4895 98に準拠して、水中置換法により測定する値である。
[0048]
上記PTFEは、第一融点が333~347℃であることが好ましい。より好ましくは、335~345℃である。上記第一融点は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
[0049]
また、上記PTFEとして、高分子量PTFEと低分子量PTFEとを使用することも可能である。上記高分子量PTFEは、第一融点が333~347℃であることが好ましく、335~345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、第一融点が322~333℃であることが好ましく、324~332℃であることがより好ましい。上記第一融点は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
[0050]
上記高分子量PTFEと上記低分子量PTFEとの質量比は、80/20~99/1であることが好ましく、85/15~97/3であることがより好ましく、90/10~95/5であることが更に好ましい。
[0051]
上記誘電体線路は、樹脂(A)の含有率が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
[0052]
上記誘電体線路は、樹脂(A)に加えて、無機粉体(C)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上であることも好ましい。樹脂(A)と無機粉体(C)とを併用することによって、誘電体線路の比誘電率を調整することができる。上記比誘電率は3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましく、5.0以上が特に好ましい。
[0053]
上記無機粉体(C)としては、セラミック粉体が好ましく、例えば、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。更に好ましくは、チタン酸バリウム系、及び、アルミナ系からなる群より選択させる少なくとも1種である。
[0054]
上記誘電体線路が無機粉体(C)を含む場合、上記誘電体線路に対して無機粉体(C)の含有率は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
[0055]
上記誘電体線路は、本開示の目的を損なわない範囲で他の成分を含むものであってもよい。上記他の成分としては、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、着色剤、顔料、染料、フィラー等も挙げられる。また、カーボンブラック、グラファイト、アルミナ、マイカ、炭化珪素、窒化硼素、酸化チタン、酸化ビスマス、ブロンズ、金、銀、銅、ニッケル等の粉末又は繊維粉末等も挙げられる。
[0056]
上記誘電体線路は、比重が2.160以上であることが好ましい。上記比重は、2.165以上であることがより好ましく、2.170以上であることが更に好ましい。上限は、特に限定されないが、2.30であってよい。上記誘電体線路の比重が上記範囲内であると、高い比誘電率を有すると同時に、低い誘電正接を有する誘電体線路を容易に実現することができる。
上記比重は、液中ひょう量法(JIS Z 8807準拠)により測定する。
[0057]
上記誘電体線路は、樹脂(A)の結晶化度が70%以上であることが好ましい。上記結晶化度は、73%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。上限は、特に限定されないが、99%であってよい。結晶化度が上記範囲内であると、高い比誘電率を有すると同時に、低い誘電正接を有する誘電体線路を実現することができる。
上記結晶化度は、比重法により測定する。
[0058]
上記誘電体線路の断面形状としては、真円状、楕円状などの円形であってもよいし、正方形、長方形などの方形であってもよい。誘電体線路の断面積は、使用される電磁波の周波数により適宜選択され、例えば、28GHzの高周波を伝送する場合には、2~10mm であることが好ましく、5~9mm であることがより好ましい。
例えば、方形の場合、28GHzの高周波を伝送するためには、各辺の長さが6.9~7.5mmであることが好ましく、この好適な値は周波数と反比例し、例えば、84GHzである場合には2.3~2.5mmであることが好ましい。
[0059]
上記誘電体線路の長さ(電磁波の進行方向の長さ)は限定されず、配線板の大きさ、用途によって適宜設定すればよい。
[0060]
上記誘電体線路の両端は、同軸構造へ変換するために、1/4λの金属棒でのアンテナや、ループ状アンテナ、一端導波管への変換を行ってもよい。
[0061]
上記誘電体外装部は、6GHz、25℃における比誘電率が、1.60以下が好ましく、1.43以下がより好ましく、1.35以下であることが更に好ましく、1.30以下であることが特に好ましい。
[0062]
上記誘電体外装部の6GHz、25℃における誘電正接としては、1.50×10 -4以下が好ましく、1.00×10 -4以下がより好ましく、0.60×10 -4以下が更に好ましく、0.30×10 -4以下が更により好ましい。
[0063]
上記誘電体外装部は樹脂(B)を含む。上記樹脂(B)は、誘電体外装部の比誘電率が誘電体線路の比誘電率よりも低くなるように、誘電体線路との関係で適宜選択すればよく限定されるものではないが、伝送効率の観点から、6GHz、25℃における比誘電率が1.9以下であり、誘電正接が0.0012以下であることが好ましい。より好ましくは、比誘電率が1.6以下であり、誘電正接が0.00020以下である。
誘電体外装部の材料である樹脂(B)の比誘電率及び誘電正接は、樹脂(B)を直径2mmの円柱状に加工し、空洞共振器を使用して測定することができる。
[0064]
上記樹脂(B)は、低比誘電率、低誘電正接(tanδ)の観点からは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリスチロールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンである。誘電体外装部におけるPTFEは、比重が1.5以下であることが好ましい。上記比重は、1.3以下であることがより好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。下限は、特に限定されないが、0.1であってよい。
上記誘電体外装部を構成する材料としてより具体的には、PTFEの焼結粉砕粉を圧縮成形したものや、延伸PTFE多孔質体、発泡ポリエチレン等が挙げられる。
上記PTFEの焼結粉砕粉を圧縮成形したものについては、後述する。
上記延伸PTFE多孔質体は、シート状のPTFE成形体を延伸することによって得られる延伸PTFE多孔質膜であってもよい。上記延伸PTFE多孔質体は、従来公知の方法で作製することができる。上記延伸PTFE多孔質体の比誘電率及び誘電正接は、延伸倍率、延伸速度、延伸温度等の延伸条件によって適宜コントロールすることができる。例えば、延伸倍率が高いほど、比誘電率及び誘電正接はともに低下する。
[0065]
上記誘電体外装部は、樹脂(B)の含有率が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
[0066]
上記誘電体外装部は、樹脂(B)に加えて、無機粉体(D)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上であることも好ましい。樹脂(B)と無機粉体(D)とを併用することによって、誘電体外装部の比誘電率を調整することができる。上記比誘電率は、3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましく、5.0以上が特に好ましい。
[0067]
上記無機粉体(D)としては、セラミック粉体が好ましく、例えば、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種の粉体がより好ましい。更に好ましくは、チタン酸バリウム系、及び、アルミナ系からなる群より選択させる少なくとも1種である。
[0068]
上記誘電体外装部が無機粉体(D)を含む場合、上記誘電体外装部に対して無機粉体(D)の含有率は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
[0069]
上記誘電体外装部は、比重が1.5以下であることが好ましい。上記比重は、1.3以下であることがより好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。下限は、特に限定されないが、0.1であってよい。上記誘電体外装部の比重が上記範囲内であると、比誘電率が低くなると同時に、低い誘電正接を有する誘電体外装部を容易に実現することができる。
上記比重は、液中ひょう量法(JIS Z 8807準拠)により測定する。
[0070]
上記誘電体外装部は、樹脂(B)の結晶化度が70%以上であることが好ましい。上記結晶化度は、73%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。上限は、特に限定されないが、99%であってよい。結晶化度が上記範囲内であると、高い比誘電率を有すると同時に、低い誘電正接を有する誘電体外装部を実現することができる。
上記結晶化度は、比重法により測定する。
[0071]
上記誘電体外装部は、誘電体線路を覆う空洞を有するものであってよく、通常、板状である。
上記誘電体外装部が板状である場合、誘電体外装部の厚みは、誘電体線路の断面が方形である場合はその長辺、円形である場合は長径の0.5~1.5倍であることが好ましい。
上記誘電体外装部が板状である場合、長辺の長さが厚みの3倍以上であることが好ましい。長辺の長さは、厚みの4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。
[0072]
上記誘電体外装部は、硬度が40以上であることが好ましい。上記硬度は、45以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。上限は、特に限定されないが、55であってよい。誘電体外装部の硬度が上記範囲であることによって、低密度、低誘電率であっても自立可能であり、電子部品を保持可能となる。
上記硬度は、JIS K6253-2012に規定されていたデュロメータ タイプDにより測定する。
以下、本開示の配線板の構成についてより詳細に説明する。
[0073]
本開示の配線板は、誘電体線路が誘電体外装部に覆われた構造を有していればよく、例えば、図1に示すように、配線板10が、誘電体外装部12中に誘電体線路11を有する構造が挙げられる。
このような構造は、例えば、誘電体外装の側面から、誘電体線路の外形寸法と同じ又はそれより大きい空洞を作成した後、内層を入れることにより作成することができる。
また、レーザーや電子線を用い、内層となる位置の外装部を、外装部構成材料の融点以上の温度とすることで高誘電率化して誘電体線路を形成してもよい。
[0074]
本開示の配線板は、誘電体外装部が、誘電体線路を収納する溝を有する下部層と、下部層上に形成された上部層との積層構造を有することが好適な態様の1つである。
例えば、図2に示すように、配線板20が、誘電体線路21を収納する溝23を有する下部層22aに、誘電体線路21を収納し、上部層22bを積層した態様が挙げられる。
また、下部層に誘電体線路と同じ形状の金属金型を押し付けることで下部層の一部を焼成し、高誘電率化して誘電体線路を形成してもよい。
[0075]
また、上記配線板は、誘電体外装部の下部層と上部層との間に、接着層を有することも好ましい。例えば、図3に示すように、配線板30が誘電体線路31を収納する溝33を有する、下部層32aと上部層32bとの間に、接着層34を有する態様が挙げられる。
なお、上記のように誘電体外装部の下部層及び上部層との間に接着層を有する場合、本明細書における誘電体外装部の厚みは、図3のL に示すように、下部層、上部層及び接着層との合計の厚みである。
[0076]
上記接着層を構成する材料の比誘電率は誘電体線路及び誘電体外装部の比誘電率によって適宜決定すればよく限定されないが、上記材料の比誘電率は、誘電体線路よりも低いことが好ましい。
[0077]
また、上記接着層を構成する材料の6GHz、25℃における誘電正接は0.003以下であることが好ましく、0.002以下であることがより好ましく、0.0015以下であることが更により好ましい。
上記誘電正接は、空洞共振器を使用して測定することができる。
[0078]
上記接着層を構成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。より好ましくは、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリプロピレン、及び、ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である。
[0079]
上記PFAを構成するPAVEとしては、一般式(1):
CF =CFO(CF CFY O) -(CF CF CF O) -R f1 (1)
(式中、Y はF又はCF を表し、R f1は炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。)、及び、一般式(2):
CFX=CXOCF OR (2)
(式中、Xは、同一又は異なり、H、F又はCF を表し、R は、直鎖又は分岐した、H、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が1~6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が5又は6の環状フルオロアルキル基を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
[0080]
なかでも、上記PAVEとしては、バルキーな側鎖を有するものが好ましく、具体的には、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましい。
[0081]
上記PFAは、PAVE単位を全重合単位に対して、1.0質量%超含むことが好ましい。また、PAVE単位を全重合単位に対して、10質量%以下含むことが好ましい。
上記PAVE単位の量は、全重合単位に対して、2.0質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上が更に好ましく、4.0質量%以上が特に好ましく、5.0質量%以上が最も好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、7.0質量%以下が更に好ましく、6.5質量%以下が特に好ましく、6.0質量%以下が最も好ましい。
なお、上記PAVE単位の量は、 19F-NMR法により測定する。
[0082]
上記PFAは、融点が280~322℃であることが好ましい。
上記融点は、290℃以上であることがより好ましく、315℃以下であることがより好ましい。
上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
[0083]
上記PFAは、ガラス転移温度(Tg)が70~110℃であることが好ましい。ガラス転移温度は、80℃以上がより好ましく、100℃以下がより好ましい。
上記ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により測定して得られる値である。
[0084]
例えば、上記材料からなるシートを下部層と上部層との間に挿入して、加熱及び加圧することで上部層と下部層との間に接着層を有する配線板を形成することができる。加熱及び加圧条件は材料によって適宜選択すればよいが、例えば、加熱の温度は上記材料の融点以上の温度であることが好ましい。
[0085]
上記接着層の厚みは10~100μmであることが好ましい。接着層の厚みが薄すぎると接着性が低下するおそれがあり、厚すぎると伝送損失が大きくなるおそれがある。より好ましくは、20~60μmである。
[0086]
本開示の配線板は、誘電体外装部が、下部層と、下部層上に形成された誘電体線路を収納する空洞を有する中間層と、中間層上に形成された上部層との積層構造を有することも好ましい。例えば、図4に示すように、配線板40が、誘電体線路41を収納する空洞43を有する中間層42cに、誘電体線路41を収納し、上部層42bを積層した態様が挙げられる。
[0087]
上記誘電体外装部は、下部層と中間層との間、又は、中間層と上部層との間に接着層を有することが好ましく、下部層と中間層との間、及び、中間層と上部層との間の両方に接着層を有することがより好ましい。例えば、図5に示すように、配線板50が、誘電体線路51を収納する空洞53を有する中間層52cに、誘電体線路51を収納し、上部層52bと中間層52cとの間に接着層54bを有し、中間層52cと下部層52aとの間にも接着層54aを有する態様が挙げられる。
上記接着層としては上述したものと同じものを採用できる。
上記のように誘電体外装部の下部層と中間層との間、中間層と上部層との間に接着層を有する場合、本明細書における誘電体外装部の厚みは、図5のL に示すように、下部層、中間層、上部層及び接着層との合計の厚みである。
[0088]
次に、本開示の配線板のより好適な態様について詳述する。
[0089]
本開示の配線板は、ポリテトラフルオロエチレンを含む誘電体線路と、ポリテトラフルオロエチレンを含む誘電体線路を覆う誘電体外装部とを備え、該誘電体外装部は、6GHz、25℃における比誘電率が前記誘電体線路よりも低いことが好適な態様の1つである。
上記誘電体線路に含まれるポリテトラフルオロエチレンと誘電体外装部に含まれるポリテトラフルオロエチレンは同じでもよいし異なってもよい。
誘電体線路と誘電体外装部の比誘電率、硬度等は、成形条件やポリテトラフルオロエチレン以外の材料等によって調整することができる。
[0090]
例えば、誘電体線路を構成するPTFEに高誘電率の無機粉末を含有させることによって、誘電体線路の比誘電率を誘電体外装部よりも高くしてもよいし、誘電体線路をPTFEのペースト押出成形及び焼成により作製し、誘電体外装部をPTFEの焼結粉砕粉を固めて成形して作製することによって、誘電体外装部を低密度化し、誘電体外装部の比誘電率を誘電体線路よりも低くすることもできる。また、低誘電率であっても自立可能であり、電子部品を保持可能となる。
[0091]
上記誘電体線路に含まれるPTFEは半焼成PTFEであってもよい。半焼成PTFEを含む誘電体線路は、例えば、未焼成PTFEの粉末をペースト押出成形して未焼成PTFE成形体を得る工程、上記未焼成PTFE成形体を、320~340℃で、10秒~180分間焼成することにより半焼成PTFEを含むPTFE成形体を得る工程、を含む方法により製造することができる。上記製造方法は、半焼成PTFEを含むPTFE成形体を成形して誘電体線路の形状にする工程を含んでもよい。
具体的な加熱条件は、PTFE成形体の形状及び大きさにより適宜変更する。例えば、未焼成PTFEを326~345℃で10秒~2時間加熱することにより得られるものであることが好ましい。加熱温度は、330℃以上であることがより好ましい。
[0092]
上記未焼成PTFEは、326℃以上に加熱した履歴のないPTFEであり、300℃以上に加熱した履歴のないPTFEであることが好ましい。
上記温度で所定時間加熱することにより、未焼成PTFEが含んでいた空気が外部に放出されるため、高い比誘電率を有するPTFE成形体を得ることができると推測される。また、未焼成PTFEを完全に焼成しないので、低い誘電正接を有するPTFE成形体を得ることができると推測される。
上記の加熱は、ソルトバス、サンドバス、熱風循環式電気炉等を使用して行うことができる。
[0093]
上記半焼成PTFE成形体は、未焼成PTFEを345℃超に加熱することなく得られたものであることが好ましい。一度でも345℃超に加熱すると、未焼成PTFEがもともと有していた結晶性が崩壊し、高い結晶化度を有するPTFE成形体を得ることができないおそれがある。一方、未焼成PTFEを345℃超に加熱することなく、326~345℃で10秒~2時間加熱することにより得られるPTFE成形体は、未焼成PTFEが有していた結晶性と同等の結晶性を有しており、高い比誘電率と低い誘電正接を有する。
[0094]
上記未焼成PTFE成形体は、未焼成PTFEの粉末と押出助剤とからなる混合物をペースト押出成形して得られるものであることが好ましい。また、ペースト押出成形した後、得られた押出物を乾燥することによって押出助剤を除去したものであってもよい。上記混合物は、未焼成PTFEの粉末と押出助剤とを公知の方法により混合し、1~24時間熟成させ、圧力0.5~2.0MPaで予備成形して得られたものであってもよい。上記ペースト押出は、押出圧力2~100MPaにて行うことができる。
上記未焼成PTFEの加熱時間は、上記未焼成PTFEの直径、加熱温度、加熱に使用する設備によって異なる。
例えば、熱風循環式電気炉で加熱する場合は3分~2時間が好ましく、10分~30分がより好ましい。
[0095]
上記製造方法は、未焼成PTFEの粉末と押出助剤とからなる混合物をペースト押出成形して未焼成PTFEの成形体を得る工程、上記未焼成PTFEの成形体を乾燥して押出助剤を除去する工程、乾燥させた上記成形体を326~345℃で10秒~2時間加熱する工程、及び、上記PTFE成形体を用いて誘電体線路を製造する工程を含むことが好ましい。
[0096]
上記製造方法は、高い比誘電率と低い誘電正接を有する成形体を得るために、未焼成PTFEを345℃超に加熱する工程を一切含まないことが好ましい。
上記PTFE成形体を用いて誘電体線路を製造する方法については、誘電体線路に要求される特性によって相違するので、後述する実験例等で説明する。
[0097]
上記誘電体外装部は、PTFEを成形することで得ることができる。例えば、PTFE粉末を金型に入れ、加熱及び加圧により圧縮成形する方法により得ることができる。
上記加熱温度はPTFEの融点以上であることが好ましく、340℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが更に好ましい。また、380℃以下が好ましい。
上記加圧の圧力は、例えば、10g/cm 以上であることが好ましく、20g/cm 以上であることがより好ましく、30g/cm 以上であることが更に好ましい。また、3000g/cm 以下が好ましい。
[0098]
上記誘電体外装部に含まれるPTFEは、PTFEの焼結粉砕粉を圧縮成形したものであることが好ましい。
PTFEの焼結粉砕粉は、焼結粉砕法により得ることができる。焼結粉砕粉を用いることによって、低比誘電率及び低誘電正接であり、かつ、電子部品を保持可能な硬さを備える誘電体外装部を容易に形成することができる。
[0099]
上記焼結粉砕粉は、平均粒子径が50~3000μmであることが好ましい。平均粒子径は100μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましく、また、2000μm以下であることがより好ましく、1500μm以下であることが更に好ましい。
上記平均粒子径は、日本電子株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS)を用いて、カスケードは使用せず、分散圧力3.0barで測定を行い、粒度分布積算の50%に対応する粒子径に等しいとする。
[0100]
焼結粉砕粉は、例えば、PTFE粉末を融点以上の温度で0.1~10時間熱処理を行い、その後、得られた固形物を粉砕することで得ることができる。
上記熱処理の温度は340℃以上がより好ましく、350℃以上が更に好ましい。また、380℃以下がより好ましい。
上記粉砕は、例えば、ミキサー、エアジェットミル等により実施できる。粉砕の条件は特に限定されない。
[0101]
上記誘電体外装部が、上述したように上部層及び下部層とからなる場合、上部層と下部層とを上記の方法等によってそれぞれ作製した後、これらを重ねあわせて加熱及び加圧することによって作製することができる。接着層を有する場合にも同様に、上部層と接着層と下部層とを重ねあわせて加熱及び加圧することによって作製することができる。上部層、中間層及び下部層、若しくは、上部層、接着層、中間層、接着層及び下部層からなる場合も同様に作製することができる。
[0102]
誘電体線路及び誘電体外装部がポリテトラフルオロエチレンを含むものである場合、伝送効率、低損失性等が優れることから、接着層はPFAからなる層であることが好ましい。
上記加熱及び加圧は上部層と下部層、上部層と中間層、中間層と下部層とが接着するものであればよく、例えば、接着層を構成する材料の融点以上の温度であることが好ましく、圧力は10g/cm 以上であることが好ましい。
[0103]
[端部処理方法]
誘電体線路の端部は、例えば、特開平11-186818号公報に記載された誘電体線路結合装置と同様に、1/4λの金属棒を誘電体線路端に添わせることにより処理してもよい。また、導波管同軸変換を行う方法等によって同軸ケーブルと接続してもよい。
[0104]
本開示の配線板は、例えば、高周波伝送用のプリント配線板として用いることができ、上記プリント基板は銅箔等の金属箔を接着して構成されていてもよい。
実施例
[0105]
つぎに本開示の配線板を実施例をあげて説明するが、本開示の配線板はかかる実施例のみに限定されるものではない。
[0106]
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
[0107]
比誘電率及び誘電正接(tanδ)
誘電体線路及び外装の比誘電率測定及び誘電正接(tanδ)の測定は、株式会社関東電子応用開発製空洞共振器(6GHz)と計算ソフトによる。
[0108]
硬度
JIS K6253-2012に規定されていたデュロメータ タイプDにより硬さを測定した。
[0109]
比重
液中ひょう量法(JIS Z 8807準拠)により測定した。
[0110]
実施例1
[誘電体線路の作製方法]
標準比重(SSG)が2.175であるポリテトラフルオロエチレンファインパウダー1kgに、炭化水素系溶剤を410g混合して、PTFEペーストを作製した。次に、10mm×10mmの押出形状をもつ押出ダイを用いて、ペースト押出成形により上記PTFEペーストを成形して、断面が10mm×10mmのPTFE成形体を得た。得られたPTFE成形体を熱風電気炉内に設置して、100℃から250℃へ段階的に温度上昇させ、炭化水素系溶剤を蒸散除去させた。
乾燥後の円柱状PTFE成形体を337℃に熱した熱風電気炉へ入れて2時間焼成を行い、円柱状PTFE成形体を得た。焼成後の断面は10.5mm×10.5mmであった。この成形体を100mmに切断して誘電体線路(内層)とした。
得られた誘電体線路の6GHz、25℃における比誘電率及び誘電正接はそれぞれ2.18、0.00010であった。誘電体線路の比重は、2.195であった。
[0111]
[誘電体外装の作製方法]
標準比重(SSG)が2.175であるポリテトラフルオロエチレンファインパウダー1kgをステンレス容器に入れて、熱風電気炉によって360℃3時間熱処理する。できた固形物をさらに食品ミキサーに入れ粉砕し、8メッシュのステンレスメッシュに通すことで粒径が1.7mm以下であるPTFE焼結粉砕粉を作製した。
この焼結粉砕粉108gを、110mm×110mmのステンレス金型で均一に入れて4416gの上金型で加圧(36.5g/cm )しながら360℃の熱風電気炉に3時間入れ、常温まで放熱後に成形物を取り出した。
その結果、10mm厚みの100mm×100mm、重量108g、比重1.0、6GHz、25℃における比誘電率1.50、誘電正接0.0001、硬度95である誘電体外装部の外層Aを得た。
同様にこの焼結粉砕粉78gを加圧熱処理することで7.5mm厚みの100mm×100mm、重量108g、比重1.0、6GHz、25℃における比誘電率1.50、誘電正接0.0001、硬度75である外層Bを得た。
[0112]
[組立方法]
外層Aの中心部に10.5mm×70mmの穴を厚み方向にくりぬいてその部分に上記で作製した誘電体線路(内層)をはめ込んで、組立品Dを得た。その後、7.5mm厚の外層B/PFAシート(比誘電率2.12、誘電正接0.0012)25μm/組立品D/PFAシート(比誘電率2.12、誘電正接0.0012)25μm/7.5mm厚外層Bを上記の上金型(4416g)で加圧(36.5g/cm )しながら、350℃3時間熱風電気炉にて加圧加熱した。得られた配線板において、誘電体線路部を除いた部分の比誘電率及び誘電正接を6GHz空洞共振器法で測定することにより求めた誘電体外装部の比誘電率及び誘電正接は、それぞれ1.52、0.00015であった。
[0113]
[端部処理方法]
上記で成形した10mm×10mm長さ100mmの誘電体線路の両端10mmを四角錐状に切断し、方形導波管同軸変換器内へ挿入し、伝送損失を測定したところ、28GHzにおいて伝送損失が-2dBであった。
(参考:通常高周波で使われるLCP基板100mmに、28GHzの電磁波を通すと、-5~-7dBの伝送損失となる。)
[0114]
参考例1
[誘電体線路の高誘電率化]
標準比重(SSG)が2.175であるポリテトラフルオロエチレンファインパウダーに、比重3.97のアルミナを10vol%となるように混合し、炭化水素系溶剤を混合して、PTFEペーストを作製した。次に、シリンダー径25mmの金型にPTFEペーストを充填し、直径1.8mmの押出形状を持つ押出ダイを用いて、ペースト押出成形によりPTFEペーストを成形して、直径1.8mmのPTFE成形体を得た。得られたPTFE成形体を熱風電気炉内に設置して、100℃から250℃へ段階的に温度上昇させ、炭化水素系溶剤を蒸散除去させた。その後、360℃に設定した熱風電気炉内に設置して5分間焼成後、1時間あたり5℃の速度で270℃まで降温し、さらに1時間あたり20℃の速度で室温まで降温した。
アルミナは1MHzにおける比誘電率、誘電正接がそれぞれ10、0.0002のものを用いた。
得られたPTFE成形体の電気特性を比誘電率測定及び誘電正接(tanδ)の測定は、株式会社関東電子応用開発製空洞共振器により測定した。
上記で成形したPTFE成形体の6GHz、25℃における比誘電率及び誘電正接はそれぞれ2.36、0.0002だった。
[0115]
参考例2
参考例1にアルミナを添加しないこと以外はすべて同じ操作を行いPTFE成形体を得た。
上記で成形したPTFE成形体の6GHz、25℃における比誘電率及び誘電正接はそれぞれ2.01、0.0002だった。

符号の説明

[0116]
10、20、30、40、50:配線板
11、21、31、41、51:誘電体線路
12:誘電体外装部
22a、32a、42a、52a:誘電体外装部の下部層
22b、32b、42b、52b:誘電体外装部の上部層
42c、52c:中間層
34、54a、54b:接着層
23、33、43、53:溝
:誘電体外装部の長辺
:誘電体外装部の短辺
:誘電体外装部の厚み
:誘電体線路の厚み

請求の範囲

[請求項1]
樹脂(A)を含む誘電体線路と、該誘電体線路を覆い、樹脂(B)を含む誘電体外装部とを備え、
前記誘電体外装部は、6GHz、25℃における比誘電率が前記誘電体線路よりも低いことを特徴とする配線板。
[請求項2]
6GHz、25℃における誘電体外装部の比誘電率と誘電体線路の比誘電率との比(誘電体外装部の比誘電率/誘電体線路の比誘電率)が、0.60~0.90である請求項1記載の配線板。
[請求項3]
前記樹脂(A)は、6GHz、25℃における比誘電率が3.0以下であり、誘電正接が0.003以下である請求項1又は2記載の配線板。
[請求項4]
前記樹脂(A)は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~3のいずれかに記載の配線板。
[請求項5]
前記誘電体線路は、更に、無機粉体(C)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上である請求項1~4のいずれかに記載の配線板。
[請求項6]
無機粉体(C)は、セラミック粉体である請求項5記載の配線板。
[請求項7]
無機粉体(C)は、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種である請求項5又は6記載の配線板。
[請求項8]
前記樹脂(B)は、6GHz、25℃における誘電体線路の比誘電率よりも小さく、誘電正接が0.0012以下である請求項1~7のいずれかに記載の配線板。
[請求項9]
前記樹脂(B)は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリスチロールからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~8のいずれかに記載の配線板。
[請求項10]
前記誘電体外装部は、更に、無機粉体(D)を含み、6GHz、25℃における比誘電率が2.2以上である請求項1~9のいずれかに記載の配線板。
[請求項11]
無機粉体(D)は、セラミック粉体である請求項10記載の配線板。
[請求項12]
無機粉体(D)は、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸ランタン系、チタン酸ビスマス系、Ba(Mg 1/3Ta 2/3)O 系、Ba(Zn 1/3Ta 2/3)O 系、CaTiO -(Li 1/2Nd 1/2)TiO -(Li 1/2Bi 1/2)TiO 系、タンタル酸マグネシウム系、ニオブ酸マグネシウム系、アルミナ系、マグネシア系、チタニア系、酸化タンタル系、酸化ニオブ系、フェライト系、ジルコニア系、及び、希土類複合酸化物系からなる群より選択される少なくとも1種である請求項10又は11記載の配線板。
[請求項13]
前記誘電体外装部は、誘電体線路を収納する溝を有する下部層と、前記下部層上に形成された上部層との積層構造を有する請求項1~12のいずれかに記載の配線板。
[請求項14]
前記誘電体外装部は、下部層と上部層との間に接着層を有する請求項13記載の配線板。
[請求項15]
前記接着層を構成する材料は、6GHz、25℃における誘電正接が0.003以下である請求項14記載の配線板。
[請求項16]
前記接着層を構成する材料は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項14又は15記載の配線板。
[請求項17]
前記誘電体外装部は、下部層と、該下部層上に形成された誘電体線路を収納する空洞を有する中間層と、該中間層上に形成された上部層との積層構造を有する請求項1~12のいずれかに記載の配線板。
[請求項18]
前記誘電体外装部は、下部層と中間層との間、又は、中間層と上部層との間に接着層を有する請求項17記載の配線板。
[請求項19]
前記接着層を構成する材料は、6GHz、25℃における誘電正接が0.003以下である請求項18記載の配線板。
[請求項20]
前記接着層を構成する材料は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項18又は19記載の配線板。
[請求項21]
誘電体外装部は、板状であり、長辺の長さが厚みの3倍以上である請求項1~20のいずれかに記載の配線板。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]