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1. WO2013118645 - 基板加工方法及び基板加工装置

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明 細 書

発明の名称 基板加工方法及び基板加工装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

図面の簡単な説明

0027  

発明を実施するための形態

0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

実施例

0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

産業上の利用可能性

0084  

符号の説明

0085  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 基板加工方法及び基板加工装置

技術分野

[0001]
 本発明は、シリコン単結晶基板を加工する基板加工方法及び基板加工装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、シリコン(Si)ウェハに代表される半導体ウェハを製造する場合には、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断して、その周縁部を目標の直径になるよう研削し、その後、ブロック化されたインゴットをワイヤソーによりウェハ形にスライスして半導体ウェハを製造するようにしている(例えば、特許文献1および2参照。)。
[0003]
 このようにして製造された半導体ウェハは、前工程で回路パターンの形成等、各種の処理が順次施されて後工程に供され、この後工程で裏面がバックグラインド処理されて薄片化が図られることにより、厚さが約750μmから100μm以下、例えば75μmや50μm程度に調整される。
[0004]
 従来における半導体ウェハは、以上のように製造され、インゴットがワイヤソーにより切断され、しかも、切断の際にワイヤソーの太さ以上の切り代が必要となるので、厚さ0.1mm以下の薄い半導体ウェハを製造することが非常に困難であり、製品率も向上しないという問題があった。
[0005]
 一方、高開口数の集光レンズにガラス板からなる収差増強材を組み合わせ、波長1064nmのパルス状レーザによりシリコンウエハの内部に加工を施した後、これを剛性基板に貼りあわせ、剥離することで薄い単結晶シリコン基板を得る技術が開示されている(特許文献3参照。)。
[0006]
 この技術によると、シリコン基板内部に厚み100μm程度の加工層が形成されていた。このため、結晶性基板から厚さ0.1mm程度の薄い基板を多数スライスする場合、材料歩留まりに限界があった。また、例えば、シリコン用の赤外線観察用収差増強材を外しても、加工層の厚みは大きく減少させることができなかった。
[0007]
 さらに、NAが0.5程度の対物レンズを使用した場合、加工層の厚みは減少するが、光量が減少して加工層の処理が十分に施されず、実際の剥離は困難であった。これに対して、照射回数を増やして加工層の処理を十分に施そうとすると、2次元の加工領域を1μmピッチの照射で埋め尽くす必要があるため、膨大な回数の照射パルスが必用になり、実用化には照射時間の問題が存在していた。
[0008]
 なお、この明細書中においては、別記する場合を除いてウェハのことを基板と称することにする。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開2008-200772号公報
特許文献2 : 特開2005-297156号公報
特許文献3 : 特開2011-60862号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 本発明は、上記課題に対してなされたもので、結晶性基板の内部にレーザ光照射による内部加工層を形成し、内部加工層を境に剥離するための基板加工装置及び方法であって、レーザ光源の選択肢が広く、内部加工層の厚みが薄く、かつ、少ない数のレーザパルス照射で、内部加工層を効率的に形成する基板加工装置および基板加工方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 上述の課題を解決するために、本発明に係る基板加工装置は、結晶基板を加工する基板加工装置であって、レーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を基板の表面に向けて照射し、基板内部にレーザ光を集光するレーザ集光手段と、前記レーザ集光手段を前記基板上に非接触に配置する位置決め手段とを有し、前記レーザ集光手段と前記基板を相対的に移動させて、前記基板内部に改質層を形成するものであって、前記レーザ集光手段は、レーザ光を光軸に軸対称に集光するとともに、前記基板内部において、前記レーザ集光手段の外周部に入射した光が、前記レーザ集光手段の内周部に入射した光より、前記レーザ集光手段側で集光するように構成されているものである。
[0012]
 前記レーザ集光手段は、レーザ光の集光を調整する集光調整手段を有することが好ましい。
[0013]
 前記集光調整手段は、前記基板における表面から裏面に至るまでの深さに集光位置を調整することができることが好ましい。
[0014]
 前記照射されるレーザ光は、パルス状であることが好ましい。
[0015]
 前記改質層は、前記基板の表面と平行に形成されることが好ましい。
[0016]
 前記基板の表面は、鏡面であることが好ましい。
[0017]
 前記基板は、シリコン単結晶基板又はシリコンカーバイド単結晶基板であることが好ましい。
[0018]
 前記基板を保持する基板保持手段をさらに有し、前記レーザ集光手段と前記基板保持手段に保持された前記基板を相対的に移動させることが好ましい。
[0019]
 本発明に係る基板加工方法は、結晶基板を加工する基板加工方法であって、前記レーザ光源からのレーザ光を基板の表面に向けて照射し、前記基板内部にレーザ光を集光するレーザ集光手段を基板上に非接触に配置する位置決め工程と、前記レーザ集光手段と前記基板を相対的に移動させて、前記基板内部に改質層を形成する工程とを有し、前記レーザ集光手段は、レーザ光を光軸に軸対称に集光するとともに、前記基板内部において、前記レーザ集光手段の外周部に入射した光が、前記レーザ集光手段の内周部に入射した光より、前記レーザ集光手段側で集光するように構成されているものである。
[0020]
 前記レーザ集光手段におけるレーザ光の集光を調整する集光調整工程をさらに有することが好ましい。
[0021]
 前記集光調整工程は、前記基板における表面から裏面に至るまでの深さに集光位置を調整することが好ましい。
[0022]
 前記集光調整工程は、前記レーザ光が前記基板の表面に集光することが好ましい。
[0023]
 前記集光調整工程は、前記レーザ光が前記基板の裏面に集光するように調整することが好ましい。
[0024]
 前記改質層は、前記基板の表面と平行に形成されることが好ましい。
[0025]
 前記改質層を形成した後、前記集光調整手段により集光点を前記レーザ集光手段側に移動し、第2の改質層を形成することが好ましい。
[0026]
 前記基板を保持する工程をさらに有することが好ましい。

図面の簡単な説明

[0027]
[図1] 基板内部加工装置の斜視図である。
[図2] 基板を載置したステージの上面図である。
[図3] 基板を載置したステージの断面図である。
[図4] 基板に対するレーザ光の照射を説明する断面図である。
[図5] 基板に対するレーザ光の照射を説明する上面図である。
[図6] 基板に対するレーザ光の照射の第1の実施の形態を示す図である。
[図7] 基板に対するレーザ光の照射の第2の実施の形態を示す図である。
[図8] 基板における収差を説明する参考図である。
[図9] 基板に対するレーザ光の照射の第3の実施の形態を示す図である。
[図10] 基板に対するレーザ光の照射の第4の実施の形態を示す図である。
[図11] 割断装置を示す正面図である。
[図12] 金属板から基板を水中剥離することを説明する図である。
[図13] レーザ集光部の具体例を示す図である。
[図14] レーザ集光部の他の具体例を示す図である。
[図15] 照射例1の内部改質層を示す写真である。
[図16] 照射例2の内部改質層を示す写真である。

発明を実施するための形態

[0028]
 次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
[0029]
 又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[0030]
(基板内部加工装置の構成)
 図1は、基板内部加工装置100の構成を示す斜視図である。基板内部加工装置100は、ステージ110と、ステージ110がXY方向に移動可能なように支持するステージ支持部120と、ステージ110上に配置され、基板10を固定する基板固定具130とを有している。
[0031]
 また、基板内部加工装置100は、レーザ光源150と、レーザ集光部160を有し、レーザ集光部160は、レーザ光源150から発したレーザ光190を集光して基板10に向けて照射する。レーザ集光部160は、対物レンズ170及び平凸レンズ180を有している。
[0032]
 図2は、ステージ110上に置いた基板10を示す上面図である。図3は、ステージ110上に置いた基板10を示す断面図である。
[0033]
 基板10は、ステージ110上において基板固定具130によって保持されている。基板固定具130は、その上に設けられた固定テーブル125によって基板10を固定している。固定テーブル125には、通常の粘着層、機械的なチャック、静電チャックなどが適用可能である。
[0034]
 基板10に集光して照射されるレーザ光190の集光点Pは、基板10の内部において、表面から所定の深さの領域に所定の形状の軌跡12を形成することで、表面に水平方向に2次元状の内部改質層14を形成することができる。
[0035]
 図4は、基板10における集光点Pと内部改質層14の形成を説明する断面図、図5は、その上面図である。基板内部加工装置100においては、基板10の内部に浸透するレーザ光190は、レーザ集光部160を介して基板10に向けて照射され、基板10内部の所定位置に、厚さ方向(光軸方向)t、幅方向(光軸と直交方向)wの集光点Pを形成する。
[0036]
 集光点Pの近傍では、基板10はレーザ光により加熱され、照射終了後は基板10の熱伝導および熱輻射により冷却される。基板10が単結晶、若しくは十分に結晶粒の大きな多結晶のシリコンや炭化ケイ素、あるいはサファイアのような結晶性基板の場合、レーザ光で供給されるエネルギーと時間を適切に選択することで、集光点P近傍の基板10の結晶性を変化させ、多結晶化させることができる。
[0037]
 また、レーザ光190としてパルス状のレーザを使用し、基板10をレーザ集光部160に対して相対的に移動させると、集光点Pは、レーザ光190の繰返し周波数と、移動速度に応じ、基板10の表面101と並行に並ぶ列を形成し、さらにこの列を複数、配列することで、基板10の表面101と平行に、面状に広がった内部改質層14が形成される。
[0038]
 レーザ光190に適切なパルス状レーザを採用し、適切な条件で基板10と集光手段160を相対的に移動させることで、基板10の表面101にダメージを与えることなく、他の領域と結晶状態の変化させた表面101に平行な2次元状の内部改質層14は、単結晶状態の他の領域と物性が異なるため、比較的小さな力でこの領域を境に、基板10を分割することができる。
[0039]
 内部改質層14を介して基板10を基板表面側10aと裏面側10bに分割し、利用することを考えるとき、内部改質層14自体は分割基板の作成のために最終的に除去されて損失となるため、その厚さtは小さいことが好ましい。また、基板10に内部改質層14を効率よく形成するためには集光点Pの幅wは大きいことが好ましい。
[0040]
 本実施の形態においては、レーザ集光部160は、レーザ集光部160の出射するレーザ光190がその光軸について軸対称であり、基板10の内部のレーザ光190の集光点190において、レーザ光190の外周側の成分190bの光線が交差する集光点P2が、レーザ光190の内周側190aの成分の光線が交差する集光点P1よりもレーザ集光部160側にあるように構成されている。
[0041]
 換言すると、基板10の表面はレーザ集光部160に対向しているので、レーザ光190の外周側の成分190bの集光点P2は、レーザ光190の内周側190aの集光点P1よりも、対物レンズ170及び平凸レンズ180側、すなわち基板10の表面から浅い位置にある。
[0042]
 このような、屈折率の大きな基板10内部にこのように設定される集光点Pを形成するために使用されるレーザ集光部160は、集光点形状調整手段を有する。図4では、レーザ集光部160は、対物レンズ170及び集光点形状調整手段として平凸レンズ180で構成される。
[0043]
 大気中で、収差なく集光する対物レンズ170で集光されるレーザ光190で、外周部の光ほど平凸レンズ180で大きく曲げることで、シリコンのような屈折率の大きな素材で形成された基板10の内部に集光することが可能になる。
[0044]
 この対物レンズ170及び集光点形状調整手段としての平凸レンズ180からなるレーザ集光部160を用いて、基板10の表面101と内部改質層14の距離を対物レンズ170と基板表面の距離L1で主に調整することができる。また、平凸レンズ180と基板10の表面101の距離L2を大きくすることで、集光点Pにおいて、集光点P1を基準に、集光点P2の位置をより基板10の表面101側に移動させることができる。
[0045]
 この状態は、基板10によりレーザ光190に生じた収差が過剰に補正された状態であると見なすことができ、いわばピントを過剰に補正した「ピンボケ」状態であるということができる。このような状態で、基板10の所定の深さに形成される内部改質層14は厚さtを小さくし、かつ、理由は不明であるがパルスあたりの加工幅wを大きくすることが可能になる。
[0046]
 内部改質層14は、レーザ光190を集光して照射することによって、加熱と冷却のプロセスを経るため、基板10が、単結晶シリコンの場合、多結晶化する。
[0047]
 このようなレーザ集光部160を用い、基板10に対してレーザ光190を照射する実施の形態について説明する。図6は、第1の実施の形態を示す図である。図6においては、便宜上、レーザ集光部160を平凸レンズ180により代表し、光軸Aを横方向に記載するが、レーザ光の集光は平凸レンズ180を含むレーザ集光部160全体によって行われるものである。
[0048]
 この第1の実施の形態では、大気中に置かれた集光点形状調整手段を有するレーザ集光部160に入射するレーザ光190を例に本発明を説明する。レーザ光190は便宜上、光軸Aに近い順に190-1~190-4とする。レーザ集光部160としては、例えば基板10の屈折率に対応した補正環を有する対物レンズが例示される。
[0049]
 大気中で、レーザ集光部160に入射したレーザ光190は、レーザ集光部160によって集光され、同じく大気中に置かれた基板10の表面101を介して基板10の内部に集光される。光線190-1~4は、それぞれ基板10の屈折率の影響で、異なる角度で基板10の表面101で屈折し基板10の内部を進んで、光軸Aと交差する。
[0050]
 ビーム最外周の光(光軸Aから最も遠い位置で、集光部160に入射する光線)190-4は、その内周にある光線190-3よりも基板10の表面101から浅い位置で光軸Aと交差するし、さらに、190-3は190-2よりも表面101側で、さらに190-2は190-1よりも表面101側で光軸Aと交差するように、基板10の屈折率を考慮して設計する。
[0051]
 換言すると、レーザ光190は内周側から外周側に移るに従い、レーザ集光部160に近い位置で集光するように、レーザ集光部160を設定する。このような設定は、補正環付き対物レンズでは、補正環の厚さ設定を、集光点Pの位置に形成される内部加工領域14の深さより大きく設定することで達成することができる。
[0052]
 なお、レーザ集光部160の基板10に対する位置は、集光調整部によって移動することができる。この集光調整部は、レーザ集光部160と基板10の距離等を調整することにより基板10におけるレーザ光190の集光位置、集光形状等を調整するものであり、前述の集光形状調整手段を含むものである。このような集光調整部は従来技術を用いて容易に実現することができる。
[0053]
 図7は、基板に対するレーザ光の照射の第2の実施の形態を説明する図である。第2の実施の形態では、レーザ集光部160によって集光されたレーザ光190が基板10の表面を焦点とするように集光調整部によって調整されている。
[0054]
 この第2の実施の形態は、例えば、第1の実施の形態で示したように基板10内部に集光点を設定する前に、レーザ集光部190の基板10に対する位置を初期設定するときに使用することができる。すなわち、図示しない集光調整部によって、第2の実施の形態においてレーザ光190が基板10の表面を焦点とする初期状態からレーザ集光部190と基板10の表面の距離を所定値にわたって短縮することにより、第1の実施の形態のように基板10内部に所望の集光点を形成することができる。なお、このような初期設定は、基板10の表面に限らず、基板10の裏面に焦点を合わせて行うこともできる。
[0055]
 図8は、基板における収差を説明する参考図である。この参考図は、第1の実施の形態と対比するために、レーザ集光部160を設けない場合に生じる収差を示すものである。例えば、通常の対物レンズのみを設置した場合が相当する。
[0056]
 図8(a)においては、第2の実施の形態と同様に、基板の10の表面を焦点としてレーザ光190が集光されている。この状態から基板10を光軸Aに沿って入射方向に移動してレーザ光190が基板10内で集光するようにする。この場合、図8(b)に示すように、光軸Aから離れた光(外周側の成分)のが、光軸Aに近い(内周側の成分)よりも基板10の表面から深い位置で集光するようになる。
[0057]
 この状態は、光軸Aから離れた外周側の成分が光軸Aに近い内周側の成分より浅い位置に集光する第1の実施の形態とは、光線の光軸Aからの距離と基板10における集光点の深さが逆の関係となっている。換言すると、外周側の成分が内周側の成分より浅い位置に集光する第1の実施の形態は、レーザ集光部160を設けることによって初めて実現が可能となるものである。
[0058]
 図9は、基板に対するレーザ光の照射の第3の実施の形態を示す図である。第3の実施の形態においては、図示しない集光点調整部によってレーザ集光部160と基板10の表面の距離を短縮するように調整し、基板10内において基板10の裏面101b近くにレーザ光190の集光点が形成されるように調整したものである。この集光点によって、基板の10の裏面101b近くに基板10の表面に平行に内部改質層14が形成される。
[0059]
 図10は、基板に対するレーザ光の照射の第4の実施の形態を示す図である。第4の実施の形態においては、第3の実施の形態により基板10の裏面101b近くに内部改質層14aを形成した後、図示しない集光調整手段によってレーザ集光部160と基板10の表面101aの距離が拡大するように調整し、基板10内において基板10の表面101a近くにレーザ光190の集光点が形成されるようにしたものである。この集光点によって、基板10の表面101a近くに基板10の表面101aに平行に第2の内部改質層14bが形成される。なお、内部改質層14は、この第4の実施例のように2層に限らず、2層以上の複数層であってもよい。
[0060]
(基板の割断)
 図11は、割断装置を示す正面図である。第3又は第4の実施の形態によって内部改質層14が形成された基板10は、この割断装置を用いて内部改質層14において割断される。
[0061]
 この割断装置50において、架台52上に、基板10の両面に第1及び第2の金属板20、21が接着剤にて接着されてなる構造体40が載置される。この接着剤としては、基板10の内部改質層14近傍領域を形成する多結晶粒の凝集力よりも強い接着剤であればよく、例えば金属イオンを反応開始剤として硬化する嫌気性アクリル系二液モノマー成分からなる接着剤25を使用することができる。
[0062]
 構造体40は、第2の金属板21に設けられた貫孔を利用して架台52に固定してよい。この状態において、第1の金属板20に割断冶具54によって下向きの押圧力を印加する。これによって、基板10は第1及び第2の金属板20、21に接着した上面及び下面の両面の方向に逆向きの力を受け、力が所定の閾値を越えると、基板10は分割され、構造体40は上下2つに分離される。
[0063]
(基板の剥離)
 図12は、水中で金属板20から基板10を剥離する方法を説明する図である。水槽60に蓄えた80~100℃の温水に、金属板20、21に接着剤25で接着された基板10を浸す。所定時間経過すると接着剤25が水と所定の反応を生じ、接着剤25から接着力が失われるので、水中で基板10から接着剤25を剥離することにより、金属板20、21から基板10を分離することができる。
[0064]
 このように接着剤25が剥離された基板10を乾燥することによって、最終的な分割した基板を得ることができる。なお、第4の実施の形態のように内部改質層14a、14bが複数存在する場合には、基板10の割断の工程を複数回繰り返すことにより複数の内部改質層ごとに分割することができる。
[0065]
(レーザ集光部の具体例)
 図13は、レーザ集光部の具体例を示す図である。この具体例において、レーザ集光部160は、例えば高NAで作動距離の長い対物レンズ170と基板10の表面側に設けた平凸レンズ180との組み合わせによって実現している。
[0066]
 具体的には、厚み1mmの単結晶シリコンからなる基板10の内部加工については、基板10の表面側より、0.14mmの位置に焦点距離15mmのガラス製の平凸レンズ180(シグマ光機:SLB-10-15P)を置き、NA=0.3の対物レンズ170(シグマ光機:EPL-10)に組み合わせることができる。
[0067]
 このようなレーザ集光部160においては、図示しない集光調整手段は、平凸レンズ80と基板10の表面の距離で集光点の形状を調整し、対物レンズ170と基板10の表面の距離で集光点の位置を調整するように構成することができる。
[0068]
 図14は、レーザ集光部の他の具体例を示す図である。他の具体例では、NA=0.5~0.9の補正環を有するシリコン用の赤外線対物レンズにより実現している。具体的には、例えばオリンパス製レンズLCPLN100XIRを使用する場合、内部加工層14を結晶10の表面から300μmの位置に設けるときに補正環を0.6mmに設定することで、基板10内において、レーザ集光部160の外周部に入射した光が、内周部に入射した光より、レーザ集光160側で集光するように設定することができる。
[0069]
 この他の実施例によると、前述の実施例のように対物レンズ170及び平凸レンズ180という複数の構成部材を必要とすることなく、単一の補正環付き対物レンズにより構成できるので、装置の構成が簡単になり、操作が容易になる。
[0070]
 なお、この他の具体例においては、基板10のより表面側に内部改質層14を形成する場合、レーザ集光手段160と基板10の表面との距離を大きくする必要がある。この場合、レーザ光190が基板10の表面に及ぼす影響を抑制するため、虹彩絞りやビームエクスパンダなどのビーム径調整手段をレーザ集光部160の入射側に設けレーザ光190の外周側成分の光量を低減することがある。
実施例
[0071]
 以下、実施例として各種条件について実施した照射例1~6について説明する。これらの照射例1~6においては、基板内部加工装置100のレーザ光源150としては、波長1064nm、繰り返し周波数200kHz、出力1.6W、パルス幅10nmのものを使用した。
[0072]
〔照射例1〕
 基板内部加工装置100において、x軸、y軸方向にそれぞれ最大速度200mm/sで移動可能なxyステージ110上に、大きさ50×50mm、厚み0.7mm、表面が鏡面加工された単結晶シリコンからなる基板10を載置固定した。
[0073]
 レーザ集光部160は、NA=0.85のシリコン用補正環210付の顕微鏡用赤外対物レンズ200(オリンパス製LCPLN100XIR)を用いた。そして、補正環210を0mmに設定した上、参照光により観察し、対物レンズ200から照射される光が基板10の表面上に焦点を形成するように、対物レンズ200を基板10の表面に対して位置決めをした。
[0074]
 ついで、この位置を基準に対物レンズ200を基板10の表面に向けて0.06mm移動させた。この状態で補正環210の設定を0.0mm、0.3mmとし、ステージ110をx方向に200mm/sの速度で移動させ、さらにy方向に10μm送ることを10回繰り返すことで、対物レンズ200から基板10に向けてレーザ光190を10μm間隔でそれぞれ10本の直線状に照射した。
[0075]
 この基板10を直線状の照射方向に直角に劈開を行い、断面を観察した。この結果、図15に示すように、基板10鏡面側表面から0.3mmの深さにそれぞれ加工領域の長さが70μmのほぼ同じ加工痕を確認した。なお、図中の左側及び右側の加工痕は、それぞれ補正環210を0.0mm及び0.3mmを設定したときに対応している。なお、この加工跡は、前述した周期的構造に相当するものである。
[0076]
〔照射例2〕
 この照射例2においては、対物レンズ200の補正環210を0.6mmに設定した。他の条件は照射例1と同様である。この照射例2では、図16に示すように、基板10における加工痕の長さは30μmに減少し、かつ隣接する加工痕同士が連結する状態が確認できた。
[0077]
〔照射例3〕
 この照射例3においては、照射例2と同様に対物レンズ200補正環210を0.6mmに設定した。そして、基板10を載置したステージ110のy方向送りを1μmピッチで50000回とすることで、基板10の50×50mmの領域を加工したサンプルを作成した。他の条件は照射例1と同様である。
[0078]
 このサンプルから10mm×10mmの領域を切り出した基板10を、接着剤(電気化学工業製 SOLARLOC HIK-700M20)を用いてヤスリかけした2枚の金属板(SUS304、厚み10mm)板の間に固定硬化後、2枚の金属板を剥離したところ、上下面の金属板に内部加工領域を境に剥離した基板10が接着した状態で得られた。
[0079]
 これを100℃の熱水中に4時間放置することで、内部加工領域14を境に基板10が剥離し、10mm×10mmでそれぞれ厚さ300μm、400μm厚の2枚の基板10が得られた。
[0080]
〔照射例4〕
 この照射例4においては、対物レンズ200の補正環210を0.6mmに設定し、ステージ110の7方向への送りを2μmピッチで25000回とした。他の条件は照射例3と同様である。この照射例4においても、内部加工領域14を境に基板10が剥離し、10mm×10mmでそれぞれ厚さ300μm、400μm厚の2枚のシリコン基板が得られた。
[0081]
〔照射例5〕
 この照射例5においては、対物レンズ200の補正環210を0.3mmに設定した。他の条件は、照射例3と同様である。この照射例5においても、照射例3と同様の処理によって基板10を内部改質層14を境に剥離することを試みた。しかしながら、基板10と接着剤層の界面で剥離が発生し、内部改質層14を境として剥離することはできなかった。
[0082]
〔照射例6〕
 この照射例6においては、対物レンズ200の補正環210を0.0mmにした。他の条件は、照射例5と同様である。この照射例6においても、基板10と接着剤層の界面で剥離が発生し、内部改質層14を境として剥離することはできなかった。
[0083]
 なお、上記の実施の形態においてはシリコン単結晶基板について例示したが、例えばシリコンカーバイド(SiC)等にも同様に適用することができる。

産業上の利用可能性

[0084]
 本発明の基板加工装置及び方法により基板を効率良く薄く形成することができることから、薄く切り出された基板は、Si基板であれば、太陽電池に応用可能であり、また、GaN系半導体デバイスなどのサファイア基板などであれば、発光ダイオード、レーザダイオードなどに応用可能であり、SiCなどであれば、SiC系パワーデバイスなどに応用可能であり、透明エレクトロニクス分野、照明分野、ハイブリッド/電気自動車分野など幅広い分野において適用可能である。

符号の説明

[0085]
10 基板
14 内部改質層
100 基板内部加工装置
110 ステージ
120 ステージ支持部
150 レーザ光源
160 レーザ集光部
170 対物レンズ
180 平凸レンズ
190 レーザ光

請求の範囲

[請求項1]
 結晶基板を加工する基板加工装置であって、
 レーザ光源と、
 前記レーザ光源からのレーザ光を基板の表面に向けて照射し、基板内部にレーザ光を集光するレーザ集光手段と、
 前記レーザ集光手段を前記基板上に非接触に配置する位置決め手段とを有し、
 前記レーザ集光手段と前記基板を相対的に移動させて、前記基板内部に改質層を形成するものであって、
 前記レーザ集光手段は、レーザ光を光軸に軸対称に集光するとともに、前記基板内部において、前記レーザ集光手段の外周部に入射した光が、前記レーザ集光手段の内周部に入射した光より、前記レーザ集光手段側で集光するように構成されていることを特徴とする基板加工装置。
[請求項2]
 前記レーザ集光手段は、レーザ光の集光を調整する集光調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の基板加工装置。
[請求項3]
 前記集光調整手段は、前記基板における表面から裏面に至るまでの深さに集光位置を調整することができることを特徴とする請求項2記載の基板加工装置。
[請求項4]
 前記照射されるレーザ光は、パルス状であることを特徴とする請求項1記載の基板加工装置。
[請求項5]
 前記改質層は、前記基板の表面と平行に形成されることを特徴とする請求項1記載の基板加工装置。
[請求項6]
 前記基板の表面は、鏡面であることを特徴とする請求項1記載の基板加工装置。
[請求項7]
 前記基板は、シリコン単結晶基板又はシリコンカーバイド単結晶基板である請求項1記載の基板加工装置。
[請求項8]
 前記基板を保持する基板保持手段をさらに有し、前記レーザ集光手段と前記基板保持手段に保持された前記基板を相対的に移動させることを特徴とする請求項1記載の基板加工装置。
[請求項9]
 結晶基板を加工する基板加工方法であって、
 レーザ光源からのレーザ光を基板の表面に向けて照射し、前記基板内部にレーザ光を集光するレーザ集光手段を基板上に非接触に配置する位置決め工程と、
 前記レーザ集光手段と前記基板を相対的に移動させて、前記基板内部に改質層を形成する工程とを有し、
 前記レーザ集光手段は、レーザ光を光軸に軸対称に集光するとともに、前記基板内部において、前記レーザ集光手段の外周部に入射した光が、前記レーザ集光手段の内周部に入射した光より、前記レーザ集光手段側で集光するように構成されていることを特徴とする基板加工方法。
[請求項10]
 前記レーザ集光手段におけるレーザ光の集光を調整する集光調整工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の基板加工方法。
[請求項11]
 前記集光調整工程は、前記基板における表面から裏面に至るまでの深さに集光位置を調整することができることを特徴とする請求項10記載の基板加工方法。
[請求項12]
 前記集光調整工程は、前記レーザ光が前記基板の表面に集光するように調整することを特徴とする請求項11記載の基板加工方法。
[請求項13]
 前記集光調整工程は、前記レーザ光が前記基板の裏面に集光するように調整することを特徴とする請求項11記載の基板加工方法。
[請求項14]
 前記改質層は、前記基板の表面と平行に形成されることを特徴とする請求項10記載の基板加工方法。
[請求項15]
 前記改質層を形成した後、前記集光調整工程により集光点を前記レーザ集光手段側に移動し、第2の改質層を形成することを特徴とする請求項14記載の基板加工方法。
[請求項16]
 前記基板を保持する工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の基板加工方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]