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1. WO2014129555 - 酸化セリウム複合粒子

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明 細 書

発明の名称 酸化セリウム複合粒子

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

発明の効果

0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための最良の形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

実施例

0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

産業上の利用可能性

0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 酸化セリウム複合粒子

技術分野

[0001]
本発明は、酸化セリウム系の紫外線遮断性粒子、青色光遮蔽性粒子、その製造方法及びこれを配合することにより得られる、透明で、安全性に優れ、かつ高い紫外線遮断効果、青色光遮蔽効果をもつ化粧料に関する。

背景技術

[0002]
紫外線は生体に対して悪影響を及ぼすことが知られており、波長が280~320nmのUV-B領域の紫外線は、皮膚の紅斑水泡等の炎症を引き起こし、波長が320~400nmのUV-A領域の紫外線は、メラニン生成を促して、皮膚の褐色化を生じさせることが知られている。このような紫外線の悪影響への対策として、従来から様々な日焼け止め化粧料が知られている。これらの化粧料に用いられてきた紫外線遮断剤としては、大別すると、有機系であるケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系等の紫外線吸収剤と、無機系である酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤との2種類に分けられる。しかし、有機系の紫外線吸収剤は、皮膚に対する刺激が生じたり光分解した成分が有害であったりと、紫外線遮断性能を上げるため一定量以上配合すると薬事法からも安全性の面から好ましくないとされている。そのため当該紫外線吸収剤を全く配合しない化粧料が求められてきた。更に、従来の無機系の紫外線散乱剤については、水に対する分散性を向上させても水溶液の透明性を高くすることは困難であったため、使用感の悪化を来すだけでなく不自然な化粧仕上がりとなる等の問題があった。 
[0003]
無機系の紫外線拡散剤について透明性の問題を解決するため、特許文献1や特許文献2に見られるようなセリウム化合物を紫外線吸収・拡散剤として利用する技術が提案されている。

さらに、特許文献3では、酸化セリウムに不定形シリカを複合する技術が提案されている。 
[0004]
特許文献4には、平均粒子径10nm以上300nm未満の酸化セリウムを含有する複合粒子からなる化粧料が提案されている。 
[0005]
他方、皮膚には、色の光を区別するオプシンというタンパク質があることが知られている。可視光のうち、青色光は、比較的エネルギーが大きく、皮膚深部にまで到達して皮膚組織を構成するコラーゲンを変性させ、皮膚の加齢を促進する。すなわち、青色光もシミ、そばかすの原因となりうる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開平6-145645号公報
特許文献2 : 特開平7-207251号公報
特許文献3 : 特開平9-118610号公報
特許文献4 : 特許第4741905号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0007]
特許文献1や2に記載の方法では、紫外線遮断能力を高めようとすると、透明性に問題が生じてしまう結果になる。

また、特許文献3に記載の方法は、酸化セリウムを不定形シリカ層で被覆することで、紫外線吸収・拡散剤である酸化セリウムの光触媒機能の発現を抑制し、人体に対する安全性を高めるのが主目的であるが、肌表面の凹凸に容易に入る200nm未満の粒子径に制御することができないだけではなく、粒子中の酸化セリウムの含有率が低下するため紫外線吸収・拡散剤としての効果を十分に発揮することができず、メトキシケイ皮酸オクチルなど有機系の紫外線吸収剤を追加にて添加せざるをえない内容となっている。 
[0008]
また、さらに、複合する不定形シリカと酸化セリウムとの光透過率に大きな差があるため各クラスター界面で、乱反射が起き、結果として白っぽくなり光透過性に劣ることになる。

また、特許文献4に記載の方法は、系中に酸化セリウムや酸化亜鉛等の光触媒機能の高い成分が含まれているため、バンドギャップを超えるようなエネルギーをもつ紫外線波長を吸収することによって起こる励起によって生じたラジカルにより皮膚を侵してしまう危険性がある。また、このような方法で製造された化粧料は、酸化チタンや酸化亜鉛を系中に含むことで、各成分界面で可視光の乱反射により透明性が低下するため、化粧の仕上がりの面から好ましくない。 
[0009]
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、人体に対し有害であるところの有機系の紫外線吸収剤を配合せず、人体に安全な紫外線遮断剤を提供することを一の課題とする。 
[0010]
また、従来の紫外線遮蔽剤は、青色光を遮蔽することはできなかった。

そこで、本発明は、青色光を遮蔽することができる青色光遮蔽剤を提供することを更なる課題とする。 
[0011]
また、本発明は、化粧料等に混ぜて使用しやすいように透明液状の紫外線遮断剤を配合した組成物や青色光遮蔽剤を配合した組成物を提供することを他の課題とする。

また、本発明は、皮膚に塗布した際に透明感を奏する紫外線遮断剤を配合した化粧料や青色光遮蔽剤を配合した化粧量を提供することを他の課題とする。

課題を解決するための手段

[0012]
上記のような課題に鑑み、本発明者が鋭意研究したところ、酸化セリウム粒子の表面に、白金に代表される白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、及びセリウムの水酸化物又は酸化物からなる成分を導入することによって、酸化セリウム粒子の表面に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、及びセリウムの水酸化物又は酸化物からなる成分を担持させること、一つの形態では、数nm~数10nmという極めて薄い層のシームレスな被覆層を形成することにより、内部の酸化セリウムが、そのバンドギャップ以上の紫外線により励起され、光触媒効果によるフリーラジカルを発生することを抑制する効果を見出したものである。さらに、被覆層と内部の可視光透過率は、ほぼ同じであるので、粒子の小ささと相まって極めて光透過性に優れることとなり、これらの相乗効果によって化粧料に適用可能な極めて優れた紫外線遮断性粒子となることを見出した。さらに、本発明者は、このような複合粒子は、青色光をも遮蔽することを見出した。 
[0013]
すなわち、上記課題を解決する第一の本発明は、酸化セリウム粒子に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物を担持してなる、酸化セリウム複合粒子である。 
[0014]
本発明の好ましい形態では、酸化セリウム複合粒子は、酸化セリウム粒子と、該酸化セリウム粒子の表面を被覆する、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物からなる被覆層と、を含む。

本発明の酸化セリウム複合粒子は、酸化セリウム粒子の表面が、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物からなる被覆層で覆われる構造を有しているため、紫外線によるフリーラジカルの発生が抑制され、皮膚への負担が小さいものである。

また、被覆層と内部の可視光透過率は、ほぼ同じであるので、従来の紫外線遮蔽剤に比して、粒子の小ささと相まって極めて光透過性に優れる。 
[0015]
第二の本発明は、上記酸化セリウム複合粒子を含む、紫外線遮蔽剤である。

本発明の紫外線遮蔽剤は、上記酸化セリウム複合粒子の性質故、皮膚への負担が小さいものであり、光透過性に優れるため、化粧料などに適用した場合に、化粧料としての透明感を容易に奏することを可能とするものである。 
[0016]
第三の本発明は、上記酸化セリウム複合粒子を水に分散してなる、酸化セリウム複合粒子水溶液である。

上記酸化セリウム複合粒子は、水への分散性に優れ、透明度の高い水溶液を形成することを可能とするものである。

従って、本発明の酸化セリウム複合粒子水溶液は、透明度の高いものである。 
[0017]
第四の本発明は、上記紫外線遮蔽剤を含む、化粧料組成物である。

このような化粧料組成物は、紫外線遮蔽効果を奏する。そのため、日焼け止め化粧料に応用できるものである。 
[0018]
第五の本発明は、酸化セリウム粒子水溶液に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種の錯体、並びにセリウム塩の混合水溶液を添加し、酸化セリウム複合粒子を形成する、酸化セリウム複合粒子の製造方法である。

このような製造方法により、上述した酸化セリウム複合粒子を効率よく製造することが可能となる。 
[0019]
上記本発明の製造方法の好ましい形態では、前記錯体及びセリウム塩の混合水溶液の酸化セリウム粒子水溶液への添加は、超音波照射下、150℃未満の温度下で行うことを特徴とする。

このような製造方法により、微細でかつ粒度分布がシャープな酸化セリウム複合粒子を製造することが可能となる。 
[0020]
上記本発明の製造方法の好ましい形態では、前記形成した酸化セリウム複合粒子を精製することを特徴とする。

これにより、不反応物質(残留塩)を取り除くことにより、透明度の高い化粧料原料を製造することが可能となる。 
[0021]
上記本発明の製造方法の好ましい形態では、前記酸化セリウム粒子分散液は、アルカリ金属の水酸化物又はアンモニアの水溶液に、セリウム塩を添加し、セリウムの水酸化物を生成させた後、昇温することにより酸化セリウムの結晶を生成させることにより調製することを特徴とする。

このような方法で、酸化セリウムの結晶を生成させることにより、従来の方法のようにセリウムの水酸化物を水熱処理したり、酸などの解コウ剤を添加したりする必要がなく、効率よく酸化セリウム粒子を生成することができる。 
[0022]
第六の本発明は、上記方法により製造した酸化セリウム複合粒子を水で希釈し、酸化セリウム複合粒子を水に分散させることを特徴とする、酸化セリウム複合粒子水溶液の製造方法である。

このような製造方法により、酸化セリウム複合粒子水溶液を製造することにより、透明性に優れた水溶液を得ることが可能となる。

発明の効果

[0023]
本発明の酸化セリウム複合粒子は、皮膚への安全性が高く、透明度の高い紫外線遮断剤として使用することができるものである。

また、酸化セリウム複合粒子を化粧料組成物の原料として用いることにより、安全性が高く透明感のある化粧料を提供することが可能となる。

また、本発明の酸化セリウム複合粒子の製造方法は、上記のような酸化セリウム複合粒子を効率よく製造することを可能とする。特に、本発明の製造方法は、微細で且つ粒径分布のシャープな酸化セリウム複合粒子を容易に得ることを可能とする。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 実施例1で製造した酸化セリウム複合粒子のXRDチャートである。
[図2] 実施例1で製造した酸化セリウム複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
[図3] 実施例1で製造した酸化セリウム複合粒子の光吸収スペクトルを示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0025]
<1>酸化セリウム複合粒子

本発明の酸化セリウム複合粒子は、酸化セリウム粒子に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物を担持してなる。

本発明の酸化セリウム複合粒子の好ましい形態では、酸化セリウム粒子からなる核(内部)と、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物からなる被覆層(外殻)により構成されている。

核を形成する酸化セリウム粒子は、従来知られているものを特に制限なく用いることができる。酸化セリウム粒子は、500nm以下、さらには100nm以下の範囲にあるものを好ましく用いることができる。酸化セリウム粒子の製造方法の例については、後述する。 
[0026]
上記酸化セリウム粒子は、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物を表面に担持する。

また、好ましい形態の一つでは、上記酸化セリウム粒子は、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物を含む被覆層によって表面が被覆されている。該被覆層は、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種と、セリウムの水酸化物又はセリウムの酸化物が結合した状態を有する。該被覆層の厚みは、好ましくは1~5nm、さらに好ましくは4~5nmである。上記酸化セリウム粒子表面への被覆層の形成方法の例については、後述する。

白金族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が挙げられ、中でも白金を好ましく用いることができる。 
[0027]
本発明の酸化セリウム複合粒子の平均粒子径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。

本発明の酸化セリウム複合粒子の平均一次粒子径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。このような範囲とすることにより、高い光透過性を実現することが可能となる。

また、本発明の酸化セリウム複合粒子の平均一次粒子径は、さらに好ましくは80nm以下である。このような範囲とすることにより、皮膚表面の凹凸に付着・保持されやすく、化粧料原料として使用性に優れたものとなる。 
[0028]
本発明において、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡を用いて粒子の画像を撮影し、撮影された画像から任意の10個の粒子について測定した直径の平均値をいうものとする。 
[0029]
本発明の酸化セリウム複合粒子は、紫外線遮蔽作用を有する。従って、本発明の酸化セリウム複合粒子は、紫外線遮蔽剤として使用することができる。また、本発明の酸化セリウム複合粒子は、青色光遮蔽作用を有する。従って、本発明の酸化セリウム複合粒子は、青色光遮蔽剤として使用することができる。

さらに、本発明の紫外線遮蔽剤、および青色光遮蔽剤は、化粧料組成物の原料として使用することができる。

後述の実施例に示すように、本発明の酸化セリウム複合粒子は、490nmより短波長の波長領域の可視光、不可視光を遮蔽する。特に、本発明の酸化セリウム複合粒子は、460nmより短波長の波長領域の可視光、不可視光をほぼ100%の遮蔽率で遮蔽する。

ここで、紫外線は、10~400nmの波長領域の不可視光(電磁波)をいう。また、青色光は、400nmより長波長で、490nm程度までの波長領域の可視光をいう。 
[0030]
<2>酸化セリウム複合粒子水溶液

上述した酸化セリウム複合粒子は、水に分散させ、水溶液の状態とすることができる。

該水溶液において、酸化セリウム複合粒子の分散粒子径は、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。このような範囲とすることにより、水溶液の高い透明性を実現することが可能となる。

本発明において、分散粒子径とは、堀場製作所製LB-500など動的光散乱方式粒子径測定装置にて、測定されたメジアン径をいう。

また、本発明の酸化セリウム複合粒子水溶液における、酸化セリウム複合粒子の含有割合は、好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。このような範囲で酸化セリウム複合粒子を含有させることにより、水溶液の適度な流動性を確保することができ、化粧料組成物への適用が容易となる。また、高い透明性を確保することも可能となる。 
[0031]
また、酸化セリウム複合粒子水溶液のpHは7~8程度とすることが好ましい。

酸化セリウム複合粒子は、上記pHの範囲においては、粒子表面が負に帯電している。そのため、粒子相互の静電気的反発力が作用し、水溶液中での粒子の安定化を図ることができる。 
[0032]
尚、水溶液中の酸化セリウム複合粒子が負電荷を有していることは、酸化セリウム複合粒子水溶液のゼータ電位を測定することによって確認できる。より具体的には、酸化セリウム複合粒子水溶液のゼータ電位が-(マイナス)10mV~-(マイナス)70mVとなっている状態に、pHを保持することが好ましい。 
[0033]
本発明の酸化セリウム複合粒子水溶液は、化粧料組成物の原料として使用することができる。

上述した通り、水溶液に含まれる酸化セリウム複合粒子は、紫外線遮蔽作用を有するため、該水溶液も、紫外線遮蔽を目的とした化粧料組成物の原料とすることができる。また、水溶液に含まれる酸化セリウム複合粒子は、青色光遮蔽作用を有するため、該水溶液も、青色光遮蔽を目的とした化粧料組成物の原料とすることができる。 
[0034]
<3>化粧料組成物

本発明の化粧料組成物は、酸化セリウム複合粒子を含むことを特徴とする。

化粧料組成物における、酸化セリウム複合粒子の含有量は、特に制限されないが、十分な紫外線遮蔽作用、青色光遮蔽作用を得る観点から、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上とすることができる。また、透明感を出す観点から、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下とすることができる。

また、化粧料組成物のpHについては、上述した酸化セリウム複合粒子水溶液の好ましいpHと同様に設定することができる。 
[0035]
化粧料組成物の形態としては、液状、ゲル状、固形等種々の形態をとることができる。

特に、上述した通り、酸化セリウム複合粒子水溶液は、透明性の高いものであるため、その性質を利用し、透明の化粧水、ローションの形態とすることが好ましい。この場合に、例えば、スプレー剤等とすることにより、肌に吹き付けるタイプの日焼け止めローションとして使用することができる。

また、ファンデーションへの上塗り化粧料として、上記化粧水、ローションを提供することも可能である。

また、本発明の酸化セリウム複合粒子は、光透過性に優れ、透明性が高いため、化粧下地やファンデーションの形態とすることにより、透明感のある自然な仕上がりを実現することが可能となる。 
[0036]
本発明に係る化粧料組成物は、複合粒子水溶液を化粧品配合中に添加して製造されるもの以外に、複合粒子の水溶液を気流乾燥機中にスプレーしたり、自然乾燥を行ったりした後、所望に応じて機械粉砕を行うなどして得られた粒子を添加して製造されるものも包含する。

また、例えば、日焼け止め化粧料は、任意の化粧料中に複合粒子を分散させたり、公知の化粧品配合中の原料として複合粒子を用いたりすることによって得ることができる。化粧料の形態としては、溶媒が存在しない無溶媒型化粧料、溶媒が有機溶剤である溶剤型化粧料、溶媒が水、又は水と親水性溶剤との混合物である水系化粧料など、用途に応じたあらゆる形態の化粧料を採用することができる。 
[0037]
<4>酸化セリウム複合粒子の製造方法

次に、本発明に係る酸化セリウム複合粒子の製造方法について説明する。

上述した酸化セリウム複合粒子は、酸化セリウム粒子水溶液に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種の錯体、並びにセリウム塩の混合水溶液を添加することにより製造することができる。ここで、前記錯体は塩を形成していてもよい。 
[0038]
(1)第一工程(酸化セリウム粒子の製造)

第一工程として、超音波照射下で、セリウム塩のモル数の2倍量以上であるアルカリ金属の水酸化物やアンモニアの水溶液に、セリウム塩を滴下し、セリウムの水酸化物を生成させた後、徐々に約100℃まで昇温し、結晶化させ、酸化セリウム粒子のゾルを製造する。

従来技術では、セリウムの水酸化物を水熱処理することで、結晶性の酸化セリウム粒子のゾルを得ているが、このような技術では、粒子が凝集してしまい、後処理にて酸などの解コウ剤の添加を必須とする。しかしながら、上記のような方法を使用することにより、上記水熱処理及び解コウ処理を特に必要としないという利点が得られる。なお、もちろん本発明の製造方法が、従来技術により酸化セリウム粒子のゾルを得ることを除外するものではないことはいうまでもない。 
[0039]
ここで用いるセリウム塩としては、特に限定されず、例えば、塩化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウムなど、第一セリウム塩類、第二セリウム塩類問わず、工業において公知の物質を使用することができる。

中でも、中和工程で、加水分解させる際の容易さと加水分解後の水溶液からの残留塩の処理のしやすさの観点から、塩化セリウムを用いることが好ましい。

また、セリウム塩として、第一セリウム塩を使用する場合は、効率的に酸化セリウムへの結晶化を進めるため予め過酸化水素水など酸化剤を共存させることが望ましい。 
[0040]
また、上記で用いる超音波照射装置としては、周波数60~400KHzを発生させるのであればどのような装置であっても使用できる。60KHz未満であると生成した粒子の分散径が大きくなりすぎるだけでなく不安定になるので好ましくなく、400KHz以上を発生させても分散安定化の効果は変わらない。 
[0041]
(2)第二工程(被覆層の形成)

第二工程としては、モル比で、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種の金属、好ましくは白金とセリウムが、例えば1:99~50:50、好ましくは5:95~30:70、さらに好ましくは10:90~15:85となるような組成で、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種の錯体、好ましくは白金酸又はその塩、並びにセリウム塩の混合溶液を予め用意しておき、これを第一工程で得られた酸化セリウム粒子のゾルに、超音波照射下で滴下しながら、第一工程と同様に昇温することで、酸化セリウム複合粒子のゾルを得る。

ここで用いるセリウム塩としては、第一工程で用いるものと同じものを用いることができる。また、超音波装置についても、第一工程で記載したものを用いることができる。

また、前記錯体としては、水溶性である物質であれば特に限定すべきものではないが、白金酸又はその塩が好ましく、その中でも特に水への溶解性が優れ容易に入手できるという観点から、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウムを好ましく用いることができる。 
[0042]
(3)第三工程(水溶液の調製)

第三工程として、第二工程で得られた酸化セリウム複合粒子のゾルから、遠心分離や自然沈殿によって、残留塩を含む水層をある程度まで除去し、濃縮を行う工程を25℃の導電率が、300μS/cm以下になるまで、繰り返す。これにより、酸化セリウム複合粒子を精製し、酸化セリウム複合粒子の高濃度液を得ることができる。

この脱塩工程で、遠心ろ過やフィルタープレスで、完全に水分を除去してしまうと、粒子の凝集を招くおそれがある。そのため、この脱塩工程では、完全に水分を除去しないことが好ましい。

このようにして得られた高濃度液は、化粧料組成物等の原料として用いることができるが、水溶液を調製する際には、この高濃度液を、純水に再分散する。また、この再分散する工程の際、予め適当な界面活性剤を使用して分散をしてもよい。

このようにして得られた複合粒子の水溶液は、気流乾燥機中にスプレーしたり、自然乾燥したりすることもできる。また、水分を除去した後に、機械粉砕を行うなどして、粒子を微細化することも可能である。

すなわち、本発明の複合粒子は、水溶液の形態でも、乾燥形態でも、化粧料組成物の原料として使用することが可能である。

また、本発明の複合粒子は、樹脂に含有または付着させることにより、紫外線遮蔽や青色光遮蔽に効果を有する機能性樹脂成型体の材料とすることができる。たとえば、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ビニル系樹脂等に含有させることができる。

樹脂成型体としては、食品などの透明容器、農業用ハウスのフィルム、衣服用繊維などがあげられる。

繊維中に複合粒子を含ませる方法としては、繊維の原料樹脂に練りこむ方法や繊維製造後に表面に固着させる方法が挙げられる。

このような本発明の複合粒子を含む樹脂成型体は、紫外線や青色光を遮蔽する効果を有するため、眼鏡の材料や屋外構造物の材料などとして用いることが可能である。

実施例

[0043]
以下に本発明の実施例を挙げ更に説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。 
[0044]
(実施例1)酸化セリウム複合粒子の調製

第一工程として、第一希元素化学工業製の第一塩化セリウム水溶液(CeO 2換算 20質量%)100gを、1Mの水酸化ナトリウム水溶液1000gを用意したフラスコに、定量ポンプで約1時間を要して添加した。添加は、5000rpmで攪拌下、フラスコの内部より株式会社エスエヌディ製超音波照射機SU-600Cにより超音波を照射しながら行った。この時の反応液温度は30℃であった。反応後、当該超音波照射機をフラスコ外部に敷き、超音波照射を行いながら密閉状態にし、徐々に100℃まで昇温し約2時間熟成させた。 
[0045]
第二工程として、白金とセリウムのモル比が、2:98になるように調製した塩化白金酸ナトリウムと塩化セリウムの混合水溶液(CeO 2換算 5%)を、フラスコ内に添加した。添加の方法は、第一工程と同様とした。

続いて、反応生成物をゆっくりと沈殿させ、上澄みを廃棄し、まだ沈殿させ、上澄みを廃棄するという操作を繰り返した。そして、水層と反応生成物の層とがはっきりと分かれるまでの沈殿時間が、16時間程度になった時点で、水溶液の導電率を堀場製作所製TWINCONDで測定し、150μS/cm以下であったため第二工程を終了した。 
[0046]
第三工程として、上記で得られたゾルを、ホモミキサー等で水中に再分散させ、CeO 2 10%の複合粒子の水溶液を調製した。再分散は、1ppmの濃度になるようにあらかじめ調製したクエン酸ナトリウム水溶液を加えながら、行った。

このようにして得られた複合粒子水溶液における複合粒子の粒子径を、堀場製作所製LB-550にて測定したところメジアン系が、40nmであった。さらに、液体を常温乾燥させた後、X線回折(XRD)を測定し、酸化セリウムの結晶であることの確認を行った。

また、粒子構造を把握するため透過型電子顕微鏡での測定を行ったところ、酸化セリウムからなる核(内部)と、それを被覆する被覆層(外殻)を有していることが、確認された。また、その粒子はいずれも20nm程度の大きさを有しており、その粒度分布がシャープであった。 
[0047]
(試験例)

「Nano Tek CeO 2 水」(平均粒子径15nmの10%酸化セリウム水分散液;シーアイ化成株式会社製)および実施例1で得られた10%水分散液各10gに、ジグリセリンラウレート(皮脂の疑似成分)10mgをシャーレ中に配合した後、40℃で24時間乾燥した。

常温にて、365nmブラックライトを照射強度1mW/cm 2で3時間照射し、目視にて黄変の確認を行ったところ前者のみ目視で黄変が見られた。

これより、本発明の複合粒子は、光触媒によるフリーラジカルの発生を抑制する効果を有することが分かった。 
[0048]
これは、本発明の複合粒子では、白金が存在することにより、構造中に2種の酸化状態の酸化セリウム(Ce 3+,Ce 4+)または水酸化セリウムが平衡状態にて存在することになるためである。バンドギャップ以上の紫外線、青色光を吸収することにより励起され、発生した正孔(P +)はCe 3+により捕捉され、Ce 4+に変化することで消失するので、光活性を失うことで、本来この正孔によって引き起こされるべきラジカル種を発生し難いことになる。また同時に発生するE -(電子)は、Ce 4+を還元し、Ce 3+に戻すため全体的にCe 3+およびCe 4+の物理量は平衡を保つことになり、触媒的サイクルを取る。 
[0049]
実施例1で得られた複合粒子について、各波長領域の光線の遮蔽率を測定した結果を図1に示す。これより、本発明の複合粒子は、490nmより短波長の光線については50%という高い遮蔽率を示し、特に460nmより短波長の光線についてはほぼ100%という高い遮蔽率を示すことがわかる。 
[0050]
(実施例2)日焼け止め化粧料

実施例1で得られた酸化セリウム複合粒子の水溶液(濃度12%)50gに、電気分解水49.49g、ヒアルロン酸ナトリウム0.5g、トリエタノールアミン0.01gを添加し、日焼け止め化粧料を得た。ISO 24444 SUN PROTECTION FACTOR TEST METHODに準拠した方法で、外部機関にてSPFを測定したところSPF50であった。

また、スライドガラスに上記日焼け止め化粧料を1mg/cm 2になるように塗布した試験片の500nm光透過率を計測したところ98%であった。 
[0051]
(比較例1)

セリガード(非晶質シリカ被覆酸化セリウム;日本電工製)12g、ポイズ520 0.12g(花王株式会社)と水 88gをフィルミックス40-40(PRIMIX製)に投入し、20,000rpmにて処理し、非晶質シリカ複合酸化セリウムの分散粒子径が40nmである分散液を得た。

得られた分散液50gに電気分解水49.49g、ヒアルロン酸ナトリウム0.5g、トリエタノールアミン0.01gを添加し、日焼け止め化粧料を得た。

また、スライドガラスに上記日焼け止め化粧料を1mg/cm 2になるように塗布した試験片の500nm光透過率を計測したところ68%であった。 
[0052]
(実施例3)日焼け止め化粧料

実施例1で得られた酸化セリウム複合粒子の水溶液(濃度12%)1kgにTSF484Aの30%エタノール溶液200gを添加した混合液を、ゼルビスXB(ホソカワミクロン株式会社製)で気流乾燥し、二次平均粒子径(凝集径)100nmの粉末を100g得た。

アエロジルR972(Evonik Degussa Japan Co.,Ltd.)20gと上記で得られた粉末80gを混合し、粉末状化粧品を得た。

UV-2000S SPFアナライザー(Labsphere社製)でin-Vitro SPF値を測定したところ100であった。

産業上の利用可能性

[0053]
本発明に係る紫外線遮蔽性粒子、青色光遮蔽粒子は、極めて粒子径が小さく安定しているため外観上透明である。下地材であるファンデーションへの上塗りとして、本件粒子を配合する化粧料を塗った場合、ファンデーションの色目を変化させないため、さまざまな化粧料との組合せの自由度があり、好適に利用可能である。

請求の範囲

[請求項1]
酸化セリウム粒子に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物を担持してなる、酸化セリウム複合粒子。
[請求項2]
酸化セリウム粒子と、

該酸化セリウム粒子の表面を被覆する、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種、並びにセリウムの水酸化物又は酸化物からなる被覆層と、を含む、請求項1に記載の酸化セリウム複合粒子。
[請求項3]
白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種が、白金である、請求項1または2に記載の酸化セリウム複合粒子。
[請求項4]
平均一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の酸化セリウム複合粒子。
[請求項5]
請求項1~4のいずれかに記載の酸化セリウム複合粒子からなる、紫外線遮蔽剤。
[請求項6]
請求項1~4のいずれかに記載の酸化セリウム複合粒子からなる、青色光遮蔽剤。
[請求項7]
請求項1~4のいずれかに記載の酸化セリウム複合粒子を水に分散してなる、酸化セリウム複合粒子水溶液。
[請求項8]
酸化セリウム複合粒子の分散粒子径が200nm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の酸化セリウム複合粒子水溶液。
[請求項9]
請求項5に記載の紫外線遮蔽剤を含む、化粧料組成物。
[請求項10]
請求項6に記載の青色光遮蔽剤を含む、化粧料組成物。
[請求項11]
酸化セリウム粒子水溶液に、白金族金属、及び金から選ばれる少なくとも一種の錯体、並びにセリウム塩の混合水溶液を添加し、酸化セリウム複合粒子を形成させることを特徴とする、酸化セリウム複合粒子の製造方法。
[請求項12]
前記錯体、及びセリウム塩の混合水溶液の酸化セリウム粒子水溶液への添加は、超音波照射下、150℃未満の温度下で行うことを特徴とする、請求項11に記載の酸化セリウム複合粒子の製造方法。
[請求項13]
前記形成した酸化セリウム複合粒子を精製することを特徴とする、請求項11又は12に記載の酸化セリウム複合粒子の製造方法。
[請求項14]
前記酸化セリウム粒子水溶液は、アルカリ金属の水酸化物又はアンモニアの水溶液に、セリウム塩を添加し、セリウムの水酸化物を生成させた後、昇温することにより酸化セリウムの結晶を生成させることにより調製することを特徴とする、請求項11~13の何れかに記載の酸化セリウム複合粒子の製造方法。
[請求項15]
請求項11~14の何れかに記載の製造方法により製造した酸化セリウム複合粒子を水に分散させることを特徴とする、酸化セリウム複合粒子水溶液の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]