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1. WO2012008551 - メタマテリアルの製造方法およびメタマテリアル

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明 細 書

発明の名称 メタマテリアルの製造方法およびメタマテリアル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121  

実施例

0122   0123   0124   0125   0126   0127  

産業上の利用可能性

0128  

符号の説明

0129  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : メタマテリアルの製造方法およびメタマテリアル

技術分野

[0001]
 本発明は、メタマテリアルの製造方法、およびメタマテリアルに関する。

背景技術

[0002]
 従来、メタマテリアルを製造する方法およびメタマテリアルに関連した技術が開示されている。
[0003]
 例えば、特開2006-350232号公報(特許文献1)には、光波の波長よりも小さな電気共振器と磁気共振器との少なくともいずれか一方を所定の平面内においてのみ複数配置したメタマテリアルが開示されている。また、特開2009-057518号公報(特許文献2)には、基材上にナノ金属構造体を形成する工程と、前記金属ナノ構造体が埋め込まれている樹脂膜を形成する工程と、前記樹脂膜を前記基材から剥離する工程とを有し、前記基材上にナノ金属構造体を形成する工程が、少なくとも、基材上に設けられた鋳型の表面に、無電解めっきにより形成される金属層を含む被覆膜を形成する工程と、前記被覆膜の一部または全部を残したまま、前記鋳型の一部または全部を除去する工程とを有することを特徴とする異方性フィルムの製造方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特開2006-350232号公報
特許文献2 : 日本国特開2009-057518号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、メタマテリアルを製造する方法に関連した従来の技術においては、リソグラフィーの技術を用いているため、電磁波共振体を有するメタマテリアルを効率的に製造できないという問題があった。
[0006]
 本発明の一つの目的は、より効率的にメタマテリアルを製造する方法およびメタマテリアルを提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は、以下のメタマテリアルの製造方法およびメタマテリアルを提供する。
(1)電磁波に対して共振する電磁波共振体を備える、メタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体の形状に対応する形状を有する支持体に、前記電磁波共振体を形成する材料を蒸着することによって、前記支持体に前記電磁波共振体を配置することを含むメタマテリアルの製造方法。
(2)(1)に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体を形成する材料を、物理蒸着することによって前記支持体に前記電磁波共振体を配置するメタマテリアルの製造方法。
(3)(1)又は(2)に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体を形成する材料は、異なる2以上の方向から前記支持体に蒸着されるメタマテリアルの製造方法。
(4)(1)から(3)までのいずれか一つに記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体は、前記電磁波共振体の形状に対応する凸の曲面の形状を有し、前記電磁波共振体を形成する材料は、前記支持体の前記凸の曲面に蒸着される、メタマテリアルの製造方法。
(5)(1)から(4)までのいずれか一つに記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体に誘電体を蒸着し、さらに導電性材料および/または誘電体を蒸着するメタマテリアルの製造方法。
(6)(5)に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体が複数の平面を有し、前記複数の平面は、互いに対して段差を有するメタマテリアルの製造方法。
(7)(1)から(6)までのいずれか一つに記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体の材料は、前記電磁波に対して透過性の材料である、メタマテリアルの製造方法。
(8)(7)に記載のメタマテリアルの製造方法であって、粘着性を有する材料に転写された前記電磁波共振体を積層した後、一体化するメタマテリアルの製造方法。
(9)(1)から(6)までのいずれか一つに記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体に設けられた電磁波共振体を、粘着性を有する材料に転写した後に支持体と分離して、回収するメタマテリアルの製造方法。
(10)(1)から(6)および(9)のいずれか一つに記載のメタマテリアルの製造方法であって、電磁波共振体を、固化後に前記電磁波に対して透明な誘電体となる材料からなる液体、または固化後に前記電磁波に対して透明な誘電体となる材料を含む液体に分散した後に固化させるメタマテリアルの製造方法。
(11)複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体上の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、
前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であり、略開放四角形型または略U字型が有する二つの端部の長さが異なるメタマテリアル。
(12)高さ、幅および/または奥行の異なる、複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、
前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であるメタマテリアル。

発明の効果

[0008]
 本発明の一つの態様によれば、より効率的にメタマテリアルを製造する方法を提供できる。また、その態様の利点を生かして、負の屈折率を実現するメタマテリアルを実現できる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 図1(a)~(b)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図2] 図2(a)~(c)は、ある特定の周波数の電磁波に対する電磁波共振体の共振の性質を評価する方法を説明する図である。
[図3] 図3(a)~(b)は、本発明の第二の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図4] 図4は、本発明の第三の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図5] 図5(a)~(b)は、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図6] 図6(a)~(d)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図7] 図7(a)~(e)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[図8] 図8は、本発明の実施形態によって製造されるメタマテリアルの例を説明する図である。
[図9] 図9は、本発明の第六実施形態によって製造されたメタマテリアルの断面形状を示す透過電子顕微鏡写真である。
[図10] 図10は、本発明の第六の実施形態によって製造されたメタマテリアルの吸光度測定結果を示した図である。
[図11] 図11は、本発明の第六の実施形態によって製造されたメタマテリアルの分光透過率測定結果を示した図である。
[図12] 図12は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法のうち、斜め蒸着を説明する図である。
[図13] 図13(a)~(c)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルの電磁界解析モデルのユニットセルを説明する図である。
[図14] 図14は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルの電磁界解析結果を説明する図である。
[図15] 図15(a)~(d)は、本発明の実施形態に係る高さ、幅および/または奥行の異なる電磁波共振体の誘電率と透磁率の周波数依存性を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
[0011]
 図1(a)~(b)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における支持体を説明する図である。図1(b)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法におけるメタマテリアルを説明する図である。
 なお、メタマテリアルとは、金属、誘電体、磁性体、半導体、超伝導体などの波長に対して同等もしくはそれよりも小さな構造からなる単位粒子を誘電体中にランダムに分散もしくは規則的に配置した物質を意味し、後述する第一~第六の実施形態や実施例で表わされるように、種々の形態を取ることができる。
[0012]
 まず、図1(a)に示すように、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波に対して共振する電磁波共振体(以下、単に「電磁波共振体」とも記載する)を支持するための支持体11を作製する。支持体11を作製する方法は、特に限定されないが、ナノインプリント法を用いて支持体11を作製してもよい。ナノインプリント法は、例えば、基板に光硬化性樹脂の層を設けること、電磁波共振体の形状に対応する形状を反転させたパターンを有するモールドを光硬化性樹脂の層に押し付けること、モールドを光硬化性樹脂の層に押し付けた状態で光硬化性樹脂を硬化させて樹脂硬化体を得ること、及び、樹脂硬化体からモールドを剥離することによって、樹脂硬化体である支持体11を得ることができる。
[0013]
 支持体11は、メタマテリアルに含まれる電磁波共振体の形状に対応する形状を有する。ここで、電磁波共振体の形状に対応する支持体11の形状は、支持体11に電磁波共振体の材料を蒸着するとき、蒸着されて形成された電磁波共振体が、電磁波に対して共振する形状を有するような形状である。図1(a)に示すような支持体11は、電磁波共振体のUの字、又は、少なくとも四角形の一部が開いている形状(以下、開放四角形という)の断面の形状に対応するUの字又は開放四角形の形状を有する。
[0014]
 支持体11の材料は、特に限定されない。支持体11をナノインプリント法によって作製するときは、支持体は、好ましくは、光硬化性樹脂を硬化することによって得られる樹脂からなる。このような樹脂としては、例えば、国際公開第2006/114958号、日本国特開2009-073873号公報、日本国特開2009-019174号公報などに記載される樹脂が挙げられる。
[0015]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、支持体11の材料は、電磁波共振体の共振周波数の電磁波に対して透過性の材料である。例えば、成形可能な紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などがあり、アクリル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、転写成形が可能なガラス、ドライエッチングにより微細加工ができるシリコン、鋳込み成形により形状付与が可能なセラミックスなども支持体として用いることができる。
 この場合には、支持体11から電磁波共振体を回収することなく、支持体11及び電磁波共振体を含むメタマテリアルそれ自体を光学素子のような機能性の素子として使用できる。
[0016]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、支持体11は、樹脂からなる。この場合には、メタマテリアルに含まれる電磁波共振体の形状に対応する形状を有する支持体11を容易に作製できる。
[0017]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、支持体11を構成する樹脂は、熱可塑性の樹脂である。この場合には、メタマテリアルを加熱することによって支持体11をより容易に軟化又は溶融させることができる。このため、支持体11から電磁波共振体を容易に回収できる。
[0018]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、支持体11を構成する樹脂は、フッ素系樹脂を含む。支持体11は、フッ素系樹脂からなるものであってもよい。また、支持体11は、電磁波共振体の材料が蒸着される側が、フッ素系樹脂で被覆されたものであってもよい。
[0019]
 この場合には、支持体11が、より高い疎水性を有するフッ素系樹脂を含むため、導電性材料又は誘電体のような電磁波共振体を支持体11から容易に回収できる。
[0020]
 次に、図1(b)に示すように、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体12の形状に対応する形状を有する支持体11に電磁波共振体12の材料を蒸着する。このようにして、支持体11に電磁波共振体12が設けられる。その結果、支持体11及び電磁波共振体12を含むメタマテリアル13を製造できる。
[0021]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、電磁波は、電波の波長領域における電磁波(10mmを超える波長を有する電磁波)、ミリ波・テラヘルツ波における電磁波(100μmを超えるかつ10mm以下)、赤外線の波長領域における電磁波(780nmを超える且つ100μm以下の波長を有する電磁波)、可視光の波長領域における電磁波(380nmを超える且つ780nm以下)、及び紫外線の波長領域の電磁波(10nmを超える且つ380nm以下)の波長を有する電磁波のいずれであってもよい。
[0022]
 また、電磁波共振体12は、一種のLC回路を構成する形状を有するものである。図1(b)に示すように、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体12の形状は、略U字型又は略開放四角形型の断面を有する形状である。このように、電磁波共振体12の形状は、電磁波共振体12がキャパシタンスを有するように、ギャップを介した互いに対向する面を有する。図1(b)に示す電磁波共振体12は、略U字型又は略開放四角形型の両方の端部の間にギャップを有する。また、電磁波共振体12の形状は、電磁波共振体12がインダクタンスを有するように、伝導電流及び変位電流がループを形成することが可能な構造を有する。図1(b)に示す電磁波共振体12は、略U字型又は略開放四角形型の一方の端部から他方の端部までを流れる伝導電流及び略U字型又は略開放四角形型の両方の端部の間のギャップに発生する変位電流がループを形成できる構造を有する。
[0023]
 図1(b)に示す電磁波共振体12は、略U字型又は略開放四角形型の断面の形状を有するもの(Split Ring Resonator(SRR))であるが、他の形状の電磁波共振体として、例えば、日本国特開2006-350232号公報等に開示されたような、互いに反対側に開口部を有する二つのU字状部の組み合わせの形状を有する電磁波共振体を用いてもよい。
 略U字型または略開放四角形型の電磁波共振体は、周波数が高くなるにつれて、磁気的共振と電気的共振を起こし、それぞれの共振周波数の直後の高周波数帯で透磁率と誘電率が負の値をとる。このとき、電磁波共振体が対称な形状の場合には、誘電率と透磁率がそれぞれ負となる周波数は異なる。
 しかし、本発明者らは、電磁波共振体がSRRの場合の態様として、略U字型または略開放四角形型のうち、略U字型または略開放四角形が有する2つの端部のうち、片方を他方に比べて長く、非対称にすることで特定の周波数帯で、誘電率と透磁率を負の値とし、負の屈折率が実現できることを見出した。
 すなわち、略U字型または略開放四角形型の電磁波共振体の片側の端部の長さを、他方に比べて長くすることによって、電気的共振の周波数を低い周波数にシフトさせることができる。したがって、片側の端部の長さを調整することによって、透磁率、誘電率ともに同じ周波数帯で負の値を持たせることが可能となり、同じ周波数帯で負の屈折率を実現できる。
 また、別の態様では、ナノインプリントによって、高さ、幅および/または奥行の異なる、複数の支持体を配置し、電磁波共振体の高さ、幅および/または奥行を変えることで、ある周波数帯の屈折率を負にできることを見出した。
 すなわち、本発明においては、以下の特徴を有するメタマテリアルであることが好ましい。
(i)複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体上の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であり、略開放四角形型または略U字型が有する二つの端部の長さが異なるメタマテリアル。
(ii)高さ、幅および/または奥行の異なる、複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であるメタマテリアル。
 ここで、上記(i)のメタマテリアルにおいて、「二つの端部の長さが異なる」とは、電磁波共振体が略開放四角形型である場合は、略開放四角形の二つの末端部を始点とし、そこから略開放四角形の形状に沿う部分の一辺のそれぞれの長さが異なることを意味し、電磁波共振体が略U字型である場合は、U字の頂点からそれぞれの端部までの長さが異なることを意味する。
 図15(a)~(d)は、電磁波共振体の高さ、幅および奥行、すなわち大きさの異なる電磁波共振体の誘電率と透磁率の周波数依存性を説明する図である。図15(a)と図15(b)は、それぞれ、ある大きさAとそれとは別の大きさBの電磁波共振体(支持体の図示は省略)を説明する図である。図15(c)と図15(d)は、それぞれ、図15(a)と図15(b)の電磁波共振体の誘電率と透磁率の実部の周波数依存性を示す図である。誘電率は、図15(a)と図15(b)の電磁波共振体において、それぞれ、ε 、ε とする。透磁率は、図15(a)と図15(b)の電磁波共振体において、それぞれ、μ 、μ とする。
 図15(a)に示された、ある大きさAの電磁波共振体では、誘電率ε が負になる周波数帯と透磁率μ が負になる周波数帯は一般には異なる。
 しかし、上述の大きさAを有する電磁波共振体において、図15(c)に示されるように誘電率が負になる周波数帯ω 12で、透磁率が負になる別の大きさBの電磁波共振体とを組み合わせることで、周波数帯ω 12の屈折率を負(電磁波共振体Aの誘電率ε と電磁波共振体Bの透磁率μ が共に負)にできる。
 屈折率を負にできると、その効果として、レンズを作製した場合に、回折限界を超えて光を絞り込むことができ、波長オーダーを下回る物体を光学的な像として認識できる。また、屈折率が負の物質を用いたシートで物体を包み込むと、電磁波が前記シートを通って物体迂回する透明マントやクローキングといった現象が可能となる。
[0024]
 電磁波共振体12の材料は、金属又は導電性化合物などの導電性の材料が好ましい。導電性の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、又は金のような金属、グラフェン等の低抵抗のカーボンが挙げられる。また、電磁波共振体12の材料は、誘電体であってもよい。誘電体としては、例えば、SiO (比誘電率:3.7)、Ta (比誘電率:29)、又はBaTiO (比誘電率:100)などが挙げられる。
[0025]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体12の材料は、誘電体である。この場合には、電磁波共振体12を含むメタマテリアル13を通過する高周波の電磁波の損失を低減できる。
[0026]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体12の材料は、導電性の材料である。この場合には、後述するような、電磁波共振体12によって形成される反抗磁場が、より強いものであるため、メタマテリアル13の比透磁率、屈折率、及び分散をより有効に制御できる。
[0027]
 次に、電磁波共振体12の作用を説明する。電磁波共振体12に、電磁波共振体の共振周波数の電磁波が入射すると、時間と共に周期的に変動する電磁波の磁場は、ファラデーの電磁誘導の法則に従って、電磁波共振体12に伝導電流及び変位電流を生じさせると考えられる。このとき、電磁波共振体12に生じる伝導電流及び変位電流は、ファラデーの電磁誘導の法則に従って、時間と共に周期的に変動する電磁波の磁場を弱めるようなものと考えられる。そして、電磁波共振体12に生じた伝導電流及び変位電流は、アンペールの法則に従って、電磁波共振体12に入射した電磁波の磁場を弱める反抗磁場を形成すると考えられる。その結果、電磁波共振体12は、電磁波共振体12の共振周波数の電磁波に対するメタマテリアル13の比透磁率を変化させると考えられる。また、電磁波共振体12の共振周波数の電磁波に対するメタマテリアル13の屈折率は、電磁波共振体12の共振周波数の電磁波に対するメタマテリアル13の比透磁率に依存する。このため、電磁波共振体12は、電磁波共振体12の共振周波数の電磁波に対するメタマテリアル13の屈折率(分散)を変化させると考えられる。
[0028]
 また、電磁波共振体12に入射した電磁波の磁場のエネルギーは、電磁波共振体12によって形成された反抗磁場によって低減されるため、電磁波共振体12は、共振周波数の電磁波のエネルギーの少なくとも一部を吸収することになると考えられる。このように、ある特定の周波数(電磁波共振体の共振周波数)の電磁波に対する電磁波共振体12の共振の性質を、ある特定の周波数における電磁波共振体の形状に起因する電磁波の吸収によって、評価できる。
[0029]
 次に、ある特定の周波数の電磁波に対する電磁波共振体12の共振の性質を評価する方法を説明する。
[0030]
 図2(a)~(c)は、ある特定の周波数の電磁波に対する電磁波共振体の共振の性質を評価する方法を説明する図である。図2(a)は、ある特定の周波数の電磁波に対する電磁波共振体の共振の性質を評価する装置を説明する図である。
[0031]
 図2(a)に示すように、電磁波共振体12を含む試料22の共振の性質を評価する装置21は、光源23、偏光板24、及び分光光度計25を含む。装置21において、光源23は、無偏光の白色光を発生する。光源23から発生した無偏光の白色光は、偏光板24を通過する。偏光板24を通過した白色光は、直線偏光である。次に、直線偏光の白色光は、試料22に入射する。試料22に入射した直線偏光の白色光のうち共振周波数の直線偏光が、試料22に含まれる電磁波共振体12と共振すると、共振周波数の直線偏光は、試料22に含まれる電磁波共振体12によって吸収される。そこで、分光光度計25を用いて白色光における様々な波長に対する試料22を通過した直線偏光の吸光度を測定する。
[0032]
 次に、電磁波共振体12に代えて、電磁波共振体12の材料と同一の材料で作られた(実質的に)球状の粒子を用いて、同様にして、直線偏光の波長に対する試料22における粒子の吸光度を得る。そして、試料22における電磁波共振体12の吸光度及び試料22における粒子の吸光度の間に有意な差が観察される場合には、電磁波共振体12は、電磁波に対して単純な粒子とは異なる共振する電磁波共振体であると判断される。
[0033]
 さらに、図2(a)に示される装置21を用いて、試料に電磁波共振体がランダムに配置されているか、規則的に配列されているか、を調べることもできる。装置21は、好ましくは、試料22を回転させる手段及び偏光板24を回転させる手段の少なくとも一方を有する。
[0034]
 まず、電磁波共振体を含む試料について波長を切り換えて吸光度を測定した後、吸収のピークとなる波長を特定する。そして、光源23から発生する無偏光の白色光の波長をこの特定された波長に固定し、偏光板を回転させるか、または試料を回転させるかして、吸光度の変化を観察する。なお、試料22は、実線と破線とで示されるように回転させるほか、H方向にも回転させて吸光度の変化を観察する。偏光板24はH方向に回転させて、吸光度の変化を観察する。図2(b)は偏光板を回転させた場合、図2(c)は試料を回転させた場合、の電磁波共振体の吸光度の変化を説明する図である。
[0035]
 試料22における電磁波共振体12が規則的に配列された場合には、試料22に含まれた電磁波共振体12に起因する直線偏光の吸光度は、直線偏光の方向と電磁波共振体の規則的な配列の方向との間の角度に依存する。このため、図2(b)の実線に示すように、偏光板24を回転させると、試料22に含まれた電磁波共振体12に起因する光の吸光度は、変動する。また、図2(c)の実線に示すように、試料22を回転させる手段によって試料22を回転させると、試料22に含まれた電磁波共振体12に起因する光の吸光度は、変動する。
[0036]
 また、試料22における電磁波共振体12がランダムに配置された場合には、図2(b)の点線に示すように偏光板を回転させても、試料22に含まれた電磁波共振体12に起因する光の吸収は偏光板の回転に依存しない。さらに、図2(c)の点線に示すように、試料22を回転させる手段によって試料22を回転させても、試料22に含まれた電磁波共振体12に起因する光の吸光度は、試料22の回転に依存しない。
[0037]
 図1(b)に示すような電磁波共振体12は、おおむねミリメートル以下のサイズを有する微細電磁波共振体であってもよい。この場合には、電磁波共振体12の共振周波数は、通常可視光の周波数の領域にある。このため、可視光の波長に対するメタマテリアル13の比透磁率/屈折率/分散を制御できる。
[0038]
 図1(b)に示す本発明の第一の実施形態においては、電磁波共振体12は、メタマテリアル13において規則的に配置されている。しかしながら、電磁波共振体12は、メタマテリアル13において不規則に(ランダムに)配置されることもある。電磁波共振体12が、メタマテリアル13において不規則に(ランダムに)配置される場合には、例えば、電磁波の偏光の方向に対して等方性の物理的な性質(例えば、比透磁率、屈折率、分散など)を有するメタマテリアル13を提供できる。
[0039]
 次に、支持体11に電磁波共振体12の材料を蒸着する方法としては、物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)が挙げられる。
[0040]
 物理蒸着は、固体の原料を加熱することによって原料を気化させること、および気化させられた原料のガスを基板の表面に堆積させる手段である。さらに、物理蒸着としては、真空蒸着、スパッタリングおよびイオンプレーティングなどが挙げられる。真空蒸着としては、例えば、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着などが挙げられる。スパッタリングとしては、例えば、直流(DC)スパッタリング、交流(AC)スパッタリング、高周波(RF)スパッタリング、パルス化直流(DC)スパッタリング、マグネトロンスパッタリングなどが挙げられる。
[0041]
 化学蒸着は、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積させる手段である。化学蒸着としては、例えば、熱CVD、光CVD、プラズマCVD、エピタキシャルCVDなどが挙げられる。
[0042]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体12の形状に対応する形状を有する支持体11に電磁波共振体12の材料を蒸着する前後に特別な処理(エッチング、アッシング、リフトオフなど)をすることなく、支持体11に所定の形状を有する電磁波共振体12を形成できる。
[0043]
 よって、本発明の第一の実施形態によれば、電磁波共振体12を含むメタマテリアル13をより容易に製造することが可能な、メタマテリアルを製造する方法を提供できる。
[0044]
 本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体12の材料は、物理蒸着の手段によって蒸着される。この場合には、電磁波共振体12の材料の化学反応を用いることなく、支持体11に電磁波共振体12を設けることができる。その結果、支持体11により均一な電磁波共振体12を設けることができる。
[0045]
 図1(b)に示すように、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、支持体11は、電磁波共振体12の形状に対応する平面を含む形状を有する凸部を備える。
 また、電磁波共振体12の材料は、支持体11の平面の法線に対して斜めの方向から支持体11に蒸着させることができる。
[0046]
 例えば、電磁波共振体12の材料の供給源を支持体11の凸部の平面の法線に対して斜めの方向に配置する。そして、電磁波共振体12の材料の供給源から供給される電磁波共振体12の材料を支持体11の凸部の平面に蒸着する。
[0047]
 この場合には、電磁波共振体12の材料の供給源の配置する方向を変えることで、支持体11の凸部の平面以外の支持体11の表面(側面など)における電磁波共振体12の材料の蒸着をコントロールすることができる。また、電磁波共振体12の材料を、異なる2以上の方向から支持体に蒸着させることもできる。
[0048]
 図3(a)~(b)は、本発明の第二の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。図3(a)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法におけるメタマテリアルを製造する装置を示す図である。図3(b)は、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において製造されるメタマテリアルを示す図である。
[0049]
 図3(a)~(b)に示すような、本発明の第二の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、好ましくは、支持体32に設けられた電磁波に対して共振する電磁波共振体34を粘着性を有する材料33に転写する方法である。支持体32に設けられた電磁波共振体34は、例えば、本発明の第一の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における支持体11に設けられた電磁波共振体12であってもよい。
[0050]
 粘着性を有する材料33は、粘弾性を有する材料であってもよい。粘弾性を有する材料としては、例えば、シリコーンゴムが挙げられる。
[0051]
 支持体32に設けられた電磁波共振体34を粘着性を有する材料33に転写する方法としては、例えば、図3(a)に示すように、メタマテリアルを製造する装置31を用いる。メタマテリアルを製造する装置31においては、加圧ローラー36を用いて、支持体32に設けられた電磁波共振体34に対して粘着性を有する材料33のシートを押し付ける。それによって、支持体32に設けられた電磁波共振体34を粘着性を有する材料33のシートに転写できる。その結果、図3(b)に示すような、粘着性を有する材料33のシート及び当該シートに転写された電磁波共振体34を含むメタマテリアル35が得られる。図3(a)に示すように、電磁波共振体34が転写された粘着性を有する材料33のシート(メタマテリアル35)は、巻き取られる。
[0052]
 本発明の第二の実施形態によれば、粘着性を有する材料33のシート及び当該シートに転写された電磁波共振体34を含むメタマテリアル35を容易に製造できる。
[0053]
 なお、支持体に電磁波共振体を設けること及び支持体から電磁波共振体を回収することを繰り返して又は連続的に行うことによって、電磁波共振体を含むメタマテリアルをより効率よく製造できる。更に、メタマテリアル35を積層した後に一体化することにより、バルク上のメタマテリアルを製造できる。
[0054]
 本発明の第二の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、粘着性を有する材料33のシートは、電磁波共振体34の共振周波数の電磁波に対して透過性の材料である。この場合には、粘着性を有する材料33のシートから電磁波共振体34を回収することなく、粘着性を有する材料33のシート及び電磁波共振体34を含むメタマテリアル35それ自体を光学素子のような機能性の素子として使用できる。
[0055]
 図4は、本発明の第三の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。
[0056]
 図4に示すように、本発明の第三の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波に対して共振する電磁波共振体42が転写された粘着性を有する材料41を溶融させることによって、溶融した粘着性を有する材料41に電磁波共振体42を分散させること、及び、電磁波共振体42が分散させられた溶融した粘着性を有する材料41を固化させることを含む。
[0057]
 本発明の第三の実施形態によれば、固化した粘着性を有する材料41に電磁波共振体42が分散させられたメタマテリアルをより容易に製造できる。
[0058]
 また、本発明の第三の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、粘着性を有する材料41は、好ましくは、熱可塑性樹脂のシートである。ヒーター43などを使用することによって、電磁波共振体42が転写された熱可塑性樹脂のシートを加熱する。このように熱可塑性樹脂のシートを溶融させることによって、溶融した熱可塑性樹脂に電磁波共振体42を分散できる。その後、電磁波共振体42が分散させられた溶融した熱可塑性樹脂を冷却することによって、熱可塑性樹脂を固化する。その結果、熱可塑性樹脂に電磁波共振体42が分散させられたメタマテリアルが得られる。
[0059]
 さらに、電磁波共振体42が転写された熱可塑性樹脂のシートを加熱するとき、電磁波共振体42が分散させられた溶融した熱可塑性樹脂を混練してもよい。この場合には、溶融した熱可塑性樹脂に電磁波共振体42をランダムに分散できる。その後、電磁波共振体42がランダムに分散させられた溶融した熱可塑性樹脂を冷却することによって、熱可塑性樹脂を固化する。その結果、熱可塑性樹脂に電磁波共振体42がランダムに分散したメタマテリアルが得られる。
[0060]
 図5(a)~(b)は、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。図5(a)は、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法の第一のステップを示す図である。図5(b)は、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法の第二のステップを示す図である。図5(b)に示すように、電磁波共振体を支持体から分離してもよい。分離の際は、液体中で行っても良い。
[0061]
 図5(a)~(b)に示すような、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、電磁波に対して共振する電磁波共振体52が転写された粘着性を有する材料51を誘電体53に浸漬させることによって、電磁波共振体52を粘着性を有する材料51から脱離させると共に誘電体53に分散させることを含む。ここで、誘電体は液体状であることが好ましい。また、誘電体が樹脂等である場合、電磁波共振体が充分に分散できる粘度であればそのまま使用できる。さらに、溶融して粘度を下げて使用できる。
[0062]
 本発明の第四の実施形態によれば、誘電体53に電磁波共振体52が分散させられたメタマテリアルを容易に製造できる。
[0063]
 誘電体53は、好ましくは、粘着性を有する材料51を溶解させることが可能な溶媒である。誘電体53として溶媒を用いることにより、粘着性を有する材料51の溶液を得ることが可能になる。このような溶媒としては、アルコール類、トルエンやテトラデカン等の炭化水素類、などの有機溶媒が挙げられる。
[0064]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、誘電体53は、電磁波共振体52の分散性を向上させる分散剤を含む。分散剤は、電磁波共振体52の電荷を制御する電荷制御剤であることもある。
[0065]
 例えば、電磁波共振体52の材料が、金属の材料である場合には、分散剤は、好ましくは、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子のような非共有電子対を有するヘテロ原子を含有する化合物である。例えば、国際公開第2004/110925号及び日本国特開2008-263129号公報に記載される分散剤が挙げられる。
[0066]
 また、例えば、電磁波共振体52の材料が、誘電体である場合には、分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アミン類、チオール類、アミノ酸、又は糖類などが挙げられる。
[0067]
 誘電体53が、電磁波共振体52の分散性を向上させる分散剤を含む場合には、誘電体53における電磁波共振体52の凝集を低減できる。その結果、誘電体53に電磁波共振体52がより均一に分散したメタマテリアルが得られる。
[0068]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体を、固化後に電磁波に対して透明な誘電体となる材料からなる液体、または固化後に電磁波に対して透明な誘電体となる材料を含む液体に、分散した後に固化させることが好ましい。ここで、固化後に電磁波に対して透明な誘電体となる材料としては、後述する硬化性樹脂やガラスを挙げることができる。なお、固化後に電磁波に対して透明な誘電体となる材料が硬化性樹脂である場合、固化後とは硬化後を意味する。
[0069]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、誘電体53は、硬化性成分である。
[0070]
 誘電体53が、硬化性成分である場合には、誘電体53を硬化させることが可能になる。その結果、誘電体53に電磁波共振体52が分散したメタマテリアルを硬化できる。
[0071]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、好ましくは、電磁波共振体52が分散させられた硬化性成分を硬化させることを含む。このためには、硬化性成分に光を照射するか又は加熱する。その結果、硬化性成分を硬化させることによって得られる硬化物に電磁波共振体52が分散したメタマテリアルが得られる。
[0072]
 硬化性の成分としては、重合反応により硬化して硬化物となるような成分であればよく、ラジカル重合型の硬化性樹脂、カチオン重合型の硬化性樹脂、ラジカル重合型の硬化性化合物(モノマー)が特に制限なく使用できる。これらは、光硬化性であっても熱硬化性であってもよく、光硬化性であることが好ましい。
[0073]
 ラジカル重合型の硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイル基、アリルオキシ基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等の炭素-炭素不飽和二重結合を有する基を有する樹脂が挙げられる。当該樹脂としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖に有するアクリル系重合体等が挙げられる。
[0074]
 カチオン重合型の硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが挙げられる。
[0075]
 ラジカル重合型の硬化性化合物(モノマー)としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイル基、アリルオキシ基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基等の炭素-炭素不飽和二重結合を有する基を有する化合物等が挙げられる。なお、炭素-炭素不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。これら化合物における炭素-炭素不飽和二重結合の数は特に制限されず、1つであってもよく、複数であってもよい。
[0076]
 これらの硬化性化合物としては、フルオロ(メタ)アクリレート類、フルオロジエン類、フルオロビニルエーテル類、フルオロ環状モノマー類、モノヒドロキシ化合物の(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシ化合物のモノ(メタ)アクリレート類、およびポリエーテルポリオールを用いて得られるウレタン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で使用するほか、これらから選ばれる1種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。なお、これらの硬化性成分は、適切な重合開始剤を含むことが好ましい。
[0077]
 硬化性成分が、光硬化性の成分である場合には、誘電体53に光を照射することによって、誘電体53をより容易に硬化させることが可能になる。その結果、誘電体53に電磁波共振体52が分散したメタマテリアルをより容易に硬化できる。
[0078]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、硬化性成分を硬化させることによって得られる硬化物樹脂は、電磁波に対して透過性である。
[0079]
 この場合には、硬化性の成分を硬化させることによって得られる樹脂及び電磁波共振体52を含むメタマテリアルそれ自体を光学素子のような機能性の素子として使用できる。
[0080]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、誘電体53は、ガラスである。
[0081]
 誘電体53が、ガラスである場合には、ガラスに電磁波共振体52が分散したメタマテリアルを提供できる。
[0082]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、好ましくは、電磁波共振体52が分散させられた、溶融状態のガラスの原料を固化させることを含む。これは、ガラスの原料に電磁波共振体を分散させた後にガラス原料を溶融させ、ついで冷却することによって、または溶融されたガラス原料に電磁波共振体を分散させ、ついで冷却することによって実施できる。
[0083]
 この場合には、ガラスの原料を固化することによって得られたガラスに電磁波共振体52が分散したメタマテリアルを提供できる。
[0084]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、ガラスは、低融点ガラス、リン酸ガラスである。低融点ガラスは、550℃以下に屈服点を有するガラスである。低融点ガラスとしては、例えば、日本国特開2007-269531号公報に記載される鉛フリー低融点ガラスが挙げられる。
[0085]
 ガラスが、低融点ガラスである場合には、相対的に低い温度でガラスの原料を溶融できる。そのため、相対的に低い温度でガラスに電磁波共振体52が分散したメタマテリアルを提供できる。
[0086]
 そして、溶融状態の低融点ガラスの原料を冷却すると、低融点ガラスに電磁波共振体52が分散したメタマテリアルを提供できる。
[0087]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、好ましくは、電磁波共振体52を誘電体53に分散させることによって電磁波に対して共振する電磁波共振体52を含むゾルを得る。
[0088]
 この場合には、誘電体53に電磁波共振体52が分散したゾルのメタマテリアルを提供できる。
[0089]
 本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、好ましくは、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むゾルを固化させることを含む。この場合には、誘電体53に電磁波共振体52が分散したゲルのメタマテリアルを提供できる。
[0090]
 電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むゾルを固化させるためには、例えば、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むゾルを加熱する。ここで、ゾルを固化させるとは、ゾルを単に固化させてゲルとすることのほか、ゾルを得るための原料が反応性を有する場合は、反応を伴って硬化することも含む。たとえば、ゾルを得るための原料が後述するアルコキシシラン類等の場合は、加水分解縮合重合反応によってアルコキシシラン類が硬化する反応により、電磁波共振体52が分散したゲルのメタマテリアルが提供できる。
[0091]
 ゾルを得るための原料は、特に限定されるものではないが、金属アルコキシド類、酸や塩基等の触媒、および溶媒を含む混合物が挙げられる。金属アルコキシド類としては、テトラエトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトライソプロピルオキシチタニウム等が挙げられる。
[0092]
 なお、本発明の第四の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法は、電磁波共振体52が分散させられた誘電体53を繊維に含浸させる方法であってもよい。この場合には、電磁波共振体52及び誘電体53が含浸させられた繊維のメタマテリアルを提供できる。
[0093]
 図6(a)~(d)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。図6(a)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における支持体を説明する図である。図6(b)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における第一のステップを説明する図である。図6(c)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における第二のステップを説明する図である。図6(d)は、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における電磁波共振体を説明する図である。
[0094]
 まず、図6(a)に示すように、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、ナノインプリントの方法を用いて、電磁波共振体を支持するための支持体61を作製する。図6(a)に示すような支持体61は、電磁波共振体の微細なギャップが設けられた二枚の平板の形状に対応する、相互に対して段差を有する二つの平面の形状を有する。支持体61は、例えば、フッ素系樹脂からなる。
[0095]
 次に、図6(b)に示すように、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、物理蒸着の手段を用いて、電磁波共振体63の形状に対応する形状を有する支持体61に、誘電体62を蒸着する。ここで、誘電体62を供給する供給源は、支持体61の二つの平面及び二つの平面の間における段差の平面に面する側に配置される。そして、前記供給源から供給される誘電体62を、少なくとも支持体61の二つの平面及び二つの平面の間における段差の平面に蒸着する。ここで、誘電体62は、支持体61の二つの平面の法線に対して斜めの方向から支持体61に向かって供給される。このようにして、少なくとも支持体61の二つの平面及び二つの平面の間における段差の平面を覆う連続的な誘電体62の膜が設けられる。誘電体62の膜は、支持体61の二つの平面の形状に対応する二つの平面の形状を有する。
[0096]
 次に、図6(c)に示すように、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、物理蒸着の手段を用いて、支持体61に設けられた誘電体62の膜に電磁波共振体63の材料を蒸着する。ここで、電磁波共振体63の材料を供給する供給源は、支持体61の二つの平面及び二つの平面の間における段差の平面に面する側と反対側に配置される。そして、前記供給源から供給される電磁波共振体63の材料を、少なくとも誘電体62の膜の二つの平面に蒸着する。ここで、電磁波共振体63の材料は、誘電体62の膜の二つの平面の法線に対して斜めの方向から誘電体62の膜に向かって供給される。その結果、電磁波共振体63の材料は、誘電体62の膜の二つの平面に蒸着されるが、支持体61の段差の平面付近の誘電体62の膜の部分には、蒸着されない。このようにして、支持体61に設けられた連続的な誘電体62の膜に、微細なギャップが設けられた二枚の平板の形状を有する電磁波共振体63が形成される。
[0097]
 すなわち、支持体61、誘電体62の膜、及び電磁波共振体63を含むメタマテリアルを製造できる。
[0098]
 このように、図6(b)及び図6(c)に示すような、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、支持体61に電磁波共振体63の材料を蒸着することは、支持体61に誘電体62を蒸着すること、及び、誘電体62に電磁波共振体63の材料を蒸着することを含む。
[0099]
 例えば、図6(d)に示すような、誘電体62の膜及び導電性の材料からなる電磁波共振体63の積層体を提供できる。
[0100]
 この場合には、図6(d)に示すように、誘電体62及び電磁波共振体63を含むメタマテリアルを提供できる。また、電磁波共振体63が、複数の構成部分からなるものであるときでも、誘電体62によって電磁波共振体63の複数の構成部分を統合できる。
[0101]
 また、図6(a)、図6(b)、及び図6(c)に示すように、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、支持体61は、電磁波共振体63の形状に対応する平面を含む形状を有する一方で、誘電体62は、支持体61の平面の法線に対して第一の斜めの方向から支持体61の平面に蒸着されると共に、電磁波共振体63の材料は、支持体61の平面の法線に対して第一の斜めの方向と反対の方向である第二の斜めの方向から誘電体62に蒸着される。
[0102]
 この場合には、支持体61の平面に誘電体62を蒸着する条件及び誘電体62に電磁波共振体63の材料を蒸着する条件を調整することによって、誘電体62及び電磁波共振体63を備える様々なメタマテリアルを提供できる。
[0103]
 ここで、図6(d)に示すような電磁波共振体63は、一種のLC回路を構成する形状を有するものである。図6(d)に示すように、本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体63の形状は、微細なギャップが設けられた二枚の平板の形状である。このように、電磁波共振体63の形状は、電磁波共振体63がキャパシタンスを有するように、ギャップを介した二枚の平板の形状を有する。図6(d)に示す電磁波共振体63は、誘電体62によって保持される二枚の平板の間にギャップを有する。また、電磁波共振体63の形状は、電磁波共振体63がインダクタンスを有するように、伝導電流及び変位電流がループを形成できる構造を有する。図6(d)に示す電磁波共振体63は、一方の平板を流れる半ループ状の伝導電流、他方の平板を流れる半ループ状の伝導電流、及び二枚の平板の間におけるギャップに発生すると共に二枚の平板を流れる半ループの伝導電流に結合する変位電流が、ループを形成できる構造を有する。
[0104]
 電磁波共振体63の材料は、金属又は導電性化合物などの導電性の材料であってもよく、また、誘電体であってもよい。本発明の第五の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体63の材料は、誘電体である。この場合には、電磁波共振体63を含むメタマテリアルを通過する高周波の電磁波の損失を低減できる。
[0105]
 図6(d)に示すような電磁波共振体63は、概ねミリメートル以下のサイズを有する微細電磁波共振体であってもよい。この場合には、電磁波共振体63の共振周波数は、通常可視光の周波数の領域にある。このため、可視光の波長に対するメタマテリアルの比透磁率、屈折率および分散を制御できる。
[0106]
 図6(c)に示す本発明の第五の実施形態においては、電磁波共振体63は、支持体61に規則的に配置されている。しかしながら、図6(d)に示すように、電磁波共振体63は、メタマテリアルおいて不規則に(ランダムに)配置されることもある。電磁波共振体63が、メタマテリアルにおいて不規則に(ランダムに)配置される場合には、例えば、電磁波の偏光の方向に対して等方性の物理的な性質(例えば、比透磁率、屈折率、分散など)を有するメタマテリアルを提供できる。
[0107]
 図7(a)~(e)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法を説明する図である。図7(a)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における支持体を説明する図である。図7(b)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における第一のステップを説明する図である。図7(c)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における第二のステップを説明する図である。図7(d)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法における第三のステップを説明する図である。図7(e)は、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法におけるメタマテリアルを説明する図である。
[0108]
 まず、図7(a)に示すように、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、ナノプリントの方法を用いて、電磁波共振体を支持するための支持体71を作製する。図7(a)に示すような支持体71は、電磁波共振体のU字の曲面の形状に対応する、U字の凸の曲面の形状を有する。支持体71は、例えば、フッ素系樹脂からなる。
[0109]
 次に、図7(b)に示すように、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、物理蒸着の手段を用いて、電磁波に対して共振する電磁波共振体72の形状に対応する形状を有する支持体71に電磁波共振体72の材料を蒸着する。ここで、電磁波共振体72の材料を供給する供給源は、支持体71の平面に対して斜めの方向である第一の方向の側に配置される。そして、前記供給源から供給される、電磁波共振体72の材料を、支持体71のU字の凸の曲面の一部に蒸着する。このようにして、支持体71のU字の凸の曲面の一部に電磁波共振体72の一部分が設けられる。
[0110]
 次に、図7(c)に示すように、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、物理蒸着の手段を用いて、電磁波共振体72の形状に対応する形状を有する支持体71に、電磁波共振体72の材料を蒸着する。ここで、電磁波共振体72の材料を供給する供給源は、支持体71の平面に対して斜めの方向である第二の方向の側に配置される。なお、第二の方向は、第一の方向とは異なる方向である。そして、前記供給源から供給される電磁波共振体72の材料を、支持体71のU字の凸の曲面の未蒸着の部分に蒸着する。このようにして、支持体71のU字の凸の曲面の未蒸着の部分に電磁波共振体72が設けられる。
[0111]
 結果として、支持体71及び支持体71のU字の凸の曲面の全体を覆う電磁波共振体72を含むメタマテリアルを製造できる。この際、支持体の突起の位置を斜め蒸着する方向との関係から、支持体の一部にのみ蒸着され、突起の根元および底面には蒸着物は付かなくできる点がこの方法の生産性に優れる点である。すなわち、共振機能を発現する電磁波共振体の部分のみに蒸着物が付くために、従来のリソグラフィーで用いられるエッチングの工程が不要となり、生産性を飛躍的に向上できる。
[0112]
 このように、図7(b)及び図7(c)に示すような、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体72の材料は、第一の方向及び第一の方向と異なる第二の方向から支持体71に蒸着される。
[0113]
 例えば、支持体71に対する電磁波共振体72の材料の供給源の位置及び/又は角度を変化させることによって、電磁波共振体72の材料を、第一の方向及び第一の方向と異なる第二の方向から支持体71に蒸着する。
[0114]
 この場合には、第一の方向及び第二の方向をより適切に選択することによって、支持体71に電磁波共振体72の材料をより精密に蒸着できる。
[0115]
 ここで、図7(c)に示すような電磁波共振体72は、一種のLC回路を構成する形状を有するものである。図7(c)に示すように、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、電磁波共振体72の形状は、U字の曲面の形状を有する。このように、電磁波共振体72の形状は、電磁波共振体72がキャパシタンスを有するように、U字の曲面の形状を有する。図7(c)に示す電磁波共振体72は、U字の曲面の両方の端部の間にギャップを有する。また、電磁波共振体72の形状は、電磁波共振体72がインダクタンスを有するように、伝導電流及び変位電流がループを形成することが可能な構造を有する。図7(c)に示す電磁波共振体72は、U字の曲面の一方の端部から他方の端部までを流れる伝導電流及びU字の両方の端部の間のギャップに発生する変位電流がループを形成できる構造を有する。
[0116]
 電磁波共振体72の材料は、金属又は導電性化合物などの導電性の材料であってもよく、また、誘電体であってもよい。本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法において、好ましくは、電磁波共振体72の材料は、誘電体である。この場合には、電磁波共振体72を含むメタマテリアルを通過する高周波の電磁波の損失を低減できる。
[0117]
 図7(c)に示すような電磁波共振体72は、おおむねミリメートル以下のサイズを有する微細電磁波共振体であってもよい。この場合には、通常、電磁波共振体72の共振周波数が、可視光の周波数の領域にある。このため、可視光の波長に対するメタマテリアルの比透磁率/屈折率/分散を制御できる。
[0118]
 図7(c)に示す本発明の第六の実施形態においては、電磁波共振体72は、支持体71に規則的に配置されている。しかしながら、電磁波共振体72は、メタマテリアルにおいて不規則に(ランダムに)配置されることもある。電磁波共振体72が、メタマテリアルにおいて不規則に(ランダムに)配置される場合には、例えば、電磁波の偏光の方向に対して等方性の物理的な性質(例えば、比透磁率、屈折率、分散など)を有するメタマテリアルを提供できる。
[0119]
 次に、本発明の第六の実施形態に係るメタマテリアルを製造する方法においては、例えば、図7(d)に示すように、支持体71に設けられた電磁波共振体72に硬化性樹脂73を接触させると共に硬化性樹脂73を硬化させる。
[0120]
 次に、図7(e)に示すように、硬化性樹脂73を硬化させることによって得られた樹脂の硬化体74から支持体71を除去する。その結果、樹脂の硬化体74に電磁波共振体72を含むメタマテリアルを得ることが可能になる。このように、樹脂の硬化体74に電磁波共振体72を転写することも可能である。
[0121]
 図8は、本発明の実施形態によって製造されるメタマテリアルの例を説明する図である。図8に示すメタマテリアル81は、樹脂の硬化体82及び電磁波共振体83からなる光学素子である。図8に示すメタマテリアル81は、レンズである。メタマテリアル81において、電磁波共振体83は、樹脂の硬化体82に不規則に(ランダム)に分散されている。このため、メタマテリアル81は、例えば、電磁波の偏光の方向に対して等方性の物理的な性質(例えば、比透磁率、屈折率、分散など)を有するレンズである。また、樹脂の硬化体82に分散させられる電磁波共振体83を適宜設計することによって、調整された等方的な物理的な性質(例えば、比透磁率、屈折率、分散など)を有するレンズを提供できる。
実施例
[0122]
 図9は、石英ガラスのモールドを用い、フッ素系UV光硬化樹脂(旭硝子株式会社製 NIF-A-2)をナノインプリント装置を用いて、突起構造を転写し、それに2方向からの斜め蒸着によりAlをコーティング後、断面観察のための試料調製時に試料がダメージを受けることを抑制するためにエポキシ樹脂で埋め込み、ミクロトームでスライスした試料をTEMにより観察した際の写真である。フッ素系UV硬化樹脂の突起は100nm□の高さが約400nmとしたが、Alコーティング時の熱により僅かに収縮している。写真の様に黒っぽく観察されるU字型のAl共振器が形成できた。
[0123]
 図10は、図9のAl共振器の作製と同じ方法で作製した試料とフッ素系UV光硬化樹脂(旭硝子株式会社製 NIF-A-2)をナノインプリントを行って、Alのコーティングは行わなかった試料について、偏光方向を90度変化させて吸光度を測定した結果である。Alコートを行った試料で、共振器を磁場が貫く方向で光を入射した場合に、中心波長が約1400nmで共鳴吸収が観測でき、その波長領域で機能する構造ができたことを確認した。
[0124]
 図11は、図9のAl共振器の作製と同様な方法で共振器構造を作製するにあたり、図12に示す様にAlの斜め蒸着を、蒸着角度を変化させてコーティングを行った際の透過スペクトルを示す。図中の凡例は、斜め蒸着の角度として、UV硬化樹脂の転写した面に対して垂直にコーティングする場合を0度とした場合、例えば、41-60の標記であれば、41度の方向から先ず斜め蒸着し、次にその角度とは反対方向から60度で斜め蒸着を行ったことを意味する。図11内の矢印で示すように、斜め蒸着の角度を変えることにより、共鳴吸収の帯域を変化できることが分かる。尚、41-60の曲線の共鳴吸収の帯域は、他の曲線の形状と関係性から、本グラフの更に長波長側に現れるものと予測される。
[0125]
 図13(a)~(c)は、開放四角形状の電磁波共振体のうち、片側の手の長さを他方よりも長くすることによって、透磁率、誘電率ともに同じ周波数帯で負の値を持たせた電磁波共振体を、3次元電磁界解析により解析した際に使用したユニットセルである。解析結果はこのユニットセルがx方向とy方向に無限に周期配列した電磁波共振体に対するものである。
 実施した解析の例として、131の導体をAlとし、132の支持体を比誘電率2の誘電体とした。入射した電磁波は、平面波で、z面に垂直入射した。平面波の電界の方向をx方向、磁界の方向をy方向とした。電磁波共振体のそれぞれの寸法は、Alの幅W1=160nm、高さH=100nm、奥行きD1=173nm、D2=346nmn、厚さT=30nm、支持体の奥行きD3=450nm、幅W2=100nm、開放四角形型構造のギャップG1=40nm、G2=50nmである。解析した結果を図14に示す。800~1600nm付近で比誘電率と比透磁率がともに負の値を示していることがわかる。
[0126]
 以上、本発明の実施形態を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更する、変形する、及び/又は組み合わせることができる。
[0127]
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
 本出願は、2010年7月15日出願の日本特許出願2010-160956に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0128]
 本発明の一つの態様によれば、より効率的にメタマテリアルを製造する方法を提供できる。また、その態様の利点を生かして、負の屈折率を実現するメタマテリアルを実現できる。

符号の説明

[0129]
 11,32,61,71  支持体
 12,34,42,52,63,72,83  電磁波に対して共振する電磁波共振体
 13,35,81  メタマテリアル
 21  共振の性質を評価する装置
 22  試料
 23  光源
 24  偏光板
 25  分光光度計
 31  メタマテリアルを製造する装置
 33,41,51  粘着性を有する材料
 36  加圧ローラー
 43  ヒーター
 53  誘電体
 62  誘電体
 73  硬化性樹脂
 74,82  樹脂の硬化体
 131 導体
 132 支持体
 133 解析モデルのユニットセル

請求の範囲

[請求項1]
 電磁波に対して共振する電磁波共振体を備える、メタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体の形状に対応する形状を有する支持体に、前記電磁波共振体を形成する材料を蒸着することによって、前記支持体に前記電磁波共振体を配置することを含むメタマテリアルの製造方法。
[請求項2]
 請求項1に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体を形成する材料を、物理蒸着することによって前記支持体に前記電磁波共振体を配置するメタマテリアルの製造方法。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記電磁波共振体を形成する材料は、異なる2以上の方向から前記支持体に蒸着されるメタマテリアルの製造方法。
[請求項4]
 請求項1から3までのいずれか一項に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体は、前記電磁波共振体の形状に対応する凸の曲面の形状を有し、前記電磁波共振体を形成する材料は、前記支持体の前記凸の曲面に蒸着される、メタマテリアルの製造方法。
[請求項5]
 請求項1から4までのいずれか一項に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体に誘電体を蒸着し、さらに導電性材料および/または誘電体を蒸着するメタマテリアルの製造方法。
[請求項6]
 請求項5に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体が複数の平面を有し、前記複数の平面は、互いに対して段差を有するメタマテリアルの製造方法。
[請求項7]
 請求項1から6までのいずれか一項に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体の材料は、前記電磁波に対して透過性の材料である、メタマテリアルの製造方法。
[請求項8]
 請求項7に記載のメタマテリアルの製造方法であって、粘着性を有する材料に転写された前記電磁波共振体を積層した後、一体化するメタマテリアルの製造方法。
[請求項9]
 請求項1から6までのいずれか一項に記載のメタマテリアルの製造方法であって、前記支持体に設けられた電磁波共振体を、粘着性を有する材料に転写した後に支持体と分離して、回収するメタマテリアルの製造方法。
[請求項10]
 請求項1から6および請求項9のいずれか一項に記載のメタマテリアルの製造方法であって、電磁波共振体を、固化後に前記電磁波に対して透明な誘電体となる材料からなる液体、または固化後に前記電磁波に対して透明な誘電体となる材料を含む液体に分散した後に固化させるメタマテリアルの製造方法。
[請求項11]
 複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体上の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、
 前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であり、略開放四角形型または略U字型が有する二つの端部の長さが異なるメタマテリアル。
[請求項12]
 高さ、幅および/または奥行の異なる、複数の柱状形状を有する支持体と、該支持体上に配置され、該支持体の少なくも一部を支持体とは異なる物質で被覆し、電磁波に対して共振する電磁波共振体を含むメタマテリアルであって、
 前記電磁波共振体が、略開放四角形型、または略U字型であるメタマテリアル。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]