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1. WO2021075212 - 術具

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明 細 書

発明の名称 術具 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025  

発明の効果

0026  

図面の簡単な説明

0027  

符号の説明

0028  

発明を実施するための形態

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 術具

関連出願の相互参照

[0001]
 本国際出願は、2019年10月17日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2019-190340号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2019-190340号の全内容を本国際出願に参照により援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、医療用ロボットに用いられる術具に関する。

背景技術

[0003]
 近年、術者の負担軽減や、医療施設の省人化を図るためにロボットを利用した医療処置の提案がされている。外科分野では、術者が遠隔操作可能な多自由度アームを有する多自由度マニピュレータによって患者の処置を行う医療用ロボットに関する提案が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
[0004]
 特許文献1に記載されている技術では、処置に用いられる術具を医療用ロボットに対して着脱可能とする構成が開示されている。また、医療用ロボットから術具に対して直動方向の駆動力が伝達され、駆動力は術具の内部に配置されたワイヤやロッドなどの伝達部材を介して術具の端部に配置された把持部等の処置部に伝達される構成が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2018-191881号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 近年における患者に対する処置では、患者に対する侵襲の度合いを小さくする低侵襲化や、整容性の向上が要望される傾向にある。これらの要望に対応するために、マスタースレーブ型の医療用ロボットでは、術具の更なる小型化や細径化が望まれている。
[0007]
 その一方で、医療用ロボットを操作する術者が、医療用ロボットの操作方法を学習して取得する時間の短縮や、術具を意図した通りに安定して滑らかに動かせることも要望されている。
[0008]
 例えば、術具を駆動するアクチュエータの位置や駆動力などの情報に基づいて、術具に働く外力の大きさや向き等の推定精度を高め、推定した外力を隔離された場所で操作する術者に伝えることが要望されている。なお、外力の推定精度は、外力を検知する際のS/N比や、処置部における動作量を測定する際の分解能に依存している。なお、ここでいう、S/N比は、信号対雑音比とも呼ばれる。
[0009]
 ここで、術具における把持部等の処置部の大きさが変化すると、医療用ロボットから術具に伝達される駆動力のストローク長さが同じであっても、処置部における動作量が変化する。また、駆動力の大きさが同じであっても、処置部において発生する力の大きさも変化する。
[0010]
 そのため、医療用ロボットに装着される術具の大きさ、例えば把持部等の処置部の大きさが変わると、上述のS/N比や分解能も変化することとなり外力の推定精度に影響が出ることになる。言い換えると、術具を意図した通りに安定して滑らかに動作させることが難しくなり、外力の推定精度の悪化を抑制することが難しくなるという課題が見出された。
[0011]
 本開示の一局面は、術具の大きさの変化に伴う操作性および外力の推定精度の悪化を抑制することができる術具を提供することが好ましい。

課題を解決するための手段

[0012]
 本開示の一態様である術具は、外部から直動方向に移動する駆動力が伝達されることにより移動する従動部と、医療処置を行う処置部に前記直動方向に移動する前記駆動力を伝達する動力伝達部と、前記従動部における前記直動方向への移動量を変換して前記動力伝達部へ伝達する変換部と、前記従動部および前記変換部を内部に収納するとともに前記処置部を支持する本体と、が設けられている。
[0013]
 このような構成によれば、変換部を設けることにより、従動部における駆動力の直動方向への移動量の大きさを変換して動力伝達部へ伝達することができる。例えば、処置部などの大きさに応じて、変換部による変換の比率を設定することができる。具体的には、処置部の大きさが比較的小さな場合には、駆動力の移動量を小さくする変換比率に設定し、処置部の大きさが比較的大きな場合には、駆動力の移動量を大きくする変換比率に設定する。
[0014]
 このため、処置部などの大きさが変化した場合であっても、外部から従動部に伝達する移動量と、処置部における動作量との関係を保ち易くなる。また、処置部などの大きさの変化によるS/N比の変動や分解能の変動を抑制でき、処置部における動作のスムーズな制御や、処置部に加わる外力の推定精度の悪化を抑制することができる。
[0015]
 その結果として、本開示の一局面である術具を用いたロボット手術における安全性を確保しやすくなり、合併症の抑制を図りやすくなる。また、患者のQOLの向上を図りやすくなり、医師の術中の負担軽減を図りやすくなる。なお、ここでいうQOLとは、Quality of lifeの略称である。さらに、本開示の一局面である術具を用いたロボット手術におけるラーニングカーブの向上を図りやすくなる。
[0016]
 また、本開示の別の一態様において、前記動力伝達部および前記変換部の間に配置され、前記変換部から伝達された駆動力を前記動力伝達部に伝達する接続部が設けられている構成が好ましい。
[0017]
 このように接続部を設けることにより、動力伝達部に直接駆動力を伝える場合と比較して、変換部から動力伝達部に駆動力を伝えやすくなる。また、直動方向への移動量の変換を所定の変換量に設定しやすくなる。
[0018]
 上記構成において前記変換部は長尺形状に形成され、前記長尺形状における第1の端部は前記従動部と回動可能に支持され、第2の端部は前記変換部を支持する支持部と回動可能に支持され、前記接続部は、前記変換部における前記第1の端部および前記第2の端部の間に回動可能に支持されていることが好ましい。
[0019]
 変換部の形状を上述のようにすることにより、直動方向への移動量を所定の変換率で小さくする設定を行いやすくなる。つまり、従動部と回動可能に支持される位置から接続部が回動可能に支持される位置までの距離と、支持部と回動可能に支持される位置から接続部が回動可能に支持される位置までの距離との比率を変えることにより、直動方向への移動量の変換率を変えることができる。
[0020]
 上記構成において前記変換部は長尺形状に形成され、前記長尺形状における第1の端部は前記従動部と回動可能に支持され、第2の端部は前記接続部と回動可能に支持され、前記変換部における前記第1の端部および前記第2の端部の間は、前記変換部を支持する支持部と回動可能に支持されていることが好ましい。
[0021]
 変換部の形状を上述のようにすることにより、直動方向への移動量を所定の変換率で小さくする設定や、大きくする設定を行いやすくなる。つまり、従動部と回動可能に支持される位置から支持部と回動可能に支持される位置までの距離と、接続部と回動可能に支持される位置から支持部と回動可能に支持される位置までの距離との比率を変えることにより、直動方向への移動量の変換率を変えることができる。
[0022]
 上記構成において前記変換部における前記従動部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第1距離は、前記接続部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第2距離よりも長いことが好ましい。
[0023]
 このように変換部における第1距離を第2距離よりも長くすることにより、従動部における直動方向への移動量を小さく変換して動力伝達部へ伝達することができる。さらに、駆動力は力の大きさが大きく変換されて動力伝達部へ伝達される。
[0024]
 上記構成において前記変換部における前記従動部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第1距離は、前記接続部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第2距離よりも短いことが好ましい。
[0025]
 このように変換部における第1距離を第2距離よりも短くすることにより、従動部における直動方向への移動量を大きく変換して動力伝達部へ伝達することができる。さらに、駆動力は力の大きさが小さく変換されて動力伝達部へ伝達される。

発明の効果

[0026]
 本開示の術具によれば、変換部を設けることにより、従動部における駆動力の直動方向への移動量の大きさは変換されて動力伝達部へ伝達されるため、術具の大きさの変化に伴う操作性および外力の推定精度の悪化を抑制することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0027]
[図1] 本開示の第1の実施形態に係る術具の全体構成を説明する図である。
[図2] 図1の術具の本体における着脱面の構成を説明する図である。
[図3] 従動部、接続部、変換部および動力伝達部の構成を説明する図である。
[図4] 図3の従動部、接続部、変換部および動力伝達部の構成を説明する斜視図である。
[図5] 図3の接続部の構成を説明する図である。
[図6] 図3の従動部、接続部、変換部および動力伝達部による駆動力の伝達を説明する図である。
[図7] 図3の従動部、接続部、変換部および動力伝達部による駆動力の伝達を説明する他の図である。
[図8] 本開示の第2の実施形態に係る術具の従動部、接続部、変換部および動力伝達部の構成を説明する図である。
[図9] 図8の接続部の構成を説明する図である。

符号の説明

[0028]
 1,101…術具、10…本体、21,121…従動部、31,131…変換部、51…動力伝達部、70…鉗子(処置部)、D21…第1距離、D22…第2距離

発明を実施するための形態

[0029]
 〔第1の実施形態〕
 以下、本開示の第1の実施形態に係る術具1について、図1から図7を参照しながら説明する。本実施形態の術具1は、マスタースレーブ型の手術ロボットに用いられる。本実施形態では、本体10から延びるシャフト60の先端に設けられるエンドエフェクタが、鉗子70である。
[0030]
 術具1には、図1および図2に示すように、内部に収納空間を有する本体10と、本体10から棒状に延びるシャフト60と、シャフト60における本体10と反対側の端部に配置された鉗子70と、が設けられている。なお、鉗子70が、処置部としての構成の一例に相当する。
[0031]
 なお、本実施形態では説明を容易にするために、シャフト60における軸線Lの方向をZ軸とし、本体10から鉗子70へ向かう方向をZ軸の正方向として説明する。また、Z軸と直交する方向であって図1の紙面と並行な方向をX軸とし、Z軸の正方向を向いた右方向をX軸の正方向として説明する。X軸およびZ軸に直交する方向をY軸とし、図1の紙面から手前に向かう方向をY軸の正方向として説明する。
[0032]
 本体10は、術具1におけるマスタースレーブ型の手術ロボットに着脱される部分であり、シャフト60を支持するものでもある。本体10における手術ロボットに着脱される面である着脱面11には、図2に示すように、Z軸方向に延びる長孔である従動溝12が設けられている。本実施形態では、Y軸の負方向側の面が着脱面11である。
[0033]
 従動溝12には、後述する従動部21が本体10に対してZ軸方向に相対的に直動可能に配置されている。本実施形態では3つの従動溝12が、X軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。なお、従動溝12におけるZ軸方向の長さは、3つとも同じであってもよいし、2つが同じで1つが異なっていてもよいし、全てが異なっていてもよい。さらに、本体10に設けられる従動溝12の数は3つよりも多くてもよいし、少なくてもよい。
[0034]
 本体10の内部には、図3および図4に示すように、鉗子70などを動かす駆動力の伝達に用いられる従動部21と、変換部31と、接続部41と、動力伝達部51とを備える。
[0035]
 従動部21は、手術ロボットから鉗子70などを動かす駆動力が伝達される。図2に示すように、従動部21は、手術ロボットから伝達される駆動力に従って、従動溝12の内部をZ軸方向に直動可能に配置されている(参照。)。
[0036]
 従動部21には、突出部22と、従動孔部23と、ガイド部25と、スライド誘導部27とが備えられる。
[0037]
 突出部22は、従動部21からY軸の負方向へ突出する柱状の部分であり、従動部21が従動溝12に配置された際に、着脱面11よりもY軸の負方向に突出する部分である。突出部22は、手術ロボットにおける駆動力を伝達する部品に設けられた凹みと係合され、この係合によりZ軸方向に直動する駆動力が伝達される。
[0038]
 従動孔部23は、図3に示すように、変換部31と回動可能に接続される。従動孔部23は、変換部31の従動軸部32が挿通されるX軸方向に延びる貫通孔である。従動孔部23の断面、言い換えると、X軸と直交する面で切断した断面は、Y軸方向に延びる長軸を有する長円形状を有している。また、従動部21における従動孔部23の周囲には、変換部31の回動を許容する切欠き部24が形成されてもよい。
[0039]
 ガイド部25は、図3および図4に示すように、動力伝達部51が挿通される貫通孔26を有する部分である。貫通孔26と動力伝達部51との間には隙間が形成され、従動部21と動力伝達部51とが、Z軸方向に相対移動可能とされている。本実施形態では、従動部21におけるZ軸の正方向の端部および負方向の端部に、Y軸の正方向へ突出してガイド部25が設けられている。
[0040]
 スライド誘導部27は、従動部21からX軸の正方向および負方向に突出するとともに、Z軸方向に延びる畝状の形状を有する。スライド誘導部27は、従動溝12に設けられたZ軸方向に延びる溝または段差形状と係合し、従動部21が、従動溝12に沿って移動するように誘導する。
[0041]
 変換部31は、従動部21に伝達された駆動力を接続部41に伝達するリンク機構、または、てこ機構を構成する。本実施形態の変換部31を含むリンク機構、または、てこ機構は、従動部21におけるZ軸方向である直動方向の移動量を縮小して接続部41に伝達すると共に、従動部21における駆動力の大きさを増大させて接続部41に伝達する
[0042]
 変換部31は、少なくともY軸方向に延びる長尺状に形成された部材である。変換部31におけるY軸の負方向側の端部、言い換えると従動部21側の端部には、X軸方向に延びる円柱状の従動軸部32が設けられている。変換部31におけるY軸の正方向側の端部には、変換部31を支持するX軸方向に延びる円柱状の支持軸部33が設けられている。変換部31における従動軸部32および支持軸部33の間には、X軸方向に延びる円柱状の接続軸部34が設けられている。
[0043]
 変換部31における従動部21側の端部は、X軸方向に間隔をあけてY軸の負方向へ延びる二股形状を有している。この二股に分かれた端部の間には、従動部21における従動孔部23および切欠き部24が設けられた部分が配置されている。変換部31における接続軸部34が設けられている領域には、接続部41の一部が配置される部分であってZ軸の負方向に開口する凹部が設けられている。
[0044]
 図5に示すように、変換部31における支持軸部33の中心から、接続軸部34の中心までの距離は第1距離D11である。また、変換部31における従動軸部32の中心から、接続軸部34の中心までの距離は第2距離D12である。
[0045]
 支持軸部33は、図4に示すように、変換部31よりもX軸の正方向および負方向に突出して配置される。支持軸部33は、図3に示すように、本体10に含まれる支持部15の支持溝16に配置されている。支持溝16は、Y軸の負方向に開口を有し、X軸方向に延びる溝である。
[0046]
 接続部41は、図3および図4に示すように、変換部31から伝達された駆動力を動力伝達部51に伝達する。また、接続部41には、第1接続部42と、第2接続部43と、固定部44とが備えられる。
[0047]
 第1接続部42および第2接続部43は、両者の間に動力伝達部51を挟んで固定するものでもある。固定部44は、第1接続部42および第2接続部43を一体化する部材であり、本実施形態ではネジである。なお、固定部44は、上述のようにネジであってもよいし、他の固定に用いられる構造を有してもよい。
[0048]
 第1接続部42には、変換部31の接続軸部34が設けられている領域に設けられた凹部に差し込まれる凸部45が設けられている。凸部45には、X軸方向に延びる貫通孔である接続孔部46が設けられている。接続孔部46には、変換部31の接続軸部34が回動可能に挿入されている。
[0049]
 動力伝達部51は、接続部41から伝達された駆動力を鉗子70に伝達する。動力伝達部51は、本体10の内部から、シャフト60の内部を通って鉗子70まで延びて配置されている。
[0050]
 本実施形態では、動力伝達部51が索状体であるワイヤである。なお、動力伝達部51は、全体がワイヤで形成されたものであってもよいし、一部が円柱状または円筒状に形成されたロッドおよびワイヤを組み合わせたもの等であってもよく、その具体的な構成を限定するものではない。
[0051]
 シャフト60は、図1に示すように、本体10からZ軸方向に延びて配置される筒状に形成された部材である。シャフト60におけるZ軸の正方向の端部には鉗子70が配置されている。また、シャフト60における鉗子70の近傍には、関節部61が設けられている。
[0052]
 関節部61は、鉗子70の向きを変更可能とする構成であり、X軸方向を回動軸線、および、Y軸方向を回動軸線とした回動が可能な構成を有している。関節部61は、例えば、動力伝達部51により伝達される駆動力により回動される構成を有している。なお、関節部61における構成は、特に限定されるものではない。
[0053]
 鉗子70は、シャフト60におけるZ軸の正方向の端部に配置される。鉗子70は、動力伝達部51により伝達される駆動力により開閉される構成を有している。鉗子70における開閉を行う構成は、特に限定されるものではない。
[0054]
 次に、上記の構成を備える術具1における動作について図6及び図7を参照しながら説明する。まず、従動部21がZ軸の正方向へ移動した場合の動作を、図6を参照しながら説明し、次にZ軸の負方向へ移動した場合の動作を、図7を参照しながら説明する。
[0055]
 図6に示すように、従動部21が手術ロボットから伝達された駆動力によってZ軸の正方向に直動されると、従動部21の動きが変換部31に伝達される。具体的には、変換部31は、支持軸部33を中心として従動部21側の端部が、Z軸の正方向へ移動するように回動する。回動により変換部31の従動軸部32がY軸の正方向へ移動する移動量は、従動部21の従動孔部23により吸収される。
[0056]
 変換部31が回動すると、変換部31の動きが接続部41および動力伝達部51に伝達される。具体的には、変換部31の回動が、変換部31の接続軸部34および接続部41の接続孔部46を介して、接続部41および動力伝達部51のZ軸の正方向への移動に変換されて伝達される。
[0057]
 このとき、接続部41および動力伝達部51のZ軸の正方向への移動量は、従動部21のZ軸の正方向への移動量にD11を乗じた値をD11+D12で割った値に減少する。また、接続部41および動力伝達部51におけるZ軸の正方向に働く駆動力の大きさは、従動部21のZ軸の正方向に働く駆動力の大きさにD11+D12を乗じた値をD11で割った値に増大する。
[0058]
 図7に示すように、従動部21が手術ロボットから伝達された駆動力によってZ軸の負方向に直動されると、変換部31は、支持軸部33を中心として従動部21側の端部が、Z軸の負方向へ移動するように回動する。変換部31の回動は、変換部31の接続軸部34および接続部41の接続孔部46を介して、接続部41および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動に変換されて伝達される。
[0059]
 この時の接続部41および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動量、および、負方向に働く駆動力の大きさの変化は、図6に示す場合と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
[0060]
 上記の構成の術具1によれば、変換部31を設けることにより、従動部21における直動方向への移動量の大きさを変換して動力伝達部51へ伝達することができる。例えば、鉗子70などの大きさに応じて、変換部31による変換の比率を設定することができる。具体的には、鉗子70の大きさが小さくなる程度に応じて、従動部21から動力伝達部51へ伝達される移動量を小さくする変換比率に設定する。
[0061]
 このため、鉗子70などの大きさが変化した場合であっても、手術ロボットから従動部21に伝達する移動量と、鉗子70における動作量との関係を保ち易くなる。また、鉗子70に加わる外力を検出するセンサや、鉗子70の駆動量を検出するエンコーダなどのセンサが手術ロボットに設けられている場合には、鉗子70などの大きさの変化によるS/N比の変動や分解能の変動を抑制でき、鉗子70における動作のスムーズな制御や、鉗子70に加わる外力の推定精度の悪化を抑制することができる。
[0062]
 その結果として、本実施形態の術具1を用いたロボット手術における安全性を確保しやすくなり、合併症の抑制を図りやすくなる。また、患者のQOL(Quality of
 life)の向上を図りやすくなり、医師の術中の負担軽減を図りやすくなる。さらに、本実施形態の術具1を用いたロボット手術におけるラーニングカーブの向上を図りやすくなる。
[0063]
 接続部41を設けることにより、変換部31から動力伝達部51に直接駆動力を伝える場合と比較して、動力伝達部51に駆動力を伝えやすくなる。また、直動方向への移動量の変換を所定の変換量に設定しやすくなる。
[0064]
 変換部31の形状を本実施形態のようにすることにより、直動方向への移動量を所定の変換率で小さくする設定を行いやすくなる。つまり、支持部15と回動可能に支持される位置から接続部41が回動可能に支持される位置までの第1距離D11と、従動部21と回動可能に支持される位置から接続部41が回動可能に支持される位置までの第2距離D12と、の比率を変えることにより、直動方向への移動量の変換率を変えることができる。
[0065]
 〔第2の実施形態〕
 次に、本開示の第2の実施形態に係る術具ついて図8および図9を参照して説明する。本実施形態の術具の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、変換部およびその周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図8および図9を用いて変換部およびその周辺の構成について説明し、その他の構成等の説明を省略する。
[0066]
 本実施形態の術具101の本体10には、図8に示すように、従動部121と、変換部131と、接続部141と、動力伝達部51とが備えられている。本実施形態では、変換部131におけるY軸の正方向端部に接続部141が配置されている点が第1の実施形態と異なっている。
[0067]
 従動部121には、突出部22と、従動孔部23と、スライド誘導部27とが備えられている。また、従動部121には、切欠き部24が形成されている。なお、本実施形態では、従動部121にガイド部25が設けられていない。しかし、従動部121には、ガイド部25が設けられていない構成に限定されるものではなく、従動部121には、ガイド部25が設けられてもよい。
[0068]
 変換部131は、従動部121に伝達された駆動力を接続部141に伝達するリンク機構、または、てこ機構を構成する。本実施形態の変換部131を含むリンク機構、または、てこ機構は、従動部121におけるZ軸方向である直動方向の移動量を縮小または拡大して接続部141に伝達すると共に、従動部121における駆動力の大きさを増大または減少させて接続部141に伝達する。
[0069]
 変換部131は、少なくともY軸方向に延びる長尺状に形成された部材である。変換部131におけるY軸の負方向側の端部、言い換えると従動部121側の端部には、X軸方向に延びる円柱状の従動軸部32が設けられている。変換部131におけるY軸の正方向側の端部には、X軸方向に延びる円柱状の接続軸部34が設けられている。
[0070]
 変換部131における従動軸部32および接続軸部34の間には、変換部131を支持するX軸方向に延びる円柱状の支持軸部133が設けられている。支持軸部133は、本体10の支持部15に対して回動可能に保持される。
[0071]
 図9に示すように、変換部131における従動軸部32の中心から、支持軸部133の中心までの距離は第1距離D21である。また、変換部131における支持軸部133の中心から、接続軸部134の中心までの距離は第2距離D22である。
[0072]
 接続部141は、図8に示すように、変換部131から伝達された駆動力を動力伝達部51に伝達する。接続部141は、第1の実施形態の接続部41と対比して、変換部131の接続軸部34と回動可能に接続されている点のみが異なり、構成は同一であるため詳細な説明は省略する。
[0073]
 次に、上記の構成を備える術具101における動作について図8を参照しながら説明する。
[0074]
 従動部121が手術ロボットから伝達された駆動力によってZ軸の正方向に直動されると、従動部121の動きが変換部131に伝達される。具体的には、変換部131は、支持軸部133を中心として従動部121側の端部がZ軸の正方向へ移動するように回動する。
[0075]
 変換部131が回動すると、変換部131の動きが接続部141および動力伝達部51に伝達される。具体的には、変換部131の回動が、接続部141および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動に変換されて伝達される。
[0076]
 このとき、接続部141および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動量の絶対値は、従動部121のZ軸の正方向への移動量の絶対値にD22を乗じた値をD21で割った値となる。また、接続部41および動力伝達部51におけるZ軸の正方向に働く駆動力の大きさは、従動部21のZ軸の正方向に働く駆動力の大きさにD21を乗じた値をD22で割った値となる。
[0077]
 ここで、第1距離D21>第2距離D22の場合には、接続部141および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動量の絶対値は、従動部121のZ軸の正方向への移動量の絶対値よりも小さくなる。接続部41および動力伝達部51におけるZ軸の正方向に働く駆動力の大きさは、従動部21のZ軸の正方向に働く駆動力の大きさよりも大きくなる。
[0078]
 第1距離D21<第2距離D22の場合には、接続部141および動力伝達部51のZ軸の負方向への移動量の絶対値は、従動部121のZ軸の正方向への移動量の絶対値よりも大きくなる。接続部41および動力伝達部51におけるZ軸の正方向に働く駆動力の大きさは、従動部21のZ軸の正方向に働く駆動力の大きさよりも小さくなる。
[0079]
 従動部121が手術ロボットから伝達された駆動力によってZ軸の負方向に直動された場合の変換部131、接続部141および動力伝達部51の動きは、上述した動きと逆方向となるため、その詳細な説明を省略する。また、接続部141および動力伝達部51のZ軸方向への移動量、および、駆動力の大きさの変化も同様であるため、その詳細な説明を省略する。
[0080]
 上記の構成によれば、変換部131の形状を本実施形態のようにすることにより、直動方向への移動量を所定の変換率で小さくする設定や、大きくする設定を行いやすくなる。つまり、従動部121と回動可能に支持される位置から支持部15と回動可能に支持される位置までの第1距離D21と、接続部141と回動可能に支持される位置から支持部15と回動可能に支持される位置までの第2距離D22との比率を変えることにより、直動方向への移動量の変換率を変えることができる。
[0081]
 変換部131における第1距離D21を第2距離D22よりも長くすることにより、従動部121における直動方向への移動量を小さく変換して動力伝達部51へ伝達することができる。さらに、駆動力は力の大きさが大きく変換されて動力伝達部51へ伝達される。
[0082]
 変換部131における第1距離D21を第2距離D22よりも短くすることにより、従動部121における直動方向への移動量を大きく変換して動力伝達部51へ伝達することができる。さらに、駆動力は力の大きさが小さく変換されて動力伝達部51へ伝達される。
[0083]
 なお、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施の形態においては、シャフト60の先端に設けられるエンドエフェクタが鉗子70あるが、エンドエフェクタは鉗子70に限られるものではなく、内視鏡手術などで用いられる他の器具であってもよい。
[0084]
 また、変換部31,131の具体的な形状は、上述の実施形態で示されたものに限定されるものではなく、同様な効果を奏する形状を有するものを用いてもよく、特に限定するものではない。

請求の範囲

[請求項1]
 外部から直動方向に移動する駆動力が伝達されることにより移動する従動部と、
 医療処置を行う処置部に前記直動方向に移動する前記駆動力を伝達する動力伝達部と、
 前記従動部における前記直動方向への移動量を変換して前記動力伝達部へ伝達する変換部と、
 前記従動部および前記変換部を内部に収納するとともに前記処置部を支持する本体と、が設けられている術具。
[請求項2]
 前記動力伝達部および前記変換部の間に配置され、前記変換部から伝達された駆動力を前記動力伝達部に伝達する接続部が設けられている請求項1に記載の術具。
[請求項3]
 前記変換部は長尺形状に形成され、前記長尺形状における第1の端部は前記従動部と回動可能に支持され、第2の端部は前記変換部を支持する支持部と回動可能に支持され、
 前記接続部は、前記変換部における前記第1の端部および前記第2の端部の間に回動可能に支持されている請求項2に記載の術具。
[請求項4]
 前記変換部は長尺形状に形成され、前記長尺形状における第1の端部は前記従動部と回動可能に支持され、第2の端部は前記接続部と回動可能に支持され、
 前記変換部における前記第1の端部および前記第2の端部の間は、前記変換部を支持する支持部と回動可能に支持されている請求項2に記載の術具。
[請求項5]
 前記変換部における前記従動部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第1距離は、
 前記接続部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第2距離よりも長い請求項4に記載の術具。
[請求項6]
 前記変換部における前記従動部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第1距離は、
 前記接続部と回動可能に支持される位置から前記支持部が回動可能に支持される位置までの第2距離よりも短い請求項4に記載の術具。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]