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1. WO2021033275 - カテーテルデバイスおよび処置方法

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明 細 書

発明の名称 カテーテルデバイスおよび処置方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

符号の説明

0090  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : カテーテルデバイスおよび処置方法

技術分野

[0001]
 本発明は、カテーテルデバイスおよび処置方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来から、血管等の生体管腔内において、熱等のエネルギーを照射し、各種疾患の治療や改善等を行うために使用されるカテーテルデバイスが知られている。上記のようなカテーテルデバイスを使用した処置方法の一例として、血管の外部に存在する神経を焼灼する手技が実施されている(例えば、特許文献1を参照)。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 国際公開第2013-134541号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特許文献1に記載されたカテーテルデバイスを使用した処置方法等では、腎動脈を処置対象の血管として選定したうえで、処置の間、血管に対するカテーテルデバイスの保持を可能にするために、カテーテルデバイスのシャフト部にらせん形状等の幾何学的な形状を付加することがある。
[0005]
 血管のような生体管腔内で処置を行う場合、生体管腔内への送達時には、カテーテルデバイスのシャフト部の外形を可能な限り小さくし、その送達性を高めることが好ましい。一方で、カテーテルデバイスを生体管腔内へ送達した後は、処置を実施している間にシャフト部が生体管腔の管壁の所望の位置から位置ずれすることにより、シャフト部に設けられたエネルギー放射部(例えば、熱エネルギーを付与する熱源等)が処置対象部位とは異なる位置に配置されてしまうことを防止することが好ましい。
[0006]
 前述したように、カテーテルデバイスのシャフト部の一部にらせん形状等の幾何学的な形状付けがなされている場合、シャフト部が生体管腔内に送達された後、シャフト部のらせん形状をなす部分の外表面の複数の箇所が生体管腔の管壁(壁部)と当接する。そのため、カテーテルデバイスを使用した処置を実施している間、シャフト部が位置ずれすることを抑制できると思われる。
[0007]
 しかしながら、らせん形状に形成されたシャフト部は、生体管腔(例えば、血管)が直円筒状であることを前提としている。この仮定に反して、処置対象となる生体管腔が高度に屈曲している場合、生体管腔の管壁に対して十分な保持力を作用させることができない可能性がある。また、らせん形状が保持力を発揮するためには、らせん形状の少なくとも1周分が生体管腔内に収まっている必要がある。そのため、処置対象の生体管腔には、上記のようにらせん形状の1周分を配置することが可能となるある程度の延伸長さが存在することが前提とされる。この仮定に反して、生体管腔の処置対象となる延伸方向の長さが短い場合や、生体管腔の処置対象部位が生体管腔の分岐部に非常に近い生体管腔の起始部などである場合、シャフト部を生体管腔の管壁に対して十分に保持する保持力を発揮することができない可能性がある。また、生体内に存在する生体管腔の処置対象部位に対してエネルギー放射部を高精度に位置決めして配置することも容易ではない。
[0008]
 本発明は上記のような課題に基づいてなされたものであり、生体管腔の管壁に対するシャフト部の保持力を高めることができ、かつ、生体管腔の処置対象部位に対してより正確にエネルギーを照射することが可能なカテーテルデバイスおよび処置方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明の一の形態に係るカテーテルデバイスは、生体管腔内においてエネルギーを放射可能なエネルギー放射部と、前記エネルギー放射部の少なくとも一部が配置された第1部位と、前記第1部位の先端側に位置する第2部位と、を有し、前記生体管腔内に挿入可能なシャフト部と、を備え、前記シャフト部は、前記第2部位の先端部の少なくとも一部に前記シャフト部の軸方向に折り返された折り返し部が形成された第1形状と、前記第2部位の前記折り返し部の少なくとも一部が略直線状に延ばされた第2形状とに変形可能である。

発明の効果

[0010]
 本開示によれば、生体管腔内においてシャフト部の第2部位を第1形状とすることにより、ガイドワイヤ等を使用せずに、生体管腔内におけるシャフト部の位置を容易に調整することができる。また、生体管腔内においてシャフト部の第2部位を第2形状に変形させることにより、第2部位の略直線状に延ばされた部分を生体管腔の管壁に対して当接させることができる。そのため、生体管腔の管壁に対するシャフト部の保持力を高めることができ、例えば、ガイディングカテーテルなどを使用してシャフト部をバックアップできない場合においても、生体管腔の管壁からシャフト部が位置ずれすることを効果的に抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 実施形態に係るカテーテルデバイスの全体構成を概略的に示す図である。
[図2] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す斜視図であり、第2部位が第1形状の状態を示す図である。
[図3] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す斜視図であり、第2部位が第2形状の状態を示す図である。
[図4] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す側面図であり、第2部位が第1形状の状態を示す図である。
[図5] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す部分断面図であり、第2部位が第1形状の状態を示す図である。
[図6] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す側面図であり、第2部位が第2形状の状態を示す図である。
[図7] 実施形態に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す部分断面図であり、第2部位が第2形状の状態を示す図である。
[図8] 実施形態に係る処置方法の手順を概略的に示すフローチャートである。
[図9] 処置方法の適用対象である血管を模式的に示す図である。
[図10] 処置方法の適用対象である血管の一部を模式的に示す断面図である。
[図11] 実施形態に係るカテーテルデバイスを使用した処置方法を実施している際の様子を模式的に示す血管の断面図である。
[図12] 実施形態に係るカテーテルデバイスを使用した処置方法を実施している際の様子を模式的に示す血管の断面図である。
[図13] 実施形態に係るカテーテルデバイスを使用した処置方法を実施している際の様子を模式的に示す血管の断面図(横断面図)である。
[図14] 変形例1に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す部分断面図であり、第2部位が第1形状の状態を示す図である。
[図15] 変形例1に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す部分断面図であり、第2部位が第2形状の状態を示す図である。
[図16] 変形例2に係るカテーテルデバイスが備えるシャフト部の先端部を拡大して示す部分断面図であり、第2部位が第2形状の状態を示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において示す範囲「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
[0013]
 <第1実施形態>
 図1~図7は、実施形態に係るカテーテルデバイス100の各部の説明に供する図である。図8は、カテーテルデバイス100を使用した処置の手順例を示すフローチャートである。図9、図10は、カテーテルデバイス100を使用した処置方法の対象となる血管Vを説明するための図である。図11~図13は、カテーテルデバイス100の使用例の説明に供する図である。なお、図13は、血管Vの走行方向と直交する方向(図12の矢印13A-13Aで示す方向)に沿う血管Vの横断面を示す。
[0014]
 図中の矢印X1は、カテーテルデバイス100の血管V内への挿入方向を示し、図中の矢印X2は挿入方向と反対方向を示す。また、図中の矢印Y1-Y2は矢印X1-X2と直交する方向を示し、図中の矢印Z1-Z2は矢印X1-X2、矢印Y1-Y2の各々の方向と直交する方向を示す。
[0015]
 <処置対象部位>
 図9、図10を参照して、処置対象部位Sについて説明する。符号VRは右腎動脈を示し、符号VLは左腎動脈を示している。また、符号Vaは上腸間膜動脈、符号Vbは腹腔動脈、符号Vcは下腸間膜動脈、符号Vdは大動脈を示している。
[0016]
 本実施形態に係る処置方法では、医師等の術者(以下、「術者」とする)は、患者の腸管の神経支配を行う周囲神経(神経叢)Naを有する血管V内において、自律神経の活性を低下させる処置を行うことにより、腸管の蠕動運動を亢進させる。術者は、このような処置を行うことにより、患者の便秘および/または腸管の蠕動運動の異常に起因する腹部膨満感、腹痛、会陰部の不快感、頻回便のうちの少なくとも一つの症状(患者の便秘の緩和および/または腸管の蠕動運動の異常に起因する症状群の中の少なくとも一つ)の緩和を促すことができる。
[0017]
 処置方法が適用される血管Vは、実施形態に係る所定の処置(後述する電磁波によるエネルギーの付与)が施されることにより、患者(被験者)の腸管の蠕動運動を亢進することが可能であれば特に限定されない。一例として、血管Vは、例えば、上腸間膜動脈Va、腹腔動脈Vb、下腸間膜動脈Vcのうちの少なくとも一つを好適に選択することができる。
[0018]
 術者は、処置として、一つの周囲神経Naまたは複数の周囲神経Naにエネルギーを付与する。それにより、術者は、周囲神経Naを障害し、周囲神経Naによる消化管への自律神経伝達を完全にまたは一部遮断することにより、腸管の蠕動運動を亢進させることができる。
[0019]
 血管V内において上記のような自律神経の活性を低下させる処置を行うことにより、腸管の蠕動運動が活性化する理由として、次のような機序が考えられる。
[0020]
 血管V内から照射したエネルギーによって周囲神経Naを障害し、周囲神経Naによる消化管への自律神経伝達が完全にまたは一部遮断されると、交感神経系、副交感神経系のうち交感神経系が相対的に減弱して副交感優位になる。また、中枢からの神経伝達が遮断されることにより、末梢で腸管運動を自律的に制御している腸管神経系が優位になり、腸管の蠕動運動が活性化する。さらに、腸管の蠕動運動が活性化すると、結腸通過時間が促進・正常化するため、便秘および/または腸管の蠕動運動の異常に起因する腹部膨満感、腹痛、会陰部の不快感、頻回便のうちの少なくとも一つの症状の緩和が促される。特に、本実施形態に係る処置方法によれば、結腸に器質的な異常のない機能性便秘のなかで、大腸の腸蠕動運動が低下し、そのために便の通過時間に遅延が認められて便秘を来している結腸通過時間遅延型便秘の症状の緩和を好適に促すことができる。
[0021]
 血管Vにおいて処置が施される処置対象部位(一つまたは複数の周囲神経Naが含まれる領域)Sは、腸管の蠕動運動を亢進させることが可能な限り、特に限定されない。例えば、血管V内において、血管Vの走行方向(延在方向)の任意の範囲(部位)に対して処置を実施してもよいし、血管Vの周方向(横断面の周方向)の任意の範囲(部位)に対して処置を実施してもよい。また、処置は、同一の血管Vの複数の箇所に対して複数回実施してもよいし、異なる血管Vの任意の箇所に対して複数回実施してもよい。
[0022]
 本実施形態では、図12に示すように、上腸間膜動脈Vaを処置対象とした処置方法を説明する。また、本実施形態に係る処置方法は、上腸間膜動脈Vaの起始部周辺Vaoに対して処置を実施することを含む。ここで、図10を参照して、上腸間膜動脈Vaの外部に存在する処置対象部位Sの範囲の一例を説明する。
[0023]
 処置対象部位Sは、上腸間膜動脈Vaの開口を基準にして、上腸間膜動脈Vaの延伸方向に沿って0mm~20mmの範囲(符号L1で示す範囲)を含むことが好ましい。上腸間膜動脈Vaの上記範囲内でエネルギーを付与することにより、上腸間膜動脈Vaの末梢側に位置する臓器(例えば、膵臓や十二指腸)に対してエネルギーが伝達されることを効果的に抑制することができる。なお、上腸間膜動脈Vaの末梢側に位置する臓器に対してエネルギーが伝達されることをより確実に抑制する観点より、上腸間膜動脈Va内からのエネルギーの付与は、上腸間膜動脈Vaの延伸方向に沿って0mm~20mmの範囲内のみで実施することがより好ましい。
[0024]
 本実施形態に係る処置方法のように、上腸間膜動脈Vaから処置対象部位Sに対してエネルギーを付与する場合、処置対象部位Sには上腸間膜動脈Vaの分岐部を基準にして、大動脈Vdの延伸方向に沿って0mm~100mmの範囲(符号L2で示す範囲)が含まれてもよい。
[0025]
 上腸間膜動脈Va側からのエネルギーの深達長(図10の符号d1で示す距離)は、上腸間膜動脈Vaの内膜から少なくとも1mm~6mmであることが好ましい。上腸間膜動脈Vaの外側に存在する周囲神経Naは、上腸間膜動脈Vaの起始部周辺Vaoでは比較的深い位置に存在する。より具体的には、周囲神経Naは、上腸間膜動脈Vaの外側の脂肪組織の中で結合組織により支持された状態で束になって存在する。したがって、上腸間膜動脈Vaの起始部周辺Vaoからエネルギーを付与する場合、各血管Va、Vdの内膜の1mm~6mmの位置までエネルギーを到達させることにより、周囲神経Naを効率良く除神経することができる。
[0026]
 <カテーテルデバイス>
 図1~図7に示すように、本実施形態に係るカテーテルデバイス100は、概説すると、血管V(「生体管腔」に相当する)内においてエネルギーを放射可能なエネルギー放射部150と、エネルギー放射部150の少なくとも一部が配置された第1部位111および第1部位111の先端側に位置する第2部位112を有し、血管V内に挿入可能なシャフト部110と、を有する。
[0027]
 <シャフト部の形状>
 第2部位112は、第1部位111の先端側へ連続的に延びている。第1部位111の基端側には、シャフト部110の基端領域113が形成されている。
[0028]
 シャフト部110は、可撓性を備える長尺状の部材で構成している。シャフト部110に用いられる材料は特に限定されないが、例えば、公知のカテーテルデバイスに用いられる樹脂材料と同様のものを用いることができる。なお、シャフト部110の外径、内径、軸方向の長さ、断面形状等は特に限定されない。
[0029]
 シャフト部110の第2部位112は、図2に示す第1形状と図3に示す第2形状とに変形可能に構成している。シャフト部110の第1部位111は、第2部位112の変形前後において、第2部位112の変形に伴って変形することなく、シャフト部110の軸方向に沿って略直線形状を維持するように構成されている。
[0030]
 第1形状は、図2に示すように、第2部位112の少なくとも一部にシャフト部110の軸方向に折り返された折り返し部112aが形成される。本実施形態では、第2部位112は、第1形状において、少なくとも一部が巻回されている。より具体的には、第1形状は、シャフト部110の先端部を含む第2部位112を矢印b1で示すように、シャフト部110の軸方向の先端側から基端側にかけて複数回巻き回されることにより、丸められた外形形状の折り返し部112aを有する。また、本実施形態では、シャフト部110の第2部位112の先端は、第1形状において、例えば、シャフト部110の基端方向(図2の矢印X2方向)を向くように形状付けすることができる。なお、第1形状は、「シャフト部の軸方向の基端側及び/又は先端側に少なくとも一度折り返された折り返し部」が形成されている限り、具体的な形状は限定されない。
[0031]
 第2形状は、図3に示すように、第2部位112の折り返し部112aの少なくとも一部が略直線状に延ばされた形状を呈する。本実施形態では、第2部位112は、第2形状において、第1形状において形状付けされた巻回が解かれることにより、全体が略直線状に延びている。
[0032]
 第2部位112は、図2に示すように、第1形状において、第2部位112の先端の軸心C2が第1部位111の軸心C2から偏心した位置に配置される。本実施形態では、第1形状において、軸心C1と軸心C2は、シャフト部110の軸方向に沿う矢印X1-X2と直行する矢印Y1-Y2方向において互いに重ならないようにずれて配置されている。
[0033]
 第2部位112は、図3に示すように、第2形状において、第2部位112の先端の軸心C1が第1部位111の軸心C1と重なる位置に配置される。具体的には、第1形状に変形すると、軸心C1と軸心C2は、矢印Y1-Y2方向において互いに重なる(上面から投影視において重なる)ように配置される。一方で、第2部位112は、第2形状において、第2部位112の先端の軸心C1が第1部位111の軸心C1に対して矢印Z1-Z2方向において離間した位置に配置される。
[0034]
 第2部位112は、図3に示すように、第2形状において、第1部位111の軸心C1との間の距離が基端側へ向けて徐々に広がるように略直線状に延びる。そのため、血管V内で第2部位112を第2形状に変形させることにより、第2部位112を血管Vの管壁Vaiに対してより確実に当接させることができる(図12を参照)。
[0035]
 また、第2部位112は、第2形状において、第1部位111と第2部位112の間に所定の曲率で湾曲する湾曲部114を有する。第2部位112は、湾曲部114からシャフト部110の先端側において、第1部位111から離間するように伸びている。したがって、第2部位112は、第2形状に変形した際、第1部位111と第2部位112が湾曲部114を間に挟んで互いに対向する略U字形状を呈する。なお、湾曲部114の曲率、長さ、範囲等は特に限定されない。
[0036]
 シャフト部110は、図13に示すように、第2部位112が第2形状に変形した際、第1部位111と第2部位112の各々を、血管Vの管壁Vaiの周方向の異なる位置に対して当接可能に構成されている。例えば、第1部位111と第2部位112は、図13に示す横断面上において互いに対向させることができる。具体的には、第1部位111と第2部位112は、血管Vの中心位置Oを間に挟んで向き合う位置関係で配置することができる。このように配置することにより、後述するように、第1部位111に配置されたエネルギー放射部(アンテナエレメント)150から放射した電磁波の少なくとも一部を第2部位112に配置されたリフレクタ130(管体140)により、第1部位111側へ反射することができる。それにより、アンテナエレメント150から放射した電磁波と、リフレクタ130により反射させた電磁波を、第1部位111が当接された血管Vの管壁Vaiの外側に存在する周囲神経Naを含む処置対象部位Sに対して局所的に照射することが可能になる。
[0037]
 なお、カテーテルデバイス100を使用した処置を実施する際、第1部位111と第2部位112は、血管Vの横断面上において厳密に対向する位置に配置されていなくてもよい。また、エネルギー放射部150が電磁波を放射可能なアンテナエレメント以外の構造を有する場合、第2部位112へのリフレクタ130の配置は省略することができる。このようにカテーテルデバイス100を構成する場合においても、略直線状に延びた第1部位111と第2形状に変形して略直線状に延びた第2部位112を血管Vの延伸方向に沿って所定の長さに亘って管壁Vaiに対して当接させることにより、血管Vへのシャフト部110の保持力を高めることができる。
[0038]
 <シャフト部の構造>
 図4は、第1形状の第2部位112のシャフト部110の側面図を示し、図5は、図4に示す状態のシャフト部110の部分断面図を示す。図6は、第2形状の第2部位112のシャフト部110の側面図を示し、図7は、図6に示す状態のシャフト部110の部分断面図を示す。
[0039]
 本実施形態に係るエネルギー放射部150は、電磁波を放射可能なアンテナエレメント150により構成することができる。以下、エネルギー放射部150をアンテナエレメント150とも称する。
[0040]
 図5に示すように、第2部位112の少なくとも一部にはアンテナエレメント150から放射された電磁波を反射可能なリフレクタ130を配置することができる。リフレクタ130の少なくとも一部は、図7に示すように、第2形状において、アンテナエレメント150と対向する位置に配置することができる。
[0041]
 図5、図7に示すように、第2部位112には、当該第2部位112が第2形状に変形した際、第2部位112が捻じれることを抑制する抑制部材140を配置している。抑制部材140は、互いに揺動可能に接続された金属製の複数の節輪141、142を備える管体140で構成している。本実施形態では、管体140がリフレクタ130としての機能を持つ。
[0042]
 管体140の長手方向に隣接する節輪141、142同士は凸部143と凹部144を介して接続されている。凸部143は、凹部144に遊篏されており、凹部144の内面に沿って揺動可能である。各節輪141、142は、中空のリング形状を有する。各節輪141、142には、管体140の曲げ方向を規制するための傾斜面145が設けられている。各節輪141、142が揺動する際、隣接する節輪141、142の動作は、傾斜面145が形成された範囲内に制限される。そのため、管体140は、図7に示す矢印r1方向へ湾曲することが可能になる。一方で、管体140は、矢印r1と反対方向の矢印r2方向へ揺動しようとする際、節輪141、142に形成された規制面146によって揺動が規制される。そのため、管体140は、第2部位112が第2形状に変形した際、図7に示す略直線形状に容易に変形することができ、かつ、第2部位112が外方側に反るように変形することを抑制することができる。
[0043]
 カテーテルデバイス100は、抑制部材140を有することにより、血管V内で第2部位112が第2形状に変形した際、第2部位112が捻じれることを抑制できる。そのため、血管Vの管壁に対して第2部位112をその長さ方向に亘ってより確実に当接させることができる。なお、抑制部材140は、第2部位112が第2形状に変形した際、第2部位112が捻じれることを防止可能な限り、具体的な形状は限定されない。抑制部材140は、例えば、金属製の棒状の部材や金属製の平板状の部材で構成してもよい。
[0044]
 図5、図7に示すように、シャフト部110は、シャフト部110を構成する樹脂製のチューブ120を有する。管体140およびアンテナエレメント150は、シャフト部110の内部に内挿されている。チューブ120は、例えば、公知の樹脂で構成された管状部材で構成することができる。
[0045]
 アンテナエレメント150は、例えば、電磁波としてマイクロ波を放射可能なヘリカルエレメント151を有するように構成することができる。リフレクタ130は、アンテナエレメント150が配置された第1部位111から離間した第2部位112に配置している。リフレクタ130は、アンテナエレメント150から離隔して配置されることにより、アンテナエレメント150とともにシャフト部110の内部に配置される一方で、アンテナエレメント150とは電気的に接続されていない非通電の状態を維持することができる。
[0046]
 シャフト部110の内部には同軸ケーブル160を配置している。同軸ケーブル160の先端部は外部導体に覆われておらず、内部導体(中心導体)161および誘電体(図示省略)が同軸ケーブル160の先端側へ所定の長さだけ導出されている。内部導体161の先端には接続部163を配置している。ヘリカルエレメント151の先端は接続部163と電気的に接続されることにより、ヘリカルアンテナを形成している。同軸ケーブル160には、平衡と不平衡の状態にある電気信号を変換するバラン165を配置している。アンテナエレメント150は、同軸ケーブル160を介して電流を受給することにより、電磁波を放射する。本実施形態では、アンテナエレメント150は、内部導体161において同軸ケーブル160から突出した部分よりも先端側に位置する構造物(ヘリカルエレメント151、内部導体161の一部、接続部163)により構成している。
[0047]
 アンテナエレメント150の中心周波数は、アンテナエレメント150が電磁波としてマイクロ波を放射するように構成されている場合、例えば、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、24.125GHzのいずれかに設定することができる。
[0048]
 アンテナエレメント150を構成する各構造物は、電磁波を放射可能な限り、構造、形状、放射される電磁波の周波数、材質、シャフト部110における配置形態等は特に限定されない。また、アンテナエレメント150は、ヘリカルエレメント151を有する場合、ヘリカルエレメント151のらせん巻きの方向は順方向又は逆方向のいずれでもよいし、巻き数も特に限定されない。また、ヘリカルエレメント151の軸方向の長さも特に限定されない。また、ヘリカルエレメント151は、例えば、プラチナ合金で構成することができる。
[0049]
 リフレクタ130は、例えば、公知の金属で構成することができる。金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、プラチナ合金、形状記憶合金などを用いることができる。なお、リフレクタ130を構成する材料は、第2部位112に外力が付与されていない自然状態において、シャフト部110の先端部の形状を図2に示すような形状に保持する観点より、例えば、ニッケルチタン合金などの形状記憶合金を用いることが好ましい。
[0050]
 リフレクタ130は、シャフト部110に設けられる金属製の補強線材(ブレード線)により構成することもできる。シャフト部110に金属製の補強線材が設けられる場合、アンテナエレメント150から放射される電磁波の放射特性が著しく損なわれることのないように、補強線材は、アンテナエレメント150が配置された第1部位111の全周方向および軸方向の全体に亘って配置されないようにすることが好ましい。なお、後述するように、リフレクタ130は、電磁波を反射可能であればその具体的な構成は特に限定されず、複数の節輪141、142を備える管体140以外の金属製の部材で構成することも可能である(図15を参照)。
[0051]
 エネルギー放射部150は、電磁波を放射可能なアンテナエレメント150以外で構成することもできる。エネルギー放射部150は、例えば、超音波、光、熱、寒放射線、磁気的、電気的、冷凍療法、プラズマ、化学的エネルギー、潜在的エネルギー、原子核的エネルギー、流体力学的エネルギーなどを放射可能な構造を有していてもよい。
[0052]
 図5、図7に示すように、シャフト部110の内部には、シャフト部110内でアンテナエレメント150が移動することを抑制するための充填材123を配置している。充填材123は、公知の樹脂材料で構成することができる。充填材123には、後述する牽引部材171の移動を可能にするための通路123aを形成している。
[0053]
 カテーテルデバイス100は、シャフト部110の第2部位112を第1形状から第2形状へ変形させるための操作部を有している。
[0054]
 操作部は、カテーテルデバイス100のハブ180に配置された手元側操作部材170(図1を参照)と、牽引部材171(図5、図7を参照)と、を有する。
[0055]
 牽引部材171は、シャフト部110の先端部と固定され、手元での押し引き操作に伴ってシャフト部110を第1形状から第2形状へ可逆的に変形させることが可能な長尺状の部材で構成している。
[0056]
 本実施形態では、牽引部材171の先端部は、シャフト部110の先端部に配置された管体140の先端部の外表面に固定されている。また、牽引部材171の基端部は、ハブ180に配置された手元側操作部材170に固定されている。手元側操作部材170の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、回転操作や進退操作に連動させて牽引部材171を押し引きすることが可能なハンドル機構により構成することができる。牽引部材171の材質、外径、断面形状等は、術者が手元側操作部材170を操作した際に生じる力をシャフト部110の先端部側まで伝達可能な限り特に限定されない。なお、手元側操作部材170には、牽引部材171を牽引した状態の保持、および牽引を解除した状態の保持を可能にするためのロック機構を設けることができる。
[0057]
 シャフト部110の第2部位112は、牽引部材171に対して外力(牽引力)が付与されていない自然状態では、図4、図5に示すように第1形状をなすように形状付けされている。術者が手元側操作部材170を操作して牽引部材171を牽引すると、管体140の先端部に対して牽引力が伝達されて、第2部位112が図6、図7に示すように第2形状に変形する。術者がさらに牽引部材171を牽引して管体140を引っ張ると、シャフト部110は、第2部位112の先端部の軸心C1と第1部位111の軸心C2が軸方向に沿って略直線状に重なってシャフト部110全体が略直線状をなすように変形する。シャフト部110は、牽引部材171を介して伝達された牽引力の付与が解除されると、第2形状から第1形状に戻るように可逆的に変形することができる。なお、第2部位112が自然状態において第1形状を形成するようにするために、シャフト部110のチューブ120は、第1形状をなすように癖付けすることができる。また、牽引部材171を第1形状に形状付けした形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン合金)などで形成することにより、自然状態において第2部位112が第1形状をなすように構成してもよい。
[0058]
 牽引部材171は、例えば、図7に示すように、充填材123及び管体140の一部を挿通するとともに、第2部位112の先端部付近において管体140の外表面側に導出させることができる。牽引部材171の牽引操作に連動させて第2部位112を第1形状から第2形状へ可逆的に円滑に変形させるために、牽引部材171は、図7に示すように、第1部位111付近では軸心C1から偏心した位置を通り、充填材123を挿通した箇所ではシャフト部110の略中心位置を通り、管体140の先端側では第2部位112の軸心C2から偏心した位置を通るように配置することができる。なお、図7に示す牽引部材171の配置はあくまで一例であり、このような配置に限定されることはない。
[0059]
 シャフト部110の第2部位112の変形を操作する方法は、牽引部材171を利用した物理的な牽引力の付与及び解除のみに限定されることはない。例えば、牽引部材171を温度変化などに応じて第1形状と第2形状に変形するような温度応答性を有する合金などで構成し、温度の調整により変形させるように構成することも可能である。
[0060]
 図5、図7に示すように、シャフト部110の先端には先端チップ115を取り付けることができる。先端チップ115は、例えば、柔軟性を備える樹脂材料で構成することができる。先端チップ115は、固定部材115aでシャフト部110の先端に固定することができる。固定部材115aは、例えば、公知の樹脂材料で構成することができる。
[0061]
 本実施形態に係るシャフト部110は、カテーテルデバイス100の生体内での移動をガイドするために使用されるガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンが形成されていない。そのため、シャフト部110の細経化を図ることができる。また、カテーテルデバイス100では、エネルギー放射部としてアンテナエレメント150を採用し、さらにリフレクタ130をシャフト部110に配置することにより、アンテナエレメント150から放射した電磁波を血管Vの横断面上の所定の方向に局所的に照射することができるように構成している(図13を参照)。このように構成されたカテーテルデバイス100では、ガイドワイヤをシャフト部110に挿入した状態でアンテナエレメント150から電磁波を放射すると、金属を構成部材に含むガイドワイヤによって電磁波の放射方向を制御することが困難になる。したがって、シャフト部110にはガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンを設けていない。なお、後述するように、本実施形態に係るカテーテルデバイス100は、シャフト部110の先端部に位置する第2部位112が折り返し部112aを有する第1形状をなすように形状付けされているため、ガイドワイヤを使用しない場合においても、術者は、血管V内でのシャフト部110の先端部の位置決めを容易かつ円滑に実施することができる(図11を参照)。
[0062]
 上記のようにカテーテルデバイス100は、シャフト部110にガイドワイヤルーメンが形成されていない構造とすることが可能である。ただし、シャフト部110は、例えば、アンテナエレメント150が配置される内腔の他に、ガイドワイヤや各種の媒体が通過可能な内腔を備えるように構成することもできる。シャフト部110にガイドワイヤルーメンを設ける場合、例えば、シャフト部110の先端付近のみにガイドワイヤを挿通させることが可能となるようにシャフト部110の先端にシャフト部110の内外に連通するポートを設けることができる。
[0063]
 図1に示すように、アンテナエレメント150による電磁波の放射は、例えば、所定のコントローラ(制御装置)200を介して制御することができる。コントローラ200は、例えば、カテーテルデバイス100に設けられたハブ180から導出される電線を介して同軸ケーブル160と電気的に接続することができる。
[0064]
 コントローラ200としては、例えば、CPUと記憶部を備える公知の制御用デバイスを利用することができる。記憶部は、各種のプログラムやデータを格納するROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種のプログラムやデータを格納可能なハードディスク等を備える。上記記憶部には、カテーテルデバイス100の動作制御に必要な一連のプログラムを記憶させることができる。また、アンテナエレメント150に対する動作指令の送信形態としては、例えば、電気通信線を介した有線によるもの、電気通信線を介さない無線によるもの、コントローラに組み込まれた操作部を介した術者等からの入力に基づいて送信を行うもの、コントローラとは別の装置として準備された外部通信手段等からの入力に基づいて送信を行うものなどを挙げることができるが、具体的な形態は特に限定されない。また、アンテナエレメント150を使用した処置(エネルギー放射部150からのエネルギーの放射、および第2部位112の変形操作を含む)は、例えば、術者による作業を代替する処置用ロボット等の医療デバイスにより実施させてもよい。この場合、処置は、手術室等の医療現場において術者等が処置用ロボットを制御してもよいし、遠隔地において処置用ロボットを制御するようにしてもよい。また、図1に示すように、カテーテルデバイス100とコントローラ200とを組み合わせたデバイス10を、血管V等の生体管腔内での電磁波の放射による所定の治療を目的として使用される医療デバイスとして提供することができる。
[0065]
 <処置方法>
 次に、カテーテルデバイス100を使用した処置方法の一例を説明する。以下では、血管V(上腸間膜動脈Va)の周囲を走行する周囲神経Naにエネルギーを付与し、周囲神経Naを障害することにより、腸管の蠕動運動を亢進させる手技にカテーテルデバイス100を使用する例を説明する。なお、本明細書で説明する処置手順は一例に過ぎず、例えば、一部の手順や特に説明のない手順、手技に使用されるカテーテルデバイス100以外の医療器具等については、医療分野において公知のものを適宜採用することが可能である。
[0066]
 本実施形態に係る処置方法は、概説すると、エネルギーを放射可能なエネルギー放射部150の少なくとも一部が配置された第1部位111と、第1部位111の先端側に位置する第2部位112と、を有するシャフト部110を備えるカテーテルデバイス100を、血管V内に挿入する第1ステップと、血管V内においてエネルギー放射部150からエネルギーを放射する第2ステップと、を有する。そして、第1ステップは、第2部位112の先端部の少なくとも一部にシャフト部110の軸方向に折り返された折り返し部112aが形成された第1形状から第2部位112の折り返し部112aの少なくとも一部が略直線状に延ばされた第2形状へ第2部位112を変形させることを含む。
[0067]
 より具体的には、本実施形態に係る処置方法は、カテーテルデバイス100を血管V内に送達すること(S11)と、シャフト部110の第2部位112を第1形状で血管V内に配置すること(S12)と、シャフト部110の第2部位112を第1形状から第2形状へ変形させること(S13)と、シャフト部110を血管Vの管壁Vaiに当接させること(S14)と、アンテナエレメント150から電磁波を放射させること(S15)と、を含む。
[0068]
 術者は、図11に示すように、公知のガイディングカテーテル300を使用して血管Vへカテーテルデバイス100を送達する。術者は、カテーテルデバイス100を送達する際、牽引部材171を操作して、第2部位112を延ばした形状に変形させる。シャフト部110の第1部位111および第2部位112は略直線状に延びて細径化される。術者は、シャフト部110の先端部を細径化した状態で血管V内へ送達することができる。
[0069]
 術者は、ガイディングカテーテル300の先端開口部からシャフト部110を所定の長さだけ突出させる。第2部位112は、ガイディングカテーテル300の先端開口部から突出すると、図11に示すように、第1形状に変形する。次に、術者は、手元側操作部材170を操作して、図12に示すように、第2部位112を第1形状から第2形状へ変形させる。術者は、第1部位111と第2部位112を血管Vの管壁Vaiに対して当接させる。この際、図13に示すように、血管Vの横断面上において互いに対向する位置(血管Vの周方向に180°の角度差を持つ位置)に、アンテナエレメント150が配置された第1部位111とリフレクタ130が配置された第2部位112を配置する。
[0070]
 術者は、第1部位111と第2部位112を血管Vの管壁Vaiに当接させることにより、電磁波を放射する処置を実施している間にシャフト部110が血管Vの管壁Vaiからずれすることを防止できる。また、術者は、第1部位111と第2部位112を血管Vの管壁Vaiに当接させることにより、第1部位111と第2部位112が血管Vの横断面上で互いに平行な位置関係で対向した状態を安定的に維持することができる。
[0071]
 また、本実施形態に係るカテーテルデバイス100を使用した手技では、アンテナエレメント150から電磁波を放射して処置を行う際、シャフト部110の第1部位111および第2部位112の各々が略直線状に延びた状態で血管Vの管壁Vaiの延伸方向に沿って所定の長さに亘って当接する。そのため、シャフト部110の一部を血管Vの管壁Vaiに対して点接触させるような場合とし比較して、血管Vに対するシャフト部110の保持力をより向上させることができる。
[0072]
 特に、本実施形態に係るカテーテルデバイス100は、図12に示すように、第2部位112が第2形状に変形した際、シャフト部110の先端部の形状は、第1部位111、第2部位112、第1部位111と第2部位112との間に形成された湾曲部114により、略U字形状となる。そのため、シャフト部110は、血管Vの屈曲に対する追従性が高いものとなるため、血管Vの解剖学的構造に起因して管壁Vaiに対する保持力の低下が生じ難くなる。
[0073]
 シャフト部110は、第1部位111と第2部位112とが互いに平行に配置されるため、第1部位111に配置されたアンテナエレメント150と第2部位112に配置されたリフレクタ130も互いに平行に配置される。そのため、アンテナエレメント150から電磁波を放射した際、アンテナエレメント150と平行に配置されたリフレクタ130により電磁波をアンテナエレメント150側へより確実に反射させることができる。また、シャフト部110は、第1部位111と第2部位112が平行に配置されるように構成されているため、アンテナエレメント150とリフレクタ130とが別々に設けられたカテーテルデバイスを血管Vへ送達する場合と比較して、送達している間のカテーテルデバイスの外形を小型化することができる。したがって、カテーテルデバイス100は、血管V内への送達性が向上されたものとなる。
[0074]
 術者は、血管V内に配置したアンテナエレメント150から電磁波を放射させつつ、リフレクタ130により電磁波を反射させて、腸管の神経支配を行う一部の周囲神経Naにエネルギーを局所的に付与する。術者は、この処置により、患者の周囲神経Naの自律神経の活性を低下させることができ、腸管の蠕動運動を亢進させることが可能になる。なお、上腸間膜動脈Vaの起始部周辺Vaoに対してエネルギーを付与する範囲(除神経する範囲)は、上腸間膜動脈Vaの外周方向において、例えば、50%以下(血管Vの横断面上の周方向において180°の範囲以下)であることが好ましい。除神経する範囲が上腸間膜動脈Vaの外周方向において50%以上であると、除神経後の蠕動運動の亢進が過剰に促進される可能性がある。そのため、上記の範囲で除神経することが好ましい。
[0075]
 図13には、アンテナエレメント150から放射した電磁およびリフレクタ130で反射した電磁波が照射された各領域A1、A2、A3の温度分布の一例を示している。例えば、血管Vの管壁Vaiにおいてアンテナエレメント150が配置された位置に近接した領域A1は、電磁波の影響により温度が最も高くなる。また、領域A1よりもアンテナエレメント150から血管Vの外方に離れた領域A2は、領域A1と比較して電磁波の照射後の温度が低い。また、領域A2よりも血管Vの外方側に位置する領域A3は、領域A2と比較して電磁波の照射後の温度がさらに低い。アンテナエレメント150を使用した処置では、主として、領域A2、A3よりも高温な領域A1に付与された熱エネルギーにより、血管Vの外部に存在する周囲神経Naを除神経することができる。
[0076]
 なお、図12、図13に示す血管V内におけるシャフト部110の配置形態は一例である。血管V内におけるシャフト部110の配置形態は、エネルギー(例えば、電磁波)を所定の周囲神経Naに向けて照射可能な限り特に限定されない。
[0077]
 本実施形態に係るカテーテルデバイス100を上腸間膜動脈Vaでの処置に使用した場合、さらに以下のような課題に対して有益なものとなる。
[0078]
 上腸間膜動脈Vaは、各腎動脈VR、VLと異なり、大動脈Vdとの間における下肢側での分岐角度が鋭角になる。そのため、上腸間膜動脈Vaへカテーテルデバイス100を送達する場合、上肢側からアプローチすることが好ましい。上肢側からのアプローチを選択する場合、シャフト部110の細径化の観点より、カテーテルデバイス100を上腸間膜動脈Vaの管壁Vaiに対して保持するための機構としてバルーンやバスケット構造を採用することは適切ではない。本実施形態に係るカテーテルデバイス100であれば、第1部位111及び第2部位112を略直線状に延ばした状態で上腸間膜動脈Vaへ送達することができるため、上肢側からのアプローチが可能となる。
[0079]
 また、上腸間膜動脈Vaに対する処置を実施する場合、前述したようにエネルギーが臓器まで及ぶことを抑制する観点より、処置対象部位Sは、上腸間膜動脈Vaの入口付近の起始部周辺Vaoに設定することが好ましい。ただし、処置対象部位Sをこのような位置に設定した場合、上腸間膜動脈Vaの起始部周辺Vaoにガイディングカテーテル300の先端部を正確に配置および保持することは難しく、ガイディングカテーテル300によるバックアップを得ることができない。このような課題に対して、カテーテルデバイス100であれば、図12に示すように、上腸間膜動脈Vaのの起始部周辺Vaoの管壁Vaiに対して第1部位111及び第2部位112を当接させることにより、カテーテルデバイス100単体で保持力を得ることができる。
[0080]
 また、上腸間膜動脈Vaは、大動脈Vdから分岐した後、急峻に下肢方向に曲がり、大動脈Vdとほぼ並走する。そのため、らせん形状や波型の形状が付加されたシャフト部を使用した場合、シャフト部の複数の箇所が上腸間膜動脈Vaの管壁Vaiに対して点接触されるが、このような配置では十分な保持力を得ることができない。このような課題に対して、カテーテルデバイス100であれば、上腸間膜動脈Vaの走行方向に沿って第1部位111および第2部位112を比較的長い範囲に亘って管壁Vaiに当接せることができるため、十分な保持力を得ることができる。
[0081]
 また、エネルギー放射部150がアンテナエレメント150で構成されている場合、電磁波の放射方向を調整する観点より、カテーテルデバイス100に金属を構成部材に含むガイドワイヤを挿通させた状態で処置を実施することは好ましくない。例えば、ガイドワイヤを使用する場合、アンテナエレメント150から電磁波を照射させる度に、ガイドワイヤをカテーテルデバイスから抜去し、また必要に応じてガイドワイヤをカテーテルデバイス内に挿入する作業を行う必要が生じる。このような課題に対して、カテーテルデバイス100であれば、自然状態の第1形状においてシャフト部110の先端部に位置する第2部位112に折り返し部112aが形成されているため、シャフト部110の先端により上腸間膜動脈Vaの管壁Vaiを傷めることなく、上腸間膜動脈Va内でのシャフト部110の先端部の位置を調整することができる。そのため、上腸間膜動脈Va内へシャフト部110の先端部を案内するために、ガイドワイヤを使用する必要がなく、上記のようなガイドワイヤの使用に伴う手技の煩雑化を低減することができる。
[0082]
 以上説明したように、本実施形態に係るカテーテルデバイス100及び処置方法によれば、血管V内においてシャフト部110の第2部位112を第1形状とすることにより、ガイドワイヤ等を使用せずに、血管V内におけるシャフト部110の位置を容易に調整することができる。また、血管V内においてシャフト部110の第2部位112を第2形状に変形させることにより、第2部位112の略直線状に延ばされた部分を血管Vの管壁Vaiに対して当接させることができる。そのため、血管Vの管壁Vaiに対するシャフト部110の保持力を高めることができ、例えば、ガイディングカテーテルなどを使用してシャフト部110をバックアップしない場合においても、血管Vの管壁Vaiからシャフト部110が位置ずれすることを効果的に抑制することができる。
[0083]
 図14、図15は、変形例1に係るシャフト部110Aを示す。本変形例に係るシャフト部110Aは、アンテナエレメント150とは非通電な状態で第2部位112に配置された金属製の部材(例えば、板状、筒状、棒状の金属部材)によってリフレクタ130が構成されている。
[0084]
 リフレクタ130は、例えば、公知の金属で構成することができる。金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、プラチナ合金、形状記憶合金などを用いることができる。なお、リフレクタ130を構成する材料は、シャフト部110の第2部位112の形状を自然状態において図14に示す第1形状に保持する観点より、例えば、ニッケルチタン合金などの形状記憶合金を用いることがより好ましい。
[0085]
 図16は、変形例2に係るシャフト部110Bを示す。本変形例に係るシャフト部110Bは、牽引部材171がアンテナエレメント150と連結されている。そのため、術者は、手元でアンテナエレメント150を前進や後退させることにより、牽引部材171を押し引きして、第2部位112を第1形状と第2形状に変形させることができる。なお、牽引部材171とアンテナエレメント150を接続する部材には、例えば、バラン165を利用することが可能である。
[0086]
 以上、実施形態を通じて本発明に係るカテーテルデバイスおよび処置方法を説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
[0087]
 例えば、カテーテルデバイスによる処置対象となる生体管腔は、上腸間膜動脈、腹腔動脈、下腸間膜動脈等の血管のみに限定されることはなく、その他の血管、胆管、気管、食道、尿道、耳鼻内腔等であってもよい。一例として、カテーテルデバイスは、腎動脈内に配置したエネルギー放射部からエネルギーを放射することにより、患者の腎動脈外膜に存在する交感神経にエネルギーを付与して、患者の血圧を低下させるためのデバイスとして構成することが可能である。また、その他の例として、カテーテルデバイスは、気管支内に配置したエネルギー放射部からエネルギーを放射することにより、患者の気管支を拡張させるためのデバイスとして構成することも可能である。
[0088]
 また、カテーテルデバイスが備える各部材の材質、形状、大きさ、配置、部材同士の接続構造等は、本発明の効果が発揮される限り、特に限定されることはなく、任意に変更および置換することが可能である。また、カテーテルデバイスは、明細書内において特に説明のなかった任意の構成部材等を適宜付加することが可能であるし、明細書内において説明した付加的な部材の省略も適宜行い得る。また、処置方法には、明細書内において特に説明のなかった任意の手順を適宜付加することが可能であるし、明細書内において説明した付加的な手順の省略も適宜行い得る。また、処置方法は、発明の効果が発揮され得る限り、手順の順番を適宜入れ替えることもできる。
[0089]
 例えば、シャフト部の第2部位がなす第1形状および第2形状は、図面に例示した形状に限定されることない。また、例えば、シャフト部が捻じれることを抑制する抑制部材は、複数の節輪を備える管体に限定されることはない。

符号の説明

[0090]
10    医療デバイス
100   カテーテルデバイス
110、110A、110B シャフト部
111   第1部位
112   第2部位
112a  折り返し部
113   基端領域
114   湾曲部
115   先端チップ
130   リフレクタ
140   管体(抑制部材)
141、142 節輪
150   エネルギー放射部(アンテナエレメント)
151   ヘリカルエレメント
170   手元側操作部材
171   牽引部材
180   ハブ
200   コントローラ
300   ガイディングカテーテル
Na    周囲神経
S     処置対象部位
V     血管(生体管腔)
Va    上腸間膜動脈
Vai   管壁
Vb    腹腔動脈
Vc    下腸間膜動脈
Vd    大動脈

請求の範囲

[請求項1]
 生体管腔内においてエネルギーを放射可能なエネルギー放射部と、
 前記エネルギー放射部の少なくとも一部が配置された第1部位と、前記第1部位の先端側に位置する第2部位と、を有し、前記生体管腔内に挿入可能なシャフト部と、を備え、
 前記シャフト部は、
 前記第2部位の先端部の少なくとも一部に前記シャフト部の軸方向に折り返された折り返し部が形成された第1形状と、前記第2部位の前記折り返し部の少なくとも一部が略直線状に延ばされた第2形状とに変形可能である、カテーテルデバイス。
[請求項2]
 前記第2部位は、前記第1形状において、少なくとも一部が巻回されており、
 前記第2部位は、前記第2形状において、前記巻回が解かれることにより、略直線状に延びる、請求項1に記載のカテーテルデバイス。
[請求項3]
 前記第2部位は、前記第2形状において、前記第1部位の軸心との間の距離が基端側へ向けて徐々に広がるように略直線状に延びる、請求項2に記載のカテーテルデバイス。
[請求項4]
 前記シャフト部は、前記第2部位が前記第2形状に変形することにより、前記第1部位と前記第2部位の各々を、前記生体管腔の管壁の周方向の異なる位置に対して当接可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテルデバイス。
[請求項5]
 前記エネルギー放射部は、電磁波を放射可能なアンテナエレメントにより構成されており、
 前記第2部位の少なくとも一部には前記アンテナエレメントから放射された前記電磁波を反射可能なリフレクタが配置されており、
 前記リフレクタの少なくとも一部は、前記第2形状において、前記アンテナエレメントと対向する位置に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のカテーテルデバイス。
[請求項6]
 前記第2部位には、前記第2部位が前記第2形状に変形した際、前記第2部位が捻じれることを抑制する抑制部材が配置されており、
 前記抑制部材は、互いに揺動可能に接続された金属製の複数の節輪を備える管体で構成されており、
 前記管体は、前記リフレクタを構成する、請求項5に記載のカテーテルデバイス。
[請求項7]
 前記第2部位には、前記第2部位が前記第2形状に変形した際、前記第2部位が捻じれることを抑制する抑制部材を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のカテーテルデバイス。
[請求項8]
 前記抑制部材は、互いに揺動可能に接続された複数の節輪を備える管体で構成されている、請求項7に記載のカテーテルデバイス。
[請求項9]
 前記シャフト部を前記第1形状から前記第2形状へ変形させるための操作部をさらに有し、
 前記操作部は、
 前記シャフト部の先端部と固定され、手元での押し引き操作に伴って前記シャフト部を前記第1形状から前記第2形状へ可逆的に変形させることが可能な牽引部材を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のカテーテルデバイス。
[請求項10]
 前記生体管腔は、上腸間膜動脈、腹腔動脈、下腸間膜動脈のうちの少なくとも一つの血管であり、
 前記血管内に配置した前記エネルギー放射部から放射した前記エネルギーを腸管の神経支配を行う周囲神経に付与して自律神経の活性を低下させることにより、前記腸管の蠕動運動を亢進させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のカテーテルデバイス。
[請求項11]
 エネルギーを放射可能なエネルギー放射部の少なくとも一部が配置された第1部位と、前記第1部位の先端側に位置する第2部位と、を有するシャフト部を備えるカテーテルデバイスを、生体管腔内に挿入する第1ステップと、
 前記生体管腔内において前記エネルギー放射部から前記エネルギーを放射する第2ステップと、を有し、
 前記第1ステップは、前記第2部位の先端部の少なくとも一部に前記シャフト部の軸方向に折り返された折り返し部が形成された第1形状から前記第2部位の前記折り返し部の少なくとも一部が略直線状に延ばされた第2形状へ前記第2部位を変形させることを含む、処置方法。
[請求項12]
 前記第2部位は、前記第1形状において、少なくとも一部が巻回されており、
 前記第2部位は、前記第2形状において、前記巻回が解かれることにより、略直線状に延びており、
 前記第1ステップは、前記第1形状から前記第2形状へ前記第2部位を変形させることにより、前記第1部位と前記第2部位の各々を、前記生体管腔の管壁の周方向の異なる位置に対して当接させることを含む、請求項11に記載の処置方法。
[請求項13]
 前記第1ステップは、前記第1部位の少なくとも一部および前記第2部位の少なくとも一部を、前記生体管腔の起始部周辺の前記管壁に当接させることを含む、請求項11または請求項12に記載の処置方法。
[請求項14]
 前記エネルギー放射部は、電磁波を放射可能なアンテナエレメントにより構成されており、
 前記第2部位の少なくとも一部には前記アンテナエレメントから放射された前記電磁波を反射可能なリフレクタが配置されており、
 前記第1ステップは、前記第1形状から前記第2形状へ前記第2部位を変形させることにより、前記リフレクタの少なくとも一部を前記アンテナエレメントと対向する位置に配置することを含み、
 前記第2ステップは、前記アンテナエレメントから前記電磁波を放射しつつ、前記リフレクタにより前記電磁波を前記生体管腔の横断面の所定方向へ向けて反射させることを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の処置方法。
[請求項15]
 前記第2部位には、前記第2部位が前記第2形状に変形した際、前記第2部位が捻じれることを抑制する抑制部材が配置されており、
 前記抑制部材は、互いに揺動可能に接続された金属製の複数の節輪を備える管体で構成されており、
 前記管体は、前記リフレクタを構成する、請求項14に記載の処置方法。
[請求項16]
 前記カテーテルデバイスは、前記シャフト部を前記第1形状から前記第2形状へ変形させるための操作部をさらに有し、
 前記第1ステップは、前記操作部を操作することにより、前記生体管腔内で前記第2部位を前記第1形状から前記第2形状へ変形させることを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の処置方法。
[請求項17]
 前記生体管腔は、上腸間膜動脈、腹腔動脈、下腸間膜動脈のうちの少なくとも一つの血管であり、
 前記血管内に配置した前記エネルギー放射部から放射させた前記エネルギーを腸管の神経支配を行う周囲神経に付与して自律神経の活性を低下させることにより前記腸管の蠕動運動を亢進させる、請求項11~16のいずれか1項に記載の処置方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]