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1. WO2018198339 - エネルギー処置具及び処置システム

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明 細 書

発明の名称 エネルギー処置具及び処置システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

発明の概要

0004   0005  

図面の簡単な説明

0006  

発明を実施するための形態

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4A   4B   5   6A   6B   7   8   9   10A   10B   11   12A   12B   13   14   15   16   17   18   19A   19B   20   21A   21B   22   23   24A   24B   25   26   27  

明 細 書

発明の名称 : エネルギー処置具及び処置システム

技術分野

[0001]
 本実施形態は、一対の把持片の間で把持される処置対象に処置エネルギーを付与することにより処置対象を処置するエネルギー処置具に関する。また、そのエネルギー処置具が用いられる処置システムに関する。

背景技術

[0002]
 WO2016/080147A1には、一対の把持片の間で処置対象を把持し、把持される処置対象に処置エネルギーを付与するエネルギー処置具が開示されている。このエネルギー処置具では、把持片のそれぞれに電極が設けられ、2つの電極によってバイポーラ電極が形成される。バイポーラ電極に高周波電力が供給されることにより、2つの電極は互いに対して電位が異なる状態になり、電極の間で処置対象を通して高周波電流が流れる。また、把持片の一方には、ヒータが設けられる。ヒータに電気エネルギー(ヒータ電力)が供給されることにより、ヒータにおいてヒータ熱が高周波電流とは別の処置エネルギーとして発生し、ヒータ熱が把持片の一方から処置対象に付与される。
[0003]
 WO2016/080147A1のようなエネルギー処置具を用いた処置として、高周波電流及びヒータ熱等の高周波電流とは別の処置エネルギーを同時に把持される処置対象に付与し、血管等の処置対象を封止することがある。この際、封止品質を安定させることが求められている。

発明の概要

[0004]
 本発明の目的とするところは、処置対象の封止品質を安定させるエネルギー処置具を提供することにある。また、本発明が目的とするところは、そのエネルギー処置具を備える処置システムを提供することにある。
[0005]
 前記目的を達成するため、本発明のある態様のエネルギー処置具は、第1の把持片と、前記第1の把持片に対して相対的に開閉可能であり、前記第1の把持片との間で処置対象を把持可能な第2の把持片と、高周波電力が供給されることにより、前記第1の把持片と前記第2の把持片との間で前記処置対象を通して高周波電流を流し、前記処置対象において前記高周波電流に起因する第1の温度分布を形成するバイポーラ電極と、電気エネルギーが供給されることにより、前記高周波電流とは別の処置エネルギーを生成するとともに、生成した前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させることにより、前記処置対象において前記処置エネルギーに起因する第2の温度分布を形成する処置エネルギー源と、を備え、前記バイポーラ電極及び前記処置エネルギー源は、前記第1の温度分布において相対的に温度の高い領域が前記第2の温度分布において相対的に温度の低い領域に位置する状態に、前記処置対象に前記高周波電流及び前記処置エネルギーを同時に付与させることが可能である。

図面の簡単な説明

[0006]
[図1] 図1は、第1の実施形態に係るエネルギー処置具が用いられる処置システムを示す概略図である。
[図2] 図2は、第1の実施形態に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図3] 図3は、第1の実施形態に係るバイポーラ電極への高周波電力の供給及びヒータへの電気エネルギーの供給を制御する構成を概略的に示すブロック図である。
[図4A] 図4Aは、第1の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図4B] 図4Bは、第1の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図5] 図5は、第1の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図6A] 図6Aは、第1の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図6B] 図6Bは、第1の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図7] 図7は、第1の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図8] 図8は、第1の実施形態のある変形例に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図9] 図9は、第2の実施形態に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図10A] 図10Aは、第2の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図10B] 図10Bは、第2の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図11] 図11は、第2の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図12A] 図12Aは、第2の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図12B] 図12Bは、第2の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図13] 図13は、第2の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図14] 図14は、第2の実施形態の第1の変形例に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図15] 図15は、第2の実施形態の第2の変形例に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図16] 図16は、第2の実施形態の第2の変形例に係るヒータ電源とヒータとの間の電気的な接続状態を概略的に示すブロック図である。
[図17] 図17は、第3の実施形態に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図18] 図18は、第3の実施形態に係るバイポーラ電極への高周波電力の供給及びヒータへの電気エネルギーの供給を制御する構成を概略的に示すブロック図である。
[図19A] 図19Aは、第3の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図19B] 図19Bは、第3の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図20] 図20は、第3の実施形態に係る電源装置から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図21A] 図21Aは、第3の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図21B] 図21Bは、第3の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図22] 図22は、第3の実施形態に係る電源装置から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図23] 図23は、第4の実施形態に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図24A] 図24Aは、第4の実施形態に係る電極の間に流れる高周波電流に起因して処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示す概略図である。
[図24B] 図24Bは、第4の実施形態に係るヒータで発生するヒータ熱に起因して処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す概略図である。
[図25] 図25は、第4の実施形態に係る電源装置から出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布の一例を示す概略図である。
[図26] 図26は、第1の実施形態乃至第4の実施形態のある変形例に係るエンドエフェクタを長手軸に沿う方向に対して略垂直な断面で示す概略図である。
[図27] 図27は、図26に示す変形例に係るバイポーラ電極への高周波電力の供給及び超音波トランスデューサへの電気エネルギーの供給を制御する構成を概略的に示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0007]
 (第1の実施形態) 
 本発明の第1の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本実施形態のエネルギー処置具2が用いられる処置システム1を示す図である。図1に示すように、エネルギー処置具2は、シャフト3、ハウジング4及びエンドエフェクタ5を備える。シャフト3は、中心軸として長手軸Cを有し、長手軸Cに沿って延設される。ここで、長手軸Cに沿う方向の一方側を先端側(矢印C1側)とし、先端側とは反対側を基端側(矢印C2側)とする。ハウジング4は、シャフト3の基端側に連結される。また、エンドエフェクタ5は、シャフト3の先端部に設けられる。
[0008]
 ハウジング4は、長手軸Cに対して交差する方向に沿って延設されるグリップ7を備え、ハウジング4には、ハンドル8が回動可能に取付けられる。ハンドル8がハウジング4に対して回動することにより、ハンドル8がグリップ7に対して開く又は閉じる。エンドエフェクタ5は、一対の把持片(ジョー)11,12を備える。ここで、ある実施例では、把持片11,12の一方が、シャフト3と一体に形成されるか、又は、シャフト3に固定され、把持片11,12の他方が、シャフト3に回動可能に取付けられる。また、別のある実施例では、把持片11,12の両方が、シャフト3に対して回動可能に取付けられる。さらに別のある実施例では、シャフト3の内部を通ってロッド部材(図示しない)が延設され、ロッド部材は、シャフト3の先端から先端側に突出する。そして、ロッド部材においてシャフト3からの突出部分が、把持片11,12の一方を形成する。また、把持片11,12の他方は、シャフト3に回動可能に取付けられる。
[0009]
 シャフト3の内部又は外部には、可動部材13が基端側から先端側に向かって延設され、可動部材13の先端部は、エンドエフェクタ5に接続される。また、可動部材13の基端部は、ハウジング4の内部においてハンドル8に連結される。ハンドル8をグリップ7に対して開く又は閉じることにより、可動部材13が長手軸Cに沿って移動する。これにより、把持片11,12の少なくとも一方がシャフト3に対して回動し、把持片11,12の間が開く又は閉じる。把持片11,12の間が開閉可能であるため、生体組織等の処置対象を把持片11,12の間で把持可能となる。なお、エンドエフェクタ5の開動作及び閉動作のそれぞれにおける動作方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)は、長手軸Cに沿う方向に対して交差する(略垂直である)。
[0010]
 エネルギー処置具2のハウジング4には、ケーブル15の一端が接続される。ケーブル15の他端は、エネルギー処置具2とは別体の電源装置17に接続される。また、エネルギー処置具2が用いられる処置システム1には、操作部材18が設けられる。図1の実施例では、操作部材18は、エネルギー処置具2とは別体のフットスイッチであり、電源装置17に電気的に接続される。操作部材18での操作に基づいて、電源装置17は、エネルギー処置具2に電気エネルギーを供給する。なお、操作部材18では、処置対象の封止に適した出力状態で、すなわち、封止モードで、エネルギー処置具2へ電気エネルギーを出力させる操作を、入力可能である。そして、操作部材18では、処置対象の切開に適した出力状態で、すなわち、切開モードで、エネルギー処置具2へ電気エネルギーを出力させる操作を、入力可能である。また、ある実施例では、操作部材18として、フットスイッチの代わりに、又は、フットスイッチに加えて、ハウジング4に取付けられる操作ボタン等が設けられる。
[0011]
 図2は、エンドエフェクタ5を長手軸Cに沿う方向に対して略垂直な断面で示す図である。ここで、長手軸Cに沿う方向に交差し(略垂直で)、かつ、開動作及び閉動作のそれぞれにおけるエンドエフェクタ5の動作方向に交差する(略垂直な)方向として、エンドエフェクタ5の幅方向(矢印W1及び矢印W2で示す方向)を規定する。図2に示すように、把持片11は、把持片12に対向する把持面21と、把持面21とは反対側を向く背面22と、を備える。また、把持片12は、把持片11(把持面21)に対向する把持面25と、把持面25とは反対側を向く背面26と、を備える。
[0012]
 把持片11は、支持体23を備え、把持片12は、支持体28を備える。支持体23,28のそれぞれでは、少なくとも表面が、電気的絶縁性を有する材料から形成される。支持体23は、長手軸Cに沿う方向について把持片11の基端部から先端部までに渡って、連続して延設される。また、支持体23は、把持片11の背面22を形成するとともに、把持面21の一部を形成する。支持体28は、長手軸Cに沿う方向について把持片12の基端部から先端部までに渡って、連続して延設される。また、支持体28は、把持片12の背面26を形成するとともに、把持面25の一部を形成する。
[0013]
 把持片11には、第1の電極31が設けられ、把持片12には、第2の電極32及び第3の電極33が設けられる。第1の電極31は、把持片11の把持面21の一部を形成し、第2の電極32及び第3の電極33のそれぞれは、把持片12の把持面25の一部を形成する。電極31~33のそれぞれは、導電材料から形成され、熱伝導性の高い材料から形成される。エンドエフェクタ5では、電極31~33によってバイポーラ電極30が形成される。バイポーラ電極30に電気エネルギーとして高周波電力が供給されることにより、把持片11,12の間で把持される処置対象を通して高周波電流が流れる。これにより、処置対象に処置エネルギーとして高周波電流が付与される。なお、本実施形態では、第1の電極31が設けられる把持片11を第1の把持片とし、第2の電極32が設けられる把持片12を第2の把持片とする。
[0014]
 本実施形態では、第1の電極31は、長手軸Cに沿う方向について把持片11の基端部から先端部までに渡って、連続して延設される。また、第2の電極32及び第3の電極33のそれぞれは、長手軸Cに沿う方向について把持片12の基端部から先端部までに渡って、連続して延設される。そして、電極31~33は、長手軸Cに沿う方向について互いに対して略同一の範囲に渡って、延設される。したがって、電極31~33では、長手軸Cに沿う方向についての寸法が、互いに対して略同一になる。
[0015]
 把持面21では、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、第1の電極31が配置される。そして、把持面21では、エンドエフェクタ5の幅方向について第1の電極31の外側に、絶縁対向面35が設けられる。絶縁対向面35は、支持体23の表面から形成され、電気的絶縁性を有する。また、絶縁対向面35は適宜の耐熱性を有する。そして、絶縁対向面35は、エンドエフェクタ5の幅方向について第1の電極31の両側に、形成される。
[0016]
 把持面25では、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、受け面37が形成される。受け面37は、支持体28の表面から形成され、電気的絶縁性を有する。受け面37は適宜の耐熱性を有する。また、把持面25では、エンドエフェクタ5の幅方向について受け面37の外側に、第3の電極33が設けられる。本実施形態では、第3の電極33は、エンドエフェクタ5の幅方向について受け面37の両側に、隣接する。また、把持面25では、エンドエフェクタ5の幅方向について第3の電極33の外側に、第2の電極32が設けられる。本実施形態では、第2の電極32は、エンドエフェクタ5の幅方向について受け面37に対して離れた位置で、かつ、受け面37の両側に、形成される。なお、第2の電極32と第3の電極33との間には、電気絶縁性を有する膜状部材(図示しない)等が配設される。このため、第2の電極32と第3の電極33との間の電気的な導通は、防止される。
[0017]
 把持片11,12の間が閉じることにより、把持片11の第1の電極31は、把持片12の受け面37に当接可能となる。第1の電極31が受け面37に当接した状態では、第1の電極31は、第2の電極32及び第3の電極33に対して離間し、第2の電極32及び第3の電極33と接触しない。したがって、エンドエフェクタ5では、第1の電極31の第2の電極32及び第3の電極33への接触が有効に防止される。
[0018]
 本実施形態では、幅方向についての第1の電極31の寸法B1は、幅方向についての第2の電極32の寸法(B2a+B2b)に比べて、大きい。また、幅方向についての第1の電極31の寸法B1は、幅方向についての第3の電極33の寸法(B3a+B3b)に比べて、大きい。ただし、幅方向についての第1の電極の寸法B1は、幅方向についての第2の電極32の寸法(B2a+B2b)と幅方向についての第3の電極寸法(B3a+B3b)との合計寸法(B2a+B2b+B3a+B3b)に比べて、小さい。ここで、前述のように、電極31~33では、長手軸Cに沿う方向についての寸法が、互いに対して略同一になる。したがって、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて大きく、第3の電極33の表面積に比べて大きい。そして、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積と第3の電極33の表面積との合計面積に比べて、小さい。
[0019]
 また、本実施形態では、第1の把持片となる把持片11には、ヒータ(発熱体)41が設けられる。ヒータ41は、電気エネルギーが供給されることにより、高周波電流とは別の処置エネルギーとしてヒータ熱を生成する処置エネルギー源となる。本実施形態では、ヒータ41は、把持片11において、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、配置される。また、ヒータ41は、第1の電極31の背面26側に配置される。ヒータ41で生成されたヒータ熱は、第1の電極31に伝達され、第1の電極31から把持される処置対象に付与される。したがって、本実施形態では、高周波電流とは別の処置エネルギーとしてヒータ熱が、把持片11から処置対象に付与される。
[0020]
 図3は、バイポーラ電極30への高周波電力の供給及びヒータ41への電気エネルギーの供給を制御する構成を示す図である。電源装置17は、プロセッサ(コントローラ)51及び記憶媒体52を備える。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含む集積回路等から形成される。プロセッサ51は、電源装置17において1つのみ設けられてもよく、電源装置17において複数設けられてもよい。プロセッサ51での処理は、プロセッサ51又は記憶媒体52に記憶されたプログラムに従って行われる。また、記憶媒体52には、プロセッサ51で用いられる処理プログラム、及び、プロセッサ51での演算で用いられるパラメータ、関数及びテーブル等が記憶される。プロセッサ51は、フットスイッチ等の操作部材18での操作入力を検出する。
[0021]
 電源装置17は、ヒータ電源53を備える。ヒータ電源53は、変換回路及び変圧器等を備え、バッテリー電源又はコンセント電源等からの電力をヒータ41に供給される電気エネルギーに変換する。ヒータ電源53は、電気経路55,56を介してヒータ41に電気的に接続される。電気経路55,56のそれぞれは、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。ヒータ電源53は、変換した電気エネルギー(ヒータ電力)を出力することにより、出力した電気エネルギーをヒータ41に供給する。この際、電気エネルギーとして直流電力又は交流電力が、出力される。プロセッサ51は、ヒータ電源53からの出力を制御し、ヒータ41への電気エネルギー(ヒータ電力)の供給を制御する。
[0022]
 また、電源装置17は、高周波電源57を備える。高周波電源57は、波形生成器、変換回路及び変圧器等を備え、バッテリー電源又はコンセント電源等からの電力をバイポーラ電極40に供給される電気エネルギーである高周波電力に変換する。高周波電源57は、変換した高周波電力を出力可能であり、プロセッサ51は、高周波電源57からの出力を制御する。また、高周波電源57は、電気経路58を介して第1の電極31に電気的に接続される。電気経路58は、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。
[0023]
 電源装置17は、スイッチ回路等から形成される供給切替え部61を備える。供給切替え部61は、電源装置17に設けられる電気経路62を介して、高周波電源57に電気的に接続される。また、供給切替え部61は、電気経路65を介して第2の電極32に電気的に接続されるとともに、電気経路66を介して第3の電極33に電気的に接続される。電気経路65,66のそれぞれは、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。プロセッサ51は、供給切替え部61の作動を制御する。
[0024]
 プロセッサ51は、高周波電源57からの出力及び供給切替え部61の作動を制御することにより、バイポーラ電極30への高周波電力の供給を制御する。本実施形態では、プロセッサ51によって供給切替え部61の作動状態が切替えられることにより、バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態が、第1の供給状態と第2の供給状態との間で切替えられる。バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態が切替られることにより、第1の供給状態と第2の供給状態との間では、処置対象への高周波電流の付与状態が変化する。
[0025]
 第1の供給状態では、供給切替え部61において、電気経路66と電気経路62との間の電気的な接続が遮断される。このため、第1の供給状態では、第3の電極33及び電気経路66を通して高周波電流が流れず、高周波電源57から出力された高周波電力は、第3の電極33に供給されない。この際、高周波電源57から電気経路58を介して第1の電極31に高周波電力が供給されるとともに、高周波電源57から電気経路62,65を介して第2の電極32に高周波電力が供給される。したがって、第1の供給状態では、第1の電極31及び第2の電極32にのみに高周波電力が供給される。そして、第1の供給状態では、第1の電極31及び第2の電極32は、互いに対して異なる電位を有し、第1の電極31と第2の電極32との間で把持される処置対象を通して高周波電流が流れる。
[0026]
 第2の供給状態では、供給切替え部61において、電気経路66と電気経路62との間が電気的に接続される。このため、第2の供給状態では、第3の電極33及び電気経路66を通して高周波電流が流れ、高周波電源57から出力された高周波電力は、第3の電極33に供給される。この際、高周波電源57から電気経路58を介して第1の電極31に高周波電力が供給されるとともに、高周波電源57から電気経路62,65を介して第2の電極32に高周波電力が供給される。したがって、第2の供給状態では、電極31~33の全てに高周波電力が供給される。そして、第2の供給状態では、第1の電極31は、第2の電極32及び第3の電極33に対して異なる電位を有し、第2の電極32及び第3の電極33は互いに対して同一の電位になる。これにより、第2の供給状態では、第1の電極31と第2の電極32及び第3の電極33のそれぞれとの間で把持される処置対象を通して高周波電流が流れる。
[0027]
 なお、電源装置17には、タッチパネル等の設定部(図示しない)が設けられてもよい。設定部では、例えば、封止モード及び切開モードのそれぞれにおけるヒータ電源53からの出力レベル、及び、封止モード及び切開モードのそれぞれにおける高周波電源57からの出力レベルを設定可能である。この場合、プロセッサ51は、設定部での設定に基づいて、ヒータ電源53からの出力及び高周波電源57からの出力を制御する。
[0028]
 次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。エネルギー処置具2を用いて処置を行う際には、ケーブル15を介してエネルギー処置具2を電源装置17に接続する。そして、術者は、ハウジング4を保持し、エンドエフェクタ5を腹腔等の体腔に挿入する。そして、把持片11,12の間に血管等の処置対象を位置させた状態で、術者は、ハンドル8をグリップ7に対して閉じる。これにより、把持片11,12の間が閉じ、把持片11,12の間で処置対象が把持される。そして、処置対象が把持された状態で、術者は、操作部材18で操作を入力し、封止モード又は切開モードで電源装置17からエネルギー処置具2へ電気エネルギーが出力させる。これにより、バイポーラ電極30への高周波電力が供給されるとともに、ヒータ41への電気エネルギーが供給される。
[0029]
 バイポーラ電極30に高周波電力が供給されることにより、前述のように把持片11,12の間で処置対象を通して高周波電流が流れ、処置対象に高周波電流が付与される。処置対象に高周波電流が付与されることにより、処置対象では、高周波電流に起因する第1の温度分布が形成される。また、ヒータ41に電気エネルギーが供給されることにより、高周波電流とは別の処置エネルギーとしてヒータ熱が把持片11から処置対象に付与される。処置対象にヒータ熱が付与されることにより、処置対象では、ヒータ熱(処置エネルギー)に起因する第2の温度分布が形成される。
[0030]
 図4Aは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図4Bは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図5は、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図4Aの第1の温度分布及び図4Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。また、図6Aは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図6Bは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図7は、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図6Aの第1の温度分布及び図6Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。
[0031]
 封止モードでは、プロセッサ51は、供給切替え部61の作動を制御することにより、バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態を第1の供給状態にする。このため、第3の電極33に高周波電力は供給されず、第1の電極31及び第2の電極32のみに高周波電力が供給される。したがって、封止モードにおいては、第1の電極31と第2の電極32との間では処置対象を通して高周波電流が流れるが、第1の電極31と第3の電極33との間では高周波電流が流れない。
[0032]
 前述のように、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて、大きい。このため、封止モードでは、処置対象において相対的に第2の電極32(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。ここで、高周波電流に起因する第1の温度分布では、相対的に高周波電流密度が高い領域が、相対的に温度が高い領域になる。したがって、図4Aに示すように、封止モードで形成される第1の温度分布、すなわち、第1の供給状態で形成される第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S1が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片12)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。なお、図4Aでは、相対的に温度の高い領域S1は、ドットのハッチングで示す。また、領域S1の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0033]
 また、封止モードでは、ヒータ41から第1の電極31を通してヒータ熱が処置対象に伝達される。したがって、第1の把持片である把持片11から処置対象にヒータ熱が付与され、処置対象では、ヒータ熱が、把持片11側から把持片12側に向かって伝達される。このため、図4Bに示すように、封止モードで形成される第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S2が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の把持片である把持片12に近い領域に位置する。なお、図4Bでは、相対的に温度の高い領域S2は、ドットのハッチングで示す。また、領域S2の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0034]
 封止モードの際、すなわち、バイポーラ電極30へ高周波電力が第1の供給状態で供給される際には、前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S1が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、封止モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S2が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。このため、封止モードにおいて高周波電流及びヒータ熱が同時に処置対象に付与されている状態では、第1の温度分布の低温領域を第2の温度分布の高温領域S2で補い、かつ、第2の温度分布の低温領域を第1の温度分布の高温領域S1で補うことにより、第1の電極31と第2の電極32との間の処置対象において、温度分布の偏りを抑制する。したがって、処置対象における温度ムラ(temperature unevenness)の発生が抑制され、処置対象において第1の電極31と第2の電極32との間の範囲では、温度が均一又は略均一になる。図5に示す温度分布では、図4Aの第1の温度分布の高温領域S1、又は、図4Bの第2の温度分布の高温領域S2になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、封止モードでは、図5の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において大部分が、第1の温度分布において高温領域S1になる、又は、第2の温度分布において高温領域S2になる範囲である。前述のように、本実施形態に係るエネルギー処置具2を用いることにより、第1の温度分布だけが形成される状態、及び、第2の温度分布だけが形成される状態のそれぞれに比べて、第1の電極31と第2の電極32との間の処置対象において、温度分布の偏りの発生が抑制され、温度分布の均一化が促進される。処置対象において温度が均一又は略均一になることにより、把持される処置対象の全体に渡って処置対象が適切に変性され、血管等の処置対象の封止性能が向上する。このため、本実施形態に係るエネルギー処置具2を用いることで、封止品質が安定する。
[0035]
 また、切開モードでは、プロセッサ51は、供給切替え部61の作動を制御することにより、バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態を第2の供給状態にする。このため、電極31~33の全てに高周波電力が供給される。第2の電極32及び第3の電極33は、高周波電力が供給される際、互いに対して同一の電位となる。したがって、切開モードにおいては、第1の電極31と第2の電極32との間で処置対象を通して高周波電流が流れるとともに、第1の電極31と第3の電極33との間でも処置対象を通して高周波電流が流れる。
[0036]
 前述のように、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積と第3の電極の表面積の合計面積に比べて、小さい。このため、切開モードでは、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第2の電極32及び第3の電極33(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。したがって、図6Aに示すように、切開モードで形成される第1の温度分布、すなわち、第2の供給状態で形成される第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S3が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の電極32及び第3の電極33(第2の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。なお、図6Aでは、相対的に温度の高い領域S3は、ドットのハッチングで示す。また、領域S3の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0037]
 また、切開モードでも、第1の把持片である把持片11から処置対象にヒータ熱が付与され、処置対象では、ヒータ熱が、把持片11側から把持片12側に向かって伝達される。このため、図6Bに示すように、切開モードで形成される第2の温度分布でも、封止モードで形成される第2の温度分布と同様に、処置対象において相対的に温度が高い領域S4が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の把持片である把持片12に近い領域に位置する。ただし、切開モードでは、封止モードに比べて、ヒータ電源53からの出力が高いため、ヒータ41の温度が高い。したがって、切開モードで形成される第2の温度分布では、封止モードで形成される第2の温度分布に比べて、処置対象の温度が高い。なお、図6Bでは、相対的に温度の高い領域S4は、ドットのハッチングで示す。また、領域S4の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0038]
 切開モードの際、すなわち、バイポーラ電極30へ高周波電力が第2の供給状態で供給される際には、前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成される。このため、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S3が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S4に位置する。そして、切開モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。このため、切開モードにおいて高周波電流及びヒータ熱が同時に処置対象に付与されている状態では、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片11)に近い領域で、局所的に温度が高くなる。図7に示す温度分布では、図6Aの第1の温度分布の高温領域S3、かつ、図4Bの第2の温度分布の高温領域S4になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、切開モードでは、図7の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において第1の電極31の近傍のみが、第1の温度分布において高温領域S3になり、かつ、第2の温度分布において高温領域S4になる範囲である。処置対象において相対的に第1の電極31に近い領域で局所的に温度が高くなることにより、ヒータ熱等の処置エネルギーの処置対象への伝達効率が向上し、切開速度が大きくなる。これにより、切開モードにおいて、血管等の処置対象が迅速に切開される。
[0039]
 (第1の実施形態の変形例) 
 なお、図8に示すある変形例では、把持面25において、第3の電極33は、エンドエフェクタ5の幅方向について第2の電極32の外側に配置される。また、第2の電極32と第3の電極33との間は、電気的に絶縁される。この場合も、電極31~33の表面積の関係は、第1の実施形態と同様である。また、本変形例でも、封止モード及び切開モードのそれぞれにおいて、第1の実施形態と同様にして、バイポーラ電極30への高周波電力の供給及びヒータ41への電気エネルギーの供給が、プロセッサ51によって制御される。
[0040]
 このため、本変形例でも、封止モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。そして、封止モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の電極32に近い領域に位置する。したがって、本変形例でも、封止モードでは、高周波電流に起因する第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、ヒータ熱に起因する第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。また、本変形例でも、切開モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。そして、切開モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第1の電極31に近い領域に位置する。したがって、本変形例でも、切開モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。
[0041]
 したがって、本変形例でも、第1の実施形態と同様の作用及び効果を有する。また、本変形例では、第2の電極32は、エンドエフェクタ5の幅方向について第3の電極33の内側に配置される。このため、封止モードでは、第1の電極31と第2の電極32との間で高周波電流を流しても、生体組織等において幅方向について把持される処置対象の外側の領域に、高周波電流が侵襲し難くなる。これにより、封止モードでは、生体組織等において幅方向について処置対象の外側の領域への、高周波電流に起因する熱の侵襲が有効に防止される。
[0042]
 (第2の実施形態) 
 次に、本発明の第2の実施形態について、図9乃至図13を参照して説明する。第2の実施形態は、前述の実施形態等の構成を次の通り変形したものである。なお、前述の実施形態等と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
[0043]
 図9は、エンドエフェクタ5を長手軸Cに沿う方向に対して略垂直な断面で示す図である。図9に示すように、本実施形態では、把持片12に、第1の電極31が設けられ、把持片11に、第2の電極32及び第3の電極33が設けられる。したがって、本実施形態では、第1の電極31が設けられる把持片12を第1の把持片とし、第2の電極32が設けられる把持片11を第2の把持片とする。把持片11の把持面21では、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、第2の電極32が配置される。そして、把持面21では、幅方向について第2の電極32の外側に、第3の電極33が設けられる。第3の電極33は、幅方向について第2の電極32の両側に、形成される。第2の電極32と第3の電極33との間は、電気的に絶縁される。
[0044]
 把持片12の把持面25では、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、受け面71が形成される。受け面71は、支持体28の表面から形成され、電気的絶縁性を有する。また、把持面25では、幅方向について受け面71の外側に、第1の電極31が設けられる。第1の電極31は、エンドエフェクタ5の幅方向について受け面71の両側に、形成される。把持片11,12の間が閉じることにより、把持片11の第2の電極32は、把持片12の受け面71に当接可能となる。第2の電極32が受け面71に当接した状態では、第1の電極31は、第2の電極32及び第3の電極33に対して離間し、第2の電極32及び第3の電極と接触しない。したがって、本実施形態でも、エンドエフェクタ5では、第1の電極31の第2の電極32及び第3の電極33への接触が有効に防止される。
[0045]
 また、本実施形態では、第2の把持片である把持片11に処置エネルギー源であるヒータ41が設けられる。ヒータ41は、把持片11において、エンドエフェクタ5の幅方向について中央部に、配置される。また、ヒータ41は、第2の電極32の背面22側に配置される。ヒータ41で生成されたヒータ熱は、第2の電極32に伝達され、第2の電極32から把持される処置対象に付与される。
[0046]
 本実施形態では、ヒータ41とヒータ電源53との間の電気的な接続状態、及び、バイポーラ電極30と高周波電源57との間の電気的な接続状態は、第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、切開モードにおいて、バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態が、第1の供給状態になる。このため、切開モードでは、第3の電極33に高周波電力が供給されず、第1の電極31及び第2の電極32にのみに高周波電力が供給される。また、本実施形態では、封止モードにおいて、バイポーラ電極30への高周波電力の供給状態が、第2の供給状態になる。このため、封止モードでは、全ての電極31~33に高周波電力が供給される。第2の電極32及び第3の電極33は、高周波電力が供給される際、互いに対して同一の電位になる。
[0047]
 図10Aは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図10Bは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図11は、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図10Aの第1の温度分布及び図10Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。また、図12Aは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図12Bは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図13は、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図12Aの第1の温度分布及び図12Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。
[0048]
 本実施形態では、切開モードにおいて、第1の電極31と第2の電極32のみ高周波電力が供給され、第3の電極33には高周波電力が供給されない。また、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて、大きい。このため、切開モードでは、処置対象において相対的に第2の電極32(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。このため、図10Aに示すように、切開モード(本実施形態では第1の供給状態)で形成される第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S5が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。なお、図10Aでは、相対的に温度の高い領域S5は、ドットのハッチングで示す。また、領域S5の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0049]
 また、切開モードでは、把持片(第2の把持片)11の第2の電極32から処置対象にヒータ熱が付与され、処置対象では、ヒータ熱が、把持片11側から把持片12側に向かって伝達される。このため、図10Bに示すように、切開モードで形成される第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S6が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の把持片である把持片12に近い領域に位置する。なお、図10Bでは、相対的に温度の高い領域S6は、ドットのハッチングで示す。また、領域S6の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0050]
 切開モードにおいて前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、切開モードの際には、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S5が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S6に位置する。そして、切開モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。図11に示す温度分布では、図10Aの第1の温度分布の高温領域S5、かつ、図10Bの第2の温度分布の高温領域S6になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、切開モードでは、図11の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において第2の電極32の近傍のみが、第1の温度分布において高温領域S5になり、かつ、第2の温度分布において高温領域S6になる範囲である。前述のような温度分布が形成されるため、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、血管等の処置対象が迅速に切開される。
[0051]
 また、本実施形態では、封止モードにおいて、全ての電極31~33に高周波電力が供給される。第2の電極32及び第3の電極33は、高周波電力が供給される際、互いに対して同一の電位となる。また、前述のように、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積と第3の電極の表面積の合計面積に比べて、小さい。このため、封止モードでは、処置対象において相対的に第1の電極32(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第2の電極32及び第3の電極33(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。したがって、図12Aに示すように、封止モード(本実施形態では第2の供給状態)で形成される第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S7が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の電極32及び第3の電極33(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。なお、図12Aでは、相対的に温度の高い領域S7は、ドットのハッチングで示す。また、領域S7の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0052]
 また、図12Bに示すように、封止モードで形成される第2の温度分布でも、切開モードで形成される第2の温度分布と同様に、処置対象において相対的に温度が高い領域S8が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の把持片である把持片12に近い領域に位置する。ただし、本実施形態でも、封止モードで形成される第2の温度分布では、切開モードで形成される第2の温度分布に比べて、処置対象の温度が低い。なお、図12Bでは、相対的に温度の高い領域S8は、ドットのハッチングで示す。また、領域S8の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0053]
 封止モードにおいて前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、実施形態でも第1の実施形態と同様に、封止モードの際には、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S7が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、封止モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S8が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。図13に示す温度分布では、図12Aの第1の温度分布の高温領域S7、又は、図12Bの第2の温度分布の高温領域S8になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、封止モードでは、図13の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において大部分が、第1の温度分布において高温領域S7になる、又は、第2の温度分布において高温領域S8になる範囲である。前述のような温度分布が形成されるため、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、処置対象における温度ムラの発生が抑制され、血管等の処置対象の封止性能が向上する。
[0054]
 (第2の実施形態の変形例) 
 なお、図14に示す第1の変形例では、エンドエフェクタ5の幅方向について把持片(第2の把持片)11の略全寸法に渡って、ヒータ41が延設される。このため、ヒータ41は、第2の電極32の背面22側の部位から第3の電極33の背面22側の部位に渡って延設される。そして、ヒータ41で発生したヒータ熱は、第2の電極32に加えて第3の電極33にも伝達され、第2の電極32及び第3の電極33の両方から把持される処置対象に付与される。この場合も、電極31~33の表面積の関係は、第2の実施形態と同様である。また、本変形例でも、封止モード及び切開モードのそれぞれにおいて、第2の実施形態と同様にして、バイポーラ電極30への高周波電力の供給及びヒータ41への電気エネルギーの供給が、プロセッサ51によって制御される。
[0055]
 このため、本変形例でも、切開モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。そして、切開モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第2の把持片である把持片11に近い領域(本変形例では、相対的に第2の電極32及び第3の電極33に近い領域)に位置する。したがって、本変形例でも、切開モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。
[0056]
 また、本変形例でも、封止モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。そして、封止モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に把持片11に近い領域に位置する。したがって、本変形例でも、封止モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。
[0057]
 したがって、本変形例でも、第2の実施形態と同様の作用及び効果を有する。また、本変形例では、第2の電極32及び第3の電極33からヒータ熱が処置対象に付与される。このため、処置対象では、エンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡ってヒータ熱が伝達される。これにより、封止モードでは、処置対象においてエンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡って温度ムラの発生が抑制され、エンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡って、処置対象の封止性能が向上する。
[0058]
 また、図15及び図16に示す第2の変形例では、エンドエフェクタ5の幅方向についてヒータ(第1のヒータ)41の外側に、ヒータ(第2のヒータ)72が設けられる。ヒータ72は、エンドエフェクタ5の幅方向についてヒータ41の両側に設けられるとともに、第3の電極33の背面22側に配置される。そして、ヒータ72で発生したヒータ熱は、第3の電極33に伝達され、第3の電極33から把持される処置対象に付与される。なお、本変形例でも、ヒータ41で発生したヒータ熱は、第2の電極32に伝達され、第2の電極32から把持される処置対象に付与される。本変形例での電極31~33の表面積の関係は、第2の実施形態と同様である。また、本変形例でも、封止モード及び切開モードのそれぞれにおいて、第2の実施形態と同様にして、バイポーラ電極30への高周波電力の供給が、プロセッサ51によって制御される。
[0059]
 図16は、本変形例におけるヒータ電源53と処置エネルギー源であるヒータ41,72との間の電気的な接続状態を示す。本変形例では、電源装置17に、供給切替え部61とは別に、スイッチ回路等から形成される供給切替え部73が設けられる。供給切替え部73は、電源装置17に設けられる電気経路75,76を介して、ヒータ電源53に電気的に接続される。また、供給切替え部73は、電気経路77,78を介してヒータ(第1のヒータ)41に電気的に接続されるとともに、電気経路79,80を介してヒータ(第2のヒータ)72に電気的に接続される。電気経路77~80のそれぞれは、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。プロセッサ51は、供給切替え部73の作動を制御する。
[0060]
 本変形例では、プロセッサ51は、ヒータ電源53からの出力及び供給切替え部73の作動を制御することにより、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給を制御する。プロセッサ51によって供給切替え部73の作動状態が切替えられることにより、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態が、第1の供給状態と第2の供給状態との間で切替えられる。ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態が切替られることにより、第1の供給状態と第2の供給状態との間では、処置対象へのヒータ熱の付与状態が変化する。なお、本変形例では、プロセッサ51は、切開モードにおいて、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態を第1の供給状態にし、封止モードにおいて、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態を第2の供給状態にする。
[0061]
 第1の供給状態では、供給切替え部73において、電気経路75,76に対する電気経路79,80の電気的な接続が遮断される。このため、第1の供給状態では、ヒータ(第2のヒータ)72に電気エネルギーが供給されず、ヒータ72でヒータ熱が発生しない。この際、ヒータ電源53から電気経路75~78を介してヒータ(第1のヒータ)41にヒータ電力が供給され、ヒータ41でヒータ熱が発生する。したがって、第1の供給状態では、ヒータ41で発生したヒータ熱のみが処置対象に付与され、ヒータ熱は、主に第2の電極32から処置対象に付与される。
[0062]
 第2の供給状態では、供給切替え部73において、電気経路75,76に対して電気経路79,80が電気的に接続される。このため、第2の供給状態では、ヒータ72に電気エネルギーが供給され、ヒータ72でヒータ熱が発生する。また、第2の供給状態でも、ヒータ電源53からヒータ41にヒータ電力が供給され、ヒータ41でヒータ熱が発生する。したがって、第2の供給状態では、ヒータ41で発生したヒータ熱及びヒータ72で発生したヒータ熱の両方が処置対象に付与され、ヒータ熱は、第2の電極32及び第3の電極33の両方から処置対象に付与される。
[0063]
 本変形例でも、切開モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。そして、切開モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第2の把持片である把持片11に近い領域(本変形例では、相対的に第2の電極32に近い領域)に位置する。したがって、本変形例でも、切開モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。このため、本変形例でも、第2の実施形態と同様に、血管等の処置対象が迅速に切開される。
[0064]
 また、本変形例では、切開モードにおいて、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態が第1の供給状態になり、ヒータ41でのみヒータ熱が発生する。したがって、切開モードでは、把持面21において主に幅方向の中央部に位置する第2の電極32から、ヒータ熱が処置対象に付与される。これにより、切開モードでは、高周波電流に起因する第1の温度分布において相対的に温度が高い領域に、第2の電極32から集中的にヒータ熱が付与される。したがって、処置対象がさらに迅速に切開される。
[0065]
 また、本変形例でも、封止モードにおいて形成される第1の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。そして、封止モードにおいて形成される第2の温度分布では、相対的に温度が高い領域が、相対的に把持片11に近い領域に位置する。したがって、本変形例でも、封止モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。このため、本変形例でも、第2の実施形態と同様に、処置対象における温度ムラの発生が抑制され、血管等の処置対象の封止性能が向上する。
[0066]
 また、本変形例では、封止モードにおいて、ヒータ41,72への電気エネルギーの供給状態が第2の供給状態になり、ヒータ41及びヒータ72の両方でヒータ熱が発生する。したがって、封止モードでは、把持面21において第2の電極32及び第3の電極33の両方から、ヒータ熱が処置対象に付与される。このため、処置対象では、エンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡ってヒータ熱が伝達される。これにより、封止モードでは、処置対象においてエンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡って温度ムラの発生が抑制され、エンドエフェクタ5の幅方向について広範囲に渡って、処置対象の封止性能が向上する。
[0067]
 (第1の実施形態、第2の実施形態及びこれらの変形例での共通事項) 
 第1の実施形態、第2の実施形態及びこれらの変形例では、プロセッサ51は、2つの供給状態(第1の供給状態及び第2の供給状態)の間でバイポーラ電極30への高周波電力の供給状態を切替え可能である。そして、供給状態の一方で形成される第1の温度分布において相対的に温度が高い領域は、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、供給状態の他方で形成される第1の温度分布において相対的に温度が高い領域は、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。
[0068]
 (第3の実施形態) 
 次に、本発明の第3の実施形態について、図17乃至図22を参照して説明する。第3の実施形態は、前述の実施形態等の構成を次の通り変形したものである。なお、前述の実施形態等と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
[0069]
 図17は、エンドエフェクタ5を長手軸Cに沿う方向に対して略垂直な断面で示す図である。図17に示すように、本実施形態では、把持片12に、第1の電極31が設けられ、把持片11に、第2の電極32が設けられる。そして、本実施形態では、エンドエフェクタ5(バイポーラ電極30)に第3の電極33は、設けられない。ここで、本実施形態では、第1の電極31が設けられる把持片12を第1の把持片とし、第2の電極32が設けられる把持片11を第2の把持片とする。また、本実施形態では、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて大きい。なお、電極31,32の少なくとも一方の表面に、電気的絶縁材料から形成される突起(図示しない)等が、設けられる。そして、突起によって、第1の電極31の第2の電極32への接触が有効に防止される。
[0070]
 また、本実施形態では、第1の把持片である把持片12に、処置エネルギー源であるヒータ41が設けられる。ヒータ(第1のヒータ)41は、把持片12において、第1の電極31の背面26側に配置される。ヒータ41で生成されたヒータ熱は、第1の電極31に伝達され、第1の電極31から把持される処置対象に付与される。また、本実施形態では、第2の把持片である把持片11に、ヒータ41とは別の処置エネルギー源であるヒータ81が設けられる。ヒータ(第2のヒータ)81は、把持片11において、第2の電極32の背面22側に配置される。ヒータ81で生成されたヒータ熱は、第2の電極32に伝達され、第2の電極32から把持される処置対象に付与される。
[0071]
 図18は、本実施形態において、バイポーラ電極30への高周波電力の供給及びヒータ41への電気エネルギーの供給を制御する構成を示す図である。図18に示すように、本実施形態では、高周波電源57は、電気経路82を介して第1の電極31に電気的に接続され、電気経路83を介して第2の電極32に電気的に接続される。電気経路82,83のそれぞれは、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。高周波電源57から出力された高周波電力は、電気経路82を介して第1の電極31に供給されるとともに、電気経路83を介して第2の電極32に供給される。これにより、第1の電極31及び第2の電極32は、互いに対して異なる電位を有し、第1の電極31と第2の電極32との間で把持される処置対象を通して高周波電流が流れる。
[0072]
 また、本実施形態ではでは、電源装置17に、供給切替え部61の代わりに、スイッチ回路等から形成される供給切替え部85が設けられる。供給切替え部85は、電源装置17に設けられる電気経路86,87を介して、ヒータ電源53に電気的に接続される。また、供給切替え部85は、電気経路88,89を介してヒータ(第1のヒータ)41に電気的に接続されるとともに、電気経路90,91を介してヒータ(第2のヒータ)81に電気的に接続される。電気経路88~91のそれぞれは、ケーブル15の内部、ハウジング4の内部及びシャフト3の内部を通って延設される。プロセッサ51は、供給切替え部85の作動を制御する。
[0073]
 本実施形態では、プロセッサ51は、ヒータ電源53からの出力及び供給切替え部85の作動を制御することにより、ヒータ41,81への電気エネルギーの供給を制御する。プロセッサ51によって供給切替え部85の作動状態が切替えられることにより、ヒータ41,81への電気エネルギーの供給状態が、第1の供給状態と第2の供給状態との間で切替えられる。ヒータ41,81への電気エネルギーの供給状態が切替られることにより、第1の供給状態と第2の供給状態との間では、処置対象へのヒータ熱の付与状態が変化する。なお、本変形例では、プロセッサ51は、封止モードにおいて、ヒータ41,81への電気エネルギーの供給状態を第1の供給状態にし、切開モードにおいて、ヒータ41,81への電気エネルギーの供給状態を第2の供給状態にする。
[0074]
 第1の供給状態では、供給切替え部85において、電気経路86,87に対して電気経路88,89が電気的に接続され、電気経路86,87に対する電気経路90,91の電気的な接続が遮断される。このため、第1の供給状態では、ヒータ(第1のヒータ)41にのみ電気エネルギーが供給され、ヒータ(第2のヒータ)81に電気エネルギーが供給されない。したがって、第1の供給状態では、ヒータ41でのみヒータ熱が発生し、ヒータ81でヒータ熱が発生しない。ヒータ41でのみヒータ熱が発生するため、第1の供給状態では、第1の電極31(第1の把持片である把持片12)から、ヒータ熱が処置対象に付与される。
[0075]
 第2の供給状態では、供給切替え部85において、電気経路86,87に対して電気経路90,91が電気的に接続され、電気経路86,87に対する電気経路88,89の電気的な接続が遮断される。このため、第2の供給状態では、ヒータ(第2のヒータ)81にのみ電気エネルギーが供給され、ヒータ(第1のヒータ)41に電気エネルギーが供給されない。したがって、第2の供給状態では、ヒータ81でのみヒータ熱が発生し、ヒータ41でヒータ熱が発生しない。ヒータ81でのみヒータ熱が発生するため、第2の供給状態では、第2の電極32(第2の把持片である把持片11)から、ヒータ熱が処置対象に付与される。
[0076]
 図19Aは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図19Bは、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図20は、電源装置17から封止モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図19Aの第1の温度分布及び図19Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。また、図21Aは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図21Bは、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図22は、電源装置17から切開モードで出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図21Aの第1の温度分布及び図21Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。
[0077]
 本実施形態では、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて、大きい。このため、封止モードでは、処置対象において相対的に第2の電極32(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。このため、図19Aに示すように、封止モードで形成される第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S9が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置する。なお、図19Aでは、相対的に温度の高い領域S9は、ドットのハッチングで示す。また、領域S9の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0078]
 また、封止モードでは、ヒータ41でのみヒータ熱が発生し、把持片(第1の把持片)12の第1の電極31から処置対象にヒータ熱が付与される。そして、処置対象では、ヒータ熱が、把持片12側から把持片11側に向かって伝達される。このため、図19Bに示すように、封止モードで形成される第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S10が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片12)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の把持片である把持片11に近い領域に位置する。なお、図19Bでは、相対的に温度の高い領域S10は、ドットのハッチングで示す。また、領域S10の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0079]
 封止モードにおいて前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、封止モードの際には、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S9が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、封止モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S10が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。図20に示す温度分布では、図19Aの第1の温度分布の高温領域S9、又は、図19Bの第2の温度分布の高温領域S10になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、封止モードでは、図20の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において大部分が、第1の温度分布において高温領域S9になる、又は、第2の温度分布において高温領域S10になる範囲である。前述のような温度分布が形成されるため、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、処置対象における温度ムラの発生が抑制され、血管等の処置対象の封止性能が向上する。
[0080]
 また、図21Aに示すように、切開モードで形成される第1の温度分布でも、封止モードで形成される第1の温度分布と同様に、処置対象において相対的に温度が高い領域S11が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の把持片である把持片12に近い領域に位置する。ただし、切開モードでは、高周波電源57からの高周波電力の出力状態が、封止モードとは異なってもよい。この場合、切開モードで形成される第2の温度分布での処置対象の温度は、封止モードで形成される第2の温度分布での処置対象の温度とは、異なる。なお、図21Aでは、相対的に温度の高い領域S11は、ドットのハッチングで示す。また、領域S11の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0081]
 また、切開モードでは、ヒータ81でのみヒータ熱が発生し、把持片(第2の把持片)11の第2の電極32から処置対象にヒータ熱が付与される。そして、処置対象では、ヒータ熱が、把持片11側から把持片12側に向かって伝達される。このため、図21Bに示すように、切開モードで形成される第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S12が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の把持片である把持片12に近い領域に位置する。なお、切開モード(第2の供給状態)では、封止モード(第1の供給状態)に比べて、ヒータ電源53からの出力が高いことが好ましい。この場合、切開モードでのヒータ81の温度は、封止モードでのヒータ41の温度に比べて、高い。したがって、切開モードで形成される第2の温度分布では、封止モードで形成される第2の温度分布に比べて、処置対象の温度が高い。なお、図21Bでは、相対的に温度の高い領域S12は、ドットのハッチングで示す。また、領域S12の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
[0082]
 切開モードにおいて前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、切開モードの際には、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S11が、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S12に位置する。そして、切開モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。図22に示す温度分布では、図21Aの第1の温度分布の高温領域S11、かつ、図21Bの第2の温度分布の高温領域S12になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、切開モードでは、図22の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において第2の電極32の近傍のみが、第1の温度分布において高温領域S11になり、かつ、第2の温度分布において高温領域S12になる範囲である。前述のような温度分布が形成されるため、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、血管等の処置対象が迅速に切開される。
[0083]
 第3の実施形態では、プロセッサ51は、2つの供給状態(第1の供給状態及び第2の供給状態)の間で処置エネルギー源であるヒータ41,81への電気エネルギーの供給状態を切替え可能である。そして、供給状態の一方で形成される第2の温度分布において相対的に温度が高い領域は、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、供給状態の他方で形成される第2の温度分布において相対的に温度が高い領域は、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。
[0084]
 (第4の実施形態) 
 次に、本発明の第4の実施形態について、図23乃至図25を参照して説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
[0085]
 図23は、エンドエフェクタ5を長手軸Cに沿う方向に対して略垂直な断面で示す図である。図23に示すように、本実施形態では、把持片12に、第1の電極31が設けられ、把持片12に、第2の電極32が設けられる。ここで、本実施形態では、第1の電極31が設けられる把持片11を第1の把持片とし、第2の電極32が設けられる把持片12を第2の把持片とする。また、本実施形態では、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて大きい。なお、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、電極31,32の少なくとも一方の表面に、電気的絶縁材料から形成される突起(図示しない)等が、設けられる。本実施形態では、高周波電源57から電極31,32に高周波電力が供給されることにより、第1の電極31及び第2の電極32は、互いに対して異なる電位を有し、第1の電極31と第2の電極32との間で把持される処置対象を通して高周波電流が流れる。
[0086]
 また、本実施形態では、第1の把持片である把持片11に、処置エネルギー源であるヒータ41が設けられる。ヒータ41は、把持片11において、第1の電極31の背面22側に配置される。ヒータ41にヒータ電源53から電気エネルギーが供給されることにより、ヒータ41でヒータ熱が発生する。ヒータ41で生成されたヒータ熱は、第1の電極31に伝達され、第1の電極31から把持される処置対象に付与される。
[0087]
 図24Aは、電極31,32の間に流れる高周波電流に起因して処置対象に形成される第1の温度分布の一例を示し、図24Bは、ヒータ41で発生するヒータ熱に起因して処置対象に形成される第2の温度分布の一例を示す。そして、図25は、電源装置17から出力が行われている状態において、高周波電流及びヒータ熱の両方によって処置対象に形成される温度分布(すなわち、図24Aの第1の温度分布及び図24Bの第2の温度分布を合成した温度分布)の一例を示す。
[0088]
 本実施形態では、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて、大きい。このため、処置対象において相対的に第2の電極32(把持片12)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が高い領域になり、処置対象において相対的に第1の電極31(把持片11)に近い領域が、相対的に高周波電流の電流密度が低い領域になる。このため、図24Aに示すように、第1の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S13が、相対的に第2の電極32(第2の把持片である把持片12)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置する。なお、図24Aでは、相対的に温度の高い領域S13は、ドットのハッチングで示す。また、領域S13の中においても、第2の電極32に近づくほど、温度が上昇する。
 また、本実施形態では、ヒータ41で発生したヒータ熱は、第1の把持片である把持片11の第1の電極31から、処置対象に付与される。そして、処置対象では、ヒータ熱が、把持片11側から把持片12側に向かって伝達される。このため、図24Bに示すように、第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域S14が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の把持片である把持片12に近い領域に位置する。なお、図24Bでは、相対的に温度の高い領域S14は、ドットのハッチングで示す。また、領域S14の中においても、第1の電極31に近づくほど、温度が上昇する。
[0089]
 前述のように第1の温度分布及び第2の温度分布が形成されるため、本実施形態では、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域S13が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域S14が、第1の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。図25に示す温度分布では、図24Aの第1の温度分布の高温領域S13、又は、図24Bの第2の温度分布の高温領域S14になる範囲を、ドットのハッチングで示す。実際に、処置外行われている状態では、図25の温度分布に示すように、把持片11,12の間の把持対象において大部分が、第1の温度分布において高温領域S13になる、又は、第2の温度分布において高温領域S14になる範囲である。前述のような温度分布が形成されるため、本実施形態でも、高周波電流及びヒータ熱を処置対象に同時に付与し、処置対象を封止する処置において、第1の実施形態と同様に、処置対象における温度ムラの発生が抑制され、血管等の処置対象の封止性能が向上する。
[0090]
 (その他の変形例) 
 前述の実施形態等では、プロセッサ51は、操作部材18での操作に基づいて、封止モードと切開モードとの間で、電源装置17からエネルギー処置具2へ電気エネルギーの出力が切替えられるが、これに限るものではない。ある変形例では、操作部材18で操作が入力されると、プロセッサ51は、封止モードで、エネルギー処置具2へ電気エネルギーの出力を開始する。そして、処置対象のインピーダンス及び出力の継続時間等が所定の条件を満たすことにより、プロセッサ51は、封止モードでの出力を終了し、切開モードでの出力に自動的に切替える。
[0091]
 また、前述の実施形態等では、処置エネルギー源としてヒータ(41;41,72;41,81)が設けられるが、これに限るものではない。図26及び図27に示すある変形例では、ヒータ(41;41,72;41,81)の代わりに、処置エネルギー源として超音波トランスデューサ93が設けられる。本変形例では、超音波トランスデューサ93は、例えばハウジング4の内部に設けられ、超音波トランスデューs93の先端側にロッド部材(プローブ)94が接続される。ロッド部材94は、振動伝達性の高い材料から形成される。ロッド部材94は、例えばシャフト3に挿通され、ロッド部材94では、シャフト3の先端から先端側への突出部分が、把持片11となる。また、本変形例では、ヒータ電源53の代わりに超音波電源95が電源装置17に設けられ、超音波電源95は、電気経路96,97を介して超音波トランスデューサ93に電気的に接続される。超音波電源95から超音波トランスデューサ93に電気エネルギー(所定の周波数範囲のある周波数の交流電力)が供給されることにより、超音波トランスデューサ93は、高周波電流とは異なる処置エネルギーとして超音波振動を生成する。そして、超音波振動は、把持片11,12の一方(本変形例で把持片11)に伝達され、把持される処置対象に付与される。この際、超音波振動が伝達された把持片(11又は12)と処置対象との間に摩擦熱が発生する。なお、プロセッサ51は、超音波電源95からの電気エネルギーの出力を制御する。
[0092]
 例えば、ある実施例では、把持片11の対向面21の全体が第1の電極21となり、把持片12に第1の実施形態と同様に第2の電極32及び第3の電極33が配置される。そして、ヒータ41の代わりに超音波トランスデューサ93が設けられる。そして、超音波トランスデューサ93で発生した超音波振動が、第1の電極31が設けられる把持片(第1の把持片)11に伝達される。本実施例においても、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積に比べて大きく、第3の電極33の表面積に比べて大きい。そして、第1の電極31の表面積は、第2の電極32の表面積と第3の電極33の表面積との合計面積に比べて、小さい。この場合、封止モード及び切開モードのいずれにおいても、超音波振動に起因して処置対象に形成される第2の温度分布では、処置対象において相対的に温度が高い領域が、相対的に第1の電極31(第1の把持片である把持片11)に近い領域に位置し、処置対象において相対的に温度が低い領域が、相対的に第2の把持片である把持片12に近い領域に位置する。また、封止モード及び切開モードのいずれにおいても、高周波電流に起因して処置対象に形成される第1の温度分布は、第1の実施形態と同様になる。したがって、本実施例においても、封止モードでは、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第2の温度分布において相対的に温度が低い領域に位置する。そして、切開モードでは、第2の温度分布において相対的に温度が高い領域が、第1の温度分布において相対的に温度が高い領域に位置する。
[0093]
 前述の実施形態等では、バイポーラ電極(30)は、高周波電力が供給されることにより、一対の把持片(11,12)の間で処置対象を通して高周波電流を流し、処置対象において高周波電流に起因する第1の温度分布を形成する。処置エネルギー源(41;41,72;41,81)は、電気エネルギーが供給されることにより、高周波電流とは別の処置エネルギーを生成するとともに、生成した処置エネルギーを処置対象に付与させることにより、処置対象において処置エネルギーに起因する第2の温度分布を形成する。バイポーラ電極(30)及び処置エネルギー源(41;41,72;41,81)は、第1の温度分布において相対的に温度の高い領域が第2の温度分布において相対的に温度の低い領域に位置する状態に、処置対象に高周波電流及び処置エネルギーを同時に付与させることが可能である。
[0094]
 なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。

請求の範囲

[請求項1]
 第1の把持片と、
 前記第1の把持片に対して相対的に開閉可能であり、前記第1の把持片との間で処置対象を把持可能な第2の把持片と、
 高周波電力が供給されることにより、前記第1の把持片と前記第2の把持片との間で前記処置対象を通して高周波電流を流し、前記処置対象において前記高周波電流に起因する第1の温度分布を形成するバイポーラ電極と、
 電気エネルギーが供給されることにより、前記高周波電流とは別の処置エネルギーを生成するとともに、生成した前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させることにより、前記処置対象において前記処置エネルギーに起因する第2の温度分布を形成する処置エネルギー源と、
 を具備し、
 前記バイポーラ電極及び前記処置エネルギー源は、前記第1の温度分布において相対的に温度の高い領域が前記第2の温度分布において相対的に温度の低い領域に位置する状態に、前記処置対象に前記高周波電流及び前記処置エネルギーを同時に付与させることが可能である、
 エネルギー処置具。
[請求項2]
 前記バイポーラ電極は、前記第1の把持片に設けられる第1の電極と、前記第2の把持片に設けられ、前記第1の電極とは表面積が異なる第2の電極と、を備える請求項1のエネルギー処置具。
[請求項3]
 前記バイポーラ電極は、前記第2の把持片に設けられる第3の電極をさらに備え、
 前記第1の電極の表面積は、前記第2の電極の表面積及び前記第3の電極の表面積のそれぞれに比べて大きく、前記第2の電極の前記表面積と前記第3の電極の前記表面積との合計面積に比べて小さい、
 請求項2のエネルギー処置具。
[請求項4]
 請求項3のエネルギー処置具と、
 前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給及び前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給を制御するプロセッサと、
 を具備し、
 前記プロセッサは、第1の供給状態と第2の供給状態との間で前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給状態を切替え可能であり、
 前記プロセッサは、前記第1の供給状態において、前記第3の電極へ前記高周波電力を供給させることなく、前記第1の電極及び前記第2の電極にのみ前記高周波電力を供給させ、
 前記プロセッサは、前記第2の供給状態において、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極に前記高周波電力を供給させ、前記第2の電極及び前記第3の電極を互いに対して同一の電位にする、
 処置システム。
[請求項5]
 前記処置エネルギー源は、前記第1の把持片から前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させるとともに、前記第2の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第1の把持片に近い領域に位置させ、
 前記バイポーラ電極は、前記第1の供給状態で形成される前記第1の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第2の把持片に近い領域に位置させ、
 前記バイポーラ電極は、前記第2の供給状態で形成される前記第1の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第1の把持片に近い領域に位置させる、
 請求項4の処置システム。
[請求項6]
 前記処置エネルギー源は、前記第2の把持片から前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させるとともに、前記第2の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第2の把持片に近い領域に位置させ、
 前記バイポーラ電極は、前記第2の供給状態で形成される前記第1の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第1の把持片に近い領域に位置させ、
 前記バイポーラ電極は、前記第1の供給状態で形成される前記第1の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第2の把持片に近い領域に位置させる、
 請求項4の処置システム。
[請求項7]
 前記第1の電極の表面積は、前記第2の電極の表面積に比べて大きく、
 前記バイポーラ電極は、前記第1の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第2の把持片に近い領域に位置させる、
 請求項2のエネルギー処置具。
[請求項8]
 請求項7のエネルギー処置具と、
 前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給及び前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給を制御するプロセッサと、
 を具備し、
 前記プロセッサは、第1の供給状態と第2の供給状態との間で前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給状態を切替え可能であり、
 前記処置エネルギー源は、前記第1の供給状態において前記第1の把持片から前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させるとともに、前記第1の供給状態で形成される前記第2の温度分布おいて、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第1の把持片に近い領域に位置させ、
 前記処置エネルギー源は、前記第2の供給状態において前記第2の把持片から前記処置エネルギーを前記処置対象に付与させるとともに、前記第2の供給状態で形成される前記第2の温度分布において、相対的に前記温度が高い領域を相対的に前記第2の把持片に近い領域に位置させる、
 処置システム。
[請求項9]
 請求項1のエネルギー処置具と、
 前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給及び前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給を制御するプロセッサと、
 を具備し、
 前記プロセッサは、2つの供給状態の間で前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給状態を切替え可能であり、
 前記バイポーラ電極は、前記供給状態の一方で形成される前記第1の温度分布において相対的に前記温度が高い領域を、前記第2の温度分布において相対的に前記温度が低い領域に位置させ、
 前記バイポーラ電極は、前記供給状態の他方で形成される前記第1の温度分布において相対的に前記温度が高い領域を、前記第2の温度分布において相対的に前記温度が高い領域に位置させる、
 処置システム。
[請求項10]
 請求項1のエネルギー処置具と、
 前記バイポーラ電極への前記高周波電力の供給及び前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給を制御するプロセッサと、
 を具備し、
 前記プロセッサは、2つの供給状態の間で前記処置エネルギー源への前記電気エネルギーの供給状態を切替え可能であり、
 前記処置エネルギー源は、前記供給状態の一方で形成される前記第2の温度分布において相対的に前記温度が高い領域を、前記第1の温度分布において相対的に前記温度が低い領域に位置させ、
 前記処置エネルギー源は、前記供給状態の他方で形成される前記第2の温度分布において相対的に前記温度が高い領域を、前記第1の温度分布において相対的に前記温度が高い領域に位置させる、
 処置システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19A]

[ 図 19B]

[ 図 20]

[ 図 21A]

[ 図 21B]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24A]

[ 図 24B]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]