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1. JP1995164418 - セラミックグリーンシートの製造方法

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[ JA ]
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば積層セラミック電子部品の製造に用いられるセラミックグリーンシートの製造方法に関し、特に、セラミックグリーンシートをリールに巻回するまでの工程が改良されたセラミックグリーンシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば積層コンデンサの製造に際しては、先ず、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂よりなる支持フィルム上において、セラミック粉末、バインダ樹脂及び溶媒等を含むセラミックスラリーを所望の厚みに塗布し、乾燥させることにより、セラミックグリーンシートを成形する。次に、支持フィルム上にて成形されたセラミックグリーンシートを、該支持フィルムから剥離してリールに巻回する。
【0003】上記のようにリールに巻回された状態で用意されたセラミックグリーンシートを該リールから引き出し、所定の寸法の矩形形状のマザーのセラミックグリーンシートを打ち抜き、複数枚のマザーのセラミックグリーンシートを得る。しかる後、マザーのセラミックグリーンシートの一方主面に導電ペーストを印刷し、加熱・乾燥させる。次に、電極パターンの形成されたマザーのセラミックグリーンシートを複数枚積層し、上下に電極パターンの成形されていないマザーのセラミックグリーンシートを適宜の枚数積層し、厚み方向に加圧して積層体を得る。得られた積層体を、個々の積層コンデンサ単位に切り出し、しかる後焼成し、焼結体を得る。このようにして得られた焼結体の両端面に外部電極を付与することにより、積層コンデンサが得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の製造方法のようにリールに巻回されたセラミックグリーンシートを用意する場合、支持フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するに際し、セラミックグリーンシートには張力が加わる。その結果、セラミックグリーンシートが該張力により伸び、伸ばされた状態のままリールに巻回されることになる。従って、巻回された状態においては、伸ばされた際の応力が開放されず、伸ばされた状態のまま安定することになる。
【0005】他方、上記のようにして巻回されたセラミックグリーンシートをリールから繰り出し、適当な寸法に打ち抜き、電極パターンを印刷した後加熱・乾燥すると、該加熱により上記応力が開放され、セラミックグリーンシートが収縮する。このセラミックグリーンシートの収縮量は上記応力の大きさ、加熱・乾燥条件等により一定ではない。従って、セラミックグリーンシートの寸法がばらつきがちとなり、かつ電極パターンを高精度に印刷したとしても、最終的に得られたマザーのセラミックグリーンシートにおける電極位置精度がばらつくという問題があった。
【0006】本発明の目的は、加熱・乾燥に際しての収縮が少なく、寸法ばらつきの少ないセラミックグリーンシートを安定に供給することを可能とするセラミックグリーンシートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持フィルム上にてセラミックグリーンシートを成形する工程と、前記セラミックグリーンシートを、含有されているバインダ樹脂のガラス転移点±5℃の温度に冷却しつつ、前記支持フィルムから剥離する工程と、前記セラミックグリーンシートをリールに巻回する工程とを備える、セラミックグリーンシートの製造方法である。
【0008】
【作用】セラミックグリーンシートの伸びは含まれているバインダ樹脂の作用による。そこで、本発明では、セラミックグリーンシートを支持フィルムから剥離する際に、上記バインダ樹脂のガラス転移点tg±5℃の温度までセラミックグリーンシートを冷却することにより、セラミックグリーンシートが伸び難くされている。よって、巻回されたセラミックグリーンシートをリールから繰り出し、後の工程において加熱・乾燥したとしても、巻回に際して伸ばされていないため、収縮が生じ難い。
【0009】
【発明の効果】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法では、支持フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するに際し、セラミックグリーンシートが冷却されるので、伸びが抑制された状態でセラミックグリーンシートがリールに巻回される。よって、セラミックグリーンシートをリールから繰り出し、後工程において加熱・乾燥等を行ったとしても、セラミックグリーンシートの収縮が生じ難い。
【0010】よって、寸法安定性に優れたセラミックグリーンシートを提供することができ、例えば積層コンデンサなどのセラミック積層電子部品の製造方法に用いた場合には、セラミックグリーンシートの寸法ばらつきや電極位置精度のばらつきの少ないセラミック積層電子部品を安定に供給することができ、静電容量などの特性の安定なセラミック電子部品を提供することが可能となる。
【0011】
【実施例の説明】以下、図面を参照しつつ、実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0012】図1は、本発明の一実施例を説明するための模式的側面図である。本実施例では、まず、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムよりなる支持フィルム1を図示の矢印方向に搬送させる。次に、シート成形部2において、上記支持フィルム1上にセラミックスラリーを所定の厚みに塗布し、乾燥させることにより、セラミックグリーンシート3を成形する。
【0013】セラミックグリーンシート3の成形方法については、ドクターブレード法、ロールコーターを用いた方法など適宜の方法を採用することができる。また、使用するセラミックスラリーについても、種々のセラミック粉末、有機バインダ及び充填剤に溶剤を混合してなる適宜の組成のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0014】次に、セラミックグリーンシート3を支持フィルム1から剥離するに際し、剥離される部分A近傍に冷却装置4を配置し、冷風を吹き付ける。冷風の温度は、セラミックグリーンシート3の表面温度が、含有されているバインダ樹脂のガラス転移点tg±5℃の温度になるように選ばれる。なお、冷却装置4による冷却は冷風に限ることはなく、冷却パイプの当接等任意に選ばれる。該冷風の吹き付けにより、セラミックグリーンシート3を冷却し、リール(ローラ)5に巻回する。リール5は、図示の矢印で示すように時計方向に回転されており、該リール5によりセラミックグリーンシート3を巻回するに際し、セラミックグリーンシート3にはその長さ方向に張力が加えられる。しかしながら、本実施例では、上記冷風の吹き付けにより、セラミックグリーンシート3が冷却されているため、該セラミックグリーンシート3は巻回に際しての張力によりさほど伸びない。
【0015】従って、リール5に巻回されたセラミックグリーンシートから、マザーのセラミックグリーンシートを打ち抜き、電極ペーストの塗布後に加熱・乾燥したとしても、セラミックグリーンシートの収縮が生じ難い。
【0016】次に、具体的な実験例につき説明する。セラミック粉末に、バインダ樹脂としてポリ酢酸ビニル、溶剤として純水を混合してなるセラミックスラリーを用いて約20μmの厚みに成形し、セラミックグリーンシート3を得た。次に、上記セラミックグリーンシート3を剥離するに際し、図1に示した冷却装置4から吹き付ける冷風の温度を種々変更することにより、種々のセラミックグリーンシート3をリール5に巻回した。なお、比較のために、冷却装置4を動作させないで、すなわち従来法と同様にして、リール5にセラミックグリーンシート3を巻回した。
【0017】次に、上記のようにして用意したリール5に巻回された複数種のセラミックグリーンシートを、リール5から繰り出し、それぞれ80×60mmの矩形形状に打ち抜き、80℃の温度に加熱した後の収縮量を測定した。結果を表1に示す。なお、表1に示すシート収縮量は、セラミックグリーンシートの長さ方向1mmに対する収縮量を示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1から明らかなように、セラミックグリーンシートを(バインダ樹脂のガラス転移点)+5℃以下に冷却することにより、シート収縮量を著しく小さくし得ることがわかる。他方、セラミックグリーンシートの表面温度を、粘弾性が急激に小さくなる温度(バインダ樹脂のガラス転移点)−5℃よりも低くした場合には、収縮量こそ小さくなるものの、キャリアフィルム2からの剥離が困難となった。従って、上記実験例で使用したセラミックグリーンシート及び支持フィルムでは、冷却装置4による冷却温度範囲は、(バインダ樹脂のガラス転移点)±5℃であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のセラミックグリーンシートの製造方法を説明するための模式的側面図。
【符号の説明】
1…支持フィルム
2…シート成形部
3…セラミックグリーンシート
4…冷却装置
5…リール