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1. WO2020170882 - コイルデバイス、移相回路及び通信装置

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明 細 書

発明の名称 コイルデバイス、移相回路及び通信装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097  

符号の説明

0098  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : コイルデバイス、移相回路及び通信装置

技術分野

[0001]
 本発明は、移相特性を有するコイルデバイス、それを備える移相回路、及びこのコイルデバイス又は移相回路を備える通信装置に関する。

背景技術

[0002]
 特許文献1には、互いに磁界結合する第1コイル及び第2コイルを有するトランスと、第1コイルと第2コイルとの間に接続されるキャパシタと、を備えたコイルデバイスが示されている。
[0003]
 特許文献1に示される構造によれば、小型化、低損失化、移相量の周波数依存性低減等に有利な、コイルデバイス、移相回路及び通信装置が得られる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2016/114181号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載のコイルデバイスでは、第1コイルと第2コイルとの間に接続されるキャパシタはトランスのインピーダンスを調整するインピーダンス調整用回路として作用する。しかし、このキャパシタを、第1コイルと第2コイルとの間に寄生的に生じる容量だけで構成すると、インピーダンス調整のために必要な容量が得られない場合がある。その場合には、インピーダンスを適切に調整するために、第1コイル及び第2コイル以外の導体パターン(例えば面状に拡がって互いに対向する面状導体パターン)を特別に形成する必要がある。ところが、このような面状導体パターンを第1コイル及び第2コイルと共にコイルデバイス内に配置すると、第1コイル及び第2コイルが発生する磁界が面状導体パターンによって妨げられるので、励磁インダクタンスの低下、第1コイル-第2コイル間の磁界結合係数の低下、といった課題が生じる。そして、必要な励磁インダクタンスや磁界結合係数を得るために、第1コイル及び第2コイルの巻回数を増やすと損失の増大、大型化(積層数の増加)といった新たな課題が生じる。
[0006]
 そこで、本発明の目的は、コイル巻回数の増加による損失の増大や大型化を避け、インピーダンス調整のために必要なキャパシタを有するコイルデバイス、それを備える移相回路、及びこのコイルデバイス又は移相回路を備える通信装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本開示の一例としてのコイルデバイスは、
 絶縁基体と、
 それぞれ前記絶縁基体に形成された、第1入出力端子、第2入出力端子、共通端子、第1コイル及び第2コイルと、
 を備え、
 前記第1コイルは、第1巻回軸まわりに巻回された形状の第1コイル導体で構成され、
 前記第2コイルは、前記第1巻回軸方向に平行な第2巻回軸まわりに巻回された形状の第2コイル導体で構成され、
 前記第1コイルは、複数層に亘って形成された複数の第1コイル導体で構成され、前記複数の第1コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第1コイル導体を有し、
 前記第2コイルは、複数層に亘って形成された複数の第2コイル導体で構成され、前記複数の第2コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第2コイル導体を有し、
 前記入出力端子側第1コイル導体は、前記第2巻回軸の方向において、前記複数の第2コイル導体のうち2つの第2コイル導体の間に位置し、かつ前記第2巻回軸の方向に視て、前記2つの第2コイル導体に重なり、
 前記2つの第2コイル導体のうち、一方は前記入出力端子側第2コイル導体であり、
 前記入出力端子側第2コイル導体は、前記第1巻回軸の方向において、前記複数の第1コイル導体のうち2つの第1コイル導体の間に位置し、かつ前記第1巻回軸の方向に視て、前記2つの第1コイル導体に重なり、
 前記2つの第1コイル導体のうち、一方は前記入出力端子側第1コイル導体である、
 ことを特徴とする。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、コイル巻回数の増加による損失の増大や大型化が無く、インピーダンス調整のために必要な容量を有するコイルデバイス、それを備える移相回路、及びこのコイルデバイス又は移相回路を備える通信装置が得られる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 図1は第1の実施形態に係るコイルデバイス11の回路図である。
[図2] 図2(A)、図2(B)は、コイルデバイス11におけるトランスの等価回路図である。
[図3] 図3はコイルデバイス11の外観斜視図である。
[図4] 図4はコイルデバイス11の各基材の平面図である。
[図5] 図5は図4の一部の拡大図である。
[図6] 図6はコイルデバイス11の縦断面図である。
[図7] 図7(A)はコイルデバイス11の移相量の周波数特性を示す図である。図7(B)はコイルデバイス11の挿入損失の周波数特性を示す図である。
[図8] 図8は第2の実施形態に係るコイルデバイス12の各基材の平面図である。
[図9] 図9は第3の実施形態に係るコイルデバイス13の各基材の平面図である。
[図10] 図10は第4の実施形態に係るコイルデバイス14の回路図である。
[図11] 図11(A)、図11(B)は第5の実施形態に係る移相回路30A,30Bの構成を示すブロック図である。
[図12] 図12は第6の実施形態に係る通信装置200のブロック図である。
[図13] 図13は第7の実施形態に係る通信装置の一部の回路図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 まず、本発明に係るコイルデバイスにおける幾つかの態様について列挙する。
[0011]
 本発明に係る第1の態様のコイルデバイスは、絶縁基体と、この絶縁基体に形成された、第1入出力端子、第2入出力端子、共通端子、第1コイル及び第2コイルと、を備える。第1コイルは、第1巻回軸まわりに巻回された形状の第1コイル導体で構成される。第2コイルは、前記第1巻回軸方向に平行な第2巻回軸まわりに巻回された形状の第2コイル導体で構成される。第1コイルは、複数層に亘って形成された複数の第1コイル導体で構成され、複数の第1コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第1コイル導体を有し、第2コイルは、複数層に亘って形成された複数の第2コイル導体で構成され、複数の第2コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第2コイル導体を有する。入出力端子側第1コイル導体は、第2巻回軸の方向において、複数の第2コイル導体のうち2つの第2コイル導体の間に位置し、かつ第2巻回軸の方向に視て、2つの第2コイル導体に重なる。この2つの第2コイル導体のうち、一方は入出力端子側第2コイル導体である。また、入出力端子側第2コイル導体は、第1巻回軸の方向において、複数の第1コイル導体のうち2つの第1コイル導体の間に位置し、かつ第1巻回軸の方向に視て、2つの第1コイル導体に重なる。この2つの第1コイル導体のうち、一方は入出力端子側第1コイル導体である。
[0012]
 上記構成によれば、第1コイル導体と第2コイル導体との対向総面積が大きいので、第1コイルと第2コイルとの間に生じる容量を容易に大きくできる。そのため、コイルデバイスのインピーダンス調整のために必要な容量が得られる。
[0013]
 本発明に係る第2の態様のコイルデバイスでは、2つの第1コイル導体のうち入出力端子側第1コイル導体とは異なる他方は、一端が共通端子に接続された共通端子側第1コイル導体であり、2つの第2コイル導体のうち入出力端子側第2コイル導体とは異なる他方は、一端が共通端子に接続された共通端子側第2コイル導体である。この構成によれば、第1巻回軸方向又は第2巻回軸方向に、共通端子側第1コイル導体、入出力端子側第2コイル導体、入出力端子側第1コイル導体、共通端子側第2コイル導体の順、または、共通端子側第2コイル導体、入出力共通端子側第1コイル導体、入出力端子側第2コイル導体、共通端子側第2コイル導体の順に配置されたコイルデバイスが構成される。
[0014]
 本発明に係る第3の態様のコイルデバイスでは、複数の第1コイル導体は、一端が共通端子に接続された共通端子側第1コイル導体と、入出力端子側第1コイル導体と共通端子側第1コイル導体とで第1巻回軸の方向に挟まれた中間第1コイル導体と、を含み、2つの第1コイル導体のうち入出力端子側第1コイル導体とは異なる他方は中間第1コイル導体である。また、複数の第2コイル導体は、一端が共通端子に接続された共通端子側第2コイル導体と、入出力端子側第2コイル導体と共通端子側第2コイル導体とで第2巻回軸の方向に挟まれた中間第2コイル導体と、を含み、2つの第2コイル導体のうち入出力端子側第2コイル導体とは異なる他方は中間第2コイル導体である。この構成によれば、第1巻回軸方向又は第2巻回軸方向に、共通端子側第1コイル導体、中間第1コイル導体、入出力端子側第2コイル導体、入出力端子側第1コイル導体、中間第2コイル導体、共通端子側第2コイル導体の順、または共通端子側第2コイル導体、中間第2コイル導体、入出力端子側第1コイル導体、入出力端子側第2コイル導体、中間第1コイル導体、共通端子側第1コイル導体の順に配置されたコイルデバイスが構成される。
[0015]
 本発明に係る第4の態様のコイルデバイスでは、入出力端子側第1コイル導体の線幅は共通端子側第1コイル導体の線幅よりも太い部分を有し、入出力端子側第2コイル導体の線幅は共通端子側第2コイル導体の線幅よりも太い部分を有する。この構成によれば、第1コイル導体と第2コイル導体との間に生じる容量が効果的に高まる。
[0016]
 本発明に係る第5の態様のコイルデバイスでは、入出力端子側第1コイル導体の巻回数は、共通端子側第1コイル導体の巻回数よりも多く、入出力端子側第2コイル導体の巻回数は、共通端子側第2コイル導体の巻回数よりも多い。この構成によれば、第1コイル導体と第2コイル導体との間に生じる容量が効果的に高まる。
[0017]
 本発明に係る第6の態様のコイルデバイスでは、入出力端子側第1コイル導体の巻回数は1より多く、入出力端子側第1コイル導体に接続される層間接続導体は、入出力端子側第2コイル導体のコイル開口内に位置する。また、入出力端子側第2コイル導体の巻回数は1より多く、入出力端子側第2コイル導体に接続される層間接続導体は、入出力端子側第1コイル導体のコイル開口内に位置する。この構成によれば、層間接続導体がコイル開口の外側にある構造に比べて、磁界結合に寄与しないコイル導体の割合が抑えられ(コイル導体による磁束が外部に漏れにくく)、その結果、低損失化及び小型化される。
[0018]
 本発明に係る第7の態様の移相回路は、上記コイルデバイスと、それに直列接続された、移相量が90°未満の移相線路とを備える。
[0019]
 本発明に係る第8の態様の通信装置は、送受信回路と、この送受信回路に接続されるアンテナと、を備え、送受信回路とアンテナとの間に、上記コイルデバイス又は移相回路を備える。
[0020]
 本発明に係る第9の態様の通信装置は、送受信回路と、この送受信回路に接続されるダイプレクサと、を備え、送受信回路とダイプレクサとの間に、上記コイルデバイス又は移相回路を備える。
[0021]
 以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
[0022]
《第1の実施形態》
 図1は第1の実施形態に係るコイルデバイス11の回路図である。コイルデバイス11は、第1入出力端子T1と、第2入出力端子T2と、共通端子COMと、第1コイルL1と、第2コイルL2と、を備える。第1コイルL1と第2コイルL2とは磁界結合する。この第1コイルL1と第2コイルL2とでトランスが構成されている。
[0023]
 第1コイルL1と第2コイルL2との間には入出力間キャパシタC12が設けられている。
[0024]
 図2(A)、図2(B)は、上記トランスの等価回路図である。トランスの等価回路は幾つかの形式で表現できる。図2(A)の表現では、理想トランスITと、その1次側に直列接続されたインダクタLaと、1次側に並列接続されたインダクタLbと、2次側に直列接続されたインダクタLcとで表される。
[0025]
 図2(B)の表現では、理想トランスITと、その1次側に直列接続された2つのインダクタLa,Lc1と、理想トランスITの1次側に並列接続されたインダクタLbとで表される。
[0026]
 ここで、トランスのトランス比を1:√(L2 / L1)、第1コイルL1と第2コイルL2(図1参照)との結合係数をk、第1コイルL1のインダクタンスをL1、第2コイルL2のインダクタンスをL2でそれぞれ表すと、上記インダクタLa,Lb,Lc,Lc1のインダクタンスは次の関係にある。
[0027]
 La:L1(1 - k)
 Lb:k * L1
 Lc:L2(1 - k)
 Lc1:L1(1 - k)
 理想トランスITのトランス比は第1コイルL1と第2コイルL2との巻回数比である。
[0028]
 いずれにせよ、上記トランスは、第1コイルL1と第2コイルL2との結合係数kが1未満であることに伴い、並列インダクタンス(励磁インダクタンス)成分以外に、直列インダクタンス(漏れインダクタンス)成分が生じる。
[0029]
 図3は本実施形態のコイルデバイス11の外観斜視図であり、図4はコイルデバイス11の各基材の平面図である。図5は図4の一部の拡大図である。また、図6はコイルデバイス11の縦断面図である。
[0030]
 コイルデバイス11は複数の絶縁性の基材S1~S8を備えている。これら基材S1~S8の積層により積層体100(絶縁基体に相当)が構成されている。基材S1~S8の積層圧着前の状態では絶縁性シート、例えば、LTCC(LowTemperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)等で構成された非磁性セラミック等のセラミックグリーンシート、である。基材S1~S8には各種導体パターンが形成されている。「各種導体パターン」には、基材の表面に形成された導体パターンだけでなく、層間接続導体を含む。ここで「層間接続導体」はビア導体だけでなく、積層体100の端面に形成される端面電極を含む。
[0031]
 上記各種導体パターンは、AgやCuを主成分とする比抵抗の小さな導体材料によって構成される。基材層がセラミックであれば、例えば、AgやCuを主成分とする導電性ペーストのスクリーン印刷及び焼成により形成される。
[0032]
 基材S1~S8がセラミックグリーンシートの場合は、これら基材S1~S8を積層し、焼成することで、セラミックマザー基板を形成し、これを分割することで多数の積層体100を得る。そして、積層体100の外面に端面電極を形成することでコイルデバイス11を構成する。
[0033]
 基材S8の下面は積層体100の下面(コイルデバイス11の実装面)に相当する。基材S1の上面から基材S2~S7を介し基材S8の下面までに亘って、第1入出力端子T1、第2入出力端子T2、共通端子としてのグランド端子GND、及び空き端子NCが形成されている。
[0034]
 基材S2,S3,S5には、共通端子側第1コイル導体LC1、中間第1コイル導体LM1、入出力端子側第1コイル導体LP1がそれぞれ形成されている。基材S2,S3,S4にはビア導体V1A,V1B,V1Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第1コイル導体LC1の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第1コイル導体LC1の第2端はビア導体V1Aを介して中間第1コイル導体LM1の第1端に接続される。共通端子側第1コイル導体LC1の第2端はビア導体V1B,V1Cを介して入出力端子側第1コイル導体LP1の第1端に接続される。入出力端子側第1コイル導体LP1の第2端は第1入出力端子T1に接続される。
[0035]
 上記共通端子側第1コイル導体LC1、中間第1コイル導体LM1、入出力端子側第1コイル導体LP1及びビア導体V1A,V1B,V1Cは本発明における「第1コイル導体」に相当する。この第1コイル導体によって第1コイルL1が構成される。
[0036]
 基材S7,S6,S4には、共通端子側第2コイル導体LC2、中間第2コイル導体LM2、入出力端子側第2コイル導体LP2がそれぞれ形成されている。基材S6,S5,S4にはビア導体V2A,V2B,V2Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第2コイル導体LC2の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第2コイル導体LC2の第2端はビア導体V2Aを介して中間第2コイル導体LM2の第1端に接続される。中間第2コイル導体LM2の第2端はビア導体V2B,V2Cを介して入出力端子側第2コイル導体LP2の第1端に接続される。入出力端子側第2コイル導体LP2の第2端は第2入出力端子T2に接続される。
[0037]
 上記共通端子側第2コイル導体LC2、中間第2コイル導体LM2、入出力端子側第2コイル導体LP2及びビア導体V2A,V2B,V2Cは本発明における「第2コイル導体」に相当する。この第2コイル導体によって第2コイルL2が構成される。
[0038]
 図4、図6に表れているように、第1コイル導体、第2コイル導体のいずれも巻回軸WAのまわりに巻回された形状を有し、第1コイルL1、第2コイルL2いずれもコイル導体の巻回軸方向は図4、図6に示す軸でZ軸方向である。巻回軸WAは本発明に係る「第1巻回軸」及び「第2巻回軸」に対応する。本実施形態においては第1コイル導体の巻回軸(第1巻回軸)と第2コイル導体の巻回軸(第2巻回軸)とは一致している。また、第1コイル導体の巻回軸(第1巻回軸)と第2コイル導体の巻回軸(第2巻回軸)とは一致していなくてもよく、互いに平行であるだけでもよい。本願において「平行」とは「一致」も含まれる。ただし、「平行」である場合には、第1コイル導体のコイル開口と、第2コイル導体のコイル開口とは、巻回軸方向から見て重なっている。
[0039]
 このように、第1コイル導体は、一端がグランド端子GNDに接続された共通端子側第1コイル導体LC1と、中間第1コイル導体LM1と、一端が第1入出力端子T1に接続された入出力端子側第1コイル導体LP1と、を有する。
[0040]
 同様に、第2コイル導体は、一端がグランド端子GNDに接続された共通端子側第2コイル導体LC2と、中間第2コイル導体LM2と、一端が第2入出力端子T2に接続された入出力端子側第2コイル導体LP2と、を有する。
[0041]
 また、上記絶縁性の基材はLTCCに限らず、ガラスを主成分とした絶縁ペーストをスクリーン印刷により塗布することを繰り返して形成してもよい。この場合、フォトリソグラフィ工程により、この基材に上記各種導体パターンを形成する。
[0042]
 以降、第1コイル導体及び第2コイル導体の特徴的な構成を列挙する。
[0043]
[各コイル導体パターンの積層方向における位置関係]
 第1コイルL1の巻回軸方向(基材の積層方向)において、入出力端子側第1コイル導体LP1は、中間第2コイル導体LM2と入出力端子側第2コイル導体LP2との間に位置する。
[0044]
 同様に、第2コイルL2の巻回軸方向(基材の積層方向)において、入出力端子側第2コイル導体LP2は、中間第1コイル導体LM1と入出力端子側第1コイル導体LP1との間に位置する。
[0045]
 このように、第1コイルL1の構成要素である第1コイル導体の一部と、第2コイルL2の構成要素である第2コイル導体の一部とが、互いに相手側のコイル導体で挟まれる関係となる。このことにより、第1コイル導体と第2コイル導体との対向総面積が大きくなる。第1コイル導体と第2コイル導体との対向総面積とは、換言すれば、積層方向からみて第1コイル導体と第2コイル導体とが互いに重なっている部分の面積である。これにより、第1コイルL1と第2コイルL2との間に生じる容量を容易に大きくでき、コイルデバイス11のインピーダンス調整のために必要な容量が得られる。また、中間第1コイル導体、中間第2コイル導体は所望のインダクタンス値に応じて複数層あってもよい。
[0046]
[各コイル導体パターンの線幅]
 入出力端子側第1コイル導体LP1の線幅は、共通端子側第1コイル導体LC1、中間第1コイル導体LM1の線幅よりも太い部分を有する。この例では、入出力端子側第1コイル導体LP1の線幅は、共通端子側第1コイル導体LC1の線幅より太い。そのため、入出力端子側第1コイル導体LP1と入出力端子側第2コイル導体LP2との間に生じる容量、及び中間第1コイル導体LM1と入出力端子側第2コイル導体LP2との間に生じる容量、が効果的に高まる。また、共通端子側第1コイル導体LC1の線幅が、入出力端子側第1コイル導体LP1の線幅より細いことで、第1コイルのインダクタンスを大きくすることができ、また設計者の意図しない寄生容量を抑制できるため、所望のインダクタンス値が得られる。
[0047]
 同様に、入出力端子側第2コイル導体LP2の線幅は、共通端子側第2コイル導体LC2、中間第2コイル導体LM2の線幅よりも太い部分を有する。この例では、入出力端子側第2コイル導体LP2の線幅は、共通端子側第2コイル導体LC2の線幅より太い。そのため、入出力端子側第2コイル導体LP2と入出力端子側第1コイル導体LP1との間に生じる容量、及び中間第2コイル導体LM2と入出力端子側第1コイル導体LP1との間に生じる容量、が効果的に高まる。また、共通端子側第2コイル導体LC2の線幅が、入出力端子側第2コイル導体LP2の線幅より細いことで、第2コイルのインダクタンスを大きくすることができ、また設計者の意図しない寄生容量を抑制できるため、所望のインダクタンス値が得られる。
[0048]
[各コイル導体パターンの巻回数]
 入出力端子側第1コイル導体LP1の巻回数は、共通端子側第1コイル導体LC1の巻回数よりも多い。図4に示した例では、入出力端子側第1コイル導体LP1の巻回数は約2ターンであり、共通端子側第1コイル導体LC1の巻回数は約0.75ターンである。そのため、入出力端子側第1コイル導体LP1と入出力端子側第2コイル導体LP2との間に生じる容量が効果的に高まる。
[0049]
 同様に、入出力端子側第2コイル導体LP2の巻回数は、共通端子側第2コイル導体LC2の巻回数よりも多い。図4に示した例では、入出力端子側第2コイル導体LP2の巻回数は約2ターンであり、共通端子側第2コイル導体LC2の巻回数は約0.75ターンである。そのため、入出力端子側第2コイル導体LP2と入出力端子側第1コイル導体LP1との間に生じる容量が効果的に高まる。
[0050]
 なお、中間第1コイル導体LM1の巻回数は、入出力端子側第1コイル導体LP1の巻回数より少なく、共通端子側第1コイル導体LC1の巻回数より多い。同様に、中間第2コイル導体LM2の巻回数は、入出力端子側第2コイル導体LP2の巻回数より少なく、共通端子側第2コイル導体LC2の巻回数より多い。
[0051]
 各基材に形成された第1コイル導体パターンのうち、入出力端子側第1コイル導体LP1の巻回数が最も多く、共通端子側第1コイル導体LC1の巻回数が最も少ない。同様に、各基材に形成された第2コイル導体パターンのうち、入出力端子側第2コイル導体LP2の巻回数が最も多く、共通端子側第2コイル導体LC2の巻回数が最も少ない。
[0052]
[コイル導体パターンを接続するビア導体の位置]
 入出力端子側第1コイル導体LP1の巻回数は1より多く、入出力端子側第1コイル導体LP1に接続されるビア導体V1Cは、入出力端子側第2コイル導体LP2のコイル開口CA2内に位置する(図5参照)。この構成によれば、ビア導体V1Cがコイル開口の外側にある構造に比べて、入出力端子側第1コイル導体LP1と入出力端子側第2コイル導体LP2を比較的大きく巻くことができるため、インダクタンス値の設計自由度が高まる。また、ビア導体がコイル開口の外側にある場合には、ビア導体から発生する磁束がコイルデバイスの外部にまで広がるため、その磁束が周囲に配置される他のデバイスと結合されやすくなる。その場合、コイルデバイスとその他のデバイスとが干渉し、互いに特性が変化するおそれがある。しかし、上記構成のように、ビア導体がコイル開口内に配置され、コイルデバイスのより中心側に配置されている場合は、コイルデバイスの外部に磁束が漏れにくく、他のデバイスとの干渉及び特性変化を抑制できる。さらに、ビア導体が複数ある場合は、それらをコイル開口内に配置されることで、ビア導体同士を近接配置しやすくなり、磁界結合及び容量結合を高めることができる。
[0053]
 同様に、入出力端子側第2コイル導体LP2の巻回数は1より多く、入出力端子側第2コイル導体LP2に接続されるビア導体V2Cは、入出力端子側第1コイル導体LP1のコイル開口CA1内に位置する(図5参照)。この構成によれば、ビア導体V2Cがコイル開口の外側にある構造に比べて、磁界結合に寄与しないコイル導体の割合が抑えられ(コイル導体による磁束が外部に漏れにくく)、その結果、低損失化及び小型化される。
[0054]
 なお、積層体100の各基材層はポリイミドや液晶ポリマ等の樹脂材料で構成した樹脂積層体やガラスを主成分とした絶縁ペーストで構成された積層体であってもよい。このように、基材層が非磁性体であることにより(磁性体フェライトではないので)、700MHzを超える高周波数帯でも所定インダクタンス、所定結合係数のトランス及び移相器として用いることができる。
[0055]
 上記導体パターン及び層間接続導体は、基材層が樹脂であれば、例えば、Al箔やCu箔等の金属箔がエッチング等によりパターニングされることにより形成される。また、基材層がガラスを主成分とした絶縁ペーストで構成される場合には、感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィ工程により、上記、各種導体パターンを形成する。
[0056]
 図7(A)は本実施形態のコイルデバイス11の移相量の周波数特性を示す図である。この図において、横軸は周波数、縦軸は移相量である。移相量は±180°の範囲で表している。この例では、マーカーm1は周波数1GHzにおける移相量、マーカーm2は周波数1.9GHzにおける移相量、をそれぞれ示している。図7(A)の表記では、移相量がマイナスの場合には読み取り値の絶対値、移相量がプラスの場合には、読み取り値から360°を引いた値の絶対値が移相量である。すなわち、移相量は1GHzで|170°-360°|=190°、1.9GHzで|130°-360°|=230°である。
[0057]
 このように、周波数が約2倍異なっていても、移相量は約40°になるだけであり、同程度の移相量の大きさを維持している。
[0058]
 図7(B)は本実施形態のコイルデバイス11の挿入損失の周波数特性を示す図である。周波数1GHzで約-1dB、周波数1.9GHzで約0dBであり、低挿入損失特性が得られる。この例で、周波数1GHzよりも周波数1.9GHzで挿入損失がより低下しているのは、第1コイルL1及び第2コイルL2によるトランスを介さずに、入出力間キャパシタC12を直接通過する信号成分が増大するためである。
[0059]
《第2の実施形態》
 第2の実施形態では、入出力端子側コイル導体が複数層である、コイルデバイスの例を示す。
[0060]
 図8は第2の実施形態に係るコイルデバイス12の各基材の平面図である。コイルデバイス12は複数の絶縁性の基材S1~S8を備えている。
[0061]
 基材S8の下面はコイルデバイス12の実装面に相当する。基材S8には第1入出力端子T1、第2入出力端子T2、共通端子としてのグランド端子GND、及び空き端子NCが形成されている。
[0062]
 基材S2,S3,S5には、共通端子側第1コイル導体LC1、中間第1コイル導体LM1、入出力端子側第1コイル導体LP1がそれぞれ形成されている。基材S2,S3,S4にはビア導体V1A,V1B,V1Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第1コイル導体LC1の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第1コイル導体LC1の第2端はビア導体V1Aを介して中間第1コイル導体LM1の第1端に接続される。中間第1コイル導体LM1の第2端はビア導体V1B,V1Cを介して入出力端子側第1コイル導体LP1の第1端に接続される。入出力端子側第1コイル導体LP1の第2端は第1入出力端子T1に接続される。
[0063]
 上記共通端子側第1コイル導体LC1、中間第1コイル導体LM1、入出力端子側第1コイル導体LP1及びビア導体V1A,V1B,V1Cは本発明における「第1コイル導体」に相当する。この第1コイル導体によって第1コイルL1が構成される。
[0064]
 基材S7,S6,S4には、共通端子側第2コイル導体LC2、中間第2コイル導体LM2、入出力端子側第2コイル導体LP2がそれぞれ形成されている。基材S6,S5,S4にはビア導体V2A,V2B,V2Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第2コイル導体LC2の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第2コイル導体LC2の第2端はビア導体V2Aを介して中間第2コイル導体LM2の第1端に接続される。中間第2コイル導体LM2の第2端はビア導体V2B,V2Cを介して入出力端子側第2コイル導体LP2の第1端に接続される。入出力端子側第2コイル導体LP2の第2端は第2入出力端子T2に接続される。
[0065]
 上記共通端子側第2コイル導体LC2、中間第2コイル導体LM2、入出力端子側第2コイル導体LP2及びビア導体V2A,V2B,V2Cは本発明における「第2コイル導体」に相当する。この第2コイル導体によって第2コイルL2が構成される。また、中間第1コイル導体LM1、中間第2コイル導体LM2はこれに限らず所望のインダクタンス値に応じて複数層あってもよい。
[0066]
 コイルデバイスのその他の構成は第1の実施形態で示したとおりである。本実施形態のコイルデバイス12では、入出力端子側第1コイル導体LP1に近接した中間第1コイル導体LM1と、入出力端子側第2コイル導体LP2に近接した中間第2コイル導体LM2とも巻回数が1以上になっている。
[0067]
 本実施形態によれば、第1の実施形態で示した例より、第1コイル導体と第2コイル導体との対向総面積がより大きくなるので、第1コイルL1と第2コイルL2との間に生じる容量を更に大きくできる。
[0068]
《第3の実施形態》
 第3の実施形態では、共通端子側コイル導体及び入出力端子側コイル導体のいずれもが一層である、コイルデバイスの例を示す。
[0069]
 図9は第3の実施形態に係るコイルデバイス13の各基材の平面図である。コイルデバイス13は複数の絶縁性の基材S1~S6を備えている。
[0070]
 基材S8の下面はコイルデバイス13の実装面に相当する。基材S8には第1入出力端子T1、第2入出力端子T2、共通端子としてのグランド端子GND、及び空き端子NCが形成されている。
[0071]
 基材S2,S4には、共通端子側第1コイル導体LC1、入出力端子側第1コイル導体LP1がそれぞれ形成されている。基材S2,S3にはビア導体V1B,V1Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第1コイル導体LC1の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第1コイル導体LC1の第2端はビア導体V1B,V1Cを介して入出力端子側第1コイル導体LP1の第1端に接続される。入出力端子側第1コイル導体LP1の第2端は第1入出力端子T1に接続される。
[0072]
 上記共通端子側第1コイル導体LC1、入出力端子側第1コイル導体LP1及びビア導体V1B,V1Cは本発明における「第1コイル導体」に相当する。この第1コイル導体によって第1コイルL1が構成される。
[0073]
 基材S5,S3には、共通端子側第2コイル導体LC2、入出力端子側第2コイル導体LP2がそれぞれ形成されている。基材S4,S3にはビア導体V2B,V2Cがそれぞれ形成されている。共通端子側第2コイル導体LC2の第1端はグランド端子GNDに接続される。共通端子側第2コイル導体LC2の第2端はビア導体V2B,V2Cを介して入出力端子側第2コイル導体LP2の第1端に接続される。入出力端子側第2コイル導体LP2の第2端は第2入出力端子T2に接続される。
[0074]
 上記共通端子側第2コイル導体LC2、入出力端子側第2コイル導体LP2及びビア導体V2B,V2Cは本発明における「第2コイル導体」に相当する。この第2コイル導体によって第2コイルL2が構成される。
[0075]
 コイルデバイスのその他の構成は第1、第2の実施形態で示したとおりである。本実施形態では、中間第1コイル導体や中間第2コイル導体に相当するコイル導体が形成される基材、及び中間第1コイル導体や中間第2コイル導体が形成される基材がない。第1コイル導体及び第2コイル導体に要する巻回数が少ない場合には、このようにコイル導体の層数や基材の層数が少なくてもよい。この例の場合においても、入出力端子側第1コイル導体LP1の線幅は、共通端子側第1コイル導体LC1の線幅よりも太い方が好ましい。換言すれば、共通端子側第1コイル導体LC1の線幅は、入出力端子側第1コイル導体LP1の線幅よりも細い方が好ましい。同様に、入出力端子側第2コイル導体LP2の線幅は、共通端子側第2コイル導体LC2の線幅よりも太い方が好ましい。換言すれば、共通端子側第2コイル導体LC2の線幅は、入出力端子側第2コイル導体LP2の線幅よりも細い方が好ましい。これによって、第1コイルL1と第2コイルL2との入出力間の容量を高めながら、第1コイルL1自体の寄生容量及び第2コイルL2自体の寄生容量を抑制できる。
[0076]
《第4の実施形態》
 第4の実施形態では、インピーダンス整合回路を備えるコイルデバイスの例を示す。
[0077]
 図10は第4の実施形態に係るコイルデバイス14の回路図である。このコイルデバイス14は、第1コイルL1、第2コイルL2、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2及び入出力間キャパシタC12を備えている。
[0078]
 第1コイルL1と第2コイルL2とは、互いに磁界結合するトランスを構成する。
[0079]
 第1キャパシタC1は第1コイルL1に並列接続されていて、第2キャパシタC2は第2コイルL2に並列接続されている。これにより、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2は、コイルデバイス14の入出力部のインピーダンス整合回路として作用する。
[0080]
 第1コイル導体パターン及び第2コイル導体パターンの構成は第1、第2、第3の実施形態で示した構成と基本的には同じである。
[0081]
 第1キャパシタC1は、第1コイル導体パターンの層間及び線間に寄生的に生じる容量で構成される。同様に、第2キャパシタC2は、第2コイル導体パターンの層間及び線間に寄生的に生じる容量で構成される。
[0082]
《第5の実施形態》
 第5の実施形態では移相回路の例を示す。
[0083]
 図11(A)、図11(B)は第5の実施形態に係る移相回路30A,30Bの構成を示すブロック図である。移相回路30A,30Bは給電回路9とアンテナ1との間に接続されている。移相回路30Aは、コイルデバイス10と、コイルデバイス10に対して直列に接続された移相線路20とで構成されている。また、移相回路30Bは、移相線路20と、移相線路20に対して直列に接続されたコイルデバイス10とで構成されている。コイルデバイス10の基本構成は第1~第4の各実施形態で示したコイルデバイス11~14と同じである。移相線路20は移相量90°未満の移相線路である。
[0084]
 移相回路30A,30Bはコイルデバイス10による移相量と移相線路20による移相量とを加算した位相角だけ、入出力端子間に位相差をもたせる。
[0085]
 このように、移相線路20を付加することで180°を大きく超える移相を行うことができ、コイルデバイス10による移相量で全体の移相量を微調整できる。
[0086]
 なお、移相線路20をコイルデバイス10に一体的に設けて、移相回路30A,30Bを単一の部品として構成してもよい。また、図11(A)、図11(B)において、移相回路30A,30Bとアンテナ1との間にアンテナ整合回路が設けられていてもよい。また、移相線路20は、伝送線路(50Ω線路)の電気長を定めることによって移相量を設定したものであってもよいし、インダクタやキャパシタ等の集中定数素子又はLC回路を付加することで移相量を調整したものであってもよい。
[0087]
《第6の実施形態》
 第6の実施形態では通信装置の例について示す。図12は第6の実施形態に係る通信装置200のブロック図である。本実施形態の通信装置200は、アンテナ1、アンテナ整合回路40、移相回路30、通信回路41、ベースバンド回路42、アプリケーションプロセッサ(APU)43及び入出力回路44を備える。通信回路41はローバンド(700MHz~1.0GHz)とハイバンド(1.4GHz~2.7GHz)についての送信回路TX及び受信回路RX、さらにはアンテナ共用器を備えている。アンテナ1は、ローバンドとハイバンドに対応するモノポールアンテナ又は逆F型アンテナである。通信回路41は本発明における「送受信回路」に相当する。
[0088]
 上記構成要素は1つの筐体内に収納されている。例えば、アンテナ整合回路40、移相回路30、通信回路41、ベースバンド回路42、アプリケーションプロセッサ43はプリント配線板に実装され、プリント配線板は筐体内に収納される。入出力回路44は表示・タッチパネルとして筐体に組み込まれる。アンテナ1はプリント配線板に実装されるか、筐体の内面又は内部に配置される。
[0089]
 移相回路30は、ハイバンドのマッチングに影響を与えず、ローバンドの信号を大きく移相させることにより、アンテナ整合回路40によって容易にアンテナマッチングを実現できる。このことにより、広帯域に亘って整合するアンテナを備える通信装置が得られる。
[0090]
 なお、図12に示したように、移相回路30はマルチバンドの通信信号経路に挿入する構成以外に、例えば、ローバンド(700MHz~1.0GHz)及びハイバンド(1.4GHz~2.7GHz)の一方のラインに適用してもよい。
[0091]
《第7の実施形態》
 第7の実施形態では通信装置の別の例を示す。図13は第7の実施形態に係る通信装置の一部の回路図である。本実施形態の通信装置は、アンテナ1、ダイプレクサ50、高周波電力増幅回路51,52及び移相回路30を備える。高周波電力増幅回路51の入力部にはハイバンド用の送信回路が接続され、高周波電力増幅回路52の入力部にはローバンド用の送信回路が接続される。高周波電力増幅回路51,52は本発明における「送受信回路」に相当する。
[0092]
 移相回路30は、高周波電力増幅回路51の出力端から高周波電力増幅回路52の出力端が等価的に開放に見える、又は高周波電力増幅回路52の出力端から高周波電力増幅回路51の出力端が等価的に開放に見えるだけの移相量を移相する。
[0093]
 このようにして高周波電力増幅回路51と高周波電力増幅回路52とのアイソレーションを確保することができる。
[0094]
 最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
[0095]
 例えば、以上に示した各実施形態では、第1コイル導体を構成する導体パターンと、第2コイル導体を構成する導体パターンとが、互いに線対称関係にある導体パターンで構成される例を示したが、対称性は必須ではない。
[0096]
 また、第1コイル導体の巻回軸(第1巻回軸)と第2コイル導体の巻回軸(第2巻回軸)とは一致している必要はなく、「第1巻回軸」と「第2巻回軸」とは平行であり、入出力端子側第1コイル導体が、第2巻回軸の方向において、2つの第2コイル導体の間に位置し、かつ第2巻回軸の方向に視て、2つの第2コイル導体に重なり、入出力端子側第2コイル導体が、第1巻回軸の方向において、2つの第1コイル導体の間に位置し、かつ第1巻回軸の方向に視て、2つの第1コイル導体に重なる関係であればよい。
[0097]
 また、以上に示した各実施形態では、第1コイルL1と第2コイルL2とのインダクタンス比が1:1である例を示したが、これ以外のインダクタンス比であってもよい。

符号の説明

[0098]
C1…第1キャパシタ
C2…第2キャパシタ
C12…入出力間キャパシタ
CA1,CA2…コイル開口
COM…共通端子
GND…グランド端子(共通端子)
IT…理想トランス
L1…第1コイル
L2…第2コイル
La,Lb,Lc,Lc1…インダクタ
LC1…共通端子側第1コイル導体
LC2…共通端子側第2コイル導体
LM1…中間第1コイル導体
LM2…中間第2コイル導体
LP1…入出力端子側第1コイル導体
LP2…入出力端子側第2コイル導体
NC…空き端子
S1~S8…基材
T1…第1入出力端子
T2…第2入出力端子
V1A,V1B,V1C…ビア導体(層間接続導体)
V2A,V2B,V2C…ビア導体(層間接続導体)
WA…巻回軸
1…アンテナ
9…給電回路
10~14…コイルデバイス
20…移相線路
30,30A,30B…移相回路
40…アンテナ整合回路
41…通信回路(高周波回路)
42…ベースバンド回路
43…アプリケーションプロセッサ
44…入出力回路
50…ダイプレクサ
51,52…高周波電力増幅回路(高周波回路)
100…積層体
200…通信装置

請求の範囲

[請求項1]
 絶縁基体と、
 それぞれ前記絶縁基体に形成された、第1入出力端子、第2入出力端子、共通端子、第1コイル及び第2コイルと、
 を備え、
 前記第1コイルは、第1巻回軸まわりに巻回された形状の第1コイル導体で構成され、
 前記第2コイルは、前記第1巻回軸方向に平行な第2巻回軸まわりに巻回された形状の第2コイル導体で構成され、
 前記第1コイルは、複数層に亘って形成された複数の第1コイル導体で構成され、前記複数の第1コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第1コイル導体を有し、
 前記第2コイルは、複数層に亘って形成された複数の第2コイル導体で構成され、前記複数の第2コイル導体は、一端が入出力端子に接続された、入出力端子側第2コイル導体を有し、
 前記入出力端子側第1コイル導体は、前記第2巻回軸の方向において、前記複数の第2コイル導体のうち2つの第2コイル導体の間に位置し、かつ前記第2巻回軸の方向に視て、前記2つの第2コイル導体に重なり、
 前記2つの第2コイル導体のうち一方は前記入出力端子側第2コイル導体であり、
 前記入出力端子側第2コイル導体は、前記第1巻回軸の方向において、前記複数の第1コイル導体のうち2つの第1コイル導体の間に位置し、かつ前記第1巻回軸の方向に視て、前記2つの第1コイル導体に重なり、
 前記2つの第1コイル導体のうち一方は前記入出力端子側第1コイル導体である、
 コイルデバイス。
[請求項2]
 前記2つの第1コイル導体のうち前記入出力端子側第1コイル導体とは異なる他方は、一端が前記共通端子に接続された共通端子側第1コイル導体であり、
 前記2つの第2コイル導体のうち前記入出力端子側第2コイル導体とは異なる他方は、一端が前記共通端子に接続された共通端子側第2コイル導体である、
 請求項1に記載のコイルデバイス。
[請求項3]
 前記複数の第1コイル導体は、一端が前記共通端子に接続された共通端子側第1コイル導体と、前記入出力端子側第1コイル導体と前記共通端子側第1コイル導体とで前記第1巻回軸の方向に挟まれた中間第1コイル導体と、を含み、
 前記2つの第1コイル導体のうち前記入出力端子側第1コイル導体とは異なる他方は前記中間第1コイル導体であり、
 前記複数の第2コイル導体は、一端が前記共通端子に接続された共通端子側第2コイル導体と、前記入出力端子側第2コイル導体と前記共通端子側第2コイル導体とで前記第2巻回軸の方向に挟まれた中間第2コイル導体と、を含み、
 前記2つの第2コイル導体のうち前記入出力端子側第2コイル導体とは異なる他方は前記中間第2コイル導体である、
 請求項1に記載のコイルデバイス。
[請求項4]
 前記入出力端子側第1コイル導体の線幅は前記共通端子側第1コイル導体の線幅よりも太い部分を有し、前記入出力端子側第2コイル導体の線幅は前記共通端子側第2コイル導体の線幅よりも太い部分を有する、
 請求項2又は3に記載のコイルデバイス。
[請求項5]
 前記入出力端子側第1コイル導体の巻回数は、前記共通端子側第1コイル導体の巻回数よりも多く、前記入出力端子側第2コイル導体の巻回数は、前記共通端子側第2コイル導体の巻回数よりも多い、
 請求項2から4のいずれかに記載のコイルデバイス。
[請求項6]
 前記入出力端子側第1コイル導体の巻回数は1より多く、
 前記入出力端子側第1コイル導体に接続される層間接続導体は、前記入出力端子側第2コイル導体のコイル開口内に位置し、
 前記入出力端子側第2コイル導体の巻回数は1より多く、
 前記入出力端子側第2コイル導体に接続される層間接続導体は、前記入出力端子側第1コイル導体のコイル開口内に位置する、
 請求項1から5のいずれかに記載のコイルデバイス。
[請求項7]
 請求項1から6のいずれかに記載のコイルデバイスと、前記コイルデバイスに対して直列に接続された、移相量が90°未満の移相線路とを備える、移相回路。
[請求項8]
 送受信回路と、前記送受信回路に接続されるアンテナと、を備える通信装置であって、
 前記送受信回路と前記アンテナとの間に、請求項1から6のいずれかに記載のコイルデバイス又は請求項7に記載の移相回路を備えた、通信装置。
[請求項9]
 送受信回路と、前記送受信回路に接続されるダイプレクサと、を備える通信装置であって、
 前記送受信回路と前記ダイプレクサとの間に、請求項1から6のいずれかに記載のコイルデバイス又は請求項7に記載の移相回路を備えた、通信装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]