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1. WO2021049459 - 抽出対象物の抽出方法および液液抽出塔

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明 細 書

発明の名称 抽出対象物の抽出方法および液液抽出塔

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088  

実施例

0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105  

符号の説明

0106  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 抽出対象物の抽出方法および液液抽出塔

技術分野

[0001]
 本発明は、抽出対象物の抽出方法および液液抽出塔に関する。

背景技術

[0002]
 液液抽出とは、液体混合物の原液に溶剤を作用させて混合物の中のある特定の物質を他の物質から分離する操作である。液液抽出では、原液と溶剤とが二相を形成して比重の差により二相に分離することで、希望する物質すなわち溶質を選択的に溶剤相に移動分離することができる。
[0003]
 液液抽出に用いられる液液抽出塔としては、撹拌式の液液抽出塔、非撹拌式の液液抽出塔などがある。撹拌式の液液抽出塔は、単位高さ当たりの接触効率は大きいものの、機械的な駆動部分があるため、設備費が高価になると共に、維持管理が難しいという欠点を有する。一方、非撹拌式の液液抽出塔は、撹拌式に比べて、接触効率は低いものの、設備費が安価であると共に、維持管理が容易である。
[0004]
 特開平7-80283号公報(米国特許第5500116号明細書に対応)には、水平方向に塔の断面の一部を占め液の流路を残した棚板と、その棚板の流路側の端から垂直に延び、棚板寄りに開口部を形成した堰板とからなる棚段とを、塔内に適宜間隔をもって交互に配置してなる液液抽出塔が開示されている。

発明の概要

[0005]
 特開平7-80283号公報(米国特許第5500116号明細書に対応)が開示する液液抽出塔によって、接触効率を改善することができる。しかし、接触効率が十分ではない場合があり、接触効率をさらに向上させる方法の開発が望まれている。
[0006]
 そこで、本発明は、接触効率をよりいっそう向上させうる手段を提供することを目的とする。
[0007]
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、不活性ガスを液液抽出塔の塔底側から導入することによって、上記課題を解決することを見出し、本発明の完成に至った。
[0008]
 すなわち、本発明の第1の形態によれば、塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する液液抽出塔を用いて、前記不活性ガス供給デバイスから不活性ガスを投入しながら、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を含む液中の成分を前記抽出溶媒に移動させることを有する、抽出対象物の抽出方法が提供される。
[0009]
 本発明の第2の形態によれば、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を抽出する液液抽出塔であって、前記液液抽出塔の塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する、液液抽出塔が提供される。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態における液液抽出塔を示す概略図である。
[図2] 図2は、本発明の一実施形態における液液抽出塔に設けられた不活性ガス供給デバイスを示す概念図である。
[図3] 図3は、塔頂液中の硼酸濃度と窒素ガス投入量との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
[0012]
 本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
[0013]
 <液液抽出塔>
 本発明の一形態は、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を抽出する液液抽出塔であって、前記液液抽出塔の塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する、液液抽出塔である。かかる構成により、接触効率をよりいっそう向上させることができる。
[0014]
 以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[0015]
 図1は、本発明に係る液液抽出塔の一実施形態である逆堰板型液液抽出塔の概略図を示す。逆堰板型液液抽出塔10は、塔の上部に重液入口11と軽液出口12とが設けてあり、塔の下部に軽液入口13と重液出口14とが設けてあり、塔内には複数の棚段1aおよび1bが配設されている。また、塔底側に不活性ガス供給デバイス15が設けられている。
[0016]
 不活性ガス供給デバイス15の形状は、特に制限されず、所望量の不活性ガスを供給できればよい。例えば、図2に示すように、円筒形状のものが挙げられる。また、不活性ガスの供給方向も特に制限されない。不活性ガスの供給方向は、不活性ガス供給デバイス15の詰まりを抑制する観点から、好ましくは塔底方向である。
[0017]
 軽液入口13と不活性ガス供給デバイス15との位置関係は、特に制限されない。分散相の液滴が小さくなりすぎることを抑制する観点から、不活性ガス供給デバイス15を軽液入口13よりも上方に設けることが好ましい。
[0018]
 棚段1aは、そのほぼ中央部分に連続相液と分散相液とが通る流路4aを有する棚板2aと、その棚板2aの流路4aの端から垂直に下方(分散相供給側)に延びる堰板3aとからなる。棚板2a寄りの側には、分散相液の流路となる開口部が設けてある。
[0019]
 棚段1bは、棚段1aの流路4aを覆うように、棚板2bが広がるとともに、流路4bが2つ設けてあり、それぞれの棚板2bの流路4bの端から垂直に下方(分散相供給側)に延びる堰板3bとからなる。棚板2b寄りの側には、分散相液の流路となる開口部が設けてある。
[0020]
 棚板2aの下方(分散相供給側)では、分散相の液滴が滞留する間に累積し合一して分散相合一層を形成する。形成された分散相合一層は、堰板3aの開口部から水平方向に流出する。
[0021]
 同様に、棚板2bの下方(分散相供給側)では、分散相の液滴が滞留する間に累積し合一して分散相合一層を形成する。形成された分散相合一層は、堰板3bの開口部から水平方向に流出する。
[0022]
 液液抽出塔の運転は、一方が分散相、他方が連続相となるように塔10の下部の軽液入口13から軽液を供給するとともに上部の重液入口11から重液を供給する。また、不活性ガス供給デバイス15から不活性ガスを供給する。一方で、すでに液液接触を行なった軽液を塔の上部の軽液出口12から抜き出すとともに、重液を塔の下部の重液出口14から連続的に抜き出すことにより行なう。
[0023]
 本発明に係る液液抽出塔は、不活性ガス供給デバイス15から不活性ガスを投入することにより、不活性ガスが浮上する。浮上する不活性ガスは、堰板3aおよび3bの開口部を通過する液の流速を増加させることができる。これにより、棚板2aおよび棚板2bの下方において滞留する分散相の液滴をより細かくすることができ、溶質と抽出溶媒との接触効率を向上させることができる。そのため、不活性ガスを投入しない従来の非撹拌式の液液抽出塔では望めなかった、高い処理量と高い接触効率とを同時に達成することができる。さらに、抽出効率の向上により、抽出溶媒の減量、抽出装置のコンパクト化などが可能となる。
[0024]
 上記メカニズムは推定であり、本発明は上記推定によって限定されない。
[0025]
 <抽出対象物の抽出方法>
 本発明の一形態は、塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する液液抽出塔を用いて、前記不活性ガス供給デバイスから不活性ガスを投入しながら、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を含む液中の成分を前記抽出溶媒に移動させることを有する、抽出対象物の抽出方法である。かかる構成により、接触効率をよりいっそう向上させることができる。
[0026]
 (液液抽出塔)
 本発明に係る抽出方法で使用される液液抽出塔は、塔底側に不活性ガス供給デバイスを有するものであれば、特に制限されない。
[0027]
 液液抽出塔としては、従来公知の液液抽出塔の塔底側に不活性ガス供給デバイスを設置したものを使用することができる。液液抽出塔は、本発明の効果をより発揮できるとの観点から、好ましくは非撹拌式の液液抽出塔であり、より好ましくは棚段型液液抽出塔、多孔板抽出塔、充填塔、バッフル塔またはスプレー塔であり、さらに好ましくは棚段型液液抽出塔または多孔板抽出塔であり、特に好ましくは棚段型液液抽出塔である。
[0028]
 棚段型液液抽出塔の例としては、堰板型液液抽出塔、逆堰板型液液抽出塔などが挙げられる。よって、本発明に係る抽出方法では、液液抽出塔が堰板型液液抽出塔または逆堰板型液液抽出塔であることが好ましい。棚段型液液抽出塔を使用することにより、接触効率および抽出効率をより向上させることができる。
[0029]
 (抽出対象物を含む液と抽出溶媒との接触)
 本発明に係る抽出方法では、液液抽出塔の不活性ガス供給デバイスから不活性ガスを投入しながら、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を含む液中の成分を抽出溶媒に移動させる。抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させることで、抽出対象物を含む液中の特定の成分を液-液界面を通じて抽出溶媒へ移動させる。抽出溶媒へ移動させる成分(溶質)は、抽出対象物であってもよく、抽出対象物以外の成分であってもよい。
[0030]
 すなわち、本発明に係る抽出方法の一実施形態では、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させ、抽出対象物を抽出溶媒中に移動させて、抽出対象物を分離回収する。この場合、抽出対象物が溶質であり、抽出対象物は抽出液に含まれている。
[0031]
 また、本発明に係る抽出方法の他の実施形態では、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させ、抽出対象物以外の物質を抽出溶媒中に移動させて、抽出対象物を含む液から抽出対象物以外の物質を除去する。この場合、抽出対象物以外の物質が溶質であり、抽出対象物は、抽残液に含まれている。
[0032]
 従来の多孔板抽出塔、棚段型液液抽出塔などの液液抽出塔は、その構造上、塔頂部に2相分離部分が存在する。そのため、不活性ガスを投入した場合、2相分離部分を不活性ガスが撹拌するため、2相分離が困難であると考えられている。
[0033]
 しかし、本発明者らは、驚くべきことに、液液抽出塔の塔底側から不活性ガスを導入したとしても、2相分離が可能であり、さらに不活性ガスを導入することで抽出対象物を含む液と抽出溶媒との接触効率を向上させ、抽出対象物を含む液中の成分の抽出効率を向上できることを見出した。
[0034]
 上述のとおり、本発明に係る抽出方法では、接触効率および抽出効率を向上させることができる。推定されるメカニズムを図1を参照して説明する。不活性ガス供給デバイス15から不活性ガスを投入することにより、不活性ガスが浮上する。浮上する不活性ガスは、堰板3aおよび3bの開口部を通過する液の流速を増加させることができる。これにより、棚板2aおよび棚板2bの下方において滞留する分散相の液滴をより細かくすることができ、溶質と抽出溶媒との接触効率を向上させることができる。そのため、不活性ガスを投入しない従来の非撹拌式の液液抽出塔では望めなかった、高い処理量と高い接触効率とを同時に達成することができる。さらに、抽出効率の向上により、抽出溶媒の減量、抽出装置のコンパクト化などが可能となる。
[0035]
 上記メカニズムは推定であり、本発明は上記推定によって限定されない。
[0036]
 投入される不活性ガスは、特に制限されず、溶質の種類に応じて、適宜選択することができる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、メタン、エタンなどが挙げられる。不活性ガスは、好ましくは窒素である。
[0037]
 不活性ガスの投入量は、適宜調節することができる。不活性ガスの投入量は、接触効率をより向上させると観点から、好ましくは液液抽出塔の横断面積あたり0.1~2.5m /m /hであり、より好ましくは0.3~1.0m /m /hであり、さらに好ましくは0.4~0.9m /m /hである。
[0038]
 液液抽出塔を用いた液液抽出では、重液および軽液の流量(供給量)が少なくなると、接触効率および抽出効率が低下しうることが知られている。特に、トータルフラックス(体積流束)が0.005m /m /h以下であると、接触効率および抽出効率が低下しうる。
[0039]
 ここで、トータルフラックス(体積流束)とは、重液と軽液との合計空塔速度である。
[0040]
 本発明に係る抽出方法では、不活性ガスを投入することによって、分散相の液滴をより細かくすることができ、溶質と抽出溶媒との接触効率を向上させることができる。そのため、トータルフラックスが小さい系であっても、優れた接触効率および抽出効率を得ることができる。
[0041]
 本発明に係る抽出方法において、溶質は、液液抽出により分離可能な物質であれば特に制限されない。上述のとおり、溶質は、抽出対象物であっても、抽出対象物以外の物質であってもよい。また、抽出溶媒は、溶質に応じて、適宜選択することができる。使用する溶質および抽出溶媒に応じて、抽出対象物を含む液および抽出溶媒の一方が重液となり、他方が軽液となる。同様に、重液および軽液の一方が分散相となり、他方が連続相となる。
[0042]
 抽出対象物としては、例えばアルコール、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、飽和脂肪族炭化水素、アルコールアルコキシレートなどが挙げられる。
[0043]
 本発明に係る抽出方法の一実施形態では、抽出対象物が第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素および第2級アルコールアルコキシレートから選択されるいずれか一つであり、好ましくは第2級アルコールである。第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素および第2級アルコールアルコキシレートの炭素数は、例えば8以上30以下である。
[0044]
 第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートを含む液は、従来公知の方法により得ることができ、例えば特開昭48-34807号公報、特開昭56-131531号公報および特開昭50-159595号公報に記載の内容を適宜参照して得ることができる。
[0045]
 第2級アルコールを含む液は、例えば炭素数8~30の飽和脂肪族炭化水素をホウ素化合物の存在下、分子状酸素含有ガスによって液相部分酸化することで、対応する第2級アルコールを含む液を得ることができる。
[0046]
 炭素数8~30の飽和脂肪族炭化水素は、1種でも2種以上の混合物であってもよい。
[0047]
 炭素数8~30の飽和脂肪族炭化水素としては、オクタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、ドコサン、テトラコサン、ヘキサコサン、オクタコサン、トリアコサンなどが挙げられる。これらのうち、飽和脂肪族炭化水素は、好ましくは炭素数10~20の飽和脂肪族炭化水素であり、より好ましくはデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカンおよびエイコサンからなる群から選択される。
[0048]
 ホウ素化合物としては、メタ硼酸、オルト硼酸、無水硼酸などが挙げられる。
[0049]
 ホウ素化合物の使用量は、飽和脂肪族炭化水素に対して、例えば1~20wt%である。
[0050]
 分子状酸素含有ガス中の酸素濃度は、例えば1~20体積%である。
[0051]
 分子状酸素含有ガスの使用量は、飽和脂肪族炭化水素1kgあたり、例えば100~1000L/hである。
[0052]
 液相部分酸化での反応温度は、例えば100~200℃である。
[0053]
 このようにして得られた第2級アルコールを含む液には、第2級アルコールの硼酸エステルを含むため、適宜第2級アルコールの硼酸エステルを加水分解することが好ましい。
[0054]
 飽和脂肪族炭化水素を含む液は、後述のとおり、前記第2級アルコールを含む液から得る(回収する)ことができる。
[0055]
 第2級アルコールアルコキシレートを含む液は、後述のとおり、前記第2級アルコールに、アルキレンオキシドを付加することで、得ることができる。
[0056]
 抽出溶媒は、抽出対象物(第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレート)との相互溶解度が小さく、溶質(ホウ素化合物、有機化合物、有機塩、無機塩など)に対する分配係数および分離係数の大きいものであれば、特に制限されない。抽出溶媒は、好ましくは水を含む。
[0057]
 抽出溶媒が水を含む場合、第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールエトキシレートを含む液が軽液であり、抽出溶媒が重液である。また、軽液が分散相であり、重液が連続相である。第2級アルコールは、抽残液に含まれ、軽液出口から回収される。ホウ素化合物は、抽出液に含まれ、重液出口から回収される。
[0058]
 抽出対象物が第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートである場合、使用される液液抽出塔は、接触効率をより向上させるとの観点から、好ましくは逆堰板型液液抽出塔である。
[0059]
 第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートを含む液と抽出溶媒とを接触させる温度は、例えば50℃以上であり、好ましくは85~95℃であり、より好ましくは約90℃である。
[0060]
 さらに、本発明の一実施形態では、飽和脂肪族炭化水素をホウ素化合物の存在下、分子状酸素含有ガスによって液相部分酸化して対応する第2級アルコールを含む液を調製する工程と、上記抽出方法によって第2級アルコールを含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記第2級アルコールを含む液中のホウ素化合物を抽出溶媒に移動させて、第2級アルコールを分離回収する工程と、を有する、第2級アルコールの製造方法が提供される。
[0061]
 本実施形態の第2級アルコールの製造方法において、抽出溶媒は、好ましくは水を含む。
[0062]
 本実施形態の第2級アルコールの製造方法では、ホウ素化合物を効率よく除去できるため、排水中に含まれるホウ素化合物を低減することができる。
[0063]
 本実施形態の第2級アルコールの製造方法は、前記分離回収工程の前に、前記第2級アルコールを含む液から未反応の飽和脂肪族炭化水素を蒸留して、飽和脂肪族炭化水素を含む液を回収する工程をさらに有することができる。この際、飽和脂肪族炭化水素を含む液を回収した後の第2級アルコールを含む液を上記抽出方法に使用する。
[0064]
 第2級アルコールを含む液中には、未反応の飽和脂肪族炭化水素、酸化反応の副生物が含まれうる。酸化反応の副生物としては、低級の脂肪酸、脂肪酸エステルなどが挙げられる。
[0065]
 そのため、第2級アルコールを含む液を、フラッシュ蒸留のような単蒸留に近い方法で蒸留することにより、未反応の飽和脂肪族炭化水素を蒸留して、飽和脂肪族炭化水素を含む液を得ることができる。また、未反応の飽和脂肪族炭化水素と共に副生物も蒸留されるため、飽和脂肪族炭化水素を含む液は、副生物を含みうる。
[0066]
 また、本実施形態の第2級アルコールの製造方法が上記飽和脂肪族炭化水素を含む液を回収する工程を有する場合、以下の分離回収工程および再利用工程をさらに有することができる:
 上記抽出方法によって前記飽和脂肪族炭化水素を含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記飽和脂肪族炭化水素を含む液中の飽和脂肪族炭化水素以外の成分の少なくとも一種を抽出溶媒に移動させて、飽和脂肪族炭化水素を分離回収する工程;および
 前記抽出された飽和脂肪族炭化水素を前記調製工程の飽和脂肪族炭化水素として再利用する工程。
[0067]
 本実施形態の第2級アルコールの製造方法が上記分離回収工程および再利用工程を有することにより、飽和脂肪族炭化水素を含む液中の飽和脂肪族炭化水素以外の成分を効率よく除去できるため、飽和脂肪族炭化水素の回収と原料としての再利用とが容易になる。よって、第2級アルコールの生産効率を向上することができる。
[0068]
 上述の通り、蒸留して得られた飽和脂肪族炭化水素を含む液は、酸化反応の副生物などの飽和脂肪族炭化水素以外の成分を含みうる。そのため、本発明に係る抽出方法を用いることで、飽和脂肪族炭化水素を含む液から飽和脂肪族炭化水素以外の成分を除去することができる。
[0069]
 飽和脂肪族炭化水素を含む液から除去される成分としては、低級の脂肪酸、脂肪酸エステルなどの有機化合物;脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムなどの有機塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩などが挙げられる。
[0070]
 飽和脂肪族炭化水素を分離回収した液には、未分離のケトン、アルコールなどが含まれうるため、水素で還元して飽和脂肪族炭化水素とした後に、液中の飽和脂肪族炭化水素を蒸留により分離回収することができる。分離回収した飽和脂肪族炭化水素は、第2級アルコールを含む液の調製工程における飽和脂肪族炭化水素(原料)として再利用することができる。
[0071]
 また、本発明の一実施形態では、上記抽出方法によって抽出された前記第2級アルコールまたは上記製造方法によって製造された前記第2級アルコールに、アルキレンオキシドを付加して第2級アルコールアルコキシレートを含む液を調製する工程を有する、第2級アルコールアルコキシレートの製造方法が提供される。
[0072]
 付加されるアルキレンオキシドは、例えば炭素数2~10のアルキレンオキシドであり、好ましくは炭素数2~4のアルキレンオキシドである。アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシドなどが挙げられる。なかでも、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから選択されることが好ましい。
[0073]
 付加されるアルキレンオキシドは、1~50個結合した形態の化合物でもよい。また、前記化合物に含まれるアルキレンオキシドは、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。アルキレンオキシドの付加・結合数は、好ましくは2~45個であり、より好ましくは5~40個である。
[0074]
 第2級アルコールにアルキレンオキシドを付加・結合させる方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。このような方法としては、酸触媒やアルカリ触媒を使用する方法が挙げられる。酸触媒としては、特に制限されないが、例えば、三フッ化ホウ素等のルイス酸触媒である金属のハロゲン化合物;塩化水素、臭素水素、硫酸等の鉱酸などが挙げられる。また、アルカリ触媒としては、特に制限されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウムなどが挙げられる。
[0075]
 また、反応条件としては、反応が進行して第2級アルコールアルコキシレートが十分得られる条件であれば特に制限されない。反応温度は、例えば50~200℃であり、好ましくは100~200℃であり、さらに好ましくは100~150℃である。反応時間は、例えば1~48時間であり、好ましくは1~40時間であり、さらに好ましくは2~36時間である。反応は、常圧下および加圧下のいずれでもよい。
[0076]
 第2級アルコールアルコキシレートは、以下式(1)で表される化合物であることが好ましい。
[0077]
[化1]


[0078]
 式(1)中、R およびR は、アルキル基であり、R の炭素数とR の炭素数との合計は、7~29であり、R の炭素数は、R の炭素数以上(R の炭素数≦R の炭素数)であり;Aは、炭素数2~8のアルキレン基であり;Bは、水素原子であり;nは、1~50の整数である。
[0079]
 式(1)において、R の炭素数とR の炭素数との合計は、好ましくは9~19であり、より好ましくは11~13である。
[0080]
 式(1)において、Aは、好ましくは2~4のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
[0081]
 式(1)において、nは、好ましくは2~45の整数であり、より好ましくは5~40の整数である。
[0082]
 式(1)において、付加構造(AO)nはランダム構造でもブロック構造でもよい。
[0083]
 本実施形態の第2級アルコールアルコキシレートの製造方法は、上記抽出方法によって前記第2級アルコールアルコキシレートを含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記第2級アルコールアルコキシレートを含む液中の第2級アルコールアルコキシレート以外の成分の少なくとも一種を抽出溶媒に移動させて、第2級アルコールアルコキシレートを分離回収する工程をさらに有することができる。
[0084]
 本実施形態の第2級アルコールアルコキシレートの製造方法が上記分離回収工程を有することにより、第2級アルコールアルコキシレートを含む液中の第2級アルコールアルコキシレート以外の成分を効率よく除去できるため、第2級アルコールアルコキシレートの生産効率を向上することができる。
[0085]
 第2級アルコールアルコキシレートを含む液から除去される成分としては、低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングルコール、ポリエチレングリコールなどの有機化合物;硫酸ナトリウム、フッ化ナトリウムなどの無機塩などが挙げられる。
[0086]
 上述の製造方法において、第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートを含む液に含まれる有機塩の量は、第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートの重量に対して、例えば0.1~10wt%である。
[0087]
 上述の製造方法において、第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートを含む液に含まれる無機塩の量は、第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素または第2級アルコールアルコキシレートの重量に対して、例えば0.1~10wt%である。
[0088]
 本実施形態で製造された第2級アルコールアルコキシレートの用途としては、非イオン性活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤の製造原料、洗浄剤、乳化剤などが挙げられる。
実施例
[0089]
 以下に具体例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
[0090]
 (第2級アルコールを含む液の調製)
 第2級アルコールを含む液は、特開昭56-131531号公報に記載の実施例1に基づいて調製した。具体的には、特開昭56-131531号公報に記載の実施例1において得られた、炭素数12~14の第2級アルコールの硼酸エステルを含む缶出液を200℃で加水分解することによって、第2級アルコールを含む液を調製した。第2級アルコールの濃度は、50wt%であった。第2級アルコールを含む液中の硼酸の濃度は、3wt%であった。
[0091]
 (液液抽出塔)
 図1に示す構造を有する液液抽出塔を以下の実施例、比較例および参考例で使用した。液液抽出塔の詳細を表1に示す。
[0092]
[表1]


[0093]
 (比較例1)
 抽出溶媒が重液(連続相)であり、第2級アルコールを含む液が軽液(分散相)であった。抽出溶媒として、水を使用した。抽出溶媒および第2級アルコールを含む液の供給する際の温度を90℃とした。ここで、抽出対象物は、第2級アルコールであり、抽質が硼酸であった。
[0094]
 抽出溶媒を30L/minで供給し、第2級アルコールを含む液を142L/minで供給して、液液接触を行った。窒素ガス(不活性ガス)の投入は、行わなかった。
[0095]
 塔頂液を回収して、精製された第2級アルコールを含む液を得た。塔頂液に含まれる硼酸の濃度は、0.89wt%であった。
[0096]
 (実施例1)
 窒素ガスを0.33m /h(横断面積あたり0.42m /m /h)で投入したこと以外は、比較例1と同様にして、液液接触を行い、塔頂液を回収して、精製された第2級アルコールを含む液を得た。塔頂液に含まれる硼酸の濃度は、0.78wt%であった。
[0097]
 (実施例2)
 窒素ガスを0.49m /h(横断面積あたり0.62m /m /h)で投入したこと以外は、比較例1と同様にして、液液接触を行い、塔頂液を回収して、精製された第2級アルコールを含む液を得た。塔頂液に含まれる硼酸の濃度は、0.66wt%であった。
[0098]
 (実施例3)
 窒素ガスを0.66m /h(横断面積あたり0.84m /m /h)で投入したこと以外は、比較例1と同様にして、液液接触を行い、塔頂液を回収して、精製された第2級アルコールを含む液を得た。塔頂液に含まれる硼酸の濃度は、0.53wt%であった。
[0099]
 (参考例)
 窒素ガスを2.10m /h(横断面積あたり2.67m /m /h)で投入したこと以外は、比較例1と同様にして、液液接触を行った。塔内部でエマルジョンが発生したため、操作を中止した。
[0100]
 結果を表2および図3に示す。
[0101]
[表2]


[0102]
 表2および図3に示すように、実施例1~3では、比較例1と比べて、窒素ガスを投入することにより、塔頂液中の硼酸濃度を低下させることができる。よって、硼酸の抽出効率を向上できるため、抽出対象物である第2級アルコールの抽出効率を向上できることが分かる。
[0103]
 (第2級アルコールエトキシレートの製造)
 上記で得られた第2級アルコールを含む液は、油相であった。この油相を7hPaで分留し、第一留分(沸点範囲95~120℃留分)は、少量の飽和脂肪族炭化水素、カルボニル化合物および一価第1級アルコールの混合物であった。第二留分(沸点範囲120~150℃留分)は、微量のカルボニル化合物と、多価第2級アルコールとが得られたが、大部分が一価第2級アルコールであった。この第二留分として、一価第2級アルコールを得た。以上のようにして、第2級アルコール混合物を得た。
[0104]
 得られた第2級アルコール混合物を、攪拌装置、温度計、エチレンオキシド(EO)道入管付きのSUS 3Lオートクレーブに1kg仕込み、窒素置換した。その後、BF3-Et触媒(BF3:46-49%)を1.68g仕込み、初期窒素圧0.05MPa、55±5℃にてエチレンオキシド(EO)を水酸基1モルに対し1.7モルフィードして付加した。その後NaOH液を加えて90℃で反応液を洗い、さらにpHが7以下になるまで水洗した。次いで油相を3Lのガラス製三口フラスコに仕込み、蒸留塔(充填物 ディクソンパッキン内径40mm、長さ200mm、理論段数3段)を取り付け、蒸留することにより平均付加モル数水酸基1モルに対し3モルのエトキシレート付加物を得た。次に得られたエトキシレート付加物558gと水酸化カリウム1gを前記と同様のオートクレーブに仕込み、窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて15kPaとし、150℃に加熱し、442gのエチレンオキシドを反応させた。反応後、酢酸で中和して、第2級アルコールエトキシレートを得た。
[0105]
 本出願は、2019年9月9日に出願された日本特許出願番号2019-164032号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

符号の説明

[0106]
1a、1b 棚段、
2a、2b 棚板、
3a、3b 堰板、
4a、4b 流路、
10 逆堰板型液液抽出塔、
11 重液入口、
12 軽液出口、
13 軽液入口、
14 重液出口、
15 不活性ガス供給デバイス。

請求の範囲

[請求項1]
 塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する液液抽出塔を用いて、前記不活性ガス供給デバイスから不活性ガスを投入しながら、抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を含む液中の成分を前記抽出溶媒に移動させることを有する、抽出対象物の抽出方法。
[請求項2]
 前記液液抽出塔の横断面積あたりの前記不活性ガスの投入量が、0.1~2.5m /m /h未満である、請求項1に記載の抽出方法。
[請求項3]
 前記不活性ガスが窒素ガスである、請求項1または2に記載の抽出方法。
[請求項4]
 前記液液抽出塔が堰板型液液抽出塔または逆堰板型液液抽出塔である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抽出方法。
[請求項5]
 前記抽出対象物が第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素および第2級アルコールアルコキシレートから選択されるいずれか一つである、請求項1~4のいずれか1項に記載の抽出方法。
[請求項6]
 前記第2級アルコール、飽和脂肪族炭化水素および第2級アルコールアルコキシレートの炭素数が8以上30以下である、請求項5に記載の抽出方法。
[請求項7]
 前記抽出溶媒が水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抽出方法。
[請求項8]
 飽和脂肪族炭化水素をホウ素化合物の存在下、分子状酸素含有ガスによって液相部分酸化して対応する第2級アルコールを含む液を調製する工程と、
 請求項5または6に記載の抽出方法によって前記第2級アルコールを含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記第2級アルコールを含む液中のホウ素化合物を前記抽出溶媒に移動させて第2級アルコールを分離回収する工程と、を有する、第2級アルコールの製造方法。
[請求項9]
 前記分離回収工程の前に、前記第2級アルコールを含む液から未反応の飽和脂肪族炭化水素を蒸留して、飽和脂肪族炭化水素を含む液を回収する工程をさらに有する、請求項8に記載の第2級アルコールの製造方法。
[請求項10]
 請求項5または6に記載の抽出方法によって前記飽和脂肪族炭化水素を含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記飽和脂肪族炭化水素を含む液中の飽和脂肪族炭化水素以外の成分の少なくとも一種を前記抽出溶媒に移動させて、飽和脂肪族炭化水素を分離回収する工程と、
 前記抽出された飽和脂肪族炭化水素を前記調製工程の飽和脂肪族炭化水素として再利用する工程と、をさらに有する、請求項9に記載の第2級アルコールの製造方法。
[請求項11]
 請求項5または6に記載の抽出方法によって抽出された前記第2級アルコールまたは請求項8~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された前記第2級アルコールに、アルキレンオキシドを付加して第2級アルコールアルコキシレートを含む液を調製する工程を有する、第2級アルコールアルコキシレートの製造方法。
[請求項12]
 請求項5または6に記載の抽出方法によって前記第2級アルコールアルコキシレートを含む液と抽出溶媒とを接触させ、前記第2級アルコールアルコキシレートを含む液中の第2級アルコールアルコキシレート以外の成分の少なくとも一種を抽出溶媒に移動させて、第2級アルコールアルコキシレートを分離回収する工程をさらに有する、請求項11に記載の第2級アルコールアルコキシレートの製造方法。
[請求項13]
 抽出対象物を含む液と抽出溶媒とを接触させて、前記抽出対象物を抽出する液液抽出塔であって、
 前記液液抽出塔の塔底側に不活性ガス供給デバイスを有する、液液抽出塔。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]