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1. WO2021049545 - ポリイミド、ワニス及びフィルム

Document

明 細 書

発明の名称 ポリイミド、ワニス及びフィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

実施例

0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : ポリイミド、ワニス及びフィルム

技術分野

[0001]
 本発明は、ポリイミド、並びに、ポリイミドを含有するワニス及びフィルムに関する。

背景技術

[0002]
 近年、液晶ディスプレイ等の各種フラットパネルディスプレイ(FPD)にはガラス基板が用いられているが、FPDの薄型化と共に軽量化が重要な課題となっており、ガラス基板の代替材料として、透明プラスチック基板の開発が進められている。例えば特許文献1には特定の構造単位を含むポリエーテルスルホン組成物が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2012-197449号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかし、従来の透明プラスチックでは、透明性と耐熱性の両立は困難であった。また、透明プラスチックには、フィルム等への加工性の観点から、溶媒への可溶性を有し、溶液状態(ワニス)での取り扱いが可能なものが望まれているが、溶剤へ溶解が容易なものはしばしば耐熱性が低いという問題点もあった。
[0005]
 本発明は、優れた耐熱性を有し、溶剤可溶性に優れるポリイミドを提供することを目的とする。また、本発明は、上記ポリイミドを含有するワニス、及び、上記ポリイミドを含むフィルムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の繰り返し単位を有するポリイミドが、優れた耐熱性及び寸法安定性と、溶液状態での取扱い性と、を両立可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0007]
 すなわち、本発明は、以下に示すものに関する。
[0008]
[1]下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、ポリイミド。
[化1]


[式中、R は4価の基を示し、R は2価の基を示す。
 但し、R のうち少なくとも一部は下記式(2)で表される基である。また、R のうち、一部は下記式(3)で表される基であり、他の一部は下記式(4)で表される基である。]
[化2]


[化3]


[化4]


[2]前記ポリイミド中のR に占める前記式(3)で表される基の割合が、20~90モル%である、[1]に記載のポリイミド。
[3]前記ポリイミド中のR に占める前記式(4)で表される基の割合が、10~80モル%である、[1]又は[2]に記載のポリイミド。
[4]前記ポリイミド中のR に占める前記式(2)で表される基の割合が、60モル%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリイミド。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のポリイミドと溶媒とを含有する、ワニス。
[6][1]~[4]のいずれかに記載のポリイミドを含有する、フィルム。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、優れた耐熱性及び寸法安定性を有し、溶液状態での取扱い性に優れるポリイミドが提供される。また、本発明によれば、上記ポリイミドを含有するワニス、及び、上記ポリイミドを含むフィルムが提供される。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 実施例1のポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[0012]
<ポリイミド>
 本実施形態のポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、ポリイミドである。
[0013]
[化5]


[0014]
 式中、R は4価の基を示し、R は2価の基を示す。但し、R のうち少なくとも一部は下記式(2)で表される基である。また、R のうち、一部は下記式(3)で表される基であり、他の一部は下記式(4)で表される基である。
[0015]
[化6]


[化7]


[化8]


[0016]
 本実施形態のポリイミドは、式(1)で表される繰り返し単位によって、優れた透明性、優れた耐熱性(高T )、優れた寸法安定性(低熱膨張特性)、及び、溶液状態での優れた取扱い性が得られる。
[0017]
 このような効果が得られる理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。まず、本実施形態のポリイミドは、式(2)で表される脂環式基と式(3)で表される含フッ素基とによる剛直なイミド構造によって、優れた透明性、優れた耐熱性、優れた寸法安定性が発現していると考えられる。また、本実施形態のポリイミドは、式(4)で表される含エーテル基によって柔軟な折れ曲がり構造が導入されているため、ポリイミド主鎖が折れ曲がって分子間力が低下し、溶媒に対する高い溶解性が得られると考えられる。なお、通常、ポリイミド主鎖に折れ曲がり構造が導入されると、加熱時の寸法安定性が悪化することが予想される。しかし、本実施形態では、折れ曲がり構造として、式(4)で表される特定の構造を導入することで、優れた透明性、優れた耐熱性及び優れた寸法安定性を維持しつつ、溶解性及び膜靭性を向上させている。
[0018]
 本実施形態のポリイミドは、主鎖を構成する繰り返し単位と末端部とから構成される。本実施形態のポリイミドが有する繰り返し単位の全量に占める、式(1)で表される繰り返し単位の割合は、例えば70質量%以上であってよく、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上であり、100質量%であってもよい。
[0019]
 本実施形態のポリイミドにおける末端部は特に限定されず、公知のポリイミドの末端部と同様であってよい。例えば、末端部は、酸無水物基、アミノ基等であってよい。ポリイミドの主鎖の両端に存在する末端部は、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0020]
 式(1)で表される繰り返し単位は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重付加反応とそれに続くイミド化反応とによって形成されたものであってよい。すなわち、式(1)中のR は、テトラカルボン酸二無水物から2つのジカルボン酸無水物基を除去した残りの基(すなわち、テトラカルボン酸二無水物残基)ということができ、式(1)中のR は、ジアミンから2つのアミノ基を除去した残りの基(すなわち、ジアミン残基)ということができる。
[0021]
 本実施形態において、複数のR のうち少なくとも一部は式(2)で表される基である。式(2)で表される基は、ビスノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(以下、「BNBDA」ともいう)の残基ということもできる。
[0022]
 本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(2)で表される基の割合は、例えば60モル%以上であってよく、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、100モル%であってもよい。
[0023]
 R が式(2)で表される基以外の基である場合、R は、BNBDA以外のテトラカルボン酸二無水物に由来する基(テトラカルボン酸二無水物から2つのジカルボン酸無水物基を除去した残りの基)であってよい。
[0024]
 BNBDA以外のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、ハイドロキノンビス(トリメリテートアンハイドライド)、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
[0025]
 本実施形態において、複数のR のうち一部は式(3)で表される基であり、他の一部は式(4)で表される基である。すなわち、本実施形態のポリイミドは、式(1)中のR として、式(3)で表される基及び式(4)で表される基の両方を有する。式(3)で表される基は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、「TFMB」ともいう)の残基ということもできる。また、式(4)で表される基は、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、「BAPP」ともいう)の残基ということもできる。
[0026]
 本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(3)で表される基の割合は、例えば20モル%以上であってよく、好ましくは30モル%以上であり、より好ましくは40モル%以上であり、更に好ましくは45モル%以上である。式(3)で表される基の割合を多くすることで、寸法安定性がより良好となる傾向がある。また、本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(3)で表される基の割合は、例えば95モル%以下であってよく、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは85モル%以下である。式(3)で表される基の割合を少なくすることで、溶剤可溶性、透明性、膜靭性及び光学的等方性がより良好となる傾向がある。すなわち、本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(3)で表される基の割合は、例えば20~95モル%、20~90モル%、20~85モル%、30~95モル%、30~90モル%、30~85モル%、40~95モル%、40~90モル%、40~85モル%、45~95モル%、45~90モル%又は45~85モル%であってよい。
[0027]
 本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(4)で表される基の割合は、例えば5モル%以上であってよく、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上である。式(4)で表される基の割合を多くすることで、溶剤可溶性、透明性、膜靭性及び低複屈折性がより良好となる傾向がある。また、本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(4)で表される基の割合は、例えば80モル%以下であってよく、好ましくは70モル%以下であり、より好ましくは60モル%以下であり、更に好ましくは55モル%以下である。式(4)で表される基の割合を少なくすることで、寸法安定性がより良好となる傾向がある。ずなわち、本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(4)で表される基の割合は、5~80モル%、5~70モル%、5~60モル%、5~55モル%、10~80モル%、10~70モル%、10~60モル%、10~55モル%、15~80モル%、15~70モル%、15~60モル%又は15~55モル%であってよい。
[0028]
 本実施形態のポリイミド中のR に占める、式(3)で表される基及び式(4)で表される基の合計は、例えば70モル%以上であってよく、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、100モル%であってもよい。
[0029]
 R が式(3)及び式(4)で表される基以外の基である場合、R は、TFMB及びBAPP以外のジアミンに由来する基(ジアミンから2つのアミノ基を除去した残りの基)であってよい。
[0030]
 TFMB及びBAPP以外のジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、例えば、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(3-メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(3-エチルシクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(3,5-ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(3,5-ジエチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン、シス-1,4-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3-ジアミノアダマンタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-プロパンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノキシレン、2,4-ジアミノデュレン、4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(3-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3,5-ジメチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3,5-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、3,3’-オキシジアニリン、2,4’-オキシジアニリン、2,2’-オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、o-トリジン、m-トリジン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p-ターフェニレンジアミン等が挙げられる。
[0031]
 本実施形態のポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば5.00×10 以上であってよく、好ましくは1.0×10 以上、より好ましくは1.5×10 以上である。重量平均分子量が大きいと、例えば、熱的・機械的物性が良好となる傾向がある。ポリイミドの重量平均分子量(Mw)の上限は特に限定されず、ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は例えば4.0×10 以下であってよい。すなわち、本実施形態のポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、例えば5.00×10 ~4.0×10 、1.0×10 ~4.0×10 、又は、1.5×10 ~4.0×10 であってよい。なお、ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0032]
 本実施形態のポリイミドの固有粘度は、例えば1.0dL/g以上であってよく、好ましくは2.0dL/g以上、より好ましくは3.0dL/g以上である。このようなポリイミドはより高い分子量を有しているといえる。ポリイミドの固有粘度の上限は特に限定されず、ポリイミドの固有粘度は例えば5.0dL/g以下であってよい。すなわち、本実施形態のポリイミドの固有粘度は、例えば1.0~5.0dL/g、2.0~5.0dL/g、又は3.0~5.0dL/gであってよい。なお、ポリイミドの固有粘度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0033]
 本実施形態のポリイミドは、ガラス転移温度(T )が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。このようなポリイミドは、より高い耐熱性を有しているといえる。ポリイミドのガラス転移温度(T )の上限は特に限定されず、ポリイミドのガラス転移温度(T )は例えば400℃以下であってよい。すなわち、ポリイミドのガラス転移温度(T )は、例えば250~400℃、又は300~400℃であってよい。なお、ガラス転移温度(T )は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0034]
 本実施形態のポリイミドは、窒素雰囲気下での5%重量減少温度(T )が、450℃以上であることが好ましく、480℃以上であることがより好ましい。このようなポリイミドは、より高い耐熱性を有しているといえる。なお、5%重量減少温度(T )は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0035]
<ワニス>
 本実施形態のワニスは、上述のポリイミドと溶媒とを含有するポリイミド溶液である。ワニスにおける溶媒は、ポリイミドを溶解可能な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
[0036]
 本実施形態のワニスの塗布及び乾燥によって、上述のポリイミドを含有するフィルム(ポリイミドフィルム)を容易に得ることができる。
[0037]
 本実施形態のワニスにおけるポリイミドの濃度は、フィルムの厚み、ワニスの塗工方法等に応じて適宜変更してよく、例えば5~30質量%であり、好ましくは10~20質量%である。
[0038]
 本実施形態のワニスは、ポリイミドを溶媒中に溶解させて作製してもよく、溶媒中でポリイミドを合成することで作製してもよい。
[0039]
 本実施形態のワニスは、その要求特性を損なわない範囲で、ポリイミド以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、無機フィラー、接着促進剤、剥離剤、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、架橋剤、重合開始剤、感光剤等が挙げられ、これらの含有量は特に限定されない。
[0040]
<フィルム>
 本実施形態のフィルムは、上述のポリイミドを含有するフィルム(以下、ポリイミドフィルムともいう)である。本実施形態のフィルムは、例えば、上述のワニスの塗布及び乾燥によって容易に製造することができる。
[0041]
 本実施形態のフィルムは、その要求特性を損なわない範囲で、ポリイミド以外の他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、無機フィラー、接着促進剤、剥離剤、難燃剤、紫外線安定剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、架橋剤、重合開始剤、感光剤等が挙げられ、これらの含有量は特に限定されない。
[0042]
 本実施形態のフィルムの厚さは、その用途等に応じて適宜変更してよく、例えば10~100μmであってよく、好ましくは15~30μmである。
[0043]
 本実施形態のフィルムは、厚さ20μmあたりの100~200℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が、35ppm/K以下であることが好ましい。このようなフィルムは、より優れた寸法安定性を有しているといえる。なお、平均線熱膨張係数は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0044]
 本実施形態のフィルムは、厚み方向の複屈折が、0.06以下であることが好ましい。このようなフィルムは、より低複屈折性に優れるといえる。なお、厚み方向の複屈折は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0045]
 本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、全光線透過率が、85%以上であることが好ましい。このようなフィルムは、より透明性に優れるといえる。なお、全光線透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0046]
 本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、波長400nmの光に対する光透過率が、80%以上であることが好ましい。このようなフィルムは、より透明性に優れるといえる。なお、波長400nmの光に対する光透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0047]
 本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、黄色度指数(YI値)が、5.0以下であることが好ましい。このようなフィルムは、より透明性に優れるといえる。なお、黄色度指数は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0048]
本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、濁度(ヘイズ)が、5.0以下であることが好ましい。このようなフィルムは、より透明性に優れるといえる。なお、濁度(ヘイズ)は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0049]
 本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、引張弾性率が、3.0GPa以上であることが好ましい。このようなフィルムは、より靱性に優れたフィルムといえる。なお、引張弾性率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0050]
 本実施形態のフィルムは、厚さ約20μmの場合、破断強度が、100MPa以上であることが好ましい。このようなフィルムは、より靱性に優れたフィルムといえる。なお、破断強度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
[0051]
 本実施形態のフィルムは、例えば、単独で使用してもよく、各種基材との積層体として使用してもよい。
[0052]
<ポリイミドの製造方法>
 本実施形態のポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重付加反応によって形成されるポリアミド酸を、イミド化することで製造することができる。本実施形態では、重付加反応とイミド化とを別々に実施してもよく、重付加反応と同時に、又は、重付加反応に続いて同じ溶液中でイミド化を実施してもよい。
[0053]
 テトラカルボン酸二無水物は、下記式(2’)で表される化合物(ビスノルボルナンテトラカルボン酸二無水物、BNBDA)を含む。
[0054]
[化9]


[0055]
 BNBDAの量は、テトラカルボン酸二無水物の全量基準で、例えば60モル%以上であってよく、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、100モル%であってもよい。
[0056]
 テトラカルボン酸二無水物として、BNBDA以外の化合物を更に含んでいてもよい。BNBDA以外のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、上述した脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
[0057]
 ジアミンとして、下記式(3’)で表される化合物(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、TFMB)及び下記式(4’)で表される化合物(2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、BAPP)を含む。
[0058]
[化10]


[0059]
[化11]


[0060]
 TFMBの量は、ジアミンの全量基準で、例えば30モル%以上であってよく、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは45モル%以上である。また、TFMBの量は、ジアミンの全量基準で、例えば95モル%以下であってよく、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは85モル%以下である。すなわち、TFMBの量は、ジアミンの全量基準で、例えば30~95モル%、30~90モル%、30~85モル%、40~95モル%、40~90モル%、40~85モル%、45~95モル%、45~90モル%、又は45~85モル%であってよい。
[0061]
 BAPPの量は、ジアミンの全量基準で、例えば5モル%以上であってよく、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上である。また、BAPの量は、ジアミンの全量基準で、例えば70モル%以下であってよく、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは55モル%以下である。すなわち、BAPPの量は、ジアミンの全量基準で、例えば5~70モル%、5~60モル%、5~55モル%、10~70モル%、10~60モル%、10~55モル%、15~70モル%、15~60モル%、又は15~55モル%であってよい。
[0062]
 TFMB及びBAPPの合計量は、ジアミンの全量基準で、例えば70モル%以上であってよく、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、100モル%であってもよい。
[0063]
 ジアミンは、TFMB及びBAPP以外の化合物を更に含んでいてもよい。TFMB及びBAPP以外のジアミンとしては、例えば、上述した脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
[0064]
 本実施形態に係るポリイミドは優れた溶媒溶解性を有するため、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で加熱して反応させることにより、ポリアミド酸の段階で反応を止めずに、一段階でポリイミドを製造することができる。このとき、反応温度は、例えば150~250℃であってよく、好ましくは170~200℃である。また、溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン等を好適に用いることができる。
[0065]
 以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
[0066]
 例えば、本発明の一態様は、上述のポリイミドを粉末化したポリイミド粉末に関する。ポリイミド粉末は溶媒への溶解性に優れており、ポリイミド粉末を溶媒に溶解させることで容易に上述のワニスを調製できる。また、ポリイミド粉末を加熱圧縮することで、ポリイミド成型体を製造することもできる。
実施例
[0067]
 以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、物性値は以下の方法で測定した。
[0068]
<固有粘度>
 ポリイミド粉末をN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解して、0.5質量%のDMAc溶液とし、オストワルド粘度計を用いて30℃で還元粘度(η red)を測定した。この値は実質的に固有粘度と見なすことができ、この値が高い程、分子量が大きいことを表す。
[0069]
<ゲル浸透クロマトグラフィー>
 ポリイミドのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶出溶媒とし、1mL/分の溶出速度でGPCカラム(Shodex,KF-806L)及び紫外-可視検出器(検出波長:300nm、Jasco,UV-2075)を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(Jasco,LC-2000 Plus HPLC system)により測定した。
[0070]
<ガラス転移温度(T )>
 ネッチジャパン社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いた動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失エネルギー曲線のピーク温度からポリイミドフィルム(膜厚約20μm)のガラス転移温度(T )を求めた。Tgが高いほど、物理的耐熱性が高いことを表す。
[0071]
<線熱膨張係数(CTE)>
 ネッチジャパン社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100~200℃の範囲での平均値としてポリイミドフィルム(膜厚約20μm)のCTEを求めた。この値が低い程、熱寸法安定性に優れていることを表す。
[0072]
<複屈折(Δn th)>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T、ナトリウムランプ、波長589nm)を用い、ポリイミドフィルム面に平行な方向(n in)と垂直な方向(n out)の屈折率をそれぞれ測定し、Δn th=n in-n outの関係より、ポリイミドフィルムの膜厚方向複屈折を求めた。この値が高いほど、ポリマー鎖がフィルム面に対して平行に配向している程度がより高いことを意味する。
[0073]
<5%重量減少温度(T )>
 ネッチジャパン社製熱重量分析装置(TG-DTA2000)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリイミドフィルム(膜厚約20μm)の初期重量が5%減少した時の温度を測定した。T の値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
[0074]
<ポリイミドフィルムの透明性:波長400nmにおける光透過率、黄色度指数、全光線透過率、ヘイズ>
 ポリイミドフィルムの透明性は以下の光学特性から評価した。日本分光社製紫外-可視分光光度計(V-530)を用いて波長200~800nmの範囲でポリイミドフィルム(膜厚約20μm)の光透過率曲線を測定し、波長400nmにおける光透過率を求めた。またこのスペクトルを基に、日本分光社製色彩計算プログラムを用い、ASTM E313規格に基づいて黄色度指数(YI値)を求めた。更に、日本電色工業社製ヘイズメーター(NDH4000)を用い、JIS K7361-1及びJIS K7136規格に基づき、全光線透過率(T tot)及び濁度(ヘイズ)を求めた。
[0075]
<機械的特性(引張弾性率、破断強度、破断伸び)>
 A&D社製引張試験機(テンシロンUTM-2)を用いて、ポリイミド試験片(3mm×30mm×膜厚約20μm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から引張弾性率(E)を、破断時の応力から破断強度(σ )フィルムが破断時の伸びから破断伸び(ε )を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを意味する。
[0076]
[実施例1](BNBDA/TFMB(50);BAPP(50)共重合体) ( )内はmol%を表す。
 窒素導入管、撹拌装置、ディーン-スタークトラップ付コンデンサーを備えたセパラブル三口フラスコにTFMB0.4800g(1.5mmol)、BAPP0.6158g(1.5mmol)及び安息香酸0.7351g(6mmol)を入れ、十分に脱水したγ-ブチロラクトン(GBL)を1.8mLを加え、100℃に温めて溶解した後、1-エチルピペリジン0.6885g(6mmol)及びBNBDA0.9910g(3mmol)を加えて窒素雰囲気中200℃で4時間反応させ、均一で粘稠なポリイミドワニスを得た。重合反応は均一な攪拌を確保するため、GBLを適宜追加しながら行い、固形分濃度12.6質量%の均一なワニスを得た。得られたポリイミドの固有粘度は3.84dL/gであった。単離したポリイミド粉末を重水素化ジメチルスルホオキシドに溶解して H-NMRスペクトルを測定したところ、化学イミド化反応が完結していることが確認された。また、ゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、ポリイミドの数平均分子量は4.31×10 、重量平均分子量は1.59×10 であった。
[0077]
 重合後のポリイミドワニスをGBLで適宜希釈後、大量のメタノール中にゆっくりと滴下して、ポリイミドを析出させ、これを濾過、100℃で12時間真空乾燥して、白色繊維状粉末を得た。これを重水素化ジメチルスルホオキシドに溶解して1H-NMRスペクトルを測定したところ、化学イミド化反応が完結していることが確認された。また、ポリイミドの固有粘度は3.84dL/gであった。ゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果、ポリイミドの数平均分子量は4.31×10 、重量平均分子量は1.59×10 であった。
 上述のようにして単離したポリイミド粉末をGBLに溶解して固形分濃度7.9質量%の均一なワニスとした。これをガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中65℃で3時間乾燥し、次いで真空中150℃で30分、200℃で1時間乾燥させた。次いで基板からフィルムを剥がして更に真空中250℃で1時間熱処理を行い、膜厚約20μmの柔軟なポリイミドフィルムを得た。
[0078]
 得られたポリイミドフィルムの物性評価したところ、Tgは319℃であり、高い耐熱性を示した。また線熱膨張係数は30.4ppm/Kであり、低熱膨張特性を有しながら、比較的低い厚み方向複屈折(0.046)を示した。また5%重量減少温度(Td5)は窒素中で484℃であった。全光線透過率は89.5%、波長400nmにおける光透過率は85.2%、黄色度指数2.1、ヘイズ1.68%であり、優れた透明性を有していた。また、このポリイミドフィルムの機械的特性を評価したところ、引張弾性率3.39GPa、破断強度117MPa、破断伸び34.2%(平均値)/58.3%(最大値)であり、高い靭性を有していた。膜物性評価結果を表1にまとめる。また、ポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
[0079]
[実施例2](BNBDA/TFMB(70);BAPP(30)共重合体)
 ジアミンのモル比をTFMB70mol%及びBAPP30mol%に変更したこと以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、重合、製膜及び膜物性評価を行った。物性値を表1に示す。このポリイミドフィルムは、CTEが28.0ppm/Kと低熱膨張特性を有していた。その他の特性についても、実施例1のポリイミドと同様に良好な特性を維持していた。
[0080]
[比較例1](BNBDA/TFMBホモポリイミド)
 ジアミンにBAPPを使用せず、TFMBと等モルのBNBDAより、実施例1に記載した方法に準じてワンポット重合を行ったところ、沈殿物が析出し、反応溶液が不均一となったため、これをキャスト製膜して均一なポリイミドフィルムを得ることは困難であった。
[0081]
[表1]



請求の範囲

[請求項1]
 下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、ポリイミド。
[化1]


[式中、R は4価の基を示し、R は2価の基を示す。
 但し、R のうち少なくとも一部は下記式(2)で表される基である。また、R のうち、一部は下記式(3)で表される基であり、他の一部は下記式(4)で表される基である。]
[化2]


[化3]


[化4]


[請求項2]
 前記ポリイミド中のR に占める前記式(3)で表される基の割合が、20~90モル%である、請求項1に記載のポリイミド。
[請求項3]
 前記ポリイミド中のR に占める前記式(4)で表される基の割合が、10~80モル%である、請求項1又は2に記載のポリイミド。
[請求項4]
 前記ポリイミド中のR に占める前記式(2)で表される基の割合が、60モル%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイミド。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか一項に記載のポリイミドと溶媒とを含有する、ワニス。
[請求項6]
 請求項1~4のいずれか一項に記載のポリイミドを含有する、フィルム。

図面

[ 図 1]