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1. WO2020166007 - イメージング質量分析装置

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明 細 書

発明の名称 イメージング質量分析装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

非特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

符号の説明

0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : イメージング質量分析装置

技術分野

[0001]
 本発明は、試料上の2次元領域内の又は試料中の3次元領域内の多数の測定点(微小領域)についてそれぞれ質量分析を実行して質量分析イメージングデータを収集することが可能であるイメージング質量分析装置に関する。

背景技術

[0002]
 イメージング質量分析装置では、生体組織切片などの試料の表面の所定の2次元的な測定領域内に設定された、多数の測定点(微小領域)に対する質量分析を実行し、測定点毎にマススペクトルデータを取得することができる。そして、こうして取得したデータに基づき、様々な質量電荷比m/zにおけるイオンの2次元強度分布である質量分析イメージング画像(以下、MSイメージング画像という)を作成し、ユーザに提示することができる。
[0003]
 イメージング質量分析装置のデータ解析において、空間的なイオン強度分布が類似している複数のMSイメージング画像を見つけることは重要である。何故なら、強度分布パターンが類似している異なる成分は、同様の若しくは類似する動態を示す、又は、密接に関連した成分である可能性が高いからである。
[0004]
 非特許文献1にはイメージング質量分析に際して各種の解析処理を行うためのソフトウェアが開示されている。このソフトウェアには、統計解析の一手法である階層的クラスタ解析(Hierarchical Cluster Analysis:HCA)を利用し、2次元強度分布が類似した画像を集めてクラスタ化する機能が搭載されている。この機能を利用することにより、強度分布パターンが類似している複数の質量電荷比を見つけたり、或る成分に近い分布を示す別の成分を見つけたりすることが可能である。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 国際公開第2018/037491号パンフレット

非特許文献

[0006]
非特許文献1 : 「ソフトウェア 豊富な統計解析機能と簡便な操作性 -Imaging MS Solution-」、[online]、株式会社島津製作所、[2018年11月26日検索]、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/bio/imscope/soft.htm>

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 最近では、質量分析のみならず、赤外分光分析、ラマン分光分析、蛍光分析など、様々な分析手法によるイメージングが試みられている。異なる複数の分析手法を併用することで、或る一つの分析では検出できなかった成分を検出することができる、或いは、或る一つの分析では精度の低かった分析結果の精度を向上させることができる、といった利点がある。しかしながら、異なる分析手法で得られたイメージング画像同士の比較や類似性の判断は専ら解析担当者の手作業に頼っており、比較や判定の客観性に課題があった。また、解析の作業効率も悪く、大量の分析結果の処理には不向きであった。
[0008]
 本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、同一の試料に対し異なる分析手法で得られた複数のイメージング画像に基づく解析処理を効率良く且つ客観性を以て実行し、その試料についての有益な情報を解析担当者に提供することができるイメージング質量分析装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するために成された本発明の一態様は、試料上の2次元的な又は試料中の3次元的な測定領域内に設定された複数の微小領域それぞれに対する質量分析を実行するイメージング質量分析装置において、
 目的試料に対する質量分析により得られたデータに基づいて、特定の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲におけるイオンの強度分布を示す、又は、該イオン強度分布に基づく所定の演算処理により得られた演算結果の分布を示す、1若しくは複数の第1イメージング画像を構成するデータを取得する第1イメージング画像データ取得部と、
 前記目的試料に対し前記質量分析とは別の種類である分析手法により得られた、1又は複数の第2イメージング画像を構成するデータを取得する第2イメージング画像データ取得部と、
 前記第1イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1若しくは複数の第1イメージング画像における信号強度と前記1若しくは複数の第2イメージング画像における信号強度とを規格化するデータ変換処理を行う第1データ処理部と、
 前記第1イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1若しくは複数の第1イメージング画像と前記1若しくは複数の第2イメージング画像との空間分解能を揃えるデータ処理を行う第2データ処理部と、
 前記第1及び第2データ処理部による処理後のデータについて画像に関する統計解析処理を実行して、空間分布の類似性又は相違性に基づき、前記1若しくは複数の第1イメージング画像及び前記1若しくは複数の第2イメージング画像を分類する画像分類処理部と、
 を備えるものである。
[0010]
 ここで、「前記質量分析とは別の種類である分析手法」とは、質量分析とは原理が相違する分析手法、例えば赤外分光分析、ラマン分光分析、蛍光分析、X線分析などを含むことは当然である。また、同一の試料に対する質量分析であっても分析対象となるイオンの種類が異なる質量分析は、「前記質量分析とは別の種類である分析手法」であるものとする。したがって、例えば第1イメージング画像を構成するデータが通常の質量分析により得られたデータである場合、イオンの解離操作を伴うMS/MS分析やMS n分析は別の種類の分析手法である。また、分析対象の試料自体が同一であっても、質量分析の際のイオン化法が異なると生成されるイオン種が相違する場合があるため、ここでは、イオン化法が相違する質量分析も別の種類の分析手法である。例えばMALDI(マトリクス支援レーザ脱離イオン化)法を用いた質量分析とSIMS(二次イオン質量分析法)法におけるイオン化法を用いた質量分析とは、互いに別の種類の分析手法である。

発明の効果

[0011]
 本発明に係るイメージング質量分析装置によれば、同一の試料に対して質量分析とそれとは異なる一以上の分析手法とで得られた複数のイメージング画像に基づく解析処理を、効率良く且つ客観性を以て実行し、例えば、異なる分析手法により得られたイメージング画像上で類似した強度分布を示す複数の成分を容易に見つけることができる。こうした解析処理によって、質量分析イメージング法だけでは得られにくい、目的の試料についての有益な情報を解析担当者に提供することができる。その結果、目的の試料についての新たな知見を得ることが容易になる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明の一実施形態であるイメージング質量分析装置の概略構成図。
[図2] 本実施形態のイメージング質量分析装置における解析処理の一例の説明図。
[図3] 本実施形態のイメージング質量分析装置における解析結果の表示例を示す図。
[図4] 3次元質量分析イメージング画像を作成する際の概念図。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、本発明の一実施形態であるイメージング質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。
[0014]
 図1は、本実施形態のイメージング質量分析装置の概略ブロック構成図である。
 本実施形態のイメージング質量分析装置は、測定部1と、データ解析部2と、入力部3と、表示部4と、を備える。また、このイメージング質量分析装置の構成要素ではないが、データ解析部2で処理するデータを取得するための、測定部1とは別の装置として、ラマン分光イメージング測定装置5を示している。
[0015]
 測定部1は、試料100に対してイメージング質量分析を実行するものであり、例えば特許文献1等に開示されているように、大気圧雰囲気の下で試料にレーザ光を照射して該試料中の物質をイオン化する大気圧マトリクス支援レーザ脱離イオン化(AP-MALDI)法とイオントラップ飛行時間型質量分析装置(IT-TOFMS)とを組み合わせた質量分析装置である。この測定部1では、例えば生体組織切片などの試料100上の2次元領域内でイオン化用のレーザ光を照射する位置を走査することで、その2次元領域内の多数の測定点(実質的には微小領域)についての質量分析を実施することができる。
[0016]
 一方、ラマン分光イメージング測定装置5は、イメージング質量分析されたものと同じ試料100上の2次元領域内に設定された多数の測定点に対してそれぞれラマン分光分析を実行し、試料100によるラマン光についてのスペクトルを得るものである。
[0017]
 データ解析部2は、測定部1で得られた測定点(微小領域)毎の質量分析データ、及び、ラマン分光イメージング測定装置5で得られたスペクトルデータを受けて、これらデータに基づく解析処理を実施するものである。データ解析部2は、後述する特徴的な解析処理を行うために、MSイメージングデータ記憶部20、ラマンイメージングデータ記憶部21、MSイメージング画像作成部22、ラマンイメージング画像作成部23、信号強度規格化処理部24、空間分解能調整処理部25、統計解析処理部26、及び、表示処理部27、を機能ブロックとして備える。
[0018]
 このデータ解析部2はハードウェア回路で構成することも可能であるものの、一般的には、その実体はパーソナルコンピュータ又はより高性能なワークステーション等のコンピュータである。該コンピュータにインストールされた専用のデータ解析ソフトウェアを該コンピュータ上で実行することによって、上記各機能ブロックが具現化されるものとすることができる。この場合、入力部3はコンピュータに付設されたキーボードやポインティングデバイス(マウスなど)であり、表示部4はディスプレイモニタである。
[0019]
 次に、本実施形態のイメージング質量分析装置における特徴的な動作の一例について、図2を参照して説明する。
 測定部1は、生体組織切片などの試料100上の所定の広さの測定領域内に設定された多数の測定点について、それぞれ所定の質量電荷比m/z範囲に亘るスキャン測定を実行し、マススペクトルデータを取得する。得られたデータは測定部1からデータ解析部2に転送され、MSイメージングデータ記憶部20に保存される。また、これとは別に、ラマン分光イメージング測定装置5は、同じ試料100上の上記測定領域を含む2次元的な領域内に設定された多数の測定点について、それぞれ所定の波長帯域(ラマンバンド)毎にラマン分光分析を実行し、散乱強度と波長との関係を示すラマンスペクトルデータを取得する。得られたデータはラマン分光イメージング測定装置5からデータ解析部2に入力され、データ解析部2は入力されたデータをラマンイメージングデータ記憶部21に保存する。
[0020]
 ユーザが入力部3で所定の操作を行うと、データ解析部2は上述したようにMSイメージングデータ記憶部20及びラマンイメージングデータ記憶部21にそれぞれ保存されているデータを用いて以下のような解析処理を実行する。
 MSイメージング画像作成部22は、MSイメージングデータ記憶部20から測定点毎の例えば1Da間隔のイオン強度データを読み出し、1Da毎のイオン強度の2次元分布を示す多数のMSイメージング画像を作成する(図2中の200参照)。また、ラマンイメージング画像作成部23は、ラマンイメージングデータ記憶部21からラマンバンド毎の散乱強度データを読み出し、例えばラマンバンド毎にピーク面積を計算しこれを散乱強度として散乱強度の2次元分布を示す1又は複数のラマンイメージング画像を作成する(図2中の300参照)。
[0021]
 上述したようにMSイメージング画像は質量電荷比毎のイオン強度の2次元分布を示す画像、ラマンイメージング画像はラマンバンド毎の散乱強度の2次元分布を示す画像である。MSイメージング画像とラマンイメージング画像とは、同じ試料100の同じ測定領域に対する(又は同じ測定領域を含む)分析結果画像であるものの、一般に、互いの空間分解能(解像度)は相違する。また、MSイメージング画像とラマンイメージング画像とでは、各測定点の信号強度の値のレベルが全く異なるため、そのままの2次元分布の比較は意味がない。そこで、MSイメージング画像とラマンイメージング画像とを比較したり同等に扱ったりするために、信号強度のダイナミックレンジを揃える処理、及び、空間分解能を揃える処理の二つを実行する。
[0022]
 具体的に、信号強度規格化処理部24は、MSイメージング画像におけるイオン強度値の最大値とラマンイメージング画像における散乱強度値の最大値とが同じ値(例えば一つのデータの値を画像で表現する際の画素値の最大値)になるように、各測定点のイオン強度値、及び各測定点の散乱強度値を規格化する。なお、異なるMSイメージング画像同士や異なるラマンイメージング画像同士の間での強度値の規格化は行う必要はなく(行ってもかまわない)、全てのMSイメージング画像におけるイオン強度と全てのラマンイメージング画像における散乱強度との間での規格化を行えばよい。
 また、空間分解能調整処理部25は、MSイメージング画像とラマンイメージング画像とでいずれか空間分解能が高いほうの画像の空間分解能をビニング処理等により落とすか、或いは逆に空間分解能が低いほうの画像の空間分解能を補間処理等により上げるかすることで、空間分解能を揃える。
[0023]
 図2に示した例では、MSイメージング画像のほうがラマンイメージング画像よりも空間分解能が高いが、MSイメージング画像の空間分解能を落とすことで、MSイメージング画像とラマンイメージング画像の空間分解能を揃えるようにしている。そして、空間分解能が揃った状態のMSイメージング画像とラマンイメージング画像とについて強度値を規格化している。
 なお、イメージング質量分析とラマン分光イメージングとで対象としている試料100上の測定領域が完全に同じでない場合には、両方の測定領域が重なる領域に対応する画像のみを切り出す処理を行うとよい。また、分析や測定の原理上或いは特性上、取得される画像に歪みや変形が生じる場合には、そうした歪みや変形を補正する画像処理を行うようにするとよい。
[0024]
 上記一連の処理によって、用いた分析手法は異なるものの、MSイメージング画像とラマンイメージング画像とは同等に扱うことが可能な2次元分布画像となる。そこで、統計解析処理部26は、そうした処理後のMSイメージング画像とラマンイメージング画像とを集めて階層的クラスタ解析を実行し、2次元強度分布が類似した画像を集めてクラスタ化を行う。これにより、イオン強度分布のパターンとラマン散乱強度分布のパターンとが類似しているMSイメージング画像とラマンイメージング画像とが同じクラスタに分類される。即ち、分析手法に相違に拘わらず、同じ試料の同じ測定領域に対して得られた情報の2次元分布はその分布が類似していれば同じクラスタに分類されるし、分布が異なれば異なるクラスタに分類されることになる。
[0025]
 表示処理部27は上記階層的クラスタ解析の結果を所定の様式で表示部4の画面上に表示する。この表示様式は例えば予め決められた様々な様式から選択することができる。具体的には、同じクラスタに分類された1又は複数のイメージング画像の縮小像をクラスタ毎にまとめて一覧で表示したり、或いは、クラスタ毎に代表的なイメージング画像の縮小像を一つずつ一覧で表示したり、ユーザがその中の一つをクリック操作等により指示すると、指示されたイメージング画像と同じクラスタに含まれるイメージング画像が一覧で表示されるようにしたりすることもできる。また、階層的クラスタ解析ではイメージング画像間の類似性を示すデンドログラムを作成することができるが、そうしたデンドログラムを表示できるようにしてもよい(図3参照)。また、散布図を用いてイメージング画像同士の類似性を視覚的に表現してもよい。
[0026]
 また、イメージング画像では2次元強度分布はグレイスケールやカラースケールを用いて描画されるが、上述した分類結果を示す画像上でMSイメージング画像とラマンイメージング画像とのいずれであるのかが一目で分かるように、それらの画像の表示の態様を互いに容易に識別可能なものとしてもよい。例えば、表示色を異なるものとしたり、表示の明るさを異なるものとしたり、表示の形状(例えば一方に枠を付す等)や大きさを異なるものとしたり、してもよい。
[0027]
 上記実施形態の装置は、試料上の2次元的な領域を測定領域としたもの、つまりはMSイメージング画像やラマンイメージング画像は2次元画像であったが、試料中の3次元的な領域を測定領域として、3次元のMSイメージング画像やラマンイメージング画像を処理する装置とすることもできる。
[0028]
 図4は、3次元のMSイメージング画像の概念図である。例えば図4(a)に示すように、生体から切り出した臓器の小片などの試料101をごく薄く連続的にスライスすることで多数の試料薄片を作成する。ここでは、試料薄片の切断面はX-Y平面に平行である。測定部1により、各試料薄片上の2次元的な測定領域内を測定する。これにより、図4(b)に示すように、各試料薄片に対応するMSイメージング画像102a~102nが得られる。この画像をX軸、Y軸上の位置を合わせてZ軸方向に並べることで、実質的に3次元のMSイメージングデータを得ることができる。そこで、これらデータに基づいて、3次元MSイメージング画像を描画する。ラマンイメージング画像についても同様である。これら画像に対し上述した2次元のイメージング画像に対して実施したのと同様の処理を実施することで、3次元MSイメージング画像と3次元ラマンイメージング画像とを階層的クラスタ解析により分類した結果を得ることができる。
 このように、本発明に係るイメージング質量分析装置は、3次元へ拡張されたデータの処理にも利用可能である。
[0029]
 上記実施形態は、MSイメージング画像とラマンイメージング画像とを対象に階層的クラスタ解析を実行したが、ラマンイメージング画像の代わりに、質量分析イメージング以外の任意のイメージング分析法による画像を用いることができる。例えば赤外(IR)イメージング法、蛍光イメージング法、X線分光イメージング法による画像を対象とすることができる。
[0030]
 また、質量分析とラマン分光分析のように測定原理自体が全く異なる二つの手法ではなく、いずれも質量分析という場合も考えられる。この場合、例えばイオン解離操作を伴わない通常の質量分析とイオンの解離操作を伴うMS/MS分析やMS n分析とは別の種類の分析手法と捉えることができる。また、分析対象の試料自体が同一であっても、質量分析の際のイオン化法が異なると生成されるイオン種が相違する場合があるため、ここでは、イオン化法が相違する質量分析も別の種類の分析手法と捉えることができる。例えばMALDI法を用いた質量分析とSIMS法におけるイオン化法を用いた質量分析とは、互いに別の種類の分析手法である。したがって、こうした別の種類の分析手法で得られたイメージング画像をまとめて階層的クラスタ解析などの統計解析を用いて分類する際にも本発明を適用することができる。
[0031]
 また、上記実施形態やそれ以外の変形例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加等を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
[0032]
 以上、図面を参照して本発明における種々の実施形態を説明したが、最後に、本発明の種々の態様について説明する。
[0033]
 本発明の第1の態様のイメージング質量分析装置は、試料上の2次元的な又は試料中の3次元的な測定領域内に設定された複数の微小領域それぞれに対する質量分析を実行するイメージング質量分析装置において、
 目的試料に対する質量分析により得られたデータに基づいて、特定の質量電荷比若しくは質量電荷比範囲におけるイオンの強度分布を示す、又は、該イオン強度分布に基づく所定の演算処理により得られた演算結果の分布を示す、1若しくは複数の第1イメージング画像を構成するデータを取得する第1イメージング画像データ取得部と、
 前記目的試料に対し前記質量分析とは別の種類である分析手法により得られた、1又は複数の第2イメージング画像を構成するデータを取得する第2イメージング画像データ取得部と、
 前記第1イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1若しくは複数の第1イメージング画像における信号強度と前記1若しくは複数の第2イメージング画像における信号強度とを規格化するデータ変換処理を行う第1データ処理部と、
 前記第1イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1若しくは複数の第1イメージング画像と前記1若しくは複数の第2イメージング画像との空間分解能を揃えるデータ処理を行う第2データ処理部と、
 前記第1及び第2データ処理部による処理後のデータについて画像に関する統計解析処理を実行して、空間分布の類似性又は相違性に基づき、前記1若しくは複数の第1イメージング画像及び前記1若しくは複数の第2イメージング画像を分類する画像分類処理部と、
 を備えるものである。
[0034]
 第1の態様のイメージング質量分析装置によれば、イメージング質量分析により得られた質量分析イメージング画像と、質量分析とは全く異なる赤外分光分析やラマン分光分析などによるイメージング分析、或いは、同じ質量分析であっても生成されるイオン種が相違するような別のイオン化法を用いたイメージング質量分析により得られたイメージング画像とについて、強度分布が類似している等の解析処理を、効率良く且つ客観性を以て実行することができる。それにより、質量分析イメージング画像の解析のみからでは分からない又は正確性に欠ける目的の試料についての有益な情報を、ユーザに提供することができる。
[0035]
 また本発明の第2の態様のイメージング質量分析装置は、第1の態様の装置において、前記測定領域は試料上の2次元的な測定領域であるものとする。
[0036]
 第2の態様のイメージング分析装置によれば、例えば、生体組織薄片などの薄い試料について、複数の試料間での同一成分の分布状況の比較が容易になる。
[0037]
 本発明の第3の態様のイメージング質量分析装置は、第1の態様の装置において、前記測定領域は試料中の3次元的な測定領域であるものとする。
[0038]
 第3態様のイメージング質量分析装置によれば、例えば、生体組織切片などの厚みのある試料について、複数の試料間での同一成分の分布状況の比較が容易になる。
[0039]
 また本発明の第4の態様のイメージング質量分析装置は、第1の態様の装置において、前記第1イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像と前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像の一方又は両方を変形させることで、画像上の対象物の形状の相違を補正する画像補正部、をさらに備えるものである。
[0040]
 画像補正部による画像変形処理は、画像全体又はその一部の移動、回転、拡大・縮小などを含むものとすることができる。この第2の態様のイメージング質量分析装置によれば、分析により得られた画像に歪みが生じ、第1イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像と第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像との間で試料上の同じ位置が対応しないような場合であっても、画像変形処理によって画像を互いに比較可能な状態にすることができる。
[0041]
 また本発明の第5の態様のイメージング質量分析装置は、第1の態様の装置において、前記画像分類処理部による画像の分類結果を所定の形式で表示部に表示する表示処理部、をさらに備え、前記表示処理部は、前記第1イメージング画像の分類結果と前記第2イメージング画像の分類結果との視覚的な態様を変えるものである。
[0042]
 ここでいう視覚的な態様とは例えば、表示色、表示の明るさ(輝度)、形状や大きさなどである。この本発明の第3の態様のイメージング質量分析装置によれば、画像の分類結果表示において、異なる分析手法による画像をユーザが容易に識別することができ、分類結果の理解が容易になる。
[0043]
 本発明の第6の態様のイメージング質量分析装置は、第1の態様の装置において、前記画像分類処理部による画像の分類結果に基づいて設定された第1イメージング画像上の特定の部位に含まれる複数の測定点に対して得られたマススペクトルデータを用いて、該部位における積算マススペクトル又は平均マススペクトルを計算して表示する積算マススペクトル算出部、をさらに備えるものである。
[0044]
 第6の態様のイメージング質量分析装置によれば、質量分析イメージング画像上で特徴的なパターンを示す場合に、その特定の部位に存在する成分に対応すると想定される積算マススペクトル又は平均マススペクトルをユーザに提示することができる。

符号の説明

[0045]
1…イメージング質量分析部
1…測定部
100…試料
2…データ解析部
20…MSイメージングデータ記憶部
21…ラマンイメージングデータ記憶部
22…MSイメージング画像作成部
23…ラマンイメージング画像作成部
24…信号強度規格化処理部
25…空間分解能調整処理部
26…統計解析処理部
27…表示処理部
3…入力部
4…表示部
5…ラマン分光イメージング測定装置

請求の範囲

[請求項1]
 試料上の2次元的な又は試料中の3次元的な測定領域内に設定された複数の微小領域それぞれに対する質量分析を実行するイメージング質量分析装置において、
 目的試料に対する質量分析により得られたデータに基づいて、特定の1又は複数の質量電荷比又は質量電荷比範囲におけるイオンの強度分布を示す、1又は複数の第1イメージング画像を構成するデータを取得する質量分析イメージング画像データ取得部と、
 前記目的試料に対し前記質量分析とは別の種類の分析手法により得られた、1又は複数の第2イメージング画像を構成するデータを取得する第2イメージング画像データ取得部と、
 前記質量分析イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1又は複数の第1イメージング画像における信号強度と前記1又は複数の第2イメージング画像における信号強度とを規格化するデータ変換処理を行う第1データ処理部と、
 前記質量分析イメージング画像データ取得部及び前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに対し、前記1又は複数の第1イメージング画像と前記1又は複数の第2イメージング画像との空間分解能を揃えるデータ処理を行う第2データ処理部と、
 前記第1及び第2データ処理による処理後のデータについて画像に関する統計解析処理を実行して、空間分布の類似性又は相違性に基づき、前記1又は複数の第1イメージング画像及び前記1又は複数の第2イメージング画像を分類する画像分類処理部と、
 を備える、イメージング質量分析装置。
[請求項2]
 前記測定領域は試料上の2次元的な測定領域である請求項1に記載のイメージング質量分析装置。
[請求項3]
 前記測定領域は試料中の3次元的な測定領域である請求項1に記載のイメージング質量分析装置。
[請求項4]
 前記第1イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像と前記第2イメージング画像データ取得部により取得されたデータに基づく画像の一方又は両方を変形させることで、画像上の対象物の形状の相違を補正する画像補正部、をさらに備える、請求項1に記載のイメージング質量分析装置。
[請求項5]
 前記画像分類処理部による画像の分類結果を所定の形式で表示部に表示する表示処理部、をさらに備え、前記表示処理部は、前記第1イメージング画像の分類結果と前記第2イメージング画像の分類結果との視覚的な態様を変えるものである、請求項1に記載のイメージング質量分析装置。
[請求項6]
 前記画像分類処理部による画像の分類結果に基づいて設定された第1イメージング画像上の特定の部位に含まれる複数の測定点に対して得られたマススペクトルデータを用いて、該部位における積算マススペクトル又は平均マススペクトルを計算して表示する積算マススペクトル算出部、をさらに備える請求項1に記載のイメージング質量分析装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]