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1. JP1997129483 - 積層セラミック電子部品の製造方法および製造装置

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[ JA ]
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層セラミック電子部品の製造方法および製造装置に関するもので、特に、複数の積層セラミック電子部品のためのマザー積層体を構成するように積層されるセラミックグリーンシートがキャリアフィルム上に保持された状態で用意され、このキャリアフィルムをセラミックグリーンシートから剥がしながら、セラミックグリーンシートを積層する工程を備える、積層セラミック電子部品の製造方法、およびこの方法を実施するために用いられる製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえばコンデンサ、フィルタ、抵抗器、インダクタ、バリスタなどの電子部品が、積層セラミック電子部品として提供されている。このような積層セラミック電子部品を製造するとき、複数のセラミックグリーンシートが用意され、これらセラミックグリーンシートを積層して、マザー積層体が製造される。積層される所定のセラミックグリーンシート上には、得ようとする積層セラミック電子部品の機能に応じて、適当な材質およびパターンの内部回路要素が予め形成されている。そして、マザー積層体は、個々の積層セラミック電子部品のための複数のチップを得るため、カットされる。これらチップは、次いで、焼成され、必要に応じて、外部電極などがチップ表面に形成される。
【0003】このような積層セラミック電子部品において、その小型化および高性能化を実現するため、セラミックグリーンシートの薄型化および多層化が進められている。セラミックグリーンシートの薄型化にあたっては、セラミックグリーンシートが機械的に軟弱であることを考慮しなければならず、その破損を防止するため、セラミックグリーンシートは、キャリアフィルム上で成形され、このキャリアフィルムによって保持されたままの状態で、内部回路要素の印刷等の以後の工程を実施するために取り扱われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、薄型化され軟弱なセラミックグリーンシートは、キャリアフィルムによって保持されたままの状態でいくつかの工程において取り扱われるが、遅くとも、積層してマザー積層体を得る段階では、キャリアフィルムをセラミックグリーンシートから剥がさなければならない。
【0005】したがって、マザー積層体を製造するため、内部回路要素の印刷の後で、キャリアフィルムの剥離とセラミックグリーンシートの積層との各工程が繰り返されなければならない。また、積層の都度、セラミックグリーンシートを加熱しながらプレスすることもある。しかしながら、セラミックグリーンシートの多層化が進めば進むほど、これらの工程の繰り返し回数が多くなり、マザー積層体を得るのに長時間必要となる。これら工程の能率化が望まれるところであるが、これら工程は、並行して実施できるものではなく、順次、間欠的に実施しなければならないため、この要望を満たすことは、それほど簡単ではない。
【0006】そこで、この発明の目的は、上述したマザー積層体製造のための工程の能率化の要望を満たし得る、積層セラミック電子部品の製造方法および製造装置を提供しようとすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、上述の技術的課題を解決するため、キャリアフィルム上に保持されたセラミックグリーンシートを用意する工程と、キャリアフィルムをセラミックグリーンシートから剥がしながら、セラミックグリーンシートを巻付けロール上に巻き付ける工程と、巻付けロール上にあるセラミックグリーンシートの表面に内部回路要素を印刷する工程と、巻付けロール上に所定の層数のセラミックグリーンシートを備えるマザー積層体が形成された後、マザー積層体を巻付けロールから取外す工程と、マザー積層体から個々の積層セラミック電子部品のための複数のチップを得るため、マザー積層体をカットする工程とを備えることを特徴としている。
【0008】この発明において、好ましくは、前記巻付け工程は、セラミックグリーンシートを加熱する工程、および巻付けロール上にあるセラミックグリーンシートをプレスする工程を含む。この発明に係る積層セラミック電子部品の製造装置は、上述の技術的課題を解決するため、キャリアフィルム上に保持されたセラミックグリーンシートを供給する供給部と、供給部から供給されたセラミックグリーンシートを巻き付けるように回転する巻付けロールと、巻付けロール上に巻き付けられるセラミックグリーンシートからキャリアフィルムを剥がすように案内しながら回転する剥離ロールと、巻付けロール上にあるセラミックグリーンシートの表面に内部回路要素を印刷するため、巻付けロールの回転数に対する比率が一定とされた回転数で回転するロータリ印刷機とを備えることを特徴としている。
【0009】好ましくは、前記巻付けロールは、セラミックグリーンシートを加熱するための発熱要素を備える。また、好ましくは、前記剥離ロールは、巻付けロール上のセラミックグリーンシートに対してプレス作用を及ぼすように配置される。
【0010】
【発明の効果】マザー積層体を製造するため、従来、予め内部回路要素が印刷されたセラミックグリーンシートを用意し、キャリアフィルムを剥がしながら、所定の寸法を有するセラミックグリーンシートを積層していたのに対し、この発明では、キャリアフィルムを剥がしながら、巻付けロール上にセラミックグリーンシートを巻き付けることにより積層し、巻付けロール上にあるセラミックグリーンシートの表面に内部回路要素を印刷することを行なう。
【0011】したがって、この発明によれば、まず、セラミックグリーンシートを積層することを連続的に行なうことができるので、積層工程の能率化ないし高速化を図ることができる。また、従来技術では、内部回路要素の印刷の段階とセラミックグリーンシートの積層の段階との双方において、位置合わせ精度が問題となるので、得られたマザー積層体において内部回路要素の位置ずれを招きやすい傾向にある。一般に、このように位置合わせ精度を配慮しなければならない工程数が増えるほど、生産能率が低下する。これに対して、この発明によれば、内部回路要素の印刷が、巻付けロール上のセラミックグリーンシートに対して行なわれるので、この印刷時の内部回路要素の位置合わせ精度のみを配慮するだけで、内部回路要素の位置ずれが抑制されたマザー積層体を得ることができる。このことも、生産能率の向上に寄与する。
【0012】このように、この発明によれば、セラミックグリーンシートの薄型化および多層化を図り、小型化および高性能化された積層セラミック電子部品を能率的にかつ高速で製造することができる。前述したように、この発明に係る製造方法に含まれる、セラミックグリーンシートを巻付けロール上に巻き付ける工程において、セラミックグリーンシートを加熱するとともに、巻付けロール上にあるセラミックグリーンシートをプレスすると、巻付けロール上でのセラミックグリーンシートの各部分相互間の密着性が増し、その後の工程でセラミックグリーンシートの各部分間の位置ずれや剥離が生じることを有利に防止することができる。
【0013】上述した利点は、この発明に係る製造装置では、巻付けロールに発熱要素を設け、巻付けロール上のセラミックグリーンシートに対してプレス作用を及ぼすように剥離ロールを配置することによって、効果的に奏されることができる。この発明に係る製造装置において、前述したように、ロータリ印刷機の回転数と巻付けロールの回転数との比率が一定とされている。したがって、セラミックグリーンシートの周面の直径が、巻付けロール上でのセラミックグリーンシートの層数が増すに従って大きくなっても、周面方向での位置ずれなしに内部回路要素を積層方向に整列させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造装置1を示す正面図である。図2は、図1の破線で囲んだ部分IIの拡大図であり、図3は、同じく部分III の拡大図である。図1に示すように、製造装置1は、概略的に言えば、供給部2と、巻付けロール3と、剥離ロール4と、ロータリ印刷機5と、回収部6とを備えている。
【0015】供給部2は、図2によく示されているように、キャリアフィルム7上に保持されたセラミックグリーンシート8を供給するため、これらキャリアフィルム7およびセラミックグリーンシート8からなる長尺の複合シート体9を巻回した供給ロール10を備える。セラミックグリーンシート8は、セラミックスラリをキャリアフィルム7上でドクターブレード法等により成形されたものであり、セラミックグリーンシート8上には、この段階では、何らの内部回路要素も印刷されていない。複合シート体9は、セラミックグリーンシート8が外側に位置するように、供給ロール10上に巻回されている。
【0016】複合シート体9は、供給部2から矢印11で示すように引き出された後、巻付けロール3と剥離ロール4との間に供給される。巻付けロール3は、矢印12で示す方向に回転し、剥離ロール4は、矢印13で示す方向に回転している。複合シート体9のうち、セラミックグリーンシート8は、巻付けロール3側に位置しており、巻付けロール3の回転に従って、巻付けロール3上に巻き付けられる。
【0017】他方、キャリアフィルム7は、剥離ロール4側に位置しており、剥離ロール4の回転に従って、セラミックグリーンシート8から剥がれるように案内され、矢印14で示すように、回収部6にまで送られる。回収部6は、用を終えたキャリアフィルム7を巻き取る回収ロール15を備える。このように回収されたキャリアフィルム7は再利用されることもある。なお、用を終えたキャリアフィルム7が単に廃棄される場合には、あえて回収ロール15上に巻き取る必要はない。
【0018】巻付けロール3は、たとえば80℃程度の温度にセラミックグリーンシート8を加熱するため、図示しない発熱要素を備えている。また、剥離ロール4は、巻付けロール3上のセラミックグリーンシート8に対してプレス作用を及ぼすように配置される。このようにして、巻付けロール3上において、積層されたセラミックグリーンシート8の各層間の密着性が高められる。
【0019】なお、上述の発熱要素は、巻付けロール3以外の場所に設けられてもよい。また、剥離ロール4とは別のロール等によって、巻付けロール3上のセラミックグリーンシート8に対してプレス作用を及ぼすようにしてもよい。剥離ロール4の位置に後続して、ロータリ印刷機5が巻付けロール3に対向するように設けられる。ロータリ印刷機5は、巻付けロール3上にあるセラミックグリーンシート8の表面の複数箇所に、図3に示したように、内部回路要素16を印刷するためのものである。この印刷は、ロータリ印刷機5が矢印17で示す方向に回転しながら、内部回路要素16となるべき導電ペーストまたは抵抗ペーストのような電気的機能ペースト18を所定のパターンをもってセラミックグリーンシート8上に付与することによって達成される。ロータリ印刷機5の内部には、電気的機能ペースト18を印刷位置に集積させておくための集積部材19が固定的に設けられている。
【0020】ロータリ印刷機5の回転数と巻付けロール3の回転数との比率は、一定とされる。これによって、巻付けロール3上でのセラミックグリーンシート8の層数が増すに従って、セラミックグリーンシート8の周面の直径が大きくなっても、図3に示すように、内部回路要素16を周面方向での位置ずれなしに積層方向に整列させることができる。
【0021】また、ロータリ印刷機5は、図1において矢印20で示すように、巻付けロール3から必要に応じて離隔できるようにされることが好ましい。これによって、セラミックグリーンシート8に内部回路要素16が印刷されない領域を設けることが容易になる。このようにして、巻付けロール3上に所定の層数のセラミックグリーンシート8を備えるマザー積層体21が形成された後、このマザー積層体21は、巻付けロール3から取り外される。この取外しにあたっては、円筒状のマザー積層体21の一部がカットされる。なお、図1および図3に図示されたマザー積層体21は、実際には、セラミックグリーンシート8が未だ所定の層数には達していない状態にあると理解すべきである。
【0022】上述のように取り外されたマザー積層体21は、平面状に延ばされる。このとき、巻付けロール3の直径を比較的大きく選んでおけば、マザー積層体21には、それほど歪みは生じず、それゆえ、内部回路要素16の位置ずれないし歪みは、ほとんど生じない。平面状に延ばされたマザー積層体21は、次いで、積層方向にプレスされ、そして、個々の積層セラミック電子部品のための複数のチップを得るため、図3に矢印22で示した位置に相当する位置等でカットされる。これらチップは、次いで、焼成され、その後、必要に応じて、外部電極などの形成工程に付され、所望の積層セラミック電子部品が得られる。
【0023】図1に示した製造装置1を積層セラミックコンデンサの製造に適用した。セラミックスラリをキャリアフィルム7上で成形して得られた、厚み10μmのセラミックグリーンシート8を用いた。キャリアフィルム7を剥がしながら、このセラミックグリーンシート8を80℃に加熱された巻付けロール3上に巻き付けた。巻付けロール3として、直径500mmのものを用い、5m/分の巻付け速度で巻付けを行なった。なお、この巻付け速度は、12m/分まで上げることが可能であった。
【0024】セラミックグリーンシート8の巻付けの第1段階では、ロータリ印刷機5を巻付けロール3から離隔し、内部回路要素16としての内部電極が存在しない外層部を形成し、次いで第2段階において、ロータリ印刷機5を巻付けロール3に近接させ、内部回路要素16としての内部電極をセラミックグリーンシート8上に印刷して内層部を形成し、さらに最終段階において、再びロータリ印刷機5を巻付けロール3から離隔し、内部回路要素16としての内部電極が存在しないもう1つの外層部を形成した。
【0025】得られたマザー積層体21において、内部電極の位置ずれを調査したところ、最大65μmに留まり、従来技術による方法に比べて劣るものではなかった。また、前述した5m/分の巻付け速度は、従来技術による積層速度に比べて大幅に速いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造装置1を示す正面図である。
【図2】図1の破線で囲んだ部分IIの拡大図である。
【図3】図1の破線で囲んだ部分III の拡大図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 供給部
3 巻付けロール
4 剥離ロール
5 ロータリ印刷機
7 キャリアフィルム
8 セラミックグリーンシート
16 内部回路要素
21 マザー積層体