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1. WO2012005333 - TiO含有石英ガラス基材およびその製造方法

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明 細 書

発明の名称 TiO 含有石英ガラス基材およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

実施例

0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

産業上の利用可能性

0083  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : TiO含有石英ガラス基材およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、TiO 含有石英ガラス基材およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 半導体デバイス、光導波路、微小光学素子(回折格子等)、バイオチップ、マイクロリアクタ等における寸法1nm~10μmの微細な凹凸パターンを、各種基板(たとえばSi、サファイア等の単結晶基板、ガラス等の非晶質基板)の表面に形成する方法として、基板の表面に形成された光硬化性樹脂の層に、凹凸パターンの反転パターン(転写パターン)を表面に有するインプリントモールドを押し付け、光硬化性樹脂を硬化させることによって、基板の表面に凹凸パターンを形成する光インプリント法が注目されている。
[0003]
 光インプリント法に用いるインプリントモールドには、光透過性、耐薬品性、光照射による温度上昇に対する寸法安定性が求められる。インプリントモールド用基材としては、光透過性、耐薬品性の点から、石英ガラスがよく用いられる。しかし、石英ガラスは、室温付近における熱膨張係数が約500ppb/℃と高く、寸法安定性に欠ける。そこで、熱膨張係数の低い石英系ガラスとして、TiO 含有石英ガラスが提案されている(特許文献1、2)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 日本国特開2006-306674号公報
特許文献2 : 日本国特開2008-303100号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、TiO 含有石英ガラス基板の熱膨張係数は、TiO 濃度、仮想温度、及び、OHなどのその他成分の濃度によって変化する。OH濃度が高いと構造緩和がしやすくなることから、ガラスの外側と内側で仮想温度の差が生じやすくなり、熱膨張係数の分布が形成されやすくなる。また、OH濃度が高いと、OH濃度の分布も大きくなり、熱膨張係数の分布が形成されやすくなる。
 一方、OH濃度が低いと、OH濃度の分布が付きにくいだけでなく、構造緩和が抑制されることから、仮想温度の分布が形成されにくくなり、均一な熱膨張係数を有するガラスが得やすい。
 また、さらに、OH濃度が高い場合には、インプリントモールドにクラックが生成しやすくなるという問題が生じる。
[0006]
 そこで、TiO 含有石英ガラス基材のOH濃度を低くすることが考えられるが、OH濃度を低くすると、TiO が還元されてTi 3+が生成しやすくなる。Ti 3+は、光インプリント法にて取り扱われる紫外線(365nm)を吸収するため、インプリントモールドの波長365nmにおける内部透過率が低下する。また、TiO 含有石英ガラス基材のOH濃度を低下させる方法としては、ハロゲン濃度(特にフッ素濃度)を高くする方法が知られているが、ハロゲン濃度を高くすると、Ti 3+がさらに生成しやすくなるという問題がある。
[0007]
 本発明は、寸法精度が高く、硬度が十分に高く、クラックが生成しにくく、かつ紫外線(365nm)の透過率が十分に高いインプリントモールドを得るのに特に適したTiO 含有石英ガラス基材およびその製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材は、TiO 濃度が3~8質量%であり、OH濃度が50質量ppm以下であり、波長365nmにおける厚さ1mmあたりの内部透過率T 365が95%以上である。
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材は、ハロゲン濃度が1000質量ppm以下であることが好ましい。
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材は、好ましくはインプリントモールドに用いられる。
[0009]
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材の製造方法は、TiO 濃度が3~8質量%であるTiO 含有石英ガラス基材を製造する方法であって、下記の工程(a)~(d)を有する。
 (a)SiO 前駆体およびTiO 前駆体を含むガラス形成原料を火炎加水分解または熱分解して得られるTiO -SiO ガラス微粒子を、堆積させて多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (b)前記多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下にて1000~1300℃に加熱して低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (c)前記低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を酸素ガス雰囲気下または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下にて緻密化温度に加熱してTiO -SiO 緻密体を得る工程。
 (d)前記TiO -SiO 緻密体を透明ガラス化温度に加熱して透明TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 本発明の製造方法において、TiO 含有石英ガラス基材は、OH濃度が50質量ppm以下であることが好ましい。
 また、本発明の製造方法において、TiO 含有石英ガラス基材は、ハロゲン濃度が1000質量ppm以下であることが好ましい。
 さらに、本発明の製造方法において、TiO 含有石英ガラス基材のTi 3+は4質量ppm以下であることが好ましい。

発明の効果

[0010]
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材によれば、寸法精度が高く、硬度が十分に高く、クラックが生成しにくく、かつ紫外線(365nm)の透過率が十分に高いインプリントモールドを得ることができる。
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材の製造方法によれば、寸法精度が高く、硬度が十分に高く、クラックが生成しにくく、かつ紫外線(365nm)の透過率が十分に高いインプリントモールドを得ることができるTiO 含有石英ガラス基材を製造できる。またその他の光学部材に使用してもよい。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、TiO 含有石英ガラス基材のTiO 濃度と硬度との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0012]
<TiO 含有石英ガラス基材>
(TiO 濃度) 
TiO 含有石英ガラス基材(100質量%)中のTiO 濃度は、3~8質量%であり、4~7.5質量%が好ましく、5~7質量%がより好ましい。TiO 含有石英ガラス基材はインプリントモールド用基材として用いられる場合は、温度変化に対する寸法安定性、および硬度が要求される。TiO 濃度が3質量%以上であれば、室温付近における熱膨張係数を小さくできる。TiO 濃度が8質量%以下であれば、硬度が十分に高くなる。
 TiO 濃度は、蛍光X線分析法において、ファンダメンタルパラメータ法(FP法)を用いて測定する。
[0013]
(Ti 3+濃度)
 TiO 含有石英ガラス基材中のTi 3+濃度は、平均で、4質量ppm以下が好ましく、3質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下がさらに好ましく、1質量ppm以下が特に好ましい。Ti 3+濃度は、0.5質量ppm以下が最も好ましい。Ti 3+濃度は、TiO 含有石英ガラスの着色、特に内部透過率T 365に影響する。Ti 3+濃度が4質量ppm以下において、茶色の着色が抑えられ、その結果、内部透過率T 365の低下が抑えられ、透明性が良好となる。
[0014]
 Ti 3+濃度は電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)測定によって求める。測定条件は下記の通りである。
 周波数:9.44GHz付近(X-band)、
 出力:4mW、
 変調磁場:100KHz、0.2mT、
 測定温度:室温、
 ESR種積分範囲:332~368mT、
 感度校正:一定量のMn 2+/MgOのピーク高さにて実施。
[0015]
 縦軸が信号強度であり、横軸が磁場強度(mT)であるESR信号(微分形)において、TiO 含有石英ガラスは、g =1.988、g =1.946、g =1.915の異方性を有する形状を示す。ガラス中のTi 3+は、通常、g=1.9前後で観察されるため、これらをTi 3+由来の信号とする。Ti 3+濃度は、二回積分後の強度を、濃度既知の標準試料の対応する2回積分後の強度と比較して求める。
[0016]
(OH濃度)
 TiO 含有石英ガラス基材中のOH濃度は、50質量ppm以下であり、45質量ppm以下が好ましく、40質量ppm以下がより好ましい。OH濃度が50質量ppm以下であれば、TiO 含有石英ガラス基材からなるインプリントモールドとして使用した場合、クラックの発生が抑えられる。
[0017]
 OH濃度は下記の方法によって求める。赤外分光光度計による測定を行い、波長2.7μmでの吸収ピークからOH濃度を求める(J.P.Wiiliams et.al.、Ceramic Bulletin、55(5)、524、1976)。該方法による検出限界は0.1質量ppmである。
[0018]
(ハロゲン濃度)
 TiO 含有石英ガラス基材中のハロゲン濃度は、1000質量ppm以下が好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下がさらに好ましい。ハロゲン濃度が1000質量ppm以下であれば、Ti 3+濃度が増加しにくくなるため、茶色の着色が起こりにくくなる。その結果、T 365の低下が抑えられ、透明性が損なわれない。
[0019]
 ハロゲン濃度は下記の方法によって求める。
 塩素、臭素、ヨウ素濃度は、サンプルを水酸化ナトリウム溶液に加熱溶解し、陽イオン除去フィルタでろ過した溶解液について、イオンクロマトグラフ分析法にてイオン濃度を定量分析することによって求める。
 フッ素濃度は、高濃度(100質量ppm以上)の場合、蛍光X線にて、既知のフッ素濃度のサンプルを用い、FP法(ファンダメンタルパラメータ法)を用いて求め、低濃度(100質量ppm未満)の場合、塩素濃度と同様に、イオンクロマトグラフ分析法にてフッ素イオン濃度を定量分析することによって求める。
[0020]
(内部透過率)
 TiO 含有石英ガラス基材の、波長365nmにおける厚さ1mmあたりの内部透過率T 365は、95%以上である。光インプリント法では、紫外線の照射によって光硬化性樹脂を硬化させるため、紫外線(365nm)の透過率が高い方が好ましい。
[0021]
 TiO 含有石英ガラス基材の、波長300~700nmの領域における厚さ1mmあたりの内部透過率T 300~700は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。光インプリント法では、紫外線の光照射によって光硬化性樹脂を硬化させるため、紫外線領域の透過率が高い方が好ましい。
[0022]
 TiO 含有石英ガラス基材の、波長400~700nmの領域における厚さ1mmあたりの内部透過率T 400~700は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。T 400~700が80%以上であれば、可視光が吸収されにくく、顕微鏡、目視等による検査の際に、泡、脈理等の内部欠点の有無を判別しやすくなり、検査や評価において不具合が生じにくい。
[0023]
 内部透過率は下記の方法によって求める。
 分光光度計を用いて、サンプル(鏡面研磨されたTiO 含有石英ガラス基材)の透過率を測定する。厚さ1mmあたりの内部透過率は、同じ程度の鏡面研磨を施した厚さの異なるサンプル、たとえば、厚さ2mmのサンプルと厚さ1mmのサンプルの透過率を測定し、透過率を吸光度に変換した後、厚さ2mmのサンプルの吸光度から厚さ1mmのサンプルの吸光度を引くことで、厚さ1mmあたりの吸光度を求め、再度透過率に変換することで求める。
[0024]
 サンプルと同じ程度の鏡面研磨を施した厚さ1mm程度の石英ガラスを用意する。該石英ガラスの吸収のない波長、たとえば2000nm付近の波長での石英ガラスの透過率減少分を表面・裏面の反射損とする。透過率減少分を吸光度に変換し、表面・裏面の反射損の吸光度とする。
 内部透過率の測定波長域における厚さ1mmのサンプルの透過率を吸光度に変換し、前記石英ガラスの波長2000nm付近での吸光度を引く。吸光度の差を再度透過率に変換して内部透過率とする。
[0025]
(応力)
 TiO 含有石英ガラス基材の、ストリエによって生じる応力の標準偏差(dev[σ])は、0.05MPa以下が好ましく、0.04MPa以下がより好ましく、0.03MPa以下がさらに好ましい。通常、後述するスート法で製造されるガラス体は、3方向ストリエフリーといわれ、ストリエが見られないが、スート法で製造されるガラス体であってもドーパント(TiO 等)を含む場合には、ストリエが見られる可能性がある。ストリエが存在すると、粗さやうねりの小さい表面が得られにくい。また、同様の理由から、TiO 含有石英ガラス基材の、ストリエによって生じる応力における最大値と最小値との差(Δσ)は、0.23MPa以下が好ましく、0.2MPa以下がより好ましく、0.15MPa以下がさらに好ましい。
[0026]
 応力は下記の方法によって求める。
 まず、複屈折顕微鏡を用いて1mm×1mm程度の領域を測定することでサンプルのレタデーションを求め、下式(1)から応力のプロファイルを求める。
 Δ=C×F×n×d ・・・(1)。
 ここで、Δは、レタデーションであり、Cは、光弾性定数であり、Fは、応力であり、nは屈折率であり、dは、サンプルの厚さである。
 ついで、応力のプロファイルから、応力の標準偏差(dev[σ])、応力における最大値と最小値との差(Δσ)を求める。
 具体的には、TiO 含有石英ガラス基材からスライスによってサンプルを切り取り、さらに研磨を行うことによって、30mm×30mm×0.5mmの板状のサンプルを得る。複屈折顕微鏡にて、サンプルの30mm×30mmの面にヘリウムネオンレーザ光を垂直にあて、脈理が十分に観察可能な倍率に拡大して、面内のレタデーション分布を調べ、応力分布に換算する。脈理のピッチが細かい場合は、サンプルの厚さを薄くする必要がある。
[0027]
(熱膨張係数)
 TiO 含有石英ガラス基材の、15~35℃における熱膨張係数C 15~35は、0±200ppb/℃の範囲内にあることが好ましい。TiO 含有石英ガラス基材を、インプリントモールド用基材として用いる場合は、温度変化に対する寸法安定性、より具体的には、インプリント法の際に、該モールドが経験し得る温度領域における温度変化に対する寸法安定性に優れることが要求される。ここで、インプリントモールドが経験し得る温度領域は、インプリント法の種類によって異なる。光インプリント法では、紫外線の照射によって光硬化性樹脂を硬化させるため、該モールドが経験し得る温度領域は基本的には室温付近である。ただし、紫外線の照射によって該モールドの温度が局所的に上昇する場合がある。紫外線の照射による局所的な温度上昇を考慮して、該モールドが経験し得る温度領域を15~35℃とする。C 15~35は、0±100ppb/℃の範囲内にあることがより好ましく、0±50ppb/℃の範囲内にあることがさらに好ましく、0±20ppb/℃の範囲内にあることが特に好ましい。
[0028]
 TiO 含有石英ガラス基材の、22℃における熱膨張係数C 22は、0±30ppb/℃であることが好ましく、0±10ppb/℃であることがより好ましく、0±5ppb/℃であることがさらに好ましい。C 22が0±30ppb/℃の範囲であれば、値の正負にかかわらず、温度変化による寸法変化を無視できる。
[0029]
 22℃における熱膨張係数のように少ない測定点数で精度よく測定するためには、レーザヘテロダイン干渉式熱膨張計(たとえば、ユニオプト社製、CTE-01等)を用いて、その温度の前後1~3℃の温度変化によるサンプルの寸法変化を測定し、その平均の熱膨張係数をその中間の温度における熱膨張係数とする。
[0030]
(硬度)
 TiO -SiO ガラス基材の、ビッカース硬度は、650以上であることが好ましく、660以上がさらに好ましく、690以上が特に好ましい。
 ビッカース硬度は、下記のようにして求める。
 ビッカース硬度計を用い、100gf(0.98N)の荷重でビッカース圧子をサンプルの研磨面に押し込み、圧痕の対角線の長さd(μm)を測定する。圧痕の対角線の長さdから、下式(2)を用いてビッカース硬度VHNを計算する。
 VHN=1854.4×100/d  ・・・(2)
[0031]
(作用効果)
 以上説明したTiO 含有石英ガラス基材にあっては、TiO 濃度が3~8質量%であるため、寸法精度が高く、かつ硬度が十分に高いインプリントモールドを得ることができる。また、OH濃度が50質量ppm以下であるため、クラックが生成しにくいインプリントモールドを得ることができる。また、波長365nmにおける厚さ1mmあたりの内部透過率T 365が95%以上であるため、紫外線(365nm)の透過率が十分に高いインプリントモールドを得ることができる。またその他の光学部材に使用することもできる。
[0032]
<TiO 含有石英ガラス基材の製造方法>
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材(以下、TiO -SiO ガラス基材とも記す。)の製造方法は、下記の工程(a)~(g)を有する方法である。
[0033]
 (a)SiO 前駆体およびTiO 前駆体を含むガラス形成原料を加水分解または熱分解して得られるTiO -SiO ガラス微粒子を、堆積させて多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (b)前記多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下にて1000~1300℃に加熱して低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (c)前記低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を酸素ガス雰囲気下または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下にて緻密化温度に加熱してTiO -SiO 緻密体を得る工程。
 (d)前記TiO -SiO 緻密体を透明ガラス化温度まで昇温して透明TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (e)必要に応じて前記透明TiO -SiO ガラス体を軟化点以上に加熱して成形し、成形TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (f)必要に応じて前記工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体または前記工程(e)で得られた成形TiO -SiO ガラス体をアニール処理する工程。
 (g)必要に応じて前記工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体、前記工程(e)で得られた成形TiO -SiO ガラス体、または前記工程(f)で得られたTiO -SiO ガラス体に、切断、切削、研磨等の機械加工を行うことにより、所定の形状を有するTiO -SiO ガラス基材を得る工程。
[0034]
(工程(a))
 ガラス形成原料であるSiO 前駆体およびTiO 前駆体を火炎加水分解または熱分解させて得られるTiO -SiO ガラス微粒子(スート)を、堆積用基材に堆積、成長させて多孔質TiO -SiO ガラス体を形成させる。
 スート法としては、MCVD法、OVD法、VAD法等が挙げられ、大量生産性に優れる、堆積用基材の大きさ等の製造条件を調整することによって大面積の面内において組成の均一なガラス体が得られる、等の点から、VAD法が好ましい。
[0035]
 ガラス形成原料としては、ガス化可能な原料が挙げられる。
 SiO 前駆体としては、ハロゲン化ケイ素化合物、アルコキシシランが挙げられる。
 TiO 前駆体としては、ハロゲン化チタン化合物、アルコキシチタンが挙げられる。
[0036]
 ハロゲン化ケイ素化合物としては、塩化物(SiCl 、SiHCl 、SiH Cl 、SiH Cl等)、フッ化物(SiF 、SiHF 、SiH 等)、臭化物(SiBr 、SiHBr 等)、ヨウ化物(SiI 等)が挙げられる。
 アルコキシシランとしては、下式(3)で表わされる化合物が挙げられる。
 R Si(OR) 4-n ・・・(3)
 ただし、Rは、炭素数1~4のアルキル基であり、nは、0~3の整数であり、複数のRにおいて、一部のRが異なっていてもよい。
[0037]
 ハロゲン化チタン化合物としては、TiCl 、TiBr 等が挙げられる。
 アルコキシチタンとしては、下式(4)で表わされる化合物が挙げられる。
 R Ti(OR) 4-n ・・・(4)
 ただし、Rは、炭素数1~4のアルキル基であり、nは0~3の整数であり、複数のRにおいて、一部のRが異なっていてもよい。
[0038]
 また、SiO 前駆体およびTiO 前駆体として、シリコンチタンダブルアルコキシド等のSiおよびTiを含む化合物を用いてもよい。
 堆積用基材としては、石英ガラス製の種棒(たとえば、日本国特公昭63-24937号公報に記載された種棒)が挙げられる。また、棒状に限らず、板状の堆積用基材を用いてもよい。
[0039]
(工程(b))
 工程(a)で得られた多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下にて1000~1300℃に加熱して、低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を得る。
 工程(b)を行うことによって、多孔質TiO -SiO ガラス体のOH濃度を低減できる。
[0040]
 工程(b)における加熱温度は、1000~1300℃であり、1100~1200℃が好ましい。加熱温度が1000℃以上であれば、多孔質TiO -SiO ガラス体のOH濃度を十分に低減できる。加熱温度が1300℃以下であれば、多孔質TiO -SiO ガラス体が緻密化されることなく、効率よくOH濃度を低減できる。
[0041]
 工程(b)における加熱時間は、コストの抑制の点から、100時間以下が好ましく、50時間以下がより好ましい。また、該加熱時間は、低OH化の効果の点から、10時間以上が好ましく、20時間以上がより好ましい。
[0042]
 工程(b)における圧力(絶対圧)は、0.1Pa以下が好ましく、0.05Pa以下がより好ましく、0.01Pa以下がさらに好ましい。圧力(絶対圧)が0.1Pa以下であれば、多孔質TiO -SiO ガラス体の脱気によって、多孔質TiO -SiO ガラス体のOH濃度を十分に低減できる。
[0043]
(工程(c))
 工程(b)で得られた低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を酸素ガス雰囲気下または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下にて緻密化温度まで昇温して、TiO -SiO 緻密体を得る。緻密化温度以上での保持時間は、1~100時間であることが好ましく、2~50時間であることがさらに好ましい。
 工程(c)を、酸素ガスを含む雰囲気下(酸化条件)にて行うことによって、Ti 3+の生成が抑えられる。酸素を含まない雰囲気下で緻密化した後に、酸素雰囲気中で酸化処理を行ってもTi 3+の生成を抑制することができるが、この方法では長時間の熱処理が必要となる。長時間熱処理を行うと不純物が拡散し易くなり、結晶化の原因になる。酸素ガスを含む雰囲気下での緻密化することで、酸素雰囲気下での長時間の熱処理なしでTi 3+の生成を抑えることができる。
[0044]
 不活性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスの露点は、低OH化の点から、-50℃以下が好ましく、-60℃以下がより好ましい。
 不活性ガスとしては、ヘリウムが好ましい。
 酸素ガス雰囲気または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気の圧力は、常圧または減圧が好ましい。減圧の場合は13000Pa以下が好ましい。酸素ガスと不活性ガスを含む場合、酸素ガスの割合は10体積%~100体積%であることが好ましい。
[0045]
 緻密化温度とは、光学顕微鏡で空隙が確認できなくなるまで多孔質TiO -SiO ガラス体を緻密化できる温度を意味する。
 緻密化温度は、1250~1550℃が好ましく、1350~1450℃がより好ましい。
[0046]
 工程(c)においては、TiO -SiO 緻密体の均質性が上がる点から、低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下(好ましくは13000Pa以下、より好ましくは1300Pa以下)に置いた後、ついで不活性ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスを導入して所定の圧力の不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気とすることが好ましい。
 また、工程(c)においては、TiO -SiO 緻密体の均質性が上がる点から、低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下、室温または緻密化温度未満の温度にて保持した後に、緻密化温度まで昇温することが好ましい。
[0047]
(工程(d))
 工程(c)で得られたTiO -SiO 緻密体を、透明ガラス化温度まで昇温して、透明TiO -SiO ガラス体を得る。
 透明ガラス化温度とは、光学顕微鏡で結晶が確認できなくなり、透明なガラスが得られる温度を意味する。
 透明ガラス化温度は、1350~1750℃が好ましく、1400~1700℃がより好ましい。
 雰囲気としては、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン等)の100%の雰囲気、または不活性ガス(ヘリウム、アルゴン等)を主成分とする雰囲気が好ましい。
 雰囲気の圧力は、常圧または減圧が好ましい。減圧の場合は13000Pa以下が好ましい。
[0048]
(工程(e))
 工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体を、型に入れて軟化点以上の温度に加熱して所望の形状に成形し、成形TiO -SiO ガラス体を得る。
 成形温度は、1500~1800℃が好ましい。成形温度が1500℃以上であれば、透明TiO -SiO ガラス体の粘度が低くなり、自重変形しやすい。また、SiO の結晶相であるクリストバライトの成長またはTiO の結晶相であるルチルもしくはアナターゼの成長が抑えられ、いわゆる失透が生じにくい。成形温度が1800℃以下であれば、SiO の昇華が抑えられる。
[0049]
 工程(e)は、複数回繰り返してもよい。たとえば、透明TiO -SiO ガラス体を型に入れて軟化点以上の温度に加熱した後、得られた成形TiO -SiO ガラス体を別の型に入れて軟化点以上の温度に加熱する2段階の成形を実施してもよい。
 また、工程(d)および工程(e)を連続的に、または同時に行ってもよい。
 また、工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体が十分に大きい場合は、つぎの工程(e)を行わずに工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体を所定の寸法に切り出すことで、成形TiO -SiO ガラス体としてもよい。
 また、工程(e)の代わりにまたは工程(e)の後、工程(f)よりも前に、下記の工程(e’)を行ってもよい。
[0050]
(工程(e’))
 (e’)前記工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体または前記工程(e)で得られた成形TiO -SiO ガラス体を、T +400℃以上の温度で20時間以上加熱する工程。
 T は、工程(f)で得られるTiO -SiO ガラス体の徐冷点(℃)である。徐冷点とは、ガラスの粘性ηが1013dPa・sとなる温度を意味する。徐冷点は、下記のように求める。
 JIS R 3103-2:2001に準拠する方法でビームベンディング法によりガラスの粘性を測定し、粘性ηが1013dPa・sとなる温度を徐冷点とする。
[0051]
 工程(e’)を行うことによって、TiO -SiO ガラス体におけるストリエが軽減される。
 ストリエとは、TiO -SiO ガラス体の組成上の不均一(組成分布)である。ストリエを有するTiO -SiO ガラス体にはTiO 濃度の異なる部位が存在することになる。TiO 濃度が高い部位は、熱膨張係数(CTE)が負になるため、工程(f)における降温過程の際に、TiO 濃度が高い部位が膨張する傾向がある。この際、TiO 濃度が高い部位に隣接してTiO 濃度が低い部位が存在すると、TiO 濃度が高い部位の膨張が妨げられて圧縮応力が加わることとなる。その結果、TiO -SiO ガラス体には応力の分布が生じることとなる。本明細書において、このような応力の分布のことを「ストリエによって生じる応力の分布」という。
[0052]
 インプリントモールド用基材として用いられるTiO -SiO ガラス体に、ストリエによって生じる応力の分布が存在すると、表面を研磨する際に、加工レートに差が生じて、研磨後の表面の粗さやうねりに影響が及ぶこととなる。
 工程(e’)を行うことによって、ついで行われる工程(f)を経て製造されるTiO -SiO ガラス体におけるストリエによって生じる応力の分布が、インプリントモールド用基材として用いる上で問題とならないレベルまで低減される。
[0053]
 工程(e’)における加熱温度は、TiO -SiO ガラス体における発泡や昇華が抑えられる点から、T +600℃未満が好ましく、T +550℃未満がより好ましく、T +500℃未満がさらに好ましい。すなわち、工程(e’)における加熱温度は、T +400℃以上T +600℃未満が好ましく、T +400℃以上T +550℃未満がより好ましく、T +450℃以上T +500℃未満がさらに好ましい。
[0054]
 工程(e’)における加熱時間は、ストリエの軽減の効果とTiO -SiO ガラス体の歩留まりとのバランス、コストの抑制等の点から、240時間以下が好ましく、150時間以下がより好ましい。また、該加熱時間は、ストリエの軽減の効果の点から、24時間超が好ましく、48時間超がより好ましく、96時間超がさらに好ましい。
[0055]
 工程(e’)および工程(f)を連続的に、または同時に行ってもよい。
 また、工程(d)およびまたは工程(e)と、工程(e’)とを連続的に、または同時に行ってもよい。
[0056]
(工程(f))
 工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体、工程(e)で得られた成形TiO -SiO ガラス体、または工程(e’)後のTiO -SiO ガラス体を、1100℃以上の温度に昇温した後、100℃/hr以下の平均降温速度で700℃以下の温度まで降温するアニール処理を行い、TiO -SiO ガラス体の仮想温度を制御する。
[0057]
 工程(d)または工程(e)(または工程(e’))と、工程(f)とを連続的に、または同時に行う場合は、工程(d)または工程(e)(または工程(e’))における1100℃以上の温度からの降温過程において、得られる透明TiO -SiO ガラス体または成形TiO -SiO ガラス体を、1100℃から700℃まで100℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行い、TiO -SiO ガラス体の仮想温度を制御する。
[0058]
 平均降温速度は、10℃/hr以下がより好ましく、5℃/hr以下がさらに好ましく、2.5℃/hr以下が特に好ましい。
 また、700℃以下の温度まで降温した後は放冷できる。なお、雰囲気は特に限定されない。
[0059]
 工程(f)で得られるTiO -SiO ガラス体から、異物、泡等のインクルージョンを排除するためには、工程(a)~(e)(特に工程(a))においてコンタミネーションを抑制すること、さらに工程(c)~(e)の温度条件を正確にコントロールすることが肝要である。
[0060]
(工程(g))
 工程(d)で得られた透明TiO -SiO ガラス体、前記工程(e)で得られた成形TiO -SiO ガラス体、または工程(f)で得られたTiO -SiO ガラス体に、切断、切削、研磨等の機械加工を行うことにより、所定の形状を有するTiO -SiO ガラス基材を得る。
 研磨工程はその研磨面の仕上がり状況に応じて2回以上の工程に分けて行うことが好ましい。
[0061]
(作用効果)
 以上説明した本発明のTiO 含有石英ガラス基材の製造方法にあっては、TiO 濃度が3~8質量%であるTiO 含有石英ガラス基材を製造する方法である。インプリントモールドとして使用する場合には、寸法精度が高く、かつ硬度が十分に高いインプリントモールドを得ることができるTiO 含有石英ガラス基材を製造できる。
 また、工程(b)において工程(a)で得られた多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下にて1000~1300℃に加熱しているため、OH濃度を50質量ppm以下とすることができ、その結果、クラックが生成しにくいインプリントモールドを得ることができるTiO 含有石英ガラス基材を製造できる。
 また、工程(c)の緻密化を、酸素ガス雰囲気下または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下にて行っているため、OH濃度が低いにもかかわらずTi 3+の生成が抑えられ、その結果、波長365nmにおける厚さ1mmあたりの内部透過率T 365が95%以上である、紫外線(365nm)の透過率が十分に高いインプリントモールドを得ることができるTiO 含有石英ガラス基材を製造できる。
[0062]
<インプリントモールド>
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材はインプリントモールド用として適する。本発明のTiO 含有石英ガラス基材の主表面に、エッチングによって転写パターンを形成することによって製造できる。
 転写パターンは、目的とする微細な凹凸パターンの反転パターンであり、複数の微細な凸部および/または凹部からなる。
 エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましく、具体的には、SF による反応性イオンエッチングが好ましい。
実施例
[0063]
 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
 例1、2は実施例であり、例3~8は比較例である。
[0064]
〔例1〕
(工程(a))
 ガラス形成原料であるTiCl およびSiCl を、それぞれガス化させた後に混合し、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO -SiO ガラス微粒子を堆積用基材に堆積、成長させて、多孔質TiO -SiO ガラス体を形成した。TiCl およびSiCl の割合は、TiO -SiO ガラス体中のTiO 濃度が6.2質量%になるよう調整した。
 得られた多孔質TiO -SiO ガラス体はそのままではハンドリングしにくいため、堆積用基材に堆積させたままの状態で、大気中、1200℃にて4時間保持した後、堆積用基材から外した。
[0065]
(工程(b))
 得られた多孔質TiO -SiO ガラス体を、0.01Pa(絶対圧)の圧力下にて1170℃で50時間保持して、低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を得た。
[0066]
(工程(c))
 得られた低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を、ヘリウムガスおよび酸素ガスからなる混合ガス(ヘリウムガス:80体積%、酸素ガス20体積%、混合ガスの露点:-62℃)の雰囲気下にて1450℃で4時間保持して、TiO -SiO 緻密体を得た。
[0067]
(工程(d))
 得られたTiO -SiO 緻密体を、カーボン型に入れて1700℃にて4時間保持することによって透明TiO -SiO ガラス体を得た。
[0068]
〔例2〕
 TiO 濃度が7.4質量%となるようにガラス形成原料の組成を調整した以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
[0069]
〔例3〕
 TiO 濃度が8.5質量%となるようにガラス形成原料の組成を調整した以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
[0070]
〔例4〕
 工程(b)を行わない以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
[0071]
〔例5〕
 工程(c)を下記の工程(c’)に変更した以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
(工程(c’))
 得られた低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を、ヘリウムガス雰囲気下にて1450℃で4時間保持して、TiO -SiO 緻密体を得た。
[0072]
〔例6〕
 工程(b)を下記の工程(b’)に変更した以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
(工程(b’))
 フッ素単体(F )を窒素ガスで20mol%に希釈した混合ガスの雰囲気下、圧力:ゲージ圧で0.21MPa、温度:140℃の条件下で24時間保持し、フッ素を含有した多孔質TiO -SiO ガラス体を得た。
[0073]
〔例7〕
 超低膨張ガラス(コーニング社製、ULE)を用意した。
[0074]
〔例8〕
 工程(b)を行わず、工程(c)を下記の工程(c”)に変更した以外は、例1と同様にして透明TiO -SiO ガラス体を得た。
(工程(c”))
 得られた多孔質TiO -SiO ガラス体を、ヘリウムガス雰囲気下、ゾーン加熱電気炉内を移動させつつ1450℃で4時間加熱して、TiO -SiO 緻密体を得た。
[0075]
〔評価〕
 得られた透明TiO -SiO ガラス体について、TiO 濃度、Ti 3+濃度、OH濃度、フッ素濃度、塩素濃度、内部透過率を、上述の方法にて求めた。結果を表1および表2に示す。また、例1については、応力、熱膨張係数を、上述の方法にて求めた。結果を表3に示す。また、例1~3については、硬度を、上述の方法にて求めた。結果を表4に示す。また、例1~4、7、8については、下記の方法にてクラックの評価を行った。結果を表4に示す。また、例1~3におけるTiO 濃度と硬度との関係をグラフ(図1)に示す。
[0076]
(クラック)
 ビッカース硬度計を用い、露点-80℃の乾燥窒素中で100gf(0.98N)の荷重でビッカース圧子をサンプルに打ち込み、30秒後に圧痕周辺を観察した。なお、クラックが発生しなかった場合を“A”、クラックが発生した場合を“B”とした。
[0077]
[表1]


[0078]
[表2]


[0079]
[表3]


[0080]
[表4]


[0081]
 例2は、例1に比べ、TiO 濃度が少し高めであるため、硬度が若干低下した。
 例3は、TiO 濃度が8質量%を超えたため、硬度が不十分であった。
 例4は、工程(b)の低OH化を行っていないため、OH濃度が高く、クラックが発生した。
 例5は、工程(c)の緻密化を、酸素ガスを含む雰囲気下にて行っていないため、Ti 3+濃度が高くなり、内部透過率T 365が低下した。
 例6は、直接フッ素化にて低OH化を行っているため、フッ素濃度が高く、Ti 3+濃度が高くなり、内部透過率T 365が低下した。
 例7は、OH濃度が高く、クラックが発生した。
 例8は、OH濃度が高く、クラックが発生した。
[0082]
 本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
 本出願は、2010年7月8日出願の、日本特許出願2010-155691に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0083]
 本発明のTiO 含有石英ガラス基材は、半導体デバイス、光導波路、微小光学素子(回折格子等)、バイオチップ、マイクロリアクタ等における寸法1nm~10μmの微細な凹凸パターンを形成する目的で用いられるインプリントモールドの材料として有用である。

請求の範囲

[請求項1]
 TiO 濃度が3~8質量%であり、
 OH濃度が50質量ppm以下であり、
 波長365nmにおける厚さ1mmあたりの内部透過率T 365が95%以上である、TiO 含有石英ガラス基材。
[請求項2]
 ハロゲン濃度が1000質量ppm以下である、請求項1に記載のTiO 含有石英ガラス基材。
[請求項3]
 インプリントモールドに用いられるである、請求項1または2に記載のTiO 含有石英ガラス基材。
[請求項4]
 TiO 濃度が3~8質量%であるTiO 含有石英ガラス基材を製造する方法であって、
 下記の工程(a)~(d)を有する、TiO 含有石英ガラス基材の製造方法。
 (a)SiO 前駆体およびTiO 前駆体を含むガラス形成原料を火炎加水分解または熱分解して得られるTiO -SiO ガラス微粒子を、堆積させて多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (b)前記多孔質TiO -SiO ガラス体を減圧下にて1000~1300℃に加熱して低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を得る工程。
 (c)前記低OH化多孔質TiO -SiO ガラス体を酸素ガス雰囲気下または不活性ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気下にて緻密化温度に加熱してTiO -SiO 緻密体を得る工程。
 (d)前記TiO -SiO 緻密体を透明ガラス化温度に加熱して透明TiO -SiO ガラス体を得る工程。
[請求項5]
 TiO 含有石英ガラスのOH濃度が50質量ppm以下である、請求項4に記載の製造方法。
[請求項6]
 TiO 含有石英ガラスのハロゲン濃度が1000質量ppm以下である、請求項4または5に記載の製造方法。
[請求項7]
 TiO 含有石英ガラスのTi 3+が4質量ppm以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の製造方法。

図面

[ 図 1]