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1. WO2014119513 - スクラバの海水量制御装置、スクラバの海水量制御方法、アルカリ量制御装置及びアルカリ量制御方法

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明 細 書

発明の名称 スクラバの海水量制御装置、スクラバの海水量制御方法、アルカリ量制御装置及びアルカリ量制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : スクラバの海水量制御装置、スクラバの海水量制御方法、アルカリ量制御装置及びアルカリ量制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は、排ガス中の硫黄酸化物(特に、二酸化硫黄(SO ))の濃度を低減するためのスクラバに対し、吸収液として供給する海水の海水量制御装置、及び、吸収液として供給する海水に注入するアルカリ量の制御装置に関する。

背景技術

[0002]
 国際海事機関(IMO)は、船舶の排ガス中に含まれる硫黄酸化物(SO )を低減させるため、燃料油の硫黄分規制を段階的に強化する方針で、最終的には全海域を対象に硫黄分0.5%以下とする規制が適用されることとなっている。このため、船舶運航者は、低硫黄分燃料を使用するか、あるいは、主機関に排ガス処理装置を装着するなどの対応が必要となる。
[0003]
 船舶における排ガス処理装置としては、排ガスを海水に通すことにより、排ガス中の有害物質の濃度を低減するスクラバが知られている(たとえば、特許文献1及び特許文献2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2004-081933号公報
特許文献2 : 特許第2993891号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 スクラバに供給する海水量は処理する硫黄酸化物量に見合った量を注入する必要があり、過剰に海水を供給した場合は圧力損失が大きくなるとともに海水ポンプの動力が増大して問題となる一方で、海水量が不足すると排ガス中の硫黄酸化物濃度が規制値を超えて問題となる。
[0006]
 本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、処理後の排ガス中の硫黄酸化物濃度が規制値を超えることのないよう、スクラバに適切な海水量を供給して安定した運転をすることができるスクラバの海水量制御装置を提供することを目的とする。
[0007]
 また、特許文献2に記載の排ガス処理装置においては、スクラバを構成する吸収塔の塔底液のpH制御を行って、吸収塔の塔底から洗浄液を返還給送して排ガスを洗浄している。pH測定に用いられるpHメータは一般にガラス電極式が用いられるが、このようなpHメータは定期的な洗浄と校正が必要であり、安定した測定結果に基づいてきめ細かくpHを制御することは困難であった。
[0008]
 本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、pHメータを使用することなくスクラバに供給する海水のアルカリ制御を行って、安定した信頼性の高い硫黄酸化物の除去率を得ることができるアルカリ量制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明は、排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水量を制御するスクラバの海水量制御装置であって、エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する最低海水量換算器と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する海水量補正換算器と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する加算要素と、前記設定海水量分の海水を前記スクラバに供給するように制御するポンプ制御装置と、を備えることを特徴とする。
[0010]
 上記スクラバの海水量制御装置によれば、エンジン出力と使用する重油の硫黄分から、消費した重油に含まれる硫黄酸化物の中和に必要なアルカリ成分を最低海水量として算出し、さらに、スクラバから大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれる硫黄酸化物濃度が排出規制値を超えないように補正海水量を算出して、これらを足し合わせた設定海水量をスクラバへ供給するように制御している。この構成により、スクラバに供給される海水量が過剰になることや不足することがなく、処理後の排ガス中の硫黄酸化物濃度が規制値を超えることのないよう、スクラバに適切な海水量を供給して安定した運転をすることが可能となる。
[0011]
 本発明のアルカリ量制御装置は、排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水に注入するアルカリ量を制御するアルカリ量制御装置であって、エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する最低海水量換算器と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する海水量補正換算器と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する加算要素と、前記設定海水量分の海水を前記スクラバに供給するように制御するポンプ制御装置と、前記設定海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分量からアルカリ注入量を算出するアルカリ量演算器と、前記アルカリ注入量に対応するアルカリ剤を前記スクラバに供給する海水に注入するように制御するアルカリポンプ制御装置と、を備えることを特徴とする。
[0012]
 上記アルカリ量制御装置によれば、エンジン出力と使用する重油の硫黄分から、消費した重油に含まれる硫黄酸化物の中和に必要なアルカリ成分を最低海水量として算出し、さらに、スクラバから大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれる硫黄酸化物濃度が排出規制値を超えないように補正海水量を算出して、これらを足し合わせた設定海水量に基づいて海水に注入するアルカリ注入量を算出している。この構成により、海水のpHを測定することなく、すなわち、pHメータを使用することなく、スクラバに供給する海水のアルカリ制御を行うことができるため、安定した信頼性の高い硫黄酸化物の除去率を得ることが可能となる。

発明の効果

[0013]
 本発明によれば、処理後の排ガス中の硫黄酸化物濃度が規制値を超えることのないよう、スクラバに適切な海水量を供給して安定した運転をすることができる。
[0014]
 また、本発明によれば、pHメータを使用することなくスクラバに供給する海水のアルカリ制御を行うため、安定した信頼性の高い硫黄酸化物の除去率を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 第1の実施の形態に係るスクラバを中心とする排ガス処理システムを示す概略図である。
[図2] スクラバの断面模式図である。
[図3] スクラバに供給する海水量と二酸化硫黄(SO )の除去率との関係を示すグラフである。
[図4] 第1の実施の形態に係る排ガス処理システムにおける海水量制御システムの構成を示すブロック図である。
[図5] 複数のポンプを備える場合の、ポンプ運転台数と設定海水量との関係を示す図である。
[図6] 第1の実施の形態に係るポンプ制御装置がインバータを備える場合の構成を示すブロック図である。
[図7] 第1の実施の形態に係る複数のポンプを備える場合の、ポンプ1台あたりの流量設定値と設定海水量との関係を示す図である。
[図8] 第2の実施の形態に係るスクラバを中心とする排ガス処理システムを示す概略図である。
[図9] 第2の実施の形態に係る排ガス処理システムにおけるアルカリ量制御システムの構成を示すブロック図である。
[図10] 第2の実施の形態に係るポンプ制御装置がインバータを備える場合の構成を示すブロック図である。
[図11] 第2の実施の形態に係る複数のポンプを備える場合の、ポンプ1台あたりの流量設定値と設定海水量との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明の第1の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
 図1は、第1の実施の形態に係るスクラバを中心とする排ガス処理システムを示す概略図である。なお、第1の実施の形態に係る排ガス処理システムとしては、船舶に使用されるエンジンから排出される排ガス中に含まれる二酸化硫黄(SO )を除去するシステムを考える。ただし、これに限られず、本実施の形態に係る排ガス処理システムは、窒素酸化物(NO )や硫黄酸化物(SO )などの物質を含む種々の排ガスの処理に適用可能である。
[0017]
 図1に示すように、排ガス処理システムは、エンジン20から排ガスが供給されるスクラバ10と、海水加圧ポンプおよび海水引抜ポンプを備える海水ポンプユニット30と、排水タンク40と、排水をろ過するろ過器ユニット50と、から主に構成される。
[0018]
 エンジン20から排出された排ガスは、スクラバ10に導入される。この排ガスには、二酸化硫黄(SO )が50~1500ppm含まれる。この排ガスがスクラバ10内を上昇する過程で、海水ポンプユニット30を介してスクラバ10に導入された海水を噴霧して、気液接触させる。
[0019]
 排ガス内の二酸化硫黄(SO )は、下記式(1)に示すように、海水に溶けて、水素イオンと亜硫酸イオンに解離する。
[化1]


[0020]
 水素イオンは、下記式(2)に示すように、海水中のアルカリ成分(NaHCO )と反応する。
[化2]


[0021]
 亜硫酸イオンは、下記式(3)に示すように、空気によって硫酸イオンまで酸化される。
[化3]


[0022]
 なお、式(2),(3)の反応に必要な海水中のアルカリ成分が不足すると、水素イオンの増加により海水の水素イオン指数(pH)が低下して亜硫酸イオンの吸収反応が阻害される。したがって、海水による二酸化硫黄(SO )の吸収反応に最低必要な海水量は、式(2),(3)に示すアルカリ成分との反応分を満たす量に決定される。なお、海水は、CaCO 換算で約105ppmのアルカリ度を有する。
[0023]
 このようにして二酸化硫黄(SO )が除去された排ガスは、スクラバ10の上部から大気中へ排気される。
[0024]
 スクラバ10内に噴霧された海水は、スクラバ10の内壁面に沿って自重で落下し、スクラバ10下方の貯留部に貯留する。貯留した海水は、海水ポンプユニット30を介して排水タンク40に排水された後、ろ過器ユニット50でろ過されて海洋へ排水される。
[0025]
 続いて、スクラバ10の構成について説明する。図2は、スクラバ10の一例を示す断面模式図である。
[0026]
 図2に示すように、スクラバ10は、上下方向に内部空間が形成されたスクラバ本体11と、スクラバ本体11の内部空間の上下方向の所定領域において海水(液体)を霧の状態にして噴射(噴霧)するスプレー装置12と、スプレー装置12が海水を噴霧する領域よりも下方位置からスクラバ本体11にエンジン排ガス(気体)を導入するガス供給装置13と、スプレー装置12よりも下方位置に設けられたバッフル14と、を備えている。ここで、スプレー装置12は、図1に示す海水ポンプユニット30に接続され、ガス供給装置13は、図1に示すエンジン20に接続されている。
[0027]
 スクラバ本体11は、円筒形状の周壁部11aと円形状の底壁部11bと、で構成される。周壁部11aは、いずれの部分も同径に構成されている。周壁部11aの上端部は開口しており、開口部11cが形成されている。なお、本実施の形態においてスクラバ本体11は円筒形状を有しているが、スクラバ本体11の形状はこれに限られず、たとえば、角筒形状であってもよい。
[0028]
 スプレー装置12は、スクラバ本体11の中心軸上に設置される。スプレー装置12は、スクラバ本体11外からスクラバ本体11内に挿入され、スクラバ本体11の中心位置まで延在する給水管12aと、この給水管12aの挿入端部に連結され、スクラバ本体11の内部空間の上下方向の所定領域にかけて延在する幹管としての水導管12bと、この水導管12bに連結されスクラバ本体11の周壁部11aに向けて伸びる枝管12cと、各枝管12cの先端に設けられ、枝管12cから供給される液体を所定範囲に噴霧する図示しないスプレーノズルと、を含んで構成される。枝管12cは、上下方向に複数段並べて配置されるとともに、上下方向に隣接する枝管12cが直交するように交差している。
[0029]
 ガス供給装置13は、スクラバ本体11の周壁部11aの接線方向にガス噴出方向が沿うように設けられている。したがって、ガス供給装置13から導入される排ガスは、周壁部11aの内周面に沿って水平方向に噴射される。
[0030]
 バッフル14は、円盤部14aと、円盤部14aとスクラバ本体11の周壁部11aとを連結する脚部14bと、で構成される。円盤部14aの外周部分とスクラバ本体11の周壁部11aとの間には、液滴を流すための隙間が形成されている。バッフル14は、スクラバ本体11内部を、スプレー装置12によって液体が噴霧される領域と、スクラバ本体11外に排水するための液体を貯留する領域を区切っている。バッフル14の下方には、スクラバ本体11外に液体を排水するための排水管15が設けられている。
[0031]
 スクラバ本体11の開口部11c近傍には、処理済み排ガスの一部をスクラバ本体11外に取り出すための排気管16が設けられている。排気管16は、処理済み排ガスをサンプリングするための、分析計に接続されている。
[0032]
 このように構成されたスクラバ10における排ガス処理について説明する。エンジンから排出された排ガスは、ガス供給装置13によって、スプレー装置12が液体を噴霧する領域よりも下方位置に導入される。この排ガスは、周壁部11aに沿うように周回しながらスクラバ本体11内を上昇する。
[0033]
 一方、海水は、給水管12aを介して水導管12bに導入される。そして、海水は、複数段の枝管12cの先端に設けられたスプレーノズルから、スクラバ本体11の周壁部11aに向けて噴霧される。
[0034]
 したがって、スクラバ本体11内を旋回上昇する排ガスは、各段に設置された枝管12cに設けられたスプレーノズルから噴霧される海水と気液接触し、排ガス内の二酸化硫黄(SO )が吸収除去される。二酸化硫黄(SO )が除去された排ガスは、スクラバ本体11の上部に設けられた開口部11cから大気中へ排気される。また、排ガスの一部は、排気管16を介して分析計に送られる。
[0035]
 液滴となった海水は、旋回流による遠心力によって周壁部11aに押し付けられて自重で落下する。落下した液滴は、スクラバ本体11の下方に設置されたバッフル14でその旋回が止められた後、バッフル14および周壁部11aをつたって、スクラバ本体11の底壁部11bとその周囲の周壁部11aとで構成される貯留部に貯留する。貯留した液体は、排水管15を介してスクラバ本体11の外へ排水される。
[0036]
 図3は、スクラバ10に供給する海水量と二酸化硫黄(SO )の除去率との関係を示すグラフである。図3において、横軸は海水量(L/min)を示し、縦軸は二酸化硫黄除去率(%)を示す。
[0037]
 図3に示すように、スクラバ10に供給する海水量を増やし、スプレー装置12によって噴霧する海水量を多くするほど、二酸化硫黄(SO )の除去率は向上する。これは、噴霧する海水量が増大することにより液滴の表面積が増大して、排ガスと海水との接触面積が増大するためである。
[0038]
 図3に示す海水量と二酸化硫黄(SO )の除去率との関係により、スクラバ本体11の開口部11cから大気中へ排気される排ガスに含まれる二酸化硫黄(SO )の濃度(出口SO 濃度)が高い場合には、スプレー装置12によって噴霧される海水量を多くすることにより、出口SO 濃度を下げることができる。
[0039]
 続いて、スクラバ10のスプレー装置12に供給する海水量制御について説明する。図4は、本実施の形態に係る排ガス処理システムにおける海水量制御システムの構成を示すブロック図である。
[0040]
 図4に示すように、この海水量制御システムは、重油硫黄濃度設定器60と、最低海水量換算器61と、GPS62と、排出比率設定器63と、CO 分析計64と、SO 分析計65と、SO 濃度換算器66と、PIDコントローラ67と、海水量補正換算器68と、加算要素69と、ポンプ制御装置70と、を備えている。
[0041]
 このような海水量制御システムの構成と動作について説明する。
[0042]
 海水量制御システムは、最低海水量を算出する最低海水量換算器61と、補正海水量を算出する海水量補正換算器68と、これらを足し合わせた設定海水量をスクラバ10に供給するように海水ポンプユニット30(図1参照)を制御するポンプ制御装置70と、を含んで構成される。
[0043]
 最低海水量換算器61には、エンジン20の出力値と重油硫黄濃度設定器60の設定値が入力される。エンジン20の出力値は、船舶エンジンの出力(0%から100%)である。重油硫黄濃度設定器60の設定値は、船舶が使用する燃料油(重油)の硫黄分(0%から5%)である。
[0044]
 最低海水量換算器61には、あらかじめ運用するエンジン20の出力と重油消費量との関係データが入力されており、エンジン20の出力値が入力されると、これを重油消費量に換算する。そして、最低海水量換算器61は、重油消費量と、重油硫黄濃度設定器60の設定値である重油の硫黄分と、換算係数とを乗じて、最低海水量を算出する。なお、最低海水量とは、上記式(1)から(3)で示した、海水による二酸化硫黄(SO )の吸収反応に最低必要な海水量を指す。
[0045]
 GPS62は、船舶の現在位置を測定し、この位置に基づいた運行海域情報を排出比率設定器63に出力する。排出比率設定器63は、GPS62からの信号または手動で入力された運行海域情報に基づいて、当該海域における二酸化硫黄(SO )の排出比率をSO 濃度換算器66に出力する。
[0046]
 ここで、排出比率とは、燃料中の硫黄分によって決定される数値である。また、燃料中の硫黄分は、排ガス中の二酸化炭素(CO )および二酸化硫黄(SO )の排出比率を測定することにより確認される。
[0047]
 CO 分析計64は、スクラバ10から大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれるCO の濃度(出口CO 濃度)を測定する。CO 分析計64の出力値は、SO 濃度換算器66に入力される。SO 濃度換算器66は、出口CO 濃度(%)に排出比率を乗じて浄化すべきSO 濃度(ppm)を算出し、さらに安全率0.8を乗じて出口SO 濃度の設定値(SV)を算出する。この出口SO 濃度の設定値(SV)は、SO 濃度換算器66からPIDコントローラ67に出力される。
[0048]
 たとえば、燃料中の硫黄分が0.1%に規制されている海域において、定められた排出比率は4.3である。CO 分析計64が測定した出口CO 濃度が5%であった場合、SO 濃度は21.5ppm(=4.3×5)以下まで浄化すべきであり、この値に安全率0.8を乗じた17.2ppmが出口SO 濃度設定値となる。
[0049]
 SO 分析計65は、スクラバ10から大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれるSO の濃度(出口SO 濃度)を測定する。この出口SO 濃度の測定値(PV)は、SO 分析計65からPIDコントローラ67に出力される。
[0050]
 PIDコントローラ67は、SV値として入力された出口SO 濃度設定値とPV値として入力された出口SO 濃度測定値の偏差に基づきPID制御演算を行って操作量(MV)を算出し海水量補正換算器68に出力する。なお、PIDコントローラ67は、SV値、PV値およびMV値の入力または出力について、自動と手動とを切り替えて対応する機能を有している。これにより、故障またはメンテナンスなどにより、たとえばSO 分析計65から入力が得られない場合には、自動入力から手動入力に切り替えて対応することができる。
[0051]
 海水量補正換算器68は、PIDコントローラ67の出力である操作量(MV)を、最低海水量に比例した海水量補正値に設定して、補正海水量を算出する。たとえば、最低海水量換算器61で算出された最低海水量が100t/hであり、MV値が100%であり、比例定数が0.5である場合、海水量補正換算器68では補正海水量50t/hが算出される。なお、比例定数は、固定値ではなく最低海水量との関係で変動値として与えてもよい。
[0052]
 そして、加算要素69では、最低海水量換算器61で算出された最低海水量と、海水量補正換算器68で算出された補正海水量とを加算することにより、設定海水量が算出される。加算要素69で算出された設定海水量は、ポンプ制御装置70に入力される。ポンプ制御装置70は、海水ポンプユニット30を制御して、この設定海水量分の海水をスクラバ10へ供給する。
[0053]
 海水ポンプユニット30からスクラバ10へ供給される実海水量は、海水ポンプユニット30に流量計を設置することにより測定することができる。この場合、ポンプ制御装置70において測定した実海水量と設定海水量とを比較して、フィードバック制御を行ってもよい。ただし、海水ポンプユニット30からスクラバ10へ供給される実海水量が不足してスクラバ10における出口SO 濃度が高くなったとしても、海水量制御システムにおけるPIDコントローラ67により補正海水量が増加される方向にはたらく。
[0054]
 スクラバ10へ海水を供給するためのポンプは、単数であっても複数であってもよい。複数のポンプを備える場合には、設定海水量の増加に伴ってポンプの運転台数を増やし、設定海水量の減少に伴ってポンプの運転台数を減らすように、ポンプ制御装置70によって複数のポンプを制御するとよい。
[0055]
 図5は、複数のポンプを備える場合の、ポンプ運転台数と設定海水量との関係を示す図である。図5においては、スクラバ10へ海水を供給するための3台のポンプを備えており、実線はポンプの運転状態を示し、破線はポンプの停止状態を示す。図5に示すように、設定海水量が(F )から(F )の間はポンプが1台のみ運転しており、設定海水量が(F )を超えると2台目のポンプも運転を開始する。さらに、設定海水量が(F )を超えると3台目のポンプも運転を開始する。また、設定海水量が(F )よりも減少すると3台目のポンプは運転を停止し、設定海水量が(F )よりも減少すると2台目のポンプも運転を停止する。
[0056]
 なお、図5に示すように複数のポンプを制御する場合には、ポンプが頻繁に運転状態と停止状態とを繰り返すことを避けるために、海水量制御システムにおけるPIDコントローラ67は比例制御に限定し、積分制御を行わないようにすることが必要である。
[0057]
 また、図6,図7に示すように、複数のポンプをポンプ制御装置70におけるインバータで制御する構成としてもよい。この場合には、インバータによる制御をしない場合と比較して、きめ細かなポンプの制御を行うことができる。
[0058]
 図6は、ポンプ制御装置70がインバータを備える場合の構成を示すブロック図である。たとえば、スクラバ10へ海水を供給するための2台のポンプを備える場合、図6に示すように、ポンプ制御装置70は、ポンプ流量設定器70aと、第1のインバータ70bと、第2のインバータ70cと、を備える。ポンプ流量設定器70aは、ポンプ1台あたりに対する流量を設定する。第1のインバータ70bは第1のポンプ31を制御し、第2のインバータ70cは第2のポンプ32を制御する。
[0059]
 図7は、図6に示す構成による、ポンプ1台あたりの流量設定値と設定海水量との関係を示す図である。図7において、実線はポンプの運転状態を示し、破線はポンプの停止状態を示す。
[0060]
 図7に示すように、設定海水量(F )から(F )の間は第1のポンプ31のみが運転しており、設定海水量が(F )から(F )に増大するにしたがって、第1のポンプ31における流量設定値も増大していく。設定海水量が(F )を超えると、第2のポンプ32も運転を開始する。このとき、第2のポンプ32の運転に伴って、第1のポンプ31の流量設定値は減少する。設定海水量が(F )から(F )に増大するにしたがって、第1のポンプ31および第2のポンプ32における流量設定値も増大していく。
[0061]
 また、設定海水量が(F )から減少するにしたがって、第1のポンプ31および第2のポンプ32における流量設定値も減少していく。設定海水量が(F2)よりも減少すると、第2のポンプ32は運転を停止する。そして、第2のポンプ32の運転停止に伴って、第1のポンプ31の流量設定値は増加する。
[0062]
 図6,図7に示すようなインバータによる複数のポンプの制御は、設定海水量のとり得る値を広く設定する場合、すなわち、エンジン負荷変動の範囲や燃料油の硫黄分の範囲を広く設定する場合などに有効である。
[0063]
 なお、図4に示す各設定器、換算器およびPIDコントローラ67は、個々の機器の組み合わせで構成されていても、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)で構成されていてもよい。
[0064]
 このような海水量制御システムによれば、エンジン出力と使用する重油の硫黄分から、消費した重油に含まれる硫黄酸化物(特に、二酸化硫黄(SO ))の中和に必要なアルカリ成分を最低海水量として算出し、さらに、スクラバ10から大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれる硫黄酸化物濃度が排出規制値を超えないように補正海水量を算出して、これらを足し合わせた設定海水量をスクラバ10へ供給するように制御している。この構成により、スクラバ10に供給される海水量が過剰になることや不足することがなく、処理後の排ガス中の硫黄酸化物濃度が規制値を超えることのないよう、スクラバに適切な海水量を供給して安定した運転をすることが可能となる。
[0065]
 次に、以下、本発明の第2の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、その図示、説明を省略する。
[0066]
 図8は、第2の実施の形態に係るスクラバを中心とする排ガス処理システムを示す概略図である。図8に示すように、排ガス処理システムは、エンジン200から排ガスが供給されるスクラバ10と、スクラバ10に海水を供給する海水ポンプ300と、スクラバ10から排出された排水をろ過するろ過器ユニット400と、から主に構成される。スクラバ10は、洗浄に用いた海水を循環させた循環海水と、洗浄に用いていない新鮮海水とを供給可能に構成されている。
[0067]
 エンジン200から排出された排ガスは、スクラバ10に導入される。この排ガスには、二酸化硫黄(SO )が50~1500ppm含まれる。この排ガスがスクラバ10内を上昇する過程で、海水ポンプ300を介してスクラバ10に導入された海水を噴霧して、気液接触させる。
[0068]
 第1の実施の形態における式(1)~(3)に示すように反応が行われ、二酸化硫黄(SO )が除去された排ガスは、スクラバ10の上部から大気中へ排気される。
[0069]
 スクラバ10内に噴霧された海水は、スクラバ10の内壁面に沿って自重で落下し、スクラバ10下方の貯留部に貯留する。貯留した海水は、スクラバ10から排水された後、ろ過器ユニット400でろ過されて海洋へ排水される。
[0070]
 なお、船舶の運行海域によっては、規制により、スクラバ10に貯留した海水を海洋に排水できない場合がある。この場合には、スクラバ10の貯留部または別途設けたタンクに貯留した海水を、循環量制御バルブ310を介して再度海水ポンプ300に供給することにより、スクラバ10における排ガス処理に使用する。
[0071]
 循環量制御バルブ310は、全閉時には新鮮海水のみを海水ポンプ300に供給し、全開時には循環海水のみを海水ポンプ300に供給するように構成されている。循環量制御バルブ310のバルブ開度は、運行海域で許容される排水量に応じて設定される。なお、排水量は、あらかじめ得られているバルブ開度と海水ポンプ能力から算出してもよいし、新鮮海水の入り口に流量計を設置して測定してもよい。
[0072]
 エンジン200の排ガスは、200℃から400℃の高温であるため、循環海水は吸収した排ガスの熱により温度が上昇している。したがって、スクラバ10から循環量制御バルブ310を介して海水ポンプ300に供給された循環海水は、熱交換器320において冷却水によって冷却された後、再度スクラバ10に供給される。
[0073]
 また、循環海水は、スクラバ10において二酸化硫黄(SO )を吸収することにより海水中のアルカリ成分が消費されている。海水中のアルカリ成分が不足している場合には、海水による排ガス中の二酸化硫黄(SO )の吸収反応が阻害され、スクラバ10から大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれる二酸化硫黄(SO )濃度が排出規制値を超えるおそれがある。
[0074]
 そのため、スクラバ10から循環量制御バルブ310を介して海水ポンプ300に供給された循環海水は、アルカリポンプ340を介してアルカリタンク330からアルカリ剤が注入された後、再度スクラバ10に供給される。このときのアルカリ量制御については、詳細を後述する。なお、アルカリ剤としては、苛性ソーダ(NaOH)溶液を用いることができる。
[0075]
 スクラバ10の構成については、図2に示すスプレー装置12が海水ポンプ300に接続され、ガス供給装置13がエンジン200に接続される点を除き、第1の実施の形態のスクラバ10と同一の構成となるので、図示説明を省略する。
[0076]
 図3に示すように、スクラバ10に供給する海水量を増やし、スプレー装置12によって噴霧する海水量を多くするほど、二酸化硫黄(SO )の除去率は向上する。これは、噴霧する海水量が増大することにより液滴の表面積が増大して、排ガスと海水との接触面積が増大することに加え、海水に含まれるアルカリ成分の総量が増加するためである。
[0077]
 図3に示す海水量と二酸化硫黄(SO )の除去率との関係により、スクラバ本体11の開口部11cから大気中へ排気される排ガスに含まれる二酸化硫黄(SO )の濃度(出口SO 濃度)が高い場合には、スプレー装置12によって噴霧される海水量を多くすることにより、出口SO 濃度を下げることができる。
[0078]
 続いて、スクラバ10のスプレー装置12に供給する循環海水にアルカリ剤を注入する場合におけるアルカリ量制御について説明する。図9は、本実施の形態に係る排ガス処理システムにおけるアルカリ量制御システムの構成を示すブロック図である。
[0079]
 図9に示すように、このアルカリ量制御システムは、第1の実施の形態と同様となる重油硫黄濃度設定器60と、最低海水量換算器61と、GPS62と、排出比率設定器63と、CO 分析計64と、SO 分析計65と、SO 濃度換算器66と、PIDコントローラ67と、海水量補正換算器68と、加算要素69とに加え、加減算要素75と、アルカリ量演算器71と、アルカリポンプ制御装置72と、上下限リミッタ73と、海水ポンプ制御装置74と、を備えている。
[0080]
 このようなアルカリ量制御システムの構成と動作について説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は同様の構成、動作については説明を省略又は簡略とする。
[0081]
 アルカリ制御システムは、最低海水量を算出する最低海水量換算器61と、補正海水量を算出する海水量補正換算器68と、これらを足し合わせた設定海水量と新鮮海水量との差分の海水量に基づいて循環海水に対するアルカリ注入量を算出するアルカリ量演算器71と、を含んで構成される。
[0082]
 そして、加算要素69において、最低海水量換算器61で算出された最低海水量と、海水量補正換算器68で算出された補正海水量とを加算することにより、設定海水量が算出される。次に、加減算要素75において、設定海水量から新鮮海水量を減算した差分の海水量が算出される。加減算要素75で算出された海水量は、アルカリ量演算器71に入力される。
[0083]
 アルカリ量演算器71は、加減算要素75で算出された海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分量を算出するとともに、このアルカリ成分量に相当するアルカリ注入量を算出する。海水のアルカリ度は、CaCO 換算で105(ppm)、すなわち105(mg/L)であるため、たとえば海水量が100(t/h)である場合には、この海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分は、105(g/m )×100(m /h)=10500(g/h)=10.5(kg/h)と算出される。これをNaOHに換算すると、8.4(kg/h)となるため、アルカリ剤として25(%)、比重1.27の苛性ソーダ溶液を用いる場合のアルカリ注入量は、8.4/0.25/1.27≒26.5(L/h)と算出される。
[0084]
 アルカリ量演算器71は、算出したアルカリ注入量をアルカリポンプ制御装置72に出力する。アルカリポンプ制御装置72は、アルカリポンプ340を制御して、このアルカリ注入量分のアルカリ剤をスクラバ10に供給される循環海水に注入する。
[0085]
 また、加算要素69において算出された設定海水量は、上下限リミッタ73に入力される。上下限リミッタ73は、海水ポンプ300を介してスクラバ10に供給する海水量の上下限リミッタ値を定めており、入力された設定海水量が上限リミッタ値を超えている場合には、この上限リミッタ値をスクラバ10に供給する海水量として出力する。同様に、上下限リミッタ73は、入力された設定海水量が下限リミッタ値を超えている場合には、この下限リミッタ値をスクラバ10に供給する海水量として出力する。すなわち、上下限リミッタ73は、スクラバ10に供給する海水量を上下限値の範囲内に規制する。
[0086]
 本発明においては、排ガス中の二酸化硫黄(SO )の吸収除去に用いるアルカリ成分は、海水中のアルカリ成分のみに依存せず、別途アルカリ剤を注入できるため、スクラバ10に供給する海水量は、アルカリ成分を補償する量ではなく、排ガスと海水との接触によって排ガス中の二酸化硫黄(SO )を吸収除去できる量を確保すればよい。したがって、設定海水量が、排ガスと海水との接触によって排ガス中の二酸化硫黄(SO )を吸収除去できる海水量を超えている場合には、この海水量を上限リミッタ値として、スクラバ10に供給する海水量として設定する。
[0087]
 スクラバ10に供給するアルカリ量は処理する二酸化硫黄(SO )量に見合った量を注入する必要があり、アルカリ量が不足すると排ガス中の二酸化硫黄(SO )濃度が規制値を超えて問題となる。したがって、上下限リミッタ73によって、スクラバ10に供給する海水量の上限リミッタ値および下限リミッタ値を定めることにより、海水ポンプ300の動力を削減しつつ、加算要素69において算出された設定海水量と新鮮海水量との差に比例してアルカリ量を供給するので、スクラバ10に適切なアルカリ量を供給することができ、安定した運転をすることが可能となる。
[0088]
 上下限リミッタ73によって設定された海水量は、海水ポンプ制御装置74に入力される。海水ポンプ制御装置74は、海水ポンプ300を制御して、この海水量分の海水をスクラバ10へ供給する。
[0089]
 海水ポンプ300からスクラバ10へ供給される実海水量は、海水ポンプ300に流量計を設置することにより測定することができる。この場合、海水ポンプ制御装置74において測定した実海水量と設定海水量とを比較して、フィードバック制御を行ってもよい。ただし、海水ポンプ300からスクラバ10へ供給されるアルカリ量が不足してスクラバ10における出口SO 濃度が高くなったとしても、アルカリ量制御システムにおけるPIDコントローラ67により補正海水量が増加される方向にはたらくため、アルカリ注入量は増加する。
[0090]
 スクラバ10へ海水を供給するためのポンプは、単数であっても複数であってもよい。複数のポンプを備える場合には、設定海水量の増加に伴ってポンプの運転台数を増やし、設定海水量の減少に伴ってポンプの運転台数を減らすように、海水ポンプ制御装置74によって複数のポンプを制御するとよい(図5参照)。
[0091]
 なお、図5に示すように複数のポンプを制御する場合には、ポンプが頻繁に運転状態と停止状態とを繰り返すことを避けるために、アルカリ量制御システムにおけるPIDコントローラ67は比例制御に限定し、積分制御を行わないようにすることが必要である。
[0092]
 また、図10,図11に示すように、複数のポンプを海水ポンプ制御装置74におけるインバータで制御する構成としてもよい。この場合には、インバータによる制御をしない場合と比較して、きめ細かなポンプの制御を行うことができる。
[0093]
 図10は、海水ポンプ制御装置74がインバータを備える場合の構成を示すブロック図である。たとえば、スクラバ10へ海水を供給するための2台のポンプを備える場合、図10に示すように、海水ポンプ制御装置74は、ポンプ流量設定器74aと、第1のインバータ74bと、第2のインバータ74cと、を備える。ポンプ流量設定器74aは、ポンプ1台あたりに対する流量を設定する。第1のインバータ74bは第1のポンプ300aを制御し、第2のインバータ74cは第2のポンプ300bを制御する。
[0094]
 図11は、図10に示す構成による、ポンプ1台あたりの流量設定値と設定海水量との関係を示す図である。図11において、実線はポンプの運転状態を示し、破線はポンプの停止状態を示す。
[0095]
 図11に示すように、設定海水量(F )から(F )の間は第1のポンプ300aのみが運転しており、設定海水量が(F )から(F )に増大するにしたがって、第1のポンプ300aにおける流量設定値も増大していく。設定海水量が(F )を超えると、第2のポンプ300bも運転を開始する。このとき、第2のポンプ300bの運転に伴って、第1のポンプ300aの流量設定値は減少する。設定海水量が(F )から(F )に増大するにしたがって、第1のポンプ300aおよび第2のポンプ300bにおける流量設定値も増大していく。
[0096]
 また、設定海水量が(F )から減少するにしたがって、第1のポンプ300aおよび第2のポンプ300bにおける流量設定値も減少していく。設定海水量が(F2)よりも減少すると、第2のポンプ300bは運転を停止する。そして、第2のポンプ300bの運転停止に伴って、第1のポンプ300aの流量設定値は増加する。
[0097]
 図10,図11に示すようなインバータによる複数のポンプの制御は、設定海水量のとり得る値を広く設定する場合、すなわち、エンジン負荷変動の範囲や燃料油の硫黄分の範囲を広く設定する場合などに有効である。
[0098]
 以上説明したように、第2の実施の形態に係るアルカリ量制御システムによれば、エンジン出力と使用する重油の硫黄分から、消費した重油に含まれる硫黄酸化物(特に、二酸化硫黄(SO ))の中和に必要なアルカリ成分を最低海水量として算出し、さらに、スクラバ10から大気中へ排気される処理済み排ガスに含まれる硫黄酸化物濃度が排出規制値を超えないように補正海水量を算出して、これらを足し合わせた設定海水量に基づいて海水に注入するアルカリ注入量を算出している。この構成により、海水のpHを測定することなく、すなわち、pHメータを使用することなく、スクラバに供給する海水のアルカリ制御を行うことができるため、安定した信頼性の高い硫黄酸化物の除去率を得ることが可能となる。
[0099]
 また、第2の実施の形態に係るアルカリ量制御システムによれば、排ガス中の二酸化硫黄(SO )濃度が規制値内であることを、排ガス中の二酸化炭素(CO )および二酸化硫黄(SO )の濃度をそれぞれCO 分析計64、SO 分析計65で測定することにより制御している。これらの分析計によれば、pHメータより安定した測定結果が得られるため、これらの分析計の測定結果に基づいて海水に注入するアルカリ量を算出することにより、安定した信頼性の高い硫黄酸化物の除去率を得ることが可能となる。
[0100]
 なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
[0101]
 本出願は、2013年1月29日出願の特願2013-014316及び2013年1月29日出願の特願2013-014317に基づく。この内容は、全てここに含めておく。

請求の範囲

[請求項1]
 排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水量を制御するスクラバの海水量制御装置であって、
 エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する最低海水量換算器と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する海水量補正換算器と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する加算要素と、前記設定海水量分の海水を前記スクラバに供給するように制御するポンプ制御装置と、を備えることを特徴とするスクラバの海水量制御装置。
[請求項2]
 前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物の濃度と運用海域の排出比率から、前記設定値を算出する換算器を備えることを特徴とする請求項1に記載のスクラバの海水量制御装置。
[請求項3]
 前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物の濃度と前記設定値との偏差をPID演算して、前記海水量補正換算器に操作量を与えるPIDコントローラを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクラバの海水量制御装置。
[請求項4]
 前記ポンプ制御装置は、複数のインバータと、前記設定海水量に応じて前記複数のインバータによるポンプの運転の開始及び停止、ポンプの流量を変化させるポンプ流量設定器とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクラバの海水量制御装置。
[請求項5]
 排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水量を制御するスクラバの海水量制御方法であって、
 エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する工程と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する工程と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する工程と、前記設定海水量分の海水を前記スクラバに供給するように制御する工程と、を備えることを特徴とするスクラバの海水量制御方法。
[請求項6]
 排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水に注入するアルカリ量を制御するアルカリ量制御装置であって、
 エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する最低海水量換算器と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する海水量補正換算器と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する加算要素と、前記設定海水量分の海水を前記スクラバに供給するように制御するポンプ制御装置と、前記設定海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分量からアルカリ注入量を算出するアルカリ量演算器と、前記アルカリ注入量に対応するアルカリ剤を前記スクラバに供給する海水に注入するように制御するアルカリポンプ制御装置と、を備えることを特徴とするアルカリ量制御装置。
[請求項7]
 前記スクラバは、洗浄に用いた海水を循環させた循環海水と、洗浄に用いていない新鮮海水とを供給可能に構成されており、
 前記設定海水量から新鮮海水量を減算した差分の海水量を算出する加減算要素を備え、前記アルカリ量演算器は、前記差分の海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分量からアルカリ注入量を算出することを特徴とする請求項6に記載のアルカリ量制御装置。
[請求項8]
 前記スクラバに供給する海水量を上下限値の範囲内に規制する上下限リミッタを備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアルカリ量制御装置。
[請求項9]
 前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物の濃度と運用海域の排出比率から、前記設定値を算出する換算器を備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアルカリ量制御装置。
[請求項10]
 前記ポンプ制御装置は、複数のインバータと、前記設定海水量に応じて前記複数のインバータによるポンプの運転の開始及び停止、ポンプの流量を変化させるポンプ流量設定器とを有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアルカリ量制御装置。
[請求項11]
 排ガス中に含まれる硫黄酸化物を海水と接触させて洗浄するスクラバに供給する海水に注入するアルカリ量を制御するアルカリ量制御方法であって、
 エンジン出力と燃料油の硫黄分から、海水による硫黄酸化物の吸収反応に最低必要な海水量である最低海水量を算出する工程と、前記スクラバから大気中へ排気される排ガスに含まれる硫黄酸化物が設定値以下となる海水量である補正海水量を算出する工程と、前記最低海水量と前記補正海水量とを加算して設定海水量を算出する工程と、前記設定海水量分の海水中に含まれるアルカリ成分量からアルカリ注入量を算出する工程と、前記アルカリ注入量に対応するアルカリ剤を前記スクラバに供給する循環海水に注入するように制御する工程と、を備えることを特徴とするアルカリ量制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]